説明

光学シート、面光源装置、および、透過型表示装置

【課題】優れた光学的機能を発揮し得るとともに安定して製造され得る光学シートを提供する。
【解決手段】光学シート40は、シート状の本体部45と、本体部の一方の面46上に配列された複数の第1単位形状要素50と、本体部の一方の面上に配列され、本体部のシート面上の一方向と平行に延びる複数の第2単位形状要素55と、一つの第1単位形状要素および当該一つの第1単位形状要素に前記一方向から接続する一つの第2単位形状要素の接続箇所の少なくとも一部分を覆う接続部42と、を備える。複数の第1単位形状要素の各々は、複数の第2単位形状要素の各々および接続部よりも高い位置まで本体部の一方の面から突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の進行方向を変化させる光学シートにおいて、とりわけ、優れた光学的機能を発揮し得るとともに安定して製造され得る光学シートに関する。また、本発明は、このような光学シートを含んだ面光源装置および透過型表示装置に関する。さらに、本発明は、このような光学シートを製造する方法および製造するための型に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型表示装置に用いられる面光源装置は、光源と、光源からの光の進行方向を変化させるための多数の光学シート(光学フィルム)と、を有している。多数の光学シートの中には、通常、光源からの光を拡散させて光源の像を隠す(目立たなくさせる)光拡散シートと、光の進行方向を正面方向へ絞り込み、正面方向輝度を向上させる集光シートと、が含まれている。そして、光拡散性能を調節された光拡散シートと、集光性能を調節された集光シートと、を適宜組み合わせて面光源装置を構成することにより、所望の正面方向輝度を有するとともに、所望の視野角を有し光源の像が目立たない透過型表示装置が作製されている。
【0003】
光拡散シートとしては、光を等方拡散させる光拡散性粒子を含有した光学シートや、凹凸面(マット面)を有した光学シート等が、広く用いられている。
【0004】
一方、集光シートとしては、線状に延びる単位形状要素(単位光学要素)をその長手方向に直交する方向に配列(いわゆるリニア配列)してなる光学シートが広く用いられている。このような集光シートは、正面方向輝度を集中的に向上させる機能だけでなく、光源の構成に起因した正面方向輝度の面内ばらつきを低減して光源の像を目立たなくさせる機能、および、正面方向を中心とした輝度の角度分布をなめらかに変化させる機能も有している。ただし、このような集光シートの光学的作用は、強い指向性を呈し、主として単位形状要素の配列方向に進む光の成分に対して及ぼされる。このため、通常、単位形状要素の配列方向が互いに直交するようにして二枚の集光シートを面光源装置に組み込むことにより、表示面上の直交する二方向(典型的には、鉛直方向および水平方向)に沿って輝度の分布が調節されている。
【0005】
最近では、平面上に点在された、すなわち、二次元配列された単位形状要素(単位光学要素)を有する光学シート、例えば、フライアイレンズ(蠅の目レンンズ)を有するフライアイレンズシートも注目を浴びている(例えば、特許文献1)。このような光学シートによれば、原理的には、複数の光学シートを用いることなく、一枚の光学シートにより、種々の方向に進む光の成分に対して集光作用や拡散作用といった光学的作用を及ぼすことが可能となり、表示面の鉛直方向および水平方向の両方向における光学特性を調節することができる。この結果、面光源装置に組み込まれる光学シートの枚数を低減することも期待され得る。光学シートの使用枚数が低減されることは、面光源装置の製造コストの削減に直結する点において、非常に好ましい。
【0006】
しかしながら、実際に用いられているフライアイレンズシートの集光機能および光拡散機能は、いずれも十分なレベルまで達していない。結果として、二枚以上のフライアイレンズシートが、面光源装置に組み込まれ、面光源装置の製造コスト削減を実現できていない。
【0007】
また、光学シートは、通常、型を用いた賦型により、放射線硬化型樹脂(典型的には、UV硬化型樹脂)から作製される。そして、単位形状要素が二次元配列されてなる光学シートを成型する場合、その成型型において、単位形状要素に対応する凹部は全周方向に於いて閉じた形状をなす。それ故に、放射線硬化型樹脂を充填する際に凹部から空気が抜けきらず、型と放射線硬化型樹脂との間に空気が残留することが頻繁に生じる。この場合、成型された単位形状要素内に気泡が形成され、あるいは、成型された単位形状要素の表面に凹陥部が形成されてしまい、光学シートが予定した光学的機能を発揮することができなくなる。それどこところか、光学シートが表示装置に組み込まれた際に、このような不具合が観察者に視認される可能性すらある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−301582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、優れた光学的機能を発揮し得るとともに安定して製造され得る光学シートを、提供することを目的とする。また、本発明は、このような光学シートを含んだ面光源装置および透過型表示装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、このような光学シートを製造する方法および製造するための型を提供することを目的とする。
【0010】
なお、単位形状要素が異なる二方向に配列されてなるフライアイレンズシートを作製するための型は、単位形状要素がリニア配列されてなる光学シートを作製するための型と比較して、高価となってしまう。これにともなって、単位形状要素が異なる二方向に配列されてなるフライアイレンズシートの製造コストも高価となっている。したがって、優れた光学的機能を発揮し得る光学シートを、従来の単位形状要素が異なる二方向に配列されてなるフライアイレンズシートと比較して、製造コストを大幅に増加させることなく製造することができれば、非常に都合がよい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様による光学シートは、
シート状の本体部と、
前記本体部の一方の面上に配列された複数の第1単位形状要素と、
前記本体部の前記一方の面上に配列され、各々が前記本体部のシート面上の一方向と平行に延びる、複数の第2単位形状要素と、
一つの第1単位形状要素と、当該一つの第1単位形状要素に前記一方向から接続する一つの第2単位形状要素と、の接続箇所の少なくとも一部分を覆う接続部と、を備え、
前記複数の第1単位形状要素の各々は、前記複数の第2単位形状要素の各々および前記接続部よりも高い位置まで前記本体部の前記一方の面から突出している。
【0012】
本発明の一態様による光学シートにおいて、前記接続部は、前記接続箇所の前記少なくとも一部分から、前記一つの第2単位形状要素上を前記一方向に延びていてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様による光学シートにおいて、前記接続部によって少なくとも一部分を覆われた前記第1単位形状要素と前記第2単位形状要素との接続箇所は、前記第2単位形状要素が、前記第1単位形状要素に前記一方向における一側から接続する接続箇所のみであってもよい。
【0014】
あるいは、本発明の一態様による光学シートにおいて、
前記第1単位形状要素と、当該第1単位形状要素に前記一方向における一側から接続する前記第2単位形状要素と、の接続箇所の少なくとも一部分を覆う第1の接続部と、
前記第1単位形状要素と、当該第1単位形状要素に前記一方向における他側から接続する前記第2単位形状要素と、の接続箇所の少なくとも一部分を覆う第2の接続部と、が設けられており、
前記第1の接続部が設けられている前記第2単位形状要素と、前記第2の接続部が設けられている第2単位形状要素と、は前記第2単位形状要素の配列方向において異なる位置に配置されていてもよい。
【0015】
さらに、本発明の一態様による光学シートにおいて、前記第1単位形状要素は、前記本体部の前記一方の面上に、隙間を空けて配列され、前記第2単位形状要素は、前記本体部の前記一方の面上のうちの前記第1単位形状要素の間に配置されていてもよい。
【0016】
さらに、本発明の一態様による光学シートにおいて、前記第2単位形状要素は、前記一方の面上のうち前記第1単位形状要素が設けられていない領域に設けられるようにしてもよい。
【0017】
さらに、本発明の一態様による光学シートにおいて、前記本体部の前記一方の面のうちの一部の領域が前記第1単位形状要素によって覆われ、前記本体部の前記一方の面のうちの前記一部の領域以外のその他の全領域が、前記第2単位形状要素によって覆われていてもよい。
【0018】
さらに、本発明の一態様による光学シートにおいて、前記第1単位形状要素は、前記本体部のシート面への法線方向と平行であり且つ前記一方向と直交する断面において、楕円の一部分または円の一部分に相当する形状を含んでいてもよい。
【0019】
さらに、本発明の一態様による光学シートにおいて、前記本体部のシート面への法線方向と平行であり且つ前記一方向と直交する断面において、前記第2単位形状要素は三角形形状となっていてもよい。
【0020】
さらに、本発明の一態様による光学シートにおいて、前記第1単位形状要素は、回転楕円体の一部に相当する形状または球の一部に相当する形状を有するようにしてもよい。
【0021】
さらに、本発明の一態様による光学シートにおいて、ある一つの第1単位形状要素と、前記本体部の前記シート面に沿って当該一つの第1単位形状要素に最も近接して配置された他の第1単位形状要素と、の間の前記本体部の前記シート面に沿った離間間隔の平均を表す第1単位形状要素の平均最小間隔が、前記本体部の前記シート面上における前記一方向へ直交する方向への前記第2単位形状要素の配列ピッチ以上であるようにしてもよい。このような本発明による光学シートにおいて、前記複数の第1単位形状要素は、前記本体部のシート面上の第1方向に沿って一定のピッチで配列されているとともに、前記本体部のシート面上の第2方向に沿っても前記一定のピッチで配列されており、前記第1方向は、前記一方向に対して直交しており、且つ、前記第2方向に対して60°傾斜していてもよい。あるいは、このような本発明による光学シートにおいて、前記第1単位形状要素は、前記本体部の前記一方の面上にランダムに配置されていてもよい。
【0022】
本発明の一態様による面光源装置は、光源と、前記光源からの光を受ける、上述した本発明の一態様による光学シートのいずれかと、を備える。
【0023】
本発明の一態様による面光源装置が、前記光学シートの出光側に配置された偏光分離フィルムをさらに備えるようにしてもよい。
【0024】
本発明による第1の表示装置は、透過型表示部と、前記透過型表示部に対向して配置された、上述した本発明の一態様による面光源装置のいずれかと、を備える。
【0025】
本発明による第1の光学シートの製造方法は、
型を用いた賦型によって、上述した本発明の一態様による光学シートのいずれかを製造する方法であって、
流動性を有した材料を前記型内に供給する工程と、
前記型内に供給された材料を前記型内で硬化させる工程と、
前記硬化した材料を型から抜く工程と、を備え、
前記流動性を有した材料を供給する工程において、前記材料は、当該型で作製される光学シートの前記一方向に対応する方向に沿うようにして、当該型内に充填されていく。
【0026】
本発明による第2の光学シートの製造方法は、
前記第2単位形状要素が前記第1単位形状要素に前記一方向における一側から接続する接続箇所のみが前記接続部によって覆われる上述した本発明の一態様による光学シートを、型を用いた賦型によって製造する方法であって、
流動性を有した材料を前記型内に供給する工程と、
前記型内に供給された材料を前記型内で硬化させる工程と、
前記硬化した材料を型から抜く工程と、を備え、
前記流動性を有した材料を供給する工程において、前記材料は、当該型で作製される光学シートの前記一方向における他側から一側への向きに対応する方向および向きで、当該型内に充填されていく。
【0027】
本発明による第1または第2の光学シートの製造方法において、前記材料を型から抜く工程において、前記硬化した材料は、前記一方向に沿うようにして、前記型からしだいに引き離されていってもよい。
【0028】
また、本発明による光学シートの製造方法において、前記型は円筒状の型面を有したロール型として形成され、前記材料を供給する工程、前記材料を硬化させる工程、および、前記材料を抜く工程は、前記型がその中心軸線を中心として一回転している間に前記型面上において順次実施されていくようにしてもよい。
【0029】
本発明による第1の型は、
上述した本発明の一態様による光学シートのいずれかを賦型により作製するための型であって、
円筒状の型面を備えたロール型として構成され、
前記第1単位形状要素に対応する複数の凹部と、前記第2単位形状要素に対応する溝と、
前記凹部と前記溝との接続箇所に形成され前記接続部に対応する切欠部と、が前記型面に形成され、
前記溝は、前記型面の中心軸線を中心として円周状に延び、あるいは、前記型面の中心軸線を中心として螺旋状に延びている。
【0030】
本発明による第2の型は、
上述した本発明の一態様による光学シートのうちの、第1の接続部と第2の接続部とを有する光学シートを賦型により作製するための型であって、
円筒状の型面を備えたロール型として構成され、
前記第1単位形状要素に対応する複数の凹部と、前記第2単位形状要素に対応する複数の螺旋状の溝と、前記複数の溝に含まれる一つの溝と前記凹部との接続箇所に形成され前記第1の接続部に対応する第1の切欠部と、前記複数の溝に含まれる他の溝と前記凹部との接続箇所に形成され前記第2の接続部に対応する第2の切欠部と、が前記型面に形成されている。
【0031】
本発明による第1の型の製造方法は、
上述した本発明の第1の型を製造する方法であって、
円柱状の型用基材に前記凹部を形成する工程と、
前記型用基材を切削することによって、前記凹部が形成された前記型用基材に前記溝および前記切欠部を形成する工程と、を備え
前記切削する工程において、前記型用基材への切り込み量を一定に保持した切削手段での切削により、前記溝とともに前記切欠部が形成される。
【0032】
本発明による第2の型の製造方法は、
上述した本発明の第2の型を製造する方法であって、
円柱状の型用基材に前記凹部を形成する工程と、
前記型用基材を切削することによって、前記凹部が形成された前記型用基材に前記溝および前記切欠部を形成する工程と、を備え
前記切削する工程において、前記型用基材への切り込み量を一定に保持した切削手段での切削により、前記溝とともに前記切欠部が形成され、
前記切削する工程において、互いに平行な複数条の溝が形成され、複数条の溝のうちの一つの溝を形成する際の切削の向き、複数条の溝のうちの他の溝を形成する際の切削の向きと、は逆向きである。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、安定して製造され得る光学シートによって、優れた光学的機能が発揮されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であって、透過型表示装置および面光源装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図2は、図1の面光源装置に組み込まれた光学シートを示す部分斜視図である。
【図3】図3は、光学シートを示す上面図である。
【図4】図4は、光学シートの作用を説明するための図であって、図3のIV−IV線に沿った光学シートの断面図である。
【図5】図5は、図4に対応する断面において、光学シートに含まれる単位形状要素の作用を説明するための図である。
【図6】図6は、光学シートの製造方法および光学シートの成型装置を説明するための模式図である。
【図7A】図7Aは、図6の成型装置に組み込まれた成型用型の型面を示す部分斜視図である。
【図7B】図7Bは、図7AのVII−VII線に沿った型の断面図である。
【図8】図8は、光学シートの成型方法を説明するための図であって、成型装置の断面図である。
【図9A】図9Aは、図7Aおよび図7Bの成型用型の製造方法を説明するための図である。
【図9B】図9Bは、図7Aおよび図7Bの成型用型の製造方法を説明するための図である。
【図10A】図10Aは、図9Aに示された製造中の型を、図7Aと同一の視野で示す部分斜視図である。
【図10B】図10Bは、図9Aに示された製造中の型を、図7Bと同一の視野で示す図であって、図10AのX−X線に沿った型の断面図である。
【図11A】図11Aは、図9Bに示された製造中の型を、図7Aと同一の視野で示す部分斜視図である。
【図11B】図11Bは、図9Bに示された製造中の型を、図7Bと同一の視野で示す図であって、図11AのXI−XI線に沿った型の断面図である。
【図12】図12は、図3に対応する図であって、光学シートの一変形例を説明するための図である。
【図13】図13は、図7Aに対応する図であって、図12の光学シートを製造するために用いられ得る成型用型の一変形例を説明するための図である。
【図14A】図14Aは、図9Bに対応する図であって、図13の成型用型の製造方法を説明するための図である。
【図14B】図14Bは、図9Bに対応する図であって、図13の成型用型の製造方法を説明するための図である。
【図15】図15は、光学シートに含まれる第2単位形状要素の変形例を示す断面図である。
【図16】図16は、図1に対応する図であって、実施例に係る透過型表示装置の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0036】
図1〜図11Bは本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、透過型表示装置および面光源装置の概略構成を示す断面図であり、図2は光学シートの斜視図であり、図3は光学シートの上面図であり、図4および図5は光学シートのシート面への法線方向に沿った断面図である。
【0037】
図1に示された透過型表示装置10は、透過型表示部15と、透過型表示部15の背面側に配置され透過型表示部15を背面側から面状に照らす面光源装置20と、を備えている。透過型表示部15は、例えば、液晶表示パネル(LCDパネル)から構成され、この場合、透過型表示装置10は液晶表示装置として機能する。ここでLCDパネルとは、ガラス等からなる一対の支持板と、支持板間に配置された液晶と、液晶分子の配向を一つの画素を形成する領域毎に電場によって制御する電極と、を有するパネルである。支持板間の液晶は、一つの画素を形成する領域毎にその配向を変化させられ得るようになっている。この結果、液晶表示パネル15は面光源装置20からの均一な面内輝度分布の面状光を画素毎に透過させるか又は遮断し、画像を形成する為のシャッターとして機能するようになる。
【0038】
一方、面光源装置20は、図1に示すように、光源25と、光源25からの光をその進行方向を偏向して透過させる光学シート40と、光学シート40の出光側に配置された偏光分離フィルム35と、を有している。また、光学シート40の入光側には、光を拡散させる光拡散シート38が設けられている。面光源装置20は、例えばエッジライト(サイドライト)型等の種々の形態で構成され得るが、本実施の形態においては、直下型のバックライトユニットとして構成されている。このため、光源25は光学シート40の入光側において光学シート40と対面するようにして配置されている。また、光源25は、光学シート40の側に開口部(窓)を形成された箱状の反射板28によって背面側から覆われている。
【0039】
なお、「出光側」とは、進行方向を折り返されることなく光源25から光学シート40等を経て観察者へ向かう光の進行方向における下流側(観察者側、図1、図4および図5においては上側)のことであり、「入光側」とは、進行方向を折り返されることなく光源25から光学シート40等を経て観察者へ向かう光の進行方向における上流側のことである。
【0040】
また、本件において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。
【0041】
さらに、本件において「シート面(フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面(凹凸面の場合は包絡面にも相当)のことを指す。そして、本実施の形態においては、光学シート40のシート面、偏光分離フィルム35のフィルム面、光拡散シート38のシート面、面光源装置15の発光面、および、透過型表示装置10の表示面は、互いに平行となっている。さらに、「正面方向」とは、光学シート40のシート面に対する法線の方向nd(図3参照)であり、また、面光源装置20の発光面の法線方向等にも一致する。
【0042】
光源25は、例えば、線状の冷陰極管等の蛍光灯や、点状のLED(発光ダイオード)や白熱電球、面状のEL(電場発光体)等の種々の態様で構成され得る。本実施の形態においては、図1および図4(二点鎖線)に示すように、光源25は、線状に延びる複数の冷陰極管を有している。反射板28は、光源25からの光を光学シート40側へ向けるための部材であり、反射板28の少なくとも内側表面は、例えば金属等の高い反射率を有する材料からなっている。
【0043】
偏光光分離フィルム35は、入射光の偏光状態に基づいて、入射光のうち特定の偏光成分を透過させるとともに、その他の偏光成分を反射して再び光源側へ戻す機能を有したシート状部材である。輝度の向上に役立ち得る偏光分離フィルム35として、米国3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)を用いることができる。また、「DBEF」以外にも、韓国Shinwha Intertek社から入手可能な高輝度偏光シート「WRPS」や、あるいは、ワイヤーグッド偏光子等を、偏光分離フィルム35として用いることができる。
【0044】
光拡散シート38は、入射光を拡散させ、好ましくは入射光を等方拡散させ、光源25の構成に応じた輝度ムラ(光源の像、管ムラとも云う)を緩和し、輝度の面内分布を均一化させるためのシート状部材である。このような光拡散シート38として、基部と、基部内に分散され光拡散機能を有した光拡散性粒子と、を含むシートが用いられ得る。一例として、反射率の高い材料から光拡散性粒子を構成することにより、あるいは、基部をなす材料とは異なる屈折率を有する材料から光拡散性粒子を構成することにより、光拡散性粒子に、光拡散機能を付与することができる。
【0045】
次に、光学シート40について説明する。
【0046】
図2〜図5に示すように、光学シート40は、シート状の本体部45と、シート状の本体部45の一方の面46上に二次元配列された多数の第1単位形状要素(第1単位光学要素、点状単位光学要素)50と、シート状の本体部45の一方の面46上に配列された多数の第2単位形状要素(第2単位光学要素、線状単位光学要素)55と、第1単位形状要素と第2単位形状要素との接続箇所を覆うように配置された複数の接続部42と、を有している。図2に示すように、第1単位形状要素50は、本体部45の一方の面46上に隙間を空けて配列されている。一方、第2単位形状要素55は、本体部45の一方の面46上のうちの第1単位形状要素50の間に配置されている。
【0047】
そして、本実施の形態においては、本体部45の一方の面46の全領域が、第1単位形状要素50および第2単位形状要素55によって覆われている。さらに詳細には、本体部45の一方の面46のうちの一部の領域が第1単位形状要素50によって覆われ、本体部45の一方の面46のうちの前記一部の領域以外のその他の全領域が、第2単位形状要素55によって覆われている。このような第1単位形状要素50および第2単位形状要素55の配置によれば、光学シート40へ入射した光が、光学的作用を及ぼされることなく、光学シート40の出光面から出射すること、いわゆる「素抜け」を防止することができる。
【0048】
本実施の形態においては、図3および図4に示すように、本体部45は、前記一方の面46に対向する他方の面47として、光学シート40の入光側面41をなす平滑な面を有している。なお、本願で用いる「平滑」とは、光学的な意味合いでの平滑を意味するものである。すなわち、ここでは、或る程度の割合の可視光が、光学シート40の入光側面41(本体部45の他方の面47)においてスネルの法則を満たしながら屈折するようになる程度を意味している。したがって、例えば、本体部45の他方の面47(光学シート40の入光側面41)の十点平均粗さRz(JISB0601)が最短の可視光波長(0.38μm)以下となっていれば、十分、平滑に該当する。
【0049】
次に、第1単位形状要素50について説明する。多数の第1単位形状要素50は、本体部45の一方の面46上に点在しており、フライアイレンズを構成するようになっている。フライアイレンズとは、蝿の目レンズとも呼ばれ、平面上の異なる方向のそれぞれに、規則的な間隔または非規則的(ランダム)な間隔で、配列された多数の単位レンズを有するレンズ部材のことを意味している。
【0050】
本実施の形態においては、図3に示すように、多数の第1単位形状要素50の平面内に於ける配列は、各第1単位形状要素50の面46上への射影に相当する合同な円を、最密に平面充填した構造から少し各円同士を離した配列を以って、本体部45の一方の面46上に配列されている。即ち、一つの第1単位形状要素50が、等間隔を空けて円周状に6回対称に配置された六つの第1単位形状要素50によって周囲から取り囲まれるようになっている。これは所謂結晶に於ける六方最密充填構造から少し各単位要素を離間した配列に対応する。言い換えると、多数の第1単位形状要素50は、60°の角度で互いに対して傾斜した本体部45の一方の面46上の異なる二つの方向に、共通の一定ピッチで、配列されている。つまり、図3に示すように、多数の第1単位形状要素50は、本体部45のシート面上の第1方向d1に沿って一定のピッチで配列されているとともに、本体部45のシート面上の第2方向d2に沿っても一定のピッチで配列されており、この第1方向d1と第2方向d2とは互いに対して60°の角度だけ傾斜している。さらに言い換えると、本体部45の一方の面46上において、最も近接した三つの第1単位形状要素50の配置中心51が、本体部45の一方の面46上で、正三角形の頂点上にそれぞれ位置するように、多数の第1単位形状要素50が配列されている。
【0051】
なお、上述したように、光源25は線状に延びる複数の冷陰極管から構成されている。一方、第1単位形状要素50からなるフライアイレンズは、単位レンズ(第1単位形状要素50)が面46内に於いて、円対称、等方的である為、光学シート40のシート面上の任意の方向に沿った面内において、光の進行方向を同様に変化させることができる。したがって、細長状の光源25の長手方向da(図3参照)や光源25の配列方向(daと直交方向)を考慮することなく第1単位形状要素50の配列方向を設定したとしても、光源25の配列方向に沿った面内で光の進行方向を同様に且つ等方的に変化させることが可能となる。これにより、光源25の配列構成に起因して生ずる輝度の面内ばらつき(管むら)を低減し、光源25の配列構成に応じて視認されるようになる光源の像(ライトイメージ)を目立たなくさせることができる。
【0052】
また、本実施の形態においては、図4に示すように、光学シート40のシート面への法線方向ndに平行である断面において、各第1単位形状要素50は、出光側に突出する円の一部分または出光側に突出する楕円の一部分に相当する形状を有している。すなわち、各第1単位形状要素50は単位レンズとして形成されている。なお、第1単位形状要素50の断面形状が楕円の一部分に相当する場合、正面方向輝度を集中的に向上させるという観点から、当該断面楕円形状の長軸または短軸のいずれかが光学シート40のシート面への法線方向(つまり、正面方向)ndと平行に延びていることが好ましい。
【0053】
第1単位形状要素50の具体例として、本体部45の一方の面46上における第1単位形状要素50の配置ピッチP1(図3参照)を10μm〜400μmとすることができる。また、本体部45の一方の面46上での第1単位形状要素50の配列方向に沿った、第1単位形状要素50の底面の幅W1(図3参照)を10μm〜200μmとすることができる。さらに、光学シート40のシート面への法線方向ndに沿った本体部45の一方の面46からの第1単位形状要素50の突出高さH1(図5参照)を5μm〜100μmとすることができる。なお、図示する例において、多数の第1単位形状要素50は互いに同一に構成されている。
【0054】
次に、第2単位形状要素55について説明する。多数の第2単位要素55は、リニアアレイプリズム部を構成するようになっている。本実施の形態において、各第2単位形状要素55は、本体部45の一方の面46上の一方向に沿って一定の断面形状で線状に延びている。また、本実施の形態においては、図3に示すように、多数の第2単位形状要素55は、その長手方向(前記一方向)と直交する一方の面46上の他方向に隙間無く並べて配列されている。なお、図示する例においては、光学シート40のシート面への法線方向ndから観察した場合に、第2単位形状要素55は、第1単位形状要素50の一つの配列方向(第1方向)d1、および、各光源25の長手方向daと平行に直線状に延びている。
【0055】
本実施の形態においては、図4および図5に示すように、第2単位形状要素55の配列方向に平行であるとともに光学シート40のシート面への法線方向ndにも平行である断面(第2単位形状要素55を基準とした主切断面とも呼ぶ)において、各第2単位形状要素55は、出光側に突出する三角形形状となっている。すなわち、各第2単位形状要素55はいわゆる単位プリズムとして形成されている。そして、正面方向輝度を集中的に向上させるという観点からは、当該断面形状がとりわけ二等辺三角形形状であるとともに、等辺の間に位置する頂角が本体部45の一方の面46から出光側に突出するように、各第2単位形状要素55が構成されていることが好ましい。
【0056】
第2単位形状要素55の具体例として、本体部45の一方の面46上での第2単位形状要素55の配列方向に沿った、第2単位形状要素55の底面の幅W2(図4参照)を1μm〜200μmとすることができる。また、光学シート40のシート面への法線方向ndに沿った本体部45の一方の面46からの第2単位形状要素55の突出高さH2(図5参照)を0.5μm〜50μmとすることができる。なお、図示する例において、多数の第2単位形状要素55は互いに同一に構成されている。さらに、第2単位形状要素55の断面形状が二等辺三角形状である場合には、正面方向輝度を集中的に向上させる観点から、等辺の間に位置するとともに出光側に突出する頂角の角度θ(図5参照)が、80°以上120°以下となっていることが好ましく、90°であればさらに好ましい。
【0057】
なお、本明細書における「三角形形状」とは、厳密な意味での三角形形状のみでなく、製造技術における限界や成型時の誤差等を含む略三角形形状や、三角形形状と同様に光学的機能を期待することが可能な略三角形形状など、すなわち、三角形の頂点が丸くなっている形状や、三角形の頭部が切断されている形状(截頭三角形)等を含む。同様に、本明細書において用いる、その他の形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、「円」、「楕円」、「平行」、「直交」等の用語も、厳密な意味に縛られることなく、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差を含めて解釈することとする。
【0058】
さらに、図2、図4および図5に示すように、光学シート40のシート面への法線方向ndに沿った本体部45の一方の面46からの第2単位形状要素55の突出高さH2は、光学シート40のシート面への法線方向ndに沿った本体部45の一方の面46からの第1単位形状要素50の突出高さH1よりも低くなっている。すなわち、本体部45の一方の面46上において、各第2単位形状要素55は、第1単位形状要素50によって分断されており、第2単位形状要素55の長手方向に沿って隣り合う二つの第1単位形状要素50の間を延びている。具体的には、後述する作用効果を期待する上で、第2単位形状要素55の突出高さH2が、第1単位形状要素50の突出高さH1の9/10以下であり1/10以上となっていることが好ましい。
【0059】
また一般的に、断面三角形状を維持しながら線状に延びる単位プリズムの頂部が他のシート状部材と接触する場合、単位プリズムの頂部が削れる、干渉縞が視認されやすくなる、といった種々の不具合が生じる。その一方で、本実施の形態のように、線状のプリズムからなる第2単位形状要素55の突出高さH2が、フライアイレンズを構成する第1単位形状要素50の突出高さH1よりも低くなっている場合には、このような不具合を解消することができる。
【0060】
次に、接続部42について説明する。図2および図3に示すように、各接続部42は、一つの第1単位形状要素50と、当該一つの第1単位形状要素50に対して第2単位形状要素の長手方向(前記一方向)から接続する一つの第2単位形状要素55と、の接続箇所の少なくとも一部分を覆うように配置されている。本実施の形態においては、とりわけ図2および図3に示すように、各接続部42は、第1単位形状要素50と第2単位形状要素55との接続箇所から第2単位形状要素55の長手方向に延びるようにして、主として、第2単位形状要素55の外表面56a,56b上に配置されている。
【0061】
図2に示すように、本実施の形態において、接続部42は第2単位形状要素55上を平べったく延びている。すなわち、光学シート40の出光面のうちの接続部42によって構成される部分の外形状は、光学シート40の出光面のうちの接続部42に被覆されていない第2単位形状要素55によって構成される部分の外形状と、大きく異なっておらず、同質の構成を有している。ただし、光学シート40に含まれる複数の接続部42の形状は、不規則であり、一定ではない。
【0062】
また、本実施の形態において、接続部42の配置にも規則性は無く、且つ、接続部42は、第1単位形状要素50にその長手方向(前記一方向)から接続するすべての第2単位形状要素55上に形成されているわけではない。とりわけ、図3に示すように、接続部42は、第1単位形状要素50に対して、その長手方向(前記一方向)における一側(図3においては紙面の左右方向における左側)から接続する第2単位形状要素55のうちの一部上のみに、形成されている。言い換えると、接続部42によって第1単位形状要素50との接続箇所の少なくとも一部分を覆われる第2単位形状要素55は、その長手方向(前記一方向)における一側(図3の左側)から第1単位形状要素50に接続している。
【0063】
なお、図示する光学シートにおいて、第1単位形状要素50、第2単位形状要素55および接続部42は、後述するその製造方法に起因して、同一の樹脂材料から一体成形されている。
【0064】
ところで、上述したように、光学シート40のシート面への法線方向ndに沿った本体部45の一方の面46からの第1単位形状要素50の突出高さH1は、光学シート40のシート面への法線方向ndに沿った本体部45の一方の面46からの第2単位形状要素55の突出高さH2よりも高くなっている。また、各接続部42は、第2単位形状要素55を平べったく覆っており、接続部42の厚さはそう厚くない。このため、図2、図4および図5に示すように、第1単位形状要素50は、第2単位形状要素55および接続部42よりも高い位置まで本体部45の一方の面46から突出している。言い換えると、第1単位形状要素50の頂部は、第2単位形状要素55の頂部、および、第2単位形状要素55上に位置する接続部42の外表面よりも、光学シート40のシート面への法線方向ndに沿って本体部45の一方の面46から遠く(高い位置)に位置している。すなわち、光学シート40が、光学シート40の出光側に配置された別のシート状部材と接触する際には、第1単位形状要素50が当該シート状部材に接触するようになる。
【0065】
次に、以上のような構成からなる光学シート40の製造方法の一例について説明する。以下の例においては、図6に示すような成型装置60を用いた賦型によって、第1単位形状要素50と第2単位形状要素55と接続部42とを一体的にシート材48上に形成することができる。第1単位形状要素50、第2単位形状要素55および接続部42の形成に用いる材料としては、成型性が良好であるとともに入手が容易であり且つ優れた光透過性を有する樹脂(一例として、硬化物の屈折率1.57の透明な多官能ウレタンアクリレートオリゴマーとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート系モノマーとの組成物の架橋硬化物)が好適に用いられる。
【0066】
まず、成型装置60について説明する。図6に示すように、成型装置60は、略円柱状(円筒状)の外輪郭を有した成型用型70を有している。図6に示すように、成型用型70の円柱の外周面(側面)に該当する部分に円筒状の型面(凹凸面)72が形成されている。円柱状からなる成型用型70は、円柱の外周面の中心を通過する中心軸線CA、言い換えると、円柱の横断面の中心を通過する中心軸線CAを有している。そして、成型用型70は、中心軸線CAを回転軸線として回転しながら(図6参照)、成型品としての光学シート40を成型するロール型として構成されている。
【0067】
図7Aおよび図7Bに示すように、型面72には、光学シート40の第1単位形状要素55に対応する凹部74と、第2単位形状要素55に対応する溝76と、接続部42に対応する切欠部78と、が形成されている。溝76は、型面72の中心軸線CAを中心として円周状に延びている、あるいは、型面72の中心軸線CAを中心として螺旋状に延びている。いずれの場合においても、溝76は、型面72の中心軸線CAに対して概ね垂直な方向(中心軸線に対する溝76の角度は、90°±1×10−2 °程度)に延びている。なお、図7Aおよび図7Bにおいて、また後に参照する図8、図10A、図10B、図11A、図11Bおよび図13において、実際には曲面である型面の外輪郭を、理解の便宜上、平らな面として示している。
【0068】
ここで、図7Aおよび図7Bに示された型面72を有する成形用型70の作製方法の一例について説明する。以下に説明する型の作製方法は、型用基材80を準備する工程と、型用基材80に凹部74を形成する工程(図9A参照)と、型用基材80を切削することによって、凹部74が形成された型用基材80に溝76および切欠部78を形成する工程(図9B参照)と、を有している。とりわけ以下に説明する方法においては、型用基材80への切り込み量を一定に保持した切削手段での切削により、溝76とともに接続部78を形成することを特徴としている。
【0069】
本実施の形態においては、図9Aおよび図9Bから理解されるように、略円柱状の外輪郭を有する型用基材(円柱状基材)80が準備される。型用基材80をなす材料としては、成型用型70の基材として用いられ得る種々の既知な材料、例えば鋼を用いることができる。
【0070】
次に、図9A、図10Aおよび図10Bに示すように、型用基材80の外周面82面上の所望の位置に、第1単位形状要素50と相補的な形状を有した凹部74を形成する。図10Aおよび図10Bに示す例においては、球体の一部分または回転楕円体の一部分に相当する形状を有した凹部74が、型用基材80に形成されている。凹部74は、例えばフォトリソグラフィ技術を利用したエッチングにより、形成され得る。また、他の方法としては、加工対象物の一部分に対して熱エネルギーを集中して加え(例えばレーザ光の局所的な照射)、当該一部分を溶解および気化させて取り除く熱的除去加工により、凹部74を形成することもできる。
【0071】
次に、円柱状からなる型用基材80の外周面82を、例えば旋盤を用いて、切削する。具体的には、まず、型用基材80を両端から保持し、図9Bに示すように、型用基材80の中心軸線CAが回転軸心となるようにして型用基材80を回転させる。そして、回転中の型用基材80に対して、切削用の切削手段としてのバイト88を所定の切り込み量だけ切り込ませる。次に、図9Bに示すように、バイト88の刃先部88aが回転中の型用基材80に切り込んだ状態で、当該バイト88を型用基材80に対して型用基材80の回転軸線CAと平行な方向に相対移動させる。このようにして、図9B、図11Aおよび図11Bに示すように、凹部74が形成された型用基材80に、第2単位形状要素55と相補的な形状を有した溝76が形成されていく。
【0072】
ところで、本発明者が鋭意研究を繰り返したところ、このように凹部74が形成された型用基材80の外周面に切削で一定の断面形状を有する溝76を形成した場合、作製中の溝76が凹部74と接続する際、当該接続箇所の多くに接続部42と相補的な形状を有した切欠部78が形成されることを知見した。より詳細には、上述した寸法の第2単位形状要素55を作製するための溝76を形成する際に、光学シート成型用型を作製するための旋盤での切削条件下、具体例として、ビッカース硬度180〜230の硬質銅製からなる型用直径300mmの円筒(ロール状)基材80の回転速度を50ppm〜400ppmとして、ダイヤモンド製からなるバイト88で切削する条件下において、切り込み量が一定に保持された切削手段によって溝76が形成されるとともに、当該溝76が凹部74と接続する箇所近傍において、当該溝76の側壁部が凹部内に脱落して切欠部78が形成された。
【0073】
このように凹部74が形成された型用基材80に溝76を切削によって形成する際、形成中の溝76が凹部74に接続するようになる位置、すなわち、凹部74のうち、溝76の長手方向における一側(溝76の形成過程における上流側)となる位置に、切欠部78が形成され得ることの原因は、詳細には不明であるが、以下にその推定される一つの原因について説明する。ただし、本発明は、以下の推定に限定されるものではない。
【0074】
切削中のバイト88が既に形成されている凹部74に到達すると、切り屑の流れ出しに変化が生じる。例えば、切り屑の流れ出し方向が変化したり切り屑の流れ出しが大きく乱れたりし、また、連続的につながっていた切り屑は途切れてしまう。加えて、バイト88の刃先部88aへ加えられる力が解放されるようになる。すなわち、バイト88の撓み等の変形が解放され、同時に作製中の溝76近傍における型用基材80の微妙な変形等も解放される。これらの結果、切り屑又はバリとなるべき部分が、バイト88の刃先部88によって、それまでとは異なる態様で押し出され又は掻き出され、この際、型用基材80のうちの、形成中の溝76の凹部74と接触するようになる部分の周囲が、切削を意図されていないにもかかわらず、このような切り屑又はバリとなるべき部分によって削り取られてしまうものと予想される。
【0075】
なお、図示する例において、型用基材80に一条の螺旋状の溝76が形成されているが、これに限られない。例えば、型用基材80に複数条の螺旋溝が形成されるようにしてもよいし、あるいは、いわゆる突切加工により、型用基材80に、多数の円周状の溝76が形成されてもよい。またこの場合、各条毎に溝76の深さを変化させても良い。このような種々の溝76が切削で形成される場合にも、切欠部78が形成され得ることが確認された。なお、突切加工とは、バイト88の型用基材80への切り込み移動およびバイト88の型用基材80からの退避移動を繰り返すことによって、バイト88の型用基材80に対する相対移動を停止した状態で形成される円周状の溝76を、型用基材80の中心軸線CAに沿って多数作製していく加工である。
【0076】
以上のようにして、凹部74、溝76および切欠部78を型用基材80に形成して、成型用型70を作製することができる。なお、以上のようにして作製された成型用型70において、溝76は回転軸線CAに対して略直交して延びている。すなわち、成型用型70の軸線CAを中心とした回転中、溝76は、成型用型70の型面72の移動方向に沿って延びる。とりわけ、以上のようにして作製された成型用型70において、切欠部78は、凹部74と溝76との周状の接続箇所のうち、当該凹部74を基準として溝76の長手方向における一側(溝76の形成過程における上流側)のみに位置している。そして、この成型用型70は、凹部74に隣接する切欠部78が、成型用型70の回転中での型面72の移動経路において当該凹部74の後方に位置するように、成型装置60に組み込まれている。
【0077】
図6に戻って、成形装置60の成型用型70以外の構成について引き続き説明する。図6に示すように、成型装置60は、帯状に延びるシート材(成型用基材シート)48を供給する成型用基材供給装置62と、供給されるシート材48と成型用型70の型面72との間に流動性を有した材料49を供給する材料供給装置64と、シート材48と成型用型70の凹凸面72との間の材料49を硬化させる硬化装置66と、をさらに有している。硬化装置66は、硬化対象となる材料49の硬化特性に応じて適宜構成され得る。
【0078】
次に、このような成型装置60を用いて光学シート40を作製する方法について説明する。まず、成型用基材供給装置62から、例えば透明性を有した樹脂からなるシート材48が供給される。供給されたシート材48は、図6に示すように、成型用型70へと送り込まれ、成型用型70と一対のローラ68とによって、型70の凹凸面(型面)72と対向するようにして保持されるようになる。
【0079】
また、図6に示すように、シート材48の供給にともない、シート材48と成型用型70の型面72との間に、材料供給装置64から流動性を有する材料49が供給される。ここで、「流動性を有する」とは、成型用型70の型面72へ供給された材料49が、型面72の凹部74および溝76内に入り込み得る程度の流動性を有することを意味する。なお、供給される材料49としては、成型に用いれ得る種々の既知な材料を用いることができる。以下においては、材料供給装置64から電離放射線硬化型樹脂が供給される例について説明する。電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、紫外線(UV)を照射されることにより硬化するUV硬化型樹脂や、電子線(EB)を照射されることによって硬化するEB硬化型樹脂を選択することができる。
【0080】
なお、上述したように、型面72に形成された溝76は、型面72上において、成型用型60の中心軸線CAに対して略垂直な方向に延びている。したがって、図8に示すように、材料供給装置64から供給される材料49は、成型用型70により作製されるようになる光学シート40の第2単位形状要素55の長手方向(前記一方向であって、図8における紙面の左右方向)に対応する方向に沿うようにして、成型用型70上に充填されていく。つまり、第2単位形状要素55を形成するための溝76に沿って材料49が供給されていく。また、本実施の形態においては、溝76と接続する凹部74の、溝76の長手方向における一側(図8における右側)に切欠部78が形成されている。そして、図8に示すように、この切欠部78は、材料49の供給方向における後側から凹部74に隣接している。そして、本件発明者らが実験を行ったところ、このような方法によれば、光学シート40の第1単位形状要素50に気泡が形成されること、あるいは、第1単位形状要素50の表面に凹陥部が形成されてしまうこと、を極めて効果的に防止することができた。
【0081】
このように二次元配列された点状の単位レンズへの気泡や凹陥部等の形成を効果的に抑制することが可能となるメカニズムは明らかではないが、以下にその一要因と考えられ得るメカニズムについて説明する。ただし、本発明は以下の推定に限定されるものではない。
【0082】
上述したように、この溝76は、第1単位形状要素50を形成するための凹部74内を通過して延びている。このため、型70の凹部74内に材料49が入り込む際に、それまで凹部74内を埋めていた気体(典型的には空気)が、材料の供給にともなって当該凹部74内から溝76内へ移動しやすくなっている。すなわち、型70の凹部74内に材料49を充填する際に凹部74内の気泡が特定の経路をたどって凹部74内から抜け出す傾向がつくり出される。加えて、材料の供給方向(溝76の長手方向)における凹部74の後側には、当該凹部74と溝76との間の切欠部78が形成されている。この切欠部78は、凹部74と溝76との間における高さの急激な変動を緩和し得る。このため、凹部74から溝76へと進む気泡の移動経路が、切欠部78を介して、安定して確保されるようになる。この結果、型面72内に充填された材料49中に、気泡が混入してしまうことを効果的に防止することができるものと想定される。
【0083】
その後、成型用シート材48は、型70の型面72との間を電離放射線硬化型樹脂によって満たされた状態で、硬化装置66に対向する位置を通過する。このとき、硬化装置66からは、電離放射線硬化型樹脂49の硬化特性に応じた電離放射線が放射されており、電離放射線はシート材48を透過して電離放射線硬化型樹脂49に照射される。この結果、型面72の凹部74内、溝76内および切欠部78内に充填されていた電離放射線硬化型樹脂が硬化して、硬化した電離放射線硬化型樹脂からなる第1単位形状要素50、第2単位形状要素55および接続部42がシート材48上に形成されるようになる。
【0084】
ところで、本件発明者らが実験を重ねたところ、このような型70内からの気体の排出を促進する上で、第2単位形状要素55の突出高さH2を、第1単位形状要素50の突出高さH1の1/10以上に設定することが有効であることが知見された。
【0085】
その後、図6に示すように、シート材48が型70から離間し、これにともなって、型面72の凹部74内、溝76内および切欠部78内にそれぞれ成型された単位形状要素50,55および接続部42がシート材48とともに型70から引き離される。この結果、上述した光学シート40が得られる。
【0086】
なお、成型された単位形状要素50,55および接続部42(硬化した材料49)を型70から抜く工程において、単位形状要素50,55および接続部42(硬化した材料49)は、成型された第2単位形状要素55の長手方向(前記一方向)に沿うようにして、型70からしだいに引き離されていくようになる。上述したように、第2単位形状要素55は第1単位形状要素50および接続部42と一体的に成型されて長細く延びている。したがって、このような方法によれば、成型された第2単位形状要素55、第1単位形状要素50および接続部42の離型がスムースの行われるようになり、成型された第2単位形状要素55、第1単位形状要素50および接続部42に亀裂が生じることや、成型された第2単位形状要素55、第1単位形状要素50および接続部42がシート材48上から剥がれてしまうこと等を、効果的に防止することができる。
【0087】
なお、図8に示された例において、シート材48は型70の表面に接触していない。この結果、図8に示すように作製された光学シート40の本体部45は、シート材49とシート状に硬化した材料48とから構成されるようになる。このような方法によれば、成型された第2単位形状要素55、第1単位形状要素50および接続部42が、離型時に、型70内に部分的に残留してしまうことを効果的に防止することができる。
【0088】
以上のようにして、ロール型として構成された成型用型70がその中心軸線CAを中心として一回転している間に、流動性を有した材料49を型70内に供給する工程と、型70内に供給された材料49を型70内で硬化させる工程と、硬化した材料49を型70から抜く工程と、が型70の型面72上において順次実施されていき、光学シート40が得られる。得られた光学シート40への気泡の混入および光学シート40の表面への穴の形成が効果的に抑制されているので、得られた光学シート40は、期待された所望の光学的特性を発揮することができるようになる。また、型70内からの気泡の排出が促進されるため、光学シート40を従来のフライアイレンズシートよりも高速で効率良く生産することも可能となる。これにより、フライアイレンズを含む光学シート40の製造コストを大幅に削減することが可能となる。なお、光学シート40を成型するための型70の製造コストは、従来のフライアイレンズシートを成型するための型の製造コストから大幅に上昇することはない。
【0089】
なお、以上の光学シート40の作製方法は一例に過ぎない。したがって、以上のような賦型法に限られず、例えば押し出し成型法や転写成型法等の成型法や、その他の製造方法を用いることもできる。
【0090】
次に、以上のような光学シート40、面光源装置20および透過型表示装置10の作用について説明する。
【0091】
まず、透過型表示装置10および面光源装置20の全体的な作用について説明する。
【0092】
光源25で発光された光は、直接または反射板28で反射した後に観察者側に進む。観察者側に進んだ光は、光拡散シート38で等方拡散された後に、光学シート40に入射する。光学シート40において、光の進行方向と正面方向(光学シート40のシート面への法線方向)ndとによってなされる角度が、主として、0°に近付くように、光が集光される。また、光学シート40においては、輝度の角度分布が滑らかに変化するように、並びに、輝度の面内分布が均一化するように、光が拡散するようになる。なお、光学シート40の作用については、後に詳述する。
【0093】
光学シート40を出光した光は、その後、偏光分離フィルム35を透過し、さらに正面方向輝度を高められる。透過型表示部15は、面光源装置20からの光を画素毎に選択的に透過させる。これにより、透過型表示装置10の観察者が、映像を観察することができるようになる。
【0094】
次に、光学シート40の作用についてさらに詳述する。
【0095】
まず、フライアイレンズをなすようになる第1単位形状要素(点状単位形状要素、単位レンズ)50による作用について説明する。図4および図5に示すように、光学シート40の第1単位形状要素50から出射する光L41,L51−L54は、第1単位形状要素(単位レンズ)50の出光側面(レンズ面)において屈折する。この屈折により、正面方向ndから傾斜した方向に進む光L41,L51−L54の進行方向(出射方向)は、光学シート40へ入射する際における光の進行方向と比較して、主として、光学シート40のシート面への法線方向ndに対する角度が小さくなる側へ曲げられる(図4のL41や図5のL51等を参照)。このような作用により、上述したように、第1単位形状要素50は、透過光の進行方向を正面方向nd側に絞り込むことができる。すなわち、第1単位形状要素50は、透過光に対して集光作用を及ぼすようになる。
【0096】
なお、光学シート40の光源25から離れた領域、言い換えると、光学シート40のうちの、隣り合う二つの光源25の中間点に対面する領域へ光源25から直接入光する光は、正面方向ndから大きく傾斜した方向に進む(図4の光L41を参照)。そして、上述した第1単位形状要素50の集光作用は、このように正面方向ndから大きく傾斜して進む光に対して、効果的に及ぼされる。この結果、輝度が低下しやすくなる傾向にある光源から離れた領域において、輝度を向上させることが可能となる。
【0097】
また、図4に示すように、光学シート40のうちの光源25の直上に位置する領域には、光源25と光学シート40との間における拡散の程度にも依るが、主として、小さな入射角度で多量の光L42が入射するようになる。そして、このような光の一部L42は、第1単位形状要素50の出光側面(レンズ面)において全反射を繰り返し、その進行方向を入光側(光源側)へ転換する。この結果、光源25の発光部の直上位置での輝度が高くなり過ぎることを防止することができる。
【0098】
以上のような光源25からの離間距離に依存して透過光に対して第1単位形状要素50から主として及ぼされる光学的作用が相違することから、光源25の発光部の配列に応じて発生する輝度ムラ(管ムラ)を効果的に低減し、光源の像(ライトイメージ)を目立たなくさせることができる。なお、上述したように、第1単位形状要素50は、フライアイレンズをなし、本体部45の一方の面46上の異なる方向にそれぞれ配列されている。つまり、第1単位形状要素50は、本体部45の一方の面46上において、二次元配列されている。したがって、第1単位形状要素50からなるフライアイレンズは、光学シート40のシート面上の任意の方向に沿った光の成分に対して光学的作用を効果的に及ぼすことができる。この結果、光源25の配列方向を考慮することなく光学シート40を光源25上に配置したとしても、第1単位形状要素50による集光機能および光拡散機能が効果的に発揮されるようになる。
【0099】
次に、リニアアレイプリズム部を形成する第2単位形状要素(線状単位形状要素、単位プリズム)55による作用について説明する。図4および図5に示すように、光学シート40の第2単位形状要素55から出射する光L46,L55−L59も、第2単位形状要素(単位プリズム)55の出光側面(プリズム面)において屈折する。この屈折により、正面方向ndから傾斜した方向に進む光L46,L55−L58の進行方向は、光学シート40へ入射する際における光の進行方向と比較して、主として、光学シート40のシート面への法線方向ndに対する角度が小さくなる側へ曲げられる。このような作用により、上述したように、第2単位形状要素55は、透過光の進行方向を正面方向nd側に絞り込むことができる。すなわち、第2単位形状要素55は、透過光に対して集光作用を及ぼすようになる。
【0100】
その一方で、第1単位形状要素50と同様に、正面方向ndから大きく傾斜しない方向へ進む光L47は、図4に示すように、第2単位形状要素55の出光側面(プリズム面)において全反射を繰り返し、その進行方向を入光側(光源側)へ転換する。
【0101】
上述したように、本実施の形態において、第2単位形状要素55の配列方向は、光源25の配列方向と平行になっている。したがって、隣り合う二つの光源25の中間点に対面する位置を中心とした光学シート40の領域であって、光源25からの光が大きな入射角度で入射するようになる光学シート40の領域に入射する光の進行方向を、当該光の進行方向と正面方向ndとによってなされる角度が0°に近付くように、第2単位形状要素55の出光側面(プリズム面)での屈折により、変化させることができる。この結果、隣り合う二つの光源25の中間点に対面する位置を中心とした光学シート40の領域において、輝度が低くなり過ぎてしまうことを防止することができる。
【0102】
また、光源25の直上に位置する光学シート40の領域であって、光源25からの光が小さな入射角度で多く入射するようになる光学シート40の領域に入射する光を、第2単位形状要素55の出光側面(プリズム面)での全反射により、光源側へ戻すことができる(図4の光L47を参照)。この結果、光源25の直上に位置する光学シート40の領域において、輝度が高くなり過ぎてしまうことを防止することができる。
【0103】
この結果、本実施の形態においては、第2単位形状要素55によっても、光源25の発光部の配列に応じて発生する輝度ムラ(管ムラ)を効果的に低減し、光源の像(ライトイメージ)を目立たなくさせることができる。
【0104】
ところで、図5に示すように、断面三角形形状を有するように構成された第2単位形状要素55に入射する光は、その進行方向が正面方向ndから傾斜している場合、正面方向ndを基準として当該光L55−L58の進行方向とは逆側に傾斜した一方側の出光側面(一方側のプリズム面)56aに多く入射するようになる。そして、当該光L55−L58の進行方向の正面方向ndに対する傾斜角度が一定であれば、当該光L55−L58が一方側の出光側面(一方側のプリズム面)56a上のどの位置に入射するかに依らず、第2単位形状要素55から出射する際における当該光L55−L58の出射方向の正面方向ndに対する傾斜角度も一定となる。すなわち、第2単位形状要素55から出射する光の進行方向は、概ね、当該第2単位形状要素55の構成(例えば、形状や屈折率等)に起因して決定されるようになる。
【0105】
なお、図5における光L51−L59の光学シート内における進行方向の正面方向ndに対する傾斜角度は、同一となっている。
【0106】
このような第2単位形状要素55の光学的特性に対し、図5に示すように、断面円形状または断面楕円形状を有するように構成された第1単位形状要素50に入射する光L51−L54は、当該光の進行方向の正面方向ndに対する傾斜角度が一定であったとしても、当該光が第1単位形状要素50の出光側面(レンズ面)上のどの位置に入射するかによって、第1単位形状要素50から出射する際における当該光の出射方向の正面方向ndに対する傾斜角度が異なってくる。したがって、第1単位形状要素50から出射する光の進行方向は、当該第1単位形状要素55の構成(例えば、形状や屈折率等)だけでなく、当該第1単位形状要素55への入射位置にも大きく影響を受けるようになる。
【0107】
そして、第1単位形状要素50の配置ピッチP1(図3参照)および第2単位形状要素の配置ピッチP2(図3参照)は、光源25の配置間隔と比較して、非常に短くなっている。したがって、一つの単位形状要素50,55へ向けて光源25から入射する光の傾斜角度は略同一となる。この結果、第2単位形状要素(単位プリズム)55は、正面方向ndを中心とする比較的に狭い角度範囲内に、光の進行方向の正面方向ndに対する角度を絞り込むことが可能となる。すなわち、第2単位形状要素55は、その構成を適宜設計されることにより、極めて優れた集光機能を発揮し得るようになる。
【0108】
一方、第1単位形状要素(単位レンズ)50は、光の進行方向の正面方向ndに対する角度を比較的に広い角度範囲内に絞り込むとともに、当該絞り込まれた角度範囲内における輝度分布を滑らかに変化させるようにすることが可能となる。つまり、第2単位形状要素(単位プリズム)55は、第1単位形状要素(単位レンズ)50と比較して、より強い集光機能を発揮することができるとともに、第1単位形状要素(単位レンズ)50は、第2単位形状要素(単位プリズム)55と比較して、より強い光拡散機能を発揮することができる。
【0109】
このような第1単位形状要素50と第2単位形状要素55とを有する光学シート40によれば、透過光を集光させて正面方向輝度を効果的に向上させることができ、さらに、透過光を適度に拡散させて輝度の面内分布を均一化させるとともに輝度の角度分布を滑らかに変化させることも可能となる。したがって、このような光学シート40が組み込まれた面光源装置20および透過型表示装置10によれば、光源光を有効に活用して正面輝度を高めることができるとともに、映像を視認することが可能な正面方向ndに対する角度範囲(視野角)を広角化させることもできる。すなわち、極めて理想的な省エネルギーが実現される。また、光源25の構成(配置)に起因した輝度ムラ(管ムラ)の発生を防止して、優れた画質で映像を表示することができる。
【0110】
なお、光学シート40は、第1単位形状要素50および第2単位形状要素55の接続箇所を覆うように配置された接続部42を有している。ただし、上述した成型用型70を用いて作製された光学シート40において、接続部42は、上述したように、第1単位形状要素50と第2単位形状要素55との接続箇所から、第2単位形状要素55上を平べったく延びている。したがって、図4において点線で示すように、接続部42は、第2単位形状要素55と比較して、光拡散作用を若干強く及ぼすようになるものの、実質的には同傾向の光学的作用を及ぼすようになる。すなわち、本実施の形態における光学シート40において、接続部42は、第1単位形状要素50からの気泡や穴の排除に極めて有効であり、第1単位形状要素50に所望の光学的機能を付与することに寄与するとともに、光学シート40全体の集光作用や光拡散作用に対して悪影響を及ぼすことはない。むしろ、成型用型70の上述した作製方法における作製条件の変更や、更には成型用型70の上述した作製方法とは異なる方法への変更によって、接続部42の形状を積極的に適宜設計することにより、光学シート40に対して優れた光学的機能を付与することも可能となる。
【0111】
また、本件発明者らが鋭意実験を重ねたところ、隣り合う二つの第1単位形状要素50の間の距離と、第2単位形状要素55の配列ピッチP2と、を調節することにより、正面方向輝度の向上および輝度の面内ばらつきの抑制(光源像の隠蔽)を同時に実現することができた。具体的には、第1単位形状要素50の平均最小間隔Saが、本体部45のシート面上における一方向(すなわち、第2単位形状要素55の長手方向)へ直交する方向(すなわち、第2単位形状要素55の配列方向)に沿った第2単位形状要素55の配列ピッチP2以上となっていることが好ましい。好ましくは、第1単位形状要素50の平均最小間隔Saが、第2単位形状要素55の配列ピッチP2の2倍以上となっていることが好ましい。
【0112】
ここで平均最小間隔Saとは、任意に選択したある一つの第1単位形状要素50と、本体部45のシート面に沿って当該一つの第1単位形状要素50に最も近接して配置された他の一つの第1単位形状要素50と、の間における本体部45のシート面に沿った離間間隔の平均値のことをいう。上述した実施の形態では、同一の幅(図示する例では、本体部45の一方の面46上における直径)W1を有した第1単位形状要素50が、同一の配列ピッチP1で、本体部45の一方の面46上に分散されている。したがって、平均最小間隔Saは、配列ピッチP1と幅W1との差(=P1−W1)となる(図3参照)。他の例として、第1単位形状要素50が本体部45の一方の面46上にランダム(不規則)に配列されている場合には、任意に選択したある一つの第1単位形状要素50と、本体部45のシート面に沿って当該一つの第1単位形状要素50に最も近接して配置された他の第1単位形状要素50と、の間における離間間隔を、多数、例えば20〜100箇所測定し、測定値の平均をとることにより、平均最小間隔Saを求めることができる。
【0113】
一方、本実施の形態においては、第2単位形状要素55は互いに隙間をあけることなく配列されている。したがって、本体部45のシート面上における一方向へ直交する方向に沿った第2単位形状要素55の配列ピッチP2は、第2単位形状要素55の幅W2に相当する。
【0114】
第1単位形状要素50の平均最小間隔Saが、第2単位形状要素55の配列ピッチP2以上となっている場合に、正面方向輝度の向上および輝度の面内ばらつきの抑制を両立させることを可能にするメカニズムについては、明らかではない。ただし、本件発明者らが行った実験の結果からすると、第1単位形状要素50の間に配置された第2単位形状要素55によって第1単位形状要素50の光学機能が害されることなく、同時に、当該第2単位形状要素55が光学機能を発揮しているものと推定される。一方で、上記条件を満たす場合には、必ず、第2単位形状要素55の配列方向(前記一方向に直交する方向)に沿って隣り合う二つの第1単位形状要素50の間に、少なくとも一つの第2単位形状要素55が存在するようになる(図3参照)。言い換えると、図2によく示されているように、一方向に沿って隣り合う二つの第1単位形状要素50の間を、その他の第1単位形状要素50によって覆われること無く延びる一つの第2単位形状要素55(厳密には、一つ分の第2単位形状要素50に相当する出光側面)が延在することになる。つまり、第2単位形状要素55が、有効に光学的機能を発揮し得るようにして第1単位形状間50の間に配置されている。このような構成上の特徴は、上記推定と合致するものである。
【0115】
なお、第1単位形状要素50の平均最小間隔Saが非常に大きくなると、第1単位形状要素50によって構成されるフライアイレンズの光学機能が低下してしまう。そして、通常用いられているフライアイレンズをなす単位形状要素の寸法や線状プリズムの寸法等も考慮すると、第1単位形状要素50の平均最小間隔Saは、第2単位形状要素55の配列ピッチP2の10倍以下となっていることが好ましい。
【0116】
ところで、上述したように、断面三角形形状を有するように構成された第2単位形状要素55に入射する光の多くは、その進行方向が正面方向ndから傾斜している場合、正面方向ndを基準として当該光L55−L58の進行方向とは逆側に傾斜した一方側の出光側面(一方側のプリズム面)56aに多く入射するようになる。しかしながら、図5に示すように、第2単位形状要素55に入射する光の一部L59は、正面方向ndを基準として当該光L59の進行方向と同一側に傾斜した他方側の出光側面(他方側のプリズム面)56bに入射する。他方側の出光側面56bに入射した光の多くは、当該出光側面56bで全反射する。そして、当該光の一部L59は、全反射した後に、極めて大きな出射角度で第2単位形状要素(単位プリズム)55から出射することがある。そして、このような光は、いわゆるサイドローブと呼ばれる光であり、透過型表示装置10において有効に利用されることなく、むしろ、映像の画質を劣化させるようになる。
【0117】
一方、本実施の形態によれば、本体部45の一方の面46上には、第2単位形状要素部55だけでなく、第1単位形状要素部50も設けられている。そして、図5に示すように、第1単位形状要素50の本体部45からの突出高さH1が第2単位形状要素55の本体部45からの突出高さH2よりも高くなっている。このため、極めて大きな出射角度で第2単位形状要素(単位プリズム)55から出射した光L59は、第1単位形状要素50内へ入射し得る(光L59a参照)、或いは、第1単位形状要素50の出光側面で反射し得る(光L59b参照)。
【0118】
第1単位形状要素50へ入射した光L59aは、第1単位形状要素50の出光側面で一回以上全反射し、その進行方向を逆側(光源側、入光側)に転換し得る。すなわち、第1単位形状要素50は、サイドローブをなす不要光としていったん光学シート40から出射した光を、光学シート40内に回収し、正面方向輝度の向上に寄与し得る光として再利用するように働く。一方、第1単位形状要素50の出光側面で反射する光L59bは、第1単位形状要素50での反射によって、進行方向を変化させる。図示する例のように、第1単位形状要素50の基端部側(入光側)から先端部側(出光側)に向けて第1単位形状要素50の幅がしだいに狭まっていく場合、第1単位形状要素50での反射によって、光L59bは、正面方向ndに対してその進行方向がなす角度が小さくなるように、進行方向を曲げられる。すなわち、サイドローブをなす不要光としていったん光学シート40から出射した光L59に対し、第1単位形状要素50の出光側面によって集光作用を及ぼし、法線方向nd近傍の光に転換することができる。
【0119】
なお、本件発明者らが実験を重ねたところ、このようなサイドローブ抑制作用を効果的に発揮し得るようにする上で、第2単位形状要素55の突出高さH2を、第1単位形状要素50の突出高さH1の9/10以下に設定することが有効であり、2/3以下に設定することがさらに有効であることが知見された。
【0120】
以上のような本実施の形態によれば、光学シート40は、本体部45上に二次元配列された複数の第1単位形状要素(点状単位形状要素)50と、本体部45上に配列され一方向と平行に延びる複数の第2単位形状要素(線状単位形状要素)55と、一の第1単位形状要素50および当該一の第1単位形状要素50に前記一方向から接続する一の第2単位形状要素55の接続箇所の少なくとも一部分を覆う接続部42と、を有している。このような光学シート40が、成型用型70を用いて第2単位形状要素55の長手方向(前記一方向)が機械方向に沿うようして賦型により作製された場合、点状の第1単位形状要素50に対応する成型用型70の凹部74内の気泡が、接続部42に対応する成型用型70の切欠部78を経由して、線状の第2単位形状要素55に対応する成型用型70の溝76に誘導される。すなわち、第1単位形状要素55を成型するための型70の凹部74内に空気が溜まりにくくすることができ、これにより、第1単位形状要素50を含む光学シート40に気泡が形成されることを防止すること、並びに、光学シート40の表面に凹陥部が形成されてしまうこと、を防止することができる。この結果、予定した所望の光学的機能を発揮し得る光学シート40を安定して作製することができる。また、また、型70内からの気泡の排出が促進されるため、光学シート40を従来のフライアイレンズシートよりも高速で効率良く生産することも可能となる。これにより、本体部45上に二次元的に分散して配列された第1単位形状要素50を含む光学シート40の製造コストを大幅に削減することが可能となる。また、光学シート40を成型するための型70の製造コストは、従来のフライアイレンズシートを成型するための型の製造コストから大幅に上昇することはない。
【0121】
とりわけ、本実施の形態における光学シート40においては、接続部42によって覆われる第1単位形状要素50と第2単位形状要素55との接続箇所は、第2単位形状要素55が第2単位形状要素55の長手方向(前記一方向)における一側から第1単位形状要素50に接続している接続箇所のみである。このような光学シート40が、第2単位形状要素55の長手方向(前記一方向)が機械方向に沿うようして、且つ、第2単位形状要素55の長手方向における他側が前方であって一側が後方であるようにして、賦型により作製された場合、点状の第1単位形状要素50に対応する凹部74内の気泡が、接続部42に対応する切欠部78を経由して、線状の第2単位形状要素55に対応する溝76へと、より安定して誘導されるようになる。この結果、この光学シート40への気泡の混入、および、この光学シート40の表面への穴の形成を、さらに効果的に防止することができる。
【0122】
また、本実施の形態によれば、本体部45の一方の面46上における隣接する第1単位形状要素50間の隙間に、第2単位形状要素55が形成されている。従来のフライアイレンズシートの多くでは、製造上の問題から必然的に、隣接する第1単位形状要素50間に隙間が形成され、該隙間の領域は平坦面となっていた。そして、この平坦面の領域に入射した光源光が直進し、この結果、光源25の像が目視されやすくなる、といった不都合が生じていたと推測される。而るに、本発明の光学シート40に於いては、本体部45の一方の面46上における第1単位形状要素50の間の領域に向かう光は、光拡散機能および集光機能を有し得る第2単位形状要素55によって、その進路方向を変更される。すなわち、本体部45の一方の面46上における第1単位形状要素50間から、光が、その進行方向を変更されることなく、そのままの進行方向で出光すること、いわゆる「素抜け」を防止することができる。したがって、従来のフライアイレンズシートと比較して、光学シート40の集光機能および光拡散機能の少なくとも一方を維持しながら他方を改善することが可能となる。この結果、面光源装置20(透過型表示装置10)の光学特性、例えば正面輝度や視野角の大きさを改善することができる。さらには、面光源装置20に組み込まれる光学シート40の枚数を削減し得ることも期待され、この場合、面光源装置20の製造コストを効果的に削減することができるとともに、面光源装置20の作製を容易化させることができる。
【0123】
さらに、本実施の形態によれば、第1単位形状要素50と第2単位形状要素55とが互い異なる光学特性を有した要素として形成されている。したがって、第1単位形状要素50と第2単位形状要素55の構成を適宜設計すること、また、本体部45の一方の面46において第1単位形状要素50が形成される領域の範囲および第2単位形状要素55が形成される領域の範囲を適宜調節すること等によって、所望の光学特性を光学シート40に付与することができる。
【0124】
さらに、本実施の形態によれば、第1単位形状要素50は、最密に平面充填した構造状から少し各要素同士を離間せしめた配列によって、本体部45の一方の面46上に配列されている。このような本実施の形態によれば、本体部45の一方の面46上に第1単位形状要素50を密に配列することが可能となる。これにより、第1単位形状要素50による光学作用を透過光に対して効果的に及ぼすことが可能となる。また、第1単位形状要素50を密に配置することよって、本体部45の一方の面46上における第1単位形状要素50が配置されていない領域を必要最小限に縮小化することができ、これにより、「素抜け」をさらに効果的に防止することができる。
【0125】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
【0126】
例えば、上述した実施の形態において、第1単位形状要素50と、当該第1単位形状要素50に対して前記第2単位形状要素55の長手方向(前記一方向)における一側から接続する前記第2単位形状要素55と、の接続箇所のみを、接続部42が覆うようになっている例を示したが、これに限られない。例えば、図12に示すように、一つの第1単位形状要素50の第2単位形状要素55の長手方向における一側に第1の接続部43aが設けられ、一つの第1単位形状要素50の第2単位形状要素55の長手方向における他側に第2の接続部43bが設けられるようにしてもよい。すなわち、図12に示す例において、第1単位形状要素50と、当該第1単位形状要素50に対して第2単位形状要素55の長手方向(前記一方向)における一側から接続する第2単位形状要素55と、の接続箇所の少なくとも一部分を覆うように第1の接続部43aが設けられるとともに、第1単位形状要素50と、当該第1単位形状要素50に対して第2単位形状要素55の長手方向(前記一方向)における他側から接続する第2単位形状要素55と、の接続箇所の少なくとも一部分を覆う第2の接続部43bと、が設けられている。このような光学シート40によれば、第2単位形状要素55の長手方向に沿った面内で測定された光学シート40の出光面での輝度の角度分布が、正面方向を挟んでより厳密な対称性を有するようにすることができる。
【0127】
なお、図12に示した光学シート40は、図13に示された型面72を有する成型用型を用いて、賦型によって製造することができる。図13に示された例においては、凹部74と、当該凹部74に対して溝76の長手方向における一側から接続する溝76と、の接続箇所の少なくとも一部分を覆うように第1の切欠部79aが形成されているとともに、凹部74と、当該凹部74に対して溝76の長手方向における他側から接続する溝76と、の接続箇所の少なくとも一部分を覆う第2の切欠部79bと、が形成されている。
【0128】
また、図13に示された型面72を含む成型用型70は、次のようにして作製することができる。まず、上述の実施の形態で説明した型70の作製方法と同様にして、型用基材80を準備し、次に、準備された型用基材80に凹部74を形成する。さらに、切削加工により、凹部74が形成された型用基材80に溝76を形成する。ただし、上述の実施の形態で説明した型70の作製方法とは異なり、図14Aおよび図14Bに示すように、型用基材80には複数状の溝76が形成される。そして、この複数の溝76を切削する際、溝77a,77b間で、切削方向を変更する。図14Aおよび図14Bに示す例では、型用基材80に二条の溝77a,77bが形成されている。図14Aに示すように、まず第1の溝77aが、型用基材80を一方向に回転させるとともにバイト88を一方向に送りながら、形成される。その後、図14Bに示すように、第1の溝77bが、型用基材80を逆方向に回転させるとともにバイト88を逆方向に送りながら、形成される。この結果、図13に矢印で示すように、作製された成型用型70の隣り合う溝77a,77bの間で、当該溝76を形成する際におけるバイト88の進行方向が逆向きとなる。そして、図13に示すように、隣り合う溝76の間で切削時のバイト88の進行方向が逆向きになると、各溝76の切削による形成にともなって当該溝76上に形成された切欠部42も、隣り合う溝76の間で、凹部74を挟んで溝76の長手方向における逆側に位置するようになる。
【0129】
また、上述した実施の形態において、切削加工により溝76および切欠部78を形成していく例を示したが、これに限られない。例えば、加工対象物の一部分に対して熱エネルギーを集中して加え(例えばレーザ光の局所的な照射)、当該一部分を溶解および気化させて取り除く熱的除去加工により、凹部74および溝76が形成された後の型用基材80に、切欠部78を形成してもよい。このような方法で作製された型70の切欠部78には、所望の形状を付与することが可能となる。この場合、この型70を用いて作製された光学シート40は、接続部42に入射する光に対して所望の光学的作用を及ぼすことができる。例えば、街頭に配置されるモニターについては、高所に配置されることから、正面方向よりも上方側へ光を積極的に出射させる必要が無いことがある。このようなモニターに対しては、第2単位形状要素55の長手方向に沿った面内で測定された光学シート40の出光面での輝度の角度分布が、正面方向を挟んで非対称となるように、接続部42の形状によって指向性が付与された光学シート40を用いることができる。
【0130】
さらに、上述した実施の形態において、第1単位形状要素50が、断面において、円形状の一部分または楕円形状の一部分に相当する形状(立体形状で言うと、球又は回転楕円体の一部)である例を示したが、これに限られない。例えば、第1単位形状要素50が、断面三角形形状を有する(立体形状で言うと、円錐)ようにしてもよい。其の他、該断面形状が、双曲線、放物線、サイクロイド、カーヂオイド、正規分布曲線、正弦曲線、双曲線正弦曲線、楕円函数曲線(sn函数、cn函数等)、ベッセル函数曲線、或はランキンの卵型の一部に相当する立体形状を、所望の光学特性(集光機能、光拡散機能、收差、再帰反射性等)に応じて適宜採用する事もできる。また、上述した実施の形態において、第1単位形状要素50の底面(本体部45に接続する面)が円形状からなる例(図3参照、即ち光学シート40のシート面の法線ndを回転軸とする回転体となる例)を示したが、これに限られない。例えば、第1単位形状要素50の底面が、楕円となる形状、或は、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形形状として形成されてもよい。さらに、上述した実施の形態において、光学シート40の第1単位形状要素50がすべて同一の構成を有する例を示したが、これに限られない。高さ、断面形状および底面形状等の少なくとも一つが互いに異なる複数種類の第1単位形状要素50が、光学シート40に含まれていてもよい。
【0131】
さらに、上述した実施の形態において、第1単位形状要素50が、本体部45の一方の面46上において、互いから60°傾斜した二つの方向に沿って、一定のピッチで並べて配列されている例を示したが、これに限られない。例えば、第1単位形状要素50が、本体部45の一方の面46上において、直交する二方向に沿って、一定ピッチで並べて配列されるように(正方格子状に配列)してもよい。また、第1単位形状要素50が、本体部45の一方の面46上にランダムに配列されるようにしてもよい。第1単位形状要素50を本体部45の一方の面46上にランダムに配列する方法の一例として、次の方法を挙げることができる。まず、例えば上述した実施の形態のようにして、隣り合う二つの第1単位形状要素の間の離間間隔が一定となるよう、多数の第1単位形状要素について、基準となる仮の配置位置を規則的に決定する。次に、隣り合う二つの第1単位形状要素が重ならない範囲で、一例として、基準となる仮の配置位置に第1単位形状要素を配列した場合における隣り合う二つの第1単位形状要素の間の離間間隔の半分以下の種々長さで、各第1単位形状要素を基準となる仮の配置位置からそれぞれずらして本体部45の一方の面46上に位置決めする。このようにして第1単位形状要素50を本体部45の一方の面46上にランダムに配列した場合には、第1単位形状要素50が本体部45上に偏って配置されることに起因した輝度の面内ばらつきの発生を防止しながら、第1単位形状要素50の配列に起因したモアレ(干渉縞)が目立ってしまうことを防止することができる。
【0132】
さらに、上述した実施の形態において、第2単位形状要素55が、断面において、二等辺三角形形状を有する例を示したが、これに限られない。例えば、第2単位形状要素55の断面形状が、諸特性付与等の目的で、三角形形状に変調、変形を加えた形状であってもよい。具体例として、光学機能を適宜調整するために第2単位形状要素55の断面形状が、図15に示すように三角形のいずれか一以上の辺が折れ曲がった(屈曲した)形状、三角形のいずれか一以上の辺が湾曲した形状(所謂扇形)、三角形の頂点近傍を湾曲させて丸みを帯びさせた形状、三角形のいずれか一以上の辺に微小凹凸を付与した形状であってもよい。また、第2単位形状要素55の断面形状が、三角形形状以外の形状、例えば台形等の四角形、五角形、或は六角形等の種々の多角形形状を有するようにしてもよい。さらに、第2単位形状要素55が、断面において、円または楕円形状の一部分に相当する形状を有するようにしてもよい。
【0133】
さらに、上述した実施の形態において、光学シート40の第2単位形状要素55がすべて同一の構成を有する例を示したが、これに限られない。高さ及び断面形状等の少なくとも一つが互いに異なる複数種類の第2単位形状要素55が、光学シート40に含まれていてもよい。
【0134】
さらに、上述した実施の形態において、隣り合う第2単位形状要素55が、隣接して隙間無く配置される例を示したが、これに限られず、前記素抜け等の光学特性上の支障を生じ無い範囲に於いて、隣り合う第2単位形状要素55が隙間を空けて配置され、第1単位形状要素50および第2単位形状要素55のいずれも配置されていない領域が、本体部45の一方の面46に設けられるようにしてもよい。
【0135】
さらに、光学シート40が光を拡散させる拡散機能を有するようにしてもよい。例えば、本体部45が一方の面46と他方の面47との間に光拡散層(中間マット層)を有するようにしてもよい。このような光拡散層(中間マット層)は、基部と、基部中に分散された光拡散剤と、を有する層として構成され得る。光拡散剤を含む光拡散層は、例えば、光拡散剤が光反射機能を有することにより、あるいは、光拡散剤が基部とは異なる屈折率を有することにより、光拡散機能を付与され得る。また他の例として、本体部45の他方の面47が光拡散層(裏面マット層)によって形成されるようにしてもよい。このような光拡散層(裏面マット層)は、上述した中間マット層と同様の光拡散剤を有した層、あるいは、エンボス加工やヘアライン加工等によって形成された凹凸面を有した層として構成され得る。
【0136】
さらに、光学シート40が帯電防止層を含むようにしてもよい。光学シート40に帯電防止層を加えることにより、本体部45全体に帯電防止機能を発現させることができる。この変形例によれば、埃等の異物付着を低減することができ、光学特性に与える悪影響を抑制することができる。また、上述した光拡散層が帯電防止機能を有するようにしてもよい。
【0137】
さらに、光学シート40が、最入光側面(入光面41)をなす反射防止層を含むように形成されていてもよい。光学シート40の最入光側面が反射防止層によって形成されることにより、光の利用効率を向上させることができる。なお、反射防止層は、出光側に隣接する層(例えば本体部45)よりも屈折率が低い層(低屈折率層)の単層として形成されていてもよい。あるいは、反射防止層が、屈折率の低い層(低屈折率層)と、当該屈折率の低い層と比較して屈折率の高い層(高屈折率層)と、が交互に配置された複数の層であって、最入光側が屈折率の低い層(低屈折率層)となっている複数の層として、形成されていてもよい。さらに、反射防止層が、特開昭50−70040号公報記載の如くの、光波長以下のピッチで配列された複数の入光側の突出する突起であって、各々が入光側に向けて次第に断面積を小さくしていく、複数の突起を有したモスアイ(moss-eye)型の層として形成されていてもよい。
【0138】
さらに、上述した実施の形態において、細長状の第2単位形状要素55の配列方向と、細長状の光源25の配列方向が、平行となっている例を示したが、これに限れない。細長状の第2単位形状要素55の配列方向と、細長状の光源25の配列方向が、交差していてもよく、一例として直交していてもよい。
【0139】
さらに、上述した実施の形態において、面光源装置20の光源25の発光部が、線状に延びる冷陰極管からなる例を示したが、これに限られない。光源25として、点状のLED(発光ダイオード)や面状のEL(電場発光体)等からなる発光部を用いることも可能である。また、上述した実施の形態において、光学シート40が直下型の面光源装置20に適用されている例を示したが、これに限られない。上述した光学シート40を、例えばエッジライト型(サイドライト型等とも呼ばれる)の面光源装置に適用することも可能であり、このような場合においても、光学シート40は直下型の面光源装置20に適用された場合と略同様の作用効果を奏することができる。
【0140】
さらに、上述した実施の形態において、光学シート40が組み込まれた面光源装置20および透過型表示装置10の全体構成の一例を説明したが、これに限られない。偏光分離フィルム35や光拡散シート38を削除または別の部材と置き換えてもよいし、集光シート等の他のシート状部材を追加して面光源装置20および透過型表示装置10に組み込むようにしてもよい。
【0141】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【実施例】
【0142】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0143】
<評価1>
〔光学シート〕
以下に説明する実施例A〜Dに係る光学シートおよび比較例1に係る光学シートを、図6に示された成型装置と同様の構成を有した装置を用いて、上述した製造方法と同一の方法で、作製した。この際、光学シート毎に異なる成型用型を用いたが、光学シートの製造に関するその他の条件は同一とした。
【0144】
(実施例A〜D)
実施例A〜Dに係る光学シートは、図1〜図5に図示された上述の実施の形態における光学シートと同様に、本体部の一方の面上に二次元配列された複数の第1単位形状要素(点状単位形状要素)と、本体部の一方の面上に配列され、本体部のシート面上の一方向と平行に一定の断面形状で延びる複数の第2単位形状要素(線状単位形状要素)と、前記一方向から互いに接続する第1単位形状要素および第2単位形状要素の接続箇所を少なくとも部分的に覆う接続部と、を有するようにした。
【0145】
各光学シートの第1単位形状要素は、球体の一部分に相当する形状を有し、各光学シートの第2単位形状要素は、主切断面において直角二等辺三角形状となるようにした。さらに、各光学シートにおける第1単位形状要素の配置および第2単位形状要素の配置も、図3を主として参照しながら説明した上述の実施の形態と同様にした。ただし、光学シート間において、第1単位形状要素の配列ピッチP1を変化させた。第1単位形状要素の配列ピッチP1以外の寸法については、表1に示すように、光学シート間で同一とした。
【0146】
また、実施例A〜Dに係る光学シートを製造するための成型用型は、図9A〜図11Bに図示された上述の実施の形態における作製方法と同様にして作製した。したがって、このような型を用いて作製された実施例A〜Dに係る光学シートにおいて、接続部が覆う第1単位形状要素および第2単位形状要素の接続箇所は、第2単位形状要素が、第1単位形状要素にその長手方向(前記一方向)における一側から接続する接続箇所のみとなった。
【0147】
(比較例A)
比較例Aに係る光学シートは、通常のフライアイレンズシートとした。すなわち、比較例Aに係る光学シートには、第2単位形状要素および接続部を設けなかった。比較例Aに係る光学シートのフライアイレンズを構成する単位レンズの構成(形状および配列方法等)は、実施例A〜Dに係る光学シートの第1単位形状要素の構成と同一とした。ただし、比較例Aに係る光学シートにおける単位レンズは、従来のフライアイレンズの作製方法により、可能な限り高い充填率で、本体部の一方の面上に配列した。具体的には、製造上の限界から、表1に示すように、隣り合う二つの単位レンズは隣接することなく、隣り合う二つの単位レンズ要素間に平均で4μm程度の隙間が生じた。
【0148】
〔評価方法〕
賦型によって作製された各光学シートについて、気泡や穴等の欠陥が形成されているか否かを確認した。結果は表1に示すように、比較例Aに係る光学シートには気泡および穴が多数視認されたが、実施例A〜Dに係る光学シートには気泡や穴は確認されなかった。
【0149】
<評価2>
〔透過型表示装置〕
実施例A〜Dに係る光学シートおよび比較例Aに係る光学シートを用いて、図16に示すような透過型表示装置を作製した。光学シート以外の構成は、透過型表示装置間で同一とした。また、透過型表示装置の光学シート以外の構成は、市販されている32インチ型の液晶表示装置の部材を利用した。
【0150】
図16に示すように、透過型表示装置は、面光源装置と、液晶表示パネル(透過型表示部)と、からなるようにした。また、面光源装置は、細長状に延びる複数の冷陰極管からなる光源と、光源を取り囲む反射板と、光源の出光側に配置された光拡散シートと、光拡散シートの出光側に配置された光学シートと、を有するようにした。各透過型表示装置において、光学シートの第2単位形状要素の配列方向と光源(冷陰極管)の配列方向とが平行となるようにした。
【0151】
〔評価方法〕
(評価方法1)
各透過型表示装置によって全面白色を表示した状態で、正面方向輝度(cd/m2)の測定を行った。輝度の測定には、トプコン製のBM−7を用いた。輝度測定結果を表1に示す。表1においては、測定結果を各透過型表示装置についての測定値の比で表している。
【0152】
(評価方法2)
各透過型表示装置を、面光源装置の発光面(光学シートのシート面)が鉛直方向に沿うとともに、光源の長手方向が水平方向に延びるようにして、配置した。透過型表示装置によって白色を表示した状態で、正面方向に対する角度を変化させるようにして水平面上における種々の測定方向から輝度を測定し、水平面(光源の長手方向を含む面)内における輝度の角度分布を得た。同様にして、測定方向を鉛直方向においても変化させ、鉛直面(光源の長手方向に直交する面)内における輝度の角度分布を得た。測定には、フランス、ELDIM社製のEZ−contrastを用いた。輝度の角度分布から、最高輝度となった正面輝度の半分の輝度が測定された角度(半値角)を計測した。正面方向を中心として両側で計測された角度値の平均値を表1に示す。
【0153】
(評価方法3)
各透過型表示装置によって白色を表示した状態で、光源の像が視認されるか否かについて目視で確認した。確認結果を表1に示す。表1において、光源の像を視認することができなかった表示装置について○を標記した。△は、通常の注意力で観察した場合には光源の像が気にならなかったものの、凝視することによって光源の像が視認された表示装置に標記した。
【0154】
【表1】

【符号の説明】
【0155】
10 透過型表示装置
15 透過型表示部
20 面光源装置
25 光源
28 反射板
35 偏光分離フィルム
38 光拡散シート
40 光学シート
41 入光側面
42 接続部
43a 接続部(第1の接続部)
43b 接続部(第2の接続部)
45 本体部
46 一方の面
47 他方の面
50 第1単位形状要素
51 配置中心
55 第2単位形状要素
60 成型装置
70 型
72 型面(凹凸面)
74 凹部
76 溝
77a 溝(第1の溝)
77b 溝(第2の溝)
78 切欠部
79a 切欠部(第1の切欠部)
79b 切欠部(第2の切欠部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の本体部と、
前記本体部の一方の面上に配列された複数の第1単位形状要素と、
前記本体部の前記一方の面上に配列され、各々が前記本体部のシート面上の一方向と平行に延びる、複数の第2単位形状要素と、
一つの第1単位形状要素と、当該一つの第1単位形状要素に前記一方向から接続する一つの第2単位形状要素と、の接続箇所の少なくとも一部分を覆う接続部と、を備え、
前記複数の第1単位形状要素の各々は、前記複数の第2単位形状要素の各々および前記接続部よりも高い位置まで前記本体部の前記一方の面から突出している、
ことを特徴とする光学シート。
【請求項2】
前記接続部は、前記接続箇所の前記少なくとも一部分から、前記一つの第2単位形状要素上を前記一方向に延びている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記接続部によって少なくとも一部分を覆われた前記第1単位形状要素と前記第2単位形状要素との接続箇所は、前記第2単位形状要素が、前記第1単位形状要素に前記一方向における一側から接続する接続箇所のみである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光学シート。
【請求項4】
前記第1単位形状要素と、当該第1単位形状要素に前記一方向における一側から接続する前記第2単位形状要素と、の接続箇所の少なくとも一部分を覆う第1の接続部と、
前記第1単位形状要素と、当該第1単位形状要素に前記一方向における他側から接続する前記第2単位形状要素と、の接続箇所の少なくとも一部分を覆う第2の接続部と、が設けられており、
前記第1の接続部が設けられている前記第2単位形状要素と、前記第2の接続部が設けられている第2単位形状要素と、は前記第2単位形状要素の配列方向において異なる位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光学シート。
【請求項5】
前記第1単位形状要素は、回転楕円体の一部に相当する形状または球の一部に相当する形状を有する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項6】
光源と、
前記光源からの光を受ける請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学シートと、を備える、
ことを特徴とする面光源装置。
【請求項7】
前記光学シートの出光側に配置された偏光分離フィルムをさらに備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の面光源装置。
【請求項8】
透過型表示部と、
前記透過型表示部に対向して配置された請求項6または7に記載の面光源装置と、を備える、
ことを特徴とする透過型表示装置。
【請求項9】
型を用いた賦型によって、請求項1〜5のいずれか一項に記載された光学シートを製造する方法であって、
流動性を有した材料を前記型内に供給する工程と、
前記型内に供給された材料を前記型内で硬化させる工程と、
前記硬化した材料を型から抜く工程と、を備え、
前記流動性を有した材料を供給する工程において、前記材料は、当該型で作製される光学シートの前記一方向に対応する方向に沿うようにして、当該型内に充填されていく、
ことを特徴とする光学シートの製造方法。
【請求項10】
型を用いた賦型によって、請求項3に記載された光学シートを製造する方法であって、
流動性を有した材料を前記型内に供給する工程と、
前記型内に供給された材料を前記型内で硬化させる工程と、
前記硬化した材料を型から抜く工程と、を備え、
前記流動性を有した材料を供給する工程において、前記材料は、当該型で作製される光学シートの前記一方向における他側から一側への向きに対応する方向および向きで、当該型内に充填されていく、
ことを特徴とする光学シートの製造方法。
【請求項11】
前記材料を型から抜く工程において、前記硬化した材料は、前記一方向に沿うようにして、前記型からしだいに引き離されていく、
ことを特徴とする請求項9または10に記載の光学シートの製造方法。
【請求項12】
請求項1〜5のいずれか一項に記載された光学シートを賦型により作製するための型であって、
円筒状の型面を備えたロール型として構成され、
前記第1単位形状要素に対応する複数の凹部と、前記第2単位形状要素に対応する溝と、
前記凹部と前記溝との接続箇所に形成され前記接続部に対応する切欠部と、が前記型面に形成され、
前記溝は、前記型面の中心軸線を中心として円周状に延び、あるいは、前記型面の中心軸線を中心として螺旋状に延びている、
ことを特徴とする型。
【請求項13】
請求項4に記載された光学シートを賦型により作製するための型であって、
円筒状の型面を備えたロール型として構成され、
前記第1単位形状要素に対応する複数の凹部と、前記第2単位形状要素に対応する複数の螺旋状の溝と、前記複数の溝に含まれる一つの溝と前記凹部との接続箇所に形成され前記第1の接続部に対応する第1の切欠部と、前記複数の溝に含まれる他の溝と前記凹部との接続箇所に形成され前記第2の接続部に対応する第2の切欠部と、が前記型面に形成されている、
ことを特徴とする型。
【請求項14】
請求項12に記載された型を製造する方法であって、
円柱状の型用基材に前記凹部を形成する工程と、
前記型用基材を切削することによって、前記凹部が形成された前記型用基材に前記溝および前記切欠部を形成する工程と、を備え
前記切削する工程において、前記型用基材への切り込み量を一定に保持した切削手段での切削により、前記溝とともに前記切欠部が形成される、
ことを特徴とする型の製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載された型を製造する方法であって、
円柱状の型用基材に前記凹部を形成する工程と、
前記型用基材を切削することによって、前記凹部が形成された前記型用基材に前記溝および前記切欠部を形成する工程と、を備え
前記切削する工程において、前記型用基材への切り込み量を一定に保持した切削手段での切削により、前記溝とともに前記切欠部が形成され、
前記切削する工程において、互いに平行な複数条の溝が形成され、複数条の溝のうちの一つの溝を形成する際の切削の向き、複数条の溝のうちの他の溝を形成する際の切削の向きと、は逆向きである、
ことを特徴とする型の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−133822(P2011−133822A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295485(P2009−295485)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】