光伝送モジュール、電子機器、及び光伝送モジュールの製造方法
【課題】低コストであり、かつ狭スペースであっても搭載可能な光伝送モジュールを実現する。
【解決手段】本発明の光伝送モジュール1は、光配線4によって伝送される光信号を電気信号に変換する光受信処理部3と、電気信号を伝送する電気配線5を備えた受信側基板部35と、光受信処理部3および受信側基板部35に電気信号を供給する受信側コネクタ部36とを備えている。そして、光受信処理部3及び受信側コネクタ部36が、受信側基板部35における同一の基板面に搭載されており、受信側基板部35は、その法線方向において基板面が互いに背向するように折り曲げられた折り曲げ部35Xを有している。
【解決手段】本発明の光伝送モジュール1は、光配線4によって伝送される光信号を電気信号に変換する光受信処理部3と、電気信号を伝送する電気配線5を備えた受信側基板部35と、光受信処理部3および受信側基板部35に電気信号を供給する受信側コネクタ部36とを備えている。そして、光受信処理部3及び受信側コネクタ部36が、受信側基板部35における同一の基板面に搭載されており、受信側基板部35は、その法線方向において基板面が互いに背向するように折り曲げられた折り曲げ部35Xを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送モジュール、電子機器、及び光伝送モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機のLCD(Liquid Crystal Display)の高精細化にともない、LCDとアプリケーションプロセッサとの間のデータの伝送速度の高速化が要求されている。また、携帯電話機の薄型化および搭載機能の増加が進むにつれ、配線および接続部(コネクタ)の低背化・省スペース化が要求されている。このような背景から、大容量のデータ伝送を一本の光配線で実現することが可能な光配線が検討されており、回路基板間を光信号および電気信号を用いてデータ伝送を行う光電気混合モジュールの開発が進められている。
【0003】
図21は、従来の光伝送モジュールの構成を概略的に示した断面図である。同図に示されるように、従来の光伝送モジュールにおいては、複数の配線層が形成された多層FPC基板部分の両面にそれぞれ、光受信処理部3および受信側コネクタ部36が搭載されている。
【0004】
また、図21に示された構成の他に、例えば特許文献1には、配線層が一層形成された片面FPCの同一面に光回路部および電気回路部(端子部)が設けられ、光回路部と電気回路部とが電気的に分離された構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−159766号公報(2008年 7月10日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の光伝送モジュールには、以下の問題が生じる。
【0007】
すなわち、特許文献1に記載の光伝送モジュールでは、片面FPCの同一面に光回路部および電気回路部が形成されているので、配線の引き回し、および光回路部と電気回路部との十分なアイソレーション(電気的分離)の確保のため、電子機器への光伝送モジュールの搭載部が大型化するという問題がある。
【0008】
また、図21に示された従来の光伝送モジュールでは、多層FPC基板部分の両面にそれぞれ、光受信処理部3および受信側コネクタ部36が搭載されているので、光伝送モジュールの搭載部の小型化を実現することができる。しかしながら、電気回路部(受信側コネクタ部36)と光回路部(光受信処理部3)とが近接するため、クロストークが生じ、波形劣化により高速伝送特性が制限される。また、光受信処理部3および受信側コネクタ部36の搭載に用いる多層FPCは高価であり、コストが高くなるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストであり、かつ狭スペースであっても搭載可能な光伝送モジュール、電子機器、及び光伝送モジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光伝送モジュールは、上記の課題を解決するために、光配線によって伝送される光信号を電気信号に変換する受信モジュール部、もしくは電気信号を光信号に変換し光配線に伝送する送信モジュール部の少なくとも一方からなる光モジュール部と、電気信号を伝送する電気配線を備えた回路基板と、上記光モジュール部および上記回路基板に電気信号を供給する外部接続端子を有する接続部とを備え、上記光モジュール部及び上記接続部が、上記回路基板における同一の基板面に搭載された光伝送モジュールであって、上記回路基板は、その法線方向において上記基板面が互いに背向するように折り曲げられた折り曲げ部を有していることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、上記回路基板は、上記折り曲げ部により、法線方向において基板面が互いに背向するように折り曲げられる。本発明の光伝送モジュールは、上記折り曲げ部により回路基板が折り曲げられた状態で電子機器に搭載される。
【0012】
それゆえ、上記の構成によれば、回路基板として配線層が一層形成された片面FPCを用いた場合であっても、配線の引き回しによる光伝送モジュールの搭載部分の大型化を回避することができる。また、回路基板として配線層が一層形成された基板を使用することができ、低コストを実現することができる。
【0013】
以上のように、上記の構成によれば、低コストであり、かつ狭スペースであっても搭載可能な光伝送モジュールを実現することができる。
【0014】
本発明の光伝送モジュールでは、上記折り曲げ部は、上記光モジュール部と上記接続部との間に設けられており、上記光モジュール部及び上記接続部は、上記折り曲げ部による折り曲げにより、上記回路基板の法線方向に配置されていてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、上記折り曲げ部による折り曲げにより、上記回路基板の法線方向に配置されているので、光伝送モジュールの実装部分を省スペース化することができる。さらには、回路基板として片面FPCを用いても、折り曲げ部による折り曲げにより実質的に上記光モジュール部及び上記接続部の両面実装が可能になる。それゆえ、上記の構成によれば、配線層が複数形成された多層FPCで上記光モジュール部及び上記接続部が両面実装された場合と比較して、低コストを実現することができる。
【0016】
本発明の光伝送モジュールでは、上記基板面の裏面により形成された隙間部分に、上記光モジュール部と上記接続部との間の電気的結合を低減する、板状の補強部が設けられていることが好ましい。これにより、光モジュール部および接続部を補強することができる。
【0017】
本発明の光伝送モジュールでは、上記補強部は、上記法線方向に積層された積層構造を有し、該積層構造は、少なくとも1つの金属層を備えていることが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、上記補強部は、上記法線方向に積層された積層構造を有し、該積層構造は、少なくとも1つの金属層を備えているので、接続部から発生する放射ノイズ(EMI)の光にジュール部への影響を低減することができ、光モジュール部と接続部との間の電磁干渉を防止することができる。
【0019】
本発明の光伝送モジュールでは、上記金属層のうち、最も光モジュール部側に設けられた第1の金属層は、接地されていないことが好ましい。
【0020】
上記の構成とすることにより、光モジュール部内の光素子とICとの間を接続する光素子配線とGNDとの間に大きな容量結合が生じることを回避することができ、伝送信号の高速化を実現することができる。
【0021】
本発明の光伝送モジュールでは、上記金属層のうち、最も接続部側に設けられた第2の金属層は、接地されていることが好ましい。これにより、上記接続部からのEMIに対するシールド効果を向上させることができる。
【0022】
本発明の光伝送モジュールでは、上記補強部は、誘電体からなる誘電体層と、該誘電体層を挟持する金属からなる2つの金属層とが上記法線方向に積層した3層構造であり、最も光モジュール部側に設けられた第1の金属層が接地されていない一方、最も上記接続部側に設けられた第2の金属層は、接地されていることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、上記補強部は、誘電体からなる誘電体層と、該誘電体層を挟持する金属からなる2つの金属層とが上記法線方向に積層した3層構造であるため、光モジュール部内の光素子配線と第1の金属層との間の静電容量と、第1の金属層と第2の金属層との間の静電容量との直列結合が形成される。それゆえ、最も光モジュール部側に設けられた第1の金属層が接地されていない場合であっても、寄生容量が生じる。
【0024】
上記の構成によれば、第2の金属層が接地されているとともに、第1および第2の金属層の間に誘電体層が設けられているので、誘電体層の寸法、材料などを設定することにより、容易に直列結合に起因する上記寄生容量を低減させることができる。さらにこの効果に加えて、コネクタ部からの放射ノイズとのクロストークを低減することができ、光配線モジュールの高速伝送特性を向上することができる。
【0025】
本発明の光伝送モジュールでは、上記誘電体層は、比誘電率が1〜2である誘電体材料で構成されていることが好ましい。
【0026】
本発明の光伝送モジュールでは、上記光モジュール部は、上記光配線を伝送する光信号を受光する、あるいは上記光配線へ光信号を発光する光素子と、上記光素子により受光した光信号を増幅する、あるいは上記光配線への光信号の発光を駆動する制御部と、上記光素子と上記制御部とを接続する光素子配線とを備え、上記第1および第2の金属層の上記法線方向の距離は、上記第1の金属層と上記光素子配線との上記法線方向の距離よりも長くなっていることが好ましい。
【0027】
本発明の光伝送モジュールでは、上記法線方向からみた、上記第1及び第2の金属層の重複部分は、上記第1及び第2の金属層のうち面積が小さいほうの金属層よりも面積が小さくなっていることが好ましい。
【0028】
上記の構成のように、誘電体層の材料、上記第1および第2の金属層の上記法線方向の距離、および上記第1及び第2の金属層の重複部分の面積を設定することにより、容易に静電容量の直列結合に起因する上記寄生容量を低減させることができる。
【0029】
本発明の光伝送モジュールでは、上記回路基板は、その表面に接地されたシールド層を備え、上記第2の金属層は、上記シールド層と導通していることが好ましい。
【0030】
上記の構成によれば、上記回路基板の表面に接地されたシールド層と上記第2の金属層とを導通している構成により、第2の金属層の接地を実現している。それゆえ、例えば、回路基板として片面FPCを用いた場合に好適に適用できる。
【0031】
また、上記回路基板における同一の基板面において、上記接続部は、上記光モジュール部における電気配線と反対側に配置されていてもよい。
【0032】
これにより、光モジュール部に光配線を実装した後、折り曲げ部により回路基板を折り曲げで光伝送モジュールを組み立てることができ、容易に光伝送モジュールを製造することができる。
【0033】
また、上記回路基板における同一の基板面において、上記光モジュール部は、上記接続部における電気配線と反対側に配置されていてもよい。
【0034】
これにより、接続部と電気配線との間に光モジュール部が介在しない構成になる。それゆえ、上記の構成によれば、接続部との接続のために電気配線を、光モジュール部を避けて引き回す必要がなく、回路基板における光モジュール部および接続部の搭載部分を小型化することができる。
【0035】
本発明の光伝送モジュールでは、上記回路基板における同一の基板面において上記折り曲げ部は、上記接続部における上記光モジュール部と反対側に設けられていてもよい。
【0036】
上記の構成によれば、折り曲げ部による折り曲げられた状態において、上記接続部および上記光モジュール部が法線方向に配列せず、基板面に沿った方向に配列される。それゆえ、上記の構成によれば、光伝送モジュールの法線方向の高さを小さくし、モジュール全体の低背化を実現することができる。
【0037】
本発明の電子機器は、上記の課題を解決するために、上述の光伝送モジュールを備えたことを特徴としている。
【0038】
上記の構成によれば、低コストであり、かつ狭スペースであっても光伝送モジュールの搭載が可能な電子機器を実現することができる。
【0039】
本発明の光伝送モジュールの製造方法は、上記の課題を解決するために、光配線によって伝送される光信号を電気信号に変換する受信モジュール部、もしくは電気信号を光信号に変換し光配線に伝送する送信モジュール部の少なくとも一方からなる光モジュール部と、電気信号を伝送する電気配線を備えた回路基板と、上記光モジュール部および上記回路基板に電気信号を供給する外部接続端子を有する接続部とを備え、上記回路基板における同一の基板面に、上記光モジュール部及び上記接続部を搭載された光伝送モジュールの製造方法であって、上記光モジュール部に上記光配線を実装する実装段階と、上記回路基板の法線方向で上記基板面が互いに背向するように、上記回路基板を折り曲げる折り曲げ段階と、を組み合わせて光伝送モジュールを組み立てる組立工程を含むことを特徴としている。
【0040】
上記の構成によれば、組立工程で、上記光モジュール部に上記光配線を実装する実装段階と、上記回路基板の法線方向で上記基板面が互いに背向するように、上記回路基板を折り曲げる折り曲げ段階と、を組み合わせて光伝送モジュールを組み立てるので、低コストであり、かつ狭スペースであっても搭載可能な光伝送モジュールの製造方法を実現することができる。
【0041】
本発明の光伝送モジュールの製造方法は、上記組立工程では、上記折り曲げ段階後における上記回路基板が折り曲げられた状態で、上記実装段階を行ってもよい。この製造方法は、特に、上記折り曲げ部が上記光モジュール部と上記接続部との間に設けられ、かつ上記回路基板における同一の基板面において、上記光モジュール部が上記接続部における電気配線と反対側に配置された光伝送モジュールの製造方法に好適である。
【0042】
また、本発明の光伝送モジュールの製造方法は、上記組立工程では、上記実装段階後における光配線が光モジュール部に実装された状態で、上記折り曲げ段階を行ってもよい。この製造方法は、特に、上記折り曲げ部が上記光モジュール部と上記接続部との間に設けられ、かつ、上記回路基板における同一の基板面において、上記接続部が上記光モジュール部における電気配線と反対側に配置された光伝送モジュールの製造方法に好適である。
【発明の効果】
【0043】
本発明の光伝送モジュールは、以上のように、上記回路基板は、その法線方向において上記基板面が互いに背向するように折り曲げられた折り曲げ部を有している構成である。
【0044】
本発明の電子機器は、上記光伝送モジュールを備えた構成である。
【0045】
本発明の光伝送モジュールの製造方法は、以上のように、上記光モジュール部に上記光配線を実装する実装段階と、上記回路基板の法線方向で上記基板面が互いに背向するように、上記回路基板を折り曲げる折り曲げ段階と、を組み合わせて光伝送モジュールを組み立てる組立工程を含む構成である。
【0046】
それゆえ、低コストであり、かつ狭スペースであっても搭載可能な光伝送モジュールを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態の光伝送モジュールの概略構成を示し、(a)は上面図であり、(b)は下面図であり、(c)は折り曲げ部により折り曲げられた状態における、光受信処理部近傍の構成を概略的に示した断面図である。
【図2】(a)は本実施形態の光伝送モジュールを内蔵した折り畳み式携帯電話機の外観を示す斜視図であり、(b)は、(a)におけるヒンジ部(破線で囲んだ部分)の透視平面図である。
【図3】(a)は、本実施の形態に係る携帯電話機における、光伝送モジュールの適用部分を示すブロック図であり、(b)は、本実施の形態に係る携帯電話機における、光伝送モジュールの概略構成を示すブロック図である。
【図4】(a)は、光配線の側面図であり、(b)は、光配線における光伝送の状態を模式的に示した斜視図である。
【図5】電気配線がFPCで構成されている場合の光伝送モジュールの概略構成を示す斜視図である。
【図6】(a)〜(h)はそれぞれ、光伝送モジュールに適用し得る補強部の構成例を示した断面図である。
【図7】光モジュール部内の光素子配線と近接するGND(接地された金属層)間に発生する寄生容量を説明するための模式図である。
【図8】(a)〜(e)はそれぞれ、補強部の積層構造における金属層の電気的な形態の具体例を示した断面図である。
【図9】図8(b)に示された積層構造を適用したときの回路図を示す。
【図10】回路基板の裏面により形成される隙間部分に設けられた2つの補強板同士の位置関係を示し、(a)は、2つの補強板の重複部分の面積が、2つの補強板の面積のうち面積が小さいほうの補強板よりも小さくなっている構成例を示す上面図であり、(b)は光受信処理部側の補強板の面積が受信側コネクタ部側の補強板の面積よりも小さくなっている構成例を示す上面図である。
【図11】片面FPCの概略構成を示した断面図である。
【図12】(a)は、補強板がシールドフィルムを介して接地した場合の、光受信処理部近傍の構成を示した断面図であり、(b)および(c)は、補強板とシールドフィルムとが導通した構成を示す断面図である。
【図13】図1(a)〜(c)に示された光伝送モジュールの製造方法を説明するための上面図である。
【図14】変形例1としての光伝送モジュール1の構成を示す上面図である。
【図15】折り曲げ部により折り曲げられた状態での、変形例1の光伝送モジュールの光受信処理部近傍の構成を示す断面図である。
【図16】(a)〜(c)は、この変形例2としての光伝送モジュールの光受信処理部3近傍の構成を示す断面図である。
【図17】変形例3としての光伝送モジュールの構成を示し、(a)は上面図であり、(b)は折り曲げ部により折り曲げられた状態を示す断面図である。
【図18】変形例4としての光伝送モジュールの構成を示し、(a)は上面図であり、(b)は、折り曲げ部により折り曲げられた状態でFPCコネクタに接続された構成例を示す側面図であり、(c)は、折り曲げ部により折り曲げられた状態でACF接続した構成例を示す側面図である。
【図19】(a)は、本実施形態に係る光伝送モジュールを備えた印刷装置の外観を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示した印刷装置の主要部を示すブロック図であり、(c)および(d)は、印刷装置においてプリンタヘッドが移動(駆動)した場合の、光伝送路の湾曲状態を示す斜視図である。
【図20】本実施形態に係る光伝送モジュールを備えたハードディスク記録再生装置の外観を示す斜視図である。
【図21】従来の光伝送モジュールの構成を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すると以下の通りである。
【0049】
すなわち、本実施形態では、操作キーを備える本体部と、表示画面を備える蓋部と、上記本体部に上記蓋部を回転可能に接続するヒンジ部とからなる折り畳み式携帯電話機において、上記本体部及び上記蓋部の間での情報(データ)伝送を上記ヒンジ部内に設けられた光伝送モジュールを介して行う構成を例に挙げて説明する。
【0050】
図2(a)は本実施形態の光伝送モジュール1を内蔵した折り畳み式携帯電話機40の外観を示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)におけるヒンジ部41(破線で囲んだ部分)の透視平面図である。
【0051】
図1及び図2(a)・(b)に示すように、本実施の形態に係る折り畳み式携帯電話機40(以下、単に携帯電話機40と示す)は、本体部42と、本体部42の一端に設けられたヒンジ部41と、ヒンジ部41を軸として回転可能に設けられた蓋部43とから構成されている。
【0052】
本体部42は、携帯電話機40を操作するための操作キー44を備えるとともに、その内部に主制御基板20を備えている。蓋部43は、外部に表示画面45及びカメラ(図示せず)を備えるとともに、内部にアプリケーション回路基板30を備えている。ドライバ39などが搭載されている。
【0053】
上述のような構成を有する携帯電話機40において、主制御基板20とアプリケーション回路基板との間の情報(データ)伝送は、光伝送モジュール1を介して行われる。
【0054】
(光伝送モジュールの構成)
次に、図3(a)および(b)を参照して上記光伝送モジュール1の構成について説明する。図3(a)は、本実施の形態に係る携帯電話機40における、光伝送モジュール1の適用部分を示すブロック図であり、図3(b)は、本実施の形態に係る携帯電話機40における、光伝送モジュール1の概略構成を示すブロック図である。
【0055】
図3(a)および(b)に示すように、光伝送モジュール1は、CPU29を搭載する主制御基板20に接続される光送信処理部(送信モジュール部、光モジュール部)2と、LCDドライバ39などのアプリケーション回路を搭載するアプリケーション回路基板30に接続される光受信処理部(受信モジュール部、光モジュール部)3と、光送信処理部2及び光受信処理部3同士を接続する光配線4と電気配線5とを備えてなる構成である。
【0056】
上記光配線4は、発光部23から出射されるデータ信号としての光信号を受光部31まで伝送する媒体である。光配線4の詳細については後述する。電気配線5は主制御基板20とアプリケーション回路基板30との間の低速信号および電源を伝送する。
【0057】
図3(b)に示すように光送信処理部2は、インターフェイス回路(以下、I/F回路と記す)21、発光駆動部(光変換器)22、及び発光部23を備えてなる構成である。
【0058】
上記I/F回路21は、外部から高速のデータ信号を受信するための回路である。このI/F回路21は、外部から光伝送モジュール1内に入力される電気信号の電気配線と発光駆動部22との間に設けられている。
【0059】
上記発光駆動部22は、I/F回路21を介して外部から光伝送モジュール1内に入力された電気信号に基づいて発光部23の発光を駆動するものである。この発光駆動部22は、例えば発光駆動用のIC(Integrated Circuit)によって構成することができる。またI/F回路部21および発光駆動部22はICで構成されていてもよい。
【0060】
発光部23は、発光駆動部22による駆動制御に基づいて発光するものである。この発光部23は、例えばVCSEL(Vertical Cavity-Surface Emitting Laser)などの発光素子によって構成することができる。この発光部23から発せられた光は、光信号として光配線4の光入射側端部に照射される。
【0061】
このように、光送信処理部2は、該光送信処理部2に入力される電気信号を、該電気信号に応じた光信号に変換して、光配線4に出力する。
【0062】
次に、光受信処理部3は、受光部31、検出回路32、増幅部(アンプ)33、及びI/F回路34を備えてなる構成である。
【0063】
上記受光部31は、光配線4の光出射側端部から出射された光信号としての光を受光し、光電変換によって電気信号を出力するものである。この受光部31は、例えばPD(Photo-Diode)などの受光素子によって構成することができる。また、検出回路32は、受光部31が光信号を受信したか否かを判断する。
【0064】
増幅部33は、受光部31・検出回路32から出力された電気信号を所望の値に増幅して外部に出力するものである。この増幅部33は、例えば増幅用のICによって構成することができる。
【0065】
I/F回路34は、増幅部33により増幅された電気信号を光伝送モジュール1の外部へ出力するための回路である。I/F回路34は、外部へ電気信号を伝送する電気配線と接続しており、増幅部32とこの電気配線との間に設けられる。また、検出回路、増幅回路、およびI/F回路はICにより構成されていてもよい。
【0066】
このように、光受信処理部3は、光配線4を通じて光送信処理部2から出力される光信号を受信して、該光信号に応じた電気信号に変換した後、所望の信号値に増幅して外部に出力することができる。
【0067】
(光配線の構成)
次に、光配線4の詳細について図4(a)及び図4(b)を用いて説明する。図4(a)は、光配線4の側面図を示している。同図に示すように、光配線4は、光伝送方向を軸とする柱状形状のコア部4αと、コア部4αの周囲を囲むように設けられたクラッド部4βとを備えた構成となっている。コア部4α及びクラッド部4βは透光性を有する材料によって構成されているとともに、コア部4αの屈折率は、クラッド部4βの屈折率よりも高くなっている。これにより、コア部4αに入射した光信号は、コア部4α内部で全反射を繰り返すことによって光伝送方向に伝送される。
【0068】
コア部4α及びクラッド部4βを構成する材料としては、ガラスやプラスチックなどを用いることが可能であるが、十分な可撓性を有する光配線4を構成するためには、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、及びシリコーン系等の樹脂材料を使用することが好ましい。また、クラッド部4βを空気などの気体で構成してもよい。さらに、クラッド部4βをコア部4αよりも屈折率の小さい液体の雰囲気下において使用しても同様の効果が得られる。
【0069】
次に、光配線4による光伝送の仕組みについて図4(b)を用いて説明する。図4(b)は、光配線4における光伝送の状態を模式的に示している。同図に示すように、光配線4は可撓性を有する部材によって構成される。また、光配線4の光入射側端部には光入射面4Aが設けられているとともに、光出射側端部には光出射面4Bが設けられていてもよい。
【0070】
発光部23から出射された光は、光配線4の光伝送方向に対して直角または略直角となる方向から、光配線4の光入射側端部に入射される。入射された光は、光入射面4Aにおいて反射されることによって光配線4内に導入されコア部4α内を進行する。光配線4内を進行して光出射側端部に到達した光は、光出射面4Bにおいて反射されることによって、光配線4の光伝送方向に対して直角または略直角となる方向へ出射される。出射された光は、受光部31に照射され、受光部31において光電変換が行われる。
【0071】
このような構成によれば、光配線4における光伝送方向に対して直角または略直角となる方向に、光源としての発光部23を配置する構成とすることが可能となる。よって、例えば基板面に平行に光配線4を配置することが必要とされる場合に、光配線4と基板面との間に、該基板面の法線方向に光を出射するように発光部23を設置すればよいことになる。このような構成は、例えば発光部23を基板面に平行に光を出射するように設置する構成よりも、実装が容易であり、また、構成としてもよりコンパクトにすることができる。これは、発光部23の一般的な構成が、光を出射する方向のサイズよりも、光を出射する方向に直角な方向のサイズの方が大きくなっていることによるものである。さらに同一面内に電極と発光部23がある平面実装向け発光素子を使用する構成にも適用が可能である。
【0072】
なお、同図に示す光配線4は、上述のように、光入射面4A及び光出射面4Bが傾斜している構成であるが、本実施形態における光配線4は、両端面が光伝送方向に対して直交する構成であってもよい。すなわち、光配線4の外形が、直方体状に形成されていてもよい。また、光配線4はPOFなどの光ファイバであってもよい。
【0073】
(電気配線の構成)
次に、上記電気配線5の詳細について説明する。電気配線5は、図3(a)に示されるように、光配線4に並行して設けられ、CPU29とLCDドライバ39とを接続し、CPU29から出力される低速データ信号や電源信号をLCDドライバ39に伝送する。
【0074】
この電気配線5は、具体的には、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)、同軸ケーブル等により構成される。図5は、電気配線5がFPCで構成されている場合の光伝送モジュール1の概略構成を示す斜視図である。このように、光配線4および電気配線5をフレキシブルな配線により構成することで、光伝送モジュール1を携帯機器等の小型の電子機器に適用することができる。
【0075】
(光伝送モジュールの特徴的構成)
次に、図1(a)〜(c)を参照して光伝送モジュール1の特徴的構成について説明する。図1は、本実施形態の光伝送モジュール1の概略構成を示し、図1(a)は上面図であり、図1(b)は下面図である。なお、図1(a)および(b)は、後述する折り曲げ部により折り曲げられる前の展開図である。
【0076】
図1(a)および(b)に示されるように、光伝送モジュール1は、電気配線5を備えた回路基板を備えている。この回路基板は、光送信処理部2および送信側コネクタ部(接続部)26が搭載される送信側基板部25と、光受信処理部3および受信側コネクタ部(接続部)36が搭載される受信側基板部35と、送信側基板部25と受信側基板部35との間に介在する電気配線部6とを有している。電気配線部6は、送信側コネクタ部26と受信側コネクタ部36との電気伝送を行う電気配線5を有している。
【0077】
送信側コネクタ部26および受信側コネクタ部36はそれぞれ、光配線4および電気配線5において伝送される信号を電気信号として入力または出力するか、あるいは入力および出力の両方を行う(双方向伝送の場合)ために設けられている。送信側コネクタ部26および受信側コネクタ部36はそれぞれ、外部接続端子を有している。この外部接続端子は、光送信処理部2および送信側基板部25、若しくは光受信処理部3および受信側基板部35に電気信号を供給する。このような送信側コネクタ部26および受信側コネクタ部36の具体例としては、ボードツーボード型のコネクタが挙げられる。
【0078】
また、光送信処理部2および送信側コネクタ部26は、送信側基板部25における同一面に搭載されている。そして、送信側基板部25における光送信処理部2および送信側コネクタ部26と反対側の面には、補強板27および28が設けられている。補強板27および28はそれぞれ、光送信処理部2および送信側コネクタ部26に対応するように設けられている。また、光受信処理部3および受信側コネクタ部36は、光送信処理部2および送信側コネクタ部26と同様に、受信側基板部35の同一面に搭載されている。そして、受信側基板部36における光受信処理部3および受信側コネクタ部36と反対側の面には、補強板37および38が設けられている。補強板37および38はそれぞれ、光受信処理部3および受信側コネクタ部36に対応するように設けられている。以下、図1(a)において、光配線4における光信号の伝送方向をX方向とし、送信側基板部25および受信側基板部35の法線方向をZ方向とし、X方向およびZ方向に垂直な方向をY方向とする。なお、Z方向は、光伝送モジュール1の高さ方向であるといえる。
【0079】
本実施形態の光伝送モジュール1は、送信側基板部25および受信側基板部35にそれぞれ、折り曲げ部25X・35Xが設けられていることを特徴している。この折り曲げ部25X・35Xにより、送信側基板部25および受信側基板部35はそれぞれ、法線方向であるZ方向において基板面が互いに背向するように折り曲げられる。光伝送モジュール1は、折り曲げ部25X・35Xにより送信側基板部25および受信側基板部35が折り曲げられた状態で、携帯電話機40等の電子機器に搭載される。
【0080】
図1(a)および(b)に示されるように、折り曲げ部25Xおよび35Xはそれぞれ、光送信処理部2と送信側コネクタ部26との間、および光受信処理部3と受信側コネクタ部36との間に配されている。それゆえ、例えば受信側基板部35は、折り曲げ部35Xにより折り曲げられると、図1(c)に示される構成になる。図1(c)は、折り曲げ部35Xにより折り曲げられた状態における、光受信処理部3近傍の構成を概略的に示した断面図である。なお、折り曲げ部25Xにより折り曲げられた状態における、光送信処理部2及び送信側コネクタ部26の位置関係は、図1(c)に示される光受信処理部3および受信側コネクタ部36の位置関係と同様であるので、説明を省略する。以下では、折り曲げ部35Xにより折り曲げられた状態における、光受信処理部3近傍の構成について説明する。
【0081】
図1(c)に示されるように、折り曲げ部35Xにより折り曲げられたとき、光受信処理部3及び受信側コネクタ部36は、Z方向に配列することになる。
【0082】
図1(c)に示された構成によれば、例えば受信側基板部35として配線層が一層形成された片面FPCを用いた場合であっても、配線の引き回しによる光伝送モジュール1の搭載部分(アプリケーション回路基板30への搭載部分)の大型化を回避することができる。それゆえ、図1(c)に示された構成によれば、光伝送モジュール1の実装部分を省スペース化することができる。さらには、受信側基板部35として片面FPCを用いているので、配線層が複数形成された多層FPCを用いた場合と比較して、低コストを実現することができる。
【0083】
(補強部について)
また、光伝送モジュール1において、補強板37および38は、折り曲げ部35Xによる折れ曲がりにより、補強部を形成する。この補強部は、受信側基板部35の裏面により形成された隙間部分に形成される。受信側基板部36はFPC等の可撓性(フレキシブル)基板であるので、この補強部は、光受信処理部3および受信側コネクタ部36を補強する役割がある。さらには、この補強部は、光受信処理部3と受信側コネクタ部36とについて、電気的結合を低減し電気的に分離する役割もある。このような電気的分離の役割から、上記補強部は、光受信処理部3と受信側コネクタ部36との間に挿入された、電気的結合を低減する電気的分離部であると言い換えることができる。そして、この電気的分離部は、光受信処理部3と受信側コネクタ部36との間に挿入された、電気的結合の低減機能を有する板状の個片であると定義することができる。
【0084】
光伝送モジュール1のように、光受信処理部3の配線と受信側コネクタ部36の配線とがZ方向に配列された構造では、両配線の電磁結合および静電結合により光受信処理部3の配線にノイズが流入する。このノイズの流入は、ジッタなどの波形劣化となり伝送速度を制限することになる。このようなノイズの流入を回避するために、光受信処理部3と受信側コネクタ部36との間に電磁結合および静電結合を低減する層が挿入される。補強部による電気的分離には、折れ曲がった状態でのZ方向の受信側基板部35同士を離間し、距離を大きくして隔離する方法A、あるいはZ方向の受信側基板部35間にシールドを挿入する方法Bがある。方法Aを採用する場合、補強部を構成する材料は、金属に限定されず、誘電体のみで構成されていてもよい。
【0085】
また、この補強部は、Z方向に複数の層が積層された積層構造を有している。なお、図1(c)に示された構成では、2枚の補強板37および38により補強部が形成されているが、補強部の構成は、Z方向に積層された積層構造であれば、特に限定されず、少なくとも1枚の補強板を有した構成であればよい。
【0086】
また、補強部における積層構造は、少なくとも1つの金属層(導体層)を有していることが好ましい。この構成によれば、上記金属層により、受信コネクタ部36からの不要輻射(EMI;Electromagnetic interference)に対し電磁シールドを構成することができる。また、積層構造における金属層は、補強板37または38で構成されていてもよいし、後述する受信側基板部35に形成されている銀(Ag)シールドであってもよい。
【0087】
さらに、補強板37または38は、ステンレス(SUS)などの金属で構成されていてもよいし、ポリイミド(PI)などの誘電体で構成されていてもよい。補強板37または38は、金属で構成されている場合、光受信処理部3および受信側コネクタ部36の補強と、電磁シールドという2つの役割を有する。また、補強板37または38は、誘電体で構成されている場合、その表面に金属薄膜が形成された構成であってもよい。
【0088】
それゆえ、補強部における積層構造は、少なくとも1つの金属層を有する場合、金属層に誘電体からなる誘電体層が積層された構成を備えたことが好ましい。この誘電体層は、誘電体で構成された補強板であってもよいし、エポキシ樹脂等で構成される接着剤であってもよい。
【0089】
以下、光伝送モジュール1に適用し得る補強部の構成について、図6(a)〜(h)を参照して、説明する。図6(a)〜(h)はそれぞれ、光伝送モジュール1に適用し得る補強部の構成例を示した断面図である。なお、図6(a)〜(h)において、Z方向上側にある受信側基板部35は、光受信処理部3が搭載された部分を示し、Z方向下側にある受信側基板部35は、受信側コネクタ部36が搭載された部分を示す。
【0090】
図6(a)〜(d)に示された積層構造は、誘電体層39と、誘電体層39を狭持する2つの金属層とを備えた3層構造を有している。そして、誘電体層39を狭持する2つの金属層は、金属からなる補強板、受信側基板部35に形成されている銀(Ag)シールド等で構成されている。
【0091】
まず、図6(a)に示された積層構造は、2枚の補強板37および38を有し、補強板37および38が金属で構成されている例である。図6(a)に示された構成例では、2枚の補強板37および38の間に誘電体層39が設けられている。この誘電体層39は、ポリイミド(PI)等からなる補強板として構成されていてもよいし、エポキシ樹脂等の接着剤で構成されていてもよい。
【0092】
図6(b)に示された積層構造は、1枚の補強板(補強板37または38)を有し、この補強板が誘電体からなる誘電体層39を構成する例である。図6(b)に示された構成例では、誘電体層39を狭持するように金属層37aおよび38aが設けられている。この金属層37aおよび38aは、補強板37または38に形成された金属薄膜であってもよいし、受信側基板部35に形成されている銀(Ag)シールドであってもよい。
【0093】
図6(c)に示された積層構造は、補強板37が金属から構成された例である。図6(c)に示された構成では、補強板37における光受信処理部3と反対側の面に誘電体層39が設けられている。また、誘電体層39における補強板37と反対側の面に金属層38aが配されている。
【0094】
また、図6(d)に示された積層構造は、補強板38が金属から構成された例である。図6(d)に示された構成では、補強板38における受信側コネクタ部36と反対側の面に誘電体層39が設けられている。また、誘電体層39における補強板38と反対側の面に金属層37aが配されている。
【0095】
なお、図6(c)および(d)に示された誘電体層39は、ポリイミド(PI)等からなる補強板として構成されていてもよいし、エポキシ樹脂等の接着剤で構成されていてもよい。また、図6(c)および(d)に示された金属層37aおよび38aは、補強板37または38に形成された金属薄膜であってもよい(誘電体層39が補強板37または38として構成されている場合)し、受信側基板部35に形成されている銀(Ag)シールドであってもよい。
【0096】
図6(e)〜(h)に示された積層構造は、誘電体層39に金属層が積層した2層構造を有している。
【0097】
まず、図6(e)に示された積層構造は、金属からなる補強板38を有する例である。図6(e)に示された構成例では、補強板38における受信側コネクタ部36と反対側の面に誘電体層39が設けられている。また、図6(f)に示された積層構造は、金属からなる補強板37を有する例である。図6(f)に示された構成例では、補強板37における受信処理部3と反対側の面に誘電体層39が設けられている。図6(e)および(f)に示された誘電体層39は、ポリイミド(PI)等からなる補強板として構成されていてもよいし、エポキシ樹脂等の接着剤で構成されていてもよい。
【0098】
また、図6(g)に示された積層構造は、誘電体層29と金属層38aとで構成された2層構造の例である。また、図6(h)に示された積層構造は、誘電体層29と金属層37aとで構成された2層構造の例である。
【0099】
光伝送モジュール1における受信コネクタ部36が携帯電話機40のアプリケーション回路基板30等に搭載されたとき、インピーダンスの不整合等により不要輻射(EMI)が発生する。このEMIが光受信処理部3内の回路に干渉すると、ジッタが増加するといった伝送特性の劣化が発生する(クロストークする)。このため、基板間の伝送速度が制限される。図6(a)〜(h)に示されたように、補強部が少なくとも1つの金属層を有する積層構造を備えたことにより、受信側コネクタ部36から発生するEMIの光受信処理部3への影響を低減することができる。それゆえ、図6(a)〜(h)に示された構成によれば、高速伝送可能な光伝送モジュール1を実現することができる。
【0100】
また、図7に示されるように、光受信処理部3には、受光部31および増幅部33が搭載されており、受光部31と増幅部33とを接続する光素子配線3aが設けられている。この光素子配線3aには高周波電流が伝送される。そして、この光素子配線3aと近接するGND(接地された金属層)間に寄生容量Aが発生すると、信号の高周波成分の損失により波形劣化(ジッタの増加)が生じ伝送速度が制限される。補強部が少なくとも1つの金属層を有する積層構造を備えた場合、最も光受信処理部3側に設けられた金属層は、接地されておらず、電気的に開放されていることが好ましい。このような構成とすることにより、光素子配線3aとGNDとの間に大きな容量結合が生じることを回避することができ、伝送信号の高速化を実現することができる。
【0101】
また、最も受信側コネクタ部36側に設けられた金属層(金属層38aまたは金属からなる補強板38)は、接地されていることが好ましい。これにより、受信側コネクタ部36からのEMIに対するシールド効果を向上させることができる。
【0102】
以下、図8(a)〜(e)を参照して、補強部の積層構造における金属層の電気的な形態について、さらに詳述する。図8(a)〜(e)はそれぞれ、補強部の積層構造における金属層の電気的な形態の具体例を示した断面図である。なお、図8(a)〜(e)において、Z方向上側にある受信側基板部35は、光受信処理部3が搭載された部分を示し、Z方向下側にある受信側基板部35は、受信側コネクタ部36が搭載された部分を示す。
【0103】
図8(a)および(b)は、補強部が3層構造である場合における具体例を示し、図8(c)〜(e)は、補強部が2層構造である場合における具体例を示す。
【0104】
図8(a)に示された3層構造は、誘電体層39と、誘電体層39を狭持する補強板37および38とで構成されている。そして、補強板37および38は、金属で構成されており、ともに接地されていない構成になっている。また、図8(b)に示された3層構造は、図8(a)と同様の構造になっており、補強板37が接地されていない一方、補強板28が接地された構成になっている。
【0105】
また、図8(c)に示された2層構造は、誘電体層39と補強板38とで構成されている。そして、補強板38は、金属で構成されており、接地されていない構成になっている。また、図8(d)に示された2層構造は、図8(c)と同様の構造になっており、補強板38が接地された構成になっている。
【0106】
さらに、図8(e)に示された2層構造は、誘電体層39と補強板37とで構成されている。そして、補強板37は、金属で構成されており、接地されていない構成になっている。
【0107】
図8(a)〜(e)のうち、図8(a)、図8(c)、および図8(e)に示された積層構造は、接地された補強板を備えていない構成である。このような構成であっても、受信側コネクタ部36からのEMIは、金属からなる補強板の境界で反射するので、光素子配線3aとの干渉を防止することが可能である。
【0108】
なお、図8(a)〜(e)では、金属からなる補強板37・38を備えた積層構造を示したが、補強部の積層構造における金属層の電気的な形態は、金属からなる補強板37・38に代えて、図6に示された金属層37a・38aを備えた積層構造に対しても適用可能である。また、誘電体層39は、ポリイミド(PI)等からなる補強板として構成されていてもよいし、エポキシ樹脂等の接着剤で構成されていてもよい。
【0109】
光伝送モジュール1においては、図8(a)〜(e)に示された積層構造のうち、図8(b)に示された積層構造が好適に用いられる。すなわち、光伝送モジュール1における補強部は、誘電体からなる誘電体層39と、誘電体層39を挟持する金属からなる2つの補強板37・38とが法線方向に積層した3層構造であることが好ましい。そして、この3層構造において、最も光受信処理部3側に設けられた補強板37(第1の金属層)が接地されていない一方、最も受信側コネクタ部36側に設けられた補強板38(第2の金属層)は、接地されていることが好ましい。図9は、図8(b)に示された積層構造を適用したときの回路図を示す。
【0110】
図9に示されるように、補強部の積層構造を図8(b)に示された構成とした場合、光素子配線3aと補強板37との間の静電容量C1と、補強板37と補強板38との間の静電容量C2との直列結合が形成される。それゆえ、最も光受信処理部3側に設けられた補強板37が接地されていない場合であっても、寄生容量が生じる。この容量は、
Ctotal=C1C2/(C1+C2)=C1/(C1/C2+1) …(1)
として表わされる。
【0111】
上記(1)式において、C1≪C2である場合、Ctotal≒C1となり、寄生容量は、補強板37を接地した場合の容量C1と略同じになる。また、C1<C2である場合、C2を小さくする(C1/C2を大きくする)ことで、寄生容量を低減させることが可能である。
【0112】
また、C1/C2は、以下の式(2)で表わすことができる。下記の(2)式においては、光素子配線3aの面積をS1とし、補強板37の面積をS2とし、補強板38の面積をS3としている。また、光素子配線3aと補強板37との距離をd1とし、補強板37と補強板38との距離をd2としている。さらに、光素子配線3aと補強板37との間に配された部材(具体的には受信側基板部35)の比誘電率をεr1とし、補強板37と補強板38との間に設けられた誘電体層39の比誘電率をεr2としている。
【0113】
C1/C2=εr2/εr1×S1/S2×d2/d1 …(2)
(S1<S2<S3の場合)
上記(2)式によれば、誘電体層39の寸法、あるいは材料の比誘電率を制御することにより容易に静電容量C2を小さくすることができる。例えば、d2をd1よりも大きくする、すなわち、Z方向における補強板37と補強板38との距離を、Z方向における補強板37と光素子配線3aとの距離よりも長くすることで、容易に静電容量C2を小さくすることができる。また、誘電体層39を、比誘電率が1〜2である誘電体材料で構成することにより、容易に静電容量C2を小さくすることができる。
【0114】
また、図10(a)に示されるように補強板37および補強板38の重複部分Bの面積は、補強板37および補強板38の面積(S2、S3)のうち面積が小さいほうの補強板よりも小さくなっていることが好ましい。
【0115】
このような構成において、C1/C2は、以下の式(3)で表わすことができる。ただし、下記(3)式において、S2,3は、補強板37および補強板38の重複部分Bの面積である。
【0116】
C1/C2=εr2/εr1×S1/S2,3×d2/d1 …(3)
折り曲げ部による折れ曲がりにより、補強板37は光受信処理部3の下に配置されることになる。そして、補強板37の面積S2は、光受信処理部3内の光素子配線3aの面積S1よりも大きくなるので、C1=εr2S1/d1となる。
【0117】
また、C2の面積要素は、実質的に補強板37および補強板38の重複部分Bの面積S2,3となる。よって、この重複部分Bの面積S2,3を小さくすることで、静電容量C2を容易に小さくすることができる。
【0118】
また、図10(b)に示されるように、補強板37の面積が補強板38の面積よりも小さくなっていることが好ましい。このとき、補強板38は、受信側基板部35における受信側コネクタ部36搭載部分と反対側の裏面全体を覆うような形状であることが望ましい。また、補強板37は、受信側基板部35における光受信処理部3搭載部分と反対側の裏面のみを覆うような形状であることが望ましい。補強板38が受信側基板部35における受信側コネクタ部36搭載部分と反対側の裏面全体を覆うような形状であることにより、受信側コネクタ部36からのEMIに対するシールド効果を向上させることができる。その一方で、補強板37が受信側基板部35における光受信処理部3搭載部分と反対側の裏面のみを覆うような形状とし面積を小さくすることで、直列の静電容量を小さくすることができる。よって、図10(b)に示された構成によれば、光配線による高速伝送特性を向上させることができる。
【0119】
以上のように、図8(b)に示された積層構造を採用することにより、誘電体層39の比誘電率、補強板37と補強板38との距離を制御することで静電容量C2を容易に低減することができる。それゆえ、静電容量C1およびC2の直列接続に起因する寄生容量Ctotalを低減することができる。
【0120】
(受信側基板部35の構成について)
上述したように、光伝送モジュール1においては、受信側基板部35として配線層が一層形成された可撓性基板を用いることが可能である。例えば、受信側基板部35として配線層が一層形成された片面FPCを用いることができる。図11は、片面FPCの概略構成を示した断面図である。
【0121】
図11に示されるように、シールドフィルム35a、カバーレイフィルム35b、カバーレイ接着層35c、銅箔としての配線層35d、ベースフィルム35e、およびシールドフィルム35fで構成された積層構造を有する。シールドフィルム35aおよび35fは、積層方向の最も外側に設けられたフィルムであり、銀ペーストで構成されている。このシールドフィルム35aおよび35fは、補強部における積層構造の一部の金属層として構成され得る。
【0122】
受信側基板部35が図11に示されるような片面FPCである場合、金属からなる補強板38は、シールドフィルム35fを介して接地することが可能である。すなわち、補強板38と接地されたシールドフィルム35fとを導通させることで、補強板38を接地することができる。図12(a)は、補強板38がシールドフィルム35fを介して接地した場合の、光受信処理部3近傍の構成を示した断面図であり、図12(b)および(c)は、補強板38とシールドフィルム35fとが導通した構成を示す断面図である。図12(a)に示される構成においては、受信側基板部35における光受信処理部3と反対側の裏面に形成されているシールドフィルム35fは、開口されている。そしてこの開口された部分に補強板37が設けられている。一方、受信側基板部35における受信側コネクタ部36と反対側の裏面に形成されているシールドフィルム35fは、残ったままである。そして、このシールドフィルム35fは、接地されるとともに、補強板38と導通している。これにより、補強板38の接地を実現することができる。
【0123】
図12(b)に示されるように、補強板38は、導電性接着剤35adによりシールドフィルム35fに固定することで、シールドフィルム35fと導通していてもよい。
【0124】
また、図12(c)に示されるように、補強板38とシールドフィルム35fとの導通のため、シールドフィルム35fに2つの電極パッド35Pが配置された構成であってもよい。図12(c)に示された構成では、補強板38は、電極パッド35Pを介してシールドフィルム35fと導通している。また、補強板38は、接着剤35ad’を介してシールドフィルム35fに固定されている。なお、接着剤35ad’は、シールドフィルム35fに接着する機能を有していれば、特に限定されない。
【0125】
なお、上述した、光受信処理部3、受信側コネクタ部36、および折り曲げ部35Xを備えた受信部の特徴点は、光送信処理部2、送信側コネクタ部26、および折り曲げ部25Xを備えた送信部にも適用可能であることはいうまでもない。
【0126】
(光伝送モジュール1の製造方法)
光伝送モジュール1の製造方法は、光送信処理部2および光受信処理部3に光配線4を実装する実装段階と、送信側基板部25および受信側基板部35の基板面が互いに背向するように折り曲げる折り曲げ段階を含み、実装段階および折り曲げ段階を組み合わせて光伝送モジュール1を組み立てる組立工程を含む。
【0127】
図13は、図1(a)〜(c)に示された光伝送モジュール1の製造方法を説明するための上面図である。例えば、図1(a)〜(c)に示された光伝送モジュール1は、受信側コネクタ部36(または送信側コネクタ部26)が、光受信処理部3(または光送信処理部2)における電気配線部6と反対側に配置された構成であるので、次の手順で組み立てることが可能である。
【0128】
まず、実装段階にて、光送信処理部2および光受信処理部3に光配線4を実装する。実装段階後、送信側基板部25の折り曲げ部25X、および受信側基板部35の折り曲げ部35Xで折り曲げる折り曲げ段階を行う。
【0129】
実装段階では、折り曲げ前の回路基板、すなわち送信側基板部25、電気配線部6、および受信側基板部35が平行な状態で、光送信処理部2および光受信処理部3に光配線4を実装する。それゆえ、光伝送モジュール1の組立が簡易になる。
【0130】
(変形例1)
本実施形態の光伝送モジュール1の構成において、図1(a)〜(c)に示す構成の変形例について説明する。図14は、この変形例1としての光伝送モジュール1の構成を示す上面図である。変形例1の光伝送モジュール1は、折り曲げ部35X(または折り曲げ部35X)に対する、受信側コネクタ部36(または送信側コネクタ部26)および光受信処理部3(または光送信処理部2)の位置関係が図1(a)〜(c)と逆になっている構成である。すなわち、受信側基板部35(または送信側基板部25)における同一基板面において、光受信処理部3(または光送信処理部2)は、受信側コネクタ部36(または送信側コネクタ部26)における電気配線部6と反対側に配置されている。
【0131】
図15は、折り曲げ部35Xにより折り曲げられた状態での、変形例1の光伝送モジュール1の光受信処理部3近傍の構成を示す断面図である。図15に示されるように、光受信処理部3および受信側コネクタ部36は、法線方向であるZ方向に配列することになる。
【0132】
図14および図15に示された変形例1の光伝送モジュール1によれば、送信側コネクタ部26と受信側コネクタ部36との間に、光送信処理部2および光受信処理部3が介在しない構成になっている。それゆえ、送信側コネクタ部26と受信側コネクタ部36とを接続する電気配線5を電気配線部6内のみで構成することができ、送信側基板部25および受信側基板部35の面積を小型化することが可能になる。
【0133】
図1(a)〜(c)に示された光伝送モジュール1においては、送信側コネクタ部26と受信側コネクタ部36との間に、光送信処理部2および光受信処理部3が介在している。また、折り曲げられた状態で携帯電話機に搭載されるために、送信側コネクタ部26および受信側コネクタ部36の外部接続端子はそれぞれ、光送信処理部2および光受信処理部3との対向位置に設けられることになる。このため、図14に示されるように、電気配線5は、光送信処理部2および光受信処理部3を回避して、送信側コネクタ部26と受信側コネクタ部36とを接続することになる。それゆえ、電気配線5は、光送信処理部2および光受信処理部3を回避するため、送信側基板部25および受信側基板部35にも形成される必要がある。
【0134】
以下、変形例1の光伝送モジュール1の製造方法について、説明する。変形例1の光伝送モジュール1は、次の手順で組み立てることが可能である。
【0135】
折り曲げ段階にて、送信側基板部25の折り曲げ部25X、および受信側基板部35の折り曲げ部35Xで折り曲げる。次に実装段階にて、送信側基板部25および受信側基板部35が折り曲げられた状態で、光送信処理部2および光受信処理部3に光配線4を実装する。
【0136】
(変形例2)
本実施形態の光伝送モジュール1の構成において、図1(a)〜(c)に示す構成の変形例について説明する。図16(a)〜(c)は、この変形例2としての光伝送モジュール1の光受信処理部3近傍の構成を示す断面図である。変形例2の光伝送モジュール1は、折り曲げ部35Xが光受信処理部3と受信側コネクタ部36との間に設けられていない構成である。すなわち、受信側基板部35における同一基板面において、折り曲げ部35Xは、受信側コネクタ部36における光受信処理部3と反対側に配置されている。
【0137】
図16(a)〜(c)に示されるように、変形例2の光伝送モジュール1では、折り曲げ部35Xによる折り曲げにより、光受信処理部3および受信側コネクタ部36は、X方向に配列される。また、電気配線部6は、光受信処理部3および受信側コネクタ部36とZ方向で配列する。このように、変形例2の光伝送モジュール1では、光受信処理部3および受信側コネクタ部36がX方向に配列しているので、Z方向での高さを小さくすることができる。よって、変形例2の光伝送モジュール1では、モジュール全体の低背化を実現することができる。
【0138】
また、図16(a)に示されるように、折り曲げ部35Xにより折り曲げによって形成された隙間部分(基板面の裏面により形成された隙間部分)には、光受信処理部3および受信側コネクタ部36を補強する補強部として、補強板37および38が設けられている。
【0139】
光受信処理部3および受信側コネクタ部36を補強する補強部は、図16(a)に示される構成に限定されない。例えば、図16(b)に示されるように、補強部として、1枚の補強板37が光受信処理部3および受信側コネクタ部36に対応するように設けられていてもよい。また、補強板37は、図16(c)に示されるように受信側基板部35に形成されたシールド層35fと接続されて接地されていても良い。
【0140】
(変形例3)
本実施形態の光伝送モジュール1の構成において、図1(a)〜(c)に示す構成の変形例について説明する。図17は、この変形例3としての光伝送モジュール1の構成を示し、図17(a)は上面図であり、図17(b)は折り曲げ部により折り曲げられた状態を示す断面図である。
【0141】
図17(a)に示されるように、変形例3の光伝送モジュール1では、送信側基板部25において、光送信処理部2および送信側コネクタ部26がY方向に並列し、折り曲げ部25Xが光送信処理部2と送信側コネクタ部26との間に形成されている。また、送信側基板部35において、光受信処理部3および受信側コネクタ部36がY方向に並列し、折り曲げ部35Xが光受信処理部3と受信側コネクタ部36との間に形成されている。折り曲げ部25Xおよび35Xはともに、X方向に形成されている。
【0142】
図17(b)に示されるように、折り曲げ部25Xにより折り曲げられた状態では、光送信処理部2および送信側コネクタ部26は、法線方向であるZ方向に配列することになる。また、折り曲げ部35Xにより折り曲げられた状態では、光受信処理部3および受信側コネクタ部36は、法線方向であるZ方向に配列することになる。この構成により、多数の電気配線を有する電気配線部のスリム化が可能になる。
【0143】
(変形例4)
本実施形態の光伝送モジュール1の構成において、図17(a)(b)に示す構成の変形例について説明する。図18は、この変形例4としての光伝送モジュール1の構成を示し、図18(a)は上面図であり、図18(b)および(b)は折り曲げ部により折り曲げられた状態での接続形態を示す断面図である。
【0144】
図18(a)に示されるように、変形例4の光伝送モジュール1は、接点部26aおよび36aを備えている。接点部26aは、送信側基板部25から光配線4の光伝送方向に突出するように形成されている。また、接点部36aは、受信側基板部35から光配線4の光伝送方向に突出するように形成されている。接点部26aにおける光送信処理部2側の面、および接点部36aにおける光受信処理部3側の面には、配線パターンが形成されている。このため、折り曲げ部により折り曲げられた状態では、接点部26aおよび36aにおける配線パターン形成面はそれぞれ、光送信処理部2および光受信処理部3の搭載面に背向することになる。
【0145】
このように接点部26aおよび36aにおける配線パターン形成面が光送信処理部2および光受信処理部3の搭載面に背向するので、図18(b)に示されるように、接点部26aおよび36aをそれぞれ、FPCコネクタ11および12に対し光伝送方向(X方向)に挿入し接続することが可能になる。この場合、接点部26aおよび36aと、これらに接続するFPCコネクタ11および12とで、「接続部」が構成される。
【0146】
また、図18(c)に示されるように、接点部26aおよび36aにおける配線パターン形成面と対向するように基板13および14を設置し、接点部26aおよび36aと基板13および14とをACF接続することも可能である。この場合、光伝送モジュール1をさらに低背化することが可能になる。
【0147】
(応用例)
なお、本実施形態の光伝送モジュール1は、例えば以下のような応用例に適用することが可能である。上述した実施形態では、応用例として携帯電話機40に適用した例を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、スライド式PHS(Personal Handyphone System)、スライド式PDA(Personal Digital Assistant)、スライド式ノートパソコン等のスライド式の電子機器のスライド機構等にも適用することができる。
【0148】
さらなる応用例として、光伝送モジュール1は、印刷装置(電子機器)におけるプリンタヘッドやハードディスク記録再生装置における読み取り部など、駆動部を有する装置にも適用できる。
【0149】
図19(a)〜図19(c)は、光伝送モジュール1を印刷装置50に適用した例を示している。図19(a)は、印刷装置50の外観を示す斜視図である。この図に示すように、印刷装置50は、用紙54の幅方向に移動しながら用紙54に対して印刷を行うプリンタヘッド51を備えており、このプリンタヘッド51に光伝送モジュール1の一端が接続されている。
【0150】
図19(b)は、印刷装置50における、光伝送モジュール1が適用されている部分のブロック図である。この図に示すように、光伝送モジュール1の一端部はプリンタヘッド51に接続されており、他端部は印刷装置50における本体側基板に接続されている。なお、この本体側基板には、印刷装置50の各部の動作を制御する制御手段などが備えられる。
【0151】
図19(c)及び図19(d)は、印刷装置50においてプリンタヘッド51が移動(駆動)した場合の、光配線4の湾曲状態を示す斜視図である。この図に示すように、光配線4をプリンタヘッド51のような駆動部に適用する場合、プリンタヘッド51の駆動によって光配線4の湾曲状態が変化するとともに、光配線4の各位置が繰り返し湾曲される。
【0152】
したがって、本実施形態にかかる光伝送モジュール1は、これらの駆動部に好適である。また、光伝送モジュール1をこれらの駆動部に適用することにより、駆動部を用いた高速、大容量通信を実現できる。
【0153】
図20は、光伝送モジュール1をハードディスク記録再生装置60に適用した例を示している。
【0154】
この図に示すように、ハードディスク記録再生装置60は、ディスク(ハードディスク)61、ヘッド(読み取り、書き込み用ヘッド)62、基板導入部63、駆動部(駆動モータ)64、光伝送モジュール1を備えている。
【0155】
駆動部64は、ヘッド62をディスク61の半径方向に沿って駆動させるものである。ヘッド62は、ディスク61上に記録された情報を読み取り、また、ディスク61上に情報を書き込むものである。なお、ヘッド62は、光伝送モジュール1を介して基板導入部63に接続されており、ディスク61から読み取った情報を光信号として基板導入部63に伝搬させ、また、基板導入部63から伝搬された、ディスク61に書き込む情報の光信号を受け取る。
【0156】
このように、光伝送モジュール1をハードディスク記録再生装置60におけるヘッド62のような駆動部に適用することにより、高速、大容量通信を実現できる。
【0157】
本実施形態の光伝送モジュール1は、上記の応用例に加え、ビデオカメラ、ノートパソコン等の情報端末や基板間の信号伝送にも利用可能である。
【0158】
以下、実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明は、各種機器間の光通信路にも適用可能であるとともに、小型、薄型の民生機器内に搭載される機器内配線としてのフレキシブルな光配線にも適用可能である。
【符号の説明】
【0160】
1 光伝送モジュール
2 光送信処理部(送信モジュール部、光モジュール部)
3 光受信処理部(受信モジュール部、光モジュール部)
4 光配線
5 電気配線
6 電気配線部(回路基板)
25 送信側基板部(回路基板)
25X 折り曲げ部
26 送信側コネクタ部(接続部)
27 補強板(補強部、第1の金属層)
28 補強板(補強部、第2の金属層)
35 受信側基板部(回路基板)
35X 折り曲げ部
36 受信側コネクタ部(接続部)
37 補強板(補強部、第1の金属層)
38 補強板(補強部、第2の金属層)
39 誘電体層
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送モジュール、電子機器、及び光伝送モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機のLCD(Liquid Crystal Display)の高精細化にともない、LCDとアプリケーションプロセッサとの間のデータの伝送速度の高速化が要求されている。また、携帯電話機の薄型化および搭載機能の増加が進むにつれ、配線および接続部(コネクタ)の低背化・省スペース化が要求されている。このような背景から、大容量のデータ伝送を一本の光配線で実現することが可能な光配線が検討されており、回路基板間を光信号および電気信号を用いてデータ伝送を行う光電気混合モジュールの開発が進められている。
【0003】
図21は、従来の光伝送モジュールの構成を概略的に示した断面図である。同図に示されるように、従来の光伝送モジュールにおいては、複数の配線層が形成された多層FPC基板部分の両面にそれぞれ、光受信処理部3および受信側コネクタ部36が搭載されている。
【0004】
また、図21に示された構成の他に、例えば特許文献1には、配線層が一層形成された片面FPCの同一面に光回路部および電気回路部(端子部)が設けられ、光回路部と電気回路部とが電気的に分離された構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−159766号公報(2008年 7月10日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の光伝送モジュールには、以下の問題が生じる。
【0007】
すなわち、特許文献1に記載の光伝送モジュールでは、片面FPCの同一面に光回路部および電気回路部が形成されているので、配線の引き回し、および光回路部と電気回路部との十分なアイソレーション(電気的分離)の確保のため、電子機器への光伝送モジュールの搭載部が大型化するという問題がある。
【0008】
また、図21に示された従来の光伝送モジュールでは、多層FPC基板部分の両面にそれぞれ、光受信処理部3および受信側コネクタ部36が搭載されているので、光伝送モジュールの搭載部の小型化を実現することができる。しかしながら、電気回路部(受信側コネクタ部36)と光回路部(光受信処理部3)とが近接するため、クロストークが生じ、波形劣化により高速伝送特性が制限される。また、光受信処理部3および受信側コネクタ部36の搭載に用いる多層FPCは高価であり、コストが高くなるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストであり、かつ狭スペースであっても搭載可能な光伝送モジュール、電子機器、及び光伝送モジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光伝送モジュールは、上記の課題を解決するために、光配線によって伝送される光信号を電気信号に変換する受信モジュール部、もしくは電気信号を光信号に変換し光配線に伝送する送信モジュール部の少なくとも一方からなる光モジュール部と、電気信号を伝送する電気配線を備えた回路基板と、上記光モジュール部および上記回路基板に電気信号を供給する外部接続端子を有する接続部とを備え、上記光モジュール部及び上記接続部が、上記回路基板における同一の基板面に搭載された光伝送モジュールであって、上記回路基板は、その法線方向において上記基板面が互いに背向するように折り曲げられた折り曲げ部を有していることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、上記回路基板は、上記折り曲げ部により、法線方向において基板面が互いに背向するように折り曲げられる。本発明の光伝送モジュールは、上記折り曲げ部により回路基板が折り曲げられた状態で電子機器に搭載される。
【0012】
それゆえ、上記の構成によれば、回路基板として配線層が一層形成された片面FPCを用いた場合であっても、配線の引き回しによる光伝送モジュールの搭載部分の大型化を回避することができる。また、回路基板として配線層が一層形成された基板を使用することができ、低コストを実現することができる。
【0013】
以上のように、上記の構成によれば、低コストであり、かつ狭スペースであっても搭載可能な光伝送モジュールを実現することができる。
【0014】
本発明の光伝送モジュールでは、上記折り曲げ部は、上記光モジュール部と上記接続部との間に設けられており、上記光モジュール部及び上記接続部は、上記折り曲げ部による折り曲げにより、上記回路基板の法線方向に配置されていてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、上記折り曲げ部による折り曲げにより、上記回路基板の法線方向に配置されているので、光伝送モジュールの実装部分を省スペース化することができる。さらには、回路基板として片面FPCを用いても、折り曲げ部による折り曲げにより実質的に上記光モジュール部及び上記接続部の両面実装が可能になる。それゆえ、上記の構成によれば、配線層が複数形成された多層FPCで上記光モジュール部及び上記接続部が両面実装された場合と比較して、低コストを実現することができる。
【0016】
本発明の光伝送モジュールでは、上記基板面の裏面により形成された隙間部分に、上記光モジュール部と上記接続部との間の電気的結合を低減する、板状の補強部が設けられていることが好ましい。これにより、光モジュール部および接続部を補強することができる。
【0017】
本発明の光伝送モジュールでは、上記補強部は、上記法線方向に積層された積層構造を有し、該積層構造は、少なくとも1つの金属層を備えていることが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、上記補強部は、上記法線方向に積層された積層構造を有し、該積層構造は、少なくとも1つの金属層を備えているので、接続部から発生する放射ノイズ(EMI)の光にジュール部への影響を低減することができ、光モジュール部と接続部との間の電磁干渉を防止することができる。
【0019】
本発明の光伝送モジュールでは、上記金属層のうち、最も光モジュール部側に設けられた第1の金属層は、接地されていないことが好ましい。
【0020】
上記の構成とすることにより、光モジュール部内の光素子とICとの間を接続する光素子配線とGNDとの間に大きな容量結合が生じることを回避することができ、伝送信号の高速化を実現することができる。
【0021】
本発明の光伝送モジュールでは、上記金属層のうち、最も接続部側に設けられた第2の金属層は、接地されていることが好ましい。これにより、上記接続部からのEMIに対するシールド効果を向上させることができる。
【0022】
本発明の光伝送モジュールでは、上記補強部は、誘電体からなる誘電体層と、該誘電体層を挟持する金属からなる2つの金属層とが上記法線方向に積層した3層構造であり、最も光モジュール部側に設けられた第1の金属層が接地されていない一方、最も上記接続部側に設けられた第2の金属層は、接地されていることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、上記補強部は、誘電体からなる誘電体層と、該誘電体層を挟持する金属からなる2つの金属層とが上記法線方向に積層した3層構造であるため、光モジュール部内の光素子配線と第1の金属層との間の静電容量と、第1の金属層と第2の金属層との間の静電容量との直列結合が形成される。それゆえ、最も光モジュール部側に設けられた第1の金属層が接地されていない場合であっても、寄生容量が生じる。
【0024】
上記の構成によれば、第2の金属層が接地されているとともに、第1および第2の金属層の間に誘電体層が設けられているので、誘電体層の寸法、材料などを設定することにより、容易に直列結合に起因する上記寄生容量を低減させることができる。さらにこの効果に加えて、コネクタ部からの放射ノイズとのクロストークを低減することができ、光配線モジュールの高速伝送特性を向上することができる。
【0025】
本発明の光伝送モジュールでは、上記誘電体層は、比誘電率が1〜2である誘電体材料で構成されていることが好ましい。
【0026】
本発明の光伝送モジュールでは、上記光モジュール部は、上記光配線を伝送する光信号を受光する、あるいは上記光配線へ光信号を発光する光素子と、上記光素子により受光した光信号を増幅する、あるいは上記光配線への光信号の発光を駆動する制御部と、上記光素子と上記制御部とを接続する光素子配線とを備え、上記第1および第2の金属層の上記法線方向の距離は、上記第1の金属層と上記光素子配線との上記法線方向の距離よりも長くなっていることが好ましい。
【0027】
本発明の光伝送モジュールでは、上記法線方向からみた、上記第1及び第2の金属層の重複部分は、上記第1及び第2の金属層のうち面積が小さいほうの金属層よりも面積が小さくなっていることが好ましい。
【0028】
上記の構成のように、誘電体層の材料、上記第1および第2の金属層の上記法線方向の距離、および上記第1及び第2の金属層の重複部分の面積を設定することにより、容易に静電容量の直列結合に起因する上記寄生容量を低減させることができる。
【0029】
本発明の光伝送モジュールでは、上記回路基板は、その表面に接地されたシールド層を備え、上記第2の金属層は、上記シールド層と導通していることが好ましい。
【0030】
上記の構成によれば、上記回路基板の表面に接地されたシールド層と上記第2の金属層とを導通している構成により、第2の金属層の接地を実現している。それゆえ、例えば、回路基板として片面FPCを用いた場合に好適に適用できる。
【0031】
また、上記回路基板における同一の基板面において、上記接続部は、上記光モジュール部における電気配線と反対側に配置されていてもよい。
【0032】
これにより、光モジュール部に光配線を実装した後、折り曲げ部により回路基板を折り曲げで光伝送モジュールを組み立てることができ、容易に光伝送モジュールを製造することができる。
【0033】
また、上記回路基板における同一の基板面において、上記光モジュール部は、上記接続部における電気配線と反対側に配置されていてもよい。
【0034】
これにより、接続部と電気配線との間に光モジュール部が介在しない構成になる。それゆえ、上記の構成によれば、接続部との接続のために電気配線を、光モジュール部を避けて引き回す必要がなく、回路基板における光モジュール部および接続部の搭載部分を小型化することができる。
【0035】
本発明の光伝送モジュールでは、上記回路基板における同一の基板面において上記折り曲げ部は、上記接続部における上記光モジュール部と反対側に設けられていてもよい。
【0036】
上記の構成によれば、折り曲げ部による折り曲げられた状態において、上記接続部および上記光モジュール部が法線方向に配列せず、基板面に沿った方向に配列される。それゆえ、上記の構成によれば、光伝送モジュールの法線方向の高さを小さくし、モジュール全体の低背化を実現することができる。
【0037】
本発明の電子機器は、上記の課題を解決するために、上述の光伝送モジュールを備えたことを特徴としている。
【0038】
上記の構成によれば、低コストであり、かつ狭スペースであっても光伝送モジュールの搭載が可能な電子機器を実現することができる。
【0039】
本発明の光伝送モジュールの製造方法は、上記の課題を解決するために、光配線によって伝送される光信号を電気信号に変換する受信モジュール部、もしくは電気信号を光信号に変換し光配線に伝送する送信モジュール部の少なくとも一方からなる光モジュール部と、電気信号を伝送する電気配線を備えた回路基板と、上記光モジュール部および上記回路基板に電気信号を供給する外部接続端子を有する接続部とを備え、上記回路基板における同一の基板面に、上記光モジュール部及び上記接続部を搭載された光伝送モジュールの製造方法であって、上記光モジュール部に上記光配線を実装する実装段階と、上記回路基板の法線方向で上記基板面が互いに背向するように、上記回路基板を折り曲げる折り曲げ段階と、を組み合わせて光伝送モジュールを組み立てる組立工程を含むことを特徴としている。
【0040】
上記の構成によれば、組立工程で、上記光モジュール部に上記光配線を実装する実装段階と、上記回路基板の法線方向で上記基板面が互いに背向するように、上記回路基板を折り曲げる折り曲げ段階と、を組み合わせて光伝送モジュールを組み立てるので、低コストであり、かつ狭スペースであっても搭載可能な光伝送モジュールの製造方法を実現することができる。
【0041】
本発明の光伝送モジュールの製造方法は、上記組立工程では、上記折り曲げ段階後における上記回路基板が折り曲げられた状態で、上記実装段階を行ってもよい。この製造方法は、特に、上記折り曲げ部が上記光モジュール部と上記接続部との間に設けられ、かつ上記回路基板における同一の基板面において、上記光モジュール部が上記接続部における電気配線と反対側に配置された光伝送モジュールの製造方法に好適である。
【0042】
また、本発明の光伝送モジュールの製造方法は、上記組立工程では、上記実装段階後における光配線が光モジュール部に実装された状態で、上記折り曲げ段階を行ってもよい。この製造方法は、特に、上記折り曲げ部が上記光モジュール部と上記接続部との間に設けられ、かつ、上記回路基板における同一の基板面において、上記接続部が上記光モジュール部における電気配線と反対側に配置された光伝送モジュールの製造方法に好適である。
【発明の効果】
【0043】
本発明の光伝送モジュールは、以上のように、上記回路基板は、その法線方向において上記基板面が互いに背向するように折り曲げられた折り曲げ部を有している構成である。
【0044】
本発明の電子機器は、上記光伝送モジュールを備えた構成である。
【0045】
本発明の光伝送モジュールの製造方法は、以上のように、上記光モジュール部に上記光配線を実装する実装段階と、上記回路基板の法線方向で上記基板面が互いに背向するように、上記回路基板を折り曲げる折り曲げ段階と、を組み合わせて光伝送モジュールを組み立てる組立工程を含む構成である。
【0046】
それゆえ、低コストであり、かつ狭スペースであっても搭載可能な光伝送モジュールを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態の光伝送モジュールの概略構成を示し、(a)は上面図であり、(b)は下面図であり、(c)は折り曲げ部により折り曲げられた状態における、光受信処理部近傍の構成を概略的に示した断面図である。
【図2】(a)は本実施形態の光伝送モジュールを内蔵した折り畳み式携帯電話機の外観を示す斜視図であり、(b)は、(a)におけるヒンジ部(破線で囲んだ部分)の透視平面図である。
【図3】(a)は、本実施の形態に係る携帯電話機における、光伝送モジュールの適用部分を示すブロック図であり、(b)は、本実施の形態に係る携帯電話機における、光伝送モジュールの概略構成を示すブロック図である。
【図4】(a)は、光配線の側面図であり、(b)は、光配線における光伝送の状態を模式的に示した斜視図である。
【図5】電気配線がFPCで構成されている場合の光伝送モジュールの概略構成を示す斜視図である。
【図6】(a)〜(h)はそれぞれ、光伝送モジュールに適用し得る補強部の構成例を示した断面図である。
【図7】光モジュール部内の光素子配線と近接するGND(接地された金属層)間に発生する寄生容量を説明するための模式図である。
【図8】(a)〜(e)はそれぞれ、補強部の積層構造における金属層の電気的な形態の具体例を示した断面図である。
【図9】図8(b)に示された積層構造を適用したときの回路図を示す。
【図10】回路基板の裏面により形成される隙間部分に設けられた2つの補強板同士の位置関係を示し、(a)は、2つの補強板の重複部分の面積が、2つの補強板の面積のうち面積が小さいほうの補強板よりも小さくなっている構成例を示す上面図であり、(b)は光受信処理部側の補強板の面積が受信側コネクタ部側の補強板の面積よりも小さくなっている構成例を示す上面図である。
【図11】片面FPCの概略構成を示した断面図である。
【図12】(a)は、補強板がシールドフィルムを介して接地した場合の、光受信処理部近傍の構成を示した断面図であり、(b)および(c)は、補強板とシールドフィルムとが導通した構成を示す断面図である。
【図13】図1(a)〜(c)に示された光伝送モジュールの製造方法を説明するための上面図である。
【図14】変形例1としての光伝送モジュール1の構成を示す上面図である。
【図15】折り曲げ部により折り曲げられた状態での、変形例1の光伝送モジュールの光受信処理部近傍の構成を示す断面図である。
【図16】(a)〜(c)は、この変形例2としての光伝送モジュールの光受信処理部3近傍の構成を示す断面図である。
【図17】変形例3としての光伝送モジュールの構成を示し、(a)は上面図であり、(b)は折り曲げ部により折り曲げられた状態を示す断面図である。
【図18】変形例4としての光伝送モジュールの構成を示し、(a)は上面図であり、(b)は、折り曲げ部により折り曲げられた状態でFPCコネクタに接続された構成例を示す側面図であり、(c)は、折り曲げ部により折り曲げられた状態でACF接続した構成例を示す側面図である。
【図19】(a)は、本実施形態に係る光伝送モジュールを備えた印刷装置の外観を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示した印刷装置の主要部を示すブロック図であり、(c)および(d)は、印刷装置においてプリンタヘッドが移動(駆動)した場合の、光伝送路の湾曲状態を示す斜視図である。
【図20】本実施形態に係る光伝送モジュールを備えたハードディスク記録再生装置の外観を示す斜視図である。
【図21】従来の光伝送モジュールの構成を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すると以下の通りである。
【0049】
すなわち、本実施形態では、操作キーを備える本体部と、表示画面を備える蓋部と、上記本体部に上記蓋部を回転可能に接続するヒンジ部とからなる折り畳み式携帯電話機において、上記本体部及び上記蓋部の間での情報(データ)伝送を上記ヒンジ部内に設けられた光伝送モジュールを介して行う構成を例に挙げて説明する。
【0050】
図2(a)は本実施形態の光伝送モジュール1を内蔵した折り畳み式携帯電話機40の外観を示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)におけるヒンジ部41(破線で囲んだ部分)の透視平面図である。
【0051】
図1及び図2(a)・(b)に示すように、本実施の形態に係る折り畳み式携帯電話機40(以下、単に携帯電話機40と示す)は、本体部42と、本体部42の一端に設けられたヒンジ部41と、ヒンジ部41を軸として回転可能に設けられた蓋部43とから構成されている。
【0052】
本体部42は、携帯電話機40を操作するための操作キー44を備えるとともに、その内部に主制御基板20を備えている。蓋部43は、外部に表示画面45及びカメラ(図示せず)を備えるとともに、内部にアプリケーション回路基板30を備えている。ドライバ39などが搭載されている。
【0053】
上述のような構成を有する携帯電話機40において、主制御基板20とアプリケーション回路基板との間の情報(データ)伝送は、光伝送モジュール1を介して行われる。
【0054】
(光伝送モジュールの構成)
次に、図3(a)および(b)を参照して上記光伝送モジュール1の構成について説明する。図3(a)は、本実施の形態に係る携帯電話機40における、光伝送モジュール1の適用部分を示すブロック図であり、図3(b)は、本実施の形態に係る携帯電話機40における、光伝送モジュール1の概略構成を示すブロック図である。
【0055】
図3(a)および(b)に示すように、光伝送モジュール1は、CPU29を搭載する主制御基板20に接続される光送信処理部(送信モジュール部、光モジュール部)2と、LCDドライバ39などのアプリケーション回路を搭載するアプリケーション回路基板30に接続される光受信処理部(受信モジュール部、光モジュール部)3と、光送信処理部2及び光受信処理部3同士を接続する光配線4と電気配線5とを備えてなる構成である。
【0056】
上記光配線4は、発光部23から出射されるデータ信号としての光信号を受光部31まで伝送する媒体である。光配線4の詳細については後述する。電気配線5は主制御基板20とアプリケーション回路基板30との間の低速信号および電源を伝送する。
【0057】
図3(b)に示すように光送信処理部2は、インターフェイス回路(以下、I/F回路と記す)21、発光駆動部(光変換器)22、及び発光部23を備えてなる構成である。
【0058】
上記I/F回路21は、外部から高速のデータ信号を受信するための回路である。このI/F回路21は、外部から光伝送モジュール1内に入力される電気信号の電気配線と発光駆動部22との間に設けられている。
【0059】
上記発光駆動部22は、I/F回路21を介して外部から光伝送モジュール1内に入力された電気信号に基づいて発光部23の発光を駆動するものである。この発光駆動部22は、例えば発光駆動用のIC(Integrated Circuit)によって構成することができる。またI/F回路部21および発光駆動部22はICで構成されていてもよい。
【0060】
発光部23は、発光駆動部22による駆動制御に基づいて発光するものである。この発光部23は、例えばVCSEL(Vertical Cavity-Surface Emitting Laser)などの発光素子によって構成することができる。この発光部23から発せられた光は、光信号として光配線4の光入射側端部に照射される。
【0061】
このように、光送信処理部2は、該光送信処理部2に入力される電気信号を、該電気信号に応じた光信号に変換して、光配線4に出力する。
【0062】
次に、光受信処理部3は、受光部31、検出回路32、増幅部(アンプ)33、及びI/F回路34を備えてなる構成である。
【0063】
上記受光部31は、光配線4の光出射側端部から出射された光信号としての光を受光し、光電変換によって電気信号を出力するものである。この受光部31は、例えばPD(Photo-Diode)などの受光素子によって構成することができる。また、検出回路32は、受光部31が光信号を受信したか否かを判断する。
【0064】
増幅部33は、受光部31・検出回路32から出力された電気信号を所望の値に増幅して外部に出力するものである。この増幅部33は、例えば増幅用のICによって構成することができる。
【0065】
I/F回路34は、増幅部33により増幅された電気信号を光伝送モジュール1の外部へ出力するための回路である。I/F回路34は、外部へ電気信号を伝送する電気配線と接続しており、増幅部32とこの電気配線との間に設けられる。また、検出回路、増幅回路、およびI/F回路はICにより構成されていてもよい。
【0066】
このように、光受信処理部3は、光配線4を通じて光送信処理部2から出力される光信号を受信して、該光信号に応じた電気信号に変換した後、所望の信号値に増幅して外部に出力することができる。
【0067】
(光配線の構成)
次に、光配線4の詳細について図4(a)及び図4(b)を用いて説明する。図4(a)は、光配線4の側面図を示している。同図に示すように、光配線4は、光伝送方向を軸とする柱状形状のコア部4αと、コア部4αの周囲を囲むように設けられたクラッド部4βとを備えた構成となっている。コア部4α及びクラッド部4βは透光性を有する材料によって構成されているとともに、コア部4αの屈折率は、クラッド部4βの屈折率よりも高くなっている。これにより、コア部4αに入射した光信号は、コア部4α内部で全反射を繰り返すことによって光伝送方向に伝送される。
【0068】
コア部4α及びクラッド部4βを構成する材料としては、ガラスやプラスチックなどを用いることが可能であるが、十分な可撓性を有する光配線4を構成するためには、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、及びシリコーン系等の樹脂材料を使用することが好ましい。また、クラッド部4βを空気などの気体で構成してもよい。さらに、クラッド部4βをコア部4αよりも屈折率の小さい液体の雰囲気下において使用しても同様の効果が得られる。
【0069】
次に、光配線4による光伝送の仕組みについて図4(b)を用いて説明する。図4(b)は、光配線4における光伝送の状態を模式的に示している。同図に示すように、光配線4は可撓性を有する部材によって構成される。また、光配線4の光入射側端部には光入射面4Aが設けられているとともに、光出射側端部には光出射面4Bが設けられていてもよい。
【0070】
発光部23から出射された光は、光配線4の光伝送方向に対して直角または略直角となる方向から、光配線4の光入射側端部に入射される。入射された光は、光入射面4Aにおいて反射されることによって光配線4内に導入されコア部4α内を進行する。光配線4内を進行して光出射側端部に到達した光は、光出射面4Bにおいて反射されることによって、光配線4の光伝送方向に対して直角または略直角となる方向へ出射される。出射された光は、受光部31に照射され、受光部31において光電変換が行われる。
【0071】
このような構成によれば、光配線4における光伝送方向に対して直角または略直角となる方向に、光源としての発光部23を配置する構成とすることが可能となる。よって、例えば基板面に平行に光配線4を配置することが必要とされる場合に、光配線4と基板面との間に、該基板面の法線方向に光を出射するように発光部23を設置すればよいことになる。このような構成は、例えば発光部23を基板面に平行に光を出射するように設置する構成よりも、実装が容易であり、また、構成としてもよりコンパクトにすることができる。これは、発光部23の一般的な構成が、光を出射する方向のサイズよりも、光を出射する方向に直角な方向のサイズの方が大きくなっていることによるものである。さらに同一面内に電極と発光部23がある平面実装向け発光素子を使用する構成にも適用が可能である。
【0072】
なお、同図に示す光配線4は、上述のように、光入射面4A及び光出射面4Bが傾斜している構成であるが、本実施形態における光配線4は、両端面が光伝送方向に対して直交する構成であってもよい。すなわち、光配線4の外形が、直方体状に形成されていてもよい。また、光配線4はPOFなどの光ファイバであってもよい。
【0073】
(電気配線の構成)
次に、上記電気配線5の詳細について説明する。電気配線5は、図3(a)に示されるように、光配線4に並行して設けられ、CPU29とLCDドライバ39とを接続し、CPU29から出力される低速データ信号や電源信号をLCDドライバ39に伝送する。
【0074】
この電気配線5は、具体的には、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)、同軸ケーブル等により構成される。図5は、電気配線5がFPCで構成されている場合の光伝送モジュール1の概略構成を示す斜視図である。このように、光配線4および電気配線5をフレキシブルな配線により構成することで、光伝送モジュール1を携帯機器等の小型の電子機器に適用することができる。
【0075】
(光伝送モジュールの特徴的構成)
次に、図1(a)〜(c)を参照して光伝送モジュール1の特徴的構成について説明する。図1は、本実施形態の光伝送モジュール1の概略構成を示し、図1(a)は上面図であり、図1(b)は下面図である。なお、図1(a)および(b)は、後述する折り曲げ部により折り曲げられる前の展開図である。
【0076】
図1(a)および(b)に示されるように、光伝送モジュール1は、電気配線5を備えた回路基板を備えている。この回路基板は、光送信処理部2および送信側コネクタ部(接続部)26が搭載される送信側基板部25と、光受信処理部3および受信側コネクタ部(接続部)36が搭載される受信側基板部35と、送信側基板部25と受信側基板部35との間に介在する電気配線部6とを有している。電気配線部6は、送信側コネクタ部26と受信側コネクタ部36との電気伝送を行う電気配線5を有している。
【0077】
送信側コネクタ部26および受信側コネクタ部36はそれぞれ、光配線4および電気配線5において伝送される信号を電気信号として入力または出力するか、あるいは入力および出力の両方を行う(双方向伝送の場合)ために設けられている。送信側コネクタ部26および受信側コネクタ部36はそれぞれ、外部接続端子を有している。この外部接続端子は、光送信処理部2および送信側基板部25、若しくは光受信処理部3および受信側基板部35に電気信号を供給する。このような送信側コネクタ部26および受信側コネクタ部36の具体例としては、ボードツーボード型のコネクタが挙げられる。
【0078】
また、光送信処理部2および送信側コネクタ部26は、送信側基板部25における同一面に搭載されている。そして、送信側基板部25における光送信処理部2および送信側コネクタ部26と反対側の面には、補強板27および28が設けられている。補強板27および28はそれぞれ、光送信処理部2および送信側コネクタ部26に対応するように設けられている。また、光受信処理部3および受信側コネクタ部36は、光送信処理部2および送信側コネクタ部26と同様に、受信側基板部35の同一面に搭載されている。そして、受信側基板部36における光受信処理部3および受信側コネクタ部36と反対側の面には、補強板37および38が設けられている。補強板37および38はそれぞれ、光受信処理部3および受信側コネクタ部36に対応するように設けられている。以下、図1(a)において、光配線4における光信号の伝送方向をX方向とし、送信側基板部25および受信側基板部35の法線方向をZ方向とし、X方向およびZ方向に垂直な方向をY方向とする。なお、Z方向は、光伝送モジュール1の高さ方向であるといえる。
【0079】
本実施形態の光伝送モジュール1は、送信側基板部25および受信側基板部35にそれぞれ、折り曲げ部25X・35Xが設けられていることを特徴している。この折り曲げ部25X・35Xにより、送信側基板部25および受信側基板部35はそれぞれ、法線方向であるZ方向において基板面が互いに背向するように折り曲げられる。光伝送モジュール1は、折り曲げ部25X・35Xにより送信側基板部25および受信側基板部35が折り曲げられた状態で、携帯電話機40等の電子機器に搭載される。
【0080】
図1(a)および(b)に示されるように、折り曲げ部25Xおよび35Xはそれぞれ、光送信処理部2と送信側コネクタ部26との間、および光受信処理部3と受信側コネクタ部36との間に配されている。それゆえ、例えば受信側基板部35は、折り曲げ部35Xにより折り曲げられると、図1(c)に示される構成になる。図1(c)は、折り曲げ部35Xにより折り曲げられた状態における、光受信処理部3近傍の構成を概略的に示した断面図である。なお、折り曲げ部25Xにより折り曲げられた状態における、光送信処理部2及び送信側コネクタ部26の位置関係は、図1(c)に示される光受信処理部3および受信側コネクタ部36の位置関係と同様であるので、説明を省略する。以下では、折り曲げ部35Xにより折り曲げられた状態における、光受信処理部3近傍の構成について説明する。
【0081】
図1(c)に示されるように、折り曲げ部35Xにより折り曲げられたとき、光受信処理部3及び受信側コネクタ部36は、Z方向に配列することになる。
【0082】
図1(c)に示された構成によれば、例えば受信側基板部35として配線層が一層形成された片面FPCを用いた場合であっても、配線の引き回しによる光伝送モジュール1の搭載部分(アプリケーション回路基板30への搭載部分)の大型化を回避することができる。それゆえ、図1(c)に示された構成によれば、光伝送モジュール1の実装部分を省スペース化することができる。さらには、受信側基板部35として片面FPCを用いているので、配線層が複数形成された多層FPCを用いた場合と比較して、低コストを実現することができる。
【0083】
(補強部について)
また、光伝送モジュール1において、補強板37および38は、折り曲げ部35Xによる折れ曲がりにより、補強部を形成する。この補強部は、受信側基板部35の裏面により形成された隙間部分に形成される。受信側基板部36はFPC等の可撓性(フレキシブル)基板であるので、この補強部は、光受信処理部3および受信側コネクタ部36を補強する役割がある。さらには、この補強部は、光受信処理部3と受信側コネクタ部36とについて、電気的結合を低減し電気的に分離する役割もある。このような電気的分離の役割から、上記補強部は、光受信処理部3と受信側コネクタ部36との間に挿入された、電気的結合を低減する電気的分離部であると言い換えることができる。そして、この電気的分離部は、光受信処理部3と受信側コネクタ部36との間に挿入された、電気的結合の低減機能を有する板状の個片であると定義することができる。
【0084】
光伝送モジュール1のように、光受信処理部3の配線と受信側コネクタ部36の配線とがZ方向に配列された構造では、両配線の電磁結合および静電結合により光受信処理部3の配線にノイズが流入する。このノイズの流入は、ジッタなどの波形劣化となり伝送速度を制限することになる。このようなノイズの流入を回避するために、光受信処理部3と受信側コネクタ部36との間に電磁結合および静電結合を低減する層が挿入される。補強部による電気的分離には、折れ曲がった状態でのZ方向の受信側基板部35同士を離間し、距離を大きくして隔離する方法A、あるいはZ方向の受信側基板部35間にシールドを挿入する方法Bがある。方法Aを採用する場合、補強部を構成する材料は、金属に限定されず、誘電体のみで構成されていてもよい。
【0085】
また、この補強部は、Z方向に複数の層が積層された積層構造を有している。なお、図1(c)に示された構成では、2枚の補強板37および38により補強部が形成されているが、補強部の構成は、Z方向に積層された積層構造であれば、特に限定されず、少なくとも1枚の補強板を有した構成であればよい。
【0086】
また、補強部における積層構造は、少なくとも1つの金属層(導体層)を有していることが好ましい。この構成によれば、上記金属層により、受信コネクタ部36からの不要輻射(EMI;Electromagnetic interference)に対し電磁シールドを構成することができる。また、積層構造における金属層は、補強板37または38で構成されていてもよいし、後述する受信側基板部35に形成されている銀(Ag)シールドであってもよい。
【0087】
さらに、補強板37または38は、ステンレス(SUS)などの金属で構成されていてもよいし、ポリイミド(PI)などの誘電体で構成されていてもよい。補強板37または38は、金属で構成されている場合、光受信処理部3および受信側コネクタ部36の補強と、電磁シールドという2つの役割を有する。また、補強板37または38は、誘電体で構成されている場合、その表面に金属薄膜が形成された構成であってもよい。
【0088】
それゆえ、補強部における積層構造は、少なくとも1つの金属層を有する場合、金属層に誘電体からなる誘電体層が積層された構成を備えたことが好ましい。この誘電体層は、誘電体で構成された補強板であってもよいし、エポキシ樹脂等で構成される接着剤であってもよい。
【0089】
以下、光伝送モジュール1に適用し得る補強部の構成について、図6(a)〜(h)を参照して、説明する。図6(a)〜(h)はそれぞれ、光伝送モジュール1に適用し得る補強部の構成例を示した断面図である。なお、図6(a)〜(h)において、Z方向上側にある受信側基板部35は、光受信処理部3が搭載された部分を示し、Z方向下側にある受信側基板部35は、受信側コネクタ部36が搭載された部分を示す。
【0090】
図6(a)〜(d)に示された積層構造は、誘電体層39と、誘電体層39を狭持する2つの金属層とを備えた3層構造を有している。そして、誘電体層39を狭持する2つの金属層は、金属からなる補強板、受信側基板部35に形成されている銀(Ag)シールド等で構成されている。
【0091】
まず、図6(a)に示された積層構造は、2枚の補強板37および38を有し、補強板37および38が金属で構成されている例である。図6(a)に示された構成例では、2枚の補強板37および38の間に誘電体層39が設けられている。この誘電体層39は、ポリイミド(PI)等からなる補強板として構成されていてもよいし、エポキシ樹脂等の接着剤で構成されていてもよい。
【0092】
図6(b)に示された積層構造は、1枚の補強板(補強板37または38)を有し、この補強板が誘電体からなる誘電体層39を構成する例である。図6(b)に示された構成例では、誘電体層39を狭持するように金属層37aおよび38aが設けられている。この金属層37aおよび38aは、補強板37または38に形成された金属薄膜であってもよいし、受信側基板部35に形成されている銀(Ag)シールドであってもよい。
【0093】
図6(c)に示された積層構造は、補強板37が金属から構成された例である。図6(c)に示された構成では、補強板37における光受信処理部3と反対側の面に誘電体層39が設けられている。また、誘電体層39における補強板37と反対側の面に金属層38aが配されている。
【0094】
また、図6(d)に示された積層構造は、補強板38が金属から構成された例である。図6(d)に示された構成では、補強板38における受信側コネクタ部36と反対側の面に誘電体層39が設けられている。また、誘電体層39における補強板38と反対側の面に金属層37aが配されている。
【0095】
なお、図6(c)および(d)に示された誘電体層39は、ポリイミド(PI)等からなる補強板として構成されていてもよいし、エポキシ樹脂等の接着剤で構成されていてもよい。また、図6(c)および(d)に示された金属層37aおよび38aは、補強板37または38に形成された金属薄膜であってもよい(誘電体層39が補強板37または38として構成されている場合)し、受信側基板部35に形成されている銀(Ag)シールドであってもよい。
【0096】
図6(e)〜(h)に示された積層構造は、誘電体層39に金属層が積層した2層構造を有している。
【0097】
まず、図6(e)に示された積層構造は、金属からなる補強板38を有する例である。図6(e)に示された構成例では、補強板38における受信側コネクタ部36と反対側の面に誘電体層39が設けられている。また、図6(f)に示された積層構造は、金属からなる補強板37を有する例である。図6(f)に示された構成例では、補強板37における受信処理部3と反対側の面に誘電体層39が設けられている。図6(e)および(f)に示された誘電体層39は、ポリイミド(PI)等からなる補強板として構成されていてもよいし、エポキシ樹脂等の接着剤で構成されていてもよい。
【0098】
また、図6(g)に示された積層構造は、誘電体層29と金属層38aとで構成された2層構造の例である。また、図6(h)に示された積層構造は、誘電体層29と金属層37aとで構成された2層構造の例である。
【0099】
光伝送モジュール1における受信コネクタ部36が携帯電話機40のアプリケーション回路基板30等に搭載されたとき、インピーダンスの不整合等により不要輻射(EMI)が発生する。このEMIが光受信処理部3内の回路に干渉すると、ジッタが増加するといった伝送特性の劣化が発生する(クロストークする)。このため、基板間の伝送速度が制限される。図6(a)〜(h)に示されたように、補強部が少なくとも1つの金属層を有する積層構造を備えたことにより、受信側コネクタ部36から発生するEMIの光受信処理部3への影響を低減することができる。それゆえ、図6(a)〜(h)に示された構成によれば、高速伝送可能な光伝送モジュール1を実現することができる。
【0100】
また、図7に示されるように、光受信処理部3には、受光部31および増幅部33が搭載されており、受光部31と増幅部33とを接続する光素子配線3aが設けられている。この光素子配線3aには高周波電流が伝送される。そして、この光素子配線3aと近接するGND(接地された金属層)間に寄生容量Aが発生すると、信号の高周波成分の損失により波形劣化(ジッタの増加)が生じ伝送速度が制限される。補強部が少なくとも1つの金属層を有する積層構造を備えた場合、最も光受信処理部3側に設けられた金属層は、接地されておらず、電気的に開放されていることが好ましい。このような構成とすることにより、光素子配線3aとGNDとの間に大きな容量結合が生じることを回避することができ、伝送信号の高速化を実現することができる。
【0101】
また、最も受信側コネクタ部36側に設けられた金属層(金属層38aまたは金属からなる補強板38)は、接地されていることが好ましい。これにより、受信側コネクタ部36からのEMIに対するシールド効果を向上させることができる。
【0102】
以下、図8(a)〜(e)を参照して、補強部の積層構造における金属層の電気的な形態について、さらに詳述する。図8(a)〜(e)はそれぞれ、補強部の積層構造における金属層の電気的な形態の具体例を示した断面図である。なお、図8(a)〜(e)において、Z方向上側にある受信側基板部35は、光受信処理部3が搭載された部分を示し、Z方向下側にある受信側基板部35は、受信側コネクタ部36が搭載された部分を示す。
【0103】
図8(a)および(b)は、補強部が3層構造である場合における具体例を示し、図8(c)〜(e)は、補強部が2層構造である場合における具体例を示す。
【0104】
図8(a)に示された3層構造は、誘電体層39と、誘電体層39を狭持する補強板37および38とで構成されている。そして、補強板37および38は、金属で構成されており、ともに接地されていない構成になっている。また、図8(b)に示された3層構造は、図8(a)と同様の構造になっており、補強板37が接地されていない一方、補強板28が接地された構成になっている。
【0105】
また、図8(c)に示された2層構造は、誘電体層39と補強板38とで構成されている。そして、補強板38は、金属で構成されており、接地されていない構成になっている。また、図8(d)に示された2層構造は、図8(c)と同様の構造になっており、補強板38が接地された構成になっている。
【0106】
さらに、図8(e)に示された2層構造は、誘電体層39と補強板37とで構成されている。そして、補強板37は、金属で構成されており、接地されていない構成になっている。
【0107】
図8(a)〜(e)のうち、図8(a)、図8(c)、および図8(e)に示された積層構造は、接地された補強板を備えていない構成である。このような構成であっても、受信側コネクタ部36からのEMIは、金属からなる補強板の境界で反射するので、光素子配線3aとの干渉を防止することが可能である。
【0108】
なお、図8(a)〜(e)では、金属からなる補強板37・38を備えた積層構造を示したが、補強部の積層構造における金属層の電気的な形態は、金属からなる補強板37・38に代えて、図6に示された金属層37a・38aを備えた積層構造に対しても適用可能である。また、誘電体層39は、ポリイミド(PI)等からなる補強板として構成されていてもよいし、エポキシ樹脂等の接着剤で構成されていてもよい。
【0109】
光伝送モジュール1においては、図8(a)〜(e)に示された積層構造のうち、図8(b)に示された積層構造が好適に用いられる。すなわち、光伝送モジュール1における補強部は、誘電体からなる誘電体層39と、誘電体層39を挟持する金属からなる2つの補強板37・38とが法線方向に積層した3層構造であることが好ましい。そして、この3層構造において、最も光受信処理部3側に設けられた補強板37(第1の金属層)が接地されていない一方、最も受信側コネクタ部36側に設けられた補強板38(第2の金属層)は、接地されていることが好ましい。図9は、図8(b)に示された積層構造を適用したときの回路図を示す。
【0110】
図9に示されるように、補強部の積層構造を図8(b)に示された構成とした場合、光素子配線3aと補強板37との間の静電容量C1と、補強板37と補強板38との間の静電容量C2との直列結合が形成される。それゆえ、最も光受信処理部3側に設けられた補強板37が接地されていない場合であっても、寄生容量が生じる。この容量は、
Ctotal=C1C2/(C1+C2)=C1/(C1/C2+1) …(1)
として表わされる。
【0111】
上記(1)式において、C1≪C2である場合、Ctotal≒C1となり、寄生容量は、補強板37を接地した場合の容量C1と略同じになる。また、C1<C2である場合、C2を小さくする(C1/C2を大きくする)ことで、寄生容量を低減させることが可能である。
【0112】
また、C1/C2は、以下の式(2)で表わすことができる。下記の(2)式においては、光素子配線3aの面積をS1とし、補強板37の面積をS2とし、補強板38の面積をS3としている。また、光素子配線3aと補強板37との距離をd1とし、補強板37と補強板38との距離をd2としている。さらに、光素子配線3aと補強板37との間に配された部材(具体的には受信側基板部35)の比誘電率をεr1とし、補強板37と補強板38との間に設けられた誘電体層39の比誘電率をεr2としている。
【0113】
C1/C2=εr2/εr1×S1/S2×d2/d1 …(2)
(S1<S2<S3の場合)
上記(2)式によれば、誘電体層39の寸法、あるいは材料の比誘電率を制御することにより容易に静電容量C2を小さくすることができる。例えば、d2をd1よりも大きくする、すなわち、Z方向における補強板37と補強板38との距離を、Z方向における補強板37と光素子配線3aとの距離よりも長くすることで、容易に静電容量C2を小さくすることができる。また、誘電体層39を、比誘電率が1〜2である誘電体材料で構成することにより、容易に静電容量C2を小さくすることができる。
【0114】
また、図10(a)に示されるように補強板37および補強板38の重複部分Bの面積は、補強板37および補強板38の面積(S2、S3)のうち面積が小さいほうの補強板よりも小さくなっていることが好ましい。
【0115】
このような構成において、C1/C2は、以下の式(3)で表わすことができる。ただし、下記(3)式において、S2,3は、補強板37および補強板38の重複部分Bの面積である。
【0116】
C1/C2=εr2/εr1×S1/S2,3×d2/d1 …(3)
折り曲げ部による折れ曲がりにより、補強板37は光受信処理部3の下に配置されることになる。そして、補強板37の面積S2は、光受信処理部3内の光素子配線3aの面積S1よりも大きくなるので、C1=εr2S1/d1となる。
【0117】
また、C2の面積要素は、実質的に補強板37および補強板38の重複部分Bの面積S2,3となる。よって、この重複部分Bの面積S2,3を小さくすることで、静電容量C2を容易に小さくすることができる。
【0118】
また、図10(b)に示されるように、補強板37の面積が補強板38の面積よりも小さくなっていることが好ましい。このとき、補強板38は、受信側基板部35における受信側コネクタ部36搭載部分と反対側の裏面全体を覆うような形状であることが望ましい。また、補強板37は、受信側基板部35における光受信処理部3搭載部分と反対側の裏面のみを覆うような形状であることが望ましい。補強板38が受信側基板部35における受信側コネクタ部36搭載部分と反対側の裏面全体を覆うような形状であることにより、受信側コネクタ部36からのEMIに対するシールド効果を向上させることができる。その一方で、補強板37が受信側基板部35における光受信処理部3搭載部分と反対側の裏面のみを覆うような形状とし面積を小さくすることで、直列の静電容量を小さくすることができる。よって、図10(b)に示された構成によれば、光配線による高速伝送特性を向上させることができる。
【0119】
以上のように、図8(b)に示された積層構造を採用することにより、誘電体層39の比誘電率、補強板37と補強板38との距離を制御することで静電容量C2を容易に低減することができる。それゆえ、静電容量C1およびC2の直列接続に起因する寄生容量Ctotalを低減することができる。
【0120】
(受信側基板部35の構成について)
上述したように、光伝送モジュール1においては、受信側基板部35として配線層が一層形成された可撓性基板を用いることが可能である。例えば、受信側基板部35として配線層が一層形成された片面FPCを用いることができる。図11は、片面FPCの概略構成を示した断面図である。
【0121】
図11に示されるように、シールドフィルム35a、カバーレイフィルム35b、カバーレイ接着層35c、銅箔としての配線層35d、ベースフィルム35e、およびシールドフィルム35fで構成された積層構造を有する。シールドフィルム35aおよび35fは、積層方向の最も外側に設けられたフィルムであり、銀ペーストで構成されている。このシールドフィルム35aおよび35fは、補強部における積層構造の一部の金属層として構成され得る。
【0122】
受信側基板部35が図11に示されるような片面FPCである場合、金属からなる補強板38は、シールドフィルム35fを介して接地することが可能である。すなわち、補強板38と接地されたシールドフィルム35fとを導通させることで、補強板38を接地することができる。図12(a)は、補強板38がシールドフィルム35fを介して接地した場合の、光受信処理部3近傍の構成を示した断面図であり、図12(b)および(c)は、補強板38とシールドフィルム35fとが導通した構成を示す断面図である。図12(a)に示される構成においては、受信側基板部35における光受信処理部3と反対側の裏面に形成されているシールドフィルム35fは、開口されている。そしてこの開口された部分に補強板37が設けられている。一方、受信側基板部35における受信側コネクタ部36と反対側の裏面に形成されているシールドフィルム35fは、残ったままである。そして、このシールドフィルム35fは、接地されるとともに、補強板38と導通している。これにより、補強板38の接地を実現することができる。
【0123】
図12(b)に示されるように、補強板38は、導電性接着剤35adによりシールドフィルム35fに固定することで、シールドフィルム35fと導通していてもよい。
【0124】
また、図12(c)に示されるように、補強板38とシールドフィルム35fとの導通のため、シールドフィルム35fに2つの電極パッド35Pが配置された構成であってもよい。図12(c)に示された構成では、補強板38は、電極パッド35Pを介してシールドフィルム35fと導通している。また、補強板38は、接着剤35ad’を介してシールドフィルム35fに固定されている。なお、接着剤35ad’は、シールドフィルム35fに接着する機能を有していれば、特に限定されない。
【0125】
なお、上述した、光受信処理部3、受信側コネクタ部36、および折り曲げ部35Xを備えた受信部の特徴点は、光送信処理部2、送信側コネクタ部26、および折り曲げ部25Xを備えた送信部にも適用可能であることはいうまでもない。
【0126】
(光伝送モジュール1の製造方法)
光伝送モジュール1の製造方法は、光送信処理部2および光受信処理部3に光配線4を実装する実装段階と、送信側基板部25および受信側基板部35の基板面が互いに背向するように折り曲げる折り曲げ段階を含み、実装段階および折り曲げ段階を組み合わせて光伝送モジュール1を組み立てる組立工程を含む。
【0127】
図13は、図1(a)〜(c)に示された光伝送モジュール1の製造方法を説明するための上面図である。例えば、図1(a)〜(c)に示された光伝送モジュール1は、受信側コネクタ部36(または送信側コネクタ部26)が、光受信処理部3(または光送信処理部2)における電気配線部6と反対側に配置された構成であるので、次の手順で組み立てることが可能である。
【0128】
まず、実装段階にて、光送信処理部2および光受信処理部3に光配線4を実装する。実装段階後、送信側基板部25の折り曲げ部25X、および受信側基板部35の折り曲げ部35Xで折り曲げる折り曲げ段階を行う。
【0129】
実装段階では、折り曲げ前の回路基板、すなわち送信側基板部25、電気配線部6、および受信側基板部35が平行な状態で、光送信処理部2および光受信処理部3に光配線4を実装する。それゆえ、光伝送モジュール1の組立が簡易になる。
【0130】
(変形例1)
本実施形態の光伝送モジュール1の構成において、図1(a)〜(c)に示す構成の変形例について説明する。図14は、この変形例1としての光伝送モジュール1の構成を示す上面図である。変形例1の光伝送モジュール1は、折り曲げ部35X(または折り曲げ部35X)に対する、受信側コネクタ部36(または送信側コネクタ部26)および光受信処理部3(または光送信処理部2)の位置関係が図1(a)〜(c)と逆になっている構成である。すなわち、受信側基板部35(または送信側基板部25)における同一基板面において、光受信処理部3(または光送信処理部2)は、受信側コネクタ部36(または送信側コネクタ部26)における電気配線部6と反対側に配置されている。
【0131】
図15は、折り曲げ部35Xにより折り曲げられた状態での、変形例1の光伝送モジュール1の光受信処理部3近傍の構成を示す断面図である。図15に示されるように、光受信処理部3および受信側コネクタ部36は、法線方向であるZ方向に配列することになる。
【0132】
図14および図15に示された変形例1の光伝送モジュール1によれば、送信側コネクタ部26と受信側コネクタ部36との間に、光送信処理部2および光受信処理部3が介在しない構成になっている。それゆえ、送信側コネクタ部26と受信側コネクタ部36とを接続する電気配線5を電気配線部6内のみで構成することができ、送信側基板部25および受信側基板部35の面積を小型化することが可能になる。
【0133】
図1(a)〜(c)に示された光伝送モジュール1においては、送信側コネクタ部26と受信側コネクタ部36との間に、光送信処理部2および光受信処理部3が介在している。また、折り曲げられた状態で携帯電話機に搭載されるために、送信側コネクタ部26および受信側コネクタ部36の外部接続端子はそれぞれ、光送信処理部2および光受信処理部3との対向位置に設けられることになる。このため、図14に示されるように、電気配線5は、光送信処理部2および光受信処理部3を回避して、送信側コネクタ部26と受信側コネクタ部36とを接続することになる。それゆえ、電気配線5は、光送信処理部2および光受信処理部3を回避するため、送信側基板部25および受信側基板部35にも形成される必要がある。
【0134】
以下、変形例1の光伝送モジュール1の製造方法について、説明する。変形例1の光伝送モジュール1は、次の手順で組み立てることが可能である。
【0135】
折り曲げ段階にて、送信側基板部25の折り曲げ部25X、および受信側基板部35の折り曲げ部35Xで折り曲げる。次に実装段階にて、送信側基板部25および受信側基板部35が折り曲げられた状態で、光送信処理部2および光受信処理部3に光配線4を実装する。
【0136】
(変形例2)
本実施形態の光伝送モジュール1の構成において、図1(a)〜(c)に示す構成の変形例について説明する。図16(a)〜(c)は、この変形例2としての光伝送モジュール1の光受信処理部3近傍の構成を示す断面図である。変形例2の光伝送モジュール1は、折り曲げ部35Xが光受信処理部3と受信側コネクタ部36との間に設けられていない構成である。すなわち、受信側基板部35における同一基板面において、折り曲げ部35Xは、受信側コネクタ部36における光受信処理部3と反対側に配置されている。
【0137】
図16(a)〜(c)に示されるように、変形例2の光伝送モジュール1では、折り曲げ部35Xによる折り曲げにより、光受信処理部3および受信側コネクタ部36は、X方向に配列される。また、電気配線部6は、光受信処理部3および受信側コネクタ部36とZ方向で配列する。このように、変形例2の光伝送モジュール1では、光受信処理部3および受信側コネクタ部36がX方向に配列しているので、Z方向での高さを小さくすることができる。よって、変形例2の光伝送モジュール1では、モジュール全体の低背化を実現することができる。
【0138】
また、図16(a)に示されるように、折り曲げ部35Xにより折り曲げによって形成された隙間部分(基板面の裏面により形成された隙間部分)には、光受信処理部3および受信側コネクタ部36を補強する補強部として、補強板37および38が設けられている。
【0139】
光受信処理部3および受信側コネクタ部36を補強する補強部は、図16(a)に示される構成に限定されない。例えば、図16(b)に示されるように、補強部として、1枚の補強板37が光受信処理部3および受信側コネクタ部36に対応するように設けられていてもよい。また、補強板37は、図16(c)に示されるように受信側基板部35に形成されたシールド層35fと接続されて接地されていても良い。
【0140】
(変形例3)
本実施形態の光伝送モジュール1の構成において、図1(a)〜(c)に示す構成の変形例について説明する。図17は、この変形例3としての光伝送モジュール1の構成を示し、図17(a)は上面図であり、図17(b)は折り曲げ部により折り曲げられた状態を示す断面図である。
【0141】
図17(a)に示されるように、変形例3の光伝送モジュール1では、送信側基板部25において、光送信処理部2および送信側コネクタ部26がY方向に並列し、折り曲げ部25Xが光送信処理部2と送信側コネクタ部26との間に形成されている。また、送信側基板部35において、光受信処理部3および受信側コネクタ部36がY方向に並列し、折り曲げ部35Xが光受信処理部3と受信側コネクタ部36との間に形成されている。折り曲げ部25Xおよび35Xはともに、X方向に形成されている。
【0142】
図17(b)に示されるように、折り曲げ部25Xにより折り曲げられた状態では、光送信処理部2および送信側コネクタ部26は、法線方向であるZ方向に配列することになる。また、折り曲げ部35Xにより折り曲げられた状態では、光受信処理部3および受信側コネクタ部36は、法線方向であるZ方向に配列することになる。この構成により、多数の電気配線を有する電気配線部のスリム化が可能になる。
【0143】
(変形例4)
本実施形態の光伝送モジュール1の構成において、図17(a)(b)に示す構成の変形例について説明する。図18は、この変形例4としての光伝送モジュール1の構成を示し、図18(a)は上面図であり、図18(b)および(b)は折り曲げ部により折り曲げられた状態での接続形態を示す断面図である。
【0144】
図18(a)に示されるように、変形例4の光伝送モジュール1は、接点部26aおよび36aを備えている。接点部26aは、送信側基板部25から光配線4の光伝送方向に突出するように形成されている。また、接点部36aは、受信側基板部35から光配線4の光伝送方向に突出するように形成されている。接点部26aにおける光送信処理部2側の面、および接点部36aにおける光受信処理部3側の面には、配線パターンが形成されている。このため、折り曲げ部により折り曲げられた状態では、接点部26aおよび36aにおける配線パターン形成面はそれぞれ、光送信処理部2および光受信処理部3の搭載面に背向することになる。
【0145】
このように接点部26aおよび36aにおける配線パターン形成面が光送信処理部2および光受信処理部3の搭載面に背向するので、図18(b)に示されるように、接点部26aおよび36aをそれぞれ、FPCコネクタ11および12に対し光伝送方向(X方向)に挿入し接続することが可能になる。この場合、接点部26aおよび36aと、これらに接続するFPCコネクタ11および12とで、「接続部」が構成される。
【0146】
また、図18(c)に示されるように、接点部26aおよび36aにおける配線パターン形成面と対向するように基板13および14を設置し、接点部26aおよび36aと基板13および14とをACF接続することも可能である。この場合、光伝送モジュール1をさらに低背化することが可能になる。
【0147】
(応用例)
なお、本実施形態の光伝送モジュール1は、例えば以下のような応用例に適用することが可能である。上述した実施形態では、応用例として携帯電話機40に適用した例を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、スライド式PHS(Personal Handyphone System)、スライド式PDA(Personal Digital Assistant)、スライド式ノートパソコン等のスライド式の電子機器のスライド機構等にも適用することができる。
【0148】
さらなる応用例として、光伝送モジュール1は、印刷装置(電子機器)におけるプリンタヘッドやハードディスク記録再生装置における読み取り部など、駆動部を有する装置にも適用できる。
【0149】
図19(a)〜図19(c)は、光伝送モジュール1を印刷装置50に適用した例を示している。図19(a)は、印刷装置50の外観を示す斜視図である。この図に示すように、印刷装置50は、用紙54の幅方向に移動しながら用紙54に対して印刷を行うプリンタヘッド51を備えており、このプリンタヘッド51に光伝送モジュール1の一端が接続されている。
【0150】
図19(b)は、印刷装置50における、光伝送モジュール1が適用されている部分のブロック図である。この図に示すように、光伝送モジュール1の一端部はプリンタヘッド51に接続されており、他端部は印刷装置50における本体側基板に接続されている。なお、この本体側基板には、印刷装置50の各部の動作を制御する制御手段などが備えられる。
【0151】
図19(c)及び図19(d)は、印刷装置50においてプリンタヘッド51が移動(駆動)した場合の、光配線4の湾曲状態を示す斜視図である。この図に示すように、光配線4をプリンタヘッド51のような駆動部に適用する場合、プリンタヘッド51の駆動によって光配線4の湾曲状態が変化するとともに、光配線4の各位置が繰り返し湾曲される。
【0152】
したがって、本実施形態にかかる光伝送モジュール1は、これらの駆動部に好適である。また、光伝送モジュール1をこれらの駆動部に適用することにより、駆動部を用いた高速、大容量通信を実現できる。
【0153】
図20は、光伝送モジュール1をハードディスク記録再生装置60に適用した例を示している。
【0154】
この図に示すように、ハードディスク記録再生装置60は、ディスク(ハードディスク)61、ヘッド(読み取り、書き込み用ヘッド)62、基板導入部63、駆動部(駆動モータ)64、光伝送モジュール1を備えている。
【0155】
駆動部64は、ヘッド62をディスク61の半径方向に沿って駆動させるものである。ヘッド62は、ディスク61上に記録された情報を読み取り、また、ディスク61上に情報を書き込むものである。なお、ヘッド62は、光伝送モジュール1を介して基板導入部63に接続されており、ディスク61から読み取った情報を光信号として基板導入部63に伝搬させ、また、基板導入部63から伝搬された、ディスク61に書き込む情報の光信号を受け取る。
【0156】
このように、光伝送モジュール1をハードディスク記録再生装置60におけるヘッド62のような駆動部に適用することにより、高速、大容量通信を実現できる。
【0157】
本実施形態の光伝送モジュール1は、上記の応用例に加え、ビデオカメラ、ノートパソコン等の情報端末や基板間の信号伝送にも利用可能である。
【0158】
以下、実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明は、各種機器間の光通信路にも適用可能であるとともに、小型、薄型の民生機器内に搭載される機器内配線としてのフレキシブルな光配線にも適用可能である。
【符号の説明】
【0160】
1 光伝送モジュール
2 光送信処理部(送信モジュール部、光モジュール部)
3 光受信処理部(受信モジュール部、光モジュール部)
4 光配線
5 電気配線
6 電気配線部(回路基板)
25 送信側基板部(回路基板)
25X 折り曲げ部
26 送信側コネクタ部(接続部)
27 補強板(補強部、第1の金属層)
28 補強板(補強部、第2の金属層)
35 受信側基板部(回路基板)
35X 折り曲げ部
36 受信側コネクタ部(接続部)
37 補強板(補強部、第1の金属層)
38 補強板(補強部、第2の金属層)
39 誘電体層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光配線によって伝送される光信号を電気信号に変換する受信モジュール部、もしくは電気信号を光信号に変換し光配線に伝送する送信モジュール部の少なくとも一方からなる光モジュール部と、
電気信号を伝送する電気配線を備えた回路基板と、
上記光モジュール部および上記回路基板に電気信号を供給する外部接続端子を有する接続部とを備え、
上記光モジュール部及び上記接続部が、上記回路基板における同一の基板面に搭載された光伝送モジュールであって、
上記回路基板は、その法線方向において上記基板面が互いに背向するように折り曲げられた折り曲げ部を有していることを特徴とする光伝送モジュール。
【請求項2】
上記折り曲げ部は、上記光モジュール部と上記接続部との間に設けられており、
上記光モジュール部及び上記接続部は、上記折り曲げ部による折り曲げにより、上記回路基板の法線方向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光伝送モジュール。
【請求項3】
上記基板面の裏面により形成された隙間部分に、上記光モジュール部と上記接続部との間の電気的結合を低減する、板状の補強部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光伝送モジュール。
【請求項4】
上記補強部は、上記法線方向に積層された積層構造を有し、該積層構造は、少なくとも1つの金属層を備えていることを特徴とする請求項3に記載の光伝送モジュール。
【請求項5】
上記金属層のうち、最も光モジュール部側に設けられた第1の金属層は、接地されていないことを特徴とする請求項4に記載の光伝送モジュール。
【請求項6】
上記金属層のうち、最も接続部側に設けられた第2の金属層は、接地されていることを特徴とする請求項4に記載の光伝送モジュール。
【請求項7】
上記補強部は、誘電体からなる誘電体層と、該誘電体層を挟持する金属からなる2つの金属層とが上記法線方向に積層した3層構造であり、
最も光モジュール部側に設けられた第1の金属層が接地されていない一方、最も接続部側に設けられた第2の金属層は、接地されていることを特徴とする請求項3に記載の光伝送モジュール。
【請求項8】
上記誘電体層は、比誘電率が1〜2である誘電体材料で構成されていることを特徴とする請求項7に記載の光伝送モジュール。
【請求項9】
上記光モジュール部は、
上記光配線を伝送する光信号を受光する、あるいは上記光配線へ光信号を発光する光素子と、
上記光素子により受光した光信号を増幅する、あるいは上記光配線への光信号の発光を駆動する制御部と、
上記光素子と上記制御部とを接続する光素子配線とを備え、
上記第1及び第2の金属層の上記法線方向の距離は、上記第1の金属層と上記光素子配線との上記法線方向の距離よりも長くなっていることを特徴とする請求項7に記載の光伝送モジュール。
【請求項10】
上記法線方向からみた、上記第1及び第2の金属層の重複部分は、上記第1及び第2の金属層のうち面積が小さいほうの金属層よりも面積が小さくなっていることを特徴とする請求項7に記載の光伝送モジュール。
【請求項11】
上記回路基板は、その表面に接地されたシールド層を備え、
上記第2の金属層は、上記シールド層と導通していることを特徴とする請求項7に記載の光伝送モジュール。
【請求項12】
上記回路基板における同一の基板面において、
上記接続部は、上記光モジュール部における電気配線と反対側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の光伝送モジュール。
【請求項13】
上記回路基板における同一の基板面において、
上記光モジュール部は、上記接続部における電気配線と反対側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の光伝送モジュール。
【請求項14】
上記回路基板における同一の基板面において
上記折り曲げ部は、上記接続部における上記光モジュール部と反対側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光伝送モジュール。
【請求項15】
請求項1に記載の光伝送モジュールを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項16】
光配線によって伝送される光信号を電気信号に変換する受信モジュール部、もしくは電気信号を光信号に変換し光配線に伝送する送信モジュール部の少なくとも一方からなる光モジュール部と、
電気信号を伝送する電気配線を備えた回路基板と、
上記光モジュール部および上記回路基板に電気信号を供給する外部接続端子を有する接続部とを備え、上記回路基板における同一の基板面に、上記光モジュール部及び上記接続部を搭載された光伝送モジュールの製造方法であって、
上記光モジュール部に上記光配線を実装する実装段階と、
上記回路基板の法線方向で上記基板面が互いに背向するように、上記回路基板を折り曲げる折り曲げ段階と、を組み合わせて光伝送モジュールを組み立てる組立工程を含むことを特徴とする光伝送モジュールの製造方法。
【請求項17】
上記組立工程では、上記折り曲げ段階後における上記回路基板が折り曲げられた状態で、上記実装段階を行うことを特徴とする請求項16に記載の光伝送モジュールの製造方法。
【請求項18】
上記組立工程では、上記実装段階後における光配線が光モジュール部に実装された状態で、上記折り曲げ段階を行うことを特徴とする請求項16に記載の光伝送モジュールの製造方法。
【請求項1】
光配線によって伝送される光信号を電気信号に変換する受信モジュール部、もしくは電気信号を光信号に変換し光配線に伝送する送信モジュール部の少なくとも一方からなる光モジュール部と、
電気信号を伝送する電気配線を備えた回路基板と、
上記光モジュール部および上記回路基板に電気信号を供給する外部接続端子を有する接続部とを備え、
上記光モジュール部及び上記接続部が、上記回路基板における同一の基板面に搭載された光伝送モジュールであって、
上記回路基板は、その法線方向において上記基板面が互いに背向するように折り曲げられた折り曲げ部を有していることを特徴とする光伝送モジュール。
【請求項2】
上記折り曲げ部は、上記光モジュール部と上記接続部との間に設けられており、
上記光モジュール部及び上記接続部は、上記折り曲げ部による折り曲げにより、上記回路基板の法線方向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光伝送モジュール。
【請求項3】
上記基板面の裏面により形成された隙間部分に、上記光モジュール部と上記接続部との間の電気的結合を低減する、板状の補強部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光伝送モジュール。
【請求項4】
上記補強部は、上記法線方向に積層された積層構造を有し、該積層構造は、少なくとも1つの金属層を備えていることを特徴とする請求項3に記載の光伝送モジュール。
【請求項5】
上記金属層のうち、最も光モジュール部側に設けられた第1の金属層は、接地されていないことを特徴とする請求項4に記載の光伝送モジュール。
【請求項6】
上記金属層のうち、最も接続部側に設けられた第2の金属層は、接地されていることを特徴とする請求項4に記載の光伝送モジュール。
【請求項7】
上記補強部は、誘電体からなる誘電体層と、該誘電体層を挟持する金属からなる2つの金属層とが上記法線方向に積層した3層構造であり、
最も光モジュール部側に設けられた第1の金属層が接地されていない一方、最も接続部側に設けられた第2の金属層は、接地されていることを特徴とする請求項3に記載の光伝送モジュール。
【請求項8】
上記誘電体層は、比誘電率が1〜2である誘電体材料で構成されていることを特徴とする請求項7に記載の光伝送モジュール。
【請求項9】
上記光モジュール部は、
上記光配線を伝送する光信号を受光する、あるいは上記光配線へ光信号を発光する光素子と、
上記光素子により受光した光信号を増幅する、あるいは上記光配線への光信号の発光を駆動する制御部と、
上記光素子と上記制御部とを接続する光素子配線とを備え、
上記第1及び第2の金属層の上記法線方向の距離は、上記第1の金属層と上記光素子配線との上記法線方向の距離よりも長くなっていることを特徴とする請求項7に記載の光伝送モジュール。
【請求項10】
上記法線方向からみた、上記第1及び第2の金属層の重複部分は、上記第1及び第2の金属層のうち面積が小さいほうの金属層よりも面積が小さくなっていることを特徴とする請求項7に記載の光伝送モジュール。
【請求項11】
上記回路基板は、その表面に接地されたシールド層を備え、
上記第2の金属層は、上記シールド層と導通していることを特徴とする請求項7に記載の光伝送モジュール。
【請求項12】
上記回路基板における同一の基板面において、
上記接続部は、上記光モジュール部における電気配線と反対側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の光伝送モジュール。
【請求項13】
上記回路基板における同一の基板面において、
上記光モジュール部は、上記接続部における電気配線と反対側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の光伝送モジュール。
【請求項14】
上記回路基板における同一の基板面において
上記折り曲げ部は、上記接続部における上記光モジュール部と反対側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光伝送モジュール。
【請求項15】
請求項1に記載の光伝送モジュールを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項16】
光配線によって伝送される光信号を電気信号に変換する受信モジュール部、もしくは電気信号を光信号に変換し光配線に伝送する送信モジュール部の少なくとも一方からなる光モジュール部と、
電気信号を伝送する電気配線を備えた回路基板と、
上記光モジュール部および上記回路基板に電気信号を供給する外部接続端子を有する接続部とを備え、上記回路基板における同一の基板面に、上記光モジュール部及び上記接続部を搭載された光伝送モジュールの製造方法であって、
上記光モジュール部に上記光配線を実装する実装段階と、
上記回路基板の法線方向で上記基板面が互いに背向するように、上記回路基板を折り曲げる折り曲げ段階と、を組み合わせて光伝送モジュールを組み立てる組立工程を含むことを特徴とする光伝送モジュールの製造方法。
【請求項17】
上記組立工程では、上記折り曲げ段階後における上記回路基板が折り曲げられた状態で、上記実装段階を行うことを特徴とする請求項16に記載の光伝送モジュールの製造方法。
【請求項18】
上記組立工程では、上記実装段階後における光配線が光モジュール部に実装された状態で、上記折り曲げ段階を行うことを特徴とする請求項16に記載の光伝送モジュールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−192851(P2011−192851A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58545(P2010−58545)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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