位置情報提供方法、位置情報提供システムおよび位置情報提供サーバ
【課題】
位置情報受信機が移動している場合、位置情報受信機が位置情報を取得する前に位置情報送信機の位置情報提供範囲を通過してしまい、位置情報を取得できないおそれがある。
【解決手段】
信号受信機は、信号送信機から送信された信号送信機の識別情報を受信し、受信した識別情報を位置情報提供サーバへ送信し、位置情報提供サーバは、信号受信機から送信された信号送信機の識別情報から信号送信機の近隣に存在する複数の信号送信機の符号パターン、周波数情報および優先順位を含む情報を信号受信機へ送信し、信号受信機は、位置情報提供サーバから送信された優先順位、符号パターンまたは周波数を用いて近隣に存在する複数の信号送信機のうちの1つの信号送信機から信号を受信する。
位置情報受信機が移動している場合、位置情報受信機が位置情報を取得する前に位置情報送信機の位置情報提供範囲を通過してしまい、位置情報を取得できないおそれがある。
【解決手段】
信号受信機は、信号送信機から送信された信号送信機の識別情報を受信し、受信した識別情報を位置情報提供サーバへ送信し、位置情報提供サーバは、信号受信機から送信された信号送信機の識別情報から信号送信機の近隣に存在する複数の信号送信機の符号パターン、周波数情報および優先順位を含む情報を信号受信機へ送信し、信号受信機は、位置情報提供サーバから送信された優先順位、符号パターンまたは周波数を用いて近隣に存在する複数の信号送信機のうちの1つの信号送信機から信号を受信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,位置情報提供方法、位置情報提供システムおよび位置情報提供サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測位システムとしてGPS(Global Positioning System)が知られている。
【0003】
GPSによる測位は,GPS衛星からのGPS信号を受信することが必要なので、トンネル、地下街、屋内など,電波を必要な強度で受信出来ない環境(以下,「屋内」)では、必要な精度の位置情報の取得が困難な場合がある。
【0004】
特許文献1には、GPS信号に準拠した信号を用いて位置情報を送信する位置情報発信機を屋内に設置し、位置情報発信機から送信された位置情報を位置情報受信機が受信することで、GPSの電波が到達しない場所においても位置情報を取得する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−96452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、位置情報受信機が移動している場合、位置情報受信機が位置情報を取得する前に位置情報送信機の位置情報提供範囲(以下、「セル」)を通過してしまい、位置情報を取得できないおそれがあるという課題がある。以下、具体的に説明する。
【0007】
特許文献1記載の技術では、位置情報受信機は位置情報送信機が送信する位置データを解釈する機能のみ実装されている。このような位置データの解釈のみ実施の場合、位置情報受信機の符号パターン決定(以下,「チャンネル割当」)の問題から、位置情報受信機が起動後に最初に測位結果を出力するまでの時間(以下、「TTFF(Time To First Fix)」)が長くなる、もしくは測位出来ないという問題が発生する。
【0008】
セルの半径を例えば10m程度と想定した場合、人間の歩行速度(1.1m/s)であると9秒程度で通過することになるが、一般的に位置情報送信機の位置データを取得するためには、位置情報送信機から送信される第1の測位信号(以下、「屋内GPS信号」)に対応する符号パターンを特定するための処理(以下、「捕捉」)、屋内GPS信号と位置情報受信機の符号パターンの相関を保持するための処理(以下、「追尾」)および屋内GPS信号のデコード処理が必要である。
【0009】
位置情報受信機は追尾に約1秒、デコード処理は測位信号長に依存するが、転送速度は50ビット毎秒となるので,最良の状態でも1.8秒の転送時間、最悪の状態では倍の3.6秒の転送時間が必要になる。また位置データの代わりにID情報を用いた場合においても、最良の状態でも0.6秒の転送時間、最悪の状態では倍の1.2秒の転送時間が必要になる。
【0010】
また、捕捉は測位信号と位置情報受信機に設定した符号パターンとの相関を総当りで計算するため、例えば、1個の位置情報送信機専用チャンネルがあり、チャンネル辺り1個の相関器を持つ位置情報受信機を仮定した場合、捕捉に費やす時間は約「検索符号パターン数×検索周波数範囲×2(秒)」で表すことが出来る。上記から位置情報受信機のTTFFはチャンネル割当状況、位置情報送信機と位置情報受信機の中心周波数偏差により、セル通過時間を満たせない。
【0011】
位置情報受信機のTTFFをセル通過時間内に収めるためには、位置情報受信機は位置データを取得したい位置情報送信機の符号パターンを予め設定し、且つ位置情報送信機と位置情報受信機の中心周波数を同じ、又は偏差が微小(例えば、200Hz以内)に保持し、捕捉に費やす時間を可能な限り短くしなくてはいけない。
【0012】
また、特許文献1記載の技術では、位置情報受信機に最も近い位置情報送信機を選択できず、正確な位置情報を取得できない場合があるという課題がある。以下、具体的に説明する。
【0013】
複数の位置情報送信機から信号を受信した場合には、受信した信号の強度に基づいて測位に用いる位置情報送信機を選択する。原理的には信号の強度は距離に応じて減衰するが、屋内においては送信機から送信された電波が受信機に受信されるまでに、複数の経路をたどる現象(以下、「マルチパス」)が頻繁に発生する。マルチパスは同時に出た直接波よりもやや遅れて受信機に到着するため、受信機にとっては現時点でただの雑音になり、直接波の信号の強度に対して影響を与える。そのため、位置情報受信機から最も近い位置情報送信機の信号の強度が最も強いとは限らない。
【0014】
さらに、特許文献1記載の技術では、GPS信号と屋内GPS信号の切り替えをシームレスに実行出来ない場合があるという課題がある。以下、具体的に説明する。
【0015】
特許文献1記載の技術では、屋内GPS信号とGPS信号が混合している場合、位置の算出に用いる信号は強度に基づいて決定するため、屋内の滞在時間によっては、位置情報受信機に保持されるGPS衛星の詳細な軌道情報(以下、「エフェメリス」)が無効になり、屋内GPS信号からGPS信号への切替えが即時に行われない。なお、GPS信号から屋内GPS信号への切替えは前述した捕捉に費やす時間に依存する。すなわち、位置情報送信機を信号の強度のみで選定することは非常に困難であると言わざるを得ない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明は、上記課題に鑑み、以下の構成を備える。即ち、信号送信機と、信号受信機と、位置情報提供サーバとを含む位置情報提供システムにおける位置情報取得方法であって、信号受信機は、信号送信機から送信された信号送信機の識別情報を受信し、受信した識別情報を位置情報提供サーバへ送信し、位置情報提供サーバは、信号受信機から送信された信号送信機の識別情報から信号送信機の近隣に存在する複数の信号送信機の符号パターン、周波数情報および優先順位を含む情報を信号受信機へ送信し、信号受信機は、位置情報提供サーバから送信された優先順位、符号パターンまたは周波数を用いて近隣に存在する複数の信号送信機のうちの1つの信号送信機から信号を受信する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、位置情報送信機から送信された位置情報の取得を高速化することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態における位置情報提供システムの全体像を示す図である。
【図2】ID情報受信機1のハードウェア構成を例示する図である。
【図3】ID情報受信機1のメモリ12に格納されているソフトウェアの構成を例示する図である。
【図4】位置情報提供サーバ6のハードウェアの構成を例示する図である。
【図5】位置情報提供サーバ6のメモリ68に格納されているソフトウェアの構成を例示する図である。
【図6】ID情報送信機5のハードウェア、ソフトウェア構成を例示する図である。
【図7】ID情報送信機5の通信パケットを例示する図である。
【図8】平面大地におけるID情報送信機から送信される屋内GPS信号の強度と距離の関係を概念的に例示する図である。
【図9】ある屋内に配置されたID情報送信機5を表した図である。
【図10】屋内にあるID情報受信機1の所有者1−1が屋内を移動する様子を示すシーケンス図である。
【図11】優先順位リストを例示する図である。
【図12】送信機選定リストを例示する図である。
【図13】ID情報受信機1の所有者1−1が屋外から屋内に移動する様子を示すシーケンス図である。
【図14】屋内でID情報受信機1の所有者1−1が屋内から屋外に移動する様子を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について説明を行う。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施形態の位置情報提供システムの全体像を示す図である。
【0021】
ID情報受信機1は、ID情報受信機の所有者1―1によって所有される端末である。このID情報受信機は信号受信機として動作するものであり、その一態様としてはGPS対応携帯電話、カーナビゲーション端末などがある。
【0022】
ID情報送信機5は、信号送信機として動作するものであり、GPSの使用する周波数、信号形式を用いて、所定のID情報を送信する装置であり、当該ID情報は、前記ID情報受信機1によって受信される。また、ID情報送信機5が信号を送信できる範囲はセル7である。
【0023】
GPS衛星3は、ID情報受信機1が屋外にある場合に、位置情報を提供する衛星である。
【0024】
GPSアシストサーバ4は、ID情報受信機1が屋外にある場合に、GPS衛星3から得られる測位のための情報、および補正データを提供するサーバ装置である。当該測位のための情報を得るためにはID情報受信機1がネットワーク2を介してGPSアシストサーバ4等と通信する通信機能を具備している必要がある。
【0025】
位置情報提供サーバ6は、ID情報受信機1が屋内にある場合に、ID情報受信機近隣に存在する1つ以上のID情報送信機5符号パターンと優先順位および中心周波数偏差を送付するサーバ装置である。
【0026】
図2は、ID情報受信機1のハードウェア構成を例示する図である。
【0027】
当該ID情報受信機のディスプレイ104を制御するモニタコントローラ102、受話機能または効果音等を提供するマイク108とスピーカ110を制御する音声入出力コントーラ106、キー入力インタフェース114を制御するキー入力コントーラ112、メモリ12、CPU122、GPS衛星3またはID情報送信機5からの信号を受信するGPSレシーバ118を制御するGPSレシーバモジュール116、当該ID情報受信機の音声またはデータ通信を制御するネットワーク接続コントローラ124は、情報バスなどの内部通信線100で相互に接続されている。CPU122は、上述したID情報受信機の各構成を制御する。
【0028】
図3は、ID情報受信機1のメモリ12に格納されているソフトウェアの構成を例示する図である。これらのソフトウェアは、制御部として動作するCPU122により実行される。
【0029】
ネットワーク制御ドライバ1202は、ネットワーク接続コントローラ124を制御するソフトウェアであり、GPS信号処理ドライバ1206は、GPSレシーバモジュール 116を制御するソフトウェアである。
【0030】
ネットワーク通信管理ミドルウェア1204は、ネットワーク2、または無線ネットワークを介して通信を行うソフトウェアまたはアプリケーションに対して、通信用のインターフェースを提供し、GPS信号ミドルウェア1216は、GPS信号から導き出されるデータを他のソフトウェアまたはアプリケーションに通信用のインタフェースを提供するものである。
【0031】
サーバ切替管理プログラム1220は、GPSアシストサーバ4、位置情報提供サーバ6との接続を管理する。
【0032】
ID情報受信機1がGPS測位を開始した、また符合パターントリガプログラム1226からエフェメリス送付用符号パターントリガを通知された場合に、サーバ切替管理プログラム1220はGPSアシストサーバ4に対して、GPSアシストデータ送付を要求する。またGPSアシストサーバ4からGPSアシストデータを受信、それを保持し、チャンネル割当プログラム1222に送付する。
【0033】
また、符合パターントリガプログラム1226から屋内監視用符号パターントリガを通知され、且つ、GPS衛星3によって発信される複数のGPS信号の捕捉数が4つ未満になった場合にサーバ切替管理プログラム1220は、位置情報提供サーバ6に対して、ID情報受信機近隣に存在する1つ以上のID情報送信機5の符号パターンと優先順位、および中心周波数偏差を示した優先順位リストの送付を要求する(詳細は後述する)。また位置情報提供サーバ6から優先順位リストを受信、それを保持し、チャンネル割当プログラム1222、測位信号選定プログラム1218に送付する。
【0034】
また衛星測位信号監視プログラム1224から送付されるGPS衛星3のGPS信号の捕捉数を受信し、状況に応じてサーバ接続の切替を実施する。
【0035】
チャンネル割当プログラム1222は、サーバ切替管理プログラム1220から送付されるGPSアシストデータを受信し、それを解析して得られたチャンネル割当および補正データをGPS信号処理ドライバ1206に送付する。但し、基本的に既に符号パターンを捕捉しているチャンネルは更新しない。なお、衛星の推定にはID情報受信機の大まかな位置情報が必須であるが、GPS対応携帯電話の場合、基地局の位置情報を代用している。
【0036】
またサーバ切替管理プログラム1220から送付される優先順位リストを受信し、チャンネル割当、およびID情報送信機5の中心周波数偏差をGPS信号処理ドライバ1206に送付する。
【0037】
衛星測位信号監視プログラム1224は、GPS信号処理ドライバ1206のチャンネルを監視する。また一定時間毎にサーバ切替管理プログラム1220に対して、GPS衛星3のGPS信号の捕捉数を送付する。
【0038】
測位信号選定プログラム1218は、サーバ切替管理プログラム1220から送付される優先順位リストを保持し、一定時間毎にGPS信号処理ドライバ1206の各チャンネルにおける屋内GPS信号の強度を監視する。また優先順位と屋内GPS信号の強度からID情報送信機を選定する(詳細は後述する)。また選定したID情報送信機5の符号パターンをGPS信号処理ミドル1216および符号パターントリガプログラム1226に送付する。
【0039】
符号パターントリガプログラム1226は測位信号選定プログラム1218から送付される符号パターンが屋内監視用符号パターン、もしくはエフェメリス送付用符号パターンである場合、サーバ切替管理プログラム1220に対して、符号パターントリガを通知する。
【0040】
モニタ制御ドライバ1236、音声入出力制御ドライバ1232、キー入力制御ドライバ1230は、それぞれ、モニタコントローラ102、音声入出力コントローラ106、キー入力コントローラ112を制御するソフトウェアである。
【0041】
図4は、位置情報提供サーバ6のハードウェアの構成を例示する図である。
【0042】
当該位置情報提供サーバ6のディスプレイ620を制御するモニタコントローラ612、キーボード616、マウス618を制御する入出力コントーラ614、外部記憶媒体(データベース等)を制御する外部装置コントローラ610、ネットワーク2を介するデータ通信を制御するネットワーク接続コントローラ604、CPU606、メモリ68は、情報バスなどの内部通信線600で相互に接続されている。CPU122は、上述した位置情報提供サーバ6の各構成を制御する。
【0043】
図5は、位置情報提供サーバ6のメモリ68に格納されているソフトウェアの構成を例示する図である。これらのソフトウェアは、制御部として動作するCPU606により実行される。
【0044】
位置情報提供サーバ6とネットワーク2を介して行われるデータは、ネットワーク制御ドライバ6802、通信管理プログラム6804、送受信用の通信キュー6806、6808を介して行われて、上位のソフトウェアとの間で通信される。
【0045】
位置情報管理プログラム6810は、近隣符号パターン提供プログラム6822に対して、ID情報に紐付いた近隣のID情報送信機のID情報、符号パターン、階層(以下、「近隣ID情報送信機データ」)の送付を要求する。またID変換プログラム6820に対して、近隣ID情報送信機データのID情報に紐付いた位置情報の送付を要求する。また中心周波数偏差提供プログラム6826に対して、近隣ID情報送信機データのID情報に紐付いた中心周波数偏差の送付を要求する。また優先順位決定プログラム6824に対して、近隣ID情報送信機データの符号パターンに対する優先順位の送付を要求する。また位置情報管理プログラム6810は上記から送付される情報に基づき、ID情報受信機1に送付する優先順位リストを作成する。優先順位リストとは図11に示すリストを言う(詳細は後述する)。
【0046】
近隣符号パターン提供プログラム6822は、位置情報管理プログラム6810に対して、ID情報に紐付いた近隣ID情報送信機データを送付する。
ID変換プログラム6820は、位置情報管理プログラム6810に対して、近隣ID情報送信機データのID情報に紐付いた位置情報を送付する。
【0047】
中心周波数偏差提供プログラム6826は、位置情報管理プログラム6810に対して、近隣ID情報送信機データのID情報に紐付いた中心周波数偏差を送付する。
【0048】
優先順位決定プログラム6824は、ID情報受信機1の固体番号に基づき、ID情報受信機1の移動履歴を検索し、近隣ID情報送信機データの符号パターンに対する優先順位を決定し、位置情報管理プログラム6810に対して、優先順位を送付する。
ここに移動履歴とは、所有者1―1が、ID情報送信機を利用して位置情報を取得してきた時間経過方向の履歴をいい、例えば、図9において、所有者1―1が、ID情報送信機5−9、5−2、5−3、5―4 のように移動してきた履歴をいう。かかる移動履歴と優先順位との関係において、優先順位の判りやすい一例としては、所有者1―1は、今後、移動してきた履歴に表われたID情報送信機が存在する場所よりも、未だ履歴に表われていないID情報送信機が存在する場所の方向に向って移動する蓋然性が高い、という判断に基づいて作られるような優先順位をいう。
【0049】
データベース管理プログラム6816は、外部装置コントローラ610を制御しながら、前述した、位置情報、符号パターン、ID情報受信機の移動履歴等を、それぞれのプログラムの命令に応じて追加、変更、削除する。
【0050】
プログラム起動・実行・停止プログラム6826は、キーボード616、マウス618、ディスプレイ620からの入力をトリガとして位置情報提供サーバ6の各種プログラムを、自動または手動によって起動・実行・停止する。
【0051】
入出力処理ドライバ6812、モニタ制御処理ドライバ6814は、それぞれ入出力コントローラ614、モニタコントローラ612を制御する。
【0052】
なお、GPSアシストサーバ4のハードウェア構成は、位置情報提供サーバ6の構成に凖ずるものであり、ソフトウェア構成は、ID情報受信機1にGPSアシストデータを提供するサーバを構成する複数のソフトウェア群から成るものとする。
【0053】
図6は、ID情報送信機5のハードウェア、ソフトウェア構成を例示する図である。
【0054】
ID情報送信機5は、アナログ処理部501、デジタル処理部502、稼動状態、故障状態、設定情報を外部に表示する為の設定・表示インタフェース508、情報端末と接続してID情報送信機5の初期構築、変更等を行うシリアルインターフェース510、送信を行うIDを記録する外部記憶媒体512、電源503、送信を行う為のアンテナ5051、5052からなる。
【0055】
アナログ処理部は、GPSと同じ周波数の搬送波を生成する搬送波生成部5014、変調回路5012、デジタル処理部502から送られてきたデジタル情報を搬送波に乗せる為のアナログ信号に変換するD/A変換器5016、電波を送信する電波送信器5017からなり、デジタル処理部502は、本ID情報送信機5を稼動させる為のID情報送信プログラム5026と、本ID情報送信機5の固有の個体情報を保持する個体データ情報5028が書き込まれた不揮発メモリ5024と、メモリ52と、CPU5022からなる。
【0056】
なお、メモリ52には、設定・表示インタフェースドライバ5212、シリアルインタフェースドライバ5214、外部記憶媒体インタフェースドライバ5216がある。
【0057】
図7は、ID情報送信機5の通信パケットを例示する図である。
【0058】
プリアンブル部8bit、パケット種別部3bit,データ部13bit,パリティ部6bitからなる。但し、これは例示であり、それぞれのビット長はこの数に限定されるものではない。また、2以上のパケットで構成されるようにしても良い。
【0059】
パケット種別3bitが”000”となっている場合は、データ部としてショートIDが形成されることを示す。また”001”となっている場合には、2パケットが連続して送付され、1つめのパケットと2つめのパケットのデータ部を組合わせてミディアムIDを形成することを示す。なお、2つめのパケットのデータ部をID情報送信機5が配置されている屋内ID、1つめのパケットをID情報送信機5のIDとし、始めに屋内IDを受信することで、以降は1つめのパケットのデータ部のみで測位しても良い。
【0060】
図8は平面大地におけるID情報送信機5から送信される屋内GPS信号の強度と距離の関係を概念的に例示する図である。
【0061】
71−1、72−1、73−1はID情報送信機5−1から送信された屋内GPS信号の強度であり、71−2、72−2、73−2はID情報送信機5−2から送信された屋内GPS信号の強度である。平面大地における電波伝搬特性は波のような形を形成しつつ、減衰するのが一般的である。
【0062】
ID情報受信機1は、現時点でID情報送信機5−1の直下に存在し、本実施例において、ID情報送信機5−2に向かい移動することとする。
【0063】
ID情報受信機1の所有者1−1がAの地点へ移動し、ID情報送信機5の屋内GPS信号の強度のみで選定した場合、物理的にはID情報送信機5−1が近いが、ID情報受信機1は屋内GPS信号の強度73−2を選定し、送信機5−2が送信するID情報をデコードする。
【0064】
一方、ID情報受信機1の所有者1−1がBの地点へ移動し、ID情報送信機5の屋内GPS信号の強度のみで選定した場合、物理的にはID情報送信機5−2が近いが、ID情報受信機1は屋内GPS信号の強度73−1を選定し、送信機5−1が送信するID情報をデコードする。つまり、信号の強度のみではID情報送信機5の選定が困難になる。
【0065】
さらに本例示は平面大地における電波伝搬に基づいていたが、屋内では回りを壁、床に囲まれているため、信号が反射されることによる信号強度の乱れが発生し、ID情報送信機5の選定がより困難になる。
【0066】
図9は、ある屋内地図とID情報送信機の配置を示したものである。
【0067】
地図内に示されている「●」および「■」は共にID情報送信機5を示す記号であるが、「■」は屋内監視用符号パターン、およびエフェメリス送付用符号パターンにより拡散された屋内GPS信号を送信するID情報送信機5であることを示す。つまり、「■」のID情報送信機は屋内外の境界線に設置し、同様の位置データを屋内監視用符号パターン、およびエフェメリス送付用符号パターンを用いて拡散し、2つの送信アンテナ6051、6052から送信することを意味している。また点線の「○」はセル範囲を示す。
【0068】
図10は、屋内にあるID情報受信機1の所有者1−1が屋内を移動する様子を示すシーケンス図である。なお、現時点でID情報受信機1は図9記載のID情報送信機5−4のID情報を受信し、ID情報送信機5−5に向かって移動するものとする。
【0069】
ID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220は、位置情報提供サーバ6に対して、ID情報送信機5−4から受信したID情報およびID情報受信機の固体番号を送付(9102)する。固体番号としては、ユニークな番号であれば良く、携帯電話ならば、端末シリアル番号を用いても良い。このID情報送信機の固体番号に対応する位置情報は、位置情報提供サーバ6から受信することが可能である。
【0070】
次に位置情報提供サーバ6の位置情報管理プログラム6810は、ID情報受信機から送付されたID情報を近隣符号パターン提供プログラム6822に対して送付し、ID情報に紐付けられた近隣ID情報送信機データを受信する。
【0071】
あるID情報送信機の近隣に存在する各ID情報送信機は当該ID情報送信機と紐付けられたデータとしてデータバース等に格納されており、このデータを参照することにより近隣のID情報送信機のデータを取得することが出来る。
【0072】
本実施例によれば、ID情報送信機5−4のID情報から取得できる近隣ID情報送信機データの階層は、階層1としてID情報送信機5−3、5−5、5−6、階層2として5−2、5−7、5−10、5−11となる。
【0073】
またID変換プログラム6820に対して、近隣ID情報送信機データのID情報を送付し、位置情報を受信する。また中心周波数偏差提供プログラム6826に対して、近隣ID情報送信機データのID情報を送付し、中心周波数偏差を受信する。
【0074】
また位置情報提供サーバ6の位置情報管理プログラム6810は、優先順位決定プログラム6824に対して、近隣ID情報送信機データを送付し、各々の符号パターンに対する優先順位を受信(9104)する。優先順位の設定はID情報受信機1の移動履歴、近隣ID情報送信機データの階層に基づき実施する。詳細は後述する。
【0075】
さらに位置情報提供サーバ6の位置情報管理プログラム6810は、ID情報受信機1に対して、優先順位リスト(9106)を送付する。
【0076】
ID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220は位置情報提供サーバ6から送付された優先順位リストを、チャンネル割当プログラム1222、測位信号選定プログラム1218に送付する。
【0077】
チャンネル割当プログラム1222は優先順位リストに基づき、チャンネルに割り当てる符号パターン、および中心周波数偏差をGPS信号処理ドライバ1206に送付(9108)する。
【0078】
測位信号選定プログラム1218は優先順位リストに基づき、各々の符号パターンの優先順位を保持し、送信機選定リストを作成(9110)する。
【0079】
ID情報受信機1の所有者1−1はID情報送信機5−5に向かい移動し、
各々のID情報送信機5はセルの範囲内に屋内GPS信号を送信(9110)する。
【0080】
ID情報受信機1の測位信号選定プログラム1218は捕捉した屋内GPS信号(9112)の強度と送信機選定リストからID情報送信機5を選定する(9114)。
【0081】
以上のように、ID情報受信機1は、位置情報提供サーバ6から送信された優先順位、符号パターンまたは周波数を用いて近隣に存在する複数のID情報送信機のうちの1つの信号送信機から信号を受信する。つまり、予め近隣に存在するID情報送信機との通信に必要な情報を得るとともに、通信するべきID情報送信機の優先順位を定める。これにより、ID情報受信機1が屋内を移動した場合でも、移動先のID情報送信機を高速かつ正確に補足することが可能となる。
【0082】
なお、各ID情報送信機が通信に用いる中心周波数には、ID情報受信機がそのズレを許容して受信を可能とできる一定の幅がある。すなわち、この幅の範囲内であれば、ID情報受信機は問題なくIDを受信できるものである。以下、中心周波数からの当該ズレを偏差ということとする。各ID送信機において、意図的にこの偏差を有する中心周波数でID情報を送信し、ID情報受信機は、この偏差情報をlD情報と併わせて用いることによって、ID情報受信機1の高速化が可能となる。
【0083】
ここで、位置情報提供サーバ6における優先順位決定プログラム6824の優先順位決定方法、ID情報受信機1における測位信号選定プログラム1218の選定方法について説明する。 図11はID情報受信機1の所有者1−1が図9記載のID情報送信機5−4のIDを受信後にID情報送信機5−6のIDを受信し、位置情報提供サーバ6にID情報受信機1の固体番号とID情報を送付した場合に、優先順位決定プログラム6824にて作成される優先順位リストである。
【0084】
登録番号(9302)は、位置情報提供サーバ6において近隣ID情報送信機データのID情報を識別する為に付与される番号である。登録される順番で付与されても良い。
【0085】
送信機ID(9304)は、ID情報送信機が送信するIDである。送信機IDはユニークな番号であれば良く、ID情報送信機のシリアル番号でも良い。
【0086】
位置情報(9306)は、ID情報送信機が設置されている場所の位置を表している。
【0087】
中心周波数偏差(9307)は、ID情報送信機から送信される屋内GPS信号の中心周波数のズレである。ID情報送信機5の中心周波数偏差が既知であることで、ID情報受信機1において、捕捉に費やす時間を短縮することが可能である。
【0088】
近隣符号パターン(9308)は、ID情報送信機5から送信される屋内GPS信号を拡散している符号パターンである。符号パターンはGPS衛星3にはユニークに割当てられているが、ID情報送信機5においては重複もあり得る。
【0089】
階層(9310)は、ID情報から判断した近隣度であり、予め位置情報提供サーバに定義されている。また階層0とは、位置情報提供サーバ6が受信したID情報である。
【0090】
優先順位(9312)は、ID情報受信機1の行動履歴、近隣ID情報送信機データの階層に基づき決定する。最も簡素な方式としては、ID情報受信機の行動履歴から登録番号(9302)#0002のID送信機5−4は、前回受信したため、ID情報受信機1の進行方向には存在しないと推定し、優先順位を下げ、また今回受信した登録番号(9302)#0001のID送信機5−6は直前に受信したため、優先順位を下げるといったことが考えられる。
【0091】
なお、優先順位を用いることで、マルチパスの影響を最小限にすることが可能となる。基本的に近隣のID情報送信機の優先順位が高くなるように設定するため、マルチパスによる一時的なSNR増加による誤認識を防ぐことができ、より確実に正確なID情報送信機を補足できるようになる。
【0092】
図12はID情報受信機1が図11で示した優先順位リストを受信し、さらにID情報送信機5−7に向けて移動した場合、測位信号選定プログラム1218にて作成される送信機選定リストである。
【0093】
登録番号(9402)は、図9の登録番号(9302)と同じである。
【0094】
送信機ID(9404)は、図9の送信機ID(9304)と同じである。
【0095】
優先順位(9406)は、図9の優先順位(9306)と同じである。
【0096】
閾値信号強度(9408)は、ID情報送信機5の屋内GPS信号をデコードするタイミングを表しており、優先順位により定められる。ここでは信号強度の単位としてSNR(Signal to Noise Ratio)を用いている。
【0097】
例えば、優先順位1のID情報送信機5の場合、屋内GPS信号の信号の強度が35以上であれば、ID情報受信機1は当該ID情報送信機5を選定し、デコードを開始することを意味している。
【0098】
信号強度(9410)は、現時点での信号の強度である。ハイフンはID情報送信機5から送信される屋内GPS信号を捕捉出来なかったことを意味する。本実施例によれば、デコードするタイミングを満たしているのは、登録番号(9402)#0001、#0003、#0004となる。複数のID情報送信機5が条件を満たしている場合には、優先順位が高い方を選定し、さらに優先順位も同じ場合には、信号の強度が高い方を選定する。すなわち、選定されるのは登録番号(9402)#0003のID情報送信機5−7となる。
【0099】
図13はID情報受信機1の所有者1−1が屋外から屋内に移動する様子を示すシーケンス図である。なお、現時点でID情報受信機1の電源は入っておらず、屋外にてGPS測位を開始し、図9記載のID情報送信機5−8を経由し、ID情報送信機5−1に向かって移動するものとする。
【0100】
ID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220はGPS測位を開始したと同時にアシストサーバ4に対して、アシストデータの送付を要求(9502)し、アシストサーバ4から送付されるアシストデータを受信(9504)する。
【0101】
また衛星測位信号監視プログラム1224から送付されるGPS衛星3から発信されるGPS信号の捕捉数を受信(9506)し、ID情報受信機の位置を算出可能な4つ以上であれば、各々の到着時間に基づいてID情報受信機の位置を算出(9508)する。
【0102】
仮に4つ未満のGPS衛星3しか捕捉できない場合、サーバ切替管理プログラム1220はチャンネル割当プログラム1222に対して、ID情報送信機5に割当てられる全ての符号パターンを送付し、屋内GPS測位を開始する。なお、この場合、ID情報受信機1の初期位置が判断つかず、位置情報提供サーバ6の優先順位リストは使用できないため、ID情報送信機5の選定は信号の強度のみで実施する。
【0103】
またID情報受信機がID情報送信機5−8に近づくと、ID情報受信機1の測位信号選定プログラム1218は屋内外境界付近に設置されているID情報送信機5−8を選定し、符合パターントリガプログラム1226に対して、ID情報送信機5−8の符号パターン(屋内監視用符号パターン)を送付する。なお、屋外から屋内へ移動する場合、ID情報受信機1に設定されている符号パターンは屋内監視用符号パターンのみであるため、測位信号選定プログラム1218により、その他のID情報送信機が選定されることはない。
【0104】
さらにID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220は、符合パターントリガプログラム1226から屋内監視用符号パターントリガの通知を受信(9510)すると、再度、(9508)と同様の処理を実行する。ここで、4つ未満のGPS衛星3しか捕捉できない場合には、サーバ切替管理プログラム1220はID情報受信機1が屋内に入ったと判断し、ID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220は位置情報提供サーバ6に対して、ID情報送信機5−8から受信したID情報およびID情報受信機の固体番号を送付(9512)する。
【0105】
位置情報提供サーバ6の位置情報管理プログラム6810は、優先順位リストを作成(9513)し、ID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220に対して優先順位リストを送付(9514)する。
【0106】
本実施例によれば、ID情報送信機5−8のID情報から取得できる近隣ID情報送信機データの階層は、階層1としてID情報送信機5−1、階層2として5−2となる。
【0107】
さらにID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220は、チャンネル割当プログラム1222、測位信号選定プログラム1218に対して、優先順位リストを送付する。
【0108】
チャンネル割当プログラム1222は優先順位リストに基づき、チャンネルに割り当てる符号パターン、および中心周波数偏差をGPS信号処理ドライバ1206に送付(9516)する。
【0109】
測位信号選定プログラム1218は優先順位リストに基づき、各々の符号パターンの優先順位を保持し、送信機選定リストを作成(9517)する。
【0110】
ID情報受信機1の所有者1−1はID情報送信機5−1に向かい移動し、各々のID情報送信機5はセルの範囲内に屋内GPS信号を送信(9518)する。
【0111】
ID情報受信機1の測位信号選定プログラム1218は捕捉した屋内GPS信号の強度と送信機選定リストからID情報送信機5を選定(9520)する。
【0112】
図14は屋内でID情報受信機1の所有者1−1が屋内から屋外に移動する様子を示すシーケンス図である。なお、現時点でID情報受信機1は図9記載のID情報送信機5−5のID情報を受信しており、ID情報送信機5−10を経由し、屋外へ向かって移動するものとする。
【0113】
ID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220は位置情報提供サーバ6に対して、ID情報送信機5−5から受信したID情報およびID情報受信機の固体番号を送付(9602)する。
【0114】
位置情報提供サーバ6の位置情報管理プログラム6810は、優先順位リストを作成(9603)し、ID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220に対して優先順位リストを送付(9604)する。
【0115】
本実施例によれば、ID情報送信機5−5のID情報から取得できる近隣ID情報送信機データの階層は、階層1としてID情報送信機5−4、5−7、5−10、階層2として5−3、5−6、5−12となる。
【0116】
さらにID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220は、チャンネル割当プログラム1222、測位信号選定プログラム1218に対して、優先順位リストを送付する。
【0117】
チャンネル割当プログラム1222は優先順位リストに基づき、チャンネルに割り当てる符号パターン、および中心周波数偏差をGPS信号処理ドライバ1206に送付(9606)する。
【0118】
測位信号選定プログラム1218は優先順位リストに基づき、各々の符号パターンの優先順位を保持し、送信機選定リストを作成(9607)する。
【0119】
さらにID情報受信機1は各々のID情報送信機の屋内GPS信号を捕捉(9608)し、測位信号選定プログラム1218にて作成された送信機選定リストに基づき、屋内GPS信号を選定(9610)する。また選定した屋内GPS信号の符号パターンを符合パターントリガプログラム1226に送付する。
【0120】
符号パターントリガプログラム1226は測位信号選定プログラム1218から送付された屋内GPS信号の符号パターンを受信し、エフェメリス送付用符号パターンである場合、サーバ切替管理プログラム1220に対して、屋内監視用符号パターントリガを通知(9612)する。
【0121】
サーバ切替管理プログラム1220はGPSアシストサーバ4に対して、GPSアシストデータの送付を要求(9614)し、GPSアシストサーバから送付されるGPSアシストデータを受信(9616)する。
【0122】
さらにサーバ切替管理プログラム1220は衛星測位信号監視プログラム1224から送付されるGPS衛星3のGPS信号の捕捉数を受信(9618)し、捕捉数が4つ以上であれば、位置情報提供サーバ6からGPSアシストサーバ4に切替え、GPS衛星3から発信されるGPS信号を捕捉(9620)し、各々の到着時間に基づいてID情報受信機の位置を算出する。また捕捉数が4つ未満であれば、屋内GPS測位を継続する。
【0123】
以上のように、本発明の実施形態によれば、ID情報送信機から送信される屋内GPS信号をID情報受信機で受信する場合において、位置情報提供サーバから当該ID情報受信機近隣に存在する1つ以上の当該ID情報送信機の符号パターン、および当該ID情報送信機の中心周波数偏差を送付されることにより、ID情報受信機のTTFFを短縮することが可能になる。
【0124】
また、捕捉した複数の当該ID情報送信機を選定する場合において、位置情報提供サーバから当該ID情報受信機近隣に存在する1つ以上の当該ID情報送信機の符号パターン、および当該ID情報送信機の中心周波数偏差を送付されることにより、ID情報送信機を選定することが可能になる。
【0125】
さらに、屋外から屋内、又は屋内から屋外を通過する場合において、屋内監視用符号パターンおよび/またはエフェメリス送付用符号パターンを用いることで、シームレスに屋内GPS信号とGPS信号を切替可能となる。
【符号の説明】
【0126】
ID情報受信機1、情報バスなどの内部通信線100、モニタコントローラ102、ディスプレイ104、音声入出力コントローラ106、マイク108、スピーカ110、キー入力コントローラ112、キー入力インターフェース114、CPU122、メモリ12、GPSレシーバモジュール116、GPSレシーバ118、ネットワーク接続コントローラ124、ネットワーク制御ドライバ1202、GPS信号処理ドライバ1206、ネットワーク通信管理ミドルウェア1204、GPS信号ミドルウェア1216、測位信号選定プログラム1218、衛星測位信号監視プログラム1224、サーバ切替管理プログラム1220、チャンネル割当プログラム1222、符号パターントリガプログラム1226、モニタ制御ドライバ1236、音声入出力制御ドライバ1232、キー入力制御ドライバ1230、ID情報受信機1の所有者1―1、ネットワーク2、GPS衛星3、GPSアシストサーバ4、ID情報送信機5、5−1、5−2、5−3、5−4、5−5、5−6,5−7,5−8、5−9、5−10、5−11、5−12、アナログ処理部501、搬送波生成部5014、変調回路5012、D/A変換器5016、電波送信器5017、デジタル処理部502、 不揮発メモリ5024、位置情報送信プログラム5026、個体データ情報5028、メモリ52、設定・表示インタフェースドライバ5212、シリアルインタフェースドライバ5214、外部記憶媒体インタフェースドライバ5216、CPU5022、設定・表示インタフェース508、シリアルインターフェース510、外部記憶媒体512、電源503、アンテナ5051、5052、クロック部506、無線送信用ドライバ5202、位置情報提供サーバ6、情報バスなどの内部通信線600、モニタコントローラ612、ディスプレイ620、入出力コントーラ614、キーボード616、マウス618、外部装置コントローラ610、ネットワーク接続コントローラ604、CPU606、メモリ68、ネットワーク制御ドライバ6802、通信管理プログラム6804、送受信用の通信キュー6806、6808、位置情報管理プログラム6810、近隣符号パターン提供プログラム6822、ID変換プログラム6820、中心周波数偏差提供プログラム6826、優先順位決定プログラム6824、データベース管理プログラム6816、プログラム起動・実行・停止プログラム6826、入出力処理ドライバ6812、モニタ制御処理ドライバ6814、信号の強度7、ID情報送信機5−1の信号の強度71−1、72−1、73−1、ID情報送信機5−2の信号の強度71−2、72−2,73−2、シーケンス、固体番号とID情報送信機のID情報転送(9102)、優先順位リスト作成(9106)、優先順位リストの送付(9106)、チャンネル割当(9108)、送信機選定リスト作成(9110)、屋内GPS信号送信(9112)、ID情報送信機の選定(9114)、登録番号(9302)、送信機ID(9304)、位置情報(9306)、中心周波数偏差(9307)、近隣符号パターン(9308)、階層(9310)、優先順位(9312)、登録番号(9402)、送信機ID(9404)、優先順位(9406)、閾値信号強度(9408)、信号強度(9410)、アシストデータ送付要求(9520)、アシストデータ送付(9504)、GPS信号送信(9506)、GPS衛星測位(9508)、屋内切替(9510)、固体番号とID情報送信機のID情報転送(9512)、優先順位リスト作成(9513)、優先順位リストの送付(9514)、チャンネル割当(9516)、送信機選定リスト作成(9517)、屋内GPS信号送信(9518)、ID情報送信機の選定(9520)、固体番号とID情報送信機のID情報転送(9602)、優先順位リスト作成(9603)、優先順位リストの送付(9604)、チャンネル割当(9606)、送信機選定リスト(9607)、屋内GPS信号送信(9608)、ID情報送信機の選定(9610)、屋外切替(9612)、アシストデータ送付要求(9614)、アシストデータ送付(9616)、GPS衛星測位(9618)、GPS信号送信(9620)。
【技術分野】
【0001】
本発明は,位置情報提供方法、位置情報提供システムおよび位置情報提供サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測位システムとしてGPS(Global Positioning System)が知られている。
【0003】
GPSによる測位は,GPS衛星からのGPS信号を受信することが必要なので、トンネル、地下街、屋内など,電波を必要な強度で受信出来ない環境(以下,「屋内」)では、必要な精度の位置情報の取得が困難な場合がある。
【0004】
特許文献1には、GPS信号に準拠した信号を用いて位置情報を送信する位置情報発信機を屋内に設置し、位置情報発信機から送信された位置情報を位置情報受信機が受信することで、GPSの電波が到達しない場所においても位置情報を取得する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−96452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、位置情報受信機が移動している場合、位置情報受信機が位置情報を取得する前に位置情報送信機の位置情報提供範囲(以下、「セル」)を通過してしまい、位置情報を取得できないおそれがあるという課題がある。以下、具体的に説明する。
【0007】
特許文献1記載の技術では、位置情報受信機は位置情報送信機が送信する位置データを解釈する機能のみ実装されている。このような位置データの解釈のみ実施の場合、位置情報受信機の符号パターン決定(以下,「チャンネル割当」)の問題から、位置情報受信機が起動後に最初に測位結果を出力するまでの時間(以下、「TTFF(Time To First Fix)」)が長くなる、もしくは測位出来ないという問題が発生する。
【0008】
セルの半径を例えば10m程度と想定した場合、人間の歩行速度(1.1m/s)であると9秒程度で通過することになるが、一般的に位置情報送信機の位置データを取得するためには、位置情報送信機から送信される第1の測位信号(以下、「屋内GPS信号」)に対応する符号パターンを特定するための処理(以下、「捕捉」)、屋内GPS信号と位置情報受信機の符号パターンの相関を保持するための処理(以下、「追尾」)および屋内GPS信号のデコード処理が必要である。
【0009】
位置情報受信機は追尾に約1秒、デコード処理は測位信号長に依存するが、転送速度は50ビット毎秒となるので,最良の状態でも1.8秒の転送時間、最悪の状態では倍の3.6秒の転送時間が必要になる。また位置データの代わりにID情報を用いた場合においても、最良の状態でも0.6秒の転送時間、最悪の状態では倍の1.2秒の転送時間が必要になる。
【0010】
また、捕捉は測位信号と位置情報受信機に設定した符号パターンとの相関を総当りで計算するため、例えば、1個の位置情報送信機専用チャンネルがあり、チャンネル辺り1個の相関器を持つ位置情報受信機を仮定した場合、捕捉に費やす時間は約「検索符号パターン数×検索周波数範囲×2(秒)」で表すことが出来る。上記から位置情報受信機のTTFFはチャンネル割当状況、位置情報送信機と位置情報受信機の中心周波数偏差により、セル通過時間を満たせない。
【0011】
位置情報受信機のTTFFをセル通過時間内に収めるためには、位置情報受信機は位置データを取得したい位置情報送信機の符号パターンを予め設定し、且つ位置情報送信機と位置情報受信機の中心周波数を同じ、又は偏差が微小(例えば、200Hz以内)に保持し、捕捉に費やす時間を可能な限り短くしなくてはいけない。
【0012】
また、特許文献1記載の技術では、位置情報受信機に最も近い位置情報送信機を選択できず、正確な位置情報を取得できない場合があるという課題がある。以下、具体的に説明する。
【0013】
複数の位置情報送信機から信号を受信した場合には、受信した信号の強度に基づいて測位に用いる位置情報送信機を選択する。原理的には信号の強度は距離に応じて減衰するが、屋内においては送信機から送信された電波が受信機に受信されるまでに、複数の経路をたどる現象(以下、「マルチパス」)が頻繁に発生する。マルチパスは同時に出た直接波よりもやや遅れて受信機に到着するため、受信機にとっては現時点でただの雑音になり、直接波の信号の強度に対して影響を与える。そのため、位置情報受信機から最も近い位置情報送信機の信号の強度が最も強いとは限らない。
【0014】
さらに、特許文献1記載の技術では、GPS信号と屋内GPS信号の切り替えをシームレスに実行出来ない場合があるという課題がある。以下、具体的に説明する。
【0015】
特許文献1記載の技術では、屋内GPS信号とGPS信号が混合している場合、位置の算出に用いる信号は強度に基づいて決定するため、屋内の滞在時間によっては、位置情報受信機に保持されるGPS衛星の詳細な軌道情報(以下、「エフェメリス」)が無効になり、屋内GPS信号からGPS信号への切替えが即時に行われない。なお、GPS信号から屋内GPS信号への切替えは前述した捕捉に費やす時間に依存する。すなわち、位置情報送信機を信号の強度のみで選定することは非常に困難であると言わざるを得ない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明は、上記課題に鑑み、以下の構成を備える。即ち、信号送信機と、信号受信機と、位置情報提供サーバとを含む位置情報提供システムにおける位置情報取得方法であって、信号受信機は、信号送信機から送信された信号送信機の識別情報を受信し、受信した識別情報を位置情報提供サーバへ送信し、位置情報提供サーバは、信号受信機から送信された信号送信機の識別情報から信号送信機の近隣に存在する複数の信号送信機の符号パターン、周波数情報および優先順位を含む情報を信号受信機へ送信し、信号受信機は、位置情報提供サーバから送信された優先順位、符号パターンまたは周波数を用いて近隣に存在する複数の信号送信機のうちの1つの信号送信機から信号を受信する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、位置情報送信機から送信された位置情報の取得を高速化することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態における位置情報提供システムの全体像を示す図である。
【図2】ID情報受信機1のハードウェア構成を例示する図である。
【図3】ID情報受信機1のメモリ12に格納されているソフトウェアの構成を例示する図である。
【図4】位置情報提供サーバ6のハードウェアの構成を例示する図である。
【図5】位置情報提供サーバ6のメモリ68に格納されているソフトウェアの構成を例示する図である。
【図6】ID情報送信機5のハードウェア、ソフトウェア構成を例示する図である。
【図7】ID情報送信機5の通信パケットを例示する図である。
【図8】平面大地におけるID情報送信機から送信される屋内GPS信号の強度と距離の関係を概念的に例示する図である。
【図9】ある屋内に配置されたID情報送信機5を表した図である。
【図10】屋内にあるID情報受信機1の所有者1−1が屋内を移動する様子を示すシーケンス図である。
【図11】優先順位リストを例示する図である。
【図12】送信機選定リストを例示する図である。
【図13】ID情報受信機1の所有者1−1が屋外から屋内に移動する様子を示すシーケンス図である。
【図14】屋内でID情報受信機1の所有者1−1が屋内から屋外に移動する様子を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について説明を行う。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施形態の位置情報提供システムの全体像を示す図である。
【0021】
ID情報受信機1は、ID情報受信機の所有者1―1によって所有される端末である。このID情報受信機は信号受信機として動作するものであり、その一態様としてはGPS対応携帯電話、カーナビゲーション端末などがある。
【0022】
ID情報送信機5は、信号送信機として動作するものであり、GPSの使用する周波数、信号形式を用いて、所定のID情報を送信する装置であり、当該ID情報は、前記ID情報受信機1によって受信される。また、ID情報送信機5が信号を送信できる範囲はセル7である。
【0023】
GPS衛星3は、ID情報受信機1が屋外にある場合に、位置情報を提供する衛星である。
【0024】
GPSアシストサーバ4は、ID情報受信機1が屋外にある場合に、GPS衛星3から得られる測位のための情報、および補正データを提供するサーバ装置である。当該測位のための情報を得るためにはID情報受信機1がネットワーク2を介してGPSアシストサーバ4等と通信する通信機能を具備している必要がある。
【0025】
位置情報提供サーバ6は、ID情報受信機1が屋内にある場合に、ID情報受信機近隣に存在する1つ以上のID情報送信機5符号パターンと優先順位および中心周波数偏差を送付するサーバ装置である。
【0026】
図2は、ID情報受信機1のハードウェア構成を例示する図である。
【0027】
当該ID情報受信機のディスプレイ104を制御するモニタコントローラ102、受話機能または効果音等を提供するマイク108とスピーカ110を制御する音声入出力コントーラ106、キー入力インタフェース114を制御するキー入力コントーラ112、メモリ12、CPU122、GPS衛星3またはID情報送信機5からの信号を受信するGPSレシーバ118を制御するGPSレシーバモジュール116、当該ID情報受信機の音声またはデータ通信を制御するネットワーク接続コントローラ124は、情報バスなどの内部通信線100で相互に接続されている。CPU122は、上述したID情報受信機の各構成を制御する。
【0028】
図3は、ID情報受信機1のメモリ12に格納されているソフトウェアの構成を例示する図である。これらのソフトウェアは、制御部として動作するCPU122により実行される。
【0029】
ネットワーク制御ドライバ1202は、ネットワーク接続コントローラ124を制御するソフトウェアであり、GPS信号処理ドライバ1206は、GPSレシーバモジュール 116を制御するソフトウェアである。
【0030】
ネットワーク通信管理ミドルウェア1204は、ネットワーク2、または無線ネットワークを介して通信を行うソフトウェアまたはアプリケーションに対して、通信用のインターフェースを提供し、GPS信号ミドルウェア1216は、GPS信号から導き出されるデータを他のソフトウェアまたはアプリケーションに通信用のインタフェースを提供するものである。
【0031】
サーバ切替管理プログラム1220は、GPSアシストサーバ4、位置情報提供サーバ6との接続を管理する。
【0032】
ID情報受信機1がGPS測位を開始した、また符合パターントリガプログラム1226からエフェメリス送付用符号パターントリガを通知された場合に、サーバ切替管理プログラム1220はGPSアシストサーバ4に対して、GPSアシストデータ送付を要求する。またGPSアシストサーバ4からGPSアシストデータを受信、それを保持し、チャンネル割当プログラム1222に送付する。
【0033】
また、符合パターントリガプログラム1226から屋内監視用符号パターントリガを通知され、且つ、GPS衛星3によって発信される複数のGPS信号の捕捉数が4つ未満になった場合にサーバ切替管理プログラム1220は、位置情報提供サーバ6に対して、ID情報受信機近隣に存在する1つ以上のID情報送信機5の符号パターンと優先順位、および中心周波数偏差を示した優先順位リストの送付を要求する(詳細は後述する)。また位置情報提供サーバ6から優先順位リストを受信、それを保持し、チャンネル割当プログラム1222、測位信号選定プログラム1218に送付する。
【0034】
また衛星測位信号監視プログラム1224から送付されるGPS衛星3のGPS信号の捕捉数を受信し、状況に応じてサーバ接続の切替を実施する。
【0035】
チャンネル割当プログラム1222は、サーバ切替管理プログラム1220から送付されるGPSアシストデータを受信し、それを解析して得られたチャンネル割当および補正データをGPS信号処理ドライバ1206に送付する。但し、基本的に既に符号パターンを捕捉しているチャンネルは更新しない。なお、衛星の推定にはID情報受信機の大まかな位置情報が必須であるが、GPS対応携帯電話の場合、基地局の位置情報を代用している。
【0036】
またサーバ切替管理プログラム1220から送付される優先順位リストを受信し、チャンネル割当、およびID情報送信機5の中心周波数偏差をGPS信号処理ドライバ1206に送付する。
【0037】
衛星測位信号監視プログラム1224は、GPS信号処理ドライバ1206のチャンネルを監視する。また一定時間毎にサーバ切替管理プログラム1220に対して、GPS衛星3のGPS信号の捕捉数を送付する。
【0038】
測位信号選定プログラム1218は、サーバ切替管理プログラム1220から送付される優先順位リストを保持し、一定時間毎にGPS信号処理ドライバ1206の各チャンネルにおける屋内GPS信号の強度を監視する。また優先順位と屋内GPS信号の強度からID情報送信機を選定する(詳細は後述する)。また選定したID情報送信機5の符号パターンをGPS信号処理ミドル1216および符号パターントリガプログラム1226に送付する。
【0039】
符号パターントリガプログラム1226は測位信号選定プログラム1218から送付される符号パターンが屋内監視用符号パターン、もしくはエフェメリス送付用符号パターンである場合、サーバ切替管理プログラム1220に対して、符号パターントリガを通知する。
【0040】
モニタ制御ドライバ1236、音声入出力制御ドライバ1232、キー入力制御ドライバ1230は、それぞれ、モニタコントローラ102、音声入出力コントローラ106、キー入力コントローラ112を制御するソフトウェアである。
【0041】
図4は、位置情報提供サーバ6のハードウェアの構成を例示する図である。
【0042】
当該位置情報提供サーバ6のディスプレイ620を制御するモニタコントローラ612、キーボード616、マウス618を制御する入出力コントーラ614、外部記憶媒体(データベース等)を制御する外部装置コントローラ610、ネットワーク2を介するデータ通信を制御するネットワーク接続コントローラ604、CPU606、メモリ68は、情報バスなどの内部通信線600で相互に接続されている。CPU122は、上述した位置情報提供サーバ6の各構成を制御する。
【0043】
図5は、位置情報提供サーバ6のメモリ68に格納されているソフトウェアの構成を例示する図である。これらのソフトウェアは、制御部として動作するCPU606により実行される。
【0044】
位置情報提供サーバ6とネットワーク2を介して行われるデータは、ネットワーク制御ドライバ6802、通信管理プログラム6804、送受信用の通信キュー6806、6808を介して行われて、上位のソフトウェアとの間で通信される。
【0045】
位置情報管理プログラム6810は、近隣符号パターン提供プログラム6822に対して、ID情報に紐付いた近隣のID情報送信機のID情報、符号パターン、階層(以下、「近隣ID情報送信機データ」)の送付を要求する。またID変換プログラム6820に対して、近隣ID情報送信機データのID情報に紐付いた位置情報の送付を要求する。また中心周波数偏差提供プログラム6826に対して、近隣ID情報送信機データのID情報に紐付いた中心周波数偏差の送付を要求する。また優先順位決定プログラム6824に対して、近隣ID情報送信機データの符号パターンに対する優先順位の送付を要求する。また位置情報管理プログラム6810は上記から送付される情報に基づき、ID情報受信機1に送付する優先順位リストを作成する。優先順位リストとは図11に示すリストを言う(詳細は後述する)。
【0046】
近隣符号パターン提供プログラム6822は、位置情報管理プログラム6810に対して、ID情報に紐付いた近隣ID情報送信機データを送付する。
ID変換プログラム6820は、位置情報管理プログラム6810に対して、近隣ID情報送信機データのID情報に紐付いた位置情報を送付する。
【0047】
中心周波数偏差提供プログラム6826は、位置情報管理プログラム6810に対して、近隣ID情報送信機データのID情報に紐付いた中心周波数偏差を送付する。
【0048】
優先順位決定プログラム6824は、ID情報受信機1の固体番号に基づき、ID情報受信機1の移動履歴を検索し、近隣ID情報送信機データの符号パターンに対する優先順位を決定し、位置情報管理プログラム6810に対して、優先順位を送付する。
ここに移動履歴とは、所有者1―1が、ID情報送信機を利用して位置情報を取得してきた時間経過方向の履歴をいい、例えば、図9において、所有者1―1が、ID情報送信機5−9、5−2、5−3、5―4 のように移動してきた履歴をいう。かかる移動履歴と優先順位との関係において、優先順位の判りやすい一例としては、所有者1―1は、今後、移動してきた履歴に表われたID情報送信機が存在する場所よりも、未だ履歴に表われていないID情報送信機が存在する場所の方向に向って移動する蓋然性が高い、という判断に基づいて作られるような優先順位をいう。
【0049】
データベース管理プログラム6816は、外部装置コントローラ610を制御しながら、前述した、位置情報、符号パターン、ID情報受信機の移動履歴等を、それぞれのプログラムの命令に応じて追加、変更、削除する。
【0050】
プログラム起動・実行・停止プログラム6826は、キーボード616、マウス618、ディスプレイ620からの入力をトリガとして位置情報提供サーバ6の各種プログラムを、自動または手動によって起動・実行・停止する。
【0051】
入出力処理ドライバ6812、モニタ制御処理ドライバ6814は、それぞれ入出力コントローラ614、モニタコントローラ612を制御する。
【0052】
なお、GPSアシストサーバ4のハードウェア構成は、位置情報提供サーバ6の構成に凖ずるものであり、ソフトウェア構成は、ID情報受信機1にGPSアシストデータを提供するサーバを構成する複数のソフトウェア群から成るものとする。
【0053】
図6は、ID情報送信機5のハードウェア、ソフトウェア構成を例示する図である。
【0054】
ID情報送信機5は、アナログ処理部501、デジタル処理部502、稼動状態、故障状態、設定情報を外部に表示する為の設定・表示インタフェース508、情報端末と接続してID情報送信機5の初期構築、変更等を行うシリアルインターフェース510、送信を行うIDを記録する外部記憶媒体512、電源503、送信を行う為のアンテナ5051、5052からなる。
【0055】
アナログ処理部は、GPSと同じ周波数の搬送波を生成する搬送波生成部5014、変調回路5012、デジタル処理部502から送られてきたデジタル情報を搬送波に乗せる為のアナログ信号に変換するD/A変換器5016、電波を送信する電波送信器5017からなり、デジタル処理部502は、本ID情報送信機5を稼動させる為のID情報送信プログラム5026と、本ID情報送信機5の固有の個体情報を保持する個体データ情報5028が書き込まれた不揮発メモリ5024と、メモリ52と、CPU5022からなる。
【0056】
なお、メモリ52には、設定・表示インタフェースドライバ5212、シリアルインタフェースドライバ5214、外部記憶媒体インタフェースドライバ5216がある。
【0057】
図7は、ID情報送信機5の通信パケットを例示する図である。
【0058】
プリアンブル部8bit、パケット種別部3bit,データ部13bit,パリティ部6bitからなる。但し、これは例示であり、それぞれのビット長はこの数に限定されるものではない。また、2以上のパケットで構成されるようにしても良い。
【0059】
パケット種別3bitが”000”となっている場合は、データ部としてショートIDが形成されることを示す。また”001”となっている場合には、2パケットが連続して送付され、1つめのパケットと2つめのパケットのデータ部を組合わせてミディアムIDを形成することを示す。なお、2つめのパケットのデータ部をID情報送信機5が配置されている屋内ID、1つめのパケットをID情報送信機5のIDとし、始めに屋内IDを受信することで、以降は1つめのパケットのデータ部のみで測位しても良い。
【0060】
図8は平面大地におけるID情報送信機5から送信される屋内GPS信号の強度と距離の関係を概念的に例示する図である。
【0061】
71−1、72−1、73−1はID情報送信機5−1から送信された屋内GPS信号の強度であり、71−2、72−2、73−2はID情報送信機5−2から送信された屋内GPS信号の強度である。平面大地における電波伝搬特性は波のような形を形成しつつ、減衰するのが一般的である。
【0062】
ID情報受信機1は、現時点でID情報送信機5−1の直下に存在し、本実施例において、ID情報送信機5−2に向かい移動することとする。
【0063】
ID情報受信機1の所有者1−1がAの地点へ移動し、ID情報送信機5の屋内GPS信号の強度のみで選定した場合、物理的にはID情報送信機5−1が近いが、ID情報受信機1は屋内GPS信号の強度73−2を選定し、送信機5−2が送信するID情報をデコードする。
【0064】
一方、ID情報受信機1の所有者1−1がBの地点へ移動し、ID情報送信機5の屋内GPS信号の強度のみで選定した場合、物理的にはID情報送信機5−2が近いが、ID情報受信機1は屋内GPS信号の強度73−1を選定し、送信機5−1が送信するID情報をデコードする。つまり、信号の強度のみではID情報送信機5の選定が困難になる。
【0065】
さらに本例示は平面大地における電波伝搬に基づいていたが、屋内では回りを壁、床に囲まれているため、信号が反射されることによる信号強度の乱れが発生し、ID情報送信機5の選定がより困難になる。
【0066】
図9は、ある屋内地図とID情報送信機の配置を示したものである。
【0067】
地図内に示されている「●」および「■」は共にID情報送信機5を示す記号であるが、「■」は屋内監視用符号パターン、およびエフェメリス送付用符号パターンにより拡散された屋内GPS信号を送信するID情報送信機5であることを示す。つまり、「■」のID情報送信機は屋内外の境界線に設置し、同様の位置データを屋内監視用符号パターン、およびエフェメリス送付用符号パターンを用いて拡散し、2つの送信アンテナ6051、6052から送信することを意味している。また点線の「○」はセル範囲を示す。
【0068】
図10は、屋内にあるID情報受信機1の所有者1−1が屋内を移動する様子を示すシーケンス図である。なお、現時点でID情報受信機1は図9記載のID情報送信機5−4のID情報を受信し、ID情報送信機5−5に向かって移動するものとする。
【0069】
ID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220は、位置情報提供サーバ6に対して、ID情報送信機5−4から受信したID情報およびID情報受信機の固体番号を送付(9102)する。固体番号としては、ユニークな番号であれば良く、携帯電話ならば、端末シリアル番号を用いても良い。このID情報送信機の固体番号に対応する位置情報は、位置情報提供サーバ6から受信することが可能である。
【0070】
次に位置情報提供サーバ6の位置情報管理プログラム6810は、ID情報受信機から送付されたID情報を近隣符号パターン提供プログラム6822に対して送付し、ID情報に紐付けられた近隣ID情報送信機データを受信する。
【0071】
あるID情報送信機の近隣に存在する各ID情報送信機は当該ID情報送信機と紐付けられたデータとしてデータバース等に格納されており、このデータを参照することにより近隣のID情報送信機のデータを取得することが出来る。
【0072】
本実施例によれば、ID情報送信機5−4のID情報から取得できる近隣ID情報送信機データの階層は、階層1としてID情報送信機5−3、5−5、5−6、階層2として5−2、5−7、5−10、5−11となる。
【0073】
またID変換プログラム6820に対して、近隣ID情報送信機データのID情報を送付し、位置情報を受信する。また中心周波数偏差提供プログラム6826に対して、近隣ID情報送信機データのID情報を送付し、中心周波数偏差を受信する。
【0074】
また位置情報提供サーバ6の位置情報管理プログラム6810は、優先順位決定プログラム6824に対して、近隣ID情報送信機データを送付し、各々の符号パターンに対する優先順位を受信(9104)する。優先順位の設定はID情報受信機1の移動履歴、近隣ID情報送信機データの階層に基づき実施する。詳細は後述する。
【0075】
さらに位置情報提供サーバ6の位置情報管理プログラム6810は、ID情報受信機1に対して、優先順位リスト(9106)を送付する。
【0076】
ID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220は位置情報提供サーバ6から送付された優先順位リストを、チャンネル割当プログラム1222、測位信号選定プログラム1218に送付する。
【0077】
チャンネル割当プログラム1222は優先順位リストに基づき、チャンネルに割り当てる符号パターン、および中心周波数偏差をGPS信号処理ドライバ1206に送付(9108)する。
【0078】
測位信号選定プログラム1218は優先順位リストに基づき、各々の符号パターンの優先順位を保持し、送信機選定リストを作成(9110)する。
【0079】
ID情報受信機1の所有者1−1はID情報送信機5−5に向かい移動し、
各々のID情報送信機5はセルの範囲内に屋内GPS信号を送信(9110)する。
【0080】
ID情報受信機1の測位信号選定プログラム1218は捕捉した屋内GPS信号(9112)の強度と送信機選定リストからID情報送信機5を選定する(9114)。
【0081】
以上のように、ID情報受信機1は、位置情報提供サーバ6から送信された優先順位、符号パターンまたは周波数を用いて近隣に存在する複数のID情報送信機のうちの1つの信号送信機から信号を受信する。つまり、予め近隣に存在するID情報送信機との通信に必要な情報を得るとともに、通信するべきID情報送信機の優先順位を定める。これにより、ID情報受信機1が屋内を移動した場合でも、移動先のID情報送信機を高速かつ正確に補足することが可能となる。
【0082】
なお、各ID情報送信機が通信に用いる中心周波数には、ID情報受信機がそのズレを許容して受信を可能とできる一定の幅がある。すなわち、この幅の範囲内であれば、ID情報受信機は問題なくIDを受信できるものである。以下、中心周波数からの当該ズレを偏差ということとする。各ID送信機において、意図的にこの偏差を有する中心周波数でID情報を送信し、ID情報受信機は、この偏差情報をlD情報と併わせて用いることによって、ID情報受信機1の高速化が可能となる。
【0083】
ここで、位置情報提供サーバ6における優先順位決定プログラム6824の優先順位決定方法、ID情報受信機1における測位信号選定プログラム1218の選定方法について説明する。 図11はID情報受信機1の所有者1−1が図9記載のID情報送信機5−4のIDを受信後にID情報送信機5−6のIDを受信し、位置情報提供サーバ6にID情報受信機1の固体番号とID情報を送付した場合に、優先順位決定プログラム6824にて作成される優先順位リストである。
【0084】
登録番号(9302)は、位置情報提供サーバ6において近隣ID情報送信機データのID情報を識別する為に付与される番号である。登録される順番で付与されても良い。
【0085】
送信機ID(9304)は、ID情報送信機が送信するIDである。送信機IDはユニークな番号であれば良く、ID情報送信機のシリアル番号でも良い。
【0086】
位置情報(9306)は、ID情報送信機が設置されている場所の位置を表している。
【0087】
中心周波数偏差(9307)は、ID情報送信機から送信される屋内GPS信号の中心周波数のズレである。ID情報送信機5の中心周波数偏差が既知であることで、ID情報受信機1において、捕捉に費やす時間を短縮することが可能である。
【0088】
近隣符号パターン(9308)は、ID情報送信機5から送信される屋内GPS信号を拡散している符号パターンである。符号パターンはGPS衛星3にはユニークに割当てられているが、ID情報送信機5においては重複もあり得る。
【0089】
階層(9310)は、ID情報から判断した近隣度であり、予め位置情報提供サーバに定義されている。また階層0とは、位置情報提供サーバ6が受信したID情報である。
【0090】
優先順位(9312)は、ID情報受信機1の行動履歴、近隣ID情報送信機データの階層に基づき決定する。最も簡素な方式としては、ID情報受信機の行動履歴から登録番号(9302)#0002のID送信機5−4は、前回受信したため、ID情報受信機1の進行方向には存在しないと推定し、優先順位を下げ、また今回受信した登録番号(9302)#0001のID送信機5−6は直前に受信したため、優先順位を下げるといったことが考えられる。
【0091】
なお、優先順位を用いることで、マルチパスの影響を最小限にすることが可能となる。基本的に近隣のID情報送信機の優先順位が高くなるように設定するため、マルチパスによる一時的なSNR増加による誤認識を防ぐことができ、より確実に正確なID情報送信機を補足できるようになる。
【0092】
図12はID情報受信機1が図11で示した優先順位リストを受信し、さらにID情報送信機5−7に向けて移動した場合、測位信号選定プログラム1218にて作成される送信機選定リストである。
【0093】
登録番号(9402)は、図9の登録番号(9302)と同じである。
【0094】
送信機ID(9404)は、図9の送信機ID(9304)と同じである。
【0095】
優先順位(9406)は、図9の優先順位(9306)と同じである。
【0096】
閾値信号強度(9408)は、ID情報送信機5の屋内GPS信号をデコードするタイミングを表しており、優先順位により定められる。ここでは信号強度の単位としてSNR(Signal to Noise Ratio)を用いている。
【0097】
例えば、優先順位1のID情報送信機5の場合、屋内GPS信号の信号の強度が35以上であれば、ID情報受信機1は当該ID情報送信機5を選定し、デコードを開始することを意味している。
【0098】
信号強度(9410)は、現時点での信号の強度である。ハイフンはID情報送信機5から送信される屋内GPS信号を捕捉出来なかったことを意味する。本実施例によれば、デコードするタイミングを満たしているのは、登録番号(9402)#0001、#0003、#0004となる。複数のID情報送信機5が条件を満たしている場合には、優先順位が高い方を選定し、さらに優先順位も同じ場合には、信号の強度が高い方を選定する。すなわち、選定されるのは登録番号(9402)#0003のID情報送信機5−7となる。
【0099】
図13はID情報受信機1の所有者1−1が屋外から屋内に移動する様子を示すシーケンス図である。なお、現時点でID情報受信機1の電源は入っておらず、屋外にてGPS測位を開始し、図9記載のID情報送信機5−8を経由し、ID情報送信機5−1に向かって移動するものとする。
【0100】
ID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220はGPS測位を開始したと同時にアシストサーバ4に対して、アシストデータの送付を要求(9502)し、アシストサーバ4から送付されるアシストデータを受信(9504)する。
【0101】
また衛星測位信号監視プログラム1224から送付されるGPS衛星3から発信されるGPS信号の捕捉数を受信(9506)し、ID情報受信機の位置を算出可能な4つ以上であれば、各々の到着時間に基づいてID情報受信機の位置を算出(9508)する。
【0102】
仮に4つ未満のGPS衛星3しか捕捉できない場合、サーバ切替管理プログラム1220はチャンネル割当プログラム1222に対して、ID情報送信機5に割当てられる全ての符号パターンを送付し、屋内GPS測位を開始する。なお、この場合、ID情報受信機1の初期位置が判断つかず、位置情報提供サーバ6の優先順位リストは使用できないため、ID情報送信機5の選定は信号の強度のみで実施する。
【0103】
またID情報受信機がID情報送信機5−8に近づくと、ID情報受信機1の測位信号選定プログラム1218は屋内外境界付近に設置されているID情報送信機5−8を選定し、符合パターントリガプログラム1226に対して、ID情報送信機5−8の符号パターン(屋内監視用符号パターン)を送付する。なお、屋外から屋内へ移動する場合、ID情報受信機1に設定されている符号パターンは屋内監視用符号パターンのみであるため、測位信号選定プログラム1218により、その他のID情報送信機が選定されることはない。
【0104】
さらにID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220は、符合パターントリガプログラム1226から屋内監視用符号パターントリガの通知を受信(9510)すると、再度、(9508)と同様の処理を実行する。ここで、4つ未満のGPS衛星3しか捕捉できない場合には、サーバ切替管理プログラム1220はID情報受信機1が屋内に入ったと判断し、ID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220は位置情報提供サーバ6に対して、ID情報送信機5−8から受信したID情報およびID情報受信機の固体番号を送付(9512)する。
【0105】
位置情報提供サーバ6の位置情報管理プログラム6810は、優先順位リストを作成(9513)し、ID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220に対して優先順位リストを送付(9514)する。
【0106】
本実施例によれば、ID情報送信機5−8のID情報から取得できる近隣ID情報送信機データの階層は、階層1としてID情報送信機5−1、階層2として5−2となる。
【0107】
さらにID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220は、チャンネル割当プログラム1222、測位信号選定プログラム1218に対して、優先順位リストを送付する。
【0108】
チャンネル割当プログラム1222は優先順位リストに基づき、チャンネルに割り当てる符号パターン、および中心周波数偏差をGPS信号処理ドライバ1206に送付(9516)する。
【0109】
測位信号選定プログラム1218は優先順位リストに基づき、各々の符号パターンの優先順位を保持し、送信機選定リストを作成(9517)する。
【0110】
ID情報受信機1の所有者1−1はID情報送信機5−1に向かい移動し、各々のID情報送信機5はセルの範囲内に屋内GPS信号を送信(9518)する。
【0111】
ID情報受信機1の測位信号選定プログラム1218は捕捉した屋内GPS信号の強度と送信機選定リストからID情報送信機5を選定(9520)する。
【0112】
図14は屋内でID情報受信機1の所有者1−1が屋内から屋外に移動する様子を示すシーケンス図である。なお、現時点でID情報受信機1は図9記載のID情報送信機5−5のID情報を受信しており、ID情報送信機5−10を経由し、屋外へ向かって移動するものとする。
【0113】
ID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220は位置情報提供サーバ6に対して、ID情報送信機5−5から受信したID情報およびID情報受信機の固体番号を送付(9602)する。
【0114】
位置情報提供サーバ6の位置情報管理プログラム6810は、優先順位リストを作成(9603)し、ID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220に対して優先順位リストを送付(9604)する。
【0115】
本実施例によれば、ID情報送信機5−5のID情報から取得できる近隣ID情報送信機データの階層は、階層1としてID情報送信機5−4、5−7、5−10、階層2として5−3、5−6、5−12となる。
【0116】
さらにID情報受信機1のサーバ切替管理プログラム1220は、チャンネル割当プログラム1222、測位信号選定プログラム1218に対して、優先順位リストを送付する。
【0117】
チャンネル割当プログラム1222は優先順位リストに基づき、チャンネルに割り当てる符号パターン、および中心周波数偏差をGPS信号処理ドライバ1206に送付(9606)する。
【0118】
測位信号選定プログラム1218は優先順位リストに基づき、各々の符号パターンの優先順位を保持し、送信機選定リストを作成(9607)する。
【0119】
さらにID情報受信機1は各々のID情報送信機の屋内GPS信号を捕捉(9608)し、測位信号選定プログラム1218にて作成された送信機選定リストに基づき、屋内GPS信号を選定(9610)する。また選定した屋内GPS信号の符号パターンを符合パターントリガプログラム1226に送付する。
【0120】
符号パターントリガプログラム1226は測位信号選定プログラム1218から送付された屋内GPS信号の符号パターンを受信し、エフェメリス送付用符号パターンである場合、サーバ切替管理プログラム1220に対して、屋内監視用符号パターントリガを通知(9612)する。
【0121】
サーバ切替管理プログラム1220はGPSアシストサーバ4に対して、GPSアシストデータの送付を要求(9614)し、GPSアシストサーバから送付されるGPSアシストデータを受信(9616)する。
【0122】
さらにサーバ切替管理プログラム1220は衛星測位信号監視プログラム1224から送付されるGPS衛星3のGPS信号の捕捉数を受信(9618)し、捕捉数が4つ以上であれば、位置情報提供サーバ6からGPSアシストサーバ4に切替え、GPS衛星3から発信されるGPS信号を捕捉(9620)し、各々の到着時間に基づいてID情報受信機の位置を算出する。また捕捉数が4つ未満であれば、屋内GPS測位を継続する。
【0123】
以上のように、本発明の実施形態によれば、ID情報送信機から送信される屋内GPS信号をID情報受信機で受信する場合において、位置情報提供サーバから当該ID情報受信機近隣に存在する1つ以上の当該ID情報送信機の符号パターン、および当該ID情報送信機の中心周波数偏差を送付されることにより、ID情報受信機のTTFFを短縮することが可能になる。
【0124】
また、捕捉した複数の当該ID情報送信機を選定する場合において、位置情報提供サーバから当該ID情報受信機近隣に存在する1つ以上の当該ID情報送信機の符号パターン、および当該ID情報送信機の中心周波数偏差を送付されることにより、ID情報送信機を選定することが可能になる。
【0125】
さらに、屋外から屋内、又は屋内から屋外を通過する場合において、屋内監視用符号パターンおよび/またはエフェメリス送付用符号パターンを用いることで、シームレスに屋内GPS信号とGPS信号を切替可能となる。
【符号の説明】
【0126】
ID情報受信機1、情報バスなどの内部通信線100、モニタコントローラ102、ディスプレイ104、音声入出力コントローラ106、マイク108、スピーカ110、キー入力コントローラ112、キー入力インターフェース114、CPU122、メモリ12、GPSレシーバモジュール116、GPSレシーバ118、ネットワーク接続コントローラ124、ネットワーク制御ドライバ1202、GPS信号処理ドライバ1206、ネットワーク通信管理ミドルウェア1204、GPS信号ミドルウェア1216、測位信号選定プログラム1218、衛星測位信号監視プログラム1224、サーバ切替管理プログラム1220、チャンネル割当プログラム1222、符号パターントリガプログラム1226、モニタ制御ドライバ1236、音声入出力制御ドライバ1232、キー入力制御ドライバ1230、ID情報受信機1の所有者1―1、ネットワーク2、GPS衛星3、GPSアシストサーバ4、ID情報送信機5、5−1、5−2、5−3、5−4、5−5、5−6,5−7,5−8、5−9、5−10、5−11、5−12、アナログ処理部501、搬送波生成部5014、変調回路5012、D/A変換器5016、電波送信器5017、デジタル処理部502、 不揮発メモリ5024、位置情報送信プログラム5026、個体データ情報5028、メモリ52、設定・表示インタフェースドライバ5212、シリアルインタフェースドライバ5214、外部記憶媒体インタフェースドライバ5216、CPU5022、設定・表示インタフェース508、シリアルインターフェース510、外部記憶媒体512、電源503、アンテナ5051、5052、クロック部506、無線送信用ドライバ5202、位置情報提供サーバ6、情報バスなどの内部通信線600、モニタコントローラ612、ディスプレイ620、入出力コントーラ614、キーボード616、マウス618、外部装置コントローラ610、ネットワーク接続コントローラ604、CPU606、メモリ68、ネットワーク制御ドライバ6802、通信管理プログラム6804、送受信用の通信キュー6806、6808、位置情報管理プログラム6810、近隣符号パターン提供プログラム6822、ID変換プログラム6820、中心周波数偏差提供プログラム6826、優先順位決定プログラム6824、データベース管理プログラム6816、プログラム起動・実行・停止プログラム6826、入出力処理ドライバ6812、モニタ制御処理ドライバ6814、信号の強度7、ID情報送信機5−1の信号の強度71−1、72−1、73−1、ID情報送信機5−2の信号の強度71−2、72−2,73−2、シーケンス、固体番号とID情報送信機のID情報転送(9102)、優先順位リスト作成(9106)、優先順位リストの送付(9106)、チャンネル割当(9108)、送信機選定リスト作成(9110)、屋内GPS信号送信(9112)、ID情報送信機の選定(9114)、登録番号(9302)、送信機ID(9304)、位置情報(9306)、中心周波数偏差(9307)、近隣符号パターン(9308)、階層(9310)、優先順位(9312)、登録番号(9402)、送信機ID(9404)、優先順位(9406)、閾値信号強度(9408)、信号強度(9410)、アシストデータ送付要求(9520)、アシストデータ送付(9504)、GPS信号送信(9506)、GPS衛星測位(9508)、屋内切替(9510)、固体番号とID情報送信機のID情報転送(9512)、優先順位リスト作成(9513)、優先順位リストの送付(9514)、チャンネル割当(9516)、送信機選定リスト作成(9517)、屋内GPS信号送信(9518)、ID情報送信機の選定(9520)、固体番号とID情報送信機のID情報転送(9602)、優先順位リスト作成(9603)、優先順位リストの送付(9604)、チャンネル割当(9606)、送信機選定リスト(9607)、屋内GPS信号送信(9608)、ID情報送信機の選定(9610)、屋外切替(9612)、アシストデータ送付要求(9614)、アシストデータ送付(9616)、GPS衛星測位(9618)、GPS信号送信(9620)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号送信機と、信号受信機と、位置情報提供サーバとを含む位置情報提供システムにおける位置情報取得方法であって、
前記信号受信機は、前記信号送信機から送信された前記信号送信機の識別情報を受信し、受信した前記識別情報を前記位置情報提供サーバへ送信し、
前記位置情報提供サーバは、前記信号受信機から送信された前記信号送信機の識別情報から前記信号送信機の近隣に存在する複数の信号送信機の符号パターン、周波数情報および優先順位を含む情報を前記信号受信機へ送信し、
前記信号受信機は、前記位置情報提供サーバから送信された優先順位、符号パターンまたは周波数を用いて前記近隣に存在する複数の信号送信機のうちの1つの信号送信機から信号を受信することを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項2】
請求項1記載の位置情報取得方法であって、
前記信号受信機は、前記信号送信機から送信される信号と測位衛星から送信される信号とを同時に受信可能な場合において、前記測位衛星の補足数が所定数未満である場合には前記信号送信機から送信される信号を用いて前記信号受信機の位置を測位し、前記測位衛星の補足数が所定数以上である場合には前記測位衛星から送信される信号を用いて前記信号受信機の位置を測位することを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の位置情報取得方法であって、
前記位置情報提供システムは、測位衛星から送信される信号を用いて前記信号受信機の位置を測位する場合に必要な情報を前記信号受信機に送信する測位衛星用位置情報提供サーバを更に備え、
前記信号受信機は、前記信号送信機から送信される信号を用いて測位する場合と前記測位衛星から送信される信号を用いて測位する場合とで、情報を受信するサーバを位置情報提供サーバと測位衛星用位置情報提供サーバとで切り替えることを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項4】
請求項1記載の位置情報取得方法であって、
前記位置情報提供サーバは、前記信号受信機の移動履歴を保持し、前記移動履歴に基づいて前記優先順位を決定することを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項5】
請求項1記載の位置情報取得方法であって、
前記信号受信機は、前記位置情報提供サーバから受信した周波数情報に含まれる中心周波数偏差に基づいて、前記選択された信号送信機から位置情報を受信する際に使用する周波数を設定することを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項6】
請求項1記載の位置情報取得方法であって、
前記信号受信機は、前記優先順位に応じて前記信号送信機から送信された情報のデコードタイミングを決定することを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか記載の位置情報取得方法であって、
前記信号送信機および前記近隣の信号送信機は、それぞれ異なる符号パターンで拡散された信号を送信することを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか記載の位置情報取得方法であって、
前記信号送信機は、屋内に設置された屋内GPS信号送信機であることを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項9】
信号送信機と、信号受信機と、位置情報提供サーバとを含む位置情報提供システムであって、
前記信号受信機は、前記信号送信機から送信された前記信号送信機の識別情報を受信し、受信した前記識別情報を前記位置情報提供サーバへ送信し、
前記位置情報提供サーバは、前記信号受信機から送信された前記信号送信機の識別情報から前記信号送信機および前記信号送信機の近隣に存在する信号送信機の符号パターン、周波数情報および優先順位を含む情報を前記信号受信機へ送信し、
前記信号受信機は、前記位置情報提供サーバから送信された優先順位、符号パターンまたは周波数を用いて前記近隣に存在する複数の信号送信機のうちの1つの信号送信機から信号を受信することを特徴とする位置情報取得システム。
【請求項10】
信号送信機と、信号受信機と、位置情報提供サーバとを含む位置情報提供システムにおける位置情報提供サーバであって、
前記サーバは、前記信号受信機と通信する通信部と、プログラムを格納する記憶部と、前記通信部と前記記憶部を制御するとともに前記プログラムを実行する演算部と、を備え、
前記通信部は、前記信号受信機から送信された信号送信機の識別情報を受信し、
前記演算部は、前記受信した信号送信機の識別情報から前記信号送信機および前記信号送信機の近隣に存在する信号送信機の優先順位を算出し、
前記通信部は、前記信号送信機および前記信号送信機の近隣に存在する信号送信機の符号パターン、周波数情報および優先順位を含む情報を前記信号受信機へ送信することを特徴とする位置情報提供サーバ。
【請求項1】
信号送信機と、信号受信機と、位置情報提供サーバとを含む位置情報提供システムにおける位置情報取得方法であって、
前記信号受信機は、前記信号送信機から送信された前記信号送信機の識別情報を受信し、受信した前記識別情報を前記位置情報提供サーバへ送信し、
前記位置情報提供サーバは、前記信号受信機から送信された前記信号送信機の識別情報から前記信号送信機の近隣に存在する複数の信号送信機の符号パターン、周波数情報および優先順位を含む情報を前記信号受信機へ送信し、
前記信号受信機は、前記位置情報提供サーバから送信された優先順位、符号パターンまたは周波数を用いて前記近隣に存在する複数の信号送信機のうちの1つの信号送信機から信号を受信することを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項2】
請求項1記載の位置情報取得方法であって、
前記信号受信機は、前記信号送信機から送信される信号と測位衛星から送信される信号とを同時に受信可能な場合において、前記測位衛星の補足数が所定数未満である場合には前記信号送信機から送信される信号を用いて前記信号受信機の位置を測位し、前記測位衛星の補足数が所定数以上である場合には前記測位衛星から送信される信号を用いて前記信号受信機の位置を測位することを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の位置情報取得方法であって、
前記位置情報提供システムは、測位衛星から送信される信号を用いて前記信号受信機の位置を測位する場合に必要な情報を前記信号受信機に送信する測位衛星用位置情報提供サーバを更に備え、
前記信号受信機は、前記信号送信機から送信される信号を用いて測位する場合と前記測位衛星から送信される信号を用いて測位する場合とで、情報を受信するサーバを位置情報提供サーバと測位衛星用位置情報提供サーバとで切り替えることを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項4】
請求項1記載の位置情報取得方法であって、
前記位置情報提供サーバは、前記信号受信機の移動履歴を保持し、前記移動履歴に基づいて前記優先順位を決定することを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項5】
請求項1記載の位置情報取得方法であって、
前記信号受信機は、前記位置情報提供サーバから受信した周波数情報に含まれる中心周波数偏差に基づいて、前記選択された信号送信機から位置情報を受信する際に使用する周波数を設定することを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項6】
請求項1記載の位置情報取得方法であって、
前記信号受信機は、前記優先順位に応じて前記信号送信機から送信された情報のデコードタイミングを決定することを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか記載の位置情報取得方法であって、
前記信号送信機および前記近隣の信号送信機は、それぞれ異なる符号パターンで拡散された信号を送信することを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか記載の位置情報取得方法であって、
前記信号送信機は、屋内に設置された屋内GPS信号送信機であることを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項9】
信号送信機と、信号受信機と、位置情報提供サーバとを含む位置情報提供システムであって、
前記信号受信機は、前記信号送信機から送信された前記信号送信機の識別情報を受信し、受信した前記識別情報を前記位置情報提供サーバへ送信し、
前記位置情報提供サーバは、前記信号受信機から送信された前記信号送信機の識別情報から前記信号送信機および前記信号送信機の近隣に存在する信号送信機の符号パターン、周波数情報および優先順位を含む情報を前記信号受信機へ送信し、
前記信号受信機は、前記位置情報提供サーバから送信された優先順位、符号パターンまたは周波数を用いて前記近隣に存在する複数の信号送信機のうちの1つの信号送信機から信号を受信することを特徴とする位置情報取得システム。
【請求項10】
信号送信機と、信号受信機と、位置情報提供サーバとを含む位置情報提供システムにおける位置情報提供サーバであって、
前記サーバは、前記信号受信機と通信する通信部と、プログラムを格納する記憶部と、前記通信部と前記記憶部を制御するとともに前記プログラムを実行する演算部と、を備え、
前記通信部は、前記信号受信機から送信された信号送信機の識別情報を受信し、
前記演算部は、前記受信した信号送信機の識別情報から前記信号送信機および前記信号送信機の近隣に存在する信号送信機の優先順位を算出し、
前記通信部は、前記信号送信機および前記信号送信機の近隣に存在する信号送信機の符号パターン、周波数情報および優先順位を含む情報を前記信号受信機へ送信することを特徴とする位置情報提供サーバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−271206(P2010−271206A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123700(P2009−123700)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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