説明

光記録媒体及びその製造方法、並びに、光記録方法及び光再生方法

【課題】前記光記録媒体の記録容量の減少を招くことなく、記録履歴などの光記録媒体の記録に関する情報などを速やかに認識し、追記録を円滑に行うことができる優れた光記録媒体及その製造方法、並びに、光記録方法及び光再生方法を提供すること。
【解決手段】ホログラフィを利用して情報を記録する第一記録層と、第一の基板と、第二の基板と、第一ギャップ層と、第二ギャップ層と、フィルタ層とを有し、前記第二の基板に形成されたサーボピットパターン上に記録の履歴及びその他の情報を記録した第二記録層及びバリア層を有することを特徴とする光記録媒体である。第二記録層への記録に用いる光の波長と、前記第一記録層の記録に用いる光の波長との差を、少なくとも50nm以上とする。また、該光記録媒体の製造方法、並びに、光記録方法及び光再生方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィを利用して情報が記録される光記録媒体及びその製造方法、並びに、光記録方法及び光再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高密度画像データ等の大容量の情報を書き込み可能な記録媒体の一つとして光記録媒体が挙げられる。この光記録媒体としては、例えば、光磁気ディスク、相変化型光ディスク等の書換型光記録媒体やCD−R等の追記型光記録媒体については既に実用化されているが、光記録媒体の更なる大容量化に対する要求は高まる一方である。
しかし、従来から提案されている光記録媒体は全て二次元記録であり、記録容量の増大化には限界があった。そこで、近時、三次元的に情報を記録することができるホログラム型光記録方法が注目されている。
前記ホログラム型光記録方法は、一般に、二次元的な強度分布が与えられた情報光と、該情報光と強度がほぼ一定な参照光とを感光性の記録層内部で重ね合わせ、それらが形成する干渉像を利用して記録層内部に光学特性の分布を生じさせることにより、情報を記録する。前記光記録方法として、例えば、前記情報光の光軸と参照光の光軸とが同軸になるようにして該情報光及び参照光が照射される方法が、コリニア方式と称され、光記録装置や光記録媒体の誤差などの影響を受けることが少ない記録方法として知られている。該コリニア方式における情報光及び参照光の照射により光記録媒体に形成されている記録層内に前記干渉縞が生成され、光情報が該記録層に記録される(非特許文献1参照)。
一方、書き込んだ情報の読み出し(再生)は、記録時と同様の配置で参照光のみを記録層に照射し、記録層内部に形成された光学特性分布に対応した強度分布を有する再生光を前記記録層から出射させることにより行われる。
このホログラム型光記録方法では、記録層内に光学特性分布が三次元的に形成されるので、一の情報光により情報が書き込まれた領域と、他の情報光により情報が書き込まれた領域とを部分的に重ね合わせること、即ち、多重記録が可能であり、大容量化の要請にマッチしている。このような多重記録にデジタルボリュームホログラフィを利用した場合には、1スポットの信号対雑音比(SN比)は極めて高くなるので、重ね書きによりSN比が多少低くなっても元の情報を忠実に再現できるホログラム型の光記録媒体が得られる。その結果、多重記録回数が数百回までに及び、光記録媒体の記録容量を著しく増大させることができる(特許文献1参照)。
【0003】
このようなホログラム型の光記録媒体としては、例えば、図1に示すように、第二の基板1表面にサーボピットパターン3を設け、このサーボピットパターン表面にアルミニウム等からなる反射膜2と、この反射膜上に記録層4aと、この記録層4a上に第一の基板5とを有する光記録媒体20が提案されている(特許文献2参照)。
更に、図2に示すように、第二の基板1と記録層4aの間に、前記第二の基板1の表面を平滑化し、記録層4a内に生成されるホログラムの大きさを調整するギャップ層8a、前記情報光及び参照光の波長のみを選択して反射するフィルタ層6及び1/4波長板9を形成し、前記情報光及び参照光による効率のよい記録を得る光記録媒体20aの改善がなされている(特許文献3参照)。
しかし、前記光記録媒体20や20aの場合、記録がされた領域についての情報、即ち、記録履歴を把握できないという問題がある。例えば、記録層4aに所定の情報を記録し、一旦終了させて、該光記録媒体を光記録再生装置などから取り出した後、再度装着し、追加記録する際に、既に記録された部分と未記録の部分との境界情報がないため、速やかに未記録領域を認識できず、再生光を用いて記録部分を再生することによりその端末部分を認識しなければならなかった。この場合、該再生光が誤って未記録部分に照射されると、記録層におけるフォトポリマーなどを露光することになり、その後の記録に悪影響を与えることになる。CD−RやDVD−Rなどの光記録媒体の場合は、再生光は記録時よりもパワーが低くコントロールされ、低いパワーで再生できるのでかかる問題はないが、ホログラム記録の場合には、再生光は記録時に用いた参照光と同一のパワーで照射することにより回折光が生成されるので、未記録領域に悪影響が生ずることになる。
ホログラム記録において、記録層内の所定の場所に記録履歴などの記録部分の端末などの情報を書き込みしておけば、追加記録する際に、前記所定の場所の記録を再生することにより、速やかに該記録部分の端末の情報を認識することができるが、記録層の記録領域を使用するため、記録容量が減少してしまうという問題がある。
したがって、前記光記録媒体の記録容量の減少を招くことなく、記録履歴などの光記録媒体の記録に関する情報などを速やかに認識し、追記録を円滑に行うことができる優れた光記録媒体及びその製造方法、並びに、光記録方法及び光再生方法は未だ実現されておらず、その提供が望まれているのが現状である。
【0004】
【特許文献1】特開2002−123949号公報
【特許文献2】特開平11−311936号公報
【特許文献3】特開2004−265472号公報
【非特許文献1】「日経エレクトロニクス」2005年1月17日号P105〜P114
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、前記光記録媒体の記録容量の減少を招くことなく、記録履歴などの光記録媒体の記録に関する情報などを速やかに認識し、追記録を円滑に行うことができる優れた光記録媒体及びその製造方法、並びに、光記録方法及び光再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ホログラフィを利用して情報を記録する第一記録層と、第一の基板と、第二の基板と、フィルタ層と、前記第二の基板のサーボピットパターン上に形成された第二記録層とを有し、前記第二記録層への記録に用いる光の波長と、前記第一記録層の記録に用いる光の波長との差が、少なくとも50nm以上であることを特徴とする光記録媒体である。
<2> 第二記録層が、有機色素材料及び相変化材料の少なくともいずれかを含む前記<1>に記載の光記録媒体である。
<3> 有機色素材料が、シアニン色素、アゾ色素、フタロシアニン色素、及びオキソノール色素から選択される少なくともいずれか1種を含む前記<2>に記載の光記録媒体である。
<4> 相変化材料が、カルコゲナイドを少なくとも1種含む前記<2>に記載の光記録媒体である。
<5> 第二記録層上に、バリア層を有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<6> 第二記録層の厚みが、10〜500nmである前記<1>から<5>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<7> 第二記録層が、サーボ用光で記録可能である前記<1>から<6>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<8> 第二記録層へ記録する情報が、少なくとも第一記録層に記録した履歴を含む前記<1>から<7>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<9> 光記録媒体への情報光及び参照光の照射が、該情報光の光軸と該参照光の光軸とが同軸になるようにして行われる光記録方法に用いられる前記から<1>から<8>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<10> フィルタ層が、顔料及び染料の少なくともいずれかの色材を含有する色材含有層を有する前記<1>から<9>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<11> フィルタ層が、顔料及び染料の少なくともいずれかの色材を含有する色材含有層と、該色材含有層上にコレステリック液晶層とを有する前記<1>から<10>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<12> 色材が、赤色顔料である前記<10>から<11>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<13> 赤色顔料における532nmの光に対する透過率が、33%以下であり、かつ655nmの光に対する透過率が、66%以上である前記<12>に記載の光記録媒体である。
<14> フィルタ層が、色材含有層上に誘電体蒸着層を有する前記<1>から<13>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<15> 色材含有層が、バインダー樹脂を含有し、該バインダー樹脂がポリビニルアルコール樹脂である前記<10>から<14>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<16> 色材含有層表面が、ラビング処理されている前記<10>から<15>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<17> フィルタ層が、互いに屈折率の異なる誘電体薄膜を複数層積層した誘電体蒸着層を有する前記<1>から<16>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<18> 該誘電体蒸着層が、高屈折率の誘電体薄膜と低屈折率の誘電体薄膜とを交互に複数層積層した前記<17>に記載の光記録媒体である。
<19> 誘電体蒸着層が、誘電体薄膜を2〜20層積層した前記<17>から<18>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<20> フィルタ層が、単層のコレステリック液晶層を有する前記<1>から<19>いずれかに記載の光記録媒体である。
<21> フィルタ層が、コレステリック液晶層を2層以上積層した積層体である前記<1>から<20>のいずれかに記載の光記録媒体である。
該<21>に記載の光記録媒体においては、コレステリック液晶層を2層以上積層しており、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることなく、記録又は再生時に用いられる情報光及び参照光、更に再生光は、反射膜に到達しないので、反射面上での乱反射による拡散光が発生することを防ぐことができる。従って、この拡散光によって生じるノイズが再生像に重畳されてCMOSセンサ又はCCD上で検出されることもなく、再生像が少なくともエラー訂正可能な程度に検出することができるようになる。拡散光によるノイズ成分はホログラムの多重度が大きくなればなるほど大きな問題となる。つまり、多重度が大きくなればなるほど、例えば多重度が10以上になると、1つのホログラムからの回折効率が極めて小さくなり、拡散ノイズがあると再生像の検出が非常に困難となるのである。この構成によれば、このような困難性は除去することができ、今までにない高密度画像記録が実現できる。
<22> コレステリック液晶層が、少なくともネマチック液晶化合物及び光反応型カイラル化合物を含む前記<20>から<21>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<23> コレステリック液晶層における選択反射波長帯域が連続的である前記<20>から<22>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<24> コレステリック液晶層が、円偏光分離特性を有する前記<20>から<23>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<25> コレステリック液晶層における螺旋の回転方向が互いに同じである前記<20>から<24>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<26> コレステリック液晶層における選択反射中心波長が互いに異なる前記<20>から<25>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<27> コレステリック液晶層における選択反射波長帯域幅が100nm以上である前記<20>から<26>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<28> フィルタ層が、第一の光及び第二の光を透過し、該第一の光及び第二の光と異なる第三の光を反射する前記<1>から<27>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<29> 第一の光の波長が、350〜600nmであり、かつ第二の光の波長が600〜900nmであり、第三の光の波長が、前記第一の光の波長を基準として、±50nmの範囲外の波長である前記<28>に記載の光記録媒体である。
<30> フィルタ層内の±40°以内の光における655nmでの光透過率が、50%以上であり、かつ532nmでの光反射率が30%以上である前記<1>から<29>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<31> フィルタ層のλ〜λ/cos20°(ただし、λは照射光波長を表す)における光反射率が40%以上である前記<1>から<30>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<32> フィルタ層のλ〜λ/cos40°(ただし、λは照射光波長を表す)における光反射率が、40%以上である前記<1>から<31>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<33> フィルタ層が、ホログラフィを利用して情報を記録する光記録媒体の選択反射膜として用いられる前記<1>から<32>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<34> フィルタ層が、光反応型カイラル化合物を有し、該光反応型カイラル化合物が、キラル部位と、光反応性基とを有し、該キラル部位がイソソルビド化合物、イソマンニド化合物及びビナフトール化合物から選択される少なくとも1種である前記<1>から<33>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<35> 光反応性基が、光照射により炭素−炭素二重結合のトランスからシスへの異性化を生じる基である前記<34>に記載の光記録媒体である。
<36> 第二の基板が、サーボピットパターンを有する前記<1>から<35>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<37> サーボピットパターン表面に反射膜を有する前記<36>に記載の光記録媒体である。
<38> 反射膜が、金属反射膜である前記<37>に記載の光記録媒体である。
<39> フィルタ層と反射膜との間に、第二の基板表面を平滑化するための第一ギャップ層を有する前記<1>から<38>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<40> 記録層とフィルタ層との間に、第二ギャップ層を有する前記<1>から<39>のいずれかに記載の光記録媒体である。
【0007】
<41> 前記<1>から<40>のいずれかに記載の光記録媒体の製造方法であって、第一記録層を形成する第一記録層形成工程と、フィルタ層を形成するフィルタ層形成工程と、第二の基板に形成されたサーボピットパターン上に第二記録層を形成する第二記録層形成工程とを少なくとも含むことを特徴とする光記録媒体の製造方法である。
<42> 第二記録層上にバリア層を形成するバリア層形成工程を含む前記<41>に記載の光記録媒体の製造方法である。
<43> 第二の基板上に、コレステリック液晶層を2層以上積層した積層体からなるフィルタ層を形成するフィルタ層形成工程を含む前記<41>から<42>のいずれかに記載の光記録媒体の製造方法である。
【0008】
<44> 前記<1>から<40>のいずれかに記載の光記録媒体に対して、情報光及び参照光を照射し、情報を第一記録層に記録し、該第一記録層への記録に用いる光の波長との差が、少なくとも50nm以上の光を用いて第二記録層に情報を記録することを少なくとも含むことを特徴とする光記録方法である。
<45> 第一記録層に情報を記録した後、該記録した履歴を少なくとも含む情報を第二記録層に記録する前記<44>に記載の光記録方法である。
<46> 第二記録層に記録された第一記録層への履歴を再生し、該履歴をもとに第一記録層への記録を行う前記<44>から<45>のいずれかに記載の光記録方法である。
<47> 光記録媒体に対する情報光及び参照光の照射が、該情報光の光軸と該参照光の光軸とが同軸となるようにして行われる前記<44>から<46>のいずれかに記載の光記録方法である。
【0009】
<47> 前記<44>から<46>のいずれかに記載の光記録方法により第一記録層に記録された干渉像に参照光と同じ再生光を照射して該干渉像に対応した記録情報を再生することと、第二記録層に記録された情報を、記録時と同じ光を照射して再生することを少なくとも含むことを特徴とする光再生方法である。
<48> 第二記録層に記録された第一記録層への記録履歴を再生し、該履歴をもとに第一記録層に記録された情報を再生する前記<47>に記載の光再生方法である。
<49> 再生光が、光記録媒体の記録に用いられた参照光と同じ角度になるようにして、該再生光を干渉像に照射して記録情報を再生する前記<47>から<48>のいずれかに記載の光再生方法である。
【0010】
<50> 前記<1>から<40>のいずれかに記載の光記録媒体に対して、情報光及び参照光を照射し、情報を第一記録層に記録し、該第一記録層への記録に用いる光の波長との差が、少なくとも50nm以上の光を用いて第二記録層に情報を記録する手段を少なくとも有することを特徴とする光記録装置である。
<51> 第一記録層に情報を記録した後、該記録した履歴を少なくとも含む情報を第二記録層に記録する前記<50>に記載の光記録装置である。
<52> 第二記録層に記録された第一記録層への履歴を再生し、該履歴をもとに第一記録層への記録を行う前記<50>から<51>のいずれかに記載の光記録装置である。
【0011】
<53> 前記<1>から<40>のいずれかに記載の光記録媒体に対して、第一記録層に記録された干渉像に参照光と同じ再生光を照射して該干渉像に対応した記録情報を再生し、第二記録層に記録された情報を、記録時と同じ光を照射して再生する手段を少なくとも有することを特徴とする光再生装置である。
<54> 第二記録層に記録された第一記録層への記録履歴を再生し、該履歴をもとに第一記録層に記録された情報を再生する前記<53>に記載の光再生装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、光記録媒体の記録容量の減少を招くことなく、記録履歴などの光記録媒体の記録に関する情報などを速やかに認識し、追記録を円滑に行うことができる優れた光記録媒体及びその製造方法、並びに、光記録方法及び光再生方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(光記録媒体)
本発明の光記録媒体は、ホログラフィを利用して情報を記録する第一記録層と、第一の基板と、第二の基板と、フィルタ層とを有し、前記第二の基板に形成されたサーボピットパターン上に、記録の履歴及びその他の情報の少なくともいずれかを記録した第二記録層を有し、必要に応じて適宜選択したその他の層(例えば、第一ギャップ層、第二ギャップ層、バリア層、など)を有することが特徴である。
また、本発明の光記録媒体は、前記情報光及び参照光の照射が、該情報光の光軸と該参照光の光軸とが同軸になるようにして行われる光記録方法(コリニア方式)に用いられることが好ましい。
【0014】
<第一記録層>
前記第一記録層は、ホログラフィを利用して情報が記録され得る層であり、所定の波長の電磁波(γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、電波など)を照射すると、その強度に応じて吸光係数や屈折率などの光学特性が変化する材料が用いられる。
【0015】
前記第一記録層の材料としては、フォトポリマー及び必要に応じて適宜選択したその他の成分が含まれる。
【0016】
−フォトポリマー−
前記フォトポリマーとしては、光照射で重合反応が起こり高分子化するものや光照射で分解するものなどが挙げられ、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノマー、及び光開始剤を含有してなり、更に必要に応じて増感剤、オリゴマー、バインダー等のその他の成分を含有してなる。
【0017】
前記フォトポリマーとしては、例えば、「フォトポリマーハンドブック」(工業調査会、1989年)、「フォトポリマーテクノロジー」(日刊工業新聞社、1989年)、SPIE予稿集 Vol.3010 p354−372(1997)、及びSPIE予稿集
Vol.3291 p89−103(1998)に記載されているものなどが挙げられる。また、米国特許第5,759,721号明細書、同第4,942,112号明細書、同第4,959,284号明細書、同第6,221,536号明細書、米国特許第6,743,552号明細書、国際公開第97/44714号パンフレット、同第97/13183号パンフレット、同第99/26112号パンフレット、同第97/13183号パンフレット、特許第2880342号公報、同第2873126号公報、同第2849021号公報、同第3057082号公報、同第3161230号公報、特開2001−316416号公報、特開2000−275859号公報などに記載されているフォトポリマーなどが挙げられる。
【0018】
−モノマー−
前記モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル基やメタクリル基のような不飽和結合を有するラジカル重合型のモノマー、エポキシ環やオキセタン環のようなエーテル構造を有するカチオン重合型系モノマーなどが挙げられる。これらのモノマーは、単官能であっても多官能であってもよい。また、光架橋反応を利用したものであってもよい。
【0019】
前記ラジカル重合型のモノマーとしては、例えば、アクリロイルモルホリン、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、2−ナフト−1−オキシエチルアクリレート、2−カルバゾイル−9−イルエチルアクリレート、(トリメチルシリルオキシ)ジメチルシリルプロピルアクリレート、ビニル−1−ナフトエート、N−ビニルカルバゾール、2,4,6−トリブロムフェニルアクリレート、ペンタブロムアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなどが挙げられる。
【0020】
前記カチオン重合型系モノマーとしては、例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、グリセロールトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサングリシジルエーテル、ビニルトリメトキシシラン、4−ビニルフェニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、下記構造式(M1)〜(M6)で表される化合物などが挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
【化1】

【0022】
−光開始剤−
前記光開始剤としては、記録光に感度を有するものであれば特に制限はなく、光照射によりラジカル重合、カチオン重合、架橋反応などを引き起こす材料などが挙げられる。
前記光開始剤としては、例えば、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ジ−t−ブチルジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−ジエチルアミノフェニルベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−2−オン、ベンゾフェノン、チオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルアシルホスフィンオキシド、トリフェニルブチルボレートテトラエチルアンモニウム、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)、ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニルチタニウム〕、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、照射する光の波長に合わせて増感色素を併用してもよい。
【0023】
−増感色素−
前記増感色素としては、「Research Disclosure,Vol.200,1980年12月、Item 20036」や「増感剤」(p.160〜p.163、講談社;徳丸克己、大河原信/編、1987年)等に記載された公知の化合物を使用することができる。
【0024】
前記増感色素として、分光増感色素などが挙げられる。該分光増感色素として、例えば、特開昭58−15603号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開昭58−40302号公報に記載のチオピリリウム塩、特公昭59−28328号公報、同60−53300号公報に記載のナフトチアゾールメロシアニン化合物、特公昭61−9621号公報、同62−3842号公報、特開昭59−89303号公報、同60−60104号公報に記載のメロシアニン化合物などが挙げられる。
また、「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載された色素も挙げることができ、具体的には、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素などが挙げられる。更に、クマリン(ケトクマリン又はスルホノクマリンも含まれる。)色素、メロスチリル色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素などのケト色素;非ケトポリメチン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素、アゾ色素などの非ケト色素;アゾメチン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、トリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素などの非ケトポリメチン色素;アジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素などのキノンイミン色素なども分光増感色素に含まれる。
前記分光増感色素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
−バインダー樹脂−
前記バインダー樹脂は、塗膜性、膜強度、及びホログラム記録特性向上の効果を高める目的で使用されるものであり、ホログラム材料及び光熱変換物質との相溶性を考慮して適宜選択される。前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリビニルアルコール樹脂、ゼラチン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体;塩化ビニル、酢酸ビニルとビニルアルコール、マレイン酸及びアクリル酸の少なくともいずれかとの共重合体;塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体;塩化ビニル/アクリロニロリル共重合体;エチレン/酢酸ビニル共重合体;ニトロセルロース樹脂等のセルロース誘導体;ポリアクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ノボラック樹脂、可溶性ナイロン、ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フォルマリン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、分散性及び耐久性を更に高めるため、以上に挙げたバインダー樹脂分子中に、極性基(エポキシ基、COH、OH、NH、SOM、OSOM、PO、OPO(ただし、Mは水素原子、アルカリ金属、又はアンモニウムであり、一つの基の中に複数のMがあるときは互いに異なっていてもよい)を導入したものが好ましい。該極性基の含有量としては、バインダー樹脂1グラム当り10−6〜10−4当量が好ましい。以上列挙したバインダー樹脂は、ヘミアセタール系やイソシアネート系の公知の架橋剤を添加して硬化処理しても良い。
【0026】
前記第一記録層の固形分中のバインダーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10〜95質量%であることが好ましく、35〜90質量%であれることがより好ましい。前記含有量が、10質量%未満であると、安定な干渉像が得られないことがあり、95質量%を超えると、回折効率の点で望ましい性能が得られないことがある。
前記バインダーの感光層中における含有量は、全感光層固形分中、10〜95質量%が好ましく、35〜90質量%がより好ましい。
【0027】
−重合禁止剤及び酸化防止剤−
前記第一記録層の貯蔵安定性を改良する目的でフォトポリマーの重合禁止剤や酸化防止剤を加えてもよい。重合禁止剤、酸化防止剤としては例えば、ハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジターシヤリ−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシヤリ−ブチルフェノール)、トリフェルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、フェノチアジン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。使用量としては組成物に使用するモノマーの全量に対して3質量%以内であり、3質量%を越えると重合が遅くなるか、著しい場合は重合しなくなる。
【0028】
−第一記録層に含まれるその他の成分−
前記第一記録層の感度を向上させる目的で光熱変換材料を含有させることもできる。光熱変換材料としては、特願2005−84780号明細書の記載を参考にすることができる。
また、重合時の体積変化を緩和するため、重合成分とは逆方向へ拡散する成分を添加してもよく、あるいは、酸開裂構造を有する化合物を重合体のほかに別途添加してもよい。
【0029】
前記第一記録層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜1,000μmが好ましく、100〜700μmがより好ましい。
前記第一記録層の厚みが、前記好ましい数値範囲であると、10〜300多重のシフト多重記録を行っても十分なS/N比を得ることができ、前記より好ましい数値範囲であるとそれが顕著である点で有利である。
【0030】
<第二記録層>
前記第二記録層は、データなどの情報を記録する第一記録層とは異なり、当該光記録媒体に記録した際の記録履歴などを記録する層であり、有機色素材料及び相変化材料の少なくともいずれかを含み、必要に応じて適宜選択したその他の材料からなる。
前記第二記録層は、消去やオーバーライト(書き換え)ができない追記型であるライトワンス(WORM=Write Once Read Many)タイプが好ましく、形成が容易なことから、色素系材料である有機色素材料を用いることが好ましい。
前記第二記録層に、前記記録履歴及びその他の情報などを記録することにより、光記録媒体の記録容量の減少を招くことなく、かつ、前記第一記録層の未記録部分などに悪影響を与えることなく、追加記録の際に、速やかに追加記録スタート位置を認識でき、前記第一記録層への追記録を円滑に行うことができる。
【0031】
−有機色素材料−
前記有機色素材料は、前記レーザ光を照射した部分の色素が変化する材料であり、色素変化を利用してデータなどの情報を記録することができる。
前記有機色素材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、シアニン色素、アゾ色素、フタロシアニン色素、及びオキソノール色素から選択される少なくともいずれか1種を含むのが好ましい。
より具体的には、例えば、記録に用いるレーザ光の波長が780nmの場合、シアニン色素、フタロシアニン色素などが好ましい。前記波長が650nmの場合、アゾ色素、オキソノール色素などが好ましい。前記波長が405nmの場合、シアニン色素、フタロシアニン色素などが好ましい。
【0032】
前記オキソノール色素の具体例としては、F.M.Harmer著、Heterocyclic Compounds−Cyanine Dyes and Related Compounds、John&Wiley&Sons、New York、London、1964年刊に記載のもの等が挙げられる。このようなオキソノール色素の中でも、下記一般式(1)で表される構造ものが好ましい。
【0033】
【化2】

【0034】
前記一般式(1)中、Za1及びZa2は、各々独立に酸性核を形成する原子群を表す。Za1、Za2の具体例は、「James編、The Theory of the Photographic Process、第4版、マクミラン社、1977年、第198頁」により定義される。
【0035】
具体的には、ピラゾール−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、イミダゾリン−5−オン、ヒダントイン、2又は4−チオヒダントイン、2−イミノオキサゾリジン−4−オン、2−オキサゾリン−5−オン、2−チオオキサゾリン−2,4−ジオン、イソローダニン、ローダニン、5,6員の炭素環(例えば、インダン−1,3−ジオン)、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、インドリン−2−オン、インドリン−3−オン、2−オキソインダゾリウム、5,7−ジオキソ−6,7−ジヒドロチアゾロ〔3,2−a〕ピリミジン、3,4−ジヒドロイソキノリン−4−オン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(例えば、メルドラム酸)、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、クマリンー2,4−ジオン、インダゾリン−2−オン、ピリド[1,2−a]ピリミジン−1,3−ジオン、ピラゾロ〔1,5−b〕キナゾロン、ピラゾロピリドン、3−ジシアノメチリデニル−3−フェニルプロピオニトリル、メルドラム酸などの核などが挙げられる。これらの中でも、ピラゾール−5−オン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、1,3−ジオキサン−4,6−ジオンが好ましい。
【0036】
Ma1、Ma2、Ma3は各々独立に、置換又は無置換のメチン基を表す。Ma1、Ma2、Ma3を置換する置換基は、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のヘテロ環基、ハロゲン原子、カルボキシル基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、シアノ基、置換又は無置換のアシル基、置換又は無置換のカルバモイル基、アミノ基、置換アミノ基、スルホ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、置換又は無置換のスルホニルアミノ基、置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基、置換又は無置換のアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリールスルホニル基、置換又は無置換のスルフィニル基及び置換又は無置換のスルファモイル基を表す。
【0037】
上記置換基としては、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換又は無置換の炭素数2〜20のヘテロ環基、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換又は無置換の炭素数6〜20のアリール基、ハロゲン原子が好ましく、置換又は無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換又は無置換の炭素数2〜10ヘテロ環基、ハロゲン原子がより好ましく、無置換の炭素数1〜5のアルキル基、無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換又は無置換の炭素数2〜6のヘテロ環基及びハロゲン原子が特に好ましい。
【0038】
Ma1、Ma2、Ma3は、無置換のメチン基、又は無置換の炭素数1〜5のアルキル基、無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換又は無置換の炭素数2〜6のヘテロ環基及びハロゲン原子で置換されたメチン基が好ましい。
【0039】
kaは、0から3までの整数を表わし、より好ましくは1又は2の整数を表す。kaが2以上のとき、複数存在するMa1、Ma2は同じでも異なってもよい。
【0040】
前記一般式(1)中のQは、電荷を中和するイオンを表し、yは電荷の中和に必要なQの数を表す。
【0041】
ある化合物が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するか否かは、その化合物の置換基に依存する。一般式(1)においてQで表されるイオンは、対する色素分子の電荷に応じて、陽イオンを表す場合と、陰イオンを表す場合があり、また、色素分子が無電荷の場合には、Qは存在しない。Qとして表されるイオンには特に制限は無く、無機化合物よりなるイオンであっても、有機化合物よりなるイオンであってもよい。また、Qとして表されるイオンの電荷は1価であっても多価であってもよい。
【0042】
前記Qで表される陽イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオンのような金属イオン、4級アンモニウムイオン、オキソニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオン、セレノニウムイオン、ヨードニウムイオンなどのオニウムイオンが挙げられる。
【0043】
一方、Qで表される陰イオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオンのようなハロゲン陰イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオンなどのヘテロポリ酸イオン、琥珀酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、芳香族ジスルホン酸イオンのような有機多価陰イオン、四フッ化ホウ酸イオン、六フッ化リン酸イオンなどが挙げられる。
【0044】
前記Qで表される陽イオンとしては、オニウムイオンが好ましく、4級アンモニウムイオンがより好ましい。4級アンモニウムイオンの中でも、特開2000−52658号公報の一般式(I−4)で表される4,4’−ビピリジニウム陽イオン及び特開2002−59652号公報に開示されている4,4’−ビピリジニウム陽イオンがより好ましい。
【0045】
前記一般式(1)で表される色素の中でも、Qで表されるイオンとしては、下記一般式(2)で表される構造であるものが好ましい。
【0046】
【化3】

【0047】
前記一般式(2)中、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19、R20は、各々独立に水素原子又は、1価の置換基を表す。R13、R18は、各々独立に、1価の置換基を表す。
【0048】
前記1価の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基などが挙げられる。
【0049】
更に詳しくは、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19、R20は、各々独立に、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。これらは、アルキル基(炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシルが好ましい。)、シクロアルキル基(炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシルが好ましい。)、ビシクロアルキル基(炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イルが好ましい。)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えば、アルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。これらは、アルケニル基(炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイルが好ましい。)、シクロアルケニル基(炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルが好ましい。)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基が好ましい。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(炭素数2から30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニルが好ましい。)、アリール基(炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えば、フェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニルが好ましい。)、ヘテロ環基(5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基が好ましく、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基がより好ましい。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシが好ましい。)、アリールオキシ基(炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシが好ましい。)、シリルオキシ基(炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシが好ましい。)、ヘテロ環オキシ基(炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシが好ましい。)、アシルオキシ基(ホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシが好ましい。)、カルバモイルオキシ基(炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシが好ましい。)、アルコキシカルボニルオキシ基(炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えば、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシが好ましい。)、アリールオキシカルボニルオキシ基(炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシが好ましい。)、アミノ基(アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノが好ましい。)、アシルアミノ基(ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノが好ましい。)、アミノカルボニルアミノ基(炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノが好ましい。)、アルコキシカルボニルアミノ基(炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノが好ましい。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノが好ましい。)、スルファモイルアミノ基(炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノが好ましい。)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノが好ましい。)、メルカプト基、アルキルチオ基(炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオが好ましい。)、アリールチオ基(炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオが好ましい。)、ヘテロ環チオ基(炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオが好ましい。)、スルファモイル基(炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピルが好ましい。)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニルが好ましい。)、アルキル及びアリールスルホニル基(炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニルが好ましい。)、アシル基(ホルミル基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニルが好ましい。)、アリールオキシカルボニル基(炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニルが好ましい。)、アルコキシカルボニル基(炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニルが好ましい。)、カルバモイル基(炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイルが好ましい。)、アリール及びヘテロ環アゾ基(炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾが好ましい。)、イミド基(N−スクシンイミド、N−フタルイミドが好ましい。)、ホスフィノ基(炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノが好ましい。)、ホスフィニル基(炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニルが好ましい。)、ホスフィニルオキシ基(炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシが好ましい。)、ホスフィニルアミノ基(炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノが好ましい。)、シリル基(炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリルが好ましい。)を表す。
【0050】
前記官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り、更に上記の基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基などが挙げられる。
【0051】
11、R12、R14、R15、R16、R17、R19、R20は、全て水素原子が好ましい。R13、R18はそれぞれ独立に、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基が好ましい。その中でも、置換又は無置換のアリール基がより好ましい。更には、置換アリール基が好ましい。R13、R18が置換アリール基である場合の置換基は、ヒドロキシル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のアルキル基、ハロゲン原子が好ましい。
【0052】
前記オキソノール色素の構造としては、下記一般式(3)で表される構造が最も好ましい。
【0053】
【化4】

【0054】
前記一般式(3)中、R1、R2、R3、R4は、各々独立に、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基を表す。R1とR2、R3とR4は、互いに結合して、環構造を形成してもよい。
【0055】
また、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30は、各々独立に、水素原子又は、置換基をあらわす。R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30のうち、隣接する2つの置換基が、互いに結合し、環構造を形成してもよい。
【0056】
前記置換基の例としては、前述の一般式(2)のR11、R12、R14、R15、R16、R17、R19、R20で述べたものと同一のものを挙げることができる。
【0057】
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30としては、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ハロゲン原子、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のアルキル基が好ましい。
【0058】
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30の好ましい例としては、R23、R28がヒドロキシル基で、かつ、R22、R27が置換又は無置換のフェニル基であり、その他が水素原子であるものがより好ましい。
【0059】
以下に、前記一般式(1)(前記一般式(3)に相当する構造も含む)で表される化合物の好ましい具体例(色素1〜34)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、色素1〜6は下記一般式(4)の具体例であり、色素7〜12は下記一般式(5)の具体例であり、色素13〜16は下記一般式(6)の具体例であり、色素17〜21は下記一般式(7)の具体例である。
【0060】
【化5】

【0061】
【化6】

【0062】
【化7】

【0063】
【化8】

【0064】
【化9】

【0065】
【化10】

【0066】
【化11】

【0067】
【化12】

【0068】
【化13】

【0069】
なお、前記オキソノール色素として、他に、以下に説明するオキソノール系色素A及びBを使用してもよい。オキソノール色素Aとしては、下記一般式(8)で表される化合物が好ましい。
【0070】
【化14】

【0071】
前記一般式(8)中、R11、R12、R13、R14は、それぞれ独立に水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、及び置換又は無置換のヘテロ環基のいずれかを表し、R21、R22、R3は水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のヘテロ環基、ハロゲン原子、カルボキシル基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、シアノ基、置換又は無置換のアシル基、置換又は無置換のカルバモイル基、アミノ基、置換アミノ基、スルホ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換又は無置換のカルバモイルアミノ基、置換又は無置換のアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリールスホニル基、置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、置換又は無置換のアリールスルフィニル基及び置換又は無置換のスルファモイル基のいずれかを表す。mは0以上の整数を表し、mが2以上の場合は複数のR3は同じでも異なってもよい。Zx+は陽イオンを表し、xは1以上の整数を表す。
【0072】
前記一般式(8)中のR11、R12、Rl3、R14は、それぞれ独立に水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、及び置換又は無置換のヘテロ環基のいずれかを表す。R11、R12、R13、R14で表される置換又は無置換のアルキル基としては、炭素数が1〜20のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、プチル、i−ブチル、t−ブチル、i−アミル、シクロプロピル、シクロへキシル、ベンジル、フェネチル)などが挙げられる。また、R11、R12、R13、R14が各々アルキル基を表す場合には、それらが互いに連結して炭素環(例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、2−メチルシクロへキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなど)又は複素環(例えば、ピペリジル、クロマニル、モルホリルなど)を形成していてもよい。R11、R12、R13、R14で表されるアルキル基として、炭素数1〜8の、鎖状アルキル基又は環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜5の鎖状(直鎖状又は分岐鎖状)アルキル基、R11とR12及びR13とR14がそれぞれ結合して環をなした炭素数1〜8の環状アルキル基(好ましくはシクロへキシル環)、炭素数1〜20の置換アルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル)がより好ましい。
【0073】
前記一般式(8)中のR11、R12、R13、R14で表される置換又は無置換のアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル)などが挙げられる。R11、R12、R13、R14で表されるアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
【0074】
前記一般式(8)中のR11、R12、R13、R14で表される置換又は無置換のヘテロ環基は、炭素原子、窒素原子、酸素原子、あるいは硫黄原子から構成される5〜6員環の飽和又は不飽和のヘテロ環基であり、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、ピペリジル基、トリアジル基、ピロリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、フラニル基、チオフェニル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基などが挙げられる。またこれらがベンゾ縮環したもの(例えば、キノリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾキサゾリル基など)でもよい。R11、R12、R13、R14で表される置換又は無置換のヘテロ環基としては、炭素数6〜10の置換又は無置換のヘテロ環基が好ましい。
【0075】
前記一般式(8)中のR11、R12、R13、R14で表される置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、及び置換又は無置換のヘテロ環基の置換基としては、後述の置換基群Sが挙げられる。
【0076】
前記Sで示される置換基群としては、炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、カルボキシメチル、エトキシカルボニルメチル)、炭素数7〜20のアラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル)、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、炭業数6〜20のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフトキシ)、ヘテロ環基(例えば、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル、スクシンイミド、フタルイミド、マレイミド)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素)、カルボキシル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、シアノ基、炭素教2〜10のアシル基(例えば、アセチル、ピバロイル)、炭素数1〜10のカルバモイル(例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、モルホリノカルバモイル)、アミノ基、炭素数1〜20の置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ビス(メチルスルホニルエチル)アミノ、N−エチル−N’−スルホエチルアミノ)、スルホ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭業数1〜10のアルキルスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ)、炭素数1〜10のカルバモイルアミノ基(例えば、カルバモイルアミノ、メチルカルバモイルアミノ)、炭素数1〜10のスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル)、炭素数1〜10のスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル)、及び炭素数0〜10のスルファモイル基(例えば、スルファモイル、メタンスルファモイル)が含まれる。カルボキシル基及びスルホ基の場合にはそれらは塩の状態であってもよい。
【0077】
前記一般式(8)中のR21、R22、R3は、それぞれ独立に水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のヘテロ環基、ハロゲン原子、カルボキシル基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、シアノ基、置換又は無置換のアシル基、置換又は無置換のカルバモイル基、アミノ基、置換アミノ基、スルホ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換又は無置換のカルバモイルアミノ基、置換又は無置換のアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリールスルホニル基、置換又は無置換のスルフィニル基及び置換又は無置換のスルファモイル基のいずれかを表す。R21、R22、R3としては、水素原子、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換又は無置換の炭素数2〜20のヘテロ環基、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換又は無置換の炭素数6〜20のアリール基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、置換又は無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換又は無置換の炭素数2〜10ヘテロ環基、ハロゲン原子がより好ましく、水素原子、無置換の炭素数1〜5のアルキル基、無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換又は無置換の炭素数2〜6のヘテロ環基及びハロゲン原子が特に好ましい。R21、R22、R3は更に置換基を有しても良く、置換基としては前述の置換基群Sなどが挙げられる。mが0であり、R21、R22が両方とも水素原子であることが好ましい。また、mが1であり、R21、R22、R3がいずれも水素原子であることが好ましい。
【0078】
前記一般式(8)中のmは、0以上の整数を表し、0〜5(0以上5以下)の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましく、0〜2の整数が特に好ましい。
【0079】
前記一般式(8)において、上記mが2以上の場合、複数のR3は同じでも異なってもよく、それぞれ独立に水素原子又は前記の置換基を表す。
【0080】
前記一般式(8)において、Zx+は陽イオンを表し、xは1以上の整数を表す。
x+で表される陽イオンとしては、第4級アンモニウムイオンが好ましく、特開2000−52658号公報の一般式(I−4)で表される4,4’−ビピリジニウム陽イオン及び特2002−59652号公報に開示されている4,4’−ビピリジニウム陽イオンがより好ましい。一般式(8)においてxは1又は2が好ましい。
【0081】
以下に、前記一般式(8)で表される化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0082】
【化15】

【0083】
【化16】

【0084】
【化17】

【0085】
【化18】

【0086】
【化19】

【0087】
【化20】

【0088】
【化21】

【0089】
【化22】

【0090】
【化23】

【0091】
【化24】

【0092】
【化25】

【0093】
【化26】

【0094】
【化27】

【0095】
【化28】

【0096】
【化29】

【0097】
【化30】

【0098】
【化31】

【0099】
次に、前記オキソノール色素Bとして好適な例を挙げて説明する。当該オキソノール色素Bは、下記一般式(9)で表される化合物が好ましい。
【0100】
【化32】

【0101】
前記一般式(9)中、Za25、Za26は、各々独立に、酸性核を形成する原子群であり、その例としては、James 編、The Theory of the Photographic Process、第4版、マクミラン社、1977年、第198頁に記載されている。具体的には、各々、置換されてもいてもよいピラゾール−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、イミダゾリン−5−オン、ヒダントイン、2又は4−チオヒダントイン、2−イミノオキサゾリジン−4−オン、2−オキサゾリン−5−オン、2−チオオキサゾリン−2,4−ジオン、イソローダニン、ローダニン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、インドリン−2−オン、インドリン−3−オン、2−オキソインダゾリウム、5,7−ジオキソ−6,7−ジヒドロチアゾロ〔3,2−a〕ピリミジン、3,4−ジヒドロイソキノリン−4−オン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(例えば、メルドラム酸など)、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、クマリンー2,4−ジオン、インダゾリン−2−オン、ピリド[1,2−a]ピリミジン−1,3−ジオン、ピラゾロ〔1,5−b〕キナゾロン、ピラゾロピリドン、5又は6員の炭素環(例えば、ヘキサン−1,3−ジオン、ペンタン−1,3−ジオン、インダン−1,3−ジオン)などの核などが挙げられる。これらの中でも、ピラゾール−5−オン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、1,3−ジオキサン−4,6−ジオンが好ましい。
Za25、Za26は、各々、置換されていてもよい1,3−ジオキサン−4,6−ジオンがより好ましい。
【0102】
前記酸性核を置換する置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、又はシリル基が例として挙げられる。その中でも、炭素数1から20の置換もしくは無置換のアルキル基、又は炭素数6から20の置換もしくは無置換のアリール基が好ましい。
前記酸性核としては、無置換又は、炭素数1から20の置換もしくは無置換のアルキル基で置換されたもの、炭素数6から20の置換もしくは無置換のアリール基で置換されたものが好ましい。
【0103】
Za25、Za26が形成する酸性核としては、好ましくは、インダンジオン、ピラゾロン、ピラゾリンジオン、ベンゾチオフェンオンジオキシドである。その中でも、ピラゾロンが最も好ましい。
【0104】
Ma27、Ma28、Ma29は、各々独立に、置換又は無置換のメチン基であり、置換基としては、炭素数1から20のアルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル)、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素)、炭素数1から20のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピル)、炭素数6から26のアリール基(例えば、フェニル、2−ナフチル)、炭素数0から20のヘテロ環基(例えば、2−ピリジル、3−ピリジル)、炭素数6から20のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ、2−ナフトキシ)、炭素数1から20のアシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、炭素数1から20のカルバモイル基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイル)、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1から20のアルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基などが好ましい。また、他のメチン基と結合して環構造を形成してもよく、Za21からZa26で表される原子団と結合して環構造を形成してもよい。
Ma27、Ma28、Ma29は、各々独立に、無置換、エチル基、メチル基、フェニル基で置換されたメチン基のいずれか好ましく、無置換のメチン基がより好ましい。
【0105】
Ka23は、0から3までの整数を表す。Ka23が2又は3であるとき、複数存在するMa27、Ma28、Ma29は、同じでも異なっていてもよい。Ka23は、共に2であるものが好ましい。Qは、電荷を中和する陽イオンを表す。
【0106】
前記一般式(9)で表される構造の色素のうち、特に、下記一般式(10)、(11)、(12)、(13)で表されるものが好ましい。
【0107】
【化33】

【0108】
前記一般式(10)、(11)、(12)、(13)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R32、R33(以上を「R」と表示することあり)は、各々独立に、水素原子又は、置換基を表す。該置換基としては、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、置換もしくは無置換のアルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のシリルオキシ基、置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換もしくは無置換のアシルオキシ基、置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ、置換もしくは無置換のアミノ基(アニリノ基を含む)、置換もしくは無置換のアシルアミノ基、置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、置換もしくは無置換のメルカプト基、置換もしくは無置換のアルキルチオ基、置換もしくは無置換のアリールチオ基、置換又は無置換のヘテロ環チオ基、置換又は無置換のスルファモイル基、スルホ基、置換もしくは無置換のアルキル及びアリールスルフィニル基、置換もしくは無置換のアルキル及びアリールスルホニル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のアリール及びヘテロ環アゾ基、置換もしくは無置換のイミド基、置換もしくは無置換のホスフィノ基、置換もしくは無置換のホスフィニル基、置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、又は置換もしくは無置換のシリル基が例として挙げられる。
【0109】
更に詳しくは、Rは、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり、二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(炭素数2から30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基が好ましい。)、アリール基(炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えば、フェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニルが好ましい。)、ヘテロ環基(5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基が好ましく、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基がより好ましい。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリルが好ましい。)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシが好ましい。)、アリールオキシ基(炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシが好ましい。)、シリルオキシ基(炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシが好ましい。)、ヘテロ環オキシ基(炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシが好ましい。)、アシルオキシ基(ホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシが好ましい。)、カルバモイルオキシ基(炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシが好ましい。)、アルコキシカルボニルオキシ基(炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシが好ましい。)、アリールオキシカルボニルオキシ基(炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシが好ましい。)、アミノ基(アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノが好ましい。)、アシルアミノ基(ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノが好ましい。)、アミノカルボニルアミノ基(炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノが好ましい。)、アルコキシカルボニルアミノ基(炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノが好ましい。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノが好ましい。)、スルファモイルアミノ基(炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノが好ましい。)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノが好ましい。)、メルカプト基、アルキルチオ基(炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオが好ましい。)、アリールチオ基(炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオが好ましい。)、ヘテロ環チオ基(炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオが好ましい。)、スルファモイル基(炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイルが好ましい。)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニルが好ましい。)、アルキル及びアリールスルホニル基(炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニルが好ましい。)、アシル基(ホルミル基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニルが好ましい。)、アリールオキシカルボニル基(炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニルが好ましい。)、アルコキシカルボニル基(炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニルが好ましい。)、カルバモイル基(炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイルが好ましい。)、アリール及びヘテロ環アゾ基(炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾが好ましい。)、イミド基(N−スクシンイミド、N−フタルイミドが好ましい。)、ホスフィノ基(炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノが好ましい。)、ホスフィニル基(炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニルが好ましい。)、ホスフィニルオキシ基(炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシが好ましい。)、ホスフィニルアミノ基(炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノが好ましい。)、シリル基(炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリルが好ましい。)を表す。
【0110】
前記一般式(10)、及び一般式(11)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28としては、水素原子が好ましい。
31、R34、R41、R42、R43、R44は、置換基としては、前記Rと同じものが挙げられ、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基が好ましい。その中でも、置換又は無置換のアリール基がより好ましい。
Ma27、Ma28、Ma29は、各々独立に、置換又は無置換のメチン基である。前記一般式(2)のMa27、Ma28、Ma29と同義であり、その具体例及び好ましいものも同様である。Ka23は、各々独立に、0から3までの整数を表す。Qは、電荷を中和する一価の陽イオンを表す。Ka23が2又は3であるとき、複数存在するMa27、Ma28は、同じでも異なっていてもよい。
【0111】
以下に、前記一般式(9)で表される化合物の好ましい具体例(化合物(9)−1〜(9)−25)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0112】
【化34】

【0113】
【化35】

【0114】
【化36】

【0115】
【化37】

【0116】
【化38】

【0117】
前記オキソノール色素は、該当する活性メチレン化合物とメチン源(メチン染料にメチン基を導入するために用いられる化合物)との縮合反応によって合成することができる。この種の化合物についての詳細は、特公昭39−22069号、同43−3504号、同52−38056号、同54−38129号、同55−10059号、同58−35544号、特開昭49−99620号、同52−92716号、同59−16834号、同63−316853号、同64−40827号各公報、ならびに英国特許第1133986号、米国特許第3247127号、同4042397号、同4181225号、同5213956号、同5260179号各明細書を参照することができる。また、特開昭63−209995号公報、特開平10−309871号公報、特開2002−249674号公報にも記載されている。
【0118】
前記一般式(1)及び(3)等で示されるオキソノール色素は、単独で用いてもよく、あるいは二種以上を併用してもよい。また、既述のオキソノール色素とこれ以外の色素化合物とを併用してもよい。併用する色素は、アゾ色素(金属イオンとの錯体化したものを含む)、ピロメテン色素、シアニン色素等が例として挙げられる。
【0119】
前記第二記録層に用いる色素としては、熱分解温度が100〜350℃の範囲にあるものが好ましく、150〜300℃の範囲にあるものがより好ましく、200℃から300℃の範囲にあるものが特に好ましい。
【0120】
前記第二記録層に用いる色素(「既述のオキソノール色素」又は「既述のオキソノール色素及びこれと併用する色素」)のアモルファス膜の光学特性上、複素屈折率の係数n(実部:屈性率)、k(虚部:消衰係数)は、2.0≦n≦3.0、0.005≦k≦0.30が好ましく、2.1≦n≦2.7、0.01≦k≦0.15がより好ましく、2.15≦n≦2.50、0.03≦k≦0.10が特に好ましい。
【0121】
−相変化材料−
前記相変化材料は、前記レーザ光を照射した部分の結晶構造が変化する材料であり、かかる変化を利用してデータを記録することができる。
前記相変化材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Ag−In−Sb−Te系、Ge−Sb−Te系、カルコゲン系、などが挙げられる。これらの中でも、カルコゲン系が好ましく、Te、Se、TeO、TeCなどのカルコゲナイドのいずれか1種を少なくとも含むのが特に好ましい。
【0122】
前記第二記録層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10〜500nmが好ましく、20〜200nmがより好ましく、30〜150nmが特に好ましい。前記厚みが、10nm未満であると、充分な記録特性が得られないことがあり、500nmを超えると、光の反射率が悪くなることがある。
前記厚みは、最も厚い部分と、最も薄い部分を含めた算術平均厚みをいう。
【0123】
<バリア層>
前記バリア層は、ギャップ層やフィルタ層と前記第二記録層が直接接触する際に、前記第二記録層を構成する色素と前記ギャップ層やフィルタ層を構成する成分とが混和し、保存性などが低下することを防止するために設けられる。
前記バリア層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機酸化物が好ましい。前記無機酸化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、「酸化亜鉛と酸化ガリウムとの混合物(複合酸化物(ZnO−Ga23)ともいう」、「酸化タンタル」、及び「酸化ニオブ」などが挙げられる。これらの中でも、酸化亜鉛と酸化ガリウムとの混合物が好ましい。前記列挙した金属酸化物は、色素や粘着剤、接着剤との混和、拡散が少なく、色素と粘着剤や接着剤との混和をより確実に、かつ、長期にわたって防ぐことができる。
前記無機酸化物のターゲットとしては、比抵抗が0.1Ω・cm以下のものが好ましい。前記比抵抗であれば、DCスパッタリング法、又はDCパルススパッタリング法により前記バリア層を形成することができる。その結果、生産性の高い光情報記録媒体とすることができる。前記比抵抗としては、2×10-2〜1×10-5Ω・cmであることが好ましく、1×10-3〜1×10-5Ω・cmであることがより好ましい。前記ターゲットの導電性の観点からは、比抵抗は小さいほうが好ましいが、比抵抗が小さすぎるとターゲットがもろくなるため、上記範囲が適当である。
前記バリア層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1〜500nmが好ましく、5〜100nmがより好ましく、10〜50nmが特に好ましい。前記厚みが、1nm未満であると、充分なバリア効果が得られないことがあり、500nmを超えるとバリア層形成時の成膜時間がかかり過ぎることがある。
【0124】
<第一の基板>
前記第一の基板は、図3及び図4に示すように、記録層4の表面に積層され、記録層4の表面を保護するとともに、光記録媒体21の機械的強度メンバーとして作用する支持体でもある。
【0125】
前記第一の基板としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ディスク形状、カード形状平板状、シート状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記光記録媒体の大きさなどに応じて適宜選択することができる。また、記録及び再生に用いる光が第一の基板を通して入射する場合には、用いる光の波長領域で十分に透明であることが必要であり、光透過率としては、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。前記光透過率が、70%未満であると、信号の読み取り精度が低下することがあり、また前記光透過率は高いほど好ましいが、99.9%超を求めると、生産効率が低下することがある。
【0126】
前記第一の基板の材料としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機材料及び有機材料のいずれをも好適に用いることができる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、などが挙げられる。これらの中でも、精度の点から、ガラスが好適である。
前記有機材料としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、成形性、剥離性、コストの点から、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0127】
前記第一の基板としては、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記第一の基板の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5〜1,200μmが好ましく、100〜700μmがより好ましい。前記第一の基板の厚みが、5μm未満であると、記録層を保護する役割が低下することがあり、1,200μmを超えると、ディスク表面から記録層、ピットが形成された層までの距離が遠くなり、記録再生の光の焦点距離が長すぎることがある。
【0128】
<第二の基板>
前記第二の基板は、前記第一の基板と対向配置され、最外層に位置し、光記録媒体へ記録するための前記情報光及び参照光の照射位置に関する情報が形成されるとともに、前記光記録媒体の機械的強度メンバーとして作用する支持体としての機能を有する。
【0129】
前記第二の基板は、その形状、構造、大きさ等については、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ディスク形状、カード形状などが挙げられ、光記録媒体の機械的強度を確保できる形状のものを選定する必要があるが、前記第一の基板と外形状が同形状であることが好ましい。また、記録及び再生に用いる光が基板を通して入射する場合には、用いる光の波長領域で十分に透明であることが必要であり、光透過率としては、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。前記光透過率が、70%未満であると、信号の読み取り精度が低下することがあり、また前記光透過率は高いほど好ましいが、99.9%超を求めると、生産効率が低下することがある。
前記第二の基板の材料としては、通常、ガラス、セラミックス、樹脂、などが用いられるが、成形性に優れ、コストの点からも樹脂が特に好適である。また、精度の点から、ガラスも好適である。
前記樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂及びウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成形性、光学特性、コストの点から、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂が特に好ましい。
前記第二の基板としては、前記第一の基板と同様に、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
【0130】
前記第二の基板における光照射位置に関する情報としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラッキング情報、フォーカス情報、アドレス情報、ディスク条件情報などが挙げられる。
前記トラッキング情報は、例えば、ウォブルピット、ウォブルグルーブ、トラッキングピットなどが挙げられる。
前記フォーカス情報は、例えば、該第二の基板表面に形成した反射膜、フォーカス用ミラー部分、フォーカス用ピットなどが挙げられる。
アドレス情報は、例えば、前記ウォブルピット上に形成した凹凸、エンコードしたピット列、ウォブル変調信号などが挙げられる。
前記各情報を複合的に形成してもよい。例えば、半径方向に線状に延びる複数の位置決め領域としてのアドレス−サーボエリアを所定の角度間隔で設け、隣り合うアドレス−サーボエリア間の扇形の区間をデータエリアとしてもよい。該アドレス−サーボエリアには、サンプルドサーボ方式によってフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行うための情報とアドレス情報とが、予めエンボスピット(サーボピット)等によってサーボピットパターンを記録することにより形成してもよい(プリフォーマット)。
なお、光記録媒体がカード形状の場合には、サーボピットパターンは無くてもよい。
【0131】
前記第二の基板には、半径方向に線状に延びる複数の位置決め領域としてのアドレス−サーボエリアが所定の角度間隔で設けられ、隣り合うアドレス−サーボエリア間の扇形の区間がデータエリアになっている。アドレス−サーボエリアには、サンプルドサーボ方式によってフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行うための情報とアドレス情報とが、予めエンボスピット(サーボピットパターン)等によって記録されている(プリフォーマット)。なお、フォーカスサーボは、反射膜の反射面を用いて行うことができる。トラッキングサーボを行うための情報としては、例えば、ウォブルピットを用いることができる。なお、光記録媒体がカード形状の場合には、サーボピットパターンは無くてもよい。
【0132】
−サーボ用光−
前記サーボ用光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記情報光及び参照光とは異なる波長が好ましい。具体的には、350〜500nm、620〜700nm、及び750〜1,000nmのいずれかであるのが好ましく、390〜440nm、640〜690nm、及び770〜900nmのいずれかであるのがより好ましく、400〜420nm、650〜680nm、及び780〜830nmのいずれかであるのが更に好ましく、これらの中でも、405、650、780nmのいずれかであるのが特に好ましく、405nmであるのが最も好ましい。
【0133】
−サーボピットパターン−
前記サーボピットパターンのトラックピッチとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サーボ用光の波長が620〜700nmの場合、前記トラックピッチは0.85〜30μmが好ましく、1.1〜20μmがより好ましく、1.3〜10μmが特に好ましく、1.5〜2μmが最も好ましい。前記トラックピッチが0.85μm未満であると、記録層の途中の光の散乱でトラッキングが不安定になることがあり、30μmを超えると記録密度が下がることがある。
DVD(記録時の光の波長が650nm近傍)では前記トラックピッチは0.74μmとされているが、ホログラムを記録する前記第一記録層がある場合、途中の光の散乱でトラッキングが不安定になることがあるため、0.74μmより広いピッチであることが好ましい。
前記サーボ用光の波長が750〜1,000nmの場合、前記トラックピッチは1.7〜30μmが好ましく、1.9〜20μmがより好ましく、2.3〜5μmが特に好ましい。前記トラックピッチが1.7μm未満であると、記録層の途中の光の散乱でトラッキングが不安定になることがあり、30μmを超えると記録密度が下がることがある。
CD(記録時の光の波長が780nm近傍)では前記トラックピッチは1.6μmとされているが、ホログラムを記録する前記第一記録層がある場合、途中の光の散乱でトラッキングが不安定になることがあるため、1.6μmより広いピッチであることが好ましい。
前記サーボ用光の波長が350〜500nmの場合、前記トラックピッチは0.4〜30μmが好ましく、0.6〜20μmがより好ましく、0.8〜5μmが特に好ましく、1〜2μmが最も好ましい。前記トラックピッチが0.4μm未満であると、記録層の途中の光の散乱でトラッキングが不安定になることがあり、30μmを超えると記録密度が下がることがある。
CD(記録時の光の波長が405nm近傍)では前記トラックピッチは0.32〜0.4μmとされているが、ホログラムを記録する前記第一記録層がある場合、途中の光の散乱でトラッキングが不安定になることがあるため、0.32〜0.4μmより広いピッチであることが好ましい。
【0134】
前記サーボピットパターンの溝深さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サーボ用光の波長をλとすると、前記溝深さは、λ/(10n)〜λ/(3n)が好ましく、λ/(8n)〜λ/(4n)がより好ましく、λ/(7n)〜λ/(5n)が更に好ましい。nは、サーボピットパターンのピット部の媒体屈折率、即ち、ピット部の光入射面側の材料の屈折率を表す。
前記λが650nmであり、nが1.6の場合は、前記溝深さは41〜135nmが好ましい。通常、nが多少変動したとしても、650nmの場合、50〜120nmが好ましく、60〜110nmがより好ましく、80〜100nmが特に好ましい。他の波長の場合は、前記溝深さは、波長に比例した値であることが好ましい。例えば、サーボ用光の波長が780nmであり、nが1.6の場合は、49〜163nmが好ましく、前記サーボ用光の波長が405nmであり、nが1.6の場合は、25〜84nmが好ましい。
【0135】
前記サーボピットパターンの溝幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通常のCD、DVD、BD・HD DVDの幅よりは広いことが好ましい。具体的には、前記サーボ用光の波長が650nmの場合は、0.25〜1.05μmが好ましく、0.35〜0.95μmがより好ましく、0.45〜0.85μmが特に好ましく、0.55〜0.75が最も好ましい。
前記サーボ用光の波長が780nmの場合は、0.45〜2μmが好ましく、0.6〜1.6μmがより好ましく、0.8〜1.3μmが特に好ましく、1.0〜1.1が最も好ましい。
前記サーボ用光の波長が405nmの場合は、0.2〜1.0μmが好ましく、0.25〜0.8μmがより好ましく、0.3〜0.6μmが特に好ましく、0.35〜0.5が最も好ましい。
【0136】
前記サーボピットパターンには、プリレコードとして、予めマスタリング時(光記録媒体の作製時)に前記その他の情報などをピットやグルーブで記録しておくことが好ましい。
前記ピットや前記グルーブで記録する場合、CD、DVD、BD・HD DVDと同等の密度、即ち、標準容量である0.7、4.7、15、25GB/ディスクで記録してもよいが、それらの密度より低い密度で記録する方が、再生時にデータの読み誤りが発生しない点で好ましい。具体的には、前記記録密度は上記標準容量の1/50〜2/3が好ましく、1/20〜1/2がより好ましく、1/10〜1/4が特に好ましい。
前記その他の情報として、アドレスを記録する場合は、ウォブルで記録するのが好ましい。前記ウォブル幅は、5〜200nmが好ましく、10〜100nmがより好ましく、20〜30nmが特に好ましい。
【0137】
前記サーボピットパターンの角度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、25〜90度が好ましく、35〜80がより好ましく、40〜70が特に好ましく、45〜60が最も好ましい。なお、前記角度が90度の場合は、パターン形状が矩形となる。
【0138】
前記第二の基板の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜5mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましい。前記第二の基板の厚みが、0.1mm未満であると、ディスク保存時の形状の歪みを抑えられなくなることがあり、5mmを超えると、ディスク全体の重量が大きくなってドライブモーターに過剰な負荷をかけることがある。
【0139】
前記第二の基板における前記サーボピットパターンの表面に前記反射膜を形成してもよい。
前記反射膜の材料としては、記録光や参照光に対して高い反射率を有する材料を用いることが好ましい。使用する光の波長が400〜780nmである場合には、例えば、Al、Al合金、Ag、Ag合金、などを使用することが好ましい。使用する光の波長が650nm以上である場合には、Al、Al合金、Ag、Ag合金、Au、Cu合金、TiN、などを使用することが好ましい。
なお、前記反射膜として、光を反射すると共に、追記及び消去のいずれかが可能な光記録媒体、例えば、DVD(ディジタル ビデオ ディスク)などを用い、ホログラムをどのエリアまで記録したかとか、いつ書き換えたかとか、どの部分にエラーが存在し交替処理をどのように行ったかなどのディレクトリ情報などをホログラムに影響を与えずに追記及び書き換えすることも可能となる。
【0140】
前記反射膜の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などが用いられる。これらの中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等の点で優れている。
前記反射膜の厚みとしては、十分な反射率を実現し得るように、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。
【0141】
<第二ギャップ層>
前記第二ギャップ層は、前記記録層と前記フィルタ層との間に形成される。
前記第二ギャップ層は、光記録媒体の多重記録能力の低下を防止する機能がある。即ち、前記情報光及び再生光がフォーカシングするポイントが前記記録層内に存在するが、このフォーカシングエリアをフォトポリマーで埋めていると、過剰露光によるモノマーの過剰消費が起こってしまい、多重記録能が下がってしまう。そこで、無反応で透明な第二ギャップ層を設けることにより、無反応領域が形成され前記過剰消費を抑制することができ、高多重記録能を維持することができる。
【0142】
前記第二ギャップ層の材料としては、厚みを均一に形成しうるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機材料でもよく、無機材料でもよい。
【0143】
前記有機材料としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアセチルセルロースなどのアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルポルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート系樹脂及びアクリル系樹脂が好ましい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0144】
前記無機材料としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SiO、TiO2、Al、NiO、SiO、TiO、ZnO、ZnS、MgF、Ti、Nb、BaTiOなどが挙げられる。これらの中でも、屈折率、透明性が優れ、汎用性がある点からSiO、TiO2、Alなどが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0145】
−第二ギャップ層の形成方法−
前記第二ギャップ層の形成方法として、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルタ層上に対して、スピン塗布による方法、樹脂シートを貼付する方法、蒸着、スパッタリング、バーコータ、スリットコータ、プラズマCVDなどが挙げられる。これらの中でも、前記第二ギャップ層を均一に形成でき、膜厚のコントロールが容易にできる観点からスピン塗布による方法、樹脂シートを貼付する方法、蒸着、スパッタリングがより好ましい。
【0146】
−−スピン塗布−−
前記スピン塗布は、材料を溶媒に溶解させた塗布液を、高速で回転する基板上に滴下し、回転の遠心力を利用して基板表面に均一に塗布し、その後、熱処理を加えて溶媒の揮発除去と原料の化学反応を行って層として形成する方法である。
前記スピン塗布に用いる塗布装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコータ、スリットコータ、バーコータなどが挙げられる。
【0147】
−第二ギャップ層の厚み−
前記第二ギャップ層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜200μmが好ましく、30〜100μmがより好ましい。
前記第二ギャップ層の厚みが、1μm未満であると、ホログラム記録時のホログラム記録層の中のモノマーの消費が大きすぎて感度低下や多重度低下を招くことがあり、200μmを超えるとホログラム記録時のホログラム記録層の領域が焦点から遠のくため感度低下や多重度低下を招くことがある。
【0148】
<第一ギャップ層>
前記第一ギャップ層は、前記サーボ基板の表面を平滑化する目的で形成され、サーボ信号光の焦点とホログラム信号光の焦点をずらすことによって、ホログラム信号光のS/N比を上げるというメカニズムにより、前記記録層内に生成されるホログラムの大きさを調整するのにも有効である。
前記第一ギャップ層の材料は、該第一ギャップ層上にフィルタ層などを積層しても、積層時の熱により該第一ギャップ層が軟化することはなく、該フィルタ層にしわやクラックが発生することのない耐熱性の面で安定した材料であることが好ましく、非熱軟化性材料であることが好ましい。
【0149】
−非熱軟化性材料−
前記非熱軟化性材料としては、JIS K7207における荷重たわみ温度が、4.6kgf/cmの条件下で、70℃以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機材料でもよく、無機材料でもよい。
前記非熱軟化性材料が、無機材料の場合は、前記積層時の熱による軟化は生じにくいが、JIS K7207における、4.6kgf/cmの条件下に準ずる条件の下で測定した場合に、前記樹脂と同様に70℃以上の、耐熱性は少なくとも有する。
前記準ずる条件としては、例えば、大きさ、127mm×12.7mm、厚み0.1mmの加重たわみ温度が十分に低いフィルム材料に無機材料を蒸着などにより成膜したものを用いて、試験片を作製し、樹脂と同一の4.6kgf/cmの条件の下、昇温速度2℃/分により測定することができる。
【0150】
前記有機材料としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第二ギャップ層で用いられた有機材料を用いることができ、前記第二ギャップ層と同じ材料でもよく、異なった材料でもよい。1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリカーボネート系樹脂及びアクリル系樹脂が好ましい。
【0151】
前記無機材料としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第二ギャップ層で用いられた有機材料を用いることができ、前記第二ギャップ層と同じ材料でもよく、異なった材料でもよい。1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0152】
−第一ギャップ層の形成方法−
前記第一ギャップ層の形成方法として、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サーボ基板上に対して、スピン塗布による方法、非熱軟化性シートを貼付する方法、蒸着、スパッタリング、バーコータ、スリットコータ、プラズマCVDなどが挙げられる。これらの中でも、前記第一ギャップ層を均一に形成でき、膜厚のコントロールが容易にできる観点からスピン塗布による方法、非熱軟化性シートを貼付する方法、蒸着、スパッタリングがより好ましい。
【0153】
−第一ギャップ層の厚み−
前記スピン塗布、乾燥後、前記非熱軟化性シート貼付後、前記蒸着後、前記スパッタリング後の前記第一ギャップ層の各々の場合の厚みは、5〜200μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。前記厚みが、5μm未満であると、サーボ信号光とホログラム信号光が混合され、ホログラム信号光のS/N比が低下して、エラーレートがアップすることがあり、200μmを超えると製造時の第一ギャップ層の形成時間が多くかかったり、ディスク総厚みが厚くなりディスク重量が大きくなることがある。
【0154】
<フィルタ層>
前記フィルタ層は、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることなく、情報光及び参照光による光記録媒体の反射膜からの乱反射を防止し、ノイズの発生を防止する機能がある。前記光記録媒体に前記フィルタ層を積層することにより、高解像度、回折効率の優れた光記録が得られる。
前記フィルタ層の機能は、第一の波長の光を透過し、該第一の波長の光と異なる第二の波長の光を反射することが好ましく、前記第一の波長の光が350〜600nmであり、かつ第二の波長の光が600〜900nmであることが好ましい。そのためには、光学系側から見て、第一記録層、フィルタ層、及びサーボビットパターンの順に積層されている構造の光記録媒体であることが好ましい。
また、前記フィルタ層は、入射角度±40°における、655nmでの光透過率が50%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、かつ532nmでの光反射率が30%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。
前記フィルタ層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、誘電体蒸着層、単層又は2層以上のコレステリック液晶層、更に必要に応じてその他の層の積層体により形成される。また色材含有層を有していてもよい。
前記フィルタ層は、直接第一記録層など共に、前記支持体上に塗布などにより積層してもよく、フィルムなどの基材上に積層して光記録媒体用フィルタを作製し、該光記録媒体用フィルタを、支持体上に積層してもよい。
【0155】
−誘電体蒸着層−
前記誘電体蒸着層は、互いに屈折率の異なる誘電体薄膜を複数層積層してなり、波長選択反射膜とするためには、高屈折率の誘電体薄膜と低屈折率の誘電体薄膜とを交互に複数層積層することが好ましいが、2種以上に限定されず、それ以上の種類であってもよい。また色材含有層を設ける場合は、誘電体蒸着層の下に形成する。
前記積層数は、2〜20層が好ましく、2〜12層がより好ましく、4〜10層が更に好ましく、6〜8層が特に好ましい。前記積層数が、20層を超えると、多層蒸着により生産効率性が低下し、本発明の目的及び効果を達成できなくなることがある。
【0156】
前記誘電体薄膜の積層順については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、隣接する膜の屈折率が高い場合にはそれより低い屈折率の膜を最初に積層する。その逆に隣接する層の屈折率が低い場合にはそれより高い屈折率の膜を最初に積層する。前記屈折率が高いか低いかを決めるしきい値としては1.8が好ましい。なお、屈折率が高いか低いかは絶対的なものではなく、高屈折率の材料の中でも、相対的に屈折率の大きいものと小さいものとが存在してもよく、これらを交互に使用してもよい。
【0157】
前記高屈折率の誘電体薄膜の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Sb、Sb、Bi、CeO、CeF、HfO、La、Nd、Pr11、Sc、SiO、Ta、TiO、TlCl、Y、ZnSe、ZnS、ZrOなどが挙げられる。これらの中でも、Bi、CeO、CeF、HfO、SiO、Ta、TiO、Y、ZnSe、ZnS、ZrOが好ましく、これらの中でも、SiO、Ta、TiO、Y、ZnSe、ZnS、ZrOがより好ましい。
【0158】
前記低屈折率の誘電体薄膜の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Al、BiF、CaF、LaF、PbCl、PbF、LiF、MgF、MgO、NdF、SiO、Si、NaF、ThO、ThFなどが挙げられる。これらの中でも、Al、BiF、CaF、MgF、MgO、SiO、Siが好ましく、これらの中でも、Al、CaF、MgF、MgO、SiO、Siがより好ましい。
なお、前記誘電体薄膜の材料においては、原子比についても特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、成膜時に雰囲気ガス濃度を変えることにより、原子比を調整することができる。
【0159】
前記誘電体薄膜の成膜方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオンプレーティング、イオンビーム等の真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)などが挙げられる。これらの中でも、真空蒸着法、スパッタリングが好ましく、スパッタリングがより好ましい。
前記スパッタリングとしては、成膜レートの高いDCスパッタリング法が好ましい。なお、DCスパッタリング法においては、導電性が高い材料を用いることが好ましい。
また、前記スパッタリングにより多層成膜する方法としては、例えば、(1)1つのチャンバで複数のターゲットから交互又は順番に成膜する1チャンバ法、(2)複数のチャンバで連続的に成膜するマルチチャンバ法とがある。これらの中でも、生産性及び材料コンタミネーションを防ぐ観点から、マルチチャンバ法が特に好ましい。
前記誘電体薄膜の膜厚としては、光学波長オーダーで、λ/16〜λの膜厚が好ましく、λ/8〜3λ/4がより好ましく、λ/6〜3λ/8が特に好ましい。
【0160】
−色材含有層−
前記色材含有層は、色材、バインダー樹脂、溶剤及び必要に応じてその他の成分により形成される。
【0161】
前記色材としては、顔料及び染料の少なくともいずれかが好適に挙げられ、これらの中でも、532nmの光を吸収し、655nm若しくは780nmのサーボ光を透過させる観点から、赤色染料、赤色顔料が好ましく、赤色顔料が特に好ましい。また、前記有機色素材料で用いた色素を用いてもよい。
【0162】
前記赤色染料としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、C.I.アシッドレッド1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289等の酸性染料;C.I.ベーシックレッド2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112等の塩基性染料;C.I.リアクティブレッド1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97等の反応性染料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0163】
前記赤色顔料としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド217、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド223、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド227、C.I.ピグメントレッド228、C.I.ピグメントレッド240、C.I.ピグメントレッド48:1、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメントレッド146)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメントレッド11)、ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメントレッド81)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0164】
これらの中でも、532nmの光に対する透過率が10%以下であり、かつ655nmの光に対する透過率が90%以上である透過スペクトルを示す赤色顔料が特に好ましく用いられる。
【0165】
前記色材の含有量としては、前記色材含有層の全固形質量に対し0.05〜90質量%が好ましく、0.1〜70質量%がより好ましい。前記含有量が0.05質量%未満であると、色材含有層の厚みが500μm以上必要となってしまうことがあり、90質量%を超えると、色材含有層の自己支持性がなくなり、色材含有層の作製工程中に膜が崩れてしまうことがある。
【0166】
前記色材含有層に用いるバインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体;塩化ビニル、酢酸ビニルとビニルアルコール、マレイン酸及びアクリル酸の少なくともいずれかとの共重合体;塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体;塩化ビニル/アクリロニロリル共重合体;エチレン/酢酸ビニル共重合体;ニトロセルロース樹脂等のセルロース誘導体;ポリアクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、分散性及び耐久性を更に高めるため、以上に挙げたバインダー樹脂分子中に、極性基(エポキシ基、COH、OH、NH、SOM、OSOM、PO、OPO(ただし、Mは水素原子、アルカリ金属、又はアンモニウムであり、一つの基の中に複数のMがあるときは互いに異なっていてもよい)を導入したものが好ましい。該極性基の含有量としては、バインダー樹脂1グラム当り10−6〜10−4当量が好ましい。
以上列挙したバインダー樹脂は、イソシアネート系の公知の架橋剤を添加して硬化処理されることが好ましい。
【0167】
前記バインダー樹脂の含有量としては、前記色材含有層の全固形質量に対し10〜99.95質量%が好ましく、30〜99.9質量%がより好ましい。
【0168】
前記各成分は、適当な溶媒に溶解乃至は分散し、塗布液に調製し、この塗布液を所望の塗布方法により後述する基材上に塗布することにより、色材含有層を形成することができる。
前記溶媒としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、3−メトキシプロピオン酸メチルエステル、3−メトキシプロピオン酸エチルエステル、3−メトキシプロピオン酸プロピルエステル、3−エトキシプロピオン酸メチルエステル、3−エトキシプロピオン酸エチルエステル、3−エトキシプロピオン酸プロピルエステル等のアルコキシプロピオン酸エステル類;2−メトキシプロピルアセテート、2−エトキシプロピルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のアルコキシアルコールのエステル類;乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸エステル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、テトラヒドロフラン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0169】
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクジェット法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法、などが挙げられる。
【0170】
前記色材含有層の厚みは、例えば、0.5〜200μmが好ましく、1.0〜100μmがより好ましい。前記厚みが、0.5μm未満であると、色材を包んで膜とするためのバインダー樹脂を十分な量添加することができなくなることがあり、200μmを超えると、光記録媒体の厚みが大きくなりすぎて、照射光及びサーボ光の光学系として過大なものが必要になることがある。
【0171】
−コレステリック液晶層−
前記コレステリック液晶層は、少なくとも、コレステロール誘導体、又はネマチック液晶化合物及びカイラル化合物を含有してなり、更に必要に応じて重合性モノマーなどのその他の成分を含有してなる。
前記コレステリック液晶層は、単層コレステリック液晶層及び2層以上の複数層コレステリック液晶層のいずれであってもよい。
【0172】
前記コレステリック液晶層としては、円偏光分離機能を有するものが好ましい。前記円偏光分離機能を有するコレステリック液晶層は、液晶の螺旋の回転方向(右回り又は左回り)と円偏光方向とが一致し、波長が液晶の螺旋ピッチであるような円偏光成分の光だけを反射する選択反射特性を有する。このコレステリック液晶層の選択反射特性を利用して、一定の波長帯域の自然光から特定波長の円偏光のみを透過分離して、その残りを反射する。
【0173】
前記フィルタ層は、垂直入射を0°とし±20°の範囲であるλ〜λ/cos20°(ただし、λは照射光波長を表す)における光反射率が40%以上であることが好ましく、垂直入射を0°とし±40°の範囲であるλ〜λ/cos40°(ただし、λは照射光波長を表す)における光反射率が40%以上であることが特に好ましい。前記λ〜λ/cos20°、特にλ〜λ/cos40°(ただし、λは照射光波長を表す)における光反射率が40%以上であれば、照射光反射の角度依存性を解消でき、通常の光記録媒体に用いられているレンズ光学系を採用することができる。このためにはコレステリック液晶層の選択反射波長幅が大きいことが好ましい。
具体的には、単層コレステリック液晶層の場合には、コレステリック液晶層の選択反射波長領域幅Δλは、下記数式1で表されることから、(ne−no)の大きな液晶を用いることが好ましい。
<数式1>
Δλ=2λ(ne−no)/(ne+no)
ただし、前記数式1中、noは、コレステリック液晶層に含有されるネマチック液晶分子の正常光に対する屈折率を表す。neは、該ネマチック液晶分子の異常光に対する屈折率を表す。λは、選択反射の中心波長を表す。
また、特願2004−352081号明細書記載のように、カイラル化合物として感光性を有し、光によって液晶の螺旋ピッチを大きく変化させることができる光反応型カイラル化合物を用い、該光反応型カイラル化合物の含有量やUV照射時間を調整することにより、螺旋ピッチを液晶層の厚み方向に連続的に変化したものを用いることが好ましい。
【0174】
また、複数層コレステリック液晶層の場合には、選択反射中心波長が互いに異なり、前記各コレステリック液晶層の螺旋の回転方向が互いに同じであるコレステリック液晶層を積層することが好ましい。
前記コレステリック液晶層は、上記特性を満たせば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上述したように、ネマチック液晶化合物、及びカイラル化合物を含有してなり、重合性モノマー、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0175】
−−ネマチック液晶化合物−−
前記ネマチック液晶化合物は、液晶転移温度以下ではその液晶相が固定化することを特徴とし、その屈折率異方性Δnが、0.10〜0.40の液晶化合物、高分子液晶化合物、及び重合性液晶化合物の中から目的に応じて適宜選択することができる。溶融時の液晶状態にある間に、例えば、ラビング処理等の配向処理を施した配向基板を用いる等により配向させ、そのまま冷却等して固定化させることにより、固相として使用することができる。
【0176】
前記ネマチック液晶化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、十分な硬化性を確保する観点から、分子内に重合性基を有するネマチック液晶化合物が好ましく、これらの中でも、紫外線(UV)重合性液晶が好適である。該UV重合性液晶としては、市販品を用いることができ、例えば、BASF社製の商品名PALIOCOLOR LC242;Merck社製の商品名E7;Wacker−Chem社製の商品名LC−Sllicon−CC3767;高砂香料株式会社製の商品名L35、L42、L55、L59、L63、L79、L83などが挙げられる。
【0177】
前記ネマチック液晶化合物の含有量としては、前記各コレステリック液晶層の全固形分質量に対し30〜99質量%が好ましく、50〜99質量%がより好ましい。前記含有量が30質量%未満であると、ネマチック液晶化合物の配向が不十分となることがある。
【0178】
−−カイラル化合物−−
前記カイラル化合物としては、複数層コレステリック液晶層の場合には、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、液晶化合物の色相、色純度改良の観点から、例えば、イソマンニド化合物、カテキン化合物、イソソルビド化合物、フェンコン化合物、カルボン化合物、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記カイラル化合物としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、Merck社製の商品名S101、R811、CB15;BASF社製の商品名PALIOCOLOR LC756などが挙げられる。
【0179】
前記複数層コレステリック液晶層の各液晶層におけるカイラル化合物の含有量としては、前記各コレステリック液晶層の全固形分質量に対し0〜30質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましい。前記含有量が30質量%を超えると、コレステリック液晶層の配向が不十分となることがある。
【0180】
−−重合性モノマー−−
前記コレステリック液晶層には、例えば、膜強度等の硬化の程度を向上させる目的で重合性モノマーを併用することができる。該重合性モノマーを併用すると、光照射による液晶の捻れ力を変化(パターンニング)させた後(例えば、選択反射波長の分布を形成した後)、その螺旋構造(選択反射性)を固定化し、固定化後のコレステリック液晶層の強度をより向上させることができる。ただし、前記液晶化合物が同一分子内に重合性基を有する場合には、必ずしも添加する必要はない。
前記重合性モノマーとしては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン性不飽和結合を持つモノマーなどが挙げられ、具体的には、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合性モノマーの添加量としては、前記コレステリック液晶層の全固形分質量に対し0〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。前記添加量が50質量%を超えると、コレステリック液晶層の配向を阻害することがある。
【0181】
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光重合開始剤、増感剤、バインダー樹脂、重合禁止剤、溶媒、界面活性剤、増粘剤、色素、顔料、紫外線吸収剤、ゲル化剤などが挙げられる。
【0182】
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、アシルホスフィン誘導体、チオキサントン/アミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア784、イルガキュア814;BASF社製の商品名ルシリンTPOなどが挙げられる。
【0183】
前記光重合開始剤の添加量としては、前記コレステリック液晶層の全固形分質量に対し0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。前記添加量が0.1質量%未満であると、光照射時の硬化効率が低いため長時間を要することがあり、20質量%を超えると、紫外線領域から可視光領域での光透過率が劣ることがある。
【0184】
前記増感剤は、必要に応じて、コレステリック液晶層の硬化度を上げるために添加される。
前記増感剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
前記増感剤の添加量としては、前記コレステリック液晶層の全固形分質量に対し0.001〜1.0質量%が好ましい。
【0185】
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール;ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン化合物;メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース等のセルロース樹脂;側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体;ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂;メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体;アクリル酸アルキルエステルのホモポリマー又はメタアクリル酸アルキルエステルのホモポリマー;その他の水酸基を有するポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アクリル酸アルキルエステルのホモポリマー又はメタアクリル酸アルキルエステルのホモポリマーにおけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。
前記その他の水酸基を有するポリマーとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタアクリル酸のホモポリマー)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーの多元共重合体などが挙げられる。
【0186】
前記バインダー樹脂の添加量としては、前記コレステリック液晶層の全固形質量に対し0〜80質量%が好ましく、0〜50質量%がより好ましい。前記添加量が80質量%を超えると、コレステリック液晶層の配向が不十分となることがある。
【0187】
前記重合禁止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ベンゾキノン、又はこれらの誘導体などが挙げられる。
前記重合禁止剤の添加量としては、前記重合性モノマーの固形分に対し0〜10質量%が好ましく、100ppm〜1質量%がより好ましい。
【0188】
前記溶媒としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチルエステル、3−メトキシプロピオン酸エチルエステル、3−メトキシプロピオン酸プロピルエステル、3−エトキシプロピオン酸メチルエステル、3−エトキシプロピオン酸エチルエステル、3−エトキシプロピオン酸プロピルエステル等のアルコキシプロピオン酸エステル類;2−メトキシプロピルアセテート、2−エトキシプロピルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のアルコキシアルコールのエステル類;乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸エステル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、テトラヒドロフラン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0189】
前記コレステリック液晶層の形成方法としては、例えば、前記溶媒を用いて調製したコレステリック液晶層用塗布液(複数層の場合には各コレステリック液晶層用塗布液)を前記基材上に塗布し、乾燥させて、例えば紫外線照射することにより、コレステリック液晶層を形成することができる。
最も量産適性のよい手法としては、前記基材をロール状に巻いた形で準備しておき、該基材上にコレステリック液晶層用塗布液をバーコート、ダイコート、ブレードコート、カーテンコートのような長尺連続コーターにて塗布する形式が好ましい。
【0190】
前記塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法などが挙げられる。
前記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、照射紫外線は、160〜380nmが好ましく、250〜380nmがより好ましい。照射時間としては、例えば、0.1〜600秒が好ましく、0.3〜300秒がより好ましい。紫外線照射の条件を調整することによって前記反応性カイラル剤を用いた光コレステリック液晶層における螺旋ピッチを液晶層の厚み方向に沿って連続的に変化させることができる。
【0191】
前記紫外線照射の条件を調整するために、前記コレステリック液晶層に紫外線吸収剤を添加することもできる。該紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤などが好適に挙げられる。これらの紫外線吸収剤の具体例としては、特開昭47−10537号公報、同58−111942号公報、同58−212844号公報、同59−19945号公報、同59−46646号公報、同59−109055号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10466号公報、同42−26187号公報、同48−30492号公報、同48−31255号公報、同48−41572号公報、同48−54965号公報、同50−10726号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同第3,707,375号明細書、同第3,754,919号明細書、同第4,220,711号明細書などに記載されている。
【0192】
前記複数層の場合には各コレステリック液晶層の厚みは、例えば、1〜10μmが好ましく、2〜7μmがより好ましい。前記厚みが1μm未満であると、選択反射率が十分でなくなり、10μmを超えると、液晶層の均一配向が乱れてしまうことがある。
また、各コレステリック液晶層の合計厚み(単層の場合にはコレステリック液晶層の厚み)は、例えば、1〜30μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。
【0193】
−コレステリック液晶層を有する光記録媒体用フィルタの製造方法−
前記光記録媒体用フィルタの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光記録媒体用フィルタは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、基材ごとディスク形状に加工(例えば、打ち抜き加工)されて、光記録媒体の第二の基板上に配置されるのが好ましい。また、光記録媒体のフィルタ層に用いる場合には、基材を介さず直接第二の基板上に設けることもできる。
【0194】
−−基材−−
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第一の基板に用いられた材料と同じ材料を用いることができる。
【0195】
前記基材としては、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。前記基材の厚みが、10μm未満であると、基板の撓みにより密着性が低下することがある。一方、500μmを超えると、情報光と参照光の焦点位置を大きくずらさなければならなくなり、光学系サイズが大きくなってしまう。波長選択膜の貼り合わせには、それぞれ公知の接着剤を任意に組み合わせて使用することができる。
前記粘着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などが挙げられる。
前記接着剤又は前記粘着剤の塗布厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、光学特性や薄型化の観点から、接着剤の場合、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましい。また、粘着剤の場合、1〜50μmが好ましく、2〜30μmがより好ましい。
【0196】
なお、場合によっては、基板上に直接フィルタ層を形成することもできる。
【0197】
(光記録媒体の製造方法)
本発明の光記録媒体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、第一記録層積層工程と、フィルタ層形成工程と、第二記録層積層工程と、を少なくとも含み、必要に応じて、その他の工程を含む。
より好ましくは、例えば、組成物調製工程と、第一記録層積層工程と、第二記録層積層工程と、フィルタ層形成工程と、第一ギャップ層形成工程と、積層体形成工程とを含み、更に必要に応じて、バリア層形成工程、第二ギャップ層形成工程などのその他の工程を含む。
【0198】
<組成物調製工程>
前記組成物調製工程は、光記録媒体用組成物を調製する工程であり、モノマー、光開始剤、増感剤、オリゴマー及びバインダーなどからなるフォトポリマー及び必要に応じて適宜選択したその他の成分を含む光記録媒体用組成物を、溶剤により、溶解、分散、混合などにより調製する。前記調製の条件としては、例えば、温度23℃、湿度10%、低温度乾燥の環境で行われる。
【0199】
<第一記録層積層工程>
前記第一記録層積層工程は、前記フィルタ層上、又は該フィルタ層上に第二ギャップ層が積層されている場合は、該第二ギャップ層上に、ホログラフィにより情報を記録する第一記録層を積層する工程であり、前記組成物調製工程において調製された光記録媒体用組成物を塗工などにより積層する工程である。
前記第一記録層の積層方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿式成膜法による積層方法などが挙げられる。前記湿式成膜法は、前記第一記録層材料を溶剤に溶解乃至分散させた光記録媒体用組成物溶液(塗布液)を用いる(塗布し乾燥する)ことにより形成する方法であり、該湿式成膜法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、インクジェット法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法及びカーテンコート法などが挙げられる。
前記第一記録層の厚みとしては、前述のように、1〜1,000μmが好ましく、100〜700μmがより好ましい。
【0200】
<第二記録層積層工程>
前記第二記録層積層工程は、前記第二の基板上に設けられたサーボピットパターン上に、前記記録履歴などのその他の情報を記録するための第二記録層を積層する工程である。
前記第一記録層の積層方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布方法などが挙げられる。前記塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などなどが挙げられる。
前記第二の基板のサーボピットパターンが形成されている面側に、前記オキソノール色素、例えば、前記一般式(1)で示されるオキソノール色素を塗布する。
【0201】
前記第二記録層には、前記オキソノール色素に加えて、更に耐光性を向上させるための種々の褪色防止剤を含有することができる。該褪色防止剤の代表例としては、特開平3−224793号公報に記載の一般式(III)、(IV)もしくは(V)で表される金属錯体、ジインモニウム塩、アミニウム塩や特開平2−300287号公報や特開平2−300288号公報に示されているニトロソ化合物、特開平10−151861号公報に示されているTCNQ誘導体などを挙げることができる。
【0202】
前記第二記録層の形成は、既述のオキソノール色素、更に所望によりクエンチャー、結合剤などを溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を基板表面に塗布して塗膜を形成したのち乾燥することにより行うことができる。色素記録層形成用の塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノ−ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレンングリコールモノエチルエーテル、プロピレンングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。
【0203】
前記溶剤は使用する化合物の溶解性を考慮して単独または二種以上組み合わせて用いることができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤などの各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0204】
前記結合剤としては、例えば、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂;ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。
【0205】
前記第二記録層の材料として前記結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、既述のオキソノール色素を始めとした色素の量に対して一般に0.01〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1〜5倍量(質量比)の範囲にある。このようにして調製される塗布液の色素濃度は一般に0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
【0206】
前記第二記録層の厚みとしては、前述のように、10〜500nmが好ましく、20〜200nmがより好ましく、30〜150nmが特に好ましい。
前記第二記録層は、単層でもよいし、重層でもよい。
【0207】
<バリア層形成工程>
前記バリア層形成工程は、前記第二記録層上に、無機酸化物からなる層を形成する工程である。
前記無機酸化物として、前記酸化亜鉛と酸化ガリウムとの混合物(複合酸化物(ZnO−Ga23)ともいう)、酸化タンタル及び酸化ニオブなどの比抵抗が0.1Ω・cm以下のものをターゲットに用いて、DCスパッタリング法、又はDCパルススパッタリング法により形成することができる。
前記バリア層の厚みなどは、前述の通り、1〜500nmが好ましく、5〜100nmがより好ましく、10〜50nmが特に好ましい。
【0208】
<フィルタ層形成工程>
前記フィルタ層形成工程は、本発明の前記光記録媒体用フィルタを光記録媒体形状に加工し、該加工したフィルタを前記第二の基板に貼り合わせてフィルタ層を形成する工程である。ここで、前記光記録媒体用フィルタの製造方法については、前述の通りである。なお、場合によっては、基板上に直接フィルタ層を形成することもできる。例えば、基板上に色材含有層用塗布液を塗布して色材含有層を形成し、該色材含有層上にスパッタリング法により誘電体蒸着膜を形成する方法などが挙げられる。
前記光記録媒体形状としては、ディスク形状、カード形状、などが挙げられ、前記加工としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プレスカッターによる切り出し加工、打ち抜きカッターによる打ち抜き加工、などが挙げられる。前記貼り合わせでは、例えば、接着剤、粘着剤、などを用いて気泡が入らないようにフィルタを基板に貼り付ける。
前記接着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、UV硬化型、エマルジョン型、一液硬化型、二液硬化型等の各種接着剤が挙げられ、それぞれ公知の接着剤を任意に組み合わせて使用することができる。
前記粘着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤及びセルロース系粘着剤などが挙げられる。
前記接着剤又は前記粘着剤の塗布厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、光学特性や薄型化の観点から、接着剤の場合、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましい。また、粘着剤の場合、1〜50μmが好ましく、2〜30μmがより好ましい。
【0209】
<第一ギャップ層形成工程>
前記第一ギャップ層形成工程は、前記第二の基板と前記フィルタ層との間に、第一ギャップ層を形成する工程である。該第一ギャップ層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前述のように、第二の基板上に対して、前記スピン塗布による方法、前記非熱軟化性シートを貼付する方法、前記蒸着及び前記スパッタリングなどが挙げられる。
【0210】
<積層体形成工程>
前記積層体形成工程は、前記第一記録層積層工程、前記第二記録層積層工程、前記フィルタ層形成工程及び前記第一ギャップ層形成工程により、前記第一記録層、前記第二記録層、前記フィルタ層及び第一ギャップ層が形成された第二の基板と、前記第一の基板とを貼り合わせて積層体を形成し、必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む工程である。
前記貼り合わせ方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第一の基板と前記第二の基板と必要に応じて適宜選択したその他の層とを、接着剤で接着する方法、接着剤を用いず圧着する方法、真空中で貼り合わせる方法などが挙げられる。
前記接着剤で接着する方法は、前記第一の基板と、前記第二の基板と、必要に応じて適宜選択したその他の層とを、外周を合致させ、各層間に接着剤を塗布し、外側から0.01〜0.5MPaの圧力をかけて、23〜100℃で接着する。
該接着の際に、気泡が無く密着させるには、真空中で貼り合わせることが好ましい。
【0211】
−接着剤−
前記接着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤などが挙げられる。
これらの中でも、透明性が優れていることから、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤がより好ましい。
【0212】
前記接着剤を用いず圧着する方法は、各層の有する接着性を利用して密着させて積層体を形成することも可能である。前記第一の基板と、前記第二の基板と、必要に応じて適宜選択したその他の層とを、各外周を合致させ、外側から0.01〜0.5MPaの圧力をかけて、23〜100℃で接着する。該密着の際に、気泡が無く密着させるためには、真空中で貼りあわせることが好ましい。
【0213】
<その他の工程>
前記その他の工程としてとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第一記録層と前記フィルタ層の間に、前述のようにスピン塗布、樹脂シートの貼付、スパッタリング、バーコータ、スリットコータなどにより、第二ギャップ層を形成する第二ギャップ層形成工程などが挙げられる。
【0214】
(光記録方法)
前記本発明の光記録方法としては、前記第一記録層への記録工程、及び前記第二記録層への記録工程、を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜の工程を含む。
また、前記光記録方法としては、第一記録層に情報を記録(第一記録層への記録工程)した後、該記録した履歴を少なくとも含む情報を第二記録層に記録(第二記録層への記録工程)するのが好ましい。
また、前記光記録方法としては、第一記録層への情報の追記録に用いてもよく、この場合は、前記第二記録層に記録された履歴を再生する工程を行い、該第二記録層の再生工程の後、第一記録層への記録工程、第二記録層への記録工程を行うのが好ましい。
【0215】
前記光記録方法では、前記第一記録層の場合、二次元的な強度分布が与えられた情報光と、該情報光と強度がほぼ一定な参照光とを感光性の第一記録層内部で重ね合わせ、それらが形成する干渉パターンを利用して第一記録層内部に光学特性の分布を生じさせることにより、情報を記録する。前記第二記録層の場合、前記情報光及び参照光の波長との差が、少なくとも50nm以上のレーザ光、好ましくは、少なくとも50nm以上長波のレーザ光を該第二記録層に照射することにより情報を記録する。
前記光記録方法では、第一記録層への記録工程と、第二記録層への工程とを行う順番などは、特に制限はなく、いずれを先に行ってもよいし、同時に行ってもよいが、例えば、第二記録層に、第一記録層に記録した履歴情報を記録する場合には、前記第一記録層に情報を記録した後、該記録した履歴を少なくとも含む情報を第二記録層に記録するのが好ましい。
このようにすると、前記第一記録層への追記録の際に、第二記録層に記録された第一記録層への履歴を再生し、該履歴をもとに記録開始位置を指定することができ、第一記録層への情報の効率的な追記録が可能となる。
【0216】
<第一記録層への記録工程>
前記第一記録層への記録工程としては、前記光記録媒体に対して、情報光及び参照光を照射し、情報を第一記録層に記録する。該記録方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光記録媒体に情報光及び参照光を同軸光束として照射し、該情報光と参照光との干渉による干渉パターンによって情報を該第一記録層に記録するいわゆるコリニア方式による光記録方法などが挙げられる。
【0217】
−第一記録層への記録に用いられる情報光及び参照光−
前記第一記録層への記録に用いられる情報光及び参照光の光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光源から出射される可干渉性のあるレーザ光などが好ましい。
【0218】
前記レーザ光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、波長が、360〜850nmから選択される1種以上の波長からなるレーザ光などが挙げられる。該波長は、380〜800nmが好ましく、400〜750nmがより好ましく、可視領域の中心が最も見え易い405〜600nmが特に好ましい。これらの中でも、405nm、532nm、及び650nmのいずれかであるのが最も好ましい。
前記波長が、360nm未満であると、光学系の設計が困難になり、850nmを超えると、記録容量が少なくなることがある。
【0219】
前記レーザ光の光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固体レーザ光発振器、半導体レーザ光発振器、液体レーザ光発振器、気体レーザ光発振器などが挙げられる。これらの中でも、気体レーザ光発振器、半導体レーザ光発振器などが好ましい。
【0220】
前記情報光及び参照光の照射方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、同一の光源から出射される一のレーザ光などを分割して、該情報光及び該参照光として照射してもよく、異なる光源から出射される二つレーザ光などを照射してもよい。
前記情報光と前記参照光の照射方法及び照射方向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記情報光の光軸と前記参照光の光軸と同軸となるようにして照射されるものでもよい。
前記情報光(物体光)と参照光とを前記光記録媒体の内部で干渉させ、その際に生成される干渉縞を前記光記録媒体に書き込むことによって前記情報が記録される。
【0221】
<第二記録層への記録工程>
前記第二記録層への記録工程としては、第一記録層への記録に用いる光の波長との差が、少なくとも50nm以上の光を用いて第二記録層に情報を記録する工程である。該記録方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記情報光及び参照光の波長との差が、少なくとも50nm以上の波長のレーザ光を用いて前記情報光及び参照光と同一の光学系を用いて記録する方法などが挙げられる。
【0222】
前記第二記録層に記録する情報としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、途中書きしたアドレス情報などからなる前記記録履歴、当該光記録媒体のシリアル番号、著作権に関する情報、使用温度範囲や取り扱い注意などの光記録媒体特有の情報、記録内容などのタイトル、次回追記するのに必要な情報、などが挙げられる。このように、光記録媒体内に情報を記録することができるので、外部から見られることを避けたい情報などの記録に好適であり、第二記録層の情報を光記録媒体特有の暗号などとしても用いることができるメリットがある。
【0223】
−第二記録層への情報の記録に用いる光−
前記第二記録層への情報の記録に用いる光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光源から出射される可干渉性のあるレーザ光などが好ましい。
前記第二記録層への記録に用いるレーザ光としては、その波長と、前記第一記録層への記録に用いる光の波長との差が、少なくとも50nm以上であることが必要であり、100nm以上であるのがより好ましく、200nm以上であるのが特に好ましい。なお、前記波長の差の上限値としては、450nmが好ましい。
前記第二記録層への記録用のレーザ光の波長と、前記第一記録層への記録に用いる光の波長との差が、50nm未満である場合、第二記録層への記録時に、第一記録層が露光してしまうことがある。
また、具体的には、前記第一記録層への記録に用いられる光の波長が650nmの場合は、前記第二記録層への記録に用いられる光の波長としては、700〜790nm(波長の差が50nm以上)が好ましく、750〜800nm(波長の差が100nm以上)がより好ましく、770〜850nm(波長の差が120nm以上)が特に好ましい。これらの中でも、レーザ装置の入手が容易なことから、780nmが好ましい。
前記第一記録層への記録に用いられる光の波長が532nmの場合は、前記第二記録層への記録に用いられる光の波長としては、585〜780nm(波長の差が50nm以上)が好ましく、600〜800nm(波長の差が68nm以上)がより好ましく、630〜850nm(波長の差が98nm以上)が特に好ましい。これらの中でも、レーザ装置の入手が容易なことから、780nm又は650nmが好ましい。
前記第一記録層への記録に用いられる光の波長が405nmの場合は、前記第二記録層への記録に用いられる光の波長としては、455〜780nmが(波長の差が50nm以上)好ましく、500〜800nm(波長の差が95nm以上)がより好ましく、600〜850nm(波長の差が195nm以上)が特に好ましい。これらの中でも、レーザ装置の入手が容易なことから、780nm、650nm、532nmが好ましい。
また、前記第二記録層への記録に用いるレーザ光が、上記波長のものが好ましいことから、第二記録層は、前記サーボ用光を用いて記録することも可能である。
記録時の照射エネルギーとしては、3〜300mWが好ましく、下記のよう第二記録層の変質や形態変化による不可逆変化を充分に生じさせることができ、優れた記録が可能となる。
【0224】
前記第二記録層への情報の記録は、例えば、第二記録層が、有機色素材料を含む場合は、該有機色素材料がレーザ光を吸収すると、光エネルギーが熱エネルギーに変換されることにより、レーザ光照射部分の有機色素材料が硬化するなどの材料の変質が生じたり、第二記録相にピットが開口してピットパターンが形成されるなどの、形態変化を生じることにより、前記情報の記録がされる。また、第二記録材料が、相変化材料を含む場合は、レーザ光の照射部分の結晶構造が変化することにより、同様に第二記録層のレーザ光照射部分の変質やピット開口による形態変化を生じて、前記情報の記録が行われる。
【0225】
(光再生方法)
前記光再生方法としては、前記第一記録層に記録された情報を再生する工程、前記第二記録層に記録された情報を再生する工程、を少なくとも含む。
前記光再生方法としては、前記第二記録層に記録された第一記録層への記録履歴を再生し、該履歴をもとに第一記録層に記録された情報を再生するのが好ましく、前記第一記録層に記録された情報の効率的な再生が可能となる。
【0226】
前記光再生方法では、前記第一記録層に記録された情報を読み出す(再生する)際には、記録時と同様の配置で参照光のみを第一記録層に照射する。該参照光は、第一記録層内部に形成された光学特性分布に対応した強度分布を有する回折光として第一記録層から出射され、受光装置などにより受光され、画像が再生される。前記第二記録層に記録された情報を読み出す(再生する)際には、記録時のレーザ光とほぼ同一の波長で、該記録時のレーザ光よりもエネルギーの低いレーザ光を第二記録層に照射し、その反射光が受光装置などにより受光されることにより、記録情報が再生される。
【0227】
<第一記録層の再生工程>
前記第一記録層に記録された情報を再生する工程は、前記第一記録層に記録された干渉像に、参照光と同じ再生光を照射して該干渉像に対応した記録情報を再生する工程である。前記再生光が、光記録媒体の記録に用いられた参照光と同じ角度になるようにして、該再生光を干渉像に照射して記録情報を再生するのが好ましい。
【0228】
<第二記録層の再生工程>
前記第二記録層に記録された情報を再生する工程は、記録時と同じ光を照射して情報を再生する工程である。
前記再生に用いるレーザ光としては、前記第二記録層への記録に用いたレーザ光よりも照射エネルギーの低いレーザ光を用いて記録情報を再生するのが好ましい。
【0229】
前記前記第二記録層の再生(以下、情報検出光と称することがある)に用いられるレーザ光の波長としては、前記第二記録層の記録に用いられる光とほぼ同一の波長であるのが好ましい。
前記情報検出光の照射エネルギー(mW)としては、第二記録層のレーザ光の照射部分が、変質や形態変化などを生じることのない強度で行うことが好ましい。
更に、情報検出光の照射エネルギーとしては、記録時に用いた照射エネルギーよりも低いことが好ましく、記録時の照射エネルギーの10分の1程度が好ましい。前記情報検出光の照射エネルギーが、前記記録時に用いた照射エネルギーより高いと、再生時に第二記録層の信号が劣化することがある。
具体的には、前述のように記録時の照射エネルギーが、3〜300mWの場合、情報検出光の照射エネルギーとしては、0.1〜2mWが好ましい。
【0230】
前記情報検出光のレーザ光の照射方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記情報検出光のレーザ光の照射方向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0231】
前記再生光及び情報検出光に用いるレーザ光の光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固体レーザ光発振器、半導体レーザ光発振器、液体レーザ光発振器、気体レーザ光発振器などが挙げられる。これらの中でも、気体レーザ光発振器、半導体レーザ光発振器などが好ましい。
【0232】
(光記録再生装置)
前記光記録方法及び再生方法に使用される光記録再生装置について図9を参照して説明する。
図9は、前記光記録再生装置の全体構成図である。なお、光記録再生装置は、光記録装置と再生装置を含んでなる。この光記録再生装置100は、光記録媒体22が取り付けられるスピンドル81と、このスピンドル81を回転させるスピンドルモータ82と、光記録媒体22の回転数を所定の値に保つようにスピンドルモータ82を制御するスピンドルサーボ回路83とを備えている。
また、光記録再生装置100は、光記録媒体22に対して情報光と記録用参照光とを照射して情報を記録すると共に、光記録媒体22に対して再生用参照光を照射し、再生光を検出して、光記録媒体22に記録されている情報を再生するためのピックアップ31と、このピックアップ31を光記録媒体22の半径方向に移動可能とする駆動装置84とを備えている。
【0233】
光記録再生装置100は、ピックアップ31の出力信号よりフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、及び再生信号RFを検出するための検出回路85と、この検出回路85によって検出されるフォーカスエラー信号FEに基づいて、ピックアップ31内のアクチュエータを駆動して対物レンズ(不図示)を光記録媒体22の厚み方向に移動させてフォーカスサーボを行うフォーカスサーボ回路86と、検出回路85によって検出されるトラッキングエラー信号TEに基づいてピックアップ31内のアクチュエータを駆動して対物レンズを光記録媒体22の半径方向に移動させてトラッキングサーボを行うトラッキングサーボ回路87と、トラッキングエラー信号TE及び後述するコントローラからの指令に基づいて駆動装置84を制御してピックアップ31を光記録媒体22の半径方向に移動させるスライドサーボを行うスライドサーボ回路88とを備えている。
【0234】
光記録再生装置100は、更に、ピックアップ31内の後述するCMOS又はCCDアレイの出力データをデコードして、光記録媒体22のデータエリアに記録されたデータを再生したり、検出回路85からの再生信号RFより基本クロックを再生したり、アドレスを判別したりする信号処理回路89と、光記録再生装置100の全体を制御するコントローラ90と、このコントローラ90に対して種々の指示を与える操作部91とを備えている。
コントローラ90は、信号処理回路89より出力される基本クロックやアドレス情報を入力すると共に、ピックアップ31、スピンドルサーボ回路83、及びスライドサーボ回路88等を制御するようになっている。スピンドルサーボ回路83は、信号処理回路89より出力される基本クロックを入力するようになっている。コントローラ90は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード オンリ メモリ)、及びRAM(ランダム アクセス メモリ)を有し、CPUが、RAMを作業領域として、ROMに格納されたプログラムを実行することによって、コントローラ90の機能を実現するようになっている。
【0235】
ここで、本発明の光記録媒体の具体例1及び2、並びにこれらの光記録媒体での光記録方法及び光再生方法について、図面を参照して更に詳しく説明する。
【0236】
<光記録媒体の具体例1>
図4は、本発明の具体例1における光記録媒体の構成を示す概略断面図である。この具体例1に係る光記録媒体21では、ポリカーボネート樹脂又はガラスの第二の基板1にサーボピットパターン3が形成され、該サーボピットパターン3上にアルミニウム、金、白金等でコーティングして反射膜2が設けられている。なお、図4では第二の基板1全面にサーボピットパターン3が形成されているが、図1に示すように周期的に形成されていてもよい。また、このサーボピットパターン3の高さは、通常110nmであり、基板を始め他の層の厚さに比べて充分に小さいものである。
【0237】
第一ギャップ層8は、紫外線硬化樹脂等の材料を第二の基板1に積層されたバリア層28上にスピンコート等により塗布して形成される。第一ギャップ層8は、第一記録層4内に生成されるホログラムの大きさを調整するためにも有効である。つまり、第一記録層4において記録用参照光と情報光の干渉領域をある程度の大きさに形成する必要があるため、第一記録層4とサーボピットパターン3との間にギャップを設けると有効である。
第一ギャップ層8上には、フィルタ層6が設けられ、また、フィルタ層6と第一記録層4との間に第二ギャップ層7が設けられ、該フィルタ層6と第一の基板5(ポリカーボネート樹脂基板やガラス基板)によって第二ギャップ層及び第一記録層4を挟むことによって光記録媒体21が構成される。なお、情報光及び再生光がフォーカシングするポイントが存在するが、このフォーカシングエリアをフォトポリマーで埋めていると過剰露光によるモノマーの過剰消費が起こり、多重記録能が下がってしまう。そこで、無反応で透明な第二ギャップ層7を設けることが有効となる。
【0238】
図4において、フィルタ層6は、赤色光のみを透過し、それ以外の色の光を通さないものである。従って、情報光、記録及び再生用参照光は緑色又は青色の光であるので、フィルタ層6を透過せず、反射膜2まで達することなく、戻り光となり、入出射面Aから出射することになる。
このフィルタ層6は、螺旋ピッチが液晶層の厚み方向に連続的に変化した3層のコレステリック液晶層6a、6b、6cからなる。このコレステリック液晶層からなるフィルタ層6は、第一ギャップ層8上に塗布によって直接形成してもよいし、基材上にコレステリック液晶層を形成したフィルムを光記録媒体形状に打ち抜いて配置してもよい。螺旋ピッチが液晶層の厚み方向に連続的に変化した3層のコレステリック液晶層によって、λ〜λ/cos20°、特にλ〜λ/cos40°(ただし、λは照射光波長を表す)における光反射率が40%以上となり、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることがなくなる。
螺旋ピッチが液晶層の厚み方向に連続的に変化した3層のコレステリック液晶層によって、図7に示すように、照射光の入射角が、30°の場合、λが470〜620nm(ただし、λは照射光波長を表す)における光反射率が90%以上となり、図6に示すように、λが470〜620nm(ただし、λは照射光波長を表す)における光透過率が10%以下となり、λが470〜620nmを選択して反射することができる。
【0239】
具体例1における光記録媒体21は、ディスク形状でもいいし、カード形状であってもよい。カード形状の場合にはサーボピットパターンは無くてもよい。また、この光記録媒体21では、第二の基板1は600μm、第一ギャップ層8は100μm、フィルタ層6は2〜3μm、第二ギャップ層7は70μm、第一記録層4は600nm(0.6mm)、第二記録層は100nm(0.1μm)、バリア層は50nm、第一の基板5は600μm(0.6mm)の厚みであって、合計厚みは約2mmとなっている。
【0240】
次に、図面を参照して、光記録媒体21周辺での光学的動作を説明する。この具体例1に係る光記録媒体21では、フィルタ層6以外は具体例2の光記録媒体22と同様に構成されるので、光学的動作は光記録媒体22を用いた場合と同様の動作となることから、光記録媒体22を用いた図8を用いて説明する。まず、サーボ用光の場合、サーボ用レーザから出射した光(赤色光)は、ダイクロイックミラー13でほぼ100%反射して、対物レンズ12を通過する。対物レンズ12によってサーボ用光は反射膜2上で焦点を結ぶように光記録媒体22に対して照射される。つまり、ダイクロイックミラー13は緑色や青色の波長の光を透過し、赤色の波長の光をほぼ100%反射させるようになっている。光記録媒体22の光の入出射面Aから入射したサーボ用光は、第一の基板5、第一記録層4、第二ギャップ層7、フィルタ層6、第一ギャップ層8、バリア層28及び第二記録層27を通過し、反射膜2で反射され、再度、第二記録層27、バリア層28、第一ギャップ層8、フィルタ層6、第二ギャップ層7、第一記録層4、及び第一の基板5を透過して入出射面Aから出射する。出射した戻り光は、対物レンズ12を通過し、ダイクロイックミラー13でほぼ100%反射して、サーボ情報検出器(不図示)でサーボ情報が検出される。検出されたサーボ情報は、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スライドサーボ等に用いられる。第一記録層4を構成するホログラム材料は、赤色の光では感光しないようになっているので、サーボ用光が第一記録層4を通過したり、サーボ用光が反射膜2で乱反射したとしても、第一記録層4には影響を与えない。また、サーボ用光の反射膜2による戻り光は、ダイクロイックミラー13によってほぼ100%反射するようになっているので、サーボ用光が再生像検出のためのCMOSセンサ又はCCD14で検出されることはなく、再生光に対してノイズとなることもない。
次に、第二記録層27に記録された情報を読み込むための情報検出光の場合、前記サーボ用光の場合と同様のルートを経由し、第二記録層27内の記録部分に到達して反射し、戻り光となる。該戻り光は、前記サーボ用光の場合と同様のルートを経由し、情報光検出器(不図示)で記録履歴などその他の情報が検出される。検出された記録履歴は、前記第一記録層への追記録の際の、記録スタート位置を指定する機能により、前記情報光及び参照光のフォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スライドサーボ等に用いられる。
【0241】
また、記録用/再生用レーザから生成された情報光及び記録用参照光は、空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)によりデジタルデータに変換された後、偏光板16を通過して線偏光となり、ハーフミラー17を通過して1/4波長板15を通った時点で円偏光になる。ダイクロイックミラー13を透過し、対物レンズ12によって情報光と記録用参照光が第一記録層4内で干渉パターンを生成するように光記録媒体21に照射される。情報光及び記録用参照光は入出射面Aから入射し、第一記録層4で干渉し合って干渉パターンをそこに生成する。その後、情報光及び記録用参照光は第一記録層4を通過し、フィルタ層6に入射するが、該フィルタ層6の底面までの間に反射されて戻り光となる。つまり、情報光と参照光は反射膜2までは到達しない。フィルタ層6は色材含有層と誘電体蒸着膜とを組み合わせており、赤色光のみを透過する性質を有するからである。あるいは、フィルタ層を漏れて通過する光を入射光強度の20%以下に抑えていれば、たとえその漏れ光が底面に到達して戻り光となっても、再度フィルタ層で反射されるので再生光へ混じる光強度は20%×20%=4%以下となり、実質的に問題とはならない。
また、第二記録層への記録用のレーザ光は、前記サーボ用光の場合と同様のルートを経由し、第二記録層27内の記録部分に到達し、情報の記録履歴及びその他の情報などが記録される。該記録後は、前記記録用のレーザ光は、反射膜2で反射し、戻り光となる。
また、前記記録用のレーザ光は、第一記録層に記録する前記情報光及び参照光との波長の差が、少なくとも50nm以上あるので、第二記録層への記録用レーザ光により、第一記録層が露光されることがない。
【0242】
<光記録媒体の具体例2>
図5は、前記具体例2における光記録媒体22の構成を示す概略断面図である。この具体例2は、具体例1と、フィルタ層6の構成が異なるのみで他の構成は具体例1と同様である。
【0243】
図5において、フィルタ層6は、赤色光のみを透過し、それ以外の色の光を通さないものである。従って、情報光、記録及び再生用参照光は緑色又は青色の光であるので、フィルタ層6を透過せず、反射膜2まで達することなく、戻り光となり、入出射面Aから出射することになる。
このフィルタ層6は、色材含有層上に、互いに屈折率の異なる誘電体薄膜が7層積層された誘電体蒸着層を形成した積層体である。この色材含有層と誘電体蒸着膜との組み合わせであるフィルタ層6は、第一ギャップ層8上に塗布及び蒸着により直接形成してもよいし、基材上に色材含有層及び誘電体蒸着膜を形成したフィルムを光記録媒体形状に打ち抜いて配置してもよい。フィルタ層として色材含有層と誘電体蒸着膜との組み合わせを用いることによって、図7に示すように、照射光の入射角が、30°の場合、λが470〜620nm(ただし、λは照射光波長を表す)における光反射率が90%以上となり、図6に示すように、λが470〜620nm(ただし、λは照射光波長を表す)における光透過率が10%以下となり、λが470〜620nmを選択した反射することができ、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることがなくなる。
【0244】
前記具体例2における光記録媒体22の形状は、ディスク形状でもいいし、カード形状であってもよく、具体例1と同様に形成される。
前記具体例2における光記録媒体22周辺での光学的動作は、前述したように、前記具体例1の光記録媒体21周辺での光学的動作と同様である。
【実施例】
【0245】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0246】
(実施例1)
〔光記録媒体の作製〕
実施例1の光記録媒体は、第一の基板と、第一記録層と、第二ギャップ層と、フィルタ層と、第一ギャップ層と、第二記録層と、第二の基板とをこの順に積層することにより、以下のように作製した。
前記フィルタ層は、フィルム状のフィルタを作製して、積層することにより以下のように形成した。
【0247】
<フィルタの作製>
−色材含有層の形成−
まず、ポリカーボネートフィルム(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名ユーピロン)厚み100μm上に、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、商品名MP203)を厚み1μmとなるように塗布したベースフィルムを用意した。
【0248】
次に、下記組成の色材含有層用塗布液を常法により調製した。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
・赤色顔料(C.I.ピグメントレッド9) 10質量部
・バインダー樹脂
(ポリビニルアルコール樹脂、株式会社クラレ製) 100質量部
・水 700質量部
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0249】
次に、前記ベースフィルム上に、前記色材含有層用塗布液をバーコーターで塗布し、乾燥させて、厚み3μmの色材含有層を形成した。
【0250】
−誘電体蒸着層の膜厚構成及び反射特性についてのシミュレーション−
次に、光学薄膜計算ソフト(商品名:TFCalc、Software Spectra社製)を用いて、以下の計算条件で誘電体蒸着層の膜厚構成及び反射特性についてのシミュレーションを行った。
【0251】
−計算条件−
・TiOやSiOの屈折率はTFCalcのデータベース値を用いた。
・650nmの反射率、532nmの透過率をそれぞれ高めるように厚みを最適化した。
・媒質の屈折率は1.52とした。
・波長は、参照光及び情報光532nm(記録用)、サーボ用光650nm(トラッキング用)で計算した。
【0252】
−9層積層合−
誘電体薄膜を、下記表1に示すように、9層積層した。
【0253】
【表1】

【0254】
前記誘電体薄膜について、シミュレーションした結果、誘電体薄膜を9層積層した場合において、光の波長が650nmの反射率は、入射角が30°の場合96.9%、光の波長535nmの反射率は、入射角が、30°の場合91.6%であり、実用的な反射特性の結果が得られた。
【0255】
−誘電体蒸着フィルタの形成−
まず、厚み100μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士写真フイルム株式会社製、フジタック12/3)上にジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製)を厚み0.5μmとなるように塗布したフィルムを用意した。
次に、前記フィルム上に、マルチチャンバ法によるスパッタリング(Unaxis社製、Cube)により、9層積層した誘電体蒸着フィルタを作製した。
【0256】
前記色材含有層を設けたベースフィルムと前記誘電体蒸着フィルタとを接着剤で貼り合わせて、フィルタ層用の光記録媒体用フィルタを作製した。
得られた光記録媒体用フィルタについて、光反射特性を分光反射測定器(光源として浜松ホトニクス株式会社製、L−5662、フォトマルチチャンネルアナライザーとして浜松ホトニクス株式会社製、PMA−11)を用いて測定した。
その結果、実施例1のフィルタ層は、図6及び7に示すように、入射角度±30°以内の光に対して選択波長である650nmの光を90%以上反射できることが認められた。
【0257】
次に、作製した光記録媒体用フィルタを前記基板に設置できるように所定のディスクサイズに打ち抜いた。
【0258】
<光記録媒体の作製>
【0259】
−第一記録層用の感光性組成物溶液の組成−
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
・ジ(ウレタンアクリレート)オリゴマー
(Echo Resins社製、ALU−351)・・・・・・・・59質量部
・イソボルニルアクリレート・・・・・・・・・・・・・・・・・30質量部
・ビニルベンゾエート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10質量部
・重合開始剤
(チバスペシャルティケミカルズ社製、イルガキュア784)・・・・1質量部
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0260】
−第一の基板−
前記第一の基板は、直径120mm、板厚0.6mmのDVD+RW用に用いられている一般的なポリカーボネート樹脂製基板を使用した。この基板表面は滑らかであり、サーボピットパターンなどの凹凸のないものを用いた。
【0261】
−第二の基板−
前記第二の基板としては、射出成形で形成した直径120mm、板厚1.2mmのポリカーボネート樹脂製基板を使用した。この基板表面には、全面にわたってサーボピットパターンが形成されており、そのトラックピッチは0.74μmであり、溝深さは40nm、溝幅は300nmであり、ウォブル幅は30nmである。
まず、第二の基板のサーボピットパターン表面に反射膜を成膜した。反射膜材料には銀合金(ANC)を用いた。成膜はDCマグネトロンスパッタリング法により厚み50nmのANC反射膜を成膜した。
【0262】
−第二記録層−
前記第二記録層は、下記組成物からなる第二記録層用塗布液を調製した。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
・オキソノール色素(OM87:富士写真フイルム株式会社製) 1質量部
・溶剤(テトラフルオロプロパノール) 99質量部
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0263】
得られた前記第二記録層用塗布液を、スピンコート法により、前記第二の基板面に形成されているサーボピットパターン上に塗布した。得られた前記第二記録層の厚みは、100nmであった。
【0264】
−バリア層−
前記バリア層は、前記第二記録層上に、ZnOとSiO酸との混合比が80:20である混合無機物をDCパルススパッタリング法により形成した。得られたバリア層の厚みは、10nmであった。
【0265】
−第一ギャップ層−
−−第一ギャップ層用塗布液の調製−−
SD−640(大日本インキ化学工業株式会社製:UV硬化樹脂)を使用し、前記第一ギャップ層用の塗布液を調製した。
【0266】
得られた第一ギャップ層用塗布液を、得られたバリア層の表面に、スピンコータ(型名1H−B7、ミカサ社製)により、1,500rpm、15秒間条件の下、スピン塗布し、温度23℃、1,500mJ/cmのUV照射により硬化した。硬化厚みは25μmであった。これを4回繰り返して、総膜厚を100μmとした。
【0267】
−第二ギャップ層−
−−第二ギャップ層用塗布液の調製−−
トリアセテート樹脂を使用し、前記第二ギャップ層用塗布液を調製した。
【0268】
得られた第二ギャップ層用塗布液を、フィルタ層の表面に、スピンコータ(型名1H−B7、ミカサ社製)により、1,500rpm、15秒間条件の下、スピン塗布し、温度23℃、1,500mJ/cmのUV照射により硬化した。硬化厚みは50μmであった。本実施例では、スピンコータを1回のみ行って第二ギャップ層の総膜厚を50μmとした。
【0269】
−外周スペーサ−
前記外周スペーサは、第一の基板及び第二の基板の外形と同一の直径120mmの円形で、面方向の幅は、0.5mm±100μm、厚みは記録層4の厚みと同じ500μm、したがって、断面形状は0.5mm×500μmの四角形となる。
前記外周スペーサの材料は、成形性及び機械的強度に優れたポリカーボネートを用いて、射出成型(住友重工株式会社製)により作製した。
【0270】
−内周スペーサ−
前記内周スペーサは、図19に示すように、第一の基板5及び第二の基板1の開口部と同じ外形である15mmの円形で、面方向の幅は、0.5mm±100μm、厚みは記録層4の厚みと同じ500μm、したがって、断面形状は外周スペーサと同一の0.5mm×500μmの四角形となる。
前記内周スペーサの材料は、外周スペーサと同一の、成形性及び機械的強度に優れたポリカーボネートを用いて、射出成型(住友重工株式会社社製)により作製した。
【0271】
−積層体の形成−
図3に示すように、第二記録層27、バリア層28及び第一ギャップ層8が形成された第二の基板1上の第一ギャップ層8上に、隙間に気泡が入らないように、UV接着剤(型名SD−640、大日本インキ化学工業株式会社製)を塗布した後、得られた前記フィルタを、積層してフィルタ層6を形成し、前述のように、該フィルタ層6の表面に第二ギャップ層7をスピン塗布した。更に、該第二ギャップ層7の表面に、得られた外周スペーサ37を、第二の基板1の外形と外周スペーサ37の外形が合致するように接着し、更に、内周スペーサ38を、該内周スペーサ38の中心と、第二の基板1の中心が合致するように接着した。前記接着剤は、UV接着剤(型名SD−640、大日本インキ化学工業株式会社製)を用い、UV光を照射して接着した。
外周スペーサ37及び内周スペーサ38により形成された、深さ600μmの溝部に、前記注入法により、前記で得られた第一記録層用感光性組成物塗布液を、シリンジにより注入した。
前記注入の条件としては、温度23℃、液粘度300mPas、湿度50%とした。
注入後に、温度80℃、40分間の条件の下、前記第一記録層用感光性組成物を硬化させ第一記録層4を形成した。該第一記録層4の厚みは600μmであった。
該第一記録層4上に、接着剤(型名GM−9002、ブレニー技研社製)を塗布し、前記第一基板5の外側及び前記第二基板1の外側を、0.08MPaの圧力で、80℃で、40分間、加圧し、積層体を形成し、最後に、端部を湿分硬化型の接着剤で封止し、45℃で24時間放置することにより、図5に示す光記録媒体22と同様の光記録媒体を作製した。
【0272】
〔光記録媒体の記録及び評価〕
得られた光記録媒体を、パルステック工業株式会社製、コリニアホログラム記録再生試験機SHOT−2000を用いて、第一記録層に、波長532nmの情報光及び参照光を用いて記録ホログラムの焦点位置における記録スポットの大きさ直径200μmで一連の多重ホログラムを書き込み、更に、前記SHOT−2000により、第二記録層に対して、波長650nmのレーザ光(7mW)を用いて、前記記録履歴を書き込んだ。この記録履歴に対して、波長650nmで、かつ記録時よりも低パワーである0.7mWの情報検出光を照射し、記録履歴を検出し、該検出結果に基づいて、追加記録すべき位置を認識するとともに、トラッキングサーボを行って、第一記録層に追加記録し、その履歴を、第二記録層に前記と同様にして記録した。最初の記録及び前記追加記録について、感度(記録エネルギー)、多重数について測定、評価を行った。
【0273】
−感度の測定−
記録時の照射光パワー(mJ/cm)を変化させ、再生信号のエラー確率(BER:Bit Error Rate)の変化を測定した。通常、記録光パワーの増加に伴い再生信号の輝度が増加することにともない、再生信号のBERが徐々に低下する傾向にある。ここでは、ほぼ良好な再生像(BER<10−3)が得られる最低の記録光パワーを記録材料の記録感度とした。その結果、記録感度記録光パワー150mJ/cmにてBER<10−3が得られた。(記録感度:75mJ/cm)。
【0274】
−多重数の評価−
光記録媒体の多重評価手法として、ISOM’04、Th−J−06、pp.184−185、Oct.2004に記載されている記録スポットをスパイラル状にシフトさせて評価する手法を用いて行った。ここで、記録ホログラム数13×13=169ホログラム、記録ピッチは28.5μmとした。最終169個目のホログラム記録時の多重度は49多重となる。記録ホログラム数の増加に従い多重度が増加するため、記録材料の多重特性が不十分であると記録数の増加に従いBERが増加する。ここではBER>10−3となる記録ホログラム数を材料の多重特性Mとした。この手法により多重特性Mとして120多重相当の特性が得られることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0275】
本発明の光記録媒体は、前記光記録媒体の記録容量の減少を招くことなく、記録履歴などの光記録媒体の記録に関する情報などを速やかに認識し、追記録を円滑に行うことができる光記録媒体である。また、通常の記及び再生では使用しない領域に情報が記録できるので、外部から見られることを避けたい情報などの記録に好適であり、第二記録層の情報を光記録媒体特有の暗号などとしても用いることができるメリットがある。そのため、2次元などの情報を記録する比較的薄型の平面ホログラムや立体像など多量の情報を記録する体積ホログラム、反射型のホログラムなどに幅広く用いられる。
本発明の光記録媒体の製造方法は、前記光記録媒体の記録容量の減少を招くことなく、記録履歴などの光記録媒体の記録に関する情報などを速やかに認識し、追記録を円滑に行うことができる光記録媒体が得られる。また、通常の記及び再生では使用しない領域に情報が記録できるので、外部から見られることを避けたい情報などの記録に好適であり、第二記録層の情報を光記録媒体特有の暗号などとしても用いることができるメリットがある。そのため、2次元などの情報を記録する比較的薄型の平面ホログラムや立体像など多量の情報を記録する体積ホログラム、反射型のホログラムなどに幅広く用いられる。
本発明の光記録方法は、前記光記録媒体の記録容量の減少を招くことなく、記録履歴などの光記録媒体の記録に関する情報などを速やかに認識し、追記録を円滑に行うことができる。また、通常の記録では使用しない領域に情報が記録できるので、外部から見られることを避けたい情報などの記録に好適であり、第二記録層の情報を光記録媒体特有の暗号などとしても用いることができるメリットがある。そのため、、2次元などの情報を記録する比較的薄型の平面ホログラムや立体像など多量の情報を記録する体積ホログラム、反射型のホログラムなどの光記録方法に幅広く用いられる。
本発明の光再生方法は、前記本発明の記録方法により記録された、光記録媒体の情報及び、記録履歴などの光記録媒体の記録に関する情報などを速やかに認識し、再生を円滑に行うことができる。また、通常の記及び再生では使用しない領域に記録された情報を再生できるので、外部から見られることを避けたい情報などを、特定の者のみが再生することもでき、第二記録層の情報を光記録媒体特有の暗号などとしても用いることができるメリットがある。そのため、2次元などの情報を記録する比較的薄型の平面ホログラムや立体像など多量の情報を記録する体積ホログラム、反射型のホログラムなどの光再生方法に幅広く用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0276】
【図1】図1は、従来の光記録媒体の構造を示す概略断面図である。
【図2】図2は、従来の光記録媒体の構造を示す概略断面図である。
【図3】図3は、本発明の光記録媒体における層構成の一例示す部分断面図である。
【図4】図4は、本発明による具体例1に係る光記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【図5】図5は、本発明による具体例2に係る光記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【図6】図6は、本発明の光再生方法に用いる光記録媒体のフィルタ層の光学特性を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明の光再生方法に用いる光記録媒体のフィルタ層の光学特性を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明による光記録媒体周辺の光学系の一例を示す説明図である。
【図9】図9は、本発明の光記録再生装置の全体構成の一例を表すブロック図である。
【符号の説明】
【0277】
1 第二の基板
2 反射膜
3 サーボピットパターン
4 第一記録層
4a 記録層
5 第一の基板
6 フィルタ層
6a、6b、6c コレステリック液晶層
7 第二ギャップ層
8 第一ギャップ層
8a ギャップ層
9 1/4波長板
12 対物レンズ
13 ダイクロイックミラー
14 検出器
15 1/4波長板
16 偏光板
17 ハーフミラー
20、20a、21、22 光記録媒体
27 第二記録層
28 バリア層
31 ピックアップ
37 外周スペーサ
38 内周スペーサ
39 回折光
81 スピンドル
82 スピンドルモータ
83 スピンドルサーボ回路
84 駆動装置
85 検出回路
86 フォーカスサーボ回路
87 トラッキングサーボ回路
88 スライドサーボ回路
89 信号処理回路
90 コントローラ
91 操作部
100 光記録再生装置
A 入出射面
FE フォーカスエラー信号
TE トラッキングエラー信号
RF 再生信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィを利用して情報を記録する第一記録層と、第一の基板と、第二の基板と、フィルタ層と、前記第二の基板のサーボピットパターン上に形成された第二記録層とを有し、前記第二記録層への記録に用いる光の波長と、前記第一記録層の記録に用いる光の波長との差が、少なくとも50nm以上であることを特徴とする光記録媒体。
【請求項2】
第二記録層が、有機色素材料及び相変化材料の少なくともいずれかを含む請求項1に記載の光記録媒体。
【請求項3】
有機色素材料が、シアニン色素、アゾ色素、フタロシアニン色素、及びオキソノール色素から選択される少なくともいずれか1種を含む請求項2に記載の光記録媒体。
【請求項4】
相変化材料が、カルコゲナイドを少なくとも1種含む請求項2に記載の光記録媒体。
【請求項5】
第二記録層上に、バリア層を有する請求項1から4のいずれかに記載の光記録媒体。
【請求項6】
第二記録層の厚みが、10〜500nmである請求項1から5のいずれかに記載の光記録媒体。
【請求項7】
第二記録層が、サーボ用光で記録可能である請求項1から6のいずれかに記載の光記録媒体。
【請求項8】
第二記録層へ記録する情報が、少なくとも第一記録層に記録した履歴を含む請求項1から7のいずれかに記載の光記録媒体。
【請求項9】
光記録媒体への情報光及び参照光の照射が、該情報光の光軸と該参照光の光軸とが同軸になるようにして行われる光記録方法に用いられる請求項1から8のいずれかに記載の光記録媒体。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の光記録媒体の製造方法であって、
第一記録層を形成する第一記録層形成工程と、
フィルタ層を形成するフィルタ層形成工程と、
第二の基板に形成されたサーボピットパターン上に第二記録層を形成する第二記録層形成工程と
を少なくとも含むことを特徴とする光記録媒体の製造方法。
【請求項11】
第二記録層上にバリア層を形成するバリア層形成工程を含む請求項10に記載の光記録媒体の製造方法。
【請求項12】
請求項1から9のいずれかに記載の光記録媒体に対して、情報光及び参照光を照射し、情報を第一記録層に記録し、該第一記録層への記録に用いる光の波長との差が、少なくとも50nm以上の光を用いて第二記録層に情報を記録することを少なくとも含むことを特徴とする光記録方法。
【請求項13】
第一記録層に情報を記録した後、該記録した履歴を少なくとも含む情報を第二記録層に記録する請求項12に記載の光記録方法。
【請求項14】
第二記録層に記録された第一記録層への履歴を再生し、該履歴をもとに第一記録層への記録を行う請求項12から13のいずれかに記載の光記録方法。
【請求項15】
請求項12から14のいずれかに記載の光記録方法により第一記録層に記録された干渉像に参照光と同じ再生光を照射して該干渉像に対応した記録情報を再生することと、第二記録層に記録された情報を、記録時と同じ光を照射して再生することを少なくとも含むことを特徴とする光再生方法。
【請求項16】
第二記録層に記録された第一記録層への記録履歴を再生し、該履歴をもとに第一記録層に記録された情報を再生する請求項15に記載の光再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−225885(P2007−225885A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46731(P2006−46731)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】