説明

光学装置

【課題】 可動部に磁石を設置し、電磁石を磁石との間に作用する磁力によって可動部を揺動させることが可能な光学装置において、可動部の磁石を設置するためのスペースを小さくする。
【解決手段】 可動部の上面に上部磁石が設置されており、下面に下部磁石が設置されている。上部磁石は、可動部から突出して可撓梁の上方または側方に可撓梁と離間して延在している上部延在部を有しており、下部磁石は、可動部から突出して可撓梁の下方または側方に可撓梁と離間して延在している下部延在部を有している。可動部が設置されていない領域(可撓梁の上方、下方、側方)に磁石(上部磁石、下部磁石)が突出しているので、磁石の平面方向の面積に対して、可動部の磁石を設置する部分の面積を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁力によってミラーを揺動させることによって光ビームの反射方向を変化させる(以下では「偏向させる」という)光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ビームを偏向させる光学装置を、MEMS技術を利用して製造する技術が開発されている。この種の光学装置は、基板と可撓梁と可動部を備えており、可動部は可撓梁によって基板に対して揺動可能に支持されている。可動部の上面にミラーが設置されている。可動部を基板に対して揺動させることによって、ミラーを所定の角度に傾けることができる。
【0003】
電磁力を利用する光学装置では、磁石と電磁石のうちの一方を可動部に設置し、他方を基板上に設置する。例えば、非特許文献1には、可動部の下面に磁石を貼り付け、可動部の下方に位置する基板上に電磁石を設置する光学装置が開示されている。電磁石に駆動電流を通電すると、磁石と電磁石の間に電磁力が作用する。この電磁力によって可動部を揺動させることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Takayuki Iseki et al., OPTICAL REVIEW, Vol.13, No.4(2006), 189-194
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電磁力を利用する光学装置において、可動部に磁石を設置する場合には、磁石を設置するためのスペースを可動部に確保する必要がある。本願は、可動部に磁石を設置する光学装置において、可動部の磁石を設置するためのスペースを小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光学装置は、基板と、可撓梁と、可撓梁によって基板に対して揺動可能に支持されている可動部と、可動部の上面に固定されているミラーと、可動部の上面に設置されている上部磁石と、可動部の下面に設置されている下部磁石と、上部磁石および下部磁石に可動部を可撓梁の周りに回転させるトルクを発生させる磁束を発生する電磁石とを備えている。上部磁石は、第1磁極(N極又はS極の一方)が可動部を向く姿勢で設置されており、下部磁石は、第2磁極(第1磁極と反対の磁極)が可動部を向く姿勢で設置されている。下部磁石は、可動部を介して上部磁石と対向する位置に設置されている。上部磁石は、可動部から突出して可撓梁の上方または側方に可撓梁と離間して延在している上部延在部を有している。下部磁石は、可動部から突出して可撓梁の下方または側方に可撓梁と離間して延在している下部延在部を有している。
【0007】
可撓梁によって可動部が基板に対して揺動する光学装置では、可撓梁の上方、下方、側方に可動部が設置されていないスペースが存在する。上記の光学装置では、上部磁石は、可動部から突出して可撓梁の上方または側方に可撓梁と離間して延在している上部延在部を有している。また、下部磁石は、可動部から突出して可撓梁の下方または側方に可撓梁と離間して延在している下部延在部を有している。可動部が設置されていない領域(可撓梁の上方、下方、側方)に磁石(上部磁石、下部磁石)が突出しているので、磁石の平面方向の面積に対して、可動部の磁石を設置する部分の面積を小さくすることができる。可動部の磁石を設置するためのスペースを小さくすることができ、光学装置全体を小型化することが可能となる。
【0008】
上記の光学装置では、上部延在部と下部延在部との少なくとも一方が、可撓梁に接離可能な位置に延在していることが好ましい。可撓梁が所定の大きさで湾曲した場合に可撓梁と接触して、可撓梁が大きく湾曲し過ぎることを抑制できる。
【0009】
可撓梁に接離可能な位置に延在している上部延在部または下部延在部は、その少なくとも一部が、可撓梁の長手方向に沿って可撓梁の長手方向の中点よりもミラーから遠い位置に存在していてもよい。可撓梁の湾曲が小さい状態で、可撓梁と上部延在部または下部延在部とを接触させることができる。
【0010】
上部磁石および下部磁石の着磁方向は、可動部に対して垂直な方向であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、可動部に磁石を設置する光学装置において、可動部の磁石を設置するためのスペースを小さくすることを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の光学装置の斜視図である。
【図2】図1の光学装置のミラー部の上面を示す図である。
【図3】図2のミラー部の下面を示す図である。
【図4】図2および図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図2および図3のV−V線断面図である。
【図6】図2において、可動部に設置された磁石を取り外した状態を示す図である。
【図7】実施例1の光学装置の可動部と、これに設置される磁石を示す図である。
【図8】図2および図3のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図8において、第2可撓梁が下方に湾曲した状態を示す図である。
【図10】図8において、第2可撓梁が上方に湾曲した状態を示す図である。
【図11】C字形状の電磁石の磁束密度について説明する図である。
【図12】実施例1の光学装置の製造方法を説明する図である。
【図13】実施例1の光学装置の製造方法を説明する図である。
【図14】実施例1の光学装置の製造方法を説明する図である。
【図15】変形例の光学装置の断面図である。
【図16】変形例の光学装置の断面図である。
【図17】変形例の光学装置の断面図である。
【図18】変形例の光学装置の製造方法を説明する図である。
【図19】変形例の光学装置の製造方法を説明する図である。
【図20】変形例の光学装置の製造方法を説明する図である。
【図21】変形例の光学装置の製造方法を説明する図である。
【図22】変形例の光学装置の製造方法を説明する図である。
【図23】変形例の光学装置の製造方法を説明する図である。
【図24】変形例に係る光学装置の可動部と、これに設置される磁石を示す図である。
【図25】変形例に係る光学装置の可動部と、これに設置される磁石を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る好ましい実施形態は、例えば、下記に列挙する特徴を備えた実施例によって具現化される。
(特徴1)可動部を介して対向する上部磁石と下部磁石とは、同一部材であり、同一材料を用いて同一形状、同一重量に設計されている。
【実施例1】
【0014】
(光学装置)
図1は、実施例1の光学装置10の斜視図である。光学装置10は、第1電磁石20と、第2電磁石40と、ミラー部30とを備えている。
【0015】
第1電磁石20は、C字形状の鉄心201と、鉄心201に巻き付けられている第1コイル203a,203bを備えている。鉄心201は、ミラー部30を挟んでx軸方向(第2方向)に対向する磁極部201aと磁極部201bとを備えており、磁極部201aと磁極部201bとの間に、ミラー部30が設置されている。第2電磁石40は、C字形状の鉄心401と、鉄心401に巻き付けられている第2コイル403a,403bを備えている。鉄心401は、ミラー部30を挟んでy軸方向(第1方向)に対向する磁極部401aと磁極部401bとを備えており、磁極部401aと磁極部401bとの間に、ミラー部30が設置されている。
【0016】
第1電磁石20の第1コイル203a,203bに電流を流すと、磁極部201aと磁極部201bとの間にx軸方向の磁界が発生する。第2電磁石40の第2コイル403a,403bに電流を流すと、磁極部401aと磁極部401bとの間にy軸方向の磁界が発生する。
【0017】
図2は、図1に示すミラー部30の平面図であり、図3は、図2に示すミラー部30を下面側から見た図である。図2および図3に示すように、ミラー部30は、基板301と、基板301から伸びている1対の第1可撓梁303a,303bと、1対の第1可撓梁303a,303bによって支持されている第1可動部305と、第1可動部305から伸びている1対の第2可撓梁309a,309bと、1対の第2可撓梁309a,309bによって支持されている第2可動部311と、第2可動部311の上面に固定されているミラー315とを備えている。
【0018】
第1可動部305の上面には、第1上部磁石307a,307bが固定されており、下面には、第1下部磁石308a,308bが固定されている。第2可動部311の上面には、第2上部磁石313a,313bが固定されており、下面には、第2下部磁石314a,314bが固定されている。第1上部磁石307a,307b、第1下部磁石308a、308b、第2上部磁石313a,313b、第2下部磁石314a、314bは、永久磁石であり、ネオジム磁石(NdFe14B)、サマリウムコバルト磁石(SmCo(1−5系)、SmCo17(2−17系)等)、フェライト磁石、もしくはこれらを樹脂等に練り込んだボンド磁石等を好適に用いることができる。第1上部磁石307a、307bと第1下部磁石308a、308bとは、同一の部材であって、同一材料を用いて同一形状に設計されており、重量も同一である。同様に、第2上部磁石313a、313bと第2下部磁石314a、314bとは、同一の部材であって、同一材料を用いて同一形状に設計されており、重量も同一である。
【0019】
図4は、図2および図3のIV−IV線断面図であり、図5は、図2および図3のV−V線断面図である。図6は、図2において可動部に固定した磁石を取り除いた状態を示す図である。図7は、図2等に示す第1可動部305と、これに設置される第1上部磁石307b、第1下部磁石308bの位置関係を示す図である。
【0020】
図6に示すように、第1可撓梁303a、303bは、それぞれ接続部331a,331bにおいて第1可動部305と接続しており、接続部332a,332bにおいて基板301と接続している。第1可動部305は、ミラー315側から基板301側に向かって第1可撓梁303a,303bに沿って延びる第1磁石設置部351a,352a,351b,352bを備えている。第2可撓梁309a、309bは、それぞれ接続部341a,341bにおいて第2可動部311と接続しており、接続部342a,342bにおいて第1可動部305と接続している。第2可動部311は、ミラー315側から基板301側に向かって第2可撓梁309a,309bに沿って延びる第2磁石設置部361a,362a,361b,362bを備えている。
【0021】
図5に示すように、第1磁石設置部351a,352aの上面に接するように、第1上部磁石307aが固定されており、第1磁石設置部351a,352aの下面に接するように、第1下部磁石308aが固定されている。第1磁石設置部351b,352bの上面に接するように、第1上部磁石307bが固定されており、第1磁石設置部351b,352bの下面に接するように、第1下部磁石308bが固定されている。第1上部磁石307a,307b、第1下部磁石308a,308bは凹形状であって、窪んだ部分が第1可撓梁303a、303b側となるように、第1可動部305に固定されている。第1上部磁石307a,307b、第1下部磁石308a,308bの着磁方向は、第1可動部305に対して垂直な方向(図2に示すz方向)である。
【0022】
図4に示すように、第2磁石設置部361a,362aの上面に接するように、第2上部磁石313aが固定されており、第2磁石設置部361a,362aの下面に接するように、第2下部磁石314aが固定されている。第2磁石設置部361b,362bの上面に接するように、第2上部磁石313bが固定されており、第2磁石設置部361b,362bの下面に接するように、第2下部磁石314bが固定されている。第2上部磁石313a,313b、第2下部磁石314a,314bは凹形状であって、窪んだ部分が第2可撓梁309a、309b側となるように、第2可動部311に固定されている。第2上部磁石313a,313b、第2下部磁石314a,314bの着磁方向は、第2可動部311に対して垂直な方向(図2に示すz方向)である。
【0023】
図7を用いて、より具体的に説明する。図7は、第1可動部305と、これに設置する第1上部磁石307b、第1下部磁石308bとを示している。第1上部磁石307bは凹形状であって、可動部を平面視した場合に、平面方向に延在する上部延在部373と、上部延在部373から下方に延びる側方部371,372とを備えている。第1下部磁石308bは、平面方向に延在する下部延在部383と、下部延在部383から上方に延びる側方部381,382とを備えている。
【0024】
第1上部磁石307bは、側方部371の下面371aが第1磁石設置部351bの上面に接し、側方部372の下面372aが第1磁石設置部352bの上面に接するように、設置される。これによって、図5および図7に示すように、第1上部磁石307bの上部延在部373は、第1可動部305から第1可撓梁303bに向かって突出しており、第1可撓梁303bと離間した状態でその上方に延在することとなる。
【0025】
第1下部磁石308bは、側方部381の上面381aが第1磁石設置部351bの下面に接し、側方部382の上面382aが第1磁石設置部352bの下面に接するように、設置される。これによって、図5および図7に示すように、第1下部磁石308bの下部延在部383は、第1可動部305から第1可撓梁303bに向かって突出しており、第1可撓梁303bと離間した状態でその下方に延在することとなる。
【0026】
図7において、第1上部磁石307bは、側方部371、372の下面371a、372a型がS極であり、その対面である上部延在部373の上面側がN極である。第2下部磁石308bは、側方部381、382の上面381a、382a側がN極であり、その対面である下部延在部383の下面側がS極である。
【0027】
S極である第1上部磁石307bの下面371a、372aと、N極である第2下部磁石308bの上面381a、382aが、それぞれ第1可動部305を介して対向しており、この間に磁力が作用する。磁力によって第1上部磁石307bと第1下部磁石308bとの間に第1可動部305が挟み込まれ、第1上部磁石307bと第1下部磁石308bが第1可動部305に固定される。
【0028】
第1上部磁石307aおよび第1下部磁石308aは、上記において説明した第1上部磁石307bおよび第1下部磁石308bと同様の態様で第1可動部305に設置されている。図示しないが、第1上部磁石307aおよび第1下部磁石308aについても、図5と同様に、第1上部磁石307aの上部延在部は、第1可動部305から第1可撓梁303aに向かって突出して、第1可撓梁303aの上方に第1可撓梁303aと離間した状態で延在している。第1下部磁石308aの下部延在部は、第1可動部305から第1可撓梁303aに向かって突出して、第1可撓梁303aの下方に第1可撓梁303aと離間した状態で延在することとなる。
【0029】
第1上部磁石307a,307b、第1下部磁石308a,308bは、第1可撓梁303a,303bに接離可能な位置に延在している。第1可撓梁303a,303bが湾曲して上方に所定の距離だけ変位すると、第1下部磁石308a,308bに接触する。第1可撓梁303a,303bが湾曲して下方に所定の距離だけ変位すると、第1上部磁石307a,307bに接触する。このため、第1可撓梁303a,303bが上下方向に大きく湾曲し過ぎることが抑制される。また、第1可撓梁303a,303bの平面方向(x方向)には、第1上部磁石307a等の側方部、第1可動部305の磁石設置部351a等が離間した状態で延在しているため、第1可撓梁303a,303bが平面方向に大きく湾曲し過ぎることも抑制される。
【0030】
同様に、第2上部磁石313aおよび第2下部磁石314aは、図4に示すように、凹形状であって、S極である第2上部磁石313aの側方部の下面と、N極である第1下部磁石313aの側方部の上面との間に作用する磁力によって第2可動部311を挟み込むように固定されている。これによって、図4に示すように、第2上部磁石313aの上部延在部は第2可撓梁309aの上方に第2可撓梁309aと離間した状態で延在し、第2下部磁石314aの下部延在部は第2可撓梁309aの下方に第2可撓梁309aと離間した状態で延在することとなる。図示しないが、第2下部磁石314aと、第2上部磁石313bおよび第2下部磁石314bについても、図4に示す第2上部磁石313aおよび第2下部磁石314aと同様の態様で第2可動部311に設置されている。すなわち、第2上部磁石313bの上部延在部は第2可撓梁309bの上方に第2可撓梁309bと離間した状態で延在し、第2下部磁石314bの下部延在部は第2可撓梁309bの下方に第2可撓梁309bと離間した状態で延在することとなる。
【0031】
第2上部磁石313a,313b、第2下部磁石314a,314bは、第2可撓梁309a,309bに接離可能な位置に延在している。第2可撓梁309a,309bが湾曲して上方に所定の距離だけ変位すると、第2下部磁石314a,314bに接触する。第2可撓梁309a,309bが湾曲して下方に所定の距離だけ変位すると、第2上部磁石313a,313bに接触する。このため、第2可撓梁309a,309bが上下方向に大きく湾曲し過ぎることが抑制される。また、第2可撓梁309a,309bの平面方向(x方向)には、第2上部磁石313a等の側方部、第2可動部311の磁石設置部361a等が離間した状態で存在しているため、第2可撓梁309a,309bが平面方向に大きく湾曲し過ぎることも抑制される。
【0032】
また、第1可撓梁303a、303bの長手方向の長さは、同一である。第1可撓梁303a、303bのそれぞれの長さをLとすると、接続部331a、331b側から接続部332a、332b側に(すなわち、x方向に沿って)L/2以上離れた位置に、第1上部磁石307a、307bおよび第1下部磁石308a、308bの少なくとも一部が存在していることが好ましい。また、第2可撓梁309a、309bの長手方向の長さは、同一である。第2可撓梁309a、309bのそれぞれの長さをLとすると、接続部341bから接続部342b側に(すなわち、y方向に沿って)L/2以上離れた位置に、第2上部磁石313a、313bおよび第2下部磁石314a、314bの少なくとも一部が存在していることが好ましい。
【0033】
図8を用いて具体的に説明する。図8に示すように、第2可撓梁309bの長さは、接続部341bから接続部342bまでの距離に等しく、Lである。この場合に、第2上部磁石313bおよび第2下部磁石314a、314bは、接続部341bから、y方向に沿ってL/2以上離れた位置にまで延びている。
【0034】
例えば、第2可動部311に下方向(z軸の負方向)の力が作用し、第2可撓梁309bが湾曲して第2可動部311に下方向に変位した場合には、図9に示すように、第2可撓梁309bと第2上部磁石313bとが接触する。逆に、第2可動部311に上方向(z軸の正方向)の力が作用し、第2可撓梁309bが湾曲して第2可動部311に上方向に変位した場合には、図10に示すように、第2可撓梁309bと第2下部磁石314bとが接触する。これによって、第2可撓梁309bが、z軸方向に、それ以上に湾曲することが抑制される。
【0035】
図9、図10に示すように、第2可撓梁309bが上下方向に湾曲しても、接続部341bにおいては、第2可撓梁309bと第2上部磁石313bおよび第2下部磁石314bの位置関係は殆ど変化しない。第2可撓梁309bが上下方向に湾曲した時、第2可撓梁309bと、第2上部磁石313bまたは第2下部磁石314bとの距離は、接続部342bにおいて最も大きく変化する。このため、図9、図10のように、接続部341bからy方向にL/2以上離れた位置に、第2上部磁石313bおよび第2下部磁石314bの少なくとも一部が存在していることが好ましい。
【0036】
図1〜図3に示すように、ミラー部30は、基板301と第1可撓梁303aの接続点と、基板301と第1可撓梁303bの接続点を結ぶ線がy軸方向と一致し、第1可動部305と第2可撓梁309aの接続点と,第1可動部305と第2可撓梁309bの接続点を結ぶ線がx軸方向と一致するように、設置されている。xy平面に直交する方向はz軸方向と一致しており、第2可動部311のz軸が正となる上面側にミラー315が設置されている。とすると、第1可撓梁303a,303bは、基板301からy軸方向に伸びているとともに、第1可動部305に連接している。第2可撓梁309a,309bは、第1可動部305からx軸方向に伸びているとともに、第2可動部311に連接している。第1方向であるy軸と、第2方向であるx軸は、基板に平行な面内で直交している。
【0037】
第1可動部305は、第1可撓梁303a,303bによって、基板301に対してy軸を中心に揺動可能に支持されており、第2可動部311は、第2可撓梁309a,309bによって、第1可動部305に対してx軸を中心に揺動可能に支持されている。これによって、第2可動部311は、基板300に対して、y軸(第1軸)とx軸(第2軸)の周りに独立に揺動することが可能となっている。
【0038】
図1に示す第1電磁石20の第1コイル203a,203bに電流を流すと、磁極部201aと磁極部201bとの間にx軸方向の磁界が発生し、この間に設置されているミラー部30の第1上部磁石307a、307bおよび第1下部磁石308a、308bに対して、電磁力が作用する。これによって、第1可撓梁303a、303bが捩れ、第1可動部305と、第2可撓梁309a,309bと、第2可動部311と、ミラー315とが一体となってy軸の周りに揺動する。
【0039】
例えば、磁極部201aがN極、磁極部201bがS極となるように第1コイル203a,203bに電流を流すと、第1上部磁石307a,307bおよび第1下部磁石308a、308bのN極は、磁極部201aから斥力を受け、磁極部201bから引力を受ける。第1上部磁石307a,307bおよび第1下部磁石308a、308bのS極は、磁極部201aから引力を受け、磁極部201bから斥力を受ける。その結果、第1可撓梁303a、303bが捩れ、第1可動部305と、第2可撓梁309a,309bと、第2可動部311と、ミラー315は、磁極部201a側が基板301の上方に傾き、磁極部201b側が基板301の下方に傾く。逆に、磁極部201aがS極、磁極部201bがN極となるように第1コイル203a,203bに電流を流すと、第1可動部305と、第2可撓梁309a,309bと、第2可動部311と、ミラー315は、磁極部201a側が基板301の下方に傾き、磁極部201b側が基板301の上方に傾く。
【0040】
尚、磁極部201aと磁極部201bの間に発生するx軸方向の磁界は、第2上部磁石313a,313bおよび第2下部磁石314a,314bにも、第2可動部311をy軸の周りに回転させるトルクを発生させる。第2可撓梁309a,309bはx軸の周りには容易に捩れる一方で、y軸周りに回転させるトルクに対しては変形しにくく設計されている。このため、第2可動部311に生じるトルクによって第2可撓梁309a,309bが変形して第2可動部311が第1可動部305に対して傾くことがなく、第1可撓梁303a、303bが捩れる。第1可動部305に生じるトルクと、第2可動部311に生じるトルクは同じ方向であるため、第1可動部305と第2可動部311の全体が一体となって、第1可撓梁303a、303bの周りに揺動する。
【0041】
図1に示す第2電磁石40の第2コイル403a,403bに電流を流すと、磁極部401aと磁極部401bとの間にy軸方向の磁界が発生し、この間に設置されているミラー部30の第2上部磁石313a、313bおよび第2下部磁石314a、314bに対して、電磁力が作用する。これによって、第2可撓梁309a、309bが捩れ、第2可動部311と、ミラー315とが一体となってx軸の周りに揺動する。
【0042】
例えば、第2電磁石40の磁極部401aがN極、磁極部401bがS極となるように第2コイル403a,403bに電流を流すと、第2磁石313a,313b,314a,314bのN極は、磁極部401aから斥力を受け、磁極部401bから引力を受ける。その結果、第2可撓梁309a、309bが捩れ、第2可動部311と、ミラー315は、磁極部401aの側が基板301の上方に傾き、磁極部401bの側が基板301の下方に傾く。逆に、磁極部401aがS極、磁極部401bがN極となるように第2コイル403a,403bに電流を流すと、第2可動部311と、ミラー315とは、磁極部401aの側が基板301の下方に傾き、磁極部401bの側が基板301の上方に傾く。
【0043】
尚、磁極部401aと磁極部401bの間に発生するy軸方向の磁界は、第1上部磁石307a,307bおよび第2下部磁石308a,308bにも、第1可動部305をx軸の周りに回転させるトルクを発生させる。第1可撓梁303a,303bはy軸の周りには容易に捩れる一方で、x軸周りに回転させるトルクに対しては変形しにくく設計されている。このため、第1可動部305に生じるトルクによって、第1可撓梁303a,303bが変形して第1可動部305が基板301に対して傾くことがない。
【0044】
実施例1では、第1上部磁石307a、307bと第1下部磁石308a、308bとは、同一の部材であって、同一材料を用いて同一形状に設計されており、重量も同一である。同一部材である第1上部磁石307a、307bが第1可動部305の上面側に、第1下部磁石308a、308bが第1可動部305の下面側に設置されている。このため、第1上部磁石307a、307bと第1下部磁石308a、308bが設置されることによって、第1可動部305の重心が揺動中心(y軸)から上下方向にずれることがない。
【0045】
同様に、第2上部磁石313a、313bと第2下部磁石314a、314bとは、同一の部材であって、同一材料を用いて同一形状に設計されており、重量も同一である。このため、第2上部磁石313a、313bと第2下部磁石314a、314bが設置されることによって、第2可動部311の重心が揺動中心(x軸)から上下方向にずれることがない。
【0046】
上記のとおり、実施例1では、上部磁石(第1上部磁石、第2上部磁石)は、可撓梁(第1可撓梁、第2可撓梁)の上方に延在し、可撓梁と離間する上部延在部を備えているため、可撓梁の上方のスペースを利用して上部磁石を設置することができ、可動部の上部磁石を設置するスペースを小さくすることができる。下部磁石(第1下部磁石、第2下部磁石)は、可撓梁の下方に延在し、可撓梁と離間する下部延在部を備えているため、可撓梁の下方のスペースを利用して下部磁石を設置することができ、可動部の下部磁石を設置するスペースを小さくすることができる。可動部の上部磁石、下部磁石を設置するスペースを小さくすることができるため、ミラー部全体の大きさを小さくすることができる。
【0047】
上部延在部と下部延在部は、可撓梁に接離可能な位置に設置されており、可撓梁が大きく湾曲しない場合には可撓梁と離間しており、可撓梁が可動部の上下方向に所定の大きさで湾曲した場合に可撓梁と接触する。これによって、可撓梁が大きく湾曲し過ぎることを抑制できる。
【0048】
さらには、図1に示すミラー部30の大きさを小さくすることができるため、第1電磁石20、第2電磁石40の対向する磁極部間の距離を小さくすることができる。図11は、C字形状のヨーク291にコイル293を巻いた電磁石290を模式的に示す図である。図11において、対向する2つの磁極部によって挟まれた領域をギャップと呼び、ギャップにおいて磁束の漏れがなく、磁束が均一であると仮定すると、ギャップ長さは、対向する磁極部間の距離に相当し、ギャップ透磁率は、対向する磁極部の間の透磁率に相当し、ギャップ断面積は、対向する磁極部の面積に相当する。ギャップ長さをlgap、ギャップ透磁率をμ、ギャップ断面積をAgap、ヨークの磁路長さをlyoke、ヨーク透磁率をμ、ヨークの磁路方向の断面積をAyoke、コイル巻き数をN、コイルに流れる電流値をIとし、ギャップにおける磁束をΦ、磁場の強さをHextすると、この電磁石のギャップにおける磁束密度Bext、は、下記の式(1)によって表すことができる。尚、図11において、ヨークの磁路方向の断面積Ayokeは、ギャップ断面積Agapに等しい。
【0049】
【数1】

【0050】
式(1)に示すように、コイルの巻き数Nとコイルに流れる電流値Iが一定である場合に、ギャップ長さlgapが小さいほど、ギャップにおける磁束密度Bextが大きくなる。実施例1によれば、図1に示す第1電磁石20、第2電磁石40の対向する磁極部間の距離を小さくして、ミラー部30の設置位置の磁束密度を大きくすることができるため、コイルの巻き数Nとコイルに流れる電流値Iが一定である場合に、可動部を駆動するための駆動力を大きくすることが可能となる。すなわち、少ない駆動電力で、大きな駆動力を得ることができる。
【0051】
また、実施例1に係る光学装置では、磁石が上部磁石と下部磁石との2つの部材に分かれている。上部磁石は可動部の上面に設置され、下部磁石は可動部の下面に設置されるため、重心が可動部の揺動中心からずれることが抑制される。また、上部磁石の第1磁極と下部磁石の第2磁極が可動部を介して対向している。このため、上部磁石の第1磁極と下部磁石の第2磁極との間に作用する磁力によって可動部が挟み込まれ、上部磁石および下部磁石が可動部に固定される。
【0052】
上部磁石および下部磁石と可動部とは、磁力のみによって固定されており、接着剤を用いていない。このため、接着剤の重量によって可動部の重心が揺動中心から上下方向にずれることがない。
【0053】
(光学装置の製造方法)
次に、実施例1に係る光学装置の製造方法を説明する。図1に示す光学装置10は、シリコン基板等を材料としてミラー部30を製造し、製造したミラー部30を第1電磁石20と第2電磁石40に対して配置することによって製造することができる。ミラー部30は、シリコン基板等を材料として形成されたシリコン構造体に、上部磁石および下部磁石を設置することによって、製造することができる。シリコン構造体を製造する方法は、通常のMEMS技術を用いたミラーデバイスを製造する方法によって製造することができる。また、上部磁石、下部磁石は、機械加工、エッチング、射出成形等の方法を用いて所望の形状に加工することができる。以下、シリコン構造体に上部磁石および下部磁石を設置する方法について、図12〜図14を用いて説明する。
【0054】
まず、図12に示すように、まず、シリコン基板等に可動部等の構造を形成し、シリコン構造体300を形成する。シリコン構造体は、例えば、シリコン基板をエッチングすることによって、得ることができる。
【0055】
次に、図13に示すように、冶具900を用いてシリコン構造体300と第2下部磁石314a等の下部磁石との位置を調整する。実施例1では冶具900はガラスを材料としている。冶具900には、下部磁石を差し込むための孔部を備えている。図示していないが、冶具900上には、シリコン構造体300の設置位置を調整するための位置調整手段が設けられている。図13に示すように、冶具900は、磁石910の上部に載置される。磁石910は、ネオジム磁石(NdFe14B)等を材料とする永久磁石である。磁石910は、上面がN極、下面がS極となっており、第2下部磁石314a等の下部磁石は、冶具900の孔部にN極が上側となるように載置されるから、下部磁石は磁石910に引付けられた状態となっている。尚、図示していないが、第1下部磁石308a、308bも図13に示す工程において同様に冶具900上に載置される。さらに、冶具900に載置された第2下部磁石314a等の下部磁石の上に、シリコン構造体300が載置されている。冶具900の位置調整手段によって、シリコン構造体と下部磁石との位置関係が調整され、レジスト等によって仮止めされる。
【0056】
この状態で、シリコン構造体の可動部の上面に上部磁石を設置すると、図14に示す状態となる。図14では、例示的に、シリコン構造体300を平面視した場合に、第2下部磁石314aと同じ位置となるように第2上部磁石313aを設置した状態を示している。磁石910の上部に冶具900を載置した状態で第2上部磁石313a等の上部磁石を可動部上に設置するため、上部磁石を設置する際に、上部磁石と下部磁石との間に作用する磁力によって、シリコン構造体300が冶具900から外れることを防ぐことができる。
【0057】
その後、冶具900を磁石910上から移動させて、磁石910の磁力を受けない状態で、シリコン構造体300を冶具900から取り外すと、図4に示すように、シリコン構造体に上部磁石および下部磁石が設置された状態となる。図4に例示的に示すように、第2上部磁石313aと第2下部磁石314aが、互いに作用する磁力によって、第2可動部311を挟み込んで固着された状態を得ることができる。
【0058】
上記のとおり、実施例1に係る光学装置では、冶具等を用いて容易に可動部に上部磁石および下部磁石を設置することができる。また、上部磁石および下部磁石、可撓梁を含むシリコン構造体を予め別々に成形し、これを下部磁石、シリコン構造体、上部磁石の順序で重ねた状態にするという簡易な工法によって、可撓梁の上下方向に延在部を設置することができる。
【0059】
(変形例)
可動部と、これに設置する上部磁石および下部磁石は、図4等に示す実施例1に係る形態に限られない。例えば、図15〜図17に示すような形態であってもよい。図15〜図17は、変形例に係る可動部、上部磁石、下部磁石を備えた光学装置のを図4と同様の断面において示す図である。
【0060】
例えば、上部磁石および下部磁石は、図15に示すように、第2可動部のミラー設置部361a、362aの第2可撓梁309a側の側面に係合する位置決め部を有する形状であってもよい。上部磁石および下部磁石が位置決め部を有していると、設置位置の調整が容易となる。
【0061】
また、図16に示すように、基板501、第1可動部505、第2可動部の磁石設置部561a、561bが、第2可撓梁509aよりも上下方向に厚くなっているものであってもよい。平板状の第2上部磁石513a、第2下部磁石514aを第2可動部の磁石設置部561a、561bの表面および裏面に設置すると、図4と同様に、第2上部磁石513aおよび第2下部磁石514aと第2可撓梁509aとは、接離可能に配置された状態となる。
【0062】
また、図17に示すように、第2可動部の磁石設置部571a、572aの内側に位置決め部が形成されており、第2上部磁石593a、第2下部磁石594aと係合するようにしてもよい。
【0063】
図16、図17に示す光学装置の製造工程で用いるシリコン構造体は、例えば、裏面から順にシリコン層、絶縁層、シリコン層、絶縁層、シリコン層が積層されたダブルboxSOIウェハを用いて製造することができる。図16に示す形態の製造方法を例示する図18〜図23を参照しながら、ダブルboxSOIウェハを用いる製造方法について説明する。
【0064】
まず、図18に示すように、裏面側から表面側に、順に、シリコン層801、絶縁層802、シリコン層803、絶縁層804、シリコン層805が積層された半導体基板(ダブルboxSOIウェハ)を用意する。
【0065】
次に、シリコン層805の表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィおよびDRIE(Deep−RIE)等のエッチングを行ってパターニングする。これによって、図19に示すように、図16に示す基板501、第1可動部505、第2可動部の磁石設置部561a、562aとなる部分を残して、シリコン層805を除去する。次に、図20に示すように、同様にエッチング等を行ってパターニングし、図16に示す基板501、第1可動部505、第2可動部の磁石設置部561a、562aとなる部分を残して、シリコン層801を除去する。
【0066】
次に、絶縁層802の裏面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィおよびRIE等のエッチングを行ってパターニングする。これによって、図21に示すように、図16に示す基板501、第1可動部505、第2可動部の磁石設置部561a、562aとなる部分を残して、絶縁層802を除去する。尚、絶縁層802をエッチングする方法として、緩衝フッ酸液(バッファードフッ酸)によるウェットエッチング法を用いる場合には、半導体基板の表面側をレジストで保護した上で、絶縁層804のエッチング処理を行う。
【0067】
次に、シリコン層805等に用いた方法と同様の方法によって、シリコン層803をパターニングする。これによって、図22に示すように、図16に示す基板501、第1可動部505、第2可動部の磁石設置部561a、562aに加えて、第2可撓梁509aとなる部分を残して、シリコン層803を除去する。
【0068】
最後に、絶縁層804をエッチングによって除去すると、図23に示すシリコン構造体500を得ることができる。実施例1において説明した方法を用いて、このシリコン構造体500の第2可動部の磁石設置部561a、562aに、第2上部磁石313aおよび第2下部磁石314aを設置すると、図16に示す状態を得ることができる。
【0069】
また、図2等に示す上部磁石と下部磁石は、図24、図25に例示するように、可撓梁の両側に延在する部分の全体を被覆していなくてもよく、可撓梁と可動部との接続部よりもミラーに近い側にまで延びていてもよい。
【0070】
実施例1では、上部磁石と下部磁石は、接着剤を用いることなく可動部に固定されているが、上部磁石と可動部との接触面ならびに下部磁石と可動部との接触面には、接着剤が塗布されていてもよい。また、上部磁石と下部磁石は、同一部材である必要はなく、材料、重量、形状等が相違するものであってもよい。
【0071】
実施例1では、可動部が2軸駆動型である光学装置を例示して説明したが、可動部が1軸駆動型の光学装置であってもよい。1軸駆動型の光学装置においても、可動部に設置する磁石を実施例1と同様の上部磁石と下部磁石にすることによって、同様の作用効果を得ることができる。
【0072】
実施例1では、上部磁石の上部延在部は可撓梁の上方に延在しており、下部磁石の下部延在部は可撓梁の下方に延在していたが、上部延在部、下部延在部は、可撓梁の側方に延在するものであってもよい。また、上部延在部、下部延在部は、可撓梁と接離可能な位置となるように設置されていなくてもよい。
【0073】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0074】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0075】
10 光学装置
20 第1電磁石
30 ミラー部
40 第2電磁石
201 鉄心
201a,201b 磁極部
203a,203b 第1コイル
301 基板
303a,303b 第1可撓梁
305 第1可動部
307a,307b 第1上部磁石
308a,308b 第1下部磁石
309a,309b 第2可撓梁
311 第2可動部
313a,313b 第2上部磁石
314a,314b 第2下部磁石
315 ミラー
351a,351b,352a,352b 第1磁石設置部
361a,361b,362a,362b 第2磁石設置部
371,372,381,382 側方部
373 上部延在部
383 下部延在部
401 鉄心
401a,401b 磁極
403a,403b 第2コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
可撓梁と、
前記可撓梁によって前記基板に対して揺動可能に支持されている可動部と、
前記可動部の上面に固定されているミラーと、
第1磁極が前記可動部を向く姿勢で前記可動部の上面に設置されており、前記可動部から突出して前記可撓梁の上方または側方に前記可撓梁と離間して延在している上部延在部を有する上部磁石と、
第2磁極が前記可動部を向く姿勢で前記可動部を介して前記上部磁石と対向する位置の前記可動部の下面に設置されており、第2磁極が前記可動部を介して前記上部磁石の第1磁極と対向しており、前記可動部から突出して前記可撓梁の下方または側方に前記可撓梁と離間して延在している下部延在部を有する下部磁石と、
前記上部磁石および前記下部磁石に前記可動部を前記可撓梁の周りに回転させるトルクを発生させる磁束を発生する電磁石とを備えている光学装置。
【請求項2】
前記上部延在部と前記下部延在部との少なくとも一方が、前記可撓梁に接離可能な位置に延在している、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記可撓梁に接離可能な位置に延在している前記上部延在部または前記下部延在部は、その少なくとも一部が、前記可撓梁の長手方向に沿って前記可撓梁の長手方向の中点よりも前記ミラーから遠い位置に存在している、請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記上部磁石および前記下部磁石の着磁方向は、前記可動部に対して垂直な方向である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−133745(P2011−133745A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294422(P2009−294422)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】