説明

低損失DC/DCコンバータ

【課題】高いスイッチング周波数が使われる場合であっても、ゲート損失がシステムにおける電力分散に大きく寄与しないようなシステムを提供すること。
【解決手段】直流−直流コンバータは、第一および第二の制御端子における適切なターンオン電圧に応答して第一および第二の出力端子上に電圧を出力する第一および第二のスイッチを有している。第一の制御端子はN(N>2)個の異なる電圧に選択的に通じる。コンバータは、第一の制御端子と通じているマルチレベル制御部を有していてもよく、この制御部はN(N>2)個の異なる電圧を第一の制御端子に選択的に印加するN個のドライバを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流(DC/DC)コンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、共通に譲渡された2002年10月25日出願の「低損失DC/DCコンバータ」と題する米国仮特許出願第60/421,447号および米国特許出願第10/621,058号に基づく優先権を主張しており、ここに全体的にそれを援用する。
【0003】
いくつかの応用においてDC/DCコンバータは高スイッチング周波数で動作される。例えば、特定の負荷についての応答時間の要件を満足するためには、数十から数百メガヘルツのスイッチング周波数が必要である。しかしながら、スイッチング周波数が高くなると、ゲートスイッチングの損失によって分散される電力が許容できないレベルにまで増加することがある。
【0004】
図1に、「バック(buck)」構成として知られている降圧型の構成であるDC/DCコンバータ100を示す。パルス幅変調器(PWM)制御部110は、パワートランジスタを用いて実現されるpスイッチ120およびnスイッチ130を制御する。負荷140は、インダクタ150とコンデンサ160とを介してpスイッチ120およびnスイッチ130の出力と結合され得る。
【0005】
システム100は、いく通りもの方法で電力を分散させ得、それぞれの方法はシステムの効率を減少させる。例えば、オン状態のドレイン/ソース抵抗(Rds-onと呼ぶ)による抵抗損失がシステム効率を減少させる。Rds-onによる電力損失を減らすために、より大きなトランジスタが使用され得る。
しかしながら、より大きなトランジスタでは、ゲートとソースとの間の容量Cgsが増加する。そしてこれは、トランジスタのゲート損失と呼ばれるものを増加させる。容量Cgsの両端で周波数fで切り替えられる電圧Vに関して、ケーと損失は以下の式(1)で与えられる。
【数1】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
比較的低い周波数(例えば、100kHz程度のオーダーの周波数)では、ゲート損失はRds-onよりも極めて小さい。しかしより高いスイッチング周波数が使われると、ゲート損失はシステム100における電力分散に大きく寄与してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、概して、本発明の一形態においては、直流−直流コンバータは第一の制御端子でのターンオン電圧に応答して第一の出力端子上に第一の電圧を出力する第一のスイッチを有する。このコンバータはまた、第二の制御端子でのターンオン電圧に応答して、前記第一の出力端子と通じている第二の出力端子上に第二の電圧を出力する第二のスイッチを有してもよい。
【0008】
前記第一の制御端子はN(N>2)個の異なる電圧の一つに選択的に通じてもよい。前記第二の制御端子はM(M>1)個の異なる電圧の一つに選択的に通じてもよい。
【0009】
前記第一のスイッチおよび前記第二のスイッチは、例えば第一および第二のトランジスタを備えていてもよい。第一および第二の出力端子は、これら第一および第二のトランジスタの関連するドレインを備えており、第一および第二の制御端子は第一および第二のトランジスタの関連するゲートを備えている。
【0010】
前記コンバータはまた、前記第一の制御端子と通じている第一のマルチレベル制御部を備えていてもよい。この第一のマルチレベル制御部は、N(N>2)個のドライバを有していてもよく、n=1からn=Nまでのドライバのそれぞれは、前記第一の制御端子に異なる電圧Vnを選択的に印加することが可能である。N個のドライバは、第一の制御端子における電圧がこの異なる電圧に実質的につりあうのに十分な時間の間、この異なる電圧を選択的に印加することが可能であってもよい。
【0011】
前記コンバータはまた、前記第二の制御端子と通じている第二のマルチレベル制御部を備えていてもよい。前記第二のマルチレベル制御部はM(M>2)個のドライバを有していてもよく、m=1からm=Mまでのドライバのそれぞれは、前記第二の制御端子に前記M個の異なる電圧のうちの異なる電圧Vmを選択的に印加することが可能である。第一および第二のマルチレベル制御部は交互に第一のスイッチおよび第二のスイッチをオンさせることができてもよい。第一の出力端子および第二の出力端子は、例えばインダクタおよびコンデンサを介して負荷に通じていてもよい。
【0012】
一般的に、他の局面において、直流−直流コンバータは集積回路を有している。集積回路は第一の制御端子におけるターンオン電圧に応答して第一の出力端子上に第一の電圧を出力する第一のスイッチを有している。集積回路はまた、第二の制御端子におけるターンオン電圧に応答して第一の出力端子に通じている第二の出力端子上に第二の電圧を出力する第二のスイッチを有していてもよい。
【0013】
集積回路はまた、第一の制御端子に通じている第一のマルチレベル制御部を有していてもよい。第一のマルチレベル制御部は、N(N>2)個のドライバを有していてもよく、n=1からn=Nまでのドライバのそれぞれは第一の制御端子に異なる電圧Vnを選択的に印加することが可能であってもよい。N個のドライバの少なくとも一つは関連する容量を備えていてもよい。
【0014】
コンバータはまた、集積回路とは別にコンデンサを有していてもよく、このコンデンサの容量はN個のドライバの関連する容量に含まれる。このコンデンサはP個のコンデンサのうちの一つであってもよく、P個のコンデンサのそれぞれの容量はN個のドライバの少なくとも一つの関連する容量に含まれる。
【0015】
集積回路はまた、第二の制御端子に通じている第二のマルチレベル制御部を有していてもよい。第二のマルチレベル制御部は、M(M>2)個のドライバを有していてもよく、m=1からm=Mまでのドライバのそれぞれは第二の制御端子に異なる電圧Vmを選択的に印加することが可能であってもよい。
【0016】
一般的に、ある局面において、直流−直流コンバータは関連する制御端子におけるターンオン電圧に応答して関連する出力端子に電圧を出力するI個のスイッチを含む第一のスイッチアセンブリを備えていてもよく、関連する出力端子のそれぞれは負荷に電圧を出力するように構成された第一のスイッチアセンブリの出力端子に通じている。I個のスイッチのうちの一つ以上は、関連する制御端子に通じている関連するマルチレベル制御部を有していてもよい。関連するマルチレベル制御部のうちのi番目のものはN(i)個のドライバを有していてもよく、n(i)=1からn(i)=N(i)のドライバのそれぞれは関連する制御端子に異なる電圧Vn(i)を選択的に印加することが可能であり、N(i)はI個のスイッチの少なくとも一つに関しては2よりも大きい。
【0017】
コンバータはさらにJ個のスイッチを含む第二のスイッチアセンブリを備えていてもよい。J個のスイッチのそれぞれは関連する制御端子におけるターンオン電圧に応答して関連する出力端子上に電圧を出力することが可能であってもよい。関連する出力端子のそれぞれは第二のスイッチアセンブリ出力端子に通じていてもよい。第二のスイッチアセンブリ出力端子は第一のスイッチアセンブリ出力端子に通じていてもよい。
【0018】
J個のスイッチのうちの一つ以上は、関連する制御端子と通じている関連するマルチレベル制御部を有していてもよい。例えば、関連するマルチレベル制御部のj番目のものはN(j)個のドライバを有していてもよく、n(j)=1からn(j)=N(j)までのドライバのそれぞれは関連する制御端子に異なる電圧Vn(j)を選択的に印加することが可能であり、N(j)はJ個のスイッチの少なくとも一つに関しては2よりも大きい。
【0019】
一般的に、ある局面においては、方法は、I個のスイッチを有する第一のスイッチアセンブリの出力に第一の出力電圧を発生することと、J個のスイッチを有する第二のスイッチアセンブリの出力に第二の出力電圧を発生することとを交互に行うことを包含する。第一のスイッチアセンブリの出力は第二のスイッチアセンブリの出力と通じていてもよい。
【0020】
第一の出力電圧の発生は、第一のスイッチアセンブリをオンにすることを包含していてもよく、それはI個のスイッチのうちのi番目のスイッチの関連する制御端子に、n(i)=1からn(i)=N(i)までの異なる電圧Vn(i)を選択的に印加することを包含している。異なる電圧Vn(i)の選択的な印加は、i番目のスイッチがオフである電圧V1(i)を印加し、続いて中間電圧Vint(i)を印加し、続いてi番目のスイッチがオンである電圧VN(i)を印加することを包含しており、Vint(i)はV1(i)とVN(i)との間である。
【0021】
第二の出力電圧の発生は、第二のスイッチアセンブリをオンにすることを包含していてもよい。記第二のスイッチアセンブリをオンにすることは、J個のスイッチのうちのj番目のスイッチの関連する制御端子に、m(j)=1からm(j)=M(j)までの異なる電圧Vm(j)を選択的に印加することを包含していてもよい。異なる電圧Vn(i)の選択的な印加は、j番目のスイッチがオフである電圧V1(j)を印加し、続いて中間電圧Vint(j)を印加し、続いてj番目のスイッチがオンである電圧VM(j)を印加することを包含しており、Vint(j)はV1(j)とVM(j)との間である。
【0022】
この方法は、第一の出力電圧および第二の出力電圧をフィルタリングして略直流電圧を生成することをさらに包含していてもよい。略直流電圧は負荷に印加されてもよい。
【0023】
第一のスイッチアセンブリをオンにすることは、I個のスイッチのうちの複数のスイッチに順に電圧V2を選択的に印加することと、I個のスイッチのうちの複数のスイッチに電圧V3を印加することとを包含してもよい。この方法は、I個のスイッチのうちの少なくとも一つにV2を印加することと、I個のスイッチの異なる一つに同時にV3を印加することとを包含してもよい。
【0024】
一般的に、ある局面において、直流−直流コンバータは、この直流−直流コンバータのノードで第一の出力電圧を発生する手段を備えていてもよい。このコンバータはは、ノードにおいて第一の出力電圧と交互に第二の出力電圧を発生する手段をさらに備えていてもよい。第一の出力電圧を発生する手段は、I個のスイッチのうちのi番目のスイッチの制御端子にn=1からn=N(i)の異なる電圧を選択的に印加する手段を備えていてもよく、これらの異なる電圧は、i番目のスイッチがオフである電圧V1i、i番目のスイッチがオンである電圧VN(i)iおよびV1iとVN(i)iとの間である電圧Vint(i)を含む。
【0025】
一般的に、ある局面において、直流−直流コンバータは、第一の制御端子手段におけるターンオン電圧に応答して第一の出力端子手段上に第一の電圧を出力する第一のスイッチ手段を有していてもよい。コンバータは、第二の制御端子手段におけるターンオン電圧に応答して第一の出力端子手段に通じている第二の出力手段上に第二の電圧を出力する第二のスイッチ手段をさらに有していてもよい。
【0026】
第一の制御端子手段はN(N>2)個の電圧のうちの一つに選択的に通じてもよい。第二の制御端子手段はM(M>2)個の電圧のうちの一つに選択的に通じてもよい。
【0027】
コンバータは、第一のスイッチ手段を制御する第一のマルチレベル制御手段をさらに有していてもよい。第一のマルチレベル制御手段は、第一の制御端子手段に通じていてもよく、N個の駆動手段を有していてもよい。n=1からn=Nまでの駆動手段のそれぞれは第一の制御端子手段に異なる電圧Vnを選択的に印加し、Nは2よりも大きい。
【0028】
一般的に、ある局面において、直流−直流コンバータは集積回路を有していてもよい。集積回路は、第一の制御端子手段におけるターンオン電圧に応答して第一の出力端子手段上に第一の電圧を出力する第一のスイッチ手段を有していてもよい。集積回路は、第二の制御端子手段におけるターンオン電圧に応答して第一の出力端子手段に通じている第二の出力端子手段上に第二の電圧を出力する第二のスイッチ手段をさらに有していてもよい。
【0029】
集積回路は第一のスイッチ手段を制御する第一のマルチレベル制御手段をさらに有していてもよい。第一のマルチレベル制御手段は、第一の制御端子手段に通じていてもよく、N個の駆動手段を有していてもよい。n=1からn=Nまでの駆動手段のそれぞれは第一の制御端子手段に異なる電圧Vnを選択的に印加し、Nは2よりも大きい。N個の駆動手段のうちの少なくとも一つは関連する容量手段を有していてもよい。
【0030】
コンバータは集積回路とは別に第二の容量手段をさらに有していてもよく、第二の容量手段の容量はN個の駆動手段のうちの一つの関連する容量に含まれる。
【0031】
一般的に、ある局面において、直流−直流コンバータは第一のスイッチアセンブリ手段を有していてもよく、第一のスイッチアセンブリ手段は、関連する制御端子手段におけるターンオン電圧に応答して関連する出力端子手段上に電圧を出力するI個のスイッチ手段を含む。関連する出力端子手段のそれぞれは、負荷に電圧を出力するように構成された第一のスイッチアセンブリ手段出力端子手段に通じていてもよい。I個のスイッチ手段のうちの一つ以上は、スイッチ手段を制御する関連するマルチレベル制御手段をさらに有していてもよく、関連するマルチレベル制御手段は関連する制御端子手段に通じている。関連するマルチレベル制御手段のうちのi番目のものは、N(i)個の駆動手段を有していてもよく、n(i)=1からn(i)=N(i)の駆動手段のそれぞれは、関連する制御端子手段に異なる電圧Vn(i)を選択的に出力する。N(i)は、I個のスイッチ手段の少なくとも一つについては2よりも大きい。
【0032】
一つ以上の実施例の詳細を添付の図面および明細書において以下に説明する。他の特徴および利点は、明細書および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0033】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0034】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、高いスイッチング周波数が使われる場合であっても、ゲート損失がシステムにおける電力分散に大きく寄与しないようなシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0036】
また図面において、同じ参照符号は同じ構成要素を示すものとする。
【0037】
ここで説明する低損失DC/DCコンバータは、より高いスイッチング周波数で著しい恩恵をもたらし得るものである。DC/DCコンバータのような出力調整器(レギュレータ)は、2003年6月12日に提出された米国特許出願第10/460,825号に記載されており、その出願をここに完全に援用する。
【実施例1】
【0038】
上述したように、DC/DCコンバータは、交互にオン・オフされる2つのスイッチの出力をフィルタリングすることによって、負荷に略直流電圧を提供する。図2に、いくつかの実施例による低損失DC/DC変換のシステム200を示す。
【0039】
システム200は、第一のスイッチ210と第二のスイッチ220とを有している。第一のスイッチ210は、第一の制御端子212におけるターンオン電圧に応答して第一の出力端子211上に電圧を出力する。同様に、第二のスイッチ220は、第二の制御端子222におけるターンオン電圧に応答して第二の出力端子221上に電圧を出力する。第一のスイッチ210および第二のスイッチ220は交互にオン・オフされ、それらの出力はフィルタ230を用いてフィルタリングされる。フィルタを通った略直流出力は、負荷240に与えられる。
【0040】
第一のスイッチ210および第二のスイッチ220を、それぞれに関連する制御端子での電圧をスイッチがオフである電圧からスイッチがオンである電圧に直接切り替えることによってオンさせるのではなく、関連する制御端子を、数多くの異なる電圧の一つに選択的に通じさせる。すなわち、第一のスイッチ210および第二のスイッチ220は、スイッチがオフであるような第一の電圧、スイッチがオンであるような第二の電圧、および第一の電圧と第二の電圧との間の一つ以上の中間電圧に選択的に通じる。
【0041】
各スイッチに関連する制御端子は、数多くの方法で異なる電圧に選択的に通じる。例えば、システム200は、N個の異なる電圧レベルを第一の制御端子212に選択的に通じさせるマルチレベルコネクタ215を有してもよい。第一のスイッチ210について、V1(1)が第一のスイッチ210がオフである電圧であり、VN(1)が第一のスイッチ210がオンである電圧である。マルチレベルコネクタ215は、V1(1)とVN(1)との間を直接切り替えるのではなく、V2(1)およびV(N-1)(1)のような一つ以上の中間電圧を選択的に第一の制御端子212に通じさせる。同様に、第二のマルチレベルコネクタ225は、M個の異なる電圧レベルV1(2)からVM(2)を選択的に第二の制御端子222に通じさせて第二のスイッチ220をオンにする。
【0042】
同様のやり方で第一のスイッチ210および第二のスイッチ220をオフにする。すなわち、関連する制御端子は、スイッチがオンである第二の電圧からスイッチがオフである第一の電圧に直接切り替えられるのではなく、数多くの異なる電圧の一つに選択的に通じさせられる。
【0043】
図2によるDC/DCコンバータは、従来のようにスイッチがオン・オフされるDC/DCコンバータよりも効率的である。説明のための例では、第一のスイッチ210および第二のスイッチ220は第一および第二のトランジスタとして実現され、第一の制御端子212および第二の制御端子222はトランジスタのゲートである。
【0044】
第一のスイッチ210について、V1(1)はトランジスタがオフである電圧に対応し、VN(1)はトランジスタが完全にオンである電圧に対応する。同様に、第二のスイッチ220について、V1(2)はトランジスタがオフである電圧に対応し、VM(2)はトランジスタが完全にオンである電圧に対応する。第一および第二のトランジスタのそれぞれは、関連するゲート容量Cgsを有する。
上述したように、周波数fで動作するトランジスタスイッチは、Cgsに依存するゲート損失を有し得る。式(1)によると、ゲート電圧がV1(1)とVN(1)との間で直接切り替えられるとすると、第一のスイッチについてのゲート損失は、
【数2】

に等しい。
N個の等間隔で離れている電圧レベルを仮定すると、(N-1)個の電圧変化のそれぞれについて、電圧変化あたりのゲート損失は式(2)で示される。
【数3】

N−1個のステップがあるので、正味のゲート損失は式(3)で与えられる。
【数4】

したがって、理論上の正味のゲート損失は、V1(1)とVN(1)との間で直接切り替える(第一のスイッチをオンにするかオフにするかのどちらかに切り替える)システムにおける損失の1/(N-1)倍である。得られるゲート損失の改良は、理論上のレベルよりも小さくなり得る。例えば、もしゲート電圧が、次のレベルへの切換よりも前に中間電圧レベルに完全には落ち着かなければ、ゲート損失の実際の改良は理論上のレベルよりも小さくなる。
【0045】
式(3)が説明しているように、Nの値をより大きくすることで正味のゲート損失はより大きく改善されることになる。しかしながら、中間電圧のレベルを段階的に経るのに費やすことができる時間は限られているので、Nは一般的には、ゲート損失を改良し、妥当な時間内でスイッチングを完了するような適当な値として選ばれる。いくつかの実施例では、Nは4から8までの範囲であり得る。
【実施例2】
【0046】
図3(a)に、いくつかの実施例によるDC/DC変換システム300を示している。第一のNMOSトランジスタ320のゲート310はマルチレベル制御部330に通じている。制御部330は、離散的な電圧レベル340−0〜340−Nを選択的にゲート310に印加する。マルチレベル制御部330はドライバ348−1のようなN+1個のドライバを有していてもよい。ドライバ348−1は、ゲート310に電圧レベル340−1を選択的に印加するスイッチ機構だけではなく、電荷の蓄積および再活用のための容量332−1を有している。N+1個のドライバの中には、ゲートに関連する電圧を選択的に印加するスイッチ機構を有するが、関連するコンデンサは有してないものがある。容量332−1の値は、十分な電荷蓄積および再活用の能力を提供するように選択される。ゲート−ソース容量Cgsを有するトランジスタについて、容量332−1は一般的にはCgsよりもかなり大きい。システム300はさらに、第二のマルチレベル制御部360を有していてもよい。マルチレベル制御部360は、第二のPMOSトランジスタ350のゲート355と通じており、ゲート355にM個の異なる電圧レベルを選択的に印加するためのM個のドライバを有している。
【0047】
いくつかの実施例において、マルチレベル制御部330の少なくとも一部は、集積回路に含まれてもよい。しかし、電圧蓄積・再活用のために用いられる容量は一般的にはCgsよりもかなり大きいので、全ての容量を集積回路上に含めることは困難であり、高価になる。したがって、いくらかの電荷蓄積容量をチップ外に設ける、つまり、マルチレベル制御部330の他の構成要素を含む集積回路とは別にすることが有益である。
【0048】
第一のトランジスタ320および第二のトランジスタ350は交互にオンされる。すなわち、第二のトランジスタ350がオフであるとき(あるいはいくつかの場合にはほとんどオンでないとき)に第一のトランジスタ320はオンされ、その逆も行われる。略直流電圧は、第一のトランジスタ320および第二のトランジスタ350のドレインでの信号をインダクタ370およびコンデンサ380を用いてフィルタリングすることによって、負荷390に与えられ得る。
【0049】
第一のトランジスタ320は、第一のトランジスタ320がオフである第一の電圧340−0とオンである第二の電圧340−Nとの間でゲート310での電圧を切り替えることによってオン・オフされる。しかし、第一の電圧340−0と第二の電圧340−Nとの間で(例えば、0ボルトと5ボルトまたは12ボルトとの間で)トランジスタ320のゲート310を直接切り替えるのではなく、中間電圧レベル340−1〜340−(N−1)を介して第一の電圧と第二の電圧との間でゲート310を切り替える。
【0050】
異なる電圧レベル340−0〜340−Nは、例えば、図示されている抵抗334−1〜334−Nを含む分圧器を用いて提供され得る。抵抗334−1〜334−Nは、最小限の電力を分圧器内で分散させるような大きさであることに留意されたい。いくつかの実施例においては、抵抗334−1〜334−Nは実質的に同一であって、電圧レベルは等間隔で離れている。他の実施例では、抵抗334−1〜334−Nの少なくとも一つは他の抵抗の一つ以上とは異なっている。
【0051】
図3(a)に示されている分圧器は異なる電圧レベルを提供する数多くの選択肢の中のひとつに過ぎないことに留意されたい。他の構成を用いることもできる。例えば、オペアンプを用いた電圧源、デジタル−アナログ(D/A)コンバータ、あるいは電流源を用いてもよい。
【0052】
図3(b)は、第二のトランジスタ350をPMOSトランジスタとして実現した実施例によるシステム305を示している。第二のトランジスタ350のゲート355はマルチレベル制御部365に通じている。制御部365は離散的な電圧レベル345−0〜345−Mを選択的にゲート355に印加する。システム305において、第一のトランジスタ320はNMOSトランジスタとして実現されており、そのゲート310には制御部335が通じている。図3(a)の実施例のように、異なる電圧レベル345−0〜345−Mは抵抗による分圧器を用いて提供され得、容量による電荷の蓄積・再活用はコンデンサを用いて提供され得る。
【実施例3】
【0053】
図4は、第一のトランジスタ420および第二のトランジスタ450がともにNMOSトランジスタとして実現されているシステム400を示している。第一のマルチレベル制御部430がN個の異なる電圧レベルを第一のトランジスタ420のゲート410に選択的に通じさせ、第二のマルチレベル制御部415がM個の異なる電圧レベルを第二のトランジスタ450のゲート455に選択的に通じさせる。
【0054】
図4に示す例においては、M=5である。第二のマルチレベル制御部415は、電圧レベル440−1〜440−5を選択的にゲート455に印加する。この実施例に関して、電圧レベル440−1は第一のトランジスタ420および第二のトランジスタ450のドレインでの電圧VXに等しい。電圧レベル440−5に対応するノードは、ダイオード445を介してブートストラップ電圧VBSに接続されており、したがって、理想的なダイオードに関しては、電圧レベル440−5はVX+VBSに等しい。電圧レベル440−5に対応するノードは、CBSに等しい容量を有するブートストラップコンデンサを介して電圧レベル440−1に対応するノードに接続されている。
【0055】
図4は中間電圧レベルを決定する抵抗による分圧器を示している。分圧器における抵抗の抵抗値のそれぞれが等しいとき、電圧レベル440−2は1/4(VX+VBS)に等しく、電圧レベル440−3は1/2(VX+VBS)に等しく、電圧レベル440−4は3/4(VX+VBS)に等しい。図3(a)に関して上で述べたように、異なる電圧レベルを提供するために他の構成を用いることもできる。
【0056】
ここで述べたシステムおよび技術はさらなる利点を提供する。例えば、図2の第一のスイッチ210および第二のスイッチ220がトランジスタとして実現されるとき(図3(a)、3(b)および4におけるように)、トランジスタをオンとオフの間で直接切り替えるよりも、数多くの異なる電圧を選択的に印加することの方がトランジスタのストレスを減らし得、したがってトランジスタの故障までの平均時間を減らし得る。
【実施例4】
【0057】
図5(a)は、ゲート−ソース電圧VGSの異なる値について、ドレイン−ソース電流IDSをドレイン−ソース電圧VDSに対してプロットしたものを示している。高いVGSおよびVDSの値に対応する図5(a)のより高い応力の領域500では、トランジスタは応力を経験し、壊れ始めるかもしれない。トランジスタがより高い応力を受ける期間を繰り返したり長引かせたりすると、トランジスタの寿命が短くなる可能性がある。
【0058】
ゲート電圧を、トランジスタがオフである電圧(Voff)から直接トランジスタが完全にオンである電圧(Von)に切り替えることは、トランジスタを図5(a)の高応力領域500に置くことになる。例えば、ゲート電圧をVoffからVonに切り替えた直後はVDSおよびVGSは両方とも高く、トランジスタは、応力が高い領域500における点501に対応するVDSおよびVGSで動作している可能性がある。VDSは、ゲートの下の領域の多数キャリアが使い果たされ、反転層が作り出されると、減少する。しばらくしてから、VDSおよびVGSはより低い応力の領域510内の点502に対応する。一般的に、より高い応力の領域500で費やされる時間が長いほど、トランジスタの寿命への影響は大きくなる。
【0059】
電圧をVonとVoffとの間で直接切り替えるのではなく(例えば上述し、図3(a)、3(b)および4で説明されているシステムを用いて)一つ以上の中間電圧レベルをゲートに選択的に印加することによって、VGSおよびVDSは、図5(a)のより低い応力の領域510にとどまるようになり得る。例えば、図5(a)に示す電圧に対応する中間電圧を選択的に印加することによってトランジスタをオンにする。まず電圧は、VoffからVGS=1を有する第一の中間電圧レベルへと上昇される。電圧が変わった直後、VGSおよびVDSは図5(a)の応力がより低い領域510における点503に対応する。ゲート下の領域での多数キャリアの減少が始まり、ドレイン−ソース電圧が減少し、その結果トランジスタは点504で動作することになる。
【0060】
そして電圧はVGS=1からVGS=2へと上げられる。電圧が変わった直後はトランジスタは点505で動作している。この点505は、まだ、応力がより低い領域510内にある。VDSは、トランジスタが点506で動作するようになるまで減少しつづける。同様に、ゲート電圧がVGS=2からVGS=3へと上がった直後は、トランジスタは点507で動作しており、その後、さらに低いVDSの値に対応する点508で動作する。最後にゲート電圧がVGS=3からVGS=4(Von)へと上がった直後は、トランジスタはより低い応力の領域510内の点502で動作しており、そして図示されているより低いレベルのVDSへの曲線をたどる。
【0061】
上述したターンオンのプロセスについて、点502〜508のそれぞれは、応力がより高い領域500ではなく応力がより低い領域510内にある。したがって、中間電圧レベルを選択的にゲートに印加することは、トランジスタがより高い応力の領域500で動作している時間を減少、あるいはなくすことになる。
【0062】
いくつかの実施例においては、高応力の状況を避けるように電圧変化のタイミングを制御するためのスイッチアセンブリ制御部が設けられる。スイッチアセンブリ制御部を設けることによって、特定の応力のしきい値に適合する最小限の時間で切り替えを行うことが可能である。図5(b)に、このようなスイッチアセンブリ制御部を有するシステム505を示す。システム505は、異なる電圧レベルを選択的にゲート510に印加することによってオン・オフされる第一のトランジスタスイッチ520を有している。例えば、マルチレベルコネクタ525(これはマルチレベル制御部の一部であってもよい)が異なる電圧を選択的にゲート510に印加する。
【0063】
システム505は、マルチレベルコネクタ515を用いて異なる電圧レベルを選択的にゲート555に印加することによってオン・オフされ得る第二のトランジスタスイッチ550を有している。第一のトランジスタ520のドレイン522およびソース523と通じている電圧検出部560は、ソース−ドレイン電圧VDSを測定する。同様に電圧検出部565は第二のスイッチ550についてVDSを測定する。電圧検出部560の出力はスイッチアセンブリ制御部562に与えられる。
【0064】
第一のスイッチ520をオンにするために、ゲート電圧は、第一のスイッチ520がオフである第一の電圧から第一の中間電圧レベルへと変えられる。電圧検出部560はスイッチアセンブリ制御部562にVDSを出力する。スイッチアセンブリ制御部562は電圧検出部560によって提供されたVDSの測定値をしきい値VDS(threshold)と比較する。VDSの測定値がしきい値VDS(threshold)を下回れば、スイッチアセンブリ制御部562はマルチレベルコネクタ525に信号を与えて、ゲート510での電圧を第一の中間電圧レベルから第二の中間電圧レベルへ変更する。このプロセスを、ゲート510での電圧レベルが第一のスイッチ520を完全にオンにするのに十分になるまで繰り返す。同様のプロセスは、電圧検出部565およびスイッチアセンブリ制御部567を用いて第二のスイッチ550をオフにしたり、オンにしたりするのにも用いられる。なお、図5(b)では別々の電圧検出部と別々のスイッチアセンブリ制御部とを示しているが、別々である必要はない。
【0065】
上述したように、ゲート電圧が、次のレベルへのスイッチングの前に、印加された中間電圧レベルに完全に落ち着いていなければ、ゲート損失の実際の改良は、理論上のレベルよりも小さくなる。しかし、単一のマルチレベル制御部/トランジスタのシステムを用いると、ゲート電圧が落ち着くまでに非現実的なほどに長い時間を必要とする。図6に蓄積コンデンサの一つからパワートランジスタへの電流の流れの関係を示す。電流は、大きなピークと長い整定時間との両方を示している。
【実施例5】
【0066】
図7は、より小さな電流のピークとより短い整定時間との両方を提供するシステム700の実施例を示している。単一のマルチレベル制御部/トランジスタのシステムの代わりに、多くのシステムを用いている。すなわち、M個のマルチレベル制御部710−1〜710−Mは、それぞれ、スイッチングトランジスタ730−1〜730−Mのゲート720−1〜720−Mに通じている。いくつかの実施例では、制御部710−1〜710−Mは順次異なる電圧レベルを選択的に印加する。例えば、制御部710−1は順番に電圧レベル715−0(1)〜715−N(1)を選択的に印加し、制御部710−2は電圧レベル715−0(2)〜715−N(2)を順次選択的に印加する。電圧レベルの数および/あるいは大きさは、各制御部で同じであっても異なっていてもよい。
【0067】
Mは、所望のスイッチング時間およびピーク電流を提供するように選ばれる。いくつかの実施例においては、Mは約10と約100との間であるように選ばれ得る。制御部710−1〜710−Mを用いて異なる電圧を順次印加していくことによって、トランジスタ730−1〜730−Mは、PWM出力段階の供給電圧上に大きな過渡電流をもたらすことなく、より速くオン・オフされる。
【0068】
システム700のようなシステムにおいてM=10、N=4である例について、1/2VSおよび3/4VSを経て1/4VSからVSに切り替えられる電荷蓄積素子とトランジスタのゲートとの間を流れる電流を図8に示す。時刻t0で、制御部710−1に印加されている電圧が1/4VSから1/2VSへと切り替えられる。図示されている第一のトランジスタの整定時間よりも短い時間間隔Δtの後、制御部710−2に印加されている電圧が1/4VSから1/2VSへと切り替えられる。制御部710−3〜710−10を介して印加される電圧は、順次1/4VSから1/2VSに切り替えられる。各トランジスタ730−1〜730−10は比較的小さいので、それぞれについてのピーク電流Ipeakだけでなく整定時間tsettleは、単一の大きなトランジスタを用いる場合よりも実質的に小さい。
【0069】
時刻t1で、制御部710−1を介して印加される電圧を1/2VSから3/4VSに切り替える。時間間隔(t1−t0)は、全ての制御部710−1〜710−10を介して印加されている電圧を1/2VSに切り替えるのに必要な時間(図8に示されている)よりも短いか、あるいは制御部の全てを介して印加されている電圧を切り替えるのに必要な時間と同じかそれよりも長い。その後、残りの制御部を介して印加されている電圧を1/2VSから3/4VSに切り替える。同様に、時刻t2で、制御部710−1に印加されている電圧を3/4VSからVSに切り替え、残りの制御部710−2〜710−10を介して印加される電圧を続いて3/4VSからVSに切り替える。
【0070】
使われている時間は変わり得るが、いくつかの実施例においては、Δtは約50ピコ秒のオーダーであり、(t1−t0)は約半ナノ秒のオーダーであり、高電圧から低電圧への遷移(あるいはその逆)は約5ナノ秒のオーダーである。
【実施例6】
【0071】
いくつかの実施例において、制御部のいくつかを介して印加される電圧は、N個の電圧レベルの全てよりも少ない数の電圧レベルを段階的に経る、あるいはオン電圧とオフ電圧との間で直接変わってもよい。これにより、高電圧レベルと低電圧レベルとの間の遷移に費やされる時間を減らすことができる。図9に、マルチレベル制御部910−1および910−4が3つの中間電圧レベル(1/4VS、1/2VSおよび3/4VS)を経て0ボルトの低電圧からVSの高電圧に切り替えられる実施例を示す。
【0072】
中間電圧レベルの全てを選択的に印加するのではなく、制御部910−2を介して印加される電圧は低電圧(この例では0V)から高電圧VSに直接切り替えられる。制御部910−3を介して印加される電圧は、単一の中間電圧レベル1/2VSを経て切り替えられる。図9では制御部910−2および910−3の構成は制御部910−1および910−4の構成と異なるものとして示されているが、いくつかの実施例では各制御部が同じ構成を有してもよい。このような実施例では、特定の制御部を介して印加される一連の電圧レベルは、例えばソフトウェアを用いて実現される。
【0073】
応答時間は、第一のスイッチをオフにすることと第二のスイッチをオンにすることとの間の遷移における時間(「デッドタイム」)を短くすればより速くなる。デッドタイムは、スイッチ間の遷移を重ねることによって短くすることができる。
【0074】
一例において、第一のスイッチはNMOSトランジスタであり、第二のスイッチはPMOSトランジスタである。PMOSトランジスタをオンにするよりも前に、NMOSトランジスタのゲートに印加される電圧をVon(N)からVoff(N)に中間電圧レベルを経て段階的に変更する。デッドタイムを短くするためには、PMOSトランジスタをオンにするプロセスを、NMOSトランジスタのゲートに印加される電圧がVoff(N)になる前に開始すればよい。例えば、PMOSトランジスタのゲートに印加される電圧を、NMOSトランジスタのゲートに印加される電圧がVoff(N)ではなくある中間電圧レベルになる時刻に、Voff(P)から第一の中間電圧レベルに切り替える。
【0075】
PMOSトランジスタはほとんどオンではないので、素子間の遷移中に大きなクローバー(crowbar)電流が生成される危険を大きく減らすことができる。いくつかの実施例では、最低電圧レベルの値はこの遷移を容易にするように選択される。
【0076】
図10はこのプロセスを説明している。この例については、NMOSトランジスタは時刻t0でオンになり、このとき印加される電圧はVSに等しい。時刻t1で、NMOSトランジスタのゲートへの電圧はVSから3/4VSに減る。時刻t2で、電圧は3/4VSから1/2VSに減る。
【0077】
時刻t3で、NMOSトランジスタのゲートへの電圧は1/2VSから1/4VSに減る。ほぼ同じ時刻に、PMOSトランジスタのゲートへの電圧がVoff(P)から第一の中間レベルに(ここでは0Vから約-1/4VSに)下がる。したがって、デッドタイムは、整定時間にほぼ等しい時間だけ減らすことができる。
【0078】
数多くの実施例を述べてきた。しかし、本発明の精神から逸脱せずに多くの改変が行われ得ることは理解されるであろう。例えば、説明のためにここではバック構成を図示したが、説明したシステムおよび技術はDC/DCコンバータの他の実施例とともに用いることもできる。したがって、他の実施形態も添付の特許請求の範囲の精神の範囲内である。
【0079】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は高スイッチング周波数で動作されるDC/DCコンバータに適用される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】従来技術によるDC/DCコンバータの概略である。
【図2】DC/DCコンバータの実施例の概略である。
【図3】DC/DCコンバータの他の実施例の概略である。
【図4】DC/DCコンバータの他の実施例の概略である。
【図5】(a)は異なるVGSの値についてIDS対VDSをプロットしたものであり、(b)はスイッチアセンブリ制御部を含むDC/DCコンバータの実施例の概略である。
【図6】単一のトランジスタを有する実施例に関して、時間の関数として電流をプロットしたものである。
【図7】M個のトランジスタを有する実施例の概略である。
【図8】複数個のトランジスタを用いる実施例に関して、電流を時間に対してプロットしたものである。
【図9】中間電圧レベルの全てを経て切り替えられるのではないいくつかの制御部を有する実施例の概略である。
【図10】トランジスタ間の遷移にいくらかの重畳がみられる実施例に関して、電流を時間に対してプロットしたものである。
【符号の説明】
【0082】
200、300、400、505、700...DC/DC変換システム
210...第一のスイッチ
220...第二のスイッチ
212...第一の制御端子
211...第一の出力端子
222...第二の制御端子
221...第二の出力端子
230...フィルタ
240...負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流−直流コンバータであって、
第一の制御端子でのターンオン電圧に応答して第一の出力端子上に第一の電圧を出力する第一のスイッチと、
第二の制御端子でのターンオン電圧に応答して、前記第一の出力端子と通じている第二の出力端子上に第二の電圧を出力する第二のスイッチと
を備えており、
前記第一の制御端子はN(N>2)個の異なる電圧の一つに選択的に通じ、
前記第二の制御端子はM(M>1)個の異なる電圧の一つに選択的に通じることを特徴とする直流−直流コンバータ。
【請求項2】
前記第一のスイッチは第一のトランジスタを備えていることを特徴とする請求項1に記載のコンバータ。
【請求項3】
前記コンバータはN個の電圧源をさらに備えており、前記N個の電圧源のそれぞれが前記N個の異なる電圧の一つを供給することを特徴とする請求項1に記載のコンバータ。
【請求項4】
前記第一のスイッチはソースとドレインとを有するトランジスタを備えており、
前記コンバータは、前記ソースと前記ドレインとの間の電位差を検出する電圧検出部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のコンバータ。
【請求項5】
前記コンバータは前記電圧検出部に応答し、かつ前記第一の制御端子と通じているスイッチアセンブリ制御部をさらに備えており、前記第一の制御端子は、前記スイッチアセンブリ制御部にしたがって前記N(N>2)個の異なる電圧の一つに選択的に通じることを特徴とする請求項4に記載のコンバータ。
【請求項6】
前記コンバータは前記第一の制御端子と通じている第一のマルチレベル制御部をさらに備えており、
前記第一のマルチレベル制御部はN個のドライバを有しており、n=1からn=Nまでのドライバのそれぞれは、前記第一の制御端子に前記N個の異なる電圧のうちの異なる電圧Vnを選択的に印加することが可能であることを特徴とする請求項1に記載のコンバータ。
【請求項7】
前記コンバータは前記第二の制御端子と通じている第二のマルチレベル制御部をさらに備えており、
前記第二のマルチレベル制御部はM個のドライバを有しており、m=1からm=Mまでのドライバのそれぞれは、前記第二の制御端子に前記M個の異なる電圧のうちの異なる電圧Vmを選択的に印加することが可能であるを特徴とする請求項6に記載のコンバータ。
【請求項8】
前記第一のマルチレベル制御部は、前記N(N>2)個の異なる印加電圧を前記第一の制御端子に選択的に通じさせるスイッチ機構を備えていることを特徴とする請求項6に記載のコンバータ。
【請求項9】
前記N個のドライバの少なくとも一つは、関連する容量を備えていることを特徴とする請求項6に記載のコンバータ。
【請求項10】
前記第一のマルチレベル制御部の少なくとも一部は集積回路内に含まれており、前記N個のドライバのうちの少なくとも一つの関連する容量は、前記集積回路に含まれていないコンデンサの容量を含んでいることを特徴とする請求項9に記載のコンバータ。
【請求項11】
前記第一のスイッチは、関連する容量Cgsを有するゲートおよびソースを有するトランジスタを備えており、前記集積回路に含まれていない前記コンデンサの前記容量はCgsよりも大きいことを特徴とする請求項10に記載のコンバータ。
【請求項12】
前記N個のドライバのうちの少なくとも一つの関連する容量はさらに、前記集積回路の一つ以上の構成要素のオンチップ容量を含んでいることを特徴とする請求項10に記載のコンバータ。
【請求項13】
前記コンデンサはP個のコンデンサの一つであり、前記P個のコンデンサのそれぞれの容量は前記N個のドライバの少なくとも一つの前記関連する容量に含まれていることを特徴とする請求項10に記載のコンバータ。
【請求項14】
PはNよりも小さいことを特徴とする請求項13に記載のコンバータ。
【請求項15】
PはN以上であることを特徴とする請求項13に記載のコンバータ。
【請求項16】
前記第一のスイッチはPMOSトランジスタを備えており、前記第一の制御端子は前記PMOSトランジスタのゲートであり、前記N個のドライバは、前記PMOSトランジスタがオフである電圧V1、前記PMOSトランジスタがオンである電圧V3、ならびにV1とV3との間の中間電圧V2を選択的に印加する3個のドライバを備えていることを特徴とする請求項6に記載のコンバータ。
【請求項17】
前記N個のドライバは他の中間電圧V4を選択的に印加する第四のドライバをさらに備えており、V4はV1とV3との間の電圧であることを特徴とする請求項16に記載のコンバータ。
【請求項18】
前記第一のスイッチはNMOSトランジスタを備えており、前記第一の制御端子は前記NMOSトランジスタのゲートであり、前記N個のドライバは、前記NMOSトランジスタがオンである電圧V1、前記NMOSトランジスタがオフである電圧V3、ならびにV1とV3との間の中間電圧V2を選択的に印加する3個のドライバを備えていることを特徴とする請求項6に記載のコンバータ。
【請求項19】
前記N個のドライバは他の中間電圧V4を選択的に印加する第四のドライバをさらに備えており、V4はV1とV3との間の電圧であることを特徴とする請求項18に記載のコンバータ。
【請求項20】
前記N個のドライバは、前記第一の制御端子における前記電圧が前記異なる電圧Vnと実質的につりあうのに十分な時間前記異なる電圧Vnを選択的に印加することが可能であることを特徴とする請求項6に記載のコンバータ。
【請求項21】
前記第一のスイッチは第一のスイッチアセンブリに含まれており、
前記第一のスイッチアセンブリはI個のスイッチを含んでおり、前記I個のスイッチのそれぞれは関連する制御端子におけるターンオン電圧に応答して関連する出力端子上に電圧を出力することが可能であり、第一のスイッチアセンブリ出力端子に通じている前記関連する出力端子のそれぞれは、負荷に電圧を出力するように構成されており、
前記I個のスイッチのうちの一つ以上は、関連する制御端子と通じている関連するマルチレベル制御部をさらに備えており、
前記関連するマルチレベル制御部のi番目のものはN(i)個のドライバを有しており、n(i)=1からn(i)=N(i)までのドライバのそれぞれは関連する制御端子に異なる電圧Vn(i)を選択的に印加することが可能であり、N(i)は前記I個のスイッチの少なくとも一つに関しては2よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のコンバータ。
【請求項22】
前記第二のスイッチは第二のスイッチアセンブリに含まれており、前記第二のスイッチアセンブリはJ個のスイッチを含んでおり、前記J個のスイッチのそれぞれは関連する制御端子におけるターンオン電圧に応答して関連する出力端子上に電圧を出力することが可能であり、前記関連する出力端子のそれぞれは、前記第一のスイッチアセンブリ出力端子に通じている第二のスイッチアセンブリ出力端子に通じており、
前記J個のスイッチのうちの一つ以上は、関連する制御端子と通じている関連するマルチレベル制御部をさらに備えており、
前記関連するマルチレベル制御部のj番目のものはN(j)個のドライバを有しており、n(j)=1からn(j)=N(j)までのドライバのそれぞれは関連する制御端子に異なる電圧Vn(j)を選択的に印加することが可能であり、N(j)は前記J個のスイッチの少なくとも一つに関しては2よりも大きいことを特徴とする請求項21に記載のコンバータ。
【請求項23】
前記I個のスイッチはI個のトランジスタを備えており、前記関連する出力端子は前記トランジスタのゲートを備えていることを特徴とする請求項21に記載のコンバータ。
【請求項24】
前記I個のスイッチは、前記関連する制御端子に通じている関連するマルチレベル制御部を有していることを特徴とする請求項21に記載のコンバータ。
【請求項25】
N(i)は、前記関連するマルチレベル制御部のそれぞれについて同じであることを特徴とする請求項21に記載のコンバータ。
【請求項26】
N(i)は、前記関連するマルチレベル制御部の少なくともいくつかについては異なっていることを特徴とする請求項21に記載のコンバータ。
【請求項27】
直流−直流電力変換の方法であって、
I個のスイッチを有する第一のスイッチアセンブリの出力に第一の出力電圧を発生することと、J個のスイッチを有する第二のスイッチアセンブリの出力に第二の出力電圧を発生することとを交互に行うことを包含しており、前記第一のスイッチアセンブリの前記出力は前記第二のスイッチアセンブリの前記出力と通じており、前記第一の出力電圧の発生は、前記第一のスイッチアセンブリをオンにすることを包含しており、前記第一のスイッチアセンブリをオンにすることは、
前記I個のスイッチのうちのi番目のスイッチの関連する制御端子に、n(i)=1からn(i)=N(i)までの異なる電圧Vn(i)を選択的に印加することを包含しており、前記異なる電圧Vn(i)の選択的な印加は、前記i番目のスイッチがオフである電圧V1(i)を印加し、続いて中間電圧Vint(i)を印加し、続いて前記i番目のスイッチがオンである電圧VN(i)を印加することを包含しており、Vint(i)はV1(i)とVN(i)との間であることを特徴とする方法。
【請求項28】
前記第二の出力電圧の発生は、前記第二のスイッチアセンブリをオンにすることを包含しており、前記第二のスイッチアセンブリをオンにすることは、
前記J個のスイッチのうちのj番目のスイッチの関連する制御端子に、m(j)=1からm(j)=M(j)までの異なる電圧Vm(j)を選択的に印加することを包含しており、前記異なる電圧Vn(i)の選択的な印加は、前記j番目のスイッチがオフである電圧V1(j)を印加し、続いて中間電圧Vint(j)を印加し、続いて前記j番目のスイッチがオンである電圧VM(j)を印加することを包含しており、Vint(j)はV1(j)とVM(j)との間であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第一の出力電圧および前記第二の出力電圧をフィルタリングして略直流電圧を生成することをさらに包含することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記第一のスイッチアセンブリをオンにすることは、前記I個のスイッチのうちの複数のスイッチに順に電圧V2(i)=V2を選択的に印加することと、前記I個のスイッチのうちの前記複数のスイッチに電圧V3(i)=V3を印加することとを包含することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記I個のスイッチのうちの前記複数のスイッチに順に前記電圧V2を選択的に印加すること、および前記I個のスイッチのうちの前記複数のスイッチに前記電圧V3を印加することは、前記I個のスイッチのうちの前記複数のスイッチの少なくとも一つに前記電圧V3を印加することと、同時に前記I個のスイッチのうちの前記複数のスイッチの他のスイッチに前記電圧V2を印加することとを包含していることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記I個のスイッチのうちの前記複数のスイッチに順に前記電圧V2を選択的に印加することは、前記i=1からi=Iまでのスイッチのそれぞれに前記電圧V2を順次印加することを包含しており、
前記I個のスイッチのうちの前記複数のスイッチに前記電圧V3を印加することは、前記I個のスイッチのそれぞれに順次前記電圧V3を印加することを包含しており、
前記I個のスイッチのうちの前記複数のスイッチの少なくとも一つに前記電圧V3を印加することおよび同時に前記I個のスイッチのうちの前記複数のスイッチの他のスイッチに前記電圧V2を印加することは、前記i=Iのスイッチへの前記電圧V2の印加よりも前に前記i=1のスイッチに前記電圧V3を印加することを包含していることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記第二の出力電圧の発生は前記第二のスイッチアセンブリをオンにすることを包含しており、
前記第二のスイッチアセンブリをオンにすることは、
前記J個のスイッチのj番目のスイッチの関連する制御端子にm(j)=1からm(j)=M(j)の異なる電圧Vm(j)を選択的に印加することを包含しており、前記異なる電圧Vm(j)の選択的な印加は前記j番目のスイッチがオフである電圧V1(j)を印加し、続いて中間電圧Vint(j)を印加し、続いて前記j番目のスイッチがオンである電圧VM(j)を印加することを包含しており、Vint(j)はV1(j)とVM(j)との間であり、
前記第一のスイッチアセンブリの前記出力における前記第一の出力電圧の発生と前記第二のスイッチアセンブリの前記出力における前記第二の出力電圧の発生を交互に行うことは、前記j=1からj=Jのスイッチのそれぞれに電圧Voff(j)を選択的に印加しつつ前記第一のスイッチアセンブリをオンにすることを包含しており、Voff(j)は前記j番目のスイッチがオフである電圧であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記第二の出力電圧の発生は前記第二のスイッチアセンブリをオンにすることを包含しており、
前記第二のスイッチアセンブリをオンにすることは、
前記J個のスイッチのj番目のスイッチの関連する制御端子にm(j)=1からm(j)=M(j)の異なる電圧Vm(j)を選択的に印加することを包含しており、前記異なる電圧Vm(j)の選択的な印加は前記j番目のスイッチがオフである電圧V1(j)を印加し、続いて中間電圧Vint(j)を印加し、続いて前記j番目のスイッチがオンである電圧VM(j)を印加することを包含しており、Vint(j)はV1(j)とVM(j)との間であり、
前記第一のスイッチアセンブリの前記出力における前記第一の出力電圧の発生と前記第二のスイッチアセンブリの前記出力における前記第二の出力電圧の発生を交互に行うことは、前記j=1からj=Jのスイッチの少なくとも一つにV1(j)とは異なる電圧を選択的に印加しつつ前記第一のスイッチアセンブリをオンにすることを包含していることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項35】
V1(j)とは異なる前記電圧はV2(j)であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
V2(j)は、前記j=1からj=Jのスイッチの少なくとも一つがほとんどオンではない電圧であることを特徴とする請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−314197(P2006−314197A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221415(P2006−221415)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【分割の表示】特願2003−362674(P2003−362674)の分割
【原出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【出願人】(502188642)マーベル ワールド トレード リミテッド (302)
【Fターム(参考)】