説明

使用認証方式を搭載した放送受信装置

【課題】解決しようとする問題点は、番組推奨エンジンのような自社独自技術の漏洩を防ぎ、安全に番組推奨エンジンを実行できるようにする点である。
【解決手段】本発明は、放送局側から番組推奨エンジンを使用可能にする認証鍵を含むアプリケーションを番組と一緒に送出する場合、放送受信装置でその認証鍵を含むアプリケーションとその他のアプリケーションと識別し、認証鍵を含むアプリケーションを受信した場合にはその認証鍵を抽出する機能やCableCARD挿入時にCableCARDが持っている固体番号を抽出する機能と、抽出されたものと放送受信装置との鍵の認証を行ない、番組推奨エンジンの実行を可能とする鍵であることが判断できれば番組推奨エンジンの実行することをもっとも主要な特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、北米OCAP(登録商標)規格のミドルウェアに内蔵された番組推奨エンジンのような自社独自技術を実行するための、使用認証方式を搭載した放送受信装置である。
【背景技術】
【0002】
従来、北米OCAP規格では、各受信機メーカーのハードウェア差異を吸収し、どのハードウェアでも同じサービスが享受できるようにミドルウェアが定義されている。ここで、北米OCAP規格とは、北米デジタルCATV標準規格のことをいい、欧州デジタルTV標準化規格DVB−MHP(登録商標)をベースに北米ケーブルテレビ標準化組織が策定した規格である。このOCAP規格においては、さまざまなアプリケーションを実現するためのアプリケーションソフトについては、放送局において放送波に多重化されて送信されており、各受信機は放送波に多重化されたアプリケーションをダウンロードすることにより、新たなアプリケーションを実行する方式が採用されている。これにより、映像、音声のデジタル放送に加えて、デジタルCATVで双方向サービスやインターネットサービスを実現することが可能となっている。
【特許文献1】特開2002−41467号公報
【特許文献2】特表2001−516532号公報
【非特許文献1】OCAP規格 OCAP 1.0 Profile
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、各受信機メーカーは各受信機特有の機能を実現するためにミドルウェアにない新たな機能をユーザーに提供する場合、例えば番組推奨エンジンといったOCAP規格には含まれていないアプリケーション(以下、「独自アプリケーション」という。)についても、上述したように、1つのアプリケーションとして放送波に多重化して送出しなければならない。その場合に番組推奨エンジンのような自社独自の技術がアプリケーション製作会社や、アプリケーションを受信した会社がアプリケーションの内容を容易に解析することができてしまう恐れがあった。
【0004】
そこで、本願発明の目的は、番組推奨エンジンのような自社独自技術の漏洩を防ぎ、安全に番組推奨エンジンを実行できるようにする点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、放送局側から独自アプリケーションを使用可能にする認証鍵を含むアプリケーションを番組と一緒に送出する場合、放送受信装置でその認証鍵を含むアプリケーションとその他のアプリケーションと識別し、認証鍵を含むアプリケーションを受信した場合にはその認証鍵を抽出する機能やCableCARD挿入時にCableCARDが持っている固体番号を抽出する機能と、抽出されたものと放送受信装置との鍵の認証を行ない、番組推奨エンジンの実行を可能とする鍵であることが判断できれば独自アプリケーションの実行することをもっとも主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の番組推奨エンジンの使用認証方式を搭載した放送受信装置は、放送局から送信される番組推奨エンジンの認証鍵を含むアプリケーションを受信し、そのアプリケーションから認証鍵を抽出し、抽出された認証鍵が番組推奨エンジンを実行してもよいかどうかかの判断が出来れば、容易に番組推奨エンジンを実行する事が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(実施の形態1)
次に図面を参照して、番組推奨エンジンの使用認証方式を搭載した放送受信装置の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の番組推奨エンジンの使用認証方式を搭載した放送受信装置の一実施形態を示す。
【0008】
本実施形態の放送受信システムは、放送局100、放送波101、放送受信装置102により構成されており、放送受信装置102は、チューナー103、モデム104、アプリケーション受信処理部105、OCAPミドルウェア106、認証鍵確認処理部107、番組推奨エンジン108、CableCARD109とにより構成されており、放送局100から送信される放送波101には、認証鍵を含むアプリケーション110が含まれている。
【0009】
ここで、放送局100は放送波101内に番組推奨エンジン108の実行に必要な認証鍵を含むアプリケーション110を他のアプリケーションと同様に送出する。放送受信装置102はチューナー103やモデム104で放送波101を受信し、受信内容はアプリケーション受信処理部105へ送信される。なお、番組推奨エンジン108は、放送受信装置102のOCAPミドルウェアに予め追加されているものとする。
【0010】
次に、アプリケーション受信処理部105では、チューナー103やモデム104からの送信された内容に認証鍵を含むアプリケーション110が存在しているかどうか常に監視しており、存在した場合には認証鍵を含むアプリケーション110から認証鍵の抽出を行ない、認証鍵を抽出した場合には、認証鍵を認証鍵確認処理部107へ送信する。
【0011】
次に、OCAPミドルウェア106内の認証鍵確認処理部107では、予め認証鍵確認用の鍵を保持しており、アプリケーション処理部105から送信された認証鍵と予め保持していた認証鍵との照合を実施し、照合結果がよければ番組推奨エンジン108を実行する。あるいは、CableCARD109が放送受信装置102に挿入されたことが検出された場合には、予め保持しているCableCARDの固体番号を元に認証鍵確認処理部107で照合を実施し、照合結果が一致した場合には、番組推奨エンジン108を実行する。なお、認証鍵を含むアプリケーション110を用いて実行できるのは、番組推奨エンジンでなくてもよい。
【0012】
以下、一実施形態の詳細説明をするために図1から図5、及び北米のOCAP規格を用いて説明する。図2は、送信される放送波101の構造図を示す。図2を参照して、本実施例における放送波101の構造を説明する。
【0013】
放送局100は、放送波101の各番組情報やその他の情報を映像信号、音声信号と共にOCAP規格で定められたXAIT200等を付与して送信する。XAIT200内にはapplication_name201、service_id204とservice_name_byte205を判断するabstract_service_descriptor202が配置され、application_id206を判断するapplication_identifier203が配置される。
【0014】
application_name201は、放送局100から送出されるアプリケーション名を示し、abstract_service_descriptor202は、各アプリケーションのサービス情報等を示し、application_identifier203はアプリケーション識別子を示す。service_id204は、送出中のサービスを識別する値であり、この値は放送局が指定できる値と、受信機メーカーが指定できる値で範囲が異なる。service_name_byte205は、送出中のサービス名を識別する物である。application_id206は、送出中のアプリケーションを識別する値である。
【0015】
次に、図3を参照して、本実施例におけるアプリケーション受信処理部105の動作を説明する。放送局100から認証鍵を含むアプリケーション110を付与して送出された放送波101は、放送受信装置102のチューナー103やモデム104を介してアプリケーション受信処理部105に送信される(ステップ100)。
【0016】
アプリケーション受信処理部105では、送信されたストリーム内のXAIT200内のapplication_name201の検索を行なう。application_name201に、予め認証鍵を含むアプリケーション110と識別できる名前を、放送受信装置102の記憶媒体に保持しておくことで、アプリケーション受信処理部105は認証鍵を含むアプリケーション110が送出されている事を識別する事ができる(ステップ102)。
【0017】
認証鍵を含むアプリケーション110を識別すると、アプリケーション受信処理部105は、XAIT200からservice_id204とservice_name_byte205、application_id206を抽出する(ステップ104)。抽出した内容をOCAPミドルウェア106内の認証鍵確認処理部107へ通知する(ステップ106)。
【0018】
認証鍵を含むアプリケーション110を識別したが、上記の3つの情報が全て揃わない場合は、揃わない情報にダミーの情報、例えば−1などを設定して認証鍵確認処理部107へ通知する。なお、認証鍵を含むアプリケーション110以外のアプリケーションは、認証鍵確認処理部107に通知せず直接OCAPミドルウェア108に通知される(ステップ108)。
【0019】
次に、図4を参照して、本実施例における認証鍵確認処理部107の動作を説明する。アプリケーション受信処理部105において、認証鍵を含むアプリケーション110からservice_id204とservice_name_byte205、application_id206を抽出し、認証鍵確認処理部107へ通知される(ステップ200)。
【0020】
認証鍵確認処理部107では、通知された3つの情報が正しい情報かどうかを確認するため、予め放送受信装置102の記憶媒体に確認用の情報を保持しておき、その情報とアプリケーション受信処理部105から通知された情報との照合を行ない、3つとも全て正しければ番組推奨エンジン108を実行することができる(ステップ202、204、206)。一方、3つの情報のうち、どれか1つでも正しくない情報があれば偽の認証鍵と判断し、番組推奨エンジン108は実行しない(ステップ208、210)。
【0021】
ここで、CableCARD109を用いる場合は、CableCARD109を放送受信装置102に挿入後、CableCARD109と放送受信装置102間で機器認証が実行される。この機器認証が正常に終了するとCableCARD109の機能が使用できる状態になるので、この状態への遷移確認後にチューナー103やモデム104を用いて放送局100に対して機器認証完了を送信し、このCableCARD109は番組推奨エンジン108を実行可能にしてもよいものかどうかを放送局100から送信してもらうことも可能である。
【0022】
この場合、放送局100は、番組推奨エンジン108を実行してもよいCableCARD109の固体番号やMACアドレスを送信し、放送受信装置102はその送信されてきた内容と、実際に挿入されているCableCARD109の固体番号やMACアドレスと照合する事によって番組推奨エンジン108が実行可能かどうかを判断する。
【0023】
次に、図5を参照して、本発明の番組推奨エンジンの使用認証方式を搭載した放送受信装置の別の方式について説明する。図5は、放送波101で送出されるXAIT200の一例を示している。放送受信装置102に、予め番組推奨エンジンを実行するための情報としてapplication_name201としてEPG−ENGINE、service_id204として0x011111、service_name_byte205としてABCDEFGH、application_id206として0x3210を予め記憶しておく。
【0024】
ある放送局100から送信される放送波101のXAIT200にも上記と同じ内容が設定されている場合、放送受信装置102はチューナー103やモデム104を介してアプリケーション処理部105へ受信したストリームを送信する。アプリケーション受信処理部105では、XAIT200内のapplication_name201の検索を実行し、application_name201がEPG−ENGINEと抽出できたので、放送受信装置102内の内容と照合した結果、このアプリケーションは認証鍵を含むアプリケーション110と判断し、service_id204とservice_name_byte205、application_id206を抽出し、抽出した内容をOCAPミドルウェア106内の認証鍵確認処理部107へ通知する。
【0025】
さらに、認証鍵確認処理部107で、通知されたservice_id204とservice_name_byte205、application_id206がそれぞれ0x011111、ABCDEFGH、0x3210と確認でき、これは放送受信装置102が予めもっていた認証鍵の情報と一致するため、番組推薦エンジン108を実行する。以上より、放送波から送信された番組推奨エンジンを実行することができる。
【0026】
以上のような放送受信装置の具体的な処理について、図6を参照しながら放送局側からA社向けのアプリケーションを送信した場合について説明する。なお、A社向けのアプリケーションのService_idは01であり、B社向けのアプリケーションのService_idは02と仮定する。さらに、A社の受信機のOCAPミドルウェアでは、Service_idが01のアプリケーションをダウンロードした場合には、そのアプリケーションを実行するように規定している(ステップ300)。
【0027】
このような状況において、放送局から送信されたA社向けのアプリを受信したA社受信器の動作について説明する。A社向けアプリを受信したA社受信器は、上述したようなService_id等の情報に基づいて認証を行う(ステップ304)。ステップ304において、A社向けのアプリと認証された場合には、OCAPミドルウェア内の自社技術を実行する(ステップ306)。これにより、A社の受信器においては、放送局からA社向けに送信されたアプリを実行することが可能になる。
【0028】
一方、B社の受信器における処理について、ステップ308からステップ314を参照しながら説明する。なお、他社の独自技術を解析するためにB社側は予めA社側のService_idを取得しているものとする(ステップ308)。この例においては、Service_id=01を入手しているものとする。
【0029】
このような状況において、放送局から送信されたA社向けのアプリケーションを受信したB社受信器の動作について説明する。A社向けアプリケーションを受信したB社受信器は、A社向けのアプリケーションを自社の受信器で実行可能なように、A社向けのアプリのService_idを01から02に変更する(ステップ310)。次に、ステップ312において、Service_id=02によりA社向けのアプリのダウンロードを実行する(ステップ312)。しかしながら、この場合には、Service_idとアプリケーションが一致しないため、B社がダウンロードしたアプリケーションの内容は解析することができないため、B社の受信器ではA社のアプリケーションを実行することはできないとともに、アプリケーションの内容を解析することもできない。
【0030】
以上のように、本願発明においては、番組推奨エンジンのような自社独自技術の漏洩を防ぎ、安全に番組推奨エンジンを実行することが可能になるものである。
【0031】
なお、上述の説明においては、番組推奨エンジンに関するアプリケーションについて説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、他のエンジン及びアプリケーションに応用可能である。
【0032】
また、上述した説明においては、CableCARDの例について説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、物理的なCableCARを使用することなく、認証機能をもつアプリケーションなどにより実現することも可能である。
【0033】
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例であるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の番組推奨エンジンの使用認証方式を搭載した放送受信装置は、番組推奨エンジンを実行するためには認証鍵を受信するだけでよく、推奨エンジンのような自社独自技術の漏洩を防ぐ事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の放送受信装置の構成を示すブロック図
【図2】送信される放送波の構造図
【図3】アプリケーション受信処理部105のデータ解析フローチャート
【図4】認証鍵確認処理部107のデータ解析フローチャート
【図5】XAIT200の構成を示す図
【図6】本発明の放送受信装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0036】
100 放送局
101 放送波
102 放送受信装置
103 チューナー
104 モデム
105 アプリケーション受信処理部
106 OCAPミドルウェア
107 認証鍵確認処理部
108 番組推奨エンジン
109 CableCARD
110 認証鍵を含むアプリケーション
200 XAIT
201 application_name
202 abstract_service_descriptor
203 application_identifier
204 service_id
205 service_name_byte
206 application_id

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波を受信する手段と、放送波に含まれる番組推奨エンジンを実行可能とする認証鍵を含むアプリケーションを識別する手段と、認証鍵を含むアプリケーションを受信した場合に認証鍵を抽出する手段と、CableCARDの挿抜を検出する手段と、挿入されたCableCARDから固体番号を抽出する手段と、抽出された認証鍵が番組推奨エンジンを実行しても良いかどうかを判断する手段と、抽出されたCableCARDの固体番号が番組推奨エンジンを実行しても良いかどうかを判断する手段と、番組推奨エンジンを実行する手段を備えることを特徴とする番組推奨エンジンの使用認証方式を搭載した放送受信装置。
【請求項2】
前記放送波を受信する受信手段は、チューナーやモデムであることを特徴とする請求項1に記載の番組推奨エンジンの使用認証方式を搭載した放送受信装置。
【請求項3】
前記放送波に含まれる番組推奨エンジンを実行可能とする認証鍵を含むアプリケーションを識別する手段は、OCAP規格のAPPLICATION又はNAME又はAPPLICATION TYPE又はAPPLICATION IDを用いて識別する事を特徴とする請求項1に記載の番組推奨エンジンの使用認証方式を搭載した放送受信装置。
【請求項4】
前記放送波に含まれる番組推奨エンジンを実行可能とする認証鍵を含むアプリケーションを識別する手段は、ソフトウェアダウンロードの一形態として識別する事を特徴とする請求項1に記載の番組推奨エンジンの使用認証方式を搭載した放送受信装置。
【請求項5】
前記挿入されたCableCARDから固体番号を抽出する手段は、CableCARDにユニークに振られた製造番号を抽出する事を特徴とする請求項1から4の何れかに記載の番組推奨エンジンの使用認証方式を搭載した放送受信装置。
【請求項6】
前記挿入されたCableCARDから固体番号を抽出する手段は、CableCARDにユニークに振られたMACアドレスを抽出する事を特徴とする請求項1から5の何れかに記載の番組推奨エンジンの使用認証方式を搭載した放送受信装置。
【請求項7】
前記放送波を受信するステップと、放送波に含まれる番組推奨エンジンを実行可能とする認証鍵を含むアプリケーションを識別するステップと、認証鍵を含むアプリケーションを受信した場合に認証鍵を抽出するステップと、CableCARDの挿抜を検出するステップと、挿入されたCableCARDから固体番号を抽出するステップと、抽出された認証鍵が番組推奨エンジンを実行しても良いかどうかを判断するステップと、抽出されたCableCARDの固体番号が番組推奨エンジンを実行しても良いかどうかを判断するステップと、番組推奨エンジンを実行するステップを備えることを特徴とする番組推奨エンジンの使用認証方式を搭載した放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−235306(P2007−235306A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51710(P2006−51710)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】