説明

光学ユニット、ホログラム装置

【課題】入射レーザ光の波長に依存して生じてしまう回折型空間光変調器の回折角の振れの防止を図る。
【解決手段】回折型空間光変調器に対し、その前段に設けたプリズムを介してレーザ光を導く。このとき上記プリズムとしては、レーザ光の波長変化に伴う屈折透過光の出射角度の変化量が、同じ波長変化に伴って生じる上記空間光変調器の回折光の出射角度変化を相殺させるための当該空間光変調器への入射光の角度変化量と同等となるようなガラスの分散特性を有するものを選定する。このような構成により、空間光変調器の出射光に生じる角度変化がプリズムの出射光に生じる角度変化によって相殺されるようにすることができ、結果、レーザ光の波長が変化した場合にも、空間光変調器の出射光(回折光)の角度に変化が生じないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光をプリズム、回折型の空間光変調器の順に介して出力するようにされた光学ユニットと、そのような光学ユニットを備えてホログラム記録媒体に対する記録及び/又は再生を行うホログラム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2007−79438号公報
【特許文献2】特開平10−268112号公報
【0003】
例えば上記特許文献1にあるように、信号光と参照光との干渉縞によりデータ記録を行うホログラム記録再生方式が知られている。このホログラム記録再生方式において、記録時には、記録データに応じた空間光変調(例えば光強度変調)を与えた信号光と、この信号光とは別の参照光とをホログラム記録媒体に対して照射し、それらの干渉縞をホログラム記録媒体に形成することでデータ記録を行う。
また再生時には、ホログラム記録媒体に対して参照光を照射する。このように参照光が照射されることで、上記のようにしてホログラム記録媒体に形成された干渉縞に応じた回折光が得られる。すなわち、これによって記録データに応じた再生像(再生信号光)が得られる。このようにして得られた再生像を例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Oxide Semiconductor)センサなどのイメージセンサで検出することで、記録データを再生するようにされる。
【0004】
ここで、上記説明からも理解されるように、ホログラム記録再生方式においては、データの記録/再生を行うにあたって、記録時には記録データに応じて空間光変調を与えた信号光と、さらに参照光を生成し、それらをホログラム記録媒体に照射する必要がある。また、再生時には、ホログラム記録媒体に干渉縞によって記録されたデータを読み出すために、上記参照光を生成する必要がある。
このような信号光、参照光の生成にあたり入射光に空間光変調を施す空間光変調器として、従来では、例えば回折素子として角度可変の微少ミラーを具備するDMD(Digital Micro mirror Device:登録商標)など、回折型の空間光変調器を用いるということが行われている。
【0005】
図7は、このような回折型の空間光変調器(回折型空間光変調器100)を用いたホログラム装置の光学系の構成を模式的に示している。
図7において、この場合の回折型空間光変調器100には、図中色付き部分で示す複数の微少ミラーが形成されている。この回折型空間光変調器100は、図示されない駆動回路から供給される駆動信号に応じ、各微少ミラーの角度を制御する。例えばこの場合は、駆動信号によりオンとされた微少ミラーについてはその角度を所定分変化させ、オフとされた微少ミラーについては角度を変化させないようにされる。
【0006】
回折型空間光変調器100を用いる場合、ホログラム装置においては、上記のようにオンとされた状態のミラーからの反射光がホログラム記録媒体103側に導かれるように光学系が設計されている(図7では説明の便宜上、全ミラーがオンとされた状態を示している)。つまり、オフとされたミラーからの反射光はホログラム記録媒体103側には導かれない。
この結果、回折型空間光変調器100は、上記のようにして駆動信号に応じて各微少ミラーの角度制御を行うことで、入射レーザ光に対して画素単位で光強度の変調を施すことが可能とされる。すなわち、画素単位で光のオン/オフ制御を行うことが可能とされる。
【0007】
このような空間光変調器100に対して、記録時には、上記信号光と上記参照光とが生成されるようにするために、例えばその中心部の所定範囲(信号光エリアと呼ばれる)の画素は記録データに応じたオン/オフパターンとし、信号光エリアよりも外周の所定範囲(参照光エリアと呼ばれる)の画素は予め定められた所定のオン/オフパターンとするための駆動信号が供給される。つまり、このような駆動信号に応じて空間光変調器100による空間光強度変調が行われることで、中心部には記録データに応じた空間光強度変調が施された信号光が、またその外側部分には所定のオン/オフパターンによる参照光が生成される。
【0008】
空間光変調器100からの反射光は、図示するようにしてビームスプリッタ101を透過し、対物レンズ102によって集光されてホログラム記録媒体103に対して照射される。これにより記録時には、信号光と参照光とがホログラム記録媒体103上にて干渉し、その干渉縞によってデータが記録される。
【0009】
一方、再生時には、参照光のみが生成されるように、空間光変調器100には上記参照光エリア内に記録時と同じ上記所定のオン/オフパターンを与えるための駆動信号が供給される。この駆動信号に基づき空間光変調器100によって生成された参照光は、記録時と同様の経路(ビームスプリッタ101→対物レンズ102)を介してホログラム記録媒体103に照射される。このように参照光が照射されることに応じ、上述のようにしてホログラム記録媒体103に形成された干渉縞に応じた回折光が再生信号光として得られる。
ホログラム記録媒体103から得られた再生信号光は、対物レンズ102を介した後、ビームスプリッタ101で反射されることで、図示するようにしてイメージセンサ104に入射し、ここで上記再生信号光に応じた画像信号が検出される。これにより、記録データが読み出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のようにして空間光変調器として回折型の空間光変調器100を用いる場合は、オンとされた回折素子からの光が所定方向に導かれるように調整が為されていることで、駆動信号に応じた光のオン/オフ制御を行うことが可能とされている。
しかしながら、一般に回折型の空間光変調器100は、入射光の波長に依存してその回折角が変化する性質を有する。このため、入射するレーザ光の波長が基準波長からシフトした場合には、回折型空間光変調器100からの出射光の出力方向も然るべき方向からシフトしてしまい、この結果、ホログラム記録媒体103に対し所定の角度でレーザ光を照射することができなくなってしまう。すなわち、媒体上におけるレーザ光の照射位置ずれを生じさせる。
このようなレーザ光の照射位置ずれが生じた場合、記録/再生性能の悪化を招く。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明では光学ユニットとして以下のように構成することとした。
つまり、本発明の光学ユニットは、駆動信号に基づき複数の回折素子を駆動することで入射光に対して画素単位の空間光変調を施す回折型の空間光変調器と、プリズムとを備えると共に、入射レーザ光を上記プリズムにより屈折透過させて上記空間光変調器に導くように構成された光学ユニットであって、
上記プリズムが、上記レーザ光の波長変化に伴う屈折出射光の角度変化量が、上記波長変化に伴って生じる上記空間光変調器の回折光の出射角度変化を相殺する当該空間光変調器への入射光の角度変化量と同等となるようにしてそのガラスの分散特性が与えられいるものである。
【0012】
上述のように回折により空間光変調を施す回折型の空間光変調器は、入射光の波長変化に伴いその回折角が変化するものとなる。そこで本発明では、屈折率が同様に波長変化に依存して変化するものとして知られるプリズムを用いるものとし、当該プリズムを介してレーザ光を上記空間光変調器に対して導くように構成している。そして、このプリズムとしては、レーザ光の波長変化に伴う屈折出射光の角度変化量が、上記波長変化に伴って生じる上記空間光変調器の回折光の出射角度変化を相殺する当該空間光変調器への入射光の角度変化量と同等となるようなガラスの分散特性を有するものを選定している。
このような構成により、空間光変調器の出射光に生じる角度変化がプリズムの出射光に生じる角度変化によって相殺されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
上記のようにして本発明によれば、レーザ光の波長変化に伴い生じる空間光変調器の出射光角度の変化を、その前段に設けたプリズムの出射光角度の変化によってキャンセルすることができる。つまりこれにより、レーザ光の波長が変化した場合にも、空間光変調器の出射光(回折光)の角度に変化が生じないようにすることができる。
この結果、従来では波長変化に伴って記録/再生性能が悪化していたものを、その改善を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
[ホログラム装置の構成]
図1は、本発明に基づき構成することのできる実施の形態としてのホログラム装置の内部構成について示したブロック図である。なお、図1では主にホログラム装置の光学系の構成のみを抽出して示しており、他の部分については省略している。
【0015】
先ず、本実施の形態では、ホログラム記録再生方式として、いわゆるコアキシャル方式が採用される場合を例示する。このコアキシャル方式は、信号光と参照光とを同一軸上に配置し、それらを共に所定位置にセットされたホログラム記録媒体HMに照射して干渉縞によるデータ記録を行い、また再生時には参照光をホログラム記録媒体HMに対して照射することで干渉縞により記録されたデータの再生を行うものである。
【0016】
また、図中のホログラム記録媒体HMとしては、ディスク状(円盤状)であるとする。この場合、ホログラム記録媒体HMは、後述するようにして記録/再生用のレーザとは別のレーザ光の照射によって、トラッキングサーボなどの記録・再生位置制御を行うことが可能となるように、次の図2に示されるように信号光と参照光との干渉縞によって記録が行われる記録層(52)と共に、位置制御用の情報が記録される情報記録層を有するようにされている。
【0017】
ここで、例えばCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの従来の光ディスクについて記録再生を行うディスクドライブ装置では、記録再生用のレーザ光を利用してトラッキングサーボをかけるようにされている。すなわち、1種のレーザ光の照射により、記録/再生と各種サーボ制御を同時的に行うようにされている。光ディスクについて、このように1種のレーザ光の照射のみで記録/再生とサーボ制御を行うことが可能とされるのは、その記録層に記録パワーについての明確な閾値が存在するからである。
【0018】
しかしながら、ホログラム記録媒体の場合は従来の光ディスクとは事情が異なる。すなわち、ホログラム記録媒体の記録材料としては、現状ではフォトポリマーが有力視されているが、このフォトポリマーには記録パワーについての明確な閾値は存在しないものとなってる。従って、従来の光ディスクのように低パワーによるレーザ光照射を行ったとしても、モノマーがポリマーに変化してしまいその部分の記録特性を悪化させてしまうといった問題が生じる。
このため、ホログラム記録再生方式において従来の光ディスクのようなトラッキングサーボなどの位置制御を行うにあたっては、ポリマーの反応を防止すべく、記録/再生用のレーザ光とは波長の異なる別途のレーザ光を用いるようにされている。
【0019】
図2において、この場合のホログラム記録媒体HMには、上層から順にカバーガラス51、記録層52、反射膜53が形成されている。上記記録層52は、その材料として例えば上述したフォトポリマーが選定され、この場合は例えば波長=410nmの青紫色レーザ光による記録/再生が行われるものとなる。また、上記反射膜53は、再生時において上記青紫色レーザ光による参照光が照射された際に上記記録層52に記録されたデータに応じた再生像が得られた際に、これを反射光としてホログラム装置側に導くために設けられる。なお、上記カバーガラス51は上記記録層52の保護のために設けられる。
【0020】
そして、このホログラム記録媒体HMに対しては、記録/再生位置制御を可能とするために、基板56と反射膜55とが備えられる。基板56には、例えばホログラム記録媒体HMの内周側から外周側にかけてスパイラル状に案内溝が形成されている。この案内溝により、上記記録層52におけるデータの記録/再生位置を規定することができる。なお、この案内溝を蛇行させて形成することで、例えばCDやDVDにおける記録可能メディアの場合と同様にその蛇行の周期によってアドレス情報や回転制御のための情報などを記録するといったこともできる。或いはこのような案内溝に代えて、ピット列を形成し、このピット列によりアドレス情報などの各種の情報を記録することもできる。
そして、基板56における上記案内溝(又はピット列)が形成された面(表面)に対しては、反射膜55が、例えばスパッタリングや蒸着などによって成膜され、このように反射膜55が成膜された基板56が、図示する中間層54としての例えばレジンなどの接着材料によって上述した反射膜53の下層側に対して接着されることで、この図に示すホログラム記録媒体HMが形成される。
【0021】
また、このホログラム記録媒体HMにおいて、上記反射膜53としては、波長選択性を有するようにされる。ここで、図2のような反射型のホログラム記録媒体とされる場合、上述のようにして記録/再生用の青紫色レーザ光は当該反射膜53にて反射されるべきものとなるが、位置制御用に別途に照射されるレーザ光は、上記案内溝(又はピット列)に応じた凹凸断面形状が与えられた反射膜55まで到達してここで反射されるべきものとなる。このため、反射膜53としては、記録/再生用のレーザ光は反射し、位置制御用に照射されるレーザ光は透過するという波長選択性を有するように構成される。
【0022】
この場合、位置制御用のレーザ光としては、例えばDVDなどと同様の波長=650nm程度の赤色レーザ光が用いられる。上記のように反射膜53が波長選択性を有するように構成されていることで、この場合の位置制御用のレーザ光は当該反射膜53を透過し、基板56上の反射膜55に到達し、ここで反射される。この反射光が位置制御のための反射光として装置側へと導かれることになる。
【0023】
このような構造によるホログラム記録媒体HMとされることで、ホログラム装置側では、記録/再生用のレーザ(図1中のメインレーザ1)とは波長の異なる別途のレーザ(図1中のサブレーザ22)からレーザ光を照射し、その反射光を利用してトラッキングサーボなどの記録/再生位置制御を行うことが可能とされる。
【0024】
説明を図1に戻す。
ホログラム記録媒体HMは、図示しないスピンドルモータなど回転駆動手段によって回転され、メインレーザ1を光源とするレーザ光の照射によって記録/再生が行われる。このメインレーザ1としては、例えば外部共振器付きレーザダイオードが採用され、レーザ光の基準波長は上述した410nmである。
【0025】
上記メインレーザ1からの出射光はアナモプリズム2を介した後、シャッター3に入射する。このシャッター3は、図示されない制御部からの制御信号に基づき入射光を遮断/透過する。
上記シャッター3を介した光は空間フィルタ4に入射する。この空間フィルタ4内においては、光源側から順に集光レンズ4a、アパーチャー4b、コリメータレンズ4cが備えられ、これらの構成によってレーザ光の中心部分(例えば光強度がピーク値(100%)〜80%程度となる20%程度の範囲)の光を抽出して出力する。
空間フィルタ4からの出射光はミラー5で反射された後、1/2波長板6を介してミラー7で反射された後、図示するようにしてプリズム8を介して回折型空間光変調器9に入射する。
【0026】
回折型空間光変調9は、複数の回折素子を備え、変調制御部28から供給される駆動信号に基づき各回折素子の回折角を制御する。この場合、上記回折素子としては、DMD(Digital Micro mirror Device:登録商標)のように角度変化が可能な微少ミラーを備え、上記駆動信号に応じて各微少ミラーの角度を変化させる。具体的にこの場合は、例えば上記駆動信号によりオンとされた微少ミラーについてはその角度を所定分変化させ、オフとされた微少ミラーについては角度を変化させないようにされる。
この場合も、上記のようにオンとされた状態のミラーからの反射光がホログラム記録媒体HM側に導かれるように光学系が設計されており、オフとされたミラーからの反射光はホログラム記録媒体HM側には導かれない。つまり、これによって回折型空間光変調器9は上記駆動信号に応じ、入射レーザ光に対して画素単位で光のオン/オフ制御(つまり空間光強度変調)を行うようにされている。
【0027】
空間光変調器9は、このような空間光強度変調を行うことで、記録時には信号光と参照光、再生時には参照光のみを生成するようにされる。
ここで、記録時において、変調制御部28は、例えば上記空間光変調器9の中心部分を含む所定範囲(信号光エリア)の画素は記録データに応じたオン/オフパターンとし、信号光エリアよりも外周側の所定範囲(参照光エリアと呼ばれる)の画素は予め定められた所定のオン/オフパターンとし、且つそれ以外の画素はすべてオフとするための駆動信号を生成し、これを空間光変調器9に供給する。この駆動信号に基づく空間光変調が行われることで、空間光変調器9によって上記信号光と上記参照光とが生成される。
また、再生時において上記変調制御部28は、上記参照光エリア内の画素を上記所定のオン/オフパターンとし、それ以外の画素は全てオフとするための駆動信号により空間光変調器9を駆動制御することで、上記参照光のみを生成させる。
【0028】
上記空間光変調器9にて空間光変調が施された光は、図示するようにして1/4波長板10を介した後、リレーレンズ部11に入射する。このリレーレンズ部11には、図示するようにして上記1/4波長板10からの入射光を集光するリレーレンズ11aと、このリレーレンズ11aからの光の径を制限するアパーチャー11bと、アパーチャー11bからの出射光を平行光に変換するためのリレーレンズ11cとを備えている。
【0029】
そして、上記リレーレンズ部11を介した光は、偏光ビームスプリッタ12を透過した後、リレーレンズ部13に入射する。このリレーレンズ部13においても、先のリレーレンズ部11と同様に、入射光を集光するリレーレンズ13aと、このリレーレンズ13aからの光の径を制限するアパーチャー13bと、アパーチャー13bからの出射光を平行光に変換するためのリレーレンズ13cとが備えられている。リレーレンズ部13を介した光はダイクロイックミラー14に入射する。
【0030】
ダイクロイックミラー14は、上記リレーレンズ部13を介して入射した光を透過する。このダイクロイックミラー14による透過光は1/2波長板15を介して45°ミラーで反射された後、対物レンズ17を介してホログラム記録媒体HMに照射される。
【0031】
ここで、上述した空間光変調器9による記録時の空間光変調によっては、メインレーザ1を光源とするレーザ光に基づき信号光と参照光とが生成される。すなわち、記録時において、上記の光路によってレーザ光の照射が行われることで、ホログラム記録媒体HMに対して信号光と参照光とが照射される。このように信号光と参照光とがホログラム記録媒体HMに対して照射されることで、記録層52にこれらの光の干渉縞によってデータを記録することができる。
【0032】
また、再生時には、空間光変調器9によって参照光のみが生成され、これが上記の光路によってホログラム記録媒体HMに対して照射されることになる。このようにホログラム記録媒体HMに対して参照光が照射されることに応じては、上記干渉縞に応じた回折光(再生信号光)が得られる。このようにして得られた再生信号光は、ホログラム記録媒体HMの反射膜53からの反射光として装置側に戻るようにされる。
上記再生信号光は、対物レンズ17を介して平行光となるようにされた後、45°ミラーで反射され、さらに1/2波長板15→ダイクロイックミラー14→リレーレンズ部13を介し、偏光ビームスプリッタ12に入射する。
偏光ビームスプリッタ12では、入射された上記再生信号光を反射するようにされる。偏光ビームスプリッタ12による反射光は、図示するようにして集光レンズ18を介してミラー19で反射された後、コリメータレンズ20を介してイメージセンサ21に入射する。
【0033】
イメージセンサ21は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Oxide Semiconductor)センサなどとされ、上記のようにして導かれるホログラム記録媒体HMからの再生信号光を受光し、これを電気信号に変換して画像信号を得る。このようにして得られた画像信号は、記録時に信号光に対して与えた「0」「1」データパターン(つまり光のON/OFFパターン)を反映したものとなる。すなわち、このようにしてイメージセンサ21で検出される画像信号が、ホログラム記録媒体HMに対して記録されたデータの読み出し信号となる。
【0034】
データ再生部29は、上記イメージセンサ21によって検出された画像信号中に含まれる空間光変調器9の画素単位の値ごとに「0」「1」のデータ識別を行って、ホログラム記録媒体HMに記録されたデータを再生する。
【0035】
また、図1に示すホログラム装置においては、メインレーザ1を光源とするレーザ光を用いて行われる記録/再生動作について、その記録/再生位置の制御を行うための光学系として、図示するサブレーザ22、フォトディテクタ23、コリメータレンズ24、集光レンズ25、ビームスプリッタ26、ミラー28が備えられている。
【0036】
上記サブレーザ22としては、先に説明した記録/再生用のメインレーザ1とは異なる波長によるレーザ光を照射するように構成される。具体的に、この場合はホログラム記録媒体HMの記録層52に対する感度がほぼ無いに等しいとされる、例えば650nmの波長によるレーザ光を出力するようにされる。
【0037】
上記サブレーザ22から出射されたレーザ光は、コリメータレンズ24を介してビームスプリッタ26を透過した後、ミラー27で反射されてダイクロイックミラー14に入射する。
ダイクロイックミラー14は、このようにして入射されるサブレーザ22を光源とするレーザ光(サブレーザ光とする)を反射するようにされ、この反射されたサブレーザ光は1/2波長板15側に導かれる。このようにしてダイクロイックミラー14から1/2波長板15側に導かれたサブレーザ光は、先のメインレーザ光(メインレーザ1を光源とするレーザ光)の場合と同様に1/2波長板15→45°ミラー16→対物レンズ17を介してホログラム記録媒体HMに対して照射される。
上記ダイクロイックミラー14が設けられていることで、この場合のホログラム装置では、それぞれの光軸を一致させるようにしてメインレーザ光とサブレーザ光とをホログラム記録媒体HMに対して照射するようにされている。
【0038】
ここで、先の図2において説明したように、ホログラム記録媒体HMでは、上記のようにして照射された波長650nmによるサブレーザ光が反射膜53を透過し、その下層の反射膜55で反射される。つまり、これによって基板56上に形成された案内溝(又はピット列)に応じた反射光が得られる。
上記反射膜55からの反射光についても、先のメインレーザ光の場合と同様に、対物レンズ17→45°ミラー16→1/2波長板15を介してダイクロイックミラー14に入射する。
【0039】
ダイクロイックミラー14ではこのようなサブレーザ光の戻り光を反射するようにされ、この反射光は図示するようにしてミラー27側に導かれる。このミラー27の反射光は、図示するようにしてビームスプリッタ26で反射され、集光レンズ25を介してフォトディテクタ23に入射される。
【0040】
フォトディテクタ23は、上記のようにして得られるサブレーザ光の戻り光に基づき、メインレーザ光についての記録/再生位置を制御するための検出信号を得る。このフォトディテクタ23による検出信号に基づいては、例えばトラッキングサーボ制御を行うためのトラッキングエラー信号や、フォーカスサーボ制御を行うためのフォーカスエラー信号などが生成される。
なお、図1では、上記フォトディテクタ23の検出信号に基づき行われる記録/再生位置制御のための構成については図示を省略しているが、サブレーザ光の照射に基づき行われるトラッキングサーボ制御などの記録/再生位置制御(及びフォーカスサーボなどの他のサーボ制御)を行うための構成は、例えばCD、DVD、BD(Blu-ray Disc:登録商標)など現状の光ディスクの分野で採用されるものと同様の構成が採用されればよい。このような記録/再生位置制御のための構成については、本発明と直接的に関係するものではなくここで特に限定されるべきものではない。
何れにしても、上述したようにしてメインレーザ光とサブレーザ光とが互いの光軸が一致するようにしてホログラム記録媒体HMに対して照射される下では、このようにサブレーザ光の反射光に応じたトラッキングサーボなどの記録/再生位置制御が行われることで、メインレーザ光についての適正な記録/再生位置制御を行うことができる。
【0041】
[光学ユニットの構成]
図3は、図1において破線により囲って示した、実施の形態としての光学ユニット内のプリズム8と回折型空間光変調器9との関係を模式的に示している。なお、この図ではレーザ光の様子も併せて示している。
この図3に示されるようにして、実施の形態の光学ユニットでは、入射レーザ光を、プリズム8を介して回折型空間光変調器9に対して導くようにされている。
【0042】
ここで、回折型空間光変調器9は、入射光の波長に依存してその回折光の出射角度が変化する性質を有する。同様に、プリズム8としても、入射光の波長に依存してその屈折出射光の角度が変化する性質を有する。このことを踏まえると、上記図3に示す構成において、レーザ光の波長変化に伴い生じるプリズム8の屈折出射光の角度変化量が、同じ波長変化に応じて生じる空間光変調器9の回折角の変化を相殺させるような変化量に設定できれば、空間光変調器9の回折角に変化を生じさせないようにできることがわかる。
そこで本実施の形態では、上記プリズム8の材質として、その屈折率についての波長依存特性が、レーザ光の波長変化によって空間光変調器9に生じる回折角の変化を相殺させるための屈折出射光変化量が得られるような特性を有するものを選定する。
【0043】
ここで、次の図4を参照し回折型空間光変調器9の動作原理について考察した上で、上記のようなプリズム8の波長依存特性とするための条件を導出する。
先ず、この図4に示されるように、回折型空間光変調器9には、図中色付き部分によって示す複数の微少ミラーが形成され、これら微少ミラーの傾斜角度θmが駆動信号に応じて変化されることで、入射光の入射角θiに対する、回折光の出射角度(回折角)βの関係が変化する。
このとき、上記入射角θiと回折角βの関係は、上記入射光の波長をλ、各微少ミラー間のピッチをdとおくと、

【数1】

で表される。
なお、微少ミラーの傾斜角度θmとの関係は、

【数2】

である。
【0044】
ここで、回折角βは任意でよく、簡単のためにβ=0として、光学ユニットに対する入射レーザ光の波長変化量をΔλ、このΔλによる波長変化に伴う入射角θiの変化量(つまりプリズム8の屈折出射光の角度変化量と同じ)をΔθiとすると、

【数3】

が、空間光変調器9の出射光に生じる角度変化をプリズム8の出射光に生じる角度変化によって相殺するための条件式となる。つまり、プリズム8としては、入射レーザ光の波長変化Δλに対する屈折出射光の角度変化量として、上記条件式を満たすΔθiと同じ角度変化量が得られる分散特性を有するガラス材が選定されればよいものである。
なお、確認のために述べておくと、プリズム8の屈折出射光の角度変化量は、プリズム8を構成するガラス材の分散特性(換言すればガラス材の屈折率)で一意に決定されるものである。
【0045】
このようにして選定されたプリズム8を用いることにより、光学ユニットとしては、入射レーザ光の波長変化に対し空間光変調器9の回折角βに変化を生じさせないようにすることができる。
その上で本実施の形態では、さらにプリズム8による反射ロスの防止及び、屈折透過光の拡大の防止を図るために、以下のような条件も加えるものとする。
【0046】
先ず、条件1として、プリズム8に対してレーザ光がブリュースター角(Brewster's angle:tan-1n)で入射されるように、プリズム8へのレーザ光の入射角θ1(図3)を設定する。また、これと共に上記レーザ光がプリズム8の入射面でP偏光(つまりレーザ光の振動面が入射面に平行)となるようにする。
この条件1が満たされることで、プリズム8の入射面における表面反射ロスをほぼ無くすことができ、当該入射面側にて略100%の光を屈折透過することができる。
【0047】
また、条件2として、プリズム8を二等辺三角形による断面形状を有する三角柱形状とした上で、この二等辺三角形の頂角α(つまりプリズムの入射平面と出射平面とのなす角度)の設定により、プリズム8内の透過光が当該プリズム8の出射平面に対しブリュースター角(tan-1(1/n))で入射されるようにする。なお、この条件2を満たすことは、上記ブリュースター角で入射したレーザ光のプリズム8内の透過光が、当該プリズム8の底辺と平行となるようにすることと同義となる。
この条件2を満たすにあたっては、上記頂角αを、プリズム8の出射平面側のブリュースター角(図3中α/2)の2倍に設定すればよい。
上記条件2が満たされることで、出射面側における内面反射ロスをほぼ無くすことができ、略100%の光を屈折透過することができる。つまり上記条件1と併せれば、この場合のプリズム8においては入・出射側の双方で反射ロスを生じさせないようにすることができる。これによれば、この場合のプリズム8の入射面・出射面に対してはAR(Anti Reflection)コートを施す必要がなくなり、その分プリズム8の製造コストを安価に抑えることができる。
【0048】
また、上記条件2によれば、入射角θ1と屈折角(屈折出射角)θ2とが等しくなるので、プリズム8の屈折出射光が一次元方向に拡大してしまうことを防止することができる。
ここで、このように屈折出射光の一次元方向の拡大が防止できれば、入射レーザ光の円形性を保ったまま空間光変調器9にレーザ光を導くことができる。前提として、ホログラム装置においては記録/再生のための信号光及び参照光を円形とするようにされているので、このように空間光変調器9に対する入射光の円形性が保たれる、換言すれば空間光変調器9に対する入射光が楕円形状とされてしまうことが防止できることで、その分、記録/再生動作の安定性を確保することができる。
【0049】
ここで、プリズム8のガラス材として、上記[数3]の条件式を満たすΔθiと同じ屈折出射光の角度変化量(Δθ2)が得られるガラス材が選定されれば、プリズム8の屈折率が一意に決まるものとなる。そして、このようにプリズム8の屈折率が決まれば、入射平面側のブリュースター角が一意に決まる。従って、プリズム8に対し当該ブリュースター角による入射角θ1でレーザ光を入射するという条件の下で、出射平面に対しプリズム8内の透過光がブリュースター角で入射するような二等辺三角形の頂角αを有するプリズム8の形状とすれば、レーザ光の波長変化に対しても空間光変調器9の回折角βに変化を生じさせず、且つ上記条件1と条件2とを満たすことの可能なプリズム8とすることができる。
【0050】
なお、本実施の形態において、上記条件1におけるプリズム8に対するP偏光入射を実現するにあたっては、図1に示す1/2波長板6を用いるものとしている。すなわち、1/2波長板6は、その光学軸方向が、プリズム8の入射面におけるレーザ光の振動面が当該入射面と平行となるようにして自らを透過するレーザ光の偏光方向を変化させる方向となるように、その取付角度が調整されている。このような1/2波長板6を介したレーザ光がプリズム8に入射するようにされていることで、プリズム8の入射面にレーザ光をP偏光で入射させることができる。
【0051】
ここで、次の図5を参照して、上記により説明した実施の形態としてのプリズム8の設計例について説明しておく。
先ず、前提として、この場合の回折型空間光変調器9の微少ミラーのピッチdは例えばd=19.37μmであるものとし、また微少ミラーの傾斜角度θmは例えばθm=22.39度と設定したとする。この場合、回折次数m=18となる。また、先にも述べたようにこの場合のレーザ光の基準波長はλ=410nmである。
【0052】
この条件の下で、先の[数3]に基づく条件を満たすプリズム8のガラス材として、SF4(屈折率n=1.80304)を選定する。このガラス材の屈折率によって決まるプリズム8への入射光のブリュースター角は、図5に示されるようにして60.0986度となる。また、この場合の出射平面に対するブリュースター角は図示するように29.0135度となるので、プリズム8の頂角αは、その2倍の58.027度となる。また、先の説明から理解されるようにこの場合は入射角θ1=屈折出射角θ2となり、従ってθ2=60.0986度である。
【0053】
また、図6は、図5にて説明したプリズム8を用いて、レーザ光の波長変化と空間光変調器9の出射光軸の振れとの関係について計算によるシミュレーションを行った結果を示している。なおこの図では比較として、プリズム8を設けない場合の計算結果も示している。本例のプリズム8を設けた場合の計算結果は菱形のプロットと実線との組で示し、プリズム無しの場合の計算結果は丸形プロットと破線との組で示している。この図において、横軸はレーザ光の波長(nm)、縦軸は空間光変調器9の出射光軸ズレ量(mrad)である。
【0054】
この図6では、基準波長=410nmから±5nmの波長変化に対する光軸ズレ量を示しているが、従来のプリズム無しの場合には、この±5nmの波長変化に対して±4.5程度の光軸ズレが生じていることが確認できる。これに対し本例のプリズム8を設けた場合には、基準波長からの同変化に対して殆ど光軸ズレが生じていないことが確認できる。この結果より、本例のプリズム8を設けることによって、波長変化に伴う空間光変調器9の回折角の振れが従来より大幅に低減されることが理解できる。
【0055】
このように空間光変調器9の回折角の振れが大幅に低減され、記録再生のためのレーザ光の光軸ズレの抑制が図られることで、先に説明したような記録/再生位置制御用のレーザ光との光軸ズレも大幅に低減でき、記録/再生位置制御の精度向上を図ることができる。そしてこれにより、記録/再生性能の向上が図られる。
【0056】
[変形例]
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した例に限定されるべきものではない。
例えば、先に説明した条件1、条件2を満たすことは必須ではない。すなわち、例えば波長変化に伴う空間光変調器9の回折角の振れのみの防止を図るものとして、プリズムにおける反射ロスについて特に考慮する必要性がないとした場合などには、プリズムに対するレーザ光のP偏光入射及び、ブリュースター角による入射は必須ではない。同様に、空間光変調器9の回折角の振れの防止のみを図る観点から見れば、プリズム内の透過光の出射面側へのブリュースター角入射及び、プリズムの二等辺三角形による断面形状は必須ではない。
【0057】
また、これまでの説明では、プリズムに対してレーザ光をP偏光入射させるにあたって、光学系中においてプリズムよりも前段となる位置に挿入した1/2波長板6の取付角度を調整する場合を例示したが、1/2波長板以外の他の光学部品によってレーザ光の偏光方向の調整を行うようにすることもできる。或いは、このように光学系中に調整のための光学部品を挿入せずに、プリズム自体の取付角度の調整によってP偏光入射が実現されるようにしてもよい。
【0058】
また、プリズム8を空間光変調器9の直前に挿入するものとしたが、本発明の光学ユニットにおいて、プリズムは少なくともレーザ光源から回折型空間光変調器との間であれば任意位置に挿入することができる。
例えば、図1の構成とした場合には、1/2波長板6よりも後で且つ空間光変調器9よりも前となる位置であれば任意位置に挿入することができ、例えば1/2波長板6とミラー7との間に挿入するといったこともできる。
【0059】
また、これまでの説明では、本発明が記録・再生の双方が可能な記録再生装置としてのホログラム装置に適用される場合を例示したが、本発明としては記録のみが可能な記録専用装置、または再生のみが可能な再生専用装置としてのホログラム装置に対しても好適に適用することができる。
【0060】
或いは、ホログラム装置に限定されず、本発明としては、例えばレーザプロジェクションディスプレイにおける光学系など、回折型空間光変調器によって入射レーザ光について空間光変調を施すように構成される装置に対して広く好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態としてのホログラム装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態のホログラム記録媒体の断面構造を示した図である。
【図3】実施の形態としての光学ユニットについて説明するための図である。
【図4】回折型の空間光変調器の構造を模式的に示した図である。
【図5】実施の形態としてのプリズムの設計例について説明するための図である。
【図6】レーザ光の波長変化と空間光変調器の出射光軸の振れとの関係についてのシミュレーション結果を示した図である。
【図7】回折型の空間光変調器を用いたホログラム装置の光学系の構成を模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0062】
1 メインレーザ、2 アナモプリズム、4 空間フィルタ、6 1/2波長板、8 プリズム、9 回折型空間光変調器、12 偏光ビームスプリッタ、14 ダイクロイックミラー、17 対物レンズ、21 イメージセンサ、22 サブレーザ、23 フォトディテクタ、26 ビームスプリッタ、28 変調制御部、29 データ再生部、HM ホログラム記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号に基づき複数の回折素子を駆動することで入射光に対して画素単位の空間光変調を施す回折型の空間光変調器と、プリズムとを備えると共に、入射レーザ光を上記プリズムにより屈折透過させて上記空間光変調器に導くように構成された光学ユニットであって、
上記プリズムは、上記レーザ光の波長変化に伴う屈折出射光の角度変化量が、上記波長変化に伴って生じる上記空間光変調器の回折光の出射角度変化を相殺する当該空間光変調器への入射光の角度変化量と同等となるようにしてそのガラスの分散特性が与えられいる、
ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
上記プリズムは、
上記空間光変調器の回折次数をm、
上記空間光変調器に形成される各回折素子間のピッチをd、
上記レーザ光の基準波長をλ、
上記基準波長からの波長変化量をΔλ
上記基準波長λのときの上記プリズムから出射されたレーザ光の上記空間光変調器への入射角をθi、
上記Δλによる波長変化に伴う上記空間光変調器への上記レーザ光の入射角の変化量をΔθiとしたとき、

【数1】

を満たす上記Δθiによる屈折出射角変化量が得られるガラス材が選定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
上記プリズムの入射平面において上記レーザ光がP偏光で入射するようにして上記レーザ光の偏光方向を調整する調整手段をさらに備えると共に、
上記プリズムは、二等辺三角形による断面形状を有する三角柱形状とされ、且つ上記レーザ光がブリュースター角で入射されたときに、当該プリズム内の透過光が当該プリズムの出射面に対しブリュースター角で入射するようにしてその頂角が設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項4】
上記空間光変調器は、上記回折素子として角度可変のミラーを備えることを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項5】
参照光と信号光との干渉縞によって情報記録が行われるホログラム記録媒体に対して記録及び/又は再生を行うホログラム装置であって、
所要の光源から出射されたレーザ光を上記ホログラム記録媒体に対して導くための光学系に対して挿入され、且つ駆動信号に基づき複数の回折素子を駆動することで入射光に対して画素単位の空間光変調を施す回折型の空間光変調器と、プリズムとを備えると共に、入射レーザ光を上記プリズムにより屈折透過させて上記空間光変調器に導くように構成された光学ユニットであって、上記プリズムが、上記レーザ光の波長変化に伴う屈折出射光の角度変化量が、上記波長変化に伴って生じる上記空間光変調器の回折光の出射角度変化を相殺する当該空間光変調器への入射光の角度変化量と同等となるようにしてそのガラスの分散特性が与えられいる光学ユニットと、
上記空間光変調器に対し上記駆動信号を供給して、上記参照光及び/又は上記信号光を生成させる変調制御手段と、
を備えることを特徴とするホログラム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−310258(P2008−310258A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160461(P2007−160461)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】