説明

併合支援システムおよび併合支援方法

【課題】併合作業の効率を向上させる。
【解決手段】被併合車Bに搭載され測距機能を有するミリ波無線伝送装置4bと、併合車Aに搭載され測距機能を有しミリ波無線伝送装置4bから出力される信号に基づいて車間距離情報10Dを出力するミリ波無線伝送装置4aと、少なくとも併合車Aに搭載され力行指令18Dまたはブレーキ指令17Dを各車両に送信する列車情報管理装置6aと、車間距離情報7Dと併合車Aの速度信号15Dに基づいて残走距離を演算し残走距離に基づいて併合車Aの目標速度を算出し目標速度に追従するように力行指令5Dまたはブレーキ指令6Dを制御し列車情報管理装置6aに出力する併合支援装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車の併合時における運転を支援する併合支援システムおよび併合支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
列車の併合作業は、併合する側の列車(以下「併合車」という)の乗務員と車外の係員が無線などで連携し、乗務員の手動運転で速度調整を行いながら行われている。この速度調整は、速すぎると乗客への衝撃が大きくなり、遅すぎると併合時間が長くなるなどの理由から、乗務員には豊富な経験と注意力が要求されるという状況であった。すなわち、併合作業は、運転手だけでは行うことができないため作業効率が悪く、係員の合図に注意を払わなければならないため乗務員の負担が大きいという状況であった。そのため、自動的に併合支援運転を行うことができ、さらに乗務員のハンドル介入も許容する自由度の高い併合支援システムの導入が望まれていた。
【0003】
また、列車の併合作業は、事前準備として連結器を覆っているカバーを開放し、連結可能な状態にしてから行われるが、併合車の乗務員は、併合される側の列車(以下「被併合車」という)のカバーの状態を確認することは出来ても、併合車のカバーの状態は、目視により確認することができない場合があり、その場合には車外の係員に無線などで確認しなければならなかった。すなわち、併合運転は、係員から併合準備が完了した旨の合図を受けた後でなければ開始をすることができず、作業効率が悪いという状況であった。そのため、乗務員のみで併合車のカバーの状態を確認することができる併合支援システムの導入が望まれていた。
【0004】
従来、例えば下記特許文献1に示される併合支援装置は、併合車と被併合車との車間距離をセンサーによって測定し、運転席付近に設置された表示装置に当該車間距離の情報を表示することで乗務員の負担を軽減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−184003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示される併合支援装置では、数値化された車間距離の情報が提供されるのみであるため、係員の合図や併合時間などを考慮に入れながら速度調整を行う点においては、乗務員の経験などに頼らなければならず、また、乗務員が確認することができる情報は車間距離のみであるため、併合車のカバーの状態は係員に確認しなければならず、作業効率が改善されていないという課題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、併合作業の効率を向上させる併合支援システムおよび併合支援方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる併合支援システムは、被併合車に搭載され、測距機能を有する第一の伝送装置と、併合車に搭載され、前記測距機能を有し前記第一の伝送装置から出力される信号に基づいて車間距離情報を出力する第二の伝送装置と、少なくとも前記併合車に搭載され、力行指令またはブレーキ指令を各車両に送信する列車情報管理装置と、少なくとも前記併合車に搭載され、速度信号を生成する速度発電機と、前記車間距離情報と前記速度発電機によって生成された前記併合車の速度信号に基づいて残走距離を演算し、前記残走距離に基づいて前記併合車の目標速度を算出し、前記目標速度に追従するような前記力行指令または前記ブレーキ指令を生成する併合支援装置と、を備え、前記併合支援装置は、前記第二の伝送装置を介して前記被併合車側から出力される併合準備完了信号を受信し、かつ、前記併合車側から出力される併合支援開始指令を受信した場合、前記力行指令または前記ブレーキ指令の制御を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる併合支援システムによれば、併合作業の効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる併合支援システムの構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、残走距離演算の一例を示す図である。
【図3】図3は、残走距離に応じて設定される目標速度の一例を示す図である。
【図4】図4は、残走距離の決定フローの一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、併合支援運転における停車位置の一例を示す図である。
【図6】図6は、残走距離に対応する併合支援制御の決定フローの一例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、併合支援制御1における走行速度の決定フローの一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、併合支援制御2における走行速度の決定フローの一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、ハンドル操作が介入した場合の併合支援運転のパターンの一例を示す図である。
【図10】図10は、速度制限パターンを超過した状態の一例を示す図である。
【図11】図11は、併合支援装置が故障した状態の一例を示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態5にかかる併合支援システムの構成の一例を示す図である。
【図13】図13は、撮像データの送信を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明にかかる併合支援システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる併合支援システムの構成の一例を示す図である。図1に示す併合支援システム100は、併合車Aにおいては、主たる構成部として、ハンドル9、併合支援開始操作部3、列車保安装置8、表示装置4、分併装置7a、ミリ波無線伝送装置4a、併合支援装置15、列車情報管理装置6a、を有して構成されている。被併合車Bにおいては、主たる構成部として、列車情報管理装置6b、ミリ波無線伝送装置4b、分併装置7b、および連結器10bを有して構成されている。
【0013】
併合車Aにおいて、併合支援装置15は、走行管理部1と目標速度記憶部2を有して構成されている。
【0014】
併合支援開始操作部3は、併合支援を開始するときに使用するものである。乗務員が当該併合支援開始操作部3を操作することにより、併合支援の開始を示す併合支援開始指令1Dを出力することが可能である。
【0015】
列車保安装置8は、ATS(Automatic Train Stop)地上装置13から、ATS車上装置12を介して制限速度情報14Dを受信し、さらに速度発電機5が生成した速度信号15Dを受信し、併合支援速度が制限速度情報14Dを超過した場合、併合支援装置15が併合支援運転を行っているときでも、非常ブレーキ13Dを出力し、併合車Aを停止することができるように構成されている。なお、図1においてはATSを示しているが、これに限定されるものではなく、ATC(Automatic Train Control)などの運転保安装置を使用することも可能である。
【0016】
ハンドル9は、乗務員によってアクセル及びブレーキ操作が行われときに、ハンドル操作情報2Dを出力することが可能である。
【0017】
表示装置4は、例えば運転台横に設けられており、数値化された残走距離や併合車Aの速度を表示するだけでなく、例えば併合車A、被併合車B、車間距離、および走行速度などの情報を視覚化し、併合支援運転の状況をリアルタイムに表示することも可能である。例えば、併合車A、被併合車B、併合支援制御時の軌跡、段階的に変化する目標速度、残走距離なども模式的に表示し、併合を開始すると、両車両が徐々に接近し、残走距離や走行速度がリアルタイムに変化するように構成することも可能である。
【0018】
分併装置7aは、連結器10aと連結器10bが連結し、併合車Aと被併合車Bの併合が完了したとき、列車情報管理装置6aに併合完了信号12Dを送信することが可能である。分併装置7bは、連結器10bのカバーが外され、併合準備が完了したとき、併合準備完了信号22Dを列車情報管理装置6bに送信することが可能である。
【0019】
列車情報管理装置6bは、分併装置7bから送信された併合準備完了信号23Dを受信し、ミリ波無線伝送装置4bに送信することが可能である。
【0020】
ミリ波無線伝送装置4bは、併合準備完了信号23Dを変調し、無線信号としてミリ波無線伝送装置4aに向けて送信することが可能である。
【0021】
併合車Aにおいて、ミリ波無線伝送装置4aは、ミリ波無線伝送装置4bから送信された併合準備完了信号24Dを復調し、列車情報管理装置6aに伝送することが可能である。さらに、ミリ波無線伝送装置4aおよびミリ波無線伝送装置4bは、測距機能を備えており、測距機能により取得された車間距離情報10Dを列車情報管理装置6aに伝送することが可能である。なお、ミリ波無線伝送装置4aおよびミリ波無線伝送装置4bは、測距機能を備えていればよく、ミリ波による伝送装置に限定されるものではない。
【0022】
列車情報管理装置6aは、列車情報管理装置6aは、走行管理部1から送信された情報を一括管理することが可能である。走行管理部1から当該列車情報管理装置8に送信された併合支援装置故障4D、力行指令5D、ブレーキ指令6Dなどの情報を、図示されていないVVVFインバータなどの車両制御装置に送信することより、併合支援運転における併合車Aの加速または減速を制御することが可能である。なお、図1において、併合車Aには列車情報管理装置6aが一台のみ搭載されているが、列車情報管理装置6aを各車両に搭載し、車両間に敷設されている伝送路に接続することにより、各車両の列車情報管理装置に当該情報を中継するように構成してもよい。また、上述した伝送路は情報伝達の一手段であり、有線方式に限定されるものではない。また、列車情報管理装置6aは、表示装置4に併合支援運転の状況をリアルタイムに表示するため、併合車A、被併合車B、車間距離、および走行速度などの情報を用いて視覚化された映像データを出力することも可能である。
【0023】
目標速度記憶部2には、併合支援運転時の車間距離に対応する目標速度が複数格納されている。
【0024】
走行管理部1は、併合車Aが停止している場合に、併合完了信号9Dおよび併合支援開始指令1Dを受信すると、目標速度記憶部2の目標速度、車間距離情報10D、および速度信号15Dに基づいて、併合車Aと被併合車Bとの正確な残走距離を求め、残走距離に応じて最適な走行パターンを演算する。列車情報管理装置6aに力行指令5Dを送信し、併合車Aの併合支援運転を開始することが可能である。すなわち、残走距離に対応する目標速度を選択し、その目標速度に併合車Aの速度が追従するように構成されている。なお、走行パターンとは、併合車Aの走行速度と目標速度の関係を残走距離に対応して示すものである。
【0025】
なお、上述した残走距離は、併合車Aの走行距離を用いて求める場合、車輪径設定値と実車輪径の値の差異などにより、このままでは実際の残走距離と走行管理部1が認識している残走距離との間に誤差が生じてします。一方、ミリ波無線伝送装置4aおよびミリ波無線伝送装置4bには、固有の測距演算周期(例えば約500ms)があり、ミリ波無線伝送装置4aおよびミリ波無線伝送装置4bから得られた車間距離情報10Dだけでは、500msの間における残走距離を把握することができない。そこで、走行管理部1は、速度信号15Dにより得られた距離情報を、測距演算周期(500ms)毎に補正する処理を行い、残走距離をリアルタイムに演算することができるように構成されている。また、ここでは目標速度を目標速度記憶部2から読み出す態様となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、目標速度などの情報を、予め持ち運び可能な記憶媒体などに記録し、列車運行前に併合支援装置15に外部接続する態様であってもよい。
【0026】
走行管理部1は、併合車Aの走行速度が残走距離に対応する目標速度に追従するように、力行指令5Dまたはブレーキ指令6Dを制御し、残走距離が所定の値以下になったとき、力行指令5Dの出力を中断し、惰性走行に切り替えて併合するように構成されている。また、走行管理部1は連結器10aと連結器10bが連結したとき、併合完了信号12Dを受信し併合支援制御を終了する。なお、力行指令5Dまたはブレーキ指令6Dの制御の詳細については、後述する図5ないし図8において説明する。
【0027】
走行管理部1は、併合車Aが併合支援運転中に、ハンドル操作情報3Dを受信した場合は、力行指令5Dの出力を中断し、またはブレーキ指令6Dを出力することが可能である。また、走行管理部1は、ハンドル操作情報3Dを受信した後に併合支援開始指令1Dを受信した場合、再び力行指令5Dを出力し併合支援運転を再開することが可能である。また、何らかの原因で併合支援装置15が正常に動作しない場合は、併合支援装置故障4Dを出力することが可能である。その場合、当該併合支援装置故障4Dを受信した列車情報管理装置6aは各車両に常用最大ブレーキを出力し、併合支援運転を中断することが可能である。その場合にはハンドル9により手動運転ができるように構成してもよい。さらに、例えば併合支援装置の故障などにより、併合支援装置15が力行指令5Dまたはブレーキ指令6Dを正常に制御することができず、併合車Aの走行速度が速度制限パターンを超過した場合には、走行管理部1は力行指令5Dを中断し、列車保安装置8による非常ブレーキ13Dを出力することができるように構成されている。
【0028】
図2は、残走距離演算の一例を示す図である。縦軸は併合車Aと被併合車Bの車間距離を表し、横軸は併合車Aの走行距離を表している。
【0029】
ここで、ミリ波無線伝送装置4aおよびミリ波無線伝送装置4bには、上述したように約500msの測距演算周期が存在する。水平方向に伸びる点線であって段階的に示されるものが、約500msステップで出力される車間距離情報10Dに基づく車間距離である。
【0030】
斜め方向に伸びる実線は、速度信号15Dにより得られた車間距離である。走行管理部1は、速度信号15Dにより得られた車間距離(L1)を、約500ms間隔で演算される車間距離で補正し、実線で示すような残走距離(L2)を算出することが可能である。
【0031】
図3は、残走距離に応じて設定される目標速度の一例を示す図である。縦軸は併合車Aの走行速度を表し、横軸は被併合車Bまでの残走距離を表している。併合車Aは停止状態であると仮定する。
【0032】
併合支援開始操作ポイント1aにおいて、走行管理部1は、併合準備完了信号11Dと併合支援開始指令1Dを受信した場合、併合支援開始操作ポイント1aから被併合車Bまでの残走距離に対応する目標速度を、目標速度記憶部2から選定する。この場合の目標速度は11km/hを選択し、11km/hに対応する力行指令5Dを出力する。併合車Aは、図3の一点破線に示すような走行パターンで併合支援運転を開始し、残走距離が19mになったとき、走行管理部1は新たな目標速度として5km/hを選択する。走行管理部1は、新たな目標速度まで併合車Aを減速する必要があるため、力行指令5Dの出力を中断し、必要に応じてブレーキ指令6Dを出力する。さらに、残走距離が7mになったとき、新たな目標速度として2km/hを選択し、併合可能な走行速度を制御する。なお、併合支援開始操作ポイント1aから併合支援運転を開始した場合、残走距離が19mから7mの区間における走行速度が高めであるが、これは併合時間の短縮するためであり、状況に応じて、早めにブレーキ指令6Dを出力し減速をするように構成してもよい。
【0033】
併合支援開始操作ポイント1bにおいて、走行管理部1は、併合準備完了信号11Dと併合支援開始指令1Dを受信した場合、併合支援開始操作ポイント1bから被併合車Bまでの残走距離に対応する目標速度を、目標速度記憶部2から選定する。この場合の目標速度は上述同様に11km/hを選択し力行指令5Dを出力する。
【0034】
ここで、併合車Aは図3の一点破線に示すような走行パターンで併合支援運転を開始するが、走行管理部1は、残走距離が19mの地点で力行指令5Dの出力を中断する。すなわち、最初の目標速度に達する手間に、新たな目標速度(5km/h)を選択したときは、後者の目標速度に追従するように制御が行われる。
【0035】
この場合、併合車Aを減速するためブレーキ指令6Dを出力する。さらに、残走距離が7mになった場合、上述同様に目標速度として2km/hを選択し、ブレーキ指令6Dを継続するなどして約2km/hにまで減速をする。なお、目標速度が変化する位置(距離)や目標速度の値は一例であり、これに限定されるものではなく、任意に変更することができるものとする。また、目標速度のステップをより多く設定してもよい。
【0036】
図4は、残走距離の決定フローの一例を示すフローチャートである。走行管理部1は、併合準備完了信号11Dと併合支援開始指令1Dを受信した場合(ステップS1,Yes)、併合支援運転を開始し、ミリ波無線伝送装置4aから一定の間隔で車間距離情報10Dを受信する(ステップS2)。
【0037】
併合車Aが停車することなく併合支援運転を継続し、車間距離情報10Dが変化した場合(ステップS3,Yes)、走行管理部1は、速度信号15Dにより得られる車間距離を、約500ms間隔で演算される車間距離情報7Dで補正し、残走距離を求める(ステップS4)。連結器10aと連結器10bが連結し、併合完了信号9Dを受信した場合(ステップS6,Yes)、併合支援制御を終了する。
【0038】
併合車Aが一時停車するなどして、車間距離情報10Dが変化しない場合(ステップS3,No)、走行管理部1は、約500ms間隔で演算される車間距離を残走距離とみなす(ステップS5)。分併装置7aから併合完了信号9Dを受信しない場合(ステップS6,No)、ステップS3以降のプロセスを実行する。
【0039】
このように、残走距離に応じて目標速度が段階的に変わるように構成されているので、残走距離が長い場合には併合時間を短縮することができ、残走距離が短い場合には、無理な加速をせずに併合時の衝撃を抑えることが可能である。
【0040】
図5は、併合支援運転における停車位置の一例を示す図である。図5において、右側から走行してきた併合車Aは、併合準備のため、例えば連結器連結器10aと連結器10bのカバーを開放する。併合準備完了信号22Dを受信すると、併合車Aは被併合車Bの約40m手前で一旦停止する。
【0041】
走行管理部1は、併合支援開始指令1Dを受信した場合、ATSの制限速度情報14Dの基づき15km/hの速度制限パターンを発生する。併合車Aは、速度制限パターンを越えないように力行指令5Dやブレーキ指令6Dなどの制御(以下「併合支援制御1」という)を開始し、被併合車Bの約10m手前で再び停止する。走行管理部1は、ATSの制限速度情報14Dに基づき4km/hの速度制限パターンを発生する。またミリ波無線伝送装置4aは、被併合車Bまでの車間距離を測定する。併合車Aは、速度制限パターンを越えないように制御(以下「併合支援制御2」という)を開始し、被併合車Bの約1m手前で力行指令5Dの出力を中断する。
【0042】
図6は、残走距離に対応する併合支援制御の決定フローの一例を示すフローチャートである。併合車Aは、被併合車Bの約40m手前で一旦停止し、乗務員が併合支援開始操作部3を操作した場合(ステップS10)、走行管理部1は、15km/hの速度制限パターンを発生する(ステップS11)。併合車Aは、併合支援制御1を開始する(ステップS12)。なお、併合支援制御1の詳細は後述する図7において解説する。被併合車Bの約10m手前を停止目標位置として、力行指令5Dまたはブレーキ指令6Dを出力する。残走距離が10m以内であると判断した場合(ステップS13,Yes)、再び停止し、走行管理部1は4km/hの速度制限パターンを発生する(ステップS14)。走行管理部1は、車間距離を測定し、併合車Aは速度制限パターンを越えないように併合支援制御2を開始する(ステップS15)。なお、併合支援制御2の詳細は後述する図8において解説する。併合車Aは、被併合車Bの約1m手前で力行指令5Dの出力を中断し惰性走行で連結を行う。走行管理部1は、併合完了信号9Dを受信した場合(ステップS16,Yes)、併合支援制御2を終了する。
【0043】
併合支援制御1において、走行管理部1は残走距離が10m以内ではないと判断した場合(ステップS13,No)、ステップS12以降のプロセスを繰り返す。
【0044】
併合支援制御2において、走行管理部1は併合完了信号9Dを受信しない場合(ステップS16,No)、ステップS15以降のプロセスを繰り返す。
【0045】
図7は、併合支援制御1における走行速度の決定フローの一例を示すフローチャートである。図7には、力行指令5Dとブレーキ指令6Dの判断ステップ701と、走行速度の偏差702を併記しており、以下それらを対応させながら説明する。
【0046】
走行管理部1は、併合車Aの残走距離が40mの地点で力行指令5Dを出力し、併合車Aの車両速度を9〜11km/hの間で調整しながら併合支援運転を行い、併合車Aの残走距離が10mの地点で併合車Aを停車するように構成されている。
【0047】
併合車Aが残走距離15mの地点を越えた場合、すなわち残走距離10mを停車目標位置として、その停車目標位置から5m手前を超えた場合(ステップS101,Yes)、停止ブレーキを出力するために、走行管理部1はブレーキ指令6Dを出力する(ステップS106)。
【0048】
併合車Aが残走距離15mの地点を越えていない場合(ステップS101,No)、目標速度(以下「VP」という)10km/hで併合支援運転を行い、車両速度から目標速度を減じた値(以下「ΔV」という)が1km/hを超えたとき(ステップS102,Yes)、減速するため、走行管理部1はブレーキ指令6Dを出力する(ステップS107)。なお、ステップS107に示す「B1」は、速度偏差の状態702の「B1」に対応している。
【0049】
VP10km/hに対するΔVが1km/hを超えていない場合(ステップS102,No)、ブレーキがONの状態で、かつ、ΔVが0km/h未満であるとき(ステップS103,Yes)、惰性で走行するため、走行管理部1はブレーキ指令6Dの出力を中断する(ステップS108)。なお、ステップS108に示す「N2」は、走行速度の偏差702の「N2」に対応している。
【0050】
ブレーキがONの状態で、かつ、ΔVが0km/h未満ではない場合(ステップS103,No)、力行がONの状態で、かつ、ΔVが0km/hを越えているとき(ステップS104,Yes)、惰性で走行するため、走行管理部1は力行指令5Dの出力を中断する(ステップS109)。なお、ステップS109に示す「N1」は、走行速度の偏差702の「N1」に対応している。
【0051】
力行がONの状態で、かつ、ΔVが0km/hを越えていない場合(ステップS104,No)、ΔVが-1km/h未満のとき(ステップS105,Yes)、加速運転をするため、走行管理部1は力行指令5Dを出力する(ステップS110)。なお、ステップS107に示す「P1」は、走行速度の偏差702の「P1」に対応している。
【0052】
ΔVが-1km/h未満ではない場合(ステップS105,No)、併合支援運転を継続するため、図6のステップS13以降のプロセスを繰り返す。
【0053】
図8は、併合支援制御2における走行速度の決定フローの一例を示すフローチャートである。図8には、図7と同様に、力行指令5Dとブレーキ指令6Dの判断ステップ801と、走行速度の偏差802を併記しており、以下それらを対応させながら説明する。
【0054】
走行管理部1は、併合車Aの残走距離が10mの地点で力行指令5Dを出力し、併合車Aの車両速度を1〜3km/hの間で調整しながら併合支援運転を行い、併合車Aの残走距離が1mの地点で、併合車Aを惰性走行に切り替えて、そのまま併合するように構成されている。併合車Aの残走距離1mの地点を越えた場合(ステップS201,Yes)、走行管理部1はブレーキ指令6Dおよび力行指令5Dの出力を中断する(ステップS206)。なお、ステップS206に示す「N1」、「N2」は、走行速度の偏差802の「N1」、「N2」に対応している。
【0055】
併合車Aの残走距離1mの地点を越えていない場合(ステップS201,No)、VP2km/hで併合支援運転を行い、ΔVが1km/hを超えたとき(ステップS202,Yes)、減速するため、走行管理部1はブレーキ指令6Dを出力する(ステップS207)。なお、ステップS207に示す「B1」は、走行速度の偏差802の「B1」に対応している。
【0056】
VP2km/hで併合支援運転を行い、ΔVが1km/hを超えた場合(ステップS202,No)、ブレーキがONの状態で、かつ、ΔVが0km/h未満であるとき(ステップS203,Yes)、惰性で走行するため、走行管理部1はブレーキ指令6Dの出力を中断する(ステップS208)。なお、ステップS208に示す「N2」は、走行速度の偏差802の「N2」に対応している。
【0057】
ブレーキがONの状態で、かつ、ΔVが0km/h未満ではない場合(ステップS203,No)、力行がONの状態で、かつ、ΔVが0km/hを越えているとき(ステップS204,Yes)、惰性で走行するため、走行管理部1は力行指令5Dの出力を中断する(ステップS209)。なお、ステップS209に示す「N1」は、走行速度の偏差802の「N1」に対応している。
【0058】
力行がONの状態で、かつ、ΔVが0km/hを越えていない場合(ステップS204,No)、ΔVが-1km/h未満のとき(ステップS205,Yes)、加速運転をするため、走行管理部1は力行指令5Dを出力する(ステップS210)。なお、ステップS210に示す「P1」は、走行速度の偏差802の「P1」に対応している。
【0059】
ΔVが-1km/h未満ではない場合(ステップS205,No)、併合支援運転を継続するため、図6のステップS16以降のプロセスを繰り返す。
【0060】
以上説明したように、実施の形態1の併合支援システム100によれば、測距機能を有するミリ波無線伝送装置4bから得られた車間距離情報7Dを補正し、正確な残走距離に基づいて併合車Aの目標速度を求めることができるので、ミリ波無線伝送装置4bの演算周期による車間距離情報10Dの誤差を無くし、リアルタイムに残走距離を演算することが可能である。
【0061】
また、併合車Aが停止している状態から併合支援開始操作部3を操作した場合、自動的に併合支援走行を開始し併合完了まで制御するようにしたので、従来のように、車外の係員の合図を待ち、その合図を確認してから乗務員の手動操作によって併合支援運転を行うということがなくなり、効率的な併合作業を行うことが可能である。また、併合開始地点に応じて目標速度が変わるようにしたので、残走距離が長い場合には、最初の目標速度を高めに設定し併合時間を短縮することが可能であり、残走距離が短い場合には、最初の目標速度を低めに設定し無駄な加減速を抑えることが可能である。また、残走距離に応じて目標速度が段階的に変わるようにしたので、併合時の衝撃を抑えること可能である。
【0062】
さらに、表示装置4には、視覚化された情報を表示するようにしたので、従来は、数値の車間距離情報10Dだけ表示されていたが、列車の運行状態と目標速度の関係など、併合支援運転の状況を容易に把握することができるので、乗務員は併合車Aの併合支援運転において異常を発見したときなど、即座に併合車Aを停止するなどの措置をとることが可能である。
【0063】
実施の形態2.
実施の形態2にかかる併合支援システム100は、併合支援運転中にハンドル操作が介入した場合、力行指令5Dまたはブレーキ指令6Dの出力を中断し、さらに併合支援運転を再開できるように構成されている。
【0064】
図9は、ハンドル操作が介入した場合の併合支援運転のパターンの一例を示す図である。併合車Aが停止している場合、走行管理部1は、併合準備完了信号11Dと併合支援開始指令1Dを受信したとき、残走距離に対応する目標速度を目標速度記憶部2から選定する。ここでは一例として、目標速度として11km/hを選択し、11km/hに対応する力行指令5Dを出力する。併合車Aは図9の一点破線に示すような走行パターンで併合支援運転を開始する。
【0065】
ここで、ハンドル操作が介入した場合、走行管理部1は力行指令5Dの出力を中断し、必要に応じてブレーキ指令6Dを出力する。そして、例えば残走距離が19m付近で併合車Aを停止し、再び併合支援運転を開始するときは、乗務員は併合支援開始操作部3を操作すればよい。走行管理部1は、併合支援開始指令1Dを受信すると、新たな目標速度として5km/hを選択し、力行指令5Dを出力する。残走距離が7m付近で、新たな目標速度として2km/hを選択する。行指令5Dを中断し、必要に応じてブレーキ指令6Dを出力し、2km/h付近まで減速する。
【0066】
以上説明したように、実施の形態2の併合支援システム100によれば、併合支援運転中にハンドル操作が介入した場合、力行指令5Dまたはブレーキ指令6Dの出力を中断し、さらに併合支援運転を再開できるように構成しているので、併合支援運転中に乗務員が何らかの原因が発生したことにより、併合車Aを停止させるような場合において、ハンドル操作が介入したとき、併合支援運転を中断し、乗務員のハンドル操作を優先することができるため、自由度の高い併合支援運転を実現することが可能である。
【0067】
実施の形態3.
実施の形態3にかかる併合支援システム100は、併合支援運転中に併合支援装置15が故障した場合、走行管理部1が備える自己監視回路により併合支援装置15の故障を検出すると、併合支援装置15は併合支援装置故障4Dを出力し、同時に力行指令5Dの出力を中断し、併合支援開始指令1D、および制限速度情報14Dに依存することなく、併合支援運転を中断するように構成されている。
【0068】
図11は、併合支援装置が故障した状態の一例を示す図である。併合支援装置15は、併合車Aの併合支援運転を行っている場合において、自己監視回路が故障を検出したとき、走行管理部1は、併合支援装置故障4Dを出力するとともに力行指令5Dの出力を中断する。
【0069】
列車保安装置8は、各車両に常用最大ブレーキを出力し、併合車Aを停止させることが可能である。なお、一旦停止した後に、手動運転により併合作業を再開するように構成してもよい。
【0070】
以上説明したように、実施の形態3の併合支援システム100によれば、走行管理部1が併合支援装置故障4Dを出力した場合、力行指令5Dの出力を中断し、列車保安装置8はブレーキ指令17Dを出力し、併合車Aを停車するようにしたので、併合支援システム100による併合支援運転が行えない場合でも、従来の手動運転に切り替えて併合作業を続行することが可能である。
【0071】
実施の形態4.
実施の形態4にかかる併合支援システム100は、併合支援運転中に制限速度情報14Dに基づく速度制限パターンを超過した場合に、力行指令5D、ブレーキ指令6D、および併合支援開始指令1Dに依存することなく、列車保安装置8が非常ブレーキ13Dを出力することができるように構成されている。
【0072】
図10は、速度制限パターンを超過した状態の一例を示す図である。列車が併合支援運転またはハンドル操作による手動走行中の場合において、ATS地上装置13から送信された速度情報14Dにより生成された速度制限パターンを超過した場合、走行管理部1は力行指令5Dの出力を中断するとともに、列車保安装置8は非常ブレーキ13Dを出力し、併合車Aを緊急停止させることが可能である。なお、非常ブレーキ13Dによって一旦停止した後に、併合支援開始操作部の操作または手動運転により、運転を再開するように構成してもよい。
【0073】
以上説明したように、実施の形態4の併合支援システム100によれば、速度制限パターンを超過した場合、走行管理部1は力行指令5Dの出力を中断し、列車保安装置8が非常ブレーキ13Dを出力するようにしたので、例えば併合支援装置15が故障し、力行指令5Dの出力を中断することができない場合など、なんらかの原因により併合車Aの速度が速度制限パターン超過した場合には、図10に示されている5km/hや2km/hなどの目標速度に関係なく、併合車Aを緊急停止させることが可能である。
【0074】
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4では、測距機能を有するミリ波無線伝送装置から得られる車間距離情報に基づき算出された残走距離および目標速度の情報を利用する併合支援システムについて説明したが、実施の形態5では、カメラの撮像データを利用する併合支援システムについて説明する。
【0075】
図12は、本発明の実施の形態5にかかる併合支援システムの構成の一例を示す図である。図12に示す併合支援システム100は、併合車Aにおいては、主たる構成部として、併合支援開始操作部33、表示装置34、分併装置37a、伝送装置36a、併合支援装置32、および列車情報管理装置35aを有して構成されている。被併合車Bにおいては、主たる構成部として、列車情報管理装置35b、伝送装置36b、分併装置37b、連結器38b、およびカメラ11を有して構成されている。
【0076】
併合車Aにおいて、併合支援開始操作部33は、併合支援を開始するときに使用するものである。乗務員が併合支援開始操作部33を操作することにより、併合支援を開始することが可能である。
【0077】
表示装置14は、例えば運転台の横に設けられており、カメラ11の撮像データ34Dを受信し、連結器38aの状態を表示することが可能である。撮像データ34Dを表示するタイミングは任意に設定でき、例えば併合運転を開始する前に、連結器38aの状態を表示することが可能である。また、表示装置34に他の映像データ(例えば、併合運転中において、併合車Aの動きと目標速度を対応させてリアルタイムに表示している場合など)と交互に切り替えることができるように構成してもよい。
【0078】
分併装置37aは、連結器38aと連結器38bが連結し、併合車Aと被併合車Bの併合が完了したとき、列車情報管理装置35aに併合完了信号33Dを送信することが可能である。分併装置37bは、被併合車Bの連結器38bのカバーが外され、併合準備が完了したとき列車情報管理装置35bに併合準備完了信号を送信することが可能である。
【0079】
被併合車Bにおいて、カメラ11は、被併合車Bの先頭車両に併合車Aに向けて設置されている。併合車Aの連結器38aを撮影しているので、併合車Aの併合準備が完了したか否かを確認することが可能である。なお、図12において、カメラ11は被併合車Bのみに設置されているが、併合車Aも被併合車となりうるため、併合車Aにも設置してもよい。
【0080】
列車情報管理装置35bは、分併装置37bから受信したカメラ11の撮像データ34Dを伝送装置36bに送信することが可能である。伝送装置36bは、撮像データ34Dを変調し、無線信号で伝送装置36aに送信することが可能である。伝送装置36aおよび伝送装置36bは、撮像データ34Dの帯域を無線方式で伝送できる装置であればよい。
【0081】
併合車Aにおいて、伝送装置36aは、伝送装置36bから送信された撮像データ34Dを復調し、列車情報管理装置35aに伝送することが可能である。列車情報管理装置35aは、走行管理部31から送信された情報を一括管理することが可能である。列車情報管理装置35aは、併合支援装置32が有している走行管理部31から送信された力行指令5D、ブレーキ指令6Dなどの情報を、図示されていない車両制御装置に送信することより、併合車Aの加速または減速を制御することが可能である。
【0082】
なお、図12において、併合車Aには列車情報管理装置6aが一台のみ搭載されているが、列車情報管理装置6aを各車両に搭載し、車両間に敷設されている伝送路に接続することにより、各車両の列車情報管理装置に、力行指令5D、ブレーキ指令6Dなどの情報を中継するように構成してもよい。また、上述した伝送路は情報伝達の一手段であり、有線方式に限定されるものではない。
【0083】
次に、撮像データ34Dを受信してから併合運転を開始するまでの動作を説明する。被併合車Bの乗務員は、例えば、併合車Aが所定の位置に接近したときなど、併合運転を開始することができる状態になったと判断した場合に、所定の操作を行うことにより、カメラ39を起動し、併合車Aの連結器38aの撮影を開始する。なお、併合車Aが所定の距離に接近したときに自動的に撮影を開始するように構成してもよい。
【0084】
撮像データ34Dは被併合車Bの列車情報管理装置35bを経由し、伝送装置36bに送信される。そして、伝送装置36bにおいて変調された撮像データ34Dは、併合車Aの伝送装置36aに送信され、復調された後、列車情報管理装置35aに送信される。
【0085】
撮像データ34Dは、表示装置34に送信され、乗務員は連結器の状態を確認することが可能である。もし連結器38aのカバーが閉じていれば、併合運転を開始しないか、併合運転中であれば途中で併合運転を中断するという判断を行うことが可能である。連結器38aのカバーが開放され併合準備が完了していれば、乗務員は併合支援開始操作部33を操作する。走行管理部31は、併合支援開始操作部33から送信された併合開始を示す信号と、被併合車Bから送信された併合準備完了信号を受信した場合に、力行指令31Dまたはブレーキ指令32Dを出力し併合運転を開始することが可能である。連結器38aと連結器38bが連結したとき、走行管理部31は併合完了信号33Dを受信し併合支援制御を終了する。またカメラ39は撮像データ34Dの送信を終了する。
【0086】
図13は、撮像データの送信を示すフローチャートである。被併合車Bの乗務員が所定の操作を行うことにより、カメラ39は併合車Aの連結器38aの撮影を開始する。撮像データ34Dは、被併合車Bの列車情報管理装置35bを経由し、伝送装置36bに送信される(ステップS301)。撮像データ34Dは、表示装置34に送信され、連結器38aのカバーが開放していることを確認した乗務員は、併合支援開始操作部33を操作する。走行管理部31は、併合支援開始操作を示す信号と、併合準備完了信号を受信した場合、力行指令31Dまたはブレーキ指令32Dを出力し、併合運転を開始する。そして、連結器38aと連結器38bが連結し、走行管理部31が併合完了信号33Dを受信した場合(ステップS302,Yes)、カメラ39は撮像データ34Dの送信を終了する(ステップS303)。
【0087】
連結器38aと連結器38bが連結されず、分併装置37aから併合完了信号33Dを受信しない場合(ステップS302,No)、ステップS302以降のプロセスを繰り返す。
【0088】
以上説明したように、実施の形態5の併合支援システム100によれば、併合車Aの先頭車両を撮像するカメラ39を被併合車Bに搭載し、カメラ39の撮像データ34Dを併合車Aに送信する伝送装置36bと、撮像データ34Dを被併合車Bから受信する伝送装置36aと、伝送装置36aを介して撮像データ34Dを受信する列車情報管理装置35aを有し、列車情報管理装置35aは、撮像データ34Dを運転席の表示装置14に送信するようにしたので、併合車Aの乗務員は併合車Aの連結器38aの状態を確認できるので、係員の合図を待たなくても併合運転を開始することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上のように、本発明は、列車の併合時における運転を支援する併合支援システムに適用可能であり、特に、併合作業の効率を向上させることができる発明として有用である。
【符号の説明】
【0090】
1,31 走行管理部
1a,1b 併合支援開始操作ポイント
2 目標速度記憶部
3,33 併合支援開始操作部
4,34 表示装置
4a,4b ミリ波無線伝送装置
5 速度発電機
6a,6b,35a,35b 列車情報管理装置
7a,7b,37a,37b 分併装置
8 列車保安装置
9 ハンドル
10a,10b,38a,38b 連結器
12 ATS車上装置
13 ATS地上装置
15,32 併合支援装置
36a,36b 伝送装置
39 カメラ
100 併合支援システム
A 併合車
B 被併合車
1D 併合支援開始指令
2D,3D ハンドル操作情報
4D 併合支援装置故障
5D,18D,31D 力行指令
6D,17D,32D ブレーキ指令
7D 車間距離情報
8D,11D,22D,23D,24D 併合準備完了信号
9D,12D,33D 併合完了信号
10D 車間距離情報
13D 非常ブレーキ
14D 制限速度情報
15D 速度信号
34D 撮像データ
L1 補正前の残走距離
L2 補正後の残走距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被併合車に搭載され、測距機能を有する第一の伝送装置と、
併合車に搭載され、前記測距機能を有し前記第一の伝送装置から出力される信号に基づいて車間距離情報を出力する第二の伝送装置と、
少なくとも前記併合車に搭載され、力行指令またはブレーキ指令を各車両に送信する列車情報管理装置と、
少なくとも前記併合車に搭載され、速度信号を生成する速度発電機と、
前記車間距離情報と前記速度発電機によって生成された前記併合車の速度信号に基づいて残走距離を演算し、前記残走距離に基づいて前記併合車の目標速度を算出し、前記目標速度に追従するような前記力行指令または前記ブレーキ指令を生成する併合支援装置と、
を備え、
前記併合支援装置は、前記第二の伝送装置を介して前記被併合車側から出力される併合準備完了信号を受信し、かつ、前記併合車側から出力される併合支援開始指令を受信した場合、前記力行指令または前記ブレーキ指令の制御を開始することを特徴とする併合支援システム。
【請求項2】
前記併合支援装置は、ハンドル操作情報を受信した場合、前記力行指令または前記ブレーキ指令の制御を中断し、前記併合支援開始指令を受信したとき、前記力行指令または前記ブレーキ指令の制御を再開することを特徴とする請求項1に記載の併合支援システム。
【請求項3】
前記列車情報管理装置は、前記併合支援装置の故障信号を受信した場合、常用最大ブレーキ指令を出力することを特徴とする請求項1に記載の併合支援システム。
【請求項4】
地上装置から送信される制限速度情報を受信する列車保安装置を備え、
前記制限速度情報を受信した場合、
前記併合支援装置は、前記力行指令または前記ブレーキ指令の制御を中断し、
前記列車保安装置は、非常ブレーキを出力することを特徴とする請求項1に記載の併合支援システム。
【請求項5】
前記列車情報管理装置は、前記併合車および前記被併合車の走行状況がリアルタイムに変化する映像データであって、少なくとも前記目標速度と列車の走行状態とを視覚化した映像データを所定の表示装置に出力することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の併合支援システム。
【請求項6】
被併合車に搭載され、併合車の連結器を撮影するカメラと、
前記カメラの撮像データを前記併合車に送信する第一の伝送装置と、
前記撮像データを前記被併合車から受信する第二の伝送装置と、
前記第二の伝送装置を介して前記撮像データを受信する列車情報管理装置と、
を備え、
前記列車情報管理装置は、前記撮像データを運転席の表示装置に出力することを特徴とする併合支援システム。
【請求項7】
列車の併合支援方法であって、
併合車と被併合車との車間距離を測定する測定ステップと、
前記測定ステップにより測定された車間距離情報を受信する受信ステップと、
前記車間距離情報と前記併合車の速度情報に基づいて残走距離を演算し、当該演算された残走距離の情報に基づいて前記併合車の目標速度を生成する生成ステップと、
前記併合車の走行速度が前記目標速度に追従するように力行指令またはブレーキ指令を制御する制御ステップと、
を含むことを特徴とする併合支援方法。
【請求項8】
列車の併合支援方法であって、
カメラによって撮影された併合車の連結器の撮像データを前記併合車に送信する送信ステップと、
前記撮像データを受信する受信ステップと、
前記撮像データを表示装置に出力する出力ステップと、
を含むことを特徴とする併合支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−254666(P2011−254666A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128279(P2010−128279)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【Fターム(参考)】