説明

光学活性カルボキサミドおよび望ましくない微生物に対抗するためのそのの使用

R、M、およびAは、明細書中で引用されている意味を持つ、式(I)の新規光学活性カルボキサミド、前記物質を生産するための複数の方法、および新規中間生成物およびそれらの生産に加えて、望ましくない微生物に対抗するための前記物質の使用。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい光学活性カルボキサミド、これを製造するいくつかの方法、およびこれを使用して有害な微生物を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのカルボキサミドは、防カビ性を有する(例えば、WO03/010149、WO02/059086、WO02/38542、WO00/09482、DE−A 102 29 595、EP−A 0 591 699、EP−A 0 589 301、およびEP−A 0 545 099を参照)。そこで、例えば、5−フルオロ−1,3−ジメチル−N−[2−(1,3,3−トリメチルブチル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドのラセミ酸塩は、WO03/010149から知られ、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−2−ヨードベンズアミドのラセミ酸塩は、DE−A 102 29 595から知られる。これらの化合物の活性は良好であるが、多くの場合、低濃度で適用するときに不満な点が多々ある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現代のペストコントロール剤には多くの要求条件、例えば、抗菌活性レベル、抗菌活性持続時間、抗菌活性スペクトラム、適用範囲、毒性、他の活性のある化合物との組合せ、製剤賦形剤との組合せ、または合成に影響を及ぼす要求条件が課され、また耐性が出現する可能性があるため、このような化合物の開発は、完結したと決してみなすことはできない。そのため、いくつかの態様において、知られている化合物と反対の少なくとも部分的な利点をもたらす新しい化合物に対する高い需要が絶えることがない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここに、構造(I)
【0005】
【化12】

の新しい光学活性カルボキサミドが得られた。
[式中、
Rは、水素、フッ素、塩素、メチル、エチル、またはトリフルオロメチルを表し、
Mは、
【0006】
【化13】

を表し、(*印が付いている結合部位は、アミドと結合され、#印が付いている結合部位は、アルキル側鎖と結合されており、
は、水素、フッ素、塩素、メチル、またはトリフルオロメチルを表す。)、
Aは、構造(A1)の基
【0007】
【化14】

(式中、
は、メチル、トリフルオロメチル、またはジフルオロメチルを表し、
は、水素、フッ素、または塩素を表す。)を表すか、
または
Aは、構造(A2)の基
【0008】
【化15】

(式中、
は、トリフルオロメチル、塩素、臭素、またはヨウ素を表す。)を表すか、
または
Aは、構造(A3)の基
【0009】
【化16】

(式中、
は、メチル、トリフルオロメチル、またはジフルオロメチルを表す。)を表す。
【0010】
構造(I)の化合物は、S立体配置を有する[構造(I)においてSで標識したC原子]。
【0011】
さらに、構造(I)の光学活性カルボキサミドは、
a)構造(II)のカルボン酸誘導体
【0012】
【化17】

(式中、
Aは、上で定義された意味を持ち、
は、ハロゲンまたは水酸基を表す。)
を、場合によっては触媒の存在下で、場合によっては縮合剤の存在下で、場合によっては酸結合剤の存在下で、および場合によっては希釈剤の存在下で、構造(III)のアミン
【0013】
【化18】

(式中、RおよびMは上で定義された意味を持つ)と反応させるか、
または
b)構造(I−rac)のラセミ化合物
【0014】
【化19】

(式中、R、M、およびAは、上で定義された意味を持つ)
を、液相として溶離液または溶離混合液の存在下でキラルシリカゲル固定相上でクロマトグラフにかけるか、
または、塩の形成の下で光学活性酸により分別再結晶化し、その後、構造(I)の鏡像異性的に純粋または濃縮された化合物を放出させるか、
または
c)構造(IV)の化合物
【0015】
【化20】

(式中、R、M、およびAは、上で定義された意味を持つ)
または構造(V)の化合物
【0016】
【化21】

(式中、R、M、およびAは、上で定義された意味を持つ)
または両方の化合物の混合物を、光学活性触媒または光学活性リガンドを含む触媒の存在下で水素化することによって得られることが分かった。
【0017】
最後に、構造(I)の新しい光学活性カルボキサミドは、非常によい殺菌性を有し、植物防疫および材料保護の両方において有害微生物の制御に適していることが分かった。
【0018】
構造(I)の新しい光学活性カルボキサミドは、とりわけ、改善された作用および低い適用濃度、したがって低い有害環境影響、および減弱された毒性により、知られている化合物に対し特徴付けられる。
【0019】
本発明の光学活性カルボキサミドは、構造(I)により包括的に定義されている。すでに定義されている構造式およびこれ以降定義される構造式について、好ましい基の定義を以下に示す。これらの定義は、すべての中間生成物だけでなく構造(I)の最終生成物にも等しく適用される。
【0020】
Rは、好ましくは、水素、メチル、またはエチルを表す。
【0021】
Rは、より好ましくは、水素またはメチルを表す。
【0022】
Mは、好ましくは、M−1を表す。
【0023】
Mは、さらに好ましくは、M−2を表す。
【0024】
Mは、さらに好ましくは、M−3を表す。
【0025】
Mは、さらに好ましくは、M−4を表す。
【0026】
Mは、より好ましくは、M−1を表し、ここでRは、水素を表す。
【0027】
Mは、さらにより好ましくは、M−2を表し、ここでRは、水素を表す。
【0028】
は、好ましくは、水素を表す。
【0029】
は、さらに好ましくは、フッ素を表し、ここでフッ素は、より好ましくは、位置4、5、または6にあり、最も好ましくは、位置4または6にあり、特にアニリド基の位置4にある[上の構造(I)を参照]。
【0030】
Aは、好ましくは、基A1を表す。
【0031】
Aは、より好ましくは、5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル、3−トリフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イルまたは3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イルを意味するA1を表す。
【0032】
Aは、最も好ましくは、5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イルを意味するA1を表す。
【0033】
Aは、さらに好ましくは、基A2を表す。
【0034】
Aは、より好ましくは、2−トリフルオロメチルフェニルまたは2−ヨードフェニルを意味するA2を表す。
【0035】
Aは、さらに好ましくは、基A3を表す。
【0036】
Aは、より好ましくは、1,4−ジメチル−ピラゾール−3−イル、1−メチル−4−トリフルオロメチル−ピラゾール−3−イルまたは1−メチル−4−ジフルオロメチル−ピラゾール−3−イルを意味するA3を表す。
【0037】
Aは、最も好ましくは、1−メチル−4−トリフルオロメチル−ピラゾール−3−イルを意味するA3を表す。
【0038】
は、好ましくは、メチルまたはトリフルオロメチルを表す。
【0039】
は、好ましくは、水素またはフッ素を表す。
【0040】
は、好ましくは、トリフルオロメチルまたはヨウ素を表す。
【0041】
は、好ましくは、トリフルオロメチルを表す。
【0042】
但し、包括的にまたは上記好ましい範囲内で定義された基の定義または説明は、それぞれの範囲および好ましい範囲との間で任意に相互に組み合わせることもできる。これは、前駆体および中間生成物だけでなく最終生成物にも適用される。
【0043】
指定された定義は、必要に応じて互いに組み合わせることもできる。さらに、個別の定義を省くこともできる。
【0044】
好ましい、より好ましい、および最も好ましいのは、それぞれの場合において好ましい、より好ましい、または最も好ましいと定義されている置換基を持つ構造(I)の化合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
方法および中間生成物の説明
方法(a)
1−メチル−4−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニルクロリドおよび{2−[(1S)−1,3,3−トリメチルブチル]−フェニル}アミンが出発物質として使用される場合、本発明の方法(a)は、以下の反応スキームにより例示することができる。
【0046】
【化22】

【0047】
本発明の方法(a)の実施のため出発物質として必要なカルボン酸誘導体は、一般に構造(II)により定義される。この構造(II)では、Aは、本発明の構造(I)の化合物の説明に関連して、Aに対し好ましい、より好ましい、および最も好ましいと既に定義されている意味を持つのが好ましい、より好ましい、または最も好ましい。Xは、好ましくは、塩素、臭素、または水酸基、より好ましくは、塩素を表す。
【0048】
構造(II)のカルボン酸誘導体は知られている(WO93/11117、EP−A 0 545 099,EP−A 0 589 301、およびEP−A 0 589 313を参照)。
【0049】
さらに、本発明の方法(a)の実施のため出発物質として必要なアミンは、一般に構造(III)により記述される。この構造(III)では、RおよびMは、本発明の構造(I)の化合物の説明に関連して、これらの基に対し好ましい、より好ましい、および最も好ましいと既に定義されている意味を持つのが好ましい、より好ましい、または最も好ましい。
【0050】
構造(III)のアミンは、新規である。
【0051】
構造(III−a)のアミン
【0052】
【化23】

(式中、
Rは、上で定義された意味を持ち、
は、M−1を表す。)
は、例えば、
d)第1の工程において、構造(VI)のアニリン誘導体
【0053】
【化24】

(式中、Rは、上で定義された意味を持つ)
を、触媒の存在下で、場合によっては塩基の存在下で、および場合によっては希釈剤の存在下で、構造(VII)のアルケン
【0054】
【化25】

(式中、Rは、上で定義された意味を持つ)のアルケンと反応させ、
そうして得られた構造(VIII)のアルケニルアニリン
【0055】
【化26】

(式中、RおよびRは、上で定義された意味を持つ)
を、場合によっては希釈剤の存在下で、および場合によっては触媒の存在下で、第2の工程において水素化し、
こうして得られた構造(III−a−rac)のラセミアニリン誘導体
【0056】
【化27】

(式中、RおよびRは、上で定義した意味を持つ)
を、第3の工程において液相として溶離液または溶離混合液の存在下でキラルシリカゲル固定相上でクロマトグラフにかけることで製造できる。
【0057】
構造(VIII)の化合物の水素化は、さらに、場合によっては光学活性触媒の存在下で、または触媒と光学活性リガンドの存在下で実行することもでき、それにより、構造(III−a)の光学活性化合物が得られる。
【0058】
構造(III−a−rac)の化合物はまた、塩の形成により、光学活性酸の存在下で分別再結晶化することもでき、その後、構造(III−a)の鏡像異性的に純粋または濃縮された化合物が放出される。一般に、すべての光学活性酸が、ジアステレオマー塩の形成に好適である。例えば、(1S)−(+)−カンファー−10−スルホン酸、(1R)−(−)−カンファー−10−スルホン酸,S,S−(−)−酒石酸、R,R−(+)−酒石酸、R−乳酸、S−乳酸または光学活性アミノ酸、好ましくは天然の光学活性アミノ酸である。
【0059】
本発明の方法(b)の実施のため出発物質として必要なアニリン誘導体は、一般に構造(VI)により定義される。この構造(VI)では、Rは、本発明の構造(I)の化合物の説明に関連して、これらの基に対し好ましい、より好ましい、および最も好ましいと既に定義されている意味を持つのが好ましい、より好ましい、または最も好ましい。
【0060】
構造(VI)のアニリン誘導体は、知られている。
【0061】
本発明の方法(d)の実施のため出発物質として必要なアルケンは、一般に構造(VII)により定義される。この構造(VII)では、Rは、本発明の構造(I)の化合物の説明に関連して、この基に対し好ましい、より好ましい、および最も好ましいと既に記述されている意味を持つのが好ましい、より好ましい、または最も好ましい。
【0062】
構造(VII)のアルケンは、知られているか、または知られている方法により得ることができる。
【0063】
本発明の方法(d)の実施の際に中間生成物として生じるアルケニルアニリンは、一般に構造(VIII)により定義される。この構造(VIII)では、RおよびRは、本発明の構造(I)の化合物の説明に関連して、これらの基に対し好ましい、より好ましい、および最も好ましいと既に記述されている意味を持つのが好ましい、より好ましい、または最も好ましい。
【0064】
構造(VIII)のアルケニルアニリンは、知られているか、および/または知られている手順により得ることができる。
【0065】
構造(III−b)のアミン
【0066】
【化28】

(式中、
Rは、上で定義された意味を持ち、
は、M−2、M−3、またはM−4を表す。)
は、例えば、
e)構造(III−b−rac)のラセミアミン
【0067】
【化29】

(式中、RおよびMは、上で定義された意味を持つ)
を、液相として溶離液または溶離混合液の存在下でキラルシリカゲル固定相上でクロマトグラフにかける場合に得ることができる。
【0068】
構造(III−b−rac)のラセミアミンは、知られているか、および/または知られている方法で得ることができる(例えば、WO02/38542、EP−A 1 036 793、およびEP−A 0 737 682を参照)。
【0069】
方法(b)
本発明の方法(b)の実施のため出発物質として必要なラセミ化合物は、一般に構造(I−rac)により定義される。この構造式では、R、M、およびAは、本発明の構造(I)の化合物の説明に関連して、これらの基に対し好ましい、より好ましい、および最も好ましいと既に記述されている意味を表すのが好ましい、より好ましい、または最も好ましい。
【0070】
方法(b)の実施の際に使用される構造(I−rac)のラセミ化合物は、知られており、知られている方法により製造することができる(例えば、WO03/010149、WO02/38542、およびDE−A 102 29 595を参照)。構造(I−rac)のラセミ化合物は、例えば、本発明の方法(a)と同様にして構造(II)のカルボン酸誘導体を構造(III−a−rac)または(III−b−rac)のラセミ化合物と反応させることにより得ることができる。
【0071】
本発明の方法(b)の実施の際に、分取クロマトグラフィ、好ましくは、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)が使用される。ここでは、キラルシリカゲル固定相を使用する。Chiracel OD(登録商標)は、構造(I−rac)の化合物を2つの鏡像異性体に分離する操作に特に適していることが証明されている。この分離材は、市販されている。他の固定相も、クロマトグラフ材料として使用できる。
【0072】
構造(I−rac)の化合物を分別再結晶により複数の個別の光学活性化合物に分離する場合、すべての光学活性酸が、ジアステレオマー塩の形成に好適である。例えば、(1S)−(+)−カンファー−10−スルホン酸、(1R)−(−)−カンファー−10−スルホン酸,S,S−(−)−酒石酸、R,R−(+)−酒石酸、R−乳酸、S−乳酸または光学活性アミノ酸、好ましくは天然の光学活性アミノ酸である。
【0073】
方法(c)
N−[2−(1,3−ジメチルブタ−1−エン−1−イル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、水素、および光学活性触媒が出発物質として使用される場合、本発明の方法(c)は、以下の反応スキームにより例示することができる。
【0074】
【化30】

【0075】
本発明の方法(c)の実施のため出発物質として必要な化合物は、一般に構造(IV)および(V)により定義される。これらの構造式では、R、M、およびAは、本発明の構造(I)の化合物の説明に関連して、これらの基に対し好ましい、より好ましい、および最も好ましいと既に記述されている意味を持つのが好ましい、より好ましい、または最も好ましい。
【0076】
構造(IV)および(V)の化合物(またはこれらの化合物の混合物)は、
f)構造(II)のカルボン酸誘導体
【0077】
【化31】

(式中、
Aは、上で定義された意味を持ち、
は、ハロゲンまたは水酸基を表す。)
を、場合によっては触媒の存在下で、場合によっては縮合剤の存在下で、場合によっては酸結合剤の存在下で、および場合によっては希釈剤の存在下で、構造(VIII)のアルケニルアニリン
【0078】
【化32】

(式中、RおよびRは上で定義された意味を持つ)、
または、構造(IX)のアルケニルアニリン
【0079】
【化33】

(式中、RおよびRは上で定義された意味を持つ)
のいずれかと反応させるか、
または
g)構造(X)のカルボキサミド
【0080】
【化34】

(式中、
MおよびAは、上で定義された意味を持ち、
Yは、臭素またはヨウ素を表す。)
を、触媒の存在下で、場合によっては塩基の存在下で、および場合によっては希釈剤の存在下で、構造(VII)のアルケン
【0081】
【化35】

(式中、Rは上で定義された意味を持つ)、
または、構造(XI)のアルケン
【0082】
【化36】

(式中、Rは上で定義された意味を持つ)
のいずれかと反応させる場合に得られる。
【0083】
本発明の方法(f)の実施のため出発物質として必要な構造(II)のカルボン酸誘導体は、方法(a)に関連して既に説明されている。
【0084】
本発明の方法(f)の実施のため出発物質として必要な構造(VIII)のアルケニルアニリンは、方法(d)に関連して既に説明されている。
【0085】
反応の方法(f)の実施のため出発物質として代替えとして必要なアルケニルアニリンは、一般に構造(IX)により定義される。この構造(IX)では、RおよびRは、本発明の構造(I)の化合物の説明に関連して、これらの基に対し好ましい、より好ましい、および最も好ましいと既に記述されている意味を持つのが好ましい、より好ましい、または最も好ましい。
【0086】
構造(IX)のアルケニルアニリンは、知られているか、および/または知られている方法により得ることができる。
【0087】
反応の方法(g)の実施のため出発物質として必要なカルボキサミドは、一般に構造(X)により定義される。この構造(X)では、MおよびAは、本発明の構造(I)の化合物の説明に関連して、これらの基に対し好ましい、より好ましい、および最も好ましいと既に記述されている意味を持つのが好ましい、より好ましい、または最も好ましい。
【0088】
構造(X)のカルボキサミドは、知られているか、および/または知られている方法により得ることができる(WO03/010149を参照)。
【0089】
本発明の方法(g)の実施のため出発物質としても必要な構造(VII)のアルケンは、方法(d)に関連して既に説明されている。
【0090】
反応の方法(g)の実施のため出発物質として代替えとして必要なアルケンは、一般に構造(XI)により定義される。この構造(XI)では、Rは、本発明の構造(I)の化合物の説明に関連して、この基に対し好ましい、より好ましい、および最も好ましいと既に記述されている意味を持つのが好ましい、より好ましい、または最も好ましい。
【0091】
構造(XI)のアルケンは、知られているか、または知られている方法により得ることができる。
【0092】
反応条件
すべての不活性無機溶媒は、本発明の方法(a)および(f)の実施のための希釈剤として好適である。これらは、例えば、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、またはデカリンなどの脂肪族、脂環式、または芳香族の炭化水素、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、またはトリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、メチル−tert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、またはアニソールなどのエーテル、またはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン、またはヘキサメチルホスホラミドなどのアミドを含むのが好ましい。
【0093】
本発明の方法(a)および(f)は、場合によっては、好適な酸受容体の存在下で実施される。通常の無機または有機塩基はすべて、適している。これらは、好ましくは、アルカリ土類またはアルカリ水素化物、水酸化物、アミド、アルコキシド、酢酸塩、炭酸塩、または例えば、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエチラート、カリウムtert−ブチレート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、または炭酸アンモニウムなどの炭酸水素塩、さらに、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−ベンジル−アミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、またはジアザビシクロウンデセン(DBU)などの第三級アミンを含む。
【0094】
本発明の方法(a)および(f)は、場合によっては、好適な縮合剤の存在下で実施される。例えば、ホスゲン、三臭化リン、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、または塩化チオニルなどの酸ハロゲン化物形成剤、エチルクロロホルメート、クロロギ酸メチル、クロロギ酸イソプロピル、クロロギ酸イソブチル、またはメタンスルホニルクロリドなどの無水物形成剤、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などのカルボジイミド、または五酸化リン、ポリリン酸、N,N’−カルボニルジイミダゾール、2−エトキシ−N−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、トリフェニルホスフィン/四塩化炭素、またはブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェイトなどの他の標準的縮合剤などの、アミド化反応に通常好適なすべての縮合剤を使用できる。
【0095】
本発明の方法(a)および(f)は、場合によっては、触媒、例えば、4−ジメチルアミノピリジン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、またはジメチルホルムアミドの存在下で実施される。
【0096】
本発明の方法(a)および(f)の実施時に、反応温度を広い範囲にわたって変化させることができる。通常、0℃から150℃、好ましくは0℃から80℃の温度を使用する。
【0097】
構造(I)の化合物を製造するための方法(a)の実施のため、通常、構造(II)のカルボン酸誘導体1モルにつき、構造(III)のアニリン誘導体0.2から5モル、好ましくは0.5から2モルを使用する。
【0098】
構造(IV)および(V)の化合物を製造するための方法(f)の実施のため、通常、構造(II)のカルボン酸誘導体1モルにつき、構造(VIII)または(IX)のアルケニルアニリン0.2から5モル、好ましくは0.5から2モルを使用する。
【0099】
すべての通常の不活性無機溶媒、混合物、または水との混合物を、本発明の方法(b)の実施において溶離液として使用できる。好ましくは、適しているのは、場合によっては、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどのハロゲン化された脂肪族、脂環式、または芳香族の炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール、アセトニトリルなどのニトリル、酢酸メチルまたは酢酸メチルなどのエステルである。より好ましいのは、ヘキサンまたはヘプタンなどの脂肪族炭化水素、およびメタノールまたはプロパノールなどのアルコールであり、最も好ましいのは、n−ヘプタンおよびイソプロパノールまたはそれらの混合物である。
【0100】
本発明の方法(b)の実施時に、それぞれの場合において反応温度を広い範囲にわたって変化させることができる。通常、10℃から60℃の範囲の温度、好ましくは10℃から40℃の範囲の温度、より好ましくは室温が使用される。
【0101】
本発明の方法(b)の実施時に、通常、ラセミ化合物(I−rac)の約1%溶液をクロマトグラフ分離に使用する。しかし、他の濃度を使用することも可能である。通常の手順で後処理を実行する。溶出液を高濃縮し、固形物を濾過して取り除き、n−ヘプタンで洗浄した後乾燥させるのが一般的な手順である。残留物は、場合によっては、クロマトグラフィによりまだ存在している可能性のある不純物を取り除く。n−ヘキサンまたはシクロヘキサンまたはシクロヘキサンと酢酸エチルの混合物を溶離液として使用するが、組成は、精製されるそれぞれの化合物に合わせて調整されなければならない。
【0102】
すべての不活性無機溶媒は、本発明の方法(g)だけでなく本発明の方法(d)の第1の工程の実施の際に希釈剤として好適である。これらは、好ましくはアセトニトリル、プロピオニトリル、n−またはi−ブチロニトリルまたはベンゾニトリルなどのニトリル、またはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン、またはヘキサメチルホスホルアミドなどのアミドを含む。
【0103】
本発明の方法(g)の第1の工程だけでなく本発明の方法(d)は、場合によっては、好適な酸受容体の存在下で実行される。通常の無機および有機塩基はすべて、適している。これらは、好ましくは、アルカリ土類またはアルカリ水素化物、水酸化物、アミド、アルコキシド、酢酸塩、炭酸塩、または例えば、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエチラート、カリウムtert−ブチレート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、または炭酸アンモニウムなどの炭酸水素塩、さらに、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−ベンジル−アミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、またはジアザビシクロウンデセン(DBU)などの第三級アミンを含む。
【0104】
本発明の方法(g)だけでなく本発明の方法(d)の第1の工程は、1つまたは複数の触媒の存在下で実行される。特に好適なのは、パラジウム塩または錯体である。これらは、好ましくは、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムまたは二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを含む。パラジウム錯体は、さらに、パラジウム塩および錯体リガンドが別々に反応に加えられたときに反応混合物内に生成することもできる。好適なリガンドは、好ましくは、有機リン化合物、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、ジシクロヘキシルホスフィンビフェニル、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、ビスジフェニルホスフィノフェロセン、ジ(tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、ジ(シクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−N,N−ジメチルアミノビフェニル、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィンである。リガンドは、省略することもできる。
【0105】
本発明の方法(g)だけでなく本発明の方法(d)の第1の工程は、場合によっては、銅塩、例えば、ヨウ化銅(I)などの他の金属塩の存在下でも実行される。
【0106】
本発明の方法(g)だけでなく本発明の方法(d)の第1の工程の実施時に、反応温度を広い範囲にわたって変化させることができる。通常、20℃から180℃、好ましくは50℃から150℃の温度を使用する。
【0107】
構造(VIII)のアルケニルアニリンを製造するための本発明の方法(d)の第1の工程の実施のため、通常、構造(VI)のアニリン誘導体1モルにつき、構造(VII)のアルケン1から5モル、好ましくは1から3モルを使用する。
【0108】
構造(IV)および(V)の化合物を製造するための方法(g)の実施のため、通常、構造(X)のカルボキサミド1モルにつき、構造(VII)または(XI)のアルケン1から5モル、好ましくは1から3モルを使用する。
【0109】
すべての不活性無機溶媒は、本発明の方法(d)の第2の工程(水素化)だけでなく本発明の方法(c)の実施の際に希釈剤として好適である。これらは、好ましくは、例えば、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、またはデカリンなどの脂肪族または脂環式の炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、メチル−tert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、または1,2−ジエトキシエタンなどのエーテル、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、エタンジオール、プロパン−1,2−ジオール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、水または純水とのそれらの混合物などのアルコールを含む。
【0110】
本発明の方法(d)の第2の工程(水素化)は、触媒の存在下で実行される。水素化に通常使用される触媒はすべて適している。例としては、場合によっては、例えば、活性炭などの担体上の、ラネーニッケル、パラジウム、ルテニウム、または白金がある。
【0111】
本発明の方法(c)の実施および方法(d)における不斉水素化反応は、光学活性リガンドの存在下で実行される。例としては、組合せ(R,R)−Me−DuPhos/RuCl(登録商標)または(S,S)−Me−DuPhos/RuCl(登録商標)がある(所望の鏡像異性体によって決まる)。
【0112】
本発明の方法(d)の第2の工程における水素化は、さらに、触媒と組み合わせた水素の存在下ではなく、トリエチルシランの存在下で実行することもできる。
【0113】
本発明の方法(d)の第2の工程だけでなく本発明の方法(c)の実施時に、反応温度を広い範囲にわたって変化させることができる。通常、0℃から150℃、好ましくは20℃から100℃の温度を使用する。
【0114】
本発明の方法(d)の第2の工程だけでなく本発明の方法(c)は、0.5から200barの範囲、好ましくは2から50barの範囲、より好ましくは3から10barの範囲の水素圧の下で実行される。
【0115】
それぞれの場合において、すべての通常の不活性有機溶媒およびそれらの混合物または場合により水との混合物も、本発明の方法(d)および本発明の方法(e)の第3の工程の実施時に適している。好ましくは、適しているのは、場合によっては、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどのハロゲン化された脂肪族、脂環式、または芳香族の炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール、アセトニトリルなどのニトリル、酢酸メチルまたは酢酸メチルなどのエステルである。より好ましいのは、ヘキサンまたはヘプタンなどの脂肪族炭化水素、およびメタノールまたはプロパノールなどのアルコールであり、最も好ましいのは、n−ヘプタンおよびイソプロパノールまたはそれらの混合物である。
【0116】
本発明の方法(e)だけでなく本発明の方法(d)の第3の工程の実施時に、それぞれの場合に、反応温度を広い範囲にわたって変化させることができる。一般に、10℃から60℃の範囲の温度、好ましくは10℃から40℃の範囲の温度、より好ましくは室温が使用される。
【0117】
本発明の方法(d)および方法(e)の第3の工程の実施時に、通常、ラセミ化合物(III−a−rac)および(III−b−rac)の約1%溶液を、それぞれ、クロマトグラフ分離に使用する。しかし、他の濃度を使用することも可能である。後処理は、標準手順に従う。通常、溶出液を高濃縮し、固形物を濾過して取り除き、n−ヘプタンで洗浄した後乾燥させる。残留物は、場合によっては、クロマトグラフィによりまだ存在している可能性のある不純物を取り除く。n−ヘキサンまたはシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を溶離液として使用するが、組成は、精製されるそれぞれの化合物に合わせて調整されなければならない。
【0118】
特に断りのない限り、本発明の方法はすべて、通常、標準圧の下で実行される。但し、圧力を加減して(一般的には、0.1から10barの範囲内で)作業することも可能である。
【0119】
本発明の化合物は、高い殺菌活性を示し、植物防疫および材料保護においてカビおよび細菌などの有害微生物の制御に使用できる。
【0120】
防カビ剤は、ネコブカビ類、卵菌類、ツボカビ類、接合菌類、子嚢菌類、担子菌類、および不完全菌類の制御のため植物防疫において使用できる。殺菌剤は、シュドモナス科、リゾビウム科、腸内細菌科、コリネバクテリウム科、およびストレプトミセス科の細菌の制御のため植物防疫において使用できる。
【0121】
実例として、但しこれらに限らないが、上で定義された属名に含まれる真菌病および細菌性疾病の多くの病原体は以下の名前を持つ。
【0122】
例えば、キサントモナスキャンペストリスパソバーオリゼなどのキサントモナス属、
例えば、キュウリ斑点細菌病菌などのシュドモナス属、
例えば、エルウィニアアミロボラなどのエルウィニア属、
例えば、ピシウムウルチマムなどのピシウム属、
例えば、フィトフトラインフェスタンスなどのフィトフトラ属、
例えば、シュドペロノスポラフムリまたはシュドペロノスポラキュベンシスなどのニセツユカビ属、
例えば、プラスモパラビティコーラなどのプラスモパラ属、
例えば、ブレミアラクツケなどのブレミア属、
例えば、ペロノスポラピシまたはペロノスポラブラシカエなどのペロノスポラ属、
例えば、エリシフェグラミニスなどのエリシフェ属、
例えば、スファエロテカフリギネアなどのスファエロテカ属、
例えば、ポドスファエラルコトリカなどのポドスファエラ属、
例えば、ベンチュリアイナクアリスなどのベンチュリア属、
例えば、ピレノフォラテレスまたはピレノフォラグラミネアなどのピレノフォラ属(分生子形態:ドレクスレラ、Syn:ヘルミントスポリウム属)、
例えば、コクリオボルスサチブスなどのコクリオボルス属(分生子形態:ドレクスレラ、Syn:ヘルミントスポリウム属)、
例えば、ウロミケスアペンディクラツスなどのウロミケス属、
例えば、プクキニアレコンディタなどのプクキニア属、
例えば、スクレロチニアスクレロチオルムなどのスクレロチニア属、
例えば、チレチアカリエヌなどのチレチア属、
例えば、ウスチラゴヌダまたはウスチラゴアベナエなどのウスチラゴ属、
例えば、ペリクラリアササキなどのペリクラリア属、
例えば、ピリクラリアオリザエなどのピリクラリア属、
例えば、フザリウムクルモルムなどのフザリウム属、
例えば、ボトリチスシネレアなどのボトリチス属、
例えば、セプトリアノドルムなどのセプトリア属、
例えば、レプトスファエリアノドルムなどのレプトスファエリア属、
セルコスポラ属、例えば、セルコスポラカネスケンス、
例えば、アルテルナリアブラシカエなどのアルテルナリア属、
例えば、シュドセルコスポレラヘルポトリコイデスなどのシュドセルコスポレラ属、
例えば、リゾクトニアソラニなどのリゾクトニア属。
【0123】
本発明の活性化合物は、植物において高い強化作用を示す。そのため、有害微生物がはびこることに対する植物に本来備わっている耐性の可動化に適している。
【0124】
本発明の文脈の範囲内において、植物強化(耐性誘発)化合物は、処置された植物がその後有害微生物を接種されたときに有害微生物に対する相当の耐性を生み出すように植物の防御機構を刺激できる化合物を意味するものと理解される。
【0125】
本発明の場合には、有害微生物は、植物病原性の糸状菌、細菌、およびウイルスであると理解される。本発明の化合物は、一定期間にわたって指定された病原体がはびこることに対し植物を防疫するために使用することができる。防疫が生じる期間は、一般に、活性化合物で植物を処置してから1から10日間、好ましくは1から7日間である。
【0126】
植物病害を制御するために必要な濃度の活性化合物の適切な植物親和性により、植物の上面部、植物および種子ストック、および土壌の処置を行える。
【0127】
そのため、本発明の活性化合物を使用することで、例えば、プクキニア属などの穀類の病害、および例えば、ボトリチス、ベンチュリア、またはアルテルナリア属などのワイン、果物、および野菜栽培における病害の制御で成功を収めることができる。
【0128】
本発明の活性化合物は、さらに、収穫量を高めるのにも適している。そのうえ、低毒性であり、良好な植物親和性を示す。
【0129】
ある濃度および適用量において、本発明の活性化合物は、植物成長に影響を与え、有害な疫病を制御するために、除草剤として使用することもできる。場合によっては、他の活性化合物を合成するための中間生成物および前駆体として使用することもできる。
【0130】
本発明により、すべての植物および植物構成要素を処置することができる。植物とは、望ましい、および望ましくない野生植物または栽培植物(自然発生的な栽培植物を含む)などのすべての植物および植物群のことである。栽培植物は、遺伝子導入植物を含み、植物多様性保護権により保護されている、または保護されていない植物多様性を含む、従来の品種改良および最適化の方法、または生体工学または遺伝子工学の方法、またはそのような方法の組合せにより得ることができる植物とすることができる。植物構成要素とは、芽、葉、花、および根などの植物の地上および地下のすべての部分および器官のことであり、例えば、根、塊茎、および地下茎だけでなく、葉、針状葉、枝、幹、花、子実体、果実、および種子が列挙される。栄養繁殖および生殖繁殖材料、例えば、切り枝、幹、地下茎、芽、および種子などの収穫となる部分も植物構成要素に属す。
【0131】
植物および植物構成要素の本発明による処置は、直接、または環境、生息場所、貯蔵施設に対する、例えば、浸す、スプレーする、蒸発させる、ミストを吹き付ける、振りかける、コーティングするなどの通常の処置方法を使った、または伝播材料、特に種子を使った、さらに単一または複数のコーティングによる作用により、実行される。
【0132】
材料保護では、本発明の化合物は、有害微生物がはびこり、破壊活動を行うことから技術的材料を護るために使用することができる。
【0133】
技術的材料とは、本発明の文脈において、技術的使用のため生産される非生物材料のことである。例えば、本発明の化合物により、微生物による変質または破壊から保護することができる技術的材料は、微生物による攻撃または破壊を受ける可能性のある粘着剤、接着剤、紙および段ボール、繊維、皮革、木材、塗料およびプラスチック製品、冷却用潤滑剤、および他の材料とすることができる。保護される材料の概念の範囲内には、さらに、冷却水循環など、微生物の成長により損なわれる可能性のある生産工場の意図された部分も含まれる。本発明の範囲内において、上述の技術材料は、好ましくは、粘着剤、接着剤、紙および段ボール、皮革、木材、塗料、冷却用潤滑剤であり、熱交換器流体は特に言及され、より好ましくは木材である。
【0134】
技術材料の変性または変質に影響を及ぼす可能性のある微生物は、例えば、細菌、糸状菌、酵母、藻類、カビを含む。本発明の活性化合物は、カビおよび藻類だけでなく、菌類、特に糸状菌、木材変色および木材腐朽菌(担子菌類)に作用するのが好ましい。
【0135】
以下の属の微生物を例として挙げる。
【0136】
アルテルナリテラヌイスなどのアルテルナリ属、
アスペルギルスニゲルなどのアスペルギル属、
カエトミウムグロボスムなどのカエトミウム属、
コニオホラプテアナなどのコニオホラ属、
レンチヌスチグリヌスなどのレンチヌス属、
ペニシリウムグラウクムなどのペニシリウム属、
ポリポルスベルシコロールなどのポリポルス属、
アウレオバシディウムプルランスなどのアウレオバシディウム属、
スクレロホマピティオフィラなどのスクレロホマ属、
トリコデルマビリデなどのトリコデルマ属、
大腸菌などのエシェリキア属、
シュドモナスアエルギノサなどのシュドモナス属、
スタフィロコックスオーレアなどのスタフィロコックス。
【0137】
それぞれの物理的および/または化学的特性に応じて、活性化合物を、溶液、乳濁液、懸濁液、粉末、泡、ペースト、顆粒、エアロゾル、ポリマー物質および冷たい、および暖かいULVスプレー剤形だけでなく、種子のコーティング内の微細分散などの通常の剤形に変換できる。
【0138】
これらの剤形は、通常の方法で、例えば、活性化合物を希釈剤、つまり液体溶媒、加圧液化ガス、および/または固体担体と混合することにより、場合によっては、界面活性剤、つまり、乳化剤および/または分散剤および/または起泡剤を使用して、製造される。水を希釈剤として使用する場合、有機溶媒も、共溶媒として使用することができる。本質的に好適な液体溶媒は、キシレン、トルエン、またはアルキルナフタレンなどの芳香族化合物、クロロベンゼン、クロロエチレンまたは塩化メチレンなどの塩素化芳香族化合物または塩素化脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、またはパラフィン、例えば、石油留分などの脂肪族炭化水素、ブタノールまたはグリコール、さらにそれらのエーテルおよびエステルなどのアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、またはシクロヘキサノンなどのケトン、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドなどの高極性溶媒、さらに水である。液化ガス希釈剤または担体とは、通常温度および通常圧力において気体であるような液体のことであり、例えば、ハロゲン炭化水素、さらにブタン、プロパン、窒素、および二酸化炭素などのエアゾール噴射剤である。固体担体として適当なのは、例えば、カオリン、粘土質土壌、タルク、チョーク、石英、アタパルガイトモンモリロナイト、または珪藻土などの天然鉱物粉、および高分散シリカ、酸化アルミニウム、およびケイ酸塩などの合成鉱物粉である。顆粒に適した固体担体は、例えば、方解石、軽石、大理石、海泡石、白雲石などの割った、および断片化された天然石、さらに無機および有機粉末からの合成顆粒、さらにおがくず、ココナッツの殻、トウモロコシの穂軸、およびタバコ茎などの有機物質からの顆粒である。好適な乳化剤および/または起泡剤は、例えば、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンの脂肪アルコールエステル、例えば、アルキルアリルポリグリコールエーテル、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アリールスルホン酸塩、およびタンパク質加水分解物などの非イオンおよび陰イオン乳化剤である。好適な分散剤は、例えば、リグニン亜硫酸塩液体およびメチルセルロースである。
【0139】
カルボキシメチルセルロース、天然および合成粉末、粒状または乳汁ポリマーなどの結合剤は、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、さらに、ケファリンおよびレシチンなどの天然リン脂質、および合成リン脂質などの剤形内で使用することができる。他の添加物は、鉱物および植物性油脂とすることができる。
【0140】
無機顔料、例えば、酸化鉄、酸化チタン、フェロシアンブルーなどの着色剤、およびアリザリン、アゾおよびメタロフタロシアニン染料などの有機顔料、および鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデン、および亜鉛塩などの微量栄養物を使用することができる。
【0141】
これらの剤形は、通常、0.1から95質量%の範囲、好ましくは0.5から90質量%の活性化合物を含む。
【0142】
本発明の活性化合物は、さらに、そのようなものとして、または知られている防カビ剤、殺菌剤、ダニ殺虫剤、抗線虫剤、または殺虫剤との混合物の剤形で使用し、例えば、抗菌活性スペクトラムを広げ、耐性発生を回避することもできる。多くの場合、混合物の活性が個別の成分の活性よりも高くなる、相乗効果が得られる。
【0143】
例えば、以下の化合物は混合相手の物質として好適である。
【0144】
防カビ剤:
2−フェニルフェノール、8−ヒドロキシキノリン硫酸塩、アシベンゾラル−S−メチル、アルジモルフ、アミドフルメト、アムプロピルホス、アムプロピルホスカリウム、アンドプリム(andoprim)、アニラジン、アザコナゾール、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベンダニル、ベノミル、ベンチアバリカルブイソプロピル、ベンザマクリル、ベンザマクリルイソブチル、ビアラホス、ビナパクリル、ビフェニル、ビテルタノール、ブラスチシジン−S、ブロムコナゾール、ブピリメート、ブチオベート、ブチルアミン、多硫化カルシウム、カプシマイシン(capsimycin)、カプタホール、キャプタン、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、カルボン、キノメチオネート、クロベンチアゾーン(chlobenthiazone)、クロルフェナゾール、クロロネブ、クロロタロニル、クロゾリネート、クロジラコン、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、シプロフラム、ダガーG(dagger G)、デバカルブ、ジクロフルアニド、ジクロン、ジクロロフェン、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフルメトリム、ジメチリモール、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、ジノカップ、ジフェニルアミン、ジピリチオン、ジタリムホス、ジチアノン、ドジン、ドラゾクソロン、エディフェンホス、エポキシコナゾール、エタボキサム、エチリモール、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェナミドン、フェナパニル(fenapanil)、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンラム、フェンヘキサミド、フェニトロパン(fenitropan)、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピディン、フェンプロピモルフ、フェルバム、フルアジナム、フルベンジミン、フルジオキソニル、フルメトベル(flumetover)、フルモルフ(flumorph)、フルオロミド(fluoromide)、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルルプリミドール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアホール、ホルペット、ホセチルA1、ホセチルナトリウム、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、フルカルバニル、フルメシクロックス、グアザチン、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン三酢酸塩、イミノクタジンアルベシル酸塩、アイオドカルブ、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イルママイシン、イソプロチオラン、イソバレジオン、カスガマイシン、クレソキシムメチル、マンコゼブ、マンネブ、メフェリムゾン、メパニピリム、メプロニル、メタラキシル、メタラキシル−M、メトコナゾール、メタスルホカルブ、メトフロキサム、メチラム、メトミノストロビン、メトスルフォバックス、ミルディオマイシン、ミクロブタニル、ミクロゾリン、ナタマイシン、ニコビフェン(nicobifen)、ニトロタールイソプロピル、ノビフルムロン、ヌアリモール(nuarimol)、オフレース、オリサストロビン、オキサジキシル、オキソリン酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、オキシフェンチン(oxyfenthiin)、パクロブトラゾール、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、ホスダイフェン、フタリド、ピコキシストロビン、ピペラリン、ポリオキシン、ポリオキソリム、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロパノシン−ナトリウム(propanosine−sodium)、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラゾホス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピロキロン、ピロキシフル、ピロルニトリン、クインコナゾール、キノキシフェン、キントゼン、シメコナゾール、スピロキサミン、硫黄、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、テトシクラシス、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チシオフェン、チフルザミド、チオファネートメチル、チラム、チオキシミド、トルクロホスメチル、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアズブチル、トリアゾキシド、トリシクラミド、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリフォリン、トリチコナゾール、ウニコナゾール、バリダマイシンA、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム、ゾキサミド、(2S)−N−[2−[4−[[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピニル]オキシ]−3−メトキシフェニル]エチル]−3−メチル−2−[(メチルスルホニル)−アミノ]−ブタンアミド、1−(1−ナフタレニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、2−アミノ−4−メチル−N−フェニル−5−チアゾールカルボキサミド、2−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン−4−イル)−3−ピリジンカルボキサミド、3,4,5−トリクロロ−2,6−ピリジンジカルボニトリル、アクティノベート、シス−1−(4−クロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−シクロヘプタノール、メチル1−(2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−1H−インデン−1−イル)−1H−イミダゾール−5−カルボン酸塩、一カリウム炭酸塩、N−(6−メトキシ−3−ピリジニル)−シクロプロパンカルボキサミド、N−ブチル−8−(1,1−ジメチルエチル)−1−オキサスピロ[4.5]デカン−3−アミン、テトラチオ炭酸ナトリウム、ならびに銅塩および調合液として、ボルドー液、水酸化第二銅、ナフテン酸銅、塩基性塩化銅、硫酸銅、クフラネブ、酸化銅、マンコッパー、オキシン銅などの調合液。
【0145】
殺菌剤:
ブロノポール、ジクロロフェン、ニトラピリン、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、カスガマイシン、オクチリノン、フランカルボン酸、オキシテトラサイクリン、プロベンザゾール、ストレプトマイシン、テクロフタラム、硫酸銅、および他の銅製剤。
【0146】
殺虫剤/ダニ殺虫剤/抗線虫剤:
1.アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤
1.1 カルバメート(例えば、アラニカルブ、アルジカルブ、アルドキシカルブ、アリキシカルブ、アミノカルブ、アザメチホス、ベンダイオカルブ、ベンフラカルブ、ブフェンカルブ、ブタカルブ、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、クロエトカルブ、クーマホス、シアノフェンホス、シアノホス、ジメチラン、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ、フェノチオカルブ、ホルメタネート、フラチオカルブ、イソプロカルブ、メタムナトリウム、メチオカルブ、メトミル、メトルカルブ、オキサミル、ピリミカルブ、プロメカルブ、プロポクサー、チオジカルブ、チオファノックス、トリアザメート、トリメタカルブ、XMC、キシリルカルブ)
1.2 有機リン酸エステル(例えば、アセフェート、アザメチホス、アジンホス(−メチル、−エチル)、ブロモホス−エチル、ブロムフェンビンホス(−メチル)、ブタチオホス、カズサホス、カルボフェノチオン、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルメホス、クロルピルホス(−メチル/−エチル)、クーマホス、シアノフェンホス、シアノホス、クロルフェンビンホス、デメトン−S−メチル、デメトン−S−メチルスルホン、ジアリホス、ジアジノン、ジクロフェンチオン、ジクロルボス/DDVP、ジクロトホス、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジオキサベンゾホス、ジスルホトン、EPN、エチオン、エトプロホス、エトリムホス、ファムフール、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンスルホチオン、フェンチオン、フルピラゾホス、ホノホス、ホルモチオン、ホスメチラン、ホスチアゼート、ヘプテノホス、ヨードフェノホス、イプロベンホス、イサザホス、イソフェンホス、イソプロピルO−サリチル酸塩、イソキサチオン、マラチオン、メカルバム、メタクリホス、メタミドホス、メチダチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、オメトエート、オキシデメトンメチル、パラチオン(−メチル/−エチル)、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホスホカルブ、ホキシム、ピリミホス(−メチル/−エチル)、プロフェノホス、プロパホス、プロペタンホス、プロチオホス、プロトエート、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、ピリダチオン、キナルホス、セブホス(sebufos)、スルホテップ、スルプロホス、テブピリムホス、テメホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、チオメトン、トリアゾホス、トリクロルホン、バミドチオン)
2.ナトリウムチャンネルモジュレータ/電圧依存ナトリウムチャネル阻害薬
2.1 ピレスロイド(例えば、アクリナトリン、アレスリン(d−シス−トランス,d−トランス)、B−シフルトリン、ビフェントリン、ビオアレスリン、ビオアレスリンS−シクロペンチル異性体、ビオエタノメトリン、ビオペルメトリン、ビオレスメトリン、クロバポルトリン、シス−シペルメトリン、シス−レスメトリン、シス−ペルメトリン、クロシトリン、サイクロプロスリン、シフルトリン、シハロトリン、シペルメトリン(アルファ−、ベータ−、テータ−、ゼータ−)、シフェノトリン、DDT、デルタメトリン、エンペントリン(1R−異性体)、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンフルトリン、フェンプロパトリン、フェンピリトリン、フェンバレレート、フルブロシトリネート、フルシトリネート、フルフェンプロックス、フルメトリン、フルバリネート、フブフェンプロックス、ガンマ−シハロトリン、イミプロトリン、カデトリン、ラムダ−シハロトリン、メトフルトリン、ペルメトリン(シス−、トランス−)、フェンモトリン(1R−トランス異性体)、プラレトリン、プロフルトリン、プロトリフェンブート(protrifenbute)、ピレスメトリン、レスメトリン、RU 15525、シラフルオフェン、タウ−フルバリネート、テフルトリン、テラレトリン、テトラメトリン(1R−異性体)、トラロメトリン、トランスフルトリン、ZXI 8901、ピレトリン(ピレトラム))
2.2 オキサジアジン(例えば、インドキサカルブ)
3.アセチルコリン受容体アゴニスト/アンタゴニスト
3.1 クロロニコチニル/ネオニコチノイド(例えば、アセタミプリド、アロチアニジン(alothianidin)、ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム、ニチアジン、チアクロプリド、チアメトキサム)
3.2 ニコチン、ベンスルタップ、カルタップ
4.アセチルコリン受容体モジュレータ
4.1 スピノシン(例えば、スピノサド)
5.GABA制御クロライドチャネルアンタゴニスト
5.1 サイクロディエン有機塩素剤(例えば、カンフェクロル、クロルデン、エンドスルファン、ガンマ−HCH、HCH、ヘプタクロル、リンデン、メトキシクロル)
5.2 フィプロール(Fiprole)(例えば、アセトプロール、エチプロール、フィプロニル、バニリプロール(Vaniliprole))
6.クロライドチャネルアクティベータ
6.1 メクチン(例えば、アバメクチン、アバーメクチン、エマメクチン、エマメクチン安息香酸塩、イベルメクチン、ミルベメクチン、ミルベマイシン)
7.幼若ホルモン疑似体
(例えば、ジオフェノラン、エポフェノナン(epofenonane)、フェノキシカルブ、ハイドロプレン、キノプレン、メトプレン、ピリプロキシフェン、トリプレン)
8.エクジソンアゴニスト/攪乱化学物質
8.1 ジアシルヒドラジン(例えば、クロマフェノジド、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド)
9.キチン生合成阻害薬
9.1 ベンゾイル尿素(例えば、ビストリフルロン、クロフルアズロン、ジフルベンズロン、フルアズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、ペンフルロン(penfluron)、テフルベンズロン、トリフルムロン)
9.2 ブプロフェジン
9.3 シロマジン
10.酸化的リン酸化阻害薬、ATP攪乱化学物質
10.1 ジアフェンチウロン
10.2 オルガノチン(例えば、アゾシクロチン、シヘキサチン、酸化フェンブタスズ)
11.H−プロトン勾配の攪乱による酸化的リン酸化反応のデカプラー
11.1 ピロール(例えば、クロルフェナピル)
11.2 ジニトロフェノール(例えば、ビナパシルル(binapacyrl)、ジノブトン、ジオカップ、DNOC)
12.部位I電子輸送阻害剤
12.1 METI(例えば、フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリミジフェン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド)
12.2 ヒドラメチルノン
12.3 ジコホル
13.部位II電子輸送阻害剤
13.1 ロテノン
14.部位III電子輸送阻害剤
14.1 アセキノシル、フルアクリピリム
15.細菌昆虫腸管膜攪乱化学物質
バチルスチューリンゲンシス菌株
16.脂肪合成阻害剤
16.1 テトロン酸(例えば、スピロジクロフェン、スピロメシフェン)
16.2 テトラミン酸(例えば、3−(2,5−ジメチルフェニル)−8−メトキシ−2−オキソ−1−アザスピロ[4.5]デカ−3−エン−4−イル炭酸エチル(別名:炭酸、3−(2,5−ジメチルフェニル)−8−メトキシ−2−オキソ−1−アザスピロ[4.5]デカ−3−エン−4−イルエチルエステル、CAS−Reg.−No.:382608−10−8)および炭酸、シス−3−(2,5−ジメチルフェニル)−8−メトキシ−2−オキソ−1−アザスピロ[4.5]デカ−3−エン−4−イルエチルエステル(CAS−Reg.−No.:203313−25−1))
17.カルボキサミド
(z.B.フロニカミド)
18.オクトパミンアゴニスト
(例えば、アミトラズ)
19.マグネシウム刺激ATPase阻害薬
(z.B.プロパルギット)
20.フタルアミド
(例えば、N−[1,1−ジメチル−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−ヨード−N−[2−メチル−4−[1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]フェニル]−1,2−ベンゼンジカルボキサミド(CAS−Reg.−No.:272451−65−7))
21.ネレイストキシン類似体
(例えば、しゅう酸水素チオシクラム、チオスルタップ−ナトリウム(thiosultap−sodium))
22.生物製剤、ホルモン、またはフェロモン
(例えば、アザジラクチン、バシラス属、ボーベリア属、コドルモン(codlemone)、メタリジウム属、ペシロミセス属、チューリンギエンシス、バーティシリウム属)
23.未知のまたは非特異的な作用機序を持つ活性化合物
23.1 燻蒸消毒剤(例えば、リン化アルミニウム、臭化メチル、フッ化スルフリル)
23.2 選択的摂食阻害物質(例えば、氷晶石、フロニカミド、ピメトロジン)
23.3 ダニ成長阻害薬(例えば、クロフェンテジン、エトキサゾール、ヘキシチアゾクス)
23.4 アミドフルメト、ベンクロチアズ(benclothiaz)、ベンゾキシメート、ビフェナゼート、ブロモプロピレート、ブプロフェジン、キノメチオネート、クロロジメフォルム、クロルベンジレート、クロルピクリン、クロチアゾベン(clothiazoben)、シクロプレン(cycloprene)、ジシクラニル、フェノクサクリム(fenoxacrim)、フェントリファニル(fentrifanil)、フルベンジミン、フルフェネリム、フルテンジン(flutenzin)、ゴシプルーレ(gossyplure)、ヒドラメチルノン、ジャポニルーレ(japonilure)、メトキサジアゾン、石油、ピペロニルブトキシド、オレイン酸カリウム、ピリダリル、スルフラミド、テトラジホン、テトラサル、トリアラテン(triarathene)、ベルブチン(verbutin)。
【0147】
さらに、化合物3−メチル−フェニル−プロピルカルバメート(ツマサイドZ)、化合物3−(5−クロロ−3−ピリジニル)−8−(2,2,2−トリフルオロエチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボニトリル(CAS−Reg.−Nr.185982−80−3)、および対応する3−endo−異性体(CAS−Reg.−Nr.185984−60−5)(WO−96/37494、WO−98/25923を参照)、および殺虫植物抽出物、線虫、糸状菌、またはウイルスを含む製剤。
【0148】
除草剤などの他の知られている活性化合物、または肥料および成長調整剤、安全剤、およびセミケミカルとの混合も可能である。
【0149】
さらに、本発明の構造(I)の化合物は、非常に良好な抗真菌活性を示す。これらは、特に、皮膚糸状菌およびブラストミセス属、うどん粉菌および二相性糸状菌(例えば、カンジダアルビカンス、カンジダグラブラタなどのカンジダ属に対し)およびエルデルモフィトンフロッコーズム、黒色アスペルギルスおよびアスペルギルスフミガーツスなどのアスペルギルス属、毛瘡白癬菌などの白癬菌属、ミクロスポロンカニスおよびオーズイニイなどのミクロスポロン属に対し、非常に広範な抗真菌活性スペクトラムを有する。これらの糸状菌のリストは、決して、記録可能な真菌スペクトラムを制限するものではなく、説明を目的としているだけである。
【0150】
活性化合物は、すぐに使える状態の溶液、懸濁液、水和剤、ペースト、溶けやすい粉末、ダスト、および顆粒などの、製剤の形態またはそれらから製造される実施形態の形態で、そのようなものとして使用することができる。適用は、通常の方法、例えば、注ぐ、スプレーする、ネブライズする、粉末を振りかける、起泡する、ブラッシングするなどで行う。さらに、超低体積プロセスにより活性化合物を適用するか、または活性化合物自体を土壌に注入することも可能である。また、植物の種子を処置するためにも使用できる。
【0151】
防カビ剤などの活性化合物を使用する際に、適用方法に応じて適用量を広い範囲にわたって変えることができる。植物構成要素の処置では、適用される活性化合物の量は、一般に、0.1から10,000g/ha、好ましくは10から1,000g/haの範囲である。種子の処置では、適用される活性化合物の量は、一般に、種子1キログラム当たり0.001から50g/ha、好ましくは種子1キログラム当たり0.01から10g/haの範囲である。土壌の処置では、適用される活性化合物の量は、一般に、0.1から10,000g/ha、好ましくは1から5,000g/haの範囲である。
【0152】
上で既に説明されているように、本発明により、すべての植物および植物構成要素を処置することができる。好ましい一実施形態では、野生に発生するまたは交配または原形質融合などの従来の生物学的育種方法により得られる植物種および植物品種、およびそれらのパーツが処置される。他の好ましい実施形態では、遺伝子工学の方法で得られた遺伝子導入植物および植物品種、場合によっては従来の方法(遺伝子組換え生物)と組み合わせたもの、およびそれらの構成要素が処置される。「構成要素」および「植物の構成要素」または「植物構成要素」は上で定義された。
【0153】
特に好ましいのは、本発明により、植物または市販のまたは使用中のそれぞれの植物品種が処置されることである。植物品種とは、従来の育種、突然変異生成、または遺伝子組換え技術により育てられる新しい性質(「遺伝形質」)を持つ植物のことである。これらは、品種、菌株、生物型、または遺伝子型とすることができる。
【0154】
植物種または植物品種、成長の位置および条件(土壌、気候、植物期間、栄養摂取)に応じて、付加的(相乗)効果も、本発明による処置により生じうる。したがって、例えば、本発明の利用可能な物質および薬剤の低適用量および/または抗菌活性スペクトルの拡大および/または活性強化、植物成長の改善、高温または低温に対する耐性の向上、日照りまたは土壌水分または塩分量に対する耐性の向上、開花効率の向上、収穫の容易さの向上、熟成の高速化、収穫量の増大、収穫された産物の品質および/または栄養価の改善、貯蔵寿命の延長、および/または収穫産物の加工性向上は、実際に予想される効果を超えたものが可能である。
【0155】
遺伝子組換えを通じて、特に有用な性質(「遺伝形質」)を植物に与える遺伝物質を受け取るすべての植物は、本発明により処置されるべき好ましい遺伝子導入植物または植物品種(遺伝子工学により得られる)に属する。このような性質の例としては、植物成長の向上、高温および低温に対する耐性の増大、日照りおよび土壌水分および塩分量に対する耐性の増大、収穫の容易さの向上、熟成の高速化、収穫高の増大、収穫産物の品質および栄養価の増大、貯蔵寿命の延長、および/または収穫産物の加工性がある。このような性質の他の、特に強調される例としては、昆虫、ダニ、植物病原性真菌、細菌、および/またはウイルスなどの動物および有害細菌に対する植物の耐性向上、さらに、いくつかの活性除草作用化合物に対する植物の耐性向上が挙げられる。遺伝子導入植物の例として、穀物(小麦、米)、トウモロコシ、大豆、ジャガイモ、綿、タバコ、セイヨウアブラナ、さらに、果物のなる植物(リンゴ、西洋ナシ、柑橘類、およびブドウ)などの重要な栽培植物が言及されているが、トウモロコシ、大豆、ジャガイモ、綿、タバコ、およびセイヨウアブラナが特に言及される。性質(「遺伝形質」)として特に言及されるのは、植物内に形成される毒素、特にバチルスチューリンゲンシスからの遺伝物質(例えば、遺伝子CryIA(a)、CryIA(b)、CryIA(c)、CryIIA、CryIIIA、CryIIIB2、Cry9c、Cry2Ab、Cry3Bb、およびCryIF、さらにこれらの組合せ)で生成される毒素による昆虫、クモ類、線虫類、およびナメクジおよびカタツムリに対する植物の耐性の向上である(これ以降「Bt植物」と呼ぶ)。さらに特に言及されている性質(「遺伝形質」)は、全身獲得抵抗性(SAR)、システミン、ヒトアレキシン、エリシター、および耐性遺伝子、および対応して発現されるタンパク質および毒素による、糸状菌、細菌、およびウイルスに対する植物の耐性の増大である。さらに、特に言及される性質(「遺伝形質」)は、ある種の活性除草剤化合物、例えば、イミダゾリン、スルホニル尿素、グリホサート、またはホスフィノトリシンに対する植物の耐性の増大である(例えば、「PAT」遺伝子)。所望の性質(「遺伝形質」)を付与するそれぞれの遺伝子は、遺伝子導入植物内に組合せで存在する可能性もある。「Bt植物」の例としては、YIELD GARD(登録商標)(例えば、トウモロコシ、綿、大豆)、KnockOut(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、StarLink(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Bollgard(登録商標)(綿)、Nucoton(登録商標)(綿)、およびNewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)というブランド名で売られているトウモロコシ品種、綿品種、大豆品種、およびジャガイモ品種がある。除草剤耐性植物の例として言及されるのは、Roundup Ready(登録商標)(グリホサートへの耐性、例えば、トウモロコシ、綿、大豆)、Liberty Link(登録商標)(ホスヒノトリシンに対する耐性、例えば、セイヨウアブラナ)、IMI(登録商標)(イミダゾリンへの耐性)、およびSTS(登録商標)(スルホニル尿素への耐性、トウモロコシ)というブランド名で売られているトウモロコシ品種、綿品種、および大豆品種である。(従来除草剤耐性用に品種改良された)除草剤耐性植物の例として言及されているのは、Clearfield(登録商標)(例えば、トウモロコシ)という名前でも売られている品種である。当然のことながら、これらの陳述は、これらの遺伝的性質(「遺伝形質」)または将来開発される遺伝的性質を持つ将来開発または販売される植物品種にも適用される。
【0156】
本発明により、説明されている植物は、一般構造(I)の化合物または本発明の活性化合物混合物と併用すると特に有利に処置できる。活性化合物またはそれらの混合物について上で説明されている好ましい範囲は、これらの植物の処置にも適用される。特に言及されているのは、本明細書の本文で特に説明されている化合物または混合物による植物の処置である。
【実施例】
【0157】
本発明の活性化合物の製造および使用は、以下の実施例において説明される。
【0158】
製造の実施例
(実施例1)
【0159】
【化37】

【0160】
(+/−)−N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(200mg)を、−ヘプタン/イソプロパノール9:1(v/v=体積/体積)25ml中に溶解する。溶液は、n−ヘプタン/イソプロパノール9:1(v/v)を溶離液として使用しシリカゲル相Chiralcel OD(登録商標)[メーカー:Daicel(日本)、カラム寸法:500mm×40mm(i.d.)、粒子サイズ:20μm、流量:40ml/分]上で高速液体クロマトグラフィ(BPLC)により分画される。全量を分離するため、30分おきに5mlの割合(それぞれ、ラセミ酸塩40mgに対応する)をカラムに加える。化合物の検出は、210nmの波長でUV検出器により実行される。鏡像異性体純度の分析調査の後、それぞれの溶離液画分を組合せ、真空内でできる限り濃縮し、残留物を濾過して取り除き、n−ヘプタンで洗浄した後乾燥させる。こうして分離された粗生成物をシリカゲル上で精製する(溶離液n−ヘキサン/酢酸エチル1:9→1:4、それぞれの場合においてv/v)。
【0161】
N−{2−[(1S)−1,3−ジメチルブチル]フェニル}−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド87mgが得られる(融点52〜54℃、旋光度[α]=+6,7、c=0.87、メタノール、20℃、ee値=99%)。
【0162】
構造(I)のカルボキサミドの鏡像異性体純度は、以下の条件により、分析HPLCにより決定された。
【0163】
分離相:Chiralcel OD(登録商標)(Daicel、日本)、5μm
カラム:250mm×4.6mm(I.D.)
溶離液:n−ヘプタン/2−プロパノール10:1
流量:0.5ml/分
UV検出:210nm
【0164】
実施例1と同様の方法で、一般手順説明の詳細に従って、以下の表に示されている構造(I)の化合物が得られる。
【0165】
【表1】

【0166】
上の表と製造実施例で示されている対数P値は、HPLC(高速液体クロマトグラフィ)により逆相カラム(C18)において温度43℃でEEC Directive 79/831 Annex V.A8に従って決定された。
【0167】
0.1%のリン酸水溶液とアセトニトリルを溶離液とし、アセトニトリル10%からアセトニトリル90%の直線勾配により、pH2.3の酸領域で測定が行われる。
【0168】
対数P値が知られている非分枝アルカン2−オン(3から16個の炭素原子を持つ)で較正を行う(2つの連続するアルカノンの間の直線補間による保持時間による対数P値の決定)。
【0169】
ラムダ最大値は、クロマトグラフ信号の最大値で200nmから400nmのUVスペクトルから決定された。
【0170】
適用実施例
(実施例A)
ポドスフェラ試験(リンゴ)/防疫
【0171】
溶媒: アセトン24.5重量部
ジメチルアセトアミド24.5重量部
乳化剤:アルキルアリルポリグリコールエーテル1重量部
該当する活性化合物製剤の生産のため、活性化合物1重量部を、与えられた量の溶媒および乳化剤と混合し、濃縮物を水で所望の濃度になるまで希釈する。
【0172】
防疫活性の調査のため、若い植物に活性化合物製剤を規定の量だけスプレーする。スプレーコーティングを乾燥させた後、植物に、リンゴうどん粉病原体ポドスファエラロイコトリカの水性胞子懸濁液を接種する。次いで、植物を、約23℃、相対湿度約70%の温室内に置く。
【0173】
接種してから10日後に評価を実施する。0%の抗菌活性レベルは、コントロールの抗菌活性レベルに対応するが、100%の抗菌活性レベルは、蔓延が観察されないことを意味する。
【0174】
【表2】

【0175】
(実施例B)
スフェロテーカ試験(キュウリ)/防疫
【0176】
溶媒: アセトン24.5重量部
ジメチルアセトアミド24.5重量部
乳化剤:アルキルアリルポリグリコールエーテル1重量部
該当する活性化合物調合の生産のため、活性化合物1重量部を、与えられた量の溶媒および乳化剤と混合し、濃縮物を水で所望の濃度になるまで希釈する。
【0177】
防疫活性の調査のため、若いキュウリ植物に活性化合物製剤を規定の量だけスプレーする。スプレーコーティングを乾燥させた後、植物に、スフェロテーカフリギネアの水性胞子懸濁液を接種する。次いで、植物を、約23℃、相対湿度約70%の温室内に置く。
【0178】
接種してから7日後に評価を実施する。0%の抗菌活性レベルは、コントロールの抗菌活性レベルに対応するが、100%の抗菌活性レベルは、蔓延が観察されないことを意味する。
【0179】
【表3】



【0180】
(実施例C)
ベンチュリア試験(リンゴ)/防疫
【0181】
溶媒: アセトン24.5重量部
ジメチルアセトアミド24.5重量部
乳化剤:アルキルアリルポリグリコールエーテル1重量部
該当する活性化合物調合の生産のため、活性化合物1重量部を、与えられた量の溶媒および乳化剤と混合し、濃縮物を水で所望の濃度になるまで希釈する。
【0182】
防疫活性の調査のため、若い植物に活性化合物製剤を規定の量だけスプレーする。スプレーコーティングを乾燥させた後、植物に、リンゴ黒星病原菌ベンチュリアイナクアリスの水性分生子懸濁液を接種し、次いで、約20℃、相対湿度100%のインキュベータ内に1日放っておく。
【0183】
次いで、植物を、約21℃、相対湿度約90%の温室内に置く。
【0184】
接種してから10日後に評価を実施する。0%の抗菌活性レベルは、コントロールの抗菌活性レベルに対応するが、100%の抗菌活性レベルは、蔓延が観察されないことを意味する。
【0185】
【表4】



【0186】
(実施例D)
ボトリチス試験(豆)/防疫
【0187】
溶媒: アセトン24.5重量部
ジメチルアセトアミド24.5重量部
乳化剤:アルキルアリルポリグリコールエーテル1重量部
該当する活性化合物調合の生産のため、活性化合物1重量部を、与えられた量の溶媒および乳化剤と混合し、濃縮物を水で所望の濃度になるまで希釈する。
【0188】
防疫活性の調査のため、若い植物に活性化合物製剤を規定の量だけスプレーする。スプレーコーティングを乾燥させた後、ボトリチスシネラでコーティングされた寒天2切れをそれぞれの葉に載せる。次いで、接種された植物を、約20℃、相対湿度100%の暗室内に置く。
【0189】
葉に蔓延した斑点のサイズは、接種後2日たってから評価する。0%の抗菌活性レベルは、コントロールの抗菌活性レベルに対応するが、100%の抗菌活性レベルは、蔓延が観察されないことを意味する。
【0190】
【表5】



【0191】
(実施例E)
アルテルナリア試験(トマト)/防疫
【0192】
溶媒: アセトン24.5重量部
ジメチルアセトアミド24.5重量部
乳化剤:アルキルアリルポリグリコールエーテル1重量部
該当する活性化合物調合の生産のため、活性化合物1重量部を、与えられた量の溶媒および乳化剤と混合し、濃縮物を水で所望の濃度になるまで希釈する。
【0193】
防疫活性の調査のため、若い植物に活性化合物製剤を規定の量だけスプレーする。スプレーコーティングを乾燥させた後、植物に、アルテルナリアソラニの水性胞子懸濁液を接種する。次いで、植物を、約20℃、相対湿度100%のインキュベータ内に置く。
【0194】
接種してから3日後に評価を実施する。0%の抗菌活性レベルは、コントロールの抗菌活性レベルに対応するが、100%の抗菌活性レベルは、蔓延が観察されないことを意味する。
【0195】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造(I)の光学活性カルボキサミド
【化1】

[式中、
Rは、水素、フッ素、塩素、メチル、エチル、またはトリフルオロメチルを表し、
Mは、
【化2】

を表し、
(*印が付いている結合部位は、アミドと結合され、#印が付いている結合部位は、アルキル側鎖と結合されており、
は、水素、フッ素、塩素、メチル、またはトリフルオロメチルを表す。)、
Aは、構造(A1)の基
【化3】

(式中、
は、メチル、トリフルオロメチル、またはジフルオロメチルを表し、
は、水素、フッ素、または塩素を表す。)を表すか、
または
Aは、構造(A2)の基
【化4】

(式中、
は、トリフルオロメチル、塩素、臭素、またはヨウ素を表す。)を表すか、
または
Aは、構造(A3)の基
【化5】

(式中、
は、メチル、トリフルオロメチル、またはジフルオロメチルを表す。)を表す]。
【請求項2】
Rが水素、メチル、またはエチルを表し、
Mが、M−1またはM−2を表し、
が、水素、フッ素、塩素、メチル、またはトリフルオロメチルを表し、
が、メチルまたはトリフルオロメチルを表し、
が、水素またはフッ素を表し、
が、トリフルオロメチルまたはヨウ素を表し、
が、トリフルオロメチルを表す
請求項1に記載の構造(I)の光学活性カルボキサミド。
【請求項3】
請求項1に記載の構造(I)の光学活性カルボキサミドを製造する方法であって、
a)構造(II)のカルボン酸誘導体
【化6】

(式中、
Aは、請求項1で定義された意味を持ち、
は、ハロゲンまたは水酸基を表す。)
を、場合によっては触媒の存在下で、場合によっては縮合剤の存在下で、場合によっては酸結合剤の存在下で、および場合によっては希釈剤の存在下で、構造(III)のアミン
【化7】

(式中、RおよびMは、請求項1で定義された意味を持つ)と反応させるか、
または
b)構造(I−rac)のラセミ化合物
【化8】

(式中、R、M、およびAは、請求項1で定義された意味を持つ)
を、液相として溶離液または溶離混合液の存在下でキラルシリカゲル固定相上でクロマトグラフにかけるか、
または、塩の形成で光学活性酸により分別再結晶化し、その後、構造(I)の鏡像異性的に純粋または濃縮された化合物を放出させるか、
または
c)構造(IV)の化合物
【化9】

(式中、R、M、およびAは、請求項1で定義された意味を持つ)
または構造(V)の化合物
【化10】

(式中、R、M、およびAは、請求項1で定義された意味を持つ)
または両方の化合物の混合物を、光学活性触媒または光学活性リガンドを含む触媒の存在下で水素化することを特徴とする、前記方法。
【請求項4】
希釈剤および/または界面活性剤と一緒に請求項1に記載の構造(I)の少なくとも1つの光学活性カルボキサミドを含むことを特徴とする有害微生物を制御するための薬剤。
【請求項5】
有害微生物の制御のための請求項1に記載の構造(I)の光学活性カルボキサミドの使用。
【請求項6】
請求項1に記載の構造(I)の光学活性カルボキサミドを、微生物および/またはそれらの生息場所に適用することを特徴とする有害微生物を制御する方法。
【請求項7】
請求項1に記載の構造(I)の光学活性カルボキサミドを希釈剤および/または界面活性剤と混合することを特徴とする有害微生物を制御する薬剤を製造する方法。
【請求項8】
RおよびMが、請求項1に記載の意味を持つ、
構造(III)のアミン。
【化11】


【公表番号】特表2007−516261(P2007−516261A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544270(P2006−544270)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013834
【国際公開番号】WO2005/058839
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】