説明

充填し封緘した容器の検査装置

【課題】充填し封緘した容器を検査するために手間がかからずコンパクトな構造で確実に検知する装置を提供する。
【解決手段】検査する容器Fをその長手方向軸を中心に回転できるようにして、容器内の充填物を充分に迅速に回転開始させ、場合によって存在する異物を容器底から巻き上がらせ、充填物にある光拡散する異物を検知するための暗視野工程で機能する少なくとも一つの検査装置20と関連付けて配置しており移送方向で後に続く第二回転台4に宙吊りで容器を移送し、そのとき両方の回転台は円弧部分でお互いに接線配置されており、容器が第一回転台3から直接、第二回転台に移すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填し封緘した容器の検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
国際公開番号WO94/08230号公報には、透明な容器およびその液体内容物を検査するための方法と装置が公開されている。公開されている装置には連続して駆動可能な二つの回転台があり、例えば充填された飲料水ボトルのような検査する容器を前後させて通過させている。移送方向で見て最初の回転台において、まず容器は低い回転速度で一度完全にその軸を中心に回転され、そのときに容器自体にある損傷またはその他の欠陥を識別するためのカメラにより側面が観察される。それに続いて、場合によって存在する異物を底面から巻き上げる目的で、液体を回転させるために回転速度が上げられる。最初の回転台を離れる前に容器の回転運動は止められ、引き続いて第一回転テーブル、中間ストッカー、第二回転テーブルを通って第二回転台に送られて、そこで容器は自分でその縦軸を中心に回転することなく、充填物中の異物(浮遊物、ガラス破片または類似のもの)を識別するための一緒に動くカメラにより明視野だけでなく暗視野でも検査される。
欠点は、最初の回転台で各容器に対して、独立して制御できる個々の電動モーター駆動を備えていることであり、そのために駆動技術的に非常に大きな手間を必要とする。
さらに不都合なことは、第一回転台から第二回転台への移送区間が、二つの移送回転テーブルおよびその間に接続した渦巻き状経路により非常に長くなることであり、それにより基本的に液体中の異物検知を行う第二回転台に到達する前に、容器中で回転する液体に比較的大きくブレーキがかかってしまう。少ない通過速度および/または重い異物、殊に動いているときのみ確実に検知できるような透明な物体の場合には、検査の確実性が不十分である。
そのうえに、その中間移送に必要な移送エレメントは検査する容器の形状によって決まるので、それにより別の種類の容器に検査機を段取替えする度に交換せねばならない。これはその他にも、第一回転台の投入回転テーブルおよび第二回転台の排出回転テーブルにも言える。さらに、回転台間に配置したガイド経路もボトル形状によって決まる交換部品となる。
加えて、両方の回転台間の間隔が大きいことにより、公知の検査機では比較的スペースを必要とする構造となる。
【0003】
【特許文献1】国際公開番号WO94/08230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来技術を前提に本発明の課題は、充填し封緘した容器を検査するために手間がかからずコンパクトな構造で確実に検知する装置を提供することである。
この課題は請求項1の発明の特徴により解決される。
本発明のさらにメリットある構成は従属請求項に記載されている。
【発明の効果】
【0005】
回転台を接線配置することにより、第一回転台から第二回転台へ迂回せず容器の直接の受渡しが可能になり、それにより形状によって決まる移送エレメントが不要になるだけでなく、さらに容器が液状の内容物を回転加速した後すぐに、大きな時間損失なしで直ちに、場合によっては液中に存在する異物を検査することができるので、僅かな通過速度でも比較的重く光を拡散する異物を移動中に容器底に沈殿する前に信頼性を保って検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】検査機を上方から見た概略外観図。
【図2】図1における検査機の第一回転台の外側円周部分の竪方向部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に図を用いて好ましい実施例について説明する。
図1で概略的に図示した検査機は、充填し封緘した透明または半透明材料製の飲料用ボトルを検査するための装置である。検査の対象となるボトルFは、例えば前方に配置したボトル充填および封緘機から、一方向に走るベルトコンベア1を通じて、一方向に回転する回転テーブル2に連続的に運ばれるが、そのとき、遅くとも回転テーブル2に移る前に固定配置した入口検査ユニット9を通過し、封緘の存在、そして場合によっては充填高さを検査する。封緘されていないボトルから飛び出した液体により検査ユニットが汚れるのを防ぐために、ボトルは回転テーブル2により掴まれるのではなく、後方に配置した集積場所に向かってそのまま直線的に通過する。過充填または不足しているボトルも同様の方法で処理される。
【0008】
時計廻りと反対方向に連続的に駆動できるようにした一方向に回転する回転テーブル2には、胴体部分、そして場合によっては頭部ないし首部でボトルを掴むために、均等に機械部分を分割して配置し選択的にコントロールでき種々のボトル径に対応できる多数のチャック部がその外周部にある。コンベアベルト1から回転方向に続いている第一回転台3に移送する間に、ボトルは宙吊り状態で、まずは石鹸の泡や同類のものを除去するために固定の底面吹き付け装置10上を、そして汚れ又はボトル底自体にある損傷、そして重たくてボトルを回転させただけでは舞い上がらない異物を識別するために明視野工程で処理できる底面検査ステーション11を通過する。
【0009】
回転テーブル2は例えばヨーロッパ特許第0726216号、第0743267号に相当して、底面吹き付け装置10はドイツ実用新案第9401926号に相当して、そして底面検査ステーション11はドイツ特許出願第10133104号に相当して構成することができる。ここに挙げた出願等の公開内容を一緒に詳しく参照されたい。
【0010】
回転テーブル2および時計廻りに回転する第一回転台3の円弧が重なるところで、ボトルFはその底面を使って、回転台で竪方向軸を中心に回転可能なように支持された回転プレート12上に移送され、軸方向に力を加えた状態で回転可能なように保持されているが、それはこの種の従来技術で公知のものである。次の工程において、回転プレート12上で垂直に立っているボトルはまず、回転台3の第一円周範囲Aを通過するときに、軸を中心に連続して加速されて回転し、続いて規定の最高回転数で円周範囲Bを通過し、その後は円周範囲Cでボトル回転が連続的にほぼ停止状態にまで減速される。
【0011】
回転プレート12に上述の回転運動を発生するために、各回転プレートには、下方にあり軸22で自由に回転可能な状態で支持された小歯車13があり、その小歯車は内歯および外歯を備えた大歯車14の内歯と噛み合っており、その大歯車は中央部のあいたボール回転支持機構により機械のシャーシー台Gに支持されている。この大歯車14は、その外歯と噛み合っており回転数可変の駆動装置(電動モータまたは類似のもの)で制御する駆動歯車15により回転台3の反対方向で時計廻りとは反対に駆動できる。この反対廻りにより回転プレートを充分に速く回転させることができる。後に図2と関連して更に詳細に記述するコントロール可能な磁気カップリングを通じて、軸22は、前述の円周範囲A、B、Cを通過するときに、伝達可能な回転トルクの大きさに対応して関連配置された小歯車13と、そして回転台3の残りの円周範囲ではこれ自体と接続することができる。
【0012】
第一回転台3の円周部には、少なくとも一つの側面カメラ16、そして直径方向反対側で回転台3の外側に側面照明スクリーン17がある。この配置で対応するのは透過光での明視野検査であり、それにより、損傷ないし汚れにより生じる暗部、ないしボトル内で液体が回転運動することにより巻き起こり光を通過させない浮遊物または類似物を検知できる。
【0013】
第一回転台3の回転範囲Cの最終範囲には第二回転台4が −回転テーブル2と同じ方法でその円周部に接しており、機械分割間隔で配置し胴体部および場合によっては頭部ないし首部でボトルを掴むための選択的に制御可能なチャックを備えている。それにより、第一回転台3への共通の接点でボトルFが掴まれ、後に続く分類回転台5に宙吊りで反時計回りに運ばれるが、その途上でボトルは、殊に透明なガラス破片のような光を拡散する異物を検知できる暗視野工程で異物検知される。
【0014】
この目的のために、ボトルFの湾曲した移動路の両側に、移動路の湾曲に合わせ等間隔の光スクリーン18、19が固定して配置されており、その間をボトルが自由に通過でき、そのとき側面から出来るだけ広範囲に照明される。同時の両方からのトンネル状照明によりボトル内に光が非常に効果的に入り、殊に例えば沈殿物を含むビールやコーラのような濁った或いは黒っぽい液体でメリットがある。光スクリーン18と19は、照明コントロールによりパルス的に照明できる多数のLEDを装備していると好ましい。
【0015】
さらに、第二回転台4には図示していないチャックの下方に配置したカメラ20を備えており、例えばチャックあたり各1個のカメラがチャックと同期して回転して、照明されたボトルの底面を、図示していないが下方に斜めに配置した鏡により撮ることができる。この配置により、光を拡散する欠陥ないし異物を暗い画面で明るい点または部分として輝く暗視野照明を実現することができる。
【0016】
代替として、一つまたは複数のカメラを固定配置することも考えられる。画像を撮るカメラ20と光スクリーン18、19のLEDを同時に制御することにより、好ましいことに、そうでなければ必要なトリガー動作を不要とすることができる。その他にも、鏡を適切に配置して一つのカメラで多数のボトル底面を同時に捉え撮影できるように、変更することも可能である。
【0017】
図示していないが同様に個別に制御できるチャックを装備した分類回転台5は、底面検査ステーション11、側面カメラ16、ボトルFを底面から観察するカメラ20の検査結果により検査したボトルを種々のコンベアベルトに引き渡す状態にある。そして例えば、問題のないボトルは番号6で示した搬出コンベアを通じて検査機を離れる一方、欠陥を有するボトルは検知された欠陥に従って選択的に別の排出コンベア7または8により排出される。
【0018】
図2から、第一回転台3上に配置した回転プレート12の駆動状態の詳細が分かる。回転プレート12は、共通の円弧上に回転台3内の竪方向で回転できるように支持された軸22の上端部に回らないように配置されている。各軸22には軸方向に上下スライド出来るようにガイドされた磁気リング23が案内されており、リングは回転トルクを伝達するために回らないように軸22を掴んだ状態にある。さらに、回転台3の各軸22には同軸で、それぞれヒステリシスリング27が回らないように配置されており、その内径は磁気リング23の外径より僅かに大きい。上述の第一ヒステリシスリング27下方で間隔を有して、大歯車14と噛み合っている小歯車13のそれぞれ内に、磁気リング23の外径を同様に僅かに上回る内径を有する第二のヒステリシスリング25が回らないようにして、同軸で軸22は自由に回転するように支持されている。両方のヒステリシスリング25、27の軸方向間隔は磁気リング23の高さにほぼ相当し、その磁気リングは少なくとも上部および下部縁の全周に多数の交互に極を変えた永久磁石を備えている。ヒステリシスリングは、例えば軟鉄のような高透磁性材料でできている。
【0019】
各磁気リング23は、詳細には記載していない操作機構、例えば機械的なカム制御により軸22の長手方向に沿って上下にスライド可能であり、それにより下方にあるヒステリシスリング25とは駆動可能な状態の、または上方にあるヒステリシスリング27とは固定した状態の磁気カップリングを選択的に形成し、そのとき伝達可能な回転トルクは、埋め込み深さ、すなわち磁気リング23の各関連ヒステリシスリングとの軸方向重なり合いにより変えることができる。重なり合いを調整できることにより、回転台3の個々の円周範囲においてボトルFに伝達可能な加速トルクないし減速トルクを容易に制御できる。この方法により各回転プレート12は、回転台と一緒に回転する時にその時々の回転位置で、電気技術的な工数をかけないで隣接する回転プレートと関係なく、正しい位置で実用的に磨耗なしで減速または加速して回転トルクを受けることができる。
【0020】
それにより各回転プレート用の個々のモーター駆動は不要になる。回転プレート12の全ての駆動は、簡単な方法で大歯車14と駆動歯車15のみを通じて、機械の駆動装置から導くことがき、検査機の動作その他全てに対して自動的に速度同期や回転位置同期も保証される。
しかしそれとは別に、機械の駆動とは独立した独自の可変回転数のモーター駆動を使用して、駆動歯車15を動かすことも可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 投入コンベアベルト
2 回転テーブル
3 第一回転台
4 第二回転台
5 分類回転台
6 搬出コンベア
7、8 排出コンベア
9 入口検査ユニット
10 底面吹き付け装置
11 底面検査ステーション
12 回転プレート
13 小歯車
14 大歯車
15 駆動歯車
16 側面カメラ
17 側面照明スクリーン
18、19 光スクリーン
20 カメラ
22 軸
23 磁気リング
25、27 ヒステリシスリング
Fボトル
Gシャーシー台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填し封緘した容器を検査する装置であって、第一回転台(3)では検査する容器(F)をその長手方向軸を中心に回転できるようにして、容器内の充填物を迅速に回転させ、場合によっては存在する異物を容器底から巻き上がらせ、充填物に存する光拡散する異物を検知するための暗視野工程で機能する少なくとも一つの検査装置(20)と関連付けて配置されていて移送方向で後に続く第二回転台(4)に宙吊りで容器を移送するような装置において、
両方の回転台(3、4)は円弧部分でお互いに接するように配置されており、容器(F)が第一回転台(3)から直接、第二回転台(4)に移すことができることを特徴とする装置。
【請求項2】
少なくとも一つの底面吹き付け装置(10)および/または明視野工程で機能する底面検査ステーション(11)を関連付けて配置し容器を宙吊りで移送する回転テーブル(2)を、移送方向で見て第一回転台(3)の前に配置していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
充填状態および/または容器封緘を検査する入口検査(9)を、回転テーブル(2)および/または第一回転台(3)の前に配置していることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
封緘されていない容器が回転テーブル(2)でも第一回転台(3)でも取り出されないことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
第一回転台(3)が前記円弧部分において多数の駆動可能な回転プレート(12)を備えており、その回転プレートは制御可能な磁気カップリング(23、27)を通じて回転プレート全てに共通した駆動エレメント(14、15)により、力で把握状態または非把握状態にできることを特徴とする請求項1から4の少なくとも一つに記載の装置。
【請求項6】
磁気カップリング(23、27)が回転トルクを変更できるヒステリシスカップリングであることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも断片的に第二回転台(4)の移送路の両側にお互いに直径方向に対向し移送路に等間隔で適合させた光スクリーン(18、19)を備えており、底面を受け入れる間に同時にそれが容器(F)を側面から照明することを特徴とする前述の請求項1から6の少なくとも一つに記載の装置。
【請求項8】
光スクリーン(18、19)がパルス的に制御可能なLEDを装備し、前記LEDは常に底面を受け入れると同時に制御できることを特徴とする請求項7に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−249827(P2010−249827A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116318(P2010−116318)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【分割の表示】特願2004−558066(P2004−558066)の分割
【原出願日】平成15年12月10日(2003.12.10)
【出願人】(591034383)クロネス・アクチェンゲゼルシャフト (35)
【氏名又は名称原語表記】KRONES AG
【Fターム(参考)】