説明

個人識別情報構築システム、個人識別情報構築方法及び入退室管理システム

【課題】簡便に媒体固有情報を個人識別情報に対応付けることが可能で、関係者の負担を軽減することができる個人識別情報構築システム、個人識別情報構築方法及び入退室管理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、個人識別情報及び媒体固有情報が記録されている個人識別情報媒体5と、この個人識別情報媒体5を操作することにより、前記個人識別情報及び媒体固有情報を読取る読取り手段32と、この読取り手段32からの個人識別情報及び媒体固有情報を受信して、個人識別情報が正常なものであるか否かを照合し、正常なものである場合、前記個人識別情報媒体の操作履歴情報とともに媒体固有情報を送信する認証処理手段22と、この認証処理手段22から送信される前記操作履歴情報を記録し、かつ媒体固有情報を個人識別情報と対応付けて記録するサーバ1とを備える個人情報構築システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ICカードに記録されている製造番号等のICチップ固有情報を個人識別情報と対応付けて記録することができる個人情報構築システム、方法及び入退室管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入退室管理システムにおいては、個人識別番号を付与し記録したICカードを従業員等の個人に配布し、部屋の扉の近傍に設置されているカードリーダで記録されている個人識別番号を読取り、入室が許可されている個人識別番号かどうかを照合し、許可されている個人識別番号である場合に扉を開くようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近時のオフィス内では、ICカードを入退室だけではなく、プリンタ、複写機、ファクシミリ、パソコン及びこれら複合機等の使用管理に用いている。例えば、個人によってアクセス可能な事務機器を制限するような場合である。この場合、各事務機器に接続されたカードリーダは、個人識別番号のようなロジカルな情報を読取ることは困難であり、したがって、ICチップ固有情報、すなわち、製造番号等のシリアル番号を読取って、使用認証を行うようにしている。
【特許文献1】特開2002−213125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ICカードを個人に配布する時点で個人識別番号とICチップ固有情報を対応付けていないと、一旦、ICカードを個人に配布した後に、前記プリンタや複写機等の事務機器が導入されるような場合、各個人に配布したICカードを回収して、ICカードのICチップ固有情報を読み出し、このICチップ固有情報と個人識別番号とを対応付ける等の作業が必要となる。この作業は、人手と時間を要し、効率が悪く、関係者にとって多大な負担となるものである。
【0005】
本発明の目的は、ICカード等の個人識別情報媒体を配布した後においても、簡便に媒体固有情報を個人識別情報に対応付けることが可能で、関係者の負担を軽減することができる個人識別情報構築システム、個人識別情報構築方法及び入退室管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の個人情報構築システムは、個人識別情報及び媒体固有情報が記録されている個人識別情報媒体と、この個人識別情報媒体を操作することにより、前記個人識別情報及び媒体固有情報を読取る読取り手段と、この読取り手段からの個人識別情報及び媒体固有情報を受信して、個人識別情報が正常なものであるか否かを照合し、正常なものである場合、前記個人識別情報媒体の操作履歴情報とともに媒体固有情報を送信する認証処理手段と、この認証処理手段から送信される前記操作履歴情報を記録し、かつ媒体固有情報を個人識別情報と対応付けて記録するサーバとを具備することを特徴とする。個人識別情報媒体は、非接触式のICカードを用いることが好ましいが、これに限らず、接触式のICカードを用いてもよく、また、チップタイプの媒体を用いてもよい。要は、個人が所持でき、個人を特定し得る情報媒体であればよい。
【0007】
請求項2に記載の個人情報構築方法は、個人識別情報及び媒体固有情報が記録されている個人識別情報媒体を操作することにより、前記個人識別情報及び媒体固有情報を読取り手段で読取り、当該個人識別情報が正常なものであるか否かを照合し、正常なものである場合、前記個人識別情報媒体の操作履歴情報とともに、媒体固有情報を個人識別情報と対応付けてサーバに記録することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の入退室管理システムは、入退者が所持するICカードの情報をカードリーダで読取り、この読取った情報に基づいて入退室のゲートの施錠状態を制御する入退室管理システムにおいて、個人識別情報及びICチップ固有情報が記録されているICカードと、このICカードを操作することにより、前記個人識別情報及びICチップ固有情報を読取るカードリーダと、このカードリーダからの個人識別情報及びICチップ固有情報を受信して、個人識別情報が入室を許可されているものであるか否かを照合し、入室を許可されているものである場合、前記個人識別情報媒体の操作履歴情報とともにICチップ固有情報を送信する認証処理手段と、この認証処理手段から送信される前記操作履歴情報を記録し、かつICチップ固有情報を個人識別情報と対応付けて記録するサーバとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、媒体固有情報を個人識別情報に簡便に対応付けることが可能で、関係者の負担を軽減することができる個人識別情報構築システムを提供することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、媒体固有情報を個人識別情報に簡便に対応付けることが可能で、関係者の負担を軽減することができる個人識別情報構築方法を提供することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、入退室の際にICカードを操作することに伴い、ICチップ固有情報を個人識別情報に対応付けることができるので、対応付けが確実に行え、また、関係者の負担を軽減することが可能な入退室管理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る入退室管理システムについて図1乃至図6を参照して説明する。図1は、入退室管理システムのシステム構成図、図2は、同実態的システム構成図、図3は、ICカードを示すブロック図、図4は、入退室管理システムのブロック図、図5は、個人情報管理データベースの構成例を示す図、図6は、入退室管理システムの動作を示すフローチャートある。
【0013】
図1に示すように、入退室管理システムは、センタ装置1、入退室管理装置2、各部屋のゲートに設置されるカードリーダ3、電気錠4及び個人識情報媒体としてのICカード5を備えている。ICカード5は、各個人によって所持され入退室に必要な各種情報が記録されている。カードリーダ3は、各部屋のゲート、すなわち、扉の近傍に設置され、入退者が所持するICカードと非接触で情報のやりとりを行い、ICカードに記録されている個人識別情報(番号)を読取り、この個人識別情報を入退室管理装置2に送信するものであり、制御バスで入退室管理装置2に接続されている。電気錠4は、各扉の施錠状態を電気信号により制御するものであり、同様に制御バスで入退室管理装置2に接続されている。入退室管理装置2は、カードリーダ3から送信される個人識別情報に基づき認証処理を行い、処理結果に応じて電気錠4を制御するものであり、通信ネットワークによってセンタ装置1に接続されている。センタ装置1は、サーバであり各種データを保管するとともにシステム全体の信号処理を行う機能を有している。
【0014】
図2において、部屋Rには、パソコン6a、複合機6b、プリンタ6c、複写機6d等の事務機器6が設置されている。これら事務機器6にはカードリーダ3aが備えられており、また、事務機器6は通信ネットワークを介して管理サーバ7に接続されている。管理サーバ7は、事務機器6全体を統制制御しており、各事務機器6のカードリーダ3aから読取られたICカード5の媒体固有情報、すなわち、ICチップ固有情報(番号)に基づいて、照合処理を行い、各事務機器6のアクセスの可否を判定する機能を有している。一方、部屋Rの入退室の扉8は、電気錠4により施錠されており、利用者(入退者)が入退出する場合には、カードリーダ3に利用者が所持するICカード5を近づけて、ICカード5に記録されている個人識別情報を読取らせて認証を受けなければ、電気錠4が開錠しないように構成されている。なお、管理サーバ7は、センタ装置1で兼用するように構成してもよい。
【0015】
図3に示すように、ICカード5は、ICチップ51及びこれに接続されたアンテナ52を備えている。ICチップ51は、制御部53を有し、この制御部53にはデータバスを介して記憶部54が接続されている。この記憶部54には、入退室の可否を判定するために用いられる個人識別番号及びICチップ固有番号としてICチップの製造シリアル番号が記録されている。また、ICチップ51には、制御部53及び記憶部54の双方に接続された送受信部55が備えられている。送受信部55は、制御部53又は記憶部54からのデータをアンテナ52を通じて無線送信する機能を有する。一方、ICカード5の外部から無線送信された信号をアンテナ52を通じて受信し、制御部53又は記憶部54に送信する機能を有する。また、送受信部55は、アンテナ52を通じて外部から供給される電力を制御部53等に供給するようになっている。なお、ICカード5は、接触式のICカードを用いてもよく、この場合には、接触式のICカードに対応するカードリーダを適用すればよい。
【0016】
次に、図4において、カードリーダ3は、制御手段31、カード読取り手段32、表示部33及び記憶部34を備えている。制御手段31は、全体を制御する機能をなし、カード読取り手段32は、入退者の所持するICカード5の操作、すなわち、ICカード5を近づけることにより、これを検出し、ICカード5に記憶されている情報を読取る機能を果たしている。なお、このカード読取り手段32は、ICカード5に記録されている個人識別番号及びICチップ固有番号を読取ることができるようになっている。制御手段31は、カード読取り手段32から送信される情報をカードリーダ3の設置位置を示す情報等とともに入退室管理装置2へ送信する。表示部33は、カードリーダ3の動作状況、ICカード5との通信状況や入退室可否の判定結果等をLCD等によって表示するものである。また、記憶部34には、カードリーダ3の設置位置を示す情報等が格納されている。
【0017】
入退室管理装置2は、制御手段21、認証処理手段22、施錠制御手段23及び記憶手段24を備えている。制御手段21は、入退室管理装置2全体の信号処理を制御するものである。認証処理手段22は、カードリーダ3から送信される個人識別番号に基づき、認証処理を実行し、入退室の可否の判定を行う。施錠制御手段23は、認証処理手段22の判定結果に応じて電気錠4を制御、すなわち、開錠又は施錠の制御を実行する。また、記憶手段24には、認証処理手段22や施錠制御手段23での各種処理に必要な情報が格納されている。
【0018】
センタ装置1は、処理手段11、データベース12及び出力手段13を備えている。処理手段11は、主として、システム全体の信号処理を行うものであり、データベース12は、従業員の個人情報等の各種情報を格納するものである。さらに、後述するようにデータベース12の領域内には、図5に示すように、個人情報管理データベース12aが設けられており、この個人情報管理データベース12aは、個人識別番号、氏名、所属、電話番号、メールアドレスが記録されたエリアからなり、加えて、ICチップ固有番号が記録されるエリアが設けられている。また、出力手段13は、表示装置やプリンタ等であり、データベース12に格納されている情報を必要に応じ、画面に表示したり、印字したりするものである。なお、データベース12に格納されている情報をCSV形式で出力するようにしてもよい。
【0019】
次に、主として図6を参照して本実施形態に係る入退室管理システムの動作を説明する。入退者がICカード5を操作(S1)、すなわち、ICカード5をカードリーダ3に近づけることにより、カード読取り手段32は、これを検出し、ICカード5に記憶されている個人識別番号及びICチップ固有番号を読取る(S2)。カードリーダ3は、読取った個人識別番号及びICチップ固有番号をカードリーダ3の設置位置情報等とともに入退室管理装置2へ送信する(S3)。入退室管理装置2では、認証処理手段22を用いて認証処理を開始する。まず、認証処理手段22では、個人識別番号と予めセンタ装置1のベータベース12からダウンロードしておいた個人情報とを検索して比較し、正常なものであるか否かを照合、つまり、入室を許可されている者であるか否かを照合する(S4)。照合の結果、入室を許可されている者である場合には、入室許可判定を行い(S5)、施錠制御手段23に制御データを送信し、電気錠4を開錠する(S6)。一方、入室を許可されていない者である場合には、入室不可判定を行い(S7)、処理を終了する。続いて、電気錠4を開錠した後、入退室管理装置2は、ICカード5の操作履歴情報、例えば、操作位置、日時等の情報にICチップ固有番号を添付してセンタ装置1に送信する(S8)。センタ装置1では、データベース12にICカード5の操作履歴情報を記録するとともに、個人情報管理データベース12a(図5参照)における個人識別番号が記録されている所定のエリアにICチップ固有番号が対応付けて記録する(S9)。なお、操作履歴情報は、勿論、個人識別番号と関連付けられて記録される。このように、個人識別番号を含む個人情報管理データベース12aにICチップ固有番号を対応付けて、簡便に記録することができ、個人情報を効率的に構築することが可能となる。また、個人情報管理データベース12aの内容を必要に応じ図5に示すような形式で出力手段13によって出力することが可能となる。
【0020】
以上のように本実施形態によれば、ICチップ固有番号を個人識別番号に簡便に対応付けることが可能で、関係者の負担を軽減することができる。特に、ICカード5を個人に配布する時点で個人識別番号とICチップ固有情報を対応付けていない場合でも、入退室の際にICカード5を操作することに伴い、前記対応付けがなされるので、効率的に運用できる。また、例えば、事務機器等のアクセスにICチップ固有番号を用いる場合には、センタ装置1の出力手段13から個人情報を出力して、事務機器等の使用管理に用いることができ、この場合にも関係者の負担を軽減することが可能となる。
【0021】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、個人識別情報媒体としては、ICカードに限らず、チップタイプの媒体でもよく、また、ICチップ固有番号を個人識別番号に対応付けて個人情報を構築するに際しては、入退室管理システムに限らず、他のシステムを利用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る入退室管理システムのシステム構成図である。
【図2】同実態的システム構成図である。
【図3】ICカードを示すブロック図である。
【図4】入退室管理システムのブロック図である。
【図5】個人情報管理データベースの構成例を示す図である。
【図6】入退室管理システムの動作を示すフローチャートある。
【符号の説明】
【0023】
1・・・サーバ(センタ装置)、2・・・入退室管理装置、
3・・・カードリーダ、4・・・電気錠、5・・・個人識別情報媒体(ICカード)、
22・・・認証処理手段、32・・・読取り手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人識別情報及び媒体固有情報が記録されている個人識別情報媒体と、この個人識別情報媒体を操作することにより、前記個人識別情報及び媒体固有情報を読取る読取り手段と、この読取り手段からの個人識別情報及び媒体固有情報を受信して、個人識別情報が正常なものであるか否かを照合し、正常なものである場合、前記個人識別情報媒体の操作履歴情報とともに媒体固有情報を送信する認証処理手段と、この認証処理手段から送信される前記操作履歴情報を記録し、かつ媒体固有情報を個人識別情報と対応付けて記録するサーバとを具備することを特徴とする個人情報構築システム。
【請求項2】
個人識別情報及び媒体固有情報が記録されている個人識別情報媒体を操作することにより、前記個人識別情報及び媒体固有情報を読取り手段で読取り、当該個人識別情報が正常なものであるか否かを照合し、正常なものである場合、前記個人識別情報媒体の操作履歴情報とともに、媒体固有情報を個人識別情報と対応付けてサーバに記録することを特徴とする個人情報構築方法。
【請求項3】
入退者が所持するICカードの情報をカードリーダで読取り、この読取った情報に基づいて入退室のゲートの施錠状態を制御する入退室管理システムにおいて、個人識別情報及びICチップ固有情報が記録されているICカードと、このICカードを操作することにより、前記個人識別情報及びICチップ固有情報を読取るカードリーダと、このカードリーダからの個人識別情報及びICチップ固有情報を受信して、個人識別情報が入室を許可されているものであるか否かを照合し、入室を許可されているものである場合、前記個人識別情報媒体の操作履歴情報とともにICチップ固有情報を送信する認証処理手段と、この認証処理手段から送信される前記操作履歴情報を記録し、かつICチップ固有情報を個人識別情報と対応付けて記録するサーバとを具備することを特徴とする入退室管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−86090(P2010−86090A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251933(P2008−251933)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】