説明

体温測定装置

【課題】 風邪,インフルエンザ,RS(Respiratory Syncytial)ウイルス等の感染症等による急激な体温変化が容易に把握できる体温測定装置の提供。
【解決手段】 本発明の体温測定装置は、体温測定部で得た体温をトレンド記憶するとともに、脈拍,血圧,血中酸素飽和度(SPO)等の生体情報を併せて記憶し、表示可能とすることを特徴とする。また、予め得られている平常時の体温データとを比較して被検者の状態を判断する判断手段をさらに備えることを特徴とする。また、判断手段により判断された情報を音声,アラーム等で報知または表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風邪,インフルエンザ,RS(Respiratory Syncytial)ウイルス等の感染症等による急激な体温変化が容易に把握できる体温測定装置に関し、特に、体温測定部と本体が分離され、体温データをトレンド記憶・表示可能で、脈拍,血圧,血中酸素飽和度(SPO)等の生体情報を併せて記憶し、表示可能な体温測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体情報、行動情報を計測し、乳幼児の状態を推定し、乳幼児の異変に対して適切な対応がとれるようにする監視システムが提案されている(特許文献1:特開2004−181218号公報)。しかしながら、感染症等によるに急な体温変化が健常時とどのように異なるか判断するようなものではない。これを改善するシステムとして、生体信号の緊急度を判断し、アラームを発生させるシステムが提案されている(特許文献3:特許3661686号公報)。しかしながら。体温については大きな閾値40℃、34℃を設定し、それと比較するだけであり、トレンド変化によりアラームを発生させるものではない。
【特許文献1】特開2004−181218号公報
【特許文献2】特許3661686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、風邪,インフルエンザ,RS(Respiratory Syncytial)ウイルス等の感染症等による急激な体温変化が容易に把握できる体温測定装置、特に、体温測定部と本体が分離され、体温データをトレンド記憶・表示可能で、脈拍,血圧,血中酸素飽和度(SPO)等の生体情報を併せて記憶し、表示可能な体温測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の体温測定装置は、体温測定部で得た体温をトレンド記憶するとともに、脈拍,血圧,血中酸素飽和度(SPO)等の生体情報を併せて記憶し、表示可能とすることを特徴とする。また、予め得られている平常時の体温データとを比較して被検者の状態を判断する判断手段をさらに備えることを特徴とする。また、判断手段により判断された情報を音声,アラーム等で報知または表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の体温測定装置によれば、風邪,インフルエンザ,RS(Respiratory Syncytial)ウイルス等の感染症等による急激な体温変化が容易に把握でき、投薬などの処方を的確に行なうための助けとなる体温測定装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
<携帯端末の構成>
以下、図面に従って説明する。携帯端末50には、表示部11、ブザー等の報知手段19、無線によるICタグ読取り部13、入力部14、記憶部15、処理フロー等を記憶し、コンピュータで読取り可能なプログラムを記憶しているRAM16,ROM17,i−モードによるインターネット等の情報通信ネットワーク(不図示)を介して通信を行なう外部通信部12を備えている。また、予防接種(インフルエンザ,おたふくかぜ,ポリオ,百日咳,風疹,麻疹,結核等の予防接種)の情報,過去の投薬データ(アレルギー反応を回避した投薬を行なうために必要)も、機能キーを兼ねる入力部14で入力し、記憶、表示できるようになっている。また、入力部14で入力項目を適宜選択して、被検者(患者,乳幼児,使用者等)のIDデータ(氏名,年齢,性別,生年月日等),体温,体重(投薬量の決定に必要),血圧,脈拍,血中酸素飽和度,血糖値等を入力し、記憶、表示できるようになっている。
【0007】
また、電池内蔵ICタグ200(図2(c)参照)で測定した体温も外部通信部203から接続端子12aを経て携帯端末50に記憶できるようになっている。また、図3(a)示すような血中酸素飽和度測定部(パルスオキシメータ)を携帯端末50の接続端子12aに直接接続し、測定された血中酸素飽和度(SPO),脈拍を記憶、表示したり、測定中の測定中のリアルタイムの値を血中酸素飽和度(SPO),脈拍を表示できるようになっている。また、図3(b)に示すような耳介の適所に装着して血圧測定する血圧測定部を携帯端末50の接続端子12aに直接接続し、血圧値(最高血圧/最低血圧)を測定・表示できるようになっている。この場合、カフの内容積が極めて少なく被検者Pにとって血圧測定時の負担感が軽減できる。
【0008】
なお、体温,血圧,脈拍,血中酸素飽和度,血糖値等は別途それぞれの生体情報を得るための測定装置で測定した値を被検者PのIDデータとともに測定日時と併せて入力部14で入力して記憶するようにしてもよい。
【0009】
<ICタグの構成>
図2において、100は、外部からの通信信号を受けて作動するように構成された温度センサ付ICタグ(RFID)(体温測温部)である。101は、ICタグ読み取り部34からの信号を受け、ロジック部110を所定のフローで動作させるプログラムが記憶され、コンピュータで読取り可能な記憶媒体であるRAMである。102はEEPROMで、温度センサ106のそれぞれに対応するオフセット値,温度補正値などが記憶されている。また、体温情報も記憶可能である。なお、ロジック部110は、より複雑な処理フローの制御が可能なCPUとしてもよい。
【0010】
温度センサ106としては、温度変化に対してほぼリニアにアナログ出力し、小型化・ICタグとの一体化が可能で、35〜42℃の間で温度分解能が0.05℃である、半導体型の温度センサ、例えばC−MOS温度センサが好ましく用いられるが、サーミスタ型、サーモパイル(熱電対)型でも可能である。103は、被検者Pに設けられた温度測定部を有するICタグ(RFID)100の体温情報を取得するための送受信回路、103aはアンテナ、104は電源部である。この電源部104は、コイルを有するアンテナ部103aを介して、体温情報を読取られる時に温度測定部を有するICタグ100の各部に電源を供給する。107はA/D変換部であり、温度センサ106と発振回路(不図示)で発生した体温信号をA/D変換するものである。ICタグ100は、アンテナ103aを含めて幅Wが5mm×5mm、厚さTが1.5mm程度の大きさである。なお、ICタグ100は、生体を通過可能な周波数の電磁波での通信(送受信)可能なものであれば、どのような周波数でもよいが、好ましくは13.56MHzの電磁波で送信可能になっている。また、間違った被検者Pの情報を取得しないようにアンチ・コリージョンタイプとしたり、アンテナ103aから出力される信号を暗号化処理可能にしてセキュリティ機能を持たせることができる。
【0011】
体温情報もEEPROM102に記憶できるので、別のベッドや別の部屋に被検者Pを移し換えても継続して体温情報を記憶できる。また、病院,保育所等で間違った被検者Pの情報を取得しないようにしたり、アンテナ103aから出力される信号を暗号化処理可能にしてセキュリティ機能を持たせることができる。
【0012】
200は、電池内蔵で、設定された時間(分)間隔で体温(温度)情報を最大360日程度記憶できるように構成された温度センサ付ICタグ(体温測温部)である。この温度センサ付ICタグを被検者Pの身体の適所またはリストバンド,オムツ等の適所に設けるなどして健常時の所定時間、例えば24時間の体温を測定・記憶する。201は、ICタグ読み取り部34からの信号を受け、ロジック部210を所定のフローで動作させるプログラムが記憶され、コンピュータで読取り可能な記憶媒体であるRAMである。202はEEPROMで、温度センサ206のそれぞれに対応するオフセット値,温度補正値などが記憶されている。また、体温情報も記憶可能である。なお、ロジック部210は、より複雑な処理フローの制御が可能なCPUとしてもよい。
【0013】
温度センサ206としては、温度変化に対してほぼリニアにアナログ出力し、小型化・ICタグとの一体化が可能で、35〜42℃の間で温度分解能が0.05℃である、半導体型の温度センサ、例えばC−MOS温度センサが好ましく用いられるが、サーミスタ型、サーモパイル(熱電対)型でも可能である。203は、乳幼児Pに設けられた温度測定部を有するICタグ200の体温情報を携帯端末50からの読取り要求信号により、記憶された体温情報を被検者PのID情報とともに携帯端末50に送信するための送受信回路である。ここでは、通信は、外部送受信部203、接続端子12aにより電気的な接続で行なわれるが、無線アンテナによる無線で送受信してもよい。204aは内蔵電池であり、この内蔵電池204aで温度センサ付ICタグ200の全てのプログラム演算処理の電源となっている。207はA/D変換部であり、温度センサ206と発振回路(不図示)で発生した体温信号をA/D変換するものである。ICタグ200は、幅Wが5mm×5mm、厚さTが1.5mm程度の大きさである。なお、通信を無線で行なう場合、ICタグ200は、生体を通過可能な周波数の電磁波での通信(送受信)可能なものであれば、どのような周波数でもよいが、好ましくは13.56MHzの電磁波で送信可能になっている。
【0014】
体温情報も被検者PのID情報と併せてEEPROM202に記憶できるので、病院内,保育所等で別のベッドや別の部屋に被検者Pを移し換えても継続して体温情報を記憶できる。また、間違った被検者Pの情報を取得しないようにしたり、アンテナ203aから出力される信号を暗号化処理可能にしてセキュリティ機能を持たせることができる。
【0015】
<電池内蔵ICタグによる体温情報取得>
乳幼児などの被検者Pに対して使用者(母親,保育師,看護師,看護/介護者等)は、まず、ICタグ100を備えた測温部またICタグ200を備えた測温部を、外耳道内に挿入したり、面ファスナー等を備える囲包部材で囲包し、着脱自在にオムツに装着したり、リストバンドに設けたりしてICタグ100または200が接触するように身体の適所に装着したり貼付けたりする。所定期間、例えば、春季,夏季,秋季,冬季の任意に選択した1ケ月分、1週間分、1日(24時間)分測定・記憶する。ICタグ100を用いる場合、所定時間間隔、例えば10分間隔で、ICタグ100に体温読み取り要求信号を送り、測定された体温を記憶部15に年月日時とともにトレンド記憶される。ICタグ200を用いる場合、EEPROM202に時刻とともに体温情報が記憶される。記憶された体温情報は、外部送信部203から接続端子12a、信号線を介して携帯端末50の記憶部15に年月日時とともにトレンド記憶される。図4は、春季の任意に選択した1日(24時間)分測定・記憶し、EEPROM202に時刻とともに記憶された体温情報,血中酸素飽和度(SPO),血圧情報を表示部11に表示する一例である。
【0016】
<通常の体温測定装置としての機能>
乳幼児などの被検者Pに対して使用者(母親,保育師,看護師,看護/介護者等)が乳幼児などの被検者Pに対して熱っぽいと感じたり、少し元気がないと感じたときに、温度測定部を有するICタグ(RFID)100を含む測温部を、上述したように、被検者Pに対して、外耳道内に挿入したり、面ファスナー等を備える囲包部材で囲包し、着脱自在にオムツ装着したり、リストバンドに設けたりして身体の適所に装着する。測定開始の時間のカウントを開始するか、入力部14などで測定開始時刻設定(時間設定)指示入力を行なうことにより、測定を開始する。体温情報は、入力部14で予め設定入力された時間条件、例えば温度測定部を有するICタグ(RFID)100を含む測温部を被検者Pに装着して測定開始指示入力を行なった時点、所定の温度上昇が確認できた時点等を基点として、例えば5分後にICタグ100に対してICタグ読取り部13から所定の周波数、例えば13.56MHzの電磁波を送信(この場合、送受信距離は、3cm〜10cm程度)し、その信号と同期して得られる温度センサ106の体温情報を読取る。測定されたこれらの体温情報は、記憶部15に記憶される。このときの体温情報のピーク値をそのときの体温値として日時とともに記憶し、表示する。この値は、閾値と比較される。体温情報が異常(測定中の異常も含む)と判断されると、アラームを発生させたり、音声で報知する。脈拍,血中酸素飽和度(SPO)を重ねて表示すると、インフルエンザ,RS(Respiratory Syncytial)ウイルス等の感染症等による呼吸器系疾患が容易に把握できる。
【0017】
また、電池内蔵のICタグ200を用いても通常の体温測定装置として使用できる。乳幼児などの被検者Pに対して使用者(母親,保育師,看護師,看護/介護者等)が乳幼児などの被検者Pに対して熱っぽいと感じたり、少し元気がないと感じたときに、電池内蔵の温度測定部を有するICタグ200を含む測温部を、被検者Pに対して、外耳道内に挿入したり、面ファスナー等を備える囲包部材で囲包し、着脱自在にオムツ装着したり、リストバンドに設けたりして身体の適所に装着する。体温情報は所定時間間隔で測定され、測定されたこれらの体温情報は、EEPEOM203に記憶される。このときの体温情報のピーク値をそのときの体温値として日時とともに記憶する。記憶された体温情報は、外部送受信部203,接続端子12aを介して、携帯端末50の記憶部50に記憶、表示する。この値は、閾値と比較される。体温情報が異常(測定中の異常も含む)と判断されると、アラームを発生させたり、音声で報知する。脈拍,血中酸素飽和度(SPO)を重ねて表示すると、インフルエンザ,RS(Respiratory Syncytial)ウイルス等の感染症等による呼吸器系疾患が容易に把握できる。このICタグ200は、測定間隔にもよるが測定間隔が1分で3日分程度、5分で2週間分程度、10分で1ケ月分程度の体温測定・記憶が可能となっている。測定間隔の設定は専用の書き込み装置で行なうか、本体50の入力部14で行い、接続端子12a、外部送受信部203を介して、EEPROM202に書き込まれる。
【0018】
<その他の機能・動作>
その他の機能・動作を以下に詳述する。
(1)時刻設定
携帯端末50の電源ONや携帯端末50に電池(不図示)を挿入すると、不揮発性メモリであるROM16から、現在の年・月・日・時及びそのサム値を含む必要なデータを読込む。携帯端末50の電源ON時や携帯端末50に電池が挿入されている間は、不図示の工程にて、時計(タイマ)より1時間に1回、00分毎に信号が演算処理部10に送られ、演算処理部10は当該信号を受信したら、その時点の年・月・日・時をROM16に書き込む。
【0019】
次に、読込んだ現在の年・月・日・時のサム値を計算し、読込んだサム値と等しいかを確認する。等しければそのままSLEEP状態に進む。等しくなければ、読込んだ値が不正と判断し、エラーフラグFLAGerrをセット(=1)する。
【0020】
次に、電源がONされるまでSLEEP状態で待機する。
【0021】
電源がONされたら、FLAGerrを確認し、所定条件、たとえばそれが1以外だったら検温動作に移行する。もし、FLAGerrが1だったら、日時入力処理に移行する。ここでは、日時の入力を促す画面が表示され、使用者は画面に従い、現在年月日時分を入力する。別法として、FLAGerrの値によらず、電池を挿入後、初回の電源ONの場合は常に日時入力処理に移行する方法も考えられる。その場合は、サム値及びサムチェックの機能は不要になる。また、電波時計を備えることにより、サム値及びサムチェックの機能は不要になる。こうすることで、使用者による年・月・日・時・分の設定が速やかで容易に行なえ、EEPROMの現在年月日時分が破損した場合でも、被検者P自身で正しい日付を速やかに行なえる。こうして、時計機能及びカレンダ−に基づくカレンダ−機能により、設定された現在時刻が表示部11に表示される。即ち、午前、午後を示すAM,PMとともにその時の時刻が表示される一方、この時計機能による時間カウントが24時間経過する毎に日付が更新され、この日付はカレンダ−機能により表示部11に表示される。尚、表示部11に「年」を表示するようにしてもよい。
【0022】
以上、実施例に従って説明したが、本願発明は実施例に限定されるものでなく、適宜設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例に係る温度測定部を有するICタグのブロック図である。
【図3】本発明の実施例に係る生体情報を得る測定部を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係る表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
11・・・表示部、14・・・入力部、16・・・ROM、17・・・RAM、50・・・携帯端末、100,200・・・ICタグ、101,201・・・RAM、102,202・・・EEPROM、103・・・送信受信回路、103a・・・アンテナ、106,206・・・温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体温測定装置であって、体温測定部で得た体温をトレンド記憶するとともに、脈拍,血圧,血中酸素飽和度(SPO)等の生体情報を併せて記憶し、表示可能とすることを特徴とする体温測定装置。
【請求項2】
予め得られている平常時の体温データとを比較して被検者の状態を判断する判断手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の体温測定装置。
【請求項3】
前記判断手段により判断された情報を音声,アラーム等で報知または表示することを特徴とする請求項1記載の体温測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−229079(P2007−229079A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52280(P2006−52280)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】