説明

光伝送モジュール

【課題】光導波路全体の屈曲性を確保したまま、低コストで迷光の低減・伝送特性の確保が可能な光伝送モジュールを提供する。
【解決手段】光伝送路4は、コア部11とコア部11を囲ってなるクラッド部12とを備え、クラッド部12における、光信号が伝送する光伝送方向に沿った一部の表面領域に、光伝送路外部の空気よりも高い屈折率を有する樹脂から構成された樹脂部13Aが設けられている。樹脂部13Aは、光伝送方向に対し垂直な方向において互いに対向する2つのクラッド部12の表面領域のうち、一方の表面領域に設けられている。樹脂部13Aの光伝送方向における長さLは、信号遅延を許容できる許容遅延時間に対応するクラッド伝搬光の伝搬角度を許容伝搬角度θminとし、クラッド伝搬光がクラッド部の外部に漏れ出す臨界角を臨界伝搬角度θmaxとし、光伝送路の光伝送方向に対し垂直な方向における長さを厚さTとしたとき、所定の式を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を伝送する光伝送モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高速で大容量のデータ通信が可能な光通信網が拡大している。今後、この光通信網は民生機器への搭載が予想されている。そして、データ転送の高速大容量化、ノイズ対策、機器内の基板間をデータ伝送する用途として、現在の電気ケーブルと変わりなく使用することができる電気入出力の光データ伝送ケーブル(光ケーブル)が求められている。この光ケーブルとしては、フレキシブル性を考慮すると、フィルム光導波路を用いることが望ましい。
【0003】
光導波路とは、屈折率の大きいコアと、該コアの周囲に接して設けられる屈折率の小さいクラッドとにより形成され、コアに入射した光信号を該コアとクラッドとの境界で全反射を繰り返しながら伝搬するものである。また、フィルム光導波路は、コアおよびクラッドが柔軟な高分子材料からなるため柔軟性を有している。
【0004】
この柔軟性を有するフィルム光導波路を信号送受信システムに適用した場合、伝送特性を確保するために、クラッドを伝搬するクラッド伝搬光(コアからの漏れ光や外部光)を除去することが重要になる。なぜなら、これらの迷光が受信モジュールまで伝搬し受光素子へ入射すると、信号にノイズとして付加され、伝送特性(Jitter, BER)が悪くなってしまうからである。
【0005】
特に、微弱な強度で信号光を伝搬する場合、および迷光が受光素子で受光する波長を含む場合には、この伝送特性の悪化の影響が大きくなる。また、複数のコアが隣接した光導波路では、他の信号が受光素子へ入射することもありえる。
【0006】
このようなクラッド内を伝搬する迷光を低減させる対策として、例えば特許文献1に開示された光配線が挙げられる。
【0007】
特許文献1に開示された光配線は、互いに隣接するコア間またはクラッド表面に、屈折率がクラッドよりも高く、かつコアを伝搬する信号光の波長に対し不透明な材料からなる「第2または第3の光導波路クラッド」が設けられた構成になっている。特許文献1に開示された光配線では、「第2または第3の光導波路クラッド」がコアの略全長にわたって設けられている。これにより、クラッドを伝搬するクラッド伝搬光を減衰させるとともに隣接するコアへ迷光が伝搬するのを防止し、信号送受信システムにおける迷光の影響をなくしている。
【0008】
また、従来の迷光対策としては、特許文献1に記載された迷光対策の他に、光導波路の光出射端部のクラッドを隠す技術、互いに隣接するコア間に光学的分離溝を設ける技術などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】日本国公開特許公報「特開平11−264912号公報(公開日:1999年9月28日)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、近年、光導波路は、電子機器内の配線への応用に際して、高い屈曲性が求められてきている。上記特許文献1に開示された従来技術のように、迷光除去層としての「第2または第3の光導波路クラッド」がコアの略全長にわたって設けられている構成では、光導波路の屈曲性が阻害されるという問題が生じる。さらに、光導波路全体の寸法が大型化するという問題が生じる。
【0011】
さらに、光導波路製造時に、互いに隣接するコア間に溝を形成し、その溝に第2の光導波路クラッドの材料を堆積する工程が必要になる。それゆえ、光導波路を製造するに際し、余分な工程が必要になり、光伝送モジュールのローコスト化が困難になるという問題がある。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光導波路全体の屈曲性を確保したまま、低コストでクラッド伝搬光の低減・伝送特性の確保が可能な光伝送モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る光伝送モジュールは、発光素子と、受光素子と、発光素子及び受光素子と光学的に結合して光信号を伝送する光伝送路とを備えた光伝送モジュールであって、上記光伝送路は、コア部と該コア部を囲ってなるクラッド部とを備え、上記クラッド部における、光信号が伝送する光伝送方向に沿った一部の表面領域に、光伝送路外部の空気よりも高い屈折率を有する樹脂から構成された樹脂部が設けられている。
【0014】
この構成によれば、クラッド部内を伝搬するクラッド伝搬光は、樹脂部に入射することにより、クラッド部外部に逃がされ、クラッド伝搬光の除去が可能になる。
【0015】
一般に、光伝送モジュールにおいては、信号光に対するクラッド伝搬光の遅延時間は、クラッド伝搬光の伝搬角度が大きくなるに従い、大きくなる傾向になっている。その一方で、信号遅延として影響しうる遅延時間にも範囲がある。つまり、光伝送モジュールにおいては、そのモジュールの信号伝送の仕様に応じて、許容可能な遅延時間(許容遅延時間)がある。クラッド伝搬光の低減・伝送特性の確保を実現するためには、この許容遅延時間に対応する伝搬角度(許容伝搬角度)以上の伝搬角度で伝搬するクラッド伝搬光を除去すればよいことになる。
【0016】
本発明の光伝送モジュールにおいては、この点に着目して、信号遅延に影響しないクラッド伝搬光を除去せずに、信号遅延に影響するクラッド伝搬光を除去するために、クラッド部における、光信号が伝送する光伝送方向に沿った一部の表面領域に、光伝送路外部の空気よりも高い屈折率を有する樹脂から構成された樹脂部が設けられている構成になっている。
【0017】
このように、光伝送路における、光伝送方向に沿った一部の表面領域にのみ樹脂部が設けられているので、光伝送路の光伝送方向に沿った面一面に迷光除去部が形成された従来の光伝送路と比較して、光伝送路全体の屈曲性を確保することが可能になる。さらには、光伝送路製造に際しては、光伝送方向に沿った一部の表面領域に樹脂部を形成するのみの工程で、クラッド伝搬光の低減を実現することができるので、低コストになる。すなわち、光伝送路全体の屈曲性を確保したまま、低コストでクラッド伝搬光の低減・伝送特性の確保を実現することができる。
【0018】
本発明に係る光伝送モジュールにおいては、上記樹脂部は、光伝送方向に対し垂直な方向において互いに対向する2つのクラッド部の表面領域のうち、一方の表面領域に設けられており、クラッド部の光伝送方向に沿った側面を伝搬角度θで伝搬するクラッド伝搬光に関し、信号遅延を許容できる許容遅延時間に対応するクラッド伝搬光の伝搬角度を許容伝搬角度θminとし、クラッド伝搬光がクラッド部の外部に漏れ出す臨界角を臨界伝搬角度θmaxとし、光伝送路の光伝送方向に対し垂直な方向における長さを厚さTとしたとき、上記樹脂部の光伝送方向における長さLは、下記式1、
【0019】
【数1】

【0020】
を満たす範囲に設定されていることを特徴としている。
【0021】
また、本発明に係る光伝送モジュールにおいては、上記樹脂部は、光伝送方向に対し垂直な方向において互いに対向する2つのクラッド部の表面領域のうち、両方の表面領域に設けられており、クラッド部の光伝送方向に沿った側面を伝搬角度θで伝搬するクラッド伝搬光に関し、信号遅延を許容できる許容遅延時間に対応するクラッド伝搬光の伝搬角度を許容伝搬角度θminとし、クラッド伝搬光がクラッド部の外部に漏れ出す臨界角を臨界伝搬角度θmaxとし、光伝送路の光伝送方向に対し垂直な方向における長さを厚さTとしたとき、上記樹脂部の光伝送方向における長さLは、下記式2、
【0022】
【数2】

【0023】
を満たす範囲に設定されていることを特徴としている。
【0024】
上記式1または式2に示された範囲内に上記長さLを設定しておけば効果が得られ、その範囲の最大値以上に設定することにより、許容伝搬角度θminと臨界伝搬角度θmaxとの間の伝搬角度で伝搬するクラッド伝搬光は、少なくとも1回必ず樹脂部に入射することになり、クラッド伝搬光を高効率にクラッド部外部に逃がすことができる。すなわち、上述の信号遅延に影響しないクラッド伝搬光を除去しない一方、信号遅延に影響のあるクラッド伝搬光を除去することが可能になる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、光導波路全体の屈曲性を確保したまま、低コストでクラッド伝搬光の低減・伝送特性の確保が可能な光伝送モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る光伝送モジュールにおける光伝送路の断面図である。
【図2】本実施形態に係る光伝送モジュールの概略構成を示す図である。
【図3】光伝送路における光伝送の状態を模式的に示す図である。
【図4】コア部を伝搬する信号光に対するクラッド伝搬光の遅延時間と、クラッド伝搬光の伝搬角度との関係を示すグラフである。
【図5】図1の光伝送路におけるクラッド伝搬光低減の理由を説明するための説明図である。
【図6】(a)は、樹脂部の屈折率と樹脂部に入射するクラッド伝搬光との関係を説明するための説明図であり、クラッド部の屈折率n1>樹脂部の屈折率n3の場合を示す図であり、(b)は、樹脂部の屈折率と樹脂部に入射するクラッド伝搬光との関係を説明するための説明図であり、クラッド部の屈折率n1=樹脂部の屈折率n3の場合を示す図であり、(c)は、樹脂部の屈折率と樹脂部に入射するクラッド伝搬光との関係を説明するための説明図であり、クラッド部の屈折率n1<樹脂部の屈折率n3の場合を示す図である。
【図7】迷光除去部が光伝送路における受光部側端部近傍に設けられた光伝送モジュールの構成を示す断面図である。
【図8】変形例1としての光伝送モジュールの構成を示す断面図である。
【図9】変形例2としての光伝送モジュールの構成を示す、斜視図、側面図、及び断面図である。
【図10】変形例3としての光伝送モジュールの構成を示す断面図である。
【図11】変形例4としての光伝送モジュールの構成を示す断面図である。
【図12】変形例4としての光伝送モジュールの別の構成例を示す断面図である。
【図13】変形例5としての光伝送モジュールの構成を示す断面図である。
【図14】変形例6としての光伝送モジュールの構成を示す断面図、及び上面図である。
【図15】本実施形態に係る光伝送路を備えた折り畳み式携帯電話の外観を示す斜視図、該折り畳み式携帯電話における、上記光伝送路が適用されている部分のブロック図、および該折り畳み式携帯電話における、ヒンジ部の透視平面図である。
【図16】本実施形態に係る光伝送路を備えた印刷装置の外観を示す斜視図、該印刷装置の主要部を示すブロック図、および該印刷装置においてプリンタヘッドが移動(駆動)した場合の、光伝送路の湾曲状態を示す斜視図である。
【図17】本実施形態に係る光伝送路を備えたハードディスク記録再生装置の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明すると以下の通りである。
【0028】
(光伝送モジュールの構成)
図2は、本実施形態に係る光伝送モジュール1の概略構成を示している。同図に示すように、光伝送モジュール1は、光送信処理部2、光受信処理部3、および光伝送路4を備えている。
【0029】
光送信処理部2は、発光駆動部5および発光部6を備えた構成となっている。発光駆動部5は、外部から入力された電気信号に基づいて発光部6の発光を駆動する。この発光駆動部5は、例えば発光駆動用のIC(Integrated Circuit)によって構成される。なお、図示はしていないが、発光駆動部5には、外部からの電気信号を伝送する電気配線との電気接続部が設けられている。
【0030】
発光部6は、発光駆動部5による駆動制御に基づいて発光する。この発光部6は、VCSEL(Vertical Cavity-Surface Emitting Laser)などの発光素子によって構成される。発光部6から発せられた光は、光信号として光伝送路4の光入射側端部に照射される。
【0031】
光受信処理部3は、増幅部7および受光部8を備えた構成となっている。受光部8は、光伝送路4の光出射側端部から出射された光信号としての光を受光し、光電変換によって電気信号を出力する。この受光部8は、PD(Photo-Diode)などの受光素子によって構成される。
【0032】
増幅部7は、受光部8から出力された電気信号を増幅して外部に出力する。この増幅部7は、例えば増幅用のICによって構成される。なお、図示はしていないが、増幅部7には、外部へ電気信号を伝送する電気配線との電気接続部が設けられている。
【0033】
光伝送路4は、発光部6から出射された光を受光部8まで伝送する媒体である。この光伝送路4の構成の詳細については後述する。
【0034】
図3は、光伝送路4における光伝送の状態を模式的に示している。同図に示すように、光伝送路4は可撓性を有する柱状形状の部材によって構成される。また、光伝送路4の光入射側端部には光入射面4Aが設けられているとともに、光出射側端部には光出射面4Bが設けられている。
【0035】
発光部6から出射された光は、光伝送路4の光入射側端部に対して、光伝送路4の光伝送方向に対して垂直となる方向から入射される。入射された光は、光入射面4Aにおいて反射されることによって光伝送路4内を進行する。光伝送路4内を進行して光出射側端部に到達した光は、光出射面4Bにおいて反射されることによって、光伝送路4の光伝送方向に対して垂直となる方向へ出射される。出射された光は、受光部8に照射され、受光部8において光電変換が行われる。
【0036】
このような構成によれば、光伝送路4に対して、光伝送方向に対して横方向に光源としての発光部6を配置する構成とすることが可能となる。よって、例えば基板面に平行に光伝送路4を配置することが必要とされる場合には、光伝送路4と基板面との間に、該基板面の法線方向に光を出射するように発光部6を設置すればよいことになる。このような構成は、例えば発光部6を基板面に平行に光を出射するように設置する構成よりも、実装が容易であり、また、構成としてもよりコンパクトにすることができる。これは、発光部6の一般的な構成が、光を出射する方向のサイズよりも、光を出射する方向と垂直な方向のサイズの方が大きくなっていることによるものである。さらに光伝送路4は、同一面内に電極と発光部がある平面実装向け発光素子を使用する構成にも適用が可能である。
【0037】
なお、本実施形態の光伝送モジュール1は、光伝送路4を伝搬する信号光が光出射面4Bにおいて反射されることによって受光部8へ導くような構成(すなわち、光出射面4Bを光路を変換する反射面として利用した構成)であったが、光伝送モジュール1の構成は、この構成に限定されるものではなく、光出射面4Bから出射した信号光を受光部8で受光可能な構成であればよい。例えば、光伝送路4は、光出射面4Bが反射面として機能せず、光出射面4Bから光伝送方向に信号光が出射するような構成であってもよい。この場合、受光部8は、その受光面が基板面に対し垂直な方向(すなわち、光伝送方向に対し垂直な方向)に配され、光出射面4Bから光伝送方向に出射した信号光を受光するようになっている。
【0038】
(光伝送路の構成)
図1は、光伝送路4の断面図を示している。同図に示すように、光伝送路4は、光伝送方向を軸とする柱状形状の2つのコア部11と、コア部11周囲を囲むように設けられたクラッド部12とを備えた構成となっている。コア部11およびクラッド部12は透光性を有する材料によって構成されているとともに、コア部11の屈折率は、クラッド部12の屈折率よりも高くなっている。コア部11それぞれに入射した光信号は、コア部11内部で全反射を繰り返すことによって光伝送方向に伝送される。
【0039】
コア部11およびクラッド部12を構成する材料としては、ガラスまたはプラスチックなどを用いることが可能であるが、十分な可撓性を有する光伝送路4を構成するためには、弾性率1000MPa以下の柔軟な材料であることが好ましい。光伝送路4を構成する材料としては、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、およびシリコーン系などの樹脂材料が挙げられる。また、クラッド部12を空気などの気体で構成してもよい。さらに、クラッド部12をコア部11よりも屈折率の小さい液体の雰囲気下において使用しても同様の効果が得られる。
【0040】
光伝送モジュール1は、図1に示されるように、光伝送路4における、光伝送方向に沿った一部の表面領域に迷光除去部13が設けられている。この迷光除去部13は、光伝送路4外部の空気よりも高い屈折率を有する樹脂から構成された樹脂部13Aと、樹脂部13Aの受光部8側に隣接して形成された光吸収部13Bとからなる。
【0041】
この構成によれば、クラッド部12内を伝搬するクラッド伝搬光は、樹脂部13Aに入射することにより、クラッド部12外部に逃がされることになる。そして、この樹脂部13Aに入射したクラッド伝搬光が、光吸収部13B表面で吸収(反射)されることで、迷光除去部13において、クラッド伝搬光が除去されることになる。
【0042】
このように、光伝送路4における、光伝送方向に沿った一部の表面領域にのみ迷光除去部13が設けられているので、光伝送路の光伝送方向に沿った面一面に迷光除去部が形成された従来の光伝送路と比較して、光伝送路4全体の屈曲性を確保することが可能になる。さらには、光伝送路4の製造に際しては、光伝送方向に沿った一部の表面領域に迷光除去部を形成するのみの工程で、クラッド伝搬光の低減を実現することができるので、低コストになる。
【0043】
以下に、迷光除去部が光伝送路4の光伝送方向に沿った一部の表面領域のみ設けられた構成であっても、クラッド伝搬光(クラッドモード)に起因する信号遅延を低減し、伝送特性を確保できる理由について、図4及び図5に基づいて説明する。図4は、コア部11を伝搬する信号光に対するクラッド伝搬光の遅延時間Tと、クラッド伝搬光の伝搬角度θとの関係を示すグラフである。図5は、光伝送路4におけるクラッド伝搬光低減の理由を説明するための説明図である。なお、「クラッド伝搬光の伝搬角度θ」とは、クラッド伝搬光の光軸が、クラッド部12の光伝送方向に沿った側面となす角度のことをいう。
【0044】
図4に示されるように、信号光に対するクラッド伝搬光の遅延時間は、クラッド伝搬光の伝搬角度が大きくなるに従い、大きくなる傾向になっている。これは、クラッド伝搬光の伝搬角度が小さくなると、伝搬速度や実質的な伝搬距離が信号光のそれに近づき、クラッド伝搬光の伝搬速度と信号光の伝搬速度との差(遅延時間)が小さくなるためである。
【0045】
また、同図に示されるように、光伝送モジュール1においては、信号遅延として影響しうる遅延時間にも、範囲がある。つまり、光伝送モジュール1においては、そのモジュールの信号伝送の仕様に応じて、許容可能な遅延時間がある。例えば、1.25Gbpsでの信号伝送を考慮した場合、ジッタの仕様値(例えば、max100ps)に影響しないようなレベルの遅延時間(例えば、〜数十ps)で伝搬するクラッド伝搬光成分は、信号遅延に影響しない。
【0046】
ここで、このような遅延許容時間をTとする。そして、遅延時間Tと伝搬角度θとの関係において、許容遅延時間Tに対応する伝搬角度を許容伝搬角度θminとする。同図に示されるように、許容伝搬角度θminよりも小さい伝搬角度θに対応する遅延時間Tは、許容遅延時間Tよりも小さくなっている。すなわち、許容伝搬角度θminよりも小さい伝搬角度θで伝搬したクラッド伝搬光は、信号遅延に影響しないことがわかる。
【0047】
また、クラッド伝搬光には、その伝搬角度以上で伝搬した場合にクラッド伝搬光がクラッド部12外部の空気へ漏れ出す臨界角がある。この臨界角を臨界伝搬角度θmaxとする。そして、臨界伝搬角度θmaxに対応する遅延時間を最大遅延時間Tmaxとする。光伝送モジュール1においては、臨界伝搬角度θmaxよりの大きい伝搬角度で伝搬するクラッド伝搬光は、外部に漏れだし信号遅延に影響しない。なお、上記臨界伝搬角度θmax(すなわち、クラッド伝搬光の臨界角)は、クラッド部12の屈折率nにより決定される角度であり、例えばn=1.5のとき、臨界伝搬角度θmax=arccos(1/n)=48.2(deg)である。
【0048】
以上のように、光伝送モジュール1における信号遅延を考慮すると、許容遅延時間Tと最大遅延時間Tmaxとの間のクラッド伝搬光の角度成分、すなわち、許容伝搬角度θminと臨界伝搬角度θmaxとの間の伝搬角度で伝搬するクラッド伝搬光がノイズとして伝送特性に影響することになる。そして、光伝送モジュール1においては、このようなクラッド伝搬光を除去すればよいことになる。
【0049】
ここで、図5に示されるように、クラッド部12側面のある一点Aで伝搬(反射)するクラッド伝搬光について考察する。まず、許容伝搬角度θminで伝搬するクラッド伝搬光は、(点Aと)対向する側面上の点Cで反射後、点Aにて反射し、点C’に到達する。同様にして、臨海伝搬角度θmaxで伝搬するクラッド伝搬光は、点Dで反射後、点D’に到達する。また、許容伝搬角度θminよりも小さい伝搬角度θで伝搬するクラッド伝搬光は、点Eで反射後、点E’に到達する。
【0050】
ここで、光伝送モジュール1においては、点Aと対向する側面に迷光除去部13を設ける場合、点C・C’、もしくは点D・D’に到達するクラッド伝搬光を除去すればよい。一方、点E及び点E’に到達するクラッド伝搬光(つまり、許容伝搬角度θminよりも小さい伝搬角度θで伝搬するクラッド伝搬光)は、信号遅延に影響しないクラッド伝搬光であるので、除去する必要がない。
【0051】
光伝送モジュール1における光伝送路4は、信号遅延に影響しないクラッド伝搬光を除去せずに、信号遅延に影響するクラッド伝搬光を除去するために、クラッド部12の一部の表面領域に迷光除去部13を備えている。そして、これにより、光伝送路4全体の屈曲性を高めている。
【0052】
従来の光伝送モジュールでは、光伝送路の光伝送方向に沿った面一面に迷光除去部が形成されている。このため、上述の信号遅延に影響しないクラッド伝搬光まで除去してしまい、さらには光伝送路全体の屈曲性を確保できないという問題が生じる。
【0053】
つまり、光伝送路4は、クラッド伝搬光の除去と、光伝送路全体の屈曲性とを効率的に両立させているものである。
【0054】
迷光除去部13の樹脂部13Aが、光伝送方向に対し垂直な方向において互いに対向する2つのクラッド部12の表面領域のうち、一方の表面領域に設けられている場合(つまり、迷光除去部13が点Aと対向する側面にのみ形成されている場合)、樹脂部13Aの光伝送方向における長さLは、下記式1、
【0055】
【数3】

【0056】
を満たす範囲に設定されている。
【0057】
また、迷光除去部13の樹脂部13Aが、光伝送方向に対し垂直な方向において互いに対向する2つのクラッド部の表面領域両方に設けられている場合(つまり、迷光除去部13が点Aを含む側面と対向する側面との両方に形成されている場合)、樹脂部13Aの光伝送方向における長さLは、下記式2、
【0058】
【数4】

【0059】
を満たす範囲に設定されている。
【0060】
上記式1及び2においては、クラッド部12の光伝送方向に沿った側面を伝搬角度θで伝搬するクラッド伝搬光に関し、信号遅延を許容できる許容遅延時間に対応するクラッド伝搬光の伝搬角度を許容伝搬角度θminとし、クラッド伝搬光がクラッド部の外部に漏れ出す臨界角を臨界伝搬角度θmaxとし、光伝送路の光伝送方向に対し垂直な方向における長さを厚さTとしている。
【0061】
上記式1または式2に示された範囲の最大値以上に上記長さLを設定することにより、許容伝搬角度θminと臨界伝搬角度θmaxとの間の伝搬角度で伝搬するクラッド伝搬光は、少なくとも1回必ず樹脂部13Aに入射することになり、クラッド伝搬光を高効率にクラッド部12外部に逃がすことができる。すなわち、信号遅延に影響のあるクラッド伝搬光を除去することが可能になる。例えば、臨界伝搬角度θmax=42(deg)、許容伝搬角度θmin=16(deg)、厚さT=200(μm)である場合、上記長さL(mm)の範囲は以下のようになる。
【0062】
樹脂部13Aがクラッド部12の上記一方の表面領域に形成されている場合、
0.36<L<1.31
樹脂部13Aがクラッド部12の上記両方の表面領域に形成されている場合、
0.18<L<0.65
また、迷光除去部13において、樹脂部13Aを構成する材料は、空気よりも屈折率が高い材料であれば、特に限定されるものではない。特に、樹脂部13Aがクラッド部12の屈折率よりも高い材料で構成されている場合、クラッド伝搬光が、樹脂部13Aに入射すると、再びクラッド部12へ入射しにくくなるので、より効率的にクラッド伝搬光を除去することが可能になる。より具体的には、樹脂部13Aを構成する材料として、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、樹脂部13Aを構成する材料は、その硬化物のヤング率が、光伝送路4のヤング率以下になっている材料がより好ましい。
【0063】
さらには、樹脂部13Aは、入射してくるクラッド伝搬光に対し減衰率が高い材料から構成されていることが好ましい。つまり、樹脂部13Aを構成する材料としては、クラッド伝搬光を吸収可能な樹脂を用いることが可能である。クラッド伝搬光を吸収可能な樹脂としては、クラッド伝搬光に対し不透明な樹脂が挙げられる。
【0064】
また、光伝送モジュール1においては、樹脂部13Aの屈折率が、クラッド部12の屈折率と同じであっても、クラッド部12の屈折率よりも低くても、クラッド伝搬光の低減が実現可能である。以下、樹脂部13Aの屈折率と樹脂部13Aに入射するクラッド伝搬光との関係について説明する。
【0065】
図6(a)は、樹脂部13Aの屈折率と樹脂部13Aに入射するクラッド伝搬光との関係を説明するための説明図であり、クラッド部12の屈折率n1>樹脂部13Aの屈折率n3の場合を示す。図6(b)は、樹脂部13Aの屈折率と樹脂部13Aに入射するクラッド伝搬光との関係を説明するための説明図であり、クラッド部12の屈折率n1=樹脂部13Aの屈折率n3の場合を示す。図6(c)は、樹脂部13Aの屈折率と樹脂部13Aに入射するクラッド伝搬光との関係を説明するための説明図であり、クラッド部12の屈折率n1<樹脂部13Aの屈折率n3の場合を示す。なお、ここでは、空気の屈折率をn2としている。
【0066】
クラッド部12の屈折率n1>樹脂部13Aの屈折率n3の場合、図6(a)に示されるように、クラッド伝搬光の樹脂部13Aに対する屈折角度φが、クラッド伝搬光の伝搬角度θよりも小さくなる。このため、樹脂部13Aへ入射したクラッド伝搬光は、光吸収部14Bに集光され、減衰される。
【0067】
また、クラッド部12の屈折率n1=樹脂部13Aの屈折率n3の場合、図6(b)に示されるように、クラッド伝搬光の樹脂部13Aに対する屈折角度φが、クラッド伝搬光の伝搬角度θと同じになる。このため、樹脂部13Aへ入射したクラッド伝搬光は、そのまま入射角度を替えず、樹脂部13A底面にて反射後、光吸収部14Bに入射し減衰される。なお、この場合、光吸収部14Bが樹脂部13Aと接する接面の面積分だけ、クラッド伝搬光の除去が可能になる。
【0068】
また、クラッド部12の屈折率n1<樹脂部13Aの屈折率n3の場合、図6(c)に示されるように、クラッド伝搬光の樹脂部13Aに対する屈折角度φが、クラッド伝搬光の伝搬角度θよりも大きくなっている。そのため、樹脂部13Aへ入射したクラッド伝搬光は、樹脂部13A底面にて反射後、再びクラッド部12へ戻りにくくなる。すなわち、クラッド伝搬光は、樹脂部13A底面とクラッド部12との接面(上面)との間で反射が繰り返され、光吸収部13Bにて減衰される。
【0069】
従って、光伝送モジュール1においては、樹脂部13Aを構成する材料が、空気よりも屈折率が高い材料であれば、クラッド伝搬光の除去が可能になる。
【0070】
また、迷光除去部13は、光伝送路4における受光部8側端部の近傍に設けられていることが好ましい。光伝送モジュール1使用に際して、光伝送路4が屈曲する部位では、その屈曲により、クラッド伝搬光の伝搬角度に誤差が生じる。一方、光伝送路4における受光部8側端部は、光伝送モジュール1使用に際し、屈曲しにくい部位になっている。このため、受光部8側端部近傍では、クラッド伝搬光の伝搬角度に誤差が生じにくくなっている。それゆえ、樹脂部13Aの長さLを上記式1または2の範囲内に設定することで、確実にクラッド伝搬光を除去することが可能になる。
【0071】
また、迷光除去部13は、発光部6側端部近傍にも形成されていてもよい。光伝送モジュール1においては、発光部6への反射戻り光が発光部6の動作を不安定にするという問題が一般的に知られている。
【0072】
発光部6がVCSEL発光素子によって構成される場合についても、上記と同様の問題が生じる。具体的には、VCSELは、所定の共振器長で光を増幅するものである。このVCSELに反射戻り光が入射すると、その反射戻り光がVCSEL内で共振している光に干渉してしまう。それゆえ、反射戻り光は、VCSELにおいても、変調信号の波形歪みやノイズの原因になる。迷光除去部13が発光部6側端部近傍に形成されていると、このような反射戻り光を除去することが可能になり、変調信号の波形歪みおよびノイズが起き難くなる。
【0073】
(迷光除去部13が光伝送路4における受光部8側端部近傍に設けられた構成)
以下、迷光除去部13が光伝送路4における受光部8側端部近傍に設けられた構成について、詳述する。図7は、迷光除去部13が光伝送路4における受光部8側端部近傍に設けられた光伝送モジュール1の構成を示す断面図である。
【0074】
図7に示すように、光伝送モジュール1は、端部近傍において、支持基板9を備えた光伝送路4、受光部(受光素子)8、及び迷光除去部13を備えて構成されている。光伝送路4の端部は支持基板9に対して接着等によって固定されており、光伝送路4の端部と受光部8との相対的な位置関係は固定された状態にある。さらに、光伝送モジュール1は、受光部8が出力する電気信号の取り出しを容易にするため、電気配線や電気接続部を備えていてもよい。また、受光部8は、フォトダイオード等の受光素子から構成されている。
【0075】
なお、図7において、光伝送路4の端部付近において、光伝送路4の長手方向(光軸方向)をX軸方向、支持基板9における受光部8の搭載面の法線方向をY軸方向とする。
【0076】
光伝送路4における端面は光軸(X軸)に対して垂直とならず、斜めに切断されて光路変換ミラー面4Cを形成する。具体的には、光伝送路4の端面は、XY平面に対して垂直であり、かつ、X軸に対しては角度θ(θ<90°)をなすように傾斜されている。
【0077】
これにより、光伝送路4における光の出射側では、コア部11を伝達されてきた信号光は、光路変換ミラー面4Cにて反射され、その進行方向を変えて光路変換ミラー面4Cから受光部8に向けて出射される。ここで、光伝送路4における光出射面が光路変換ミラー面4Cになっているので、受光部8の受光面は、光伝送路4における光の出射面(光路変換ミラー面4C)と対向するように配置される。
【0078】
尚、光路変換ミラー面4Cの傾斜角度θは、該光路変換ミラー面4Cと受光部8との位置合わせが容易となるように、通常は45°に設定されている。但し、本発明において、光路変換ミラー面4Cの傾斜角度θは45°に限定されるものではない。具体的には、光路変換ミラー面4Cの傾斜角度θは、35°〜50°の範囲に設定されていることが好ましい。尚、光路変換ミラー面は、光伝送路4の端部に対して外付けされたミラー部であってもよい。
【0079】
図7に示された光伝送モジュール1では、光伝送路4における受光部8近傍に、樹脂部13Aと光吸収部13Bとを備えた迷光除去部13が形成されている。迷光除去部13は、支持基板9において光伝送路4を支持する支持面9aの端から距離F離れた、クラッド部12の表面領域に形成されている。
【0080】
以下、上記距離Fの設計について説明する。上記距離Fは、たとえ迷光除去部13と受光部8との間で屈曲しても、それが遅延しないレベルにすることができることを考慮して、下記式3、
【0081】
【数5】

【0082】
を満たす範囲に設定されている。
【0083】
ただし、上記式3においては、信号遅延を許容できる遅延時間を許容遅延時間Tとし、光速をcとし、クラッド伝搬光がクラッド部の外部に漏れ出す臨界角を臨界伝搬角度θmaxとしている。
【0084】
上記距離Fを式3を満たす範囲内に設定することで、確実に、受光部8近傍において、Fをある程度小さくしておけば、たとえ樹脂部と受光部との間で屈曲して臨界伝搬角度θmax成分が発生しても遅延に影響しないレベルにすることができる。例えば、許容遅延時間T=20(ps)、光速c=3.0×10(m/s),臨界伝搬角度θmax=42(deg)である場合、上記距離Fは、F≦17.3(mm)の範囲内に設定される。
【0085】
以上、ここまで述べた、光伝送路の構成はいずれも、本発明の参考形態となる。つまり、上述した光伝送路の構成であって、以下に説明する本発明に係る光伝送モジュール1において必須でない構成についてはいずれも、該本発明に係る光伝送モジュール1においても同様に適用可能であるといえる。
【0086】
(変形例1)
本実施形態の光伝送モジュール1の構成において、図7に示す構成の変形例について説明する。図8は、本発明に係る光伝送モジュールであり、この変形例1としての光伝送モジュール1の断面図を示している。図7に示す構成では、迷光除去部13の底面(迷光除去部13のクラッド部12と反対側の面)は、光伝送方向に平行な面になっているが、図8に示す構成では、迷光除去部13の底面が光伝送方向に対し傾斜した構成を含んでいる。同図に示す例では、樹脂部13Aの底面13Aは、光伝送方向に対して降下するように傾斜している。逆に言えば、底面13Aは、光吸収部13Bを挟んで、受光部8と反対側のクラッド部12表面と鋭角をなすように形成されている。
【0087】
このように樹脂部13Aの底面13Aが傾斜していることにより、樹脂部13Aを入射したクラッド伝搬光は、底面13Aを反射した後、信号光の光軸に近い方向に出射されることになる。これにより、樹脂部13Aに入射後再びクラッド部12側へ反射して戻るクラッド伝搬光を低減でき、効率的にクラッド伝搬光を光吸収部13Bへ集光させることができる。
【0088】
なお、図8に示している、変形例1としての光伝送モジュール1は、樹脂部13Aにおける受光部8と反対側に加え、樹脂部13Aにおける受光部8側についても、クラッド部12表面と鋭角をなすように形成されているがこれに限らない。即ち、図8に示している、変形例1としての光伝送モジュール1において、樹脂部13Aにおける受光部8側については、クラッド部12表面と鈍角をなすように形成されていてもよい。また、図8に示している、変形例1としての光伝送モジュール1において、樹脂部13Aにおける受光部8側については、必ずしもクラッド部12表面に対して傾斜している必要はなく、クラッド部12表面と平行になるように形成されていてもよい。
【0089】
つまり、本発明に係る光伝送モジュールは、樹脂部は、クラッド部と反対側の面が、光伝送方向に対し傾斜した斜面を含んでおり、この斜面は、樹脂部における受光素子と反対側で、クラッド部の表面と鋭角をなすように形成されている構成であると解釈できる。
【0090】
(変形例2)
本実施形態の光伝送モジュール1の構成において、図7に示す構成の他の変形例について説明する。図9は、この変形例2としての光伝送モジュール1の、斜視図、側面図、及び光伝送方向に対し垂直な面で切った断面図を示している。図7に示す構成では、迷光除去部13は、光伝送路4の光軸周りの一部のクラッド部12表面領域に形成されていたが、図9に示されるように、迷光除去部13は、光伝送路4の光軸を囲むようにに形成された構成になっていてもよい。換言すれば、光伝送路4が、迷光除去部13を貫通するような構成であってもよい。
【0091】
これにより、迷光除去部13において、クラッド伝搬光を逃がし吸収する面積をより広く確保することができ、かつ、クラッド部12の光伝送方向に沿ったあらゆる側面から伝搬してきたクラッド伝搬光を効果的に吸収することが可能になる。
【0092】
(変形例3)
本実施形態の光伝送モジュール1の構成において、図7に示す構成の他の変形例について説明する。図10は、本発明に係る光伝送モジュールであり、この変形例3としての光伝送モジュール1の構成を示す断面図である。図7に示す構成では、迷光除去部13が、支持基板9において光伝送路4を支持する支持面9aの端から距離F離れた表面領域に形成されていたが、図10に示されるように、支持基板9において光伝送路4を支持する支持面9aに樹脂部13Aが形成された構成になっている。この場合、支持基板9自体が光吸収部13Bとして機能しており、クラッド伝搬光を吸収可能な光吸収材料から構成されている。また、換言すると、図10に示された構成は、上記式3の範囲内に設定された距離Fのうち、F=0を満たす構成であるともいえる。
【0093】
また、後述する図11〜図14に示された、本発明に係る光伝送モジュールの構成は、図10に示された構成と同様に、上記式3の範囲内に設定された距離Fのうち、F=0を満たす構成であるといえる。
【0094】
また、図10に示された構成においては、樹脂部13Aを構成する材料として、光伝送路4を支持基板9に支持・固定するための樹脂(接着剤)を用いることが可能である。それゆえ、光伝送モジュール1製造時においては、光伝送路4を支持基板9に接着固定する工程で同時に迷光除去部13を形成することが可能になり、工程を追加することなく、クラッド伝搬光の低減を実現することができる。
【0095】
変形例3の光伝送モジュール1としては、例えば図10の(b)に示されるように、光伝送路4を支持する支持面9aがY方向に段差状になった段差面になった構成が挙げられる、そして、この段差により形成されたクラッド部12との間隙に樹脂部13Aが充填されている。また、図10の(c)に示されるように、光伝送路4を支持する支持面9aの発光部6側(受光部8と反対側)が曲面(R面)になった構成でもよい。この場合も同様に、曲面(R面)とクラッド部12との間隙に樹脂部13Aが充填されている。
【0096】
(変形例4)
本実施形態の光伝送モジュール1の構成において、図7に示す構成の他の変形例について説明する。図11は、この変形例4としての光伝送モジュール1の構成を示す断面図である。図11に示された構成は、図10の構成と同様に、支持基板9において光伝送路4を支持する支持面9aに樹脂部13Aが形成された構成である。しかしながら、樹脂部13Aの底面13Aは、光伝送方向に対して降下するように傾斜している点が、図10の構成と異なる。
【0097】
これにより、樹脂部13Aに入射後再びクラッド部12側へ反射して戻るクラッド伝搬光を低減でき、効率的にクラッド伝搬光を光吸収部13Bとしての支持基板9へ集光させることができる。
【0098】
また、変形例4の光伝送モジュール1の構成として、図12に示されるように、樹脂部13Aが、光伝送路4と支持面9aとの間でフィレット状に形成された構成であっても同様の効果を奏する。
【0099】
(変形例5)
本実施形態の光伝送モジュール1の構成において、図7に示す構成の他の変形例について説明する。図13は、この変形例5としての光伝送モジュール1の構成を示す断面図である。図13に示された構成は、図10の構成と同様に、支持基板9において光伝送路4を支持する支持面9aに樹脂部13Aが形成された構成である。しかしながら、支持面9aが凹部9bと凸部9cとからなる凹凸面になっている点が、図10の構成と異なる。同図に示されるように、樹脂部13Aが凹部9bにより形成された間隙に充填されて形成されている。このような構成により、光伝送モジュール1の外形寸法を変えることなく、クラッド伝搬光を低減することが可能になる。さらには、この凹凸面により、樹脂部13Aの支持基板9との接面の面積が増し、クラッド伝搬光を吸収する面を、より広い面積で確保することができる。
【0100】
(変形例6)
本実施形態の光伝送モジュール1の構成において、図7に示す構成の他の変形例について説明する。図14は、この変形例6としての光伝送モジュール1の構成を示す断面図、及び上面図である。図14に示された構成は、図10の構成と同様に、支持基板9において光伝送路4を支持する支持面9aに樹脂部13Aが形成された構成である。しかしながら、光伝送路4においてコア部11にかからないようにコア部11にきりかき部12aが形成されている点が、図10の構成と異なる。同図に示されるように、きりかき部12aは、光伝送路4の光軸周りを取り囲むように形成されており、樹脂部13Aがこのきりかき部12aを充填するように形成されている。また、樹脂部13Aを構成する材料として、クラッド伝搬光を吸収可能な光吸収部材が用いられている。具体的には、クラッド部12の屈折率よりも高く、クラッド伝搬光に対し減衰率が高い材料が使用されている。
【0101】
同図に示されるように、きりかき部12aは、光伝送方向に対し傾斜した斜面12aと、光伝送方向に対し垂直な垂直面12aとにより形成されている。斜面12a光伝送方向と反対方向にいくに従い、きりかき部12aのきりかき深度(垂直面12aの光伝送方向に対し垂直方向の幅)が大きくなるように傾斜した傾斜面である。このように斜面12aが形成されているので、許容伝搬角度θminよりも伝搬角度で伝搬したクラッド伝搬光が樹脂部13Aに入射した場合、このクラッド伝搬光を斜面12aにて反射させ、光吸収部13Bとしての支持基板9に入射させることが可能になる。つまり、図14に示された構成によれば、許容伝搬角度θminよりも小さい伝搬角度で伝搬した、信号遅延に影響しないクラッド伝搬光をも除去することができ、クラッド伝搬光の除去をより確実にすることができる。
【0102】
図14では、きりかき部12aが、光伝送路4の光軸周りを取り囲むように形成されていたが、変形例6の光伝送モジュール1は、この構成に限定されず、きりかき部12aが光伝送路4の光軸周りを取り囲む表面領域の一部に形成された構成であればよい。
【0103】
(応用例)
本実施形態の光伝送路4は、例えば以下のような応用例に適用することが可能である。
【0104】
まず、第一の応用例として、折り畳み式携帯電話,折り畳み式PHS(Personal Handyphone System),折り畳み式PDA(Personal Digital Assistant),折り畳み式ノートパソコン等の折り畳み式の電子機器におけるヒンジ部に用いることができる。
【0105】
図15は、光伝送路4を折り畳み式携帯電話40に適用した例を示している。すなわち、図15の(a)は光伝送路4を内蔵した折り畳み式携帯電話40の外観を示す斜視図である。
【0106】
図15の(b)は、上記図15の(a)に示した折り畳み式携帯電話40における、光伝送路4が適用されている部分のブロック図である。この図に示すように、折り畳み式携帯電話40における本体40a側に設けられた制御部41と、本体の一端にヒンジ部を軸として回転可能に備えられる蓋(駆動部)40b側に設けられた外部メモリ42,カメラ部(デジタルカメラ)43,表示部(液晶ディスプレイ表示)44とが、それぞれ光伝送路4によって接続されている。
【0107】
図15の(c)は、上記図15の(a)におけるヒンジ部(破線で囲んだ部分)の透視平面図である。この図に示すように、光伝送路4は、ヒンジ部における支持棒に巻きつけて屈曲させることによって、本体側に設けられた制御部と、蓋側に設けられた外部メモリ42,カメラ部43,表示部44とをそれぞれ接続している。
【0108】
光伝送路4を、これらの折り畳み式電子機器に適用することにより、限られた空間で高速、大容量の通信を実現できる。したがって、例えば、折り畳み式液晶表示装置などの、高速、大容量のデータ通信が必要であって、小型化が求められる機器に特に好適である。
【0109】
第2の応用例として、光伝送路4は、印刷装置(電子機器)におけるプリンタヘッドやハードディスク記録再生装置における読み取り部など、駆動部を有する装置に適用できる。
【0110】
図16は、光伝送路4を印刷装置50に適用した例を示している。図16の(a)は、印刷装置50の外観を示す斜視図である。この図に示すように、印刷装置50は、用紙52の幅方向に移動しながら用紙52に対して印刷を行うプリンタヘッド51を備えており、このプリンタヘッド51に光伝送路4の一端が接続されている。
【0111】
図16の(b)は、印刷装置50における、光伝送路4が適用されている部分のブロック図である。この図に示すように、光伝送路4の一端部はプリンタヘッド51に接続されており、他端部は印刷装置50における本体側基板に接続されている。なお、この本体側基板には、印刷装置50の各部の動作を制御する制御手段などが備えられる。
【0112】
図16の(c)および(d)は、印刷装置50においてプリンタヘッド51が移動(駆動)した場合の、光伝送路4の湾曲状態を示す斜視図である。この図に示すように、光伝送路4をプリンタヘッド51のような駆動部に適用する場合、プリンタヘッド51の駆動によって光伝送路4の湾曲状態が変化するとともに、光伝送路4の各位置が繰り返し湾曲される。
【0113】
したがって、本実施形態にかかる光伝送路4は、これらの駆動部に好適である。また、光伝送路4をこれらの駆動部に適用することにより、駆動部を用いた高速、大容量通信を実現できる。
【0114】
図17は、光伝送路4をハードディスク記録再生装置60に適用した例を示している。
【0115】
この図に示すように、ハードディスク記録再生装置60は、ディスク(ハードディスク)61、ヘッド(読み取り、書き込み用ヘッド)62、基板導入部63、駆動部(駆動モータ)64、光伝送路4を備えている。
【0116】
駆動部64は、ヘッド62をディスク61の半径方向に沿って駆動させるものである。ヘッド62は、ディスク61上に記録された情報を読み取り、また、ディスク61上に情報を書き込むものである。なお、ヘッド62は、光伝送路4を介して基板導入部63に接続されており、ディスク61から読み取った情報を光信号として基板導入部63に伝搬させ、また、基板導入部63から伝搬された、ディスク61に書き込む情報の光信号を受け取る。
【0117】
このように、光伝送路4をハードディスク記録再生装置60におけるヘッド62のような駆動部に適用することにより、高速、大容量通信を実現できる。
【0118】
そして、本発明に係る光伝送モジュールにおいては、上記の問題を解決するために、発光素子と、受光素子と、発光素子及び受光素子と光学的に結合して光信号を伝送する光伝送路と、を備えた光伝送モジュールであって、上記光伝送路は、コア部と、該コア部を囲ってなるクラッド部と、該光伝送路自身と上記受光素子とを支持する支持基板と、を備え、上記クラッド部における、光信号が伝送する光伝送方向に沿った一部の表面領域に、光伝送路外部の空気よりも高い屈折率を有する樹脂から構成された樹脂部が設けられており、上記樹脂部は、クラッド部と反対側の面が、光伝送方向に対し傾斜した斜面を含んでおり、上記斜面は、樹脂部における受光素子と反対側で、クラッド部の表面と鋭角をなすように形成されていることを特徴としている。
【0119】
上記の構成では、樹脂部を入射したクラッド伝搬光は、クラッド部と反対側の斜面を反射した後、信号光の光軸に近い方向に出射されることになる。これにより、樹脂部に入射後再びクラッド部側へ反射して戻るクラッド伝搬光を低減でき、効率的にクラッド伝搬光を除去することができる。
【0120】
本発明に係る光伝送モジュールにおいては、光伝送路における受光素子側端部の近傍に設けられていることが好ましい。
【0121】
光伝送モジュール使用に際して、光伝送路が屈曲する部位では、その屈曲により、クラッド伝搬光の伝搬角度に誤差が生じる。一方、光伝送路における受光素子側端部は、光伝送モジュール使用に際し、屈曲しにくい部位になっている。このため、受光素子側端部近傍では、クラッド伝搬光の伝搬角度に誤差が生じにくくなっている。それゆえ、樹脂部の長さLを上記式1または2の範囲内に設定することで、確実にクラッド伝搬光を除去することが可能になる。
【0122】
本発明に係る光伝送モジュールにおいては、上記光伝送路と上記受光素子とを支持する支持基板を備え、上記支持基板において上記光伝送路を支持する支持面の端から樹脂部までの距離を距離Fとし、信号遅延を許容できる遅延時間を許容遅延時間Tとし、光速をcとし、クラッド伝搬光がクラッド部の外部に漏れ出す臨界角を臨界伝搬角度θmaxとしたとき、上記距離Fは、下記式3、
【0123】
【数6】

【0124】
を満たす範囲に設定されていることが好ましい。
【0125】
上記距離Fを式3を満たす範囲内に設定することで、確実に、受光素子側近傍において、Fをある程度小さくしておけば、たとえ樹脂部と受光部との間で屈曲して臨界伝搬角度θmax成分が発生しても遅延に影響しないレベルにすることができる。すなわち、信号遅延に影響しないクラッド伝搬光を除去せずに、信号遅延に影響するクラッド伝搬光を除去することが可能になる。
【0126】
本発明に係る光伝送モジュールにおいては、上記樹脂部の受光素子側に隣接して、該樹脂部に入射したクラッド伝搬光を吸収する光吸収部が設けられていることが好ましい。
【0127】
上記の構成によれば、光吸収部が、クラッド部から樹脂部に入射した(逃がされた)クラッド伝搬光を吸収しているので、クラッド伝搬光が確実に除去される。
【0128】
本発明に係る光伝送モジュールにおいては、上記樹脂部は、光伝送路の光軸を囲むように形成されたことが好ましい。
【0129】
これにより、樹脂部において、クラッド伝搬光を逃がす面積をより広く確保することができ、かつ、クラッド部の光伝送方向に沿ったあらゆる側面から伝搬してきたクラッド伝搬光を効果的に外部へ逃がすことが可能になる。
【0130】
本発明に係る光伝送モジュールにおいては、上記光伝送路と上記受光素子とを支持する支持基板を備え、上記支持基板において光伝送路を支持する支持面に、上記樹脂部が形成されているととともに、上記支持基板が、クラッド伝搬光を吸収可能な光吸収材料から構成されている構成であってもよい。
【0131】
上記の構成によれば、光伝送モジュール製造時において、光伝送路を支持基板に接着固定する工程で同時に樹脂部を形成することが可能になり、工程を追加することなく、クラッド伝搬光の低減を実現することができる。
【0132】
さらに、樹脂部を構成する材料として、光伝送路を支持基板に支持・固定するための樹脂(接着剤)を用いることで、さらに工程数を少なくすることが可能になる。
【0133】
本発明に係る光伝送モジュールにおいては、上記支持面が凹部と凸部とからなる凹凸面になっており、上記凹部を充填するように、上記樹脂部が形成されていることが好ましい。
【0134】
これにより、光伝送モジュールの外形寸法を変えることなく、クラッド伝搬光を低減することが可能になる。さらには、この凹凸面により、樹脂部の支持基板との接面の面積が増し、クラッド伝搬光を逃がすための面を、より広い面積で確保することができる。
【0135】
本発明に係る光伝送モジュールにおいては、上記樹脂部は、光伝送路における発光素子側端部の近傍にも設けられている構成であってもよい。
【0136】
光伝送モジュールにおいては、発光素子への反射戻り光が発光素子の動作を不安定にするという問題が一般的に知られている。上記の構成により、発光素子への反射戻り光を除去することが可能になり、発光素子における変調信号の波形歪みやノイズが起き難くなるという効果を奏する。
【0137】
本発明に係る光伝送モジュールにおいては、上記樹脂部は、クラッド部の屈折率よりも高い屈折率を有する材料から構成されていることが好ましい。
【0138】
樹脂部がクラッド部の屈折率よりも高い屈折率を有する材料から構成されているので、クラッド伝搬光が、樹脂部に入射すると、再びクラッド部へ入射しにくくなる。このため、上記の構成によれば、より効率的にクラッド伝搬光を除去することが可能になる。
【0139】
本発明に係る光伝送モジュールにおいては、上記樹脂部は、クラッド伝搬光に対し減衰率が高い材料から構成されていることが好ましい。
【0140】
このように樹脂部にクラッド伝搬光を吸収する機能を持たせることで、より確実なクラッド伝搬光の除去が可能になる。
【0141】
また、本発明に係る電子機器は、上述の光伝送モジュールを備えたことを特徴としている。
【0142】
上記の構成によれば、光導波路全体の屈曲性を確保したまま、低コストでクラッド伝搬光の低減・伝送特性の確保が可能な電子機器を提供することができる。
【0143】
本発明に係る光伝送モジュールは、上記光伝送路は、コア部と該コア部を囲ってなるクラッド部とを備え、上記クラッド部における、光信号が伝送する光伝送方向に沿った一部の表面領域に、光伝送路外部の空気よりも高い屈折率を有する樹脂から構成された樹脂部が設けられている。
【0144】
そして、本発明に係る光伝送モジュールにおいては、発光素子と、受光素子と、発光素子及び受光素子と光学的に結合して光信号を伝送する光伝送路と、を備えた光伝送モジュールであって、上記光伝送路は、コア部と、該コア部を囲ってなるクラッド部と、該光伝送路自身と上記受光素子とを支持する支持基板と、を備え、上記クラッド部における、光信号が伝送する光伝送方向に沿った一部の表面領域に、光伝送路外部の空気よりも高い屈折率を有する樹脂から構成された樹脂部が設けられており、上記樹脂部は、クラッド部と反対側の面が、光伝送方向に対し傾斜した斜面を含んでおり、上記斜面は、樹脂部における受光素子と反対側で、クラッド部の表面と鋭角をなすように形成されている。
【0145】
それゆえ、光伝送路における光伝送方向に沿った一部の表面領域にのみ樹脂部が設けられているので、光伝送路の光伝送方向に沿った面一面に迷光除去部が形成された従来の光伝送路と比較して、光伝送路全体の屈曲性を確保することが可能になる。さらには、光伝送路製造に際しては、光伝送方向に沿った一部の表面領域に樹脂部を形成するのみの工程で、クラッド伝搬光の低減を実現することができるので、低コストになる。すなわち、光伝送路全体の屈曲性を確保したまま、低コストでクラッド伝搬光の低減・伝送特性の確保を実現することできるという効果を奏する。
【0146】
また、樹脂部を入射したクラッド伝搬光は、クラッド部と反対側の斜面を反射した後、信号光の光軸に近い方向に出射されることになる。これにより、樹脂部に入射後再びクラッド部側へ反射して戻るクラッド伝搬光を低減でき、効率的にクラッド伝搬光を除去することができる。
【0147】
本発明に係る電子機器は、上記本発明に係る光伝送モジュールを備えた構成である。
【0148】
これにより、光導波路全体の屈曲性を確保したまま、低コストで伝送特性の優れた電子機器を提供することができるという効果を奏する。
【0149】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明に係る光伝送モジュールは、各種機器間の光通信路にも適用可能であるとともに、小型、薄型の民生機器内に搭載される機器内配線としてのフレキシブルな光配線にも適用可能である。
【符号の説明】
【0151】
1 光伝送モジュール
2 光送信処理部
3 光受信処理部
4 光伝送路
4C 光路変換ミラー面
5 発光駆動部
6 発光部
7 増幅部
8 受光部(受光素子)
9 支持基板
9a 支持面
9b 凹部
9c 凸部
11 コア部
12 クラッド部
13 迷光除去部
13A 樹脂部
13A 底面(斜面)
13B 光吸収部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、受光素子と、発光素子及び受光素子と光学的に結合して光信号を伝送する光伝送路とを備えた光伝送モジュールであって、
上記光伝送路は、コア部と該コア部を囲ってなるクラッド部とを備え、
上記クラッド部における、光信号が伝送する光伝送方向に沿った一部の表面領域に、光伝送路外部の空気よりも高い屈折率を有する樹脂から構成された樹脂部が設けられており、
上記樹脂部は、光伝送方向に対し垂直な方向において互いに対向する2つのクラッド部の表面領域のうち、一方の表面領域に設けられており、
クラッド部の光伝送方向に沿った側面を伝搬角度θで伝搬するクラッド伝搬光に関し、信号遅延を許容できる許容遅延時間に対応するクラッド伝搬光の伝搬角度を許容伝搬角度θminとし、クラッド伝搬光がクラッド部の外部に漏れ出す臨界角を臨界伝搬角度θmaxとし、光伝送路の光伝送方向に対し垂直な方向における長さを厚さTとしたとき、
上記樹脂部の光伝送方向における長さLは、下記式1、
【数1】

を満たす範囲に設定されていることを特徴とする光伝送モジュール。
【請求項2】
発光素子と、受光素子と、発光素子及び受光素子と光学的に結合して光信号を伝送する光伝送路とを備えた光伝送モジュールであって、
上記光伝送路は、コア部と該コア部を囲ってなるクラッド部とを備え、
上記クラッド部における、光信号が伝送する光伝送方向に沿った一部の表面領域に、光伝送路外部の空気よりも高い屈折率を有する樹脂から構成された樹脂部が設けられており、
上記樹脂部は、光伝送方向に対し垂直な方向において互いに対向する2つのクラッド部の表面領域のうち、両方の表面領域に設けられており、
クラッド部の光伝送方向に沿った側面を伝搬角度θで伝搬するクラッド伝搬光に関し、信号遅延を許容できる許容遅延時間に対応するクラッド伝搬光の伝搬角度を許容伝搬角度θminとし、クラッド伝搬光がクラッド部の外部に漏れ出す臨界角を臨界伝搬角度θmaxとし、光伝送路の光伝送方向に対し垂直な方向における長さを厚さTとしたとき、
上記樹脂部の光伝送方向における長さLは、下記式2、
【数2】

を満たす範囲に設定されていることを特徴とする光伝送モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−8047(P2013−8047A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193492(P2012−193492)
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【分割の表示】特願2008−554078(P2008−554078)の分割
【原出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】