説明

光受信装置

【課題】光受信装置における位相状態制御のための構成を簡素化し、位相制御を高速化する。
【解決手段】本発明にかかる光受信装置は、第1、第2系列に属する第1、第2光回路である光回路21、22を含む遅延干渉計2と、光回路21、22の出力光をそれぞれ受光するツインフォトダイオード31、32とを備え、差動変調された光信号PS1、PS2を第1、第2系列を用いて別々に復調し、互いに所定位相ずれた第1、第2復調信号である電気信号ES1、ES2を出力する復調器1と、電気信号ES1を用いて、光回路21における光信号PS1の位相状態を制御する第1制御部である制御部50と、電気信号ES1、ES2を演算し、演算信号を出力する演算部である加算器75と、電気信号ES2および演算信号を用いて、光回路22における光信号PS2の位相状態を制御する第2制御部である制御部70とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光受信装置に関し、特にDQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying:差動四相位相シフト変調)方式などの差動M相位相シフト変調方式で変調された光信号を受信する光受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光通信において使用される変調方式として、差動M相位相シフト変調方式(M=2Nであって、Nは2以上の自然数)が知られている。この変調方式の代表例としてDQPSK方式がある。
【0003】
DQPSK方式が使用される光通信では、送信装置において、0、1、2及び3の4種類のデータに対応して、時系列的に連続したシンボル間に、0、0.5π、π及び1.5πの4種類の位相差が与えられた光信号が生成され、当該光信号が光送信装置から送信されることによって、2ビットの情報が送信される。この光信号は光ファイバを伝播して光受信装置に入力される。光受信装置では、復調器で光信号が復調され、その復調器の出力から0、1、2及び3の4種類のデータが再生される。
【0004】
特許文献1には、DQPSK方式で変調された光信号を復調する技術について開示されている。特許文献1にも記載されているように、DQPSK方式での光受信装置の復調器は、スプリッタと、2つの非対称マッハツェンダ干渉計(MZI)と、ツインフォトダイオード(PD)とで構成されることが多い。
【0005】
スプリッタは、受信した光信号を2分岐し、2分岐された光信号は2つのMZIにそれぞれ送られる。各MZIでは、一方の光路に対して他方の光路の物理的な長さを長くすることによって2つの光路間に光路長差が設けられており、他方の光路を伝搬する光信号に対して、シンボル周期に等しい遅延時間が付与されている。
【0006】
さらに、ツインフォトダイオードから出力される2系統の電気信号が対称となるように、一方のMZIの短い方の光路を伝搬する信号には+0.25πの位相シフト量が与えられ、他方のMZIの短い方の光路を伝搬する信号には−0.25πの位相シフト量が与えられる。ツインフォトダイオードは、各MZIからの出力光を電気信号に変換する2つのフォトダイオードと、電流を電圧に変換するトランスインピーダンスアンプにより構成されている。
【0007】
一般的に、ビットエラーレートを抑えてDQPSK方式で変調された受信光を復調するためには、各MZIでの位相シフト量の現在値と目標値との差を1°以内に抑えることが望ましい。
【0008】
これに関連して、非特許文献1に、DBPSK(Differential binary phase shift keying)方式におけるMZIの位相シフト量を制御する技術が示されている。DBPSK方式におけるMZIの位相シフト量の目標値は0、またはπである。低周波の発振器により発生した低周波のディザ信号を、ロングアームのヒータ電圧に重畳すると、これに伴い、MZIの位相シフト量が振動するため、MZIの出力光の光強度が振動して、ツインフォトダイオードの出力信号の包絡線が振動する。さらに、位相シフト量の中心値により、MZIの出力光の光強度の振動周波数、位相や振幅が変化するため、ツインフォトダイオードの出力の包絡線の振動周波数、位相や振幅も、MZIの位相シフト量の中心値に依存して、変化する。
【0009】
例えば、ディザ周波数が10Hzである場合には、MZIの位相シフト量の中心値が0、またはπである場合、ツインフォトダイオードの出力の包絡線は、20Hzの振動周波数と0.5πの位相を有する。従って、ディザ信号と包絡線を同期検波すると、0が得られる。また、MZIの位相シフト量の中心値が0、または、πより正のズレδ(0<δ<0.5π)を有している場合、10Hzの振動周波数と0の位相を有する。従って、ディザ信号と包絡線を同期検波すると、正の値が得られる。一方、MZIの位相シフト量の中心値が0、または、πより負のズレδ(−0.5π<δ<0)を有している場合、10Hzの振動周波数とπの位相を有する。従って、ディザ信号と包絡線を同期検波すると、負の値が得られる。
【0010】
以上より、同期検波の結果が正の値であれば位相シフト量を低減し、負の値であれば位相シフト量を増加するように、ロングアームのヒータ電圧を変えて、位相シフト量の中心値を調整すればよいことがわかる。これが、非特許文献1において開示されているDBPSK方式における位相シフト量の制御方法である。
【0011】
DQPSK方式においても、DBPSK方式に用いたのと同様に、低周波のディザ信号を印加する方法を用いることができる。すなわち、各MZIに個別にディザ信号を重畳して、同期検波することにより、一方のMZIには0.25π、0.75π、1.25π、1.75πの位相シフト量が与えられ、他方のMZIには上記のMZIの位相シフト量と0.5π、または1.5πの差が与えられるように調整できる。しかし、DBPSK方式と異なる点は、上記の方法だけでは、上記の位相シフト量に到達しない場合があることである。すなわち、ディザ信号を重畳する方法における収束点は、0.25π、0.75π、1.25π、1.75πであり、これらのうちいずれに収束するのかは、位相シフト量の初期値のみにより決まる。ここで、2πの周期性を考慮すれば、1.75πは−0.25πと同等である。0.25πと1.25πはπだけ異なるため、この場合、ツインフォトダイオードの出力信号の符号が反転するだけであり、本質的に同じデータを表す。従って、一方のMZIが仮に0.25πに収束する場合、他方のMZIは、0.5πまたは1.5πの位相シフト量の差に対応した0.75π、または1.75πに収束しなければならない。しかし、各MZIに対し個別にディザ信号を重畳して同期検波する場合、初期値によりともに0.25πの組み合わせ、または0.25πと1.25πの組み合わせのように、MZI同士が同位相や反位相に収束する場合がある。
【0012】
この技術課題を解決するため、特許文献1に、DQPSK方式において、各MZIの位相シフト量を制御する技術が提案されている。特許文献1におけるDQPSK方式での光受信装置は、復調器、CDR、MUX(multiplexer)、並列化部、受信処理部、制御部、干渉計制御部、クロック再生制御部、多重化制御部より構成される。
【0013】
CDRは、復調器の出力信号からクロック信号とデータ信号とを再生する機能を有し、MUXは、CDRから出力されたクロック信号に同期してデータ信号を多重化する機能を有する。また、並列化部は、MUXから出力されるクロック信号とデータ信号を16分岐して、低周波のデータ信号を出力する機能を有し、受信処理部は、フレーム同期が確立するように、制御部を通して、干渉計制御部、クロック再生制御部、多重化制御部に制御信号を送信する機能を有する。
【0014】
クロック再生制御部を通してCDRの論理反転処理を実行し、さらに、多重化制御部を通してMUXのビットスワップ処理を実行しても、フレーム同期の引込みが成功しない場合は、MZI同士が同位相や反位相に収束していると判断して、干渉計制御部を通して、復調器における各MZIの位相シフト量を制御する処理を実行する。フレーム同期の引込みが成功するまで、上記論理反転処理、上記ビットスワップ処理、上記MZIの位相シフト量の制御処理を繰り返す。これにより、各MZIは最適な位相シフト量に収束するため、フレーム同期が確立して、正常な通信が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2007−288702号公報(図1、図3)
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Becouarn、 L. Boissau、 T. Julien、 B. Grandpierre、 G. Dupont、 S. Plantady、 P. Marcerou、 J.−F.、 ”Investigation on a stabilised DPSK receiver at 10Gb/s with a 5111 km−long transmission、” 31st European Conference on Optical Communication 2005、 Vol.1、 pp.9−10、 2005. (Figure3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述の特許文献1の技術により、各MZIは最適な位相シフト量に収束させることが可能となる。しかし、一方のMZIが属する系列は0.25π、0.75π、1.25π、1.75πの4通りの受信状態を取り、他方のMZIが属する系列も0.25π、0.75π、1.25π、1.75πの4通りの受信状態を独立にとりうるので、全ての受信状態は16通りにわたる。このうちの1通りに該当することを判定するには、上述の特許文献1の技術によれば、光受信装置の制御は各MZI、CDR、MUXにわたるため、光受信装置の制御が複雑になる。また、このような複雑な制御を実現するため、構成が複雑になる。また、これらのために、正常な通信を確立する時間が遅くなるという問題があった。
【0018】
本発明は上述の問題に鑑みて成されたものであり、差動変調方式で変調された光信号を受信し、その構成が簡素化され、正常な通信を高速に行うことが可能な光受信装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の態様にかかる光受信装置は、第1、第2系列に属する第1、第2光回路を含む遅延干渉計と、前記第1、第2光回路の出力光をそれぞれ受光する第1、第2ツインフォトダイオードとを備え、差動変調された光信号を前記第1、第2系列を用いて別々に復調し、互いに所定位相ずれた第1、第2復調信号を出力する復調器と、前記第1復調信号を用いて、前記第1光回路における前記光信号の位相状態を制御する第1制御部と、前記第1および第2復調信号を演算し、演算信号を出力する演算部と、前記第2復調信号および前記演算信号を用いて、前記第2光回路における前記光信号の位相状態を制御する第2制御部とを備える。
【0020】
また、本発明の第2の態様にかかる光受信装置は、第1、第2系列に属する第1、第2光回路を含む遅延干渉計と、前記第1、第2光回路の出力光をそれぞれ受光する第1、第2ツインフォトダイオードとを備え、差動変調された光信号を前記第1、第2系列を用いて別々に復調し、互いに所定位相ずれた第1、第2復調信号を出力する復調器と、前記第1復調信号を用いて、前記第1光回路における前記光信号の位相状態を制御する第1制御部と、前記第1および第2復調信号を乗算し、乗算信号を出力する乗算部と、前記乗算信号を用いて、前記第2光回路における前記光信号の位相状態を制御する第2制御部とを備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の態様にかかる光受信装置によれば、第1、第2系列に属する第1、第2光回路を含む遅延干渉計と、前記第1、第2光回路の出力光をそれぞれ受光する第1、第2ツインフォトダイオードとを備え、差動変調された光信号を前記第1、第2系列を用いて別々に復調し、互いに所定位相ずれた第1、第2復調信号を出力する復調器と、前記第1復調信号を用いて、前記第1光回路における前記光信号の位相状態を制御する第1制御部と、前記第1および第2復調信号を演算し、演算信号を出力する演算部と、前記第2復調信号および前記演算信号を用いて、前記第2光回路における前記光信号の位相状態を制御する第2制御部とを備えることにより、第1系列と第2系列との位相差を判別できるため、位相差制御のための構成を簡素化し、かつ正常な通信を高速に行うことが可能となる。
【0022】
また、本発明の第2の態様にかかる光受信装置によれば、第1、第2系列に属する第1、第2光回路を含む遅延干渉計と、前記第1、第2光回路の出力光をそれぞれ受光する第1、第2ツインフォトダイオードとを備え、差動変調された光信号を前記第1、第2系列を用いて別々に復調し、互いに所定位相ずれた第1、第2復調信号を出力する復調器と、前記第1復調信号を用いて、前記第1光回路における前記光信号の位相状態を制御する第1制御部と、前記第1および第2復調信号を乗算し、乗算信号を出力する乗算部と、前記乗算信号を用いて、前記第2光回路における前記光信号の位相状態を制御する第2制御部とを備えることにより、第1系列と第2系列との位相差を判別できるため、位相差制御のための構成を簡素化し、かつ正常な通信を高速に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態1に係る光受信装置の構成を示す図である。
【図2】遅延干渉計2の構造を示す断面図である。
【図3】電気信号ES1Pにおける位相θi1と大きさとの関係のグラフである。
【図4】低周波信号LFS1を示す図である。
【図5】電気信号ES1Pの包絡線を示す図である。
【図6】電気信号ES1Pにおける位相θi1と大きさとの関係のグラフである。
【図7】電気信号ES1Pの包絡線を示す図である。
【図8】電気信号ES1Pにおける位相θi1と大きさとの関係のグラフである。
【図9】電気信号ES1Pの包絡線を示す図である。
【図10】検波信号DS1の振幅と位相の関係を示すグラフである。
【図11】検波信号DS2bの振幅と平均位相誤差δ2の関係を示すグラフである。
【図12】検波信号DS2aと平均位相誤差δ2の関係を示すグラフである。
【図13】平均信号A2aと平均位相誤差δ2の関係を示すグラフである。
【図14】平均信号A2aと検波信号DS2aと平均位相誤差δ2の時間変化の一例を示すグラフである。
【図15】実施の形態2に係る光受信装置の構成を示す図である。
【図16】平均値算出部731bによる平均値信号と平均位相誤差δ2の関係を示すグラフである。
【図17】実施の形態3に係る光受信装置の構成を示す図である。
【図18】実施の形態4に係る光受信装置の構成を示す図である。
【図19】検波信号DS2bの振幅と平均位相誤差δ2の関係を示すグラフである。
【図20】実施の形態5に係る光受信装置の構成を示す図である。
【図21】平均値算出部731bが出力する平均値と平均位相誤差δ2の関係を示すグラフである。
【図22】変形例1に係る光受信装置の構成を示す図である。
【図23】変形例2に係る光受信装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<A.実施の形態1>
<A−1.構成>
図1は本発明の実施の形態1に係る光受信装置の構成を示す図である。本実施の形態1に係る光受信装置は、差動M相位相シフト変調方式(M=2Nであって、Nは2以上の自然数)を用いてNビットの送信データで変調された光信号PSを受信する光受信装置である。以下では、例えば、M=4(N=2)の場合、つまりDQPSK方式を用いて2ビットの送信データで変調された光信号PSを受信する場合についての本実施の形態1に係る光受信装置について説明する。なお本発明は、DQPSKに限らずD8PSKのようなさらなる多値にも適用できる。
【0025】
ここで、光受信装置に対して送信される2ビットの光信号PSがとり得る4種類の値には、0、0.5π、π及び1.5πがそれぞれ割り当てられている。したがって、本光受信装置に入力される光信号PSでは、時系列的に連続する2つのシンボル間に付与されている位相差Δφiは、0、0.5π、π、及び1.5πのうちのいずれか一つとなる。
【0026】
図1に示されるように、本発明にかかる光受信装置は、DQPSK方式で変調された光信号を復調する復調器1と、その復調信号である電気信号ES1N、ES2Pを用いて、2ビットの送信データを再生するデータ再生部60と、復調信号である電気信号ES1Pを用いて、復調器1における光信号の位相状態を制御する第1制御部である制御部50と、復調信号である電気信号ES1P、ES2Nを演算し、演算信号を出力する演算部である加算器75と、電気信号ES2Nと演算信号とを用いて、復調器1における光信号の位相状態を制御する第2制御部である制御部70とを備える。
【0027】
<A−1−1.復調器1の構成>
復調器1は、光信号PSが入力される遅延干渉計2と、遅延干渉計2から出力される出力光を電流、さらには電圧に変換する光電変換装置3とを備える。遅延干渉計2は、光信号PSを2つの光信号PS1、PS2に分岐するスプリッタ20と、それぞれの光信号PS1、PS2が入力される2つの光回路21、22(第1、第2光回路)を有する。光電変換装置3は2つのツインフォトダイオード31、32(第1、第2ツインフォトダイオード)を有し、2つのツインフォトダイオード31、32は、2つの受光素子4、5と、それぞれに対応した2つのトランスインピーダンスアンプ6、7とを有する。光回路21とツインフォトダイオード31とを含む系列を第1系列、光回路22とツインフォトダイオード32とを含む系列を第2系列とする。
【0028】
光回路21は、光信号PS1が伝搬する2つの光路210、211を有する非対称マッハツェンダ干渉計(MZI)である。光回路21では、光路210の方が、光路211よりも物理的な長さが長く設定されており、2つの光路210、211の間では光路長差が設けられている。これにより、光路210を伝搬する光信号PS1にはシンボル周期に等しい遅延時間が付与される。
【0029】
同様に、光回路22は、光信号PS2が伝搬する2つの光路220、221を有する非対称マッハツェンダ干渉計(MZI)である。光回路22では、光路220の方が、光路221よりも物理的な長さが長く設定されており、2つの光路220、221の間では光路長差が設けられている。これにより、光路220を伝搬する光信号PS2にはシンボル周期に等しい遅延時間が付与される。
【0030】
光回路21は、光路211を伝搬する光信号PS1に対して位相シフトを与える位相シフト部として機能するヒータ213を有している。ヒータ213が光信号PS1に対して与える位相シフト量α1は、制御部50によって0.25π、0.75π、1.25π、1.75πのいずれかとなるように制御される。
【0031】
同様に、光回路22は、光路221を伝搬する光信号PS2に対して位相シフトを与える位相シフト部として機能するヒータ223を有している。ヒータ223が光信号PS2に対して与える位相シフト量α2は、制御部70によってα1+0.5π、または、α1+1.5πのいずれかとなるように制御される。
【0032】
図2は遅延干渉計2の構造を示す断面図である。本実施の形態1に係る遅延干渉計2は、シリコン基板上において石英系平面光回路として形成される。
【0033】
遅延干渉計2を形成する際には、例えば図2に示されるように、まず厚さ1mmのシリコン基板230上に厚さ50μmのガラスを火炎堆積法を用いて堆積してアンダークラッド層231を形成する。次に、比屈折率がアンダークラッド層231より0.75%程度高いガラスを火炎堆積法を用いてアンダークラッド層231上に堆積し、その後、当該ガラスに対して反応性イオンエッチングを行うことによって当該ガラスをパターンニングし、コアたる光路210、211、220、221を形成する。
【0034】
そして、火炎堆積法を用いて光路210、211、220、221を覆うように厚さ20μmのガラスをアンダークラッド層231上に堆積して、オーバークラッド層232を形成する。その後、窒化タンタル(TaN)から成る薄膜をスパッタリング法を用いてオーバークラッド層232上に堆積し、写真製版技術とイオンエッチング法とを用いて、当該薄膜をパターンニングする。
【0035】
これにより、窒化タンタルから成るヒータ212、213、222、223が、それぞれ光路210、211、220、221の近傍に形成される。
【0036】
なお光回路21、22は、石英系導波路デバイスに限らず、InPなどの半導体や、LiNbO3などの強誘電体を用いたデバイスでも良く、空間結合系デバイスでも良い。
【0037】
<A−1−2.データ再生部60の構成>
データ再生部60は、2つのCDR回路61、62と再生部63とを備える。CDR回路61は、復調器1から出力される電気信号ES1Nからクロック信号を抽出し、当該クロック信号に同期して、電気信号ES1Nを“1”か“0”に識別する。CDR回路62は、復調器1から出力される電気信号ES2Pからクロック信号を抽出し、当該クロック信号に同期して、電気信号ES2Pを“1”か“0”に識別する。再生部63は、CDR回路61、62での識別結果に基づいて2ビットの送信データを再生して出力する。
【0038】
<A−1−3.制御部50の構成>
制御部50は、第1復調信号である電気信号ES1Pを検波する第1検波器である包絡線検波器51と、低周波信号LFS1を発生させる信号発生器52と、包絡線検波器51が出力する第1検波信号である検波信号DS1と低周波信号LFS1とが入力される操作量決定部53と、操作量決定部53から出力される制御電圧VT1と低周波信号LFS1とを加算する加算器54とを備えている。
【0039】
包絡線検波器51は、復調器1から出力される電気信号ES1Pの包絡線を検波して、当該包絡線を示す検波信号DS1を出力する。信号発生器52は、光信号PSでのシンボル周期よりも長い周期の低周波信号LFS1を発生して出力する。
【0040】
操作量決定部53は、低周波信号LFS1と検波信号DS1とを乗算する乗算器530と、乗算器530からの出力信号(第1検波信号)の平均値を算出する第1平均値算出部である平均値算出部531と、平均値算出部531から出力される第1平均値である平均信号A1を用いて、制御電圧VT1を決定する第1決定部である決定部532とで構成されている。制御電圧VT1は、復調器1のヒータ212、213に対する操作量、つまりヒータ212、213に供給する電圧である。平均値算出部531は、乗算器530の出力信号の平均値を算出し、これにより同期検波を行う。
【0041】
加算器54は、制御電圧VT1に低周波信号LFS1を加算し、得られた信号を制御信号CS1としてヒータ212、213に供給する。制御信号CS1がヒータ212、213に供給されると、制御信号CS1に応じて光路210、211の温度が変化するようになる。そうすると、光路210、211を伝達する光信号PS1に与えられる位相シフト量α1が変化する。このように、ヒータ212、213は、制御信号CS1に応じて、光路210、211を伝達する光信号PS1に与える位相シフト量α1を変化させる。制御信号CS1は、低周波信号LFS1の変化に応じて変化するため、位相シフト量α1は低周波信号LFS1の周波数に応じてゆっくりと変化するようになる。
【0042】
<A−1−4.制御部70の構成>
制御部70は、第2復調信号である電気信号ES2Nを検波する第2検波器である包絡線検波器71aと、加算器75で加算した信号(演算信号)を検波する第3検波器である包絡線検波器71bと、低周波信号LFS2を発生させる信号発生器72と、包絡線検波器71a、71bが出力する検波信号DS2a(第2検波信号)、DS2b(第3検波信号)と低周波信号LFS2とが入力される操作量決定部73と、低周波信号LFS2と、操作量決定部73からの掃引電圧(後述)とを加算する加算器76と、加算器76の出力と操作量決定部73からの制御電圧VT2とを加算する加算器74とを備えている。
【0043】
包絡線検波器71aは、復調器1から出力される電気信号ES2Nの包絡線を検波して、当該包絡線を示す検波信号DS2aを出力する。
【0044】
加算器75は復調器1から出力される電気信号ES1Pと電気信号ES2Nを加算した結果を出力する。
【0045】
包絡線検波器71bは、加算器75の出力結果の包絡線を検波して、当該包絡線を示す検波信号DS2bを出力する。
【0046】
信号発生器72は、光信号PSでのシンボル周期よりも長い周期の低周波信号LFS2を発生して出力する。
【0047】
操作量決定部73は、低周波信号LFS2と検波信号DS2a(第2検波信号)とを乗算する乗算器730aと、乗算器730aからの出力信号(第2検波信号)の平均値(第2平均値)を算出する第2平均値算出部である平均値算出部731aと、第3検波信号である検波信号DS2bを計測する検波モニタ部734と、平均値算出部731aから出力される第2平均値である平均信号A2aと検波モニタ部734からの出力とを用いて、制御電圧VT2およびその初期値、掃引電圧を決定する第2決定部である決定部732と、掃引電圧が入力される掃引部733とを備える。制御電圧VT2は、復調器1のヒータ222、223に対する操作量、つまりヒータ222、223に供給する電圧である。平均値算出部731aは、乗算器730aの出力信号の平均値を算出し、これにより同期検波を行う。
【0048】
加算器74は、制御電圧VT2に加算器76の出力信号を加算し、得られた信号を制御信号CS2としてヒータ222に供給する。制御信号CS2がヒータ222に供給されると、制御信号CS2に応じて光路221の温度が変化するようになる。そうすると、光路221を伝達する光信号PS2に与えられる位相シフト量α2が変化する。
【0049】
包絡線検波器51、71a、71bは、例えば、ショットキーバリアダイオードを用いた半波整流回路や全波整流回路などで構成される。平均値算出部531、731aは、例えば、ローパスフィルタや、低周波信号LFS1、LFS2の周期で実行する積分計算、またはフーリエ変換計算により直流成分を算出する演算回路などで構成される。
【0050】
<A−2.動作>
<A−2−1.遅延干渉計2の動作>
復調器1における遅延干渉計2の動作について説明する。光回路21では、入力された光信号PS1と、光信号PS1とは1シンボル期間遅延した光信号PS1とが干渉し、それらの光信号PS1間の位相差に応じてシンボル周期ごとに光強度が変化する光信号が、光回路21の2つの出力ポートから出力される。光回路21に入力される光信号PS1と、それとは1シンボル周期だけ遅延した光信号PS1との間における、あるタイミングでの位相差は、遅延干渉計2に入力される光信号PSにおける当該タイミングでのシンボルと、それよりも1シンボル周期後のシンボルとの間の位相差Δφiに等しいことから、光回路21から出力される光信号は、光信号PSでの位相差Δφiの4種類の値(0、0.5π、π、1.5π)に応じて4種類以下の光強度を有するようになる。光回路21からは、光強度が異なる相補的な2つの光信号が出力される。
【0051】
同様に、光回路22では、入力された光信号PS2と、当該光信号PS2とは1シンボル期間遅延した光信号PS2とが干渉し、それらの光信号PS2間の位相差に応じてシンボル周期ごとに光強度が変化する光信号が、光回路22の2つの出力ポートから出力される。光回路22からは、光強度が異なる相補的な2つの光信号が出力される。
【0052】
遅延干渉計2では、例えばヒータ213に供給する電圧が変化すると、その下の光路211の温度が変化し、光路211での屈折率が変化する。その結果、光路211を伝搬する光信号PS1の位相が変化する。制御部50は、ヒータ212、213に供給する電圧を制御することによって、光路210、211を伝搬する光信号PS1に対して与える位相シフト量α1を制御する。同様に、制御部70は、ヒータ222、223に供給する電圧を制御することによって、光路220、221を伝搬する光信号PS2に対して与える位相シフト量α2を制御する。
【0053】
なお上記の例では、光路210、211の両方にヒータを設けたが、光路211だけにヒータを設けても良いし、光路210だけにヒータを設けても良い。つまり、光路210、211の少なくとも一方にヒータを設けて、光路210を伝搬する光信号PS1よりも、光路211を伝搬する光信号PS1の方が0.25πだけ位相が進むように当該ヒータを制御すればよい。同様に、光回路22においては、光路220、221の少なくとも一方にヒータを設けて、光路220を伝搬する光信号PS2よりも、光路221を伝搬する光信号PS2の方が0.25πだけ位相が遅れるように当該ヒータを制御すればよい。
【0054】
<A−2−2.光電変換装置3の動作>
光電変換装置3において、受光素子4、5は、光回路21、22から出力される光信号をそれぞれ電気信号に変換する。受光素子4は、直列接続された2つのフォトダイオード4a、4bで構成されており、フォトダイオード4a、4bには光回路21から出力される2つの光信号がそれぞれ照射される。受光素子4からは、フォトダイオード4aで生成される電流と、フォトダイオード4bで生成される電流との差分が差動電流信号として出力される。
【0055】
同様に、受光素子5は、直列接続された2つのフォトダイオード5a、5bで構成されており、フォトダイオード5a、5bには光回路22から出力される2つの光信号がそれぞれ照射される。受光素子5からは、フォトダイオード5aで生成される電流と、フォトダイオード5bで生成される電流との差分が差動電流信号として出力される。
【0056】
フォトダイオード4a、4b、5a、5bとしては、例えばInP系フォトダイオードが採用される。
【0057】
トランスインピーダンスアンプ6は、受光素子4から出力される差動電流信号を電圧信号に変換し、当該電圧信号を電気信号ES1P、ES1Nとして出力する。ここで、電気信号ES1Pと電気信号ES1Nは、互いに反位相の信号同士である。1シンボル周期における光信号PSの包絡線波形をA(t)で表すと、電気信号ES1Pは以下の式(1)で表される。ここで、tは時刻を表している。
【0058】
2(t)cos(Δφi+α1) ・・・(1)
式(1)から理解できるように、電気信号ES1Pは、光信号PSと当該光信号PSを1シンボル周期遅延させた信号との間の位相差Δφiと位相シフト量α1とを加算した値に応じて強度が変化する信号である。
【0059】
位相シフト量α1の+0.25πに対する差をΔ1とすると、式(1)は以下の式(2)に書き直すことができる。
【0060】
2(t)cos(Δφi+0.25π+Δ1) ・・・(2)
トランスインピーダンスアンプ7は、受光素子5から出力される差動電流信号を電圧信号に変換し、当該電圧信号を電気信号ES2P、ES2Nとして出力する。ここで、電気信号ES2Pと電気信号ES2Nは、互いに反位相の信号同士である。電気信号ES2Pは、電気信号ES1Pと同様に以下の式(3)で表される。
【0061】
2(t)cos(Δφi+α2) ・・・(3)
式(3)から理解できるように、電気信号ES2Pは、光信号PSと当該光信号PSを1シンボル周期遅延させた信号との間の位相差Δφiと位相シフト量α2とを加算した値に応じて強度が変化する信号である。
【0062】
位相シフト量α2の−0.25πに対する差をΔ2とすると、式(3)は以下の式(4)に書き直すことができる。
【0063】
2(t)cos(Δφi−0.25π+Δ2) ・・・(4)
【0064】
<A−2−3.制御部50の動作>
次に制御部50の動作について説明する。前述のように、制御部50は、ヒータ212、213に供給する電圧を制御することにより、光路210、211における屈折率を変化させ、位相シフト量α1を制御する。
【0065】
データ再生部60において再生される送信データのビットエラーを低減するためには、前述の位相シフト量α1を目標値0.25π、0.75π、1.25π、1.75πのいずれかに制御して、さらに制御部70によって、α2を目標値α1+0.5π、または、α1+1.5πのいずれかに制御する必要がある。
【0066】
これは、式(1)〜(4)より、Δ1を0、0.5π、π、1.5πのいずれかになるように制御して、Δ2をΔ1、Δ1+πのいずれかになるように制御することと等価である。
【0067】
信号発生器52が生成する低周波信号LFS1の周波数をωとすると、復調器1から出力される電気信号ES1Pは、式(2)より、以下の式(5)で表すことができる。
【0068】
2(t)cos(Δφi+0.25π+β1・sin(ωt)+δ1)・・・(5)
ここで、δ1は位相シフト量α1と0.25πとの差Δ1の時間平均値を表している。以後、δ1を「平均位相誤差δ1」と呼ぶ。また、β1(>0)は低周波信号LFS1によって位相シフト量α1が変調する度合を表している。以後、β1を「変調度β1」と呼ぶ。変調度β1が大きすぎると、位相シフト量α1が大きく変動して、データ再生部60でのビットエラーレートが大きくなるため、当該ビットエラーレートを抑えるために変調度β1は十分小さい値に設定する。
【0069】
位相シフト量α1の目標値0.25π、0.75π、1.25π、1.75πは、それぞれ平均位相誤差δ1の0、0.5π、π、1.5πに相当するため、制御部50は、平均位相誤差δ1が上記の値のいずれかとなるように、位相シフト量α1を制御する。
【0070】
<A−2−3−1.δ1=0の場合>
図3は、δ1=0での電気信号ES1Pにおける位相θi1と振幅の大きさとの関係を示すグラフである。図3では、説明の便宜上、A2(t)=1としている。ここで、位相θi1は以下の式(6)で表される。
【0071】
θi1=Δφi+0.25π+β1・sin(ωt)+δ1 ・・・(6)
図3では、横軸に位相θi1をπで割った値を示しており、縦軸に電気信号ES1Pの大きさを示している。図3の4つの白丸は、t=0の場合での位相θi1と電気信号ES1Pの大きさとの関係を示しており、当該4つの白丸(白丸101、白丸102、白丸103、白丸104)は、左から順に、白丸101がΔφi=0πのときの値、白丸102がΔφi=0.5πのときの値、白丸103がΔφi=πのときの値、白丸104がΔφi=1.5πのときの値を示している。また、図3中のグラフ100は、時刻tが変化した場合に白丸での位相θi1がどのように変化するかを示しており、グラフ100においては下方(図面右方向)に向かうほど時刻tが経過している。
【0072】
図3の白丸101、白丸102、白丸103、白丸104で示されるように、t=0では、θi1=0.25π、0.75π、1.25π、1.75πである。θi1=0.25πでの電気信号ES1Pの大きさと、θi1=1.75πでの電気信号ES1Pの大きさとは互いに同じ値となっており、θi1=0.75πでの電気信号ES1Pの大きさと、θi1=1.25πでの電気信号ES1Pの大きさとは互いに同じ値となっている。そして、θi1=0.25π、1.75πでの電気信号ES1Pは、θi1=0.75π、1.25πでの電気信号ES1Pと反位相の関係にある。
【0073】
図3に示されるように、位相θi1は、0<t<π/ωでは初期状態から増加した後に減少し、t=π/ωで初期状態に戻る。そして、位相θi1は、π/ω<t<2π/ωでは、初期状態から減少した後に増加し、t=2π/ωで初期状態に戻る。
【0074】
このような位相θi1の変化に応じて、電気信号ES1Pの大きさは変化する。図3に示されるように、0<t<π/ωでは、Δφi=0での電気信号ES1Pの大きさはt=0よりも減少し、Δφi=1.5πでの電気信号ES1Pの大きさはt=0よりも増加する。したがって、0<t<π/ωでは、Δφi=1.5πの場合の方が、Δφi=0の場合よりも電気信号ES1Pの大きさが大きくなる。t=π/ωでは、位相θi1は初期状態に戻ることから、Δφi=1.5πの場合とΔφi=0の場合とでは電気信号ES1Pの大きさは同じとなる。π/ω<t<2π/ωでは、Δφi=0での電気信号ES1Pの大きさはt=0よりも増加し、Δφi=1.5πでの電気信号ES1Pの大きさはt=0よりも減少する。したがって、π/ω<t<2π/ωでは、Δφi=0の場合の方が、Δφi=1.5πの場合よりも電気信号ES1Pの大きさが大きくなる。
【0075】
以上より、δ1=0の場合には、0<t<π/ωではΔφi=1.5πでの電気信号ES1Pの大きさが最も大きくなり、π/ω<t<2π/ωではΔφi=0での電気信号ES1Pの大きさが最も大きくなる。したがって、光信号PSでのシンボル周期よりも十分長く、かつ低周波信号LFS1の周期よりも短い時定数で電気信号ES1Pの包絡線を包絡線検波器51で検波すると、0<t<π/ωでは常にΔφi=1.5πである電気信号ES1Pの包絡線を検波する場合と同じ結果が得られ、π/ω<t<2π/ωでは常にΔφi=0である電気信号ES1Pの包絡線を検波する場合と同じ結果が得られる。
【0076】
ここで、低周波信号LFS1として図4のような波形を考えると、包絡線検波器51で検波される電気信号ES1Pの包絡線は図5のようになる。ここで、図4、5の横軸はシンボル周期で規格化された時刻t[s]を示しており、図4の縦軸は最大値が1となるように規格化された低周波信号LFS1の大きさを示し、図5の縦軸は包絡線検波器51から出力される検波信号DS1の大きさを示す。
【0077】
図4に示される低周波信号LFS1の周期は、1シンボル周期の20×107倍に設定されている。例えば、1シンボル周期が50psとすると、低周波信号LFS1の周期及び周波数はそれぞれ10ms及び100Hzとなる。低周波信号LFS1が図4のような場合には、包絡線検波器51での時定数は10msに近い値に設定される。
【0078】
以上のことから、δ1=0の場合、包絡線検波器51から出力される検波信号DS1の大きさは、0<t<π/ωでは、
cos(1.75π+β1・sin(ωt)) ・・・(7)
に比例し、π/ω<t<2π/ωでは、
cos(0.25π+β1・sin(ωt)) ・・・(8)
に比例するといえる。
【0079】
検波信号DS1は、周期π/ωの周期性を示す。従って、δ1=0の場合には、乗算器530の出力信号の平均値は、
【0080】
【数1】

【0081】
より、零となる。
【0082】
<A−2−3−2.β1<δ1<0.25πの場合>
図6は、図3と同様にして、β1<δ1<0.25πでの電気信号ES1Pにおける位相θi1と大きさとの関係を示すグラフである。図6に示されるように、β1<δ1<0.25πの場合には、常にΔφi=1.5πでの電気信号ES1P(白丸104)の大きさが最も大きくなる。ここで、β1は非常に小さい値に設定されることから、β1を0として考えると、0<δ1<0.25πの場合には、常にΔφi=1.5πでの電気信号ES1P(白丸104)の大きさが最も大きくなると言える。この場合において、低周波信号LFS1として図4のような波形を考えると、包絡線検波器51で検波される電気信号ES1Pの包絡線は図7のようになる。ここで、図7の横軸はシンボル周期で規格化された時刻t[s]を示しており、縦軸は包絡線検波器51から出力される検波信号DS1の大きさを示す。
【0083】
以上より、0<δ1<0.25πの場合には、検波信号DS1は、cos(β1・sin(ωt)+1.75π+δ1)と表すことができる。この式をβ1に関して1次の項までテイラー展開すると、検波信号D1は以下の式(11)で表される。
【0084】
cos(β1・sin(ωt)+1.75π+δ1)
→cos(1.75π+δ1)−sin(1.75π+δ1)β1・sin(ωt)・・・(11)
したがって、乗算器530の出力信号は以下の式(12)で表される。
【0085】
Bcos(1.75π+β1・sin(ωt)+δ1)sin(ωt)
→B(−β1・sin(1.75π+δ1)/2+cos(1.75π+δ1)sin(ωt)+β1・sin(1.75π+δ1)cos(2ωt)/2) ・・・(12)
0<δ1<0.25πの場合には、平均値算出部531は、式(12)で示される乗算器530の出力信号の平均値を算出することになる。B>0、β1>0であるため、式(12)から、0<δ1<0.25πの場合には、乗算器530の出力信号の平均値は正となる。
【0086】
<A−2−3−3.−0.25π<δ1<−β1の場合>
図8は、図3、6と同様に、−0.25π<δ1<−β1での電気信号ES1Pにおける位相θi1と大きさとの関係を示すグラフである。図8に示されるように、−0.25π<δ1<−β1の場合には、常にΔφi=0での電気信号ES1P(白丸101)の大きさが最も大きくなる。ここで、β1は非常に小さい値に設定されることから、β1を0として考えると、−0.25π<δ1<0の場合には、常にΔφi=0での電気信号ES1P(白丸101)の大きさが最も大きくなると言える。この場合において、低周波信号LFS1として図4のような波形を考えると、包絡線検波器51で検波される電気信号ES1Pの包絡線は図9のようになる。
【0087】
以上より、−0.25π<δ1<0の場合には、検波信号DS1は、cos(β1・sin(ωt)+0.25π+δ1)と表すことができる。0<δ1<0.25πの場合と同様にして、乗算器530の出力信号を求めると、当該出力信号は以下の式(13)で表される。
【0088】
Bcos(0.25π+β1・sin(ωt)+δ1)sin(ωt)
→B(−β1・sin(0.25π+δ1)/2+cos(0.25π+δ1)sin(ωt)+β1・sin(0.25π+δ1)cos(2ωt)/2) ・・・(13)
−0.25π<δ1<0の場合には、平均値算出部531は、式(13)で示される乗算器530の出力信号の平均値を算出することになる。B>0、β1>0であるため、式(13)から、−0.25π<δ1<0の場合には、乗算器530の出力信号の平均値は負となる。
【0089】
決定部532は、平均値算出部531で算出された平均値に基づいて、ヒータ212に対する制御電圧VT1を決定する。例えば、PID制御を行う場合、制御電圧VT1を、平均値算出部531で算出された平均値と当該平均値の微分値と当該平均値の積分値の線形和に設定する。操作量決定部53が上記の処理を低周波信号LFS1の周期ごとに実行し続けることによって、平均位相誤差δ1が所望の値に収束するように制御される。
【0090】
図10は、検波信号DS1の振幅と平均位相誤差δ1の関係を示すグラフである。繰り返しになるが、0、0.5π、π、と1.5πの平均位相誤差δ1が正常な動作点になる。この周期は0.5πであり、位相が0.25π、0.75π、1.25π、1.75πのときに極大値を有し、位相が0、0.5π、π、1.5πのときに極小値を有する。周期が0.5πであるため、0、0.5π、π、と1.5πの平均位相誤差δ1は全て同等であり、区別が付かない。従って、PID制御を行った場合、これらのうち、初期条件に最も近い位相に収束することになる。すなわち、平均位相誤差δ1が0、0.5π、π、1.5πのいずれに収束するのかは初期位相に依存する。
【0091】
<A−2−4.制御部70の動作>
次に制御部70の動作について説明する。前述のように、制御部70は、ヒータ222、223に供給する電圧を制御することにより、光路220、221における屈折率を変化させ、位相シフト量α2を制御する。制御部70による制御は、平均位相誤差δ1が収束した後に開始する。ここで、平均位相誤差δ1が0、0.5π、π、1.5πのいずれに収束した場合でも同様の結果が得られるため、平均位相誤差δ1が0に収束した場合を説明する。
【0092】
まず加算器75は、復調器1から出力される電気信号ES1Pと電気信号ES2Nを加算した結果を出力する。信号発生器72が生成する低周波信号LFS2の周波数をωとすると、復調器1から出力される電気信号ES2Nは、電気信号ES1Pに関する式(5)と同様に、
−A2(t)cos(Δφi−0.25π+β2・sin(ωt)+δ2)・・・(14)
と表される。ここで、平均位相誤差δ2は位相シフト量α2と0.25πとの差の時間平均値を表している。また、変調度β2(>0)は低周波信号LFS2によって位相シフト量α2が変調する度合を表している。ここで、単純化のために、β2=β1=βとおく。従って、加算器75の出力信号は、
2(t){cos(Δφi+0.25π+β・sin(ωt))−cos(Δφi−0.25π+β・sin(ωt)+δ2)}・・・(15)
と表される。図11に、包絡線検波器71bが出力する検波信号DS2bの振幅と平均位相誤差δ2の関係を示す。δ2=0.5πのとき、検波信号DS2bの振幅は最小値になり、δ2=1.25π、1.75πのとき、検波信号DS2bの振幅は最大値になる。
【0093】
一方、包絡線検波器71aは、電気信号ES2Nの包絡線を検波して、検波信号DS2aを出力する。図12は、検波信号DS2aと平均位相誤差δ2の関係を示すグラフである。制御部50における検波信号DS1と同様に、0.5πの周期性を有しており、平均位相誤差δ2が0、0.5π、π、1.5πのときに、検波信号DS2aは極小となる。しかし、検波信号DS1と異なり、平均位相誤差δ1が0に収束した場合、0、πの平均位相誤差δ2は正常な動作点であるが、0.5π、1.5πの平均位相誤差δ2は偽の動作点となる。
【0094】
次に、検波信号DS2aと低周波信号LFS2とを乗算器730aで乗算して、平均値算出部731aにより、平均信号A2aを算出する。図13は、平均信号A2aと平均位相誤差δ2の関係を示すグラフである。検波信号DS2aと同様に、平均信号A2aは0.5πの周期性を有しており、平均位相誤差δ2が0、0.5π、π、1.5πのときに、0となる。
【0095】
また、平均位相誤差δ2は波長に依存するため、制御電圧VT2が与えられたときに、平均位相誤差δ2がどの値となるかを算出することは困難であるが、一般に、平均位相誤差δ2の制御電圧VT2に対する変化率を高精度に制御して、遅延干渉計2を製造することができる。これは、平均位相誤差δ2の制御電圧VT2に対する変化率が、ヒータ222の抵抗値や光路210、211、220、221の屈折率の温度依存性により決まり、これらを高精度に制御することができるためである。一般に、平均位相誤差δ2は、制御電圧VT2の電力に比例する特性を有するため、平均位相誤差δ2は、制御電圧VT2の2次関数となる。従って、ある制御電圧VT2における平均位相誤差δ2が算出できれば、その他の制御電圧VT2における平均位相誤差δ2を高精度に算出することができる。
【0096】
これらの特性を利用して、平均位相誤差δ2を有する正常な動作点に収束させる。図14に、制御の開始から平均位相誤差δ2が正常な動作点に引き込まれ制御が安定するまでの、平均信号A2aと検波信号DS2aと平均位相誤差δ2の時間変化の一例を示す。決定部732は、掃引部733に電圧を平均位相誤差δ2が2π以上変化する分だけ掃引させることにより、検波信号DS2bの振幅が最小値になる制御電圧VT2を求める。これは、δ2=0.5πに相当するため、この結果から、0またはπの平均位相誤差δ2に相当する制御電圧VT2を算出する。最後に、0またはπの平均位相誤差δ2に相当するヒータ222に対する操作量、つまりヒータ222に供給する制御電圧VT2を、その初期値に設定する。ここで掃引は、単調変化させる場合に限らない。
【0097】
その後、掃引部733による電圧の掃引を止め、掃引部733の出力を0に設定した後、制御部50と同様の制御を行う。すなわち、制御電圧VT2の上記初期値と低周波信号LFS2を加算器74にて加算して、ヒータ222、223に印加する。平均信号A2aが正であれば平均位相誤差δ2が正にずれているため、これが0となるようにヒータ222、223に対する制御電圧VT2を増加して、逆に、平均信号A2aが負であれば平均位相誤差δ2が負にずれているため、これが0となるようにヒータ222、223に対する制御電圧VT2を低減する。操作量決定部73が上記の処理を低周波信号LFS2の周期ごとに実行し続けることによって、平均位相誤差δ2が所望の値に収束するように制御される。ここで、制御電圧VT2の初期値を0またはπの平均位相誤差δ2に相当する操作量に設定したため、平均位相誤差δ2が0.5π、または、1.5πに収束することはない。以上により、光路221を伝搬する光信号PS2に与えられる位相シフト量α2は、目標値たるα1+0.5πまたはα1+1.5πと一致するように制御される。
【0098】
また、例えば、掃引部733による掃引時に、検波信号DS2bの振幅だけでなく、平均信号A2aをも計測してもよい。すなわち、平均信号A2aが0になるときだけ、検波信号DS2bを計測して、検波信号DS2bが最小となる制御電圧VT2を算出する。上記の例と同様に、この結果から、0またはπの平均位相誤差δ2に相当する制御電圧VT2を初期値に設定して、自動制御を行う。また、平均信号A2aが0になる場合の中で、平均信号A2aが正から負に変化する場合を除外して、負から正に変化する場合のみに、検波信号DS2bを計測してもよい。
【0099】
さらに、検波信号DS2bの最小値だけでなく、最大値も計測することにより、計測点数を増やして、算出結果が妥当かチェックする機構を加えてもよい。
【0100】
実施の形態1においては、電気信号ES1Pと電気信号ES2Nを加算する例を示したが、電気信号ES1Pと電気信号ES1Nのどちらを用いても良く、また、電気信号ES2Pと電気信号ES2Nのどちらを用いても良い。例えば、電気信号ES1Pと電気信号ES2Pを加算する場合、平均位相誤差δ2が1.5πのときに検波信号DS2bの振幅が0になる。このように、検波信号DS2bの振幅の平均位相誤差δ2に対する依存性は、πだけシフトするが、これに注意すれば、平均位相誤差δ2が0.5π、1.25πに相当する制御電圧VT2から、0またはπの平均位相誤差δ2に相当する制御電圧VT2を求めることができる。これにより、光路221を伝搬する光信号PS2に与えられる位相シフト量α2は、目標値たるα1+0.5πまたはα1+1.5πと一致するように制御される。
【0101】
また、検波信号DS1が図5、7、9、10のような波形となるように、低周波信号LFS1の周期は、光信号PSでのシンボル周期及び光回路21での位相シフト量α1の変化の応答時間よりも長くなければならない。本実施の形態1のように、熱光学効果を用いて位相シフト量α1を変化させる際には、その変化の応答時間は一般的に1ms程度である。同様に、低周波信号LFS2の周期は、光信号PSでのシンボル周期及び光回路22での位相シフト量α2の変化の応答時間よりも長くなければならない。
【0102】
また、光信号に位相シフトを与える方法としては、熱光学効果を利用した方法に限らず、電気光学効果を利用した方法でも良く、機械的に光路長を調整する方法でも良い。
【0103】
<A−3.効果>
本発明にかかる実施の形態1によれば、光受信装置において、第1、第2系列に属する第1、第2光回路である光回路21、22を含む遅延干渉計2と、光回路21、22の出力光をそれぞれ受光する第1、第2ツインフォトダイオードであるツインフォトダイオード31、32とを備え、差動変調された光信号PS1、PS2を第1、第2系列を用いて別々に復調し、互いに所定位相ずれた第1、第2復調信号である電気信号ES1、ES2を出力する復調器1と、電気信号ES1を用いて、光回路21における光信号PS1の位相状態を制御する第1制御部である制御部50と、電気信号ES1、ES2を演算し、演算信号を出力する演算部である加算器75と、電気信号ES2および演算信号を用いて、光回路22における光信号PS2の位相状態を制御する第2制御部である制御部70とを備えることで、第1系列と第2系列との位相差を判別できるため、位相差制御のための構成を簡素化し、かつ正常な通信を高速に行うことが可能となる。
【0104】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、光受信装置において、第2制御部である制御部70は、電気信号ES1と電気信号ES2とが0またはπ位相がずれるよう、光回路22における光信号PS2の位相状態を制御することで、正常な動作点に収束するように制御することができる。
【0105】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、光受信装置において、演算部である加算器75は、電気信号ES1と電気信号ES2とを加算し、演算信号を出力することで、演算信号を用いて正常な動作点を判別し、位相差を制御することができる。
【0106】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、光受信装置において、第1制御部である制御部50は、電気信号ES1を検波し、第1検波信号である検波信号DSを出力する第1検波器である包絡線検波器51と、検波信号DSの平均値を算出し、第1平均値である平均信号A1として出力する第1平均値算出部である平均値算出部531と、平均信号A1に基づいて、光回路21への制御出力を決定する第1決定部である決定部532とを備えることで、ヒータ212、213への制御電圧を決定し、光回路21における光信号PS1の位相状態の制御ができる。
【0107】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、光受信装置において、第2制御部である制御部70は、電気信号ES2を検波し、第2検波信号である検波信号DS2aを出力する第2検波器である包絡線検波器71aと、検波信号DS2aの平均値を算出し、第2平均値である平均信号A2aとして出力する第2平均値算出部である平均値算出部731aと、平均信号A2aに基づいて、光回路22への制御出力を決定する第2決定部である決定部732とを備えることで、ヒータ222、223への制御電圧を決定し、光回路22における光信号PS2の位相状態の制御ができる。
【0108】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、光受信装置において、制御部70は、演算信号を検波し、第3検波信号である検波信号DS2bを出力する第3検波器である包絡線検波器71bをさらに備え、決定部732は、検波信号DS2bにも基づいて、光回路22への制御出力を決定することで、検波信号DS2bを用いて正常な動作点を判別し、位相差を制御することができる。
【0109】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、光受信装置において、制御部70は、光回路22における光信号PS2の位相状態を制御する前に、検波信号DS2bまたは第3平均値である平均信号A2bを掃引する掃引部733をさらに備えることで、電圧を平均位相誤差δ2が2π以上変化する分だけ掃引させ、検波信号DS2bの振幅が最小値になる制御電圧VT2を求めることができる。
【0110】
<B.実施の形態2>
<B−1.構成>
図15は本発明の実施の形態2に係る光受信装置の構成を示す図である。本実施の形態2では、上述の実施の形態1とは異なった方法で制御電圧VT1、VT2を決定する方法について説明する。
【0111】
以下では、実施の形態1に係る光受信装置との相違点である制御部700を中心に、本実施の形態2に係る光受信装置について説明する。制御部700以外の構成要素については、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0112】
制御部700は、復調信号である電気信号ES2Nを検波する包絡線検波器71aと、加算器75で加算した信号(演算信号)を検波する包絡線検波器71bと、低周波信号LFS2を発生させる信号発生器72と、包絡線検波器71a、71bが出力する検波信号DS2a、DS2bと低周波信号LFS2とが入力される操作量決定部800と、低周波信号LFS2と、操作量決定部73からの掃引電圧(後述)とを加算する加算器76と、加算器76の出力と操作量決定部800からの制御電圧VT2とを加算する加算器74とを備えている。
【0113】
操作量決定部800は、低周波信号LFS2と検波信号DS2aとを乗算する乗算器730aと、低周波信号LFS2と検波信号DS2b(第3検波信号)とを乗算する乗算器730bと、乗算器730aからの出力信号の平均値を算出する平均値算出部731aと、乗算器730bからの出力信号(第3検波信号)の平均値を算出する第3平均値算出部である平均値算出部731bと、平均値算出部731aから出力される第2平均値である平均信号A2aと平均値算出部731bから出力される第3平均値である平均信号A2bとを用いて、制御電圧VT2およびその初期値、掃引電圧を決定する第2決定部である決定部732と、掃引電圧が入力される掃引部733とを備える。制御電圧VT2は、復調器1のヒータ222、223に対する操作量、つまりヒータ222、223に供給する電圧である。平均値算出部731aは、乗算器730aの出力信号の平均値を算出し、これにより同期検波を行う。
【0114】
包絡線検波器71a、71bは、例えばショットキーバリアダイオードを用いた半波整流回路や全波整流回路などで構成される。
【0115】
また、平均値算出部731a、731bは、ローパスフィルタや、低周波信号LFS2の周期で実行する積分計算またはフーリエ変換計算を行い、直流成分を算出する演算回路などで構成される。
【0116】
掃引は単調変化させる場合に限らない。例えば、0.25πごとに初期値を与えて同期検波を行い、平均値信号が0になるように制御する。初期値に近い収束点に収束するため、2π以上平均位相誤差δ2を変えることにより、平均位相誤差δ2を0.5π、1.25π、1.5π、1.75πを見出すことができる。また、これに限らない。
【0117】
<B−2.動作>
次に制御部700の動作について説明する。データ再生部60において再生される送信データのビットエラーを低減するためには、位相シフト量α1、α2が目標値になるように制御する必要がある。
【0118】
実施の形態2における光受信装置は、Δ1の目標値が、0、0.5π、π、1.5πのいずれかであり、Δ2の所望の値が、Δ1、Δ1+πのいずれかであることを特徴とする。まず、実施の形態1に記載した方法に従い、制御部50を動作させることにより、平均位相誤差δ1を所望の0、0.5π、π、1.5πのいずれかに収束させる。ここでは、平均位相誤差δ1が0に収束する場合を説明する。
【0119】
その後、制御部700における制御を開始する。まず、加算器75は復調器1から出力される電気信号ES1Pと電気信号ES2Nを加算した結果を出力する。
【0120】
図16に、平均値算出部731bによる平均値信号と平均位相誤差δ2の関係を示す。図16より、決定部732は掃引部733に電圧を平均位相誤差δ2が2π以上変化する分だけ増加する方向に掃引させることにより、平均位相誤差δ2が0.5π、1.25π、1.5π、1.75πのときに、平均値信号が0になることがわかる。また、平均位相誤差δ2が0.5πと1.5πのときは、平均位相誤差δ2が増加するに伴い平均値が増加するが、平均位相誤差δ2が1.25πと1.75πのときは、平均値が減少する。次に、この特性を利用して、平均位相誤差δ2が0.5π、1.25π、1.5π、1.75πに相当する制御電圧VT2を求める。これらの結果から、0またはπの平均位相誤差δ2に相当する制御電圧VT2を求める。最後に、0またはπの平均位相誤差δ2に相当する制御電圧VT2を、その初期値に設定する。
【0121】
その後、掃引部733による電圧の掃引を止め、実施の形態1と同様の制御を実行する。すなわち、制御電圧VT2の上記初期値と低周波信号LFS2とを加算器74にて加算して、ヒータ222に制御電圧VT2を印加する。
【0122】
包絡線検波器71aにより電気信号ES2Nの包絡線を検波して、低周波信号LFS2と乗算器730aで乗算する。乗算結果の平均値を、平均値算出部731aにより算出して、ヒータ222、223に対する制御電圧VT2を決定する。
【0123】
操作量決定部800が上記の処理を低周波信号LFS2の周期ごとに実行し続けることによって、平均位相誤差δ2が所望の値に収束するように制御される。
【0124】
<B−3.効果>
本発明にかかる実施の形態2によれば、光受信装置において、第2制御部である制御部700は、第3検波信号である検波信号DS2bの平均値を算出し、第3平均値である平均信号A2bとして出力する第3平均値算出部である平均値算出部731bをさらに備え、第2決定部である決定部732は、平均信号A2bにも基づいて、光回路22への制御出力を決定することで、平均信号A2bを用いて正常な動作点を判別し、位相差を制御することができる。
【0125】
<C.実施の形態3>
<C−1.構成>
図17は本発明の実施の形態3に係る光受信装置の構成を示す図である。本実施の形態3では、上述の実施の形態1とは異なった方法で制御電圧VT1、VT2を決定する方法について説明する。
【0126】
以下では、実施の形態1に係る光受信装置との相違点である減算器77を中心に、本実施の形態3に係る光受信装置について説明する。減算器77は、復調信号である電気信号ES2P、ES1Pを減算するものである。減算器77以外の構成要素については、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0127】
<C−2.動作>
次に制御部70の動作について説明する。データ再生部60において再生される送信データのビットエラーを低減するためには、位相シフト量α1、α2が目標値になるように制御する必要がある。
【0128】
実施の形態3における光受信装置は、Δ1の所望の値が、0、0.5π、π、1.5πのいずれかであり、Δ2の所望の値が、Δ1、Δ1+πのいずれかであることを特徴とする。まず、実施の形態1に記載した方法に従い、制御部50を動作させることにより、平均位相誤差δ1を所望の0、0.5π、π、1.5πのいずれかに収束させる。ここでは、平均位相誤差δ1が0に収束する場合を説明する。
【0129】
その後、制御部70における制御を開始する。まず、減算器77は復調器1から出力される電気信号ES1Pと電気信号ES2Pを減算した結果を出力するため、減算器77の出力信号は、実施の形態1における式(15)に従う。
【0130】
その後、実施の形態1と同様に、掃引部733に電圧を平均位相誤差δ2が2π以上変化する分だけ掃引させることにより、平均位相誤差δ2が0.5π、1.25πに相当する制御電圧VT2を求める。次に、0またはπの平均位相誤差δ2に相当する制御電圧VT2を求める。最後に、0またはπの平均位相誤差δ2に相当する制御電圧VT2を、その初期値に設定する。
【0131】
その後、実施の形態1と同様に、掃引部733による電圧の掃引を止め、PID制御により、平均位相誤差δ2が所望の値に収束するように制御される。以上により、光路221を伝搬する光信号PS2に与えられる位相シフト量α2は、目標値たるα1+0.5πまたはα1+1.5πと一致するように制御される。
【0132】
なお、電気信号ES1Pと電気信号ES2Pを減算する例を示したが、電気信号ES1Pと電気信号ES1Nのどちらを用いても良く、また、電気信号ES2Pと電気信号ES2Nのどちらを用いても良い。例えば、電気信号ES1Nと電気信号ES2Pを減算する場合、平均位相誤差δ2が1.5πのときに検波信号DS2の振幅が0になる。このように、検波信号DS2の振幅の平均位相誤差δ2に対する依存性は、πだけシフトするが、これに注意すれば、平均位相誤差δ2が0.5π、1.25πに相当する制御電圧VT2から、0またはπの平均位相誤差δ2に相当する制御電圧VT2を求めることができる。以上により、光路221を伝搬する光信号PS2に与えられる位相シフト量α2は、目標値と一致するように制御される。
【0133】
<C−3.効果>
本発明にかかる実施の形態3によれば、光受信装置において、演算部である減算器77は、電気信号ES1Pと電気信号ES2Pとを減算し、演算信号を出力することで、演算信号を用いて正常な動作点を判別し、位相差を制御することができる。
【0134】
<D.実施の形態4>
<D−1.構成>
図18は本発明の実施の形態4に係る光受信装置の構成を示す図である。本実施の形態4では、上述の実施の形態1とは異なった方法で制御電圧VT1、VT2を決定する方法について説明する。
【0135】
以下では、実施の形態1に係る光受信装置との相違点である乗算器78を中心に、本実施の形態4に係る光受信装置について説明する。乗算器78は、復調信号である電気信号ES2N、ES1Pを乗算するものである。乗算器78以外の構成要素については、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0136】
<D−2.動作>
次に制御部70の動作について説明する。データ再生部60において再生される送信データのビットエラーを低減するためには、位相シフト量α1、α2が目標値になるように制御する必要がある。
【0137】
実施の形態4における光受信装置は、Δ1の所望の値が、0、0.5π、π、1.5πのいずれかであり、Δ2の所望の値が、Δ1、Δ1+πのいずれかであることを特徴とする。まず、実施の形態1に記載した方法に従い、制御部50を動作させることにより、平均位相誤差δ1を所望の0、0.5π、π、1.5πのいずれかに収束させる。ここでは、平均位相誤差δ1が0に収束する場合を説明する。
【0138】
その後、制御部70における制御を開始する。乗算器78の出力信号は、
−A2(t)cos(Δφi+0.25π+β・sin(ωt))×cos(Δφi−0.25π+β・sin(ωt)+δ2)・・・(16)
と表される。図19に、包絡線検波器71bが出力する検波信号DS2bの振幅と平均位相誤差δ2の関係を示す。δ2=1.5πのとき、検波信号DS2bの振幅は最小値になり、δ2=0.25π、0.75πのとき、検波信号DS2bの振幅は最大値になる。そこで、決定部732は掃引部733に電圧を平均位相誤差δ2が2π以上変化する分だけ掃引させることにより、平均位相誤差δ2が0.25π、0.75π、1.5πに相当する制御電圧VT2を求める。次に、これらの結果から、0またはπの平均位相誤差δ2に相当する制御電圧VT2を求める。最後に、0またはπの平均位相誤差δ2に相当するヒータ222に対する制御電圧VT2を、その初期値に設定する。
【0139】
その後、実施の形態1と同様に、掃引部733による電圧の掃引を止め、制御電圧VT2の初期値と低周波信号LFS2を加算器74にて加算して、ヒータ222、223に印加する。包絡線検波器71aにより電気信号ES2Nの包絡線を検波して、低周波信号LFS2と乗算器730aで乗算する。乗算結果の平均値を平均値算出部731aにより算出して、ヒータ222、223に対する制御電圧VT2を決定する。操作量決定部73が上記の処理を低周波信号LFS2の周期ごとに実行し続けることによって、平均位相誤差δ2が所望の値に収束するように制御される。
【0140】
ここで、制御電圧VT2の初期値が0またはπの平均位相誤差δ2に相当する操作量に設定したため、平均位相誤差δ2が0.5π、または、1.5πに収束することはない。以上により、光路221を伝搬する光信号PS2に与えられる位相シフト量α2は、目標値たるα1+0.5πまたはα1+1.5πと一致するように制御される。
【0141】
なお、電気信号ES1Pと電気信号ES2Nを乗算する例を示したが、電気信号ES1Pと電気信号ES1Nのどちらを用いても良く、また、電気信号ES2Pと電気信号ES2Nのどちらを用いても良い。
【0142】
<D−3.効果>
本発明にかかる実施の形態4によれば、光受信装置において、演算部である乗算器78は、電気信号ES1と電気信号ES2とを乗算し、演算信号を出力することで、演算信号を用いて正常な動作点を判別し、位相差を制御することができる。
【0143】
<E.実施の形態5>
<E−1.構成>
図20は本発明の実施の形態5に係る光受信装置の構成を示す図である。本実施の形態5では、上述の実施の形態1とは異なった方法で制御電圧VT1、VT2を決定する方法について説明する。
【0144】
以下では、実施の形態1に係る光受信装置との相違点である乗算器78、制御部703を中心に、本実施の形態5に係る光受信装置について説明する。乗算器78、制御部703以外の構成要素については、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0145】
第2制御部である制御部703は、乗算部である乗算器78で乗算した信号(乗算信号)が入力される操作量決定部803を備えている。操作量決定部803は、乗算信号の平均値(第3平均値)を算出する第3平均値算出部である平均値算出部731bと、平均値算出部731bから出力される第3平均値である平均信号A2bを用いて、制御電圧VT2およびその初期値、掃引電圧を決定する第2決定部である決定部732とを備える。制御電圧VT2は、復調器1のヒータ222、223に対する操作量、つまりヒータ222、223に供給する電圧である。
【0146】
<E−2.動作>
次に制御部703の動作について説明する。データ再生部60において再生される送信データのビットエラーを低減するためには、位相シフト量α1、α2が目標値になるように制御する必要がある。
【0147】
実施の形態5における発明は、Δ1の所望の値が、0、0.5π、π、1.5πのいずれかであり、Δ2の所望の値が、Δ1、Δ1+πのいずれかであることを特徴とする。
【0148】
まず、実施の形態1に記載した方法に従い、制御部50を動作させることにより、平均位相誤差δ1を所望の0、0.5π、π、1.5πのいずれかに収束させる。ここでは、平均位相誤差δ1が0に収束する場合を説明する。その後、制御部703における制御を開始する。乗算器78の出力信号は、
−A2(t)cos(Δφi+0.25π+β・sin(ωt))×cos(Δφi−0.25π+δ2)
=−A2(t)/2{cos(Δφi+δ1+δ2)+sin(δ2)}・・・(17)
と表される。図21に、平均値算出部731bが出力する平均値と平均位相誤差δ2の関係を示す。δ2=0またはπのとき、平均値は0になる。従って、操作量決定部73が、平均値が0になるように、ヒータ222に対する制御電圧VT2を決定し続けることにより、平均位相誤差δ2が所望の値に収束するように制御される。
【0149】
例えば、PID制御により、平均値が正であれば、平均位相誤差δ2を減少し、平均値が負であれば、平均位相誤差δ2を増加すれば、平均位相誤差δ2は0に収束する。以上により、光路221を伝搬する光信号PS2に与えられる位相シフト量α2は、目標値たるα1+0.5πまたはα1+1.5πと一致するように制御される。
【0150】
なお、電気信号ES1Pと電気信号ES2Nを乗算する例を示したが、電気信号ES1Pと電気信号ES1Nのどちらを用いても良く、また、電気信号ES2Pと電気信号ES2Nのどちらを用いても良い。
【0151】
<E−3.効果>
本発明にかかる実施の形態5によれば、光受信装置において、第1、第2系列に属する第1、第2光回路である21、22を含む遅延干渉計2と、第1、光回路21、22の出力光をそれぞれ受光する第1、第2ツインフォトダイオードであるツインフォトダイオード31、32とを備え、差動変調された光信号PS1、PS2を第1、第2系列を用いて別々に復調し、互いに所定位相ずれた第1、第2復調信号である電気信号ES1、ES2を出力する復調器1と、電気信号ES1を用いて、光回路21における光信号PS1の位相状態を制御する第1制御部である制御部50と、電気信号ES1、ES2を乗算し、乗算信号を出力する乗算器78と、乗算信号を用いて、光回路22における光信号PS2の位相状態を制御する第2制御部である制御部703とを備えることで、第1系列と第2系列との位相差を判別できるため、位相差制御のための構成を簡素化し、かつ正常な通信を高速に行うことが可能となる。
【0152】
また、本発明にかかる実施の形態5によれば、光受信装置において、制御部703は、乗算信号の平均値を算出し、第3平均値である平均信号A2bとして出力する第3平均値算出部である平均値算出部731bと、平均信号A2bに基づいて、光回路22への制御出力を決定する第2決定部である決定部732とを備えることで、平均信号A2bを用いて正常な動作点を判別し、位相差を制御することができる。
【0153】
<変形例1>
図22は本発明の変形例1に係る光受信装置の構成を示す図である。以下では、実施の形態1に係る光受信装置との相違点である復調器1000を中心に説明する。復調器1000以外の構成要素については、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0154】
実施の形態1においては、受光素子4は、直列接続された2つのフォトダイオード4a、4bで構成されており、フォトダイオード4a、4bには光回路21から出力される2つの光信号がそれぞれ照射される。受光素子4からは、フォトダイオード4aで生成される電流と、フォトダイオード4bで生成される電流との差分が差分電流信号として出力される。同様に、受光素子5は、直列接続された2つのフォトダイオード5a、5bで構成されており、フォトダイオード5a、5bには光回路22から出力される2つの光信号がそれぞれ照射される。受光素子5からは、フォトダイオード5aで生成される電流と、フォトダイオード5bで生成される電流との差分が差分電流信号として出力される。
【0155】
変形例1における復調器1000では、受光素子4は、2つのフォトダイオード4a、4bで構成されており、フォトダイオード4a、4bには光回路21から出力される2つの光信号がそれぞれ照射されるが、直列接続されていない。同様に、受光素子5は、2つのフォトダイオード5a、5bで構成されており、フォトダイオード5a、5bには光回路22から出力される2つの光信号がそれぞれ照射されるが、直列接続されていない。
【0156】
実施の形態1においては、トランスインピーダンスアンプ6は、受光素子4から出力される差動電流信号を電圧信号に変換し、当該電圧信号を電気信号ES1P、電気信号ES1Nとして出力する。同様に、トランスインピーダンスアンプ7は、受光素子5から出力される差動電流信号を電圧信号に変換し、当該電圧信号を電気信号ES2P、電気信号ES2Nとして出力する。
【0157】
変形例1における復調器1000では、トランスインピーダンスアンプ6は、2つのフォトダイオード4a、4bから出力される電流信号を差動検出して、電圧信号に変換し、当該電圧信号を電気信号ES1P、電気信号ES1Nとして出力する。同様に、トランスインピーダンスアンプ7は、2つのフォトダイオード5a、5bから出力される電流信号を差動検出して、電圧信号に変換し、当該電圧信号を電気信号ES1P、電気信号ES1Nとして出力する。
【0158】
このように、差動検出をトランスインピーダンスアンプ6、7で行っても、同等の結果を得ることができる。
【0159】
以上の構成は、実施の形態1に限らず、実施の形態2〜5においても適用可能である。
【0160】
<変形例2>
図23は本発明の変形例2に係る光受信装置の構成を示す図である。以下では、実施の形態1に係る光受信装置との相違点である復調器1001を中心に説明する。復調器1001以外の構成要素については、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0161】
実施の形態1においては、包絡線検波器51、71a、71bはそれぞれ制御部50、70に含まれ、加算器75が制御部70に含まれる。しかし、本変形例2における復調器1001では、包絡線検波器51、71a、71b、加算器75が含まれる。このような構成であっても、同等の結果を得ることができる。
【0162】
以上の構成は、実施の形態1に限らず、実施の形態2〜5においても適用可能である。
【符号の説明】
【0163】
1,1000,1001 復調器、2 遅延干渉計、3 光電変換装置、4,5 受光素子、4a,4b,5a,5b フォトダイオード、6,7 トランスインピーダンスアンプ、20 スプリッタ、21,22 光回路、31,32 ツインフォトダイオード、50,70,700,703 制御部、51,71a,71b 包絡線検波器、52,72 信号発生器、53,73,800,803 操作量決定部、54,74,75,76 加算器、60 データ再生部、61,62 CDR回路、63 再生部、77 減算器、78,530,730a,730b 乗算器、100 グラフ、101,102,103,104 白丸、210,211,220,221 光路、212,213,222,223 ヒータ,230 シリコン基板、231 アンダークラッド層、232 オーバークラッド層、531,731a,731b 平均値算出部、532,732 決定部、733 掃引部、734 検波モニタ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2系列に属する第1、第2光回路を含む遅延干渉計と、前記第1、第2光回路の出力光をそれぞれ受光する第1、第2ツインフォトダイオードとを備え、差動変調された光信号を前記第1、第2系列を用いて別々に復調し、互いに所定位相ずれた第1、第2復調信号を出力する復調器と、
前記第1復調信号を用いて、前記第1光回路における前記光信号の位相状態を制御する第1制御部と、
前記第1および第2復調信号を演算し、演算信号を出力する演算部と、
前記第2復調信号および前記演算信号を用いて、前記第2光回路における前記光信号の位相状態を制御する第2制御部とを備える、
光受信装置。
【請求項2】
前記第2制御部は、前記第1復調信号と前記第2復調信号とが0またはπ位相がずれるよう、前記第2光回路における前記光信号の位相状態を制御する、
請求項1に記載の光受信装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記第1復調信号と前記第2復調信号とを、加算、減算あるいは乗算し、前記演算信号を出力する、
請求項1または2に記載の光受信装置。
【請求項4】
前記第1制御部は、
前記第1復調信号を検波し、第1検波信号を出力する第1検波器と、
前記第1検波信号の平均値を算出し、第1平均値として出力する第1平均値算出部と、
前記第1平均値に基づいて、前記第1光回路への制御出力を決定する第1決定部とを備える、
請求項1〜3のいずれかに記載の光受信装置。
【請求項5】
前記第2制御部は、
前記第2復調信号を検波し、第2検波信号を出力する第2検波器と、
前記第2検波信号の平均値を算出し、第2平均値として出力する第2平均値算出部と、
前記第2平均値に基づいて、前記第2光回路への制御出力を決定する第2決定部とを備える、
請求項1〜4のいずれかに記載の光受信装置。
【請求項6】
前記第2制御部は、
前記演算信号を検波し、第3検波信号を出力する第3検波器をさらに備え、
前記第2決定部は、前記第3検波信号にも基づいて、前記第2光回路への制御出力を決定する、
請求項5に記載の光受信装置。
【請求項7】
前記第2制御部は、
前記第3検波信号の平均値を算出し、第3平均値として出力する第3平均値算出部をさらに備え、
前記第2決定部は、前記第3平均値にも基づいて、前記第2光回路への制御出力を決定する、
請求項6に記載の光受信装置。
【請求項8】
前記第2制御部は、
前記第2光回路における前記光信号の位相状態を制御する前に、前記第3検波信号または前記第3平均値を掃引する掃引部をさらに備える、
請求項7に記載の光受信装置。
【請求項9】
第1、第2系列に属する第1、第2光回路を含む遅延干渉計と、前記第1、第2光回路の出力光をそれぞれ受光する第1、第2ツインフォトダイオードとを備え、差動変調された光信号を前記第1、第2系列を用いて別々に復調し、互いに所定位相ずれた第1、第2復調信号を出力する復調器と、
前記第1復調信号を用いて、前記第1光回路における前記光信号の位相状態を制御する第1制御部と、
前記第1および第2復調信号を乗算し、乗算信号を出力する乗算部と、
前記乗算信号を用いて、前記第2光回路における前記光信号の位相状態を制御する第2制御部とを備える、
光受信装置。
【請求項10】
前記第2制御部は、
前記乗算信号の平均値を算出し、第3平均値{平均信号A2b}として出力する第3平均値算出部と、
前記第3平均値に基づいて、前記第2光回路への制御出力を決定する第2決定部とを備える、
請求項9に記載の光受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−130154(P2011−130154A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286267(P2009−286267)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】