説明

偏心カムユニット

【課題】使用条件が限られず、しかも、構成各部材7a、8、8、21、15a同士が分離する事を防止して、プランジャポンプ等の組立作業の能率化を図れる偏心カムユニット16bを、低コストで実現する。
【解決手段】偏心リング15aの外周面の軸方向一端部に径方向外方に突出する突部20を形成する。そして、この突部20を、外輪7aの端部に設けた鍔部14a、及び、各ニードル8、8の軸方向端面に係合させる。そして、これら各ニードル8、8の周囲に設けた上記外輪7aが、上記偏心リング15aの周囲から抜け出る方向に変位する事を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、或いはスタビリティコントロール装置の油圧源として使用するプランジャポンプを構成する偏心カムユニットの改良に関する。具体的には、駆動軸への組み付け以前の状態でも構成各部材が分離せず、取り扱いが容易な構造を実現すべく発明したものである。
【背景技術】
【0002】
ABSやTCS等の作動時には、ブレーキペダルの操作(踏み込み)と関係なく、車輪に付設したホイルシリンダに圧油を供給し、1乃至複数の車輪に制動力を発揮させる。この際にホイルシリンダに供給する圧油として、電動モータにより駆動するプランジャポンプから吐出し、アキュムレータに貯溜しておいたものを使用する。この様な場合に使用するプランジャポンプとして特許文献1には、図9に示した様な構造のものが記載されている。
【0003】
このプランジャポンプ1は、1対の転がり軸受2、2によりハウジング3内に支持したカム軸4を、モータ5により回転駆動する様にしている。このカム軸4の中間部で上記両転がり軸受2、2の間部分には、このカム軸4の回転中心に対し偏心したカム面6を設けている。このカム面6は、このカム軸4の中心軸に対し偏心した中心軸を有する円筒状である。又、このカム面6の周囲に円筒状の外輪7を、このカム面6と同心に配置し、これらカム面6と外輪7の内周面との間に複数本のニードル8、8を設けている。更に、この外輪7の外周面に、プランジャ9、9の基端面を突き当てている。これら各プランジャ9、9は、それぞれリターンスプリング10、10により、上記カム面6に向かう方向の弾力を付与されている。上記モータ5により上記カム軸4を回転させると、上記各プランジャ9、9が、上記カム面6の偏心運動と上記各リターンスプリング10、10の弾力とにより、シリンダ筒11、11内で往復移動し、圧油を吐出する。
【0004】
上述の様な特許文献1に記載されたプランジャポンプ1の場合、上記外輪7として、金属材料に削り出し加工を施して成る、所謂ソリッド形のものを備えている。これに対して特許文献2〜6には、金属板を曲げ成形する事により得られる、シェルと呼ばれる外輪を備えた構造が記載されている。シェル形の外輪を備えたラジアルニードル軸受を使用する事は、プランジャポンプの高容量化と低コスト化とを両立させる面から有利である。図10は、特許文献2に記載されたプランジャポンプを示している。シェル形ラジアルニードル軸受12は、金属板を曲げ成形する事により得られる、シェルと呼ばれる外輪7aの内径側に、複数本のニードル8、8を転動自在に配置して成る。この外輪7aは、軸受鋼、肌焼鋼等の硬質の鉄系合金製の板材に、深絞り加工、バーリング加工等の塑性加工を施す事により造られたもので、円筒状部13と、この円筒状部13の軸方向両端部に径方向内方に向いた状態で形成された1対の鍔部14a、14bとを備える。尚、図10に示した構造は、モータの回転駆動軸であるカム軸4aに対しカム面6aを設ける為に、このカム軸4aに偏心リング15を外嵌固定している。
【0005】
上述の様な外輪7aを備えたシェル形ラジアルニードル軸受12は、図9に示す様な、削り出しの外輪7を備えた、所謂ソリッド形のラジアルニードル軸受に比べて、外輪7aの低コスト化と同時に薄肉化を図れる。そして、薄肉化を図れる分、同じ条件下(設置空間の径方向及び軸方向の寸法が同じ)であれば、各ニードル8、8の外径及び軸方向寸法を大きくできて、ラジアルニードル軸受の負荷容量を大きくできる。又、軸方向寸法が嵩む上記カム軸4aと分離した偏心リング15に上記カム面6aを形成する為、このカム面6aの加工を容易に行なえる。
【0006】
この様な図10に示した従来構造の第2例の場合、偏心リング15とシェル形ラジアルニードル軸受12とを軸受工場等で製造し組み合わせたものと、モータ工場で造ったモータとを組み合わせる。即ち、この軸受工場等で偏心リング15とシェル形ラジアルニードル軸受12とを組み合わせて構成した偏心カムユニット16と、上記モータの回転駆動軸であるカム軸4aとを組み合わせ、更にプランジャ9、9と組み合わせて、プランジャポンプとして完成する。
【0007】
この様にプランジャポンプを組み立てた状態で、偏心リング15の周囲から上記外輪7a及び上記各ニードル8、8が脱落しない様にする必要がある。又、上述の様な製造作業の途中で、上記偏心カムユニット16の構成各部材、即ち、上記偏心リング15と上記外輪7aと上記各ニードル8、8とが不用意に分離しない様にする事が、プランジャポンプの組立作業の能率化を図る面から好ましい。この為に上記従来構造の第2例の場合には、外輪7aの内径側に保持した円輪状のスラストワッシャ17と上記偏心リング15とを係合させている。そして、上記各ニードル8、8が、上記外輪7aの内周面である外輪軌道18と上記カム面6aとの間の所定位置に保持される様にしている。
【0008】
同時に、上記スラストワッシャ17を設ける事により、プランジャポンプの組立完了前の状態でも、上記構成各部材15、7a、8同士が不用意に分離する事を防止している。上記図10に示した従来構造の場合、組立完了後の状態では、右側の鍔部14aが、上記偏心リング15の軸方向端面とカム軸4aの段差面19との間に挟持される為、上記構成各部材15、7a、8同士が分離する事はない。但し、上記偏心カムユニット16の状態では、上記スラストワッシャ17がないと、上記偏心リング15の周囲から上記外輪7a及び上記各ニードル8、8が脱落する。上記スラストワッシャ17は、上記偏心カムユニット16の状態でも上記構成各部材15、7a、8同士が分離する事を防止して、上記組立作業の能率化を可能にしている。
【0009】
又、前記特許文献2には、図11に示す様な偏心カムユニット16aの構造も記載されている。この図11に示した従来構造の第3例の場合には、外輪7bとして、一端(図11の右端)側が開口した、有底円筒状のものを使用している。又、偏心リング15aの端部外周面に、外向フランジ状の突部20を形成している。そして、この突部20を、各ニードル8、8の軸方向端面と上記外輪7bの鍔部14との間で挟持して、これら各ニードル8、8とこの外輪7bとが、上記偏心リング15aの周囲から脱落しない様にしている。尚、上記図11に示した従来構造の第3例の場合には、ラジアルニードル軸受部分を、保持器を持たない、総ニードル形としている。
【0010】
上述の図10〜11に示した従来構造の第2〜3例の場合、偏心カムユニット16、16aの状態でも構成各部材同士が分離する事を防止して、プランジャポンプの組立作業の能率化を図れるが、依然として次に述べる様な解決すべき点がある。先ず、図10に示した構造の場合には、スラストワッシャ17を設ける分、部品点数が増えて製造コストが嵩むだけでなく、軸方向寸法も嵩んでしまう。又、図11に示した構造の場合には、外輪7bが有底円筒状である為、偏心カムユニット16aをカム軸4aの端部に、このカム軸4aよりもオーバハングした状態で設置しなければならない等、使用条件が限られる。
【0011】
【特許文献1】特開2005−240654号公報
【特許文献2】特開2000−73938号公報
【特許文献3】特開2000−356191号公報
【特許文献4】特表2003−502603号公報
【特許文献5】米国特許第5230275号明細書
【特許文献6】米国特許第6550971号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、使用条件が限られず、しかも、構成各部材同士が分離する事を防止して、プランジャポンプ等の組立作業の能率化を図れる偏心カムユニットを、低コストで実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の偏心カムユニットは、前述した従来から知られている偏心カムユニットと同様に、偏心リングと、外輪と、複数本のニードルとを備える。
このうちの偏心リングは、それぞれが円筒面状で互いに偏心した、内外両周面を有する。
又、上記外輪は、上記偏心リングの周囲にこの偏心リングの外周面と同心に配置したもので、円筒状部及びこの円筒状部の軸方向両端部から軸方向内方に折れ曲がった1対の鍔部を有する。
又、上記各ニードルは、上記外輪の内周面である外輪軌道と上記偏心リングの外周面である内輪軌道との間に、転動自在に設けられている。
【0014】
特に、本発明の偏心カムユニットに於いては、上記偏心リングの外周面の軸方向一端部に、径方向外方に突出する突部を形成している。そして、この突部の軸方向片側面を上記円筒状部の軸方向一端部に設けた一方の鍔部の内側面と係合させると共に、上記突部の軸方向他側面を上記各ニードルの軸方向一端面に係合させる事により、これら各ニードルの周囲に設けた上記外輪が、上記偏心リングの周囲から抜け出る方向に変位する事を防止している。
【0015】
尚、上記突部の軸方向他側面と上記各ニードルの軸方向一端面との係合状態は、これら両面同士を直接当接させる構造であっても、或いは保持器を介して係合させる構造であっても良い。
又、上記両面同士を直接当接させる構造の場合も、保持器を設ける事もできる。保持器は、請求項2に記載した発明の様に、互いに同心で円環状のリム部同士の間に、互いに平行に配置された複数本の柱部を掛け渡し、これら両リム部と円周方向に隣り合う柱部とにより四周を囲まれた部分をそれぞれポケットとしたものとする。そして、これら各ポケット内に上記各ニードルを、転動自在に保持する。更に、上記偏心リングの外周面の軸方向一端部に設けた突部を、上記両リム部のうちの何れか一方のリム部の内径側に配置し、この突部の外径を上記一方の鍔部の内径よりも大きくすると共に、この突部と上記各ニードルの軸方向一端面とを直接係合させる。
尚、本発明を、保持器を組み込んだ構造で実施する場合に、この保持器の材質は特に問わない。金属製であっても、或は合成樹脂製であっても良い。但し、好ましくは、請求項3に記載した発明の様に、合成樹脂製の保持器を使用する。
【0016】
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項4に記載した発明の様に、上記偏心リングの軸方向他端部と他方の鍔部との間にラビリンスシールを設ける。
この様な請求項4に記載した発明を実施する場合、上記偏心リングと上記他方の鍔部とを、微小隙間を介して直接近接対向させる事もできるが、これら偏心リングと他方の鍔部とを、円環状のシール部材を介して対向させる事もできる。この場合、例えば請求項5に記載した発明の様に、上記偏心リングの軸方向他端部と上記他方の鍔部との間に、低摩擦材製で断面クランク形のシール部材を、上記偏心リングと上記外輪とに対する相対回転を可能に、且つ、このシール部材と偏心リング及び外輪との間にラビリンスシールを構成する隙間を介在させた状態で設ける。
【0017】
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項6に記載した発明の様に、上記偏心リングを外嵌固定するカム軸として、この偏心リングを外嵌固定する為の小径部と、この小径部から軸方向に外れた部分に存在する大径部と、これら小径部と大径部とを連続させる段差面とを外周面に設けたものを使用する。そして、前記外輪の軸方向両端部に設けた1対の鍔部のうちの一方の鍔部を、上記偏心リングの軸方向一端面と上記段差面との間に緩く挿入する。
更に、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項7に記載した発明の様に、上記外輪の軸方向両端部に設けた1対の鍔部のうちの何れかの鍔部の厚さ寸法を、他の鍔部及び円筒状部の厚さ寸法よりも小さく、且つ、この何れかの鍔部の内径を、この他の鍔部の内径よりも大きくする。又、互いに同心で円環状のリム部同士の間に、互いに平行に配置された複数本の柱部を掛け渡し、これら両リム部と円周方向に隣り合う柱部とにより四周を囲まれた部分をそれぞれポケットとした保持器を備える。そして、上記両リム部のうちで上記何れかの鍔部と対向するリム部を、軸方向端部内周面に径方向内方に延出する内向鍔部を全周に亙って有する断面L字形とし、この内向鍔部の内径を、上記何れかの鍔部の内径よりも小さくする。
【発明の効果】
【0018】
上述の様に構成する本発明によれば、使用条件が限られず、しかも、構成各部材同士が分離する事を防止して、プランジャポンプ等の組立作業の能率化を図れる偏心カムユニットを、低コストで実現できる。
即ち、本発明の偏心カムユニットの場合には、外輪として、軸方向両端部にそれぞれ内向フランジ状の鍔部を形成したものを使用しているので、上記偏心カムユニットを、カム軸の端部に限らず、中間部にも装着できる。
又、突部と、一方の鍔部及び各ニードルとの係合により、上記偏心カムユニットをカム軸に外嵌固定する以前の状態でも、この偏心カムユニットの構成各部材が分離する事を防止できるので、上記組立作業の能率化を図れる。
更に、部品点数を少なく抑えられるので、小型・軽量化や低コスト化を図る面からも有利になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[実施の形態の第1例]
図1は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、偏心カムユニット16bを構成する、偏心リング15aと、外輪7aと、複数本のニードル8、8とを、この偏心カムユニット16bをカム軸4a(図10参照)に外嵌固定する以前の状態でも分離しない様にする為の構造にある。上記偏心カムユニット16bの基本構造、並びに、この偏心カムユニット16bを組み込むプランジャポンプの構造に関しては、前述の特許文献1〜6に記載された構造等、従来から知られている構造と同様であるから説明を省略し、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
【0020】
本例の場合には、上記偏心リング15aの外周面の軸方向一端部(図1の右端部)に、径方向外方に突出する、外向フランジ状の突部20を形成している。又、上記外輪7aを構成する円筒状部13の軸方向両端部に、それぞれ径方向内方に直角に折れ曲がった、内向フランジ状の鍔部14a、14bを形成している。これら両鍔部14a、14bのうち、軸方向一端側(図1の右側)の鍔部14aは、上記外輪7aの内径側に上記各ニードル8、8及び後述する保持器21を組み込む以前に形成するもので、上記円筒状部13と同程度の厚さを有する。これに対して、軸方向他端側(図1の左側)の鍔部14bは、上記外輪7aの内径側に上記各ニードル8、8及び次述する保持器21を組み込んでから形成するもので、上記円筒状部13及び上記軸方向一端側の鍔部14aに比べて薄肉である。又、この比較的厚肉の鍔部14aの内径Raに比べて、上記比較的薄肉の鍔部14bの内径Rbは大きい(Ra<Rb)。
【0021】
又、上記突部20の外径D20は、上記軸方向一端側の鍔部14aの内径Raよりも大きく、次述する保持器21を構成するリム部22の内径R22よりも小さい(Ra<D20<R22)。この保持器21は、互いに同心で円環状の1対のリム部22、22同士の間に、互いに平行に配置された複数本の柱部23、23を掛け渡し、これら両リム部22、22と円周方向に隣り合う柱部23、23とにより四周を囲まれた部分を、それぞれポケット24、24としている。そして、これら各ポケット24、24内に上記各ニードル8、8を1本ずつ、転動自在に保持している。
【0022】
それぞれが上述の様な形状を有する構成各部材7a、8、8、21、15aは、図1に示す様に、上記突部20を上記軸方向一端側の鍔部14aと上記各ニードル8、8の軸方向一端面(図1の右端面)との間に緩く挟持した状態に組み合わせる。即ち、上記突部20を、上記保持器21を構成する1対のリム部22、22のうちの軸方向一端側のリム部22の内周面に、摺接若しくは径方向に微小隙間を介して対向させる。又、この状態で、上記突部20の軸方向片側面(図1の右側面)を上記軸方向一端側の鍔部14aに、摺接若しくは軸方向に関する微小隙間を介して対向させる。更に、上記突部20の軸方向他側面を上記各ニードル8、8の軸方向一端面に、摺接若しくは軸方向に関する微小隙間を介して対向させる。そして、上記突部20と、上記鍔部14a及び上記各ニードル8、8との係合により、これら各ニードル8、8の周囲に設けた上記外輪7aが、上記偏心リング15aの周囲から抜け出る方向に変位する事を防止する。
【0023】
上述の様に構成する本例によれば、使用条件が限られず、しかも、構成各部材7a、8、8、21、15a同士が分離する事を防止して、プランジャポンプ等の組立作業の能率化を図れる偏心カムユニット16bを、低コストで実現できる。
即ち、本例の偏心カムユニット16bの場合には、上記外輪7aとして、軸方向両端部にそれぞれ内向フランジ状の鍔部14a、14bを形成したものを使用している。言い換えれば、前述の図11に示す様な有底円筒状の外輪7bとは異なる構造の外輪7aを使用しているので、この外輪7aに前記カム軸4a(図10参照)を挿通できる。この為、上記偏心カムユニット16bを、カム軸の端部に限らず、中間部にも装着できる。
【0024】
又、上記突部20と、上記軸方向一端側の鍔部14a及び上記各ニードル8、8との係合により、上記偏心カムユニット16bを構成する上記偏心リング15aを上記カム軸4aに外嵌固定する以前の状態でも、この偏心カムユニット16bの構成各部材7a、8、8、21、15a同士が分離する事を防止できるので、上記偏心カムユニット16bの取り扱い性が向上し、この偏心カムユニット16bを所定部分に組み付ける組立作業の能率化を図れる。
更に、部品点数を少なく抑えられるので、小型・軽量化や低コスト化を図る面からも有利になる。
【0025】
尚、本例の構造を実施する場合に、図1に鎖線で示す様に、上記偏心カムユニット16bに隣接する状態で、上記カム軸4aに、バランスウェイト25等の他物品を外嵌固定する事が好ましい。この様な構成を採用すれば、この他物品と軸方向他端側の鍔部14bとの間にラビリンスシールを構成して、上記偏心カムユニット16bの内部空間に充填したグリース等の潤滑剤の漏洩防止と、この内部空間内への異物進入防止とを有効に図れる。上記内部空間の軸方向両端開口のうち、他物品と反対側の開口に関しては、必要に応じて、別のラビリンスシールによりシールする。この為に、上記軸方向一端側の鍔部14aの内側面を上記偏心リング15aの軸方向端面に摺接若しくは微小隙間を介して対向させる。この部分のラビリンスシールの構造に関しては、後述する実施の形態の第4例の場合と同様であり、後で詳しく説明する。
又、上記突部20の軸方向片側面と上記軸方向一端側の鍔部14aの内側面とは、擦れ合い面の摩擦抵抗を低く抑える為に、滑らかな面にする。この為、これら両面を平滑に仕上げるか、仕上げない場合でも、滑らかな剪断面となる様にする。言い換えれば、粗い破断面が相手面と擦れ合わない様にする。
【0026】
尚、前記保持器21の材質は特に問わないが、好ましくは、合成樹脂製とする。この理由に就いて、図2を参照しつつ説明する。本例の偏心カムユニット16bは、偏心リング15aの周囲に外輪7aを、複数本のニードル8、8により回転自在に支持している為、これら偏心リング15aと外輪7aとの間に加わるアキシアル荷重を支承できない。この為、この外輪7aが上記偏心リング15aに対して、図2に示す様に、軸方向に偏る方向に変位し、その結果、上記保持器21を構成する何れかのリム部22が、各ニードル8、8の軸方向端面と何れかの鍔部14b(又は14a)の内側面との間で強く挟持される可能性がある。そして、この状態のまま、上記偏心リング15aと上記外輪7aとを相対回転すると、上記リム部22の軸方向両側縁が、上記各ニードル8、8の軸方向端面及び上記何れかの鍔部14b(又は14a)の内側面と強く擦れ合う。この状態では、上記保持器21が金属製の場合には、擦れ合い部にバリが発生したり、或は、金属同士の擦れ合いに基づく大きな異音が発生する可能性がある。これに対して、上記保持器21を、ポリアミド樹脂等の、自己潤滑性を有する合成樹脂により造れば、上記バリや異音の発生を防止できる。
【0027】
[実施の形態の第2例]
図3は、請求項1〜3、6に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、偏心リング15aを外嵌固定するカム軸4bとして、外輪7aの鍔部14aに隣接する部分に段差面28を設けたものを使用している。即ち、上記カム軸4bは、上記偏心リング15aを外嵌固定する為の小径部29と、この小径部29から軸方向に外れた部分に存在する大径部30と、これら小径部29と大径部30とを連続させる上記段差面28とを、外周面に設けたものを使用している。そして、上記外輪7aの軸方向両端部に設けた1対の鍔部14a、14bのうちの一方の鍔部14aを、上記偏心リング15aの軸方向一端面と上記段差面28との間に緩く挿入している。この為に、この偏心リング15aを上記カム軸4bに外嵌固定した状態で、この偏心リング15aの軸方向端面と上記段差面28との間隔Dを、上記一方の鍔部14aの厚さTよりも少しだけ大きく(D>T)している。
【0028】
本例の場合、この様に、上記一方の鍔部14aを上記偏心リング15aの軸方向一端面と上記段差面28との間に緩く挿入する事で、この偏心リング15aに対する上記外輪7aの軸方向変位量を小さく抑えている。この点に就いて、図4を参照しつつ説明する。
上記偏心リング15aと上記外輪7aとの軸方向変位に結び付く隙間として、上記軸方向他端側(図4の左側)の鍔部14bの内側面と保持器21の軸方向他端縁(図4の左側縁)との間に存在する隙間(軸方向寸法=δ1 )と、各ポケット24、24の軸方向他端内側面(図4の左端内側面)と各ニードル8、8の軸方向他端面(図4の左側面)との間に存在する隙間(軸方向寸法=δ2 )と、これら各ニードル8、8の軸方向一端面(図4の右側面)と上記偏心リング15aの軸方向一端部外周面に形成した突部20の軸方向他側面(図4の左側面)との間に存在する隙間(軸方向寸法=δ3 )と、この突部20の軸方向片側面と上記軸方向一端側(図4の右側)の鍔部14aの内側面との間に存在する隙間(軸方向寸法=δ4 )とがある。上記外輪7aが上記偏心リング15aに対し、図4の状態よりも左方に変位するのは、δ4 分に止まるが、右方に変位するのは、δ1 +δ2 +δ3 分に達する。
【0029】
部品の製作誤差を考慮しつつ、上記偏心リング15aと上記外輪7aとの相対回転を確実に円滑に行わせる事を考慮した場合、上記各隙間寸法δ1 、δ2 、δ3 を小さくする事には限度がある。図4に示した構造では、上記偏心リング15aに対する上記外輪7aの、図4の状態からの右方への変位量を十分に小さくする事が難しい。そして、この変位量が大きくなると、プランジャ9(図9参照)の基端面と上記外輪7aの外周面との接触位置が、上記各ニードル8、8の軸方向中心から大きくずれて、これら各ニードル8、8の自転中心軸と公転中心軸とが非平行になる、スキューが発生し易くなる。この様なスキューが発生すると、上記偏心リング15aと上記外輪7aとの相対回転に要するトルク(回転抵抗)が大きくなり、プランジャポンプの効率が低下する。
【0030】
これに対して本例の構造によれば、上記偏心リング15aに対する上記外輪7aの軸方向変位を、何れの方向に関しても、僅少に止める事ができる。即ち、この外輪7aが上記偏心リング15aに対し、図3の状態よりも左方に変位するのがδ4 分に止まる事は、図3に示した構造の場合と同様であるが、同じく右方に変位する量を、前記一方の鍔部14aの外側面と前記段差面28との軸方向距離であるδ5 に止める事ができる。この結果、上記プランジャ9の基端面と上記外輪7aの外周面との接触位置を、ほぼ上記各ニードル8、8の軸方向中心に位置させる事ができて、これら各ニードル8、8のスキューを抑え、上記偏心リング15aと上記外輪7aとの相対回転に要するトルクを小さく抑え、プランジャポンプの効率を確保できる。その他の部分の構造及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様である。
【0031】
[実施の形態の第3例]
図5は、請求項1〜5に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、軸方向一端部外周面に突部20を形成した偏心リング15aの軸方向他端部と、比較的薄肉の鍔部14bとの間に、ラビリンスシール26を設けている。このラビリンスシール26を設ける為に本例の場合には、上記偏心リング15aと上記鍔部14bとを、円環状のシール部材27を介して対向させている。このシール部材27は、合成樹脂、含油メタル、銅系合金等の低摩擦材を、断面クランク形で全体を円環状に形成したもので、上記偏心リング15a及び外輪7aに対する相対回転を可能に設けている。この状態で、上記シール部材27と、上記偏心リング15a及び上記外輪7aとを、摺接若しくは近接対向させて、これらシール部材27と偏心リング15a及び外輪7aとの間に、上記ラビリンスシール26を設けている。
【0032】
この様な本例の構造の場合には、偏心カムユニット16cに隣接する部分に、バランスウェイト25(図1参照)等の他物品を設置できなくても、上記偏心カムユニット16cの内部空間に充填したグリース等の潤滑剤の漏洩防止と、この内部空間内への異物進入防止とを有効に図れる。但し、隣接する部分に他物品を設ける事は自由である。
尚、上記シール部材27の外径側端部で、保持器21のリム部22の内径側に位置する部分の軸方向幅W27は、このリム部22の軸方向幅W22よりも小さくして(W27<W22)いる。この理由は、上記シール部材27の外径側端部が上記鍔部14bと各ニードル8、8の軸方向端面との間で挟持され、このシール部材27の回転が阻害される事を防止する為である。
その他の部分の構造及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0033】
[実施の形態の第4例]
図6は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、外輪7aの軸方向両端部に設けた1対の鍔部14a、14bの内側面と、偏心リング15aの軸方向両端面との間に、それぞれラビリンスシール26a、26bを設けている。この為に本例の場合には、上記両鍔部14a、14bの内側面同士の間隔D14を、上記偏心リング15aの軸方向長さL15よりも、僅かに大きく(D14>L15)している。そして、この偏心リング15aの軸方向両端面のうち、突部20を形成していない側の端面を、比較的厚肉で比較的内径が小さな鍔部14aの内側面に、摺接若しくは微小隙間を介して近接対向させている。これに対して、比較的薄肉で内径が比較的大きな鍔部14bの内側面に、上記突部20の外側面を、摺接若しくは微小隙間を介して近接対向させている。この為に、この突部20の外径D20を上記鍔部14bの内径Rbよりも大きく(D20>Rb)し、上記偏心リング15aの本体部分の外径D15を上記鍔部14aの内径Raよりも大きく(D15>Ra)している。
【0034】
この様な本例の構造の場合も、偏心カムユニット16dに隣接する部分に、バランスウェイト25(図1参照)等の他物品を設置できなくても、上記偏心カムユニット16dの内部空間に充填したグリース等の潤滑剤の漏洩防止と、この内部空間内への異物進入防止とを有効に図れる。但し、隣接する部分に他物品を設ける事は自由である。
その他の部分の構造及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0035】
[実施の形態の第5例]
図7は、請求項1、3、4に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、偏心リング15aの軸方向端部外周面に形成した外向フランジ状の突部20を、保持器21のリム部22と、外輪7aの端部に形成した内向フランジ状の鍔部14b(14aでも良い)との間に配置している。この様な本例の偏心カムユニット16eを実施する場合、上記リム部22が上記突部20の外径側に乗り上げない様に、この突部20の外径を、上記外輪7aの内周面と擦れ合わない範囲で、十分に確保(大きく)する。 その他の部分の構造及び作用は、上述した実施の形態の第4例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0036】
[実施の形態の第6例]
図8は、請求項1〜4、7に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、先に述べた実施の形態の第1〜5例の場合と同様に、外輪7aの軸方向両端部に設けた1対の鍔部14a、14bのうちの何れか(図8の左側)の鍔部14bの厚さ寸法tを、他の鍔部14a及び円筒状部13の厚さ寸法Tよりも小さく、且つ、この何れかの鍔部14bの内径Rb を、上記他の鍔部14aの内径Ra よりも大きく(Rb >Ra )している。この理由は、この他の鍔部14aは、上記外輪7aの内径側に、各ニードル8、8、保持器21a、偏心リング15aを組み込む以前に形成するのに対して、上記何れかの鍔部14bは、これら各部材の組み込み後に形成する為、形成作業の容易化を図る為である。そして、本例の場合には、上記偏心リング15aの端部外周面に形成した突部20を、前述した実施の形態の第1〜3例の場合と同様に、上記他の鍔部14aと上記各ニードル8、8の軸方向端面との間に配置している。
【0037】
この為に、上記何れかの鍔部14bと上記偏心リング15aの端部外周縁との間に、比較的大きな隙間31が存在する状態となる。そして、前述した実施の形態の第1例の様に、上記何れかの鍔部14bに隣接して、バランスウェイト25(図1参照)等の他物品を設けられない場合には、上記隙間31を通じて偏心カムユニットの内部空間に充填したグリース等の潤滑剤が漏洩したり、この内部空間内に異物が進入したりし易くなる。この為に本例の場合には、保持器21aにより、上記隙間31部分にラビリンスシール26cを設けている。
【0038】
上記保持器21aは、前述した各実施の形態に組み込まれている保持器と同様に、互いに同心で円環状のリム部22、22a同士の間に複数本の柱部23、23を、互いに平行に配置した状態で掛け渡し、これら両リム部22、22aと円周方向に隣り合う柱部23、23とにより四周を囲まれた部分を、それぞれポケット24、24としている。特に本例の場合には、上記両リム部22、22aのうちで上記何れかの鍔部14bと対向するリム部22aを、軸方向端部内周面に径方向内方に延出する内向鍔部32を全周に亙って有する、断面L字形としている。そして、この内向鍔部32の内径を、上記何れかの鍔部14bの内径Rb よりも小さく、上記偏心リング15aのうちで突部20を除く部分の外径D15よりも大きくしている。
【0039】
本例の場合には、この様な構造を有する保持器21aを使用し、上記内向鍔部32により上記隙間31の大部分を塞いで、この隙間31部分にラビリンスシール26cを設けている。そして、この隙間31を通じて上記偏心カムユニットの内部空間に充填したグリース等の潤滑剤が漏洩したり、この内部空間内に異物が進入したりする事を防止する様にしている。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の偏心カムユニットはABSやTCS等を制御する為の圧油供給用のプランジャポンプに限らず、各種機械装置に組み込んで、回転運動を往復運動に変換する為のカム装置として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す断面図。
【図2】合成樹脂製の保持器を使用する事が好ましい理由を説明する為、外輪と偏心リングとが最も偏った状態を示す断面図。
【図3】本発明の実施の形態の第2例を示す断面図。
【図4】この第2例の構造の必要性を説明する為の断面図。
【図5】本発明の実施の形態の第3例を示す断面図。
【図6】同第4例を示す断面図。
【図7】同第5例を示す断面図。
【図8】同第6例を示す断面図。
【図9】従来から知られているプランジャポンプの第1例を示す断面図。
【図10】同第2例を示す部分断面図。
【図11】同第3例を示す部分断面図。
【符号の説明】
【0042】
1 プランジャポンプ
2 転がり軸受
3 ハウジング
4、4a、4b カム軸
5 モータ
6、6a、6b カム面
7、7a、7b 外輪
8 ニードル
9 プランジャ
10 リターンスプリング
11 シリンダ筒
12 シェル形ラジアルニードル軸受
13 円筒状部
14a、14b 鍔部
15、15a 偏心リング
16、16a、16b、16c、16d、16e 偏心カムユニット
17 スラストワッシャ
18 外輪軌道
19 段差面
20 突部
21、21a 保持器
22、22a リム部
23 柱部
24 ポケット
25 バランスウェイト
26、26a、26b、26c ラビリンスシール
27 シール部材
28 段差面
29 小径部
30 大径部
31 隙間
32 内向鍔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが円筒面状で互いに偏心した内外両周面を有する偏心リングと、この偏心リングの周囲にこの偏心リングの外周面と同心に配置した、円筒状部及びこの円筒状部の軸方向両端部から軸方向内方に折れ曲がった1対の鍔部を有する外輪と、この外輪の内周面である外輪軌道と上記偏心リングの外周面である内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数本のニードルとを備えた偏心カムユニットに於いて、上記偏心リングの外周面の軸方向一端部に径方向外方に突出する突部を形成し、この突部の軸方向片側面を上記円筒状部の軸方向一端部に設けた一方の鍔部の内側面と係合させると共に、上記突部の軸方向他側面を上記各ニードルの軸方向一端面に係合させる事により、これら各ニードルの周囲に設けた上記外輪が、上記偏心リングの周囲から抜け出る方向に変位する事を防止した事を特徴とする偏心カムユニット。
【請求項2】
互いに同心で円環状のリム部同士の間に、互いに平行に配置された複数本の柱部を掛け渡し、これら両リム部と円周方向に隣り合う柱部とにより四周を囲まれた部分をそれぞれポケットとした保持器を備え、これら各ポケット内に各ニードルを転動自在に保持しており、偏心リングの外周面の軸方向一端部に設けた突部を、上記両リム部のうちの何れか一方のリム部の内径側に配置し、この突部の外径を一方の鍔部の内径よりも大きくすると共に、この突部と上記各ニードルの軸方向一端面とを直接係合させた、請求項1に記載した偏心カムユニット。
【請求項3】
互いに同心で円環状のリム部同士の間に、互いに平行に配置された複数本の柱部を掛け渡し、これら両リム部と円周方向に隣り合う柱部とにより四周を囲まれた部分をそれぞれポケットとした合成樹脂製の保持器を備え、これら各ポケット内に各ニードルを転動自在に保持している、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した偏心カムユニット。
【請求項4】
偏心リングの軸方向他端部と他方の鍔部との間にラビリンスシールを設けた、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した偏心カムユニット。
【請求項5】
偏心リングの軸方向他端部と他方の鍔部との間に、低摩擦材製で断面クランク形のシール部材を、この偏心リングと外輪とに対する相対回転を可能に、且つ、このシール部材と偏心リング及び外輪との間にラビリンスシールを構成する隙間を介在させた状態で設けた、請求項4に記載した偏心カムユニット。
【請求項6】
偏心リングを外嵌固定するカム軸として、この偏心リングを外嵌固定する為の小径部と、この小径部から軸方向に外れた部分に存在する大径部と、これら小径部と大径部とを連続させる段差面とを外周面に設けたものを使用し、外輪の軸方向両端部に設けた1対の鍔部のうちの一方の鍔部を、上記偏心リングの軸方向一端面と上記段差面との間に緩く挿入した、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載した偏心カムユニット。
【請求項7】
外輪の軸方向両端部に設けた1対の鍔部のうちの何れかの鍔部の厚さ寸法が、他の鍔部及び円筒状部の厚さ寸法よりも小さく、且つ、この何れかの鍔部の内径が、この他の鍔部の内径よりも大きく、互いに同心で円環状のリム部同士の間に、互いに平行に配置された複数本の柱部を掛け渡し、これら両リム部と円周方向に隣り合う柱部とにより四周を囲まれた部分をそれぞれポケットとした保持器を備え、上記両リム部のうちで上記何れかの鍔部と対向するリム部が、軸方向端部内周面に径方向内方に延出する内向鍔部を全周に亙って有する断面L字形であり、この内向鍔部の内径が上記何れかの鍔部の内径よりも小さい、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載した偏心カムユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−85428(P2009−85428A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79806(P2008−79806)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】