説明

個人認証装置及び個人認証方法

【課題】人の指や手のひらを擬した人工物が用いられた場合の誤認証を確実に防止でき、認証精度が高く、薄型化が容易な個人認証装置を提供する。
【解決手段】複眼光学系を用いた撮像光学系100aにより静脈パターンを所定の時間間隔で連続的に撮像して時系列の複眼画像を画像記憶部201に記憶する。脈拍情報検出部204により時系列複眼画像から脈拍情報を求め、画像再構成部205により1コマの複眼画像から高解像の単一画像を再構成する。再構成画像中の静脈パターン又はその特徴と静脈パターン情報記憶部202に記憶されている登録者の静脈パターン又はその特徴との照合による個人認証を認証部208で行い、認証された特定の登録者についての脈拍情報部203に記憶されている脈拍情報と脈拍情報検出部204で検出された脈拍情報との照合による個人認証を認証部207で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の指又は手のひらを被検体として個人認証を行う個人認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている個人認証置は、画像採取面上で指を移動させて読み取った生体外皮表面の画像から指外皮の外分泌線から分泌される分泌物の存在を検出する分泌物検出手段を備え、グミ製人工指等を識別する。
【0003】
特許文献2に記載されている個人認証装置は、偽造された指紋による不正アクセスができないようにするために、圧力センサを用いて指から脈拍を測定し、脈拍が条件に一致したときに指を生体であると判定し、認証作業を行う。
【0004】
特許文献3に記載されている個人識別装置は、光源と可視光カットフィルタと結合レンズ群と受像素子とから成る受像手段と、この受像手段からの出力を処理するコンピュータとを備え、コンピュータは、手の皮下にある血管のパターンを画像化して血管透視像を得る画像処理手段と、血管透視像から個人の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、登録時に特徴量を個人識別情報として記憶する記憶手段と、照合時に、前記記憶手段に記憶された特徴量と、前記受像手段から出力される血管透視像に基づいて抽出される特徴量とが一致するか否かを判断する判別手段として機能する。
【0005】
非特許文献1に、レンズアレイを用いた複眼光学系により近接した被写体を撮影する薄型画像入力装置が記載されている。透明フィルムに複写した指紋画像を入力する実験例が示されている。
【0006】
非特許文献2に、小型化したレーザ血流計が記載されている。
【0007】
【特許文献1】WO2004/023999号公報
【特許文献2】特開平6−187430号公報
【特許文献3】特開平7−21373号公報
【非特許文献1】生源寺ほか,「複眼光学系を用いた薄型画像入力装置の開発」,映像情報メディア学会誌,Vol.57,No.9,pp.1135−1141(2003)
【非特許文献2】清倉ほか,「常時携帯可能な超小型レーザ血流計」,NTT技術ジャーナル 2005年11月号,pp.24−27
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
指紋パターンや指又は手のひらの静脈パターンを読み取って個人認証に利用する個人認証装置では、人工の指や手のひら、あるいは、指紋や静脈のパターンが描かれたフィルム等を読み取った場合でも、そのパターンさえ登録パターンと一致すると誤認証されてしまう。
【0009】
特許文献1では、生体外皮の外分泌腺からの分泌物が検出されない場合に人工指等であると判断し、認証作業を行わないようにしている。しかしながら、人工指に予め分泌物に模した液滴を付着させた場合には、人工指と判断されずに認証作業が行われ、人工指から読み取られた指紋等のパターンが登録されているパターンと一致したならば誤認証が起きる可能性がある。
【0010】
また、特許文献2の個人認証装置では、圧力センサを用いて指の脈拍を検知し、検知した脈拍が条件に一致しないときに人工指等であると判断し、認証作業を行わない。しかし、人の脈拍は個人差がかなり大きい(例えば50〜100回/分)。したがって、脈拍の判定はかなり緩やかな条件で行わざるを得ず、例えば人工指をバイプレータ等で振動させたような場合に、人工指とは判断されずに認証作業が行われ誤認証が起きる可能性がある。
【0011】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、その主要な目的は、人の指又は手のひらを模した人工物が用いられた場合の誤認証を確実に防止できるとともに認証精度の高い個人認証装置及び個人認証方法を提供することにある。
【0012】
個人認証装置は、携帯電話やノートPCに代表されるモバイル機器にも搭載され始めている。このような用途では、個人認証装置の小型化、特に薄型化が重要である。
【0013】
よって、本発明のもう1つの主要な目的は、個人認証装置の小型化、特に薄型化を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明においては、指又は手のひら(被検体)の静脈パターンを読み取るとともに、被検体より、静脈パターン以外の、生体特有で個人差のある所定の1種類又は複数種類の生体情報(具体的には脈拍、表皮色、体温、血流量のうちのいずれか1又は2以上についての情報)を検出する。そして、検出した静脈パターン又はその特徴と、1以上の登録者についての記憶されている静脈パターン又はその特徴との照合による個人認証を行い、これにより認証された登録者について記憶されている生体情報と、検出した生体情報との照合による個人認証を行う。また、静脈パターンの読み取りのための光学系として、結像距離が短く薄型化の容易なレンズアレイを用いた複眼光学系を採用する。各請求項に係る発明の特徴は以下の通りである。
【0015】
請求項1記載の発明の個人認証装置は、
人の指又は手のひらを被検体として個人認証を行う個人認証装置であって、
前記被検体の静脈パターンを読み取る静脈パターン読み取り手段、
前記被検体より、静脈パターン以外の、生体に特有で個人差のある所定の種類の生体情報を検出する生体情報検出手段、
1以上の登録者についての静脈パターン又はその特徴を記憶する静脈パターン情報記憶手段、
1以上の登録者についての前記所定の種類の生体情報を記憶する生体情報記憶手段、
前記静脈パターン読み取り手段により読み取られた静脈パターン又はその特徴と、前記静脈パターン情報記憶手段に記憶されている静脈パターン又はその特徴とを照合することにより、前記被検体に対する第1の個人認証を行う第1の認証手段、
及び
前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と、前記生体情報検出手段により検出された生体情報とを照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行う第2の認証手段、
を有することを特徴とする。
生体情報検出手段により検出される生体情報としては、具体的には例えば脈拍、表皮色、体温、血流量等に関する情報を用いることができる。
被検体として人工物が用いられた場合、静脈パターンによる第1の個人認証と、生体特有でかつ個人差のある生体情報による第2の個人認証の両方が成功する確率は低い。例えば、登録者の静脈パターンを記録した透明フィルム等を被検体として用い、仮に第1の個人認証を成功させることができたとしても、第2の個人認証をも成功させるような、当該登録者に固有の脈拍、表皮色、体温あるいは血流量等に関する生体情報を検出させることは困難である。したがって、請求項1記載の発明の個人認証装置によれば、人工物が被検体として用いられた場合の誤認証を確実に防止することができる。
また、被検体が登録者以外の人の指又は手のひらであり、その静脈パターンが偶然にも登録者の静脈パターンと極めて類似しているために第1の個人認証が成功した場合であっても、個人差のある生体情報による第2の個人認証までも成功する確率は低い。このように静脈パターンと個人差のある生体情報による2段階の個人認証を行うため、請求項1記載の発明の個人認証装置によれば、被検体が人の指又は手のひらである場合における認証精度も向上する。
【0016】
請求項2記載の発明の個人認証装置は、請求項1記載の発明の個人認証装置の構成において、
前記生体情報検出手段が所定の複数種類の生体情報を検出し、
前記生体情報記憶手段が前記所定の複数種類の生体情報を記憶し、
前記第2の認証手段が、前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記生体情報記憶手段に記憶されている複数種類の生体情報と、前記生体情報検出手段により検出された複数種類の生体情報とを、同種類の生体情報間で照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行うことを特徴とする。
被検体として人工物が用いられた場合に、静脈パターンによる第1の個人認証と、生体特有でかつ個人差のある複数種類の生体情報による第2の個人認証の両方が成功する確率は低い。例えば、登録者の静脈パターンを記録した透明フィルム等を被検体として用い、仮に第1の個人認証を成功させることができたとしても、第2の個人認証をも成功させるような、当該登録者に固有の脈拍、表皮色、体温あるいは血流量等に関する複数種類の生体情報を検出させることは極めて困難である。したがって、請求項2記載の発明の個人認証装置によれば、人工物が被検体として用いられた場合の誤認証を、より確実に防止することができる。
また、被検体が登録者以外の人の指又は手のひらであり、その静脈パターンが偶然にも登録者の静脈パターンと極めて類似しているために第1の個人認証が成功した場合であっても、個人差のある複数種類の生体情報による第2の個人認証までも成功する確率は低い。このように静脈パターンと個人差のある複数種類の生体情報による2段階の個人認証を行うため、請求項2記載の発明の個人認証装置によれば、被検体が人の指又は手のひらである場合における認証精度も向上する。
また、第2の個人認証では複数種類の生体情報を用いるため、複数種類の生体情報すべてについて第2の個人認証が成功した場合と、いずれか1種類の生体情報について第2の個人認証が成功した場合のいずれを最終的に個人認証が成功したものとするかの制御も可能になる。
【0017】
請求項3記載の発明の個人認証装置は、請求項1又は2記載の発明の個人認証装置の構成において、前記静脈パターン読み取り手段が、
前記被検体に光を照射する光源と、
前記被検体に対向するレンズアレイと、
前記レンズアレイの像面側に位置し、前記被検体に前記光源により光が照射された状態で前記レンズアレイにより結像される前記被検体の静脈パターンの複眼画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された複眼画像から前記静脈パターンの単一画像を再構成する画像再構成手段とからなることを特徴とする。
このような構成によれば、静脈パターン読み取りのための光学系を容易に薄型化することができる。したがって、請求項3記載の発明によれば個人認証装置を薄型化することができる。
【0018】
請求項4記載の発明の個人認証装置は、
人の指又は手のひらを被検体として個人認証を行う個人認証装置であって、
前記被検体に光を照射する光源、
前記被検体に対向するレンズアレイ、
前記レンズアレイの像面側に位置し、前記被検体に前記光源により光が照射された状態で前記レンズアレイにより結像される前記被検体の静脈パターンの複眼画像を撮像する撮像手段、
前記撮像手段により撮像された複眼画像から前記被検体の静脈パターンの単一画像を再構成する画像再構成手段、
前記撮像手段により所定の時間間隔で連続的に撮像された複数の複眼画像又はその一部の個眼画像に基づいて前記被検体の脈拍情報を検出する脈拍情報検出手段、
1以上の登録者についての静脈パターン又はその特徴を記憶する静脈パターン情報記憶手段、
1以上の登録者についての脈拍情報を記憶する脈拍情報記憶手段、
前記画像再構成手段により再構成された単一画像中の静脈パターン又はその特徴と、前記静脈パターン情報記憶手段に記憶されている静脈パターン又はその特徴とを照合することにより、前記被検体に対する第1の個人認証を行う第1の認証手段、
及び
前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記脈拍情報記憶手段に記憶されている脈拍情報と、前記脈拍情報検出手段により検出された脈拍情報とを照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行う第2の認証手段、
を有することを特徴とする。
被検体として人工物が用いられた場合に、静脈パターンによる第1の個人認証と、生体特有でかつ個人差のある脈拍情報による第2の個人認証の両方が成功する確率は低い。例えば、登録者の静脈パターンを記録した透明フィルム等を被検体として用い、仮に第1の個人認証を成功させることができたとしても、第2の個人認証をも成功させるような、当該登録者に固有の脈拍情報を検出させることは困難である。したがって、請求項4記載の発明の個人認証装置によれば、人工物が被検体として用いられた場合の誤認証を確実に防止することができる。
また、被検体が登録者以外の人の指又は手のひらであり、その静脈パターンが偶然にも登録者の静脈パターンと極めて類似しているために第1の個人認証が成功した場合であっても、個人差のある脈拍情報による第2の個人認証までも成功する確率は低い。このように静脈パターンと個人差のある脈拍情報による2段階の個人認証を行うため、請求項4記載の発明の個人認証装置によれば、被検体が人の指又は手のひらである場合における認証精度も向上する。
静脈パターン読み取りのためのレンズアレイを用いる複眼光学系は薄型化が容易であり、また、脈拍情報の検出のために特許文献2のように圧力センサを設ける必要もないので、請求項4記載の発明によれば個人認証装置の薄型化、小型化が容易になる。
【0019】
請求項5記載の発明の個人認証装置は、
人の指又は手のひらを被検体として個人認証を行う個人認証装置であって、
前記被検体に近赤外光及び可視光を照射する光源、
前記被検体に対向するレンズアレイ、
前記レンズアレイのレンズ群のうちの所定のレンズ以外のレンズへの可視光の入射を防止する可視光カットフィルタと、
前記レンズアレイの像面側に位置し、前記被検体に前記光源により光が照射された状態で、前記レンズアレイの前記所定のレンズ以外のレンズにより結像される前記被検体の静脈パターンの複眼画像を撮像する第1の撮像手段、
前記レンズアレイの像面側に位置し、前記被検体に前記光源により光が照射された状態で、前記レンズアレイの前記所定のレンズにより結像される像をカラー画像として撮像する第2の撮像手段、
前記第1の撮像手段により撮像された複眼画像から前記静脈パターンの単一画像を再構成する画像再構成手段、
前記第2の撮像手段により撮像されたカラー画像から前記被検体の表皮色情報を検出する表皮色情報検出手段と、
1以上の登録者についての静脈パターン又はその特徴を記憶する静脈パターン情報記憶手段、
1以上の登録者についての表皮色情報を記憶する表皮色情報記憶手段、
前記画像再構成手段により再構成された単一画像中の静脈パターン又はその特徴と、前記静脈パターン情報記憶手段に記憶されている静脈パターン又はその特徴とを照合することにより、前記被検体に対する第1の個人認証を行う第1の認証手段、
及び
前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記表皮色情報記憶手段に記憶されている表皮色情報と、前記表皮色情報検出手段により検出された表皮色情報とを照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行う第2の認証手段、
を有することを特徴とする。
被検体として人工物が用いられた場合に、静脈パターンによる第1の個人認証と、生体特有で個人差のある表皮色情報による第2の個人認証の両方が成功する確率は低い。例えば、登録者の静脈パターンを記録した透明フィルム等を被検体として用い、仮に第1の個人認証を成功させることができたとしても、第2の個人認証をも成功させるような、当該登録者に固有の表皮色情報を検出させることは困難である。したがって、請求項5記載の発明の個人認証装置によれば、人工物が被検体として用いられた場合の誤認証を確実に防止することができる。
また、被検体が登録者以外の人の指又は手のひらであり、その静脈パターンが偶然にも登録者の静脈パターンと極めて類似しているために第1の個人認証が成功した場合であっても、個人差のある表皮色情報による第2の個人認証までも成功する確率は低い。このように静脈パターンと個人差のある表皮色情報による2段階の個人認証を行うため、請求項5記載の発明の個人認証装置によれば、被検体が人の指又は手のひらである場合における認証精度も向上する。
静脈パターン読み取りのためのレンズアレイを用いる複眼光学系は薄型化が容易であり、また、表皮色情報を検出するための色センサ等を別途設ける必要がないため、請求項5記載の発明によれば個人認証装置の小型化、薄型化が容易である。
【0020】
請求項6記載の発明の個人認証装置は、
人の指又は手のひらを被検体として個人認証を行う個人認証装置であって、
前記被検体に光を照射する光源、
前記被検体に対向するレンズアレイ、
前記レンズアレイの像面側に位置し、前記被検体に前記光源により光が照射された状態で前記レンズアレイにより結像される前記被検体の静脈パターンの複眼画像を撮像する撮像手段、
前記撮像手段により撮像された複眼画像から前記静脈パターンの単一画像を再構成する画像再構成手段、
温度センサを用いて前記被検体より体温情報を検出する体温情報検出手段と、
1以上の登録者についての静脈パターン又はその特徴を記憶する静脈パターン情報記憶手段、
1以上の登録者についての体温情報を記憶する体温情報記憶手段、
前記画像再構成手段により再構成された単一画像中の静脈パターン又はその特徴と、前記静脈パターン情報記憶手段に記憶されている静脈パターン又はその特徴とを照合することにより、前記被検体に対する第1の個人認証を行う第1の認証手段、
及び
前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記体温情報記憶手段に記憶されている体温情報と、前記体温情報検出手段により検出された体温情報とを照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行う第2の認証手段、
を有することを特徴とする。
被検体として人工物が用いられた場合に、静脈パターンによる第1の個人認証と、生体特有でかつ個人差のある体温情報による第2の個人認証の両方が成功する確率は低い。例えば、登録者の静脈パターンを記録した透明フィルム等を被検体として用い、仮に第1の個人認証を成功させることができたとしても、第2の個人認証をも成功させるような、当該登録者に固有の体温情報を検出させることは困難である。したがって、請求項6記載の発明の個人認証装置によれば、人工物が被検体として用いられた場合の誤認証を確実に防止することができる。
また、被検体が登録者以外の人の指又は手のひらであり、その静脈パターンが偶然にも登録者の静脈パターンと極めて類似しているために第1の個人認証が成功した場合であっても、個人差のある体温情報による第2の個人認証までも成功する確率は低い。このように静脈パターンと個人差のある体温情報による2段階の個人認証を行うため、請求項6記載の発明の個人認証装置によれば、被検体が人の指又は手のひらである場合における認証精度も向上する。
また、静脈パターン読み取りのためのレンズアレイを用いる複眼光学系は薄型化が容易であるので、請求項6記載の発明によれば個人認証装置の薄型化が容易である。
【0021】
請求項7記載の発明の個人認証装置は、
人の指又は手のひらを被検体として個人認証を行う個人認証装置であって、
前記被検体に光を照射する光源、
前記被検体に対向するレンズアレイ、
前記レンズアレイの像面側に位置し、前記被検体に前記光源により光が照射された状態で前記レンズアレイにより結像される前記被検体の静脈パターンの複眼画像を撮像する撮像手段、
前記撮像手段により撮像された複眼画像から前記静脈パターンの単一画像を再構成する画像再構成手段、
血流センサを用いて前記被検体より血流量情報を検出する血流量情報検出手段と、
1以上の登録者についての静脈パターン又はその特徴を記憶する静脈パターン情報記憶手段、
1以上の登録者についての血流量情報を記憶する血流量情報記憶手段、
前記画像再構成手段により再構成された単一画像中の静脈パターン又はその特徴と、前記静脈パターン情報記憶手段に記憶されている静脈パターン又はその特徴とを照合することにより、前記被検体に対する第1の個人認証を行う第1の認証手段、
及び
前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記血流量情報記憶手段に記憶されている血流量情報と、前記血流量情報検出手段により検出された血流量情報とを照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行う第2の認証手段、
を有することを特徴とする。
被検体として人工物が用いられた場合に、静脈パターンによる第1の個人認証と、生体特有でかつ個人差のある血流量情報による第2の個人認証の両方が成功する確率は低い。例えば、登録者の静脈パターンを記録した透明フィルム等を被検体として用い、仮に第1の個人認証を成功させることができたとしても、第2の個人認証をも成功させるような、当該登録者に固有の血流量情報を検出させることは極めて困難である。したがって、請求項7記載の発明の個人認証装置によれば、人工物が被検体として用いられた場合の誤認証を確実に防止することができる。
また、被検体が登録者以外の人の指又は手のひらであり、その静脈パターンが偶然にも登録者の静脈パターンと極めて類似しているために第1の個人認証が成功した場合であっても、個人差のある血流量情報による第2の個人認証までも成功する確率は極めて低い。このように静脈パターンと個人差のある血流量情報による2段階の個人認証を行うため、請求項7記載の発明の個人認証装置によれば、被検体が人の指又は手のひらである場合における認証精度も向上する。
また、静脈パターン読み取りのためのレンズアレイを用いる複眼光学系は薄型化が容易であるので、請求項7記載の発明によれば個人認証装置の薄型化が容易である。
【0022】
請求項8記載の発明の個人認証装置は、請求項4記載の発明の個人認証装置の構成に加え、
血流センサを用いて前記被検体より血流量情報を検出する血流量情報検出手段、
1以上の登録者についての血流量情報を記憶する血流量情報記憶手段、
前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記血流量情報記憶手段に記憶されている血流量情報と、前記血流量情報検出手段により検出された血流量情報とを照合することにより、前記被検体に対する第3の個人認証を行う第3の認証手段を有することを特徴とする。
被検体として人工物が用いられた場合に、静脈パターンによる第1の個人認証、生体特有でかつ個人差のある脈拍情報と血流量情報による第2と第3の個人認証の全てが成功する確率は極めて低い。例えば、登録者の静脈パターンを記録した透明フィルム等を被検体として用い、仮に第1の個人認証を成功させることができたとしても、第2と第3の個人認証をも成功させるような、脈拍情報と血流量情報を検出させることは極めて困難である。したがって、請求項8記載の発明の個人認証装置によれば、人工物が被検体として用いられた場合の誤認証を確実に防止することができる。
また、被検体が登録者以外の人の指又は手のひらであり、その静脈パターンが偶然にも登録者の静脈パターンと極めて類似しているために第1の個人認証が成功した場合であっても、個人差のある脈拍情報と血流量情報による第2と第3の個人認証までも成功する確率は極めて低い。このように静脈パターンと個人差のある脈拍情報及び血流量情報による2段階の個人認証を行うため、請求項8記載の発明の個人認証装置によれば、被検体が人の指又は手のひらである場合における認証精度も向上する。
また、第2の個人認証と第3の個人認証が両方が成功した場合と、その一方が成功した場合のいずれを最終的に個人認証が成功したものとするかの制御も可能になる。
【0023】
請求項9記載の発明の個人認証装置は、請求項4記載の発明の個人認証装置の構成に加え、
温度センサを用いて前記被検体より体温情報を検出する体温情報検出手段、
1以上の登録者についての体温情報を記憶する体温情報記憶手段、
前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記体温情報記憶手段に記憶されている体温情報と、前記体温情報検出手段により検出された体温情報とを照合することにより、前記被検体に対する第3の個人認証を行う第3の認証手段を有することを特徴とする。
被検体として人工物が用いられた場合に、静脈パターンによる第1の個人認証、生体特有でかつ個人差のある脈拍情報と体温情報による第2と第3の個人認証の全てが成功する確率は低い。例えば、登録者の静脈パターンを記録した透明フィルム等を被検体として用い、仮に第1の個人認証を成功させることができたとしても、第2と第3の個人認証をも成功させるような、脈拍情報と体温情報を検出させることは極めて困難である。したがって、請求項9記載の発明の個人認証装置によれば、人工物が被検体として用いられた場合の誤認証を確実に防止することができる。
また、被検体が登録者以外の人の指又は手のひらであり、その静脈パターンが偶然にも登録者の静脈パターンと極めて類似しているために第1の個人認証が成功した場合であっても、個人差のある脈拍情報と体温情報による第2と第3の個人認証までも成功する確率は極めて低い。このように静脈パターンと個人差のある脈拍情報及び体温情報による2段階の個人認証を行うため、請求項9記載の発明の個人認証装置によれば、被検体が人の指又は手のひらである場合における認証精度も向上する。
また、第2の個人認証と第3の個人認証が両方が成功した場合と、その一方が成功した場合のいずれを最終的に個人認証が成功したものとするかの制御も可能になる。
【0024】
請求項10記載の発明の個人認証方法は、
人の指又は手のひらを被検体として個人認証を行う個人認証方法であって、
前記被検体の静脈パターンを読み取る静脈パターン読み取り工程、
脈拍、表皮色、体温、血流量のうちのいずれか1に関する情報(以下、生体情報と記す)を前記被検体より検出する生体情報検出工程、
前記静脈パターン読み取り工程により読み取られた静脈パターン又はその特徴と、静脈パターン情報記憶手段に記憶されている1以上の個登録者についての静脈パターン又はその特徴とを照合することにより、前記被検体に対する第1の個人認証を行う第1の認証工程、
及び
前記生体情報検出手段により検出された生体情報と、前記第1の個人認証により認証された登録者についての生体情報記憶手段に記憶されている生体情報とを照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行う第2の認証工程、
を有することを特徴とする。
被検体として人工物が用いられた場合に、静脈パターンによる第1の個人認証と、生体特有でかつ個人差のある生体情報による第2の個人認証の両方が成功する確率は低い。例えば、登録者の静脈パターンを記録した透明フィルム等を被検体として用い、仮に第1の個人認証を成功させることができたとしても、第2の個人認証をも成功させるような、当該登録者に固有の脈拍、表皮色、体温あるいは血流量に関する生体情報を検出させることは極めて困難である。したがって、請求項10記載の発明の個人認証方法によれば、人工物が被検体として用いられた場合の誤認証を確実に防止することができる。
また、被検体が登録者以外の人の指又は手のひらであり、その静脈パターンが偶然にも登録者の静脈パターンと極めて類似しているために第1の個人認証が成功した場合であっても、個人差のある生体情報による第2の個人認証までも成功する確率は低い。このように静脈パターンと個人差のある生体情報による2段階の個人認証を行うため、請求項10記載の発明の個人認証方法によれば、被検体が人の指又は手のひらである場合における認証精度も向上する。
【0025】
請求項11記載の発明の個人認証方法は、
人の指又は手のひらを被検体として個人認証を行う個人認証方法であって、
前記被検体の静脈パターンを読み取る静脈パターン読み取り工程、
脈拍、表皮色、体温、血流量のうちのいずれか2以上に関する情報(以下、生体情報と記す)を前記被検体より検出する生体情報検出工程、
前記静脈パターン読み取り工程により読み取られた静脈パターン又はその特徴と、静脈パターン情報記憶手段に記憶されている1以上の登録者についての静脈パターン又はその特徴とを照合することにより、前記被検体に対する第1の個人認証を行う第1の認証工程、
及び
前記第1の個人認証により認証された登録者についての生体情報記憶手段に記憶されている前記生体情報と、前記生体情報検出工程により検出された生体情報とを、同じ種類の生体情報間で照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行う第2の認証工程、
を有することを特徴とする。
被検体として人工物が用いられた場合に、静脈パターンによる第1の個人認証と、生体特有でかつ個人差のある複数種類の生体情報による第2の個人認証の両方が成功する確率は低い。例えば、登録者の静脈パターンを記録した透明フィルム等を被検体として用い、仮に第1の個人認証を成功させることができたとしても、第2の個人認証をも成功させるような、脈拍、表皮色、体温あるいは血流量に関する複数種類の生体情報を検出させることは極めて困難である。したがって、請求項11記載の発明の個人認証装置によれば、人工物が被検体として用いられた場合の誤認証を確実に防止することができる。
また、被検体が登録者以外の人の指又は手のひらであり、その静脈パターンが偶然にも登録者の静脈パターンと極めて類似しているために第1の個人認証が成功した場合であっても、個人差のある複数種類の生体情報による第2の個人認証までも成功する確率は極めて低い。このように静脈パターンと個人差のある複数種類の生体情報による2段階の個人認証を行うため、請求項11記載の発明の個人認証装置によれば、被検体が人の指又は手のひらである場合における認証精度も向上する。
また、第2の個人認証では複数種類の生体情報を用いるため、複数種類の生体情報すべてについて第2の個人認証が成功した場合と、いずれか1種類の生体情報について第2の個人認証が成功した場合のいずれを最終的に個人認証が成功したものとするかの制御も可能になる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、人の指又は手のひらを模した人工物が被検体として用いられた場合の誤認証を確実に防止でき、かつ、被検体が人の指又は手のひらの場合における認証精度も高い個人認証装置及び個人認証方法を実現することができる。また、個人認証装置の小型化、特に薄型化を図ることができるため、モバイル機器等への搭載に好適な個人認証装置を実現することができる、等の効果を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を、個人認証装置に関して詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本発明の個人認証方法の実施形態の説明を兼ねるものである。以下の説明中で参照される複数の図面において、説明の重複を減らすため、同一要素又は同様要素に対し同一又は同様の参照番号が用いられる。
【0028】
[第1の実施形態]
【0029】
図1は本発明の第1の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。図1には、被検体(人の指又は手のひら)13が模式的に示されている。この個人認証装置では、個人認証のための情報として、被検体13より、その内部の静脈14の像(静脈パターン)と、それ以外の個人差のある生体情報の一種である脈拍情報を検出する。
【0030】
100aは静脈パターンの読み取りのための撮像光学系である。本実施形態では、撮像光学系100aによる撮像画像は脈拍情報検出にも利用される。撮像光学系100aにおいて、1は被検体13に光を照射する光源である。2は可視光カットフィルタ、3は略平面状に並べられた2個以上のレンズ3aからなるレンズアレイ、4はレンズアレイ3の各レンズ3a間での光線のクロストークを防止するための遮光部材である。5はレンズアレイ3により結像された画像を撮像するための撮像素子である。この撮像素子5としては、受光素子が二次元アレイ配列されたCCD撮像素子やCMOS撮像素子等を用いることができる。このような撮像光学系100aは、扁平なレンズアレイを用いた複眼光学系からなるため全体を容易に薄型化することができる。
【0031】
光源1により被検体13に光が照射されるが、その照射される光は被検体内部の静脈パターンを撮像するためには近赤外光であることが望ましい。近赤外光は、静脈血液に含まれる還元ヘモグロビンにより吸収されるが、それ以外の組織部分では吸収されにくいため、他の波長の光を用いた場合に比較し、より鮮明な静脈パターンを撮像できる。図1では、光源1はレンズアレイ3や撮像素子5に対向した位置に配置されているが、これは一例であって、被検体13の側方あるいはレンズアレイ3側から光を照射するように光源1を配置してもよい。そのような配置でも、生体は強散乱体であるため、静脈パターンを撮像可能である。静脈パターンはレンズアレイ3によって結像され、撮像素子5により撮像される。遮光部材4により、各レンズ3aを通過する光線の撮像位置におけるクロストークが抑制される。可視光カットフィルタ2は、レンズアレイ3への可視光成分の入射を防止し、より鮮明な静脈パターンの撮像を可能にするために設けられている。光源1から照射される光に可視光成分が含まれておらず、外部からの可視光の入射が無い場合には、可視光カットフィルタ2を省いてよい。撮像素子5によって撮像される画像は、レンズアレイ3の各レンズ3aにより結像された静脈パターンの個眼画像が並んだ複眼画像である。
【0032】
図2に撮像される複眼画像のシミュレーション例を示す。図2の(a)は被写体像、(b)は撮像される複眼画像である。複眼画像において、個眼画像間に存在する格子状の黒部分は遮光部材4の影である。各レンズ3aにより結像される個眼画像には、レンズ位置に応じて静脈パターンの異なる部分が含まれる。なお、図1中のAは1つのレンズ3aによる視野を表しており、個眼画像として観察される領域に相当する。また、図1中のBは隣接するレンズ3aの視野が重なる部分であり、これは複眼画像中の隣接した個眼画像で共通する重複領域を表す。
【0033】
図1に戻って説明する。201は撮像素子5により撮像された画像を一時的に記憶する画像記憶部である。205は画像記憶部201に記憶されている静脈パターンの複眼画像から静脈パターンの単一画像を再構成する画像再構成部である。この単一画像の再構成については後に詳細に説明する。この画像再構成部205は、撮像光学系100aとともに被検体13の静脈パターンの読み取り手段を構成する。204は画像記憶部201に記憶されている画像に基づいて被検体13の脈拍情報を検出する脈拍情報検出部であり、その詳細については後述する。202は1以上の登録者についての静脈パターン又はその特徴を記憶する静脈パターン情報記憶部である。203は1以上の登録者についての脈拍情報を記憶する脈拍情報記憶部である。206は静脈パターンによる個人認証を行う認証部、207は脈拍情報による個人認証を行う認証部である。認証部206は、画像再構成部205により再構成された単一画像中の静脈パターン又はその特徴と、静脈パターン情報記憶部202に記憶されている登録者についての静脈パターン又はその特徴とを照合することにより、個人認証を行う。認証部207は、認証部207により認証された特定の登録者についての脈拍情報記憶部203に記憶されている脈拍情報と、検出部204により検出された脈拍情報とを照合することにより、個人認証を行う。208は装置各部の動作の制御及び装置全体の処理フローの制御を行う制御部である。
【0034】
次に、この個人認証装置の全体的な動作について説明する。図3は、その説明のためのフローチャートである。
【0035】
撮像光学系100aにより、被検体13の静脈パターンの撮像が所定の時間間隔で連続的に行われ、撮像された時系列の画像(静脈パターンの複眼画像)が画像記憶部201に記憶される(ステップS1)。この撮像時間間隔と撮像コマ数は、後述の脈拍情報検出を考慮して決定される。
【0036】
次に、脈拍情報検出部204において、画像記憶部201より時系列画像が読み込まれ、脈拍情報の検出が行われる(ステップS2)。脈拍情報検出部204では、検出した脈拍情報が人の脈拍情報としては明らかに異常であるか否かの判定も行われ、その判定結果が制御部208に通知される(ステップS3)。この判定結果がYesのとき、つまり被検体13が明らかに非生体(人工物)であると判断されるときには、制御部208は処理を中止させる制御を行う。判定結果がNoの場合、被検体13は生体の可能性があるので、制御部208は次ステップS4へ処理を進める制御を行う。脈拍情報の検出とその異常判定の詳細については後述する。
【0037】
ステップS3の判定結果がNoの場合、画像再構成部205において、画像記憶部201に記憶されている時系列画像の1コマが読み込まれ、この画像(静脈パターンの複眼画像)を高解像な単一画像へ再構成する処理が行われる(ステップS4)。この画像再構成処理の詳細については後述する。
【0038】
次に、認証部206において、画像再構成部205で複眼像から再構成された高解像な単一画像中の静脈パターン又はその特徴と、静脈情報記憶部202に記憶されている登録者の静脈パターン又はその特徴とを照合することにより個人認証を行う(ステップS5)。静脈情報記憶部202に登録者の静脈パターンが記憶されている場合には、認証部206はパターンマッチングにより類似度(あるいは相違度)を求め、ある登録者について類似度が所定の閾値以上(あるいは相違度が所定の閾値以下)となったときに個人認証を成功したと判断する。ただし、静脈パターン同士のパターンマッチングではなく、再構成画像中の静脈パターンと静脈パターン情報記憶部202に記憶されている静脈パターンより特徴点などを抽出し、両静脈パターンの特徴点などの対応を求める特徴ベースのマッチングを用いてもよい。静脈パターン情報記憶部202に静脈パターンの特徴点のような特徴情報が記憶されている場合には、後者の特徴ベースのマッチングが用いられることになる。この個人認証の正否は制御部208に通知される。
【0039】
認証部206は、個人認証に成功した場合(ステップS6,Yes)、認証された特定の登録者を認証部207へ通知する。個人認証が失敗した場合(ステップS6,No)、制御部208は処理を中止させる制御を行う。
【0040】
認証部206での個人認証が成功した場合、認証部207において脈拍情報による個人認証を行う(ステップS7)。すなわち、認証部206では、認証部206より通知された登録者についての脈拍情報を脈拍情報記憶部203より読み込み、この脈拍情報と、脈拍情報検出部204より受け取った脈拍情報とを照合し、一定以上の類似度(あるいは一定以下の相違度)が得られたならば認証を成功したと判断し、そうでなければ失敗と判断する。例えば、脈拍情報として脈拍周期又は脈拍数が用いられる場合には、脈拍周期又は脈拍数の差を計算し、この差の絶対値が所定の閾値以下ならば成功、そうでなければ失敗と判断する。脈拍情報として脈拍パターンが用いられる場合には、脈拍パターン間のパターンマッチングを利用することができる。この個人認証が失敗した場合、被検体13は、人工物であるか、あるいは、静脈パターンによる個人認証によって認証された登録者以外の指又は手のひらである可能性が高い。
【0041】
認証部207の個人認証が失敗した場合(ステップS8,No)、制御部208で処理を中止させる制御が行われる。認証部207の個人認証が成功した場合(ステップS8,Yes)、制御部208へ成功が通知され、制御部208は最終的に個人認証が成功したと判断し、その旨の信号を外部へ出力する(ステップS9)。例えば、この個人認証装置が電子機器のログイン管理や入室管理などに利用される場合には、制御部208より電子機器へのログイン許可信号や扉の解錠許可信号などが出力される。
【0042】
このように、静脈パターンによる個人認証により認証された登録者について、さらに個人差のある生体情報の一種である脈拍情報による個人認証を行うことにより、被検体13として例えば登録者の指や手のひらを擬した人工物が用いられ、その人工物に脈拍を擬した振動が加えられたような場合にも、誤認証を確実に防止することができる。また、静脈パターンと脈拍情報による二重の個人認証を行うため、登録者と静脈パターンが極めて類似した者を登録者本人として認証する危険が減り、静脈パターンのみによる個人認証に比べ認証精度が向上する。なお、脈拍情報による個人認証の成否を判定するための閾値を変更可能にしてもよく、かかる態様も本実施形態に包含される。
【0043】
また、本実施形態では、静脈パターン読み取りのための撮像光学系100aにより撮像された画像に基づいて脈拍情報を検出し、特許文献2のように脈拍検知用の圧力センサを別途設けない構成であり、これは個人認証装置の低コスト化及び小型化に有利である。
【0044】
なお、登録者の指又は手のひらを被検体13として静脈パターン読み取りを行い、画像再構成部205による再構成画像の静脈パターン又はその特徴を静脈パターン情報記憶部202に記憶させ、脈拍情報検出部204で検出された脈拍情報を脈拍情報記憶部203に記憶させる登録処理手段を追加してもよく、かかる態様も本実施形態に包含される。ただし、当該個人認証装置とは別の装置によって、登録者の静脈パターン(又はその特徴)及び脈拍情報を取得し、それを各記憶部202,203に記憶させてもよいことは云うまでもない。
【0045】
ここまでの説明から明らかなように、本実施形態は、請求項1,3,4,10記載の発明の一実施形態に相当する。
【0046】
次に、脈拍情報検出部204による脈拍情報の検出について説明する。
【0047】
脈拍情報検出部204では、画像記憶部201に記憶されている時系列画像より各時刻の静脈部の画素数を求める。前述したように、静脈部はその他の生体組織部に比べて近赤外光を吸収するため、撮像された画像では静脈部は周囲の生体組織よりも暗く映る。そこで、適当な閾値により画像の二値化を行うことにより、静脈部分を黒の画素、静脈以外の生体組織部を白の画素として検出することができる。このようにして検出した黒画素すなわち静脈部画素の個数を時系列に並べると、図4に模式的に示すような脈拍パターン15を得ることができる。脈拍情報検出部204は、このような脈拍パターン15、あるいは、脈拍パターンの山同士あるいは谷同士の間隔16すなわち脈拍周期、あるいは、脈拍周期の逆数すなわち脈拍数を脈拍情報として求め出力する。上に述べた脈拍パターンを得るための脈拍部画素の検出処理を複眼画像全体を対象として行うことも可能であるが、演算時間の短縮のためには、複眼画像中の特定の個眼画像のみを対象として処理を行うのが望ましい。
【0048】
図5は、脈拍情報検出部204の処理フローの一例を示すフローチャートである。この例では、画像記憶部201より複眼画像が1コマずつ読み出され(ステップS11)、特定位置の1つの個眼画像が抽出される(ステップS12)。その個眼画像は所定の閾値により二値化され(ステップS13)、2値化画像の黒画素画がカウントされ、カウント値が時系列に保存される(ステップS14)。ただし、遮光部材4の影部分の黒画素はカウントから除外するのが好ましい。同様の処理が画像記憶部201に記憶されている時系列画像の各コマについて繰り返される。最終コマまで処理が終了すると(ステップS15,Yes)、脈拍パターンが得られる。この例では、この脈拍パターンから脈拍周期もしくは脈拍数を脈拍情報として検出する(ステップS16)。ただし、脈拍パターンそのものを脈拍情報として検出することも可能であることは前述した通りである。
【0049】
次に、画像再構成部205の画像再構成処理について説明する。
【0050】
レンズアレイを用いた複眼光学系はバックフォーカスが短くなり光学系の薄型化を実現できるが、レンズアレイの個々のレンズで結像される像を構成する画素数が少なくなるため、単一のレンズにより結像した場合に比べ、画像の解像度が低下するというデメリットがある。しかしながら、複眼画像に含まれる視差を利用して複眼画像を単一画像に再構成することにより、このデメリットを補って高解像度の画像を得ることが可能である。この視差を利用した画像再構成の処理フローを図6に示し、処理の詳細について以下に説明する。
【0051】
最初のステップS21で、画像記憶部201より、ある時刻に撮像された1コマの複眼画像を読み込む。この複眼画像から高解像度の単一画像を再構成する。
【0052】
複眼画像は一見同じ個眼画像が並んでいるように見えるが、各個眼画像は被写体を異なる位置から撮像したものであるから各レンズ3aと被写体との位置関係に起因した視差があり、各個眼画像は視差に伴い少しずつシフトした画像となる。ステップS22で、このような視差による個眼画像間のシフトを算出する。シフトの算出には例えばパターンマッチングを利用することができる。複眼画像からシフトの基準となる個眼画像(基準個眼画像)を任意に選択し、この個眼画像の一部をテンプレートとする。基準個眼画像のシフトは(0,0)である。シフト検出の対象となる個眼画像(被シフト検出個眼画像)を選択して、基準個眼画像と被シフト検出個眼画像間の類似度あるいは相違度からシフトを算出する。よく知られているように、類似度としては相互相関関数、相違度としてはSSD(画素値の差の二乗和)やSAD(画素値の絶対値和)を利用することができる。パターンマッチングで算出した相違度の一例を図7に示す。相違度の指標はSSDとした。
SSDを用いた相違度は次式で表される。
【0053】
【数1】

ここで、RはSSDで算出される相違度、Iは被シフト検出個眼画像の一部、Tはテンプレートとした基準個眼画像の一部である。i,jはそれぞれテンプレートの横方向と縦方向の画素数、x,yはシフトの探索範囲内で変化する値である。すなわち、Rが最小となる(x,y)が、二つの個眼画像間のシフトである。図7に画像シフトとパターンマッチングの相違度を例示する。図7において、x軸およびy軸はx,y方向の画像のシフト、z軸は相違度である。
【0054】
複眼画像を再構成して高解像な単一像にするには、1画素単位よりも細かい単位すなわちサブピクセルオーダでのシフト算出が必要になるが、ピクセルオーダで算出した相違度や類似度を関数フィッティングする手法や、テンプレートあるいは被シフト検出個眼画像のどちらかを補間してパターンマッチングする手法により、サブピクセルオーダでのシフト検出が可能である。
【0055】
また、レンズアレイ3を構成する各レンズ3aの配置は既知であるから、複眼画像中の全ての個眼画像についてシフト算出を行う必要はなく、基準個眼画像と、ある被シフト検出個眼画像の1組についてシフトを算出し、そのシフトから残りの個眼画像のシフトを推定することができる。例えば、個眼画像数が横方向、縦方向にそれぞれM個、N個並んだ正方格子状の複眼画像において、左上端の個眼画像を基準個眼画像とし、右端下の個眼画像を被シフト検出個眼画像とする。パターンマッチングの結果、その被シフト検出個眼画像のシフトが(x,y)と算出された場合、隣接する個眼像画間には横方向、縦方向それぞれにx/(M−1)、y/(N−1)のシフトが存在すると推定できる。このようにシフト算出の演算を1組の個眼画像に限定し、残りの個眼画像のシフトを推定する手法を採ることで演算時間の短縮を図ることが可能である。
【0056】
次のステップS23において、複眼画像を再構成して高解像な単一画像を生成する。この再構成は、前ステップで算出された個眼画像のシフトに基づき画素を再配置することで行われる。図8は画像再構成の説明のための模式図である。図示のたように、再構成する単一画像のために予め仮想のデジタル画像領域17を確保しておき、複眼画像18の各個眼画像18aの各画素輝度を、それぞれの画像シフトに基づいてデジタル画像領域17に再配置する処理を繰り返すことによって、単一画像を再構成することができる。この処理が終了すると、再構成された単一画像を出力する(ステップS24)。
【0057】
[第2の実施形態]
【0058】
図9は本発明の第2の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。本実施形態に係る個人認証装置では、個人認証のための情報として、被検体13より、その内部の静脈14の像(静脈パターン)と、それ以外の個人差のある生体情報の一種である表皮色情報を検出する。
【0059】
100bは静脈パターンの読み取りのための撮像光学系である。本実施形態では、撮像光学系100bによる撮像画像は表皮色情報検出にも利用される。撮像光学系100bの構成は、基本的には前記第1の実施形態に係る撮像光学系100aと同様であるが、次に述べる点で構成が異なる。すなわち、撮像光学系100bにおいては、撮像される一部の特定の個眼画像(ここでは図8の右端のレンズ3aにより結像される個眼画像)に対しては可視光成分がカットされないように可視光カットフィルタ2が配置され、かつ、撮像素子5の当該特定の個眼画像が結像される部分の受光素子上に色分解のためのRGBカラーフィルタ20が設けられている。また、光源1として近赤外光及び可視光を発するものが用いられるが、これは近赤外光及び可視光を発光する単体の光源であっても、近赤外光を発する光源と可視光を発する光源とを組み合わせた光源であってもよい。
【0060】
また、本実施形態に係る個人認証装置は、撮像光学系100bにより撮像されて画像記憶部201に記憶されている複眼画像中の特定の個眼画像(RGB成分からなるカラー画像)から表皮色情報を検出する表皮色情報検出部210、1以上の登録者についての表皮色情報を記憶する表皮色情報記憶部211、表皮色情報による個人認証を行う認証部212を備える。
【0061】
次に、この個人認証装置の全体的な動作について説明する。図10は、その説明のためのフローチャートである。
【0062】
撮像光学系100bによって複眼画像が撮像され、その画像は画像記憶部201に記憶される。ここでは1コマの複眼画像が撮像され記憶される(ステップS31)。この複眼画像中の特定の個眼画像はRGBカラー画像である。ここまでの説明から理解されるように、撮像素子5は、静脈パターンを撮像するための撮像手段と、可視光を照射される被検体の一部のカラー像を撮像する撮像手段とを兼ねのもので、カラーフィルタ20が設けられた受光素子は後者の撮像手段のための受光素子として作用する。
【0063】
表皮色情報検出部210において、画像記憶部201より複眼画像が読み込まれ、その特定のRGBカラー個眼画像から表皮色情報が検出される(ステップS32)。具体的には例えば、RGBカラー個眼画像を構成する画素をRGB色空間に写像し、その色領域を表す情報を表皮色情報として検出する。この場合、表皮色情報記憶部211にも、登録者について予め求められた同様のRGB色空間における色領域の情報が表皮色情報として記憶されている。
【0064】
表皮色情報検出部210において、検出した色領域が、人間の表皮色の色領域として明らかに異常であるか否かの判定も行われる(ステップS33)。この判定結果がYesのとき、つまり被検体13が明らかに非生体(人工物)であると判断されるときには、制御部208は処理を中止させる制御を行う。判定結果がNoの場合、被検体13は生体の可能性があるので、制御部208は次ステップS34へ処理を進める制御を行う。
【0065】
ステップS33の判定結果がNoの場合、画像再構成部205において、画像記憶部201より複眼画像が読み込まれ、単一画像への再構成処理が行われる(ステップS34)。この画像再構成処理は前記第1の実施形態で説明した通りであるが、複眼画像中の特定のカラー個眼画像は、可視光を結像しているので静脈パターンを抽出するときにノイズとなるおそれがあるので、画像再構成に利用しないほうが望ましい。
【0066】
次に、認証部206において、画像再構成部205による再構成画像中の静脈パターン又はその特徴と、静脈パターン情報記憶部202に記憶されている1以上の登録者の静脈パターン又はその特徴との照合による個人認証が行われる(ステップS35)。認証部206による個人認証が失敗した場合(ステップS36,No)、制御部208は処理を中止させる制御を行う。
【0067】
認証部206による個人認証が成功した場合(ステップS36,Yes)、認証部212において、表皮色情報検出部210より受け取った色領域情報(被検体13より検出された表皮色情報)と、認証部206により認証された特定の登録者についての表皮色情報記憶部211に記憶されている色領域情報とを照合し、色領域間の類似度もしくは相違度による個人認証が行われる(ステップS37)。色領域間の類似度が所定の閾値以上、あるいは、色領域間の相違度が所定の閾値以下の場合、個人認証は成功と判定され(ステップS38,Yes)、そうでない場合は個人認証は失敗と判定される(ステップS38,No)。失敗の場合、制御部208は処理を中止する制御を行う。
【0068】
認証部212の個人認証が成功した場合(ステップS38,Yes)、制御部208は最終的に個人認証が成功したと判断し、その旨の信号を外部へ出力する(ステップS39)。例えば、この個人認証装置が電子機器のログイン管理や入室管理などに利用される場合には、制御部208より電子機器へのログイン許可信号や扉の解錠許可信号などが出力される。
【0069】
このように、静脈パターンによる個人認証により認証された登録者について、さらに個人差のある生体情報の一種である表皮色情報による個人認証を行うことにより、被検体13として例えば登録者の指や手のひらを擬した人工物が用いられた場合にも、誤認証を確実に防止することができる。また、静脈パターンと表皮色情報による二重の個人認証を行うため、登録者と静脈パターンが極めて類似した者を登録者本人として認証する危険が減り、静脈パターンのみによる個人認証に比べ認証精度が向上する。なお、表皮色情報による個人認証の成否を判定するための閾値を変更可能にしてもよく、かかる態様も本実施形態に包含される。
【0070】
また、本実施形態では、静脈パターン読み取りのための撮像光学系100bにより撮像された画像に基づいて表皮色情報を検出する構成であるため、表皮色検出用の色センサを別途設ける必要がなく、これは個人認証装置の低コスト化及び小型化に有利である。
【0071】
なお、登録者の指又は手のひらを被検体13として静脈パターン読み取りを行い、画像再構成部205による再構成画像の静脈パターン又はその特徴を静脈パターン情報記憶部202に記憶させ、表皮色情報検出部210で検出された表皮色情報を表皮色情報記憶部211に記憶させる登録処理手段を追加してもよく、かかる態様も本実施形態に包含される。ただし、当該個人認証装置とは別の装置によって、登録者の静脈パターン(又はその特徴)及び表皮色情報を取得し、それを各記憶部202,211に記憶させてもよいことは云うまでもない。
【0072】
ここまでの説明から明らかなように、本実施形態は、請求項1,3,5,10記載の発明の一実施形態に相当する。
【0073】
[第3の実施形態]
【0074】
図11は本発明の第3の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。本実施形態に係る個人認証装置では、個人認証のための情報として、被検体13より、その内部の静脈14の像(静脈パターン)と、それ以外の個人差のある生体情報の一種である体温情報を検出する。体温情報検出部220は、被検体13より温度センサ30を用いて体温を検出する手段である。本実施形態では、温度センサ30として、被検体13から発せられる赤外線を検知する赤外線センサが用いられる。赤外線センサは、非接触での温度測定が可能であるので、被認証者の心理的負担が小さく接触式の温度センサよりも好ましい。本実施形態の個人認証装置は、1以上の登録者についての体温情報を記憶する体温情報記憶部221、体温情報検出部220により検出された体温情報と体温情報記憶部221に記憶されている体温情報との照合により個人認証を行う認証部222を備える。
【0075】
この個人認証装置の全体的な動作について説明する。図11は、その説明のためのフローチャートである。
【0076】
まず、体温情報検出部220で温度センサ30を用いて被検体13より体温が検出され、検出した体温の情報が出力される(ステップS41)。ここでは温度センサ30として赤外線センサが用いられているので、撮像光学系100aの光源1を発光させない状態で体温検出が行われる。
【0077】
体温情報検出部220において、検出した体温が、人間の体温として明らかに異常であるか否かの判定も行われる(ステップS42)。この判定結果がYesのとき、つまり被検体13が明らかに非生体(人工物)であると判断されるときには、制御部208は処理を中止させる制御を行う。判定結果がNoの場合、被検体13は生体の可能性があるので、制御部208は次ステップS43へ処理を進める制御を行う。
【0078】
ステップS42の判定結果がNoの場合、撮像光学系100により静脈パターンの撮像が行われ、撮像された複眼画像は画像記憶部201に記憶される(ステップS43)。そして、画像再構成部205において、画像記憶部201より複眼画像が読み込まれ、単一画像への再構成処理が行われる(ステップS44)。
【0079】
次に、認証部206において、画像再構成部205による再構成画像中の静脈パターン又はその特徴と、静脈パターン情報記憶部202に記憶されている1以上の登録者の静脈パターン又はその特徴との照合による個人認証が行われる(ステップS45)。認証部206による個人認証が失敗した場合(ステップS46,No)、制御部208は処理を中止させる制御を行う。
【0080】
認証部206による個人認証が成功した場合(ステップS46,Yes)、認証部222において、体温情報検出部220より受け取った体温情報と、認証部206により認証された特定の登録者についての体温情報記憶部221に記憶されている体温情報との照合による個人認証が行われる(ステップS47)。体温の差の絶対値が所定の閾値以下の場合、個人認証は成功と判定され(ステップS48,Yes)、そうでない場合は個人認証は失敗と判定される(ステップS48,No)。失敗の場合、制御部208は処理を中止する制御を行う。
【0081】
認証部222の個人認証が成功した場合(ステップS48,Yes)、制御部208は最終的に個人認証が成功したと判断し、その旨の信号を外部へ出力する(ステップS49)。例えば、この個人認証装置が電子機器のログイン管理や入室管理などに利用される場合には、制御部208より電子機器へのログイン許可信号や扉の解錠許可信号などが出力される。
【0082】
このように、静脈パターンによる個人認証により認証された登録者について、さらに個人差のある生体情報の一種である体温情報による個人認証を行うことにより、被検体13として例えば登録者の指や手のひらを擬した人工物が用いられた場合にも、誤認証を確実に防止することができる。また、静脈パターンと体温情報による二重の個人認証を行うため、登録者と静脈パターンが極めて類似した者を登録者本人として認証する危険が減り、静脈パターンのみによる個人認証に比べ認証精度が向上する。なお、体温情報による個人認証の成否を判定するための閾値を変更可能にしてもよく、かかる態様も本実施形態に包含される。
【0083】
なお、登録者の指又は手のひらを被検体13として静脈パターン読み取りを行い、画像再構成部205による再構成画像の静脈パターン又はその特徴を静脈パターン情報記憶部202に記憶させ、体温情報検出部220で検出された体温情報を体温情報記憶部211に記憶させる登録処理手段を追加してもよく、かかる態様も本実施形態に包含される。ただし、当該個人認証装置とは別の装置によって、登録者の静脈パターン(又はその特徴)及び体温情報を取得し、それを各記憶部202,221に記憶させてもよいことは云うまでもない。
【0084】
ここまでの説明から明らかなように、本実施形態は、請求項1,3,6,10記載の発明の一実施形態に相当する。
【0085】
[第4の実施形態]
【0086】
図13は本発明の第4の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。本実施形態に係る個人認証装置では、個人認証のための情報として、被検体13より、その内部の静脈14の像(静脈パターン)と、それ以外の個人差のある生体情報の一種である血流量情報を検出する。
【0087】
本実施形態に係る個人認証装置は、血流量情報の検出のために血流センサ40と血流量情報検出部230とを備える。血流センサ40は、被検体13にレーザ光を照射し、被検体13の内部からの散乱光を電気信号に変換して出力するものである。被検体内部からの散乱光には、生体内部の毛細血管内の血球の移動によりドップラーシフトを生じた散乱光と、静止した組織で散乱されたドップラーシフトを生じていない散乱光とがあり、両散乱光の干渉によるビート信号成分が血流センサ40の出力信号に含まれている。血流量検出部230は、そのビート信号のパワースペクトルを求め、周波数を掛け積分することにより血流量を求める。このようなレーザ光を利用した血流量測定の原理は周知であるので、これ以上の詳細は省略する。
【0088】
また、本実施形態に係る個人認証装置は、1以上の登録者についての血流量情報を記憶する血流量情報記憶部231、血流量情報検出部230により検出された血流量情報と血流量情報記憶部231に記憶されている血流量情報との照合により個人認証を行う認証部232を備える。
【0089】
次に、この個人認証装置の全体的な動作を説明する。図14は、その説明のためのフローチャートである。
【0090】
撮像光学系100aにより被検体13の静脈パターンを撮像し、撮像した複眼画像を画像記憶部201に記憶し(ステップS51)、これと並行して血流量情報検出部230で血流センサ40を利用し血流量を検出する(ステップS52)。
【0091】
血流量情報検出部230において、検出した血流量が人間の血流量として明らかに異常であるか否かの判定を行う(ステップ53)。血流量が人間の血流量として明らかに異常である、すなわち被検体13が明らかに非生体であると判断される場合(ステップS53,Yes)、制御部208は処理を中止する制御を行う。そうでない場合(ステップS53,No)、制御部208は次ステップS54へ処理を進める制御を行う。なお、ステップS53の判定を、血流センサ40の出力信号の波形に基づいて行うことも可能である。すなわち、被検体13が生体の場合、血流センサ40の出力信号は血流の多少を示す大きな周期の波と脈拍に対応する細かい周期の波が混在したものとなるが、被検体13が非生体の場合、血流センサ40の出力信号は平坦な波形となるため、非生体であることを容易に判定することができる。
【0092】
ステップS53の判定結果がNoの場合、画像再構成部205において、画像記憶部201より複眼画像が読み出され、高解像な単一画像への再構成処理が行われる(ステップS54)。次に、認証部206において、静脈パターン情報記憶部202に記憶されている登録者についての静脈パターン又はその特徴と、画像再構成部205による再構成画像中の静脈パターン又はその特徴との照合による個人認証が行われる(ステップS55)。この個人認証が不成功の場合(ステップS56,No)、制御部208は処理を中止する制御を行う。
【0093】
認証部206による個人認証が成功した場合(ステップS56,Yes)、認証部232において、認証部206で認証された特定の登録者についての血流量情報記憶部231に記憶されている血流量情報と、血流量情報検出部230より渡された血流量情報との照合による個人認証が行われる(ステップS57)。照合された血流量の差の絶対値が所定の閾値以上ならば個人認証は不成功と判定され(ステップS58,No)、制御部208は処理を中止する制御を行う。血流量の差の絶対値が所定の閾値未満ならば個人認証は成功と判定され(ステップS58,Yes)、制御部208は最終的に個人認証が成功したと判断し、その旨の信号を外部へ出力する(ステップS59)。例えば、この個人認証装置が電子機器のログイン管理や入室管理などに利用される場合には、制御部208より電子機器へのログイン許可信号や扉の解錠許可信号などが出力される。
【0094】
このように、静脈パターンによる個人認証により認証された登録者について、さらに個人差のある生体情報の一種である血流量情報による個人認証を行うことにより、被検体13として例えば登録者の指や手のひらを擬した人工物が用いられた場合にも、誤認証を確実に防止することができる。また、静脈パターンと血流量情報による二重の個人認証を行うため、登録者と静脈パターンが極めて類似した者を登録者本人として認証する危険が減り、静脈パターンのみによる個人認証に比べ認証精度が向上する。なお、血流量情報による個人認証の成否を判定するための閾値を変更可能にしてもよく、かかる態様も本実施形態に包含される。
【0095】
また、登録者の指又は手のひらを被検体13として静脈パターン読み取りを行い、画像再構成部205による再構成画像の静脈パターン又はその特徴を静脈パターン情報記憶部202に記憶させ、血流量情報検出部230で検出された血流量情報を血流量情報記憶部231に記憶させる登録処理手段を追加してもよく、かかる態様も本実施形態に包含される。ただし、当該個人認証装置とは別の装置によって、登録者の静脈パターン(又はその特徴)及び血流量情報を取得し、それを各記憶部202,231に記憶させてもよいことは云うまでもない。
【0096】
ここまでの説明から明らかなように、本実施形態は、請求項1,3,7,10記載の発明の一実施形態に相当する。
【0097】
なお、人間として適当な血流量が検出されるような人工物の作成は容易でないと考えられるため、ステップS53で異常ではないと判定された場合に静脈パターンによる個人認証のみを行う構成としても、人工物が用いられた時の誤認証の防止という目的は達成されるであろう。そして、この場合、血流量情報検出部230では血流量の算出を行わず、ステップS53の判定を血流センサ40の出力信号に基づいて行うようにしてもよい。かかる構成の個人認証装置も本発明に包含される。
【0098】
[第5の実施形態]
【0099】
図15は本発明の第5の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。本実施形態では、個人認証のための情報として、被検体13より、その内部の静脈14の像(静脈パターン)と、それ以外の個人差のある生体情報である脈拍情報及び血流量情報を検出する。
【0100】
この個人認証装置は、前記第1の実施形態に係る個人認証装置に、前記第4の実施形態における血流センサ40,血流量情報検出部230、血流量情報記憶部231及び血流量情報による個人認証を行う認証部232を追加した構成である。装置各部については説明済みであるので、この個人認証装置の全体的動作について以下に説明する。図16は、その説明のためのフローチャートである。
【0101】
撮像光学系100aによって被検体13の静脈パターンの撮像が所定時間間隔で連続的に行われ、撮像された時系列の複眼画像が画像記憶部201に記憶され(ステップS61)、脈拍情報検出部204で画像記憶部201内の時系列画像に基づいて脈拍情報の検出が行われる(ステップS62)。このような動作と並行して、血流量情報検出部230において血流センサ40を利用した血流量情報の検出が行われる(ステップS63)。
【0102】
脈拍情報検出部204において検出した脈拍情報が人間の脈拍情報として明らかに異常であるか否かの判定が行われ、また、血流量情報検出部230において検出した血流量が人間の血流量として明らかに異常であるか否かの判定が行われる。制御部208は、脈拍情報検出部204又は血流量情報検出部230のいずれかで異常と判定された場合(ステップS64,Yes)、被検体13は明らかに非生体であると判断して処理を中止する制御を行う。一方、脈拍情報検出部204及び血流量情報検出部230の両方で異常でないと判定された場合(ステップS64,No)、制御部208は被検体13が生体である可能性が高いと判断して次ステップS65の処理へ進める制御を行う。なお、前記第4の実施形態に関連して説明したように、血流量情報検出部230において上記判定を血流センサ40の出力信号に基づいて行ってもよい。
【0103】
ステップS64の判定結果がNoの場合、画像再構成部205において画像記憶部201に記憶されている1コマの複眼画像から高解像な単一画像を再構成する処理が行われる(ステップS65)。この再構成画像中の静脈パターン又はその特徴と、静脈パターン情報記憶部202に記憶されている登録者の静脈パターン又はその特徴との照合による個人認証が認証部206で行われる(ステップS66)。この個人認証が失敗した場合、制御部208は処理を中止させる制御を行う。
【0104】
認証部206による個人認証が成功した場合(ステップS67,Yes)、該個人認証により認証された特定の登録者についての脈拍情報記憶部203及び血流量情報記憶部231に記憶されている脈拍情報及び血流量情報と、脈拍情報検出部204で検出された脈拍情報及び血流量情報検出部230で検出された血流量情報との照合による個人認証が認証部207及び認証部232でそれぞれ実行される(ステップS68)。
【0105】
制御部208は、2つのモードを選択可能である。第1のモードが選択された場合、認証部207と認証部232の両方の個人認証が成功したときに(ステップS69,Yes)、制御部208は最終的に個人認証が成功したと判断し、その旨の信号を出力する(ステップS70)。それ以外の場合、制御部208は最終的に個人認証に失敗したと判断し処理を中止する制御を行う。このように、静脈パターンによる個人認証が成功した上にさらに2種類の生体情報による個人認証が成功した場合に最終的に個人認証を成功したと判断するため、非生体が用いられた場合の誤認証をより確実に防止でき、かつ、生体が用いられた場合における認証精度もさらに向上し、極めて強固なセキュリティを達成することができる。
【0106】
第2のモードが選択された場合、図16のステップS69に括弧書きしたように、制御部208では、認証部207,232の少なくとも一方による個人認証が成功したときに最終的に個人認証が成功したと判断し、認証部207,232による個人認証が両方とも失敗したときに最終的に個人認証を失敗したと判断する。したがって、この第2のモードは、第1のモードに比べてセキュリティ強度が緩和されることになる。このように2つのモードの切り替えによりセキュリティ強度を調節することができる。
【0107】
なお、脈拍情報又は血流量情報のいずれか一方のみが異常でないと判定された場合にもステップS64の判定結果をNoとして処理を進め、ステップS68では、異常でないと判定された脈拍情報又は血流量情報による個人認証のみを行い、その個人認証が成功したときに最終的に個人認証が成功したと判断するような態様をとることも可能である。係る態様も本発明に包含される。
【0108】
ここまでの説明から明らかなように、本実施形態は、請求項2,3,8,11記載の発明の一実施形態に相当する。
【0109】
[第6の実施形態]
【0110】
図17は本発明の第6の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。本実施形態では、個人認証のための情報として、被検体13より、その内部の静脈14の像(静脈パターン)と、それ以外の個人差のある生体情報である脈拍情報及び体温情報を検出する。
【0111】
この個人認証装置は、前記第1の実施形態に係る個人認証装置に、前記第3の実施形態における温度センサ30、体温情報検出部220、体温情報記憶部221及び体温情報による個人認証を行う認証部222を追加した構成である。装置各部については説明済みであるので、この個人認証装置の全体的動作について以下に説明する。図18は、その説明のためのフローチャートである。
【0112】
体温情報検出部220において、温度センサ30を用いて体温情報が検出され、検出された体温情報が人間の体温情報として明らかに異常であるか否かが判定される(ステップS81)。体温情報が明らかに異常であるならば(ステップS82,Yes)、被検体13は非生体と判断されるので制御部208は処理を中止する制御を行う。体温情報が異常でないときには(ステップS82,No)、被検体13は生体である可能性が高いので、制御部208は次ステップS83へ処理を進める。
【0113】
ステップS82の判定結果がNoの場合、撮像光学系100aによって被検体13の静脈パターンの撮像が所定時間間隔で連続的に行われ、撮像された時系列の複眼画像が画像記憶部201に記憶される(ステップS83)。
【0114】
脈拍情報検出部204において、画像記憶部201内の時系列画像に基づいて脈拍情報が検出され、検出した脈拍情報が人間の脈拍情報として明らかに異常であるか否かの判定が行われる(ステップS84)。制御部208は、脈拍情報検出部204で異常と判定された場合(ステップS85,Yes)、被検体13は明らかに非生体であると判断して処理を中止する制御を行う。一方、脈拍情報検出部204で異常でないと判定された場合(ステップS85,No)、制御部208は被検体13が生体である可能性が高いと判断して次ステップS86へ処理を進める制御を行う。
【0115】
ステップS85の判定結果がNoの場合、画像再構成部205において画像記憶部201に記憶されている1コマの複眼画像から高解像な単一画像を再構成する処理が行われる(ステップS86)。この再構成画像中の静脈パターン又はその特徴と、静脈パターン情報記憶部202に記憶されている登録者の静脈パターン又はその特徴との照合による個人認証が認証部206で行われる(ステップS87)。この個人認証が失敗した場合(ステップS88,No)、制御部208は処理を中止させる制御を行う。
【0116】
認証部206による個人認証が成功した場合(ステップS88,Yes)、該個人認証により認証された特定の登録者についての脈拍情報記憶部203及び体温情報記憶部221に記憶されている脈拍情報及び体温情報と、脈拍情報検出部204で検出された脈拍情報及び体温情報検出部220で検出された体温情報との照合による個人認証が認証部207及び認証部222でそれぞれ実行される(ステップS89)。
【0117】
制御部208は、2つのモードを選択可能である。第1のモードが選択された場合、認証部207と認証部222の両方の個人認証が成功したときに(ステップS90,Yes)、制御部208は最終的に個人認証が成功したと判断し、その旨の信号を出力する(ステップS91)。それ以外の場合、制御部208は最終的に個人認証に失敗したと判断し処理を中止する制御を行う。このように、静脈パターンによる個人認証が成功した上にさらに2種類の生体情報による個人認証が成功した場合に最終的に個人認証を成功したと判断するため、非生体が用いられた場合の誤認証をより確実に防止でき、かつ、生体が用いられた場合における認証精度もさらに向上し、極めて強固なセキュリティを達成することができる。
【0118】
第2のモードが選択された場合、図18のステップS90に括弧書きしたように、制御部208では、認証部207,222の少なくとも一方による個人認証が成功したときに最終的に個人認証が成功したと判断し、認証部207,222による個人認証が両方とも失敗したときに最終的に個人認証を失敗したと判断する。したがって、この第2のモードは、第1のモードに比べてセキュリティ強度が緩和されることになる。このように2つのモードの切り替えによりセキュリティ強度を調節することができる。
【0119】
なお、ステップS82で非生体か否かの判定を行わず、判定脈拍情報又は体温情報のいずれか一方のみが異常でないと判定された場合にもステップS85の判定結果をNoとして処理を進め、ステップS89では、異常でないと判定された脈拍情報又は体温情報による個人認証のみを行い、その個人認証が成功したときに最終的に個人認証が成功したと判断するような態様をとることも可能である。係る態様も本発明に包含される。
【0120】
ここまでの説明から明らかなように、本実施形態は、請求項2,3,9,11記載の発明の一実施形態に相当する。
【0121】
[他の実施形態]
【0122】
本発明には、個人認証のための情報として、静脈パターンと、それ以外の個人差のある生体情報である脈拍情報及び表皮色情報を検出する実施形態も含まれる。このような実施形態に係る個人認証装置は、例えば前記第2の実施形態に係る構成に、前記第1の実施形態に係る脈拍情報検出部204、脈拍情報記憶部203、脈拍情報による個人認証を行う認証部207を追加した構成とすることができる。
【0123】
本発明には、個人認証のための情報として、静脈パターンと、それ以外の個人差のある生体情報である表皮色情報及び体温情報を検出する実施形態も含まれる。このような実施形態に係る個人認証装置は、例えば前記第2の実施形態に係る構成に、前記第3の実施形態に係る温度センサ30、体温情報検出部220、体温情報記憶部221、体温情報による個人認証を行う認証部222を追加した構成とすることができる。
【0124】
本発明には、個人認証のための情報として、静脈パターンと、それ以外の個人差のある生体情報である表皮色情報及び血流量情報を検出する実施形態も含まれる。このような実施形態に係る個人認証装置は、例えば前記第2の実施形態に係る構成に、前記第4の実施形態に係る血流センサ40、血流量情報検出部230、血流量情報記憶部231、血流量情報による個人認証を行う認証部232を追加した構成とすることができる。
【0125】
本発明には、個人認証のための情報として、静脈パターンと、それ以外の個人差のある生体情報である体温情報及び血流量情報を検出する実施形態も含まれる。このような実施形態に係る個人認証装置は、例えば前記第3の実施形態に係る構成に、前記第4の実施形態に係る血流センサ40、血流量情報検出部230、血流量情報記憶部231、血流量情報による個人認証を行う認証部232を追加した構成とすることができる。
【0126】
また、3種類以上の生体情報を検出して個人認証に利用する実施形態も当然に本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。
【図2】撮像される複眼画像のシミュレーション例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る個人認証装置の全体的動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】時系列画像中の静脈部の画素数をプロットした脈拍パターンを示す図である。
【図5】脈拍情報検出処理のフローチャートである。
【図6】複眼画像から単一画像への再構成する処理のフローチャートである。
【図7】画像のシフトを検出するためのブロックマッチングの相違度を説明する図である。
【図8】画像シフトに基づき複眼画像から単一画像を再構成する手法を模式的に示した図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る個人認証装置の全体的動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る個人認証装置の全体的動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の第4の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る個人認証装置の全体的動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。
【図16】本発明の第5の実施形態に係る個人認証装置の全体的動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の第6の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。
【図18】本発明の第6の実施形態に係る個人認証装置の全体的動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0128】
1 光源
2 可視光カットフィルタ
3 レンズアレイ
4 遮光部材
5 撮像素子
13 被検体(指や手のひら)
14 静脈
20 RGBフィルタ
30 温度センサ
40 血流センサ
100a,100b 撮像光学系
201 画像記憶部
202 静脈パターン情報記憶部
203 脈拍情報記憶部
204 脈拍情報検出部
205 画像再構成部
206,207,212,222,232 認証部
208 制御部
210 表皮色情報検出部
211 表皮色情報記憶部
220 体温情報検出部
221 体温情報記憶部
230 血流量情報検出部
231 血流量情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の指又は手のひらを被検体として個人認証を行う個人認証装置であって、
前記被検体の静脈パターンを読み取る静脈パターン読み取り手段、
前記被検体より、静脈パターン以外の、生体に特有で個人差のある所定の種類の生体情報を検出する生体情報検出手段、
1以上の登録者についての静脈パターン又はその特徴を記憶する静脈パターン情報記憶手段、
1以上の登録者についての前記所定の種類の生体情報を記憶する生体情報記憶手段、
前記静脈パターン読み取り手段により読み取られた静脈パターン又はその特徴と、前記静脈パターン情報記憶手段に記憶されている静脈パターン又はその特徴とを照合することにより、前記被検体に対する第1の個人認証を行う第1の認証手段、
及び
前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と、前記生体情報検出手段により検出された生体情報とを照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行う第2の認証手段、
を有することを特徴とする個人認証装置。
【請求項2】
前記生体情報検出手段は所定の複数種類の生体情報を検出し、
前記生体情報記憶手段は前記所定の複数種類の生体情報を記憶し、
前記第2の認証手段は、前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記生体情報記憶手段に記憶されている複数種類の生体情報と、前記生体情報検出手段により検出された複数種類の生体情報とを、同種類の生体情報間で照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行うことを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項3】
前記静脈パターン読み取り手段は、
前記被検体に光を照射する光源と、
前記被検体に対向するレンズアレイと、
前記レンズアレイの像面側に位置し、前記被検体に前記光源により光が照射された状態で前記レンズアレイにより結像される前記被検体の静脈パターンの複眼画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された複眼画像から前記静脈パターンの単一画像を再構成する画像再構成手段と、
とからなることを特徴とする請求項1又は2記載の個人認証装置。
【請求項4】
人の指又は手のひらを被検体として個人認証を行う個人認証装置であって、
前記被検体に光を照射する光源、
前記被検体に対向するレンズアレイ、
前記レンズアレイの像面側に位置し、前記被検体に前記光源により光が照射された状態で前記レンズアレイにより結像される前記被検体の静脈パターンの複眼画像を撮像する撮像手段、
前記撮像手段により撮像された複眼画像から前記被検体の静脈パターンの単一画像を再構成する画像再構成手段、
前記撮像手段により所定の時間間隔で連続的に撮像された複数の複眼画像又はその一部の個眼画像に基づいて前記被検体の脈拍情報を検出する脈拍情報検出手段、
1以上の登録者についての静脈パターン又はその特徴を記憶する静脈パターン情報記憶手段、
1以上の登録者についての脈拍情報を記憶する脈拍情報記憶手段、
前記画像再構成手段により再構成された単一画像中の静脈パターン又はその特徴と、前記静脈パターン情報記憶手段に記憶されている静脈パターン又はその特徴とを照合することにより、前記被検体に対する第1の個人認証を行う第1の認証手段、
及び
前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記脈拍情報記憶手段に記憶されている脈拍情報と、前記脈拍情報検出手段により検出された脈拍情報とを照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行う第2の認証手段、
を有することを特徴とする個人認証装置。
【請求項5】
人の指又は手のひらを被検体として個人認証を行う個人認証装置であって、
前記被検体に近赤外光及び可視光を照射する光源、
前記被検体に対向するレンズアレイ、
前記レンズアレイのレンズ群のうちの所定のレンズ以外のレンズへの可視光の入射を防止する可視光カットフィルタと、
前記レンズアレイの像面側に位置し、前記被検体に前記光源により光が照射された状態で、前記レンズアレイの前記所定のレンズ以外のレンズにより結像される前記被検体の静脈パターンの複眼画像を撮像する第1の撮像手段、
前記レンズアレイの像面側に位置し、前記被検体に前記光源により光が照射された状態で、前記レンズアレイの前記所定のレンズにより結像される像をカラー画像として撮像する第2の撮像手段、
前記第1の撮像手段により撮像された複眼画像から前記静脈パターンの単一画像を再構成する画像再構成手段、
前記第2の撮像手段により撮像されたカラー画像から前記被検体の表皮色情報を検出する表皮色情報検出手段と、
1以上の登録者についての静脈パターン又はその特徴を記憶する静脈パターン情報記憶手段、
1以上の登録者についての表皮色情報を記憶する表皮色情報記憶手段、
前記画像再構成手段により再構成された単一画像中の静脈パターン又はその特徴と、前記静脈パターン情報記憶手段に記憶されている静脈パターン又はその特徴とを照合することにより、前記被検体に対する第1の個人認証を行う第1の認証手段、
及び
前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記表皮色情報記憶手段に記憶されている表皮色情報と、前記表皮色情報検出手段により検出された表皮色情報とを照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行う第2の認証手段、
を有することを特徴とする個人認証装置。
【請求項6】
人の指又は手のひらを被検体として個人認証を行う個人認証装置であって、
前記被検体に光を照射する光源、
前記被検体に対向するレンズアレイ、
前記レンズアレイの像面側に位置し、前記被検体に前記光源により光が照射された状態で前記レンズアレイにより結像される前記被検体の静脈パターンの複眼画像を撮像する撮像手段、
前記撮像手段により撮像された複眼画像から前記静脈パターンの単一画像を再構成する画像再構成手段、
温度センサを用いて前記被検体より体温情報を検出する体温情報検出手段と、
1以上の登録者についての静脈パターン又はその特徴を記憶する静脈パターン情報記憶手段、
1以上の登録者についての体温情報を記憶する体温情報記憶手段、
前記画像再構成手段により再構成された単一画像中の静脈パターン又はその特徴と、前記静脈パターン情報記憶手段に記憶されている静脈パターン又はその特徴とを照合することにより、前記被検体に対する第1の個人認証を行う第1の認証手段、
及び
前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記体温情報記憶手段に記憶されている体温情報と、前記体温情報検出手段により検出された体温情報とを照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行う第2の認証手段、
を有することを特徴とする個人認証装置。
【請求項7】
人の指又は手のひらを被検体として個人認証を行う個人認証装置であって、
前記被検体に光を照射する光源、
前記被検体に対向するレンズアレイ、
前記レンズアレイの像面側に位置し、前記被検体に前記光源により光が照射された状態で前記レンズアレイにより結像される前記被検体の静脈パターンの複眼画像を撮像する撮像手段、
前記撮像手段により撮像された複眼画像から前記静脈パターンの単一画像を再構成する画像再構成手段、
血流センサを用いて前記被検体より血流量情報を検出する血流量情報検出手段と、
1以上の登録者についての静脈パターン又はその特徴を記憶する静脈パターン情報記憶手段、
1以上の登録者についての血流量情報を記憶する血流量情報記憶手段、
前記画像再構成手段により再構成された単一画像中の静脈パターン又はその特徴と、前記静脈パターン情報記憶手段に記憶されている静脈パターン又はその特徴とを照合することにより、前記被検体に対する第1の個人認証を行う第1の認証手段、
及び
前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記血流量情報記憶手段に記憶されている血流量情報と、前記血流量情報検出手段により検出された血流量情報とを照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行う第2の認証手段、
を有することを特徴とする個人認証装置。
【請求項8】
血流センサを用いて前記被検体より血流量情報を検出する血流量情報検出手段、
1以上の登録者についての血流量情報を記憶する血流量情報記憶手段、
前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記血流量情報記憶手段に記憶されている血流量情報と、前記血流量情報検出手段により検出された血流量情報とを照合することにより、前記被検体に対する第3の個人認証を行う第3の認証手段をさらに有することを特徴とする請求項4記載の個人認証装置。
【請求項9】
温度センサを用いて前記被検体より体温情報を検出する体温情報検出手段、
1以上の登録者についての体温情報を記憶する体温情報記憶手段、
前記第1の個人認証により認証された登録者についての前記体温情報記憶手段に記憶されている体温情報と、前記体温情報検出手段により検出された体温情報とを照合することにより、前記被検体に対する第3の個人認証を行う第3の認証手段をさらに有することを特徴とする請求項4記載の個人認証装置。
【請求項10】
人の指又は手のひらを被検体として個人認証を行う個人認証方法であって、
前記被検体の静脈パターンを読み取る静脈パターン読み取り工程、
脈拍、表皮色、体温、血流量のうちのいずれか1に関する情報(以下、生体情報と記す)を前記被検体より検出する生体情報検出工程、
前記静脈パターン読み取り工程により読み取られた静脈パターン又はその特徴と、静脈パターン情報記憶手段に記憶されている1以上の登録者についての静脈パターン又はその特徴とを照合することにより、前記被検体に対する第1の個人認証を行う第1の認証工程、
及び
前記生体情報検出手段により検出された生体情報と、前記第1の個人認証により認証された登録者についての生体情報記憶手段に記憶されている生体情報とを照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行う第2の認証工程、
を有することを特徴とする個人認証方法。
【請求項11】
人の指又は手のひらを被検体として個人認証を行う個人認証方法であって、
前記被検体の静脈パターンを読み取る静脈パターン読み取り工程、
脈拍、表皮色、体温、血流量のうちのいずれか2以上に関する情報(以下、生体情報と記す)を前記被検体より検出する生体情報検出工程、
前記静脈パターン読み取り工程により読み取られた静脈パターン又はその特徴と、静脈パターン情報記憶手段に記憶されている1以上の登録者についての静脈パターン又はその特徴とを照合することにより、前記被検体に対する第1の個人認証を行う第1の認証工程、
及び
前記第1の個人認証により認証された登録者についての生体情報記憶手段に記憶されている前記生体情報と、前記生体情報検出工程により検出された生体情報とを、同じ種類の生体情報間で照合することにより、前記被検体に対する第2の個人認証を行う第2の認証工程、
を有することを特徴とする個人認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−181220(P2008−181220A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12823(P2007−12823)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】