説明

充電制御装置

【課題】充電時の車載電池の劣化と車載電池の充電に伴う電力消費の増加とをいずれも抑制すること。
【解決手段】充電制御装置10は、車両2に設けられ、駐車領域にある車両2に搭載された電池の充電制御を行う。電池温度変化予測手段106は車載電池の温度を予測し、充電計画作成手段107は車載電池の充電計画を作成し、充電手段108は充電計画に従って車載電池の充電を実施する。電池温度変化予測手段106は、駐車開始後から所定時間経過するまでの駐車時間内の車載電池の温度を予測し、充電計画作成手段107は、電池温度変化予測手段106が予測した車載電池の温度に基づいて、充電を実施する場合の車載電池の温度をさらに予測し、この予測に基づいて車載電池の充電計画を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に優しい自動車として、給電装置から充電可能な二次電池(以下、単に「電池」という)と駆動装置としてのモーターとを搭載する自動車(例えば、電気自動車およびプラグインハイブリッド自動車など)が、注目を集めている。
【0003】
このような車両への充電を制御する手法として、例えば特許文献1に記載の電力マネジメントシステムがある。このシステムでは、一般に深夜では電気料金が安価となることを利用して、深夜に住宅の家庭用電源から電気自動車への電力供給を行い、昼間は電気自動車から住宅側への電力供給を行う。これにより、電力需要の平準化と電気自動車における適正電力確保との両立を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−258177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電池は充電時の電池温度によって劣化が早くなる場合がある。例えば、電池温度が著しく低いときに充電を行うと、電池の劣化が早くなる。よって、気温が低下する深夜では通常、電池温度も低下するため、深夜の車載電池の充電は、電池劣化を早める一因となる可能性がある。著しく高温のときも同様である。
【0006】
ここで、充電時の電池温度低下に起因する電池劣化の対策として、充電時の電池温度を調整することが考えられる。しかし、この場合、電池温度調整のために余分な電力が必要になる。
【0007】
本発明の目的は、充電時の車載電池の劣化と車載電池の充電に伴う電力消費の増加とをいずれも抑制することができる充電制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の充電制御装置は、車両に設けられ、充電が可能である駐車領域にある前記車両に搭載された電池の充電制御装置であって、車載電池の温度を予測する予測部と、前記予測部が予測した前記車載電池の温度に基づいて前記車載電池の充電計画を作成する作成部と、前記作成部が作成した充電計画に従って前記車載電池の充電を実施する制御部とを備え、前記予測部は、駐車開始後から所定時間経過するまでの駐車時間内の前記車載電池の温度を予測し、前記作成部は、前記予測部が予測した前記車載電池の温度に基づいて、充電を実施する場合の前記車載電池の温度をさらに予測し、この予測に基づいて前記車載電池の充電計画を作成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、充電時の車載電池の劣化と車載電池の充電に伴う余分な電力消費の増加とをいずれも抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車載電池充電システムの構成を示すブロック図
【図2】図1のシステムに含まれる充電制御装置内の充電コントローラーの構成を示すブロック図
【図3】本発明の一実施の形態に係る充電コントローラーの充電制御動作を説明するためのフロー図
【図4】本発明の一実施の形態に係る充電コントローラーの充電管理動作を説明するためのフロー図
【図5】図4の充電管理動作で蓄積される気象予報情報を説明するための図
【図6】図4の充電管理動作で蓄積される天気別の外気温室温相関情報を説明するための図
【図7】図4の充電管理動作で蓄積される月毎の外気温室温相関情報を説明するための図
【図8】図4の充電管理動作に含まれる充電計画作成動作を説明するためのフロー図
【図9】本発明の一実施の形態に係る充電計画作成の基礎となる電池温度変化の予測結果の第1の例を説明するための図
【図10】図9の予測結果に基づいて作成された充電計画から想定される電池温度変化を説明するための図
【図11】改善対象となる充電計画から想定される電池温度変化を説明するための図
【図12】改善後の充電計画から想定される電池温度変化を説明するための図
【図13】本発明の一実施の形態に係る充電計画作成の基礎となる電池温度変化の第2の例を説明するための図
【図14】図12の予測結果に基づいて作成された充電計画から想定される電池温度変化を説明するための図
【図15】本発明の一実施の形態に係る充電計画作成の基礎となる電池温度変化の第3の例を説明するための図
【図16】図15の予測結果に基づいて作成された充電計画から想定される電池温度変化を説明するための図
【図17】本発明の一実施の形態に係る充電計画作成の基礎となる電池温度変化の第4の例を説明するための図
【図18】図17の予測結果に基づいて作成された充電計画から想定される電池温度変化を説明するための図
【図19】本発明の一実施の形態に係る充電計画作成の基礎となる電池温度変化の第5の例を説明するための図
【図20】図19の予測結果に基づいて作成された充電計画から想定される電池温度変化を説明するための図
【図21】本発明の一実施の形態に係る充電計画作成の基礎となる電池温度変化の第6の例を説明するための図
【図22】図21の予測結果に基づいて作成された充電計画から想定される電池温度変化を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る車載電池充電システムの構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示す車載電池充電システムは、家1、本発明の充電制御装置が搭載されている車両2、電力系統3、および充電プラグ4を含む。
【0014】
ここで、車両2はユーザーの所有車であって、ユーザーの自宅である家1の敷地内に駐車領域として設けられた車庫に駐車される主たる車両であるとする。
【0015】
なお、本実施の形態では、ユーザーの自宅である家1での車載電池充電を制御する場合を例にとって説明するが、車両2に搭載された充電制御装置は、ユーザーの自宅だけでなく他の駐車領域での車載電池充電を制御することもできる。
【0016】
家1には、宅内負荷31、分電盤32、コンセント33、電力線通信(PLC:Power Line Communications)アダプター34、35、インターネットモデム36、およびホームターミナル50が、設けられている。
【0017】
家1において、種々の宅内負荷31が分電盤32を介して電力会社からの電力系統3と接続されている。車庫に設置されたコンセント33も分電盤32に接続されている。また、家1には、宅内の電気機器の状況確認および制御、ならびに車両2の状態確認および制御を行うホームターミナル50が設置されている。ホームターミナル50は、電力線通信が可能なPLCアダプター34に接続されている。さらに、家1には、インターネットへ接続するインターネットモデム36が設置されている。インターネットモデム36は、電力線通信を利用してネットワーク接続を行うためのPLCアダプター35に接続されている。PLCアダプター35により、車両2およびホームターミナル50からインターネット接続を行うことができる。
【0018】
ホームターミナル50は、宅内コントローラー60、入力部61、および表示部62を有する。宅内コントローラー60は、宅内の電気機器および後述する充電制御装置と通信して、情報の授受を行う。入力部61は、ユーザーの操作を入力し、表示部62は、情報を表示する。
【0019】
車両2には、充電制御装置10、電池パック11、モーター12、インバーター13、メイン電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)14、ナビゲーション15、エアコン16、補助バッテリー17および充電コネクター18が、設けられている。
【0020】
電池パック11は、電池(例えば、リチウムイオン電池など)と、電池の状態を検知する回路と、電池の温度(以下「電池温度」という)を調整する手段(例えば、ファンおよびヒーターなど)を有する。モーター12は、車両2を駆動する。インバーター13は、電池パック11から電力の供給を受けてモーター12を制御する。メインECU14は、イグニッション信号を受けて車両2全体の電源制御を行う。ナビゲーション15は、車両2の位置を特定する。エアコン16は、車両2の車内温度つまり室温、車両2の周囲の外気温、および車両2の日射強度をそれぞれ検知して、室温を調整する。補助バッテリー17は、低圧蓄電手段である。なお、電池パック11の電池は、高圧蓄電手段である。充電コネクター18は、交流電力を車両2へ供給する充電プラグ4を接続可能に構成されている。
【0021】
充電制御装置10は、電池パック11および補助バッテリー17の充電を制御する。充電制御装置10は、充電コントローラー20、PLCアダプター21、直流/交流(AC/DC)コンバーター22、および降圧直流/直流(DC/DC)コンバーター23を有する。充電コントローラー20は、充電計画を作成するとともに、作成された充電計画に従って電池パック11の充電制御を行う。PLCアダプター21は、充電コントローラー20に接続され、電力線を使用して家1側とのデータ通信を行うことにより車両2をインターネットに接続する。AC/DCコンバーター22は、充電コントローラー20に接続され、AC100VまたはAC200Vの交流を直流に変換する。降圧DC/DCコンバーター23は、充電コントローラー20に接続され、AC/DCコンバーター22により得られた直流を補助バッテリー17の充電のために降圧する。なお、充電制御装置10は、充電コントローラー20のみでもよく、さらには、充電コントローラー20は、メインECU14に含まれていてもよい。
【0022】
次に、図2を用いて充電コントローラー20の構成を説明する。
【0023】
充電コントローラー20は、通信手段101、情報収集手段102、相関手段103、駐車位置判定手段104、記憶手段105、電池温度変化予測手段106、充電計画作成手段107、充電手段108、電池温度制御手段109、電池状態取得手段110、気温取得手段111、プラグ接続確認手段112および報知手段113を有する。
【0024】
プラグ接続確認手段112は、充電プラグ4と充電コネクター18との接続状態を示す接続信号を入力する。プラグ接続確認手段112は、接続状態が切断から接続に変化したときに充電コントローラー20内の各部を起動させ、接続状態が接続から切断に変化したときに充電コントローラー20内の各部を停止させる。
【0025】
通信手段101は、情報収集手段102、充電計画作成手段107および報知手段113の要求を受けて、TCP−IPによるネットワーク通信によりインターネットアクセスおよび家1側の機器との通信を行う。
【0026】
情報収集手段102は、通信手段101を介して気温および天気の予報を含む気象予報情報を取得して、取得された気象予報情報を記憶手段105へ記憶させる。情報収集手段102は、本発明の気象情報取得部を構成する。なお、取得される気象予報情報は、車両2が駐車されている場所付近の地域に対応する情報を少なくとも含む。したがって、車両2が家1に駐車されているときには家1付近の地域に対応する情報を含み、車両2が別の場所(例えばユーザーの勤務先の駐車場)に駐車されているときにはその場所付近の地域に対応する情報を含む。
【0027】
駐車位置判定手段104は、ナビゲーション15により特定された車両の位置を示す車両位置情報と、家1側のPLCアダプター34と認証接続しているPLCアダプター21の接続先情報とを受けとる。そして、駐車位置判定手段104は、車両位置情報と接続先情報とから、車両2が充電のために接続されているコンセント33を特定することによって、車両2の駐車位置を判定する。判定された駐車位置を示す駐車位置情報は、記憶手段105へ記憶される。
【0028】
気温取得手段111は、エアコン16から外気温、日射強度および室温の各実測値を示す情報を取得して、取得された各情報を記憶手段105へ記憶させる。気温取得手段111は、本発明の気温取得部および日射強度取得部を構成する。以下、車両2の周囲の気温の実測値を示す情報を「外気温情報」という。また、車両2の日射強度の実測値を示す情報を「日射センサ情報」という。また、車両2の室温の実測値を示す情報を「室温情報」という。
【0029】
電池状態取得手段110は、電池パック11から電池温度および充電状態(SOC:State of Charge)をそれぞれ示す情報を取得して、取得された各情報を記憶手段105へ記憶させる。電池状態取得手段110は、本発明の電池温度取得部および充電状態取得部を構成する。以下、車両2の電池パック11の電池のSOCを示す情報を「SOC情報」という。また、車両2の電池パック11の電池温度の実測値を示す情報を「電池温度情報」という。
【0030】
相関手段103は、記憶手段105にそれぞれ記憶されている外気温情報の外気温と気象予報情報の気温とを比較することによって、予報の気温と実際の外気温との相関関係を求める。相関手段103は、求められた相関関係から予報外気温相関情報を生成し、生成された予報外気温相関情報を、車両2の駐車位置に関連づけて記憶手段105に記憶させる。さらに、相関手段103は、記憶手段105にそれぞれ記憶されている外気温情報の外気温と室温情報の室温との相関を求め、その結果として相関関係から外気温室温相関情報を生成し、生成された外気温室温相関情報を、車両2の駐車位置に関連づけて記憶手段105に記憶させる。また、相関手段103は、記憶手段105に記憶されている予報外気温相関情報を用いて外気温予測情報を生成する。さらに、相関手段103は、生成された外気温予測情報と、記憶手段105にそれぞれ記憶されている外気温室温相関情報、室温情報および日射センサ情報とから、室温予測情報を生成する。相関手段103は、生成された室温予測情報を、車両2の駐車位置に関連づけて記憶手段105へ記憶させる。
【0031】
電池温度変化予測手段106は、相関手段103により作成された室温予測情報と、記憶手段105にそれぞれ記憶されている室温情報、日射センサ情報および電池温度情報とから、電池パック11の電池温度の変化を予測する。そして、電池温度変化予測手段106は、予測された電池温度変化を示す電池温度予測情報を生成し、生成された電池温度予測情報を、車両2の駐車位置に関連づけて記憶手段105に記憶させる。
【0032】
充電計画作成手段107は、入力部61から入力され通信手段101を介して家1側からユーザー指示情報(例えば、目標SOC、充電の開始および終了の希望時刻など)と、記憶手段105にそれぞれ記憶されている電池温度予測情報およびユーザー設定情報とを用いて、充電計画を作成する。充電計画作成手段107は、作成された充電計画を記憶手段105に記憶させる。
【0033】
なお、本実施の形態において「充電計画」という用語は、充電そのものについての計画である「充電計画」と、充電に伴って実施される温度調整についての計画である「温度調整計画」(以下「温調計画」と略記する)との双方を含む包括的な概念を意味する。よって、以下の説明において「充電計画」に言及するときは、特に明示しない限り、温調計画を区別される狭義の「充電計画」ではなく、温調計画と区別されない広義の「充電計画」を意味するものとする。充電計画は、充電電流値、充電開始時刻、充電完了時刻、目標電池温度、温度調整開始時刻および温度調整完了時刻などの情報の集合である。なお、温調計画は、目標電池温度、温度調整開始時刻および温度調整完了時刻などの情報の集合である。
【0034】
前述した電池温度変化予測手段106は、本発明の予測部を構成する。また、充電計画作成手段107は、本発明の作成部を構成する。
【0035】
電池温度制御手段109は、記憶手段105にそれぞれ記憶されている充電計画および電池温度情報に従って電池パック11に対して電池温度の目標温度および温度調整指示を出力することにより温度調整の制御を行う。
【0036】
制御部としての充電手段108は、記憶手段105にそれぞれ記憶されている充電計画、電池温度情報およびSOC情報に従ってAC/DCコンバーター22を制御することにより電池パック11を充電する。また、充電手段108は、充電プラグ4が接続されると、AC100Vが接続されたかAC200Vが接続されたかを確認して、その確認結果を記憶手段105に記憶させる。
【0037】
報知手段113は、新規の充電計画が作成された場合および既存の充電計画が更新された場合に、通信手段101を介してホームターミナル50へ充電計画を含むデータを送信する。この場合、ホームターミナル50では、受信されたデータに含まれる充電計画が表示部62に表示され、ユーザーへの通知がなされる。なお、図示しないユーザーの携帯電話へ充電計画を含むデータを送信してもよい。
【0038】
次に、図3を用いて、充電コントローラー20の充電制御動作について説明する。
【0039】
ステップS11では、プラグ接続確認手段112が、充電プラグ4が充電コネクター18に接続されたか否かを確認する。充電プラグ4が充電コネクター18に接続されていない場合は、電池温度制御手段109による温度調整および充電手段108による充電がいずれも禁止される(ステップS12)。なお、充電コントローラー20がスリープ状態の場合、処理はステップS12を実施せずにステップS11に戻る。
【0040】
充電プラグ4と充電コネクター18との接続(以下「車両2の接続」という)が形成された場合は、後述する充電管理動作が実行される(ステップS13)。
【0041】
充電管理動作に続いて、ステップS14では、電池温度制御手段109が、記憶手段105にそれぞれ記憶されている充電計画と電池温度情報の現在の電池温度とから、温度調整が必要か否かが確認される。温度調整が必要の場合は、処理はステップS15へ進み、温度調整が不要の場合は、処理はステップS16へ進む。
【0042】
ステップS16では、温度調整を禁止させる温調禁止信号が電池温度制御手段109から電池パック11へ出力される。
【0043】
ステップS15では、電池温度制御手段109によって目標温度と温度調整指示が電池パック11へ出力される。これにより適切なタイミングで電池パック11の温度調整が目標温度まで行われる。
【0044】
ステップS17では、充電手段108が、記憶手段105にそれぞれ記憶されている充電計画とSOC情報の現在のSOCとから、充電が必要か否かを確認する。充電が必要の場合は、処理はステップS18へ進み、充電が不要の場合は、処理はステップS19へ進む。
【0045】
ステップS18では、充電手段108によってAC/DCコンバーター22に対して充電指示と充電電流値が出力される。これにより適切なタイミングで電池パック11の充電が目標SOCまで行われる。その後、処理はステップS11へ戻る。
【0046】
ステップS19では、充電を禁止させる充電禁止信号が充電手段108からAC/DCコンバーター22へ出力される。その後、処理はステップS11へ戻る。
【0047】
このようにして、作成された充電計画に従って、電池パック11の充電および温度調整が実施される。
【0048】
次に、図4を用いて、上記ステップS13の充電管理動作について説明する。
【0049】
ステップS101では、情報収集が行われる。情報収集は、情報収集手段102による気象予報情報の収集と、充電計画作成手段107によるユーザー指示情報の収集と、駐車位置判定手段104による駐車位置情報の収集と、気温取得手段111による外気温情報、日射センサ情報および室温情報の取得と、電池状態取得手段110による電池温度情報およびSOC情報の収集とを含む。なお、情報収集は、毎回全ての情報を収集しなくてもよい。例えば、駐車位置情報の収集は、車両2の接続直後の1回のみの収集でよく、気象予報情報の収集は、車両2の接続直後の収集、1時間毎の収集、および予報更新時の収集が好ましい。
【0050】
情報収集が終了すると、処理はステップS102へ進み、充電計画作成手段107が、収集された情報の中に、ユーザー指示が含まれているか否かを確認する。ユーザー指示があった場合は、処理はステップS105へ進み、ユーザー指示が無かった場合は、処理はステップS103へ進む。
【0051】
ステップS103では、充電計画作成手段107が、車両2が接続された後に作成された充電計画が存在するか否かを確認する。作成された充電計画が存在しない場合は、処理はステップS105へ進み、作成された充電計画が存在する場合は、処理はステップS104へ進む。
【0052】
ステップS104では、充電計画作成手段107が、計画修正の必要性を判断する。計画修正が必要と判断するのは、予報が変化した場合、外気温の実測値が外気温の予測値からある閾値以上ずれた場合、電池温度の実測値が電池温度の予測値からある閾値以上ずれた場合である。計画修正が必要な場合は、処理はステップS105へ進み、計画修正が不要の場合は、処理はステップS106へ進む。
【0053】
ステップS105では、充電計画作成手段107は、充電計画を作成し、次に処理はステップS106へ進む。充電計画作成動作については後述する。
【0054】
ステップS106では、ステップS101で収集された情報、ならびにステップS105で生成および作成された情報および計画が、記憶手段105に蓄積される。そして、処理はステップS101に戻る。
【0055】
このようにして充電計画の新規作成および更新(修正)が適宜行われる。
【0056】
ここで、上記充電管理動作で記憶手段105に蓄積される各種情報について、図5、図6および図7を用いて説明する。
【0057】
図5は、上記ステップS101で情報収集手段102によって取得される気象予報情報に含まれる気温予報を、その推移を示すグラフによって表している図である。このグラフにおいて、縦軸は温度の値、横軸は時刻を表しており、ここには3時間毎の情報が含まれている。
【0058】
相関手段103は、上記ステップS105で、この気温予報の外気温と別途収集された外気温情報の外気温との温度差(例えば、外気温情報の外気温から気温予報の外気温を差し引いた値)を、3時間毎に算出する。そして、相関手段103は、算出された温度差を示す予報外気温相関情報を生成して、生成された予報外気温相関情報を記憶手段105に記憶させる。予報外気温相関情報は、月毎、天気別に分けて、且つ車両2の駐車位置に関連づけて、蓄積される。
【0059】
図6は、晴天日の予報外気温相関情報と雨天日の予報外気温相関情報とを示す図である。各情報は、車両2が接続されている間に繰り返し更新される。天気の判断は基本的に天気の予報に従うが、晴天か曇天かの判断は、昼間であれば日射センサ情報を併用する。
【0060】
なお、相関手段103は、この予報外気温相関情報、外気温の実測値および気象予報情報を用いて、外気温予測情報を生成する。
【0061】
さらに、相関手段103は、外気温の実測値と室温の実測値との温度差を算出し、算出された温度差を示す情報を生成し、これを外気温室温相関情報として記憶手段105に蓄積する。外気温と室温との温度差は、例えば10分毎に取得され、車両2が接続された時点での温度差別に纏められ、さらに、月別、天気別に分けられ、且つ車両2の駐車位置に関連づけて、蓄積される。
【0062】
図7は、1月の晴天日の外気温室温相関情報と7月の晴天時の外気温室温相関情報とを示す図である。いずれの情報も、車両2の接続直前までエアコン16による室温調整が行われていた場合を例にとっている。このため、1月の場合は、接続時には室温が外気温を大きく上回っており、7月の場合は、接続時には室温が外気温を大きく下回っている。このように、車両2が接続された時点での温度差により変化曲線が大幅に相違するため、外気温室温相関情報は接続時点での温度差別に蓄積される。なお、この情報には日射センサ情報を関連づけてもよい。
【0063】
相関手段103は、室温予測情報を生成する際に、外気温予測情報、外気温室温相関情報、室温情報、および日射センサ情報を用いて、室温変化を予測する。この予測結果から、室温予測情報が生成される。
【0064】
なお、情報収集手段102により気象予報情報を取得することができない場合に備えて、相関手段103は、外気温の変化を示す情報を、ある時刻における温度毎、季節毎、日射センサ情報毎に生成し、生成された情報を記憶手段105に蓄積する。相関手段103は、このような外気温変化情報を利用して外気温変化予測を行う場合は、予測時点での外気温、季節および日射センサ情報に一番近い過去の外気温変化情報を抽出する。そして、相関手段103は、抽出された情報における予測時点と同時刻の外気温と予測時点の実際の外気温との温度差に基づいて、抽出された情報の補正を行うことによって、外気温予測情報を生成する。
【0065】
上記のように、本実施の形態では、気温などに関する様々な実測値、および一定の信頼性を有する公共向けの情報である気象予報情報を、過去から現在にかけて収集し、これらの情報を活用することによって、車両2の室温を予測する。したがって、少なくとも駐車時間における将来の室温の予測精度を向上させることができる。
【0066】
予測された室温を示す室温予測情報は、電池温度変化予測に使用される。電池温度変化予測手段106は、室温予測情報のほかに、予測時点での電池温度の実測値、ならびに予めそれぞれ取得されている電池の表面熱伝導率および熱容量に基づいて、ニュートンの冷却の法則を用いた所定の計算式によって、電池温度予測情報を生成する。これにより、予測された室温から正確に電池温度を求めることができる。さらに、充電時の発熱量を充電電流値および内部抵抗値から計算し、その計算結果を用いて電池温度予測情報を補正してもよい。
【0067】
なお、電池温度予測情報の生成は、室内温度情報の生成と同様に、車両2の接続時点での温度差別に蓄積された実際の室温と電池温度との温度差の情報を利用してもよい。さらに、充電開始時の室温と電池温度との温度差別に、且つ充電電流別の温度差変化の情報を蓄積して、この情報を充電時の電池温度変化予測に利用してもよい。
【0068】
次に、図8を用いて、上記ステップS105の充電計画作成動作について説明する。
【0069】
ステップS151では、相関手段103が、室温予測情報を生成する。
【0070】
具体的には、まず、相関手段103は、現在の駐車位置における予報外気温相関情報および気象予報情報、ならびに現在の外気温を用いて、室温予測情報の生成に必要な外気温予測情報を生成する。より具体的には、気温予報の外気温に対して、現在の月および天気に対応する予報外気温相関情報の温度差を加算することにより、外気温予測情報のデータベースが作成される。そして、作成されたデータベースの現在時刻部分に現在の外気温のデータを挿入するデータ補間が行われ、その結果が外気温予測情報として得られる。
【0071】
さらに、相関手段103は、作成された外気温予測情報に対して、現在の外気温、室温、月および天気に対応する外気温室温相関情報の温度差を加算することにより、室温予測情報を生成する。
【0072】
ステップS152では、電池温度変化予測手段106が、室温予測情報、ならびに現在の室温、電池温度および日射センサ情報を用いて、電池温度予測情報を生成する。
【0073】
ステップS153では、充電計画作成手段107が、目標SOCの設定を行う。目標SOCの設定は、車両2が接続された時点で、基本的には翌日の走行に必要な電力を確保するために行われる。1日の走行に必要な電力は、曜日毎に予め設定された通勤、送迎および買い物などのために走行に必要な電力(日常用電力)と、突発的に発生する可能性がある走行の電力(予備用電力)とを含む。
【0074】
なお、電池劣化を抑制するためには、電池の特性を踏まえて、目標SOCを満充電に設定しないようにすることが、好ましい。ただし、目標SOCについてのユーザー指示がある場合は、充電計画作成手段107は、ユーザー指示を優先し、ユーザー指示情報に従って目標SOCを設定する。
【0075】
また、車両2が接続された時点で予備用電力が確保されていない場合は、充電計画作成手段107は、まずは予備用電力を確保するための目標SOCを設定し、その後に日常用電力を確保するための目標SOCを設定する。
【0076】
ステップS154では、充電計画作成手段107が、目標の充電完了時刻を設定する。基本的には、目標の充電完了時刻は、電力会社が電気料金を安価に設定している深夜電力時間帯の終了時刻(以下「深夜料金終了時刻」という)に設定される。ただし、ユーザー指示がある場合はその指示が優先され、指示に示された時刻が採用されたり、できるだけ早く目標SOCに到達し得るような時刻が採用されたりする。予備用電力が確保されていない場合は、ユーザー指示の有無にかかわらず、できるだけ早く目標SOCに到達し得るような時刻に設定することが、好ましい。
【0077】
ステップS155では、充電計画作成手段107が、充電計画を設定する。
【0078】
充電計画は、第1に、劣化が生じにくい範囲内に電池温度がある時に充電が行われるように考慮して、第2に、充電そのものによる電池の劣化を生じにくくするために消費電力を小さくすることを考慮して、設定される。この設定の基礎となるのが、車両2の駐車時間内の電池温度変化の予測結果を示す電池温度予測情報である。
【0079】
以下、電池温度変化の予測結果およびそれに基づく充電計画について、図9〜図22を用いて幾つかの例を挙げながら説明する。
【0080】
なお、各図中、横軸は時刻、縦軸は温度であり、THは電池を劣化させずに充電し得る上限温度として予め設定されている温度であり、TLは電池を劣化させずに充電し得る下限温度として予め設定されている温度である。また、横軸のt0は車両2が接続された時刻(以下「現在の時刻」という)であり、よって、時刻t0におけるSOCおよび各種の実測値は、その後の電池温度変化に関する予測において基点あるいは基準値となる。t1は深夜電力時間帯の開始時刻(以下「深夜料金開始時刻」という)である。また、t3は上記ステップS154で設定された目標の充電完了時刻(ここでは深夜料金終了時刻とする)、t4は車両2の使用開始時刻(つまり駐車時間の終了時刻)として予定されている時刻である。
【0081】
図9は、電池温度変化予測手段106によって行われた電池温度変化の予測結果の、第1の例を説明するための図である。これは、電池の充電およびそれに伴う温度調整の実施を前提とせずに行われた予測の結果である。この例では、駐車時間内の電池温度は、THとTLとの中間でほぼ理想的に安定している。
【0082】
図10は、図9の予測結果に基づいて充電計画作成手段107によって作成された充電計画から想定される電池温度変化を説明するための図である。充電計画作成手段107は、1つ以上の時刻を充電開始時刻に仮設定し、各仮設定時刻からの充電開始を前提として電池温度がTL〜THの範囲(以下「所定範囲」という)内となるか否かを、図9を予測結果に基づいて判断しつつ、充電計画の作成を行う。
【0083】
充電計画作成手段107は、充電完了時刻t3に充電を完了させるための充電開始時刻を、現在の実際のSOC(以下「現在SOC」という)、目標SOCおよび充電可能電流値から計算する。そして、充電計画作成手段107は、計算された充電開始時刻t2を仮設定時刻として電池温度変化の予測を行い、そのうえで電池温度が所定範囲内を維持することを確認した場合は、充電開始時刻t2、充電完了時刻t3、および充電開始時の指示電流値によって、充電計画を確定する。
【0084】
なお、図11のように、充電実施を前提とした予測において、充電中に電池温度が上限温度THを超えることが予測される場合が、あり得る。この場合は、充電計画作成手段107は、充電中の電池の発熱量が抑えられるように充電電流値を低減したうえで、充電完了時刻t3に充電を完了させるための充電開始時刻(図12におけるt5)を計算する。このようにして、図12に示すように、充電中に電池温度が上限温度THを超えないようにする。ただし、充電計画作成手段107は、充電開始時刻を深夜料金開始時刻t1よりも早い時刻に設定しない。深夜料金開始時刻t1から充電を開始しても充電中に電池温度が上限温度THを超えることが予測された場合は、充電計画作成手段107は、電池温度が上限温度THに到達しないように充電中にファンを回して電池を冷却する温調計画を作成する。
【0085】
図13は、電池温度変化予測手段106によって行われた電池温度変化の予測結果の、第2の例を説明するための図である。これは、電池の充電およびそれに伴う温度調整の実施を前提とせずに行われた予測の結果である。この例では、深夜電力を利用可能な時間帯(t1〜t3)に電池温度が下限温度TLを下回ることが予測されている。
【0086】
図14は、図13の予測結果に基づいて充電計画作成手段107によって作成された充電計画から想定される電池温度変化を説明するための図である。充電計画作成手段107は、1つ以上の時刻を充電開始時刻に仮設定し、各仮設定時刻からの充電開始を前提として電池温度が所定範囲内となるか否かを、図13を予測結果に基づいて判断しつつ、充電計画の作成を行う。
【0087】
図13に示すように深夜料金開始時刻t1での電池温度が所定範囲内である場合は、充電計画作成手段107は、充電完了時刻t3に充電を完了させるための充電開始時刻を、現在SOC、目標SOCおよび充電可能電流値から計算する。ここで、最初に仮設定された充電開始時刻が充電開始時刻t2であるとすると、充電開始時刻t2での電池温度は所定範囲外であるため、充電開始時刻t2を採用することはできない。この場合、充電計画作成手段107は、図14に示すように電池温度が下限温度TLと等しくなる時刻t7を充電開始時刻として仮設定し直す必要がある。
【0088】
図15は、電池温度変化予測手段106によって行われた電池温度変化の予測結果の、第3の例を説明するための図である。これは、電池の充電およびそれに伴う温度調整の実施を前提とせずに行われた予測の結果である。この例では、深夜料金開始時刻t1の前に電池温度が下限温度TLを下回ることが予測されている。
【0089】
図16は、図15の予測結果に基づいて充電計画作成手段107によって作成された充電計画から想定される電池温度変化を説明するための図である。充電計画作成手段107は、1つ以上の時刻を充電開始時刻に仮設定し、各仮設定時刻からの充電開始を前提として電池温度が所定範囲内となるか否かを、図15を予測結果に基づいて判断しつつ、充電計画の作成を行う。
【0090】
深夜料金開始時刻t1での電池温度が下限温度TLを下回っている場合は、充電計画作成手段107は、電池温度と下限温度TLとの大小関係が逆転する時刻を求める。
【0091】
図15に示すように大小関係が逆転する時刻t6が存在する場合は、充電計画作成手段107は、温度調整を実施せずに充電時間を前倒しで実施する計画と、充電時間の前倒し実施をせずに温度調整を実施する計画とを作成し、これらの計画のうち電気料金が安いほうの計画を選択する。
【0092】
充電の前倒し実施を伴う計画では、図16に示すように時刻t6から、電池温度が下限温度TLを下回らないような充電電流で充電が行われ、深夜料金開始時刻t1からは、充電完了時刻t3に充電が完了するよう充電電流を適宜増大させて充電が行われる。ここで、時刻t6から深夜料金開始時刻t1まで利用可能な電力は、深夜電力よりも料金が高い通常電力であるため、電池温度が下限温度TLを保つような必要最低限の発熱を生じさせる充電電流値が設定される。図16に示す電池温度変化は、充電の前倒し実施を伴う充電計画から想定されるものである。
【0093】
一方、温度調整の実施を伴う計画では、深夜料金開始時刻t1での電池温度が下限温度TLとなるように深夜料金開始時刻t1の前からヒーターによる加熱が行われ、深夜料金開始時刻t1からは、加熱を止めて充電が行われる。この加熱には、過去に深夜電力を利用して充電された電池パック11の電力が使用されるため、計算上、加熱の電力は深夜電力である。
【0094】
なお、温度調整の実施を伴う計画では、温度調整が深夜料金開始時刻t1以降に開始されるように設定されてもよい。温度調整を深夜料金開始時刻t1の前後どちらに開始するかは、計算される電気料金に基づいて決定される。
【0095】
図17は、電気温度変化予測手段106によって行われた電池温度変化の予測結果の、第4の例を説明するための図である。これは、電池の充電およびそれに伴う温度調整の実施を前提とせずに行われた予測の結果である。この例では、電池温度が全体として下降傾向にあり、現在時刻t0から使用開始時刻t4まで下限温度TLを上回ることがないことが、予測されている。
【0096】
図18は、図17の予測結果に基づいて充電計画作成手段107によって作成された充電計画から想定される電池温度変化を説明するための図である。充電計画作成手段107は、1つ以上の時刻を充電開始時刻に仮設定し、各仮設定時刻からの充電開始を前提として電池温度が所定範囲内となるか否かを、図17を予測結果に基づいて判断しつつ、充電計画の作成を行う。
【0097】
深夜料金開始時刻t1での電池温度が下限温度TLを下回っている場合は、充電計画作成手段107は、電池温度と下限温度TLとの大小関係が逆転する時刻を求める。
【0098】
図17に示すように大小関係が逆転する時刻が存在しない場合は、充電計画作成手段107は、充電完了時刻t3に充電を完了させるための充電開始時刻を、現在SOC、目標SOCおよび充電可能電流値から計算する。さらに、充電計画作成手段107は、深夜料金開始時刻t1から充電完了時刻t3までの間で充電を開始して完了させるために、どの時点からヒーターを作動させてどの時点で電池温度を下限温度TLまで上昇させ充電を開始させれるのがよいかを判定する。図18に示す例では、深夜料金開始時刻t1から充電完了時刻t3まで充電が行われ、さらに深夜料金開始時刻t1に電池温度が下限温度TLに到達するように深夜料金開始時刻t1より前の時刻t8にヒーターによる加熱が開始される。この例のように電池温度が全体的に下降傾向にある場合は、加熱を早めに開始することで加熱のための所要電力量の増大を抑制することができる。
【0099】
図19は、電池温度変化予測手段106によって行われた電池温度変化の予測結果の、第5の例を説明するための図である。これは、電池の充電およびそれに伴う温度調整の実施を前提とせずに行われた予測の結果である。この例では、電池温度が全体として上昇傾向にあるが現在時刻t0から使用開始時刻t4まで下限温度TLを上回ることがないことが、予測されている。
【0100】
図20は、図19の予測結果に基づいて充電計画作成手段107によって作成された充電計画から想定される電池温度変化を説明するための図である。充電計画作成手段107は、1つ以上の時刻を充電開始時刻に仮設定し、各仮設定時刻からの充電計画開始を前提として電池温度が所定範囲内となるか否かを、図19の予測結果に基づいて判断しつつ、充電計画の作成を行う。
【0101】
この場合、充電計画作成手段107は、充電完了時刻t3に充電を完了させるための充電開始時刻を、現在SOC、目標SOCおよび充電可能電流値から計算する。さらに、充電計画作成手段108は、計算された充電開始時刻(この例ではt2)までに電池温度が下限温度TLに達するようにヒーターを作動させる時刻t10を計算する。この例では、温度調整時間(t10〜t2)が深夜電力の時間帯に含まれるため、ヒーターの電力としては、家1から供給される深夜電力を利用することが、料金の面から好ましい。
【0102】
ただし、ヒーターの作動を深夜料金開始時刻t1の前に開始しなければ充電開始時刻t2までに電池温度を下限温度TLまで上昇させることができない場合は、ヒーターの電力としては、電池パック11に充電されている電力を利用することが、料金の面から好ましい。電池パック11は通常、料金の安い深夜電力を利用して充電されているためである。よって、この場合は、充電計画作成手段107は、ヒーターのための消費される電池パック11の電力量を考慮しながら、充電開始時刻t2を再計算することとなる。
【0103】
なお、ここまでは、深夜電力を利用することを前提とした充電計画を説明したが、深夜電力の利用を前提とせずに充電計画を作成することも可能である。
【0104】
深夜電力を利用しない場合は、目標の充電完了時刻は車両2の使用開始時刻t4となる。そして、充電計画作成手段107は、電気料金が最も安くなることを目指した充電計画を行うのではなく、所要電力量が最も少なくなる充電計画を作成することとなる。
【0105】
図21は、電池温度変化予測手段107によって行われた電池温度変化の予測結果の、第6の例を説明するための図である。これは、電池の充電およびそれに伴う温度調整の実施を前提とせずに行われた予測の結果である。この例は、朝にユーザー指示があり、夕方までに充電を完了させる必要がある場合の例である。この例では、駐車時間内に日射があるため、日中に電池温度が大幅に上昇することが、予測されている。
【0106】
図22は、図21の予測結果に基づいて充電計画作成手段107によって作成された充電計画から想定される電池温度変化を説明するための図である。充電計画作成手段107は、1つ以上の時刻を充電開始時刻に仮設定し、各仮設定時刻からの充電計画開始を前提として電池温度が所定範囲内となるか否かを、図21の予測結果に基づいて判断しつつ、充電計画の作成を行う。
【0107】
充電計画作成手段107は、使用開始時刻t4に充電を完了させるための充電開始時刻を計算するが、ここでは特に、電池温度が上限温度THよりも低い時間帯に、電池温度が上限温度THに達することなく充電を行えるか否かが、考慮される。図22の例では、計算された充電開始時刻t2から使用開始時刻t4までの間に電池温度が上限温度THを超えることがないため、充電計画作成手段107は、計算された充電開始時刻t2によって、充電計画を確定する。
【0108】
なお、充電中の電池劣化を回避し得る時間帯としては、現在の時刻t0から時刻t12の時間帯も考えられるが、その場合、その後の時間帯、特に時刻t14において、放置状態での電池温度がより高温となり、放置状態での電池劣化が加速されることとなる。よって、現在の時刻t0から時刻t12の時間帯に充電を行うことは、好ましくない。よって、充電計画作成手段107は、充電中の電池劣化を回避し得る時間帯が複数存在する場合は、充電後に電池温度上昇のない時間帯を1つだけ選択する。1つの時間帯における充電だけでは目標SOCに達しない場合は、複数の時間帯を選択してもよい。複数の時間帯を選択してもなお目標SOCに達しない場合は、充電計画作成手段107は、ファンを動作させて電池温度が上限温度THを超えないようにしつつ充電時間を増やす充電計画を作成する。
【0109】
以上説明したように、本実施の形態によれば、車両2に搭載されている電池について、車両2が駐車された駐車領域での駐車時間内の電池温度の変化が、予測される。そして、その予測結果に基づいて、駐車時間内の充電実施を前提として電池温度が所定範囲内となるか否かを判断しつつ、電池の充電計画が、作成される。より具体的には、電池温度変化予測手段106が、駐車時間内の電池温度を予測し、充電計画作成手段107が、予測された電池温度に基づいて、充電を実施する場合の電池温度をさらに予測し、この予測に基づいて電池の充電計画を作成する。よって、電池の早期劣化を生じさせないような電池温度にて充電が行われるように、充電計画を作成することが可能となる。また、電池温度を調整するための必要な電力が抑制されるように、充電計画を作成することも可能となる。したがって、充電時の車載電池の劣化と車載電池の充電に伴う電力消費(特に温度調整の電力消費)の増加とをいずれも抑制することができる。
【0110】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、上記の構成および動作の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されず、上記実施の形態は種々変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の充電制御装置は、充電時の車載電池の劣化と車載電池の充電に伴う余分な電力消費の増加とをいずれも抑制することができる効果を有し、車載電池、特にその加熱または冷却を行う手段を備えている車両に搭載されている電池の、充電制御に有用である。
【符号の説明】
【0112】
10 充電制御装置
20 充電コントローラー
50 ホームターミナル
60 宅内コントローラー
101 通信手段
102 情報収集手段
103 相関手段
104 駐車位置判定手段
105 記憶手段
106 電池温度変化予測手段
107 充電計画作成手段
108 充電手段
109 電池温度制御手段
110 電池状態取得手段
111 気温取得手段
112 プラグ接続確認手段
113 報知手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、充電が可能である駐車領域にある前記車両に搭載された電池の充電制御装置であって、
車載電池の温度を予測する予測部と、
前記予測部が予測した前記車載電池の温度に基づいて前記車載電池の充電計画を作成する作成部と、
前記作成部が作成した充電計画に従って前記車載電池の充電を実施する制御部とを備え、
前記予測部は、
駐車開始後から所定時間経過するまでの駐車時間内の前記車載電池の温度を予測し、
前記作成部は、
前記予測部が予測した前記車載電池の温度に基づいて、充電を実施する場合の前記車載電池の温度をさらに予測し、この予測に基づいて前記車載電池の充電計画を作成する充電制御装置。
【請求項2】
前記作成部は、充電を実施する場合の前記車載電池の温度が所定の範囲内にある間に充電が行われるよう充電計画を作成する請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記作成部が作成する前記車載電池の充電計画は、前記車載電池の電池温度調整のための温度調整計画をさらに含むものであり、
前記作成部は、充電中の前記車載電池の温度が前記所定の範囲内を維持するよう充電計画を作成する請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記車載電池の充電状態を表す情報を取得する充電状態取得部をさらに備え、
前記作成部は、
前記充電状態取得部が取得した現在の充電状態を基点として、
充電を実施する場合の前記車載電池の温度を予測する請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記車載電池の温度の実測値を前記車両から取得する電池温度取得部をさらに備え、
前記予測部は、
駐車時間内の前記車両の室温をさらに予測し、
予測した室温に基づいて、前記電池温度取得部が取得した現在の実測値を基準とした前記駐車時間内の前記車載電池の温度を予測する請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記車両の室温および外気温の実測値を前記車両から取得する気温取得部をさらに備え、
前記予測部は、
前記気温取得部が取得した現在の室温および外気温の実測値と、
前記気温取得部が取得した過去の室温および外気温の実測値の差の推移と、
に基づいて前記駐車時間の室温を予測する請求項5に記載の充電制御装置。
【請求項7】
前記駐車領域付近の気象予報情報を取得する気象情報取得部をさらに備え、
前記予測部は、
前記気象情報取得が取得した気象予報情報を用いて駐車時間の室温を予測する請求項5に記載の充電制御装置。
【請求項8】
前記車両の日射強度の実測値を前記車両から取得する日射強度取得部をさらに備え、
前記予測部は、
前記日射強度取得部が取得した現在の実測値を用いて駐車時間の室温を予測する請求項5に記載の充電制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−75282(P2012−75282A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219536(P2010−219536)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】