光ピックアップ
【課題】2波長マルチレーザを用いたDVD/CD共用光ピックアップのような2波長対応光ピックアップにおいて、簡単な光学系構成で各レーザ光束の相対ずれに伴う各制御信号の品質劣化を解消し、フォーカスおよびトラッキング制御信号検出を実現した光ピックアップを提供する。
【解決手段】DVD用光束の中心光軸上とCD用光束の中心光軸上をそれぞれ通る2本の互いに略平行な分割線により3つの領域に分割されたホログラフィック回折格子からなる光導波素子と、複数の3分割受光面からなる光検出器を検出光学系に配置した。これによりDVD再生時、CD再生時の各々において、良好なフォーカスおよびトラッキング制御信号を検出することができる。
【解決手段】DVD用光束の中心光軸上とCD用光束の中心光軸上をそれぞれ通る2本の互いに略平行な分割線により3つの領域に分割されたホログラフィック回折格子からなる光導波素子と、複数の3分割受光面からなる光検出器を検出光学系に配置した。これによりDVD再生時、CD再生時の各々において、良好なフォーカスおよびトラッキング制御信号を検出することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数のレーザ光源を搭載し、複数種類の光学的情報記録媒体に記録された情報信号を再生する機能を備えた光ピックアップに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、単一の光ピックアップで、例えばDVDとCDあるいはBDとDVD等のように使用波長が異なる複数種類の光学的情報記録媒体(以下、簡単のため光ディスクと記す。)の記録あるいは再生に対応した互換光ピックアップとして、各々の光ディスクに記録、再生に適合した波長のレーザ光束を発光する複数の半導体レーザチップを単一の筐体の中に収納したマルチレーザ光源を用い、レンズやビームスプリッタや光検出器等の光学部品をレーザ光束の違いによらず共用化した光ピックアップが実用化され始めている。
【0003】
ところで、このようなマルチレーザ光源を用いた互換光ピックアップにおいては、従来は例えば特許文献1に代表されるような所謂3ビーム方式によるトラッキング制御信号検出手段が最も一般的に用いられている。これはレーザ光源から発したレーザ光束を回折格子などの光学部品を用いて3本のレーザ光束に分離し、これらを対物レンズで集光することで対応する光ディスク上に3個の集光スポットを照射する構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−317280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トラッキング制御信号検出に前記のような3ビーム方式を用いた場合、レーザ光束ごとに対応する各光ディスクに照射される3個の集光スポットの配置方向を光ディスクの記録トラック方向に対して厳密に調整する必要があるが、前記したようなマルチレーザ光源を用いかつレンズやビームスプリッタ等の光学部品を共用化した互換光ピックアップでは、そのレーザ光束ごとの調整が極めて困難である。したがって、光ピックアップの組み立て調整時の利便性を考えた場合、マルチレーザ光源を用いた互換光ピックアップでは、1個の集光スポットを光ディスクに照射し、その集光スポットの反射レーザ光束からフォーカス制御信号やトラッキング制御信号検出を検出するいわゆる1ビーム方式を用いる方が望ましい。
【0006】
一方、マルチレーザ光源を用いた互換光ピックアップでは、単一の筐体内に格納された複数の半導体レーザチップは、互いに所定距離だけ離れて配置されているため、どうしても各々のレーザチップから発光したレーザ光束が互いに所定距離ずれてしまうという問題が起きる。1ビーム方式によってフォーカス制御信号やトラッキング制御信号検出を行う場合、この各レーザ光束の相対ずれが各制御信号品質劣化の大きな原因となっている。
【0007】
以上のような状況に鑑み、本発明では、マルチレーザ光源を用いた互換光ピックアップにおいて、各レーザ光束の相対ずれに伴う前記各制御信号の品質劣化を解消し、簡略な光学系構成で1ビーム方式による良好なフォーカスおよびトラッキング制御信号検出を実現した光ピックアップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明は、光学的情報記録媒体に対してレーザ光束を照射して前記光学的情報記録媒体に記録された情報を読み取る光ピックアップであって、
互いに異なる波長のレーザ光を発光する2個以上のレーザ光発光素子を筐体内に有するレーザ光源と、該レーザ光源を出射したレーザ光束を集光して前記光学的情報記録媒体の情報記録面上に集光スポットを照射する対物レンズと、前記集光スポットの前記情報記録面からの反射レーザ光束が入射され該レーザ光束の0次光束と±1次回折光束を出射する光導波素子と、該光導波素子から出射された前記レーザ光束の0次光束または±1次回折光束が入射され受光した光量に応じた光検出信号を出力する複数の受光面を有する光検出器を有し、
前記光導波素子は、該光導波素子上において前記光学的情報記録媒体の記録トラック方向に相当する方向に対して略平行な少なくとも2本以上の分割線により少なくとも3個の分割領域に分割され、該各分割領域は、前記レーザ光束の0次光束を±1次回折光束とは異なる前記光検出器の受光面に入射させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マルチレーザ光源を用いた互換光ピックアップにおいて、簡略な光学系構成で1ビーム方式による良好なフォーカスおよびトラッキング制御信号検出を実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例における光ピックアップの側面から見た部品配置図。
【図2】本発明の一実施例における光導波素子を示す平面図。
【図3】本発明の一実施例におけるDVD再生時のレーザ光束を示す第1の側面図。
【図4】本発明の一実施例におけるDVD再生時のレーザ光束を示す第2の側面図。
【図5】本発明の一実施例におけるDVD再生時のレーザ光束を示す第3の側面図。
【図6】本発明の一実施例におけるDVD再生時のレーザ光束を示す第4の側面図。
【図7】本発明の一実施例におけるCD再生時のレーザ光束を示す第1の側面図。
【図8】本発明の一実施例におけるCD再生時のレーザ光束を示す第2の側面図。
【図9】本発明の一実施例におけるCD再生時のレーザ光束を示す第3の側面図。
【図10】本発明の一実施例におけるCD再生時のレーザ光束を示す第4の側面図。
【図11】本発明の一実施例におけるDVD再生時の演算処理を示す回路図。
【図12】本発明の一実施例におけるCD再生時の演算処理を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例につき図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の光ピックアップ光学系の一例を示した概略部品配置図である。
光ピックアップ1内には、例えばDVDの記録または再生用として波長650〜660nm帯のレーザ光束を出射する半導体レーザチップ10とCDの記録または再生用として波長780 〜 790nm帯のレーザ光束を出射する半導体レーザ光源20が同一の筐体に格納されたマルチレーザ光源2が配置されており、DVDの記録または再生を行う場合は半導体レーザチップ10が点灯して発散レーザ光束100を出射し、CDの記録または再生を行う場合は半導体レーザチップ20が点灯して発散レーザ光束200を出射するようになっている。なおこのマルチレーザ光源2内のDVD用半導体レーザチップ10とCD用半導体レーザチップ20は、図中に示すように所定間隔L1だけ離れた位置に配置されている。
【0012】
このマルチレーザ光源2内の各半導体レーザチップを発した発散レーザ光束100または200は、ビームスプリッタ3を経てカップリングレンズ4に達し、このカップリングレンズ4によって略平行なレーザ光束に変換されたのち2波長対応対物レンズ5に達する。そしてこの対物レンズ5により集光され、光ディスク6の所定の記録トラック上に所定の集光スポットとして照射される。なお、この時DVD再生用の集光スポットとCD再生用の集光スポットは、光ディスク6の記録トラックに対して略垂直な方向、すなわち光ディスク6の半径方向に略平行方向に沿って照射されるよう前記マルチレーザ光源2内の半導体レーザチップ10および20の並びの方向が定められている。
【0013】
そして、この光ディスク6を反射したレーザ光束は、入射レーザ光束と逆の光路を辿り対物レンズ5、カップリングレンズ4を経てビームスプリッタ3に達し、少なくともその一部の光量に相当するレーザ光束がこのビームスプリッタ3を反射してDVD再生用レーザ光束99またはCD再生用レーザ光束199となって光導波素子7に達する。この光導波素子7は本実施例の主要部品であり、例えば回折格子のようにこの素子に入射したレーザ光束を所定の方向に回折する機能備えている。またこの光導波素子7は、後述するように、少なくとも2本以上の分割線によって少なくとも3個以上の領域に分割されており、この各分割領域に入射したレーザ光束をそれぞれ互いに異なる方向に回折し、光検出器8上に配置された互いに異なる受光面上に導く機能を備えている。
【0014】
次に前記光導波素子7と光検出器8に関する具体的な実施例について述べる。
図2は光導波素子7の概略構成を示す概略平面図である。この光導波素子7は透明平板の基板上に不等間隔で曲線状の格子溝を設けた所謂ホログラフィック回折格子になっている。
【0015】
また、前記したようにマルチレーザ光源2内のDVD用半導体レーザチップ10とCD用半導体レーザチップ20が所定間隔L1だけ離れた位置に配置されていることに起因して、前記光導波素子7に入射するDVD用レーザ光束99とCD用レーザ光束199も所定方向(図2の例ではZ軸方向)に所定距離(図2の例では各レーザ光束の中心光軸98および198間の間隔がL2で表されている。)だけ乖離した位置に入射する。
【0016】
そこで図2の例で前記光導波素子7は、対物レンズ5が中立位置にある場合のDVD用レーザ光束99の中心光軸98上とCD用レーザ光束199の中心光軸198上をそれぞれ通り、レーザ光束99と199の乖離方向に対して略垂直な方向(図2の例ではX軸方向)に伸びた分割線74と75によって71,72、73の3つの分割領域に分割されている。そしてこの各分割領域では、ホログラフィック回折格子の格子溝パターンが異なっており、後述するように各分割領域に入射したDVD用レーザ光束99およびCD用レーザ光束199がそれぞれ互いに異なる方向に回折し、光検出器8上に配置された互いに異なる受光面上に導くよう各分割領域内での格子溝パターンが最適設計されている。
【0017】
すなわち、DVD再生時に前記光導波素子7に入射したDVD用レーザ光束99には新たに+1次回折光束と−1次回折光束が発生するが、このうち分割領域71に入射した光束については、図3に示すように、+1次回折光束として光束101aが、−1次回折光束として光束101bが生じる。
このうち+1次回折光束101aは、図中に示すように光検出器8内に配置された80乃至85の合計6個の受光面のうち、上から2番目の受光面81に入射する。
【0018】
さらに、この+1次回折光束101aには、分割領域71内に設けたホログラフィック回折格子により、所定の正レンズパワーすなわち収束レンズ相当のパワーが加えられ、光ディスク6上の集光スポットがちょうどジャストフォーカス状態の場合に、図中に示すように光検出器8の手前で一旦集光点が生じ、光検出器8内の受光面81には所定量だけデフォーカスした光スポット111aが入射するようになっている。
一方、−1次回折光束101bは、図中に示すように光検出器8内に配置された合計6個の受光面のうち、上から4番目の受光面82に入射する。
【0019】
しかも前記したように、+1次回折光束101aには分割領域71内に設けたホログラフィック回折格子により所定の正レンズパワーが加えられているため、必然的に−1次回折光束101bには負のレンズパワーすなわち発散レンズ相当のパワーが加えられ、図中に示すように受光面82には前記光スポット111aとは逆方向に所定量デフォーカスした光スポット111bが入射するようになっている。
【0020】
全く同様に、前記光導波素子7に入射したDVD用レーザ光束99のうち、分割領域72に入射した光束については、図4に示すように、+1次回折光束として光束102aが、−1次回折光束として光束102bが生じる。そして+1次回折光束102aには前記101aと同様の正レンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット111aと同様所定量だけデフォーカスした光スポット112aとして光検出器8内に配置された合計6個の受光面のうち1番上の受光面83に入射する。
【0021】
一方、−1次回折光束102bについても前記−1次回折光束101bと同様の負のレンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット111bと同様前記光スポット112aとは逆方向に所定量デフォーカスした光スポット112bとして受光面84に入射する。
【0022】
さらに、前記光導波素子7に入射したDVD用レーザ光束99のうち、分割領域73に入射した光束についても、図5に示すように、+1次回折光束として光束103aが、−1次回折光束として光束103bが生じるが、このうち+1次回折光束103aには前記101aや102aと同様の正レンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット111aや112aと全く同様、所定量だけデフォーカスした光スポット113aとして光検出面8内の受光面に入射する。
ただし、この光スポット113aについては、前記光スポット112aと同一の受光面83に入射するように設計されている。
【0023】
一方、−1次回折光束103bについては、前記−1次回折光束101bや102bと同様の負のレンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット111bや112bと同様に前記光スポット113aとは逆方向に所定量デフォーカスした光スポット113bとして光検出面8内の受光面に入射するが、その際、光スポット113bは光スポット112bと同一の受光面84に入射するように設計されている。
【0024】
なお、前記光導波素子7に入射したDVD用レーザ光束99のうちその光量の一部は、図6に示すように、回折せずにこの光導波素子7をそのまま透過する光(0次光)束100も存在するが、そのように光導波素子7をそのまま透過した0次光束100は、光検出器8内にある各受光面のうち上から3番目の受光面80に入射する。しかもこの0次光束100は、光ディスク6上の集光スポットがちょうどジャストフォーカス状態の場合に、受光面80上でほぼジャストフォーカス状態の光スポットを形成するように設計されている。
【0025】
以上、DVD再生時における光導波素子7から光検出器8内の各光面に至る検出光束(ディスク反射光束)の状態の一例を説明したが、次に同じ光ピックアップでCDを再生した場合について以下に説明する。
【0026】
CD用のレーザ光束の波長は一般に780 〜 790nm帯で、前記したDVD用のレーザ光束の波長650〜〜660nm帯より長い。したがって、同じ光導波素子7内のホログラフィック回折格子で回折される場合、その回折角はDVD用レーザ光束より大きくなる。この波動光学的な性質と、前記したように光導波素子7に入射するDVD用レーザ光束99とCD用レーザ光束199が所定間隔L2だけ乖離して入射する構成を利用し、DVD再生時の光導波素子7から光検出器8内の各光面に至る検出光束(ディスク反射光束)の状態が上記した状態になり、かつCD再生時の光導波素子7から光検出器8内の各光面に至る検出光束(ディスク反射光束)の状態が以下のようになるよう光導波素子7内の各分割領域71乃至73内のホログラフィック回折格子パターンが設計される。
【0027】
すなわち、CD再生時に前記光導波素子7に入射したCD用レーザ光束199には新たに+1次回折光束と−1次回折光束が発生するが、このうち分割領域71に入射した光束については、図7に示すように、+1次回折光束として光束201aが、−1次回折光束として光束201bが生じる。
このうち+1次回折光束201aは、図中に示すように光検出器8内に配置された80乃至85の合計6個の受光面のうち、上から3番目の受光面80に入射する。
【0028】
さらに、この+1次回折光束101aには、分割領域71内に設けたホログラフィック回折格子により、所定の正レンズパワーすなわち収束レンズ相当のパワーが加えられ、光ディスク6上の集光スポットがちょうどジャストフォーカス状態の場合に、図中に示すように光検出器8の手前で一旦集光点が生じ、光検出器8内の受光面81には所定量だけデフォーカスした光スポット211aが入射するようになっている。
一方、−1次回折光束201bは、図中に示すように光検出器8内に配置された合計6個の受光面のうち、上から5番目の受光面84に入射する。
【0029】
しかも前記したように、+1次回折光束201aには分割領域71内に設けたホログラフィック回折格子により所定の正レンズパワーが加えられているため、必然的に−1次回折光束201bには負のレンズパワーすなわち発散レンズ相当のパワーが加えられ、図中に示すように受光面84には前記光スポット211aとは逆方向に所定量デフォーカスした光スポット211bが入射するようになっている。
【0030】
全く同様に、前記光導波素子7に入射したCD用レーザ光束199のうち、分割領域72に入射した光束については、図8に示すように、+1次回折光束として光束202aが、−1次回折光束として光束202bが生じる。そして+1次回折光束202aには前記201aと同様の正レンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット211aと同様所定量だけデフォーカスした光スポット212aとして光検出器8内に配置された合計6個の受光面のうち上から2番目の受光面81に入射する。
【0031】
一方、−1次回折光束202bについても前記−1次回折光束201bと同様の負のレンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット211bと同様前記光スポット212aとは逆方向に所定量デフォーカスした光スポット212bとして光検出面8内の受光面に入射する。
ただし、この光スポット212bについては、前記光スポット211bと同一の受光面84に入射するように設計されている。
【0032】
さらに、前記光導波素子7に入射したCD用レーザ光束199のうち、分割領域73に入射した光束についても、図9に示すように、+1次回折光束として光束203aが、−1次回折光束として光束203bが生じるが、このうち+1次回折光束203aには前記201aや202aと同様の正レンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット211aや212aと全く同様、所定量だけデフォーカスした光スポット213aとして光検出面8内の受光面83に入射する。
【0033】
一方、−1次回折光束203bについては、前記−1次回折光束201bや202bと同様の負のレンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット211bや212bと同様に前記光スポット213aとは逆方向に所定量デフォーカスした光スポット213bとして光検出面8内で最も下にある受光面85に入射する。
【0034】
なお、前記光導波素子7に入射したCD用レーザ光束199のうちその光量の一部は、図10に示すように前記したDVD用レーザ光束と同様に回折せずにこの光導波素子7をそのまま透過する光(0次光)束200も存在するが、そのように光導波素子7をそのまま透過した0次光束200は、光検出器8内にある各受光面のうち上から4番目の受光面82に入射する。しかもこの0次光束200は、光ディスク6上の集光スポットがちょうどジャストフォーカス状態の場合に、受光面80上でほぼジャストフォーカス状態の光スポットを形成するように設計されている。
【0035】
なお以上の説明は、DVD再生時およびCD再生時における光導波素子7から光検出器8内の各光面に至る検出光束(ディスク反射光束)の状態の一例を示したものであるが、当然の事ながら本発明はこの実施例に限定されるものではない。
例えば、前記光導波素子7に設けたホログラフィック回折格子による±1次回折光束の回折方向とそれぞれに付加される正負のレンズパワーの組み合わせが、前記実施例と逆転した組み合わせであっても一向に構わない。
【0036】
次に光検出器8内の各受光面に照射される光スポットの状態と各種信号を検出するための電気回路の実施例の概略を図11および図12に示す。
図11はDVD再生時における光検出器8内の各受光面80乃至84に照射される光スポットの状態と各種信号を検出するための電気回路の実施例を示した概略平面図および概略回路図である。
【0037】
光検出器8内の各受光面80乃至85は、それぞれ中央部の帯状の領域とそれを両側から挟むように配置された合計3つの受光面領域に分割され、各分割受光面からはそれぞれ独立に各々の分割受光面に入射する光スポットの光量に比例した信号電流が検出されるようになっている。そして各分割受光面から検出された信号電流は、複数の独立した電流−電圧変換アンプからなる電流−電圧変換器300を経ることにより信号電圧に変換される。なお、今後の説明を分かりやすくするために、このように電圧変換された各分割受光面からの検出信号に図中に示す如くそれぞれ信号名S80aおよびS81a乃至S84cを付しておく。
【0038】
ところで前記図3乃至図6で説明したように、受光面81および82には前記光導波素子7に入射したDVD用光束99のうち分割領域71に入射した光束の±1次回折光束が集光照射し光スポット111aと111bを形成している。この分割領域71に入射したDVD用光束とは、図2から明らかにように、入射DVD用光束99のうちその中心光軸98を通る分割線74に対して光束の上半分の部分に相当する。
しかも前記光スポット111aと111bは、前記したように互いに逆向きに所定量だけでフォーカスした光スポットになっている。
【0039】
一方、受光面83および84には前記光導波素子7に入射したDVD用光束99のうち分割領域72および73に入射した光束の±1次回折光束が集光照射し光スポット112aおよび113aと112bおよび113bを形成している。
この分割領域72および73に入射したDVD用光束とは、これは前記した光スポット111aと111bとは逆に、DVD用光束99のうちその中心光軸98を通る分割線74に対して光束の下半分の部分に相当する。
【0040】
しかも前記光スポット112aおよび113aと112bおよび113bは、前記したように互いに逆向きに所定量だけでフォーカスした光スポットになっている。
また前記光導波素子7をそのまま透過したDVD用光束99の0次光束は集光スポット110として、受光面80の中央帯部受光領域に入射している。
【0041】
以上のような状態で光導波素子7に入射したDVD用光束99が分割回折され各受光面に入射しているため、図中に示すような演算回路を経て各分割受光面から得られた検出信号80aおよび81a乃至85cからフォーカス制御信号(FES)、トラッキング制御信号(TES)および情報再生信号(RF)が以下の演算式に従った信号として検出される。すなわち
FES(DVD)=(S81b+S81c+S83b+S83c+S82a+S84a)
-(S81a+S83a+ S82b+S82c+S84b+S84c) ……(式1)
上記演算式は、一般にスポット・サイズ・ディテクション方式(SSD方式)と呼ばれる検出方式にてフォーカス制御信号を検出することを意味している。なおこのSSD方式については、既に公知のフォーカス検出方式であるので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0042】
一方、トラッキング制御信号(TES)は、
TES(DVD)=(S82a-S84a)-{(S82b+S82c)- (S84b+S84c)} ……(式2)
上記演算式は、一般にアドバンス・プッシュプル方式(APP方式)もしくは1ビームディファレンシャル・プッシュプル方式(1ビームDPP方式)と呼ばれる検出方式にてトラッキング制御信号を検出することを意味している。なおこのAPP方式または1ビームDPP方式については、既に公知のトラッキング検出方式であるので、これ以上詳しい説明は省略する。
なお情報再生信号(RF)については、0次光束の集光スポット110が入射する受光面80の中央帯部受光領域からの検出信号S80aから再生される。
【0043】
次にCD再生時について説明する。図12はCD再生時における光検出器8内の各受光面80乃至85に照射される光スポットの状態と各種信号を検出するための電気回路の実施例を示した概略平面図および概略回路図である。なお当然のことながら光検出器8内の各受光面80乃至85の構成および配置は、前記図11で説明したDVD再生時と全く同一であり同じ番号を付している。
なお、今後の説明を分かりやすくするために、このように電圧変換された各分割受光面からの検出信号に図11の場合と同様図中に示す如くそれぞれ信号名S80a乃至S81c、S83a乃至S85cおよびS82aを付しておく。
【0044】
CD再生時には、受光面80、81および84には前記光導波素子7に入射したCD用光束199のうち分割領域71および72に入射した光束の±1次回折光束が集光照射し光スポット211aおよび212aと211bおよび212bを形成している。この分割領域71および72に入射したCD用光束とは、図2から明らかにように、入射CD用光束199のうちその中心光軸198を通る分割線75に対して光束の上半分の部分に相当する。
しかも前記光スポット211aおよび212aと211bおよび212bは、前記したように互いに逆向きに所定量だけでフォーカスした光スポットになっている。
【0045】
一方、受光面83および85には前記光導波素子7に入射したCD用光束199のうち分割領域73に入射した光束の±1次回折光束が集光照射し光スポット213aと213bを形成している。
この分割領域73に入射したCD用光束とは、これは前記した光スポット211aおよび212aと211bおよび212bとは逆に、CD用光束199の中心光軸198を通る分割線75に対して光束の下半分の部分に相当する。
【0046】
しかも前記光スポット213aと213bは、これまでの説明と同様、互いに逆向きに所定量だけでフォーカスした光スポットになっている。
また前記光導波素子7をそのまま透過したCD用光束199の0次光束は集光スポット210として、受光面82の中央帯部受光領域に入射している。
【0047】
以上のような状態で光導波素子7に入射したCD用光束199が分割回折され各受光面に入射しているため、図中に示すような演算回路を経て各分割受光面から得られた各検出信号80a乃至S81c、S83a乃至S85cおよびS82aからフォーカス制御信号(FES)、トラッキング制御信号(TES)および情報再生信号(RF)が以下の演算式に従った信号として検出される。すなわち
FES(CD)=(S80b+S80c+S81b+S81c+S83b+S83c+S84a+S85a)
-(S80a+S81a+S83a+S84b+S84c+S85b+S85c) ……(式3)
上記演算式は、一般にスポット・サイズ・ディテクション方式(SSD方式)と呼ばれる検出方式にてフォーカス制御信号を検出することを意味している。なおこのSSD方式については、既に公知のフォーカス検出方式であるので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0048】
一方、トラッキング制御信号(TES)は、
TES(CD)=(S84a-S85a)-{(S84b+S84c)- (S85b+S85c)} ……(式4)
上記演算式は、一般にアドバンス・プッシュプル方式(APP方式)もしくは1ビームディファレンシャル・プッシュプル方式(1ビームDPP方式)と呼ばれる検出方式にてトラッキング制御信号を検出することを意味している。なおこのAPP方式または1ビームDPP方式については、既に公知のトラッキング検出方式であるので、これ以上詳しい説明は省略する。
なお情報再生信号(RF)については、0次光束の集光スポット210が入射する受光面82の中央帯部受光領域からの検出信号S82aから再生される。
【0049】
なお、図11および図12に示す各演算回路の結線状態は、図11に示すDVD再生時の場合と図12に示すCD再生時の場合で若干異なる。このような異なる結線状態を切り替えるためには、例えば演算回路中に幾つかの切り替えスイッチを設け、DVD再生時とCD再生時でその切り替えスイッチを切り替えることにより別々の結線状態を実現させることができる。
以上説明したように、同一の光導波素子7および光検出器8を備えた同一の光ピックアップ1によってDVD記録または再生やCDの記録または再生が実現できる。
【0050】
なお以上述べたようなDVD再生時またはCD再生時においては、(式1)や(式2)で示すような実施例以外に、例えばフォーカス制御信号は+1次回折光のみから、トラッキング制御信号は−1次回折光のみから生成する構成、あるいはそれとは逆に、フォーカス制御信号を−1次回折光から、トラッキング制御信号を+1次回折光から生成する構成もある。このような場合のフォーカス制御信号の検出方式としては、例えばナイフ・エッジ方式を適用することができる。
【0051】
さらに今回の実施例は、DVDとCDを共通の光ピックアップで記録または再生する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば一般にBlu−rayディスク(BD)と呼ばれている次世代の大容量光ディスクの記録・再生用光ピックアップとDVDあるいはCD用光ピックアップが共用化されるような場合においても本発明を適用することができる。
【0052】
前記したフォーカス制御信号やトラッキング制御信号を生成するための演算器401乃至406、501乃至504は、光ピックアップの外部に設けられた回路部品で構成されても良いが、光ピックアップに内蔵されていても良い。
以上述べた他にも変更を加えた実施例を考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0053】
1:光ピックアップ、2:2波長マルチレーザ光源、5:2波長対応対物レンズ、6:光ディスク、7:光導波素子、8:光検出器、80〜85:受光面。
【技術分野】
【0001】
本発明は複数のレーザ光源を搭載し、複数種類の光学的情報記録媒体に記録された情報信号を再生する機能を備えた光ピックアップに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、単一の光ピックアップで、例えばDVDとCDあるいはBDとDVD等のように使用波長が異なる複数種類の光学的情報記録媒体(以下、簡単のため光ディスクと記す。)の記録あるいは再生に対応した互換光ピックアップとして、各々の光ディスクに記録、再生に適合した波長のレーザ光束を発光する複数の半導体レーザチップを単一の筐体の中に収納したマルチレーザ光源を用い、レンズやビームスプリッタや光検出器等の光学部品をレーザ光束の違いによらず共用化した光ピックアップが実用化され始めている。
【0003】
ところで、このようなマルチレーザ光源を用いた互換光ピックアップにおいては、従来は例えば特許文献1に代表されるような所謂3ビーム方式によるトラッキング制御信号検出手段が最も一般的に用いられている。これはレーザ光源から発したレーザ光束を回折格子などの光学部品を用いて3本のレーザ光束に分離し、これらを対物レンズで集光することで対応する光ディスク上に3個の集光スポットを照射する構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−317280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トラッキング制御信号検出に前記のような3ビーム方式を用いた場合、レーザ光束ごとに対応する各光ディスクに照射される3個の集光スポットの配置方向を光ディスクの記録トラック方向に対して厳密に調整する必要があるが、前記したようなマルチレーザ光源を用いかつレンズやビームスプリッタ等の光学部品を共用化した互換光ピックアップでは、そのレーザ光束ごとの調整が極めて困難である。したがって、光ピックアップの組み立て調整時の利便性を考えた場合、マルチレーザ光源を用いた互換光ピックアップでは、1個の集光スポットを光ディスクに照射し、その集光スポットの反射レーザ光束からフォーカス制御信号やトラッキング制御信号検出を検出するいわゆる1ビーム方式を用いる方が望ましい。
【0006】
一方、マルチレーザ光源を用いた互換光ピックアップでは、単一の筐体内に格納された複数の半導体レーザチップは、互いに所定距離だけ離れて配置されているため、どうしても各々のレーザチップから発光したレーザ光束が互いに所定距離ずれてしまうという問題が起きる。1ビーム方式によってフォーカス制御信号やトラッキング制御信号検出を行う場合、この各レーザ光束の相対ずれが各制御信号品質劣化の大きな原因となっている。
【0007】
以上のような状況に鑑み、本発明では、マルチレーザ光源を用いた互換光ピックアップにおいて、各レーザ光束の相対ずれに伴う前記各制御信号の品質劣化を解消し、簡略な光学系構成で1ビーム方式による良好なフォーカスおよびトラッキング制御信号検出を実現した光ピックアップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明は、光学的情報記録媒体に対してレーザ光束を照射して前記光学的情報記録媒体に記録された情報を読み取る光ピックアップであって、
互いに異なる波長のレーザ光を発光する2個以上のレーザ光発光素子を筐体内に有するレーザ光源と、該レーザ光源を出射したレーザ光束を集光して前記光学的情報記録媒体の情報記録面上に集光スポットを照射する対物レンズと、前記集光スポットの前記情報記録面からの反射レーザ光束が入射され該レーザ光束の0次光束と±1次回折光束を出射する光導波素子と、該光導波素子から出射された前記レーザ光束の0次光束または±1次回折光束が入射され受光した光量に応じた光検出信号を出力する複数の受光面を有する光検出器を有し、
前記光導波素子は、該光導波素子上において前記光学的情報記録媒体の記録トラック方向に相当する方向に対して略平行な少なくとも2本以上の分割線により少なくとも3個の分割領域に分割され、該各分割領域は、前記レーザ光束の0次光束を±1次回折光束とは異なる前記光検出器の受光面に入射させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マルチレーザ光源を用いた互換光ピックアップにおいて、簡略な光学系構成で1ビーム方式による良好なフォーカスおよびトラッキング制御信号検出を実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例における光ピックアップの側面から見た部品配置図。
【図2】本発明の一実施例における光導波素子を示す平面図。
【図3】本発明の一実施例におけるDVD再生時のレーザ光束を示す第1の側面図。
【図4】本発明の一実施例におけるDVD再生時のレーザ光束を示す第2の側面図。
【図5】本発明の一実施例におけるDVD再生時のレーザ光束を示す第3の側面図。
【図6】本発明の一実施例におけるDVD再生時のレーザ光束を示す第4の側面図。
【図7】本発明の一実施例におけるCD再生時のレーザ光束を示す第1の側面図。
【図8】本発明の一実施例におけるCD再生時のレーザ光束を示す第2の側面図。
【図9】本発明の一実施例におけるCD再生時のレーザ光束を示す第3の側面図。
【図10】本発明の一実施例におけるCD再生時のレーザ光束を示す第4の側面図。
【図11】本発明の一実施例におけるDVD再生時の演算処理を示す回路図。
【図12】本発明の一実施例におけるCD再生時の演算処理を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例につき図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の光ピックアップ光学系の一例を示した概略部品配置図である。
光ピックアップ1内には、例えばDVDの記録または再生用として波長650〜660nm帯のレーザ光束を出射する半導体レーザチップ10とCDの記録または再生用として波長780 〜 790nm帯のレーザ光束を出射する半導体レーザ光源20が同一の筐体に格納されたマルチレーザ光源2が配置されており、DVDの記録または再生を行う場合は半導体レーザチップ10が点灯して発散レーザ光束100を出射し、CDの記録または再生を行う場合は半導体レーザチップ20が点灯して発散レーザ光束200を出射するようになっている。なおこのマルチレーザ光源2内のDVD用半導体レーザチップ10とCD用半導体レーザチップ20は、図中に示すように所定間隔L1だけ離れた位置に配置されている。
【0012】
このマルチレーザ光源2内の各半導体レーザチップを発した発散レーザ光束100または200は、ビームスプリッタ3を経てカップリングレンズ4に達し、このカップリングレンズ4によって略平行なレーザ光束に変換されたのち2波長対応対物レンズ5に達する。そしてこの対物レンズ5により集光され、光ディスク6の所定の記録トラック上に所定の集光スポットとして照射される。なお、この時DVD再生用の集光スポットとCD再生用の集光スポットは、光ディスク6の記録トラックに対して略垂直な方向、すなわち光ディスク6の半径方向に略平行方向に沿って照射されるよう前記マルチレーザ光源2内の半導体レーザチップ10および20の並びの方向が定められている。
【0013】
そして、この光ディスク6を反射したレーザ光束は、入射レーザ光束と逆の光路を辿り対物レンズ5、カップリングレンズ4を経てビームスプリッタ3に達し、少なくともその一部の光量に相当するレーザ光束がこのビームスプリッタ3を反射してDVD再生用レーザ光束99またはCD再生用レーザ光束199となって光導波素子7に達する。この光導波素子7は本実施例の主要部品であり、例えば回折格子のようにこの素子に入射したレーザ光束を所定の方向に回折する機能備えている。またこの光導波素子7は、後述するように、少なくとも2本以上の分割線によって少なくとも3個以上の領域に分割されており、この各分割領域に入射したレーザ光束をそれぞれ互いに異なる方向に回折し、光検出器8上に配置された互いに異なる受光面上に導く機能を備えている。
【0014】
次に前記光導波素子7と光検出器8に関する具体的な実施例について述べる。
図2は光導波素子7の概略構成を示す概略平面図である。この光導波素子7は透明平板の基板上に不等間隔で曲線状の格子溝を設けた所謂ホログラフィック回折格子になっている。
【0015】
また、前記したようにマルチレーザ光源2内のDVD用半導体レーザチップ10とCD用半導体レーザチップ20が所定間隔L1だけ離れた位置に配置されていることに起因して、前記光導波素子7に入射するDVD用レーザ光束99とCD用レーザ光束199も所定方向(図2の例ではZ軸方向)に所定距離(図2の例では各レーザ光束の中心光軸98および198間の間隔がL2で表されている。)だけ乖離した位置に入射する。
【0016】
そこで図2の例で前記光導波素子7は、対物レンズ5が中立位置にある場合のDVD用レーザ光束99の中心光軸98上とCD用レーザ光束199の中心光軸198上をそれぞれ通り、レーザ光束99と199の乖離方向に対して略垂直な方向(図2の例ではX軸方向)に伸びた分割線74と75によって71,72、73の3つの分割領域に分割されている。そしてこの各分割領域では、ホログラフィック回折格子の格子溝パターンが異なっており、後述するように各分割領域に入射したDVD用レーザ光束99およびCD用レーザ光束199がそれぞれ互いに異なる方向に回折し、光検出器8上に配置された互いに異なる受光面上に導くよう各分割領域内での格子溝パターンが最適設計されている。
【0017】
すなわち、DVD再生時に前記光導波素子7に入射したDVD用レーザ光束99には新たに+1次回折光束と−1次回折光束が発生するが、このうち分割領域71に入射した光束については、図3に示すように、+1次回折光束として光束101aが、−1次回折光束として光束101bが生じる。
このうち+1次回折光束101aは、図中に示すように光検出器8内に配置された80乃至85の合計6個の受光面のうち、上から2番目の受光面81に入射する。
【0018】
さらに、この+1次回折光束101aには、分割領域71内に設けたホログラフィック回折格子により、所定の正レンズパワーすなわち収束レンズ相当のパワーが加えられ、光ディスク6上の集光スポットがちょうどジャストフォーカス状態の場合に、図中に示すように光検出器8の手前で一旦集光点が生じ、光検出器8内の受光面81には所定量だけデフォーカスした光スポット111aが入射するようになっている。
一方、−1次回折光束101bは、図中に示すように光検出器8内に配置された合計6個の受光面のうち、上から4番目の受光面82に入射する。
【0019】
しかも前記したように、+1次回折光束101aには分割領域71内に設けたホログラフィック回折格子により所定の正レンズパワーが加えられているため、必然的に−1次回折光束101bには負のレンズパワーすなわち発散レンズ相当のパワーが加えられ、図中に示すように受光面82には前記光スポット111aとは逆方向に所定量デフォーカスした光スポット111bが入射するようになっている。
【0020】
全く同様に、前記光導波素子7に入射したDVD用レーザ光束99のうち、分割領域72に入射した光束については、図4に示すように、+1次回折光束として光束102aが、−1次回折光束として光束102bが生じる。そして+1次回折光束102aには前記101aと同様の正レンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット111aと同様所定量だけデフォーカスした光スポット112aとして光検出器8内に配置された合計6個の受光面のうち1番上の受光面83に入射する。
【0021】
一方、−1次回折光束102bについても前記−1次回折光束101bと同様の負のレンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット111bと同様前記光スポット112aとは逆方向に所定量デフォーカスした光スポット112bとして受光面84に入射する。
【0022】
さらに、前記光導波素子7に入射したDVD用レーザ光束99のうち、分割領域73に入射した光束についても、図5に示すように、+1次回折光束として光束103aが、−1次回折光束として光束103bが生じるが、このうち+1次回折光束103aには前記101aや102aと同様の正レンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット111aや112aと全く同様、所定量だけデフォーカスした光スポット113aとして光検出面8内の受光面に入射する。
ただし、この光スポット113aについては、前記光スポット112aと同一の受光面83に入射するように設計されている。
【0023】
一方、−1次回折光束103bについては、前記−1次回折光束101bや102bと同様の負のレンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット111bや112bと同様に前記光スポット113aとは逆方向に所定量デフォーカスした光スポット113bとして光検出面8内の受光面に入射するが、その際、光スポット113bは光スポット112bと同一の受光面84に入射するように設計されている。
【0024】
なお、前記光導波素子7に入射したDVD用レーザ光束99のうちその光量の一部は、図6に示すように、回折せずにこの光導波素子7をそのまま透過する光(0次光)束100も存在するが、そのように光導波素子7をそのまま透過した0次光束100は、光検出器8内にある各受光面のうち上から3番目の受光面80に入射する。しかもこの0次光束100は、光ディスク6上の集光スポットがちょうどジャストフォーカス状態の場合に、受光面80上でほぼジャストフォーカス状態の光スポットを形成するように設計されている。
【0025】
以上、DVD再生時における光導波素子7から光検出器8内の各光面に至る検出光束(ディスク反射光束)の状態の一例を説明したが、次に同じ光ピックアップでCDを再生した場合について以下に説明する。
【0026】
CD用のレーザ光束の波長は一般に780 〜 790nm帯で、前記したDVD用のレーザ光束の波長650〜〜660nm帯より長い。したがって、同じ光導波素子7内のホログラフィック回折格子で回折される場合、その回折角はDVD用レーザ光束より大きくなる。この波動光学的な性質と、前記したように光導波素子7に入射するDVD用レーザ光束99とCD用レーザ光束199が所定間隔L2だけ乖離して入射する構成を利用し、DVD再生時の光導波素子7から光検出器8内の各光面に至る検出光束(ディスク反射光束)の状態が上記した状態になり、かつCD再生時の光導波素子7から光検出器8内の各光面に至る検出光束(ディスク反射光束)の状態が以下のようになるよう光導波素子7内の各分割領域71乃至73内のホログラフィック回折格子パターンが設計される。
【0027】
すなわち、CD再生時に前記光導波素子7に入射したCD用レーザ光束199には新たに+1次回折光束と−1次回折光束が発生するが、このうち分割領域71に入射した光束については、図7に示すように、+1次回折光束として光束201aが、−1次回折光束として光束201bが生じる。
このうち+1次回折光束201aは、図中に示すように光検出器8内に配置された80乃至85の合計6個の受光面のうち、上から3番目の受光面80に入射する。
【0028】
さらに、この+1次回折光束101aには、分割領域71内に設けたホログラフィック回折格子により、所定の正レンズパワーすなわち収束レンズ相当のパワーが加えられ、光ディスク6上の集光スポットがちょうどジャストフォーカス状態の場合に、図中に示すように光検出器8の手前で一旦集光点が生じ、光検出器8内の受光面81には所定量だけデフォーカスした光スポット211aが入射するようになっている。
一方、−1次回折光束201bは、図中に示すように光検出器8内に配置された合計6個の受光面のうち、上から5番目の受光面84に入射する。
【0029】
しかも前記したように、+1次回折光束201aには分割領域71内に設けたホログラフィック回折格子により所定の正レンズパワーが加えられているため、必然的に−1次回折光束201bには負のレンズパワーすなわち発散レンズ相当のパワーが加えられ、図中に示すように受光面84には前記光スポット211aとは逆方向に所定量デフォーカスした光スポット211bが入射するようになっている。
【0030】
全く同様に、前記光導波素子7に入射したCD用レーザ光束199のうち、分割領域72に入射した光束については、図8に示すように、+1次回折光束として光束202aが、−1次回折光束として光束202bが生じる。そして+1次回折光束202aには前記201aと同様の正レンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット211aと同様所定量だけデフォーカスした光スポット212aとして光検出器8内に配置された合計6個の受光面のうち上から2番目の受光面81に入射する。
【0031】
一方、−1次回折光束202bについても前記−1次回折光束201bと同様の負のレンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット211bと同様前記光スポット212aとは逆方向に所定量デフォーカスした光スポット212bとして光検出面8内の受光面に入射する。
ただし、この光スポット212bについては、前記光スポット211bと同一の受光面84に入射するように設計されている。
【0032】
さらに、前記光導波素子7に入射したCD用レーザ光束199のうち、分割領域73に入射した光束についても、図9に示すように、+1次回折光束として光束203aが、−1次回折光束として光束203bが生じるが、このうち+1次回折光束203aには前記201aや202aと同様の正レンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット211aや212aと全く同様、所定量だけデフォーカスした光スポット213aとして光検出面8内の受光面83に入射する。
【0033】
一方、−1次回折光束203bについては、前記−1次回折光束201bや202bと同様の負のレンズパワーが加えられ、図中に示すように前記光スポット211bや212bと同様に前記光スポット213aとは逆方向に所定量デフォーカスした光スポット213bとして光検出面8内で最も下にある受光面85に入射する。
【0034】
なお、前記光導波素子7に入射したCD用レーザ光束199のうちその光量の一部は、図10に示すように前記したDVD用レーザ光束と同様に回折せずにこの光導波素子7をそのまま透過する光(0次光)束200も存在するが、そのように光導波素子7をそのまま透過した0次光束200は、光検出器8内にある各受光面のうち上から4番目の受光面82に入射する。しかもこの0次光束200は、光ディスク6上の集光スポットがちょうどジャストフォーカス状態の場合に、受光面80上でほぼジャストフォーカス状態の光スポットを形成するように設計されている。
【0035】
なお以上の説明は、DVD再生時およびCD再生時における光導波素子7から光検出器8内の各光面に至る検出光束(ディスク反射光束)の状態の一例を示したものであるが、当然の事ながら本発明はこの実施例に限定されるものではない。
例えば、前記光導波素子7に設けたホログラフィック回折格子による±1次回折光束の回折方向とそれぞれに付加される正負のレンズパワーの組み合わせが、前記実施例と逆転した組み合わせであっても一向に構わない。
【0036】
次に光検出器8内の各受光面に照射される光スポットの状態と各種信号を検出するための電気回路の実施例の概略を図11および図12に示す。
図11はDVD再生時における光検出器8内の各受光面80乃至84に照射される光スポットの状態と各種信号を検出するための電気回路の実施例を示した概略平面図および概略回路図である。
【0037】
光検出器8内の各受光面80乃至85は、それぞれ中央部の帯状の領域とそれを両側から挟むように配置された合計3つの受光面領域に分割され、各分割受光面からはそれぞれ独立に各々の分割受光面に入射する光スポットの光量に比例した信号電流が検出されるようになっている。そして各分割受光面から検出された信号電流は、複数の独立した電流−電圧変換アンプからなる電流−電圧変換器300を経ることにより信号電圧に変換される。なお、今後の説明を分かりやすくするために、このように電圧変換された各分割受光面からの検出信号に図中に示す如くそれぞれ信号名S80aおよびS81a乃至S84cを付しておく。
【0038】
ところで前記図3乃至図6で説明したように、受光面81および82には前記光導波素子7に入射したDVD用光束99のうち分割領域71に入射した光束の±1次回折光束が集光照射し光スポット111aと111bを形成している。この分割領域71に入射したDVD用光束とは、図2から明らかにように、入射DVD用光束99のうちその中心光軸98を通る分割線74に対して光束の上半分の部分に相当する。
しかも前記光スポット111aと111bは、前記したように互いに逆向きに所定量だけでフォーカスした光スポットになっている。
【0039】
一方、受光面83および84には前記光導波素子7に入射したDVD用光束99のうち分割領域72および73に入射した光束の±1次回折光束が集光照射し光スポット112aおよび113aと112bおよび113bを形成している。
この分割領域72および73に入射したDVD用光束とは、これは前記した光スポット111aと111bとは逆に、DVD用光束99のうちその中心光軸98を通る分割線74に対して光束の下半分の部分に相当する。
【0040】
しかも前記光スポット112aおよび113aと112bおよび113bは、前記したように互いに逆向きに所定量だけでフォーカスした光スポットになっている。
また前記光導波素子7をそのまま透過したDVD用光束99の0次光束は集光スポット110として、受光面80の中央帯部受光領域に入射している。
【0041】
以上のような状態で光導波素子7に入射したDVD用光束99が分割回折され各受光面に入射しているため、図中に示すような演算回路を経て各分割受光面から得られた検出信号80aおよび81a乃至85cからフォーカス制御信号(FES)、トラッキング制御信号(TES)および情報再生信号(RF)が以下の演算式に従った信号として検出される。すなわち
FES(DVD)=(S81b+S81c+S83b+S83c+S82a+S84a)
-(S81a+S83a+ S82b+S82c+S84b+S84c) ……(式1)
上記演算式は、一般にスポット・サイズ・ディテクション方式(SSD方式)と呼ばれる検出方式にてフォーカス制御信号を検出することを意味している。なおこのSSD方式については、既に公知のフォーカス検出方式であるので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0042】
一方、トラッキング制御信号(TES)は、
TES(DVD)=(S82a-S84a)-{(S82b+S82c)- (S84b+S84c)} ……(式2)
上記演算式は、一般にアドバンス・プッシュプル方式(APP方式)もしくは1ビームディファレンシャル・プッシュプル方式(1ビームDPP方式)と呼ばれる検出方式にてトラッキング制御信号を検出することを意味している。なおこのAPP方式または1ビームDPP方式については、既に公知のトラッキング検出方式であるので、これ以上詳しい説明は省略する。
なお情報再生信号(RF)については、0次光束の集光スポット110が入射する受光面80の中央帯部受光領域からの検出信号S80aから再生される。
【0043】
次にCD再生時について説明する。図12はCD再生時における光検出器8内の各受光面80乃至85に照射される光スポットの状態と各種信号を検出するための電気回路の実施例を示した概略平面図および概略回路図である。なお当然のことながら光検出器8内の各受光面80乃至85の構成および配置は、前記図11で説明したDVD再生時と全く同一であり同じ番号を付している。
なお、今後の説明を分かりやすくするために、このように電圧変換された各分割受光面からの検出信号に図11の場合と同様図中に示す如くそれぞれ信号名S80a乃至S81c、S83a乃至S85cおよびS82aを付しておく。
【0044】
CD再生時には、受光面80、81および84には前記光導波素子7に入射したCD用光束199のうち分割領域71および72に入射した光束の±1次回折光束が集光照射し光スポット211aおよび212aと211bおよび212bを形成している。この分割領域71および72に入射したCD用光束とは、図2から明らかにように、入射CD用光束199のうちその中心光軸198を通る分割線75に対して光束の上半分の部分に相当する。
しかも前記光スポット211aおよび212aと211bおよび212bは、前記したように互いに逆向きに所定量だけでフォーカスした光スポットになっている。
【0045】
一方、受光面83および85には前記光導波素子7に入射したCD用光束199のうち分割領域73に入射した光束の±1次回折光束が集光照射し光スポット213aと213bを形成している。
この分割領域73に入射したCD用光束とは、これは前記した光スポット211aおよび212aと211bおよび212bとは逆に、CD用光束199の中心光軸198を通る分割線75に対して光束の下半分の部分に相当する。
【0046】
しかも前記光スポット213aと213bは、これまでの説明と同様、互いに逆向きに所定量だけでフォーカスした光スポットになっている。
また前記光導波素子7をそのまま透過したCD用光束199の0次光束は集光スポット210として、受光面82の中央帯部受光領域に入射している。
【0047】
以上のような状態で光導波素子7に入射したCD用光束199が分割回折され各受光面に入射しているため、図中に示すような演算回路を経て各分割受光面から得られた各検出信号80a乃至S81c、S83a乃至S85cおよびS82aからフォーカス制御信号(FES)、トラッキング制御信号(TES)および情報再生信号(RF)が以下の演算式に従った信号として検出される。すなわち
FES(CD)=(S80b+S80c+S81b+S81c+S83b+S83c+S84a+S85a)
-(S80a+S81a+S83a+S84b+S84c+S85b+S85c) ……(式3)
上記演算式は、一般にスポット・サイズ・ディテクション方式(SSD方式)と呼ばれる検出方式にてフォーカス制御信号を検出することを意味している。なおこのSSD方式については、既に公知のフォーカス検出方式であるので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0048】
一方、トラッキング制御信号(TES)は、
TES(CD)=(S84a-S85a)-{(S84b+S84c)- (S85b+S85c)} ……(式4)
上記演算式は、一般にアドバンス・プッシュプル方式(APP方式)もしくは1ビームディファレンシャル・プッシュプル方式(1ビームDPP方式)と呼ばれる検出方式にてトラッキング制御信号を検出することを意味している。なおこのAPP方式または1ビームDPP方式については、既に公知のトラッキング検出方式であるので、これ以上詳しい説明は省略する。
なお情報再生信号(RF)については、0次光束の集光スポット210が入射する受光面82の中央帯部受光領域からの検出信号S82aから再生される。
【0049】
なお、図11および図12に示す各演算回路の結線状態は、図11に示すDVD再生時の場合と図12に示すCD再生時の場合で若干異なる。このような異なる結線状態を切り替えるためには、例えば演算回路中に幾つかの切り替えスイッチを設け、DVD再生時とCD再生時でその切り替えスイッチを切り替えることにより別々の結線状態を実現させることができる。
以上説明したように、同一の光導波素子7および光検出器8を備えた同一の光ピックアップ1によってDVD記録または再生やCDの記録または再生が実現できる。
【0050】
なお以上述べたようなDVD再生時またはCD再生時においては、(式1)や(式2)で示すような実施例以外に、例えばフォーカス制御信号は+1次回折光のみから、トラッキング制御信号は−1次回折光のみから生成する構成、あるいはそれとは逆に、フォーカス制御信号を−1次回折光から、トラッキング制御信号を+1次回折光から生成する構成もある。このような場合のフォーカス制御信号の検出方式としては、例えばナイフ・エッジ方式を適用することができる。
【0051】
さらに今回の実施例は、DVDとCDを共通の光ピックアップで記録または再生する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば一般にBlu−rayディスク(BD)と呼ばれている次世代の大容量光ディスクの記録・再生用光ピックアップとDVDあるいはCD用光ピックアップが共用化されるような場合においても本発明を適用することができる。
【0052】
前記したフォーカス制御信号やトラッキング制御信号を生成するための演算器401乃至406、501乃至504は、光ピックアップの外部に設けられた回路部品で構成されても良いが、光ピックアップに内蔵されていても良い。
以上述べた他にも変更を加えた実施例を考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0053】
1:光ピックアップ、2:2波長マルチレーザ光源、5:2波長対応対物レンズ、6:光ディスク、7:光導波素子、8:光検出器、80〜85:受光面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的情報記録媒体に対してレーザ光束を照射して前記光学的情報記録媒体に記録された情報を読み取る光ピックアップであって、
互いに異なる波長のレーザ光を発光する2個以上のレーザ光発光素子を筐体内に有するレーザ光源と、
該レーザ光源を出射したレーザ光束を集光して前記光学的情報記録媒体の情報記録面上に集光スポットを照射する対物レンズと、
前記集光スポットの前記情報記録面からの反射レーザ光束が入射され該レーザ光束の0次光束と±1次回折光束を出射する光導波素子と、
該光導波素子から出射された前記レーザ光束の0次光束または±1次回折光束が入射され受光した光量に応じた光検出信号を出力する複数の受光面を有する光検出器を有し、
前記光導波素子は、
該光導波素子上において前記光学的情報記録媒体の記録トラック方向に相当する方向に対して略平行な少なくとも2本以上の分割線により少なくとも3個の分割領域に分割され、該各分割領域は、前記レーザ光束の0次光束を±1次回折光束とは異なる前記光検出器の受光面に入射させることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】
請求項1に記載の光ピックアップにおいて、
前記光導波素子の2本以上の分割線は、それぞれ前記レーザ発光素子のうちのいずれかの発光素子から発光され前記光導波素子に入射されるレーザ光束の略中心光軸上に設けられたことを特徴とする光ピックアップ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光ピックアップにおいて、
前記光導波素子は、前記分割線で領域分割された領域に応じて異なる回折パターンを有する不等間隔曲線状の格子溝が形成されたホログラフィック回折格子であることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光ピックアップにおいて、
該光ピックアップまたは前記光検出器は、前記複数の受光面から得た前記光検出信号を互いに演算して少なくともフォーカス制御信号とトラッキング制御信号と対物レンズのトラッキング方向への変位量に略比例する信号とを生成して出力する演算部の少なくとも一部を有することを特徴とする光ピックアップ。
【請求項5】
請求項4に記載の光ピックアップにおいて、
前記演算部は、スポット・サイズ・ディテクション方式によるフォーカス制御信号を生成して出力することを特徴とする光ピックアップ。
【請求項6】
請求項4に記載の光ピックアップにおいて、
該光ピックアップまたは前記光検出器は、
前記複数の受光面のうち、+1次回折光束または−1次回折光束のうちのいずれか一方が入射する受光面から出力された光検出信号からフォーカス制御信号を生成して出力し、前記複数の受光面のうち、+1次回折光束または−1次回折光束のうちの残る一方が入射する受光面から出力された光検出信号からトラッキング制御信号および対物レンズのトラッキング方向への変位量に略比例する信号を生成して出力する演算部の少なくとも一部を有することを特徴とする光ピックアップ。
【請求項7】
請求項6に記載の光ピックアップにおいて、
前記演算部は、ナイフ・エッジ方式によるフォーカス制御信号を生成して出力することを特徴とする光ピックアップ。
【請求項1】
光学的情報記録媒体に対してレーザ光束を照射して前記光学的情報記録媒体に記録された情報を読み取る光ピックアップであって、
互いに異なる波長のレーザ光を発光する2個以上のレーザ光発光素子を筐体内に有するレーザ光源と、
該レーザ光源を出射したレーザ光束を集光して前記光学的情報記録媒体の情報記録面上に集光スポットを照射する対物レンズと、
前記集光スポットの前記情報記録面からの反射レーザ光束が入射され該レーザ光束の0次光束と±1次回折光束を出射する光導波素子と、
該光導波素子から出射された前記レーザ光束の0次光束または±1次回折光束が入射され受光した光量に応じた光検出信号を出力する複数の受光面を有する光検出器を有し、
前記光導波素子は、
該光導波素子上において前記光学的情報記録媒体の記録トラック方向に相当する方向に対して略平行な少なくとも2本以上の分割線により少なくとも3個の分割領域に分割され、該各分割領域は、前記レーザ光束の0次光束を±1次回折光束とは異なる前記光検出器の受光面に入射させることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】
請求項1に記載の光ピックアップにおいて、
前記光導波素子の2本以上の分割線は、それぞれ前記レーザ発光素子のうちのいずれかの発光素子から発光され前記光導波素子に入射されるレーザ光束の略中心光軸上に設けられたことを特徴とする光ピックアップ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光ピックアップにおいて、
前記光導波素子は、前記分割線で領域分割された領域に応じて異なる回折パターンを有する不等間隔曲線状の格子溝が形成されたホログラフィック回折格子であることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光ピックアップにおいて、
該光ピックアップまたは前記光検出器は、前記複数の受光面から得た前記光検出信号を互いに演算して少なくともフォーカス制御信号とトラッキング制御信号と対物レンズのトラッキング方向への変位量に略比例する信号とを生成して出力する演算部の少なくとも一部を有することを特徴とする光ピックアップ。
【請求項5】
請求項4に記載の光ピックアップにおいて、
前記演算部は、スポット・サイズ・ディテクション方式によるフォーカス制御信号を生成して出力することを特徴とする光ピックアップ。
【請求項6】
請求項4に記載の光ピックアップにおいて、
該光ピックアップまたは前記光検出器は、
前記複数の受光面のうち、+1次回折光束または−1次回折光束のうちのいずれか一方が入射する受光面から出力された光検出信号からフォーカス制御信号を生成して出力し、前記複数の受光面のうち、+1次回折光束または−1次回折光束のうちの残る一方が入射する受光面から出力された光検出信号からトラッキング制御信号および対物レンズのトラッキング方向への変位量に略比例する信号を生成して出力する演算部の少なくとも一部を有することを特徴とする光ピックアップ。
【請求項7】
請求項6に記載の光ピックアップにおいて、
前記演算部は、ナイフ・エッジ方式によるフォーカス制御信号を生成して出力することを特徴とする光ピックアップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−53929(P2012−53929A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193268(P2010−193268)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】
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