説明

光感応性組成物及びこれを含むビルドアップ絶縁フィルム、そして前記ビルドアップ絶縁フィルムを用いた回路基板の製造方法

【課題】印刷回路基板の製造工程の効率を向上させることができる光感応性組成物及びこれを含むビルドアップ絶縁フィルム、そして前記ビルドアップ絶縁フィルムを用いた回路基板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による回路基板の製造方法は、光感応性組成物を製造する段階、前記光感応性組成物をポリエチレンテレフタレート(Poly Ethylene Terephthalate:PET)材質からなったフィルム(film)にキャスティング(casting)処理して、ビルドアップ絶縁フィルムを製造する段階、基板上に前記ビルドアップ絶縁フィルムを積層する段階、フォトリソグラフィ工程を利用して、前記ビルドアップ絶縁フィルムにビアホール(via hole)を形成する段階、及び前記ビアホールに導電性ビアを形成する段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビルドアップ多層回路基板の製造のためのビルドアップ絶縁フィルムに関し、より詳細には、フォトリソグラフィ工程を用いてビアホールを形成するための光感応性組成物及びこれを含むビルドアップ絶縁フィルム、そして前記ビルドアップ絶縁フィルムを用いた回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な印刷回路基板(Printed Circuit Board:PCB)のうちビルドアップ多層印刷回路基板(Build−Up multi layer PCB)は、薄板形態のビルドアップ絶縁フィルムを積層して積層体を製造した後、前記積層体に対して焼成などの工程を遂行することにより製造される。この過程で、前記積層体には、前記積層体内の相異なる絶縁層に形成された回路パターンの導通のための導電性ビア(conductive via)が形成される。前記導電性ビアを形成するために、前記フィルム積層体にビアホール(via hole)を形成する工程が加えられる。現在、ビアホールの形成は、前記フィルム積層体にレーザーを照射するレーザー加工工程を用いた方法がもっとも多く用いられている。
【0003】
しかし、上述のようにレーザーを利用してビアホールを形成する場合、ビアホールの形成工程のためのコストが増加するため、印刷回路基板の製造コストが増加する主要要因となる。また、レーザー加工工程を利用して形成されたビアホールは、ビアホールの内側に向かって幅が次第に細くなる形状を有することができる。従って、前記ビアホールの上下幅が相異なっているため、前記ビアホールに形成される導電性ビアの上下幅もまた相異なるようになる。この場合、導電性ビアの電気抵抗が増加するだけでなく、最近極めて集積化されている印刷回路基板の基板設計に制約を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−260763号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2003−0064246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、印刷回路基板の製造工程の効率を向上させることができる光感応性組成物及びこれを含むビルドアップ絶縁フィルムを提供することである。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、フォトリソグラフィ工程を用いてビアホールを形成することができる光感応性組成物及びこれを含むビルドアップ絶縁フィルムを提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、製造工程を向上させた回路基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による光感応性組成物は、複合エポキシ樹脂、前記複合エポキシ樹脂に添加される添加剤、及び前記複合エポキシ樹脂に光感応性(photo−sensitive)を提供する光感応性材料を含み、前記光感応性材料は、光開始剤及び二重結合とカルボキシル基(COOH)を有する光感応性モノマーを含む。
【0009】
本発明の実施態様によると、前記光感応性モノマーは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Bisphenol−A type epoxy resin)構造をバックボーン(backbond)とする化学構造を有し、フリーラジカル重合(free−radical polymerization)が可能である。
【0010】
本発明の実施態様によると、前記複合エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、及びリン系エポキシ樹脂を含むことができる。
【0011】
本発明の実施態様によると、前記添加剤は、硬化剤、硬化促進剤、難燃補助剤、及び充填剤のうち少なくとも何れか一つを含むことができる。
【0012】
本発明によるビルドアップ絶縁フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(Poly Ethylene Terephthalate:PET)材質からなったフィルム(film)及び前記フィルムにキャスティング(casting)して形成される、そして複合エポキシ樹脂、添加剤、光開始剤、及び二重結合とカルボキシル基(COOH)を有する光感応性モノマーを含む光感応性組成物からなった絶縁膜を含む。
【0013】
本発明の実施態様によると、前記光感応性モノマーは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Bisphenol−A type epoxy resin)構造をバックボーン(backbond)とする化学構造を有し、フリーラジカル重合(free−radical polymerization)が可能である。
【0014】
本発明による回路基板の製造方法は、光感応性組成物を製造する段階、前記光感応性組成物をポリエチレンテレフタレート(Poly Ethylene Terephthalate:PET)材質からなったフィルム(film)にキャスティング(casting)処理して、ビルドアップ絶縁フィルムを製造する段階、基板上に前記ビルドアップ絶縁フィルムを積層する段階、フォトリソグラフィ工程を利用して、前記ビルドアップ絶縁フィルムにビアホール(via hole)を形成する段階、及び前記ビアホールに導電性ビアを形成する段階を含む。
【0015】
本発明の実施態様によると、前記光感応性組成物を製造する段階は、複合エポキシ樹脂を製造する段階、前記複合エポキシ樹脂に硬化剤、硬化促進剤、難燃補助剤、及び充填剤のうち少なくとも何れか一つの添加剤を添加する段階、及び前記複合エポキシ樹脂に光開始剤及び二重結合とカルボン酸(Caryboxylic acid:COOH)を有する光感応性モノマーを混合する段階を含むことができる。
【0016】
本発明の実施態様によると、前記光感応性モノマーとしては、フリーラジカル重合(free−radical polymerization)が可能であるように、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Bisphenol−A type epoxy resin)構造をバックボーン(backbond)とする化学構造を有する物質が用いられることができる。
【0017】
本発明の実施態様によると、前記ビアホールを形成する段階は、前記ビルドアップ絶縁フィルムのビア形成領域に、選択的に光を照射する露光工程を遂行する段階、及び前記ビア形成領域以外の領域に対してエッチング選択性を有する現像液を利用して、前記ビア形成領域以外の領域を選択的に除去する現像工程を遂行する段階を含むことができる。
【0018】
本発明の実施態様によると、前記ビアホールを形成する段階は、前記現像工程を遂行する前に、前記ビルドアップ絶縁フィルムを熱処理するプリキュア工程を遂行する段階をさらに含むことができる。
【0019】
本発明の実施態様によると、前記導電性ビアを形成する段階は、前記ビアホールが形成されたビルドアップ絶縁フィルムに対して表面粗さを形成する段階、及び前記ビルドアップ絶縁フィルムをコンフォーマル(conformal)に覆うメッキ膜を形成するメッキ工程を遂行する段階を含むことができる。
【0020】
本発明の実施態様によると、前記導電性ビアを形成する段階は、前記表面粗さを形成する前に、前記ビルドアップ絶縁フィルムを熱処理するプリキュア工程を遂行する段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明による光感応性組成物は、複合エポキシ樹脂、添加剤、光開始剤、及びフリーラジカル重合を起こすことができる光モノマーを含むため、フォトリソグラフィ工程を利用してビアホールを形成することができるビルドアップ絶縁フィルムの製造のための材料として用いられることができる。
【0022】
本発明によるビルドアップ絶縁フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(Poly Ethylene Terephthalate:PET)材質からなったフィルム(film)及び前記フィルムにキャスティング(casting)処理された複合エポキシ樹脂、添加剤、光開始剤、及びフリーラジカル重合反応が可能な光モノマーを含む光感応性組成物からなった絶縁膜を含むことができる。これにより、本発明によるビルドアップ絶縁フィルムは、露光及び現像工程によって前記絶縁膜の所望の領域にホールを形成することができるため、フォトリソグラフィ工程を利用してビアホールを形成することができる回路基板製造用のビルドアップ絶縁フィルムとして用いられることができる。
【0023】
本発明による回路基板の製造方法は、フォトリソグラフィ工程を利用してビアホールを形成することにより、従来のレーザーを利用してビアホールを形成することに比べて、回路基板の製造コストを低減し、上下幅が同一の柱状の導電性ビアを有する回路基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態による光感応性組成物の光開始剤を示す図面である。
【図2】本発明の実施形態による回路基板の製造方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態による回路基板の製造過程を説明するための図面である。
【図4】本発明の実施形態による回路基板の製造過程を説明するための図面である。
【図5】本発明の実施形態による回路基板の製造過程を説明するための図面である。
【図6】本発明の実施形態による回路基板の製造過程を説明するための図面である。
【図7】本発明の実施形態による回路基板の製造過程を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを果たす方法は、添付図面とともに詳細に後述される実施形態を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明は以下で開示される実施形態に限定されず、相異なる多様な形態で具現されることができる。本実施形態は、本発明の開示が完全になるようにするとともに、本発明が属する技術分野にて通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に伝達するために提供されることができる。明細書全体において、同一参照符号は同一構成要素を示す。
【0026】
本明細書で用いられる用語は、実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。本明細書で、単数型は文句で特別に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprise)」及び/または「含んでいる(comprising)」は言及された構成要素、段階、動作及び/または素子は一つ以上の他の構成要素、段階、動作及び/または素子の存在または追加を排除しない。
【0027】
以下、添付された図面を参照して、本発明による光感応性組成物及びこれを含むビルドアップ絶縁フィルム、そして前記ビルドアップ絶縁フィルムを用いた回路基板の製造方法に対して詳細に説明する。
【0028】
光感応性組成物
【0029】
本発明の実施形態による光感応性組成物は、ビルドアップ多層回路基板の層間絶縁層をなす絶縁フィルムの製造のための組成物であることができる。一例として、前記光感応性組成物は、エポキシ樹脂(epoxy resin)、添加剤、及び光感応性材料を含むことができる。
【0030】
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、及びリン(phosphorus)系エポキシ樹脂のうち少なくとも何れか一つを含むことができる。一例として、前記エポキシ樹脂は、前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、及びリン系エポキシ樹脂からなった複合エポキシ樹脂が用いられることができる。
【0031】
前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、平均樹脂当量が100〜700に調節されることができる。前記平均樹脂当量が100未満である場合、光感応性組成物に要求される物質特性を得ることが困難である。これに反し、前記平均樹脂当量が700を超過する場合、前記エポキシ樹脂が溶媒に溶けにくく、溶融点が高くなりすぎるため、製造しようとするビルドアップ絶縁フィルムの製造容易性が低下する可能性がある。これに加えて、前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、前記複合エポキシ樹脂で1〜20重量部を有するように調節されることができる。前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂の含量が1重量部未満である場合、後で回路基板を製造する時、絶縁フィルム上に形成される金属配線との接着力が低下する可能性がある。反面、前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂の含量が20重量部を超過する場合、前記光感応性組成物の熱的及び電気的特性、そして耐吸収性が低下する可能性がある。
【0032】
前記クレゾールノボラックエポキシ樹脂は、耐熱性が高い硬化物を得ることができる特徴を有し、製造しようとする回路基板の熱的安定性を向上させることができる。前記クレゾールノボラックエポキシ樹脂は、平均樹脂当量が100〜600に調節されることができる。前記クレゾールノボラックエポキシ樹脂の平均樹脂当量が100未満である場合、前記光感応性組成物に要求される物性を得ることが困難である。反面、前記クレゾールノボラックエポキシ樹脂の平均樹脂当量が600を超過する場合、前記複合エポキシ樹脂が溶媒に溶けにくく、溶融点が高くなりすぎるため、前記ビルドアップ絶縁フィルムの製造性が低下する可能性がある。これに加えて、前記クレゾールノボラックエポキシ樹脂は、前記複合エポキシ樹脂で30〜70重量部を有するように調節されることができる。前記クレゾールノボラックエポキシ樹脂の含量が前記複合エポキシ樹脂で30重量部未満である場合、前記絶縁フィルムに要求される熱的、機械的物性を得ることができず、70重量部を超過する場合、最終硬化物が壊れやすく(brittle)、耐衝撃性が低下する可能性がある。
【0033】
前記ゴム変性型エポキシ樹脂は、平均樹脂当量が100〜500に調節されることができる。前記ゴム変性型エポキシ樹脂の平均樹脂当量が100未満である場合には、前記絶縁材料に要求される物性を得ることが困難であり、500を超過する場合には、前記エポキシ樹脂が溶媒に溶けにくく、溶融点が高くなりすぎるため、前記ビルドアップ絶縁フィルムの製造容易性が低下する可能性がある。これに加えて、前記ゴム変性型エポキシ樹脂は、前記複合エポキシ樹脂で1〜20重量部を有するように調節されることができる。前記ゴム変性型エポキシ樹脂の含量が1重量部未満である場合、前記ビルドアップ絶縁フィルムに要求される物性を得ることができず、20重量部を超過する場合、最終硬化物が壊れやすいため、クラックが発生される可能性が増加し、耐衝撃性が低下する可能性がある。
【0034】
前記リン系エポキシ樹脂は難燃性と自己消火性が優れる。これにより、前記リン系エポキシ樹脂は回路基板の難燃性を付与するために添加されることができる。前記リン系エポキシ樹脂は、平均樹脂当量が400〜800に調節されることができる。前記リン系エポキシ樹脂の平均樹脂当量が400未満である場合、前記光感応性組成物に要求される物性を得ることが困難であり、800を超過する場合、前記エポキシ樹脂が溶媒に溶けにくく、溶融点が高くなりすぎるため、前記光感応性組成物を用いたビルドアップ絶縁フィルムの製造性が低下する可能性がある。これに加えて、前記リン系エポキシ樹脂は、前記複合エポキシ樹脂で1〜30重量部を有するように調節されることができる。前記リン系エポキシ樹脂の含量が1重量部未満である場合、前記ビルドアップ絶縁フィルムに要求される難燃性を得ることが困難であり、30重量部を超過する場合、前記ビルドアップ絶縁フィルムの電気的及び機械的物性が低下する可能性がある。
【0035】
前記添加剤は、硬化剤、硬化促進剤、難燃補助剤、及び充填剤のうち少なくとも何れか一つを含むことができる。前記硬化剤は、フェノールノボラック及びビスフェノールノボラックのうち少なくとも何れか一つを含むことができる。一例として、前記硬化剤は、前記ビスフェノールAノボラック(BPA novolac)エポキシ樹脂硬化剤が用いられることができる。この場合、前記硬化剤は、軟化点が100〜140℃であり、水酸基当量(hydroxyl equivalent)が100〜150に調節されることができる。
【0036】
前記硬化剤は、前記複合エポキシ樹脂のエポキシ基混合当量に対して、0.5〜1.3当量比で混合することができる。上述のような範囲の当量比で前記硬化剤を混合すると、製造しようとする回路基板の硬化度を基板製造過程で容易に調節することができ、また、回路基板の熱膨脹率を減少させることができる。前記硬化剤の当量比が0.5未満である場合には、前記複合樹脂組成物の熱的、機械的性質が低下し、1.3を超過する場合には、接着性が低下して未反応硬化剤が発生する可能性がある。
【0037】
前記硬化促進剤は、イミダゾール系硬化促進剤が用いられることができる。例えば、前記硬化促進剤としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−アルキルイミダゾール、及び2−フェニルイミダゾールのうち少なくとも何れか一つが用いられることができる。前記硬化促進剤は、前記複合樹脂組成物で略0.1〜2重量部を有するように調節されることができる。前記硬化促進剤の含量が0.1重量部未満である場合には、硬化速度が顕著に低下し、未硬化が発生する可能性がある。反面、前記硬化促進剤の含量が2重量部を超過する場合には、硬化速度の制御が困難であるため、製造工程段階において再現性を確保することが困難である。
【0038】
前記難燃補助剤は、相対的に高価である難燃性エポキシ樹脂の含量を低めるために用いられることができる。前記難燃補助剤としては、リンが含有されているAlのような化合物が用いられることができる。
【0039】
前記充填剤は、前記ビルドアップ絶縁フィルムの機械的、電気的、熱的特性などを向上させるために提供されることができる。一例として、前記充填剤としては、グラファイト、カーボンブラック、シリカ(silica)、及びクレー(clay)のうち少なくとも何れか一つが用いられることができる。他の例として、前記充填剤としては炭酸カルシウム(CaCO)充填剤が用いられることができる。前記充填剤が炭酸カルシウム系無機充填剤である場合、前記複合エポキシ樹脂との化学結合親和性を高めるために、その表面をシランカップリング剤で処理することができる。前記シランカップリング剤としては、アミノ系、エポキシ系、アクリル系、及びビニル系などが用いられることができる。また他の例として、前記充填剤としては、層状ケイ酸塩、タルク(talc)、及びセラミックス粉末などが用いられることができる。その他にも、前記充填剤としては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、バリウム、スズ、ネオジム、ビスマス、リチウム、サマリウム、タンタルのうち少なくとも何れか一つを含む金属酸化物の粉末が用いられることができる。
【0040】
前記光感応性材料は、光感応性モノマー及び光開始剤を含むことができる。前記光感応性モノマーは、化学的構造内に二重結合とカルボン酸(Caryboxylic acid)を有する物質であることができる。一例として、図1に図示されたように、前記光感応性モノマー10は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Bisphenol−A type epoxy resin)構造をバックボーン(backbond)とする二重結合12とカルボキシル基(COOH)14を有し、フリーラジカル重合(free−radical polymerization)が可能な物質であることができる。前記光感応性モノマーとしては、アクリレート樹脂(acrylate resin)が用いられることができる。上述のような光感応性材料により、前記光感応性組成物は特定波長の光によって重合反応を起こすことができる。
【0041】
上述したように、本発明の実施形態による光感応性組成物は、複合エポキシ樹脂、添加剤、光開始剤、及びフリーラジカル重合反応が可能な光モノマーを含むため、回路基板の層間絶縁材料として用いられる複合エポキシ樹脂に特定波長の光によって重合反応を起こすことができる光感応性材料を含むことにより、フォトリソグラフィ工程を利用してビアホールを形成することができるビルドアップ絶縁フィルムを製造するための材料として用いられることができる。
【0042】
光感応性組成物の製造
【0043】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂250g、クレゾールノボラックエポキシ樹脂1,375g、ゴム変性型エポキシ樹脂250g、リン系難燃性エポキシ樹脂625g、66.7wt%(溶媒:2−メトキシエチルアルコール)BPA(Bisphenol−A)ノボラック樹脂硬化剤を1,636.06g程度添加した後、メチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone:MEK)316.54gと2−メトキシエチルアルコール524gの混合溶媒に、常温で300rpmで撹拌した。そして、無機充填剤を735.56g程度添加した後、400rpmで3時間撹拌した。最後に、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.5phr(part per hundred resin)を添加した後、30分間撹拌して、複合エポキシ樹脂を製造した。
【0044】
前記複合エポキシ樹脂に、上述のフェノール系硬化剤、二重結合を有する光感応性モノマー、光感応性開始制、及び無機充填剤などを添加した後、混合機を利用して混合物を製造した。この際、前記光感応性モノマーは、前記フェノール系硬化剤の含量に対して略30wt%を有するように、その含量が調節された。また、前記無機充填剤は、前記混合物内に略17wt%を有するようにその含量が調節された。そして、前記混合物を3−ロールミルを利用して無機充填剤を分散した。その後、分散された混合物を脱泡機を利用して脱泡した。これにより、光感応性組成物を製造した。
【0045】
ビルドアップ絶縁フィルムの製造
【0046】
上述のように脱泡された光感応性組成物をポリエチレンテレフタレート(Poly Ethylene Terephthalate:PET)材質からなったフィルム(film)にキャスティング(casting)処理した。前記ポリエチレンテレフタレートの厚さは、略55μmに調節されることができる。これにより、ビルドアップ多層回路基板の製造のためのビルドアップ絶縁フィルムが製造された。
【0047】
上述のような構造のビルドアップ絶縁フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(Poly Ethylene Terephthalate:PET)材質からなったフィルム(film)及び前記フィルムにキャスティング(casting)処理された複合エポキシ樹脂、添加剤、光開始剤、及びフリーラジカル重合反応が可能な光モノマーを含む光感応性組成物からなった絶縁膜を含むことができる。これにより、本発明によるビルドアップ絶縁フィルムは、フォトリソグラフィ工程を利用して、ビルドアップ多層印刷回路基板の層間導通のための導電性ビア(conductive via)が位置されるビアホール(via hole)を形成することができる。
【0048】
回路基板の製造
【0049】
図2は本発明の実施形態による回路基板の製造方法を示すフローチャートであり、図3から図7は本発明の実施形態による回路基板の製造過程を説明するための図面である。
【0050】
図2及び図3を参照すると、基板110上に光感応性絶縁膜120を形成することができる(S110)。例えば、まず、前記基板110を準備することができる。前記基板110はビルドアップ多層回路基板の製造のための内層回路基板であることができる。一例として、前記基板110は、銅箔積層板(copper clad laminate:CCL)を含むことができる。前記基板110上に、上記のように製造されたビルドアップ絶縁フィルムをラミネーション(lamination)した後、前記ビルドアップ絶縁フィルムのポリエチレンテレフタレート(PET)を除去する。これにより、前記基板110上には光感応性絶縁膜120が均一な厚さに形成されることができる。
【0051】
図2及び図4を参照すると、光感応性絶縁膜120に露光工程を遂行することができる(S120)。例えば、所定のマスク20を準備した後、前記マスク20を利用して前記光感応性絶縁膜120のビア形成領域以外の領域(以下、第1領域a)に選択的に光22を照射することができる。前記光22が照射された前記第1領域a上の前記光感応性絶縁膜の部分(以下、第1部分122)は光開始反応が起こり、光感応性モノマーが高分子化されることができる。即ち、前記第1部分122は、前記光感応性モノマーがフリーラジカル重合反応を起こし、高分子化されることができる。反面、前記光22が照射されない残りの領域(以下、第2領域b)上の光感応性絶縁膜の部分(以下、第2部分124)は、光感応性モノマーがモノマー状態をそのまま維持することができる。前記第2領域bは、後で導電性ビアが形成される領域であることができる。
【0052】
前記光感応性絶縁膜120に対して第1プリキュア工程(precure process)を遂行することができる(S130)。前記第1プリキュア工程は、前記光感応性絶縁膜120を熱処理してなされることができる。前記熱処理は、略60℃の温度雰囲気で2時間進行されることができる。前記第1プリキュア工程によって、前記光感応性絶縁膜120内の熱硬化性エポキシモノマーがネットワーク(network)を形成することができる。これにより、前記第1部分122は、光感応性モノマーが重合されて高分子化された光感応性高分子と熱硬化性エポキシモノマーが硬化されて、適正量程度のネットワークが混在されている状態になることができる。反面、前記第2部分124は、光感応性モノマーと熱硬化性エポキシモノマーが硬化されて、適正量程度のネットワークが混在されている状態になることができる。
【0053】
図2及び図5を参照すると、前記光感応性絶縁膜120に対して現像工程を遂行することができる(S140)。前記現像工程を遂行する段階は、前記基板110に、前記光感応性絶縁膜120の第2部分124に対してエッチング選択性を有する現像液を供給することによりなされることができる。このために、前記基板110は、前記現像液が満たされているタンクに浸漬したり、前記基板110に現像液を噴射することができる。前記現像液としては多様な種類の良溶媒(good solvent)が用いられることができる。前記現像液によって前記第2部分124が選択的に除去されることができる。これにより、前記基板110上には、前記第2領域bを選択的に露出させるビアホール126を有する第1部分122が形成されることができる。ここで、前記ビアホール126は、フォトリソグラフィ工程を遂行して形成された結果物であるため、前記ビアホール126はその上下幅が略同一の柱状を有することができる。
【0054】
図2及び図6を参照すると、光感応性絶縁膜120に対して第2プリキュア工程及び表面粗さ形成工程を遂行することができる(S150)。前記第2プリキュア工程は、前記第1部分(図5の122)を熱処理する段階を含むことができる。前記熱処理は、略130℃の温度雰囲気で30分間進行されることができる。そして、前記表面粗さ形成工程は、前記第1部分122の表面に表面粗さ(surface roughness)123を形成する工程であることができる。前記表面粗さ123は、後続工程であるメッキ工程において、メッキ膜の形成効率を向上させるために遂行されることができる。
【0055】
図2及び図7を参照すると、導電性ビアを形成することができる(S160)。前記導電性ビアを形成する段階は、基板110に対してメッキ工程を遂行してなされることができる。これにより、前記基板110上には、第1部分122及び前記第1部分122によって露出されたビア形成領域、即ち、第2領域bをコンフォーマル(conformal)に覆うメッキ膜130が形成されることができる。前記メッキ膜130は、銅(Cu)を含む金属膜であることができる。後に、前記第2領域b内の空間を充填物質(未図示)で充填し、ビアホール126内に導電性ビアを形成することができる。
【0056】
上述したように、本発明の実施形態による回路基板の製造方法は、光感応性組成物を利用して製造されたビルドアップ絶縁フィルムを基板(内層基板)に付着した後、フォトリソグラフィ工程を利用して前記ビルドアップ絶縁フィルムにビアホール126を形成した後、前記ビアホール126に導電性ビアを形成することができる。この場合、前記ビアホール126は、上部幅と下部幅が略同一の柱状を有することができる。これにより、本発明による回路基板の製造方法は、フォトリソグラフィ工程を利用して上下幅が同一の柱状の導電性ビアを有する回路基板を製造することができる。
【0057】
以上の詳細な説明は本発明を例示するものである。また、上述の内容は本発明の好ましい実施形態を示して説明するものに過ぎず、本発明は多様な他の組合、変更及び環境で用いることができる。即ち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、述べた開示内容と均等な範囲及び/または当業界の技術または知識の範囲内で変更または修正が可能である。上述の実施形態は本発明を実施するにおいて最善の状態を説明するためのものであり、本発明のような他の発明を用いるにおいて当業界に公知された他の状態での実施、そして発明の具体的な適用分野及び用途で要求される多様な変更も可能である。従って、以上の発明の詳細な説明は開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではない。また、添付された請求範囲は他の実施状態も含むと解釈されるべきであろう。
【符号の説明】
【0058】
10 光感応性組成物
12 二重結合
14 カルボキシル基
20 マスク
22 光
110 基板
120 光感応性絶縁膜
122 第1部分
126 ビアホール
130 メッキ膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を製造するための組成物において、
複合エポキシ樹脂;
前記複合エポキシ樹脂に添加される添加剤;及び
前記複合エポキシ樹脂に光感応性を提供する光感応性材料を含み、
前記光感応性材料は、
光開始剤;及び
二重結合とカルボキシル基(COOH)を有する光感応性モノマーを含む光感応性組成物。
【請求項2】
前記光感応性モノマーは、フリーラジカル重合が可能であるように、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Bisphenol−A type epoxy resin)構造をバックボーンとする化学構造を有する請求項1に記載の光感応性組成物。
【請求項3】
前記複合エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、及びリン系エポキシ樹脂を含む請求項1に記載の光感応性組成物。
【請求項4】
前記添加剤は、硬化剤、硬化促進剤、難燃補助剤、及び充填剤のうち少なくとも何れか一つを含む請求項1に記載の光感応性組成物。
【請求項5】
回路基板を製造するための絶縁フィルムにおいて、
ポリエチレンテレフタレート(Poly Ethylene Terephthalate:PET)材質からなったフィルム;及び
前記フィルムにキャスティングして形成される、そして複合エポキシ樹脂、添加剤、光開始剤、及び二重結合とカルボキシル基(COOH)を有する光感応性モノマーを含む光感応性組成物からなった絶縁膜を含むビルドアップ絶縁フィルム。
【請求項6】
前記光感応性モノマーは、フリーラジカル重合が可能であるように、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Bisphenol−A type epoxy resin)構造をバックボーンとする化学構造を有する請求項5に記載のビルドアップ絶縁フィルム。
【請求項7】
光感応性組成物を製造する段階;
前記光感応性組成物をポリエチレンテレフタレート(Poly Ethylene Terephthalate:PET)材質からなったフィルムにキャスティング処理して、ビルドアップ絶縁フィルムを製造する段階;
基板上に前記ビルドアップ絶縁フィルムを積層する段階;
フォトリソグラフィ工程を利用して、前記ビルドアップ絶縁フィルムにビアホールを形成する段階;及び
前記ビアホールに導電性ビアを形成する段階を含む回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記光感応性組成物を製造する段階は、
複合エポキシ樹脂を製造する段階;
前記複合エポキシ樹脂に硬化剤、硬化促進剤、難燃補助剤、及び充填剤のうち少なくとも何れか一つの添加剤を添加する段階;及び
前記複合エポキシ樹脂に光開始剤及び二重結合とカルボン酸(Caryboxylic acid:COOH)を有する光感応性モノマーを混合する段階を含む請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記光感応性モノマーとしては、フリーラジカル重合が可能であるように、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Bisphenol−A type epoxy resin)構造をバックボーンとする化学構造を有する物質が用いられる請求項8に記載の回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記ビアホールを形成する段階は、
前記ビルドアップ絶縁フィルムのビア形成領域に、選択的に光を照射する露光工程を遂行する段階;及び
前記ビア形成領域以外の領域に対してエッチング選択性を有する現像液を利用して、前記ビア形成領域以外の領域を選択的に除去する現像工程を遂行する段階を含む請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記ビアホールを形成する段階は、前記現像工程を遂行する前に、前記ビルドアップ絶縁フィルムを熱処理するプリキュア工程を遂行する段階をさらに含む請求項10に記載の回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記導電性ビアを形成する段階は、
前記ビアホールが形成されたビルドアップ絶縁フィルムに対して表面粗さを形成する段階;及び
前記ビルドアップ絶縁フィルムをコンフォーマルに覆うメッキ膜を形成するメッキ工程を遂行する段階を含む請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記導電性ビアを形成する段階は、前記表面粗さを形成する前に、前記ビルドアップ絶縁フィルムを熱処理するプリキュア工程を遂行する段階を含む請求項12に記載の回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−97246(P2012−97246A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19604(P2011−19604)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】