説明

光導波路モジュール

【課題】 加熱空気の熱膨張による弊害を防ぐことができる光導波路モジュールを提供する。
【解決手段】 光を導波するコア23を保持するクラッド22が基板21の表面に形成され、前記クラッド22の基板21と反対側の面22bには前記コア23で導波される光の伝播を制御するためのヒーター24が設けられた光導波路板2と、この光導波路板2のクラッド22側に接合される封止ブロック3Aと、前記光導波路板2の両端面2aに接合される光ファイバアレイ4とを備えた光導波路モジュール1であって、前記コア23が延在する方向の前記封止ブロック3Aの両端部を、前記コア23が延在する方向の前記光導波路板2の両端部に一致させるとともに、当該封止ブロック3Aに、前記ヒーター24の周辺の空間を外部に開放する溝部31を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱光学効果を利用した光導波路モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、熱光学効果(TO:Thermo Optical)を利用した光導波路モジュールとしては、例えば、特許文献1に記載されているように、光を導波するコアを保持するクラッドが基板の表面に形成され、クラッドの基板と反対側の面にヒーターが設けられた光導波路板と、この光導波路板のクラッド側に接合される封止ブロックと、前記コアが延在する方向の前記光導波路板の両端面に接合される光ファイバアレイとを備えたものが知られている。
【0003】
前記コアは、クラッドよりも屈折率が高く、かつ、加熱により屈折率が変化する材料で構成されており、このコアがヒーターによってクラッドを介して加熱されることにより、コアで導波される光が減衰されたり遮断されたりして光の伝播が制御されるようになっている。
【特許文献1】特開2005−17648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記光導波路モジュールにおいては、封止ブロックの光導波路板に面する接合面に凹部が形成されており、この凹部と光導波路板とによって密閉空間が形成され、この密閉空間に臨む位置に前記ヒーターが配置されている。
【0005】
しかしながら、このようにヒーターが臨む位置に配置された空間が密閉されている構成では、例えば耐環境試験等において封止ブロック内の空気が加熱されると、その加熱空気が熱膨張することから、加熱空気の熱膨張による弊害を生じないようにすることが望まれる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、加熱空気の熱膨張による弊害を防ぐことができる光導波路モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明では、光を導波するコアを保持するクラッドが基板の表面に形成され、前記クラッドの前記基板と反対側の面には前記コアで導波される光の伝播を制御するためのヒーターが設けられた光導波路板と、この光導波路板のクラッド側に接合される封止ブロックと、前記コアが延在する方向の前記光導波路板の両端面に接合される光ファイバアレイとを備えた光導波路モジュールにおいて、前記コアが延在する方向の前記封止ブロックの両端部を、前記コアが延在する方向の前記光導波路板の両端部に一致させるとともに、当該封止ブロックに、前記ヒーターの周辺の空間を外部に開放する開放部を設けている。
【0008】
前記開放部は、前記封止ブロックの前記光導波路板に面する接合面に、前記コアが延在する方向と略直交する方向に延在するとともにその延在する方向に開口する溝部を形成して、この溝部で構成することができる。
【0009】
もしくは、前記開放部は、前記封止ブロックの前記光導波路板に面する接合面に凹部を設けるとともに、この凹部に当該凹部で囲まれる空間と外部とを連通する連通孔を設け、前記凹部と連通孔とで構成することができる。
【0010】
あるいは、前記開放部は、前記封止ブロックの前記光導波路板のヒーターに対応する位置に当該封止ブロックを前記光導波路板の表面と略直交する方向に貫通する貫通開口を形成して、この貫通開口で構成することができる。
【0011】
また、前記光導波路モジュールにおいて、前記コアが延在する方向の前記光導波路板の端面と前記封止ブロックの端面とを、光導波路板から封止ブロックに向かう方向に内向きに傾斜する同一傾斜面上に位置させて、この傾斜面と前記光導波路板の表面に対する法線との角度を、0°より大きく45°より小さい値に設定し、かつ、光導波路板の端面と封止ブロックの端面とに前記光ファイバアレイを接合している。
【0012】
さらに、前記光導波路モジュールにおいて、前記光ファイバアレイは、光ファイバと、この光ファイバを挟み込んで固定する第1固定ブロック及び第2固定ブロックとを有しており、前記第1固定ブロックを前記封止ブロックと同じ材料で構成して当該封止ブロックの端面に接合するとともに、前記第2固定ブロックを前記光導波路板の基板と同じ材料で構成して光導波路板の端面を構成する当該基板の端面に接合している。
【0013】
また、前記光導波路板のクラッドの表面に、前記ヒーターを通電するための電気回路を形成し、前記封止ブロックの前記電気回路に対応する位置に、当該電気回路に電気を供給するための給電線を挿通可能な挿通孔を形成している。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、封止ブロックに、ヒーターの周辺の空間を外部に開放する開放部を設けたから、例えば耐環境試験等において封止ブロック内の空気が加熱されても、その加熱空気は開放部から外部に逃げることができるため、加熱空気が熱膨張することによる弊害を防ぐことができる。また、コアが延在する方向の封止ブロックの両端部をコアが延在する方向の光導波路板の両端部に一致させたから、コアが露出するクラッドの両端部を基板の両端部と封止ブロックの両端部とで挟み込むことができ、光導波路板の端部を切断・研磨する際のクラッド及びコアのチッピングを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1に、本発明の第1実施形態に係る光導波路モジュール1を示す。この光導波路モジュール1は、光導波路板2と、この光導波路板2に接合される封止ブロック3Aと、光導波路板2及び封止ブロック3Aを挟んで両側に配置される光ファイバアレイ4とを備えており、これらが筐体6で覆われて構成されている。
【0017】
前記光導波路板2は、図2に示すように、光を導波するコア23を保持するクラッド22が基板21の片側表面に形成されたものであり、コア23が延在する方向(以下、X方向という)に延びる長方形板状をなしている。そして、基板21側が筐体6の底面に接着剤7で接着されている。
【0018】
前記基板21は、シリコンや石英ガラス等からなり、平面視でX方向に延びる長方形状をなしている。
【0019】
前記クラッド22は、石英ガラスやポリマー等で構成されており、平面視で基板21と同形状となる長方形板状をなしていて、クラッド22のX方向の両端面22aは、基板21のX方向の両端面21aとそれぞれ同一平面上に位置しており、これらの端面22a,21aが光導波路板2の端面2aを構成している。そして、このクラッド22に、コア23が全長に亘って覆われて保持されている。
【0020】
前記コア23は、クラッド22よりも屈折率が高く、かつ、加熱により屈折率が変化する材料で構成され、断面形状が略正方形状になっている。例えば、シングルモードの光を伝播するには、クラッド22とコア23との屈折率の差が0.2〜0.5%に設定され、かつ、コア23の断面形状の一辺の長さが5〜10μmに設定されていることが好ましい。
【0021】
本実施形態では、コア23は、直線状に形成され、基板21の表面と平行な面上でX方向と直交する方向(以下、Y方向という)に2本並んで配設されており、コア23の端面がクラッド22の端面22aから露出している。なお、コア23の形状及び本数は、特に限定されるものではなく、例えばコア23の本数が光入射側で4本となっていて、各々が途中でY分岐路を有しており、光出射側で8本となっていてもよい。
【0022】
さらに、クラッド22の基板21と反対側の面22bには、X方向の略中央でコア23に対応する位置(本実施形態ではコア23の真上よりも少し外側位置)にX方向に延在するヒーター24がそれぞれ設けられているとともに、ヒーター24の両端部に電気的に接続された電気回路25がヒーター24の両端部からY方向の外側に向かってクラッド22の端部まで延在するように形成されている。
【0023】
前記ヒーター24は、クラッド22を介してコア23を加熱することによりコア23の屈折率を変化させて、コア23で導波される光の伝播を制御するためのものである。
【0024】
前記ヒーター24及び電気回路25は、共にTi、Au、Ni、Cr、またはNiCr等の金属薄膜がパターニングされることにより形成されており、特にヒーター24は、金属薄膜が細線とされてその部分の抵抗値が上げられることにより形成され、ジュール熱によって発熱するようになっている。
【0025】
例えば、金属薄膜としてAuを用いれば、耐環境性に優れたヒーター24とすることができ、ヒーター24を構成する細線部分の断面形状を幅10μm、厚さ0.2μmとすれば、数十ミリワットの熱源とすることができる。
【0026】
そして、光導波路板2のクラッド22側に、前記封止ブロック3Aが接着剤5で接合されている。
【0027】
前記封止ブロック3Aは、石英ガラスやパイレックス(登録商標)ガラス等の透明材質からなっている。封止ブロック3Aが透明材質でなければ、接着剤5として熱硬化性のものを用いることになるが、この場合には、接着剤を硬化させる際の熱によるダメージを光導波路板2に与えるおそれがあるが、封止ブロック3Aが透明材質であれば、接着剤5として光硬化性のものを用いることが可能となり、熱による影響をなくすことができる。
【0028】
また、封止ブロック3Aは、平面視で光導波路板2と同形状となる長方形状に形成されている。すなわち、封止ブロック3AのX方向の長さとY方向の幅は、それぞれ光導波路板2のX方向の長さとY方向の幅とに略等しく設定されており、封止ブロック3Aが光導波路板2のクラッド22側に接合されたときには封止ブロック3AのX方向の両端部が光導波路板2の両端部に一致して、封止ブロック3AのX方向の端面3aが光導波路板2のX方向の端面2aと略同一平面上に位置するようになっている。また、封止ブロック3Aは、光導波路板2に面する接合面3bを有している。
【0029】
なお、封止ブロック3AのX方向及びY方向と直交する方向(以下、Z方向という)の厚み寸法は、端面3aの面積が光導波路板2の端面2aの面積と略等しくなるように設定されていることが好ましい。
【0030】
前記接合面3bには、Y方向に延在するとともにY方向に開口する溝部31が形成されており、封止ブロック3Aは、側面視で略コ字状となっている。そして、溝部31を除いた部分の接合面3bが接着剤5によってクラッド22の基板21と反対側の面22bに接合されるようになっている。
【0031】
前記溝部31は、ヒーター24の周辺の空間を外部に開放する開放部を構成している。すなわち、前記溝部31の幅は、前記電気回路25が存する領域のX方向の寸法よりも大きく設定されており、光導波路板2のクラッド22側に封止ブロック3Aを接合しても、ヒーター24及び電気回路25は封止ブロック3Aに接触することなく、ヒーター24の周辺の空間は、溝部31によってY方向に開放されるようになっている。
【0032】
また、前記電気回路25は、クラッド22のY方向の端部にまで延びているので、前記溝部31の開口から当該電気回路25に図略の電気配線が接続できるようになっている。
【0033】
前記光ファイバアレイ4は、光導波路板2及び封止ブロック3AのX方向の両側に配置されており、コア23の端面と光学的に接続される光ファイバ43と、この光ファイバ43をZ方向の両側から挟み込んで固定する第1固定ブロック41及び第2固定ブロック42とを有している。
【0034】
前記第1固定ブロック41は、前記封止ブロック3Aと同じ材料で構成されており、封止ブロック3Aの端面3aに面する端面41aを有している。
【0035】
前記第2固定ブロック42は、前記光導波路板2の基板21と同じ材料で構成されており、当該基板21の端面21aに面する端面42aを有している。
【0036】
そして、図略の光硬化性または熱硬化性の接着剤によって、第1固定ブロック41の端面41aが封止ブロック3Aの端面3aに接合されるとともに、第2固定ブロック42の端面42aが基板21の端面21aに接合されるようになっている。なお、この接着剤としては、光ファイバアレイ4と光導波路板2との接合部での光損失を抑制するために、コア23の屈折率と略等しい屈折率を有し、かつ、光透過性に優れたものであることが好ましい。
【0037】
このような光導波モジュール1を製造するには、次のようにすればよい。
【0038】
まず、シリコンウエハや石英ガラス等の平滑な基板上に、コア23を保持するクラッド22を形成する。この形成方法としては、コア23及びクラッド22の材料に応じて各種の積層・パターニング技術を用いることができ、化学的・物理的蒸着、ゾルゲル法、浸漬や滴下後にスピンさせて形成する方法、型転写等により形成する方法がある。コア23の形状は、所定のマスクパターンを通しての直接露光現象、パターニングしたフォトレジストを介した反応性イオンエッチング、型転写等により形成することができる。
【0039】
その後に、クラッド22の表面22bに、金属薄膜を所定の形状にパターニングして、ヒーター24及び電気回路25を形成する。この金属薄膜のパターニングは、スクリーン印刷等で行うことができる。
【0040】
次いで、石英ガラスやパイレックス(登録商標)ガラス等を切削、研磨して溝部31を有する封止ブロック3Aを形成する。そして、封止ブロック3Aを光硬化性の接着剤5でクラッド22の表面22bに接着する。
【0041】
具体的には、封止ブロック3Aの接合面3bに、接着剤5として例えばUVO−114(エポキシテクノロジー社製)等のUV(紫外線)硬化性接着剤を塗布して、この接合面3bをクラッド22の表面22b上に載置し、この状態で封止ブロック3Aの上方からUVを照射して接着剤5を硬化させて、封止ブロック3Aをクラッド22の表面22bに接着する。
【0042】
封止ブロック3Aをクラッド22の表面22bに接着した後は、前記シリコンウエハ等をダイシングして、光導波路板2を切り出す。そして、光導波路板2のX方向の両端面2aを研磨して、端面2aの表面粗さを5nm以下に仕上げる。
【0043】
次いで、調芯機を用いて、コア23を導波する光の出力をモニタリングしながら、光ファイバアレイ4と光導波路板2との相対位置決めを行う。調芯に使用する光の波長は、光通信に用いられる1310nm及び1550nmとする。
【0044】
そして、光ファイバアレイ4と光導波路板2との相対位置が決まった後は、上述した光硬化性または熱硬化性の接着剤によって、第1固定ブロック41の端面41aを封止ブロック3Aの端面3aに接合するとともに、第2固定ブロック42の端面42aを光導波路板2の端面2aである基板21の端面21aに接合する。
【0045】
最後に、光導波路板2の基板21側を筐体1の底面に接着剤7によって固定すれば、光導波路モジュール1を製造することができる。
【0046】
本実施形態の光導波路モジュール1によれば、封止ブロック3Aに、ヒーター24の周辺の空間を外部に開放する溝部31を設けたから、例えば耐環境試験等において封止ブロック3A内の空気が加熱されても、その加熱空気は溝部31から外部に逃げることができるため、加熱空気が熱膨張することによる弊害を防ぐことができる。また、封止ブロック3AのX方向の両端部を光導波路板2のX方向の両端部に一致させたから、コア23が露出するクラッド22の両端部を基板21の両端部と封止ブロック3Aの両端部とで挟み込むことができ、光導波路板2の端面2aを切断・研磨する際のクラッド22及びコア23のチッピングを防止することができる。
【0047】
また、溝部31は、Y方向に延在するとともにY方向に開口しているので、封止ブロック3Aによって光導波路板2のクラッド22側が大きな面積で覆われることになるため、光導波路板2のクラッド側22の表面に汚れや傷等が付くことを防止することができる。また、封止ブロック3Aの成形も容易である。
【0048】
なお、前記実施形態では、光ファイバアレイ4の第1固定ブロック41を前記封止ブロック3Aと同じ材料で構成して当該封止ブロック3Aの端面3aに接合するとともに、光ファイバアレイ4の第2固定ブロック42を前記光導波路板2の基板21と同じ材料で構成して当該基板21の端面21aに接合したが、第1固定ブロック41と第2固定ブロック42の両方ともを、封止ブロック3Aまたは光導波路板2の基板21のどちらかの材料と同じ材料で構成したり、どちらの材料とも異なる材料で構成したりすることも可能である。ただし、前記実施形態のようにすれば、熱応力が生じたとしても、封止ブロック3Aと第1固定ブロック41との間及び光導波路板2と第2固定ブロック42との間にせん断応力が生じるのを防ぐことができ、封止ブロック3A及び光導波路板2と光ファイバアレイ4との剥離を抑制することができる。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態に係る光導波路モジュールを説明する。本実施形態では、前記第1実施形態に係る光導波路モジュール1と封止ブロック3Bのみが異なり、他の構成部分は同一であるので、図3に封止ブロック3Bを示して、他の構成部分の説明は省略する。
【0050】
第2実施形態の封止ブロック3Bでは、X方向の長さは光導波路板2のX方向の長さと略等しく設定されているが、Y方向の幅は光導波路板2のY方向の幅よりも小さく設定されている。このため、光導波路板2のY方向の両端部は、封止ブロック3Bによって覆われずに、電気回路25の端部が露出するようになっており、封止ブロック3BのY方向の両側から電気回路25に電気配線が接続できるようになっている。
【0051】
また、封止ブロック3Bの接合面3bには、凹部33が設けられているとともに、この凹部33の底面には、当該凹部33で囲まれる空間と外部とを連通する連通孔34が設けられている。
【0052】
前記凹部33は、X方向に延びる長方形状で接合面3bから窪む形状に形成されており、その大きさは、前記ヒーター24が接合面3bに接触することなく当該凹部33で囲まれる空間に望むことができる程度に設定されている。
【0053】
前記連通孔34は、前記凹部33のY方向の幅寸法よりも十分に小さな径を有した円形状でZ方向に延在する形状に形成されている。
【0054】
そして、これらの凹部33と連通孔34とでヒーター24の周辺の空間を外部に開放する開放部が構成されている。
【0055】
このようにすれば、連通孔34の断面積分の小面積でヒーター24を外部に開放することができるので、光導波路板2のクラッド22側の表面に汚れや傷等が付くことをさらに有効に防止することができる。
【0056】
なお、前記凹部33の形状は、特に限定されるものではなく、例えば円形ドーム状であってもよい。また、前記連通孔34は、凹部33の底面に設けられている必要はなく、側面に設けられていてもよい。
【0057】
次に、本発明の第3実施形態に係る光導波路モジュールを説明する。なお、本実施形態においても、前記第2実施形態と同様に、前記第1実施形態に係る光導波路モジュール1と封止ブロック3Cのみが異なり、他の構成部分は同一であるので、図4に封止ブロック3Cを示して、他の構成部分の説明は省略する。
【0058】
第3実施形態の封止ブロック3Cでは、前記封止ブロック3Bと同様に、X方向の長さは光導波路板2のX方向の長さと略等しく設定されているが、Y方向の幅は光導波路板2のY方向の幅よりも小さく設定されている。
【0059】
また、封止ブロック3Cには、当該封止ブロック3CをZ方向に貫通する貫通開口36が形成されている。
【0060】
前記貫通開口36の断面形状は、前記ヒーター24を取り囲むことができる大きさを有したX方向に延在する長方形状をなしており、この貫通開口36でヒーター24の周辺の空間を外部に開放する開放部が構成されている。
【0061】
このようにすれば、開放部を形成するのにZ方向での加工精度を必要とせず、簡単かつ安価に開放部を形成することができる。
【0062】
なお、前記貫通開口36は、図5に示すように、各ヒーター24に対応する位置にそれぞれ形成されていてもよい。
【0063】
次に、本発明の第4実施形態に係る光導波路モジュールを説明する。
【0064】
第4実施形態の光導波路モジュールでは、図6に示すように、前記各実施形態の封止ブロック3A〜3Cの端面3aと光導波路板2の端面2aとを、光導波路板2から封止ブロック3A〜3Cに向かう方向に内向きに傾斜する同一傾斜面上に位置させている。
【0065】
前記傾斜面と光導波路板2の表面22bに対する法線Lとの角度θは、0°より大きく45°より小さい値で設定可能であり、10°以下に設定することが好ましいが、最も好ましい角度は8°である。
【0066】
さらに、光ファイバアレイ4の第1固定ブロック41の端面41a及び第2固定ブロック42の端面42aも前記傾斜面と平行な同一傾斜面上に位置されており、これらの端面41a,42aがそれぞれ封止ブロック3A〜3Cの端面3aと光導波路板2の端面2aとに接合されている。
【0067】
このようにすれば、例えば高温高湿時に接着剤5が膨張して、図中に矢印Fで示すように封止ブロック3A〜3Cに光導波路板2から離間する方向の力が作用しても、その力を光ファイバアレイ4で押さえ込むことができる。
【0068】
次に、本発明の第5実施形態に係る光導波路モジュールを説明する。
【0069】
第5実施形態の光導波路モジュールでは、図7及び図8に示すように、前記各実施形態の封止ブロック3A〜3Cに、前記光導波路板2の電気回路25に対応する位置に、当該電気回路25に電気を供給するための給電線8を挿通可能な挿通孔38を形成している。
【0070】
そして、挿通孔38に給電線8を挿入した状態で、挿通孔38に導電性の接着剤9を流し込んで硬化させることにより、給電線8と電気回路25とを電気的に接続することができるようになっている。
【0071】
なお、第1実施形態では、溝部31の幅が電気回路25が存する領域のX方向の寸法よりも大きく設定されているが、本実施形態に適用する場合には、図8(a)に示すように、電気回路25をクラッド22の各コーナー部まで延在させて、封止ブロック3Aの接合面3bに電気回路25を接触させるようにする。
【0072】
このようにすれば、挿通孔38から電気回路25への配線を容易に行うことができるようになる。また、光導波路板2と封止ブロック3A〜3Cとは、接着剤5と接着剤9とで2段階で接着されるので、それらの接着強度を向上させることができる。
【0073】
なお、前記各実施形態では、封止ブロック3A〜3Cが一体に構成された形態を示したが、封止ブロック3A〜3Cは、X方向の両端部が分割された3分割構成とされていてもよいし、勿論、3つ以上の所望の部位を後に一体化するような構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光導波路モジュールの模式側面図である。
【図2】(a)は第1実施形態に係る光導波路板と封止ブロックの斜視図、(b)はその分解斜視図である。
【図3】(a)は本発明の第2実施形態に係る光導波路板と封止ブロックの斜視図、(b)はその分解斜視図、(c)は(b)のA−A線断面側面図である。
【図4】(a)は本発明の第3実施形態に係る光導波路板と封止ブロックの斜視図、(b)はその分解斜視図である。
【図5】第3実施形態の変形例の封止ブロックの斜視図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る光導波路モジュールの模式側面図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る光導波路モジュールの要部を断面にした模式側面図である。
【図8】(a)〜(c)は、第5実施形態を第1実施形態〜第3実施形態に適用したときの光導波路板と封止ブロックとの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
1 光導波路モジュール
2 光導波路板
21 基板
22 クラッド
23 コア
24 ヒーター
25 電気回路
3A〜3C 封止ブロック
31 溝部(開放部)
33 凹部(開放部)
34 連通孔(開放部)
36 貫通開口(開放部)
38 挿通孔
4 光ファイバアレイ
41 第1固定ブロック
42 第2固定ブロック
43 光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を導波するコアを保持するクラッドが基板の表面に形成され、前記クラッドの前記基板と反対側の面には前記コアで導波される光の伝播を制御するためのヒーターが設けられた光導波路板と、この光導波路板のクラッド側に接合される封止ブロックと、前記コアが延在する方向の前記光導波路板の両端面に接合される光ファイバアレイとを備えた光導波路モジュールであって、
前記コアが延在する方向の前記封止ブロックの両端部を、前記コアが延在する方向の前記光導波路板の両端部に一致させるとともに、当該封止ブロックに、前記ヒーターの周辺の空間を外部に開放する開放部を設けたことを特徴とする光導波路モジュール。
【請求項2】
前記封止ブロックの前記光導波路板に面する接合面に、前記コアが延在する方向と略直交する方向に延在するとともにその延在する方向に開口する溝部を形成して、この溝部で前記開放部を構成したことを特徴とする請求項1に記載の光導波路モジュール。
【請求項3】
前記封止ブロックの前記光導波路板に面する接合面に凹部を設けるとともに、この凹部に当該凹部で囲まれる空間と外部とを連通する連通孔を設け、前記凹部と連通孔とで前記開放部を構成したことを特徴とする請求項1に記載の光導波路モジュール。
【請求項4】
前記封止ブロックの前記光導波路板のヒーターに対応する位置に当該封止ブロックを前記光導波路板の表面と略直交する方向に貫通する貫通開口を形成して、この貫通開口で前記開放部を構成したことを特徴とする請求項1に記載の光導波路モジュール。
【請求項5】
前記コアが延在する方向の前記光導波路板の端面と前記封止ブロックの端面とを、光導波路板から封止ブロックに向かう方向に内向きに傾斜する同一傾斜面上に位置させて、この傾斜面と前記光導波路板の表面に対する法線との角度を、0°より大きく45°より小さい値に設定し、かつ、光導波路板の端面と封止ブロックの端面とに前記光ファイバアレイを接合したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光導波路モジュール。
【請求項6】
前記光ファイバアレイは、光ファイバと、この光ファイバを挟み込んで固定する第1固定ブロック及び第2固定ブロックとを有しており、
前記第1固定ブロックを前記封止ブロックと同じ材料で構成して当該封止ブロックの端面に接合するとともに、前記第2固定ブロックを前記光導波路板の基板と同じ材料で構成して光導波路板の端面を構成する当該基板の端面に接合したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光導波路モジュール。
【請求項7】
前記光導波路板のクラッドの表面に、前記ヒーターを通電するための電気回路を形成し、前記封止ブロックの前記電気回路に対応する位置に、当該電気回路に電気を供給するための給電線を挿通可能な挿通孔を形成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光導波路モジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−322999(P2006−322999A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144213(P2005−144213)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】