説明

低公害焼却制御装置

【課題】従来のCO・O2または温度に加え、炉内圧力、煤煙濃度、また排ガス温度等の要因を検知し制御することにより、反応を極めて高速化でき全ての要因が最適な状態となるよう、きめ細かな燃焼制御が達成でき極めて低公害で焼却する焼却処理装置を提供する

【解決手段】被焼却投入物を過剰な空気を供給し焼却する燃焼物焼却炉から発生する排ガスを炉内温度、炉内圧力、煤煙濃度、排ガス温度等を検知し排ガス燃焼用バーナーと排ガス消煙用バーナーで燃焼しながら高温度を保持しつつ、排ガス冷却塔で低温度に急速冷却した後、必要によってはさらに排ガス浄化塔を経て排ガス用煙突から放出する焼却処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家庭から捨てられる紙屑や木屑などの一般廃棄物、生産工場や建設現場から捨てられるゴム屑や発砲スチロールや廃プラスチックなどの産業廃棄物あるいはこれらを混合する燃焼性廃棄物を焼却する場合に、煤煙や臭気や有害物質の排出を低減し、低公害で焼却する焼却制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本は、輸入資源を加工し、紙製品、木造製品、プラスチック製品など多くの種類の製品を多量に生産している。また使われなくなった不用の製品は紙屑、木屑、ゴム屑や廃プラスチック類などの廃棄物が廃棄される。また近年、経済社会が資源循環へと徐々に移行する中で、全国自治体が所有する廃棄物処理施設の高機能化や廃棄物処理企業の出現によって、産業廃棄物から再生製品に産まれ変わる商品の種類も多い。しかしながら、産業廃棄物の再生処理コストが廃棄コストよりも割高な理由から、その大半が焼却炉で焼却処理されるのが現状である。
【0003】
焼却処理には、多くの種類の焼却方法や焼却装置が開発されまた多く使用されている。例えば実開平7−2721号公報の「水を収容する隔壁構造からなる産業廃棄物焼却室の燃焼排ガス出口に、斜上向状のノズル孔を周壁面に多数穿設した燃焼用空気供給パイプを内設した立設二次燃焼構造の煙突を設けた消煙焼却炉」や実登第3070256号公報の「炉体の内部にロストルその上側に多数の空気噴射孔を穿設した燃焼空気供給管を架設しかつ上方側に焼却物投入用扉また下方側に灰取出用扉を設けた焼却炉に、排ガス昇温用バーナーを設けた排気筒さらに煙突を兼ねかつ空気噴射孔を穿設した燃焼用空気供給管を内設した排ガス燃焼筒を連接した小型焼却炉」など多くの種類の焼却炉が開発されている。また廃棄物を完全燃焼させるための燃焼制御手段を備えた焼却物制御装置も開発されている。例えば、特開平10−2532号公報では「焼却炉から排出する排ガスの流量と抽出する熱分解ガスの流量と熱分解ガス質検出手段によって求めた該熱分解ガスを完全燃焼させるために必要とする空気の量を元に焼却炉の下流側で発生した熱分解ガスを完全燃焼するために必要な空気量を計算する手段を有する焼却物制御装置」、特開2003−194320号公報では「廃棄物を燃焼させて可燃性ガスを発生させるガス化炉の炉内温度や可燃性ガスの燃焼温度や圧力を測定し、廃棄物の異常燃焼で所定温度以上に上昇したときまた所定温度以下になったとき該ガス化炉への酸素供給量を適正量に制御する手段と、圧力を安定制御され得る所定量まで減少させる圧力を制御する手段を備えた焼却処理装置」などがある。これらいずれの焼却炉も、産業廃棄物の完全燃焼を図る焼却処理装置である。
【特許文献1】実開平7−2721号公報
【特許文献2】実登第3070256号公報
【特許文献3】特開平10−2532号公報
【特許文献4】特開2003−194320号公報
【0004】
しかしながら、前記した実開平7−2721号公報や実登第3070256号公報で開示された焼却炉は小型であっても、焼却能力以上の過剰な容量の焼却物を投入した場合に燻り始め煤煙や臭気を大量に排出する事から、廃棄物を適正量内で焼却し、かつ完全燃焼の手段を講じた焼却処理装置の開発が望まれている。また特開平10−2532号公報は紙屑や段ボールなどの一般廃棄物またゴム屑や廃プラスチックなどの産業廃棄物など燃焼カロリーの異なる諸々の廃棄物を完全燃焼させる焼却処理装置であるが、二酸化炭素やメタンや亜酸化窒素など温暖化ガスの排出削減目標と排出権市場取引を定めた京都議定書に対し、焼却技術の開発事業を営む各企業も、廃棄物を完全燃焼させるに止まらず、煤煙処理から煤煙に混じって排出されるダイオキシンや一酸化炭素やその他未燃焼ガスまで自動制御技術を駆使し、地球温暖化対策と環境公害対策から取り組んだ焼却処理装置の開発が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、生産工場あるいは一企業内で廃出する燃焼性の一般廃棄物または産業廃棄物あるいはこれらを混合する廃棄物が燃焼した際に、発生する煤煙や臭気の大幅な抑制と排ガス中に含まれるダイオキシン類の発生と再合成を抑制する焼却方法の探索を目的に
多くの実験を試みた結果、焼却物を完全に灰化し、焼却過程で発生する排ガスも無害化する低公害焼却処理装置を完成し出願した。さらに本発明は、炉内圧や煤煙濃度などで常に焼却状況を把握しながら焼却炉内に投入された焼却物あるいは該焼却炉内から排出される排ガスが完全燃焼するに必要な量の燃料や空気を自動的に送給し、さらに排ガスをダイオキシン類再合成抑制域に急速冷却するなど、効率的に低公害焼却を行う低公害焼却制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨とは、炉内に架設された被焼却物受載ロストル上の被焼却投入物を燃焼し焼却する焼却炉に排ガス燃焼炉と排ガス消煙炉と排ガス冷却塔さらに排ガス用煙突を接続する低公害焼却装置において、焼却炉には被焼却物受載ロストルを介して上下室に二分する上室側の燃焼室には炉内温度計の炉内検出温度を変換した炉内温度検出電流信号と予め設定した炉内温度調節計の炉内設定温度を変換した設定電流信号を比較する炉内温度演算制御装置の炉内温度偏差出力信号で燃焼用燃料を噴射するオン・オフ制御回路の被焼却物燃焼用バーナーさらに炉内圧力計の炉内検出圧力を変換した炉内圧力検出電流信号と予め設定した炉内圧力調節計の炉内設定圧力を変換した設定電流信号を比較する炉内圧力演算制御装置の炉内圧力偏差出力信号で被焼却物投入ドアを開閉する制御の被焼却物投入ホッパーを設けさらに前記した炉内温度演算制御回路の炉内温度偏差出力信号の高出力さらに前記した炉内圧力演算制御装置の炉内圧力偏差出力信号の高出力さらにまた後延する排ガス燃焼炉の燃焼排ガス流出側に配置した炉内煤煙濃度計の煤煙検出濃度を変換した煤煙検出電流信号と予め設定した煤煙濃度調節計の煤煙設定濃度を変換した煤煙濃度検出電流信号を比較する煤煙濃度演算制御装置の煤煙濃度偏差出力信号の高出力さらに後延する排ガス冷却塔の冷却排ガス温度演算制御装置の冷却排ガス温度偏差出力信号で被焼却物受載ロストル上の被焼却物に水噴霧するオン・オフ制御回路の水噴霧ノズルを設けると共に上室側の燃焼室および下室側の灰落とし室の周囲から被焼却物受載ロストル上の被焼却物に空気を噴射するノズル孔を穿設したノズルパイプを設けかつ該ノズルパイプに前記した炉内圧力演算制御装置の炉内圧力偏差電流出力信号と煤煙濃度演算制御装置の煤煙濃度偏差電流出力信号、さらに冷却排ガス温度演算制御装置の排ガス温度偏差出力信号の高出力で空気供給量を制御する開閉度調整可能な投入物燃焼用空気の供給量調整ダンパーを介して接続した被焼却物燃焼用空気供給ブロワーを備え、排ガス燃焼炉には排ガス流入側に前記した燃焼室の炉内温度偏差出力信号で排ガス燃焼用燃料を噴出する制御回路の排ガス燃焼用バーナーまた排ガス流出側に排ガス燃焼用空気供給ブロワーを備え、排ガス消煙炉には前記した排ガス燃焼炉に設けた煤煙濃度演算制御装置の煤煙濃度偏差電流出力信号で排ガス中の未燃焼ガスを燃焼させる燃焼用火力を制御する回路の排ガス消煙用バーナーを備え、排ガス冷却塔には通過中に冷却された排ガス流出側の排ガス温度計の排ガス検出温度を変換した冷却排ガス温度検出電流信号と予め設定した冷却排ガス温度調節計の冷却排ガス設定温度を変換した冷却排ガス設定電流信号を比較する冷却排ガス温度演算制御装置の冷却排ガス偏差電流出力信号で冷却用空気を供給する制御回路の冷却用空気ブロワーを備え、排ガス用煙突には排ガス流入側に前記した燃焼室の炉内検出圧をPID回路で送風力を制御するガス誘引送風機を備えて構成した事を特徴とする低公害焼却制御装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の低公害焼却制御装置は、一般廃棄物や産業廃棄物あるいはこれらを混合する廃棄物を、完全に灰化する。特に焼却過程で生成する排ガスは燃え尽きるまで繰り返し高温度で燃焼するため無臭で低公害化し、また排ガス中に含まれるダイオキシン類や煤煙まで厳しい管理の元で処理される。また廃棄物投入から焼却後の灰出しまで自動制御で操業されるため人手に頼る事が少なく、安全でかつ安価な焼却コストで操業できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の低公害焼却制御装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明における低公害焼却装置の一実施例で各装置の配置状態を示し、図2は本発明における焼却制御回路の一実施例を示す。図1において、1は低公害焼却装置で焼却炉2に排ガス燃焼炉6と排ガス消煙炉7と排ガス冷却塔8、さらに排ガス用煙突9を接続して構成されている。焼却炉2は、耐火製窯の炉内に架設された被焼却物受載ロストル3に介して上下室に二分する上室側の燃焼室11に被焼却物投入ホッパー4から投入された紙屑や木屑などの一般廃棄物ゴム屑や発砲スチロールや廃プラスチックなどの産業廃棄物あるいはこれらを混合する燃焼性の被焼却投入物5を燃焼し焼却する。残った焼却灰を下室側の灰落とし室35に設けた排出口(図示せず)から廃棄する構造に構成されている。
6は排ガス燃焼炉で、燃焼室11の排ガス出口側に付設され、燃焼室11で発生し上昇する排ガス中に含まれる未燃焼ガスを燃焼する炉である。7は、排ガス消煙炉である。排ガス消煙炉7は、排ガス燃焼炉6から排出される排ガス中に含まれる黒煙や煤煙や異臭などを発生する有害成分を燃焼する炉である。8は排ガス冷却塔である。排ガス冷却塔8は、排ガス消煙炉7の排ガス排出側に接続され、該排ガス冷却塔8を流れる排ガス中に含まれるダイオキシン類の低温再合成を抑制し、ダイオキシン類による大気や水質や土壌の汚染を低減化する排ガス急速冷却機能を有する装置である。低温度に急速冷却され汚染防止された排ガスは、排ガス用煙突9から大気中に放出される。すなわち、本発明における低公害焼却処理装置1は、被焼却物投入ホッパー4から燃焼室11の被焼却物受載ロストル3上に投入された一般廃棄物、産業廃棄物やこれらが混在する燃焼性の被焼却投入物5を燃焼し焼却すると共に、燃焼室11で発生した排ガスを排ガス燃焼炉6と排ガス消煙炉7と排ガス冷却塔8を経て排ガス用煙突9にまたは排ガス冷却塔8から排ガス浄化塔10を迂回して排ガス用煙突9に流れる様に、各種の炉と塔を被焼却投入物5の焼却と排ガスの流通路に沿って一連状に接続する構造に設けられている。尚、本発明において排ガス浄化塔10は、消石灰をコーティングしたフィルターで排ガス中に含まれる極少量のNox、Sox、ダイオキシン類などの有害物を吸着除去する装置で必要に応じて排ガス冷却塔8と排ガス用煙突9の間に設けてもよい。
【0009】
さらに本発明においては、上記した構造の低公害焼却処理装置には、図2で示す様な焼却制御回路が付設されている。本発明における焼却制御回路について、図1を参照しながら、図2に基づいて詳細に説明する。焼却炉2には被焼却物受載ロストル3を介して上下室に二分し、上室側の燃焼室11には任意な位置に設けた炉内温度計12の炉内検出温度を変換した炉内温度検出電流信号13と予め設定した炉内温度調節計14の炉内設定温度を変換した炉内温度設定電流信号15を比較する炉内温度演算制御装置16の炉内温度偏差出力信号17で可燃性ガスまたは液体燃料あるいはこれら燃料を混合した燃料で着火するオン・オフ制御回路の被焼却物燃焼用バーナー18が設けられている。被焼却物燃焼用バーナー18のオン・オフ制御は、制御操作量0%と100%の間を行ったり来たりする制御で実際の目標値に対し、行き過ぎを繰り返す。しかし、ここでは多少の温度の変化は
重要ではない為に、オン・オフ制御とした。つまり、被焼却物受載ロストル3で燃焼し焼却される被焼却投入物5の燃焼状況を炉内温度計12で検知しながら、設定温度よりも低い場合は被焼却物燃焼用バーナー18を着火し焼却物を燃焼する構造に設けられている。19は炉内圧力計で、燃焼室11の上室側または任意な位置に設けられている。炉内圧力計19の炉内検出圧力を変換した炉内圧力検出電流信号20と予め設定した炉内圧力調節計21の炉内設定圧力を変換した炉内圧力検出電流信号22を比較する炉内圧力演算制御装置23の炉内圧力偏差出力信号24で、被焼却物投入ドア26を開閉する。その上部に制御回路の被焼却物投入ホッパー4が設けられている。さらに前記した炉内温度演算制御装置16の炉内温度偏差出力信号17の高出力と前記した炉内圧力演算制御装置23の炉内圧力偏差出力信号24の高出力と後延する排ガス燃焼炉6の排ガス流出側に配置した炉内煤煙濃度計27の煤煙検出濃度を変換した煤煙検出電流信号28と予め設定した煤煙濃度調節計29の煤煙設定濃度を変換した煤煙濃度検出電流信号30を比較する煤煙濃度演算制御装置31の煤煙濃度偏差出力信号32の高出力と排ガス冷却塔8の冷却排ガス温度演算制御装置47の冷却排ガス温度偏差出力信号48の高出力の四回路で被焼却物受載ロストル3上の被焼却投入物5に水噴霧するオン・オフ制御回路の水噴霧ノズル34を設けている。水噴霧ノズル34のオン・オフ制御は、瞬時の高出力信号が出た場合のみ水噴霧を行う為、オン・オフ制御とした。水噴霧ノズル34は、焼却炉2で焼却される被焼却投入物5の異常燃焼で過剰に上昇する炉内温度や炉内圧や黒煙が原因で起こる火災や災害さらには環境汚染化を未然に防止するための装置で、水やミストを散布するノズルである。また上室側の燃焼室11と下室側の灰落とし室35には被焼却物受載ロストル3上の被焼却投入物5あるいはその周囲に空気を噴射するノズル孔36を穿設したノズルパイプ37を設け、かつノズルパイプ37には前記した炉内圧力演算制御装置23の炉内圧力偏差電流出力信号25と煤煙濃度演算制御装置31の煤煙濃度偏差電流出力信号33、さらに冷却排ガス温度演算制御装置47の冷却排ガス温度偏差出力信号48の高出力で空気供給量を制御する開閉度調整可能な投入物燃焼用空気の供給量調整ダンパー38を介して接続した被焼却物燃焼用空気供給ブロワー39が設けられている。すなわち、被焼却物燃焼用空気供給ブロワー39は、被焼却投入物5を過給気状態の空気比で燃焼し焼却させる事により、被焼却投入物5の完全灰化をもたらす作用効果を奏する。
【0010】
焼却炉2の排ガス流出側に接続する排ガス燃焼炉6には、前記した燃焼室11の炉内温度演算制御装置16の炉内温度偏差出力信号17で排ガス燃焼用燃料を噴出する制御回路の排ガス燃焼用バーナー40を排ガス流入側に排ガス燃焼用空気供給ブロワー41を排ガス流出側に設けている。すなわち、本発明における排ガス燃焼炉6に燃焼室11の炉内温度に同様な制御回路で連動する排ガス燃焼用バーナー40や排ガス燃焼用空気供給ブロワー41を設ける事によって、排ガスの無公害化を一層強める効果がある。尚本発明においては、排ガス燃焼用バーナー40の制御回路は火炎を調整する多段階制御としている。さらに、排ガス消煙炉7には、排ガス中の不完全燃焼ガスから発生する黒煙や煤煙などを温度降下させてガス組成が変成させる事がない様に、排ガス燃焼炉6の煤煙濃度演算制御装置31の煤煙濃度偏差電流出力信号33に連動する制御の排ガス消煙用バーナー42が設けられている。また排ガス冷却塔8は排ガス中に含まれるダイオキシン類の低温再合成を抑制する急速冷却速度の必要性から、通過中に冷却された排ガス流出側の排ガス温度計43の排ガス検出温度を変換した冷却排ガス温度検出電流信号44と予め設定した冷却排ガス温度調節計45の冷却排ガス設定温度を変換した冷却排ガス設定電流信号46を比較する冷却排ガス温度演算制御装置47の冷却排ガス偏差電流出力信号49で冷却空気を供給制御回路の冷却用空気ブロワー50を設けている。さらにまた排ガス用煙突9の排ガス流入側には、前記した燃焼室11に設けた炉内圧力計19の炉内検出圧力を変換した炉内圧力検出電流信号20と予め設定した炉内圧力調節計21のPID回路で送風力を制御するガス誘引送風機51を設けている。本発明において炉内検出圧力のPID回路(比例+積分+微分動作)でガス誘引送風機51を制御する事は、比例制御で操作量を目標値と現在値との差に比例した大きさとするようにして徐々に調節し、比例制御で制御できない誤差(残留偏差)を積分制御で時間的に累積し、ある大きさになった所で操作量を増して偏差を無くすように動作し微分制御で急激に起きる炉内圧力の変化に対し、偏差を見て前回との差が大きい時には思い切って操作量を多くし機敏に反応する制御としている。ガス誘引送風機51で炉内圧力を一定に保つ事により、被焼却投入物5の燃焼を助け排ガスの発生を抑える効果がある。また、炉内圧力をマイナス圧力に保つことにより火災を防ぐ事が可能である。
【0011】
上記の様に構成された本発明の低公害焼却制御装置は、これまでの実験から得られた結果に基づき予め温度と圧力と排煙濃度に、図2に示す焼却制御回路に基づきながら焼却炉2の被焼却物受載ロストル3に被焼却物投入ホッパー4から投入された紙屑や木屑などの被焼却投入物5に、被焼却物燃焼用空気供給ブロワー39から空気を供給しながら、被焼却物燃焼用バーナー18から噴射される火炎で燃焼し焼却する。被焼却投入物5の燃焼と焼却で発生し上昇する排ガスは、排ガス燃焼炉6に達し排ガス燃焼用空気供給ブロワー41から空気を供給しながら排ガス燃焼用バーナー40から噴射される火炎で燃焼し焼却される。さらに排ガス消煙炉7には、排ガスの不完全燃焼ガスから発生する黒煙や煤煙などを排ガス消煙用バーナー42から噴射される火炎で燃焼し焼却する。排ガス消煙用バーナー42で焼却された排ガス中に含まれるダイオキシン類の低温再合成を抑制する為に、排ガス冷却塔8に冷却用空気ブロワー50から空気を供給している。排ガス用煙突9には排ガス流入側に炉内圧力を制御するガス誘引送風機51で排ガスを誘引して排ガス用煙突9から放出する。前記した操作は運転から停止まで自動で行う事ができる為、経験豊富な作業員でなくても容易かつ安全に操作ができる完全自動型焼却装置である。
【産業上の利用可能性】
【0012】
国内外における産業廃棄物処理や、離島・僻地の町村における一般ごみ処理は、大きな環境問題として日々報じられている。特に、一般廃棄物の処理問題を抱える小規模自治体や産廃処理業者においては高性能焼却設備の開発を強く望んでいる。経験豊富な作業員確保が困難な小規模離島や過疎地域においては、低燃料費で完全自動型の焼却施設の開発装置は火急の課題であり、都市部の産廃処理業者においても、より高性能な完全自動型中型焼却設備のニーズは高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の低公害焼却制御装置における各装置の配置状況の一実施例を示す。
【図2】本発明の低公害焼却制御装置における焼却制御回路図を示す。
【符号の説明】
【0014】
1 低公害焼却装置
2 焼却炉
3 被焼却物受載ロストル
4 被焼却物投入ホッパー
5 被焼却投入物
6 排ガス燃焼炉
7 排ガス消煙炉
8 排ガス冷却塔
9 排ガス用煙突
10 排ガス浄化塔
11 燃焼室
12 炉内温度計
13 炉内温度検出電流信号
14 炉内温度調節計
15 炉内温度設定電流信号
16 炉内温度演算制御装置
17 炉内温度偏差出力信号
18 被焼却物燃焼用バーナー
19 炉内圧力計
20 炉内圧力検出電流信号
21 炉内圧力調節計
22 炉内圧力検出電流信号
23 炉内圧力演算制御装置
24 炉内圧力偏差出力信号
25 炉内圧力偏差電流出力信号
26 被焼却物投入ドア
27 炉内煤煙濃度計
28 煤煙検出電流信号
29 煤煙濃度調節計
30 煤煙濃度検出電流信号
31 煤煙濃度演算制御装置
32 煤煙濃度偏差出力信号
33 煤煙濃度偏差電流出力信号
34 水噴霧ノズル
35 灰落とし室
36 ノズル孔
37 ノズルパイプ
38 投入物燃焼用空気の供給量調整ダンパー
39 被焼却物燃焼用空気供給ブロワー
40 排ガス燃焼用バーナー
41 排ガス燃焼用空気供給ブロワー
42 排ガス消煙用バーナー
43 排ガス温度計
44 冷却排ガス温度検出電流信号
45 冷却排ガス温度調節計
46 冷却排ガス設定電流信号
47 冷却排ガス温度演算制御装置
48 冷却排ガス温度偏差出力信号
49 冷却排ガス偏差電流出力信号
50 冷却用空気ブロワー
51 ガス誘引送風機














【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉内に架設された被焼却物受載ロストル上の被焼却投入物を燃焼し焼却する焼却炉に排ガス燃焼炉と排ガス消煙炉と排ガス冷却塔さらに排ガス用煙突を接続する低公害焼却装置において、焼却炉には被焼却物受載ロストルを介して上下室に二分する上室側の燃焼室には炉内温度計の炉内検出温度を変換した炉内温度検出電流信号と予め設定した炉内温度調節計の炉内設定温度を変換した設定電流信号を比較する炉内温度演算制御装置の炉内温度偏差出力信号で燃焼用燃料を噴射するオン・オフ制御回路の被焼却物燃焼用バーナーさらに炉内圧力計の炉内検出圧力を変換した炉内圧力検出電流信号と予め設定した炉内圧力調節計の炉内設定圧力を変換した設定電流信号を比較する炉内圧力演算制御装置の炉内圧力偏差出力信号で被焼却物投入ドアを開閉する制御の被焼却物投入ホッパーを設けさらに前記した炉内温度演算制御回路の炉内温度偏差出力信号の高出力さらに前記した炉内圧力演算制御装置の炉内圧力偏差出力信号の高出力さらにまた後延する排ガス燃焼炉の燃焼排ガス流出側に配置した炉内煤煙濃度計の煤煙検出濃度を変換した煤煙検出電流信号と予め設定した煤煙濃度調節計の煤煙設定濃度を変換した煤煙濃度検出電流信号を比較する煤煙濃度演算制御装置の煤煙濃度偏差出力信号の高出力さらに後延する排ガス冷却塔の冷却排ガス温度演算制御装置の冷却排ガス温度偏差出力信号で被焼却物受載ロストル上の被焼却物に水噴霧するオン・オフ制御回路の水噴霧ノズルを設けると共に上室側の燃焼室および下室側の灰落とし室の周囲から被焼却物受載ロストル上の被焼却物に空気を噴射するノズル孔を穿設したノズルパイプを設けかつ該ノズルパイプに前記した炉内圧力演算制御装置の炉内圧力偏差電流出力信号と煤煙濃度演算制御装置の煤煙濃度偏差電流出力信号、さらに冷却排ガス温度演算制御装置の排ガス温度偏差出力信号の高出力で空気供給量を制御する開閉度調整可能な投入物燃焼用空気の供給量調整ダンパーを介して接続した被焼却物燃焼用空気供給ブロワーを備え、排ガス燃焼炉には排ガス流入側に前記した燃焼室の炉内温度偏差出力信号で排ガス燃焼用燃料を噴出する制御回路の排ガス燃焼用バーナーまた排ガス流出側に排ガス燃焼用空気供給ブロワーを備え、排ガス消煙炉には前記した排ガス燃焼炉に設けた煤煙濃度演算制御装置の煤煙濃度偏差電流出力信号で排ガス中の未燃焼ガスを燃焼させる燃焼用火力を制御する回路の排ガス消煙用バーナーを備え、排ガス冷却塔には通過中に冷却された排ガス流出側の排ガス温度計の排ガス検出温度を変換した冷却排ガス温
度検出電流信号と予め設定した冷却排ガス温度調節計の冷却排ガス設定温度を変換した冷却排ガス設定電流信号を比較する冷却排ガス温度演算制御装置の冷却排ガス偏差電流出力信号で冷却用空気を供給する制御回路の冷却用空気ブロワーを備え、排ガス用煙突には排ガス流入側に前記した燃焼室の炉内検出圧をPID回路で送風力を制御するガス誘引送風機を備えて構成した事を特徴とする低公害焼却制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−89269(P2008−89269A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272881(P2006−272881)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(506336016)株式会社 大成電機製作所 (2)
【出願人】(303004989)
【Fターム(参考)】