説明

偏光子、照明システムおよび偏光ビームの生成方法

【課題】偏光子、または、偏光回復システムで偏光子を用いる照明システムを提供する。
【解決手段】偏光子は、第1および第2の非偏光ビームを、異なる偏光状態を有する少なくとも第1および第2の偏光ビームにそれぞれ分離する第1および第2の偏光ビームスプリッタを含む。第1および第2の偏光ビームはそれぞれ第1および第2の光路に導かれる。これらの光路には、第1の非偏光ビームからの第2の偏光ビームが、第2の非偏光ビームからの第1の偏光ビームと、偏光変換素子を通して同じ光路を時分割するように、制御可能な偏光変換素子が配列される。制御可能な偏光変換素子は、偏光変換素子を通過するよういずれのビームが切替えられるかに依存し、前記第1または第2の非偏光ビームのいずれがONであるかに応じて、偏光状態を変換するよう、または変換しないよう交互に切替え可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、偏光子および照射システムの分野に関する。より特定的には、本発明は、たとえば投影システムに用いる、偏光回復システムを有する偏光子および照射システムと、偏光を用いる照射方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
液晶装置(LCD)または反射型液晶(LCOS)装置は、たとえばラップトップコンピュータ、腕時計、計算機などの表示部、およびたとえば情報または映像を遠隔の画面に投影するための投影システムなど、さまざまな適用例に用いられ得る。LCDまたはLCOS投影装置は、基本的に、照射光を生成するためのランプなどの光生成器と、その光を捉えて1つまたは複数のLCDまたはLCOS装置に転送するための照射光学とを含み、LCDまたはLCOS装置は、光弁と、照射されたLCDまたはLCOS装置を画面に映す投影レンズとを含む。LCDおよびLCOS装置双方の基本的特性は、それが偏光、より特定的には直線偏光を用いて動くことである。偏光は液晶素子の特性とともに用いられ、選択的に、一方では光を透過し、他方では光を反射するかまたは吸収して、変調された光ビームを生成する。すなわち、明るい画素と暗い画素とのパターンを作り出して所望の像を生成する。投影装置に用いられる殆どすべての照射源は、少なくとも2つの偏光方向を含む光である非偏光を生成するので、この光は、光学システムにおいて、LCDまたはLCOS装置に届く前か、またはその装置自体において、偏光されなければならない。これは、たとえば偏光フィルタなどを用いて所望の偏光方向を有する光の部分を選択するだけで行なわれ得るが、この方法は投影装置の光出力の損失に繋がる。
【0003】
この問題を克服するために、典型的なLCDまたはLCOS投影装置は、ランプからの非偏光を、それぞれが2つの独立した偏光方向のうち1つを有する2つの光ビームに分離する、偏光回復システムを用いる。異なる偏光方向を有する各光ビームは、異なる光路を通る。2つの独立に偏光された状態は、たとえば2つの直交する直線偏光、または、別の例として、左右の円偏光である。2つの偏光方向のうち一方を有する光は、次に遅延器または偏光回転子によって他方の偏光状態に変換される。その後、光は別の光路を通じてLCDまたはLCOS装置に当てられる。このシステムは、望ましくない偏光状態を有する光を捨てることを回避し、それにより照射光学の効率をほぼ2倍にする。典型的な偏光回復装置は、図1の装置100で示されるように、偏光ビームスプリッタまたは偏光ビームスプリッタアレイおよび複数の偏光変換構成要素を含む。
【0004】
光源102により生成された光は、光学素子106、108を用いて偏光回復装置104に方向付けられる。光は、偏光ビームスプリッタアレイの複数の入口面110に突き当たる。この光は、偏光ビームスプリッタ112(PBS)のアレイにおいて2つの異なる光路に分離される。この2つの光路は一般に、PBS112の出力面114、116において互いに隣接して置かれるように構築される。偏光ビームスプリッタ112の出力面114、116は、第1の種類の表面下114と第2の種類の表面下116とからなり、それぞれが異なる偏光状態を有する光を発する。次に1つ以上の偏光変換構成要素118、すなわちたとえば半波遅延器などが、たとえば2種類の偏光状態のうち1つを発する第2の種類の出力表面下116すべてに置かれる。これらの偏光変換構成要素118は、これらの第2の出力表面下116から出る光の偏光状態を、偏光変換構成要素118を持たない第1の種類の出力表面下114から出る光の偏光状態に、実質的に変更する。典型的には、このような偏光回復装置104において、出力表面下114、116の個数は入口面
108の個数に対して2倍になる。それと対応して、典型的には、出力表面下114、116の合計表面積は入力表面108の合計表面積に対して2倍になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の概要
本発明の目的は、向上された照射特性を伴って照射するための装置または方法を提供すること、および/または、偏光ビームを効率的に生成するための装置を提供することである。
【0006】
照射システムの光出力が高くなり得ることが、本発明の実施例の利点である。先行技術の装置と比較してより小型の照射システムが得られ得ること、または、より大きな照明出力を伴う照射システムが得られることもまた、本発明の実施例の利点である。
【0007】
上述の目的は、本発明による方法および装置によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面は、第1および第2の非偏光ビームを、異なる偏光状態を有する少なくとも第1および第2の偏光ビームにそれぞれ分離する、第1および第2の偏光ビームスプリッタと、各偏光ビームスプリッタの後に偏光変換素子とを含む、偏光子を提供し、偏光変換素子は、第1の非偏光ビームからの第2の偏光ビームが、第2の非偏光ビームからの第1の偏光ビームと、偏光変換素子を通して同じ光路を時分割するよう配列される。偏光変換素子は、いずれのビームが偏光変換素子を通過するよう切替えられるかに依存して、突き当たる偏光ビームの偏光状態を変換するよう、または変換しないよう交互に切替え可能である。いずれのビームが偏光変換素子を通過するよう切替えられるかは、そのときに第1の非偏光ビームまたは第2の非偏光ビームのいずれが受取られて分離されるかによって決定され得る。
【0009】
本発明の実施例の利点は、先行技術のシステムと比較して偏光子の出口面の個数が、たとえば実質的に半分にまで減じられ得るか、または先行技術のシステムと比較して実質的に2倍の個数のビームが用いられ得るかであるような配列を可能にすることである。このように光出力が増大され得る。偏光子の出口面の個数は、実質的に半減されると、実質的に同じサイズの入口面および出口面については、入口面の個数に1を足したものに等しくなり得る。偏光変換素子はビームの切替えに従うよう制御され、または逆も同様に、偏光変換素子の切替えに従うようビームの切替えが制御され得る。
【0010】
偏光子は、偏光ビームスプリッタおよび変換素子の、たとえば直線などのアレイを有することができ、各変換素子は偏光ビームスプリッタのうち2つ以上の隣り合うスプリッタからビームを受取るよう配列される。
【0011】
各偏光ビームスプリッタは、同時にオンに切替えられる非偏光ビームの、たとえば直線などのアレイの経路に配列され得る。非偏光ビームはパルス化された状態で同時に切替えられ得る。これにより偏光子は、二次元アレイの非偏光ビームを扱うことができる。
【0012】
別の局面において、たとえば照射システムなどの照明システムが与えられ、照明システムは、各々が非偏光ビームを生成する複数の光源と上述のような偏光子とを含む。
【0013】
たとえば照射システムなどのこのような照明システムのさまざまな適用例の中には、投影システムおよび表示部に適用するバックライトにおける使用がある。
【0014】
たとえば照射システムなどの照明システム、または、光照射システム用のこのようなシステムを用いるよう適合された表示部は、光源を変調して同じ変換素子を共有するビームが交互にオンに切替えられるようにする、光源変調器とも呼ばれる光源コントローラを含む。共有は時分割であり得る。たとえば光学スイッチを用いるなどの、ビームを切替える他の方法も想定され得るが、これらはより実用性が低く、利点のいくつかを失う。
【0015】
光源は発光装置(LED)またはレーザであり得る。これらは、変調モードで動作されるとピーク光出力が増大され得る光源の例である。
【0016】
他の局面において、光源と偏光変換素子とを同期的に変調することにより、照射システム、またはたとえば照射システムなどのこのような照明システムを含む表示部などの、上述の照明システムを制御する方法が提供される。したがって本発明はさらに、上述の照射システムまたはこのような照射システムを含む表示部を、光源と偏光変換素子とを同期的に変調することによって制御するための、コントローラに関する。
【0017】
別の局面が偏光ビームを生成するための方法を提供する。方法は、
−第1および第2の非偏光ビームを受取り、前記第1および第2の非偏光ビームの各々を、少なくとも、第1の偏光状態を有する第1の偏光ビームと、第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態を有する第2の偏光ビームとに分離するステップと、
−前記第1の偏光ビームを第1の光路に導き、前記第2の偏光ビームを第2の光路に導くステップとを含み、第1の光路および第2の光路は制御可能な偏光変換素子を含み、第1の非偏光ビームの第2の偏光ビームは、前記制御可能な偏光変換素子を通して光路を第2の非偏光ビームの前記第1の偏光ビームと時分割し、さらに、
−第1または第2の偏光ビームのいずれが受取られるかに依存して、突き当たる偏光ビームの偏光状態を変換するよう、または偏光状態を変換しないよう、前記制御可能な偏光変換素子を交互に切替えるステップを含む。
【0018】
本発明の特定的で好ましい局面は、添付の独立請求項および従属請求項に記載される。従属請求項の特徴は、独立請求項および他の従属請求項の特徴と適宜組合されることができ、請求項に明示的に説明されるのみに限られるものではない。
【0019】
本発明の教示は、光を偏光し、および/または偏光を用いて照射するための、向上された方法および装置の設計を可能にする。本発明の上述のおよび他の特性、特徴ならびに利点は、例示として本発明の原理を示す付随する図面と関連して捉えられる、下記の詳細な説明から明らかになるであろう。説明は、本発明の範囲を限定することなく例示のためにのみ与えられる。下記に引用される参照番号は添付の図面を参照する。
【0020】
異なる図面において、同じ参照記号は同じまたは同類の要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図示される実施例の説明
本発明は特定の実施例および図面に関連して説明されるが、本発明はそれらに限定されるものではなく、請求項によってのみ限定される。記載の図面は単に概略図であり、限定的ではない。図面の中で、いくつかの要素のサイズは誇張されており、図示する目的から、縮尺どおりに描かれていないものもある。寸法および相対的寸法は本発明を実行するための実際の縮小に対応しない。
【0022】
さらに、説明および請求項中の、第1、第2などの用語は、類似の要素からの区別のために使われ、必ずしもその順序、または時系列を表わすものではない。このように使われる用語は適切な状況のもとで交換が可能であり、ここに記載された本発明の実施例は、こ
こに記載され、または図示された以外の他の順序で動作できることが理解される。
【0023】
請求項で使われる「含む」の用語は、その後に列挙される手段に限定されるように理解されてはならない。それは他の要素またはステップを排除するものではない。
したがってこの用語は説明された特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を言及されたように特定するよう解釈されるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップもしくは構成要素またはそのグループの追加の存在を妨げるものではない。したがって、「手段AおよびBを含む装置」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみからなる装置に限定されてはならない。本発明に関しては、それは、装置の重要な構成要素はAおよびBのみであることを意味する。
【0024】
本発明はここで、本発明のいくつかの実施例の詳細な説明によって説明される。本発明の真の精神または技術的教示を逸脱することなく、当業者の知識にしたがって本発明の他の実施例が構成され得、本発明は添付の請求項の条件によってのみ限定される。
【0025】
第1の局面において、本発明は、予め定められた偏光状態を有する照射光ビームを生成するための偏光子に関する。予め定められた偏光状態を有する照射光ビームは、典型的には、液晶装置(LCD)もしくは反射型液晶(LCOS)装置に基づく、投影システムまたはバックライトにおける照射のために用いられ得るが、使用はそれらには限られない。本実施例の偏光子は典型的には高い照明出力を有することが可能になる。このような偏光子200の例が例示として図2に概略的に示される。偏光子200は、典型的にはアレイに配列され得る複数の偏光ビームスプリッタ212a、212bを含む。このような偏光ビームスプリッタ212a、212bは、固体ガラス、石英などのいかなる固体材料からできていてもよく、またはたとえばワイヤグリッド偏光子などの反射型偏光子であり得るが、これに限られない。このような偏光ビームスプリッタ212a、212bはまた、固体材料プリズムの間に含まれる偏光選択性の層であり得る。用いられる偏光ビームスプリッタの種類に依存して、偏光選択性素子の周囲は、たとえばワイヤグリッド偏光子では、またはたとえば固体材料の偏光ビームスプリッタではガラスもしくは石英プリズムであり得る。図2においてワイヤグリッド偏光子の例が示される。偏光ビームスプリッタ212a、212bは、典型的には、たとえば発光ダイオード(LED)、レーザなどの光源202a、202bからの複数の像によって、入力面210上で照射されるよう適合されるように配列される。このような光源202a、202bは典型的には、パルス化されたモードとも呼ばれるパルス化された状態で動作され得る光源202a、202bであることができ、すなわちその発光は継続的ではなく光パルスで起こる。有利なことに、光源202a、202bは、パルス化されたモードで駆動されるときの時間中に集積された全光束が、継続的駆動モードにおける同じ時間期間中に集積された全光束に極めて近い、すなわち実質的に同様であるか、またはほんの一部分だけ少ないという特性を有し得る。そのときの光利得は、パルス中のピーク電流が継続動作中の通常電流よりも高くなり得るということによって実現される。このような光源202a、202bの例はLEDである。本発明の実施例において、すべての偏光ビームスプリッタ212a、212bは、その各々がたとえばLED装置などの1つ以上の光源202a、202bによって照射され得る。これは、入力面の間に空いた空間または完全に空いた隙間さえ予見されてしまう、図1に示される先行技術の配列104とは対照的である。光源202a、202bは、典型的にはそうではないが、本発明の第1の実施例による偏光子200の一部であり得る。
【0026】
本発明の第1の実施例において、偏光ビームスプリッタ212a、212bは入力光を第1の光路Aおよび第2の光路Bにそれぞれ分離する。光の特定の部分がどの光路を辿るかは、光の偏光状態に依存する。典型的には、偏光ビームスプリッタ212a、212bは、第1の偏光状態を有する光を第1の光路Aに沿って導くよう、かつ第2の偏光状態を有する光を第2の光路Bに沿って導くよう適合される。偏光ビームスプリッタ212a、
212bによって選択的に導かれる光の偏光状態は、典型的には、たとえば2つの直交する直線偏光かまたは左右の円偏光などの2つの独立の偏光状態であり得るが、これに限定されない。本実施例の偏光ビームスプリッタ212a、212bは、アレイ上の第1の偏光ビームスプリッタ212a、212bからの第2の光路Bが、アレイ上の隣り合う偏光ビームスプリッタ212a、212bの第1の光路Aと再度組合されるよう配列され、そのため、それらは実質的に出口面214と同じ領域で偏光ビームスプリッタアレイを出る。
【0027】
本実施例においては、制御可能な偏光変換素子218a、218bは、偏光ビームスプリッタ212a、212bの出口面214に位置決めされる。電気的に制御される偏光変換ストリップであり得る制御可能な偏光変換素子218a、218bは2つのサブセットに分割され、サブセットは偏光変換に関して異なる制御を有するよう駆動される。たとえば電気制御などのこの制御が、偏光変換素子218a、218bをOFFまたはONのいずれかにする。このような制御可能な偏光変換素子218a、218bは、たとえば切替え可能な遅延器であり得るが、他の種類の制御可能な偏光変換素子218a、218bもまた用いられ得る。切替え可能な遅延器は、たとえば液晶装置、すなわち強誘電性液晶セルによって実現され得る。本実施例において、制御可能な偏光変換素子218a、218bは、隣り合う偏光ビームスプリッタ212a、212bと対応する、隣り合う制御可能な偏光変換素子218a、218bが反転された機能を有するよう駆動され、それは180度の位相差を有して駆動されることを意味する。
【0028】
偏光変換素子218a、218bが、関係する入射光の全波長および全角度について完全に偏光を変換し得ることは、本発明の必要不可欠な要件ではない(たとえば、典型的には偏光子にはそれはできない)。偏光変換素子は、たとえば少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%の変換をもたらすよう選択され得る。偏光変換を最適化するために、材料の種類、切替え時間、切替えの頻度および入射光角度が選択され得る。
【0029】
アレイの縁部にある偏光ビームスプリッタについては、光路の一部は時分割される必要はなく、すなわち光路が用いられても用いられなくても、異なるビームが同じ光路を用いることはない。したがって、切替えられ得る制御可能な偏光変換素子は必要ではない。選択された偏光状態に依存して、静的偏光変換器が用いられ得るか、または変換素子は用いられ得ない。光路が用いられるのは単一の光源の間のみである。したがって、この光が用いられるか否かはユーザの自由な決定である。光を用いると光の量を増大させるが、偏光子の幾何学的拡張を増大する。この決定は、システムが余分な光を効率的に用いることができるか否かに基づいてなされ得る。偏光子の縁部の一部においては、典型的には、偏光ビームスプリッタの代わりに反射素子が用いられることができる。第2の光路Bの唯一の光が反射され、第1の光路を辿る光が存在しないからである。このような反射素子は反射コーティングに基づき得るか、または全内面反射などの内面反射に基づき得る。
【0030】
制御可能な偏光変換素子218a、218bと同様に、光源202a、202bは2つのサブセットに分割され得る。たとえばLEDなどの光源202aの第1のサブセットは、入力面、または換言すれば入力面領域210に当てられる第1の非偏光ビームを生成する。第1の非偏光ビームは偏光ビームスプリッタ212aの第1のサブセットによって受取られ、ビームスプリッタは第1の非偏光ビームを、光路Aを辿る第1の偏光ビームと、光路Bを辿る第2の偏光ビームとに分離する。光源202aの第1のサブセットについては、光路Aに方向付けられた光は、制御可能な偏光変換素子218aの第1のサブセットに進む。たとえばLEDなどの光源202bの第2のサブセットは、入力面、または換言すれば入力面領域210に与えられる第2の非偏光ビームを生成する。第2の非偏光ビームは偏光ビームスプリッタ212bの第2のサブセットによって受取られ、ビームスプリ
ッタは第2の非偏光ビームを、光路Aを辿る第1の偏光ビームと、光路Bを辿る第2の偏光ビームとに分離する。第2のサブセットの光源202bについては、光路Aに導かれた光は、制御可能な偏光変換素子218aの第1のサブセットと比較して反対の、または反転された駆動モードで作動する、制御可能な偏光変換素子218bの第2のサブセットを通って進む。非偏光ビームがそこから受取られる光源202a、202bに依存して、偏光ビームスプリッタ212a、212bは2つのサブセットに分割され得るが、このような偏光ビームスプリッタ212a、212bの動作は、制御可能な偏光変換素子および光源とは対照的に、変更されない。
【0031】
たとえばLEDなどの光源202a、202bおよび制御可能な偏光変換素子218a、218bの駆動シーケンスは、すべての制御可能な偏光変換素子218a、218bのON/OFFモードの選択と異なる光源202a、202bのONまたはOFF状態の選択とを同期する信号によって、制御される。制御可能な偏光変換素子218a、218bおよび光源202a、202bは、選択された時間期間の第1の部分、たとえば選択された時間期間の前半の間は光源202aの第1のサブセットが照らしている状態、すなわちON状態にあり、かつ、制御可能な偏光変換素子218a/218bの第1のサブセットのみがONモードに設定されているが、制御可能な偏光変換素子218b/218aの他方のサブセットはOFFモードにされているように制御される。制御可能な偏光変換素子218b/218aのいずれのサブセットがONモードにされるかは、最終的に得たいと望む光の偏光状態の種類に基づいて選択され得る。選択された時間期間の別の部分、たとえば選択された時間部分の後半の間は、以前にOFFであった光源202bはONにされ、他方の光源202aは再びOFFに戻される。制御可能な偏光変換構成要素の動作モードもまた反転される。換言すれば、光源202aの非偏光ビームと光源202bの非偏光ビームとは、交互にON/OFFに切替えられる。
【0032】
例示として、図2に示される偏光子および/または照明システムの動作がさらに詳細に説明される。図2において、2つのサブセットに分割された光源202a、202bのアレイが示され、光源202a、202bは光学素子206、208を用いて入力面210上に映される。光源202a、202bのアレイは、典型的にはそうではないが、本発明の実施例による偏光子の一部であり得る。動作において、第1のサブセットの光源202aおよび第2のサブセットの光源202bは交互にパルス化される。換言すれば、光源202aおよび光源202bからの非偏光ビームは交互にONに切替えられる。偏光ビームスプリッタ212a、212bはすべて同じように動作し、すなわち第1の偏光状態を有する光を第1の光路Aに沿って透過させ、第2の偏光状態を有する光を第2の光路Bに沿って反射する。光源202a、202bおよび偏光ビームスプリッタ212a、212bは、光路Bに方向付けられる第1の光源202aの光が、光路Aに方向付けられた隣り合う光源202bの光と、少なくとも光路の一部を時分割するよう位置決めされる。したがって、光源202aおよび光源202bは、光源202a、202bのアレイに交互に位置決めされる。したがって、光路Aは各瞬間において、典型的には、偏光ビームスプリッタ212a、212bによって透過された光のための光路として特徴付けられ得る一方、光路Bは各瞬間において、偏光ビームスプリッタ212a、212bによって反射される光のための光路として特徴付けられ得る。
【0033】
上述のように、動作において、光源202aがONである時間期間の第1の部分において、第1の偏光状態を有する光は偏光ビームスプリッタ212aによって透過されて第1の光路Aに導かれる。第2の偏光状態を有する光は反射されて第2の光路Bに導かれる。第2の光路Bにおいて、第2の偏光状態を有する光は隣り合う偏光ビームスプリッタ212bの方へ導かれ、そこでその偏光状態を変えることなく偏光子の外部へさらに導かれる。このように、第2の光路B、すなわち光源の第1のサブセットの光源202aからの光のための第2の光路Bに存在する、制御可能な偏光変換素子218bは、偏光状態を変え
ないよう制御される。第1の光路Aに導かれた光は、第1の偏光状態から第2の偏光状態へ切替えられて、その偏光状態から変えられる。後者は制御可能な偏光変換素子218aを用いて実行され、218aは、光路A、すなわち光源の第1のサブセット202aの光源202aからの光のための光路Aにある。このようにして、偏光子200を出るすべての光は同じ偏光状態を有する。
【0034】
時間期間の第2の部分において、光源202aはOFFにされ、光源202bはONにされる。第1の偏光状態を有する光は偏光ビームスプリッタ212bによって透過されて第1の光路Aに導かれる一方、第2の偏光状態を有する光は反射されて第2の光路Bに導かれる。第2の光路Bの光は隣り合う偏光ビームスプリッタ212aによって反射され、光はさらに偏光状態を変えることなく偏光子200の外部へさらに導かれる。結果として、ここで第2の光路B、すなわち光源202bからの光のための第2の光路Bにある制御可能な偏光変換素子218aは、偏光状態を変えないよう制御される。このように、制御可能な偏光変換素子218aは時間期間の第1の部分において活性であったが、時間期間の第2の部分において制御可能な偏光変換素子218aは活性ではない。偏光ビームスプリッタ212bを通った後、第1の光路Aの光源202bからの光は、偏光状態において、第2の偏光状態を有する光に変更される。後者は制御可能な偏光変換素子218bを用いて行なわれ、これはここで第1の光路A、すなわち光源202bからの光のための第1の光路Aにある。これらの制御可能な偏光変換素子218bは時間期間の第1の部分の間は活性でなかったが、時間期間の第2の部分において活性である。このようにして、偏光子200から出る実質的にすべての光は同じ偏光状態を有し、この偏光状態は、光源202a、202aを駆動する期間中同じである。
【0035】
図2では第2の偏光状態を有する光が外で結合しているが、後者は制御可能な偏光変換素子218a、218bの活性/不活性な駆動を変更することによって変更され得ることに注意されるべきである。
【0036】
第2の局面において、本発明は、バックライトまたは一般的な照明装置などの照明のための照明システムに関し、そこで偏光ビームが生成される。照明システムは第1の実施例による偏光子に基づくが、本実施例においては、照射部分はシステムの一部である。このような照射部分は、典型的には、図2に示されるような光源202a、202bと、偏光子200の入口面に光源202a、202bを映すための206および208などの任意の光学素子とを含む。第1の局面で説明されるように、光源202a、202bは典型的にはアレイに配置され、偏光子200を動作するよう適合される。照明システムは、光源202a、202bのパルス化された駆動を制御するためのコントローラをもさらに任意で含み得る。同じコントローラまたは別個のコントローラが、偏光子の制御可能な偏光変換素子218a、218bを制御するためにさらに存在してもよい。別個のコントローラが用いられる場合、第1の実施例として説明された動作を可能にするために駆動信号を同期するよう、光源202a、202bのためのコントローラと制御可能な偏光変換素子218a、218bのためのコントローラとの間に典型的には通信が存在し得る。駆動信号を与えるための駆動回路はこのようなコントローラの一部であってもよく、または照明システムに個別に与えられ得る。図3は、照明システム300の照射部302、偏光子304、および任意のドライバ306を概略的に示す。システム300はさらに、当業者には周知であるように、典型的な構成要素をさらに含む表示部または投影システムなどのより大きなシステムの一部であり得る。システム300は表示部のバックライトとして、または投影システムの照射システムとして作動し得る。
【0037】
第3の局面において、本発明は、図2に示されるように、光源202a、202bの駆動を制御し、制御可能な偏光変換素子218a、218bを駆動するための、コントローラに関する。コントローラは、本発明の第1の実施例において説明されたように、光源2
02a、202bおよび制御可能な偏光変換素子218a、218bを駆動するよう適合される。異なる構成要素を駆動するために、コントローラによって与えられる例示的な概略的駆動スキームが図4に示され、構成要素のためのさまざまな駆動信号を、さまざまな時間期間Tについての時間の関数として表わす。信号402は第1のサブセットの光源202aの駆動信号を示し、信号404は第2のサブセットの光源202bの駆動信号を示し、信号406は第1のサブセットの制御可能な偏光変換素子218aの駆動信号を示し、信号408は第2のサブセットの制御可能な偏光変換素子218bの駆動信号を示す。
【0038】
コントローラは、ハードウェアで実行され得、またはたとえば計算装置上で実行されるなどソフトウェアで実行され得る。コントローラは、駆動回路を含むことができるか、または、駆動回路を制御することによって駆動回路と協働することができ、光源202a、202bおよび/または制御可能な偏光変換素子218a、218bの適切な駆動を得る。
【0039】
第4の局面において、本発明は、偏光ビームを生成するための方法に関する。方法は、好ましくは、上述の実施例のいずれかに説明されたように、偏光子または照明システムを伴って用いられる。例示のために、これらの実施例において説明された構成要素が参照されるが、本発明はそれらに限定されず、他の構成要素もまた用いられ得る。本発明の方法は、典型的には、第1および第2の非偏光ビームを受取るステップと、第1および第2の非偏光ビームをそれぞれ、少なくとも、第1の偏光状態を有する第1の偏光ビームと、第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態を有する第2の偏光ビームとに分離するステップとを含む。後者は、たとえば偏光ビームスプリッタ212a、212bのアレイを用いてなされ得る。第1および第2の非偏光ビームは、典型的には交互に受取られ得る。したがってこの方法は、受取るステップの前に、たとえば光源202a、202bのアレイにおいて、第1および第2の非偏光ビームを交互に生成するステップを含み得る。パルス化された状態で駆動され得る光源202a、202bのアレイにおいて第1および第2の非偏光ビームを交互に生成するステップは、時間期間の第1の部分の間、光源202bの第2のサブセットではなく光源202aの第1のサブセットにおいて光を生成するステップと、時間期間の第2の部分において、光源202aの第1のサブセットではなく光源202bの第2のサブセットにおいて光を生成するステップとを含む。換言すれば、第1のサブセットの光源202aと第2のサブセットの光源202bとは交互にパルス化され得る。時間期間の部分はそれぞれ期間の半分と対応し得る。それにより、光源202a、202bは、典型的には、光源202aの第1のサブセットの光が偏光ビームスプリッタ212aの第1のサブセットに導かれ得、光源202bの第2のサブセットの光が偏光ビームスプリッタ212bの第2のサブセットに導かれ得るよう配列され、光源202a、202bおよび偏光ビームスプリッタ212a、212bは、第1のサブセットの偏光ビームスプリッタ212aが第2のサブセットの偏光ビームスプリッタ212bと隣り合うように、交互に配列される。
【0040】
方法はさらに、前記第1の偏光ビームを第1の光路に、第2の偏光ビームを第2の光路に導くステップを含む。第1の光路および第2の光路は、典型的には制御可能な偏光変換素子218a、218bを含む。第1の非偏光ビームの第2の偏光ビームはさらに、前記制御可能な偏光変換素子を通して、光路を第2の非偏光ビームの第1の偏光ビームと時分割する。
【0041】
方法は、第1の非偏光ビームまたは第2の非偏光ビームのいずれが受取られるかに従って、突き当たる光の偏光状態を変換するよう、または偏光状態を変換しないように、偏光変換素子218a、218bを切替えるステップをさらに含む。偏光変換素子218a、218bを交互に切替えるステップは、時間期間の第1の部分中は偏光変換素子218aの第1のサブセットをONに切替え、かつ偏光変換素子218bの第2のサブセットをO
FFに切替え、時間期間の第2の部分中は動作を逆にすることであり得る。前記偏光変換素子を切替えるステップは、偏光変換素子218a、218bをON/OFF状態に制御可能に切替えるステップを含むことができ、OFF状態においては偏光変換は実行されず、ON状態においては、第1の偏光状態から第2の偏光状態への偏光変換および/または第2の偏光状態から第1の偏光状態への偏光変換が実行される。偏光変換素子218a、218bを切替えるステップは、典型的には、実質的に完全に予め定められた偏光状態を有する光ビームを空間的にも時間的にも得ることを可能にする。
【0042】
実質的に均質な平均光強度分布を有する光ビームが得られ得ることが、本発明の実施例の利点である。後者は、出力のさまざまな空間部分が、類似するフィルタリング、変更、またはより一般的な操作作用を経ることによって生じ得る。本発明の実施例で特に有利なのは、パルス化された光源が用いられることができ、光源の活性期間および不活性期間にわたって生成される全光束が、継続的駆動方法の場合の同じ時間期間についての全光束の半分、好ましくは60%、より好ましくは70%、さらに好ましくは80%、さらにより好ましくは90%を超えることである。
【0043】
本発明を具体化する偏光子、照明装置または投影装置の目的を達成するための他の配列が、当業者には明らかであろう。本発明による装置のための好ましい実施例、具体的な構造、構成および材料がここで説明されたが、本発明の範囲と精神とを逸脱することなく、形式上および詳細においてさまざまな変更または修正がなされ得ることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】LED装置との組合わせで用いられる、先行技術による偏光回復システムの例の概略的な表示を示す図である。
【図2】本発明の局面による、偏光子および対応する照明システムの例示的概略的表示を示す図である。
【図3】本発明の第2の局面による照明システムの概略的表示を示す図である。
【図4】本発明の実施例による、駆動回路を有するコントローラによって生成される、光源および偏光変換素子を駆動するための駆動信号の例示的概略的表示を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
200 偏光子、202a,202b 光源、206,208 光学素子、210 入力面、212a,212b 偏光ビームスプリッタ、214 出口面、218a,218b
偏光変換素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子(200)であって、第1および第2の非偏光ビームを、異なる偏光状態を有する少なくとも第1および第2の偏光ビームにそれぞれ分離するための第1および第2の偏光ビームスプリッタ(212a,212b)と、各偏光ビームスプリッタ(212a,212b)の後に偏光変換素子(218a,218b)とを含み、偏光変換素子は、第1の非偏光ビームからの第2の偏光ビームが、第2の非偏光ビームからの第1の偏光ビームと、偏光変換素子(218a,218b)を通して同じ光路を時分割するよう配列され、偏光変換素子(218a,218b)は、偏光変換素子(218a,218b)を通過するよういずれのビームが切替えられるかに依存して、突き当たる偏光ビームの偏光状態を変換するよう、または変換しないよう交互に切替え可能である、偏光子(200)。
【請求項2】
偏光変換素子(218a,218b)はビームの切替えに従うよう制御され得、または、ビームの切替えは偏光変換素子(218a,218b)の切替えに従うよう制御され得る、請求項1に記載の偏光子(200)。
【請求項3】
偏光子(200)は、偏光ビームスプリッタ(212a,212b)のアレイおよび偏光変換素子(218a,218b)のアレイを含み、各偏光変換素子(218a,218b)は、偏光ビームスプリッタ(212a,212b)のうち2つ以上の隣り合うスプリッタからビームを受取るよう配列される、請求項1または2のいずれかに記載の偏光子(200)。
【請求項4】
各偏光ビームスプリッタ(212a,212b)は、パルス化された状態で同時に切替えられる非偏光ビームのアレイの経路に配列される、請求項1から3のいずれかに記載の偏光子(200)。
【請求項5】
偏光子(200)は、非偏光ビームの二次元アレイを扱うよう適合される、請求項1から3のいずれかに記載の偏光子(200)。
【請求項6】
照明システム(300)であって、各々が非偏光ビームを生成する複数の光源(202a,202b)と、請求項1から5のいずれかに記載の偏光子(200)とを含む、照明システム(300)。
【請求項7】
照明システム(300)は投影装置またはバックライトで用いられるよう適合される、請求項6に記載の照明システム(300)。
【請求項8】
照明システムは、同じ偏光変換素子(218a,218b)を共有するビームが交互にオンに切替えられるよう光源(202a,202b)を変調するための光源コントローラ(306)をさらに含む、請求項6から7のいずれかに記載の照明システム(300)。
【請求項9】
照明システム(300)は、光学スイッチによってビームを切替えるための手段を含む、請求項6から8のいずれかに記載の照明システム(300)。
【請求項10】
光源(202a、202b)は発光装置またはレーザである、請求項6から9のいずれかに記載の照明システム(300)。
【請求項11】
請求項6から10のいずれかに記載の照明システム(300)を制御するためのコントローラ。
【請求項12】
請求項6から10のいずれかに記載の照明システムを含む表示部を制御するための方法
であって、光源と偏光変換素子とを同期的に変調するステップを含む、方法。
【請求項13】
偏光ビームを生成するための方法であって、
−第1および第2の非偏光ビームを受取り、前記第1および第2の非偏光ビームの各々を、少なくとも、第1の偏光状態を有する第1の偏光ビームと、第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態を有する第2の偏光ビームとに分離するステップと、
−前記第1の偏光ビームを第1の光路に導き、前記第2の偏光ビームを第2の光路に導くステップとを含み、第1の光路および第2の光路は制御可能な偏光変換素子(218a,218b)を含み、第1の非偏光ビームの第2の偏光ビームは、前記制御可能な偏光変換素子(218a,218b)を通して光路を第2の非偏光ビームの前記第1の偏光ビームと時分割し、さらに、
−第1または第2の偏光ビームのいずれが受取られるかに依存して、突き当たる偏光ビームの偏光状態を変換するよう、または偏光状態を変換しないよう、前記制御可能な偏光変換素子(218a,218b)を交互に切替えるステップを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−195432(P2006−195432A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−344236(P2005−344236)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(500251180)バルコ・ナムローゼ・フエンノートシャップ (25)
【Fターム(参考)】