説明

作業車のキャビン取付装置

【課題】作業車のキャビンの簡易、軽量、小型化を図り、着脱を容易にする。
【解決手段】ルーフ1の前後から下方に亘って設けられる前・後支柱2,3にあって、この前支柱2の下端部から後側に向かって形成して、ステップフロア4支持のフロアフレーム5に取付できる前取付ブラケット6を設け、後支柱3の下端部から前側に向かって形成して、操縦席7支持の座席フレーム8に取付できる後取付ブラケット9を設けてなる作業車のキャビン取付装置の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタや防除機、コンバインなどの作業車のキャビン取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業車のキャビンは、車体側から側方にブラケットを突設して、このブラケットにキャビンの支柱を支持させて取り付けていた。
【特許文献1】特開2005−145335号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
作業車のキャビンは、車体側から側方にブラケットを突設して、このブラケットにキャビンの支柱を支持させて取付けるのが一般的であるが、車体側のフレーム構成が煩雑で重量物となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、ルーフ1の前後から下方に亘って設けられる前・後支柱2,3にあって、この前支柱2の下端部から後側に向かって形成して、ステップフロア4支持のフロアフレーム5に取付できる前取付ブラケット6を設け、後支柱3の下端部から前側に向かって形成して、操縦席7支持の座席フレーム8に取付できる後取付ブラケット9を設けてなる作業車のキャビン取付装置の構成とする。
【発明の効果】
【0005】
キャビンは、ルーフ1の前後から下方に亘って前・後支柱2,3を設ける形態であるから、構成簡単であり軽量化でき、これら前支柱2下端部から後側に向けて形成される前取付ブラケット6は、ステップフロア4を支持するフロアフレーム5に取付けて、操縦者の昇降の邪魔にならず、後支柱3下端部から前側に向けて形成される後取付ブラケット9は、操縦席7支持の座席フレーム8に取付けるものであるから、車体側の支持構成、及び、キャビンの前・後取付ブラケット6,9の着脱を簡単化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
トラクタ車体10に搭載するキャビン11の構成は、丸パイプ材を主体とするもので、平面視で方形状のルーフフレーム12の四隅部に前支柱2と後支柱3とを接合する。ルーフ1は該ルーフフレーム12の上側を覆うようにしてビス24止め等で取付けられる。該左右の前支柱2の下端部には後側に向けて前取付ブラケット6を設けて、内側に取付片13を配置し、この取付片13をフロアフレーム5の側面にボルト・ナット25等で取付、取外できる。
【0007】
左右の後支柱3の下部は前側内側部へ屈曲させて後取付ブラケット9の構成とし、この後取付ブラケット9の下端部に取付片14を有し、この取付片13を座席フレーム8にボルト・ナット26等で取付、取外できる。15は左右の後支柱3の下端部間を連結する連結杆である。
【0008】
このようなキャビン11の左右の前支柱2間には、フロントガラス16と、この左右両側下部の下部ガラス17を設け、車体10前部のハンドルポスト部を含むダッシュボート18部を左右にまたぐ形態に構成している。
【0009】
このようなキャビン11の左右両側部と後側部を被覆する場合は、透明な塩化ビニール製のキャビンシート(Shee)19で被覆できる。左右前縁部は前記左右の前支柱2部に沿って取付け、上端縁部はルーフフレーム12部に沿って取付け、下端縁部はステップフロア4から後部の座席フロア20の左右両側端部に沿って取付け、前記ルーフ1及びフロントガラス16や下部ガラス等と共に、操縦席7や、ステアリングハンドル21、座席フロア20等を配置する操縦室を被覆構成する。
【0010】
このキャビンシート19の左右両側部には、後側上部から前側部を経て下側部に亘るファスナーライン22を有して開閉できるドアシート23を設け、操縦者はこのファスナーライン22に沿って開閉操作しながら、ドアシート23を開いてキャビン11内に出入りできる。
【0011】
トラクタ車体10は、前後方向に亘るメインフレーム27の前部上に、エンジンEを搭載し、ステアリングハンドル21を支持するステアリングポスト回りのダッシュボード18を設け、後側部には側面視門形の座席フレーム8を取付けて、この上側に操縦席7を取付支持し、この操縦席7の後側から左右両側部に亘って平面視で凹字状の液体タンク28を搭載することができる。
【0012】
又、該ダッシュボード18の下端部から座席フレーム8の下側に亘って車体10上面に沿う形態のステップフロア4および座席フロア20を形成している。車体10の中央部には伝動ケース29が設けられ、前部からは前車輪30が軸装され、後部には後車輪31が軸装されて、エンジンEにより連動される。
【0013】
前記メインフレーム27の左右両側部に沿ってフロアフレーム5を配置して、このメインフレーム27と一体構成とし、ステップフロア4および座席フロア20は、これらメインフレーム27及びフロアフレーム5の上側に亘って被覆するように取付け支持される。
【0014】
前記のように車体10の後部に液体タンク28を取付けて、更に図外のポンプ及び噴霧ブーム等装着して、防除散布作業を行うときは、キャビン11にキャビンシート19を装着することにより、操縦者の操作環境を良好に維持できる。
【0015】
図5,図6において、上例と異なる点は、ルーフ1と、ルーフフレーム12と、前・後支柱2,3と、フロントガラス16と等を組立、分解自在の構成としたものである。左右の前支柱2の上端部間をL字状断面の連結杆32で連結し、ルーフフレーム12の前部には、換気用のブロワ33の下面を覆うカバーパネル34を設け、このカバーパネル34を該連結杆32上面に載せて、この重合部をボルト・ナット35,36で締付けて取付できる。又、ルーフフレーム12の後部と後支柱3との間は、このルーフフレーム12の内側に一体のボルトアップ37と、後支柱3上端のL字状断面のブラケット38との支持重合部をボルト39で締付けて取付けできる構成としている。
【0016】
このようなルーフフレーム12の上側に取付けられるルーフ1は、外周縁部40を適宜高さに下げて皿形状に形成し、この外周縁部40に段部41を形成し、この下端部に雨樋42を形成する。このルーフ1をルーフフレーム12に嵌合することにより、この段部41をルーフフレーム12に支持させる。43は連結杆32両端の案内片で、ルーフフレーム12の前端部を内側に案内位置させる。
【0017】
前記ルーフ1の下面には発泡スチロールやウレタンホームのような断熱材44を貼着し、この下側には該段部41に沿って裏ルーフボード45を設けている。
前記左右の前支柱2には、取付ステー46を設け、この取付ステー46の前側にアクリル製のコーナーボード47とフロントガラス16とを、ホルダー48とボルト49とで取付ける。このコーナーボード47は前支柱2の前面から外側面に亘って覆うように円弧状に形成し、外側端には上下方向に沿う雨樋50を形成する。51はワイパーである。52はフロントガラス16の上辺部に沿って上記同様に構成した上辺ボードで、前記ルーフフレーム12のカバーパネル34にボルト・ナットで取付ける。
【0018】
このフロントガラス16の左右両側部の下側部に連結する下部ガラス17は、全体を透明なアクリル製として、左右外側縁部のコーナーボード47をも一体構成としている。
前記キャビンシート19は、前縁部及び上縁部に沿ってフックバンド53を有して、このフックバンド53を該雨樋50,42等の樋縁54に挾持させて取付けることができる。55はファスナーライン22の外側を覆うファスナーカバーである。又、このファスナーライン22は、後端をドアシート23の後部を後支柱3に沿うように適宜位置にまで下降し、ダブルファスナーとして、ドアシート23の上半部のみを開閉して窓開閉可能の構成とすることができる。56はビニール製のドアシート23の上部に設けられる透明なアクリル製の側部窓、57は後部に設けられる同後部窓である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】キャビン部の正面図、側面図、及び後面図。
【図2】その斜視図。
【図3】前・後支柱取付ブラケット部の正面図、側面図。
【図4】ルーフ部の側断面図と、その一部の拡大断面図。
【図5】一部別実施例を示すルーフ部の側面図と、前支柱部の平断面図。
【図6】その分解斜視図。
【符号の説明】
【0020】
1 ルーフ
2 前支柱
3 後支柱
4 ステップフロア
5 フロアフレーム
6 前取付ブラケット
7 操縦席
8 座席フレーム
9 後取付ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフ(1)の前後から下方に亘って設けられる前・後支柱(2),(3)にあって、この前支柱(2)の下端部から後側に向かって形成して、ステップフロア(4)支持のフロアフレーム(5)に取付できる前取付ブラケット(6)を設け、後支柱(3)の下端部から前側に向かって形成して、操縦席(7)支持の座席フレーム(8)に取付できる後取付ブラケット(9)を設けてなる作業車のキャビン取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−298376(P2006−298376A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219904(P2006−219904)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【分割の表示】特願平9−87976の分割
【原出願日】平成9年4月7日(1997.4.7)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】