説明

作業車両のロプス

【課題】従来の作業車両におけるロプスは、フレーム強度を全体的に均一に構成していたから、転倒等で衝撃を受けると、大きい荷重の掛かった部分が変形することになって、どの部分が変形するのか、予測の出来ない課題があった。
【解決手段】この発明は、上記課題を解決するために、車体フレーム(1)に設けられたブラケット(2)や取付フレーム(3)に、基部を連結して上方に延長して構成したフレーム(6)からなる作業車両のロプスにおいて、フレーム(6)の上方部分(6a)の強度に比較して、前記ブラケット(2)や取付フレーム(3)に連結した部分から上方に延びる下方部分(6b)のフレーム強度を強く構成した作業車両のロプスである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業車両のロプスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からトラクタ等の作業車両には、万一の転倒等に備えて、乗車しているオペレータを安全に保護するために、ロプスが装着されている。
例えば、従来の公知技術として、特許文献1に示されているように、ローダ取付部材を設けた支持フレームに、センターロプスとコントロールバルブとを共着けした構成が公開されている。
【特許文献1】特開2007−247342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来から作業車両には、乗車するオペレータを、車体の転倒時に保護して安全性を高めるために、安全フレーム、すなわち、ロプスが取り付けられている。従来のロプスは、広く知られているように、全体の強度を均一した1個、乃至数個のフレームを1本状に連結して構成されていた。
【0004】
したがって、従来の作業車両におけるロプスは、転倒等で衝撃を受けると、大きい荷重の掛かった部分が変形し、破損することになって、どの部分が破損するのか、予測の出来ない課題があった。
【0005】
したがって、従来、ロプスは、荷重によって曲がったり、倒れたりする危険性が強く、その周辺にセンサ等の計測器やオペレータの座るシート等を接近させて設置できず、折り曲がっても接触が回避できる程度の安全上のスペースを確保する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、車体フレーム(1)に設けられたブラケット(2)に取り付けられた取付フレーム(3)に、基部を連結して上方に延長するフレーム(6)を設けた作業車両のロプスにおいて、前記フレーム(6)は前記取付フレーム(3)に連結する下方部分(6b)と、該下方部分(6b)から上方に延びる上方部分(6a)とから構成され、上方部分(6a)のフレーム強度に比較して下方部分(6b)のフレーム強度を強く構成したことを特徴とする作業車両のロプスとした。
【0007】
請求項2に記載した発明は、フレーム(6)の下方部分(6b)は中空の筒状に形成する外筒(g)と、該外筒(g)の内部に中空に形成する内筒(h)との二重構造とし、上方部分(6a)は外筒(g)の単一構造に構成した請求項1記載の作業車両のロプスとした。
【発明の効果】
【0008】
まず、請求項1に記載した発明は、ロプスを構成しているフレーム(6)において、予め、上部と下部とで強度に差を設け、衝撃を受けたときに、変形する部分を上部に集中させた特徴を有する。
【0009】
すなわち、請求項1の発明は、フレーム(6)が、外部から衝撃を受けると、強度上、弱い上方部分(6a)が変形することとなり、強度を強く構成した下方部分(6b)が受ける荷重が、逆に小さくなって、車体フレーム(1)との取付用のブラケット(2)や取付フレーム(3)が影響を受けることが少なくなる特徴がある。
【0010】
そして、請求項2に記載した発明は、下方部分(6b)を、外筒(g)と内筒(h)の二重構造によって、強度をアップする構成としているから、比較的製作が容易となり、低コストで製作できる特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明を、作業車両5の実施例として、図面に示す農業用トラクタ5に装備しているフレーム6について具体的に説明する。
まず、トラクタ5は、図1、乃至図3に示すように、前部のボンネット11内にエンジン12を搭載し、このエンジン12の後部に主クラッチを内装するクラッチハウジング、更に、変速装置を内装するミッションケース13を一体に連結して設けている。そして、前記ミションケース13の左右両側にリヤアクスルケース14を設け、左右両側の同ケースの端部に後輪15,15を軸架して設けている。
【0012】
また、前記エンジン12の下方には、フロントアクスルケース16,16を前後軸心周りにローリング自在に設けると共に、この両側端に前輪17,17を操向自在に設けている。
【0013】
そして、シート7は、トラクタ5の車体上、後部位置に配置し、前方には操作パネルや表示パネル、更にはステアリングハンドル18、その他、各操作レバー類を集中して配置した構成としている。
【0014】
そして、フロア19は、前記シート7の前側から左右両側に渡って配置されており、それのマウント22を図7、乃至図9に示すように、後部フェンダー23の下側に設け、安定した支持ができる構成としている。なお、図面において、Mは、従来のマウントの位置を示している。このように、実施例は、マウント22の位置を、従来のマウント位置Mより高くしてフロア19に近い位置で支持することによって安定した支持ができるものとなった。
【0015】
そして、マウント22は、図10、及び図11に示すように、ステップ24の支持場所については、オペレータが乗降する際に最も大きな荷重が掛かる一定範囲の中央部位が理想的であるから、その部分を選択して設けた構成としている。
【0016】
つぎに、車体フレーム1に取付けた安全フレーム、すなわちロプスについて説明する。
まず、ロプスは図1、及び図2に示すように、トラクタ5の車体の下部両側に前後方向に配置して枠組みして設けている車体フレーム1の外側に突出させて左右両側にブラケット2を設け、このブラケット2に取付た取付フレーム3からそれぞれ上方に向けて延長したフレーム6から構成している。そして、フレーム6は、前記取付フレーム3の上部に連結具20によって連結、支持されて車体の上方をループする構成としている。
【0017】
図2に示すようにロプスはステアリングハンドル18より前側に設けるセンターロプスか、図3に示すようにシート7より後側に設けるリヤロプスがある。
そして、上記フレーム6は、図1、及び図4に示すように、取付フレーム3に連結具20によって連結した部分から上方に延びる一定長さの部分を下方部分6bとして、該下方部分6bを角材の外筒gと内筒hとの二重構造に構成している(図4のB参照)。そして、下方部分6bに一体に形成されて連続して上方に伸びて前記ループ状に形成する部分を上方部分6aとして、該上方部分6aは前記角材の外筒gの単一構造で構成している(図4のA参照)。
【0018】
したがって、フレーム6は、フレーム6を上方部分6aのフレーム強度に比較して、連結具20によって取付フレーム3に連結した部分から上方に延びる下方部分6bのフレーム強度を強く構成したことになる。
【0019】
そして、前記したシート7は、図3に示すように、フレーム強度を強くした下方部分6bに接近させて後方にさげて配置した構成としている。
このように、実施例に係るフレーム6は、フレーム強度を、上方部分6aと下方部分6bとに差を設けて構成しているから、例えば、トラクタ5が転倒したとき衝撃を受けると、上方部分6aの強度的に弱く形成している部分に変形が集中してエネルギーを吸収するから、逆に、下方部分6bが受ける荷重が小さくなって、車体フレーム1との取付部分が影響を受けることが少なくなる。
【0020】
そして、車体の転倒等の衝撃を受けたとき、前述のとおり、下方部分6bは、上方部分6aに比較して折れ曲がりがほとんど発生しなくなるから、下方部分6bの周囲に確保する必要があった安全上のスペースを狭くすることが可能となった。したがって、シート7は、図3において実線で示すように(従来の位置を仮想線で示す)、後にさげてフレームに接近して設置できるものとなり、そのため、シート7の前側に比較的広い余裕スペースが確保できるから、オペレータが楽に座って運転操作ができるものとなった。
【0021】
更に、実施例のフレーム6は、フレーム6の下方部分6bを、中空素材の外筒gと内筒hの二重構造によって、強度アップする構成としているから、比較的製作が容易となり、低コストで製作できる。
【0022】
なお、本件出願のフレーム6のフレーム強度を高める手段は、図4に示したように、中空素材の二重構造に限定するものではなく、図3に示すように、強化する部位のフレーム側面に補強板21を溶接して強度を強くすることも出来る。
【0023】
そして、フレーム6は、図5、及び図6に示すように、ミッションケース13の両側にブラケット2,2によって支持した左右の取付フレーム3,3の上部に背面視ループ状に形成したフレーム6を連結して支持した構成としている。そして、実施例の場合、フレーム6は、フレーム6の中間部位に、本件出願で下方部分6bと称する二重構造にして強度を強くした部分を配し、その上側に単一構造にして強度を弱くした部分(絶対強度を弱く構成したものではなく、「比較の上で弱い」構造の意味)をループ状に一体構成にしている。
【0024】
この場合、フレーム6は、衝撃を受けると、図6に示すように、上方部分6aに相当する部位から曲がって他の部分には影響が少なくなるものである。
つぎに、トラクタ5の他の装置に関する実施例を説明する。
【0025】
まず、高圧送油ホースの配管を改良(A・B・Cの3本ホース→(A・B・Cの3本→a、b2本)2本ホースにする)してコストダウンを図った実施例を説明する。
従来、図12に仮想線で示すように、パワステ機構に組み込まれているオービット30からチエックバルブ(仮想線で示す)31を経由してオイルクーラ(仮想線で示す)32を通り、HST(チャージ回路)33に送油していた一連のオイルの送油ホースA・B・Cの3本のホースを、この実施例では、a、bの2本の送油ホースに改良したものである。
【0026】
まず、オイルクーラ32は、図12に実線で示すように、チエックバルブ31を下側に配置して一体構成とし、上記説明の送油ホースAに代わる送油ホースaによってオービット30から、オイルクーラ32と一体に構成したチエックバルブ31に送油し、オイルクーラ32を経由して、送油ホースbでHST(チャージ回路)に送油できる構成としている。
【0027】
したがって、実施例は、従来、3本の高圧送油ホースA・B・Cを要した構成を、送油ホースa、bの2本の高圧送油ホースにして配管構成を簡略化した特徴がある。この場合、実施例は、送油ホースa、bが高圧ホースであるから、大幅なコスト低減になる効果がある。
【0028】
つぎに、トラクタ等の燃料タンクについて、車体35の左右両側に燃料タンク36,36を搭載した実施例を、図14以降の各図に基づいて説明する。
まず、従来から燃料タンク36は、トラクタ等の作業車両に装備する場合、車体35の左右バランスを配慮しながら一度に多量の燃料を搭載して燃料補給の回数を減らし、連続作業時間を長くするために、車体35の左右両側に装備する構成がある。この場合、左右の燃料タンク36,36は、両方のタンク底を連通パイプ37によって連通して左右を一体のタンクの如くした構成がとられている。
【0029】
このように、車体35の左右両側に装備した燃料タンク36,36は、傾斜地で作業をする場合、車体35を等高線に沿った方向に走行すると、車体35が左右に傾斜するのに伴って、左右の燃料タンク36も傾斜して内部に充填している燃料が一方側のタンク36に偏り、燃料の吸い込みができない状態になる課題がある。
【0030】
そこで、第一実施例の場合、車体35の左右両側に搭載した燃料タンク36,36は、図14、及び図15(A)(B)に示すように、両タンク36,36の底を連通パイプ37で連通して一体とした構成とし、その連通パイプ37の中心部位に吸引パイプ38の吸引口39を臨ませた構成としている。
【0031】
したがって、第一実施例は、傾斜地の走行に伴い車体35が傾斜して左右の燃料タンク36,36が、図15(A)(B)に示すように、傾斜しても吸引パイプ38の吸引口39を連通パイプ37の中心部位(車体35の左右中心部)に位置させているから、燃料の吸込みが継続できてガス欠を防ぐことができる特徴がある。
【0032】
つぎに、第二実施例を、図16、及び図17に基づいて説明する。
まず、第二実施例は、図16に示すように、右燃料タンク36の内部に燃料ゲージ(油面計)40を設け、燃料の残量が計測できる構成とし、吸引パイプ38の吸引口39を左燃料タンク36の内側底面に臨ませて構成している。そして、第二実施例は、車体35が水平状態にあるとき、燃料タンク36に貯留されている燃料の残量を、前記燃料ゲージ40で計測して図外のコントローラに入力して記憶する構成とする。そして、上記コントローラは、燃料ゲージ40が計測した残量と、燃料タンク36の上面に設けた傾斜センサ41が計測する傾斜角度とを対応させて演算しながら、燃料の残量ごとに傾斜角度との関係で前記吸引パイプ38の吸引口39から燃料の吸引が可能な時期を判定する構成となっている。そして、コントローラは、例えば、燃料残量が50の場合、傾斜角20度が吸引可能な限界位置であることを判定し、記憶しておき、限界位置に達する前にブザー、その他の手段で警報を発する構成としている。
【0033】
要するに、第二実施例は、燃料タンク36,36内に残留する燃料の残量と、タンク36の傾斜角度との関係で吸引パイプ38の吸引口39が吸引不可能になる前に、ブザー等で警報を発して、オペレータに知らせることができる特徴がある。
【0034】
そして、第三実施例は、図外のコントローラが燃料タンク36内の有効残量を表示パネルに表示してオペレータに知らせることができる構成として、ガス欠の未然防止を図るものとしている。
【0035】
具体的には、図16において、燃料タンク36,36内の燃料は、傾斜センサ41が水平を検出しているときに、燃料ゲージ40が計測した計測値が、有効燃料残量としてそのまま表示される。そして、コントローラは、傾斜センサ41から傾斜度の検出値が入力されると、燃料ゲージ40が計測した計測値に、傾斜ごとに設定している係数(水平時を100%とし傾斜度が大になれば、それに応じて小となる置換率)を乗じて算出した有効燃料残量を表示することができる。
【0036】
つぎに、第四実施例は、図18、乃至図23に示すように、左右の燃料タンク36,36に連通した吸引パイプ38,38の端部に簡易切替バルブ43を接続して、車体35が傾斜したとき、上記バルブ43が自動的に切り替わって低い側の燃料タンク36から燃料の吸引ができる構成になっている。
【0037】
この場合、簡易切替バルブ43は、図19に示した例では、箱体44を主要部とし、前記吸引パイプ38,38の端部を箱体44の左右下部に連通し、上側にエンジンに連通させた吸引作用が働く燃料ホース45を連通して構成している。そして、バルブ46,46は、左右が一体に連結されて、両側部に張圧ばね47,47を設けて張圧し、車体が傾斜すると、高い位置の吸引パイプ38の送出し口が閉じ、低い位置の吸引パイプ38の送出し口が開く構成となっている。
【0038】
したがって、簡易切替バルブ43は、車体の傾斜に関連して一体的に箱体44が傾斜して上記の通り、常に、低い(下がった)燃料タンク36側から燃料の吸引ができる構成となっているから、トラクタを傾斜地で等高線に沿わせて走行させても、傾斜によるガス欠が発生することはない。
【0039】
つぎに、前記簡易切替バルブ43の改良型につき、図20と図21の構成例を説明する。
まず、簡易切替バルブ43は、図面に示すように、箱体44の底面を左右両端を高く、中央部を低く傾斜させて形成し、左右のバルブ46,46を一体の球状に形成し、張圧ばね47,47によって張圧保持する構成としている。そして、箱体44は、下側から左右のタンク36,36に接続した吸引パイプ38,38を連通して開口48,48し、上側には燃料ホース45を連通してエンジン側に燃料を送る構成としている。
【0040】
そして、箱体44は、図面に示すように、内部の上面に、前記燃料ホース45の出口を挟んで両側に球面状のストッパー50,50を下側に突出させて設け、前記左右のバルブ46,46が、前記吸引パイプ38,38に連通している開口48,48を塞ぐ位置から中央側に移動するのを規制する構成としている。
【0041】
このように構成することによって、図20、及び図21の簡易切替バルブ43は、車体35、燃料タンク36,36と共に傾斜すると、図21のように、高い側の開口48が球状のバルブ46で塞がれ、低い燃料タンク36に連通した吸引パイプ38から燃料が吸引されて燃料ホース45に吸引され、エンジン側に送られることになる。
【0042】
つぎに、簡易切替バルブ43は、図22、及び図23に示す構成例では、箱体44内のバルブ46を一個の球体に形成し、車体35の傾斜に関連して一体的に傾斜する箱体44の内部で、低い側の吸引パイプ38を塞ぐ構成としている。そして、実施例は、図22に示すように、一端を左右の燃料タンク36,36に接続して燃料を吸引しながら箱体44まで送る左右の吸引パイプ38,38を、簡易切替バルブ43に接続する前に、左パイプと右パイプとを交差させて左右を逆にして接続した構成としたものである。
【0043】
したがって、簡易切替バルブ43は、図23に示すように、傾斜に伴って下方に移動する球状のバルブ46が低い側の開口(吸引パイプ)48を塞ぎ高い位置の開口(吸引パイプ)48から、燃料が吸引できる。そのとき、簡易切替バルブ43は、高い位置の開口48が、低い位置の燃料タンク36に連通した吸引パイプ38になっているから、傾斜によって下がった側の燃料タンク36から燃料の吸引ができ、燃料ホース45によって吸引されてエンジン側に供給される。
【0044】
つぎに、第五実施例は、図24、及び図25に示すように、吸引タンク51を、左右両側の燃料タンク36,36の間に配置して、3個の各タンク51,36,36を底の位置で一連状態に連通した構成としている。そして、中間の吸引タンク51は、燃料ホース45を連通して図外の吸引ポンプを介してエンジン側に燃料を送る構成としている。そして、燃料ゲージ40は、一方側の燃料タンク36と、中間に配置した前記吸引タンク51との両方に設け、水平時には燃料タンク36側で計測し、傾斜時には吸引タンク51側で計測する構成としている。
【0045】
以上のように構成したから、第五実施例は、傾斜地において、等高線に沿って走行して車体35が傾斜し、一体的に左右の燃料タンク36,36が傾斜しても、中間に設けた吸引タンク51に溜められた燃料がエンジンに供給できる特徴がある。そして、燃料の残量表示は、傾斜時には吸引タンク51で計測してエンジンに送油可能な燃料の量が操縦位置の表示パネルに表示できる特徴がある。
【0046】
そのとき、燃料タンク36の燃料ゲージ40は、機能を休止させるものとしており、従来装置の課題のほとんどを解消できる。
そして、前記第五実施例の改良型として、図26に示す構成例は、車体35の傾斜時に高い側の連通パイプ37の開口52を塞ぐ球状の弁53を設けて構成している。この場合、弁53は、メッシュ状の仕切壁54の範囲内を上下する軽油より若干比重の軽い素材として燃料上面に浮く構成としている。
【0047】
このように構成すると、燃料は、低い側のタンク36から吸引されて燃料ホース45を通ってエンジン側に供給できるものとなり、傾斜に伴う、ガス欠の発生を少なくすることができる。
【0048】
つぎに、図27に示す実施例は、既に、図18、及び図19で説明した簡易切替バルブ43を、コントローラ55から出力する制御信号で切り替える電磁バルブ56に構成したものである。そして、コントローラ55は、車体35に装備した傾斜センサ57に接続し、傾斜度の検出値が入力される構成としている。
【0049】
上記実施例の場合、コントローラ55は、傾斜センサ57から車体の傾斜度が5度以上に達した検出値が入力されると、前記電磁バルブ56,56の切替信号を出力して高い側の開口48を塞いで傾斜によって下がった燃料タンク36側から燃料の吸引搬送ができるように切替制御することになる。このように、実施例では、コントローラ55は、傾斜度を5度に設定しているが、これにこだわらず、適宜選択して設定することができる。
【0050】
そして、コントローラ55の制御条件は、ガス欠の発生しない傾斜度を選定して任意に設定できるものであって、例えば、5度、7度、10度等の設定値を決めることができる。そして、コントローラ55は、継続時間を要件として、例えば、7度以下の傾斜が30秒以上継続すると、電磁バルブ56を元に戻して両側の燃料タンク36,36から燃料の吸引ができるようにする等設定することも可能である。
【0051】
つぎに燃料の残量表示について一例を説明する。
通常、燃料表示は、操縦席の表示パネル(モニタ)60に表示するのが一般的であるが、傾斜地作業における燃料の残量表示は、ガス欠を未然に防止するために慎重を要する。
【0052】
ここに、一つの実施態様として、図28、及び図29に表示例を示し、説明する。
まず、コントローラ55は、図28に示すように、傾斜センサ57と左右両側の燃料タンク36,36の一方側に装備した燃料ゲージ40を入力側に接続し、出力側に表示用のモニタ60を接続した構成としている。
【0053】
そして、トラクタを傾斜地で走行する場合、図29の説明図に示すような表示基準を定めておく必要がある。
すなわち、コントローラ55は、車体の傾斜度が5度を基準として、3分以上継続する場合と、3分未満とに分類し、3分未満であれば通常作業と判断して通常とおりの燃料表示を行う。そして、モニタ60への表示は、傾斜センサ57が3分以上継続して5度以上の傾斜度を検出し続けた場合、谷側(低い側の燃料タンク36に燃料ゲージ40が装備されている場合)の検出では、検出値の3分の1の数値を残量として表示する構成としている。そして、コントローラ55は、山側(高い側の燃料タンク36に燃料ゲージ40が装備されている場合)の場合には、検出値がある場合(燃料がある場合)には、検出値の2倍の数値を残量として表示し、0検出の場合には、トラクタを停止して、有無を確認するか、すぐ平坦地に移動して燃料残量を確認、計測するものとしている。
【0054】
以上述べたように、第一から第五実施例に至る各実施態様は、燃料タンク36,36を車体35の左右両側に搭載したトラクタにおいて、傾斜地の作業を行う場合、如何にしてガス欠を未然に防止し、燃料の残量を正しくモニタ60に表示するかについて提案したものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】トラクタの正面図
【図2】トラクタの側面図
【図3】トラクタの側面図
【図4】ロプスの横断面図
【図5】ロプスの実施例を示す背面図
【図6】ロプスの実施例を示す側面図
【図7】マウントの位置を示す実施例の背面図
【図8】マウントの位置を示す実施例の平面図
【図9】マウントの位置を示す実施例の側面図
【図10】ステップを支持するマウント位置を示す実施例の平面図
【図11】マウント位置を従来のマウント位置と比較して示す説明図
【図12】高圧送油ホースの配管図を示した説明用の図
【図13】オイルクーラーの正面図
【図14】燃料タンクの配置図
【図15】(A)(B) 傾斜地作業時の燃料タンクの傾斜状態を示す作用図
【図16】燃料タンクの配置図
【図17】燃料タンクの傾斜状態を示す正面図
【図18】簡易切替バルブの切断正面図
【図19】簡易切替バルブの作用正面図
【図20】別実施例の簡易切替バルブの正断面図
【図21】別実施例の簡易切替バルブの作用図
【図22】別実施例の簡易切替バルブの正断面図
【図23】別実施例の簡易切替バルブの作用正面図
【図24】吸引タンクを備えた燃料タンクの正面図
【図25】吸引タンクを備えた燃料タンクの作用正面図
【図26】吸引タンクを備えた燃料タンクの作用正面図
【図27】制御機構と電磁バルブを装備した簡易切替バルブ正断面図
【図28】モニタの制御機構を示す説明図
【図29】傾斜度と表示との関係を示す説明図。
【符号の説明】
【0056】
1 車体フレーム 2 ブラケット
3 取付フレーム
5 作業車両 6 フレーム
6a 上方部分 6b 下方部分
7 シート 8 中空素材。
【0057】
g 外筒 h 内筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(1)に設けられたブラケット(2)に取り付けられた取付フレーム(3)に、基部を連結して上方に延長するフレーム(6)を設けた作業車両のロプスにおいて、前記フレーム(6)は前記取付フレーム(3)に連結する下方部分(6b)と、該下方部分(6b)から上方に延びる上方部分(6a)とから構成され、上方部分(6a)のフレーム強度に比較して下方部分(6b)のフレーム強度を強く構成したことを特徴とする作業車両のロプス。
【請求項2】
フレーム(4)の下方部分(6b)は中空の筒状に形成する外筒(g)と、該外筒(g)の内部に中空に形成する内筒(h)との二重構造とし、上方部分(6a)は外筒(g)の単一構造に構成した請求項1記載の作業車両のロプス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−173240(P2009−173240A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16453(P2008−16453)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】