説明

光半導体装置用樹脂組成物およびそれを用いて得られる光半導体装置用リードフレーム、ならびに光半導体装置

【課題】耐加熱変色性、さらに耐光劣化性に優れ、良好な光反射性が得られる光半導体装置用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】金属リードフレーム1と、それに搭載された光半導体素子2の周囲に形成される樹脂層3において、その樹脂層3形成材料が、下記の(A)〜(D)成分を含有する光半導体装置用樹脂組成物からなる。
(A)エポキシ樹脂。
(B)硬化剤。
(C)ポリオルガノシロキサン。
(D)白色顔料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光半導体素子の周囲に形成される樹脂層形成材料となる光半導体装置用樹脂組成物およびそれを用いて得られる光半導体装置用リードフレーム、ならびに光半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光半導体素子を搭載してなる光半導体装置は、例えば、図1に示すように、金属リードフレーム1上に光半導体素子2が搭載され、上記光半導体素子2の周囲を囲むように樹脂層3が形成されているという構成をとる。図1において、4は、金属リードフレーム1上に形成された電極回路(図示せず)と光半導体素子2とを電気的に接続するボンディングワイヤーであり、必要に応じて設けられるものである。
【0003】
このような光半導体装置では、上記樹脂層3をポリアミド樹脂(PPA)等に代表される熱可塑性樹脂をインジェクション成形により成形し製造している。上記熱可塑性樹脂には、一般に白色顔料を配合し、上記光半導体素子2から発する光を反射させて指向性を付与している(特許文献1参照)。
【0004】
一方、高耐熱性が要求される場合には、上記樹脂層3を、焼結されたアルミナを配合したセラミック材料を主体として用いて形成することが行われている(特許文献2参照)。
【0005】
ただし、上記セラミック材料を用いて上記樹脂層3相当部分を形成する場合、パッケージの量産性およびコスト等の観点から問題がある。したがって、上記樹脂層3としては、上記熱可塑性樹脂を用いて形成することが一般に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−283498号公報
【特許文献2】特開2002−232017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記樹脂層3の形成材料として熱可塑性樹脂を用いる場合、実装に用いられる半田材の鉛フリー化により、その融点が高温化しており、上記光半導体装置のような表面実装型パッケージにおいてはリフロー環境に対する耐熱性が要求される。したがって、半田実装温度での耐熱変形の要求や耐加熱変色性の要求、光半導体素子2の高パワー化によるさらなる長期での耐熱性の要求に対して、先述の熱可塑性樹脂を用いると高温での変色等が発生し、それに伴い、光の反射効率の低下等が問題となっている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、耐加熱変色性、さらに耐光劣化性に優れ、良好な光反射性を付与することのできる光半導体装置用樹脂組成物およびそれを用いて得られる光半導体装置用リードフレーム、ならびに光半導体装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)〜(D)成分を含有する光半導体装置用樹脂組成物を第1の要旨とする。
(A)エポキシ樹脂。
(B)硬化剤。
(C)ポリオルガノシロキサン。
(D)白色顔料。
【0010】
また、本発明は、光半導体素子搭載領域を備え、その少なくとも一部で素子搭載領域の周囲を囲んだ状態で樹脂層が形成されてなる光半導体装置用リードフレームであって、上記樹脂層が、上記光半導体装置用樹脂組成物を用いて形成されてなる光半導体装置用リードフレームを第2の要旨とする。
【0011】
そして、本発明は、上記光半導体装置用リードフレームの所定位置に光半導体素子が搭載されてなる光半導体装置を第3の要旨とする。
【0012】
すなわち、本発明者らは、熱変形や変色の発生が抑制され、半田耐熱性,長期の高温耐熱性および耐光劣化性に優れた光半導体パッケージ用樹脂組成物を得るべく鋭意検討を重ねた。その結果、エポキシ樹脂とともにポリオルガノシロキサンを併用した熱硬化性樹脂組成物を用いることで、エポキシ樹脂の有する優れた特性に上記ポリオルガノシロキサンの特徴である高い耐熱変色性および耐光劣化性を組み合わせることが可能となり、さらに例えばトランスファー成形による成形金型での作製が可能となり、量産性の点からも有利となり、所期の目的が達成されることを見出し本発明に到達した。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明は、金属リードフレームまたは基板と、それに搭載された光半導体素子の周囲に形成される光半導体パッケージ用の樹脂層において、その樹脂層形成材料が、前記エポキシ樹脂〔(A)成分〕と、硬化剤〔(B)成分〕と、ポリオルガノシロキサン〔(C)成分〕と、白色顔料〔(D)成分〕を含有する樹脂組成物からなるものである。このため、半田耐熱性および長期の高温耐熱性に優れ、しかも耐光劣化性においても優れた性能を発揮するとともに、良好な光反射性を実現するものである。したがって、上記樹脂組成物を用いて上記樹脂層を形成してなる光半導体装置では、上記樹脂層による良好な光反射率がより長期間保持されることから、その機能を充分に発揮することができる。
【0014】
そして、上記樹脂組成物の硬化物における光反射率が、波長450nm〜800nmにおいて80%以上であると、各色の光に対して同じ明るさであっても、反射率が高いことから発光素子のパワーを下げることが可能となり、このことによって、高温での変色等に対する耐熱性効果を延ばすことができ、また熱に対する封止樹脂との密着性の低下および封止樹脂の変形を防止することが可能となる。
【0015】
そして、上記ポリオルガノシロキサン〔(C)成分〕の含有量が、樹脂組成物全体の5〜60重量%の範囲であると、より一層優れた耐熱性および耐光劣化性が得られるとともに良好な樹脂組成物硬化物が得られるようになる。
【0016】
また、上記白色顔料〔(D)成分〕として、酸化チタンを用いると、良好な分散性,化学安定性等を有することから、優れた白色度、光反射性が得られる。
【0017】
さらに、上記各成分とともに無機質充填剤を用いると、線膨張率の低減および流動性のより一層の向上が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の光半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の光半導体装置の他の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の光半導体装置のさらに他の構成を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の光半導体装置の他の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の光半導体装置用樹脂組成物(以下「樹脂組成物」ともいう)は、先に述べたように、例えば、図1、さらには後述の図2〜図4に示す光半導体装置の、樹脂層3(あるいは樹脂層3a)形成材料として用いられるものであって、エポキシ樹脂(A成分)と、硬化剤(B成分)と、ポリオルガノシロキサン(C成分)と、白色顔料(D成分)とを用いて得られるものであり、通常、液状、あるいは粉末状、もしくはその粉末を打錠したタブレット状にして供される。
【0020】
上記エポキシ樹脂(A成分)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、モノグリシジルイソシアヌレート、ジグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、ヒダントインエポキシ樹脂等の含窒素環エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、アルキル置換ビスフェノール等のジグリシジルエーテル、ジアミノジフェニルメタンおよびイソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、低吸水率硬化体タイプの主流であるビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロ環型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。これらエポキシ樹脂の中でも、透明性、耐変色性および上記ポリオルガノシロキサンとの溶融混合性に優れるという点から、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートを単独でもしくは併せて用いることが好ましい。同様の理由から、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ナジック酸、メチルナジック酸等のジカルボン酸のジグリシジルエステルも好適である。また、芳香環が水素化された脂環式構造を有する核水素化トリメリット酸、核水素化ピロメリット酸等のグリシジルエステル等もあげられる。
【0021】
上記エポキシ樹脂(A成分)としては、常温で固形であっても液状であってもよいが、一般に、使用するエポキシ樹脂の平均エポキシ当量が90〜1000のものが好ましく、また、固形の場合には、軟化点が160℃以下のものが好ましい。すなわち、エポキシ当量が小さすぎると、樹脂組成物硬化物が脆くなる場合がある。また、エポキシ当量が大きすぎると、樹脂組成物硬化物のガラス転移温度(Tg)が低くなる傾向がみられるからである。
【0022】
上記硬化剤(B成分)としては、例えば、酸無水物系硬化剤、イソシアヌル酸誘導体系硬化剤等があげられる。上記酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸、無水ジエチルグルタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。これら硬化剤の中でも、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を用いることが好ましい。さらに、酸無水物系硬化剤としては、無色ないし淡黄色の硬化剤が好ましい。
【0023】
上記イソシアヌル酸誘導体系硬化剤としては、例えば、1,3,5−トリス(1−カルボキシメチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、1,3−ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。さらに、イソシアヌル酸誘導体系硬化剤としては、無色ないし淡黄色の硬化剤が好ましい。
【0024】
このように、上記酸無水物系硬化剤,イソシアヌル酸誘導体系硬化剤等の硬化剤(B成分)は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。さらに、硬化剤(B成分)としては、無色ないし淡黄色のものが好ましい。
【0025】
上記エポキシ樹脂(A成分)と硬化剤(B成分)との配合割合は、エポキシ樹脂(A成分)中のエポキシ基1当量に対して、硬化剤(B成分)中におけるエポキシ基と反応可能な活性基(酸無水基またはカルボキシル基)が0.5〜1.5当量となるよう設定することが好ましく、より好ましくは0.7〜1.2当量である。すなわち、活性基が少なすぎると、樹脂組成物の硬化速度が遅くなるとともに、その硬化物のガラス転移温度(Tg)が低くなる傾向がみられ、活性基が多すぎると耐湿性が低下する傾向がみられるからである。
【0026】
また、上記硬化剤(B成分)としては、その目的および用途に応じて、上記硬化剤以外の他のエポキシ樹脂の硬化剤、例えば、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、上記酸無水物系硬化剤をアルコールで部分エステル化したもの、または、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボン酸類の硬化剤を、単独で、もしくは上記硬化剤およびフェノール系硬化剤と併せて用いてもよい。例えば、カルボン酸類の硬化剤を併用した場合には、硬化速度を速めることができ、生産性を向上させることができる。なお、これら硬化剤を用いる場合においても、その配合割合は、上記硬化剤(B成分)を用いた場合の配合割合(当量比)に準じればよい。
【0027】
上記A成分およびB成分とともに用いられるポリオルガノシロキサン(C成分)は、上記エポキシ樹脂(A成分)と混合可能なものであればよく、各種ポリオルガノシロキサン、すなわち、固体または常温で液体のポリオルガノシロキサンを用いることができる。本発明において用いられるポリオルガノシロキサンは、樹脂組成物の硬化物中に、ナノ単位で均一に分散可能なものであればよい。
【0028】
このようなポリオルガノシロキサン(C成分)としては、例えば、そのポリオルガノシロキサンの構成成分となるシロキサン単位が、下記の一般式(1)で表されるものがあげられる。そして、一分子中に少なくとも一個のケイ素原子に結合した水酸基またはアルコキシ基を有し、ケイ素原子に結合した一価の炭化水素基(R)中、10モル%以上が置換または未置換の芳香族炭化水素基であるものがあげられる。
【0029】
〔化1〕
m (OR1 n SiO(4-m-n)/2 ・・・(1)
〔式(1)中、Rは炭素数1〜18の置換または未置換の飽和一価炭化水素基であり、同じであっても異なっていてもよい。また、R1 は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、同じであっても異なっていてもよい。さらに、m,nは各々0〜3の整数である。〕
【0030】
上記式(1)において、炭素数1〜18の置換または未置換の飽和一価炭化水素基であるRのうち、未置換の飽和一価炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基や、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ジシクロペンチル基、デカヒドロナフチル基等のシクロアルキル基、さらに芳香族基として、フェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基、トリル基、エチルフェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基等があげられる。
【0031】
一方、上記式(1)のRにおいて、置換された飽和一価炭化水素基としては、具体的には、炭化水素基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、エポキシ基等によって置換されたものがあげられ、具体的には、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、クロロフェニル基、ジブロモフェニル基、ジフルオロフェニル基、β−シアノエチル基、γ−シアノプロピル基、β−シアノプロピル基等の置換炭化水素基等があげられる。
【0032】
そして、上記ポリオルガノシロキサン(C成分)として、先のエポキシ樹脂(A成分)との親和性および得られる樹脂組成物の特性の点から、上記式(1)中のRとして好ましいものは、アルキル基またはアリール基であり、上記アルキル基の場合、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基として先に例示したものであり、特に好ましいのはメチル基である。また、アリール基として特に好ましいのはフェニル基である。上記式(1)中のRとして選択されるこれら基は、同一のシロキサン単位の中で、またはシロキサン単位の間で同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0033】
上記ポリオルガノシロキサン(C成分)では、例えば、上記式(1)で表されるその構造において、ケイ素原子に結合した一価の炭化水素基(R)は、その10モル%以上が芳香族炭化水素基から選択されることが好ましい。すなわち、芳香族炭化水素基が少なすぎると、エポキシ樹脂との親和性が不充分であるためにポリオルガノシロキサンをエポキシ樹脂中に溶解,分散させた場合に不透明となり、得られる樹脂組成物の硬化物においても耐光劣化性および物理的な特性において充分な効果が得られないという傾向がみられるからである。このような芳香族炭化水素基の含有量は、より好ましくは30モル%以上であり、特に好ましくは40モル%以上である。なお、上記芳香族炭化水素基の含有量の上限は、100モル%である。
【0034】
また、上記式(1)の(OR1 )は、水酸基またはアルコキシ基であって、(OR1 )がアルコキシ基である場合のR1 としては、具体的には、前述のRについて例示したアルキル基において炭素数1〜6のものである。より具体的には、R1 としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基があげられる。これらの基は、同一のシロキサン単位の中で、またはシロキサン単位の間で同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0035】
さらに、上記ポリオルガノシロキサン(C成分)は、その一分子中に少なくとも一個のケイ素原子に結合した水酸基またはアルコキシ基、すなわち、ポリオルガノシロキサンを構成するシロキサン単位の少なくとも一個に式(1)の(OR1 )基を有することが好ましい。すなわち、上記水酸基またはアルコキシ基を有しない場合には、エポキシ樹脂との親和性が不充分となり、またその機構は定かではないもののこれら水酸基またはアルコキシ基がエポキシ樹脂の硬化反応のなかで何らかの形で作用するためと考えられるが、得られる樹脂組成物により形成される硬化物の物理的特性も充分なものが得られ難い。そして、上記ポリオルガノシロキサン(C成分)において、ケイ素原子に結合した水酸基またはアルコキシ基の量は、好ましくは、OH基に換算して0.1〜15重量%の範囲に設定され、より好ましくは1〜10重量%である。すなわち、水酸基またはアルコキシ基の量が上記範囲を外れると、エポキシ樹脂(A成分)との親和性に乏しくなり、特に多すぎると(例えば、15重量%を超える)、自己脱水反応や脱アルコール反応を生じる可能性があるからである。
【0036】
上記式(1)において、繰り返し数mおよびnは、それぞれ0〜3の整数である。そして、上記繰り返し数mおよびnがとりうる数は、シロキサン単位毎に異なるものであり、上記ポリオルガノシロキサンを構成するシロキサン単位を、より詳細に説明すると、下記の一般式(2)〜(5)で表されるA1〜A4単位があげられる。
【0037】
〔化2〕
A1単位:(R)3 SiO1/2 ・・・(2)
A2単位:(R)2 (OR1 n SiO(2-n)/2 ・・・(3)
〔式(3)において、nは0または1である。〕
A3単位:(R)(OR1 n SiO(3-n)/2 ・・・(4)
〔式(4)において、nは0,1または2である。〕
A4単位:(OR1 n SiO(4-n)2 ・・・(5)
〔式(5)において、nは0〜3の整数である。〕
〔上記式(2)〜(5)において、Rは炭素数1〜18の置換または未置換の飽和一価炭化水素基であり、同じであっても異なっていてもよい。また、R1 は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、同じであっても異なっていてもよい。〕
【0038】
すなわち、前記式(1)のmにおいて、m=3の場合が上記式(2)で表されるA1単位に、m=2の場合が上記式(3)で表されるA2単位に、m=1の場合が上記式(4)で表されるA3単位に、m=0の場合が上記式(5)で表されるA4単位にそれぞれ相当する。このなかで、上記式(2)で表されるA1単位は1個のシロキサン結合のみであって末端基を構成する構造単位であり、上記式(3)で表されるA2単位は、nが0の場合には2個のシロキサン結合を有し線状のシロキサン結合を構成する構造単位であり、上記式(4)で表されるA3単位においてnが0の場合、および上記式(5)で表されるA4単位においてnが0または1の場合には、3個または4個のシロキサン結合を有することができ、分岐構造または架橋構造に寄与する構造単位である。
【0039】
さらに、上記ポリオルガノシロキサン(C成分)において、上記式(2)〜(5)で表される各A1〜A4単位の構成割合が、下記の(a)〜(d)の割合に設定されていることが好ましい。
(a)A1単位が0〜30モル%
(b)A2単位が0〜80モル%
(c)A3単位が20〜100モル%
(d)A4単位が0〜30モル%
【0040】
より好ましくはA1単位およびA4単位が0モル%、A2単位が5〜70モル%、A3単位が30〜100モル%である。すなわち、各A1〜A4単位の構成割合を上記範囲に設定することにより、硬化物に適度な硬度や弾性率を付与(維持)することができるという効果が得られるようになり一層好ましい。
【0041】
上記ポリオルガノシロキサン(C成分)は、上記各構成単位が相互にまたは連なって結合しているものであって、そのシロキサン単位の重合度は、6〜10,000の範囲であることが好ましい。そして、上記ポリオルガノシロキサン(C成分)の性状は、重合度および架橋度によって異なり、液状または固体状のいずれであってもよい。
【0042】
このような式(1)で表されるシロキサン単位を有するポリオルガノシロキサン(C成分)は、公知の方法によって製造することができる。例えば、オルガノシラン類およびオルガノシロキサン類の少なくとも一方を、トルエン等の溶媒存在下で加水分解する等の反応によって得られる。特に、オルガノクロロシラン類またはオルガノアルコキシシランを加水分解縮合する方法が一般的に用いられる。ここで、オルガノ基は、アルキル基やアリール基等の前記式(1)中のRに相当する基である。前記式(2)〜(5)で表されるA1〜A4単位は、それぞれ原料として用いるシラン類の構造と相関関係にあり、例えば、クロロシランの場合は、トリオルガノクロロシランを用いると前記式(2)で表されるA1単位が、ジオルガノジクロロシランを用いると前記式(3)で表されるA2単位が、オルガノクロロシランを用いると前記式(4)で表されるA3単位が、テトラクロロシランを用いると前記式(5)で表されるA4単位がそれぞれ得られる。また、上記式(1),(3)〜(5)において、(OR1 )として示されるケイ素原子の置換基は、縮合されなかった加水分解の残基である。
【0043】
また、上記ポリオルガノシロキサン(C成分)が、常温で固形を示す場合は、軟化点(流動点)は樹脂組成物との溶融混合の観点から、150℃以下であることが好ましく、特に好ましくは120℃以下である。
【0044】
上記ポリオルガノシロキサン(C成分)の含有量は、上記(A)〜(C)成分を含む有機成分全体の5〜60重量%の範囲に設定することが好ましい。特に好ましくは、その線膨張係数が大きくなることを考慮して、10〜40重量%の範囲である。すなわち、C成分の含有量が少なすぎると、耐熱性および耐光劣化性が低下する傾向がみられ、C成分の含有量が多すぎると、得られる樹脂組成物の硬化物自身の脆さが顕著となる傾向がみられるからである。
【0045】
上記A〜C成分とともに用いられる白色顔料(D成分)としては、例えば、無機系の白色顔料である、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、鉛白、カオリン、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、硫化亜鉛等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、優れた光反射率が得られる酸化チタンを用いることが特に好ましい。さらにそのなかでも、平均粒径が0.05〜2.0μmのものを用いることがより好ましい。なお、上記平均粒径は、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。
【0046】
上記白色顔料(D成分)の含有量は、樹脂組成物全体の2〜90重量%の範囲に設定することが好ましく、着色性および光反射率の観点から、樹脂組成物全体の5〜90重量%の範囲に設定することがより好ましい。すなわち、D成分の含有量が少なすぎると、充分な光反射率が得られ難くなる傾向がみられ、D成分の含有量が多すぎると、著しい増粘により混練等による上記樹脂組成物の製造において困難が生じる傾向がみられるからである。
【0047】
そして、本発明の樹脂組成物では、線膨張係数の低減および流動性の向上を目的に、上記A〜D成分に加えて無機質充填剤を用いることができる。上記無機質充填剤としては、例えば、石英ガラス粉末、タルク、溶融シリカ粉末や結晶性シリカ粉末等のシリカ粉末、アルミナ粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ケイ素粉末等があげられる。なかでも、線膨張係数の低減等の観点から、シリカ粉末を用いることが好ましく、特に高充填性および高流動性という観点から、球状溶融シリカ粉末を用いることが好ましい。上記無機質充填剤の粒径およびその分布については特に限定しないが、上記白色顔料(D成分)の粒径およびその分布との組み合わせにおいて、本発明の樹脂組成物を用いトランスファー成形等により成形する際のバリが最も低減されるように配慮することが好ましい。そのなかでも、平均粒径5〜60μmの範囲、特に好ましくは平均粒径15〜45μmの範囲のものを用いることが好ましい。上記平均粒径は、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。
【0048】
上記無機質充填剤の含有量は、上記白色顔料(D成分)と無機質充填剤との合計含有量が、樹脂組成物全体の2〜98重量%となるよう設定することが好ましい。
【0049】
さらに、本発明の樹脂組成物には、上記A〜D成分および無機質充填剤以外に、必要に応じて、硬化促進剤、酸化防止剤、変性剤、難燃剤、脱泡剤、レベリング剤、離型剤等の各種添加剤を適宜配合することができる。
【0050】
上記硬化促進剤としては、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、トリ−2,4,6−ジメチルアミノメチルフェノール、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアミノベンゼン、N,N−ジメチルアミノシクロヘキサン等の3級アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロンジチオエート等のリン化合物、4級アンモニウム塩、有機金属塩類、およびこれらの誘導体等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これら硬化促進剤の中では、3級アミン類、イミダゾール類、リン化合物を用いることが好ましい。その中でも、着色度が少なく、透明で強靱な硬化物を得るためには、リン化合物を用いることが特に好ましい。
【0051】
上記硬化促進剤の含有量は、上記エポキシ樹脂(A成分)に対して0.001〜8.0重量%に設定することが好ましく、より好ましくは0.01〜3.0重量%である。すなわち、硬化促進剤の含有量が少なすぎると、充分な硬化促進効果を得られない場合があり、また硬化促進剤の含有量が多すぎると、得られる硬化物に変色がみられる傾向があるからである。
【0052】
上記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、アミン系化合物、有機硫黄系化合物、ホスフィン系化合物等の酸化防止剤があげられる。上記変性剤としては、例えば、グリコール類、シリコーン類、アルコール類等の従来から公知の変性剤があげられる。また、上記脱泡剤としては、例えば、シリコーン系等の従来公知の脱泡剤があげられる。
【0053】
上記難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、臭素系難燃剤、窒素系難燃剤、リン系難燃剤等があげられ、さらに三酸化アンチモン等の難燃助剤を用いることもできる。
【0054】
上記変性剤としては、例えば、グリコール類、シリコーン類、アルコール類等の従来公知の変性剤があげられる。
【0055】
上記脱泡剤としては、例えば、シリコーン系等の従来公知の脱泡剤があげられる。
【0056】
本発明の樹脂組成物は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、上記A〜D成分、さらには必要に応じて配合される各種添加剤を適宜配合した後、混練機等を用いてこれを混練し、ついで、これを粉砕する等により粉末状の樹脂組成物を製造することができる。
【0057】
そして、上記得られた樹脂組成物の硬化物としては、その光反射率が、波長450nm〜800nmにおいて80%以上であることが好ましい。なお、上限は光反射率100%である。上記光反射率は、例えば、つぎのようにして測定される。すなわち、厚み1mmの樹脂組成物の硬化物を、所定の硬化条件、例えば、150℃×4分間の成形後、150℃×3時間のキュアにて作製し、この硬化物の反射率を上記波長にて分光光度計(例えば、日本分光社製の分光光度計V−670)を用いて室温(25±10℃)にて測定することができる。
【0058】
本発明の樹脂組成物を用いてなる光半導体装置は、例えば、つぎのようにして製造される。すなわち、金属リードフレームをトランスファー成形機の金型内に設置して上記樹脂組成物を用いてトランスファー成形により樹脂層を形成する。このようにして、光半導体素子搭載領域の周囲を囲んだ状態で樹脂層が形成されてなる光半導体装置用の金属リードフレームを作製する。ついで、上記樹脂層の内部の、金属リードフレーム上の光半導体素子搭載領域に光半導体素子を搭載し、必要に応じてワイヤーボンディングを行なう。このようにして、例えば、図1に示すような、搭載される光半導体素子2の周囲を囲んだ状態で樹脂層3が形成された金属リードフレーム1と、その金属リードフレーム1上に搭載された光半導体素子2を備えたユニットである光半導体装置が作製される。なお、光半導体装置においては、通常、上記光半導体素子2を含む樹脂層3の内側領域は、シリコーン樹脂等で封止される。
【0059】
さらに、上記光半導体装置の他の構成を図2〜図4に示す。図2に示す光半導体装置では、光半導体素子2が搭載された金属リードフレーム1a(または基板)上のみに樹脂層3aが形成されている。また、図3に示す光半導体装置は、図1に示す光半導体装置と略同じ構成であるが、樹脂層3の内側領域の光半導体素子2の周囲の金属リードフレーム1上にも樹脂層3が形成されている。そして、図4に示す光半導体装置は、図2に示す光半導体装置と略同じ構成であるが、樹脂層3aの内側領域の光半導体素子2の周囲の金属リードフレーム1a(または基板)上にも樹脂層3aが形成されている。これら図2〜図4に示す光半導体装置の構成において、図1の光半導体装置と同一の部分には同一の符号を記している。
【0060】
なお、本発明において、上記図2および図4に示す光半導体装置では、金属リードフレーム1aに代えて各種基板を用いてもよい。上記各種基板としては、例えば、有機基板、無機基板、フレキシブルプリント基板等があげられる。そして、上記図2および図4に示す光半導体装置の金属リードフレーム1aおよび各種基板では、その表面には電極回路(図示せず)が形成されている。
【実施例】
【0061】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0062】
まず、樹脂組成物の作製に先立って下記に示す各成分を準備した。
【0063】
〔エポキシ樹脂a1〕
トリグリシジルイソシアヌレート(エポキシ当量:100)
〔エポキシ樹脂a2〕
ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(エポキシ当量:450)
【0064】
〔酸無水物〕
メチルヘキサヒドロキシ無水フタル酸(酸当量:168)
【0065】
〔ポリオルガノシロキサンc1〕
フェニルトリメトキシシラン206g(50mol%)およびジメチルジメトキシシラン126g(50mol%)をフラスコ内に投入し、これに1.2gの20%のHCl水溶液と40gの水との混合物を滴下した。滴下終了後、1時間還流を続けた。ついで、室温(25℃)まで冷却した後、炭酸水素ナトリウムで溶液を中和した。得られたオルガノシロキサン溶液を濾過して不純物を除去した後、ロータリーエバポレータを用いて低沸物を減圧留去することによって、液状のポリオルガノシロキサンc1を得た。得られたポリオルガノシロキサンc1は、水酸基およびアルコキシ基をOH基換算で9重量%含むものであった。また、得られたポリオルガノシロキサンc1は、前記A2単位が50モル%、A3単位が50モル%からなり、フェニル基が33%、メチル基が67%含有するものであった。
【0066】
〔ポリオルガノシロキサンc2〕
メチルトリクロロシラン182.5g(90mol%)、ジメチルジクロロシラン17.5g(10mol%)およびトルエン215gの混合物を、予めフラスコ内に用意した水550g、メタノール150gおよびトルエン150gの混合溶媒に激しく撹拌しながら5分かけて滴下した。フラスコ内の温度は75℃まで上昇し、そのまま10分間撹拌を続けた。この溶液を静置し、室温(25℃)まで冷却した後、分離した水層を除去し、引き続き水を混合して撹拌後静置し、水層を除去するという水洗浄操作をトルエン層が中性になるまで行なった。残った有機層は30分還流を続け、水およびトルエンの一部を留去した。得られたオルガノシロキサンのトルエン溶液を濾過して不純物を除去した後、さらに残ったトルエンをロータリーエバポレータを用いて減圧留去することによって、固形のポリオルガノシロキサンc2を得た。得られたポリオルガノシロキサンc2は、水酸基を6重量%含むものであった。なお、使用した上記原料クロロシランは全て反応しており、得られたポリオルガノシロキサンc2は、前記A2単位が10モル%、A3単位が90モル%からなり、メチル基が100%のものであった。
【0067】
〔酸化チタン〕
ルチル型、平均粒径1.0μm
【0068】
〔シリカ粉末〕
球状溶融シリカ、平均粒径23μm
【0069】
〔酸化防止剤〕
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド
【0070】
〔硬化促進剤〕
テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロンジチオエート
【0071】
〔実施例1〜9、比較例1〜2〕
後記の表1〜表2に示す各成分を同表に示す割合で配合し、ビーカー中で溶融混合を行い、熟成した後、室温まで冷却して粉砕することにより目的とする粉末状のエポキシ樹脂組成物を作製した。
【0072】
このようにして得られた実施例および比較例のエポキシ樹脂組成物を用いて、下記の方法にしたがって各種特性評価を行った。その結果を後記の表1〜表2に併せて示す。
【0073】
〔光反射率〕
上記各エポキシ樹脂組成物を用い、厚み1mmの試験片を所定の硬化条件(条件:150℃×4分間の成形、および150℃×3時間のキュア)にて作製し、この試験片(硬化物)を用いて、初期および150℃で168時間放置後の光反射率をそれぞれ測定した。なお、測定装置として日本分光社製の分光光度計V−670を使用して、波長450nmの光反射率を室温(25℃)にて測定した。
【0074】
〔耐光劣化性〕
上記各エポキシ樹脂組成物を用い、厚み1mmの試験片を所定の硬化条件(条件:150℃×4分間の成形、および150℃×3時間のキュア)にて作製し、この試験片(硬化物)に対して405nm短波長レーザー(日亜化学社製、NDHV310APC)を25mWの20μm(80W/mm2 )で照射、硬化物を反射して得られる光の強度をパワーメーター(コヒレント社製、OP−2VIS)で受光し、受光強度が初期の50%に達するまでの時間を測定し、耐光性寿命とした。上記測定評価において、得られた耐光性寿命が100分以上の場合を○、100分未満の場合を×として判定した。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
上記結果から、実施例品は、初期および長時間での高温放置後の光反射率に関していずれも高い数値が得られており、長期高温耐熱性に優れていることがわかる。また、耐光劣化性に関しても良好な評価が得られ耐光劣化性に優れていることがわかる。
【0078】
これに対して、ポリオルガノシロキサンを使用せずに作製した比較例1品は、初期および長時間での高温放置後の光反射率に関して実施例品とほぼ同等程度の高い数値が得られたが、耐光劣化性測定に関しては耐光性寿命が100分未満となり耐光劣化性に劣るものであった。また、ポリオルガノシロキサンを使用せずエポキシ樹脂としてビスフェノールA型ジグリシジルエーテルを単独で用いた比較例2品は、長時間の高温放置後の光反射率が低く、長期高温耐熱性に劣るものであった。さらに、耐光劣化性測定に関しても耐光性寿命が100分未満となり耐光劣化性に劣るものであった。
【0079】
つぎに、上記実施例品である粉末状のエポキシ樹脂組成物を用いて、図1に示す構成の光半導体装置を製造した。すなわち、42アロイ(Agメッキ)製のリードフレーム1上に光半導体素子(大きさ:0.3mm×0.3mm)2が搭載され、金属リードフレーム1上に形成された電極回路(図示せず)と光半導体素子2とをボンディングワイヤー4にて電気的に接続したものを準備した。ついで、これをトランスファー成形機に投入し、トランスファー成形を行なうことにより、図1に示す、光半導体素子2の周囲を囲むよう樹脂層3が形成された金属リードフレーム1と、その金属リードフレーム1上に搭載された光半導体素子2を備えたユニットとなる光半導体装置を製造した(成形条件:150℃×4分間の成形、および150℃×3時間のキュア)。得られた光半導体装置は問題の無い良好なものが得られた。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の光半導体装置用樹脂組成物は、高い光反射率を有し、かつこれを保持できるため、光半導体装置の光半導体素子の周囲に形成される樹脂層形成材料として有用である。
【符号の説明】
【0081】
1 金属リードフレーム
2 光半導体素子
3 樹脂層
4 ボンディングワイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)〜(D)成分を含有することを特徴とする光半導体装置用樹脂組成物。
(A)エポキシ樹脂。
(B)硬化剤。
(C)ポリオルガノシロキサン。
(D)白色顔料。
【請求項2】
上記樹脂組成物の硬化物における光反射率が、波長450nm〜800nmにおいて80%以上である請求項1記載の光半導体装置用樹脂組成物。
【請求項3】
上記(C)成分であるポリオルガノシロキサンの含有量が、上記(A)〜(C)成分を含む有機成分全体の5〜60重量%の範囲である請求項1または2記載の光半導体装置用樹脂組成物。
【請求項4】
上記(D)成分である白色顔料が、酸化チタンである請求項1〜3のいずれか一項に記載の光半導体装置用樹脂組成物。
【請求項5】
上記(A)〜(D)成分に加えて、さらに無機質充填剤を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の光半導体装置用樹脂組成物。
【請求項6】
光半導体素子搭載領域を備え、その少なくとも一部で素子搭載領域の周囲を囲んだ状態で樹脂層が形成されてなる光半導体装置用リードフレームであって、上記樹脂層が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光半導体装置用樹脂組成物を用いて形成されてなることを特徴とする光半導体装置用リードフレーム。
【請求項7】
請求項6記載の光半導体装置用リードフレームの所定位置に光半導体素子が搭載されてなることを特徴とする光半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−74355(P2011−74355A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118513(P2010−118513)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】