説明

作業車両

【課題】暗夜や積雪時などで障害物が視認できないときに車体の走行位置をGPS受信装置で受信して、障害物判断処理を実行する制御手段を具備した作業車両を提供する。
【解決手段】地図情報を格納するデータベースD1と、前記地図情報に基づく作業機の位置検出手段及び位置表示手段とを有する作業車両において、作業車両の走行時に、現在の走行位置と、データベースD1に格納された障害物地図情報と比較し、障害物が近づくと警報を発する。また、前記警報時に、障害物の種類と位置を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両の技術に関し、特に暗夜や積雪時など障害物が容易に視認できないときの障害物判断処理を実行させる制御手段を具備する作業車両の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS衛星からの電波を受信して車体の走行位置を認識するGPS(グローバルポジショニングシステム)受信装置を備えた農業用作業機は公知となっている(特許文献1参照)。これにより、例えば運転部のモニタに走行位置等を表示することにより、作業者に運転操作をしながら運転状態などの確認を容易に可能とさせる。また、前記GPS受信装置から位置情報を管理者に送信することにより、管理者が作業車両を管理することを容易としている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−187455号公報
【特許文献2】特開平11−203523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、暗夜や積雪時などで農作業をしたり、除雪作業をしたりするために作業車両を運転する場合、障害物と接近していることを認知することができず、突然障害物と接触する可能性があった。また、予め障害物があることは認識しているが、その障害物の位置を特定できない場合には、障害物付近を迂回して作業することとなり、効率的な作業ができなかった。
そこで本発明はかかる課題に鑑み、暗夜や積雪時などで障害物が視認できないときに車体の走行位置をGPS受信装置で受信して、障害物判断処理を実行する制御手段を具備した作業車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、地図情報を格納するデータベースと、前記地図情報に基づく作業機の位置検出手段及び位置表示手段とを有する作業車両において、作業車両の走行時に、現在の走行位置と、データベースに格納された障害物地図情報と比較し、障害物が近づくと警報を発するものである。
【0006】
請求項2においては、前記警報時に、障害物の種類と位置を表示するものである。
【0007】
請求項3においては、地図情報を格納するデータベースと、前記地図情報に基づく作業機の位置検出手段及び位置表示手段とを有する作業車両において、作業車両の走行時に、現在の走行位置と、データベースに格納された農道地図情報と比較し、農道側端に所定距離近づくと警報を発するものである。
【0008】
請求項4においては、前記データベースにおいて、地図情報に側溝位置及び河川位置情報及び法面位置情報を加えて格納するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、視界の悪い夜や雪の中のように地面の凹凸や溝等の障害物を作業者が発見しづらい状況での走行及び作業時に、障害物を回避して走行可能とする。
【0011】
請求項2においては、溝や縁石やガードレールや欄干や標識や看板や電柱等の障害物の種類が判るので、回避方向が容易に判り、回避方法を容易に判断できる。
【0012】
請求項3においては、視界の悪い夜や雪の中など農道の側端が目視し難い状況において農道を走行する場合、作業車両が側端に近づきすぎて脱輪や転倒するのを防止する。
【0013】
請求項4においては、特に、側溝や河川や法面に作業車両が突っ込むと転倒のおそれがあるため、側溝や河川や法面を認識しながらできるだけ離れて走行することができ、大きな事故を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る作業車両の全体的な構成を示した側面図、図2は作業車両の平面図、図3は操向制御及び通信制御のブロック図である。図4はGPSによるトラクタ位置情報を示す概略図、図5は障害物判断処理の流れ図、図6はGPSによるトラクタ位置情報を示す概略図、図7は障害物判断処理の流れ図、図8は(a)表示部に表示する警告の一例を示す図、(b)表示部に表示する警告の一例を示す図である。
【0015】
本実施例に係る作業車両の一実施例であるトラクタについて、図1及び図2を用いて説明する。なお、本実施例にかかる作業車両はトラクタに限定するものではなく、例えば散布機やコンバインや除雪機やローダなどに本発明を適用することもできる。
1は作業車両の一例であるトラクタの走行機体で、走行機体1の前後部に夫々前輪2・2と後輪3・3とを備え、前記走行機体1前部のボンネット4内には図示せぬエンジンが配置されている。該ボンネット4の後方にはステアリングハンドル5が配設され、該ステアリングハンドル5の後方には運転座席6が配置されている。また、運転座席6の側部には主変速レバー、副変速レバー、PTO変速レバー、ポジションレバー等が配設されている。
エンジンの後部にはクラッチハウジング7が配置され、クラッチハウジング7の後部に図示せぬミッションケースが配設され、該ミッションケースの左右両側面に固設した後車軸ケースを介して後輪3・3が取り付けられており、前記エンジンからの駆動力を前輪2・2及び後輪3・3に伝達可能として駆動する。
【0016】
前記クラッチハウジング7の上部にフロア9が設けられており、該フロア9の正面視右側方下部には作業者が運転座席6に乗り込むための補助ステップ10が配設されている。前記フロア9前方の左右にはブレーキペダル11とクラッチペダル12が配設されている。
前記フロア9の後方には前記後輪3・3の上方を覆うための左右フェンダ16・16と、機体後部を保護するリヤカバー18と、前記左右フェンダ16・16の内側下部に配置され機体側面を保護する側板が一体的に連結固定されている。
前記走行機体1後方には、三点リンク機構13を介して作業機の一例である耕耘ロータリ装置14を昇降自在に装設させて耕耘作業を行うように構成している。
【0017】
次にトラクタの制御手段について図3を用いて説明する。
前記トラクタのエンジンの回転数をアクセルの設定回転数に自動的に調節する電子ガバナなどのエンジン制御機構23と、前記トラクタの走行速度を自動制御する油圧無段変速装置などの変速機構24と、前記トラクタの走行進路を自動的に変更する油圧操向装置などの操向機構25と、トラクタを片ブレーキ状態として左右旋回させる左右ブレーキ機構26と、前記トラクタが方向転換するときに耕耘ロータリ装置14を自動的に上昇及び下降させる油圧昇降シリンダなどの昇降機構27とを操向コントローラ28に接続させている。また、前記トラクタの方位を検出する方位センサ29と、トラクタの前後傾斜を検出するピッチングセンサ30と、トラクタの左右傾斜を検出するローリングセンサ31と、ステアリングハンドル5のハンドル軸の回転などより操舵角を検出する操舵角センサ32と、ミッションケースの副変速出力軸の回転より前輪2・2の回転を検出する車輪回転センサ33とを操向コントローラ28に接続させている。前記操向コントローラ28は、演算部(CPU)、記憶部(ROM、RAM、ハードディスク)等を備えた制御手段40より構成されている。前記制御手段40は電子計算機によって構成されている。
【0018】
また、前記操向コントローラ28とは別に通信制御用コントローラ41を設けている。
前記制御手段40には、通信制御用コントローラ41が操向コントローラ28と共に構成されている。GPS衛生からの電波を受信するGPS受信機42が入力側に接続されており、出力側には通信制御用コントローラ41の記憶部に記憶したデジタルマップ上に車体の現在位置情報を画面表示する表示部43が接続されている。また、前記トラクタにはユーザー用カメラ44とマイク45がステアリングハンドル5前方のダッシュボード上に配設され、作業機用カメラ46が安全フレームの上部に配設され、温度センサ47が運転席近傍に配設され、それぞれ前記通信制御コントローラ41の入力側に接続されている。但し、カメラ44・46やマイク45や温度センサ47の配置位置は限定するものではなく、ユーザー用カメラ44は作業者の周辺を撮影し、作業機用カメラ46は作業機及び作業状態を撮影し、マイク45は作業者や作業機や車両が発する音を録音でき、温度センサ47は本体周囲温度温度を検知できる位置であればよい。
前記カメラ44・46で撮影した画像データやマイク45で収集した音声データや温度データは前記通信制御用コントローラ41の記憶部に記憶する。前記ユーザー用カメラ44及びマイク45はトラクタ周辺の状況、トラクタ本体の状況、及び作業者の状況を撮影および収集することが可能となっている。作業用カメラ46は作業機自体の状態や作業機による作業状態を撮影可能となっている。また、前記制御手段には、デジタルマップに記載する溝や縁石やガードレールや欄干や標識や看板や電柱等の障害物の位置情報を格納したデータベースD1が接続されている。前記データベースD1は専用の記憶装置を用いて構築される。
【0019】
また、前記操向コントローラ28及び通信制御コントローラ41を構成する制御手段40はインターネットと接続して前記方位センサ29、ピッチングセンサ30、ローリングセンサ31、操舵角センサ32及び車輪回転センサ33から入力されるデータと、GPS受信機42で受信した位置情報、カメラ44の画像データ、マイク45の音声データを監視センターに送付し、監視センターでは該送付されたデータ及び情報を分析し、表示可能とし、データベースD1に蓄積するようにし、トラクタや作業者の異常や事故等を未然に防止し、異常や事故等が生じた場合には原因を容易に追求できるようにしている。
【0020】
つまり、このように構成することにより、監視センターに、作業者やトラクタ(本機)及び作業機の状況の詳細なデータを常時送信することが可能となるため、トラクタや作業機の異常を発見することにより故障や事故等を未然に防止し、故障を早期に発見し、トラクタの効率的な保全を図ることができる。また、故障や事故が発生した場合には、その原因を容易に追求して分析することが可能となり、容易に修理することができ、今後の故障や事故を防止するための対策を容易に講じることができる。さらに、作業状態を録画(撮影及び録音)することにより、作業効率や作業精度が低下した場合の原因究明や、作業効率や作業精度を上げるための対策や、作業状態の変化する原因究明等を図ることができる。
また、作業者の作業状況を監視することで、居眠りやよそ見等に対して注意したり、作業者自身の表情や行為に対して病気等の異常がないかの確認したり、作業者の異常行動により誤作動や不慮の事故が発生したか等を発見したりすることができ、画像データ及び音声データに基づいてその対策も容易にできるようになるのである。
【0021】
また、該制御手段40には、操向コントローラ28及び通信制御コントローラ41としての制御機能だけでなく、その他、開発試験時に必要な計測、解析機能を追加することが可能となっている。また、追加する計測、解析機能によっては、操向コントローラ28及び通信制御コントローラ41の制御機能に影響を与えない構成となっている。すなわち、追加する計測、解析機能と操向コントローラ28及び通信制御コントローラ41とを並列に実行することが可能となっている。
【0022】
そして、前記GPS受信機42のアンテナは、前記表示部43の上部に配設している。また、方位センサ29やピッチングセンサ30を運転座席6付近に配置させるように構成している。
前記GPS受信装置であるGPS受信機42を備えたことにより、GPS衛星からの電波を受信してトラクタの走行位置を認識することが可能となる。また、運転座席6の前方に、デジタルマップ上に走行機体1の現在位置情報を画面表示する表示部43を配設して、運転操作しながらの運転状態などの確認を容易に可能とさせて、作業能率を向上させることができるものである。
【0023】
次に、トラクタ走行時の障害物判断処理について説明する。
トラクタ走行時の障害物判断処理では、前記GPS受信機42から受信した現在位置情報と、予め制御手段40に接続されたデータベースD1に記憶していた障害物の位置とを照合し、障害物とトラクタの走行機体との距離が設定値以内になった(接近した)場合に、作業者に対して警報等を発して知らせるものである。このように構成することにより、視界の悪い夜や雪道の走行のように地面の凹凸や溝等の障害物を作業者が発見しづらい状況での走行及び作業時に、障害物を回避して走行可能とする。
【0024】
以下、図5を用いて障害物判断処理の流れについて説明する。
まず、トラクタの走行を開始し、トラクタの走行機体1の現在位置をGPS受信機42によって受信する(ステップ10)。この際、図4に示すように、トラクタの走行機体1の中心線C1と平行で、走行機体の右端位置を通る直線R1及び走行機体の左端位置を通る直線L1が演算され求められる。なお、走行機体1の右端位置とは、耕耘ロータリ装置14などの作業機を装着している場合には、最外側に位置する走行機体1本体または作業機の位置のことを指し、左も同様とする。
次に前記制御手段40に接続されたデータベースD1に格納されたデジタルマップに障害物を記載したものを呼び出し(ステップ20)、前記GPS受信機42から受信した走行機体の現在位置情報と照合することにより、トラクタの走行機体1の現在位置及び周辺の障害物情報を、運転座席6前方の表示部43に表示する。ここで障害物とは、例えば側溝や地面の隆起又は陥没等である。また障害物を記憶したデジタルマップについては、インターネットを介して取得することも可能である。
【0025】
更に、前記制御手段40の演算部では、障害物とトラクタの走行機体1の右端位置を通る直線R1との距離DR(図4参照)と、障害物とトラクタの走行機体1の左端位置を通る直線L1との距離DL(図4参照)とを計算し(ステップ30)、距離DLと距離DRとを比較する(ステップ40)。なお、走行機体1の右端位置とは、耕耘ロータリ装置14などの作業機を装着している場合には、最外側に位置する走行機体1本体または作業機の位置のことを指し、左も同様とする。
距離DRが距離DLよりも短い場合には(ステップ40:YES)、この距離DRが基準となる設定値Aよりも小さくなるかどうか判断し(ステップ50)、距離DRが設定値Aよりも小さくなる場合には(ステップ50:YES)、機体右端が障害物に接触する危険があるものとして、図8(a)に示す警告を表示部43に表示し、警報音を鳴らして作業者に対して警告を行う(ステップ51)。このように警告を表示することにより、作業者に障害物を避けるように左へステアリングハンドル5を切ることを促すことができる。一方距離DRが設定値Aよりも大きくなる場合には、機体が障害物に接触する危険がないものとして通常走行を行う(ステップ60)。
【0026】
距離DLが距離DRよりも長い場合には(ステップ40:NO)、この距離DLが基準となる設定値Aよりも小さくなるかどうか判断し(ステップ70)、距離DLが設定値Aよりも小さくなる場合には(ステップ70:YES)、機体左端が障害物に接触する危険があるものとして図8(b)に示す警告を表示部43に表示し、警報音を鳴らす等して作業者に対して警告を行う(ステップ71)。このように警告を表示することにより、作業者に障害物を避けるように右へステアリングハンドル5を切ることを促すことができる。一方距離DRが設定値Aよりも大きくなる場合には、機体が障害物に接触する危険がないものとして通常走行を行う(ステップ80)。
【0027】
なお、設定値Aは運転部に設けた設定器により変更可能としており、最初から障害物との距離が近い位置で走行する場合には設定値Aを小さくすることにより、効果的に警告をすることが可能となる。
このように構成することにより、作業者が暗夜や積雪など障害物を視認できない状況でも、障害物の存在を認識できる。また、警告を表示部に表示し、警報音を鳴らすことにより、作業者に障害物の回避を促すことができる。
【0028】
また、前記障害物判断手段は、トラクタが農道を走行する際に、前記GPS受信機42から受信した現在位置情報と、予め制御手段40に接続されたデータベースD1に記憶していた農道地図情報における農道側端の位置とを照合し、側端とトラクタの前輪または車輪(または走行機体)との距離が設定値以内になった(接近した)場合に、作業者に対して警報等を発して知らせることができる。前記データベースD1の地図情報にはさらに側溝位置及び河川位置情報及び法面位置情報を加えて格納することができる。
【0029】
以下、図7を用いて農道を走行する際の障害物判断処理の流れについて説明する。
まず、トラクタの走行を開始し、トラクタの走行機体1の現在位置をGPS受信機42によって受信する(ステップ110)。この際、図6に示すように、トラクタの走行機体1の中心線C1と平行で、走行機体の右端位置を通る直線R1及び走行機体の左端位置を通る直線L1が演算され求められる。なお、走行機体1の右端位置とは、耕耘ロータリ装置14などの作業機を装着している場合には、最外側に位置する走行機体1本体または作業機の位置のことを指し、左も同様とする。
次に前記制御手段40に接続されたデータベースD1に格納された圃場マップに農道や側溝を記載したものを呼び出し(ステップ120)、前記GPS受信機42から受信した走行機体の現在位置情報と照合することにより、トラクタの走行機体1の現在位置及び側端との位置関係を、運転座席6前方の表示部43に表示する。
【0030】
更に、前記制御手段40の演算部では、右側の農道側端とトラクタの走行機体1の右端位置を通る直線R1との距離DR(図6参照)と、左側の農道側端とトラクタの走行機体1の左端位置を通る直線L1との距離DL(図6参照)とを計算し(ステップ130)、距離DLと距離DRとを比較する(ステップ140)。なお、走行機体1の右端位置とは、耕耘ロータリ装置14などの作業機を装着している場合には、最外側に位置する走行機体1本体または作業機の位置のことを指し、左も同様とする。
距離DRが距離DLよりも短い場合には(ステップ140:YES)、この距離DRが基準となる設定値Aよりも小さくなるかどうか判断し(ステップ150)、距離DRが設定値Aよりも小さくなる場合には(ステップ150:YES)、走行機体が農道右側端に近づき過ぎており、脱輪もしくは転倒する危険があるものとして、図8(a)に示す警告を表示部43に表示し、警報音を鳴らして作業者に対して警告を行う(ステップ151)。このように警告を表示することにより、作業者に農道右側端を避けるように左へステアリングハンドル5を切ることを促すことができる。一方距離DRが設定値Aよりも大きくなる場合には、機体が障害物に接触する危険がないものとして通常走行を行う(ステップ160)。
【0031】
距離DLが距離DRよりも長い場合には(ステップ140:NO)、この距離DLが基準となる設定値Aよりも小さくなるかどうか判断し(ステップ170)、距離DLが設定値Aよりも小さくなる場合には(ステップ170:YES)、走行機体が農道左側端に近づき過ぎており、脱輪若しくは転倒する危険があるものとして図8(b)に示す警告を表示部43に表示し、警報音を鳴らす等して作業者に対して警告を行う(ステップ171)。このように警告を表示することにより、作業者に農道左側端を避けるように右へステアリングハンドル5を切ることを促すことができる。一方距離DRが設定値Aよりも大きくなる場合には、機体が障害物に接触する危険がないものとして通常走行を行う(ステップ180)。
【0032】
なお、設定値Aは運転部に設けた設定器により変更可能としており、最初から側端との距離が近い位置で走行する場合には設定値Aを小さくすることにより、効果的に警告をすることが可能となる。
このように構成することにより、作業者が暗夜や積雪など農道側端を視認できない状況でも、障害物の存在を認識できる。また、警告を表示部に表示し、警報音を鳴らすことにより、作業者に障害物の回避を促すことができる。
【0033】
また、前記障害物の情報を位置だけでなく、障害物の大きさ、種類まで表示することも可能である。具体的には、前記制御手段40に障害物の幅や高さ、側溝やガードレールや土手や橋等の種類等の情報を入力して、表示部に障害物の幅や種類等の情報を反映させて表示する。このように構成することにより、障害物の種類や大きさがわからないときと比較して、迂回などの対処を容易に判断することが可能となる。また、機体前端(作業機を装着している場合には、最前端に位置する本体または作業機、後も同様)と障害物までの距離や、機体後端と障害物までの距離も同様計測して、前進時または後進時に、設定距離に近づくと警報を発するように構成することができる。
【0034】
以上のように、地図情報を格納するデータベースD1と、前記地図情報に基づく作業機の位置検出手段及び位置表示手段とを有する作業車両において、作業車両の走行時に、現在の走行位置と、データベースD1に格納された障害物地図情報と比較し、障害物が近づくと警報を発するものである。このように構成することにより、視界の悪い夜や雪の中のように地面の凹凸や溝等の障害物を作業者が発見しづらい状況での走行及び作業時に、障害物を回避して走行可能とする。
【0035】
また、前記警報時に、障害物の種類と位置を表示するものである。このように構成することにより、溝や縁石やガードレールや欄干や標識や看板や電柱等の障害物の種類が判るので、回避方向が容易に判り、回避方法を容易に判断できる。
【0036】
また、地図情報を格納するデータベースD1と、前記地図情報に基づく作業機の位置検出手段及び位置表示手段とを有する作業車両において、作業車両の走行時に、現在の走行位置と、データベースD1に格納された農道地図情報と比較し、農道側端に所定距離近づくと警報を発するものである。このように構成することにより、視界の悪い夜や雪の中など農道の側端が目視しづらい状況において農道を走行する場合、作業車両が側端に近づきすぎて脱輪や転倒するのを防止する。
【0037】
また、前記データベースにおいて、地図情報に側溝位置及び河川位置情報及び法面位置情報を加えて格納するものである。このように構成することにより、特に、側溝や河川や法面に作業車両が突っ込むと転倒のおそれがあるため、側溝や河川や法面を認識しながらできるだけ離れて走行することができ、大きな事故を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例に係る作業車両の全体的な構成を示した側面図。
【図2】作業車両の平面図。
【図3】操向制御及び通信制御のブロック図。
【図4】GPSによるトラクタ位置情報を示す概略図。
【図5】障害物判断処理の流れ図。
【図6】GPSによるトラクタ位置情報を示す概略図。
【図7】障害物判断処理の流れ図。
【図8】(a)表示部に表示する警告の一例を示す図、(b)表示部に表示する警告の一例を示す図。
【符号の説明】
【0039】
1 走行機体
2 前輪
3 後輪
28 操向コントローラ
40 制御手段
41 通信制御コントローラ
42 GPS受信機
43 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を格納するデータベースと、前記地図情報に基づく作業機の位置検出手段及び位置表示手段とを有する作業車両において、作業車両の走行時に、現在の走行位置と、データベースに格納された障害物地図情報と比較し、障害物が近づくと警報を発することを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記警報時に、障害物の種類と位置を表示することを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
地図情報を格納するデータベースと、前記地図情報に基づく作業機の位置検出手段及び位置表示手段とを有する作業車両において、作業車両の走行時に、現在の走行位置と、データベースに格納された農道地図情報と比較し、農道側端に所定距離近づくと警報を発することを特徴とする作業車両。
【請求項4】
前記データベースにおいて、地図情報に側溝位置及び河川位置情報及び法面位置情報を加えて格納することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の作業車両。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−224625(P2008−224625A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67577(P2007−67577)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】