説明

光学式画像化とポイント蛍光分光学とを組み合わせたインビボ医療診断のためのマイクロスケールコンパクトデバイス

【課題】生体細胞および生体組織の画像および蛍光データを得るためのUV源および蛍光検出器を含めた画像形成装置を含む輸送カプセルを使うことによって、ガン性および前ガン性の細胞を含めた異常細胞の存在を医師が検出するための方法および装置を提供すること。
【解決手段】本方法は、以下の工程を含む:蛍光データを得るために紫外線(UV)光源を使って生体組織を走査する工程;蛍光データおよび/または画像をラジオ高周波(RF)また他の適切な手段を使ってパーソナルコンピューター(PC)システムに転送する工程;PCにおいて画像および/または蛍光データを分析する工程;組織を前ガン細胞およびガン細胞と識別する工程;および必要に応じて、それらの正確な場所を決定し、そして計算された蛍光画像の正確さを評価する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、生体組織の視覚化および評価のための医療画像化装置に関し、特に、動脈疾患の発見のために、動脈のガン細胞領域および前ガン細胞領域を含めた異常生体組織を発見するための医療画像化装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代のガンの広播性に関して、悪性腫瘍に対する気道・消火器、婦人科(GYN)トラクトおよび胸を検査することが一般的になった。X線画像化、MRI(磁気共鳴画像化)、CT(コンピュータトモグラフィー)スキャンおよび内視鏡検査を含めて、これらの部位を検査する多くの方法がある。X線画像化、MRIおよびCTスキャンの欠点としては、時間を消費すること、コストが高いこと、および有害な放射線被曝が挙げられる。さらに、X線画像化、MRIおよびCTスキャンは、望まれる場合に、サンプリングされた組織表面の詳細な写真画像を提供することができない。
【0003】
内視鏡検査は、悪性腫瘍を検査する周知の方法であり、そして埋め込まれた光ファイバー(またはファイバー束)による内視鏡を使用する。光源からの光は、ファイバーまたはファイバー束の中とつながり、そして内視鏡の遠端に位置している組織を照らすために内視鏡を通して送られる。組織から散乱された光は、1つ以上のレンズによって集められ、そして内視鏡の遠位端に取り付けられた検出器の中に映し出されるか、または撮像ファイバーの束の中に連結される。次いで、その画像は、医師による検査のために、および要求に応じて保存、印刷、送信などのために、コンピューターまたはビデオシステムのような画像化手段に内視鏡を通して転送される。その手順の間に、異常な組織が視覚的に発見された場合、医師は、生体組織検査および処置のための組織試料を得ることができる。さらに、組織サンプルは、通常、悪性腫瘍の視覚的証拠を有する部位のみにおいて採取されるので、前ガン性または早期段階のガン組織の発見が遅れ、そしてそのことは、最悪の結果をもたらす可能性がある。
【0004】
現在、内視鏡検査は、患者に麻酔をかけることを必要とし、そして、手順の後に患者に不快または痛みを起こすことがあり得る画像化の観血法である。さらに、内視鏡検査は、高価であり、時間がかかり、そしてガン細胞または前ガン性の細胞の存在を即座に確認することができない。その上、生体検査のための組織試料の採取は、手順の後にさらなる不快または痛みを患者に起こすことがあり得る。
【0005】
最近、内視鏡検査の分野において内視鏡検査の欠点のいくつかを解決することを目的とした数例の進展があった。例えば、光源(例えば、レーザー、LED、ランプなど)からのUVおよび/または可視光で組織を励起させ、そして光検出器によって発光を検出することにより、ガンおよび前ガン状態の細胞を検出するための固有組織蛍光を使った技術が開発された。発ガン現象は、細胞および組織の分子および構造特性の改変を起こし、その結果、細胞および組織の光学特性の変化をもたらすので、異常な細胞(例えば、前ガン細胞およびガン細胞)を光学的に検出することができる。例えば、芳香族アミノ酸、コラーゲン、エラスチン、還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)およびフラビンのような鍵となる組織フルオロフォアからの蛍光信号は、正確および即座に正常組織を悪性組織および前悪性組織から区別することができる。この光学式検出方法は、組織の採取およびその後のインビトロ生体組織検査を必要とせず、そのことは、大いに患者の不快感を減らし、そしてガンの検出を即座に行うことができる。ガンを即座に検出することは、生命を救うことを可能にする。というのは、どのようなガン診断の時間短縮であっても、特に非常に悪性のガンを取り扱う場合、ガンの進行の可能性を減らすことができるからである。この技術は、本発明の発明者によって発明され、以下に記載されている:[特許文献1]、[特許文献2]、および[特許文献3]。全てR.R.Alfanoらによる。これらの特許文献の全ては、本明細書において参照により組み込まれる。
【特許文献1】米国特許第4,930,516号明細書
【特許文献2】米国特許第5,131,398号明細書
【特許文献3】米国特許第6,091,985号明細書
【0006】
ガンの発見のための点光源蛍光の使用は、婦人科(GYN)トラクト、気道・消化管、結腸、胸および食道の領域のような内視鏡の使用を必要としない体の領域において実証されてきたが、内視鏡を通したインビボでの蛍光画像形成は、以下のような困難な問題を提示する:現在利用可能な画像形成内視鏡は、ガラスから製造された画像形成ファイバーを使っており、したがって必要とされるUVおよび青色光を伝送することができない;内視鏡の遠位端に位置する検出器は、程度の低いUVスペクトル反応しか有しない;そして、UVおよび青色光における蛍光信号は、散乱光より弱く、そのため電子増幅を必要とする。
【0007】
気道・消化管の検査を改良するための別の技術は、内視鏡検査の代わりに、遠隔制御可能なマイクロスケール画像形成装置を使用する。この技術は、大いに内視鏡検査の侵襲性を減らし、そして小腸のようないっそう到達しにくい臓器へのアクセスを可能性とする。この技術は、本発明の発明者によって発明され、そして[特許文献4]に開示される。この特許の内容は、本明細書において参照により組み込まれる。
【特許文献4】米国特許第6,240,312 B1号明細書
【0008】
残念ながら、視覚的画像形成および組織評価の両方が可能である蛍光分光法および単一のマイクロスケールデバイスにおける画像形成を使用することは、改良が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の技術で存在する前述の問題を改善すること、および前ガン状態、ガン動脈硬化などを含めた組織および細胞の正常性および異常性を、適時に、非侵襲性で正確に検出するための装置および方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態によれば、上記の目的を達成するために、少なくとも1点の蛍光源を使って、気道・消化管の全体に機能することができる蛍光分光法および画像形成システムを使用した組織悪性腫瘍(そのような前ガン状態、ガンなど)を検出するための装置および方法を提供する。
【0011】
本発明の別の実施形態において、現存のCCD(電荷結合素子)内視鏡の診断能力は、UV−可視光の発光ダイオード(LED)およびフィルター付きフォトダイオードを内視鏡チップ(すなわち、遠位端)に付け加えることにより改良され、リアルタイムの分光法情報が得られ、そしてあるがままの組織を診断することを可能にする。
【0012】
本発明のさらなる別の実施形態においては、光学式画像形成システム、UVおよび可視光の発光ダイオード(LED)および/またはUV発光レーザー、およびフィルター付きフォトダイオードを含めた小型フォトニクス探索器(CPE)を提供し、分光法情報を含めたリアルタイム画像を提供し、そしてあるがままの組織を診断することを可能とする。
【0013】
本発明の別の実施形態においては、インビボでの応用に適した小型フォトニクス探索(CPE)装置および方法、画像化光検出器を有する小型プリント回路ボード(PCB)、1つ以上のポイント光源光検出器、1つ以上の光源、送信器、およびPCB上にプリントされたマイクロプロセッサベースの制御器を含むデバイスが提供される。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態においては、電力消費を節約し、そしてパルスモード操作における画像を獲得することにより電池寿命を延長するシステムおよび方法が提供される。ここで、光源ならびにデータ伝送速度および/または画像伝送速度の負荷サイクルは、電池寿命を延長し、そして所望の量のデータを提供するように調節することができる。
【0015】
本発明のさらなる実施形態においては、異常組織を標的とする蛍光および異常な組織の可視光画像形成を組み合わせることで、優れた画像形成および医療目的の評価が提供される。
本発明のさらに別の実施形態において、本発明の画像形成装置は、要求に応じて内視鏡を含むことができる。
【0016】
したがって、本発明の第一の態様によれば、インビボでの生体組織における異常を視覚的に評価および検出するためのマイクロスケール装置であり、以下のものを含む装置を提供する:可視光スペクトルにおける照射を提供するための照射源;可視光画像形成のための光学画像センサー;生体組織が発光波長において固有蛍光を発するのに適した励起波長を有する光線を発する発光器;固有蛍光を検出するための1つの光検出器;発光器および光検出器を制御するための処理回路;光学式検出器から、および光学画像センサーから遠隔の受信器に受け取られるデータを送るための送信器であり、上記処理回路で制御される送信器;および少なくとも光学式光源および/または光検出器を含むための輸送カプセル。
【0017】
本発明の別の態様によれば、インビボでの生体組織における異常を視覚的に評価および検出するための方法であり、以下の工程を含む方法が提供される:照射を行い、そして可視光線発光器を使い、少なくとも1つの発光器を使った生体組織に特有の発光波長における固有蛍光をその生体組織が発するのに適した励起波長を有する光線を発して、生体組織の視覚的画像を得る工程;少なくとも1つの検出器を使って、生体組織のからの固有蛍光を検出する工程;および検出された固有蛍光に関連するデータを遠隔の受信器に送信する工程。
【0018】
本発明の別の態様によれば、ガンおよび前ガン状態を検出するための方法であり、以下の工程を含む方法が提供される:可視光線を生体組織に照射し、生体組織の可視光画像を得る工程;生体組織が少なくとも2つの励起波長に対応している所定の発光波長における固有蛍光を発するように、上記少なくとも2つの励起波長を使って生体組織を励起させる工程;発光波長の内の少なくとも2つに対する発光波長における固有蛍光の強度を検出する工程;およびガンまたは前ガン状態の内の少なくとも1つの存在を決定するための所定の閾値に対する検出された強度の比率を比較する工程。
【0019】
本発明の上記もしくは他の目的、特徴および利点は、次の添付の図面と合わせた場合に、後記の詳細な説明からいっそう明確になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の好ましい実施形態が、より詳細に記述される。
本発明は、CMOSもしくはCCDセンサー、UV光源、UV/可視ポイントセンサー、可視光源、少なくとも1つの可視光画像化検出器、分散選別部材および光線操作部材(例えば、レンズ、格子、鏡、プリズム、光ファイバー、光線分離器、これらの組み合わせなど)を含むものであり、異常領域(例えば、前ガン性細胞およびガン性細胞などを有する領域)から正常領域を画像化および検出して区別する目的で、その領域のポイント蛍光分光法を組み合わせた組織領域を画像化するための医療画像化および評価装置および方法の使用に関する。さらに、本発明は、生体組織における前ガンおよびガンのような異常をリアルタイムで診断および検出するために、データ(画像、および蛍光強度を含めた蛍光情報)をオペレーター(例えば、外科医または他の医療提供者)にリアルタイムで提供する。さらに、本発明は、組織サンプルの採取およびその後の組織評価のための生体検査を必要としない。そのため、時間を節約し、コストを減らし、そして転移の可能性のある非常に悪性の細胞を扱う場合に特に、生命を助けることが可能である。
【0021】
組織から得られた蛍光情報が検出され、蛍光情報の比率(例えば、蛍光強度比(FIR))が計算され、ラジオ周波数(RF)または他の適切な手段(例えば、電線、光学的手段、マイクロ波など)使って、評価のために所望の受信器(例えば、PDA、モバイル端末、コンピューター、PalmOne Tungsten T5(商標)、ミニPCなど)に送信される。その評価は、データを送ることができる任意の場所、例えば、患者側に位置している(例えば.患者が身につけている)コンピューター端末において、または全世界の別の地域において行うことができる。さらに、視覚画像もまた、要望に応じて、所望の受信器(例えば、コンピューター、デスプレイなど)に送信することができる。その上、蛍光情報(または画像および/または蛍光情報を含む他の任意の指示物)の比率を、必要に応じて視覚画像と(送信の前または後のいずれかで)関連付けることができる。別の実施形態において、蛍光情報の比率は、データが送られる遠隔コンピュータによって計算される。
【0022】
可視光源としては、白色光照明を提供するために同時に発光するか、または(スペクトル画像を提供するために)連続的に発光するかのいずれかの赤色、緑色、および青色のLEDを挙げることができる。さらに、可視光線源としては、白色光を作り出すためのリン光物質によるUV発光LEDを挙げることができる。可視光画像形成検出器としては、CMOS検出器アレイまたはCCD検出器アレイを挙げることができる。分散選択部材としては、吸収フィルター、干渉フィルターまたはホログラフィックフィルターを挙げることができる。光線操作光学部材としては、レンズ、格子、鏡、プリズム、光ファイバー、光線分離器、他の回折部材、これらの組み合わせなどを挙げることができる。
【0023】
本発明のUV−可視光線源としては、固有組織フルオロフォアを励起させるように発光するAlGaN、AlGaInNまたはZnMOの合金(または他の適切な材料)に基づいたレーザーまたはLEDを挙げることができる。UV−可視光ポイントセンサーとしては、フォトトランジスターもしくはフォトダイオード(例えば、PIN、PNまたはアバランシェ)または他の適切な装置(例えば、光エネルギーが統合され、領域または組織から1つ以上の信号を得て、所望の画像を取り込むCMOS画像センサー、CCD画像センサー)を挙げることができる。
【0024】
本発明の実施形態による小型フォトニック探索器(CPE)の透視図が、図1に示される。CPE200は、下に記述されるように、画像化装置204および送信器236を含む。CPE200は、蠕動運動によって推進させることができるが、別の実施形態では、必要に応じた推進システム(例えば、プロペラ、またはトラックなどのような他の移動手段)を使うことができる。CPEに包まれた画像化装置204が示されているが、画像化装置204の光学素子およびRF素子は、(下で示され、そして記述されるように)必要とされ得るCPEの外部と連絡を取ることができることは注意すべきである。送られる光線および入射する光線は、それぞれ線240および線238で示される。
【0025】
さらに別の実施形態において、MEMS(マイクロ電気機械システム)系デバイスは、光学式システムの制御(例えば、フィルター調節、光線操作など)を行うために、そしてCPEを移動させるために、CPEまたはその中に取り付けることができる。
【0026】
可視光画像形成およびUV−可視光ポイント検出器を含むCPEを説明している本発明の実施形態の構成図が、図2に示される。CPE200は、インビボにおいて画像化および評価される組織サンプル202に隣接して位置している。CPE200は、リン光情報および必要に応じた静止画およびビデオ画像を得るため、そして所望のデバイス(例えば、コンピューター、画像化装置など)にこの情報を伝達するために使われる画像化装置204を含む。画像化装置204は、(照射源としても知られている)可視光発光器206、UV−可視光発光器230、RF送信器および制御機能のための必要に応じた光学受信器208、電源210、制御器212、メモリ218、UV検出器222、フィルター226、および光学式画像センサー224を含む。レンズ(図示せず)は、それぞれの光源に必要であり得、その例としては、多素子レンズ、ならびに焦点を合わせ、そして所望の波長を通過させることができる他の適切なレンズを挙げることができる。
【0027】
可視光線発光器206は、それぞれ赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを使って製造することができる赤色発光器206R、緑色発光器206G、青色発光器206Bを含めた、可視光線を提供するための複数の発光器を含む。組合せたLEDは、カラー画像形成のために白色光を発することができる。しかし、別の実施形態においては、可視光線発光器として、白色LEDのような単一光源または他の適切な光源を挙げることができる。UV光発光器230は、第一UV発光器230UV1、第二UV発光器230UV2、および第三UV発光器230UV3を含む、UV照射を提供するための複数のUV発光器を含み、任意の適切な技術を使って製造することができる。光学式画像センサー224は、光学式画像センサー(例えば、CMOS、CCD、ダイオードアレイ、フォトトランジスター、PINダイオード、フォトダイオードなど)およびUV/可視ポイント検出器または他の適切な光検出器を含む。ポイント写真検出器は、可視光およびUVの蛍光が組織202から発光されるのを検出するのに適している。格子(図示せず)およびフィルター226のような波長選択部材は、要求に応じて、そして下に記述されるように、光にフィルターをかけるために使われる。光線操作部材(例えば、レンズ、格子など)220は、所望の光線の位置を正確に決め、および/または焦点を合わせるために使われる。
【0028】
電源210は、画像化装置204の種々の部材に電力を供給するために使われ、好ましくは、電池および/またはコンデンサーならびに他の公知の電源のような蓄電源が例として挙げられる。電力を節約するために、可視光線発光器206、UV−可視光線発光器230、RF送信器208、制御器212、メモリ218、UV検出器222、フィルター226、および光学式画像センサー224を含む画像化装置204の負荷サイクルは、所望の間隔に設定することができることは注目すべきである。
【0029】
制御器212は、発光器の時間を調節し、それに電力を供給するために、そして検出器をサンプリングする(例えば、検出器をゲートする)ために使われる必要に応じたタイミング回路(図示せず)を含めた画像化装置204の種々の機能を制御する。例えば、制御器212は、それぞれ可視光発光器206およびUV発光器230の時間調節、および検出器(222−1、222−2および222−3)のゲートを制御する。さらに、制御器212はRF送信器208を制御し、データを画像化装置204から他の場所まで送信することができるようにする。そのデータは、アナログからデジタルへの(A/D)変換器(図示せず)が使われる場合には、アナログフォームまたはデジタルフォームのいずれかで送ることができる。
【0030】
必要に応じたメモリ218(例えば、RAM、ROMなど)は、制御器と接続し、そして必要なデータ(例えば、要求に応じた画像化装置204を制御するためのコード、画像データなど)を保存し、読み出すために使われる。
【0031】
本発明の現在の実施形態において、好ましくは1から3つの間のUV発光器230UV1、230UV2および230UV3、ならびに3つのUV検出器222−1、222−2および222−3がある。それらは、画像化装置204の診断能力および電力使用を最適化するように組織特異性を有し得る。しかし、別の実施形態においては、異なった発光器(例えば、異なった波長を有する発光器)および対応する検出器を、用途(例えば、必要に応じたGYNトラクト、気道・消化管、GIトラクトなど)に依存して使用することができる。フィルター(または他の分散素子)のバンドパスは、目的の波長に合うように選択することができる。別の実施形態においては、要求に応じて、任意の数のUV発光器を使用することができる。
【0032】
それぞれのUV発光器の波長は選択することができ、組織の構造および分子組成を詮索するために異なった組織フルオロフォアを励起させ、そして詮索された組織の健康状態についての情報を得ることができる。例えば、260〜300nmの範囲の波長は、トリプトファンに対して組織を詮索するのに理想的である;325〜350nmの範囲の波長は、コラーゲンに対して組織を詮索するのに理想的である;そして250〜400nmの範囲の波長は、NADHに対して組織を詮索するのに理想的である。UV検出器222は、UV領域および青色光領域におけるスペクトル情報の検出のために最適化される。好ましくは、UV検出器222の数は、診断情報を有する蛍光波長の数と一致するように選択される。光学フィルター226および/または透過格子もしくは反射格子(図示せず)は、UV検出器222上で特定のフルオロフォアに入射する波長を限定するために、必要に応じて使用される。例えば、検出器の波長は、トリプトファンに対して320〜360nm;コラーゲンに対して370〜400nmおよびNADHに対して430〜470nmであり得る。同様に、検出器の数は、診断情報を有する蛍光波長の数と一致するように選択することができる。
【0033】
可視光画像形成およびUV−可視光ポイント検出器を含むCPEを説明する本発明の別の実施形態の構成図が図3に示される。CPE200は、それに取り付けられた相補型金属酸化物半導体(CMOS)光学画像センサー224を含む。UVポイント検出器222は、UV−可視光ポイントソースデータを取り込むために使われる。光学画像センサー224は、(電源制約が許容される場合)、静止画像および/またはビデオ画像を捉え、そして所望の装置(例えば、PDA、コンピュータ、画像化装置など)にこの情報を送信するために使われる。CPE200は、発光器205(UV発光器230および可視光線発光器206を使うことによるUV光および可視光)、RF送信器モジュール209、必要に応じた受信器(図示せず)、電源210、電力調節器211、制御器212、必要に応じたメモリ(図示せず)、およびフィルター226を含む。さらに、別の実施形態においては、レンズ(図示せず)は各光源および/または各検出器に対し必要であり得、その例としては、多素子レンズ、ならびに焦点を合わせ、そして所望の波長を通過させることができる他の適切なレンズを挙げることができる。
【0034】
光検出器としては、CMOS画像化装置224およびUV/可視ポイント検出器、または照射された生体組織から返ってくる可視光およびUV光(蛍光)を検出するのに適した他の適切なフォトニック検出器が挙げられる。格子およびフィルターのような必要に応じた波長選択部材は、要求に応じて、光にフィルターをかけるために使われる。それらは、本明細書の他の部分で記述されているので、これ以上の記述はしない。同様に、必要に応じた光線操作部材は、所望の光線の位置を正確に決め、および/または焦点を合わせるために使用することができる(そして、それらは、本明細書の他の部分で記述されているので、これ以上の記述はしない)。
【0035】
電源210は、CPE200の種々の部材に電力を供給するために使われ、そして例としては、電池、燃料電池および/またはコンデンサーなどのような蓄電源を挙げることができる。必要に応じた調節器211は、CPE200の種々の部材を要求に応じて調節および制御する。
【0036】
RF送信器モジュール209は、遠隔コンピューターまたはユーザー装着のコンピューター、PDAなどのような所望の受信器にCPE200からのデータを送るために使われる。RF送信器モジュール209は、ミキサー213、発振器(例えば、電圧制御発振器(VCO))、および基底帯域信号をRFまたはマイクロ波信号に変換するためのミキサー(例えば、RFミキサーまたはマイクロ波ミキサー)を含む。発振器は、好ましくは少なくともRF送信またはマイクロ波送信に適した1つ以上の所望の周波数を発することができる低出力の発振器である。
【0037】
別の実施形態においては、第一発振器および第二発振器を含めた複数の発振器が提供される。第一発振器は、RFミキシングまたはマイクロ波ミキシングに適した高周波信号を作り出し、そしてずっと低い周波の信号を作り出す第二発振器は、(下に記述されるような)基本操作のために使われる。使用に際して、発振器の一方または両方に電源が入れられ、必要に応じて操作される。例えば、より高い周波数が必要または望ましい場合(例えば、送信のためにRFと基底帯域信号とを混ぜる場合)、第一発振器に電源が入り、少なくともミキサー213によって使用される。第二発振器もまた、要求に応じてCPE200の任意の素子で使用することができる。発振器を制御することによって、パワードローを下げることができ、そしてCPEの電池寿命の持続時間を延長することができる。例えば、CPEに必要に応じたタイマーを装備することにより、CPEは、第一発振器がスイッチを切られ、第二発振器が内蔵タイマー(および/または他の電気回路)により使用されるスリープ状態に入ることができる。スリープ状態は、クロックサイクルを低くすることによって、電力を節約する(そのため、クロックされたトランジスタの電力消費を減らす)ことができる。CPEがスリープ状態から目覚めたとき(例えば、タイマーが、1枚以上の写真の撮影、データ送信、蛍光データの処理/取得にかかる時間を決定したとき)、CPEは、第一発振器を作動させること(そして必要に応じて、第二発振器への電力供給をカットし、電力を節約すること)ができる。
【0038】
制御器212は、マイクロプロセッサを含み、そして発光器の時間調節をし、発光器に電力を供給するため、および検出器をサンプリングする(例えば、検出器をゲートする)ために使われる必要に応じたタイミング回路(図示せず)を含むCPE200の種々の機能を制御する目的で使用される。例えば、制御器212は、それぞれ可視光発光器206およびUV発光器230の時間調節、ならびにCMOS光学的画像センサー224のゲーティングを制御する。さらに、制御器212はRF送信器モジュール209を制御し、データをCPE200から他の場所まで送信することを可能とする。アナログからデジタルへの(A/D)変換機(図示せず)が使われる場合、データは、アナログフォームまたはデジタルフォームのいずれかで送ることができる。
【0039】
RAM、ROMなどのような必要に応じたメモリ(図示せず)は、制御器と接続し、そして必要なデータ(例えば、要求に応じた画像化装置204を制御するためのコード、画像データなど)を保存し、読み出すために使われる。
【0040】
本発明の実施形態によるCPE受信器ベースの構成図が、図4に示される。CPE受信器ベース400は、RFチューナー402、電源404(例えば、電池、コンデンサー、燃料電池、太陽電池など)、ビデオ信号取込器(grabber)406、メモリ(例えば、ハードドライブ、RAM、ROMなどの内の1つ以上)408、必要に応じた無線ネットワークインタフェース412、および必要に応じたバス(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB))410を含む。操作に際して、RFチューナー402は、蛍光データ(そして必要に応じた画像データ)を含んだCPE200からの送信(例えば、RF、マイクロ波など)を受け取り、そして受け取ったRF信号を基底帯域信号に変換する。次いで、その基底帯域信号は、基底帯域信号から所望のデータを抽出するビデオ信号取込器406によって処理される。次に、データは、メモリ408に保存することができ、および/または必要に応じてUSB、イーサネットもしくはファイヤーワイヤーまたは無線ネットワークインタフェース412を介して他の装置に送信することができる。
【0041】
本発明の実施形態によるモバイルCPEベースを説明する構成図が、図5に示される。モバイルCPEベース450は、モバイルターミナル(MT)452(例えば、PalmOne Tungsten T5 Handheld(商標)、アップル(商標)I−Pod(商標)、ポケットPCLabView、デルAxim(商標)X50v、OQO−μPCミニコンピュータのようなパーム(商標)型デバイス、Palm(商標)OSもしくはウインドウズ系オペレーティングシステムなどのような他の適切なオペレーティングシステムを使う他のパーム型デバイス、携帯電話など)を含む。MT452は、CPE200からの送信を受け取るために、CPE200に同調させた受信器を含み、組織評価の間は人体内部に位置させることができる。MT452はまた、CPE200からの所望のデータを受け取り、処理し、分析し、保存し、表示し、そして送信するためのソフトウェアを含むことができる。例えば、CPE200から受信したデジタルデータを処理するためのソフトウェアは、CPE200から受信した画像の鮮明度を改善することができるデジタル信号処理(DSP)技術を含むことができる。さらに、ソフトウェアは、MT452にFIRを計算することができるようにするためのアルゴリズムを含むことができる。
【0042】
MT452は、MT452にユーザーの体内にCPE200を位置させることが可能であろう外部受信器(取り外し可能でCPE200のユーザーに付けることができる)を含むことができる。次いで、この位置データは、画像、蛍光、またはFIRデータのいずれかとでも関連付けられうる。用途に依存して、必要に応じた電源が、受信器および/またはMTに電力を供給することを必要とする。
【0043】
別の実施形態においては、MT452が、CPE200から受信する画像およびデータを処理および分析のためのサーバーまたは他のコンピューターデバイスに転送するための既存の無線ネットワークを使うことができることが想定される。例えば、MTは、医師によるリアルタイム分析のために、画像を医療提供者のオフィスコンピューターに直接転送することができる。これは医療提供者へのユーザーの訪問を不必要とするか、または少なくすることができる。
【0044】
さらに別の実施形態においては、MT452はまた、他のユーザーデータを取得、処理、および/または送信することができる。例えば、MT452は、ユーザーの心臓の鼓動、体温、血中酸素レベルなどを要求に応じて取得することができる。
【0045】
発光器および検出器の可能な組み合わせは、気道・消化管組織に関する従来の研究において獲得および分析された蛍光スペクトルに基づくことができる。その従来の研究は、インビボで実行されるもの(すなわち、[非特許文献1])およびエクスビボで実行されるもの(すなわち、[非特許文献2];ならびに[非特許文献3])である。上記の両方の文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【非特許文献1】Schantz,S.P..Kolli,V.,Savage,H.E.,Yu,G.,Shah,J.P.,Harris,D.,Katz,A.Alfano,R.R.およびG.,H.A.による「In Vivo Native Cellular Fluorescence And Histological Characteristics Of Head And Neck Cancer,」Clinical Cancer Research.4:1177,1998
【非特許文献2】Katz,A.,Savage,H.E.,Chu,M.,Busuk,P.M.,Altorki,N.,Godwin,T.,McCormick,S.A.,およびAlfano,R.R.による「Investigation Of Barrett’s Esophagus By Ultraviolet And Visible Fluorescence Emission And Excitation Spectroscopy」Optical Tomography and Spectroscopy of Tissue III,SPIE Proceedings Vol.3597,San Jose,1999
【非特許文献3】Y.Yang,Y.,E.J.Celmer,M.Zurawska−Szczepaniak,およびR.R.Alfanoによる「Excitation Spectrum Of Malignant And Benign Breast Tissues:A Potential Optical Biopsy Approach,」Lasers In The Life Sciences,7,(4):249−65,1997
【0046】
本発明の別の実施形態を使った、正常、前ガン性(形成異常)およびガン性(腺ガン)のエクスビボ食道組織からの平均発光スペクトルを説明するグラフが、図6に示される。現行の実施形態は、320nmにおける1つのみの励起光源およびそれぞれ380nmおよび460nmの異なった波長のためのフィルターを有する2つの検出器を含む。本発明の発光器/検出器の組み合わせは、発光を測るのに、そしてコラーゲンおよびNADHから強度比率を計算するために理想的である。グラフは、正常、前ガン性およびガン性のエクスビボ食道組織からの正規化された発光スペクトルを示し、そしてこれらのバンドの強度における相対差を示す。
【0047】
本発明の別の実施形態を使って得られた、正常、前ガン性(形成異常)およびガン性(腺ガン)のエクスビボ食道組織からの平均励起スペクトルを説明するグラフが、図7に示される。蛍光スペクトルの分析から決定した発光器および検出器の波長を選択するための方法は、正常、ガン性および前ガン性の食道組織からの正規化平均励起スペクトルを調べることによって理解することができる。これらの測定結果を得るために、励起スペクトルを、380nmにおける発光強度が測られている間に、250〜360nmで走査した。290nmにおいて励起したバンドは、トリプトファン由来であり、そして335nmにおいて励起し、通常組織にのみ存在するバンドは、コラーゲン由来である。コラーゲンに対するトリプトファンの発光強度比は、335nm励起による380nm発光に対する290nm励起による380nm発光の比率によって計算することができる。ガン組織および前ガン組織に関しては、この比率は、弱いコラーゲン発光のために高くなる。通常組織に関しては、この比は、強いコラーゲン発光が存在するために低くなる。この比は、390nmおよび335nmにおける2つの発光器および380nmにおける1つの検出器の使用により、CPE内で決定することができる。トリプトファン信号およびコラーゲン信号は、様々な時間において励起光源をパルスとし、検出器をゲートすることにより、分離することができる。
【0048】
蛍光強度比(FIR)を得るために使われる2つの方法は、発光比率法および励起比率法として知られている。どちらか1つが、悪性度についての診断情報を与える。発光比率法は、一つの励起波長(例えば、単一のUV光LED由来)を使い、(少なくとも2つのUV−可視光検出器を使って)2つの異なった波長における蛍光発光強度を検出し、そして検出された蛍光発光強度を使って検出された発光強度の比率を計算する。励起比率は、少なくとも2つの励起波長(例えば、異なった波長を有する2つのUV光LED由来)を使って、そして(例えば、単一の検出器を使って)励起波長のそれぞれに対する蛍光発光強度を検出する。次いで、蛍光発光強度比率を、2つの蛍光発光強度を使って計算する。
【0049】
別の実施形態においては、UV染料を使って、組織が固有周波数以外の周波数において蛍光を発することを可能とする。
本発明の実施形態に従ったCPEを含むシステムの構成図が、図8に示される。そのシステムは、オペレーティングシステム(例えば、必要に応じてウインドウズ(商標)、ユニックス、リナックス)を使っているPC800のようなコンピューターを含む。PCは、キーボード806およびマウス804のような1つ以上の入力デバイス、メモリ808、ハードドライブ810のような必要に応じたディスク記憶手段、ネットワーク814を含めた外部デバイスと接続する必要に応じたネットワークインタフェース812、ならびにCPE200からの/への伝達を送信するための必要に応じたCPE受信器808および必要に応じた送信器816を含む。さらに、モバイルCPE受信器ベース450を使うことができる。使用に際して、CPE200は、(ヒトに限定されない)患者818に挿入され、そしてPCのオペレーターが制御し、および/またはCPE200からの情報を受信する。例えば、静止画、グラフおよび他のデータを、ディスプレイ822PCおよび/またはモバイルCPE受信器ベーススクリーン822MT上に表示することができる。PC800が患者818の隣りに示されているが、別の実施形態においては、オペレーターは、ネットワークコミュニケーションを使って技術的に実行可能であるように、世界中のどこにでもいることができる。さらに別の実施形態においては、データは、CPE200から、世界中の任意の場所に位置しているコンピュータに選択されたデータを次に伝えるPC800に送信することができる。例えば、南極大陸にいる患者が、CPE200を飲み込むことも可能である。CPEは、CPEとのRF通信状態にある近接のコンピュータにより、位置的に制御される。第一のコンピュータは、1人以上のオペレーターと通信し、その内の一人は、ニューヨーク(U.S.A.)にいることができ、そしてCPEから受け取られたデータを受け取った静止画を解釈する。別のオペレーターは、ニューデリー(インド)にいることができ、そしてCPEから受け取った蛍光データを解釈する。そして、画像データおよびCPEからの他のデータもまた、後の使用のためにデータベースに保存することができる。いくつかの使用において、CPE200は、PCに必要に応じてデータを次に送信するモバイルCPE受信器ベース450にデータを送る。CPE200はまた、CPE送信器808を介してPCにデータを直接伝えることもできる。
【0050】
CPEの実施形態の操作を説明するフローチャートが、図9に示される。CPEは、初期化された後、ボディーに挿入される。工程900において、制御器212は、(制御器212が、画像取り込みルーチンを始動させるのに適切な時であるとすでに決定したと想定して)可視光線発光器206(この例では、白色光LEDである。)を生体組織に照射させる。次いで、制御器212は、工程902に進み、そこで可視光画像を光学式画像センサー224によって取り込む。次に、画像を工程904においてメモリ218に保存する。それから、UV発光器を始動させ、UV光を照射し、生体組織が工程906において蛍光を発するようにする。UV発光器は、波長およびとノイズ特性に依存して、連続的またはすべて一緒に始動させることができる。工程908において、蛍光データが、UV検出器222−1、222−2および222−3の内の少なくとも1つによって獲得される。別の実施形態においては、光学式画像センサー224が蛍光データを取り込む。工程910において、所定の閾値に工程912で合致するまで、捉えられた蛍光データは、統合される。すなわち、多数のUV画像データが統合される。例えば、所定の閾値としては、既定の数のデータサンプルN、信号閾値、信号/ノイズ比、捉える波長の既定の数、所望の蛍光強度比などを挙げることができる。蛍光データが統合され、そして新しい蛍光データが必要とされなくなった後、蛍光データは、工程914において必要に応じて画像データに融合される。蛍光データは、実際の画像データに蛍光データを加えることによって、画像データにデータを連続的に加えることによって、または蛍光データがその対応する視覚画像と関連付けられ得る他の任意の適切な方法によって、画像に融合することができる。別の実施形態おいては、蛍光データは、モバイルCPE受信器ベース450またはPC800のような外部コンピューターによって融合される。
【0051】
工程916において、視覚画像データおよび各蛍光データのいずれかまたは両方が、工程918におけるRF信号または送信のための他の任意の適切な信号と混ぜられる。工程920において、CPE200は、別の位置に移動され、そして画像/蛍光データ獲得プロセスが繰り返される。上述のように、CPE200を移動させるための適切な方法としては、受動的移動手段および能動的移動手段(例えば、ガスの圧力、磁力など)を挙げることができる。前述の画像/蛍光データ獲得プロセスが行なわれた後、必要に応じたタイマーを稼動させることができ、それにより、画像/蛍光データプロセスが工程900で繰り返される前に、CPEは、新たな位置に移動する時間を有する。
【0052】
データ受信のプロセスは、工程922から930で説明される。説明のみのために、受信器は、上述のようにモバイルCPE受信器ベース450であると想定される。工程922において、CPE200から送信されたデータを受信する。次いで、受信されたデータは、例えば、疾病診断、デジタル信号処理(DSP)ルーチンのためのアルゴリズムなどを使って工程924において処理される。工程926において、受信されたデータは、必要に応じてメモリに保存される。工程928において、受信されたデータは、データベースに保存された他のデータと比較される。工程930において、受信されたデータ上で行なわれた操作の結果は、医師による使用のために必要に応じて表示される。
【0053】
画像獲得プロセスの間に、外部のシステムは、CPEの位置に関するデータを提供することができる。このデータは、さらに実際の視覚画像データおよび蛍光データと関連づけることができ、そのため、医療提供者は、画像および他のデータを場所と関係付けることができる。
【0054】
CPEの位置は、とりわけ他の方法の中でも、CPEの送信信号での移相を検出することによって決定することができる。これは、患者の上または患者の周囲に取り付けられるいくつかの受信器を必要とするであろう。例えば、モバイルCPE受信器ベース450は、ユーザーの体の上の種々の場所において、取り外し可能でユーザーに付けられるいくつかの受信器(図示せず)に接続することができる。次いで、受信器は、CPE200からの信号を受け取って、そして必要に応じて、RFリンク、光学リンク、ハードワイヤーリンクなどを経由して、この信号をモバイルCPE受信器ベース450に分析のために転送するであろう。次いで、位置データは、受信されたデータとリンクすることができる。
【0055】
発光器は、連続的なサイクル稼動を行い、UV発光(すなわち、発せられた光)がお互いを妨げないようにすることができることは注目すべきである。
【0056】
本発明の実施形態による使用中のMT452を含めたCPE200およびモバイルCPE受信器ベース450の図解図が、図10に示される。使用に際して、CPE200は、プログラムされ、そして所望の場所に挿入されるかまたはユーザー818によって飲み込まれる。ユーザー818は、ユーザーに対して所望の位置にMT452を持ってくるためのベルトもしくは他の適切なデバイスを使って、所望の位置でMT452を身につける。CPE200は、ユーザーの体内からデータを送信し、そしてMT452は、そのデータを受け取る。次いで、MT452は、要求に応じて、データを再送信し、データを保存し、データを処理し、および/またはデータを表示することができる。例えば、MT452は、携帯電話コミュニケーションシステム460を使って、いくらかのデータを医療提供者462に送ることができ、そして他のデータは、医療提供者によるその後の使用のために、無線ネットワーキングシステム468およびインターネット470を介してサーバー464に送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態による小型フォトニック探索器(CPE)の透視図である。
【図2】可視光画像形成およびUV−可視光ポイント検出器を含む小型フォトニック探索器(CPE)を説明する本発明の実施形態の構成図である。
【図3】可視光画像形成およびUV−可視光ポイント検出器を含む小型フォトニック探索器(CPE)を説明する本発明の別の実施形態の構成図である。
【図4】本発明の実施形態によるCPE受信器ベースの構成図である。
【図5】本発明の実施形態によるベルト上のコンピュータシステムを有するモバイルCPE受信器ベースを説明する構成図である。
【図6】正常、前ガン性(形成異常)およびガン性(腺ガン)のエクスビボ食道組織からの平均発光スペクトルを説明するグラフである。
【図7】正常、前ガン性(形成異常)およびガン性(腺ガン)のエクスビボ食道組織からの平均励起スペクトルを説明するグラフである。
【図8】本発明の実施形態によるデスクトップコンピュータを備える受信/制御装置の構成図である。
【図9】本発明の実施形態によるCPEの操作を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態による使用中のCPEおよびモバイルCPEベース受信器の図解図である。
【符号の説明】
【0058】
204 画像化装置
208 送信器
209 送信モジュール
210 電池
211 調節器
212 マイクロ制御器
213 ミキサー
215 アンプ
218 メモリー
220 光線操作
222 UV検出器
224 光学画像センサー
226 フィルター
230 発光器
402 RFチューナー
404 電池電力
406 ビデオ信号取込器
408 ハードドライブ
412 無線ネットワーク
452 ハンドヘルドコンピューター/ポケットコンピューター
454 RF受信器
456 電池
460 ベースステーション
464 サーバー
808 メモリ
810 記憶装置
812 ネットワークインターフェース
814 ネットワーク
816 CPEイニシャライザー
828 CPE受信器
902 画像取得
904 画像保存
906 UV蛍光LED
908 蛍光データ取得
910 蛍光データ統合
912 新たな波長
914 データ融合
916 データとRFとの混合
918 RFとしてデータ発信
920 新たな部位へのCPEの移動
922 データ受信
924 疾病診断のためのアルゴリズムの実行
926 データ保存
928 データベースとの得られた結果の比較
930 医師への診断結果の提示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インビボでの生体組織における異常を視覚的に評価および検出するための装置であり、
生体組織が発光波長において蛍光を発するのに適した励起波長を有する光線を発するための発光器、
前記蛍光を検出するための検出器、
前記発光器および前記検出器を制御するための制御器、
前記検出器から遠隔の受信器に受け取られるデータを送るための送信器であり、前記制御器で制御される送信器、および
少なくとも前記発光器、前記検出器、前記制御器および前記送信器を収容するための輸送カプセル、
を含む装置。
【請求項2】
前記発光器が複数の発光ダイオードを含み、前記発光器が複数の既定の波長において発光することができ、それにより様々な組織フルオロフォアを励起することができる、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記LEDのそれぞれが、異なる波長において発光する、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記LEDのそれぞれが、他のLEDの内の少なくとも1つを除いて、任意の所定の時間で稼動し、光の波長の間のクロストークを減らすようにする、請求項3記載の装置。
【請求項5】
可視光画像形成のための可視光(VL)発光器および光学画像センサーをさらに含み、前記VL発光器が複数のLEDを含む、請求項1記載の装置。
【請求項6】
VL発光器が、赤色LED、青色LEDおよび緑色LEDを含む、請求項5記載の装置。
【請求項7】
可視光画像形成のための可視光(VL)発光器および光学画像センサーをさらに含み、前記VL発光器が白色LEDを含む、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記検出器が複数の光検出器を含み、前記複数の光検出器のそれぞれが少なくとも様々な既定の波長を検出することができ、それにより、前記検出器が複数の発光波長を検出することができる、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記発光器が少なくとも1つのLEDを含み、前記検出器が少なくとも1つの光検出器を含み、前記LEDの数および前記光検出器の数が所望の診断情報を有する蛍光波長の数と一致するように選択される、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記発光器が少なくとも1つのLEDを含み、前記検出器が少なくとも1つの光検出器を含み、前記LEDの数および前記光検出器の数が、多数の組織フルオロフォアを励起し、そして対応する蛍光を検出することができるように選択される、請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記組織フルオロフォアが、トリプトファン、チロシン、コラーゲン、エラスチンおよびNADHの内の少なくとも1つを含む、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記発光波長にフィルターをかけるための少なくとも1つの光学フィルターをさらに含み、そして1つ以上の所望の発光波長のみが前記検出器により検出が可能となる、請求項1記載の装置。
【請求項13】
インビボでの生体組織における異常を視覚的に評価および検出するための方法であり、
発光波長における固有蛍光を前記生体組織が発するのに適した励起波長を有するカプセルから光線を発する工程であり、前記光線が前記生体組織に向けられ、少なくとも1つの発光器により形成される工程、
少なくとも1つの検出器を使って、生体組織のからの蛍光を検出する工程、および
検出された蛍光に関連するデータを遠隔の受信器に送信する工程、
を含む方法。
【請求項14】
既定の波長をそれぞれ有する複数の光線を使って、多数の組織フルオロフォアを励起することにより蛍光を作り出す工程をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記光線を発する工程が複数の光線を発することを含み、それぞれの光線が異なる既定の波長を有して、複数の組織フルオロフォアを励起することができるようにする、請求項13記載の方法。
【請求項16】
複数の発光ダイオード(LED)が、様々な波長における光を発するために備えられる、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記光線が、複数のLEDを使って作り出された可視光(VL)であり、可視光画像が光学画像センサーを使って捉えられる、請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記光線が、単一の白色光LEDを使って作り出された可視光(VL)であり、可視光画像が光学画像センサーを使って捉えられる、請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記発光波長が複数の波長を含み、発光器の数および検出器の数が所望の診断情報を有する波長の数と一致するように選択される、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記生体組織の視覚画像が得られ、前記生体組織のガンおよび前ガンの内の少なくとも1つの存在が、
可視光線を前記生体組織に照射し、前記生体組織の可視光画像を得る工程、
前記生体組織が少なくとも2つの励起波長に対応している所定の発光波長における固有蛍光を発するように、少なくとも2つの励起波長を使って前記生体組織を励起させる工程、
それぞれの前記励起波長に対する発光波長における前記蛍光の強度を検出する工程、および
ガンまたは前ガン状態の内の少なくとも1つの存在を決定するための既定の閾値に対する前記検出された強度の比率を比較する工程、
により決定することができる、請求項13記載の方法。
【請求項21】
インビボでの生体組織から得られる画像および蛍光データを受信するための方法であり、
カプセルから検出された蛍光に関連するデータを受信する工程、
蛍光強度比(FIR)を決定するために、前記受信したデータを処理する工程、
を含む方法。
【請求項22】
インビボでの生体組織における異常を視覚的に評価および検出するために、蛍光データを含めた画像データを受信するためのモバイル端末(MT)装置であり、
前記カプセルデバイスから送信された前記画像および蛍光データを受信するための受信器、
カプセルデバイスから受信した画像および蛍光データを処理するためのプロセッサ、および
前記受信した画像および蛍光データを送信するための送信器、
を含む装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−525261(P2007−525261A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549652(P2006−549652)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/001356
【国際公開番号】WO2005/069887
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.リナックス
【出願人】(506245095)ザ シティ カレッジ オブ ザ シティ ユニバーシティ オブ ニューヨーク (1)
【Fターム(参考)】