光硬化性ポリマー性誘電体、及びその製造方法、及びその使用方法
ポリマーベースの誘電体組成物(例えば処方物)及び材料(例えば、フィルム)及び関連する素子(デバイス)が開示されている。ポリマーは、通常、光架橋可能なペンダント基を含み;例えば、ポリマーは、1つ以上のクマリン−含有ペンダント基を含む。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[優先権の主張]
本願は、2008年、11月24日に出願した、U.S.Provisional Patent Application Serial No.61/117404の優先権及びその利益を主張し、これによりこの文献の全てがここに導入される。
【0002】
次世代の電子素子の発達は、有機材料、柔軟性基材及び低コスト溶液処理に基づいている。大半の有機電子素子の重要な要素は、ポリマー性誘電体層で、該ポリマー性誘電体層は、電子回路の重要な構成ブロックである、薄いフィルム状のトランジスター中で、ゲート絶縁物材料として作用する。ポリマー誘電体層は、電気的に絶縁性の(即ち、誘電性の)ポリマーの溶液を、液相法、例えばスピン被覆、又は印刷によって、配置、堆積させることによって、(ボトム−ゲートトランジスター構造のための)ゲートコンタクトにも、(トップゲートトランジスター構造のための)半導体層にも形成することができる。強固な、不溶性の誘電体を製造するために、通常、架橋工程が必要になる。
【0003】
架橋した誘電体フィルムは、放射(即ち、光硬化)、化学的開始剤、又は熱的開始剤(即ち、アニーリング、焼きなまし)によって製造することができる。光硬化が有利である。この理由は、光硬化は行うのが容易であり、そして化学的開始剤や長時間にわたる加熱(これらは、フィルムの均一性を乱すものである)を回避することができるからである。現世代の光硬化性材料の制限は、十分な硬化を達成するために、高エネルギー光、例えば短波長UV光線、及び長時間にわたる露光が必要になることである。しかしながら、多くのポリマーのバックボーン及び架橋した単位が短波長のUV光を吸収することができるので、これらの光硬化性材料の使用は、誘電体フィルムの非効率的な硬化(curing)をもたらし得る。従って、(誘電体層のより速い、及び深い硬化をもたらすであろう)より長い波長で架橋することができる、ポリマー性誘電体を発達させることが有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、光硬化が可能なポリマー性誘電体組成物の技術分野では、より長い波長の紫外線で架橋することができることへの要望が有る。より一般的には、この技術分野では、(好ましくは、空気−、及び/又は水分安定性で、種々のゲート、及び/又は半導体材料と調和し、及び漏えい電流密度が低い)溶液処理可能な誘電体フィルムを得ることができるポリマー性組成物をも要望している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
上述の内容を背景に、本発明の教示は、従来技術の(上述したものを含む)種々の欠点と短所を解決する、電気的に絶縁性の(即ち誘電体の)ポリマー、ポリマーベースの誘電体組成物(例えば、処方物)及び材料(例えばフィルム)、及び関連する素子を提供する。
【0006】
ある局面では、本発明の教示は、種々のポリマー、及び誘電体を製造するために使用できるこれらのポリマーを含む複合体を提供する。他の望ましい特性の中で、本教示のポリマーは、一般的な有機溶媒に溶解性であることができるが、架橋(例えば、所定の処理性の有利さが得られる光架橋)を行った後、ある溶媒には不溶性であることが可能である。より特定的に、本教示は、そのペンダント基(又は側基)中に、(例えば、放射露光の下にポリマーを架橋することを可能とする)架橋可能な官能基、例えば光架橋可能な官能基を有するポリマーを提供する。架橋の官能価(functionality)は、密に架橋したポリマー性マトリックスの形成を許容可能とする。本教示の光ポリマー(photopolymer)、及びその架橋した生成物は、卓越した電気的な絶縁特性を有することができ、これにより、これらを誘電体として使用可能とすることができる。ある実施の形態では、光ポリマー及びその架橋した生成物は、漏えい電流密度が、(2MV/cmの電界で)約1×10-8A/cm2atMV/cm以下であることができる。
【0007】
本教示のポリマーは、クマリン含有ペンダント基を有することができ、ここで、クマリン含有ペンダント基は、式:
【0008】
【化1】
【0009】
例えば、
【0010】
【化2】
【0011】
(但し、R1、R2、R3、L及びbは、ここに定義したものである)
で表すことができる。
【0012】
ある実施の形態では、ポリマーは、ビニルフェノールモノマーに基づくホモポリマー又はコポリマーであることが可能である。例えば、本ポリマーのある実施の形態は、以下の式:
【0013】
【化3】
【0014】
(但し、x及びx’が、独立して、実数であり;x+x’=1;x>0;0≦x’<1;nが、2より大きい整数(例えば、10〜1000の範囲);及びR1、R2、R3、R6、R7、R8、R8’、Q及びbがここで定義されたものである)
によって表すことができる。ある実施の形態では、本ポリマーは、以下の式:
【0015】
【化4】
【0016】
(但し、x、x’、x”が、独立して、実数であり;x+x’+x”=1;x、x”>0;0≦x’<1;nが2よりも大きい整数(例えば、10〜1000);及びR1、R2、R3、R6、R7、R8、R8’、R8”、Q、W”及びbがここで定義されたものである。例えば、−O−Q−W”が、フェノール基のヒドロキシル基の誘導体であることができる。
【0017】
特定の実施の形態では、本ポリマーは、ペンダント基−L−W、及び任意にペンダント基−L−W’を含み、及び式:
【0018】
【化5】
【0019】
(但し、各x、x’、x”、y及びy’が、独立して実数であり;x、y>0;0≦x’<1;0≦x”<1;0≦y’<1;nが、2よりも大きい整数(例えば10〜1000の間);及びR1、R2、R3、R6、R7、R8、R8’、R8”、R9、R9’、L、Q、W、W’、W”及びbがここで定義されたものである)
を有することができるコポリマーであることができる。
【0020】
本教示はまた、ポリマー性組成物物、及び上述したポリマーを含む誘電体(dielectric material)を提供する。例えば、誘電体は、上述したポリマーから製造することができる。2層以上の誘電体の層が、連続的に互いの頂部に配置、沈澱され、少なくとも1層が、本教示のポリマーから製造されている、複数層の誘電体が提供される。本ポリマーは、種々の印刷技術を含む、種々の溶液処理を使用して、誘電体を製造するために使用することができる。
【0021】
本教示は、更に、上述した何れかの誘電体を含む、又はこれらから製造される電子素子を提供する。電子素子の例は、有機の薄いフィルム状のトランジスター(OTFTs)(例えば、有機電界効果トランジスタ(OFETs))及びキャパシタを含むが、これらに限られるものではない。誘電体成分に加え、これらの素子は、例えば、基材成分、半導体成分、及び/又は1種以上の金属性接触成分(metallic contact component)を含むことができる。ある実施の形態では、本教示は、誘電体層;半導体層;ゲート電極;ソース電極;及びドレイン電極を含む、薄いフィルム状のトランジスター素子を提供することができ、ここで、誘電体層は、半導体層及びゲート電極と結合することができ、そしてソース電極とドレイン電極は、半導体層と接触し、及び誘電体層は、ここに記載した1種以上のポリマーを含む、ポリマー性フィルム(例えば、光架橋されたポリマー性フィルム)を含むことができる。
【0022】
ポリマーを製造する方法、これらを電子素子に使用する方法、上述した誘電体(誘電体材料)、及び電子素子も提供され、これらは本教示の範囲内である。
【0023】
上述した内容、及び本教示の他の特徴、及び有利な点を、以下に図を使用して、及び請求項に基づいてより詳細に説明する。
【0024】
以下に説明する図面は、例示のみを目的としていると理解される。図面は、本教示の原理を説明するのに配置されたスケールを強調する必要なない。図面は、本教示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本教示の誘電体を使用して作成した金属−絶縁体−金属キャパシター構造の、漏えい電流密度(J)対電界(E)のプロットを示している。
【図2】図2は、本教示の誘電体(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、トップゲート構造中に作成された、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的なアウトプットプロットを示している。
【図3】図3は、本教示の誘電体(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、トップゲート構造中に作成された、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロット(transfer plot)を示している。
【図4】図4は、本教示の誘電体(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、トップゲート構造中に作成された、種々の放射ドーズで硬化された、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロットを示している。
【図5】図5は、SiO2誘電体層を有する、ボトムイゲート、トップコンタクト構造中に作成された、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)−ベースの有機電界効果トランジスターの、比較としての代表的な遷移プロット(transfer plot)を示している。
【図6】図6は、本教示の誘電体(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、トップゲート構造中に作成された、ペリレンジカルボキシイミド(PDI)−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロットを示している。
【図7】図7は、本教示の誘電体(PVP-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、トップゲート構造中に作成された、PDI−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロットを示している。
【図8】図8は、本教示の誘電体(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、ボトムゲート、ボトムコンタクト構造中に作成された、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロットを示している。
【図9】図9は、本教示の誘電体(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、ボトムゲート、ボトムコンタクト構造中に作成された、PDI−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロットを示している。
【図10】図10は、本教示の誘電体(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、ボトムゲート、トップコンタクト構造中に作成された、ペンタセン−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロットを示している。
【図11】図11は、本教示の誘電体(PVP−7HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、ボトムゲート、トップコンタクト構造中に作成された、ペンタセン−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロットを示している。
【図12】図12は、本教示のポリマー(PVP-6HOC-Ac)の代表的な示差走査熱量測定(DSC)を示している。
【図13】図13は、本教示の誘電体(PVP-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を組み込んだ金属−絶縁体−金属キャパシター構造の、ポスト−架橋溶媒処理の前及び後の、漏えい電流密度(J)と種々の電界(E)の関係を示している。
【図14】図14は、薄いフィルム状のトランジスターの4種の異なる構造a)ボトムゲート、トップコンタクト、b)ボトムゲート、ボトムコンタクト、c)トップゲート、ボトムコンタクト、及びd)トップゲート、トップコンタクトを示している;それぞれは、本教示の1種以上のポリマーを、特に誘電体層、又は誘電体成分として組み込むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
本教示は、架橋可能なポリマーを含む、有機誘電体、及び関連した組成物、複合体、及び/又はこのような架橋可能なポリマー及び誘電体を含む素子に関する。より特定的には、本発明は、溶液−処理が可能な(及び架橋可能な、例えば光架橋可能な)ポリマー(該ポリマーは、電気的に絶縁性の特性を示し、及びOTFTsを含む種々の有機電子素子を製造するのに使用可能な、不溶性の、強固(robust)な誘電体材料を提供するものである)を提供する。この誘電体は、空気安定性であり、及び長期にわたり自己安定性であり、及びp−タイプ及びn−タイプの有機及び無機半導体と調和し(compatible)、種々の電子素子を製造するのに魅力有る材料である。
【0027】
本願において、組成が特定の成分を有する、包含する、含む(成る)と記載されている場合、又は方法が、特定の工程を、有する、包含する、含む(成る)と記載されている場合、本教示の組成(物)は、上記組成から原則的に成り、又は成り、及び本教示の方法も、上記工程から原則的に成ると考えられる。
【0028】
本願において、要素又は成分が含められる、及び/又は上記要素又は成分のリストから選ばれる場合、要素又は成分は、上記要素又は成分の何れかのものであることができ、又は上記要素又は成分の2種以上のものから成る群から選ぶことができると理解される。更に、ここに記載された組成、装置、又は方法の要素、及び/又は特性は、(明示された又は暗示された)本教示の精神と範囲の範囲から離れることなく、種々の方法で組み合わせることができると理解されるべきである。
【0029】
「含む(include)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」又は「有している(having)」という用語の使用は、他に記載がなければ通常、境界が設定されておらず、及び限定するものでないと理解されるべきである。
【0030】
ここで単数形の使用は、他に記載がなければ複数の場合を含む(逆の場合もそうである)。更に、量的な値の前に「約」という用語を使用する場合、本教示は、他に記載がなければ特定の量的な値も含む。ここで使用されているように、他に示されておらず、予測できなければ「約」という用語は、名目的数値の±10%の変動を表す。
【0031】
工程の順序、又は所定の処理を行うための順序は、本教示が実施可能である限り、重要ではない。更に、2種以上の工程又は処理が同時に行われても良い。
【0032】
ここに使用されているように、「ポリマー」又は「ポリマー化合物」は、共有結合によって結合された複数の繰り返し単位を含む分子(例えば高分子)を意味する。ポリマーは、一般式:
【0033】
【化6】
【0034】
(但し、Mが繰り返し単位、又はモノマーであり、及びnがポリマー中のMの数である)
によって表すことができる。ポリマー又はポリマー性化合物は、1種のみの繰り返し単位を有することも可能であり、及び2種以上の異なる繰り返し単位を有することもできる。前者の場合、ポリマーは、ホモポリマーと称することができる。後者の場合、(ポリマーが、化学的に相当に異なる繰り返し単位を有する場合には、)この替わりに、「コポリマー」又は「コポリマー性化合物」という用語を使用することができる。ポリマー又はポリマー性化合物は、直鎖状が可能であり、又は枝分れしていることが可能である。枝分れしたポリマーは、樹枝状高分子、例えば樹枝状化したポリマー(dendronized polymer)、超分岐ポリマー、ブラシポリマー(ボトル−ブラシとも称される)、及びこれらに類似するものを含むことができる。他に記載がなければ、コポリマー中の繰り返し単位の集合は、ヘッド−ツウ−テール、ヘッド−ツウ−ヘッド、又はテイル−ツウ−テイルであることができる。更に、他に記載がなければ、コポリマーは、ランダムコポリマー、交互コポリマー、又はブロックコポリマーであることができる。ある実施の形態では、以下に示したものに類似した式を、繰り返し単位として使用することができ、及びこのような式は、x0%のM1、y0%のM2、z0%のM3(M2、及びM3は異なる繰り返し単位である)から成る任意の繰り返し単位を含むコポリマーを含むと解釈されるべきである:
【0035】
【化7】
【0036】
即ち、順序、及びオリエンテーション、及びM1、M2、及びM3は、特定のものを意図しているものではなく、及び式は、M1、M2、及びM3の、交互、ランダム、及びブロックコポリマーを含むことを意図している。
【0037】
ここに使用されるように、「ペンダント基」又は「側基」は、ポリマーの繰り返し単位の一部であり、及びポリマーのバックボーンに共有結合的に付加された部分(moiety)を意味する。
【0038】
ここに使用されるように、「フォトポリマー(感光性樹脂)」は、硬化することができる、例えば光(しばしば、スペクトルの紫外線領域の光、又は放射の他のタイプを使用)に曝すことによって架橋することができるポリマーを意味する。
【0039】
ここに使用されるように、「溶液−処理が可能な」は、スピンコーティング、印刷(例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、リトグラフ印刷、マス印刷、及びこれらに類似するもの)、スプレー被覆、電気スプレー被覆、ドロップ被覆、ディップ被覆、及びブレード被覆を含む、種々の溶液−相処理に使用することができるポリマー、材料、又は組成物を意味する。「溶液−処理が可能な」は、(これらが上述した処理によって処理可能である限り)ポリマー、材料、又は組成物の分散物も含む。
【0040】
ここで使用されているように、「ハロ」又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを示す。
【0041】
ここで使用されるように、「オキソ」は、二重結合した酸素(即ち、=O)を示す。
ここで使用されるように、「アルキル」は、直鎖状、又は枝分かれした、飽和した炭化水素基を示す。アルキル基の例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n−プロピル及びイソ−プロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソ−ブチルsec−ブチル、tert−ブチル)、ペンチル基(例えば、n−ペンチル、イソ−ペンチル、ネオペンチル)、ヘキシル基、及びこれに類似するものを含む。種々の実施の形態では、アルキル基は、1〜40個の炭素原子を含むことができ(即ち、C1-40アルキル基)、例えば、1〜20個の炭素原子を含むことができる(即ち、C1-20アルキル基)。ある実施の形態では、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有することができ、及び「低アルキル基」と称することができる。低アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピル、及びイソ−プロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)、及びヘキシル基を含む。ある実施の形態では、アルキル基は、ここに記載したように、置換することができる。アルキル基は、通常、他のアリキル基、アルケニル基、又はアルキニル基によって置換されない。
【0042】
ここに記載したように、「ハロアルキル」は、1個以上のハロゲン置換基を有するアルキル基を示す。種々の実施の形態で、ハロアルキル基は、1〜40個の炭素原子を有することができ(即ち、C1-40ハロアルキル基)、例えば1〜20個の炭素原子を有することができる(即ち、C1-20ハロアルキル基)。ハロアルキル基の例は、CF3、C2F5、CHF2、CH2F、CCl3、CHCl2、CH2Cl、C2Cl5、及びこれらに類似するものを含む。ペルハロアルキル基、即ち水素原子の全てがハロゲン原子に置換されたアルキル基(例えば、CF3及びC2F5)が、「ハロアルキル」の定義内に含められる。例えば、aC1-40ハロルキル基は、式−CzH2z+1-tX0t、を有することができる(但し、X0が、各場合において、F、Cl、Br又はIであり、zが、1〜40の範囲の整数であり、及びtが1〜81の範囲の整数である;但し、tは、2z+1以下である)。ペルハロアルキル基ではないハロアルキル基は、ここに記載したように置換することができる。
【0043】
ここに使用されるように、「アルコキシ」は、−O−アルキル基を示す。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシ及びイソプロポキシ)、t−ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシル基、及びこれらに類似するものを含むが、これらに限られるものではない。−O−アルキル基中のアルキル基は、ここに記載したように置換することができる。
【0044】
ここに使用されるように、「アルキルチオ」は、−S−アルキル基を示す。アルキルチオ基の例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ(例えば、n−プロピルチオ及びイソプロピルチオ)、t−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ基、及びこれらに類似するものを含むが、これらに限定されるものではない。−S−アルキル基中のアルキル基は、ここに記載したように置換することができる。
【0045】
ここに使用されるように、「アリールアルキル」は、−アルキル−アリール基を示し、ここでアリールアルキルは、定義された化学構造に、アルキル基を介して共有結合的に結合されている。アリールアルキルは、−Y−C6~14アリール基の定義内である(但し、Yはここに定義したものである)。アリールアルキルの例は、ベンジル基(−CH2−C6H5)である。アリールアルキル基は、任意に置換することができ、即ちアリール基、及び/又はアルキル基は、ここに開示したように置換することができる。
【0046】
ここに使用したように、「アルケニル」は、炭素−炭素二重結合を1個以上有する、直鎖状、又は枝分れしたアルキル基を示す。アルケニル基の例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル基、及びこれらに類似するものを含む。1個以上の炭素−炭素二重結合は、内部のもの(例えば2−ブテン)、又は末端のもの(例えば、1−ブテン)であることが可能である。種々の実施の形態では、アルケニル基は、2〜40個の炭素原子を含むことができ(即ち、C2-40アルケニル基)、例えば2〜20個の炭素原子を含むことができる(即ち、C2-20アルケニル基)。ある実施の形態では、アルケニル基は、ここに記載したように置換することができる。アルケニル基は、通常、他のアルケニル基、アルキル基、又はアルキニル基で置換されない。
【0047】
ここに使用されるように、「アルキニル」は、炭素−炭素三重結合を1個以上有する、直鎖状の、又は枝分かれしたアルキル基を示す。アルキニル基の例は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、及びこれらに類似するものを含む。この1個以上の炭素−炭素三重結合は、内部のもの(例えば2−ブチン)、又は末端のもの(例えば、1−ブチン)であることが可能である。種々の実施の形態では、アルキニル基は、2〜40個の炭素原子(即ち、C2-40アルキニル基)、例えば2〜20個の炭素原子を含むことができる(即ち、C2-20アルキニル基)。ある実施の形態では、アルキニル基は、ここに記載したように置換することができる。アルキニル基は、通常、他のアルキニル基、アルキル基、又はアルケニル基で置換されない。
【0048】
ここに使用されるように、「シクロアルキル」は、アルキル、アルケニル、及びアルキニル基を含む、非芳香族炭素環式の基を示す。種々の実施の形態では、シクロアルキル基は、3〜20個の炭素原子を含むことができ、例えば3〜14個の炭素原子を含むことができる(即ち、C3-14シクロアルキニル基)。シクロアルキル基は、単環式(例えばシクロヘキシル)、又は多環式(例えば、縮合(fused)した、橋かけした、及び/又はスピロ環系)であることができ、ここで、炭素原子は、環系の内側又は外側に配置される。シクロアルキル基の適切な任意の環位置が、定義した化学構造に共有結合的に結合可能である。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、及びスピロ[4.5]デカニル基、及びその同族体、異性体、及びこれに類似するものを含む。ある実施の形態では、シクロアルキル基は、ここに記載されたように置換することができる。
【0049】
ここに使用されるように、「ヘテロ原子」は、炭素又は窒素以外の原子で、例えば窒素、酸素、シリコン、リン及びセレニウムを含む。
【0050】
ここで使用されるように、「シクロヘテロアルキル」は、O、S、Se、N、P及びSi(例えばO、S及びN)から選ばれる少なくとも1個の環ヘテロ原子を含み、及び任意に1個以上の二重又は三重結合を含む、非芳香族シクロアルキル基を示す。シクロヘテロアルキル基は、3個〜20個の環原子、例えば3〜14個の環原子(即ち、3〜14員のシクロアルキル基)を有することができる。シクロアルキル環中の1つ以上のN、P、S、又はSe原子(例えば、N又はS)が酸化されても良い(例えば、モルホリンN−オキシド、チオモリホリンS−オキシド、チオモルホリンS,S−ジオキシド)。ある実施の形態では、シクロアルキル基中の窒素、又はリン原子は、置換基、例えば水素原子、アルキル基、又はここに記載されている他の置換基を有することができる。シクロアルキル基は、1種以上のオキソ基、例えばオキソピペリジル、オキソオキサゾーリジル、ジオキソ−(1H,3H)−ピリミジル、オキソ−2(1H)−ピリジル、及びこれに類似する基を含むこともできる。シクロヘテロアルキル基の例は、特に、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、ピペラジニル、及びこれに類似するものを含む。ある実施の形態では、シクロヘテロアルキル基は、ここに記載したように置換することができる。
ここに使用されるように、「アリール」は、芳香族単環式炭化水素環系、又は多環式環系を示し、ここで多環式環系内では、2つ以上の芳香族炭化水素環が一緒に融合(fuse)(即ち、共通する結合を有する)しているか、又は少なくとも1個の芳香族単環式炭化水素環が1個以上のシクロアルキル及び/又はシクロヘテロアルキル環に融合している。アリール基は、6個〜20個の炭素原子を(複数の融合した環を含むことができる)その環系内に有することができる(例えばC6-14アリール基)。ある実施の形態では、多環式アリール基は、8個〜20個の炭素原子を有することができる。アリール基の適切な任意の環位置が定義された化学構造に共有結合することができる。芳香族1つ以上の炭素環式環のみを有するアリール基の例は、フェニル、1−ナフチル(2環式)、2−ナフチル(2環式)、アントラセニル(3環式)、フェナンスレニル(3環式)、及びこれらに類似する基を含む。少なくとも1個の芳香族炭素環式環が、1個以上のシクロアルキル及び/又はシクロヘテロアルキル環に融合している多環式環系の例は、特に、シクロペンタン(即ち、5,6−ビシクリックシクロアルキルであるインダニル基/芳香族環系)、シクロヘキサン(即ち、6,6−ビシクリックシクロアルキルであるテトラヒドロナフチル基/芳香族環系)、イミダゾリン(即ち、5,6−ビシクリックシクロヘテロアルキルであるベンズイミダゾリニル/芳香族環系)、及びピラン(即ち、6,6−ビシクリックシクロヘテロアルキルである、クロメニル基/芳香族環系)のベンゾ誘導体を含む。アリール基の他の例は、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、クロマニル、インドリニル基、及びこれらに類似するものを含む。ある実施の形態では、アリール基は、ここに記載されているように置換することができる。ある実施の形態では、アリール基は、1つ以上のハロゲン置換基を有することができ、及び「ハロアリール基」と称することができる。ペルハロアリール基、即ち全ての水素原子が、ハロゲン原子で置換されたアリール基(例えば、−C6F5)は、「ハロアリール」の定義内に含まれる。ある実施の形態では、アリール基は、他のアリール基で置換され、及びビアリール基と称することができる。ビアリール基内の各アリール基は、ここに開示したように置換することができる。
【0051】
ここに使用されるように、「ヘテロアリール」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、シリコン(Si)及びセリウム(Se)から選ばれる、少なくとも1つの環ヘテロアトムを含む芳香族単環式環系、又は多環式環系(ここで、環系内に存在する少なくとも1個の環が芳香族であり、及び少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む)を示す。多環式ヘテロアリール基は、互いに融合した(fuse)2個以上のヘテロアリール環、及び1個以上の芳香族炭素環式環、非芳香族炭素環式環、及び/又は非芳香族シクロヘテロアルキル環に融合した単環式ヘテロアリール環を含む。ヘテロアリール基は、全体として、例えば5個〜20個の環原子を有することができ、及び1〜5個の環ヘテロ原子(即ち、5員〜20員のヘテロアリール基)を含むことができる。ヘテロアリール基は、定義した化学構造に、安定した構造を得ることができる任意のヘテロ原子、又は炭素の個所で付くことができる。通常、ヘテロアリール基O−O、S−S又はS−O結合を含まない。しかしながら、ヘテロアリール基内の、1つ以上のN又はS原子が、酸化可能である(例えば、ピリジンN−オキシド、チオフェンS−オキシド、チオフェンS,S−ジオキシド)。ヘテロアリール基の例は、例えば、以下に示す、5−又は6−員の単環式、及び5〜6個の2環式環系(5-6 bicyclic ring system)である:
【0052】
【化8】
【0053】
(但し、
Tが、O、S、NH、N−アルキル、N−アリール、N−(アリールアルキル)(例えば、N−ベンジル)、SiH2、SiH(アルキル)、Si(アルキル)2、SiH(アリールアルキル)、Si(アリールアルキル)2、又はSi(アルキル)(アリールアルキル)である)。このようなヘテロアリール環の例は、ピロリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダソリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、キノリル、2−メチルキノイル、イソキノイル、キノキサリル、キナゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンズオキサゾリル、シノリニル、1H−インダゾリル、2H−インダゾリル、インドィジニル、イソベンゾフリル、ナフチリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピリダジニル、チエノチアゾリル、チエノキサゾリル、チエノイミダソリル基、及びこれらに類似するものを含む。ヘテロアリール基の更なる例は、4,5,6,7−テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリニル、ベンゾチエノピリジニル、ベンゾフロピリジニル基、及びこれらに類似するものを含む。ある実施の形態では、ヘテロアリール基は、ここに記載したように置換することができる。
【0054】
本教示のポリマーは、他の2個の部分と共有結合を形成することができる結合基(linking group)として定義された、「2価の基」を含むことができる。例えば、本教示のポリマーは、2価のC1-20アルキル基(例えば、メチレン基)、2価のC2-20アルケニル基(例えば、ビニリル基)、2価のC2-20アルキニル基(例えば、メチリニル基)、2価のC6-14アリール基(例えば、フェニリル基);2価の3〜14員のシクロヘテロアルキル基(例えばピロリジニル)、及び/又は2価の5〜14員のヘテロアリール基(例えば、チエニリル基)を含むことができる。
【0055】
本明細書の種々の個所で、化学的な基への置換基を群又は範囲で示した。ここで、この記載は、特に、このような群又は範囲の要素の、各、及びそれぞれのセブコンビネーションを含むことを意図している。例えば、「C1-6アルキル」という用語は、特に、個々に、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1−C6、C1−C5、C1−C4、C1−C3、C1−C2、C2−C6、C2−C5、C2−C4、C2−C3、C3−C6、C3−C5、C3−C4、C4−C6、C4−C5、及びC5−C6を示すことを意図している。他の例では、0〜40の範囲の整数は、特に、個々に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、及び40を示すことを意図しており、及び0〜20の範囲の整数は、特に、個々に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20を示すことを意図している。追加的な例は、「任意に1〜5個の置換基で置換された」という記載は、特に、個々に、0、1、2、3、4、5、0〜5、0〜4、0〜3、0〜2、0〜1、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、2〜5、2〜4、2〜3、3〜5、3〜4、及び4〜5個の置換基を含むことができる化学基を示すことを意図している。
【0056】
ここで使用されているように、「p−タイプ半導体材料」又は「p−タイプ半導体」は、大多数の電流媒体としてのホールを有する半導体材料を示す。ある実施の形態では、p−タイプの半導体材料が、基材上に配置、沈澱され、これは約10-5cm2/Vsを超える正孔移動度を与えることができる。電界効果素子(電界効果デバイス)の場合、p−タイプ半導体は、約10を超える電流オン/オフ割合を示すこともできる。
【0057】
ここに使用されるように、「n−タイプ半導体材料」、又は「n−タイプ半導体」は、大多数の電流媒体として電子を有する半導体材料を示す。ある実施の形態では、n−タイプ半導体が基材上に沈澱された場合、これは約10-5cm2/Vsを超える電子移動度を与えることができる。電界効果素子の場合、n−タイプ半導体は、約10を超える電流オン/オフ割合を示すこともできる。
【0058】
2種の成分が互いに結合していると記載された場合、この2成分は、直接的に接触することができ(即ち、相互に直接的に結合している)、又は2成分は、1つ以上の仲介する成分又は層を介して相互に結合することができる。
【0059】
本明細書において構造は、化学的な名称を有して存在していなくても良い。術後について疑問が有る場合には、構造が優先される(有効である)。
【0060】
ある局面では、本教示は、1種以上の架橋可能な官能基を含むポリマーを提供する。架橋基は、ポリマーのバックボーンに共有結合したペンダントを形成することができ、又はその一部であることができる。より特定的には、本教示は、クマリン含有のペンダント基を含む、1種以上の繰り返し単位を有するポリマーを提供する。クマリン部分は、重合の前、又は後に、ポリマーに導入することができ、及び任意に置換され、そして式
【0061】
【化9】
【0062】
(但し、R1、及びR2が独立して、H又は非−水素置換基であることができ、各R3が、独立して非−水素置換基であることができ、及びbが0、1、2又は3である)
によって表すことができる。
【0063】
例えば、R1、及びR2は、独立して、a)H、b)ハロゲン、c)−CN、d)−NO2、e)−OR4、f)−N(R4)2、g)−CHO、h)−C(O)R4、i)−C(O)OR4、j)−C(O)N(R4)2、k)aC1-20アルキル基、l)aC2-20アルケニル基、m)aC2-20アルキニル基、n)aC1-20アルコキシ基、o)aC1-20アルキルチオ基、p)aC1-20ハロアルキル基、q)a−Y−C3-14シクロアルキル基、r)a−Y−C6-14アリール基、s)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びt)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、(但し、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されていても良い)から選ぶことができ;
R3が、それぞれにおいて、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)−OR4、e)−N(R4)2、f)−CHO、g)−C(O)R4、h)−C(O)OR4、i)−C(O)NO(R4)2、j)aC1-20アルキル基、k)aC2-20アルケニル基、l)aC2-20アルキニル基、m)aC1-20アルコキシ基、n)aC1-20アルキルチオ基、o)aC1-20ハロアルキル基、p)a−Y−C3-14シクロアルキル基、q)a−Y−C6-14アリール基、r)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びs)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、
(但し、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されていても良い)
から選ばれることができ、
ここで:
R4が、各場合において、独立して、a)H、b)aC1-20アルキル基、c)aC2-20アルケニル基、d)aC2-20アルキニル基、e)aC1-20アルコキシ基、f)aC1-20アルキルチオ基、g)aC1-20ハロアルキル基、h)a−Y−C3-14シクロアルキル基、i)a−Y−C6-14アリール基、j)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びk)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、
(但し、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されていても良い)
から選ばれることができ;
R5が、それぞれにおいて、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)−OH、e)−O−C6-14アリール、f)−NH2、g)−NH−C1-10アルキル、h)−N(C1-10アルキル)2、i)−NH−C6-14アリール、j)−N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、k)−N(C6-14アリール)2、l)−CHO、m)−C(O)−C1-10アルキル、n)−C(O)−C6-14アリール、o)−C(O)OH、p)−C(O)−OC1-10アルキル、q)−C(O)−OC6-14アリール、r)−C(O)NH2、s)−C(O)NH−C1-10アルキル、t)−C(O)N(C1-10アルキル)2、u)−C(O)NH−C6-14アリール、v)−C(O)N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、w)−C(O)N(C6-14アリール)2、x)aC1-10アルキル基、y)aC2-10アルケニル基、z)aC2-10アルキニル基、aa)aC1-10アルコキシ基、ab)aC1-10アルキルチオ基、ac)aC1-10ハロアルキル基、ad)a−Y−C3-14シクロアルキル基、ae)a−Y−C6-14アリール基、af)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びag)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、
(但し、各C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に、ハロゲン、CN、aC1-6アルキル基、aC1-6ハロアルキル基、aC1-6アルコキシ基、a−O−C1-6ハロアルキル基、a−C(O)−C1-6アルキル基、a−C(O)−C1-6ハロアルキル基、及びa−C(O)−O−C1-6アルキル基、から独立して選ばれる1〜5個の置換基で置換されても良い)
から選ばれることができ;及び
Yが、各場合において、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、二価のC2-6アルキニル基、又は共有結合であることができる。
【0064】
ある実施の形態では、クマリン部分は、無置換であることができ、そしてこの場合、R1及びR2がHであり、及びbが0である。他の実施の形態では、クマリン部分は、1つ以上の官能基で置換されることもできる。これらの実施の形態では、R1及びR2の少なくとも1つが、非−水素置換基であることができ、及び/又は少なくとも1つのR3基が存在する。
【0065】
ある実施の形態では、架橋可能なクマリン部分は、ポリマーのバックボーンに直接的に、又は結合体(linker)(又はスペーサー)基を介して、特定の炭素原子で共有結合することができる:
【0066】
【化10】
【0067】
(但し、Lが、共有結合、又は結合体であり、R1、R2、R3、及びbが、ここに定義されたものである。例えば、架橋可能なクマリン部分は、以下に示すように、C6又はC7で、ポリマーのバックボーンに共有結合することができる:
【0068】
【化11】
【0069】
(但し、R1、R2、R3、L、及びbがここに定義されたものである)。
【0070】
種々の実施の形態において、C6結合したクマリン部分を有するポリマーは、C7結合したクマリン部分を有するその対応部分(counterpart)よりも速い速度で架橋されることができる。すなわち、誘電体(例えばフィルム)を製造するために本ポリマーを使用する場合、(次の素子処理条件が、誘電体の特性を脅かすことばないように)誘電体(誘電体材料)が十分な程度に架橋されることが望まれる。架橋工程の後、誘電体を製造(調製)するために使用される溶媒(母溶媒)で処理された場合に、誘電体フィルムの厚さが約10%以上減少することがなければ、誘電体は「十分に架橋されている」と考えられる。これに加え、又はこの替わりに、架橋工程の後、架橋した誘電体フィルムが母溶媒と接触した時に、漏えい電流が2MV/cmで、約5倍以上増加することがなければ、誘電体は、「十分に架橋された」と考えることができる。所定の実施の形態では、C6−結合したクマリン部分を有するポリマーを、C7−結合したクマリン部分を有する対応部分と比較した場合、C6−結合したクマリン部分を有するポリマーは、C7−結合したクマリン部分を有する対応部分は、少なくとも2倍(例えば、少なくとも3倍)速く、架橋の十分な程度に達することができる。
【0071】
ある実施の形態では、本発明は、クマリン部分がペンダント基の末端部分である、クマリン含有繰り返し単位を含むことができる。これらの実施の形態では、クマリン部分上の任意の置換基が、小さな官能基、例えばF、Cl、OH、又は他の非−環式有機基、例えばR、OR、C(O)R、OC(O)R、OC(O)OR(但し、RがC1-6アルキル基である)である。
【0072】
しかしながら、ある所定の実施の形態では、本ポリマーは、クマリン部分がペンダント基の末端部分ではない、クマリン含有繰り返し単位を含むことができる。これらの実施の形態では、クマリン部分がポリマー性バックボーンに結合する態様に依存して、R1、R2、又はR3は、ペンダント基の末端部分を表すことができる。例えば、R1、R2、又はR3は、大きな官能基(例えば、6個以上の炭素原子を含む)であることができ、この官能基は、1個以上の架橋可能な基(例えば、シンナモイル基、アゾベンゼン、及これらに類似するもの)を含むことができる。
【0073】
本ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであることができる。多くの実施の形態では、本ポリマーは、1種以上の非−環式ビニルモノマーから重合されたビニルポリマーである(即ち、非−環式ビニルモノマーは得られるポリマーのバックボーンの一部を形成する環式基を含むことがなく、非−環式ビニルモノマーは、ペンダント基として環式基を含むことができる)。非−環式ビニルモノマーの例は、エテン、プロペン、ブタジエン、スチレン、ビニルフェノール(又はヒドロキシルスチレン)、ビニルクロリド、ビニルアセテート、アクリレート(例えば、メタクリレート、メチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド)、アクリロニトリル、及びこれらの誘導体を含む。ビニルポリマーは、炭素だけ(カーボンオンリー)のバックボーンを含むことができ、そして全ての繰り返し単位は、式−[CR02−CR0'2]n−(正し、各R0とR0'は、独立してH又はペンダント基である)によって表すことができる。
【0074】
ある実施の形態では、本ポリマーは、1種以上のビニルフェノールモノマー又はこれらの誘導体から誘導することができる。本ポリマーがビニルフェノール誘導体から誘導される実施の形態では、誘導体化は、重合の前又は後に発生することができる。このような誘導体化の結果、フェノール部分のヒドロキシル基の水素原子は、異なる官能基で置き換えられる。例えば、本ポリマーは、ビニルフェノールポリマー(例えば、ポリ−4−ビニルフェノール、PVP)を含むことができ、ここで、フェノールペンダント基の少なくともあるものは、ここに記載されたクマリン部分を含むように誘導される。
【0075】
ある所定の実施の形態では、本ポリマーは、ビニルフェノール又はビニルフェノール誘導体ではない、(1種以上の)追加的な繰り返し単位を含むことができる。特定の実施の形態では、本ポリマーは、ビニルフェノール及び/又はビニルフェノール誘導体、及び少なくとも1種の他のビニルモノマーのコポリマーを含むことができる。例えば、他のビニルモノマーは、アクリル性モノマー、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、及びこれらの誘導体であることができる。このような実施の形態で、クマリン部分は、ビニルフェノール繰り返し単位、又はアクリレート繰り返し単位に付く(結合する)ことができる。更に例示すると、本ポリマーは、ビニルフェノール、及び/又はビニルフェノール誘導体、及びメチルメタクリレート、及び/又はメタクリレート誘導体のコポリマー(ここで、ビニルフェノール繰り返し単位の少なくともあるものは、クマリン部分で誘導体化される)を含むことができる。しかしながら、クマリン部分は、ビニルフェノール単位の替わりに、又はこれに加えて、非−ビニルフェノール内に導入することもできる。
【0076】
ある実施の形態、例えば、C6結合したクマリン部分を有する実施の形態では、本ポリマーは、1種以上のヘテロ原子(例えば、O、N、Si)及び/又は1つ以上の環式(炭素環式、又は複素環式)の部分を有する、少なくとも1種の繰り返し単位を含むことができる(該繰り返し単位は、1個以上のヘテロ原子、及び/又は環式部分をポリマーのバックボーン中に与える)。このような実施の形態の例は、ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール)、ポリエチレンアミン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド(例えばポリマレイミド)、シロキサンポリマー、及びこれらのコポリマー(ここ記載した、1種以上の非−環式ビニルモノマーとのコポリマーを含む)、及び誘電体として使用するのに適切な他のポリマーを含む。
【0077】
本ポリマーの所定の実施の形態は、以下の式:
【0078】
【化12】
【0079】
(但し、
L及びQが、各場合において、独立して、結合基(linker group)又は共有結合であることができ;
W、W’及びW”が独立して、a)H、b)ハロゲン、c)aC1-20アルキル基、d)aC2-20アルケニル基、e)aC1-20ハロアルキル基、f)aC3-14シクロアルキル基、g)aC6-14アリール基、h)a3〜14員のシクロアルキル基、及びi)5〜14員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C1-20ハロアルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に、ハロゲン、−CN、オキソ基、aC1-6アルキル基、aC1-6ハロアルキル基、aC1-6アルコキシ基、a−C(O)−C1-6アルキル基、a−C(O)−C1-6ハロアルキル基、及びa−C(O)−C1-6アルキル基から独立して選ばれる1〜5個の置換基で置換されても良く;
R6、及びR7が、各場合において、独立して、a)H、b)ハロゲン、c)aC1-10アルキル基、及びd)aC6-14アリール基から選ばれることができ(但し、C1-10アルキル基、及びC6-14アリール基はそれぞれ、任意に1〜5個のR5基で置換されても良い);
R8、R8’、R8”、R9、及びR9’が、独立して、a)H、b)ハロゲン、c)aC1-10アルキル基、及びd)aC6-14アリール基から選ばれ(但し、C1-10アルキル基、及びC6-14アリール基はそれぞれ、任意に1〜5個のR5基で置換されても良い);
x、x’、x”、y及びy’が、独立して、実数であり、ここで、0<x≦1、0≦x’<1、0≦x”<1、0≦y<1、0≦y’<1、及びx+x’+x”+y+y’=1であり;及び
R1、R2、R3、及びb及びnが、ここに定義されたものである)
で表すことができる。
【0080】
換言すれば、上記式によって表されるポリマーは、通常、クマリン部分を含むペンダント基を含む、xの量の第1の単位(モノマーA)、及び任意に,ビニルフェノールを含む、1以上のx’の量の第2の単位(モノマーB)、ビニルフェノール誘導体を含む、x”の量の第3の単位(モノマーC)、ペンダント基L−Wを含む、yの量の第4の単位(モノマーD)、及びペンダント基L−W’を含む、y’の量の第5の単位(モノマーE)(但し、x、x’x”、y、y’、L、W及びW’がここに定義されたものである)を含む。
【0081】
ある所定の実施の形態では、本ポリマーは、そのフェノールペンダント基(すなわち、x”、y、y’=0;x+x’=1)の少なくともあるものに、架橋可能なクマリン部分を含むポリ(ビニルフェノール)であることができる。これらの実施の形態は、式:
【0082】
【化13】
【0083】
(但し、
x及びx’が独立して、実数であり、及びx+x’=1であり;及びR1、R2、R3、R6、R7、R8、R8’、Q、b及びnがここに定義されたものである)
によって表すことができる。特定の実施の形態では、実質的に全てのフェノールペンダント基が、架橋可能なクマリン部分(例えば、x’≦0.1)で誘導体化することができる。他の実施の形態では、フェノールペンダント基のある割合が、架橋可能なクマリン部分で誘導体化可能であり(例えば、0.1≦x≦0.8)、一方、残りのフェノールペンダント基が、誘導体化されずに残ることができる。ここに使用されるように、化合物または部分(moiety)の「誘導体」は、化合物又は部分の、変性(修飾;modify)された形態として理解されるべきであり、ここで、変性された形態は、化合物又は部分中の少なくとも1個の原子において、他の原子又は原子のグループで取り替えられている。誘導体化は、重合又は共重合の前又は後に行うことができる。
【0084】
ある所定の実施の形態では、フェノールペンダント基を誘導体化して、クマリン部分を含む第1の単位(モノマーA)とは異なる第3の単位(モノマーC)を得ることができる。例えば、本発明は、モノマーA及びC、及び任意にモノマーB(即ち、y及びy’が0であることができる)のコポリマーであることができる。従って、本ポリマーは、式:
【0085】
【化14】
【0086】
(但し、
x、x’及びx”が、独立して、実数であり;x+x’+x”=1;x、x”>0;0≦x’<1;及びR1、R2、R3、R6、R7、R8、R8’、R8”、Q、W”、b、及びnが、ここに定義したものである)
によって表すことができる。例えば、−O−Q−W”は、フェノール基のヒドロキシル基の誘導体であることができる。ある実施の形態では、Q及び/又はW”は、第2の(即ち、非−クマリン)架橋可能な部分を提供することができる。ある実施の形態では、Q及び/又はW”は、全体として、ポリマーに有利な特性を与えることができる、官能基を含むことができる。例えば、官能基は、溶解性を改良することを補助し、又はより一般的には、ポリマーの処理性(加工性)、及び/又はポリマーの安定性(例えば疎水性を増すことによる)を改良することを補助する。
【0087】
ある実施の形態では、本教示は、ペンダント基L−Wを含む繰り返し単位を含む、ビニルフェノールコポリマーを提供することができる。従って、本ポリマーは、式:
【0088】
【化15】
【0089】
(但し、
x、x’、x”、及びyが、独立して実数であり;x+x’+x”+y=1;x>0;y>0;0≦x’<1;0≦x”<1;及びR1、R2、R3、R6、R7、R8、R8’、R8”、R9、Q,W、W”、b及びnが、ここに定義したものである)
によって表すことができる。ある所定の実施の形態では、xは、約0.25よりも大きくでき;及びx+x’+x”は約0.5よりも大きくできる。例えば、xは、約0.6よりも大きくでき;yは、約0.2よりも大きくでき;0≦x’<0.10;及び0≦x”<0.10である。
【0090】
ある実施の形態では、本教示は、ペンダント基L−Wを含んだ繰り返し単位、及びペンダント基L−W’を含んだ繰り返し単位(但し、L−WとL−W’は異なる)を含むビニルフェノールコポリマーを提供することができる。これらの実施の形態は、式:
【0091】
【化16】
【0092】
(但し、x、x’、y及びy’が独立して、実数であり;x+x’+y+y’=1;x>0;y>0;y’>0;0≦x’<1;及びR1、R2、R3、R6、R7、R8、R8’、R9、R9’、Q,W、W’、b及びnが、ここに定義したものである)
によって表すことができる。ある所定の実施の形態では、xは約0.25よりも大きくでき;及びx+x’は約0.5よりも大きくできる。例えば、xは、約0.6よりも大きくでき;y’は、約0.2よりも大きくでき;0≦x’<0.10;及び0<y<0.10である。
【0093】
ある所定の実施の形態では、繰り返し単位
【0094】
【化17】
は、−(CH2−CH2)−、−(CHCH3−CH2)−、−(CHCl−CH2)−、−(CHOH−CH2)−、−(CHC6H5−CH2)−、−(CHOC(O)CH3−CH2)−、−(CCH3C(O)OCH3−CH2)−、及びこれらの組み合わせから選ぶことができる。ある所定の実施の形態では、上記繰り返し単位は、メチルメタクリレートであることができる。ある所定の実施の形態では、上記繰り返し単位は、ビニルアセテート−コ−ビニルアルコールであることができる。ある所定の実施の形態では、L−W’は、L−Wの誘導体であることができる(但し、L及びWは、ここに定義したものである)。
【0095】
例えば、WはOHであることができ、W’はOCH3であることができる。
【0096】
種々の実施の形態では、L及びQは、各場合において、独立して、2価のC1-20アルキル基、2価のC2-20アルケニル基、又は2価のC2-20アルキニル基から選ばれる結合基(linker group)であることがでる。ここで、これらの各基の1〜5個のメチレン基(隣接又は非隣接)は、O、S(O)k、C(O)、OSiR42、NR4、N(C(O)R4)、C(NR4)、及び2価のC6-14アリール基から独立して選ばれる官能基で置き換えられることができ、及びそれぞれのC1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、及びC6-14アリール基は、任意に、1〜5個のR5で置換されることができる(但し、kが0、1又は2であり;及びR4及びR5が、ここに定義されたものである)。
【0097】
ある実施の形態では、Lは、各場合において、独立して、共有結合、又は式:
【0098】
【化18】
【0099】
(但し、
L’が、ポリマーのバックボーンに結合され、及び−Y’−O−、−Y’−NR4−、−Y’−N(C(O)R4)−、Y’−S−、−Y’−C(O)−、−Y’−C(O)O−、−Y’OC(O)−、−Y’−NR4C(O)−、−Y’−C(O)NR4−、−Y’−Si(R4)2−、及び共有結合から選ばれることができ;
L”が、各場合において、独立して、−Y”−、−(Y”)m−O−Y”−、−Y”−NR4−Y”−、−Y”−C(NR4)−Y”−、−Y”−Si(R4)2−Y”、−O−Si(R4)2−Y”−、−O−Si(R4)2−Y”−及び共有結合から選ばれることができ;
L'''が、クマリン部分に結合し、及び−C(O)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−C(O)−Y'''−、−C(O)―Y'''―O−、−O−Y'''−C(O)−、−C(O)−NR4−、−NR4−C(O)−、−C(O)−Y'''−NR4−、−NR4−Y'''−C(O)−、−O−S(O)k、−O−Y'''−S(O)k−、及び共有結合から選ばれることができ;
ここで、L’、L”及びL'''の少なくとも1つが、共有結合ではなく;
Y’が、2価のC1-6アルキル基、2価のC2-6アルケニル基、2価のC2-6アルキニル基、2価のC6-14アリール基、及び共有結合から選ばれることができ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されることができ;
Y”が、各場合において、2価のC1-6アルキル基、2価のC2-6アルケニル基、及び2価のC6-14アリール基から選ばれることができ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されることができ;
Y'''が、2価のC1-6アルキル基、2価のC2-6アルケニル基、及び2価のC6-14アリール基から選ばれることができ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されることができ;
kが、0、1又は2であり;
mが、1、2、3、4、5又は6であり;
pが、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10であり;及び
R4及びR5がここに定義されたものである)
の結合基であることができる。
【0100】
ある所定の実施の形態では、Lは、式−L’−(L”)p−L'''−の結合基であることができる(但し、L’が、−Y’−O−、−Y’−C(O)−、−Y’−OC(O)−、−Y’−C(O)O−、及び共有結合から選ばれることができ;L”が、各場合において、独立して、−Y”−、−(Y”)m−O−、及び共有結合から選ばれることができ;L'''が、−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)−Y'''−O−、−C(O)−Y'''−NR4−、及び共有結合から選ばれることができ、ここで、L’、L”、及びL'''の少なくとも1つが共有結合ではなく;R4、Y’、Y”、Y'''及びmがここに定義したものである)。特定の実施の形態では、Lが、各場合において、独立して、−(CH2CH2O)p'−、−O−、−O−(CH2CH2O)p'−、−O−C(O)−、−O−C(O)(CH2CH2O)p'−、C(O)−O−、−C(O)−O−(CH2CH2O)p'−、−C6H4−O−(CH2CH2O)p'−、−C6H4−O−、−C6H4−O−C(O)−、−C6H4−O−C(O)(CH2CH2O)p'−、−C(O)−O−CF2CF2−O−、−(CH2CH2O)p'−C(O)−CH2−O−、−C(O)−CH2−O−、−O−C(O)−CH2−O−、−O−(CH2CH2O)p'−C(O)−CH2−O−、−O−C(O)(CH2CH2O)p'−C(O)−CH2−O−、C(O)−O−(CH2CH2O)p'−C(O)−CH2−O−、C6H4−O−CH2CH2O)p'−C(O)−CH2−O−、−C6H4−O−C(O)−CH2−O−、−C6H4−O−C(O)(CH2CH2O)p'−C(O)−CH2−O−、−C(O)−O−CF2CF2−O−C(O)−CH2−O−、−[CH2CH2Si(CH3)2]p'−、−[OSi(CH3)2]p'−、ー−Si(CH3)2−[CH2CH2Si(CH3)2]p'−、及び共有結合から選ばれることができる(但し、p’が、1、2、3又は4である)。例えば、Lは、各場合において、独立して、CH2CH2O−C(O)−CH2−O−、−OC(O)−CH2−O−、−O−CH2CH2O−C(O)−CH2−O−、−O−C(O)CH2CH2O−C(O)−CH2−O−、−C(O)−O−CH2CH2O−C(O)−CH2−O−、−C6H4−O−C(O)−CH2−O−、−C6H4−O−CH2CH2O−C(O)−CH2−O−、−C6H4−O−C(O)−CH2CH2O−C(O)−CH2−O−、及び−C(O)−O−CF2CF2−O−C(O)−CH2−O−から選ばれることができる。
【0101】
ある所定の実施の形態では、Qは、各場合において、独立して、共有結合、又は式:
【0102】
【化19】
の結合基であることができる
(但し、
L”が、それぞれの場合において、独立して、−Y”−、−(Y”)m−O−Y”、−Y”−NR4−Y”−、−Y”−C(NR4)−Y”−、Y”−Si(R4)2−Y”−、−O−Si(R4)2−Y”−、及び共有結合から選ばれ;
L'''がクマリン部分に結合し、及び−C(O)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−C(O)−Y'''−、−C(O)−Y'''−O−、−O−Y'''−C(O)−、−C(O)−NR4−、−NR4−C(O)−、−C(O)−Y'''−NR4−、−NR4−Y'''−C(O)−、−O−S(O)k−、−O−Y'''−S(O)k−、及び共有結合から選ばれ;
ここで、L”及びL'''の少なくとも1つが共有結合ではなく;
Y”が、各場合において、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
Y'''が、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
kが0、1、又は2であり;
mが、1、2、3、4、5又は6であり;
pが、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10であり;及び
R4、及びR5が、ここに定義されたものである)。
【0103】
所定の実施の形態では、Qが、各場合において、独立して、−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)−Y'''−、−C(O)−Y'''−O−、−C(O)−Y'''−NH−、及び共有結合から選ばれることができ;ここで、Y'''が、2価のC1-6アルキル基、2価のC1-6アルケニル基、及び2価のフェニル基から選ばれることができる。
【0104】
ある実施の形態では、W、W’、及びW”が、独立して、H、aC1-10アルキル基、aC2-10アルケニル基、aC1-10ハロアルキル基、フェニル基、及び5〜14員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、各C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C1-10ハロアルキニル基、フェニル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に、ハロゲン、−CN、オキソ基、aC1-6アルキル基、aC1-6ハロアルキル基、aC1-6アルコキシ基、a−C(O)−C1-6アルキル基、a−C(O)−C1-6ハロアルキル基、及びa−C(O)−C1-6アルキル基から独立して選ばれる1〜5個の置換基で置換されても良い。
【0105】
種々の実施の形態では、R1は、H、F、−CN及びCF3から選ばれることができる。所定の実施の形態では、R2は、Hであることができる。所定の実施の形態では、bは、0又は1であることができ、及びR3は、ハロゲン、OH、−CN、aC1-6アルキル基、aC1-6ハロアルキル基、及びaC1-6アルコキシル基から選ばれることができる。特定の実施の形態では、少なくともR1又はR3が、F、−CN及びCF3から選ばれる、電子求引性の基であることができる。クマリン部分上での、特定の電子吸引基、又は電子供与基での置換により、置換されていないクマリン部分を有する類似したポリマーと比べて、ポリマーの吸収範囲をシフトすることができる。
【0106】
種々の実施の形態では、R6及びR7は、各場合において、独立して、H、ハロゲン、及びaC1-6アルキル基、aC1-6ハロアルキル基から選ばれることができる。種々の実施の形態では、R8、R8’、R8”、R9及び、R9’は、独立して、H、ハロゲン、及びaC1-6アルキル基、aC1-6ハロアルキル基から選ばれることができる。
【0107】
従って、ある実施の形態では、本ポリマーは、式:
【0108】
【化20】
【0109】
例えば、
【0110】
【化21】
【0111】
(但し、L、Q、W、W’、W”、R1、R8、R8’、R8”、R9、R9’、n、x、x’、x”、y、及びy’が、ここに定義されたものである。)
によって表すことができる。所定の実施の形態では、xを約0.25よりも大きくすることができ;及びx+x’+x”を約0.5よりも大きくすることができる。例えば、xを約0.6よりも大きくすることができ;yを約0.2よりも大きくすることができ;0≦x’<0.10;及び0≦x”<0.10である。
【0112】
ある実施の形態では、本ポリマーは、式:
【0113】
【化22】
【0114】
(但し、Q、W”、R1、n、x、x’、x”、及びyが、ここに定義したものである。)
を有することができる。所定の実施の形態では、xは、約0.25よりも大きくすることができ、;及びx+x’+x”は、約0.5よりも大きくすることができる。例えば、xは、約0.5よりも大きくすることができ;yは約0.25よりも大きくすることができ;0≦x’<0.10;及び0≦x”<0.10である。
【0115】
ある実施の形態では、繰り返し単位(又はモノマーC)
【0116】
【化23】
中のQ及びW”は、それぞれ−C(O)−C2−6アルケニル結合基であることができ、そして任意に置換されたフェニル又は5〜14員のヘテロアリール基であることができる。例えば、上記繰り返し単位(モノマーC)は、式:
【0117】
【化24】
(但し、b’が、0、1、2、3、又は4であり;及びR3、R6、R7、及びR8”が、ここに定義されたものである)
を有することができる。特定の実施の形態では、モノマーCは、
【0118】
【化25】
から選ぶことができる。
【0119】
他の実施の形態では、Q及びW”は、−C(O)−C1-20アルキル基(例えば、−C(O)−CH3)であることができ、これにより、例えば以下の式:
【0120】
【化26】
【0121】
(但し、RがC1-20アルキル基である)
を有するモノマーCが得られる。これらのモノマーの1種以上は、ここに記載したように、クマリン含有繰り返し単位と共重合することができる。ポリマーの例は:
【0122】
【化27】
【0123】
(但し、Rが、C1-20アルキル基(例えばCH3)であり、及びnがここに定義されたものである)
であることができる。
【0124】
本ポリマーの例としての追加的な実施の形態は、
【0125】
【化28】
【0126】
【化29】
【0127】
(但し、nがここに定義されたものである)
を含む。
【0128】
本教示は、クマリン含有ポリマーにも関する(ここで、クマリン部分は、フェノール基以外のペンダント基に結合することができる)。いくつかの実施の形態では、クマリン部分は、特定の炭素原子を介して、このようなペンダント基に結合することができる。例えば、クマリン部分は、ポリマーの残り部分に、そのC6位置を介して共有結合することができ、即ち、クマリン部分は、クマリン−6−イル基であることができる。これらの実施の形態の例は、
【0129】
【化30】
【0130】
(但し、L、Q、R1、R2、R3、b、n、x及びyがここに定義されたものである。)
を含む。特定の実施の形態では、本ポリマーは、式:
【0131】
【化31】
【0132】
(但し、n、x、及びyが、ここに定義したものである)
を有することができる。
【0133】
上述した種々のポリマーのために、nは、3〜10000の整数であることができる。ある実施の形態では、nは、10〜10000、20〜10000、50〜10000、又は100〜10000であることができる。例えば、nは、10〜5000、10〜1000、10〜500、10〜400、10〜300、又は10〜200であることができる。所定の実施の形態では、nは8〜1000であることができる。種々の実施の形態では、本ポリマーは、分子量(Mw)が、約1000〜約5000000の範囲、例えば、約2000〜約1000000の範囲であり;又は約5000Da〜約500000Daの範囲である。
【0134】
ここに記載されたポリマーは、フォトポリマー処方物を得るために、通常の有機溶媒に対して、十分な溶解度を有することができる。通常の有機溶媒の例は、ペテロレウムエーテル;芳香族炭化水素、例えばベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1,2,3,4テトラヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼン、トルエン、アニソール、キシレン、及びメシチレン;ケトン、例えばアセトン、2−ブタノン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノン;エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、及びジオキサン;アルコール、例えばエタノール、プロパノール、及びイソプロピルアルコール;脂肪族炭化水素、例えばヘキサン、及びシクロヘキサン;エステル、例えばエチルアセテート、又はブチルアセテート;水素化された脂肪族炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロホルム、及びエチレンクロリド;及び他の非プロトン性の溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びN−メチルピロリドンを含むが、これらに限定されるものではない。ここに使用されるように、化合物は、1mLの溶媒中に少なくとも1mgの化合物が溶解可能であれば、その化合物は、溶解性であると考えられる。
【0135】
本教示のポリマーの処方物は、種々の溶液−相法内で使用することができ、該溶液−相法は、スピン被覆、印刷、ドロップキャスティング、浸漬被覆、スプレイング、及びブレード被覆を含むが、これらに限定されるものではない。スピン−被覆は、過剰な量の被覆溶液を基材上に施し、次に基材を高速で回転させ、液体を遠心力によって広げることを含む。この技術によって製造された誘電体フィルムの厚さは、スピン−コーティング速度、溶液の遠心力、及び使用する溶液に依存する。印刷は、例えば、輪転グラビア印刷プレス、フレキソ印刷プレス、パッド印刷、スクリーン印刷、又はインクジェット印刷を使用して行なうことができる。これらの印刷法で製造されるような誘電体フィルムの厚さは、溶液の濃度、溶媒の選択、及び印刷の繰り返しに依存することができる。周囲条件、例えば温度、圧力、及び湿度もフィルムの得られる厚さに影響を及ぼすことができる。使用する特定の印刷技術に依存して、印刷の品質は、処方物の流動体特性、例えばテンションエネルギー及び粘度(これらに限定されるものではない)を含む、異なるパラメーターによって影響されることができる。
【0136】
本ポリマーは、電子素子、特に薄いフィルム状のトランジスター素子中(最も好ましくは有機半導体材料に基づく薄いフィルム状のトランジスター素子)の誘電体層を製造するのに特に有用である。
【0137】
ここに開示されたポリマー処方物の有利な点の一つは、基材上に配置、沈澱させた後に、これらが架橋可能なこと、例えば光架橋可能なことである。架橋の官能性(functionality)は、密に架橋したポリマー性材料の形成を可能にする。架橋したポリマー性マトリックスは、十分に強く、素子製像造工程では通常の種々の条件、例えばパターン化、及び次の溶液−相工程、例えば形成/沈殿オーバーライイング層(例えば、ボトムベートOTFT構造中の、又はトップ−ゲートOTFT構造中の半導体層)に耐えることができる。特定の理論に結びつくことなく、架橋化学は、安定したシクロブタン部分を提供する2+2光−刺激付加環化(2+2 photo-stimulated cycloaddition)を含むことができると信じられている。架橋化学は、C−C及びC−O結合を可能にするフリーラジカル付加(free radical addition)を含むこともできる。本教示のポリマーは、硬化(cure)、例えば、紫外線、例えば約250〜500nm(例えば、約300nm〜約450nm)で露光することにより、光架橋することができる。光のより短い波長を、例えば光学フィルター、例えばpyrex(カットオフ、約300nm)で、ろ過することができる。架橋は、他の種類の放射、例えば、放射装置を使用した、荷電された粒子のイオンビーム及び電子ビームによって行うことも可能である。架橋したマトリックスを形成した後、本教示の誘電体材料は、更なるパターン化及び処理工程で処理することができ、これにより、(追加的な誘電体、半導体及び/又は伝導層を含む)追加的な層を、誘電体の上に形成することができる。
【0138】
本教示のポリマーを1種以上含む組成物(処方物)は、低い漏えい電流密度、高いブレークダウン電圧、低いヒステリシス、調整されたキャパシタンス価、均一なフィルム厚さ、溶液処理性、低温での製造性、及び/又は大気圧、空気及び湿分安定性、及び/又は種々のゲート材料、及び/又は半導体との調和性を含む(但し、これらに限られるものではない)、広い範囲の望ましい特性と特徴を示す、誘電体を製造するために使用することができる。
【0139】
本教示のポリマーは、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有することができる。例えば、本ポリマーは、100℃〜200℃の範囲のTgを有することができる。このことは有利であるが、この理由は、多くの電子素子の製造方法は、100℃以上の温度での焼きなまし(annealing)工程を含むことができ、これらの工程では、Tgが約100℃未満のポリマーは有用ではないからである。本ポリマーは、誘電定数を1.1〜5.0の範囲に有することができる。ここで、誘電定数は、この技術分野では公知の任意の手順(標準試験法ASTM D150に記載されている手順を含む)を使用して測定(決定)することができる。特定の理論に結び付くことを望むものではないが、PMMAとの共重合は、本ポリマーのための所定の特定の実施の形態(例えば、クマリン−含有ビニルフェノール誘導体繰り返し単位を有するもの)のために、より高い誘電定数をもたらすことができると信じられている。
【0140】
漏えい電流密度は、代表的には、その大きさが断面積当たりの漏えい電流であるベクトルとして定義される。ここに使用されるように、「漏えい電流」は、半導体構造、又は電流が流れるべきではない素子の断面を流れる、制御されない(寄生性の)電流、例えば、金属−オキシド−半導体(MOS)構造中のゲートオキシド(の断面)を流れる電流を示す。この技術分野の当業者にとって公知のように、誘電体の漏えい電流密度は、標準金属−絶縁体−半導体(MIS)及び/又は金属−絶縁体−金属(MIM)キャパシタ構造を誘電体を使用して作成し、次に漏えい電流を測定し、そして金属電極の面積で、測定した電流を割り算することによって決定(測定)することができる。
【0141】
本教示のポリマー及びその架橋した製造物は、標準MIS及びMIMキャパシタ構造から測定して、非常に低い漏えい電流密度を有することができる。例えば、本教示のポリマー及びその架橋した製造物は、漏えい電流密度が、約4×10-8A/cm2at2MV/cm以下、約2×10-8A/cm2atE=2MV/cm以下、約1×10-8A/cm2atE=2MV/cm以下、約8×10-9A/cm2atE=2MV/cm以下、約7×10-9A/cm2atE=2MV/cm以下、約6×10-9A/cm2atE=2MV/cm以下、約4×10-9A/cm2atE=2MV/cm以下、約2×10-9A/cm2atE=2MV/cm以下、又は約1×10-9A/cm2atE=2MV/cm以下であることができる。本教示のポリマーは、高い電圧で、低い漏えい電流密度例えば、約1×10-6A/cm2atE=4MV/cm以下、約5×10-7A/cm2atE=4MV/cm以下、約3×10-7A/cm2atE=4MV/cm以下、約1×10-7A/cm2atE=4MV/cm以下、約5×10-8A/cm2atE=4MV/cm以下、約1×10-8A/cm2atE=4MV/cm以下をも示す。
【0142】
本教示のポリマーから製造された誘電体は、非常に高いブレークダウン電圧(即ち、ブレークダウンし、及び伝導を開始する前に誘電体にかけることができる最大の電位差)に耐えることもできる。例えば、本教示の誘電体は、4MV/cm以上のブレークダウン電圧、6MV/cm以上のブレークダウン電圧、又は7MV/cm以上のブレークダウン電圧に耐えることができる。
【0143】
本教示は、更に、製造物の製品、例えば、本教示の誘電体、及び基材成分、及び/又は半導体材料を含む複合体を提供する。基材成分は、ドープしたシリコン、インジウムスズ酸化物(ITO)、ITO−被覆ガラス、ITO−被覆ポリイミド、又は他のプラスチック、アルミニウム、又は他の金属単独体、又はポリマー又は他の基材に被覆されたもの、ドープされたポリチオフェン、及びこれらに類似するものから選ぶことができるが、これに限られるものではない。複合体は、半導体成分を含むことができる。半導体成分は、種々の融合したヘテロ環、芳香族炭化水素、ポリチオフェン、融合した(fused)(ヘテロ)芳香族(例えば、ペリレンイミド、及びナフタレンイミド)、及び他のこのような有機半導体成分、又は材料(p−タイプであっても又はn−タイプであっても)、他にこの技術分野で公知の、又は有用であることが見出されたものから選ぶことができるが、これに限られるものではない。例えば、半導体成分は、U.S.Patent Nos.6,585,914、6,608,323及び6,991,749;及びU.S.特許公報Nos.2005/0176970、2006/0186401、2007/028094、2008/0021220、2008/0167435、2008/0177073、2008/0185555、2008/0185577、及び2008/0249309に記載されている1種以上の化合物、及び/又はポリマーから製造することができる。半導体成分は、無機半導体材料、例えばシリコン、ゲルマニウム、ガリウム、ヒ化物、金属酸化物、及びこれらに類似するものを含むこともできる。
【0144】
複合体は、半導体層と誘電体層の間に、中間層を含むことができる。このような中間層は、電気的に絶縁性であることが可能であり、及び種々の誘電体ポリマーから製造することができる。ある実施の形態では、ある実施の形態では、1つ以上の中間層がポリマー、例えば、フルオロポリマー(例えば、Cytop(登録商標)、Asahi Glass Co.,Wilmington,DE;及びTeflon(登録商標)AF,Dupont,Wilmington,DE)、ポリ(イソブチレン)、ポリ(ビニルフェノール−コ−メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(プロピレン)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリシアノプルラン、ポリ(ビニルフェノール)、ポリ(ビニルシクロヘキサン)、ベンゾシクロブテン−ベースのポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニリジンフルオリド)、ポリアクリロニトリル、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリビニルピロリドン、及びポリ(ペンタフルオロスチレン)等から製造されることができる。
【0145】
複合体は、1つ以上の電気接触(electrical contact)を有することができる。このような電気接触は、金属(例えば金)又は他の有機又は無機の導電性材料で製造することができ、及びソース、ドレイン、又はゲート接触として機能することができる。ここに記載した複合体の1種以上が、種々の有機的な、電子、光学、及び光電気素子、例えば有機的な、薄いフィルム状のトランジスター(OTFTs)、特定的には、有機電界効果トタンジスター(OFETs)、及びセンサー、キャパシター、単極回路、補完的な回路(例えば、インバーター回路)、及びこれらに類似するものに具体化することができる。本ポリマー及びポリマー性材料は、製品、例えば、有機発光ダイオード、光電池、又は太陽電池等の付属成分を製造するのにも使用することができる。本教示のポリマーの、このような素子(デバイス)への利用は、当業者の知識の範囲内である。
【0146】
本教示の他の局面は、誘電体を製造する方法に関する。この方法は、ここに記載された1種以上のポリマーを溶媒に溶解することにより、ポリマー組成物(処方物)を製造し、及びこの処方物を基材上に印刷し、誘電体層を形成することを含むことができる。この方法は、誘電体層を放射源(例えば紫外線光)に曝し、架橋を発生させ、これにより架橋した誘電体を形成することを含むことができる。この方法は、追加的な誘電体層を架橋した誘電体上に印刷し、複数層の誘電体を形成することを含むこともできる。
【0147】
本教示の1局面は、ここに記載した誘電体を含む誘電体層、半導体層、ゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極を含む薄いフィルム状のトランジスター素子に関する。誘電体層は、代表的には、半導体層とゲート電極の間に配置される。誘電体層は、直接的にでも、又は任意に存在する介在層、例えば保護中間層を介してでも、半導体層に結合することができる。素子の幾何学に依存して、ソース及びドレイン電極は、半導体層の上に配置することができ(トップコンタクト)、又、半導体層は、ソース及びドレイン電極の上に配置することもできる(ボロムコンタクト)。誘電体層は、ポリマー性フィルム(例えば、光架橋したポリマー性フィルム)を含むことができ、ここで、ポリマー性フィルムは、光架橋可能なペンダント基、より特定的には、式:
【0148】
【化32】
【0149】
(但し、R1、R2、及びR3が、ここに定義したものである)
のクマリン−6−イル基を含むペンダント基を有する繰り返し単位を有するポリマーを含むことができる。
【0150】
本教示の他の局面は、本教示の誘電体を含む有機電界効果トランジスターを製造するための方法に関する。本教示の誘電体は、トップ−ゲートトップ−コンタクト構造、トップ−ゲートボトム−コンタクト構造、ボトム−ゲートトップ−コンタクト構造、及びボトム−ゲートボトム−コンタクト構造を含む(但し、これらにものではない)、種々のタイプの有機電界効果トランジスターに使用することができる。図14は、OFET構造の4種の一般的なタイプを示している:(a)ボトム−ゲートトップ−コンタクト構造(14a)、(b)ボトム−ゲートボトム−コンタクト構造(14b)、(c)トップ−ゲートボトム−コンタクト構造、及び(d)トップ−ゲートトップ−コンタクト構造(d)。図14に示したように、OFETは誘電体層(8、8’、8”、及び8''')、半導体/チャンネル層(6、6’、6”、及び6''')、ゲート接触(10、10’、10”、及び10''')、基材(12、12’、12”、及び12''')、及びソースコンタクト(2、2’、2”、及び2''')、及びドレインコンタクト(4、4’、4”、及び4''')を含むことができる。
【0151】
ある実施の形態では、本方法は、ここに記載した1種以上のポリマーを含むポリマー処方物を製造し、この処方物を基材(ゲート)上に印刷して誘電体層を形成し、この誘電体層の上に半導体層を形成し、そして第1の電気接触及び第2の電気接触(ソース及びドレイン)を半導体上に形成し、トップ−コンタクトボトム−ゲート有機電界効果トランジスターを製造することを含むことができる。この方法は、誘電体層を放射線(照射:radiation)の曝し、架橋を発生させ、架橋した誘電体を形成することを含むことができる。
【0152】
ある実施の形態では、本方法は、ここに記載したポリマーを1種以上含む溶液を製造し、この溶液を基材(ゲート)上に印刷して誘電体層を形成し、第1の電気接触、及び第2の電気接触(ソース及びドレイン)を誘電体の上に形成し、そして第1と第2の電気接触と誘電体の上に半導体層を形成し(即ち、電気接触及び誘電体の間誘電体の領域をカバーする)、ボトム−コンタクトボトム−ゲート有機電界効果トランジスターを製造することを含むことができる。本方法は、誘電体層を放射線(照射線)に曝し、架橋を発生させ、架橋した誘電体を形成することを含むこともできる。
【0153】
ある実施の形態では、本方法は、第1の電気接触と第2の電気接触(ソース及びドレイン)を基材上に形成し、基材と第1及び第2の電気接触の上に半導体層を形成し(電気接触及び電気接触の間の基材の領域をカバーする)、ここに記載した1種以上のポリマーを含むポリマー処方物を製品造し、半導体層の上に処方物を印刷して誘電体を形成し、第3の電気接触(ゲート)を誘電体の上に形成し、そして第3の電気接触が第1と第2の電気接触の領域の上に存在して、ボトム−コンタクトトップゲート有機電界効果トランジスターを製造することを含むことができる。ある実施の形態では、本方法は、誘電体層を放射線に曝し、架橋を発生させ、架橋した誘電体を形成することを含むことができる。ある実施の形態では、本方法は、誘電体性ポリマー処方物を配置、沈澱させる前に、半導体層の上に中間層を形成することを含むことができる。
【0154】
ある実施の形態では、本方法は、基材上に半導体層を形成すること、半導体層の上に第1の電気接触及び第2の電気接触(ソース及びドレイン)を形成すること、ここに記載した1種以上のポリマーを含むポリマー処方物を製造すること、この処方物を、第1と第2の電気接触の上、及び第1と第2の電気接触の間の半導体の領域に印刷し、誘電体層を形成すること、及び誘電体の上に第3の電気接触(ゲート)を形成することを含む(ここで、第3の電気接触は、第1と第2の電気接触の間の領域の上に存在し、トップ−コンタクトトップ−ゲート有機電界効果トランジスターを製造する)。ある実施の形態では、本方法は、誘電体層を放射線に曝して架橋を発生させ、架橋した誘電体を形成することを含む。ある実施の形態では、本方法は、誘電体ポリマー処方物を配置、沈殿する前に、半導体層の上に中間層を形成することを含む。
【0155】
半導体層及び種々の電気接触は、この技術分野の当業者にとって公知の、種々の沈殿法で形成することができる。例えば、半導体層及び中間層は、例えば、物理的蒸着、異なる種類の印刷技術(例えば、フレキソ印刷、石版印刷、グラビア印刷、インク−ジェット、パッド印刷、等)、ドロップコーティング、浸漬被覆、ドクターブレーディング、ロールコーティング、及びスピン−コーティング等の方法(これらに限られるものではない)によって形成することができる。電気接触は、例えば(これらに限られるものではない)、熱蒸発、及び高周波又はe−ビームスパッタリング、及び直ぐ前に記載したもの、例えば、フレキソ印刷、石版印刷、グラビア印刷、インク−ジェット、パッド印刷、スクリーン印刷、ドロップキャスティング、浸漬被覆、ドクターブレーディング、ロールコーティング、及びスピンコーテキングを含む(これらに限られるものではない)種々の沈殿法等の方法によって形成することができる。
【0156】
以下の実施例では、本教示に従うポリマー及び誘電体が製造され、及びNMR、UV−Visスペクトロスコピー、示差走査熱量測定法(DSC)、AFM、及び金属−絶縁体−半導体(MIS)素子漏えい、及びインピーダンススペクトロスコピー測定によって特徴付けられ、そして特に、その誘電特性、及び種々のp−タイプ及びn−タイプの有機半導体との調和性(両立性)が実証される。有機電子素子、例えば、有機の薄いフィルム状のトランジスター(OTFTs)、特に、これらの有機の薄いフィルム状のトランジスターに基づく有機電界効果トランジスター(OFETs)も作成し、特徴付けを行った。これらのデーターを以下に示す。
【0157】
更に説明し、本教示の理解を容易にするために、以下に実施例を記載するが、本発明を限定することを意図するものではない。
【0158】
実施例1:6HOC−AcClの製造
【0159】
【化33】
【0160】
550mLのアセトン中の、25g(0.15モル)の6−ヒドロキシクマリン及び30.7g(0.22モル)のK2CO3の懸濁液に、20.5mL(30.9g、0.19モル)のエチルブロモアセテートを加えた。この混合物を16時間還流し、そして暖かい状態でろ過した。ろ液をバキュオ(vacuo)内で濃縮し、そして得られた固体を100mLのエタノールから再結晶化させ、34.8g(91%収率)の6HOC−AcOEtを黄色プリズムとして得た。
【0161】
M.P.113−114℃;1HNMR(500MHz,CDCl3):σ7.65(d,1H,J=8.5)、7.29(d,1H,J=9.5),7.17(d,1H,J=8.7)、6.95(s,1H)、6.45(d,1H,J=9.8)、4.67(s,2H)、4.30(q,2H,J=6.5)、1.32(t,3H,J=6.8)。
【0162】
97g(0.39モル)の6HOC−AcOEt、62g(1.5モル)のNaOH、1Lの1,4−ジオキサン、及び1.5Lの水を周囲温度(室温)で22時間攪拌した。この溶液を、150mLの濃縮した、水性の塩酸で、迅速に攪拌させながら(一つの部分内で)処理した。得られた懸濁液を室温にまで冷却し、そしてろ過した。このフィルターケーキを水で洗浄(5×100mL)し、そして真空下に100℃で乾燥させ、81.8g(95%収率)の6HOC−AcOHをタン粉(tan powder)として得た。
【0163】
M.P.258−261℃;1HNMR(500MHz,DMSO−d6):δ13.05(brs,1H)、8.01(d,1H,J=9.6),7.35(d,1H,J=8.9)、7.27(d,1H,J=3.9)、7.21(dd,1H,J=8.6,2.9)、6.49(d,1H,J=8.9)、4.74(s,2H)。
【0164】
81.8g(0.37モル)の6HOC−AcOH及び400mL(5.5モル)のSOCl2の混合物を、6時間還流させ、そして加熱したガラスフリットを通して、暖かい状態でろ過した。炉液を水槽内で冷却し、次に冷却器(0〜−5℃)内で1時間置いた。この懸濁液をろ過し、そしてフィルターケーキを25mLのTHFで洗浄した。この固体を空気中で乾燥させ、75g(85%収率)の6HOC−AcClをピンクのニードルとして得た。
【0165】
M.P.160−163℃;1HNMR(500MHz,DMSO−d6):δ8.02(d,1H,J=9.6)、7.35(d,1H,J=9.7),7.27(s,1H)、7.22(dd,1H,J=8.8,3.0)、6.49(d,1H,J=9.8)、4.74(s,2H)。
【0166】
実施例2:PVP0.55−co−PMMA0.45−6HOC−Acの製造
【0167】
【化34】
【0168】
3.1gのPVP0.55−co−PMMA(MW 10k、プロトンNMRからの計算に基づいて、ビニルフェノール部分モル割合55%)及び20mL中のピリジン中10mgの4−ジメチルアミノ−ピリジンの溶液に、60mLの暖かい1,4−ジオキサン中6.0g(25ミリモル)の6HOC−AcClの溶液を加えた。得られた混合物を、周囲温度(室温)で3時間攪拌し、次に150mLのメタノールで処理した。曇った上液(supernatant)をデカントし(上澄み液を移し)、及び残った残留物を20mLクロロホルム/50mLメタノールから3回、沈殿させた(各度に、上液をデカント)。残った残留物を30mLのクロロホルム内に溶解させ、そして100mLのメタノール内に直接的にろ過させた(−78℃に冷却)。沈殿物をろ過し、そしてバキュオ内で乾燥させ、6.3gのPVP0.55−co−PMMA0.45−6HOC−Acを白色の粉として得た。
【0169】
1HNMR(500MHz,CDCl3):δ7.67(brs,1H)、7.35−6.65(m,7H),6.45(brs,1H)、4.9(m,2H)、3.5−0.5(br)。
【0170】
実施例3:PVP0.80−co−PMMA0.20−6HOC−Acの製造
【0171】
【化35】
【0172】
3.0gのPVP0.80−co−PMMA0.20(MW70k)及び15mL中のピリジン中10mgの4−ジメチルアミノピリジンの溶液に、75mLの暖かい1,4−ジオキサン中7.5g(31ミリモル)の6HOC−AcClの溶液を加えた。得られた混合物を、周囲温度(室温)で3時間攪拌し、次に100mLのメタノールで処理した。上液(上澄液:supernatant)をデカントし(上澄み液を移し)、及び残った残留物を30mLのクロロホルムで処理し、そして15分間攪拌した。混合物を100mLのメタノールで処理し、そして上液をデカントした。残った残留物を20mLのシクロペンタノン/60mLのメタノールから3回沈殿させ、各度に上液をデカントした(メタノールのトレース(微量)をロートバップ(rotovap)で除去し、シクロペンタノン中への溶解を補助)。残った残留物を60mLのシクロペンタノン内に溶解させ、そして300mLのジエチルエーテル内に攪拌しながら直接的にろ過させた。沈殿物をろ過除去し、そして3×50mLのジエチルエーテルで洗浄した。このフィルターケーキを真空下に乾燥させ、5.4gのPVP0.80−co−PMMA0.20−6HOC−Acを白色の粉として得た。
【0173】
1H NMR NMR(500MHz,DMSO−d6):δ7.9(br,1H)、7.4−6.3(br,8H)、5.05(br,2H)、3.4−0.0(br)。
【0174】
実施例4a:PVP−6HC−Acの製造
【0175】
【化36】
【0176】
2.66gのポリ(4−ビニルフェノール)(MW20k)及び20mLのピリジン中10mgの4−ジメチルアミノピリジンの溶液に、80mLの暖かい1,4−ジオキサン中8.0g(33.5ミリモル)の6HOC−AcClを加えた。得られた混合物を周囲温度で3時間攪拌し、次に上液をデカントした。残った残留物を最初に、20mLのシクロペンタノンで処理し、油性の部分を溶解し、そして次に60mLのメタノールで処理した。上液(上澄液)をデカントし、そして残った残留部分を、20mLシクロペンタノン/60mLメタノールから1回、及び20mLシクロペンタノン/60mLジエチルエーテルから1回、沈澱させた。残留物を50mLのシクロペンタノン中に溶解し、そしてろ過した。炉液を20mLに濃縮し、そして70mLのジエチルエーテルで処理した。曇った上液を除去し、そして残った残留物を50mLのジエチルエーテルで処理し、及び15分間、シェイク及び/又は攪拌した。懸濁液をろ過し、そしてフィルターケーキをバキュオ内で乾燥させ、5.4g(76%収率)のPVP−6HOC−Acを白色の粉として得た。
【0177】
1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ7.81(brs,1H)、7.4−6.3(br,8H)、5.01(brs,2H)、2.0−1.0(br,3H)。
【0178】
実施例4b:PVP−6HOC−Acの製造
【0179】
【化37】
【0180】
5.63gのポリ(4−ビニルフェノール)(MW20k)(nOH=46.86ミリモル)、20mgの4−ジメチルアミノピリジン、及び30mLの水の無いDMAC中の、(1.5Eq、n=70.29ミリモル、m=7.11g、V=9.80mL)のトリエチルアミンに、50mLの水の無いDMAC中の、8.0g(1.5Eq、n=70.29、m=16.63g)のクマリン−COClを加えた。得られた混合物を周囲温度で12時間攪拌した。この後、ポリマーを、1LのMeOH中に、強く攪拌させながら滴下させて沈澱させた。懸濁液をろ過し、そしてフィルターケーキを40mLのDMAC中に再度、溶解させた。このポリマー溶液を、1Lのメタノール中に2回目に沈澱させた。この懸濁液をろ過し、そしてフィルターケーキをバキュオ内で乾燥させ、13.4g(85%収率)のPVP−6HOC−Acを白色粉として得た。
【0181】
1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ7.81(brs,1H)、7.4−6.3(br,8H)、5.01(brs,2H)、2.0−1.0(br,3H)。
【0182】
実施例5:PVP0.55-CO-PMMA0.45-7HOC-Acの製造
【0183】
【化38】
【0184】
3.0gのPVP−PMMA(MW10k、プロトンNMRからの計算に基づいて、ビニルフェノール部分モル割合55%)、及び15mL中のピリジン中の10mgの4−ジメチルアミノ−ピリジンに、25mLの暖かいTHF中の5.5g(23ミリモル)の7HOC−AcCl(Chujo,Y.;Sada,K.;Saegusa,T.,Macromolecules,23:2693−2697(1990))の溶液を加えた。混合物を、120mLのクロロホルムで処理し、そして周囲温度で1時間攪拌した。この混合物を5mLの水で処理し、そして2分間攪拌した。この混合物を100mLのメタノールに注ぎ、そして得られた懸濁液を、回転蒸発器を使用して、半分の体積に減少させた。この混合物を50mLのメタノールで処理し、そして上液をデカントした。残った残留物をクロロホルム(15mL)とピリジン(1mL)中に溶解させ、そしてメタノール(30mL)を使用して沈殿させた。上液をデカントし、そして残った残留物を、クロロホルム(15mL)/メタノール(30mL)から、3回沈澱させた(各度に上液をデカント)。残っている残留物を50mLのクロロホルム内に溶解させ、そして200mLのメタノール中に滴下させて加えた(−78℃に冷却)。沈澱物をろ過除去し、そして5.7gのPVP0.55-CO-PMMA0.45-7HOC-Acを、黄白色として得た。
【0185】
1H NMR(500MHz,CDCl3):δ7.68(br,1H)、7.44(br,1H)、7.2−6.6(br,6H)、6.29(br,1H)、4.9(br,2H)、3.5−0.5(br)。
【0186】
実施例6:PVP−7HOC−Acの製造
【0187】
【化39】
【0188】
80mLのピリジン中、10gのポリ(4−ビニルフェノール)(MW20k)及び10mgの4−ジメチルアミノピリジンの溶液に、100mLの暖かいTHF中の30g(126ミリモル)の7HOC−AcClの溶液を加えた。この混合物を周囲温度で1時間攪拌し、そして200mLのメタノールで処理した。上液をデカントし、そして残っているオイルを、シクロペンタノン(100mL)/メタノール(200mL)から、3回沈澱させた(各度に上液をデカント)。残っているオイルをシクロペンタノン(200mL)中に溶解させ、そして400mLのメタノールに滴下させて加えた(−78℃に冷却)。ろ過を使用して材料を集め、そしてバキュオ内で乾燥させ、20gのPVP−7HOC−Acを黄色の粉として得た。
【0189】
1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ7.9(brs,1H)、7.5(brs,1H)、7.2−6.1(br,7H)、5.1(brs,2H)、2.0−1.0(br,3H)。
【0190】
実施例7:(PVP−6HOC−Ac)0.80−co−(PVP−Ac)0.20の製造
【0191】
【化40】
【0192】
10mLのピリジン中、2.5gのポリ(4−ビニルフェノール)(MW20k)及び10mgの4−ジメチルアミノピリジンの溶液に、40mLの暖かい1,4−ジオキサン中4.0g(16.8ミリモル)の6HOC−AcClの溶液を加えた。得られた混合物を周囲温度で1時間攪拌し、そして次に、この混合物を2mL(20.8ミリモル)の無水酢酸で処理した。この混合物を加熱して沸騰させ、そして次に周囲温度で1時間攪拌した。この混合物を100mLのメタノールで処理し、そして上液をデカントした。残っている残留物を、最初に10mLのシクロペンタノンで処理し、油性の部分を溶解させ、そして次に50mLのメタノールで処理した。上液をデカントし、そして残っている残留物を30mLシクロペンタノン/100mLメタノールから2回、沈澱させた(各度に上液をデカントした)。残っている残留物を30mLのシクロペンタノンに溶解し、そしてフィルターケーキをバキョ内で乾燥させ、3.2gの(PVP−6HOC−Ac)0.80−co−(PVP−Ac)0.20を、灰色がかった白色の粉として得た。
【0193】
1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ8.0−6.2(br)、5.05(br)、2.25−1.0(br)。
【0194】
実施例8:4−ビニルフェニル2−(クマリン−6−イルオキシ)アセテート(VP−6HOC−Ac)の製造
【0195】
【化41】
【0196】
10mLのシクロペンタノン中の1.0g(4.2ミリモル)の6HOC−AcCl(実施例1)に、1mLのピリジン中の0.50g(4.2ミリモル)の4−ヒドロキシスチレン及び5mgの4−ジメチルアミノピリジンを加えた(この間、水槽内で冷却)。この混合物を周囲温度で1時間攪拌し、そして次に0.2mLの水で処理し、そして2分間攪拌した。この混合物を80mLのメタノールで処理し、そしてろ過した。フイルターケーキをメタノール(2×10mL)で洗浄し、そして真空下に乾燥させた。得られた粉をクロロホム内に溶解させ、そしてシリカゲルのショートパッド(short pad)に通した。ろ液をバキュオ内で濃縮し、そして得られた固体を、100mLのエタノールから再結晶化させ、0.6g(45%収率)のVP−6HOC−Acを無色のニードルとして得た。
【0197】
1H NMR(500MHz,CDCl3):δ7.67(d,1H,J=10Hz)、7.45−7.04(m,6H)、6.71(dd,1H,J=18,11Hz)、6.47(d,1H,J=10Hz)、5.74(d,1H,J=18Hz)、5.28(d,1H,J=11Hz)、4.93(s,2H)。
【0198】
実施例9:VP−6HOC−Acの重合
【0199】
【化42】
【0200】
a)暗いフラスコ内で、5g(15.2ミリモル)のVP−6HOC−Ac(実施例8)を、25mlの乾燥ジメチルアセトアミド(DMAC)内に、不活性雰囲気下で溶解させた。50mg(0.3ミリモル)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加えた後、反応混合物を60℃に加熱し、そしてこの温度で、暗所内で、15時間攪拌した。そして、混合物を室温にまで冷却し、そしてCHCl3/MeOH(50/50)内で沈澱させた。
【0201】
ジメチルホルムアルデヒド(DMF)中への再溶解、CHCl3中での沈澱、及び少量のMeOHでの処理で、白色粉としての生成物を得た。収量:3.6g(72%)。Mn=2,790g/モル;Mw=25,100g/モル;Mw/Mn=9.0。
【0202】
b)暗いフラスコ内で、5g(15.2ミリモル)のVP−6HOC−Ac(実施例8)を25mlの乾燥DMAC内に、不活性雰囲気下に溶解した。50mg(0.3ミリモル)のAIBNを加えた後、反応混合物を70℃に加熱し、そしてこの温度で、暗所で、15時間攪拌した。そして、この混合物を室温に冷却し、そしてCHCl3/MeOH(50/50)内で沈澱させた。
【0203】
DMF中での再溶解、CHCl3中での沈澱、及び少量のMeOHでの処理で、生成物を白色粉として生成した。収量:3.6g(72%)。Mn=3,640g/モル;Mw=76,000g/モル;Mw/Mn=20.9。
【0204】
c)暗いフラスコ内で、5g(15.2ミリモル)のVP−6HOC−Ac(実施例8)を25mlの乾燥DMFに、不活性雰囲気下に溶解させた。50mg(0.3ミリモル)のAIBNを加えた後、この反応混合物を60℃に加熱し、そしてこの温度で、暗所で15時間、攪拌した。そしてこの混合物を室温にまで冷却し、そしてCHCl3/MeOH(50/50)内で沈澱させた。
【0205】
DMF中での再溶解、CHCl3中での沈澱、及び少量のMeOHでの処理で、生成物を白色粉として生成した。収量:3.5g(70%)。Mn=4,440g/モル;Mw=108,000g/モル;Mw/Mn=24.3。
【0206】
c)暗いフラスコ内で、5g(15.2ミリモル)のVP−6HOC−Ac(実施例8)を25mlの乾燥DMFに、不活性雰囲気下に溶解させた。100mg(0.6ミリモル)のAIBNを加えた後、この反応混合物を60℃に加熱し、そしてこの温度で、暗所で15時間、攪拌した。そしてこの混合物を室温にまで冷却し、そしてCHCl3/MeOH(50/50)内で沈澱させた。
【0207】
DMF中での再溶解、CHCl3中での沈澱、及び少量のMeOHでの処理で、生成物を白色粉として生成した。収量:3.5g(70%)。Mn=4,810g/モル;Mw=180,000g/モル;Mw/Mn=37.5。
【0208】
実施例10:光架橋の前及び後のフォトポリマー材料の溶解度
本教示の多くのフォトポリマーは、通常の有機溶媒(これらの有機溶媒は、テトラヒドフラン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ジオキサン、クロロホルム、エチルアセテート、アセトン、トルエン、ジクロロベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、シクロペンタノン及びシクロヘキサノンを含むが、これらに限られるものではない)に対して溶解性である。実施例2〜7及び9からのフォトポリマーは、例えば、通常の有機溶媒に対して卓越した溶解度を有している。例えば、実施例2からのPVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acは、シクロペンタノンに、加熱することなく溶解して、350mg/Lの濃度を得ることができる。このような溶液は、グラビア印刷に使用するのに十分に粘(着)性である。
【0209】
印刷又は他の溶液−相沈澱工程の後、本教示のフォトポリマーを、紫外線に曝すことによって(例えば、400WUVオーブン内で0.5〜5分間処理することによって)硬化させることができ、これにより、本教示のフォトポリマーが(光架橋の前では、最初は溶解性であった)有機溶媒に対して不溶性になる。硬化した誘電体フィルムは、比較的厳しい工程に耐えることができる程、十分に強い。例えば、光架橋した誘電体フィルムを、シクロペンタノンに1〜5分間浸した場合、この後の、その厚さと物理的な外観が、浸漬工程の前と実質的に同じであることが見出された。本誘電体のこの特性は、これらを溶液−処理を行うボトム−ゲートOFETs(これらでは、誘電体層が、半導体層の配置、沈澱のための、溶液−処理を行う溶媒中に不溶性であることが必要とされる)にとって、魅力有る候補にする。
【0210】
実施例11:誘電体フィルムの製造
1mLのシクロペンタノンに、100〜150mgの選択したポリマーを溶解させることによって、フォトポリマーの処方物を、製造(調製)した。この処方物を汚れていないシリコン基材の上に、1000〜2000rpm(加速20)でスピンコーティングし、厚さが約350〜450nmの範囲のフィルムを得た。硬度にドープしたシリコンウエハー(Montco Silicon Tech,Inc.,Spring City,PA)を、使用する前に、有機溶媒中での高周波音処理によって洗浄した。スピンコーティング工程の後、得られた誘電体フィルムを、紫外線光を使用して放射線処理した。この放射線処理は、ブルーフィルター(Hoya Optics,San Jose,CA,カットオフ約320nm)でフィルターされた400W中間圧力水銀灯から発生した紫外線を使用して、ランプハウジングから約20cm離れた距離で行った。UV強度及びドーズ(線量)を、放射計を使用して測定(約320〜390nmの間)した。次にこのフィルムを真空オーブン内で、100℃で1〜10分間、焼きなまし(anneal)し、残留する溶媒を完全に除去した。
【0211】
架橋したフィルムを30〜60s、種々の溶媒に浸し、溶解性を試験した。表1に、誘電体フィルムを、種々の溶媒内で、実質的に不溶性にする(即ち、溶媒処理が、架橋したフィルムの厚さを、約10%を超えて減少させることがない)ために必要とされる最小限の放射線ドーズ(放射線量(J/cm2)=ランプ強度(W/cm2)*時間(s))を示す。ここで、上記溶媒は、アセトン、アニソール、クロロホルム、シクロペンタノン、ジオキサン、水、及びキシレンを含むが、これらに限定されるものではない。スピン−コーティングのために使用した溶媒ですすいだ場合、シャドーマスクを通して紫外線に曝された、スピン被覆したフォトポリマーフィルムは、シャドーマスクのパターンに対してネガティブな、鮮明なパターンを示した。
【0212】
本教示の代表的なフォトポリマーのための最小硬化ドーズ。比較の目的で、ポリ(ビニルシナメート)が含められている。
【0213】
【表1】
【0214】
この実施例で使用した水銀灯は、強度が約8mW/cm2であるので、例えば、1J/m2のドーズでは、PVP−7HOC−Acを十分に架橋するために、約2分間の架橋時間が必要とされ、一方、PVP−6HOC−Acは、0.5J/cm2のドーズ、又は約1分間の架橋時間で十分に架橋された。
【0215】
実施例12:誘電体の特徴付け
実施例4から得られた誘電体フィルムを使用して、金属−絶縁体−半導体(MIS)キャパシター構造を製造し、そして誘電体フィルムのキャパシタンス(電気容量)を測定した。MIS構造を作成するために、大きくドープしたn−タイプSi(MEMC Electronic Materials,Antimony/n−doped)を金属(該金属の上に、誘電体フィルムがスオピンコーティングされ、絶縁体層を形成する)として使用した。次に頂部Au電極(面積=1500μm×1500μm)を、フォトポリマー絶縁体の頂部の上に、<1×10-6Torrで真空沈澱させ、MISキャパシター構造を完了させた。シャドーマスクを使用して、特徴サイズが100μm×100μm〜1000μm×1000μmの範囲の、長方形−又は正方形−形状のAuパッドを沈澱させることができ、異なるサイズのMIS構造を形成した。他に記載がなければ、本実施例、及び以降の実施例における漏えい電流は、特徴サイズが200μm×200μmのAuパッドを有するキャパシター構造を使用して測定(決定)した。本教示の誘電体に基くキャパシターのJ〜Eの特徴は、Auパッドの面積から独立しているようである。
【0216】
MIS構造の電流(I)−電圧(V)応答を、高感度Keithley4200半導体特徴化システムを使用して測定した。全ての測定を、周囲の雰囲気中で行なった(相対湿度=30〜80%)。I−Vスキャンの間、電気的ノイズを最小限にするために、3軸、キャブリング及び探査システム(Signatone,Gilroy,CA)を、MIS構造の探査に使用した。Signatone3軸探査システムとKeithley4200システムを組み合わせて使用することにより、ノイズレベルを10-15Aにまで低下させ、及び10-14Aの低さの正確な電流測定を得た。測定の間、ボトム電極を装置基礎部(instrument ground)を使用して探査し、及び頂部Auパッドを、Keithleyソース計に連結された3軸プローブからのソフトチップを使用して探査した。Keithley4200プログラムによって制御されたように、3軸プローブにバイアスをかけ、及び回路を流れる電流を測定することによってI−Vスキャンを行った。スキャン速度は、5〜15s/ステップであり、これは、遅れ時間(delay time)を0.5s〜2sの範囲に設定し、及びステップ毎の測定数を10〜20の範囲に設定することによって制御した。代表的な漏えい電流密度(J)と電界(E)の関係を図1に示す。
【0217】
実施例13:フォトポリマー誘電体層及び溶液−処理されたp−タイプ半導体を有するトップ−ゲートOFETs
この実施例では、ボトム−コンタクトトップ−ゲートOFETsを本教示の誘電体(実施例2からのPVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Ac)を、誘電体層として使用して作成した。工程1.基材:ガラススライド1”×1“、厚さ0.4mm(PGO)をエタノール中で3回、高周波音処理によって洗浄し、そして次の工程の前にエタノール中で保持した。工程2.ソース及びドレイン電極:工程2からのガラス基材をCV302−FR金属蒸発器(Cooke Vacuum)上に装着した。金の電極を、溝の寸法が25×500、50×1000、及び75×1500μmのシャドーマスクを通して、0.6Å/sの蒸着速度で、最終的な厚さ300Åに蒸着させた。工程3.半導体スピンコーティング:ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(BASF)半導体を、DCB(Aldrich)中の7mg/mL溶液として製造し、そして120℃の加熱プレート上で、ポリマーが完全に溶解するまで注意深く加熱した。工程2からの基材を、N2が充填されたグローブボックスの内側のスピンコーターに搭載し、そして強い空気流で注意深く洗浄した。半導体溶液を、0.2μmPTFE注射器フィルター(Millipore)を通して基材に施し、そして1500rpmでスピンコーティングした(加速度20)。得られたフィルムを、次の工程で処理すえる前に、110℃の真空オーブン内で4時間焼いた。工程4.ゲート誘電体:シクロペンタノン中のPVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Ac溶液(120mg/mL)を1000rpm(加速度20)で2分間スピンコーティングすることによって、誘電体層を製造した。このフィルムを、UV−オーブン(Dymax)中で、320nmのフィルター(Hoya Oprics)を通して、1〜7分間硬化させた(約8mW/cm2のランプ強度)。この素子を真空オーブン内で100℃で20分間焼いた。幾つかのサンプル内で、誘電体ポリマー溶液を沈澱させる前に、内部層材料の溶液を、素子の上にスピン−コーティングし、及び得られた素子を、100℃の真空オーブン内で10分間、焼くことによって内部層を形成した。工程5.ゲート電極:ゲート電極を同じ金属蒸発器内で、300Åの最終的な厚さまで、0.6Å/sの速度で蒸着させた。4−terminal−n−FETモードのKeithley Interactive Test Enviroment softwareを有するSignatone H100シリーブプローブステーションを使用して、素子を試験した。60Vドレインバイアス、0Vソースバイアス、及びゲートバイアス(−60V〜60Vを5Vのインターバルでスイープする)を使用して、移動プロットを記録した。0〜60Vドレインバイアス(5ステップ)、及び0〜60Vゲートバイアス(10Vステップ)、(0Vでの)ソースバイアスを使用して、出力プロットを記録した。このようなトップゲート素子の出力及び移動プロット、及びSiO2誘電体の使用を、図2〜5に示す。
【0218】
実施例14:フォトポリマー誘電体層及び溶液−処理されたn−タイプ半導体を有するトップゲートOFETs
ペリレン−タイプ n−タイプ半導体、N,N’−ビス(1−メチルペンチル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)(PDI1MP−CN2)を使用し、誘電体層として本教示のフォトポリマーを有する、n−タイプOFET素子を作成した。PDI1MP−CN2を、国際公開No.WO2008/063609に記載された手順に従って合成した。処理と測定条件は、実施例10と同様であった。硬化時間を変化させ、及び幾つかのケースで制御として、PMMAを使用した。特に、320nmフィルター(Hoya Optics)を通してのUV−放射は、半導体の性能に影響を及ぼさなかった。代表的なOFET移動プロットを図6〜7に示す。
【0219】
実施例15:フォトポリマー誘電体層及び溶液−処理されたp−タイプ半導体を有するボトム−ゲート、ボトム−コンタクトPFETs
この実施例では、本教示の誘電体(実施例2からのPVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Ac)を、誘電体層として使用して、ボトム−ゲートボトムコンタクトOFETsを作成した。工程1.基材:Siウエハー(Montco)を、1”×1”ピースとして製造し、そしてTHF及びエタノールでの高周波音処理によって洗浄した。ウエハーをスピンコーターの上に搭載し、そしてメタノールを使用して2回、5000rpmですすいだ。シクロペンタノン中、PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acの100〜120mg/mL溶液を、0.22um注射フィルターを通して施し、及び1500〜2000rpmで、加速度20でスピン−コーティングした。このフィルムを、Dymax UV硬化システムに移し、及びUV放射に2〜7分間、320nmフィルター下に曝し(約8mW/cm2ランプ強度)、そして110℃で、真空オーブン内で20分間焼いた。工程2.ソース及びドレイン電極:金の電極を、最終的な厚さ300Åまで、蒸着速度0.5Å/sで蒸着させた。工程3.半導体:ポリ(3−ヘキシルチオフェン)を、ジクロロベンゼン中8mg/mL溶液から、1500rpmでスピン−コーティングした。測定の前、この素子(デバイス)を、110℃の真空オーブン内で一晩焼いた。測定を実施例10に記載したように行った。代表的なOFET移動プロットを図8に示す。
【0220】
実施例16:フォトポリマー誘電体層及び溶液−処理されたn−タイプ半導体を有するボトムーゲート、ボトム−コンタクトOFETs
この実施例では、本教示の誘電体(実施例2からのPVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Ac)を誘電体層として使用して、ボトム−ゲートボトム−コンタクトOFETsを作成した。工程1.基材:Siウエハー(Montco)を、1”×1”ピースとして製造し、そしてそしてTHF及びエタノールでの高周波音処理によって洗浄した。ウエハーを、スピンコーターに乗せ、そしてメタノールを使用して2回、5000rpmですすいだ。120mg/mLのシクロペンタノン中PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acの溶液を、0.22um注射器フィルターを通して施し、そして1100rpmで、加速度20でスピンコーティングした。フィルムをDymaxUV硬化システムに移し、そして320nmフィルターの下、UV放射線に4分間曝し(約8mW/cm2ランプ強度)、そして真空オーブン内で110℃で20分間、焼いた。工程2.ソース及びドレイン電極:金の電極を300Åの最終的な厚さにまで、0.5Å/sの蒸着速度で蒸着させた。工程3.半導体:PDI2EH−CN2半導体をジクロロベンゼン中7mg/mL溶液から、1500rpmでスピンコーティングした。測定を行なう前に、この素子を110℃の真空オーブン内で一晩焼いた。測定を、実施例10に記載したように行なった。代表的なOFET移動プロットを、図9に示した。
【0221】
実施例17:フォトポリマー誘電体層及び蒸着したペンタセン半導体を有するボトム−ゲート、トップコンタクトOFETs
ペンタセンOFETsを、シリコンゲート材料上の誘電体フィルムを使用して作成した。Siウエハー(Montco)を、1”×1”ピースとして製造し、そしてTHT及びエタノールを使用して高周波音によって洗浄した。ウエハーをスピンコーターの上に乗せ、そして5000rpmで、メタノールを使用して2回すすいだ。シクロペンタノン中、120mg/mLの本教示のポリマー溶液(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Ac及びPVP−7HOC−Ac)を、0.22um注射器フィルターを通して施し、そして1800rpmで、加速度20でスピンコーティングした。フィルムをDymaxUV硬化システムに移し、そして320nmフィルターの下、UV放射線に4分間曝し(約8mW/cm2ランプ強度)、そして真空オーブン内で110℃で20分間、焼いた。ペンタセン(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を、約2×10-6Torrで真空−蒸着させ(500Å、0.3Å/s)、この間、基材温度を約50℃〜約70℃に維持した。金(Au)電極をシャドーマスクを通して、3〜4×10-6Torrで真空蒸着させた(500Å、0.3Å/s)。チャンネル(溝)長さは、50μm、及びチャンネル幅は5000μmであった。測定を、実施例10に示したように行った。代表的なOFET移動プロットを図10〜11に示す。
【0222】
実施例10〜14に記載したフォトポリマーベースの素子のOFET性能を表2にまとめた。
【0223】
本教示の誘電体を使用して作成した素子の性能。ペンタセンが蒸着され、及びポリ(3−ヘキシルチュオフェン)及びN,N−ビス(2−エチルヘキシル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシイミド)(PDI2EH−CN2)が溶液から処理された。
【0224】
【表2】
【0225】
実施例18:メチルメタクリレートコモノマーの、本フォトポリマーの溶解度、誘電定数、及びガラス転移温度への影響
本フォトポリマーのガラス転移温度を、示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けした。図12は、本教示のPVP−6HOC−Ac誘電体(Tg=107℃)のフォトポリマーの代表的なDSCプロットを示す。メチルメタクリレート繰り返し単位のポリマーバックボーンへの導入は、溶解度を改良し、及びガラス転移温度を僅かに低下させた。例えば、PVP0.80-CO-PMMA0.20-6HOC-Acの誘電定数は、3.8で、PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acの誘電定数は、3.9であった。フォトポリマーPVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acは、クロロホルムを含む、広い範囲の種々の溶媒体に対して溶解性が良好であり、これに対して、PVP−6HOC−Acは、クロロホルム等の溶媒中への溶解度がより低いものであった。
【0226】
実施例19:架橋された誘電体フィルム上での溶媒処理の影響
フォトポリマーPVP−6HOC−Acを、シクロペンタノン中に100mg/mLで溶解させ、及びSi基材(Montco Silicon Teach,Inc.)上で1000rpmでスピンコーティングした。このフィルムを、400W中位圧力水銀灯から発生した、及びブルーフィルター(Hoya Optics,San Jose,CA,カットオフ約320nm)を通してろ過した、1.5J/cm2の紫外線で照射した。次にこのフィルムを真空オーブン内で110℃で10分間焼いた。フィルムが良好に架橋されたこと、及び溶媒に対する抵抗性をチェックするために、最初に、2個の等しいピースにカットした。半分をシクロペンタノンを使用して30秒間すすいだ。すすぎを行った後のフィルムの厚さは、約517nmであり、これに対してすすぎを行っていないものは、約525nmであった。フィルム厚さの変化が最小であるということは、溶媒処理の前、又は後の漏えい特性の影響が最小限であることに対応する。図13に示したように、溶媒のすすぎは、架橋した誘電体フィルムの漏えい特性の大きな変化を引き起こすことはなかった。
【0227】
本教示は、その観念や本質的な特徴から離れることなく他の特定の形態に具体化することができる。従って、上述した実施の形態は、全ての局面において例示したものとして考えられ、ここに記載した本教示を限定するものではない。従って本教示の範囲は、(前述の記載よりむしろ)請求の範囲に記載されたものであり、及び請求項に記載されているものと等しい意味と範囲内での全ての変化は、ここに含まれることが意図されている。
【背景技術】
【0001】
[優先権の主張]
本願は、2008年、11月24日に出願した、U.S.Provisional Patent Application Serial No.61/117404の優先権及びその利益を主張し、これによりこの文献の全てがここに導入される。
【0002】
次世代の電子素子の発達は、有機材料、柔軟性基材及び低コスト溶液処理に基づいている。大半の有機電子素子の重要な要素は、ポリマー性誘電体層で、該ポリマー性誘電体層は、電子回路の重要な構成ブロックである、薄いフィルム状のトランジスター中で、ゲート絶縁物材料として作用する。ポリマー誘電体層は、電気的に絶縁性の(即ち、誘電性の)ポリマーの溶液を、液相法、例えばスピン被覆、又は印刷によって、配置、堆積させることによって、(ボトム−ゲートトランジスター構造のための)ゲートコンタクトにも、(トップゲートトランジスター構造のための)半導体層にも形成することができる。強固な、不溶性の誘電体を製造するために、通常、架橋工程が必要になる。
【0003】
架橋した誘電体フィルムは、放射(即ち、光硬化)、化学的開始剤、又は熱的開始剤(即ち、アニーリング、焼きなまし)によって製造することができる。光硬化が有利である。この理由は、光硬化は行うのが容易であり、そして化学的開始剤や長時間にわたる加熱(これらは、フィルムの均一性を乱すものである)を回避することができるからである。現世代の光硬化性材料の制限は、十分な硬化を達成するために、高エネルギー光、例えば短波長UV光線、及び長時間にわたる露光が必要になることである。しかしながら、多くのポリマーのバックボーン及び架橋した単位が短波長のUV光を吸収することができるので、これらの光硬化性材料の使用は、誘電体フィルムの非効率的な硬化(curing)をもたらし得る。従って、(誘電体層のより速い、及び深い硬化をもたらすであろう)より長い波長で架橋することができる、ポリマー性誘電体を発達させることが有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、光硬化が可能なポリマー性誘電体組成物の技術分野では、より長い波長の紫外線で架橋することができることへの要望が有る。より一般的には、この技術分野では、(好ましくは、空気−、及び/又は水分安定性で、種々のゲート、及び/又は半導体材料と調和し、及び漏えい電流密度が低い)溶液処理可能な誘電体フィルムを得ることができるポリマー性組成物をも要望している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
上述の内容を背景に、本発明の教示は、従来技術の(上述したものを含む)種々の欠点と短所を解決する、電気的に絶縁性の(即ち誘電体の)ポリマー、ポリマーベースの誘電体組成物(例えば、処方物)及び材料(例えばフィルム)、及び関連する素子を提供する。
【0006】
ある局面では、本発明の教示は、種々のポリマー、及び誘電体を製造するために使用できるこれらのポリマーを含む複合体を提供する。他の望ましい特性の中で、本教示のポリマーは、一般的な有機溶媒に溶解性であることができるが、架橋(例えば、所定の処理性の有利さが得られる光架橋)を行った後、ある溶媒には不溶性であることが可能である。より特定的に、本教示は、そのペンダント基(又は側基)中に、(例えば、放射露光の下にポリマーを架橋することを可能とする)架橋可能な官能基、例えば光架橋可能な官能基を有するポリマーを提供する。架橋の官能価(functionality)は、密に架橋したポリマー性マトリックスの形成を許容可能とする。本教示の光ポリマー(photopolymer)、及びその架橋した生成物は、卓越した電気的な絶縁特性を有することができ、これにより、これらを誘電体として使用可能とすることができる。ある実施の形態では、光ポリマー及びその架橋した生成物は、漏えい電流密度が、(2MV/cmの電界で)約1×10-8A/cm2atMV/cm以下であることができる。
【0007】
本教示のポリマーは、クマリン含有ペンダント基を有することができ、ここで、クマリン含有ペンダント基は、式:
【0008】
【化1】
【0009】
例えば、
【0010】
【化2】
【0011】
(但し、R1、R2、R3、L及びbは、ここに定義したものである)
で表すことができる。
【0012】
ある実施の形態では、ポリマーは、ビニルフェノールモノマーに基づくホモポリマー又はコポリマーであることが可能である。例えば、本ポリマーのある実施の形態は、以下の式:
【0013】
【化3】
【0014】
(但し、x及びx’が、独立して、実数であり;x+x’=1;x>0;0≦x’<1;nが、2より大きい整数(例えば、10〜1000の範囲);及びR1、R2、R3、R6、R7、R8、R8’、Q及びbがここで定義されたものである)
によって表すことができる。ある実施の形態では、本ポリマーは、以下の式:
【0015】
【化4】
【0016】
(但し、x、x’、x”が、独立して、実数であり;x+x’+x”=1;x、x”>0;0≦x’<1;nが2よりも大きい整数(例えば、10〜1000);及びR1、R2、R3、R6、R7、R8、R8’、R8”、Q、W”及びbがここで定義されたものである。例えば、−O−Q−W”が、フェノール基のヒドロキシル基の誘導体であることができる。
【0017】
特定の実施の形態では、本ポリマーは、ペンダント基−L−W、及び任意にペンダント基−L−W’を含み、及び式:
【0018】
【化5】
【0019】
(但し、各x、x’、x”、y及びy’が、独立して実数であり;x、y>0;0≦x’<1;0≦x”<1;0≦y’<1;nが、2よりも大きい整数(例えば10〜1000の間);及びR1、R2、R3、R6、R7、R8、R8’、R8”、R9、R9’、L、Q、W、W’、W”及びbがここで定義されたものである)
を有することができるコポリマーであることができる。
【0020】
本教示はまた、ポリマー性組成物物、及び上述したポリマーを含む誘電体(dielectric material)を提供する。例えば、誘電体は、上述したポリマーから製造することができる。2層以上の誘電体の層が、連続的に互いの頂部に配置、沈澱され、少なくとも1層が、本教示のポリマーから製造されている、複数層の誘電体が提供される。本ポリマーは、種々の印刷技術を含む、種々の溶液処理を使用して、誘電体を製造するために使用することができる。
【0021】
本教示は、更に、上述した何れかの誘電体を含む、又はこれらから製造される電子素子を提供する。電子素子の例は、有機の薄いフィルム状のトランジスター(OTFTs)(例えば、有機電界効果トランジスタ(OFETs))及びキャパシタを含むが、これらに限られるものではない。誘電体成分に加え、これらの素子は、例えば、基材成分、半導体成分、及び/又は1種以上の金属性接触成分(metallic contact component)を含むことができる。ある実施の形態では、本教示は、誘電体層;半導体層;ゲート電極;ソース電極;及びドレイン電極を含む、薄いフィルム状のトランジスター素子を提供することができ、ここで、誘電体層は、半導体層及びゲート電極と結合することができ、そしてソース電極とドレイン電極は、半導体層と接触し、及び誘電体層は、ここに記載した1種以上のポリマーを含む、ポリマー性フィルム(例えば、光架橋されたポリマー性フィルム)を含むことができる。
【0022】
ポリマーを製造する方法、これらを電子素子に使用する方法、上述した誘電体(誘電体材料)、及び電子素子も提供され、これらは本教示の範囲内である。
【0023】
上述した内容、及び本教示の他の特徴、及び有利な点を、以下に図を使用して、及び請求項に基づいてより詳細に説明する。
【0024】
以下に説明する図面は、例示のみを目的としていると理解される。図面は、本教示の原理を説明するのに配置されたスケールを強調する必要なない。図面は、本教示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本教示の誘電体を使用して作成した金属−絶縁体−金属キャパシター構造の、漏えい電流密度(J)対電界(E)のプロットを示している。
【図2】図2は、本教示の誘電体(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、トップゲート構造中に作成された、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的なアウトプットプロットを示している。
【図3】図3は、本教示の誘電体(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、トップゲート構造中に作成された、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロット(transfer plot)を示している。
【図4】図4は、本教示の誘電体(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、トップゲート構造中に作成された、種々の放射ドーズで硬化された、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロットを示している。
【図5】図5は、SiO2誘電体層を有する、ボトムイゲート、トップコンタクト構造中に作成された、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)−ベースの有機電界効果トランジスターの、比較としての代表的な遷移プロット(transfer plot)を示している。
【図6】図6は、本教示の誘電体(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、トップゲート構造中に作成された、ペリレンジカルボキシイミド(PDI)−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロットを示している。
【図7】図7は、本教示の誘電体(PVP-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、トップゲート構造中に作成された、PDI−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロットを示している。
【図8】図8は、本教示の誘電体(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、ボトムゲート、ボトムコンタクト構造中に作成された、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロットを示している。
【図9】図9は、本教示の誘電体(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、ボトムゲート、ボトムコンタクト構造中に作成された、PDI−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロットを示している。
【図10】図10は、本教示の誘電体(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、ボトムゲート、トップコンタクト構造中に作成された、ペンタセン−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロットを示している。
【図11】図11は、本教示の誘電体(PVP−7HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を有する、ボトムゲート、トップコンタクト構造中に作成された、ペンタセン−ベースの有機電界効果トランジスターの代表的な遷移プロットを示している。
【図12】図12は、本教示のポリマー(PVP-6HOC-Ac)の代表的な示差走査熱量測定(DSC)を示している。
【図13】図13は、本教示の誘電体(PVP-6HOC-Acから製造された、架橋された誘電体フィルム)を組み込んだ金属−絶縁体−金属キャパシター構造の、ポスト−架橋溶媒処理の前及び後の、漏えい電流密度(J)と種々の電界(E)の関係を示している。
【図14】図14は、薄いフィルム状のトランジスターの4種の異なる構造a)ボトムゲート、トップコンタクト、b)ボトムゲート、ボトムコンタクト、c)トップゲート、ボトムコンタクト、及びd)トップゲート、トップコンタクトを示している;それぞれは、本教示の1種以上のポリマーを、特に誘電体層、又は誘電体成分として組み込むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
本教示は、架橋可能なポリマーを含む、有機誘電体、及び関連した組成物、複合体、及び/又はこのような架橋可能なポリマー及び誘電体を含む素子に関する。より特定的には、本発明は、溶液−処理が可能な(及び架橋可能な、例えば光架橋可能な)ポリマー(該ポリマーは、電気的に絶縁性の特性を示し、及びOTFTsを含む種々の有機電子素子を製造するのに使用可能な、不溶性の、強固(robust)な誘電体材料を提供するものである)を提供する。この誘電体は、空気安定性であり、及び長期にわたり自己安定性であり、及びp−タイプ及びn−タイプの有機及び無機半導体と調和し(compatible)、種々の電子素子を製造するのに魅力有る材料である。
【0027】
本願において、組成が特定の成分を有する、包含する、含む(成る)と記載されている場合、又は方法が、特定の工程を、有する、包含する、含む(成る)と記載されている場合、本教示の組成(物)は、上記組成から原則的に成り、又は成り、及び本教示の方法も、上記工程から原則的に成ると考えられる。
【0028】
本願において、要素又は成分が含められる、及び/又は上記要素又は成分のリストから選ばれる場合、要素又は成分は、上記要素又は成分の何れかのものであることができ、又は上記要素又は成分の2種以上のものから成る群から選ぶことができると理解される。更に、ここに記載された組成、装置、又は方法の要素、及び/又は特性は、(明示された又は暗示された)本教示の精神と範囲の範囲から離れることなく、種々の方法で組み合わせることができると理解されるべきである。
【0029】
「含む(include)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」又は「有している(having)」という用語の使用は、他に記載がなければ通常、境界が設定されておらず、及び限定するものでないと理解されるべきである。
【0030】
ここで単数形の使用は、他に記載がなければ複数の場合を含む(逆の場合もそうである)。更に、量的な値の前に「約」という用語を使用する場合、本教示は、他に記載がなければ特定の量的な値も含む。ここで使用されているように、他に示されておらず、予測できなければ「約」という用語は、名目的数値の±10%の変動を表す。
【0031】
工程の順序、又は所定の処理を行うための順序は、本教示が実施可能である限り、重要ではない。更に、2種以上の工程又は処理が同時に行われても良い。
【0032】
ここに使用されているように、「ポリマー」又は「ポリマー化合物」は、共有結合によって結合された複数の繰り返し単位を含む分子(例えば高分子)を意味する。ポリマーは、一般式:
【0033】
【化6】
【0034】
(但し、Mが繰り返し単位、又はモノマーであり、及びnがポリマー中のMの数である)
によって表すことができる。ポリマー又はポリマー性化合物は、1種のみの繰り返し単位を有することも可能であり、及び2種以上の異なる繰り返し単位を有することもできる。前者の場合、ポリマーは、ホモポリマーと称することができる。後者の場合、(ポリマーが、化学的に相当に異なる繰り返し単位を有する場合には、)この替わりに、「コポリマー」又は「コポリマー性化合物」という用語を使用することができる。ポリマー又はポリマー性化合物は、直鎖状が可能であり、又は枝分れしていることが可能である。枝分れしたポリマーは、樹枝状高分子、例えば樹枝状化したポリマー(dendronized polymer)、超分岐ポリマー、ブラシポリマー(ボトル−ブラシとも称される)、及びこれらに類似するものを含むことができる。他に記載がなければ、コポリマー中の繰り返し単位の集合は、ヘッド−ツウ−テール、ヘッド−ツウ−ヘッド、又はテイル−ツウ−テイルであることができる。更に、他に記載がなければ、コポリマーは、ランダムコポリマー、交互コポリマー、又はブロックコポリマーであることができる。ある実施の形態では、以下に示したものに類似した式を、繰り返し単位として使用することができ、及びこのような式は、x0%のM1、y0%のM2、z0%のM3(M2、及びM3は異なる繰り返し単位である)から成る任意の繰り返し単位を含むコポリマーを含むと解釈されるべきである:
【0035】
【化7】
【0036】
即ち、順序、及びオリエンテーション、及びM1、M2、及びM3は、特定のものを意図しているものではなく、及び式は、M1、M2、及びM3の、交互、ランダム、及びブロックコポリマーを含むことを意図している。
【0037】
ここに使用されるように、「ペンダント基」又は「側基」は、ポリマーの繰り返し単位の一部であり、及びポリマーのバックボーンに共有結合的に付加された部分(moiety)を意味する。
【0038】
ここに使用されるように、「フォトポリマー(感光性樹脂)」は、硬化することができる、例えば光(しばしば、スペクトルの紫外線領域の光、又は放射の他のタイプを使用)に曝すことによって架橋することができるポリマーを意味する。
【0039】
ここに使用されるように、「溶液−処理が可能な」は、スピンコーティング、印刷(例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、リトグラフ印刷、マス印刷、及びこれらに類似するもの)、スプレー被覆、電気スプレー被覆、ドロップ被覆、ディップ被覆、及びブレード被覆を含む、種々の溶液−相処理に使用することができるポリマー、材料、又は組成物を意味する。「溶液−処理が可能な」は、(これらが上述した処理によって処理可能である限り)ポリマー、材料、又は組成物の分散物も含む。
【0040】
ここで使用されているように、「ハロ」又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを示す。
【0041】
ここで使用されるように、「オキソ」は、二重結合した酸素(即ち、=O)を示す。
ここで使用されるように、「アルキル」は、直鎖状、又は枝分かれした、飽和した炭化水素基を示す。アルキル基の例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n−プロピル及びイソ−プロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソ−ブチルsec−ブチル、tert−ブチル)、ペンチル基(例えば、n−ペンチル、イソ−ペンチル、ネオペンチル)、ヘキシル基、及びこれに類似するものを含む。種々の実施の形態では、アルキル基は、1〜40個の炭素原子を含むことができ(即ち、C1-40アルキル基)、例えば、1〜20個の炭素原子を含むことができる(即ち、C1-20アルキル基)。ある実施の形態では、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有することができ、及び「低アルキル基」と称することができる。低アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピル、及びイソ−プロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)、及びヘキシル基を含む。ある実施の形態では、アルキル基は、ここに記載したように、置換することができる。アルキル基は、通常、他のアリキル基、アルケニル基、又はアルキニル基によって置換されない。
【0042】
ここに記載したように、「ハロアルキル」は、1個以上のハロゲン置換基を有するアルキル基を示す。種々の実施の形態で、ハロアルキル基は、1〜40個の炭素原子を有することができ(即ち、C1-40ハロアルキル基)、例えば1〜20個の炭素原子を有することができる(即ち、C1-20ハロアルキル基)。ハロアルキル基の例は、CF3、C2F5、CHF2、CH2F、CCl3、CHCl2、CH2Cl、C2Cl5、及びこれらに類似するものを含む。ペルハロアルキル基、即ち水素原子の全てがハロゲン原子に置換されたアルキル基(例えば、CF3及びC2F5)が、「ハロアルキル」の定義内に含められる。例えば、aC1-40ハロルキル基は、式−CzH2z+1-tX0t、を有することができる(但し、X0が、各場合において、F、Cl、Br又はIであり、zが、1〜40の範囲の整数であり、及びtが1〜81の範囲の整数である;但し、tは、2z+1以下である)。ペルハロアルキル基ではないハロアルキル基は、ここに記載したように置換することができる。
【0043】
ここに使用されるように、「アルコキシ」は、−O−アルキル基を示す。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシ及びイソプロポキシ)、t−ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシル基、及びこれらに類似するものを含むが、これらに限られるものではない。−O−アルキル基中のアルキル基は、ここに記載したように置換することができる。
【0044】
ここに使用されるように、「アルキルチオ」は、−S−アルキル基を示す。アルキルチオ基の例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ(例えば、n−プロピルチオ及びイソプロピルチオ)、t−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ基、及びこれらに類似するものを含むが、これらに限定されるものではない。−S−アルキル基中のアルキル基は、ここに記載したように置換することができる。
【0045】
ここに使用されるように、「アリールアルキル」は、−アルキル−アリール基を示し、ここでアリールアルキルは、定義された化学構造に、アルキル基を介して共有結合的に結合されている。アリールアルキルは、−Y−C6~14アリール基の定義内である(但し、Yはここに定義したものである)。アリールアルキルの例は、ベンジル基(−CH2−C6H5)である。アリールアルキル基は、任意に置換することができ、即ちアリール基、及び/又はアルキル基は、ここに開示したように置換することができる。
【0046】
ここに使用したように、「アルケニル」は、炭素−炭素二重結合を1個以上有する、直鎖状、又は枝分れしたアルキル基を示す。アルケニル基の例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル基、及びこれらに類似するものを含む。1個以上の炭素−炭素二重結合は、内部のもの(例えば2−ブテン)、又は末端のもの(例えば、1−ブテン)であることが可能である。種々の実施の形態では、アルケニル基は、2〜40個の炭素原子を含むことができ(即ち、C2-40アルケニル基)、例えば2〜20個の炭素原子を含むことができる(即ち、C2-20アルケニル基)。ある実施の形態では、アルケニル基は、ここに記載したように置換することができる。アルケニル基は、通常、他のアルケニル基、アルキル基、又はアルキニル基で置換されない。
【0047】
ここに使用されるように、「アルキニル」は、炭素−炭素三重結合を1個以上有する、直鎖状の、又は枝分かれしたアルキル基を示す。アルキニル基の例は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、及びこれらに類似するものを含む。この1個以上の炭素−炭素三重結合は、内部のもの(例えば2−ブチン)、又は末端のもの(例えば、1−ブチン)であることが可能である。種々の実施の形態では、アルキニル基は、2〜40個の炭素原子(即ち、C2-40アルキニル基)、例えば2〜20個の炭素原子を含むことができる(即ち、C2-20アルキニル基)。ある実施の形態では、アルキニル基は、ここに記載したように置換することができる。アルキニル基は、通常、他のアルキニル基、アルキル基、又はアルケニル基で置換されない。
【0048】
ここに使用されるように、「シクロアルキル」は、アルキル、アルケニル、及びアルキニル基を含む、非芳香族炭素環式の基を示す。種々の実施の形態では、シクロアルキル基は、3〜20個の炭素原子を含むことができ、例えば3〜14個の炭素原子を含むことができる(即ち、C3-14シクロアルキニル基)。シクロアルキル基は、単環式(例えばシクロヘキシル)、又は多環式(例えば、縮合(fused)した、橋かけした、及び/又はスピロ環系)であることができ、ここで、炭素原子は、環系の内側又は外側に配置される。シクロアルキル基の適切な任意の環位置が、定義した化学構造に共有結合的に結合可能である。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、及びスピロ[4.5]デカニル基、及びその同族体、異性体、及びこれに類似するものを含む。ある実施の形態では、シクロアルキル基は、ここに記載されたように置換することができる。
【0049】
ここに使用されるように、「ヘテロ原子」は、炭素又は窒素以外の原子で、例えば窒素、酸素、シリコン、リン及びセレニウムを含む。
【0050】
ここで使用されるように、「シクロヘテロアルキル」は、O、S、Se、N、P及びSi(例えばO、S及びN)から選ばれる少なくとも1個の環ヘテロ原子を含み、及び任意に1個以上の二重又は三重結合を含む、非芳香族シクロアルキル基を示す。シクロヘテロアルキル基は、3個〜20個の環原子、例えば3〜14個の環原子(即ち、3〜14員のシクロアルキル基)を有することができる。シクロアルキル環中の1つ以上のN、P、S、又はSe原子(例えば、N又はS)が酸化されても良い(例えば、モルホリンN−オキシド、チオモリホリンS−オキシド、チオモルホリンS,S−ジオキシド)。ある実施の形態では、シクロアルキル基中の窒素、又はリン原子は、置換基、例えば水素原子、アルキル基、又はここに記載されている他の置換基を有することができる。シクロアルキル基は、1種以上のオキソ基、例えばオキソピペリジル、オキソオキサゾーリジル、ジオキソ−(1H,3H)−ピリミジル、オキソ−2(1H)−ピリジル、及びこれに類似する基を含むこともできる。シクロヘテロアルキル基の例は、特に、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、ピペラジニル、及びこれに類似するものを含む。ある実施の形態では、シクロヘテロアルキル基は、ここに記載したように置換することができる。
ここに使用されるように、「アリール」は、芳香族単環式炭化水素環系、又は多環式環系を示し、ここで多環式環系内では、2つ以上の芳香族炭化水素環が一緒に融合(fuse)(即ち、共通する結合を有する)しているか、又は少なくとも1個の芳香族単環式炭化水素環が1個以上のシクロアルキル及び/又はシクロヘテロアルキル環に融合している。アリール基は、6個〜20個の炭素原子を(複数の融合した環を含むことができる)その環系内に有することができる(例えばC6-14アリール基)。ある実施の形態では、多環式アリール基は、8個〜20個の炭素原子を有することができる。アリール基の適切な任意の環位置が定義された化学構造に共有結合することができる。芳香族1つ以上の炭素環式環のみを有するアリール基の例は、フェニル、1−ナフチル(2環式)、2−ナフチル(2環式)、アントラセニル(3環式)、フェナンスレニル(3環式)、及びこれらに類似する基を含む。少なくとも1個の芳香族炭素環式環が、1個以上のシクロアルキル及び/又はシクロヘテロアルキル環に融合している多環式環系の例は、特に、シクロペンタン(即ち、5,6−ビシクリックシクロアルキルであるインダニル基/芳香族環系)、シクロヘキサン(即ち、6,6−ビシクリックシクロアルキルであるテトラヒドロナフチル基/芳香族環系)、イミダゾリン(即ち、5,6−ビシクリックシクロヘテロアルキルであるベンズイミダゾリニル/芳香族環系)、及びピラン(即ち、6,6−ビシクリックシクロヘテロアルキルである、クロメニル基/芳香族環系)のベンゾ誘導体を含む。アリール基の他の例は、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、クロマニル、インドリニル基、及びこれらに類似するものを含む。ある実施の形態では、アリール基は、ここに記載されているように置換することができる。ある実施の形態では、アリール基は、1つ以上のハロゲン置換基を有することができ、及び「ハロアリール基」と称することができる。ペルハロアリール基、即ち全ての水素原子が、ハロゲン原子で置換されたアリール基(例えば、−C6F5)は、「ハロアリール」の定義内に含まれる。ある実施の形態では、アリール基は、他のアリール基で置換され、及びビアリール基と称することができる。ビアリール基内の各アリール基は、ここに開示したように置換することができる。
【0051】
ここに使用されるように、「ヘテロアリール」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、シリコン(Si)及びセリウム(Se)から選ばれる、少なくとも1つの環ヘテロアトムを含む芳香族単環式環系、又は多環式環系(ここで、環系内に存在する少なくとも1個の環が芳香族であり、及び少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む)を示す。多環式ヘテロアリール基は、互いに融合した(fuse)2個以上のヘテロアリール環、及び1個以上の芳香族炭素環式環、非芳香族炭素環式環、及び/又は非芳香族シクロヘテロアルキル環に融合した単環式ヘテロアリール環を含む。ヘテロアリール基は、全体として、例えば5個〜20個の環原子を有することができ、及び1〜5個の環ヘテロ原子(即ち、5員〜20員のヘテロアリール基)を含むことができる。ヘテロアリール基は、定義した化学構造に、安定した構造を得ることができる任意のヘテロ原子、又は炭素の個所で付くことができる。通常、ヘテロアリール基O−O、S−S又はS−O結合を含まない。しかしながら、ヘテロアリール基内の、1つ以上のN又はS原子が、酸化可能である(例えば、ピリジンN−オキシド、チオフェンS−オキシド、チオフェンS,S−ジオキシド)。ヘテロアリール基の例は、例えば、以下に示す、5−又は6−員の単環式、及び5〜6個の2環式環系(5-6 bicyclic ring system)である:
【0052】
【化8】
【0053】
(但し、
Tが、O、S、NH、N−アルキル、N−アリール、N−(アリールアルキル)(例えば、N−ベンジル)、SiH2、SiH(アルキル)、Si(アルキル)2、SiH(アリールアルキル)、Si(アリールアルキル)2、又はSi(アルキル)(アリールアルキル)である)。このようなヘテロアリール環の例は、ピロリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダソリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、キノリル、2−メチルキノイル、イソキノイル、キノキサリル、キナゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンズオキサゾリル、シノリニル、1H−インダゾリル、2H−インダゾリル、インドィジニル、イソベンゾフリル、ナフチリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピリダジニル、チエノチアゾリル、チエノキサゾリル、チエノイミダソリル基、及びこれらに類似するものを含む。ヘテロアリール基の更なる例は、4,5,6,7−テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリニル、ベンゾチエノピリジニル、ベンゾフロピリジニル基、及びこれらに類似するものを含む。ある実施の形態では、ヘテロアリール基は、ここに記載したように置換することができる。
【0054】
本教示のポリマーは、他の2個の部分と共有結合を形成することができる結合基(linking group)として定義された、「2価の基」を含むことができる。例えば、本教示のポリマーは、2価のC1-20アルキル基(例えば、メチレン基)、2価のC2-20アルケニル基(例えば、ビニリル基)、2価のC2-20アルキニル基(例えば、メチリニル基)、2価のC6-14アリール基(例えば、フェニリル基);2価の3〜14員のシクロヘテロアルキル基(例えばピロリジニル)、及び/又は2価の5〜14員のヘテロアリール基(例えば、チエニリル基)を含むことができる。
【0055】
本明細書の種々の個所で、化学的な基への置換基を群又は範囲で示した。ここで、この記載は、特に、このような群又は範囲の要素の、各、及びそれぞれのセブコンビネーションを含むことを意図している。例えば、「C1-6アルキル」という用語は、特に、個々に、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1−C6、C1−C5、C1−C4、C1−C3、C1−C2、C2−C6、C2−C5、C2−C4、C2−C3、C3−C6、C3−C5、C3−C4、C4−C6、C4−C5、及びC5−C6を示すことを意図している。他の例では、0〜40の範囲の整数は、特に、個々に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、及び40を示すことを意図しており、及び0〜20の範囲の整数は、特に、個々に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20を示すことを意図している。追加的な例は、「任意に1〜5個の置換基で置換された」という記載は、特に、個々に、0、1、2、3、4、5、0〜5、0〜4、0〜3、0〜2、0〜1、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、2〜5、2〜4、2〜3、3〜5、3〜4、及び4〜5個の置換基を含むことができる化学基を示すことを意図している。
【0056】
ここで使用されているように、「p−タイプ半導体材料」又は「p−タイプ半導体」は、大多数の電流媒体としてのホールを有する半導体材料を示す。ある実施の形態では、p−タイプの半導体材料が、基材上に配置、沈澱され、これは約10-5cm2/Vsを超える正孔移動度を与えることができる。電界効果素子(電界効果デバイス)の場合、p−タイプ半導体は、約10を超える電流オン/オフ割合を示すこともできる。
【0057】
ここに使用されるように、「n−タイプ半導体材料」、又は「n−タイプ半導体」は、大多数の電流媒体として電子を有する半導体材料を示す。ある実施の形態では、n−タイプ半導体が基材上に沈澱された場合、これは約10-5cm2/Vsを超える電子移動度を与えることができる。電界効果素子の場合、n−タイプ半導体は、約10を超える電流オン/オフ割合を示すこともできる。
【0058】
2種の成分が互いに結合していると記載された場合、この2成分は、直接的に接触することができ(即ち、相互に直接的に結合している)、又は2成分は、1つ以上の仲介する成分又は層を介して相互に結合することができる。
【0059】
本明細書において構造は、化学的な名称を有して存在していなくても良い。術後について疑問が有る場合には、構造が優先される(有効である)。
【0060】
ある局面では、本教示は、1種以上の架橋可能な官能基を含むポリマーを提供する。架橋基は、ポリマーのバックボーンに共有結合したペンダントを形成することができ、又はその一部であることができる。より特定的には、本教示は、クマリン含有のペンダント基を含む、1種以上の繰り返し単位を有するポリマーを提供する。クマリン部分は、重合の前、又は後に、ポリマーに導入することができ、及び任意に置換され、そして式
【0061】
【化9】
【0062】
(但し、R1、及びR2が独立して、H又は非−水素置換基であることができ、各R3が、独立して非−水素置換基であることができ、及びbが0、1、2又は3である)
によって表すことができる。
【0063】
例えば、R1、及びR2は、独立して、a)H、b)ハロゲン、c)−CN、d)−NO2、e)−OR4、f)−N(R4)2、g)−CHO、h)−C(O)R4、i)−C(O)OR4、j)−C(O)N(R4)2、k)aC1-20アルキル基、l)aC2-20アルケニル基、m)aC2-20アルキニル基、n)aC1-20アルコキシ基、o)aC1-20アルキルチオ基、p)aC1-20ハロアルキル基、q)a−Y−C3-14シクロアルキル基、r)a−Y−C6-14アリール基、s)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びt)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、(但し、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されていても良い)から選ぶことができ;
R3が、それぞれにおいて、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)−OR4、e)−N(R4)2、f)−CHO、g)−C(O)R4、h)−C(O)OR4、i)−C(O)NO(R4)2、j)aC1-20アルキル基、k)aC2-20アルケニル基、l)aC2-20アルキニル基、m)aC1-20アルコキシ基、n)aC1-20アルキルチオ基、o)aC1-20ハロアルキル基、p)a−Y−C3-14シクロアルキル基、q)a−Y−C6-14アリール基、r)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びs)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、
(但し、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されていても良い)
から選ばれることができ、
ここで:
R4が、各場合において、独立して、a)H、b)aC1-20アルキル基、c)aC2-20アルケニル基、d)aC2-20アルキニル基、e)aC1-20アルコキシ基、f)aC1-20アルキルチオ基、g)aC1-20ハロアルキル基、h)a−Y−C3-14シクロアルキル基、i)a−Y−C6-14アリール基、j)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びk)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、
(但し、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されていても良い)
から選ばれることができ;
R5が、それぞれにおいて、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)−OH、e)−O−C6-14アリール、f)−NH2、g)−NH−C1-10アルキル、h)−N(C1-10アルキル)2、i)−NH−C6-14アリール、j)−N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、k)−N(C6-14アリール)2、l)−CHO、m)−C(O)−C1-10アルキル、n)−C(O)−C6-14アリール、o)−C(O)OH、p)−C(O)−OC1-10アルキル、q)−C(O)−OC6-14アリール、r)−C(O)NH2、s)−C(O)NH−C1-10アルキル、t)−C(O)N(C1-10アルキル)2、u)−C(O)NH−C6-14アリール、v)−C(O)N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、w)−C(O)N(C6-14アリール)2、x)aC1-10アルキル基、y)aC2-10アルケニル基、z)aC2-10アルキニル基、aa)aC1-10アルコキシ基、ab)aC1-10アルキルチオ基、ac)aC1-10ハロアルキル基、ad)a−Y−C3-14シクロアルキル基、ae)a−Y−C6-14アリール基、af)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びag)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、
(但し、各C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に、ハロゲン、CN、aC1-6アルキル基、aC1-6ハロアルキル基、aC1-6アルコキシ基、a−O−C1-6ハロアルキル基、a−C(O)−C1-6アルキル基、a−C(O)−C1-6ハロアルキル基、及びa−C(O)−O−C1-6アルキル基、から独立して選ばれる1〜5個の置換基で置換されても良い)
から選ばれることができ;及び
Yが、各場合において、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、二価のC2-6アルキニル基、又は共有結合であることができる。
【0064】
ある実施の形態では、クマリン部分は、無置換であることができ、そしてこの場合、R1及びR2がHであり、及びbが0である。他の実施の形態では、クマリン部分は、1つ以上の官能基で置換されることもできる。これらの実施の形態では、R1及びR2の少なくとも1つが、非−水素置換基であることができ、及び/又は少なくとも1つのR3基が存在する。
【0065】
ある実施の形態では、架橋可能なクマリン部分は、ポリマーのバックボーンに直接的に、又は結合体(linker)(又はスペーサー)基を介して、特定の炭素原子で共有結合することができる:
【0066】
【化10】
【0067】
(但し、Lが、共有結合、又は結合体であり、R1、R2、R3、及びbが、ここに定義されたものである。例えば、架橋可能なクマリン部分は、以下に示すように、C6又はC7で、ポリマーのバックボーンに共有結合することができる:
【0068】
【化11】
【0069】
(但し、R1、R2、R3、L、及びbがここに定義されたものである)。
【0070】
種々の実施の形態において、C6結合したクマリン部分を有するポリマーは、C7結合したクマリン部分を有するその対応部分(counterpart)よりも速い速度で架橋されることができる。すなわち、誘電体(例えばフィルム)を製造するために本ポリマーを使用する場合、(次の素子処理条件が、誘電体の特性を脅かすことばないように)誘電体(誘電体材料)が十分な程度に架橋されることが望まれる。架橋工程の後、誘電体を製造(調製)するために使用される溶媒(母溶媒)で処理された場合に、誘電体フィルムの厚さが約10%以上減少することがなければ、誘電体は「十分に架橋されている」と考えられる。これに加え、又はこの替わりに、架橋工程の後、架橋した誘電体フィルムが母溶媒と接触した時に、漏えい電流が2MV/cmで、約5倍以上増加することがなければ、誘電体は、「十分に架橋された」と考えることができる。所定の実施の形態では、C6−結合したクマリン部分を有するポリマーを、C7−結合したクマリン部分を有する対応部分と比較した場合、C6−結合したクマリン部分を有するポリマーは、C7−結合したクマリン部分を有する対応部分は、少なくとも2倍(例えば、少なくとも3倍)速く、架橋の十分な程度に達することができる。
【0071】
ある実施の形態では、本発明は、クマリン部分がペンダント基の末端部分である、クマリン含有繰り返し単位を含むことができる。これらの実施の形態では、クマリン部分上の任意の置換基が、小さな官能基、例えばF、Cl、OH、又は他の非−環式有機基、例えばR、OR、C(O)R、OC(O)R、OC(O)OR(但し、RがC1-6アルキル基である)である。
【0072】
しかしながら、ある所定の実施の形態では、本ポリマーは、クマリン部分がペンダント基の末端部分ではない、クマリン含有繰り返し単位を含むことができる。これらの実施の形態では、クマリン部分がポリマー性バックボーンに結合する態様に依存して、R1、R2、又はR3は、ペンダント基の末端部分を表すことができる。例えば、R1、R2、又はR3は、大きな官能基(例えば、6個以上の炭素原子を含む)であることができ、この官能基は、1個以上の架橋可能な基(例えば、シンナモイル基、アゾベンゼン、及これらに類似するもの)を含むことができる。
【0073】
本ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであることができる。多くの実施の形態では、本ポリマーは、1種以上の非−環式ビニルモノマーから重合されたビニルポリマーである(即ち、非−環式ビニルモノマーは得られるポリマーのバックボーンの一部を形成する環式基を含むことがなく、非−環式ビニルモノマーは、ペンダント基として環式基を含むことができる)。非−環式ビニルモノマーの例は、エテン、プロペン、ブタジエン、スチレン、ビニルフェノール(又はヒドロキシルスチレン)、ビニルクロリド、ビニルアセテート、アクリレート(例えば、メタクリレート、メチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド)、アクリロニトリル、及びこれらの誘導体を含む。ビニルポリマーは、炭素だけ(カーボンオンリー)のバックボーンを含むことができ、そして全ての繰り返し単位は、式−[CR02−CR0'2]n−(正し、各R0とR0'は、独立してH又はペンダント基である)によって表すことができる。
【0074】
ある実施の形態では、本ポリマーは、1種以上のビニルフェノールモノマー又はこれらの誘導体から誘導することができる。本ポリマーがビニルフェノール誘導体から誘導される実施の形態では、誘導体化は、重合の前又は後に発生することができる。このような誘導体化の結果、フェノール部分のヒドロキシル基の水素原子は、異なる官能基で置き換えられる。例えば、本ポリマーは、ビニルフェノールポリマー(例えば、ポリ−4−ビニルフェノール、PVP)を含むことができ、ここで、フェノールペンダント基の少なくともあるものは、ここに記載されたクマリン部分を含むように誘導される。
【0075】
ある所定の実施の形態では、本ポリマーは、ビニルフェノール又はビニルフェノール誘導体ではない、(1種以上の)追加的な繰り返し単位を含むことができる。特定の実施の形態では、本ポリマーは、ビニルフェノール及び/又はビニルフェノール誘導体、及び少なくとも1種の他のビニルモノマーのコポリマーを含むことができる。例えば、他のビニルモノマーは、アクリル性モノマー、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、及びこれらの誘導体であることができる。このような実施の形態で、クマリン部分は、ビニルフェノール繰り返し単位、又はアクリレート繰り返し単位に付く(結合する)ことができる。更に例示すると、本ポリマーは、ビニルフェノール、及び/又はビニルフェノール誘導体、及びメチルメタクリレート、及び/又はメタクリレート誘導体のコポリマー(ここで、ビニルフェノール繰り返し単位の少なくともあるものは、クマリン部分で誘導体化される)を含むことができる。しかしながら、クマリン部分は、ビニルフェノール単位の替わりに、又はこれに加えて、非−ビニルフェノール内に導入することもできる。
【0076】
ある実施の形態、例えば、C6結合したクマリン部分を有する実施の形態では、本ポリマーは、1種以上のヘテロ原子(例えば、O、N、Si)及び/又は1つ以上の環式(炭素環式、又は複素環式)の部分を有する、少なくとも1種の繰り返し単位を含むことができる(該繰り返し単位は、1個以上のヘテロ原子、及び/又は環式部分をポリマーのバックボーン中に与える)。このような実施の形態の例は、ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール)、ポリエチレンアミン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド(例えばポリマレイミド)、シロキサンポリマー、及びこれらのコポリマー(ここ記載した、1種以上の非−環式ビニルモノマーとのコポリマーを含む)、及び誘電体として使用するのに適切な他のポリマーを含む。
【0077】
本ポリマーの所定の実施の形態は、以下の式:
【0078】
【化12】
【0079】
(但し、
L及びQが、各場合において、独立して、結合基(linker group)又は共有結合であることができ;
W、W’及びW”が独立して、a)H、b)ハロゲン、c)aC1-20アルキル基、d)aC2-20アルケニル基、e)aC1-20ハロアルキル基、f)aC3-14シクロアルキル基、g)aC6-14アリール基、h)a3〜14員のシクロアルキル基、及びi)5〜14員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C1-20ハロアルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に、ハロゲン、−CN、オキソ基、aC1-6アルキル基、aC1-6ハロアルキル基、aC1-6アルコキシ基、a−C(O)−C1-6アルキル基、a−C(O)−C1-6ハロアルキル基、及びa−C(O)−C1-6アルキル基から独立して選ばれる1〜5個の置換基で置換されても良く;
R6、及びR7が、各場合において、独立して、a)H、b)ハロゲン、c)aC1-10アルキル基、及びd)aC6-14アリール基から選ばれることができ(但し、C1-10アルキル基、及びC6-14アリール基はそれぞれ、任意に1〜5個のR5基で置換されても良い);
R8、R8’、R8”、R9、及びR9’が、独立して、a)H、b)ハロゲン、c)aC1-10アルキル基、及びd)aC6-14アリール基から選ばれ(但し、C1-10アルキル基、及びC6-14アリール基はそれぞれ、任意に1〜5個のR5基で置換されても良い);
x、x’、x”、y及びy’が、独立して、実数であり、ここで、0<x≦1、0≦x’<1、0≦x”<1、0≦y<1、0≦y’<1、及びx+x’+x”+y+y’=1であり;及び
R1、R2、R3、及びb及びnが、ここに定義されたものである)
で表すことができる。
【0080】
換言すれば、上記式によって表されるポリマーは、通常、クマリン部分を含むペンダント基を含む、xの量の第1の単位(モノマーA)、及び任意に,ビニルフェノールを含む、1以上のx’の量の第2の単位(モノマーB)、ビニルフェノール誘導体を含む、x”の量の第3の単位(モノマーC)、ペンダント基L−Wを含む、yの量の第4の単位(モノマーD)、及びペンダント基L−W’を含む、y’の量の第5の単位(モノマーE)(但し、x、x’x”、y、y’、L、W及びW’がここに定義されたものである)を含む。
【0081】
ある所定の実施の形態では、本ポリマーは、そのフェノールペンダント基(すなわち、x”、y、y’=0;x+x’=1)の少なくともあるものに、架橋可能なクマリン部分を含むポリ(ビニルフェノール)であることができる。これらの実施の形態は、式:
【0082】
【化13】
【0083】
(但し、
x及びx’が独立して、実数であり、及びx+x’=1であり;及びR1、R2、R3、R6、R7、R8、R8’、Q、b及びnがここに定義されたものである)
によって表すことができる。特定の実施の形態では、実質的に全てのフェノールペンダント基が、架橋可能なクマリン部分(例えば、x’≦0.1)で誘導体化することができる。他の実施の形態では、フェノールペンダント基のある割合が、架橋可能なクマリン部分で誘導体化可能であり(例えば、0.1≦x≦0.8)、一方、残りのフェノールペンダント基が、誘導体化されずに残ることができる。ここに使用されるように、化合物または部分(moiety)の「誘導体」は、化合物又は部分の、変性(修飾;modify)された形態として理解されるべきであり、ここで、変性された形態は、化合物又は部分中の少なくとも1個の原子において、他の原子又は原子のグループで取り替えられている。誘導体化は、重合又は共重合の前又は後に行うことができる。
【0084】
ある所定の実施の形態では、フェノールペンダント基を誘導体化して、クマリン部分を含む第1の単位(モノマーA)とは異なる第3の単位(モノマーC)を得ることができる。例えば、本発明は、モノマーA及びC、及び任意にモノマーB(即ち、y及びy’が0であることができる)のコポリマーであることができる。従って、本ポリマーは、式:
【0085】
【化14】
【0086】
(但し、
x、x’及びx”が、独立して、実数であり;x+x’+x”=1;x、x”>0;0≦x’<1;及びR1、R2、R3、R6、R7、R8、R8’、R8”、Q、W”、b、及びnが、ここに定義したものである)
によって表すことができる。例えば、−O−Q−W”は、フェノール基のヒドロキシル基の誘導体であることができる。ある実施の形態では、Q及び/又はW”は、第2の(即ち、非−クマリン)架橋可能な部分を提供することができる。ある実施の形態では、Q及び/又はW”は、全体として、ポリマーに有利な特性を与えることができる、官能基を含むことができる。例えば、官能基は、溶解性を改良することを補助し、又はより一般的には、ポリマーの処理性(加工性)、及び/又はポリマーの安定性(例えば疎水性を増すことによる)を改良することを補助する。
【0087】
ある実施の形態では、本教示は、ペンダント基L−Wを含む繰り返し単位を含む、ビニルフェノールコポリマーを提供することができる。従って、本ポリマーは、式:
【0088】
【化15】
【0089】
(但し、
x、x’、x”、及びyが、独立して実数であり;x+x’+x”+y=1;x>0;y>0;0≦x’<1;0≦x”<1;及びR1、R2、R3、R6、R7、R8、R8’、R8”、R9、Q,W、W”、b及びnが、ここに定義したものである)
によって表すことができる。ある所定の実施の形態では、xは、約0.25よりも大きくでき;及びx+x’+x”は約0.5よりも大きくできる。例えば、xは、約0.6よりも大きくでき;yは、約0.2よりも大きくでき;0≦x’<0.10;及び0≦x”<0.10である。
【0090】
ある実施の形態では、本教示は、ペンダント基L−Wを含んだ繰り返し単位、及びペンダント基L−W’を含んだ繰り返し単位(但し、L−WとL−W’は異なる)を含むビニルフェノールコポリマーを提供することができる。これらの実施の形態は、式:
【0091】
【化16】
【0092】
(但し、x、x’、y及びy’が独立して、実数であり;x+x’+y+y’=1;x>0;y>0;y’>0;0≦x’<1;及びR1、R2、R3、R6、R7、R8、R8’、R9、R9’、Q,W、W’、b及びnが、ここに定義したものである)
によって表すことができる。ある所定の実施の形態では、xは約0.25よりも大きくでき;及びx+x’は約0.5よりも大きくできる。例えば、xは、約0.6よりも大きくでき;y’は、約0.2よりも大きくでき;0≦x’<0.10;及び0<y<0.10である。
【0093】
ある所定の実施の形態では、繰り返し単位
【0094】
【化17】
は、−(CH2−CH2)−、−(CHCH3−CH2)−、−(CHCl−CH2)−、−(CHOH−CH2)−、−(CHC6H5−CH2)−、−(CHOC(O)CH3−CH2)−、−(CCH3C(O)OCH3−CH2)−、及びこれらの組み合わせから選ぶことができる。ある所定の実施の形態では、上記繰り返し単位は、メチルメタクリレートであることができる。ある所定の実施の形態では、上記繰り返し単位は、ビニルアセテート−コ−ビニルアルコールであることができる。ある所定の実施の形態では、L−W’は、L−Wの誘導体であることができる(但し、L及びWは、ここに定義したものである)。
【0095】
例えば、WはOHであることができ、W’はOCH3であることができる。
【0096】
種々の実施の形態では、L及びQは、各場合において、独立して、2価のC1-20アルキル基、2価のC2-20アルケニル基、又は2価のC2-20アルキニル基から選ばれる結合基(linker group)であることがでる。ここで、これらの各基の1〜5個のメチレン基(隣接又は非隣接)は、O、S(O)k、C(O)、OSiR42、NR4、N(C(O)R4)、C(NR4)、及び2価のC6-14アリール基から独立して選ばれる官能基で置き換えられることができ、及びそれぞれのC1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、及びC6-14アリール基は、任意に、1〜5個のR5で置換されることができる(但し、kが0、1又は2であり;及びR4及びR5が、ここに定義されたものである)。
【0097】
ある実施の形態では、Lは、各場合において、独立して、共有結合、又は式:
【0098】
【化18】
【0099】
(但し、
L’が、ポリマーのバックボーンに結合され、及び−Y’−O−、−Y’−NR4−、−Y’−N(C(O)R4)−、Y’−S−、−Y’−C(O)−、−Y’−C(O)O−、−Y’OC(O)−、−Y’−NR4C(O)−、−Y’−C(O)NR4−、−Y’−Si(R4)2−、及び共有結合から選ばれることができ;
L”が、各場合において、独立して、−Y”−、−(Y”)m−O−Y”−、−Y”−NR4−Y”−、−Y”−C(NR4)−Y”−、−Y”−Si(R4)2−Y”、−O−Si(R4)2−Y”−、−O−Si(R4)2−Y”−及び共有結合から選ばれることができ;
L'''が、クマリン部分に結合し、及び−C(O)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−C(O)−Y'''−、−C(O)―Y'''―O−、−O−Y'''−C(O)−、−C(O)−NR4−、−NR4−C(O)−、−C(O)−Y'''−NR4−、−NR4−Y'''−C(O)−、−O−S(O)k、−O−Y'''−S(O)k−、及び共有結合から選ばれることができ;
ここで、L’、L”及びL'''の少なくとも1つが、共有結合ではなく;
Y’が、2価のC1-6アルキル基、2価のC2-6アルケニル基、2価のC2-6アルキニル基、2価のC6-14アリール基、及び共有結合から選ばれることができ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されることができ;
Y”が、各場合において、2価のC1-6アルキル基、2価のC2-6アルケニル基、及び2価のC6-14アリール基から選ばれることができ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されることができ;
Y'''が、2価のC1-6アルキル基、2価のC2-6アルケニル基、及び2価のC6-14アリール基から選ばれることができ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されることができ;
kが、0、1又は2であり;
mが、1、2、3、4、5又は6であり;
pが、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10であり;及び
R4及びR5がここに定義されたものである)
の結合基であることができる。
【0100】
ある所定の実施の形態では、Lは、式−L’−(L”)p−L'''−の結合基であることができる(但し、L’が、−Y’−O−、−Y’−C(O)−、−Y’−OC(O)−、−Y’−C(O)O−、及び共有結合から選ばれることができ;L”が、各場合において、独立して、−Y”−、−(Y”)m−O−、及び共有結合から選ばれることができ;L'''が、−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)−Y'''−O−、−C(O)−Y'''−NR4−、及び共有結合から選ばれることができ、ここで、L’、L”、及びL'''の少なくとも1つが共有結合ではなく;R4、Y’、Y”、Y'''及びmがここに定義したものである)。特定の実施の形態では、Lが、各場合において、独立して、−(CH2CH2O)p'−、−O−、−O−(CH2CH2O)p'−、−O−C(O)−、−O−C(O)(CH2CH2O)p'−、C(O)−O−、−C(O)−O−(CH2CH2O)p'−、−C6H4−O−(CH2CH2O)p'−、−C6H4−O−、−C6H4−O−C(O)−、−C6H4−O−C(O)(CH2CH2O)p'−、−C(O)−O−CF2CF2−O−、−(CH2CH2O)p'−C(O)−CH2−O−、−C(O)−CH2−O−、−O−C(O)−CH2−O−、−O−(CH2CH2O)p'−C(O)−CH2−O−、−O−C(O)(CH2CH2O)p'−C(O)−CH2−O−、C(O)−O−(CH2CH2O)p'−C(O)−CH2−O−、C6H4−O−CH2CH2O)p'−C(O)−CH2−O−、−C6H4−O−C(O)−CH2−O−、−C6H4−O−C(O)(CH2CH2O)p'−C(O)−CH2−O−、−C(O)−O−CF2CF2−O−C(O)−CH2−O−、−[CH2CH2Si(CH3)2]p'−、−[OSi(CH3)2]p'−、ー−Si(CH3)2−[CH2CH2Si(CH3)2]p'−、及び共有結合から選ばれることができる(但し、p’が、1、2、3又は4である)。例えば、Lは、各場合において、独立して、CH2CH2O−C(O)−CH2−O−、−OC(O)−CH2−O−、−O−CH2CH2O−C(O)−CH2−O−、−O−C(O)CH2CH2O−C(O)−CH2−O−、−C(O)−O−CH2CH2O−C(O)−CH2−O−、−C6H4−O−C(O)−CH2−O−、−C6H4−O−CH2CH2O−C(O)−CH2−O−、−C6H4−O−C(O)−CH2CH2O−C(O)−CH2−O−、及び−C(O)−O−CF2CF2−O−C(O)−CH2−O−から選ばれることができる。
【0101】
ある所定の実施の形態では、Qは、各場合において、独立して、共有結合、又は式:
【0102】
【化19】
の結合基であることができる
(但し、
L”が、それぞれの場合において、独立して、−Y”−、−(Y”)m−O−Y”、−Y”−NR4−Y”−、−Y”−C(NR4)−Y”−、Y”−Si(R4)2−Y”−、−O−Si(R4)2−Y”−、及び共有結合から選ばれ;
L'''がクマリン部分に結合し、及び−C(O)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−C(O)−Y'''−、−C(O)−Y'''−O−、−O−Y'''−C(O)−、−C(O)−NR4−、−NR4−C(O)−、−C(O)−Y'''−NR4−、−NR4−Y'''−C(O)−、−O−S(O)k−、−O−Y'''−S(O)k−、及び共有結合から選ばれ;
ここで、L”及びL'''の少なくとも1つが共有結合ではなく;
Y”が、各場合において、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
Y'''が、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
kが0、1、又は2であり;
mが、1、2、3、4、5又は6であり;
pが、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10であり;及び
R4、及びR5が、ここに定義されたものである)。
【0103】
所定の実施の形態では、Qが、各場合において、独立して、−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)−Y'''−、−C(O)−Y'''−O−、−C(O)−Y'''−NH−、及び共有結合から選ばれることができ;ここで、Y'''が、2価のC1-6アルキル基、2価のC1-6アルケニル基、及び2価のフェニル基から選ばれることができる。
【0104】
ある実施の形態では、W、W’、及びW”が、独立して、H、aC1-10アルキル基、aC2-10アルケニル基、aC1-10ハロアルキル基、フェニル基、及び5〜14員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、各C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C1-10ハロアルキニル基、フェニル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に、ハロゲン、−CN、オキソ基、aC1-6アルキル基、aC1-6ハロアルキル基、aC1-6アルコキシ基、a−C(O)−C1-6アルキル基、a−C(O)−C1-6ハロアルキル基、及びa−C(O)−C1-6アルキル基から独立して選ばれる1〜5個の置換基で置換されても良い。
【0105】
種々の実施の形態では、R1は、H、F、−CN及びCF3から選ばれることができる。所定の実施の形態では、R2は、Hであることができる。所定の実施の形態では、bは、0又は1であることができ、及びR3は、ハロゲン、OH、−CN、aC1-6アルキル基、aC1-6ハロアルキル基、及びaC1-6アルコキシル基から選ばれることができる。特定の実施の形態では、少なくともR1又はR3が、F、−CN及びCF3から選ばれる、電子求引性の基であることができる。クマリン部分上での、特定の電子吸引基、又は電子供与基での置換により、置換されていないクマリン部分を有する類似したポリマーと比べて、ポリマーの吸収範囲をシフトすることができる。
【0106】
種々の実施の形態では、R6及びR7は、各場合において、独立して、H、ハロゲン、及びaC1-6アルキル基、aC1-6ハロアルキル基から選ばれることができる。種々の実施の形態では、R8、R8’、R8”、R9及び、R9’は、独立して、H、ハロゲン、及びaC1-6アルキル基、aC1-6ハロアルキル基から選ばれることができる。
【0107】
従って、ある実施の形態では、本ポリマーは、式:
【0108】
【化20】
【0109】
例えば、
【0110】
【化21】
【0111】
(但し、L、Q、W、W’、W”、R1、R8、R8’、R8”、R9、R9’、n、x、x’、x”、y、及びy’が、ここに定義されたものである。)
によって表すことができる。所定の実施の形態では、xを約0.25よりも大きくすることができ;及びx+x’+x”を約0.5よりも大きくすることができる。例えば、xを約0.6よりも大きくすることができ;yを約0.2よりも大きくすることができ;0≦x’<0.10;及び0≦x”<0.10である。
【0112】
ある実施の形態では、本ポリマーは、式:
【0113】
【化22】
【0114】
(但し、Q、W”、R1、n、x、x’、x”、及びyが、ここに定義したものである。)
を有することができる。所定の実施の形態では、xは、約0.25よりも大きくすることができ、;及びx+x’+x”は、約0.5よりも大きくすることができる。例えば、xは、約0.5よりも大きくすることができ;yは約0.25よりも大きくすることができ;0≦x’<0.10;及び0≦x”<0.10である。
【0115】
ある実施の形態では、繰り返し単位(又はモノマーC)
【0116】
【化23】
中のQ及びW”は、それぞれ−C(O)−C2−6アルケニル結合基であることができ、そして任意に置換されたフェニル又は5〜14員のヘテロアリール基であることができる。例えば、上記繰り返し単位(モノマーC)は、式:
【0117】
【化24】
(但し、b’が、0、1、2、3、又は4であり;及びR3、R6、R7、及びR8”が、ここに定義されたものである)
を有することができる。特定の実施の形態では、モノマーCは、
【0118】
【化25】
から選ぶことができる。
【0119】
他の実施の形態では、Q及びW”は、−C(O)−C1-20アルキル基(例えば、−C(O)−CH3)であることができ、これにより、例えば以下の式:
【0120】
【化26】
【0121】
(但し、RがC1-20アルキル基である)
を有するモノマーCが得られる。これらのモノマーの1種以上は、ここに記載したように、クマリン含有繰り返し単位と共重合することができる。ポリマーの例は:
【0122】
【化27】
【0123】
(但し、Rが、C1-20アルキル基(例えばCH3)であり、及びnがここに定義されたものである)
であることができる。
【0124】
本ポリマーの例としての追加的な実施の形態は、
【0125】
【化28】
【0126】
【化29】
【0127】
(但し、nがここに定義されたものである)
を含む。
【0128】
本教示は、クマリン含有ポリマーにも関する(ここで、クマリン部分は、フェノール基以外のペンダント基に結合することができる)。いくつかの実施の形態では、クマリン部分は、特定の炭素原子を介して、このようなペンダント基に結合することができる。例えば、クマリン部分は、ポリマーの残り部分に、そのC6位置を介して共有結合することができ、即ち、クマリン部分は、クマリン−6−イル基であることができる。これらの実施の形態の例は、
【0129】
【化30】
【0130】
(但し、L、Q、R1、R2、R3、b、n、x及びyがここに定義されたものである。)
を含む。特定の実施の形態では、本ポリマーは、式:
【0131】
【化31】
【0132】
(但し、n、x、及びyが、ここに定義したものである)
を有することができる。
【0133】
上述した種々のポリマーのために、nは、3〜10000の整数であることができる。ある実施の形態では、nは、10〜10000、20〜10000、50〜10000、又は100〜10000であることができる。例えば、nは、10〜5000、10〜1000、10〜500、10〜400、10〜300、又は10〜200であることができる。所定の実施の形態では、nは8〜1000であることができる。種々の実施の形態では、本ポリマーは、分子量(Mw)が、約1000〜約5000000の範囲、例えば、約2000〜約1000000の範囲であり;又は約5000Da〜約500000Daの範囲である。
【0134】
ここに記載されたポリマーは、フォトポリマー処方物を得るために、通常の有機溶媒に対して、十分な溶解度を有することができる。通常の有機溶媒の例は、ペテロレウムエーテル;芳香族炭化水素、例えばベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1,2,3,4テトラヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼン、トルエン、アニソール、キシレン、及びメシチレン;ケトン、例えばアセトン、2−ブタノン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノン;エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、及びジオキサン;アルコール、例えばエタノール、プロパノール、及びイソプロピルアルコール;脂肪族炭化水素、例えばヘキサン、及びシクロヘキサン;エステル、例えばエチルアセテート、又はブチルアセテート;水素化された脂肪族炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロホルム、及びエチレンクロリド;及び他の非プロトン性の溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びN−メチルピロリドンを含むが、これらに限定されるものではない。ここに使用されるように、化合物は、1mLの溶媒中に少なくとも1mgの化合物が溶解可能であれば、その化合物は、溶解性であると考えられる。
【0135】
本教示のポリマーの処方物は、種々の溶液−相法内で使用することができ、該溶液−相法は、スピン被覆、印刷、ドロップキャスティング、浸漬被覆、スプレイング、及びブレード被覆を含むが、これらに限定されるものではない。スピン−被覆は、過剰な量の被覆溶液を基材上に施し、次に基材を高速で回転させ、液体を遠心力によって広げることを含む。この技術によって製造された誘電体フィルムの厚さは、スピン−コーティング速度、溶液の遠心力、及び使用する溶液に依存する。印刷は、例えば、輪転グラビア印刷プレス、フレキソ印刷プレス、パッド印刷、スクリーン印刷、又はインクジェット印刷を使用して行なうことができる。これらの印刷法で製造されるような誘電体フィルムの厚さは、溶液の濃度、溶媒の選択、及び印刷の繰り返しに依存することができる。周囲条件、例えば温度、圧力、及び湿度もフィルムの得られる厚さに影響を及ぼすことができる。使用する特定の印刷技術に依存して、印刷の品質は、処方物の流動体特性、例えばテンションエネルギー及び粘度(これらに限定されるものではない)を含む、異なるパラメーターによって影響されることができる。
【0136】
本ポリマーは、電子素子、特に薄いフィルム状のトランジスター素子中(最も好ましくは有機半導体材料に基づく薄いフィルム状のトランジスター素子)の誘電体層を製造するのに特に有用である。
【0137】
ここに開示されたポリマー処方物の有利な点の一つは、基材上に配置、沈澱させた後に、これらが架橋可能なこと、例えば光架橋可能なことである。架橋の官能性(functionality)は、密に架橋したポリマー性材料の形成を可能にする。架橋したポリマー性マトリックスは、十分に強く、素子製像造工程では通常の種々の条件、例えばパターン化、及び次の溶液−相工程、例えば形成/沈殿オーバーライイング層(例えば、ボトムベートOTFT構造中の、又はトップ−ゲートOTFT構造中の半導体層)に耐えることができる。特定の理論に結びつくことなく、架橋化学は、安定したシクロブタン部分を提供する2+2光−刺激付加環化(2+2 photo-stimulated cycloaddition)を含むことができると信じられている。架橋化学は、C−C及びC−O結合を可能にするフリーラジカル付加(free radical addition)を含むこともできる。本教示のポリマーは、硬化(cure)、例えば、紫外線、例えば約250〜500nm(例えば、約300nm〜約450nm)で露光することにより、光架橋することができる。光のより短い波長を、例えば光学フィルター、例えばpyrex(カットオフ、約300nm)で、ろ過することができる。架橋は、他の種類の放射、例えば、放射装置を使用した、荷電された粒子のイオンビーム及び電子ビームによって行うことも可能である。架橋したマトリックスを形成した後、本教示の誘電体材料は、更なるパターン化及び処理工程で処理することができ、これにより、(追加的な誘電体、半導体及び/又は伝導層を含む)追加的な層を、誘電体の上に形成することができる。
【0138】
本教示のポリマーを1種以上含む組成物(処方物)は、低い漏えい電流密度、高いブレークダウン電圧、低いヒステリシス、調整されたキャパシタンス価、均一なフィルム厚さ、溶液処理性、低温での製造性、及び/又は大気圧、空気及び湿分安定性、及び/又は種々のゲート材料、及び/又は半導体との調和性を含む(但し、これらに限られるものではない)、広い範囲の望ましい特性と特徴を示す、誘電体を製造するために使用することができる。
【0139】
本教示のポリマーは、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有することができる。例えば、本ポリマーは、100℃〜200℃の範囲のTgを有することができる。このことは有利であるが、この理由は、多くの電子素子の製造方法は、100℃以上の温度での焼きなまし(annealing)工程を含むことができ、これらの工程では、Tgが約100℃未満のポリマーは有用ではないからである。本ポリマーは、誘電定数を1.1〜5.0の範囲に有することができる。ここで、誘電定数は、この技術分野では公知の任意の手順(標準試験法ASTM D150に記載されている手順を含む)を使用して測定(決定)することができる。特定の理論に結び付くことを望むものではないが、PMMAとの共重合は、本ポリマーのための所定の特定の実施の形態(例えば、クマリン−含有ビニルフェノール誘導体繰り返し単位を有するもの)のために、より高い誘電定数をもたらすことができると信じられている。
【0140】
漏えい電流密度は、代表的には、その大きさが断面積当たりの漏えい電流であるベクトルとして定義される。ここに使用されるように、「漏えい電流」は、半導体構造、又は電流が流れるべきではない素子の断面を流れる、制御されない(寄生性の)電流、例えば、金属−オキシド−半導体(MOS)構造中のゲートオキシド(の断面)を流れる電流を示す。この技術分野の当業者にとって公知のように、誘電体の漏えい電流密度は、標準金属−絶縁体−半導体(MIS)及び/又は金属−絶縁体−金属(MIM)キャパシタ構造を誘電体を使用して作成し、次に漏えい電流を測定し、そして金属電極の面積で、測定した電流を割り算することによって決定(測定)することができる。
【0141】
本教示のポリマー及びその架橋した製造物は、標準MIS及びMIMキャパシタ構造から測定して、非常に低い漏えい電流密度を有することができる。例えば、本教示のポリマー及びその架橋した製造物は、漏えい電流密度が、約4×10-8A/cm2at2MV/cm以下、約2×10-8A/cm2atE=2MV/cm以下、約1×10-8A/cm2atE=2MV/cm以下、約8×10-9A/cm2atE=2MV/cm以下、約7×10-9A/cm2atE=2MV/cm以下、約6×10-9A/cm2atE=2MV/cm以下、約4×10-9A/cm2atE=2MV/cm以下、約2×10-9A/cm2atE=2MV/cm以下、又は約1×10-9A/cm2atE=2MV/cm以下であることができる。本教示のポリマーは、高い電圧で、低い漏えい電流密度例えば、約1×10-6A/cm2atE=4MV/cm以下、約5×10-7A/cm2atE=4MV/cm以下、約3×10-7A/cm2atE=4MV/cm以下、約1×10-7A/cm2atE=4MV/cm以下、約5×10-8A/cm2atE=4MV/cm以下、約1×10-8A/cm2atE=4MV/cm以下をも示す。
【0142】
本教示のポリマーから製造された誘電体は、非常に高いブレークダウン電圧(即ち、ブレークダウンし、及び伝導を開始する前に誘電体にかけることができる最大の電位差)に耐えることもできる。例えば、本教示の誘電体は、4MV/cm以上のブレークダウン電圧、6MV/cm以上のブレークダウン電圧、又は7MV/cm以上のブレークダウン電圧に耐えることができる。
【0143】
本教示は、更に、製造物の製品、例えば、本教示の誘電体、及び基材成分、及び/又は半導体材料を含む複合体を提供する。基材成分は、ドープしたシリコン、インジウムスズ酸化物(ITO)、ITO−被覆ガラス、ITO−被覆ポリイミド、又は他のプラスチック、アルミニウム、又は他の金属単独体、又はポリマー又は他の基材に被覆されたもの、ドープされたポリチオフェン、及びこれらに類似するものから選ぶことができるが、これに限られるものではない。複合体は、半導体成分を含むことができる。半導体成分は、種々の融合したヘテロ環、芳香族炭化水素、ポリチオフェン、融合した(fused)(ヘテロ)芳香族(例えば、ペリレンイミド、及びナフタレンイミド)、及び他のこのような有機半導体成分、又は材料(p−タイプであっても又はn−タイプであっても)、他にこの技術分野で公知の、又は有用であることが見出されたものから選ぶことができるが、これに限られるものではない。例えば、半導体成分は、U.S.Patent Nos.6,585,914、6,608,323及び6,991,749;及びU.S.特許公報Nos.2005/0176970、2006/0186401、2007/028094、2008/0021220、2008/0167435、2008/0177073、2008/0185555、2008/0185577、及び2008/0249309に記載されている1種以上の化合物、及び/又はポリマーから製造することができる。半導体成分は、無機半導体材料、例えばシリコン、ゲルマニウム、ガリウム、ヒ化物、金属酸化物、及びこれらに類似するものを含むこともできる。
【0144】
複合体は、半導体層と誘電体層の間に、中間層を含むことができる。このような中間層は、電気的に絶縁性であることが可能であり、及び種々の誘電体ポリマーから製造することができる。ある実施の形態では、ある実施の形態では、1つ以上の中間層がポリマー、例えば、フルオロポリマー(例えば、Cytop(登録商標)、Asahi Glass Co.,Wilmington,DE;及びTeflon(登録商標)AF,Dupont,Wilmington,DE)、ポリ(イソブチレン)、ポリ(ビニルフェノール−コ−メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(プロピレン)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリシアノプルラン、ポリ(ビニルフェノール)、ポリ(ビニルシクロヘキサン)、ベンゾシクロブテン−ベースのポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニリジンフルオリド)、ポリアクリロニトリル、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリビニルピロリドン、及びポリ(ペンタフルオロスチレン)等から製造されることができる。
【0145】
複合体は、1つ以上の電気接触(electrical contact)を有することができる。このような電気接触は、金属(例えば金)又は他の有機又は無機の導電性材料で製造することができ、及びソース、ドレイン、又はゲート接触として機能することができる。ここに記載した複合体の1種以上が、種々の有機的な、電子、光学、及び光電気素子、例えば有機的な、薄いフィルム状のトランジスター(OTFTs)、特定的には、有機電界効果トタンジスター(OFETs)、及びセンサー、キャパシター、単極回路、補完的な回路(例えば、インバーター回路)、及びこれらに類似するものに具体化することができる。本ポリマー及びポリマー性材料は、製品、例えば、有機発光ダイオード、光電池、又は太陽電池等の付属成分を製造するのにも使用することができる。本教示のポリマーの、このような素子(デバイス)への利用は、当業者の知識の範囲内である。
【0146】
本教示の他の局面は、誘電体を製造する方法に関する。この方法は、ここに記載された1種以上のポリマーを溶媒に溶解することにより、ポリマー組成物(処方物)を製造し、及びこの処方物を基材上に印刷し、誘電体層を形成することを含むことができる。この方法は、誘電体層を放射源(例えば紫外線光)に曝し、架橋を発生させ、これにより架橋した誘電体を形成することを含むことができる。この方法は、追加的な誘電体層を架橋した誘電体上に印刷し、複数層の誘電体を形成することを含むこともできる。
【0147】
本教示の1局面は、ここに記載した誘電体を含む誘電体層、半導体層、ゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極を含む薄いフィルム状のトランジスター素子に関する。誘電体層は、代表的には、半導体層とゲート電極の間に配置される。誘電体層は、直接的にでも、又は任意に存在する介在層、例えば保護中間層を介してでも、半導体層に結合することができる。素子の幾何学に依存して、ソース及びドレイン電極は、半導体層の上に配置することができ(トップコンタクト)、又、半導体層は、ソース及びドレイン電極の上に配置することもできる(ボロムコンタクト)。誘電体層は、ポリマー性フィルム(例えば、光架橋したポリマー性フィルム)を含むことができ、ここで、ポリマー性フィルムは、光架橋可能なペンダント基、より特定的には、式:
【0148】
【化32】
【0149】
(但し、R1、R2、及びR3が、ここに定義したものである)
のクマリン−6−イル基を含むペンダント基を有する繰り返し単位を有するポリマーを含むことができる。
【0150】
本教示の他の局面は、本教示の誘電体を含む有機電界効果トランジスターを製造するための方法に関する。本教示の誘電体は、トップ−ゲートトップ−コンタクト構造、トップ−ゲートボトム−コンタクト構造、ボトム−ゲートトップ−コンタクト構造、及びボトム−ゲートボトム−コンタクト構造を含む(但し、これらにものではない)、種々のタイプの有機電界効果トランジスターに使用することができる。図14は、OFET構造の4種の一般的なタイプを示している:(a)ボトム−ゲートトップ−コンタクト構造(14a)、(b)ボトム−ゲートボトム−コンタクト構造(14b)、(c)トップ−ゲートボトム−コンタクト構造、及び(d)トップ−ゲートトップ−コンタクト構造(d)。図14に示したように、OFETは誘電体層(8、8’、8”、及び8''')、半導体/チャンネル層(6、6’、6”、及び6''')、ゲート接触(10、10’、10”、及び10''')、基材(12、12’、12”、及び12''')、及びソースコンタクト(2、2’、2”、及び2''')、及びドレインコンタクト(4、4’、4”、及び4''')を含むことができる。
【0151】
ある実施の形態では、本方法は、ここに記載した1種以上のポリマーを含むポリマー処方物を製造し、この処方物を基材(ゲート)上に印刷して誘電体層を形成し、この誘電体層の上に半導体層を形成し、そして第1の電気接触及び第2の電気接触(ソース及びドレイン)を半導体上に形成し、トップ−コンタクトボトム−ゲート有機電界効果トランジスターを製造することを含むことができる。この方法は、誘電体層を放射線(照射:radiation)の曝し、架橋を発生させ、架橋した誘電体を形成することを含むことができる。
【0152】
ある実施の形態では、本方法は、ここに記載したポリマーを1種以上含む溶液を製造し、この溶液を基材(ゲート)上に印刷して誘電体層を形成し、第1の電気接触、及び第2の電気接触(ソース及びドレイン)を誘電体の上に形成し、そして第1と第2の電気接触と誘電体の上に半導体層を形成し(即ち、電気接触及び誘電体の間誘電体の領域をカバーする)、ボトム−コンタクトボトム−ゲート有機電界効果トランジスターを製造することを含むことができる。本方法は、誘電体層を放射線(照射線)に曝し、架橋を発生させ、架橋した誘電体を形成することを含むこともできる。
【0153】
ある実施の形態では、本方法は、第1の電気接触と第2の電気接触(ソース及びドレイン)を基材上に形成し、基材と第1及び第2の電気接触の上に半導体層を形成し(電気接触及び電気接触の間の基材の領域をカバーする)、ここに記載した1種以上のポリマーを含むポリマー処方物を製品造し、半導体層の上に処方物を印刷して誘電体を形成し、第3の電気接触(ゲート)を誘電体の上に形成し、そして第3の電気接触が第1と第2の電気接触の領域の上に存在して、ボトム−コンタクトトップゲート有機電界効果トランジスターを製造することを含むことができる。ある実施の形態では、本方法は、誘電体層を放射線に曝し、架橋を発生させ、架橋した誘電体を形成することを含むことができる。ある実施の形態では、本方法は、誘電体性ポリマー処方物を配置、沈澱させる前に、半導体層の上に中間層を形成することを含むことができる。
【0154】
ある実施の形態では、本方法は、基材上に半導体層を形成すること、半導体層の上に第1の電気接触及び第2の電気接触(ソース及びドレイン)を形成すること、ここに記載した1種以上のポリマーを含むポリマー処方物を製造すること、この処方物を、第1と第2の電気接触の上、及び第1と第2の電気接触の間の半導体の領域に印刷し、誘電体層を形成すること、及び誘電体の上に第3の電気接触(ゲート)を形成することを含む(ここで、第3の電気接触は、第1と第2の電気接触の間の領域の上に存在し、トップ−コンタクトトップ−ゲート有機電界効果トランジスターを製造する)。ある実施の形態では、本方法は、誘電体層を放射線に曝して架橋を発生させ、架橋した誘電体を形成することを含む。ある実施の形態では、本方法は、誘電体ポリマー処方物を配置、沈殿する前に、半導体層の上に中間層を形成することを含む。
【0155】
半導体層及び種々の電気接触は、この技術分野の当業者にとって公知の、種々の沈殿法で形成することができる。例えば、半導体層及び中間層は、例えば、物理的蒸着、異なる種類の印刷技術(例えば、フレキソ印刷、石版印刷、グラビア印刷、インク−ジェット、パッド印刷、等)、ドロップコーティング、浸漬被覆、ドクターブレーディング、ロールコーティング、及びスピン−コーティング等の方法(これらに限られるものではない)によって形成することができる。電気接触は、例えば(これらに限られるものではない)、熱蒸発、及び高周波又はe−ビームスパッタリング、及び直ぐ前に記載したもの、例えば、フレキソ印刷、石版印刷、グラビア印刷、インク−ジェット、パッド印刷、スクリーン印刷、ドロップキャスティング、浸漬被覆、ドクターブレーディング、ロールコーティング、及びスピンコーテキングを含む(これらに限られるものではない)種々の沈殿法等の方法によって形成することができる。
【0156】
以下の実施例では、本教示に従うポリマー及び誘電体が製造され、及びNMR、UV−Visスペクトロスコピー、示差走査熱量測定法(DSC)、AFM、及び金属−絶縁体−半導体(MIS)素子漏えい、及びインピーダンススペクトロスコピー測定によって特徴付けられ、そして特に、その誘電特性、及び種々のp−タイプ及びn−タイプの有機半導体との調和性(両立性)が実証される。有機電子素子、例えば、有機の薄いフィルム状のトランジスター(OTFTs)、特に、これらの有機の薄いフィルム状のトランジスターに基づく有機電界効果トランジスター(OFETs)も作成し、特徴付けを行った。これらのデーターを以下に示す。
【0157】
更に説明し、本教示の理解を容易にするために、以下に実施例を記載するが、本発明を限定することを意図するものではない。
【0158】
実施例1:6HOC−AcClの製造
【0159】
【化33】
【0160】
550mLのアセトン中の、25g(0.15モル)の6−ヒドロキシクマリン及び30.7g(0.22モル)のK2CO3の懸濁液に、20.5mL(30.9g、0.19モル)のエチルブロモアセテートを加えた。この混合物を16時間還流し、そして暖かい状態でろ過した。ろ液をバキュオ(vacuo)内で濃縮し、そして得られた固体を100mLのエタノールから再結晶化させ、34.8g(91%収率)の6HOC−AcOEtを黄色プリズムとして得た。
【0161】
M.P.113−114℃;1HNMR(500MHz,CDCl3):σ7.65(d,1H,J=8.5)、7.29(d,1H,J=9.5),7.17(d,1H,J=8.7)、6.95(s,1H)、6.45(d,1H,J=9.8)、4.67(s,2H)、4.30(q,2H,J=6.5)、1.32(t,3H,J=6.8)。
【0162】
97g(0.39モル)の6HOC−AcOEt、62g(1.5モル)のNaOH、1Lの1,4−ジオキサン、及び1.5Lの水を周囲温度(室温)で22時間攪拌した。この溶液を、150mLの濃縮した、水性の塩酸で、迅速に攪拌させながら(一つの部分内で)処理した。得られた懸濁液を室温にまで冷却し、そしてろ過した。このフィルターケーキを水で洗浄(5×100mL)し、そして真空下に100℃で乾燥させ、81.8g(95%収率)の6HOC−AcOHをタン粉(tan powder)として得た。
【0163】
M.P.258−261℃;1HNMR(500MHz,DMSO−d6):δ13.05(brs,1H)、8.01(d,1H,J=9.6),7.35(d,1H,J=8.9)、7.27(d,1H,J=3.9)、7.21(dd,1H,J=8.6,2.9)、6.49(d,1H,J=8.9)、4.74(s,2H)。
【0164】
81.8g(0.37モル)の6HOC−AcOH及び400mL(5.5モル)のSOCl2の混合物を、6時間還流させ、そして加熱したガラスフリットを通して、暖かい状態でろ過した。炉液を水槽内で冷却し、次に冷却器(0〜−5℃)内で1時間置いた。この懸濁液をろ過し、そしてフィルターケーキを25mLのTHFで洗浄した。この固体を空気中で乾燥させ、75g(85%収率)の6HOC−AcClをピンクのニードルとして得た。
【0165】
M.P.160−163℃;1HNMR(500MHz,DMSO−d6):δ8.02(d,1H,J=9.6)、7.35(d,1H,J=9.7),7.27(s,1H)、7.22(dd,1H,J=8.8,3.0)、6.49(d,1H,J=9.8)、4.74(s,2H)。
【0166】
実施例2:PVP0.55−co−PMMA0.45−6HOC−Acの製造
【0167】
【化34】
【0168】
3.1gのPVP0.55−co−PMMA(MW 10k、プロトンNMRからの計算に基づいて、ビニルフェノール部分モル割合55%)及び20mL中のピリジン中10mgの4−ジメチルアミノ−ピリジンの溶液に、60mLの暖かい1,4−ジオキサン中6.0g(25ミリモル)の6HOC−AcClの溶液を加えた。得られた混合物を、周囲温度(室温)で3時間攪拌し、次に150mLのメタノールで処理した。曇った上液(supernatant)をデカントし(上澄み液を移し)、及び残った残留物を20mLクロロホルム/50mLメタノールから3回、沈殿させた(各度に、上液をデカント)。残った残留物を30mLのクロロホルム内に溶解させ、そして100mLのメタノール内に直接的にろ過させた(−78℃に冷却)。沈殿物をろ過し、そしてバキュオ内で乾燥させ、6.3gのPVP0.55−co−PMMA0.45−6HOC−Acを白色の粉として得た。
【0169】
1HNMR(500MHz,CDCl3):δ7.67(brs,1H)、7.35−6.65(m,7H),6.45(brs,1H)、4.9(m,2H)、3.5−0.5(br)。
【0170】
実施例3:PVP0.80−co−PMMA0.20−6HOC−Acの製造
【0171】
【化35】
【0172】
3.0gのPVP0.80−co−PMMA0.20(MW70k)及び15mL中のピリジン中10mgの4−ジメチルアミノピリジンの溶液に、75mLの暖かい1,4−ジオキサン中7.5g(31ミリモル)の6HOC−AcClの溶液を加えた。得られた混合物を、周囲温度(室温)で3時間攪拌し、次に100mLのメタノールで処理した。上液(上澄液:supernatant)をデカントし(上澄み液を移し)、及び残った残留物を30mLのクロロホルムで処理し、そして15分間攪拌した。混合物を100mLのメタノールで処理し、そして上液をデカントした。残った残留物を20mLのシクロペンタノン/60mLのメタノールから3回沈殿させ、各度に上液をデカントした(メタノールのトレース(微量)をロートバップ(rotovap)で除去し、シクロペンタノン中への溶解を補助)。残った残留物を60mLのシクロペンタノン内に溶解させ、そして300mLのジエチルエーテル内に攪拌しながら直接的にろ過させた。沈殿物をろ過除去し、そして3×50mLのジエチルエーテルで洗浄した。このフィルターケーキを真空下に乾燥させ、5.4gのPVP0.80−co−PMMA0.20−6HOC−Acを白色の粉として得た。
【0173】
1H NMR NMR(500MHz,DMSO−d6):δ7.9(br,1H)、7.4−6.3(br,8H)、5.05(br,2H)、3.4−0.0(br)。
【0174】
実施例4a:PVP−6HC−Acの製造
【0175】
【化36】
【0176】
2.66gのポリ(4−ビニルフェノール)(MW20k)及び20mLのピリジン中10mgの4−ジメチルアミノピリジンの溶液に、80mLの暖かい1,4−ジオキサン中8.0g(33.5ミリモル)の6HOC−AcClを加えた。得られた混合物を周囲温度で3時間攪拌し、次に上液をデカントした。残った残留物を最初に、20mLのシクロペンタノンで処理し、油性の部分を溶解し、そして次に60mLのメタノールで処理した。上液(上澄液)をデカントし、そして残った残留部分を、20mLシクロペンタノン/60mLメタノールから1回、及び20mLシクロペンタノン/60mLジエチルエーテルから1回、沈澱させた。残留物を50mLのシクロペンタノン中に溶解し、そしてろ過した。炉液を20mLに濃縮し、そして70mLのジエチルエーテルで処理した。曇った上液を除去し、そして残った残留物を50mLのジエチルエーテルで処理し、及び15分間、シェイク及び/又は攪拌した。懸濁液をろ過し、そしてフィルターケーキをバキュオ内で乾燥させ、5.4g(76%収率)のPVP−6HOC−Acを白色の粉として得た。
【0177】
1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ7.81(brs,1H)、7.4−6.3(br,8H)、5.01(brs,2H)、2.0−1.0(br,3H)。
【0178】
実施例4b:PVP−6HOC−Acの製造
【0179】
【化37】
【0180】
5.63gのポリ(4−ビニルフェノール)(MW20k)(nOH=46.86ミリモル)、20mgの4−ジメチルアミノピリジン、及び30mLの水の無いDMAC中の、(1.5Eq、n=70.29ミリモル、m=7.11g、V=9.80mL)のトリエチルアミンに、50mLの水の無いDMAC中の、8.0g(1.5Eq、n=70.29、m=16.63g)のクマリン−COClを加えた。得られた混合物を周囲温度で12時間攪拌した。この後、ポリマーを、1LのMeOH中に、強く攪拌させながら滴下させて沈澱させた。懸濁液をろ過し、そしてフィルターケーキを40mLのDMAC中に再度、溶解させた。このポリマー溶液を、1Lのメタノール中に2回目に沈澱させた。この懸濁液をろ過し、そしてフィルターケーキをバキュオ内で乾燥させ、13.4g(85%収率)のPVP−6HOC−Acを白色粉として得た。
【0181】
1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ7.81(brs,1H)、7.4−6.3(br,8H)、5.01(brs,2H)、2.0−1.0(br,3H)。
【0182】
実施例5:PVP0.55-CO-PMMA0.45-7HOC-Acの製造
【0183】
【化38】
【0184】
3.0gのPVP−PMMA(MW10k、プロトンNMRからの計算に基づいて、ビニルフェノール部分モル割合55%)、及び15mL中のピリジン中の10mgの4−ジメチルアミノ−ピリジンに、25mLの暖かいTHF中の5.5g(23ミリモル)の7HOC−AcCl(Chujo,Y.;Sada,K.;Saegusa,T.,Macromolecules,23:2693−2697(1990))の溶液を加えた。混合物を、120mLのクロロホルムで処理し、そして周囲温度で1時間攪拌した。この混合物を5mLの水で処理し、そして2分間攪拌した。この混合物を100mLのメタノールに注ぎ、そして得られた懸濁液を、回転蒸発器を使用して、半分の体積に減少させた。この混合物を50mLのメタノールで処理し、そして上液をデカントした。残った残留物をクロロホルム(15mL)とピリジン(1mL)中に溶解させ、そしてメタノール(30mL)を使用して沈殿させた。上液をデカントし、そして残った残留物を、クロロホルム(15mL)/メタノール(30mL)から、3回沈澱させた(各度に上液をデカント)。残っている残留物を50mLのクロロホルム内に溶解させ、そして200mLのメタノール中に滴下させて加えた(−78℃に冷却)。沈澱物をろ過除去し、そして5.7gのPVP0.55-CO-PMMA0.45-7HOC-Acを、黄白色として得た。
【0185】
1H NMR(500MHz,CDCl3):δ7.68(br,1H)、7.44(br,1H)、7.2−6.6(br,6H)、6.29(br,1H)、4.9(br,2H)、3.5−0.5(br)。
【0186】
実施例6:PVP−7HOC−Acの製造
【0187】
【化39】
【0188】
80mLのピリジン中、10gのポリ(4−ビニルフェノール)(MW20k)及び10mgの4−ジメチルアミノピリジンの溶液に、100mLの暖かいTHF中の30g(126ミリモル)の7HOC−AcClの溶液を加えた。この混合物を周囲温度で1時間攪拌し、そして200mLのメタノールで処理した。上液をデカントし、そして残っているオイルを、シクロペンタノン(100mL)/メタノール(200mL)から、3回沈澱させた(各度に上液をデカント)。残っているオイルをシクロペンタノン(200mL)中に溶解させ、そして400mLのメタノールに滴下させて加えた(−78℃に冷却)。ろ過を使用して材料を集め、そしてバキュオ内で乾燥させ、20gのPVP−7HOC−Acを黄色の粉として得た。
【0189】
1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ7.9(brs,1H)、7.5(brs,1H)、7.2−6.1(br,7H)、5.1(brs,2H)、2.0−1.0(br,3H)。
【0190】
実施例7:(PVP−6HOC−Ac)0.80−co−(PVP−Ac)0.20の製造
【0191】
【化40】
【0192】
10mLのピリジン中、2.5gのポリ(4−ビニルフェノール)(MW20k)及び10mgの4−ジメチルアミノピリジンの溶液に、40mLの暖かい1,4−ジオキサン中4.0g(16.8ミリモル)の6HOC−AcClの溶液を加えた。得られた混合物を周囲温度で1時間攪拌し、そして次に、この混合物を2mL(20.8ミリモル)の無水酢酸で処理した。この混合物を加熱して沸騰させ、そして次に周囲温度で1時間攪拌した。この混合物を100mLのメタノールで処理し、そして上液をデカントした。残っている残留物を、最初に10mLのシクロペンタノンで処理し、油性の部分を溶解させ、そして次に50mLのメタノールで処理した。上液をデカントし、そして残っている残留物を30mLシクロペンタノン/100mLメタノールから2回、沈澱させた(各度に上液をデカントした)。残っている残留物を30mLのシクロペンタノンに溶解し、そしてフィルターケーキをバキョ内で乾燥させ、3.2gの(PVP−6HOC−Ac)0.80−co−(PVP−Ac)0.20を、灰色がかった白色の粉として得た。
【0193】
1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ8.0−6.2(br)、5.05(br)、2.25−1.0(br)。
【0194】
実施例8:4−ビニルフェニル2−(クマリン−6−イルオキシ)アセテート(VP−6HOC−Ac)の製造
【0195】
【化41】
【0196】
10mLのシクロペンタノン中の1.0g(4.2ミリモル)の6HOC−AcCl(実施例1)に、1mLのピリジン中の0.50g(4.2ミリモル)の4−ヒドロキシスチレン及び5mgの4−ジメチルアミノピリジンを加えた(この間、水槽内で冷却)。この混合物を周囲温度で1時間攪拌し、そして次に0.2mLの水で処理し、そして2分間攪拌した。この混合物を80mLのメタノールで処理し、そしてろ過した。フイルターケーキをメタノール(2×10mL)で洗浄し、そして真空下に乾燥させた。得られた粉をクロロホム内に溶解させ、そしてシリカゲルのショートパッド(short pad)に通した。ろ液をバキュオ内で濃縮し、そして得られた固体を、100mLのエタノールから再結晶化させ、0.6g(45%収率)のVP−6HOC−Acを無色のニードルとして得た。
【0197】
1H NMR(500MHz,CDCl3):δ7.67(d,1H,J=10Hz)、7.45−7.04(m,6H)、6.71(dd,1H,J=18,11Hz)、6.47(d,1H,J=10Hz)、5.74(d,1H,J=18Hz)、5.28(d,1H,J=11Hz)、4.93(s,2H)。
【0198】
実施例9:VP−6HOC−Acの重合
【0199】
【化42】
【0200】
a)暗いフラスコ内で、5g(15.2ミリモル)のVP−6HOC−Ac(実施例8)を、25mlの乾燥ジメチルアセトアミド(DMAC)内に、不活性雰囲気下で溶解させた。50mg(0.3ミリモル)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加えた後、反応混合物を60℃に加熱し、そしてこの温度で、暗所内で、15時間攪拌した。そして、混合物を室温にまで冷却し、そしてCHCl3/MeOH(50/50)内で沈澱させた。
【0201】
ジメチルホルムアルデヒド(DMF)中への再溶解、CHCl3中での沈澱、及び少量のMeOHでの処理で、白色粉としての生成物を得た。収量:3.6g(72%)。Mn=2,790g/モル;Mw=25,100g/モル;Mw/Mn=9.0。
【0202】
b)暗いフラスコ内で、5g(15.2ミリモル)のVP−6HOC−Ac(実施例8)を25mlの乾燥DMAC内に、不活性雰囲気下に溶解した。50mg(0.3ミリモル)のAIBNを加えた後、反応混合物を70℃に加熱し、そしてこの温度で、暗所で、15時間攪拌した。そして、この混合物を室温に冷却し、そしてCHCl3/MeOH(50/50)内で沈澱させた。
【0203】
DMF中での再溶解、CHCl3中での沈澱、及び少量のMeOHでの処理で、生成物を白色粉として生成した。収量:3.6g(72%)。Mn=3,640g/モル;Mw=76,000g/モル;Mw/Mn=20.9。
【0204】
c)暗いフラスコ内で、5g(15.2ミリモル)のVP−6HOC−Ac(実施例8)を25mlの乾燥DMFに、不活性雰囲気下に溶解させた。50mg(0.3ミリモル)のAIBNを加えた後、この反応混合物を60℃に加熱し、そしてこの温度で、暗所で15時間、攪拌した。そしてこの混合物を室温にまで冷却し、そしてCHCl3/MeOH(50/50)内で沈澱させた。
【0205】
DMF中での再溶解、CHCl3中での沈澱、及び少量のMeOHでの処理で、生成物を白色粉として生成した。収量:3.5g(70%)。Mn=4,440g/モル;Mw=108,000g/モル;Mw/Mn=24.3。
【0206】
c)暗いフラスコ内で、5g(15.2ミリモル)のVP−6HOC−Ac(実施例8)を25mlの乾燥DMFに、不活性雰囲気下に溶解させた。100mg(0.6ミリモル)のAIBNを加えた後、この反応混合物を60℃に加熱し、そしてこの温度で、暗所で15時間、攪拌した。そしてこの混合物を室温にまで冷却し、そしてCHCl3/MeOH(50/50)内で沈澱させた。
【0207】
DMF中での再溶解、CHCl3中での沈澱、及び少量のMeOHでの処理で、生成物を白色粉として生成した。収量:3.5g(70%)。Mn=4,810g/モル;Mw=180,000g/モル;Mw/Mn=37.5。
【0208】
実施例10:光架橋の前及び後のフォトポリマー材料の溶解度
本教示の多くのフォトポリマーは、通常の有機溶媒(これらの有機溶媒は、テトラヒドフラン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ジオキサン、クロロホルム、エチルアセテート、アセトン、トルエン、ジクロロベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、シクロペンタノン及びシクロヘキサノンを含むが、これらに限られるものではない)に対して溶解性である。実施例2〜7及び9からのフォトポリマーは、例えば、通常の有機溶媒に対して卓越した溶解度を有している。例えば、実施例2からのPVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acは、シクロペンタノンに、加熱することなく溶解して、350mg/Lの濃度を得ることができる。このような溶液は、グラビア印刷に使用するのに十分に粘(着)性である。
【0209】
印刷又は他の溶液−相沈澱工程の後、本教示のフォトポリマーを、紫外線に曝すことによって(例えば、400WUVオーブン内で0.5〜5分間処理することによって)硬化させることができ、これにより、本教示のフォトポリマーが(光架橋の前では、最初は溶解性であった)有機溶媒に対して不溶性になる。硬化した誘電体フィルムは、比較的厳しい工程に耐えることができる程、十分に強い。例えば、光架橋した誘電体フィルムを、シクロペンタノンに1〜5分間浸した場合、この後の、その厚さと物理的な外観が、浸漬工程の前と実質的に同じであることが見出された。本誘電体のこの特性は、これらを溶液−処理を行うボトム−ゲートOFETs(これらでは、誘電体層が、半導体層の配置、沈澱のための、溶液−処理を行う溶媒中に不溶性であることが必要とされる)にとって、魅力有る候補にする。
【0210】
実施例11:誘電体フィルムの製造
1mLのシクロペンタノンに、100〜150mgの選択したポリマーを溶解させることによって、フォトポリマーの処方物を、製造(調製)した。この処方物を汚れていないシリコン基材の上に、1000〜2000rpm(加速20)でスピンコーティングし、厚さが約350〜450nmの範囲のフィルムを得た。硬度にドープしたシリコンウエハー(Montco Silicon Tech,Inc.,Spring City,PA)を、使用する前に、有機溶媒中での高周波音処理によって洗浄した。スピンコーティング工程の後、得られた誘電体フィルムを、紫外線光を使用して放射線処理した。この放射線処理は、ブルーフィルター(Hoya Optics,San Jose,CA,カットオフ約320nm)でフィルターされた400W中間圧力水銀灯から発生した紫外線を使用して、ランプハウジングから約20cm離れた距離で行った。UV強度及びドーズ(線量)を、放射計を使用して測定(約320〜390nmの間)した。次にこのフィルムを真空オーブン内で、100℃で1〜10分間、焼きなまし(anneal)し、残留する溶媒を完全に除去した。
【0211】
架橋したフィルムを30〜60s、種々の溶媒に浸し、溶解性を試験した。表1に、誘電体フィルムを、種々の溶媒内で、実質的に不溶性にする(即ち、溶媒処理が、架橋したフィルムの厚さを、約10%を超えて減少させることがない)ために必要とされる最小限の放射線ドーズ(放射線量(J/cm2)=ランプ強度(W/cm2)*時間(s))を示す。ここで、上記溶媒は、アセトン、アニソール、クロロホルム、シクロペンタノン、ジオキサン、水、及びキシレンを含むが、これらに限定されるものではない。スピン−コーティングのために使用した溶媒ですすいだ場合、シャドーマスクを通して紫外線に曝された、スピン被覆したフォトポリマーフィルムは、シャドーマスクのパターンに対してネガティブな、鮮明なパターンを示した。
【0212】
本教示の代表的なフォトポリマーのための最小硬化ドーズ。比較の目的で、ポリ(ビニルシナメート)が含められている。
【0213】
【表1】
【0214】
この実施例で使用した水銀灯は、強度が約8mW/cm2であるので、例えば、1J/m2のドーズでは、PVP−7HOC−Acを十分に架橋するために、約2分間の架橋時間が必要とされ、一方、PVP−6HOC−Acは、0.5J/cm2のドーズ、又は約1分間の架橋時間で十分に架橋された。
【0215】
実施例12:誘電体の特徴付け
実施例4から得られた誘電体フィルムを使用して、金属−絶縁体−半導体(MIS)キャパシター構造を製造し、そして誘電体フィルムのキャパシタンス(電気容量)を測定した。MIS構造を作成するために、大きくドープしたn−タイプSi(MEMC Electronic Materials,Antimony/n−doped)を金属(該金属の上に、誘電体フィルムがスオピンコーティングされ、絶縁体層を形成する)として使用した。次に頂部Au電極(面積=1500μm×1500μm)を、フォトポリマー絶縁体の頂部の上に、<1×10-6Torrで真空沈澱させ、MISキャパシター構造を完了させた。シャドーマスクを使用して、特徴サイズが100μm×100μm〜1000μm×1000μmの範囲の、長方形−又は正方形−形状のAuパッドを沈澱させることができ、異なるサイズのMIS構造を形成した。他に記載がなければ、本実施例、及び以降の実施例における漏えい電流は、特徴サイズが200μm×200μmのAuパッドを有するキャパシター構造を使用して測定(決定)した。本教示の誘電体に基くキャパシターのJ〜Eの特徴は、Auパッドの面積から独立しているようである。
【0216】
MIS構造の電流(I)−電圧(V)応答を、高感度Keithley4200半導体特徴化システムを使用して測定した。全ての測定を、周囲の雰囲気中で行なった(相対湿度=30〜80%)。I−Vスキャンの間、電気的ノイズを最小限にするために、3軸、キャブリング及び探査システム(Signatone,Gilroy,CA)を、MIS構造の探査に使用した。Signatone3軸探査システムとKeithley4200システムを組み合わせて使用することにより、ノイズレベルを10-15Aにまで低下させ、及び10-14Aの低さの正確な電流測定を得た。測定の間、ボトム電極を装置基礎部(instrument ground)を使用して探査し、及び頂部Auパッドを、Keithleyソース計に連結された3軸プローブからのソフトチップを使用して探査した。Keithley4200プログラムによって制御されたように、3軸プローブにバイアスをかけ、及び回路を流れる電流を測定することによってI−Vスキャンを行った。スキャン速度は、5〜15s/ステップであり、これは、遅れ時間(delay time)を0.5s〜2sの範囲に設定し、及びステップ毎の測定数を10〜20の範囲に設定することによって制御した。代表的な漏えい電流密度(J)と電界(E)の関係を図1に示す。
【0217】
実施例13:フォトポリマー誘電体層及び溶液−処理されたp−タイプ半導体を有するトップ−ゲートOFETs
この実施例では、ボトム−コンタクトトップ−ゲートOFETsを本教示の誘電体(実施例2からのPVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Ac)を、誘電体層として使用して作成した。工程1.基材:ガラススライド1”×1“、厚さ0.4mm(PGO)をエタノール中で3回、高周波音処理によって洗浄し、そして次の工程の前にエタノール中で保持した。工程2.ソース及びドレイン電極:工程2からのガラス基材をCV302−FR金属蒸発器(Cooke Vacuum)上に装着した。金の電極を、溝の寸法が25×500、50×1000、及び75×1500μmのシャドーマスクを通して、0.6Å/sの蒸着速度で、最終的な厚さ300Åに蒸着させた。工程3.半導体スピンコーティング:ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(BASF)半導体を、DCB(Aldrich)中の7mg/mL溶液として製造し、そして120℃の加熱プレート上で、ポリマーが完全に溶解するまで注意深く加熱した。工程2からの基材を、N2が充填されたグローブボックスの内側のスピンコーターに搭載し、そして強い空気流で注意深く洗浄した。半導体溶液を、0.2μmPTFE注射器フィルター(Millipore)を通して基材に施し、そして1500rpmでスピンコーティングした(加速度20)。得られたフィルムを、次の工程で処理すえる前に、110℃の真空オーブン内で4時間焼いた。工程4.ゲート誘電体:シクロペンタノン中のPVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Ac溶液(120mg/mL)を1000rpm(加速度20)で2分間スピンコーティングすることによって、誘電体層を製造した。このフィルムを、UV−オーブン(Dymax)中で、320nmのフィルター(Hoya Oprics)を通して、1〜7分間硬化させた(約8mW/cm2のランプ強度)。この素子を真空オーブン内で100℃で20分間焼いた。幾つかのサンプル内で、誘電体ポリマー溶液を沈澱させる前に、内部層材料の溶液を、素子の上にスピン−コーティングし、及び得られた素子を、100℃の真空オーブン内で10分間、焼くことによって内部層を形成した。工程5.ゲート電極:ゲート電極を同じ金属蒸発器内で、300Åの最終的な厚さまで、0.6Å/sの速度で蒸着させた。4−terminal−n−FETモードのKeithley Interactive Test Enviroment softwareを有するSignatone H100シリーブプローブステーションを使用して、素子を試験した。60Vドレインバイアス、0Vソースバイアス、及びゲートバイアス(−60V〜60Vを5Vのインターバルでスイープする)を使用して、移動プロットを記録した。0〜60Vドレインバイアス(5ステップ)、及び0〜60Vゲートバイアス(10Vステップ)、(0Vでの)ソースバイアスを使用して、出力プロットを記録した。このようなトップゲート素子の出力及び移動プロット、及びSiO2誘電体の使用を、図2〜5に示す。
【0218】
実施例14:フォトポリマー誘電体層及び溶液−処理されたn−タイプ半導体を有するトップゲートOFETs
ペリレン−タイプ n−タイプ半導体、N,N’−ビス(1−メチルペンチル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)(PDI1MP−CN2)を使用し、誘電体層として本教示のフォトポリマーを有する、n−タイプOFET素子を作成した。PDI1MP−CN2を、国際公開No.WO2008/063609に記載された手順に従って合成した。処理と測定条件は、実施例10と同様であった。硬化時間を変化させ、及び幾つかのケースで制御として、PMMAを使用した。特に、320nmフィルター(Hoya Optics)を通してのUV−放射は、半導体の性能に影響を及ぼさなかった。代表的なOFET移動プロットを図6〜7に示す。
【0219】
実施例15:フォトポリマー誘電体層及び溶液−処理されたp−タイプ半導体を有するボトム−ゲート、ボトム−コンタクトPFETs
この実施例では、本教示の誘電体(実施例2からのPVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Ac)を、誘電体層として使用して、ボトム−ゲートボトムコンタクトOFETsを作成した。工程1.基材:Siウエハー(Montco)を、1”×1”ピースとして製造し、そしてTHF及びエタノールでの高周波音処理によって洗浄した。ウエハーをスピンコーターの上に搭載し、そしてメタノールを使用して2回、5000rpmですすいだ。シクロペンタノン中、PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acの100〜120mg/mL溶液を、0.22um注射フィルターを通して施し、及び1500〜2000rpmで、加速度20でスピン−コーティングした。このフィルムを、Dymax UV硬化システムに移し、及びUV放射に2〜7分間、320nmフィルター下に曝し(約8mW/cm2ランプ強度)、そして110℃で、真空オーブン内で20分間焼いた。工程2.ソース及びドレイン電極:金の電極を、最終的な厚さ300Åまで、蒸着速度0.5Å/sで蒸着させた。工程3.半導体:ポリ(3−ヘキシルチオフェン)を、ジクロロベンゼン中8mg/mL溶液から、1500rpmでスピン−コーティングした。測定の前、この素子(デバイス)を、110℃の真空オーブン内で一晩焼いた。測定を実施例10に記載したように行った。代表的なOFET移動プロットを図8に示す。
【0220】
実施例16:フォトポリマー誘電体層及び溶液−処理されたn−タイプ半導体を有するボトムーゲート、ボトム−コンタクトOFETs
この実施例では、本教示の誘電体(実施例2からのPVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Ac)を誘電体層として使用して、ボトム−ゲートボトム−コンタクトOFETsを作成した。工程1.基材:Siウエハー(Montco)を、1”×1”ピースとして製造し、そしてそしてTHF及びエタノールでの高周波音処理によって洗浄した。ウエハーを、スピンコーターに乗せ、そしてメタノールを使用して2回、5000rpmですすいだ。120mg/mLのシクロペンタノン中PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acの溶液を、0.22um注射器フィルターを通して施し、そして1100rpmで、加速度20でスピンコーティングした。フィルムをDymaxUV硬化システムに移し、そして320nmフィルターの下、UV放射線に4分間曝し(約8mW/cm2ランプ強度)、そして真空オーブン内で110℃で20分間、焼いた。工程2.ソース及びドレイン電極:金の電極を300Åの最終的な厚さにまで、0.5Å/sの蒸着速度で蒸着させた。工程3.半導体:PDI2EH−CN2半導体をジクロロベンゼン中7mg/mL溶液から、1500rpmでスピンコーティングした。測定を行なう前に、この素子を110℃の真空オーブン内で一晩焼いた。測定を、実施例10に記載したように行なった。代表的なOFET移動プロットを、図9に示した。
【0221】
実施例17:フォトポリマー誘電体層及び蒸着したペンタセン半導体を有するボトム−ゲート、トップコンタクトOFETs
ペンタセンOFETsを、シリコンゲート材料上の誘電体フィルムを使用して作成した。Siウエハー(Montco)を、1”×1”ピースとして製造し、そしてTHT及びエタノールを使用して高周波音によって洗浄した。ウエハーをスピンコーターの上に乗せ、そして5000rpmで、メタノールを使用して2回すすいだ。シクロペンタノン中、120mg/mLの本教示のポリマー溶液(PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Ac及びPVP−7HOC−Ac)を、0.22um注射器フィルターを通して施し、そして1800rpmで、加速度20でスピンコーティングした。フィルムをDymaxUV硬化システムに移し、そして320nmフィルターの下、UV放射線に4分間曝し(約8mW/cm2ランプ強度)、そして真空オーブン内で110℃で20分間、焼いた。ペンタセン(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を、約2×10-6Torrで真空−蒸着させ(500Å、0.3Å/s)、この間、基材温度を約50℃〜約70℃に維持した。金(Au)電極をシャドーマスクを通して、3〜4×10-6Torrで真空蒸着させた(500Å、0.3Å/s)。チャンネル(溝)長さは、50μm、及びチャンネル幅は5000μmであった。測定を、実施例10に示したように行った。代表的なOFET移動プロットを図10〜11に示す。
【0222】
実施例10〜14に記載したフォトポリマーベースの素子のOFET性能を表2にまとめた。
【0223】
本教示の誘電体を使用して作成した素子の性能。ペンタセンが蒸着され、及びポリ(3−ヘキシルチュオフェン)及びN,N−ビス(2−エチルヘキシル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシイミド)(PDI2EH−CN2)が溶液から処理された。
【0224】
【表2】
【0225】
実施例18:メチルメタクリレートコモノマーの、本フォトポリマーの溶解度、誘電定数、及びガラス転移温度への影響
本フォトポリマーのガラス転移温度を、示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けした。図12は、本教示のPVP−6HOC−Ac誘電体(Tg=107℃)のフォトポリマーの代表的なDSCプロットを示す。メチルメタクリレート繰り返し単位のポリマーバックボーンへの導入は、溶解度を改良し、及びガラス転移温度を僅かに低下させた。例えば、PVP0.80-CO-PMMA0.20-6HOC-Acの誘電定数は、3.8で、PVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acの誘電定数は、3.9であった。フォトポリマーPVP0.55-CO-PMMA0.45-6HOC-Acは、クロロホルムを含む、広い範囲の種々の溶媒体に対して溶解性が良好であり、これに対して、PVP−6HOC−Acは、クロロホルム等の溶媒中への溶解度がより低いものであった。
【0226】
実施例19:架橋された誘電体フィルム上での溶媒処理の影響
フォトポリマーPVP−6HOC−Acを、シクロペンタノン中に100mg/mLで溶解させ、及びSi基材(Montco Silicon Teach,Inc.)上で1000rpmでスピンコーティングした。このフィルムを、400W中位圧力水銀灯から発生した、及びブルーフィルター(Hoya Optics,San Jose,CA,カットオフ約320nm)を通してろ過した、1.5J/cm2の紫外線で照射した。次にこのフィルムを真空オーブン内で110℃で10分間焼いた。フィルムが良好に架橋されたこと、及び溶媒に対する抵抗性をチェックするために、最初に、2個の等しいピースにカットした。半分をシクロペンタノンを使用して30秒間すすいだ。すすぎを行った後のフィルムの厚さは、約517nmであり、これに対してすすぎを行っていないものは、約525nmであった。フィルム厚さの変化が最小であるということは、溶媒処理の前、又は後の漏えい特性の影響が最小限であることに対応する。図13に示したように、溶媒のすすぎは、架橋した誘電体フィルムの漏えい特性の大きな変化を引き起こすことはなかった。
【0227】
本教示は、その観念や本質的な特徴から離れることなく他の特定の形態に具体化することができる。従って、上述した実施の形態は、全ての局面において例示したものとして考えられ、ここに記載した本教示を限定するものではない。従って本教示の範囲は、(前述の記載よりむしろ)請求の範囲に記載されたものであり、及び請求項に記載されているものと等しい意味と範囲内での全ての変化は、ここに含まれることが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄いフィルムトランジスタ素子であって、以下の、
誘電体層;
半導体層;
ゲート電極;
ソース電極及び
ドレイン電極;
を含み、及び誘電体層が、半導体層とゲート電極の間に配置され;及びソース電極とドレイン電極が、半導体層と接触しており、及び
誘電体層が、ポリマー性フィルムを含み、該ポリマー性フィルムが、任意に置換されたクマリン−6−イル部分を含む、ペンダント基を有する繰り返し単位を含むポリマーを含むことを特徴とする薄いフィルムトランジスタ素子。
【請求項2】
任意に置換されたクマリン−6−イル部分が、式:
【化1】
(但し、
R1及びR2が、独立して、a)H、b)ハロゲン、c)−CN、d)−NO2、e)−OR4、f)−N(R4)2、g)−CHO、h)−C(O)R4、i)−C(O)OR4、j)−C(O)NO(R4)2、k)C1-20アルキル基、l)C2-20アルケニル基、m)C2-20アルキニル基、n)C1-20アルコキシ基、o)C1-20アルキルチオ基、p)C1-20ハロアルキル基、q)a−Y−C3-14シクロアルキル基、r)a−Y−C6-14アリール基、s)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びt)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、
(但し、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されていても良い)
から選ばれ、
R3が、それぞれにおいて、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)−OR4、e)−N(R4)2、f)−CHO、g)−C(O)R4、h)−C(O)OR4、i)−C(O)NO(R4)2、j)aC1-20アルキル基、k)C2-20アルケニル基、l)C2-20アルキニル基、m)C1-20アルコキシ基、n)C1-20アルキルチオ基、o)C1-20ハロアルキル基、p)a−Y−C3-14シクロアルキル基、q)a−Y−C6-14アリール基、r)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びs)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、
(但し、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されていても良い)
から選ばれ、
ここで、
R4が、各場合において、独立して、a)H、b)C1-20アルキル基、c)C2-20アルケニル基、d)C2-20アルキニル基、e)C1-20アルコキシ基、f)C1-20アルキルチオ基、g)C1-20ハロアルキル基、h)a−Y−C3-14シクロアルキル基、i)a−Y−C6-14アリール基、j)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びk)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、
(但し、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されていても良い)
から選ばれ、
R5が、それぞれにおいて、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)−OH、e)−O−C6-14アリール、f)−NH2、g)−NH−C1-10アルキル、h)−N(C1-10アルキル)2、i)−NH−C6-14アリール、j)−N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、k)−N(C6-14アリール)2、l)−CHO、m)−C(O)−C1-10アルキル、n)−C(O)−C6-14アリール、o)−C(O)OH、p)−C(O)−OC1-10アルキル、q)−C(O)−OC6-14アリール、r)−C(O)NH2、s)−C(O)NH−C1-10アルキル、t)−C(O)N(C1-10アルキル)2、u)−C(O)NH−C6-14アリール、v)−C(O)N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、w)−C(O)N(C6-14アリール)2、x)C1-10アルキル基、y)C2-10アルケニル基、z)C2-10アルキニル基、aa)C1-10アルコキシ基、ab)C1-10アルキルチオ基、ac)C1-10ハロアルキル基、ad)a−Y−C3-14シクロアルキル基、ae)a−Y−C6-14アリール基、af)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びag)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、
(但し、各C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に、ハロゲン、CN、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、a−O−C1-6ハロアルキル基、a−C(O)−C1-6アルキル基、a−C(O)−C1-6ハロアルキル基、及びa−C(O)−O−C1-6アルキル基、から独立して選ばれる1〜5個の置換基で置換されても良い)
から選ばれ;及び
Yが、各場合において、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、二価のC2-6アルキニル基、又は共有結合であり;及び
bが0、1、2又は3である)
を有することを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項3】
R1及びR2が、独立して、H、F、−CN、及びCF3から選ばれることを特徴とする請求項2に記載の素子。
【請求項4】
R3が、各場合において、独立して、ハロゲン、OH、−CN、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、及びC1-6アルコキシル基から選ばれることを特徴とする請求項2又は3の何れかに記載の素子。
【請求項5】
ポリマーが、ビニルポリマー、シロキサンポリマー、ポリマレイミド、ポリエチレンアミン、及びこれらのコポリマーから選ばれ、及び任意に置換されたクマリン−6−イル部分を含むペンダント基を有する繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の素子。
【請求項6】
ポリマーが、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリメチルメタクリレート、及びこれらのコポリマーから成る群から選ばれるビニルポリマーであり、及び任意に置換されたクマリン−6−イル部分を含むペンダント基を有する繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の素子。
【請求項7】
ポリマーが、以下の
【化2】
(但し、
Qが、−(L”)p−L'''であり;及び
R6、R7、及びR8が、独立して、H、ハロゲン、C1-10アルキル基、及びC6-14アリール基から選ばれ(但し、C1-10アルキル基、及びC6-14アリール基はそれぞれ、任意に1〜5個のR5基で置換されても良い);
ここで、
L”が、それぞれの場合において、独立して、−Y”−、−(Y”)m−O−、−Y”−NR4−、−Y”−C(NR4)−、−Y”−Si(R4)2−、−O−Si(R4)2−、及び共有結合から選ばれ;
L'''がクマリン部分に結合し、及び−C(O)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−C(O)−Y'''−O−、−O−Y'''−C(O)−、−C(O)−NR4−、−NR4−C(O)−、−C(O)−Y'''−NR4−、−NR4−Y'''−C(O)−、−O−S(O)k−、−O−Y'''−S(O)k−、及び共有結合から選ばれ;
Y”が、各場合において、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
Y'''が、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
kが0、1、又は2であり;
mが、1、2、3、4、5又は6であり;
pが、0〜10の範囲の整数であり;及び
R1、R2、R3、R4、R5、及びbが、請求項2に定義されたものである)
から選ばれる式の、1種以上の繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の素子。
【請求項8】
ポリマーが、以下の、
【化3】
から選ばれる式の1種以上の繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の素子。
【請求項9】
ポリマーが、以下の、
誘電定数が、約1.1〜約5.0の範囲であること;
ガラス転移温度(Tg)が、約100℃〜約200℃の範囲であること;
溶解度が、アニソール、キシレン、シクロペンタノン、シクロヘキサン、及びシクロヘキサノンから選ばれる溶媒中、約0.1mg/mLを超えること;
最大吸光度の波長が、約250nm〜約500nmの範囲であること、及び
分子量が、約10000Da〜約100000Daの範囲であること、
の1種以上の特性によって特徴付けられることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の素子。
【請求項10】
トップゲート素子構造として構成され、及び誘電体層と半導体層の間に中間層を含むことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の素子。
【請求項11】
1種以上のビニルモノマーから重合されたビニルポリマーであって、
少なくとも1種のビニルモノマーが、ビニルフェノール、又はこれらの誘導体であり、及びビニルポリマーが、任意に置換されたクマリン部分を含むペンダント基を有する繰り返し単位を含むことを特徴とするビニルポリマー。
【請求項12】
任意に置換されるクマリン部分が、式、
【化4】
(但し、
R1及びR2が、独立して、a)H、b)ハロゲン、c)−CN、d)−NO2、e)−OR4、f)−N(R4)2、g)−CHO、h)−C(O)R4、i)−C(O)OR4、j)−C(O)N(R4)2、k)C1-20アルキル基、l)C2-20アルケニル基、m)C2-20アルキニル基、n)C1-20アルコキシ基、o)C1-20アルキルチオ基、p)C1-20ハロアルキル基、q)a−Y−C3-14シクロアルキル基、r)a−Y−C6-14アリール基、s)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びt)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
R3が、各場合において、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)−OR4、e)−N(R4)2、f)−CHO、g)−C(O)R4、h)−C(O)OR4、i)−C(O)N(R4)2、j)C1-20アルキル基、k)C2-20アルケニル基、l)C2-20アルキニル基、m)C1-20アルコキシ基、n)C1-20アルキルチオ基、o)C1-20ハロアルキル基、p)a−Y−C3-14シクロアルキル基、q)a−Y−C6-14アリール基、r)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びs)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く、
(但し、
R4が、各場合において、独立して、a)H、b)C1-20アルキル基、c)C2-20アルケニル基、d)C2-20アルキニル基、e)C1-20アルコキシ基、f)C1-20アルキルチオ基、g)C1-20ハロアルキル基、h)a−Y−C3-14シクロアルキル基、i)a−Y−C6-14アリール基、j)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びk)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
R5が、各場合において、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)−OH、e)−O−C6-14アリール、f)−NH2、g)−NH−C1-10アルキル、h)−N(C1-10アルキル)2、i)−NH−C6-14アリール、j)−N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、k)−N(C6-14アリール)2、l)−CHO、m)−C(O)−C1-10アルキル、n)−C(O)−C6-14アリール、o)−C(O)OH、p)−C(O)−OC6-10アルキル、q)−C(O)−OC6-14アリール、r)−C(O)NH2、s)−C(O)NH−C6-10アルキル、t)−C(O)N(C1-10アルキル)2、u)−C(O)NH−C6-14アリール、v)−C(O)N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、w)−C(O)N(C6-14アリール)2、x)C1-10アルキル基、y)C2-10アルケニル基、z)C2-10アルキニル基、aa)C1-10アルコキシ基、ab)C1-10アルキルチオ基、ac)C1-10ハロアルキル基、ad)a−Y−C3-14シクロアルキル基、ae)a−Y−C6-14アリール基、af)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びag)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、各C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に、ハロゲン、CN、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、a−O−C1-6ハロアルキル基、a−C(O)−C1-6アルキル基、a−C(O)−C1-6ハロアルキル基、及びa−C(O)−O−C1-6アルキル基から選ばれる1〜5個の置換基で置換されても良く;及び
Yが、各場合において、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、二価のC2-6アルキニル基、又は共有結合である)
及び、
bが、0、1、2又は3である)
を有することを特徴とする請求項11に記載のビニルポリマー。
【請求項13】
少なくとも1種のビニルモノマーが、式、
【化5】
(但し、
Qが、−(L”)p−L'''であり、
(ここで、
L”が、それぞれの場合において、独立して、−Y”−、−(Y”)m−O−、−Y”−Si(R4)2−、−O−Si(R4)2−、及び共有結合から選ばれ;
L'''がクマリン部分に結合し、及び−C(O)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−C(O)−Y'''−O−、−O−Y'''−C(O)−、−C(O)−Y'''−NR4−、−NR4−Y'''−C(O)−、−O−S(O)k−、−O−Y'''−S(O)k−、及び共有結合から選ばれ;
Y”が、各場合において、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
Y'''が、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
kが0、1、又は2であり;
mが、1、2、3、4、5又は6であり;
pが、0〜10の範囲の整数である)及び
R1、R2、R3、及びbが、請求項12に定義されたものである)
を有することを特徴とする請求項12に記載のビニルポリマー。
【請求項14】
少なくとも1種のビニルモノマーがアクリレートであることを特徴とする請求項11〜13の何れか1項に記載のビニルポリマー。
【請求項15】
任意に置換されたクマリン部分は、1種以上のビニルモノマーが重合された後に導入されることを特徴とする請求項11又は12の何れかに記載のビニルポリマー。
【請求項16】
式、
【化6】
(但し、
Qが、−(L”)p−L'''であり
(ここで、
L”が、それぞれの場合において、独立して、−Y”−、−(Y”)m−O−、−Y”−Si(R4)2−、−O−Si(R4)2−、及び共有結合から選ばれ;
L'''がクマリン部分に結合し、及び−C(O)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−C(O)−Y'''−O−、−O−Y'''−C(O)−、−C(O)−Y'''−NR4−、−NR4−Y'''−C(O)−、−O−S(O)k−、−O−Y'''−S(O)k−、及び共有結合から選ばれ;
Y”が、各場合において、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
Y'''が、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
kが0、1、又は2であり;
mが、1、2、3、4、5又は6であり;
pが、0〜10の範囲の整数である);
W”が、a)H、b)ハロゲン、c)C1-20アルキル基、d)C2-20アルケニル基、e)C1-20ハロアルキル基、f)C3-14シクロアルキル基、g)C6-14アリール基、h)3〜14員のシクロアルキル基、及びi)5〜14員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C1-20ハロアルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に、ハロゲン、−CN、オキソ基、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、a−C(O)−C1-6アルキル基、a−C(O)−C1-6ハロアルキル基、及びa−C(O)−C1-6アルキル基から独立して選ばれる1〜5個の置換基で置換されても良く;
x、x’、x”、及びyが、独立して、実数であり、ここで、0<x≦1、0≦x’<1、0≦x”<1、0<y<1、及びx+x’+x”+y=1であり;
nが、10〜1000の範囲の整数であり;及び
R1、R2、R4、及びR5が、請求項12に定義されたものである)
を有する請求項11〜15の何れか1項に記載のビニルポリマー。
【請求項17】
以下の式、
【化7】
(但し、nが、10〜1000の範囲の整数である)
から選ばれることを特徴とする請求項11に記載のビニルポリマー。
【請求項18】
ポリマーが、以下の、
誘電定数が1.1〜5.0の範囲であること;
ガラス転移温度(Tg)が約100℃〜約200℃の範囲であること;
アニソール、キシレン、シクロペンタノン、シクロヘキサン、及びシクロヘキサノンから選ばれる溶媒中の溶解度が、約0.1mg/mLを超えること;
最大吸光の波長が、約250nm〜約450nmの範囲であること;
及び分子量が、約10000Da〜約100000Daの範囲であること;
から選ばれる1種以上の特性によって特徴付けられることを特徴とする請求項11〜17の何れか1項に記載のビニルポリマー。
【請求項19】
電子素子中の誘電体層を製造するために、請求項11〜18の何れか1項に記載のビニルポリマーを使用する方法。
【請求項20】
請求項11〜18の何れか1項に記載のビニルポリマーを含む溶液を製造する工程;
基材上に溶液を配置、堆積させ、被覆物を得る工程;及び
該被覆物を放射に曝し、架橋を行い、及び架橋された誘電体を製造する工程;
を含むことを特徴とする誘電体を製造するための方法。
【請求項21】
漏えい電流密度が、約1×10-8A/cm2at2MV/cm以下であることを特徴とする請求項20に記載の方法によって製造された誘電体。
【請求項1】
薄いフィルムトランジスタ素子であって、以下の、
誘電体層;
半導体層;
ゲート電極;
ソース電極及び
ドレイン電極;
を含み、及び誘電体層が、半導体層とゲート電極の間に配置され;及びソース電極とドレイン電極が、半導体層と接触しており、及び
誘電体層が、ポリマー性フィルムを含み、該ポリマー性フィルムが、任意に置換されたクマリン−6−イル部分を含む、ペンダント基を有する繰り返し単位を含むポリマーを含むことを特徴とする薄いフィルムトランジスタ素子。
【請求項2】
任意に置換されたクマリン−6−イル部分が、式:
【化1】
(但し、
R1及びR2が、独立して、a)H、b)ハロゲン、c)−CN、d)−NO2、e)−OR4、f)−N(R4)2、g)−CHO、h)−C(O)R4、i)−C(O)OR4、j)−C(O)NO(R4)2、k)C1-20アルキル基、l)C2-20アルケニル基、m)C2-20アルキニル基、n)C1-20アルコキシ基、o)C1-20アルキルチオ基、p)C1-20ハロアルキル基、q)a−Y−C3-14シクロアルキル基、r)a−Y−C6-14アリール基、s)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びt)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、
(但し、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されていても良い)
から選ばれ、
R3が、それぞれにおいて、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)−OR4、e)−N(R4)2、f)−CHO、g)−C(O)R4、h)−C(O)OR4、i)−C(O)NO(R4)2、j)aC1-20アルキル基、k)C2-20アルケニル基、l)C2-20アルキニル基、m)C1-20アルコキシ基、n)C1-20アルキルチオ基、o)C1-20ハロアルキル基、p)a−Y−C3-14シクロアルキル基、q)a−Y−C6-14アリール基、r)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びs)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、
(但し、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されていても良い)
から選ばれ、
ここで、
R4が、各場合において、独立して、a)H、b)C1-20アルキル基、c)C2-20アルケニル基、d)C2-20アルキニル基、e)C1-20アルコキシ基、f)C1-20アルキルチオ基、g)C1-20ハロアルキル基、h)a−Y−C3-14シクロアルキル基、i)a−Y−C6-14アリール基、j)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びk)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、
(但し、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されていても良い)
から選ばれ、
R5が、それぞれにおいて、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)−OH、e)−O−C6-14アリール、f)−NH2、g)−NH−C1-10アルキル、h)−N(C1-10アルキル)2、i)−NH−C6-14アリール、j)−N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、k)−N(C6-14アリール)2、l)−CHO、m)−C(O)−C1-10アルキル、n)−C(O)−C6-14アリール、o)−C(O)OH、p)−C(O)−OC1-10アルキル、q)−C(O)−OC6-14アリール、r)−C(O)NH2、s)−C(O)NH−C1-10アルキル、t)−C(O)N(C1-10アルキル)2、u)−C(O)NH−C6-14アリール、v)−C(O)N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、w)−C(O)N(C6-14アリール)2、x)C1-10アルキル基、y)C2-10アルケニル基、z)C2-10アルキニル基、aa)C1-10アルコキシ基、ab)C1-10アルキルチオ基、ac)C1-10ハロアルキル基、ad)a−Y−C3-14シクロアルキル基、ae)a−Y−C6-14アリール基、af)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びag)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基、
(但し、各C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に、ハロゲン、CN、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、a−O−C1-6ハロアルキル基、a−C(O)−C1-6アルキル基、a−C(O)−C1-6ハロアルキル基、及びa−C(O)−O−C1-6アルキル基、から独立して選ばれる1〜5個の置換基で置換されても良い)
から選ばれ;及び
Yが、各場合において、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、二価のC2-6アルキニル基、又は共有結合であり;及び
bが0、1、2又は3である)
を有することを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項3】
R1及びR2が、独立して、H、F、−CN、及びCF3から選ばれることを特徴とする請求項2に記載の素子。
【請求項4】
R3が、各場合において、独立して、ハロゲン、OH、−CN、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、及びC1-6アルコキシル基から選ばれることを特徴とする請求項2又は3の何れかに記載の素子。
【請求項5】
ポリマーが、ビニルポリマー、シロキサンポリマー、ポリマレイミド、ポリエチレンアミン、及びこれらのコポリマーから選ばれ、及び任意に置換されたクマリン−6−イル部分を含むペンダント基を有する繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の素子。
【請求項6】
ポリマーが、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリメチルメタクリレート、及びこれらのコポリマーから成る群から選ばれるビニルポリマーであり、及び任意に置換されたクマリン−6−イル部分を含むペンダント基を有する繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の素子。
【請求項7】
ポリマーが、以下の
【化2】
(但し、
Qが、−(L”)p−L'''であり;及び
R6、R7、及びR8が、独立して、H、ハロゲン、C1-10アルキル基、及びC6-14アリール基から選ばれ(但し、C1-10アルキル基、及びC6-14アリール基はそれぞれ、任意に1〜5個のR5基で置換されても良い);
ここで、
L”が、それぞれの場合において、独立して、−Y”−、−(Y”)m−O−、−Y”−NR4−、−Y”−C(NR4)−、−Y”−Si(R4)2−、−O−Si(R4)2−、及び共有結合から選ばれ;
L'''がクマリン部分に結合し、及び−C(O)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−C(O)−Y'''−O−、−O−Y'''−C(O)−、−C(O)−NR4−、−NR4−C(O)−、−C(O)−Y'''−NR4−、−NR4−Y'''−C(O)−、−O−S(O)k−、−O−Y'''−S(O)k−、及び共有結合から選ばれ;
Y”が、各場合において、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
Y'''が、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
kが0、1、又は2であり;
mが、1、2、3、4、5又は6であり;
pが、0〜10の範囲の整数であり;及び
R1、R2、R3、R4、R5、及びbが、請求項2に定義されたものである)
から選ばれる式の、1種以上の繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の素子。
【請求項8】
ポリマーが、以下の、
【化3】
から選ばれる式の1種以上の繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の素子。
【請求項9】
ポリマーが、以下の、
誘電定数が、約1.1〜約5.0の範囲であること;
ガラス転移温度(Tg)が、約100℃〜約200℃の範囲であること;
溶解度が、アニソール、キシレン、シクロペンタノン、シクロヘキサン、及びシクロヘキサノンから選ばれる溶媒中、約0.1mg/mLを超えること;
最大吸光度の波長が、約250nm〜約500nmの範囲であること、及び
分子量が、約10000Da〜約100000Daの範囲であること、
の1種以上の特性によって特徴付けられることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の素子。
【請求項10】
トップゲート素子構造として構成され、及び誘電体層と半導体層の間に中間層を含むことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の素子。
【請求項11】
1種以上のビニルモノマーから重合されたビニルポリマーであって、
少なくとも1種のビニルモノマーが、ビニルフェノール、又はこれらの誘導体であり、及びビニルポリマーが、任意に置換されたクマリン部分を含むペンダント基を有する繰り返し単位を含むことを特徴とするビニルポリマー。
【請求項12】
任意に置換されるクマリン部分が、式、
【化4】
(但し、
R1及びR2が、独立して、a)H、b)ハロゲン、c)−CN、d)−NO2、e)−OR4、f)−N(R4)2、g)−CHO、h)−C(O)R4、i)−C(O)OR4、j)−C(O)N(R4)2、k)C1-20アルキル基、l)C2-20アルケニル基、m)C2-20アルキニル基、n)C1-20アルコキシ基、o)C1-20アルキルチオ基、p)C1-20ハロアルキル基、q)a−Y−C3-14シクロアルキル基、r)a−Y−C6-14アリール基、s)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びt)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
R3が、各場合において、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)−OR4、e)−N(R4)2、f)−CHO、g)−C(O)R4、h)−C(O)OR4、i)−C(O)N(R4)2、j)C1-20アルキル基、k)C2-20アルケニル基、l)C2-20アルキニル基、m)C1-20アルコキシ基、n)C1-20アルキルチオ基、o)C1-20ハロアルキル基、p)a−Y−C3-14シクロアルキル基、q)a−Y−C6-14アリール基、r)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びs)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く、
(但し、
R4が、各場合において、独立して、a)H、b)C1-20アルキル基、c)C2-20アルケニル基、d)C2-20アルキニル基、e)C1-20アルコキシ基、f)C1-20アルキルチオ基、g)C1-20ハロアルキル基、h)a−Y−C3-14シクロアルキル基、i)a−Y−C6-14アリール基、j)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びk)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
R5が、各場合において、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)−OH、e)−O−C6-14アリール、f)−NH2、g)−NH−C1-10アルキル、h)−N(C1-10アルキル)2、i)−NH−C6-14アリール、j)−N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、k)−N(C6-14アリール)2、l)−CHO、m)−C(O)−C1-10アルキル、n)−C(O)−C6-14アリール、o)−C(O)OH、p)−C(O)−OC6-10アルキル、q)−C(O)−OC6-14アリール、r)−C(O)NH2、s)−C(O)NH−C6-10アルキル、t)−C(O)N(C1-10アルキル)2、u)−C(O)NH−C6-14アリール、v)−C(O)N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、w)−C(O)N(C6-14アリール)2、x)C1-10アルキル基、y)C2-10アルケニル基、z)C2-10アルキニル基、aa)C1-10アルコキシ基、ab)C1-10アルキルチオ基、ac)C1-10ハロアルキル基、ad)a−Y−C3-14シクロアルキル基、ae)a−Y−C6-14アリール基、af)a−Y−3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及びag)a−Y−5〜14員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、各C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に、ハロゲン、CN、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、a−O−C1-6ハロアルキル基、a−C(O)−C1-6アルキル基、a−C(O)−C1-6ハロアルキル基、及びa−C(O)−O−C1-6アルキル基から選ばれる1〜5個の置換基で置換されても良く;及び
Yが、各場合において、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、二価のC2-6アルキニル基、又は共有結合である)
及び、
bが、0、1、2又は3である)
を有することを特徴とする請求項11に記載のビニルポリマー。
【請求項13】
少なくとも1種のビニルモノマーが、式、
【化5】
(但し、
Qが、−(L”)p−L'''であり、
(ここで、
L”が、それぞれの場合において、独立して、−Y”−、−(Y”)m−O−、−Y”−Si(R4)2−、−O−Si(R4)2−、及び共有結合から選ばれ;
L'''がクマリン部分に結合し、及び−C(O)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−C(O)−Y'''−O−、−O−Y'''−C(O)−、−C(O)−Y'''−NR4−、−NR4−Y'''−C(O)−、−O−S(O)k−、−O−Y'''−S(O)k−、及び共有結合から選ばれ;
Y”が、各場合において、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
Y'''が、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
kが0、1、又は2であり;
mが、1、2、3、4、5又は6であり;
pが、0〜10の範囲の整数である)及び
R1、R2、R3、及びbが、請求項12に定義されたものである)
を有することを特徴とする請求項12に記載のビニルポリマー。
【請求項14】
少なくとも1種のビニルモノマーがアクリレートであることを特徴とする請求項11〜13の何れか1項に記載のビニルポリマー。
【請求項15】
任意に置換されたクマリン部分は、1種以上のビニルモノマーが重合された後に導入されることを特徴とする請求項11又は12の何れかに記載のビニルポリマー。
【請求項16】
式、
【化6】
(但し、
Qが、−(L”)p−L'''であり
(ここで、
L”が、それぞれの場合において、独立して、−Y”−、−(Y”)m−O−、−Y”−Si(R4)2−、−O−Si(R4)2−、及び共有結合から選ばれ;
L'''がクマリン部分に結合し、及び−C(O)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−C(O)−Y'''−O−、−O−Y'''−C(O)−、−C(O)−Y'''−NR4−、−NR4−Y'''−C(O)−、−O−S(O)k−、−O−Y'''−S(O)k−、及び共有結合から選ばれ;
Y”が、各場合において、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
Y'''が、二価のC1-6アルキル基、二価のC2-6アルケニル基、及び二価のC6-14アリール基から選ばれ、ここで、各C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC6-14アリール基は、任意に1〜5個のR5基で置換されても良く;
kが0、1、又は2であり;
mが、1、2、3、4、5又は6であり;
pが、0〜10の範囲の整数である);
W”が、a)H、b)ハロゲン、c)C1-20アルキル基、d)C2-20アルケニル基、e)C1-20ハロアルキル基、f)C3-14シクロアルキル基、g)C6-14アリール基、h)3〜14員のシクロアルキル基、及びi)5〜14員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、各C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C1-20ハロアルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、及び5〜14員のヘテロアリール基が、任意に、ハロゲン、−CN、オキソ基、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、a−C(O)−C1-6アルキル基、a−C(O)−C1-6ハロアルキル基、及びa−C(O)−C1-6アルキル基から独立して選ばれる1〜5個の置換基で置換されても良く;
x、x’、x”、及びyが、独立して、実数であり、ここで、0<x≦1、0≦x’<1、0≦x”<1、0<y<1、及びx+x’+x”+y=1であり;
nが、10〜1000の範囲の整数であり;及び
R1、R2、R4、及びR5が、請求項12に定義されたものである)
を有する請求項11〜15の何れか1項に記載のビニルポリマー。
【請求項17】
以下の式、
【化7】
(但し、nが、10〜1000の範囲の整数である)
から選ばれることを特徴とする請求項11に記載のビニルポリマー。
【請求項18】
ポリマーが、以下の、
誘電定数が1.1〜5.0の範囲であること;
ガラス転移温度(Tg)が約100℃〜約200℃の範囲であること;
アニソール、キシレン、シクロペンタノン、シクロヘキサン、及びシクロヘキサノンから選ばれる溶媒中の溶解度が、約0.1mg/mLを超えること;
最大吸光の波長が、約250nm〜約450nmの範囲であること;
及び分子量が、約10000Da〜約100000Daの範囲であること;
から選ばれる1種以上の特性によって特徴付けられることを特徴とする請求項11〜17の何れか1項に記載のビニルポリマー。
【請求項19】
電子素子中の誘電体層を製造するために、請求項11〜18の何れか1項に記載のビニルポリマーを使用する方法。
【請求項20】
請求項11〜18の何れか1項に記載のビニルポリマーを含む溶液を製造する工程;
基材上に溶液を配置、堆積させ、被覆物を得る工程;及び
該被覆物を放射に曝し、架橋を行い、及び架橋された誘電体を製造する工程;
を含むことを特徴とする誘電体を製造するための方法。
【請求項21】
漏えい電流密度が、約1×10-8A/cm2at2MV/cm以下であることを特徴とする請求項20に記載の方法によって製造された誘電体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14a)】
【図14b)】
【図14c)】
【図14d)】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14a)】
【図14b)】
【図14c)】
【図14d)】
【図13】
【公表番号】特表2012−510149(P2012−510149A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536876(P2011−536876)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065569
【国際公開番号】WO2010/057984
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【出願人】(511124954)ポリエラ、コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065569
【国際公開番号】WO2010/057984
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【出願人】(511124954)ポリエラ、コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】
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