説明

保護膜形成用薬液及びウェハ表面の洗浄方法

【課題】半導体デバイス製造において、表面に凹凸パターンを有し該凹凸パターンの凹部表面にチタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、タンタル、及び、ルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を有するウェハ(金属系ウェハ)のパターン倒れを誘発しやすい洗浄工程を改善するための、保護膜形成用薬液を提供することを課題とする。
【解決手段】金属系ウェハの少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成するための薬液であり、Griffin法によるHLB値が0.001〜10であり炭素数が6〜18の炭化水素基を含む疎水部を有する界面活性剤と、水を含み、薬液中の前記界面活性剤の濃度が、該薬液の総量100質量%に対して0.00001質量%以上、飽和濃度以下であることを特徴とする、撥水性保護膜形成用薬液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス製造などにおける基板(ウェハ)の洗浄技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークやデジタル家電用の半導体デバイスにおいて、さらなる高性能・高機能化や低消費電力化が要求されている。そのため回路パターンの微細化が進行しており、微細化が進行するに伴って、回路パターンのパターン倒れが問題となっている。半導体デバイス製造においては、パーティクルや金属不純物の除去を目的とした洗浄工程が多用されており、その結果、半導体製造工程全体の3〜4割にまで洗浄工程が占めている。この洗浄工程において、半導体デバイスの微細化に伴うパターンのアスペクト比が高くなると、洗浄またはリンス後、気液界面がパターンを通過する時にパターンが倒れる現象がパターン倒れである。
【0003】
特許文献1には、シリコンを含む膜により凹凸形状パターンを形成したウェハ表面を酸化等により表面改質し、該表面に水溶性界面活性剤又はシランカップリング剤を用いて撥水性保護膜を形成し、毛細管力を低減し、パターンの倒壊を防止する洗浄方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4403202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、半導体デバイス製造などにおいて、特に微細でアスペクト比の高い回路パターン化されたデバイスの製造歩留まりの向上を目的とした基板(ウェハ)の洗浄技術に関するものであり、特に、表面に凹凸パターンを有するウェハの凹凸パターン倒れを誘発しやすい洗浄工程を改善することを目的とした撥水性保護膜形成用薬液等に関するものである。これまで、前記ウェハとしては表面にシリコン元素を有するウェハが一般的に用いられてきたが、パターンの多様化に伴って、チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、タンタル、及び、ルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を有する物質(以下、「金属系の物質」と記載する場合がある)を有するウェハ(以下、「金属系ウェハ」または単に「ウェハ」と記載する場合がある)が用いられ始めている。しかし、前記金属系ウェハのように、表面に反応性の官能基、例えばシラノール基が十分に存在しないウェハの場合、特許文献1に記載の水溶性界面活性剤又はシランカップリング剤を用いてもパターンの倒壊を防止する撥水性保護膜を形成できないため、パターンの倒壊を防止できないという問題がある。本発明は、金属系ウェハの少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成し、該凹部に保持された液体と該凹部表面との相互作用を低減せしめることによって、パターン倒れを誘発しやすい洗浄工程を改善するための撥水性保護膜を形成する撥水性保護膜形成用薬液を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
パターン倒れは、ウェハの乾燥時に気液界面がパターンを通過するときに生じる。これは、パターンのアスペクト比が高い部分と低い部分との間において、残液高さの差ができ、それによってパターンに作用する毛細管力に差が生じることが原因と言われている。
【0007】
このため、毛細管力を小さくすれば、残液高さの違いによる毛細管力の差が低減し、パターン倒れが解消すると期待できる。毛細管力の大きさは、以下に示される式で求められるPの絶対値であり、この式からγ、もしくは、cosθを小さくすれば、毛細管力を低減できると期待される。
【0008】
P=2×γ×cosθ/S
(式中、γは凹部に保持されている液体の表面張力、θは凹部表面と凹部に保持されている液体のなす接触角、Sは凹部の幅である。)
【0009】
本発明の撥水性保護膜形成用薬液(以降、「保護膜形成用薬液」または単に「薬液」と記載する場合がある)は、表面に凹凸パターンを有し該凹凸パターンの凹部表面にチタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、タンタル、及び、ルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(以下、「金属系の物質」と記載する場合がある)を有するウェハの、少なくとも凹部表面に撥水性保護膜(以降、単に「保護膜」と記載する場合がある)を形成するための薬液であり、Griffin法によるHLB値が0.001〜10であり炭素数が6〜18の炭化水素基を含む疎水部を有する界面活性剤と、水を含み、薬液中の上記界面活性剤の濃度が、該薬液の総量100質量%に対して0.00001質量%以上、飽和濃度以下であることを特徴とする。
【0010】
上記界面活性剤は分子内に疎水部と前記金属系の物質に対して親和性を持つ官能部を併せ持つ物質である。該官能部は、該官能部に水の分子が付加(水和)する特性を持つ場合に親水部であるとみなせる。この場合の該官能部と水の付加は、ファンデルワールス力や静電的相互作用、水素結合の生成による付加であってもよいし、水分子が配位結合により付加するものであってもよい。
【0011】
上記界面活性剤は、Griffin法によるHLB(Hydrophile Lipophile Balance)値が0.001〜10である。ここで、Griffin法によるHLB値は以下の式から求められる。
HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量
HLB値が0.001未満では保護膜の形成に長時間を要したり、該保護膜の形成が不十分となったりする傾向がある。HLB値が10超では、前記金属系ウェハ表面への撥水性付与効果が不十分となる傾向がある。より好ましいHLB値は0.005〜7である。
【0012】
上記薬液は、該界面活性剤と水を含み、薬液中の上記界面活性剤の濃度は、飽和濃度以下としている。飽和濃度は、界面活性剤が溶媒中に完全に溶解する限界の濃度であり、飽和濃度を超えた場合、混合液中の界面活性剤はミセルを形成して薬液が乳化したり、相分離するなど不均一なものとなる。ミセルや相分離によって生じる液の不均一な状態のものは、パーティクルなどの原因にもなり得る。飽和濃度以下では、界面活性剤は水に全て溶解した状態になっているため、薬液は均一であり、パーティクルの原因となることもない。
【0013】
前記界面活性剤は、炭素数が6〜18の炭化水素基を含む疎水部を有する。炭素数が6未満では、前記金属系ウェハ表面への撥水性付与効果が不十分となる傾向がある。一方、18超では、凝固点が室温よりも高くなり、析出してパーティクルとなる可能性がある。より好ましい炭素数は8〜18である。なお、本発明において炭化水素基は、炭素元素と水素元素からなるものでもよいし、それ以外の元素として、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素、特に好ましくはフッ素元素を含んでもよい。
【0014】
また、前記界面活性剤が、金属系の物質に対して親和性を持つ官能部を有することが好ましい。ここで、親和性とは、ファンデルワールス力や静電的相互作用等が金属系の物質と前記界面活性剤の官能部の間に働くことにより、金属系の物質表面に該界面活性剤が吸着されることを意味する。
【0015】
また、前記界面活性剤が、金属系の物質に対して親和性を持つ官能部を構造中に1個以上有することが好ましい。該官能部を構造中に1個以上有することにより、前記界面活性剤の疎水部が基板から遠い方向に向かって並びやすくなるために、より撥水性付与効果が高くなり、結果として凹凸パターンの倒れ防止効果が高くなるため好ましい。より好ましくは、前記界面活性剤が、金属系の物質に対して親和性を持つ官能部を構造中に1個有すると、前記界面活性剤の疎水部が基板から遠い方向に向かってさらに並びやすくなるために、撥水性付与効果がさらに高くなり、結果として凹凸パターンの倒れ防止効果がより高くなるため好ましい。
【0016】
また、前記界面活性剤が、炭素数が6〜18の直鎖状の炭化水素基を含む疎水部を有することが好ましい。炭素数が6〜18の直鎖状の炭化水素基は、水素元素の一部がハロゲン元素に置換されていても良いし、また枝分かれした炭素鎖の一部に炭素数が6〜18の直鎖状の炭化水素基を持つものであっても良い。該疎水部に含まれる炭素数が6〜18の炭化水素基が直鎖状であることにより、前記界面活性剤の疎水部が基板から遠い方向に向かって並びやすくなるために、より撥水性付与効果が高くなり、結果として凹凸パターンの倒れ防止効果が高くなるため好ましい。
【0017】
また、前記界面活性剤が、炭素原子と水素原子からなる炭素数が6〜18の直鎖状の炭化水素基を含む疎水部を有することが好ましい。該疎水部に含まれる炭素数が6〜18の直鎖状の炭化水素基が炭素原子と水素原子からなるものであることにより、前記界面活性剤の疎水部が基板から遠い方向に向かって並びやすくなるために、より撥水性付与効果が高くなり、結果として凹凸パターンの倒れ防止効果が高くなるため好ましい。
【0018】
また、前記薬液中には溶媒が含まれてもよく、含まれる溶媒の総量に対する水の濃度が、50質量%以上であると、前記薬液の引火性が低くなるので好ましい。より好ましくは前記水の濃度が70質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上である。
【0019】
また、前記薬液が、前記界面活性剤と水からなると、有機溶剤などの溶媒を含まず環境負荷が低いものとなるため好ましい。
【0020】
前記金属系ウェハとしては、凹凸パターンの凹部表面にチタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、タンタル、及び、ルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を有するものであり、好ましくは、チタン、タングステン、及び、ルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を有するもの、特に好ましくはルテニウム元素を有するものである。凹凸パターンの凹部表面にケイ素元素を有するウェハの場合、表面にはシラノール基(SiOH基)が多数存在し、このシラノール基がシランカップリング剤との反応点となるために、凹部表面に撥水性保護膜を形成しやすい。一方、金属系ウェハにおいては、表面にシラノール基にあたるような反応点が少なく、シランカップリング剤のような化合物で保護膜を形成することは難しい。また、本発明において、表面に凹凸パターンを有するウェハとは、エッチングまたはインプリント等によって表面に凹凸パターンを形成された後の状態のウェハを意味する。また、前記のウェハに金属配線等の他の加工が施されたものであっても、その表面に凹凸パターンが存在するものであれば、対象とすることができる。
【0021】
本発明の保護膜形成用薬液は、前記金属系ウェハの洗浄工程において洗浄液を該薬液に置換して使用される。また、前記の置換した薬液は他の洗浄液に置換されてもよい。
【0022】
前記のように洗浄液を保護膜形成用薬液に置換し、凹凸パターンの少なくとも凹部表面に該薬液が保持されている間に、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に前記保護膜が形成される。本発明の保護膜は、必ずしも連続的に形成されていなくてもよく、また、必ずしも均一に形成されていなくてもよいが、より優れた撥水性を付与できるため、連続的に、また、均一に形成されていることがより好ましい。
【0023】
本発明において、撥水性保護膜とは、ウェハ表面に形成されることにより、該ウェハ表面の濡れ性を低くする膜、すなわち撥水性を付与する膜のことである。本発明において撥水性とは、物品表面の表面エネルギーを低減させて、水やその他の液体と該物品表面との間(界面)で相互作用、例えば、水素結合、分子間力などを低減させる意味である。特に水に対して相互作用を低減させる効果が大きいが、水と水以外の液体の混合液や、水以外の液体に対しても相互作用を低減させる効果を有する。該相互作用の低減により、物品表面に対する液体の接触角を大きくすることができる。
【0024】
本発明のウェハ表面の洗浄方法は、本発明の撥水性保護膜形成用薬液を用いる、表面に凹凸パターンを有し該凹凸パターンの凹部表面にチタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、タンタル、及び、ルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を有するウェハ表面の洗浄方法であり、該方法は、
洗浄液を用いて前記ウェハ表面を洗浄する工程、
前記撥水性保護膜形成用薬液を用いて該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成する工程、
該凹凸パターンの表面に保持された前記洗浄液及び/または薬液からなる液体を該凹凸パターンの表面から除去する工程、及び、
前記液体を除去する工程の後で前記撥水性保護膜を除去する工程
を有することを特徴とする。
【0025】
本発明のウェハ表面の洗浄方法では、洗浄液として水系の洗浄液を使用することが好ましい。本発明の保護膜形成用薬液は水系の洗浄液と置換可能であるため、水系の洗浄液を使用することによってタクトアップを図ることができる。
【0026】
本発明では、液体が凹部から除去されるとき、すなわち、乾燥されるとき、前記凹凸パターンの少なくとも凹部表面に前記保護膜が形成されているので、該凹部に働く毛細管力が小さくなり、パターン倒れが生じにくくなる。また、前記保護膜は乾燥工程後に除去される。
【発明の効果】
【0027】
本発明の保護膜形成用薬液によって形成される保護膜は撥水性に優れることから、表面に凹凸パターンを形成され、該凹凸パターンの凹部表面にチタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、タンタル、及び、ルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を有するウェハの、該凹部に保持された液体と該凹部表面との相互作用を低減せしめ、ひいてはパターン倒れ防止効果を示す。該薬液を用いると、表面に凹凸パターンを有するウェハの製造方法中の洗浄工程が、スループットが低下することなく改善される。従って、本発明の保護膜形成用薬液を用いて行われる表面に凹凸パターンを有するウェハの製造方法は、生産性が高いものとなる。
【0028】
本発明の保護膜形成用薬液は、今後益々高くなると予想される例えば7以上のアスペクト比を有する凹凸パターンにも対応可能であり、より高密度化された半導体デバイス生産のコストダウンを可能とする。しかも従来の装置から大きな変更がなく対応でき、その結果、各種の半導体デバイスの製造に適用可能なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】表面が凹凸パターン2を有する面とされたウェハ1を斜視したときの模式図である。
【図2】図1中のa−a’断面の一部を示したものである。
【図3】凹部4が保護膜形成用薬液8を保持した状態の模式図を示している。
【図4】保護膜が形成された凹部4に液体9が保持された状態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明における、前記ウェハの好適な洗浄方法は、
(工程1)ウェハ表面を凹凸パターンを有する面とする工程、
(工程2)水系洗浄液を前記ウェハの凹凸表面に供し、凹凸パターンの少なくとも凹部表面に水系洗浄液を保持する工程、
(工程3)前記水系洗浄液を該水系洗浄液とは異なる洗浄液A(以下、単に「洗浄液A」と記載する場合がある)で置換し、該洗浄液Aを凹凸パターンの少なくとも凹部表面に保持する工程、
(工程4)前記洗浄液Aを保護膜形成用薬液で置換し、該薬液を凹凸パターンの少なくとも凹部表面に保持する工程、
(工程5)乾燥により凹凸パターン表面から洗浄液及び/または薬液からなる液体を除去する工程、
(工程6)撥水性保護膜を除去する工程
を有する。
【0031】
前記工程2及び/または3によって、前記ウェハ表面が洗浄される。なお、前記工程2、または工程3は省略されることもある。本発明の保護膜形成用薬液は水系洗浄液と置換可能であるため、特に工程3は省略しても構わない。
【0032】
さらに、工程4の後で、凹凸パターンの少なくとも凹部表面に保持された前記薬液を該薬液とは異なる洗浄液(以下、「洗浄液B」と記載する場合がある)に置換(以下、「後洗浄工程」と記載する場合がある)した後で工程5に移ってもよい。また、後洗浄工程の後で、洗浄液Bを水系洗浄液に置換してから、工程5に移ってもよいが、保護膜の撥水性付与効果をより保持しやすくするために、後洗浄工程の後で工程5に移ることが好ましい。また同様の理由で、工程4の後で直接工程5に移ることがより好ましい。
【0033】
本発明において、ウェハの凹凸パターンの少なくとも凹部表面に前記薬液や洗浄液を保持できるのであれば、該ウェハの洗浄方式は特に限定されない。ウェハの洗浄方式としては、ウェハをほぼ水平に保持して回転させながら回転中心付近に液体を供給してウェハを1枚ずつ洗浄するスピン洗浄に代表される枚葉方式や、洗浄槽内で複数枚のウェハを浸漬し洗浄するバッチ方式が挙げられる。なお、ウェハの凹凸パターンの少なくとも凹部に前記薬液や洗浄液を供給するときの該薬液や洗浄液の形態としては、該凹部に保持された時に液体になるものであれば特に限定されず、たとえば、液体、蒸気などがある。
【0034】
前記界面活性剤は、金属系の物質に対して親和性を持つ官能部を有することが好ましい。金属系の物質に対して親和性を持つ官能部としては、非共有電子対を持つ元素を一つ以上含有する官能部であり、例えば、アミノ基、イソシアネート基、−(C=O)−W結合、−(C=O)−X−Y結合、−(C=O)−Z−(C=O)−結合、−SH結合、−OH結合等が挙げられる。ここで、Wは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基を示し、X、およびZは、酸素原子、又は硫黄原子を示し、Yは、水素原子、アルキル基、芳香族基、ピリジル基、キノリル基、スクシンイミド基、マレイミド基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、又はベンゾトリアゾール基を示し、これらの基における水素原子は、有機基で置換されていてもよい。
【0035】
前記界面活性剤は、Griffin法によるHLB値が0.001〜10であり炭素数が6〜18の炭化水素基を含む疎水部を有する。このような界面活性剤としては、例えば、C13NH、C15NH、C17NH、C19NH、C1021NH、C1123NH、C1225NH、C1327NH、C1429NH、C1531NH、C1633NH、C1735NH、C1837NH、C13NH、C15NH、C17NH、CCl13NH、CCl15NH、CCl17NH、CBr13NH、CBr15NH、CBr17NH、C13NH、C15NH、C17NH、C11NH、C15NH、CCl11NH、CCl15NH、CBr11NH、CBr15NH、C11NH、C15NH、(C13NH、(C15NH、(C17NH、(C19NH、(C1021NH、(C1123NH、(C1225NH、(C1327NH、(C1429NH、(C1531NH、(C1633NH、(C1735NH、(C1837NH、(C13NH、(C15NH、(C17NH、(CCl13NH、(CCl15NH、(CCl17NH、(CBr13NH、(CBr15NH、(CBr17NH、(C13NH、(C15NH、(C17NH、(C11NH、(C15NH、(CCl11NH、(CCl15NH、(CBr11NH、(CBr15NH、(C11NH、(C15NH、(C13N、(C15N、(C17N、(C19N、(C1021N、(C1123N、(C1225N、(C1327N、(C1429N、(C1531N、(C1633N、(C1735N、(C1837N、(C13N、(C15N、(C17N、(CCl13N、(CCl15N、(CCl17N、(CBr13N、(CBr15N、(CBr17N、(C13N、(C15N、(C17N、(C11N、(C15N、(CCl11N、(CCl15N、(CBr11N、(CBr15N、(C11N、(C15N、(C13)(CH)NH、(C15)(CH)NH、(C17)(CH)NH、(C19)(CH)NH、(C1021)(CH)NH、(C1123)(CH)NH、(C1225)(CH)NH、(C1327)(CH)NH、(C1429)(CH)NH、(C1531)(CH)NH、(C1633)(CH)NH、(C1735)(CH)NH、(C1837)(CH)NH、(C13)(CH)NH、(C15)(CH)NH、(C17)(CH)NH、(C13)(CHN、(C15)(CHN、(C17)(CHN、(C19)(CHN、(C1021)(CHN、(C1123)(CHN、(C1225)(CHN、(C1327)(CHN、(C1429)(CHN、(C1531)(CHN、(C1633)(CHN、(C1735)(CHN、(C1837)(CHN、(C13)(CHN、(C15)(CHN、(C17)(CHN等の化合物、またはその炭酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの無機酸塩や、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、フタル酸塩などの有機酸塩が挙げられる。なお、塩を形成する場合は、塩形成前の界面活性剤のHLB値が0.001〜10である。
【0036】
また、例えば、
13NCO、C15NCO、C17NCO、C19NCO、C1021NCO、C1123NCO、C1225NCO、C1327NCO、C1429NCO、C1531NCO、C1633NCO、C1735NCO、C1837NCO、C13NCO、C15NCO、C17NCO、C12(NCO)、C14(NCO)、C16(NCO)、C18(NCO)、C1020(NCO)、C1122(NCO)、C1224(NCO)、C1326(NCO)、C1428(NCO)、C1530(NCO)、C1632(NCO)、C1734(NCO)、C1836(NCO)、(NCO)C12NCO、(NCO)C14NCO、(NCO)C16NCO、(NCO)C18NCO、(NCO)C1020NCO、(NCO)C1122NCO、(NCO)C1224NCO、(NCO)C1326NCO、(NCO)C1428NCO、(NCO)C1530NCO、(NCO)C1632NCO、(NCO)C1734NCO、(NCO)C1836NCO、C1019(NCO)、C1121(NCO)、C1223(NCO)、C1325(NCO)、C1427(NCO)、C1529(NCO)、C1631(NCO)、C1733(NCO)、C1835(NCO)、(NCO)1324(NCO)、(NCO)1426(NCO)、(NCO)1528(NCO)、(NCO)1630(NCO)、(NCO)1732(NCO)、(NCO)1834(NCO)等の化合物が挙げられる。
【0037】
また、例えば、
13COF、C15COF、C17COF、C19COF、C1021COF、C1123COF、C1225COF、C1327COF、C1429COF、C1531COF、C1633COF、C1735COF、C1837COF、CCOF、C13COF、C15COF、C17COF、C13COCl、C15COCl、C17COCl、C19COCl、C1021COCl、C1123COCl、C1225COCl、C1327COCl、C1429COCl、C1531COCl、C1633COCl、C1735COCl、C1837COCl、CCOCl、C13COCl、C15COCl、C17COCl、C17COBr、C19COBr、C1021COBr、C1123COBr、C1225COBr、C1327COBr、C1429COBr、C1531COBr、C1633COBr、C1735COBr、C1837COBr、C13COBr、C15COBr、C17COBr、C1123COI、C1225COI、C1327COI、C1429COI、C1531COI、C1633COI、C1735COI、C1837COI、C13COI、C15COI、C17COI等の化合物が挙げられる。
【0038】
また、例えば、
13COOH、C15COOH、C17COOH、C19COOH、C1021COOH、C1123COOH、C1225COOH、C1327COOH、C1429COOH、C1531COOH、C1633COOH、C1735COOH、C1837COOH、CCOOH、C13COOH、C15COOH、C17COOH、C13COOCH、C15COOCH、C17COOCH、C19COOCH、C1021COOCH、C1123COOCH、C1225COOCH、C1327COOCH、C1429COOCH、C1531COOCH、C1633COOCH、C1735COOCH、C1837COOCH、CCOOCH、C13COOCH、C15COOCH、C17COOCH、C13COOC、C15COOC、C17COOC、C19COOC、C1021COOC、C1123COOC、C1225COOC、C1327COOC、C1429COOC、C1531COOC、C1633COOC、C1735COOC、C1837COOC、CCOOC、C13COOC、C15COOC、C17COOC、C13COOC、C15COOC、C17COOC、C19COOC、C1021COOC、C1123COOC、C1225COOC、C1327COOC、C1429COOC、C1531COOC、C1633COOC、C1735COOC、C1837COOC、CCOOC、C13COOC、C15COOC、C17COOC、C13COSH、C15COSH、C17COSH、C19COSH、C1021COSH、C1123COSH、C1225COSH、C1327COSH、C1429COSH、C1531COSH、C1633COSH、C1735COSH、C1837COSH、CCOSH、C13COSH、C15COSH、C17COSH、C13COSCH、C15COSCH、C17COSCH、C19COSCH、C1021COSCH、C1123COSCH、C1225COSCH、C1327COSCH、C1429COSCH、C1531COSCH、C1633COSCH、C1735COSCH、C1837COSCH、CCOSCH、C13COSCH、C15COSCH、C17COSCH等の化合物が挙げられる。
【0039】
また、例えば、
13COOCOC13、C15COOCOC15、C17COOCOC17、C19COOCOC19、C1021COOCOC1021、C1123COOCOC1123、C1225COOCOC1225、C1327COOCOC1327、C1429COOCOC1429、C1531COOCOC1531、C1633COOCOC1633、C1735COOCOC1735、C1837COOCOC1837、CCOOCOC、C13COOCOC13、C15COOCOC15、C17COOCOC17等の化合物が挙げられる。
【0040】
また、例えば、
13SH、C15SH、C17SH、C19SH、C1021SH、C1123SH、C1225SH、C1327SH、C1429SH、C1531SH、C1633SH、C1735SH、C1837SH、C13SH、C15SH、C17SH、C12(SH)、C14(SH)、C16(SH)、C18(SH)、C1020(SH)、C1122(SH)、C1224(SH)、C1326(SH)、C1428(SH)、C1530(SH)、C1632(SH)、C1734(SH)、C1836(SH)、(SH)C12SH、(SH)C14SH、(SH)C16SH、(SH)C18SH、(SH)C1020SH、(SH)C1122SH、(SH)C1224SH、(SH)C1326SH、(SH)C1428SH、(SH)C1530SH、(SH)C1632SH、(SH)C1734SH、(SH)C1836SH、C15(SH)、C17(SH)、C1019(SH)、C1121(SH)、C1223(SH)、C1325(SH)、C1427(SH)、C1529(SH)、C1631(SH)、C1733(SH)、C1835(SH)、(SH)1018(SH)、(SH)1120(SH)、(SH)1222(SH)、(SH)1324(SH)、(SH)1426(SH)、(SH)1528(SH)、(SH)1630(SH)、(SH)1732(SH)、(SH)1834(SH)等の化合物が挙げられる。
【0041】
前記界面活性剤が塩を形成する場合、保護膜形成用薬液には該界面活性剤、またはその塩、並びにそれらの混合物を含んでもよい。
【0042】
また、前記界面活性剤は、炭素数が8〜18の炭化水素基を含む疎水部を有することが好ましい。炭化水素基としては、例えば、C17−、C19−、C1021−、C1123−、C1225−、C1327−、C1429−、C1531−、C1633−、C1735−、C1837−、C17−、CCl17−等が挙げられる。
【0043】
前記の、炭素数が8〜18の炭化水素基を含む疎水部を有する界面活性剤としては、例えば、
17NH、C19NH、C1021NH、C1123NH、C1225NH、C1327NH、C1429NH、C1531NH、C1633NH、C1735NH、C1837NH、C17NH、CCl17NH、CBr17NH、C17NH、C15NH、CCl15NH、CBr15NH、C15NH、(C17NH、(C19NH、(C1021NH、(C1123NH、(C1225NH、(C1327NH、(C1429NH、(C1531NH、(C1633NH、(C1735NH、(C1837NH、(C17NH、(CCl17NH、(CBr17NH、(C17NH、(C15NH、(CCl15NH、(CBr15NH、(C15NH、(C17N、(C19N、(C1021N、(C1123N、(C1225N、(C1327N、(C1429N、(C1531N、(C1633N、(C1735N、(C1837N、(C17N、(CCl17N、(CBr17N、(C17N、(C15N、(CCl15N、(CBr15N、(C15N、(C17)(CH)NH、(C19)(CH)NH、(C1021)(CH)NH、(C1123)(CH)NH、(C1225)(CH)NH、(C1327)(CH)NH、(C1429)(CH)NH、(C1531)(CH)NH、(C1633)(CH)NH、(C1735)(CH)NH、(C1837)(CH)NH、(C17)(CH)NH、(C17)(CHN、(C19)(CHN、(C1021)(CHN、(C1123)(CHN、(C1225)(CHN、(C1327)(CHN、(C1429)(CHN、(C1531)(CHN、(C1633)(CHN、(C1735)(CHN、(C1837)(CHN、(C17)(CHN等の化合物、またはその炭酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの無機酸塩や、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、フタル酸塩などの有機酸塩が挙げられる。
【0044】
また、例えば、
17NCO、C19NCO、C1021NCO、C1123NCO、C1225NCO、C1327NCO、C1429NCO、C1531NCO、C1633NCO、C1735NCO、C1837NCO、C17NCO、C16(NCO)、C18(NCO)、C1020(NCO)、C1122(NCO)、C1224(NCO)、C1326(NCO)、C1428(NCO)、C1530(NCO)、C1632(NCO)、C1734(NCO)、C1836(NCO)、(NCO)C16NCO、(NCO)C18NCO、(NCO)C1020NCO、(NCO)C1122NCO、(NCO)C1224NCO、(NCO)C1326NCO、(NCO)C1428NCO、(NCO)C1530NCO、(NCO)C1632NCO、(NCO)C1734NCO、(NCO)C1836NCO、C1019(NCO)、C1121(NCO)、C1223(NCO)、C1325(NCO)、C1427(NCO)、C1529(NCO)、C1631(NCO)、C1733(NCO)、C1835(NCO)、(NCO)1324(NCO)、(NCO)1426(NCO)、(NCO)1528(NCO)、(NCO)1630(NCO)、(NCO)1732(NCO)、(NCO)1834(NCO)等の化合物が挙げられる。
【0045】
また、例えば、
17COF、C19COF、C1021COF、C1123COF、C1225COF、C1327COF、C1429COF、C1531COF、C1633COF、C1735COF、C1837COF、C17COF、C17COCl、C19COCl、C1021COCl、C1123COCl、C1225COCl、C1327COCl、C1429COCl、C1531COCl、C1633COCl、C1735COCl、C1837COCl、C17COCl、C17COBr、C19COBr、C1021COBr、C1123COBr、C1225COBr、C1327COBr、C1429COBr、C1531COBr、C1633COBr、C1735COBr、C1837COBr、C17COBr、C1123COI、C1225COI、C1327COI、C1429COI、C1531COI、C1633COI、C1735COI、C1837COI、C17COI等の化合物が挙げられる。
【0046】
また、例えば、
17COOH、C19COOH、C1021COOH、C1123COOH、C1225COOH、C1327COOH、C1429COOH、C1531COOH、C1633COOH、C1735COOH、C1837COOH、C17COOH、C17COOCH、C19COOCH、C1021COOCH、C1123COOCH、C1225COOCH、C1327COOCH、C1429COOCH、C1531COOCH、C1633COOCH、C1735COOCH、C1837COOCH、C17COOCH、C17COOC、C19COOC、C1021COOC、C1123COOC、C1225COOC、C1327COOC、C1429COOC、C1531COOC、C1633COOC、C1735COOC、C1837COOC、C17COOC、C17COOC、C19COOC、C1021COOC、C1123COOC、C1225COOC、C1327COOC、C1429COOC、C1531COOC、C1633COOC、C1735COOC、C1837COOC、C17COOC、C17COSH、C19COSH、C1021COSH、C1123COSH、C1225COSH、C1327COSH、C1429COSH、C1531COSH、C1633COSH、C1735COSH、C1837COSH、C17COSH、C17COSCH、C19COSCH、C1021COSCH、C1123COSCH、C1225COSCH、C1327COSCH、C1429COSCH、C1531COSCH、C1633COSCH、C1735COSCH、C1837COSCH、C17COSCH等の化合物が挙げられる。
【0047】
また、例えば、
17COOCOC17、C19COOCOC19、C1021COOCOC1021、C1123COOCOC1123、C1225COOCOC1225、C1327COOCOC1327、C1429COOCOC1429、C1531COOCOC1531、C1633COOCOC1633、C1735COOCOC1735、C1837COOCOC1837、C17COOCOC17等の化合物が挙げられる。
【0048】
また、例えば、
17SH、C19SH、C1021SH、C1123SH、C1225SH、C1327SH、C1429SH、C1531SH、C1633SH、C1735SH、C1837SH、C17SH、C16(SH)、C18(SH)、C1020(SH)、C1122(SH)、C1224(SH)、C1326(SH)、C1428(SH)、C1530(SH)、C1632(SH)、C1734(SH)、C1836(SH)、(SH)C16SH、(SH)C18SH、(SH)C1020SH、(SH)C1122SH、(SH)C1224SH、(SH)C1326SH、(SH)C1428SH、(SH)C1530SH、(SH)C1632SH、(SH)C1734SH、(SH)C1836SH、C15(SH)、C17(SH)、C1019(SH)、C1121(SH)、C1223(SH)、C1325(SH)、C1427(SH)、C1529(SH)、C1631(SH)、C1733(SH)、C1835(SH)、(SH)1018(SH)、(SH)1120(SH)、(SH)1222(SH)、(SH)1324(SH)、(SH)1426(SH)、(SH)1528(SH)、(SH)1630(SH)、(SH)1732(SH)、(SH)1834(SH)等の化合物が挙げられる。
【0049】
なお、これらの界面活性剤の中でも、金属系の物質に対して親和性を持つ官能基としてアミノ基を有するものが特に好ましい。
【0050】
また、保護膜形成用薬液において、界面活性剤は、該薬液の総量100質量%に対して0.00001質量%以上、飽和濃度以下となるように含まれる。このような濃度範囲であると、前記凹凸パターンの少なくとも凹部表面に均一に保護膜を形成しやすくなる。また、界面活性剤の濃度が0.00001質量%未満では、前記金属系ウェハ表面への撥水性付与効果が不十分となる傾向がある。さらに好ましくは0.00003質量%以上である。飽和濃度を超えると、混合液中の界面活性剤はミセルを形成して乳化したり、飽和濃度以下の相と高濃度の界面活性剤が存在する相に相分離するなど、不均一なものとなる。或いはパーティクルなどの原因にもなる。よって界面活性剤濃度は飽和濃度以下とする。但し、相分離したものにおいては飽和濃度以下の相のみを採取しこれを保護膜形成用薬液として用いてもよい。
【0051】
また、保護膜形成用薬液は水以外の溶媒を含有してもよい。該溶媒は水への飽和溶解度以下の濃度で水に混合して使用できる。前記溶媒としては、例えば、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、含ハロゲン溶媒、スルホキシド系溶媒、アルコール類、多価アルコールの誘導体、含窒素化合物溶媒、あるいは、それらの混合液が使用される。前記炭化水素類の例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどがあり、前記エステル類の例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト酢酸エチルなどがあり、前記エーテル類の例としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどがあり、前記ケトン類の例としては、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノンなどがあり、前記含ハロゲン溶媒の例としては、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロシクロペンタン、パーフルオロシクロヘキサン、ヘキサフルオロベンゼンなどのパーフルオロカーボン、1、1、1、3、3−ペンタフルオロブタン、オクタフルオロシクロペンタン、2,3−ジハイドロデカフルオロペンタン、ゼオローラH(日本ゼオン製)などのハイドロフルオロカーボン、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、アサヒクリンAE−3000(旭硝子製)、Novec HFE−7100、Novec HFE−7200、Novec7300、Novec7600(いずれも3M製)などのハイドロフルオロエーテル、テトラクロロメタンなどのクロロカーボン、クロロホルムなどのハイドロクロロカーボン、ジクロロジフルオロメタンなどのクロロフルオロカーボン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンなどのハイドロクロロフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルなどがあり、前記スルホキシド系溶媒の例としては、ジメチルスルホキシドなどがあり、アルコール類の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールなどがあり、前記多価アルコールの誘導体の例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどがあり、含窒素化合物溶媒の例としては、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどがある。
【0052】
以下、工程1について説明する。まず、ウェハ表面にレジストを塗布したのち、レジストマスクを介してレジストに露光し、露光されたレジスト、または、露光されなかったレジストをエッチング除去することによって所望の凹凸パターンを有するレジストを作製する。また、レジストにパターンを有するモールドを押し当てることでも、凹凸パターンを有するレジストを得ることができる。次に、ウェハをエッチングする。このとき、レジストパターンの凹の部分が選択的にエッチングされる。最後に、レジストを剥離すると、凹凸パターンを有するウェハが得られる。
【0053】
なお、前記ウェハとしては、シリコンウェハ、シリコンおよび/または酸化ケイ素(SiO)を含む複数の成分から構成されたウェハ、シリコンカーバイドウェハ、サファイアウェハ、各種化合物半導体ウェハ、プラスチックウェハなどの表面を、チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、タンタル、及び、ルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、特に好ましくはタングステン、アルミニウム、及び、ルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む物質の層で被覆したもの、またはウェハ上に多層膜を形成し、そのうちの少なくとも1層が前記金属系の物質の層であるもの等が挙げられ、上記の凹凸パターン形成工程は、該金属系の物質の層を含む層において行われる。また、上記凹凸パターンを形成したときに、該凹凸パターン表面の少なくとも凹部表面の一部が前記金属系の物質となるものも含まれる。
【0054】
前記金属系の物質としては、例えば、チタン元素を含む物質としては、窒化チタン、酸化チタン、チタンなどがあり、タングステン元素を含む物質としては、タングステン、酸化タングステンなどがあり、アルミニウム元素を含む物質としては、アルミニウム、酸化アルミニウムなどがあり、銅元素を含む物質としては、銅、酸化銅などがあり、スズ元素を含む物質としては、スズ、酸化スズなどがあり、タンタル元素を含む物質としては、タンタル、酸化タンタル、窒化タンタルなどがあり、ルテニウム元素を含む物質としては、ルテニウム、酸化ルテニウムなどがある。
【0055】
また、前記金属系の物質を含む複数の成分から構成されたウェハに対しても、該金属系の物質の表面に前記保護膜を形成することができる。該複数の成分から構成されたウェハとしては、前記金属系の物質が少なくとも凹部表面の一部に形成したもの、あるいは、凹凸パターンを形成したときに、少なくとも凹部表面の一部が前記金属系の物質となるものも含まれる。なお、本発明の薬液で保護膜を形成できるのは前記凹凸パターン中の少なくとも前記金属系の物質部分の表面である。従って、前記保護膜は前記金属系ウェハの少なくとも凹部表面の一部に形成されるものであってもよい。
【0056】
前記工程2で、水系洗浄液でウェハ表面の洗浄を行った後、そのまま乾燥等により水系洗浄液を除去、或いは水系洗浄液から水に置換した後に乾燥等により水を除去すると、凹部の幅が小さく、凸部のアスペクト比が大きいと、パターン倒れが生じやすくなる。該凹凸パターンは、図1及び図2に記すように定義される。図1は、表面が凹凸パターン2を有する面とされたウェハ1を斜視したときの模式図を示し、図2は図1中のa−a’断面の一部を示したものである。凹部の幅5は、図2に示すように凸部3と凸部3の間隔で示され、凸部のアスペクト比は、凸部の高さ6を凸部の幅7で割ったもので表される。洗浄工程でのパターン倒れは、凹部の幅が70nm以下、特には45nm以下、アスペクト比が4以上、特には6以上のときに生じやすくなる。
【0057】
本発明の好ましい態様では、前記工程1に記したように、ウェハ表面を凹凸パターンを有する面とした後、工程2として水系洗浄液を当該面に供し、凹凸パターンの少なくとも凹部表面に水系洗浄液を保持する。そして、前記工程3に記したように、凹凸パターンの少なくとも凹部表面に保持された水系洗浄液を該水系洗浄液とは異なる洗浄液Aで置換する。該洗浄液Aの好ましい例としては、本発明で特定する保護膜形成用薬液、水、有機溶媒、あるいは、それらの混合物、あるいは、それらに酸、アルカリ、界面活性剤のうち少なくとも1種以上が混合されたもの等が挙げられる。また、洗浄液Aとして前記薬液以外を使用したときは、凹凸パターンの少なくとも凹部表面に洗浄液Aが保持された状態で、該洗浄液Aを前記薬液に置換していくことが好ましい。
【0058】
また、該洗浄液Aの好ましい例の一つである有機溶媒の例としては、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、含ハロゲン溶媒、スルホキシド系溶媒、アルコール類、多価アルコールの誘導体、含窒素化合物溶媒等が挙げられる。
【0059】
前記炭化水素類の例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどがあり、前記エステル類の例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト酢酸エチルなどがあり、前記エーテル類の例としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどがあり、前記ケトン類の例としては、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノンなどがあり、前記含ハロゲン溶媒の例としては、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロシクロペンタン、パーフルオロシクロヘキサン、ヘキサフルオロベンゼンなどのパーフルオロカーボン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、オクタフルオロシクロペンタン、2,3−ジハイドロデカフルオロペンタン、ゼオローラH(日本ゼオン製)などのハイドロフルオロカーボン、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、アサヒクリンAE−3000(旭硝子製)、Novec HFE−7100、Novec HFE−7200、Novec7300、Novec7600(いずれも3M製)などのハイドロフルオロエーテル、テトラクロロメタンなどのクロロカーボン、クロロホルムなどのハイドロクロロカーボン、ジクロロジフルオロメタンなどのクロロフルオロカーボン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンなどのハイドロクロロフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルなどがあり、前記スルホキシド系溶媒の例としては、ジメチルスルホキシドなどがあり、アルコール類の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールなどがあり、前記多価アルコールの誘導体の例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどがあり、含窒素化合物溶媒の例としては、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどがある。
【0060】
図3は、保護膜形成用薬液を用いて該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成する工程にて凹部4が保護膜形成用薬液8を保持した状態の模式図を示している。図3の模式図のウェハは、図1のa−a’断面の一部を示すものである。この際に、凹部4の表面に保護膜が形成されることにより該表面が撥水化される。
【0061】
保護膜形成用薬液は、温度を高くすると、より短時間で前記保護膜を形成しやすくなる。均質な保護膜を形成しやすい温度は、10〜160℃であり、特には15〜120℃で保持されることが好ましい。前記薬液の温度は、凹凸パターンの少なくとも凹部表面に保持されているときも当該温度に保持されることが好ましい。
【0062】
前記凹凸パターンの少なくとも凹部表面に保護膜形成用薬液を保持する工程(工程4)の後で、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に保持された前記薬液を該薬液とは異なる洗浄液Bに置換した後に、乾燥により凹凸パターン表面から前記洗浄液及び/または薬液からなる液体を除去する工程(工程5)に移ってもよい。この洗浄液Bの例としては、水系溶液からなる水系洗浄液、または、有機溶媒、または、前記水系洗浄液と有機溶媒の混合物、それらに酸、アルカリ、界面活性剤のうち少なくとも1種以上が混合されたもの、並びに、それらに保護膜形成用薬液に含まれる界面活性剤が該薬液よりも低濃度になるように含有されたもの等が挙げられる。
【0063】
また、該洗浄液Bの好ましい例の一つである有機溶媒の例としては、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、含ハロゲン溶媒、スルホキシド系溶媒、アルコール類、多価アルコールの誘導体、含窒素化合物溶媒等が挙げられる。
【0064】
前記炭化水素類の例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどがあり、前記エステル類の例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト酢酸エチルなどがあり、前記エーテル類の例としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどがあり、前記ケトン類の例としては、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノンなどがあり、前記含ハロゲン溶媒の例としては、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロシクロペンタン、パーフルオロシクロヘキサン、ヘキサフルオロベンゼンなどのパーフルオロカーボン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、オクタフルオロシクロペンタン、2,3−ジハイドロデカフルオロペンタン、ゼオローラH(日本ゼオン製)などのハイドロフルオロカーボン、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、アサヒクリンAE−3000(旭硝子製)、Novec HFE−7100、Novec HFE−7200、Novec7300、Novec7600(いずれも3M製)などのハイドロフルオロエーテル、テトラクロロメタンなどのクロロカーボン、クロロホルムなどのハイドロクロロカーボン、ジクロロジフルオロメタンなどのクロロフルオロカーボン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンなどのハイドロクロロフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルなどがあり、前記スルホキシド系溶媒の例としては、ジメチルスルホキシドなどがあり、アルコール類の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールなどがあり、前記多価アルコールの誘導体の例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどがあり、含窒素化合物溶媒の例としては、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどがある。
【0065】
また、前記洗浄液Bへの置換を経て、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に水系溶液からなる水系洗浄液を保持した後に、工程5に移ってもよい。また、前記凹凸パターン表面に形成された保護膜の撥水性能をより維持しやすくするために、凹凸パターンの少なくとも凹部表面に保持された前記薬液を該薬液とは異なる洗浄液Bに置換した後に、工程5に移ることが好ましく、もしくは、該保護膜形成用薬液を凹凸パターンの少なくとも凹部表面に保持する工程(工程4)の後、直接工程5に移ることがより好ましい。
【0066】
水系洗浄液の例としては、水、あるいは、水に有機溶媒、酸、アルカリのうち少なくとも1種以上が混合された水を主成分(例えば、水の含有率が50質量%以上)とするものが挙げられる。特に、水系洗浄液に水を用いると、前記薬液によって撥水化された凹凸パターンの少なくとも凹部表面の該液との接触角θが大きくなって毛細管力Pが小さくなり、さらに乾燥後にウェハ表面に汚れが残りにくくなるので好ましい。
【0067】
保護膜形成用薬液により撥水化された凹部4に前記洗浄液及び/または薬液からなる液体が保持された場合の模式図を図4に示す。図4の模式図のウェハは、図1のa−a’断面の一部を示すものである。凹凸パターン表面は前記薬液により保護膜10が形成され撥水化されている。そして、該保護膜10は、液体9が凹凸パターンから除去されるときもウェハ表面に保持される。
【0068】
ウェハの凹凸パターンの少なくとも凹部表面に、保護膜形成用薬液により保護膜10が形成されたとき、該表面に水が保持されたと仮定したときの接触角は50〜130°であると、パターン倒れが発生し難いため好ましい。接触角は90°に近いほど該凹部に働く毛細管力が小さくなり、パターン倒れが更に発生し難くなるため、70〜110°が特に好ましい。また、毛細管力は2.1MN/m以下であることが好ましい。該毛細管力が2.1MN/m以下であれば、パターン倒れが発生し難いため好ましい。また、該毛細管力が小さくなると、パターン倒れは更に発生し難くなるため、該毛細管力は1.1MN/m以下が特に好ましい。さらに、液体との接触角を90°付近に調整して毛細管力を限りなく0.0MN/mに近づけることが理想的である。
【0069】
なお、前記後洗浄工程は、可能であれば省略しても構わない。本発明の保護膜形成用薬液中の前記界面活性剤の濃度は、上述した範囲内であれば前記膜除去工程後にウェハ表面に保護膜の残渣が残り難いため、前記後洗浄工程を省略しやすく、結果として、工程を簡略化しやすい。
【0070】
また、前記後洗浄工程を省略する場合、保護膜形成用薬液中に含まれる溶媒の総量に対する水の濃度が高いほど、保護膜形成後の表面に対する保護膜形成用薬液の接触角が大きいので、前記凹部に働く毛細管力を小さくしやすく、結果として該薬液の除去時にパターン倒れが生じにくくなるので好ましい。このため、保護膜形成用薬液中に含まれる溶媒の総量に対する水の濃度は、70質量%以上が好ましく、さらには、85質量%以上が好ましい。また、溶媒が全て水であることが特に好ましい。
【0071】
次に、前記(工程5)に記したように、乾燥により凹凸パターン表面から前記洗浄液及び/または薬液からなる液体を除去する工程が行われる。このとき、凹部に保持されている液体は、前記薬液、洗浄液B、水系洗浄液、及びそれらの混合液でも良い。なお、前記界面活性剤を含む混合液は、前記薬液に含まれる界面活性剤が該薬液よりも低濃度になるように含有されたものであり、前記薬液を洗浄液Bに置換する途中の状態の液でも良いし、あらかじめ界面活性剤を洗浄液Bに混合して得た混合液でも良い。ウェハの清浄度の観点から、特に、水、有機溶媒、または、水と有機溶媒の混合物が好ましい。また、前記凹凸パターン表面から液体が一旦除去された後で、前記凹凸パターン表面に洗浄液Bを保持させて、その後、乾燥しても良い。
【0072】
前記乾燥工程では、凹凸パターン表面に保持された前記洗浄液及び/または薬液からなる液体が乾燥により除去される。当該乾燥は、スピン乾燥法、IPA(2−プロパノール)蒸気乾燥、マランゴニ乾燥、加熱乾燥、温風乾燥、真空乾燥などの周知の乾燥方法によって行うことが好ましい。
【0073】
次に、前記(工程6)に記したように、保護膜を除去する工程が行われる。前記撥水性保護膜を除去する場合、該撥水性保護膜中のC−C結合、C−F結合を切断することが有効である。その方法としては、前記結合を切断できるものであれば特に限定されないが、例えば、ウェハ表面を光照射すること、ウェハを加熱すること、ウェハをオゾン曝露すること、ウェハ表面にプラズマ照射すること、ウェハ表面にコロナ放電すること等が挙げられる。
【0074】
光照射で前記保護膜を除去する場合、該保護膜中のC−C結合、C−F結合の結合エネルギーである83kcal/mol、116kcal/molに相当するエネルギーである340nm、240nmよりも短い波長を含む紫外線を照射することが好ましい。この光源としては、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、エキシマランプ、カーボンアークなどが用いられる。紫外線照射強度は、メタルハライドランプであれば、例えば、照度計(コニカミノルタセンシング製照射強度計UM−10、受光部UM−360〔ピーク感度波長:365nm、測定波長範囲:310〜400nm〕)の測定値で100mW/cm以上が好ましく、200mW/cm以上が特に好ましい。なお、照射強度が100mW/cm未満では前記保護膜を除去するのに長時間要するようになる。また、低圧水銀ランプであれば、より短波長の紫外線を照射することになるので、照射強度が低くても短時間で前記保護膜を除去できるので好ましい。
【0075】
また、光照射で前記保護膜を除去する場合、紫外線で前記保護膜の構成成分を分解すると同時にオゾンを発生させ、該オゾンによって前記保護膜の構成成分を酸化揮発させると、処理時間が短くなるので特に好ましい。この光源として、低圧水銀ランプやエキシマランプなどが用いられる。また、光照射しながらウェハを加熱してもよい。
【0076】
ウェハを加熱する場合、400〜700℃、好ましくは、500〜700℃でウェハの加熱を行うのが好ましい。この加熱時間は、1〜60分間、好ましくは10〜30分間の保持で行うことが好ましい。また、当該工程では、オゾン曝露、プラズマ照射、コロナ放電などを併用してもよい。また、ウェハを加熱しながら光照射を行ってもよい。
【0077】
加熱により前記保護膜を除去する方法は、ウェハを熱源に接触させる方法、熱処理炉などの加熱された雰囲気にウェハを置く方法などがある。なお、加熱された雰囲気にウェハを置く方法は、複数枚のウェハを処理する場合であっても、ウェハ表面に前記保護膜を除去するためのエネルギーを均質に付与しやすいことから、操作が簡便で処理が短時間で済み処理能力が高いという工業的に有利な方法である。
【0078】
ウェハをオゾン曝露する場合、低圧水銀灯などによる紫外線照射や高電圧による低温放電等で発生させたオゾンをウェハ表面に供することが好ましい。ウェハをオゾン曝露しながら光照射してもよいし、加熱してもよい。
【0079】
前記膜除去工程では、前記の光照射、加熱、オゾン曝露、プラズマ照射、コロナ放電等を組み合わせることによって、効率的にウェハ表面の保護膜を除去することができる。
【実施例】
【0080】
ウェハの表面を凹凸パターンを有する面とすること、凹凸パターンの少なくとも凹部に保持された洗浄液を他の洗浄液で置換することは、他の文献等にて種々の検討がなされ、既に確立された技術であるので、本実施例では、保護膜形成用薬液の評価を中心に行った。また、下記の式
P=2×γ×cosθ/S
(式中、γは凹部に保持されている液体の表面張力、θは凹部表面と凹部に保持されている液体のなす接触角、Sは凹部の幅である。)
から明らかなように、パターン倒れは、洗浄液のウェハ表面への接触角、すなわち液滴の接触角と、洗浄液の表面張力に大きく依存する。凹凸パターン2の凹部4に保持された洗浄液の場合、液滴の接触角と、パターン倒れと等価なものとして考えてよい該凹部に働く毛細管力とは相関性があるので、前記式と保護膜10の液滴の接触角の評価から毛細管力を導き出してもよい。なお、実施例において、前記洗浄液として、水系洗浄液の代表的なものである水を用いた。上記の式より、接触角が90°に近いほど該凹部に働く毛細管力が小さくなり、パターン倒れが発生し難くなるため、前記保護膜表面に水が保持されたと仮定したときの接触角は50〜130°が好ましく、70〜110°が特に好ましい。
【0081】
水滴の接触角の評価は、JIS R 3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」にもあるように、サンプル(基材)表面に数μlの水滴を滴下し、水滴と基材表面のなす角度の測定によりなされる。しかし、パターンを有するウェハの場合、接触角が非常に大きくなる。これは、Wenzel効果やCassie効果が生じるからで、接触角が基材の表面形状(ラフネス)に影響され、見かけ上の水滴の接触角が増大するためである。そのため、表面に凹凸パターンを有するウェハの場合、該凹凸パターン表面に形成された前記保護膜10自体の接触角を正確に評価できない。
【0082】
そこで、本実施例では前記薬液を表面が平滑なウェハに供して、ウェハ表面に保護膜を形成して、該保護膜を表面に凹凸パターン2が形成されたウェハ1の表面に形成された保護膜10とみなし、種々評価を行った。なお、本実施例では、表面が平滑なウェハとして、表面が平滑なシリコンウェハ上にタングステン層を有する「タングステン膜付きウェハ」(表中でWと表記)、及び、表面が平滑なシリコンウェハ上に窒化チタン層を有する「窒化チタン膜付きウェハ」(表中でTiNと表記)、及び、表面が平滑なシリコンウェハ上にルテニウム層を有する「ルテニウム膜付きウェハ」(表中でRuと表記)を用いた。
【0083】
詳細を下記に述べる。以下では、保護膜形成用薬液の外観の評価方法、該保護膜形成用薬液が供されたウェハの評価方法、該保護膜形成用薬液の調製、そして、ウェハに該保護膜形成用薬液を供した後の評価結果が述べられる。
【0084】
〔保護膜形成用薬液の外観の評価方法〕
調製した保護膜形成用薬液の外観を目視にて確認した。液が均一で無色透明のものを合格(表1中で○と表記)、不溶物が見られるなど、不均一であるものを不合格(表1中で×と表記)とした。
【0085】
〔保護膜形成用薬液が供されたウェハの評価方法〕
保護膜形成用薬液が供されたウェハの評価方法として、以下の(1)〜(3)の評価を行った。
【0086】
(1)ウェハ表面に形成された保護膜の接触角評価
保護膜が形成されたウェハ表面上に純水約2μlを置き、水滴とウェハ表面とのなす角(接触角)を接触角計(協和界面科学製:CA−X型)で測定した。ここでは保護膜の接触角が50〜130°の範囲であったものを合格とした。
【0087】
(2)保護膜の除去性
以下の条件でメタルハライドランプのUV光をサンプルに2時間照射し、膜除去工程における保護膜の除去性を評価した。照射後に水滴の接触角が30°以下となったものを合格とした。
・ランプ:アイグラフィックス製M015−L312(強度:1.5kW)
・照度:下記条件における測定値が128mW/cm
・測定装置:紫外線強度計(コニカミノルタセンシング製、UM−10)
・受光部:UM−360
(受光波長:310〜400nm、ピーク波長:365nm)
・測定モード:放射照度測定
【0088】
(3)保護膜除去後のウェハの表面平滑性評価
原子間力電子顕微鏡(セイコ−電子製:SPI3700、2.5μm四方スキャン)によって表面観察し、ウェハ洗浄前後の表面の中心線平均面粗さ:Ra(nm)の差ΔRa(nm)を求めた。なお、Raは、JIS B 0601で定義されている中心線平均粗さを測定面に対し適用して三次元に拡張したものであり、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」として次式で算出した。
【0089】

ここで、X、X、Y、Yは、それぞれ、X座標、Y座標の測定範囲を示す。Sは、測定面が理想的にフラットであるとした時の面積であり、(X−X)×(Y−Y)の値とした。また、F(X,Y)は、測定点(X,Y)における高さ、Zは、測定面内の平均高さを表す。
【0090】
保護膜形成前のウェハ表面のRa値、及び該保護膜を除去した後のウェハ表面のRa値を測定し、両者の差(ΔRa)が±1nm以内であれば、洗浄によってウェハ表面が侵食されていない、および、前記保護膜の残渣がウェハ表面にないとし、合格とした。
【0091】
[実施例1]
(I−1)保護膜形成用薬液の調製
界面活性剤として、HLB値が2.5であるオクチルアミン〔C17NH〕;0.02g、溶媒として純水;99.98gを用いてこれらを混合し、約5分間撹拌して、保護膜形成用薬液の総量に対する前記界面活性剤の濃度(以降「界面活性剤濃度」と記載する)が0.02質量%の均一で無色透明な保護膜形成用薬液を得た。
【0092】
(I−2)窒化チタン膜付きウェハの洗浄
平滑な窒化チタン膜付きウェハ(表面に厚さ50nmの窒化チタン層を有するシリコンウェハ)を1質量%の過酸化水素水に1分間浸漬し、次いで純水に1分間浸漬した後、イソプロピルアルコール(iPA)に1分間浸漬し、次いで純水に1分間浸漬させた。
【0093】
(I−3)窒化チタン膜付きウェハ表面への保護膜形成用薬液による表面処理
窒化チタン膜付きウェハを20℃にて、上記「(I−1)保護膜形成用薬液の調製」で調製した保護膜形成用薬液に、10秒間浸漬させた。その後、該窒化チタン膜付きウェハを取出し、エアーを吹き付けて、表面の保護膜形成用薬液を除去した。
【0094】
得られた窒化チタン膜付きウェハを上記「保護膜形成用薬液が供されたウェハの評価方法」に記載した要領で評価したところ、表1に示すとおり、表面処理前の初期接触角が10°未満であったものが、表面処理後の接触角は80°となり、優れた撥水性付与効果を示した。またUV照射後の接触角は10°未満であり撥水性保護膜は除去できた。さらに、UV照射後のウェハのΔRa値は±0.5nm以内であり、洗浄時にウェハは侵食されず、さらにUV照射後に保護膜の残渣は残らないことが確認できた。
【0095】
【表1】

【0096】
[実施例2〜5]
実施例1で用いた界面活性剤、界面活性剤濃度、保護膜形成用薬液への浸漬時間を適宜変更して、ウェハの表面処理を行い、さらにその評価を行った。結果を表1に示す。
【0097】
[実施例6]
(II−1)保護膜形成用薬液の調製
界面活性剤として、HLB値が2.5であるオクチルアミン〔C17NH〕;0.02g、溶媒として純水;99.98gを用いてこれらを混合し、約5分間撹拌して、界面活性剤濃度が0.02質量%の保護膜形成用薬液を得た。
【0098】
(II−2)タングステン膜付きウェハの洗浄
平滑なタングステン膜付きウェハ(表面に厚さ50nmのタングステン層を有するシリコンウェハ)を1質量%のアンモニア水に1分間浸漬し、次いで純水に1分間浸漬した後、iPAに1分間浸漬し、次いで純水に1分間浸漬させた。
【0099】
(II−3)タングステン膜付きウェハ表面への保護膜形成用薬液による表面処理
タングステン膜付きウェハを20℃にて、上記「(II−1)保護膜形成用薬液の調製」で調製した保護膜形成用薬液に、10秒間浸漬させた。その後、該タングステン膜付きウェハを取出し、エアーを吹き付けて、表面の保護膜形成用薬液を除去した。
【0100】
得られたタングステン膜付きウェハを上記「保護膜形成用薬液が供されたウェハの評価方法」に記載した要領で評価したところ、表1に示すとおり、表面処理前の初期接触角が10°未満であったものが、表面処理後の接触角は83°となり、優れた撥水性付与効果を示した。またUV照射後の接触角は10°未満であり撥水性保護膜は除去できた。さらに、UV照射後のウェハのΔRa値は±0.5nm以内であり、洗浄時にウェハは侵食されず、さらにUV照射後に保護膜の残渣は残らないことが確認できた。
【0101】
[実施例7〜10]
実施例7で用いた界面活性剤、界面活性剤濃度、保護膜形成用薬液への浸漬時間を適宜変更して、ウェハの表面処理を行い、さらにその評価を行った。結果を表1に示す。
【0102】
[実施例11]
(III−1)保護膜形成用薬液の調製
界面活性剤として、HLB値が2.5であるオクチルアミン〔C17NH〕;0.02g、溶媒として純水;99.98gを用いてこれらを混合し、約5分間撹拌して、界面活性剤濃度が0.02質量%の保護膜形成用薬液を得た。
【0103】
(III−2)ルテニウム膜付きウェハの洗浄
平滑なルテニウム膜付きウェハ(表面に厚さ300nmのルテニウム層を有するシリコンウェハ)を1質量%のアンモニア水に1分間浸漬し、次いで純水に1分間浸漬した後、iPAに1分間浸漬し、次いで純水に1分間浸漬させた。
【0104】
(III−3)ルテニウム膜付きウェハ表面への保護膜形成用薬液による表面処理
ルテニウム膜付きウェハを20℃にて、上記「(III−1)保護膜形成用薬液の調製」で調製した保護膜形成用薬液に、10秒間浸漬させた。その後、該ルテニウム膜付きウェハを取出し、エアーを吹き付けて、表面の保護膜形成用薬液を除去した。
【0105】
得られたルテニウム膜付きウェハを上記「保護膜形成用薬液が供されたウェハの評価方法」に記載した要領で評価したところ、表1に示すとおり、表面処理前の初期接触角が10°未満であったものが、表面処理後の接触角は86°となり、優れた撥水性付与効果を示した。またUV照射後の接触角は10°未満であり撥水性保護膜は除去できた。さらに、UV照射後のウェハのΔRa値は±0.5nm以内であり、洗浄時にウェハは侵食されず、さらにUV照射後に保護膜の残渣は残らないことが確認できた。
【0106】
[実施例12〜15]
実施例11で用いた界面活性剤、界面活性剤濃度、保護膜形成用薬液への浸漬時間を適宜変更して、ウェハの表面処理を行い、さらにその評価を行った。結果を表1に示す。
【0107】
[比較例1]
タングステン膜付きウェハに保護膜形成用薬液を供さなかった以外は、実施例6と同じとした。すなわち、本比較例では、撥水性保護膜が形成されていないウェハ表面を評価した。評価結果は表1に示すとおり、ウェハの接触角は14°となり、撥水性付与効果は見られなかった。
【0108】
[比較例2]
先ず、シランカップリング剤であるトリメチルシリルクロリド〔(CHSiCl〕;0.02g、及び、溶媒として、水;99.98gを混合し、約5分間撹拌して、該混合溶液の総量に対するシランカップリング剤の濃度が0.02質量%の保護膜形成用薬液を得た。続いて、実施例6と同様の方法で、タングステン膜付きウェハの洗浄、及び表面処理を行った。評価結果は表1に示すとおり、表面処理後の接触角は13°となり、撥水性付与効果は見られなかった。
【0109】
[比較例3]
界面活性剤として、炭素数が4の炭化水素基を含む疎水部を有するブチルアミン〔CNH〕(HLB値:4.4)を用いた以外は実施例6と同様の方法で、タングステン膜付きウェハの洗浄、及び表面処理を行った。評価結果は表1に示すとおり、表面処理後の接触角は42°となり、撥水性付与効果は見られなかった。
【0110】
[比較例4]
窒化チタン膜付きウェハに保護膜形成用薬液を供さなかった以外は、実施例1と同じとした。すなわち、本比較例では、撥水性保護膜が形成されていないウェハ表面を評価した。評価結果は表1に示すとおり、ウェハの接触角は14°となり、撥水性付与効果は見られなかった。
【0111】
[比較例5]
先ず、シランカップリング剤であるトリメチルシリルクロリド〔(CHSiCl〕;0.02g、及び、溶媒として、水;99.98gを混合し、約5分間撹拌して、該混合溶液の総量に対するシランカップリング剤の濃度が0.02質量%の保護膜形成用薬液を得た。続いて、実施例1と同様の方法で、窒化チタン膜付きウェハの洗浄、及び表面処理を行った。評価結果は表1に示すとおり、表面処理後の接触角は18°となり、撥水性付与効果は見られなかった。
【0112】
[比較例6]
界面活性剤として、炭素数が4の炭化水素基を含む疎水部を有するブチルアミン〔CNH〕(HLB値:4.4)を用いた以外は実施例1と同様の方法で、窒化チタン膜付きウェハの洗浄、及び表面処理を行った。評価結果は表1に示すとおり、表面処理後の接触角は38°となり、撥水性付与効果は見られなかった。
【0113】
[比較例7]
ルテニウム膜付きウェハに保護膜形成用薬液を供さなかった以外は、実施例11と同じとした。すなわち、本比較例では、撥水性保護膜が形成されていないウェハ表面を評価した。評価結果は表1に示すとおり、ウェハの接触角は14°となり、撥水性付与効果は見られなかった。
【0114】
[比較例8]
先ず、シランカップリング剤であるトリメチルシリルクロリド〔(CHSiCl〕;0.02g、及び、溶媒として、水;99.98gを混合し、約5分間撹拌して、該混合溶液の総量に対するシランカップリング剤の濃度が0.02質量%の保護膜形成用薬液を得た。続いて、実施例11と同様の方法で、ルテニウム膜付きウェハの洗浄、及び表面処理を行った。評価結果は表1に示すとおり、表面処理後の接触角は16°となり、撥水性付与効果は見られなかった。
【0115】
[比較例9]
界面活性剤として、炭素数が4の炭化水素基を含む疎水部を有するブチルアミン〔CNH〕(HLB値:4.4)を用いた以外は実施例11と同様の方法で、ルテニウム膜付きウェハの洗浄、及び表面処理を行った。評価結果は表1に示すとおり、表面処理後の接触角は36°となり、撥水性付与効果は見られなかった。
【0116】
[比較例10]
保護膜形成用薬液中の界面活性剤として、推定HLB値が10超であるポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(東邦化学工業株式会社、アルスコープTH−330)を用いたこと以外はすべて実施例1と同じとした。評価結果は表1に示すとおり、表面処理後の接触角は13°となり、撥水性付与効果は見られなかった。
【0117】
[比較例11]
保護膜形成用薬液中の界面活性剤濃度(配合量)を、飽和濃度を超える1.0質量%とした以外はすべて実施例1と同じとした。調製後の保護膜形成用薬液の外観を確認したところ、白濁した不均一な薬液が得られ、良好な保護膜形成用薬液は得られなかった。
【符号の説明】
【0118】
1 ウェハ
2 ウェハ表面の凹凸パターン
3 パターンの凸部
4 パターンの凹部
5 凹部の幅
6 凸部の高さ
7 凸部の幅
8 凹部4に保持された保護膜形成用薬液
9 凹部4に保持された液体
10 撥水性保護膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸パターンを有し該凹凸パターンの凹部表面にチタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、タンタル、及び、ルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を有するウェハの、少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成するための薬液であり、
Griffin法によるHLB値が0.001〜10であり炭素数が6〜18の炭化水素基を含む疎水部を有する界面活性剤と、水を含み、
薬液中の前記界面活性剤の濃度が、該薬液の総量100質量%に対して0.00001質量%以上、飽和濃度以下であることを特徴とする、撥水性保護膜形成用薬液。
【請求項2】
前記界面活性剤が、炭素数が8〜18の炭化水素基を含む疎水部を有する、請求項1に記載の撥水性保護膜形成用薬液。
【請求項3】
前記界面活性剤が、前記元素に対して親和性を持つ官能部を有する、請求項1または請求項2に記載の撥水性保護膜形成用薬液。
【請求項4】
前記界面活性剤が、前記元素に対して親和性を持つ官能部を構造中に1個有する、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の撥水性保護膜形成用薬液。
【請求項5】
前記界面活性剤が、炭素数が6〜18の直鎖状の炭化水素基を含む疎水部を有する、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の撥水性保護膜形成用薬液。
【請求項6】
前記界面活性剤が、炭素原子と水素原子からなる炭素数が6〜18の直鎖状の炭化水素基を含む疎水部を有する、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の撥水性保護膜形成用薬液。
【請求項7】
前記薬液中にさらに溶媒を含み、該溶媒の総量に対する水の濃度が、50質量%以上であることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の撥水性保護膜形成用薬液。
【請求項8】
前記薬液が、前記界面活性剤と水からなることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の撥水性保護膜形成用薬液。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載の撥水性保護膜形成用薬液を用いる、表面に凹凸パターンを有し該凹凸パターンの凹部表面にチタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、タンタル、及び、ルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を有するウェハ表面の洗浄方法であり、該方法は、
洗浄液を用いて前記ウェハ表面を洗浄する工程、
前記撥水性保護膜形成用薬液を用いて該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成する工程、
該凹凸パターンの表面に保持された洗浄液及び/または薬液からなる液体を該凹凸パターンの表面から除去する工程、及び、
前記液体を除去する工程の後で前記撥水性保護膜を除去する工程
を有することを特徴とする、前記ウェハ表面の洗浄方法。
【請求項10】
前記洗浄液が水系の洗浄液である、請求項9に記載の前記ウェハ表面の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−33890(P2012−33890A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127149(P2011−127149)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】