説明

供給装置、縦型製袋包装機、および計量包装システム

【課題】容易に供給ローラのロール径を演算することができる供給装置、縦型製袋包装機、および計量包装システムを提供する。
【解決手段】角度変位検出部81は、エンコーダ51によって検知された供給ローラ50の回転量(検知結果)に基づいて、供給ローラ50の角度変位を検出する。移動変位検出部84は、変位検知部60の検知結果に基づいてダンサーローラバー45の移動変位を検出する。ロール径演算部85は、包材TFの供給が停止した状態において、供給ローラ50を逆回転させて包材TFを供給ローラ50に巻き取った場合に検出される供給ローラ50の角度変位とダンサーローラバー45の移動変位と、に基づいて供給ローラ50のロール径RDを演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給ローラに巻装されたシート状の長尺物を前記長尺物の使用側に供給する供給装置、縦型製袋包装機、および計量包装システムに関するもので、特に、供給ローラのロール径の演算手法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フィルム供給装置のフィルムロールのロール径を演算する手法が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−072157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1のフィルム供給装置において、フィルムロールのロール径を演算するためには、フィルム使用装置側へのフィルム供給を停止させつつ、フィルムロールからフィルムを繰り出すことが必要となる。
【0005】
しかし、この手法では、フィルムの供給動作を再開させる前の時点において、この繰り出されたフィルムをフィルムロールに巻き取ってダンサーロールを所定位置に移動させなければならない。すなわち、特許文献1のフィルム供給装置は、ロール径の演算後速やかにフィルム供給動作を実行することができない。
【0006】
そこで、本発明では、容易に供給ローラのロール径を演算することができる供給装置、縦型製袋包装機、および計量包装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、供給ローラに巻装されたシート状の長尺物を前記長尺物の使用側に供給する供給装置であって、前記使用側に供給される前記長尺物と接触しつつ、前記長尺物の張力を調整するテンションローラと、前記テンションローラの移動変位を検出する第1検出部と、前記供給ローラの角度変位を検出する第2検出部と、前記長尺物を前記使用側に供給する処理が停止しており、前記供給ローラを逆回転させて前記長尺物を前記供給ローラに巻き取ることによって前記テンションローラを基準位置に移動させる場合において、前記テンションローラの前記移動変位と前記供給ローラの前記角度変位とに基づいて供給ローラのロール径を演算する演算部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の供給装置において、前記供給ローラの回転動作を制御することにより、前記テンションローラの位置を原点サーチ開始位置から前記基準位置に復帰させる原点サーチ制御部、をさらに備え、前記演算部は、前記供給ローラが逆回転されることによって前記テンションローラの位置が前記原点サーチ開始位置から前記基準位置に移動する場合において、前記原点サーチ時における前記テンションローラの前記移動変位と前記供給ローラの前記角度変位とに基づいて前記供給ローラのロール径を演算することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の供給装置において、前記第1検出部は、移動変位検知部の検知結果に基づいて、前記移動変位を検出し、前記移動変位検知部は、前記テンションローラに取り付けられたバネ部材と、固定側に設けられており、前記テンションローラの位置に応じて前記バネ部材から付勢される付勢力を検知するロードセルと、を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項1または請求項2に記載の供給装置において、前記第1検出部は、移動変位検知部の検知結果に基づいて、前記移動変位を検出し、前記移動変位検知部は、前記テンションローラの動作を回動動作に変換する変換部と、前記変換部によって変換された前記テンションローラの動作を角度変位として検知する第1エンコーダと、を有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の供給装置において、前記テンションローラは、上下方向に昇降可能とされており、前記第1検出部は、前記テンションローラの昇降量を検出することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の供給装置において、前記第2検出部は、前記供給ローラの回転量を検知する第2エンコーダの検知結果に基づいて、前記角度変位を検出することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7の発明は、筒状に成形された包材を、当該包材の流れ方向および幅方向に沿って縦および横シールしつつ製袋するとともに、製袋された袋に落下する被包装物を充填する縦型製袋包装機であって、前記包材を前記流れ方向に沿って熱圧着することにより、前記包材を縦シールする縦シール装置と、前記包材を前記幅方向に沿って挟み込みつつ熱圧着することにより、前記包材を横シールする一対の横シール装置と、前記包材の使用側である前記縦シール装置および横シール装置に前記包材を供給する供給装置と、を備え、前記供給装置は、前記使用側に供給される前記包材と接触しつつ、前記包材の張力を調整するテンションローラと、前記テンションローラの移動変位を検出する第1検出部と、前記供給ローラの角度変位を検出する第2検出部と、前記包材を前記使用側に供給する処理が停止しており、前記供給ローラを逆回転させて前記包材を前記供給ローラに巻き取ることによって前記テンションローラを基準位置に移動させる場合において、前記テンションローラの前記移動変位と前記供給ローラの前記角度変位とに基づいて前記供給ローラのロール径を演算する演算部と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項8の発明は、計量包装システムであって、組み合わせ計量によって一定量の被包装物を計り取る組合せ計量機と、前記組合せ計量機の下方に配設された請求項7に記載の縦型製袋包装機と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1から請求項8に記載の発明によれば、長尺物の供給が停止している場合において、供給ローラを逆回転させて長尺物を巻き取ることによってテンションローラの位置を基準位置に移動させることにより、供給ローラのロール径を演算することができる。これにより、ロール径の演算処理が完了した後は、繰り出された余分な長尺物の巻き取り処理を実行することなく、すみやかに長尺物を使用側に再供給可能な状態となる。そのため、ロール径の演算をした後であっても効率的に長尺物を使用側に供給することができる。
使用側に長尺物を供給する処理を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
<1.計量包装システムおよび縦型製袋包装機の構成>
図1は、本発明の実施の形態における計量包装システム1の全体構成の一例を示す斜視図である。図2は、組合せ計量機2および縦型製袋包装機3の構成の一例を示す正面図である。なお、図1および以降の各図には、それらの方向関係を明確にすべく必要に応じて適宜、Z軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系が付されている。
【0018】
計量包装システム1は、被包装物(例えばポテトチップスのような食品等)Xを一定量計り取るとともに、この一定量の被包装物Xを包装する計量および製袋包装ラインである。図1に示すように、計量包装システム1は、主として、組合せ計量機2と、縦型製袋包装機3と、シールチェッカー4と、重量チェッカー5と、を備える。
【0019】
組合せ計量機2は、一定量の被包装物Xを計り取るとともに、下方に配設された縦型製袋包装機3に、この計量された被包装物Xを供給する。図2に示すように、組合せ計量機2は、主として、分散フィーダ21と、トラフ22と、プールホッパ23と、計量ホッパ24と、集合シュート25と、を備える。
【0020】
組合せ計量機2に計量対象となる被包装物Xが供給されると、この供給された被包装物Xは、分散フィーダ21の中央部付近に落下させられる。図2に示すように、分散フィーダ21の周縁には複数のトラフ22が設けられている。また、分散フィーダ21およびトラフ22には、加振装置(図示省略)からの振動が付与されている。これにより、分散フィーダ21に供給された被包装物Xは、各トラフ22を経由して落下し、対応するプールホッパ23に貯留される。
【0021】
複数のプールホッパ23のそれぞれは、対応する計量ホッパ24の上方に配設されており、計量ホッパ24に供給する被包装物Xを一時的に貯留する。また、複数の計量ホッパ24のそれぞれは、対応するプールホッパ23から供給される被包装物Xの重量を計量する重量検出器(例えばロードセル:図示省略)を有する。
【0022】
計量機コントロールユニット20は、各計量ホッパ24に貯留される被包装物Xの重量値の検出する。そして、計量機コントロールユニット20は、各重量値の組合せによって得られる総和のうち所望値に最も近い組合せを演算するとともに、この組合せに対応する計量ホッパ24から集合シュート25に向けて被包装物Xを排出させる。これにより、集合シュート25に排出された一定量の被包装物Xは、縦型製袋包装機3に供給される。
【0023】
また、計量機コントロールユニット20は、被包装物Xが排出されて空となった計量ホッパ24に被包装物Xを補充するため、対応するプールホッパ23から計量ホッパ24に向けて被包装物Xを供給させる。
【0024】
縦型製袋包装機3は、図1および図2に示すように、組合せ計量機2の下方に配設されており、組合せ計量機2から排出されて落下する被包装物Xを包材TF(例えば、プラスチックで形成されたフィルム)によって袋詰する装置である。図2に示すように、縦型製袋包装機3は、主として、チューブ31と、フォーマ32と、プルダウンベルト33と、縦シール装置34と、横シール装置35と、供給装置40と、を有する。
【0025】
チューブ31とフォーマ32とは、供給装置40から供給される包材TFを筒状に成形する成形機構である。チューブ31は、略円筒形状の部材であり、その上下端は開口している。フォーマ32は、チューブ31を取り囲むように配設されている。チューブ31とフォーマ32との間に包材TFが繰り入れられると、この繰り入れられた包材TFはチューブ31に巻き付けられて略筒状に成形される。
【0026】
なお、チューブ31の上端開口部からチューブ31内には、組合せ計量機2からの被包装物Xが投入される。また、チューブ31およびフォーマ32に包材TFを供給する供給装置40については、後述する。
【0027】
図2に示すように、プルダウンベルト33および縦シール装置34は、チューブ31およびフォーマ32の下方に配設される。プルダウンベルト33は、チューブ31に巻き付けられた包材TFを矢印AR1方向(包材TFの流れ方向:Z軸と略平行な方向)に搬送する。また、縦シール装置34は、チューブ31に巻き付けられた包材TFの重なり部分を流れ方向AR1に沿って熱圧着し、縦シールする。
【0028】
一対の横シール装置35は、包材を溶着して切断する。すなわち、両横シール装置35の回動動作が同期することにより、筒状の包材TFは、一方の横シール装置35のシールジョー35aと他方の横シール装置35のシールジョー35aとの間に挟み込まれて熱圧着される。これにより、包材TFは、Y軸と略並行な矢印AR2方向(包材TFの幅方向)に溶着されて横シールされるとともに、包材TFは、その溶着部から切断される。
【0029】
包装機コントロールユニット30は、図2に示すように、プログラムや変数等を格納するメモリ30aと、メモリ30aに格納されたプログラムに従った制御を実行するCPU30bと、を備える。したがって、CPU30bは、メモリ30aに格納されているプログラムに従って、横シール装置35および供給装置40等の動作制御を所定のタイミングで実行することができる。また、包装機コントロールユニット30は、計量機コントロールユニット20と電気的に接続されている。したがって、両コントロール20、30の間で制御信号の送受信が行われることにより、例えば、組合せ計量機2および縦型製袋包装機3の動作を同期させることができる。
【0030】
図1に戻って、縦型製袋包装機3において被包装物Xが充填された袋Bは、シールチェッカー4に搬送されてシール状況のチェックが行われるとともに、重量チェッカー5において袋Bの重量が所定範囲となるか否かのチェックが行われる。そして、重量やシール状況のチェックが完了した良品の袋Bは、箱詰ユニット(図示省略)においてダンボール箱等に箱詰される。
【0031】
<2.供給装置の構成>
図3は、供給装置40の構成の一例を示す正面図である。図4は、ダンサーローラバー付近の構成の一例を示す斜視図である。ここで、供給装置40は、包材TFを縦シール装置34および横シール装置35等の使用側に供給する装置である。図3に示すように、供給装置40は、主として、供給ローラ50と、ダンサーローラバー45と、制御部70と、を備える。
【0032】
供給ローラ50には、シート状の長尺物としての包材TFが巻装される。供給ローラ50は、モータ52から付与される駆動力により、回転軸50aを中心に回動可能とされる。したがって、モータ52からの駆動力によって供給ローラ50が矢印R1方向に回転させられると、供給ローラ50から使用側に包材TFが繰り出される。また、供給ローラ50が矢印R2方向に回転させられると、供給ローラ50に包材TFが巻き取られる。なお、本実施の形態において、供給ローラ50が矢印R1方向および矢印R2方向に回転することを、それぞれ「正回転する」および「逆回転する」と呼ぶ。
【0033】
また、回転軸50aには、供給ローラ50の回転量を検知可能なエンコーダ51が取り付けられている。このエンコーダ51による検知結果に基づいて、供給ローラ50の角度変位が検出される。
【0034】
ダンサーローラバー45は、包材TFと接触しつつ回動することにより、供給ローラ50から繰り出された包材TFの張力を調整するテンションローラである。図3に示すように、ダンサーローラバー45は、包材TFの供給方向SDから見て、供給ローラ50の下流側であって、縦シール装置34および横シール装置35の上流側に配設される。
【0035】
図4に示すように、ダンサーローラバー45の長手方向両端部には、ダンサーローラバー45の回動軸49に沿って伸びるシャフト46(46a、46b)が設けられている。また、各シャフト46は、対応するローラガイド47(47a、47b)のスリット48(48a、48b)に挿通される。ここで、各スリット48は、ローラガイド47に設けられた開口部であり、略Z軸方向(上下方向)に沿って延伸する。このスリット48により、ダンサーローラバー45の移動は上下方向に規制される。
【0036】
したがって、供給ローラ50から繰り出される包材TFの繰り出し速度とプルダウンベルト33による包材TFの搬送速度とが不一致となり、包材TFが供給路上で弛む場合であっても、ダンサーローラバー45が下方向に移動して包材TFに張力が付与され、この弛みが吸収される。そのため、このような速度不一致が生じた場合であっても、供給装置40から使用側に良好に包材TFを供給することができる。
【0037】
制御部70は、供給装置40の動作を制御する。図3に示すように、制御部70は、主として、角度変位検出部81と、モータ駆動制御部82と、移動変位検出部84と、ロール径演算部85と、原点サーチ制御部86と、を有する。
【0038】
角度変位検出部(第2検出部)81は、信号線を介してエンコーダ51と接続されている。したがって、角度変位検出部81は、エンコーダ51によって検知された供給ローラ50の回転量(検知結果)に基づいて、供給ローラ50の角度変位を検出することができる。
【0039】
モータ駆動制御部82は、例えばダンサーローラバー45の上下方向の高さ位置Zに基づき、モータ52のトルク制御および速度制御等を実行する。これにより、供給ローラ50に巻装された包材TFは、供給ローラ50から使用側に向けて良好に供給される。
【0040】
移動変位検出部84は、変位検知部60の検知結果に基づいてダンサーローラバー45の移動変位を検出する。図4に示すように、変位検知部60は、主として、バネ部材61と、ロードセル62と、を有する。
【0041】
バネ部材61は、ロードセル62に付勢力を与える付勢部であり、ダンサーローラバー45の移動方向(上下方向)AR3と略平行に設けられている。図4に示すように、バネ部材61の一端部は可動側であるダンサーローラバー45のシャフト46aに、他端部は固定側であるロードセル62に、それぞれ取り付けられている。
【0042】
また、ロードセル62は、バネ部材61から付与される付勢力を、対応した電気量(電気抵抗値)に変換して計測する。図4に示すように、ロードセル62は、供給装置40の所定部位63に取り付けられている。
【0043】
したがって、ロードセル62によってダンサーローラバー45の高さ位置Zに対応した電気抵抗値が検知されるとともに、移動変位検出部84が、この検知結果(電気抵抗値)に基づいてバネ部材61の伸縮量を演算することにより、ダンサーローラバー45の昇降量(移動変位)が検出される。
【0044】
ロール径演算部85は、角度変位検出部81によって検出される供給ローラ50の角度変位と、移動変位検出部84によって検出される移動変位と、に基づいて供給ローラ50のロール径を演算する。原点サーチ制御部86は、供給ローラ50の回動動作を制御することにより、ダンサーローラバー45の高さ位置Zを原点サーチ開始位置Z0から基準位置Z1に移動させて復帰させる処理を実行する。
【0045】
図5は、原点サーチ時において、供給ローラ50の直径であるロール径RDを演算する手法の一例を説明するための図である。なお、原点サーチは、例えば、縦型製袋包装機3の電源投入時や再起動時に実行される。また、原点サーチ開始前の時点において、ダンサーローラバー45の高さ位置Zは開始位置Z0まで下降しているものとする。また、基準位置Z1は予め実験等により定められる。
【0046】
原点サーチでは、まず、供給ローラ50を矢印R2方向に逆回転させることによって、供給ローラ50に包材TFを巻き取る。これにより、ダンサーローラバー45は開始位置Z0から矢印AR3方向に上昇する。
【0047】
また、供給ローラ50が逆回転させられている間、角度変位検出部81によって供給ローラ50の角度変位が、移動変位検出部84によってダンサーローラバー45の移動変位が、それぞれ監視される。そして、ダンサーローラバー45の移動変位がDHとなり、ダンサーローラバー45の高さ位置Zが基準位置Z1まで上昇すると、供給ローラ50の回転が停止させられて、原点サーチ処理が終了する。
【0048】
また、原点サーチ時には、原点サーチ開始時から完了時における供給ローラ50の角度変位α(rad)が角度変位検出部81によって検出される。ロール径演算部85は、移動変位DHと角度変位αとを数1に代入することにより、供給ローラ50のロール径RDを演算する。すなわち、本実施の形態では、原点サーチとともに、供給装置40のロール径RDを演算することができる。
【0049】
RD = 4×D11/α ・・・ 数1
【0050】
<3.本実施の形態の供給装置の利点>
以上のように、本実施の形態の供給装置40は、ダンサーローラバー45の原点サーチを実行しつつ供給装置40のロール径RDを演算することができる。これにより、原点サーチが完了した時点において、供給装置40は、ロール径から包材TFの残量を把握することが可能となる。そのため、原点サーチ完了時点において包材TF残量が所定値以下となり、包材TFの残量が少ないと判断される場合、包材TF補充処理を縦型製袋包装機3の使用者に促すことが可能となり、使用側に供給中に包材TFがなくなるといった問題を未然に防止することができる。
【0051】
また、本実施の形態によるロール径RDの演算手法は、包材TFの供給が停止した状態において、包材TFを供給ローラ50に巻き取りつつ実行される。なお、ロール径RDの演算タイミングは、原点サーチ時に限定されない。これに対して、従来のロール径RDの演算手法は、供給ローラ50から包材TFを繰り出しつつ実行される。
【0052】
このように、従来技術では、ロール径RDの演算後、繰り出された包材TFを巻き取るという余分な処理が必要となるが、本実施の形態の演算手法では、このような余分な処理は不要である。これにより、本実施の形態の供給装置40は、ロール径RDの演算処理後、すぐに包材TFを再供給可能な状態となる。そのため、ロール径RDの演算をした後であっても、効率的に包材TFを使用側に供給することができる。
【0053】
<4.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0054】
(1)本実施の形態において、角度変位検出部81、モータ駆動制御部82、移動変位検出部84、ロール径演算部85、原点サーチ制御部86は、制御部70に設けられているが、これに限定されるものでなく、例えば、包装機コントロールユニット30に各部81、82、84、85を設けてもよい。すなわち、供給装置40用に別個の制御部70を設けず、包装機コントロールユニット30によって供給装置40の動作制御を実行してもよい。
【0055】
(2)また、本実施の形態では、変位検知部60のロードセル62によって検知される電気量(電気抵抗値)に基づいて、ダンサーローラバー45の移動変位を検出しているが、変位検知部60で使用可能な検知結果はこれに限定されるものでない。
【0056】
例えば、ラックピニオン方式により、上下方向に移動するダンサーローラバー45の動作を回動動作に変換するとともに、ダンサーローラバー45の動作を角度変位としてエンコーダ等によって検知してもよい。
【0057】
すなわち、可動側であるダンサーローラバー45のシャフト46aには上下方向に沿って伸びるピニオンギヤが取り付けられるとともに、固定側にはピニオンギヤの昇降にともなって回動可能な歯車状のピニオンギヤが設けられる。また、ピニオンギヤの回動軸には、このピニオンギヤの角度変位を検知可能なエンコーダが設けられる。
【0058】
したがって、ピニオンギヤの回動軸に設けられたエンコーダの角度変位を検知することにより、この検知結果に基づいたダンサーローラバー45の移動変位を検出することが可能となる。この場合、ラックギヤとピニオギヤとは、ダンサーローラバー45の動作を回動動作に変換する変換部として使用される。
【0059】
(3)また、本実施の形態において、供給ローラ50の角度変位を検出するエンコーダ51は供給ローラ50の回転軸50aに取り付けられているとして説明したが、エンコーダ51の取付位置はこれに限定されない。例えば、モータ52に設けられたエンコーダ51の検知結果に基づいて、供給ローラ50の角度変位を検出しても良い。
【0060】
(4)さらに、本実施の形態において、ダンサーローラバー45は上下方向に移動するものとして説明したが、ダンサーローラバー45の移動態様はこれに限定されるものでない。例えば、ダンサーローラバー45は、包材TFの繰り出し状況に応じた回動運動を行ってもよい。
【0061】
図6は、ダンサーローラバー45付近の構成の他の例を示す正面図である。図6に示すように、ダンサーローラバー145の回転軸146は、アーム141の一端部に軸支されている。また、アーム141の他端部には回転軸142が設けられており、アーム141は回転軸142を中心に回動可能とされている。また、バネ部材147は、アーム141に付勢力を付与する付勢部であり、その一端部は可動側であるアーム141に、他端部は固定側である所定部位148に、それぞれ取り付けられる。したがって、ダンサーローラバー145は、包材TFの繰り出し状況に応じて、回転軸142を中心に回動する。
【0062】
そして、このようなダンサーローラバー145を有する供給装置40においても、ダンサーローラバー145の移動変位に基づいた包材TFの巻き取り量と、供給ローラ50の角度変位と、に基づいて供給ローラ50のロール径RDを演算する。この場合も、ダンサーローラバー45を使用した場合と同様な有利な効果が生ずる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態における計量包装システムの全体構成の一例を示す斜視図である。
【図2】本実施の形態における組合せ計量機および縦型製袋包装機の構成の一例を示す正面図である。
【図3】供給装置の構成の一例を示す正面図である。
【図4】ダンサーローラバー付近の構成の一例を示す斜視図である。
【図5】ロール径を演算する手法の一例を説明するための図である。
【図6】ダンサーローラバー付近の構成の他の例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 計量包装システム
2 組合せ計量機
3 縦型製袋包装機
30 包装機コントロールユニット
34 縦シール装置
35 横シール装置
40 供給装置
45、145 ダンサーローラバー
46(46a、46b) シャフト
47(47a、47b) ローラガイド
48(48a、48b) スリット
50 供給ローラ
50a、142、146 回転軸
51 エンコーダ
52 モータ
60 変位検知部
61 バネ部材
62 ロードセル
70 制御部
81 角度変位検出部
82 モータ駆動制御部
84 移動変位検出部
85 ロール径演算部
86 原点サーチ制御部
141 アーム
147 バネ部材
α 角度変位
B 袋
DH 移動変位
RD 角度変位
TF 包材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給ローラに巻装されたシート状の長尺物を前記長尺物の使用側に供給する供給装置であって、
(a) 前記使用側に供給される前記長尺物と接触しつつ、前記長尺物の張力を調整するテンションローラと、
(b) 前記テンションローラの移動変位を検出する第1検出部と、
(c) 前記供給ローラの角度変位を検出する第2検出部と、
(d) 前記長尺物を前記使用側に供給する処理が停止しており、前記供給ローラを逆回転させて前記長尺物を前記供給ローラに巻き取ることによって前記テンションローラを基準位置に移動させる場合において、前記テンションローラの前記移動変位と前記供給ローラの前記角度変位とに基づいて供給ローラのロール径を演算する演算部と、
を備えることを特徴とする供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の供給装置において、
(e) 前記供給ローラの回転動作を制御することにより、前記テンションローラの位置を原点サーチ開始位置から前記基準位置に復帰させる原点サーチ制御部、
をさらに備え、
前記演算部は、前記供給ローラが逆回転されることによって前記テンションローラの位置が前記原点サーチ開始位置から前記基準位置に移動する場合において、前記原点サーチ時における前記テンションローラの前記移動変位と前記供給ローラの前記角度変位とに基づいて前記供給ローラのロール径を演算することを特徴とする供給装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の供給装置において、
前記第1検出部は、移動変位検知部の検知結果に基づいて、前記移動変位を検出し、
前記移動変位検知部は、
前記テンションローラに取り付けられたバネ部材と、
固定側に設けられており、前記テンションローラの位置に応じて前記バネ部材から付勢される付勢力を検知するロードセルと、
を有することを特徴とする供給装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の供給装置において、
前記第1検出部は、移動変位検知部の検知結果に基づいて、前記移動変位を検出し、
前記移動変位検知部は、
前記テンションローラの動作を回動動作に変換する変換部と、
前記変換部によって変換された前記テンションローラの動作を角度変位として検知する第1エンコーダと、
を有することを特徴とする供給装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の供給装置において、
前記テンションローラは、上下方向に昇降可能とされており、
前記第1検出部は、前記テンションローラの昇降量を検出することを特徴とする供給装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の供給装置において、
前記第2検出部は、前記供給ローラの回転量を検知する第2エンコーダの検知結果に基づいて、前記角度変位を検出することを特徴とする供給装置。
【請求項7】
筒状に成形された包材を、当該包材の流れ方向および幅方向に沿って縦および横シールしつつ製袋するとともに、製袋された袋に落下する被包装物を充填する縦型製袋包装機であって、
(a) 前記包材を前記流れ方向に沿って熱圧着することにより、前記包材を縦シールする縦シール装置と、
(b) 前記包材を前記幅方向に沿って挟み込みつつ熱圧着することにより、前記包材を横シールする一対の横シール装置と、
(c) 前記包材の使用側である前記縦シール装置および横シール装置に前記包材を供給する供給装置と、
を備え、
前記供給装置は、
(c-1) 前記使用側に供給される前記包材と接触しつつ、前記包材の張力を調整するテンションローラと、
(c-2) 前記テンションローラの移動変位を検出する第1検出部と、
(c-3) 前記供給ローラの角度変位を検出する第2検出部と、
(c-4) 前記包材を前記使用側に供給する処理が停止しており、前記供給ローラを逆回転させて前記包材を前記供給ローラに巻き取ることによって前記テンションローラを基準位置に移動させる場合において、前記テンションローラの前記移動変位と前記供給ローラの前記角度変位とに基づいて前記供給ローラのロール径を演算する演算部と、
を有することを特徴とする縦型製袋包装機。
【請求項8】
計量包装システムであって、
組み合わせ計量によって一定量の被包装物を計り取る組合せ計量機と、
前記組合せ計量機の下方に配設された請求項7に記載の縦型製袋包装機と、
を備えることを特徴とする計量包装システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−69940(P2007−69940A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257716(P2005−257716)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】