説明

光重合性樹脂組成物、光重合性樹脂積層体、レジストパターンの形成方法、並びに回路基板、リードフレーム及び半導体パッケージの製造方法

【課題】現像後解像性及び金属めっき耐性が良好で現像液分散安定性に優れ凝集物が発生しない光重合性樹脂組成物及びその用途の提供。
【解決手段】(A)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、一般式(I):


(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、カルボキシル基又は炭素数1〜12のハロアルキル基である)で表されるモノマーを含む重合成分の重合により得られ、重量平均分子量が5000〜500000であるバインダー用樹脂:10〜90質量%、(B)光重合性不飽和化合物:5〜70質量%、及び(C)光重合開始剤:0.01〜20質量%を含有し、(B)光重合性不飽和化合物中のエチレンオキサイド基濃度が0.17mol/100g以下である光重合性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光重合性樹脂組成物並びにその用途に関し、詳しくはリジッド板又はフレキシブル基板を含むプリント配線板、リードフレーム等の製造における導体パターンの形成に適した光重合性樹脂組成物、それを形成してなる光重合性樹脂積層体、並びにそれを用いたレジストパターンの形成方法、回路基板の製造方法、リードフレームの製造方法及び半導体パッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンや携帯電話等の電子機器には、部品や半導体等の実装用としてプリント配線板等が用いられる。プリント配線板等の製造用のレジストとしては、従来、支持体、光重合性樹脂層、及び必要に応じて更に保護層を積層した、いわゆるドライフィルムレジストが用いられている。ドライフィルムレジストは、一般に支持体上に光重合性樹脂層を積層し、必要に応じて、更に該光重合性樹脂層上に保護層を積層することにより形成される。ここで用いられる光重合性樹脂層としては、現在、現像液として弱アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型のものが一般的である。
【0003】
ドライフィルムレジストを用いてプリント配線板等を作製するには、まず保護層を剥離した(保護層を有する場合)後、銅張積層板やフレキシブル基板等の永久回路作製用基板上にラミネーター等を用いドライフィルムレジストを積層し、必要に応じて支持体を剥離し、配線パターンマスクフィルム等を通して光重合性樹脂層を露光する。次に支持体が有る場合にはこれを剥離し、現像液により未露光部分の光重合性樹脂層を溶解、若しくは分散除去し、基板上にレジストパターンを形成させる。
【0004】
レジストパターン形成後、回路を形成させるプロセスは大きく2つの方法に分かれる。第一の方法は、レジストパターンによって覆われていない銅張積層板等の銅面をエッチング除去した後、レジストパターン部分を現像液よりも強いアルカリ水溶液で除去する方法である。この場合、工程の簡便さから、貫通孔(スルーホール)を硬化膜で覆いその後エッチングする方法(テンティング法)が多用されている。第二の方法は同上の銅面に銅、半田、ニッケル及び錫等のめっき処理を行った後、同様にレジストパターン部分の除去、さらに現れた銅張積層板等の銅面をエッチングする方法(めっき法)である。いずれの場合もエッチングには塩化第二銅、塩化第二鉄、銅アンモニア錯体溶液等が用いられる。
【0005】
近年のパソコン等に搭載されるプリント配線板の微細化に対応し、レジストの高解像性及び密着性が求められている。レジストを高解像度とすることは一般的には光重合性樹脂組成物の架橋密度を向上させることにより達成されるが、架橋密度を向上させるとレジスト硬化膜が硬くなり、剥離時間が遅延するという問題が生じる。また一般に実装分野におけるはんだ接合性等においては、良好な金属結合性の観点からパッド部分の金めっき加工が用いられる。この観点からも、微細化に伴うレジストの高解像性や、部分金めっきを目的とした良好な無電解Ni/Auめっき耐性を有するレジストは切望されている。しかしながら一般に無電解ニッケルめっきは電解めっきと比較し高温下で行う為、良好な電解銅めっき耐性を有するレジスト(例えば特許文献1)を用いた場合でも、十分な無電解Ni/Auめっき耐性の発現は困難である。また、無電解Ni/Auめっき用途のレジストも報告されているが(例えば特許文献2)、一般にめっき工程の簡略化やコスト削減の観点から、現像後の熱やUVによる後処理を介さずに十分なめっき耐性や剥離性を有するレジストが望まれている。
【0006】
一方、露光を行った後、現像液により未露光部分の光重合性樹脂層を溶解、若しくは分散除去する工程は、現像工程と呼ばれる。ドライフィルムレジストの成分はそのすべてが現像液に溶解するわけではなく、現像工程を重ねるごとに現像液分散性の悪い不溶解成分が増え、凝集物(スカム)を発生させる。凝集物は基板上に再付着し、テンティング及びエッチングによる工法の場合ショート不良の原因となり、現像槽の配管を詰まらせることもある。
【0007】
凝集物を低減する目的で、光重合性不飽和化合物として、現像液分散性の良い、アルキルフェノール型単官能モノマーを用いる試み(特許文献3)や、フェノキシ型単官能モノマーを用いる試み(特許文献4)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−145844号公報
【特許文献2】特開2004−12812号公報
【特許文献3】特開2001−174986号公報
【特許文献4】特開2001−305730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、現像工程での現像液に対する分散安定性に優れ凝集物を発生せず、かつレジストの高解像性及び良好な金属めっき耐性を有する光重合性樹脂組成物は未だ提供されていない。
【0010】
本発明は、現像液に対する分散安定性に優れ凝集物が発生せず、かつ現像後のレジストの解像性及び金属めっき耐性が良好である光重合性樹脂組成物、及び該光重合性樹脂組成物からなる光重合性樹脂層を有する光重合性樹脂積層体、さらに、該光重合性樹脂組成物を用いたレジストパターンの形成方法、並びに回路基板、リードフレーム及び半導体パッケージの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するため検討した結果、特定の光重合性樹脂組成物を用いることにより、現像後解像性及び金属めっき耐性が良好で、かつ現像液分散安定性に優れ凝集物を発生させずに、良好な導体パターンを形成することが可能になることを見出し、本発明に至った。
【0012】
即ち、本発明は、以下の通りである。
[1] (A)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、下記一般式(I):
【化1】

(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、カルボキシル基、又は炭素数1〜12のハロアルキル基である。)
で表されるモノマーを含む重合成分の重合により得られ、かつ、重量平均分子量が5000〜500000であるバインダー用樹脂:10〜90質量%、
(B)光重合性不飽和化合物:5〜70質量%、及び
(C)光重合開始剤:0.01〜20質量%
を含有する光重合性樹脂組成物であって、
該(B)光重合性不飽和化合物が有するエチレンオキサイド基の、光重合性樹脂組成物100g当たりのmol数として定義されるエチレンオキサイド基濃度が、0.17mol/100g以下である、光重合性樹脂組成物。
[2] 上記エチレンオキサイド基濃度が、0.15mol/100g以下である、上記[1]に記載の光重合性樹脂組成物。
[3] 上記(A)のバインダー用樹脂の上記重合成分が、上記一般式(I)で表される化合物を5質量%以上含有する、上記[1]又は[2]に記載の光重合性樹脂組成物。
[4] 上記(A)のバインダー用樹脂の上記重合成分が、上記一般式(I)で表される化合物を50質量%以上含有する、上記[1]又は[2]に記載の光重合性樹脂組成物。
[5] 上記(B)光重合性不飽和化合物が有するエチレン性不飽和結合の、光重合性樹脂組成物100g当たりのmol数として定義されるエチレン性不飽和結合濃度が、0.10mol/100g以下である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物。
[6] 上記(C)光重合開始剤が、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含有する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物。
[7] 上記(B)光重合性不飽和化合物として、下記一般式(II):
【化2】

(式中、R3は炭素数4〜12のジイソシアナート残基であり、R4及びR5は各々独立に水素又はメチル基であり、A1、A2、B1及びB2は各々独立にエチレン基又はプロピレン基であり、A1とB1とが互いに異なっている場合、−(A1−O)−及び−(B1−O)−の繰り返し単位はブロック構造でもランダム構造でもよく、エチレンオキサイド単位及びプロピレンオキサイド単位の順序はいずれがエステル側であってもよく、A2とB2とが互いに異なっている場合、−(A2−O)−及び−(B2−O)−の繰り返し単位はブロック構造でもランダム構造でもよく、エチレンオキサイド単位及びプロピレンオキサイド単位の順序はいずれがエステル側であってもよく、m1及びm2は各々独立に0〜15の整数であり、そしてm3及びm4は各々独立に1〜15の整数である。)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物。
[8] 上記[1]〜[7]のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物を支持体上に積層してなる、光重合性樹脂積層体。
[9] 上記[1]〜[7]のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物を基板上に積層する積層工程、
該光重合性樹脂組成物を露光する露光工程、及び
該光重合性樹脂組成物の未露光部を現像除去することによってレジストパターンを形成する現像工程
を含む、レジストパターンの形成方法。
[10] 上記[1]〜[7]のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物を基板上に積層する工程、
該光重合性樹脂組成物を露光する露光工程、
該光重合性樹脂組成物の未露光部を現像除去することによってレジストパターンを形成する現像工程、
該レジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきする配線パターン形成工程、及び
該配線パターン形成工程後の基板からレジストパターンを剥離する剥離工程
を含む、回路基板の製造方法。
[11] 上記配線パターン形成工程を、貴金属めっき浴を用いるめっきにより行う、上記[10]に記載の回路基板の製造方法。
[12] 上記レジストパターンが形成された基板が、熱及び/又はUVによるキュア処理を介さずに上記配線パターン形成工程に供される、上記[10]又は[11]に記載の回路基板の製造方法。
[13] 上記[1]〜[7]のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物を、金属板である基板上に積層する工程、
該光重合性樹脂組成物を露光する露光工程、
該光重合性樹脂組成物の未露光部を現像除去することによってレジストパターンを形成する現像工程、
該レジストパターンが形成された基板をエッチングする導体パターン形成工程、及び
該導体パターン形成工程後の基板からレジストパターンを剥離する剥離工程
を含む、リードフレームの製造方法。
[14] 上記[1]〜[7]のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物を、LSIとしての回路形成が終了したウェハである基板上に積層する工程、
該光重合性樹脂組成物を露光する露光工程、
該光重合性樹脂組成物の未露光部を現像除去することによってレジストパターンを形成する現像工程、
該レジストパターンが形成された基板をめっきするめっき工程、及び
該めっき工程後の基板からレジストパターンを剥離する剥離工程
を含む、半導体パッケージの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光重合性樹脂組成物、及びそれを形成してなる光重合性樹脂積層体は、現像後解像性及び金属めっき耐性が良好であり、特にめっき耐性に関して、現像後のレジストパターンが形成された基板の熱やUVによるキュア工程を介さずとも良好なめっき耐性を有する。さらに、本発明の光重合性樹脂組成物は現像液に対する分散安定性にも優れるため、凝集物を発生させずに、回路基板、リードフレーム及び半導体パッケージの製造において高精細な導体パターンを形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0015】
<光重合性樹脂組成物>
本発明は、(A)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、下記一般式(I):
【化3】

(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、カルボキシル基、又は炭素数1〜12のハロアルキル基を表す。)で表されるモノマーを含む重合成分の重合により得られ、かつ、重量平均分子量が5000〜500000であるバインダー用樹脂(以下、(A)バインダー用樹脂ともいう):10〜90質量%、(B)光重合性不飽和化合物:5〜70質量%、及び(C)光重合開始剤:0.01〜20質量%、を含有する光重合性樹脂組成物であって、該(B)光重合性不飽和化合物中のエチレンオキサイド基濃度が、0.17mol/100g以下である、光重合性樹脂組成物を提供する。
【0016】
[(A)バインダー用樹脂]
本発明に用いられる(A)バインダー用樹脂は、カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600、好ましくは250〜450であるものである。酸当量とは、その中に1当量のカルボキシル基を有する重合体の質量(グラム)を意味する。(A)バインダー用樹脂中のカルボキシル基は、光重合性樹脂組成物がアルカリ水溶液に対する現像性及び剥離性を有するために必要である。酸当量は、現像耐性、解像性及び支持体等への密着性の観点から100以上であり、現像性及び剥離性の観点から600以下である。酸当量の測定は、自動滴定装置(例えば平沼産業(株)製平沼自動滴定装置(COM−555))を使用し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて電位差滴定法により行われる。
【0017】
(A)バインダー用樹脂の重量平均分子量は5000〜500000である。(A)バインダー用樹脂の重量平均分子量は、解像性の観点から500000以下であり、エッジフューズの観点から5000以上である。本発明の効果をさらに良好に発揮するためには、(A)バインダー用樹脂の重量平均分子量は、5000〜200000であることが好ましく、さらに好ましくは5000〜100000である。ここで重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(例えば日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:GullIver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製 Shodex STANDARD SM−105 Polystyrene)による検量線使用))により重量平均分子量(ポリスチレン換算)として求められる。(A)バインダー用樹脂の分子量の分散度(分子量分布と呼ぶこともある)は典型的には例えば1〜6であり、好ましくは1〜4である。分散度は下記式に示す通り重量平均分子量と数平均分子量との比で表される。
(分散度)=(重量平均分子量)/(数平均分子量)
【0018】
(A)バインダー用樹脂は、下記一般式(I):
【0019】
【化4】

【0020】
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、カルボキシル基、又は炭素数1〜12のハロアルキル基である。)
で表されるモノマーを含む重合成分の重合により得られる。これにより、本発明の光重合性樹脂組成物は現像後の解像性及び金属めっき耐性に優れる。
【0021】
重合成分は、上記一般式(I)で表されるモノマーを1種又は2種以上含有し、他のモノマーを含有してもよい。現像後の解像性及び各種めっき工程において十分な耐性等を有するという観点から、重合成分は上記一般式(I)で表されるモノマーを好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、特に好ましくは50質量%以上含有する。また、現像性の観点から、重合成分は上記一般式(I)で表されるモノマーを、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下含有する。
【0022】
重合成分は、上記一般式(I)で表されるモノマーに加え、分子中に重合性不飽和基を1個有するカルボン酸又は酸無水物である第一の単量体を少なくとも1種、共重合成分として含有することが好ましい。具体的には、上記一般式(I)中のR2がカルボキシル基以外である場合、(A)バインダー用樹脂に所望の酸当量を与えるために、該第一の単量体を重合成分中に含有させる。重合成分中の第一の単量体の含有量は、(A)バインダー用樹脂の所望の酸当量によって決められる。
【0023】
第一の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等が挙げられる。
【0024】
また重合成分は、必要に応じて、非酸性で分子中に重合性不飽和基を1個有する化合物である第二の単量体を、共重合成分としてさらに含有してもよい。該第二の単量体は、光重合性樹脂組成物の現像性、エッチング及び/又はめっきの工程での耐性、光重合性樹脂組成物を硬化させてなる硬化膜の可とう性等の種々の特性を保持するように選ばれる。
【0025】
第二の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、クレジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート、フェニル基を有するビニル化合物(例えば、スチレン)、並びに、メトキシベンジル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート等のベンジル(メタ)アクリレートの芳香環にアルコキシ基、ハロゲン原子、アルキル基等の置換構造を有する化合物等が挙げられる。
【0026】
(A)バインダー用樹脂は、典型的には、上記一般式(I)で表されるモノマーと、必要に応じて、上記第一の単量体及び/又は上記第二の単量体を含む重合成分をアセトン、メチルエチルケトン、又はイソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、加熱撹拌することにより、該重合成分を重合させることが好ましい。重合成分混合物の一部を反応液に滴下しながら重合を行ってもよい。重合反応終了後、さらに溶剤を加えて、所望の濃度の溶液に調整する場合もある。重合手段としては、上記のような溶液重合の他、塊状重合、懸濁重合、又は乳化重合を用いてもよい。
【0027】
(A)バインダー用樹脂の、光重合性樹脂組成物の総量に対する含有割合は、10〜90質量%の範囲であり、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは30〜70質量%である。露光、現像によって形成されるレジストパターンが、レジストとしての特性、例えば、テンティング、エッチング及び各種めっき工程において十分な耐性等を有するという観点から、上記含有割合は10〜90質量%である。
【0028】
[(B)光重合性不飽和化合物]
本発明に用いられる(B)光重合性不飽和化合物は、光重合性不飽和結合を有する化合物であればよく、典型的にはエチレン性不飽和結合を有する化合物である。(B)光重合性不飽和化合物は、めっき耐性の観点から、下記一般式(II):
【0029】
【化5】

【0030】
(式中、R3は炭素数4〜12のジイソシアナート残基であり、R4及びR5は各々独立に水素又はメチル基であり、A1、A2、B1及びB2は各々独立にエチレン基又はプロピレン基であり、A1とB1とが互いに異なっている場合、−(A1−O)−及び−(B1−O)−の繰り返し単位はブロック構造でもランダム構造でもよく、エチレンオキサイド単位及びプロピレンオキサイド単位の順序はいずれがエステル側であってもよく、A2とB2とが互いに異なっている場合、−(A2−O)−及び−(B2−O)−の繰り返し単位はブロック構造でもランダム構造でもよく、エチレンオキサイド単位及びプロピレンオキサイド単位の順序はいずれがエステル側であってもよく、m1及びm2は各々独立に0〜15の整数であり、そしてm3及びm4は各々独立に1〜15の整数である。)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有していることが好ましい。
【0031】
4及びR5は、反応性の観点から水素又はメチル基である。A1、A2、B1及びB2は、現像性の観点からエチレン基又はプロピレン基である。
【0032】
m1とm3との総数、及びm2とm4との総数は、それぞれ、現像性の観点から好ましくは2以上であり、金属めっき耐性の観点から好ましくは20以下である。
【0033】
上記一般式(II)で表される化合物の含有割合は、(B)光重合性不飽和化合物100質量%のうち、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは10〜80質量%である。該含有割合は、めっき耐性の観点から5質量%以上であることが好ましく、現像性の観点から80質量%以下であることが好ましい。
【0034】
上記一般式(II)で表される化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート等のジイソシアナート化合物と、一分子中にヒドロキシル基及び(メタ)アクリル基を有する化合物(例えば2−ヒドロキシプロピルアクリレート、オリゴプロピレングリコールモノメタクリレート等)との反応で得られるウレタン化合物等が挙げられる。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアナートとオリゴプロピレングリコ−ルモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマ−PP1000)との反応物が挙げられる。ここで、上記一般式(II)で表される化合物において、B1及びB2がプロピレン基であることが、めっき耐性の観点から好ましい。R3のジイソシアナート残基とは、典型的には、原料であるジイソシアナート化合物に由来するウレタン結合を含む残基である。
【0035】
本発明の光重合性樹脂組成物には、(B)光重合性不飽和化合物として、前記一般式(II)で表される光重合可能なモノマーに加え、又はこれに代えて、下記に示される化合物を用いることができる。すなわち、具体的には例えば、2,2−ビス{(4−アクリロキシポリエチレンオキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−メタクリロキシポリエチレンオキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−アクリロキシポリプロピレンオキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−メタクリロキシポリプロピレンオキシ)フェニル}プロパン、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロ−ルトリ(メタ)アクリレート、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロ−ルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト−ルペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テルジ(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイロキシ)プロピルフタレート、フェノキシポリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2,2−ビス{(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシ)シクロヘキシル}プロパン、プロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドをさらに両端付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレート等が挙げられる。
【0036】
本発明に用いられる(B)光重合性不飽和化合物の、光重合性樹脂組成物の総量に対する含有割合は、5〜70質量%の範囲であり、好ましくは10〜60質量%である。この量は、感度、解像度及び密着性を向上させる観点から5質量%以上であり、またコールドフロー、及び硬化レジストの剥離遅延を抑えるという観点から70質量%以下である。
【0037】
(B)光重合性不飽和化合物が有するエチレンオキサイド基の、光重合性樹脂組成物100g当たりのmol数として定義されるエチレンオキサイド基濃度は、めっき耐性の観点から、0.17mol/100g以下であり、好ましくは0.15mol/100g以下である。
【0038】
上記エチレンオキサイド基濃度は、下記式から求めることができる。
D=(E1×F1×100)/(Mw1×G)+(E2×F2×100)/(Mw2×G)+・・・・+(Em×Fm×100)/(Mwm×G)
D:エチレンオキサイド基濃度(mol/100g)
1,E2・・・Em:(B)光重合性不飽和化合物中の各成分の配合割合
1,F2・・・Fm:(B)光重合性不飽和化合物の各成分中のエチレンオキサイド基のmol数
Mw1,Mw2・・・Mwm:(B)光重合性不飽和化合物中の各成分の重量平均分子量
m:(B)光重合性不飽和化合物中の成分の種類数
G:光重合性樹脂組成物の総質量(g)
【0039】
上記エチレンオキサイド基濃度が0.17mol/100gを超えると、めっき液やその前処理液が光重合性樹脂組成物の硬化物中にしみ込みやすくなり、めっき潜り等の問題が発生する。
【0040】
(B)光重合性不飽和化合物が有するエチレン性不飽和結合の、光重合性樹脂組成物100g当たりのmol数として定義されるエチレン性不飽和結合濃度は、めっき耐性や剥離性の観点から、好ましくは0.10mol/100g以下、より好ましくは0.09mol/100g以下である。
【0041】
上記エチレン性不飽和結合濃度とは、(B)光重合性不飽和化合物が有する、光重合開始剤によって光重合を起こす活性基であるアクリル基及びメタクリル基等のエチレン性不飽和結合の、光重合性樹脂組成物100g当たりのmol数であり、下記式から求めることができる。
H=(I1×J1×100)/(Mw1×K)+(I2×J2×100)/(Mw2×K)+・・・・+(In×Jn×100)/(Mwn×K)
H:エチレン性不飽和結合濃度(mol/100g)
1,I2・・・Im:(B)光重合性不飽和化合物中の各成分の配合割合
1,J2・・・Jm:重合末端数
Mw:(B)光重合性不飽和化合物中の各成分の重量平均分子量
n:(B)光重合性不飽和化合物中の成分の種類数
K:光重合性樹脂組成物の総質量
【0042】
上記エチレン性不飽和結合濃度が0.10mol/100gを超えると、架橋密度が高くなりすぎるため、めっき後の硬化レジストの剥離遅延の問題や、硬化膜の柔軟性が低下し、めっき潜りが生じるという問題が発生する場合がある。
【0043】
[(C)光重合開始剤]
(C)光重合開始剤としては、活性光線(例えば紫外線等)により活性化されて重合反応を開始させる化合物として一般に知られている光重合開始剤を使用でき、感度、解像性及び密着性の観点から、(C)光重合開始剤が2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含有することが好ましく、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体とp−アミノフェニルケトンとの併用系がより好ましい。
【0044】
2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾ−ル二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス−(m−メトキシフェニル)イミダゾ−ル二量体、2−(p−メトシキフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾ−ル二量体等が挙げられるが、特に、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾ−ル二量体が好ましい。
【0045】
p−アミノフェニルケトンとしては、例えば、p−アミノベンゾフェノン、p−ブチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p’−ビス(エチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、p,p’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0046】
また、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体及び/又はp−アミノフェニルケトンと、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン等のピラゾリン化合物との併用も好ましい。
【0047】
また、上記で例示された化合物に加え、又はこれに代えて、各種の活性光線(例えば紫外線等)により活性化されて重合反応を開始させる化合物を、他の光重合開始剤として使用することも可能である。
【0048】
他の光重合開始剤としては、例えば、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン等のキノン類、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル類、9−フェニルアクリジン等のアクリジン化合物、ベンジルジメチルケタ−ル、ベンジルジエチルケタ−ル等のケタール類が挙げられる。
【0049】
また、例えば、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類と、ジメチルアミノ安息香酸アルキルエステル化合物等の三級アミン化合物との組み合わせも挙げられる。
【0050】
また、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類等が挙げられる。また、N−アリール−α−アミノ酸化合物も使用可能であり、これらの中では、N−フェニルグリシンが特に好ましい。
【0051】
(C)光重合開始剤の、光重合性樹脂組成物の総量に対する含有割合は、0.01〜20質量%の範囲であり、好ましい範囲は0.05〜10質量%である。上記含有割合は、十分な感度を得るという観点から0.01質量%以上であり、また、本発明の光重合性樹脂組成物からなるレジストの底面にまで光を充分に透過させ、良好な高解像性を得るという観点から20質量%以下である。
【0052】
本発明の光重合性樹脂組成物には、染料、顔料等の着色物質を含有させることもできる。用いられる着色物質としては、例えば、フクシン、フタロシアニングリ−ン、オ−ラミン塩基、カルコキシドグリ−ンS,パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブル−2B、ビクトリアブル−、マラカイトグリ−ン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブル−20、ダイアモンドグリ−ン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)等が挙げられる。
【0053】
本発明における光重合性樹脂組成物には、光照射により発色する発色系染料を含有させることもできる。用いられる発色系染料としては、例えば、ロイコ染料又はフルオラン染料と、ハロゲン化合物との組み合わせがある。ロイコ染料としては、例えば、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコマラカイトグリ−ン]等が挙げられる。
【0054】
ハロゲン化合物としては、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェ−ト、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、トリアジン化合物等が挙げられる。該トリアジン化合物としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0055】
このような発色系染料の中でも、トリブロモメチルフェニルスルフォンとロイコ染料との組み合わせや、トリアジン化合物とロイコ染料との組み合わせが有用である。
【0056】
着色物質及び/又は発色系染料を含有する場合の含有量は、光重合性樹脂組成物中において、夫々0.01〜10質量%が好ましい。該含有量は、充分な着色性(着色物質の場合)及び発色性(発色系染料の場合)が認識できる点から0.01質量%以上が好ましく、露光部と未露光部とのコントラストを有する点と、保存安定性維持の観点から10質量%以下が好ましい。
【0057】
本発明における光重合性樹脂組成物の熱安定性、及び保存安定性を向上させるために、光重合性樹脂組成物に下記添加剤を含有させることが好ましい。このような添加剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。また安定剤として、ビスフェノールAの両側にそれぞれ平均1モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールの両側にさらにプロピレンオキシドを付加した化合物、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1−(2−ジアルキルアミノ)カルボキシベンゾトリアゾール、ペンタエリスリトール3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸テトラエステル等が挙げられる。
【0058】
上記添加剤の合計含有量は、光重合性樹脂組成物100質量%のうち、好ましくは0.01〜3質量%であり、より好ましくは0.05〜1質量%である。該合計含有量は、光重合性樹脂組成物に良好な保存安定性を付与するという観点から0.01質量%以上が好ましく、また、感度を良好に維持するという観点から3質量%以下がより好ましい。
【0059】
さらに本発明の光重合性樹脂組成物には、必要に応じて可塑剤等を含有させてもよい。可塑剤としては、例えばジエチルフタレート等のフタル酸エステル類、o−トルエンスルホン酸アミド、p−トルエンスルホン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ−n−プロピル、アセチルクエン酸トリ−n−ブチル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル等が挙げられる。
【0060】
含有する場合の可塑剤の含有量は、光重合性樹脂組成物100質量%のうち、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは、5〜30質量%である。該含有量は、現像時間の遅延を抑えたり、硬化膜に柔軟性を付与するという観点から5質量%以上が好ましく、また、硬化不足やコールドフローを抑えるという観点から50質量%以下が好ましい。
【0061】
本発明の光重合性樹脂組成物を各種用途に使用する際には、例えば、後述するような溶剤を光重合性樹脂組成物と混ぜ合わせて得られる光重合性樹脂組成物溶液を好ましく使用できる。
【0062】
<光重合性樹脂積層体>
本発明の別の態様は、上述した本発明の光重合性樹脂組成物を支持体上に積層してなる、光重合性樹脂積層体を提供する。本発明の光重合性樹脂積層体は、典型的には、光重合性樹脂組成物からなる光重合性樹脂層とその層を支持する支持体とからなるが、必要により、光重合性樹脂層の支持体と反対側の表面に保護層を有していても良い。ここで用いられる支持体としては、露光光源から放射される光を透過する透明なものが望ましい。このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムとしては、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。支持体(特にフィルム)のヘーズは5以下であることが好ましい。支持体(特にフィルム)の厚みは、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要等から、10〜30μmが好ましい。
【0063】
また、光重合性樹脂積層体において用いられる保護層の重要な特性は、光重合性樹脂層との密着力について、支持体よりも保護層の方が充分小さく、保護層を光重合性樹脂層から容易に剥離できることである。例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が保護層として好ましく使用できる。また、例えば特開昭59−202457号公報に示された剥離性の優れたフィルムを用いることができる。
【0064】
保護層の膜厚は10〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。
【0065】
本発明の光重合性樹脂積層体における光重合性樹脂層の厚みは、用途において異なるが、好ましくは、3〜100μm、より好ましくは、3〜50μmであり、薄いほど解像度は向上し、また、厚いほど膜強度が向上する。
【0066】
支持体、光重合性樹脂層、及び必要により保護層を順次積層して、本発明の光重合性樹脂積層体を作製する方法としては、従来知られている方法を採用することができる。例えば、光重合性樹脂層を形成するために用いる光重合性樹脂組成物を、これを溶解する溶剤と混ぜ合わせ均一な溶液にしておき、まず支持体上にバーコーターやロールコーターを用いて塗布して乾燥し、支持体上に光重合性樹脂組成物からなる光重合性樹脂層を積層する。次いで、必要により、光重合性樹脂層上に保護層をラミネートする。以上により光重合性樹脂積層体を作製することができる。
【0067】
上記溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)に代表されるケトン類、並びにメタノール、エタノール及びイソプロパノールに代表されるアルコール類が挙げられる。溶剤は、支持体上に塗布する光重合性樹脂組成物の溶液の粘度が、25℃で500〜4000mPaとなるように光重合性樹脂組成物に添加することが好ましい。
【0068】
<レジストパターン形成方法>
本発明の別の態様は、上述した本発明の光重合性樹脂組成物を基板上に積層する積層工程、該光重合性樹脂組成物を露光する露光工程、及び該光重合性樹脂組成物の未露光部を現像除去することによってレジストパターンを形成する現像工程を含む、レジストパターンの形成方法を提供する。レジストパターンの具体的な形成方法の一例を示す。
【0069】
[積層工程]
まず、積層工程においては、例えばラミネーターを用いて光重合性樹脂組成物を基板上に積層する。光重合性樹脂組成物は、典型的には、支持体及び任意に保護層と組合された前述の光重合性樹脂積層体の形態で、光重合性樹脂層として基板上に形成できる。具体的には、例えば、光重合性樹脂積層体が保護層を有する場合には保護層を剥離した後、ラミネーターで光重合性樹脂層を基板表面に加熱圧着し積層する。この場合、光重合性樹脂層は基板表面の片面だけに積層しても良いし、両面に積層しても良い。この時の加熱温度は一般的に40〜160℃である。また、該加熱圧着は2回以上行うことにより密着性及び耐薬品性が向上する。この時、圧着には二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用しても良いし、基板と光重合性樹脂積層体とを重ねて何回か繰り返してロールに通し両者を圧着しても良い。
【0070】
[露光工程]
次に、露光工程では、露光機を用いて光重合性樹脂組成物を露光する。必要ならば支持体を剥離しフォトマスクを通して活性光により露光する。露光量は、光源照度及び露光時間より決定され、光量計を用いて測定しても良い。
【0071】
露光工程において、マスクレス露光方法を用いてもよい。マスクレス露光ではフォトマスクを使用せず基板上に直接描画して露光する。光源としては波長350〜410nmの半導体レーザー又は超高圧水銀灯等が用いられる。描画パターンはコンピューターによって制御され、この場合の露光量は、光源照度及び基板の移動速度によって決定される。
【0072】
[現像工程]
次に、現像工程では、現像装置を用いて、光重合性樹脂組成物の未露光部を現像除去する。上記露光後、光重合性樹脂層上に支持体がある場合には、必要に応じてこれを除き、続いてアルカリ水溶液の現像液を用いて未露光部を現像除去し、レジストパターンを得る。アルカリ水溶液としては、Na2CO3、K2CO3等の水溶液を使用できる。これらは光重合性樹脂層の特性に合わせて選択されるが、0.2〜2質量%の濃度、20〜40℃のNa2CO3水溶液が一般的である。該アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
【0073】
上述の工程によってレジストパターンが得られるが、場合によっては、さらに100〜300℃の加熱工程を行うこともできる。この加熱工程を実施することにより、レジストパターンの更なる耐薬品性向上が可能となる。加熱には、熱風、赤外線、遠赤外線等の方式の加熱炉を用いることができる。
【0074】
<回路基板の製造方法>
本発明の別の態様は、上述した本発明の光重合性樹脂組成物を基板上に積層する工程、該光重合性樹脂組成物を露光する露光工程、該光重合性樹脂組成物の未露光部を現像除去することによってレジストパターンを形成する現像工程、該レジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきする配線パターン形成工程、及び該配線パターン形成工程後の基板からレジストパターンを剥離する剥離工程を含む、回路基板の製造方法を提供する。すなわち、本発明の回路基板(具体的にはプリント配線板)の製造方法は、基板として例えば銅張積層板又はフレキシブル基板を用い、上述のレジストパターンの形成方法に続いて、以下の工程を経ることで実施できる。
【0075】
[配線パターン形成工程]
現像によりレジストパターンが形成されて露出した基板の銅面に対してエッチング又は既知のめっき法によるめっきを施して配線パターンを形成する。めっき法として特に制限はないが、銅、半田、錫、ニッケル、パラジウム、金、等を用いるめっき法が挙げられ、実装基板の接続信頼性の観点からは、貴金属めっき浴を用いためっきにより行うことが好ましい。ここで、貴金属めっき浴に用いる貴金属とは、典型的にはパラジウム又は金である。
【0076】
本発明においては、配線パターン形成工程の前に熱及び/又はUVによるキュア処理を介さずに、該配線パターン形成工程を行うことができる。すなわち、本発明の光重合性樹脂組成物は良好なめっき耐性を有するため、熱及び/又はUVによるキュア処理を介さなくても上記めっきを良好に行うことができる。
【0077】
[剥離工程]
その後、レジストパターンを、例えば現像液よりも強いアルカリ性を有する水溶液により基板から剥離して所望の回路基板(プリント配線板)を得る。剥離用のアルカリ水溶液(以下、「剥離液」ともいう。)についても特に制限はないが、2〜5質量%の濃度、40〜70℃のNaOH又はKOHの水溶液が一般的に用いられる。剥離液にも、少量の水溶性溶媒を加える事は可能である。
【0078】
<リードフレームの製造方法>
本発明の別の態様は、上述した本発明の光重合性樹脂組成物を、金属板である基板上に積層する工程、該光重合性樹脂組成物を露光する露光工程、該光重合性樹脂組成物の未露光部を現像除去することによってレジストパターンを形成する現像工程、該レジストパターンが形成された基板をエッチングする導体パターン形成工程、及び該導体パターン形成工程後の基板からレジストパターンを剥離する剥離工程を含む、リードフレームの製造方法を提供する。
【0079】
すなわち、本発明のリードフレームの製造方法は、基板として例えば銅、銅合金、鉄系合金等の金属板を用い、上述のレジストパターンの形成方法に続いて、以下の工程を経ることで実施できる。まず、導体パターン形成工程において、現像によりレジストパターンが形成されて露出した基板をエッチングして導体パターンを形成する。その後、剥離工程においてレジストパターンを上述の回路基板の製造方法と同様の方法で剥離して、所望のリードフレームを得る。
【0080】
<半導体パッケージの製造方法>
本発明の別の態様は、上述した本発明の光重合性樹脂組成物を、LSIとしての回路形成が終了したウェハである基板上に積層する工程、該光重合性樹脂組成物を露光する露光工程、該光重合性樹脂組成物の未露光部を現像除去することによってレジストパターンを形成する現像工程、及び該レジストパターンが形成された基板をめっきするめっき工程、及び該めっき工程後の基板からレジストパターンを剥離する剥離工程を含む、半導体パッケージの製造方法を提供する。すなわち、本発明の半導体パッケージの製造方法は、基板としてLSIとしての回路形成が終了したウェハを用い、上述のレジストパターンの形成方法に続いて、以下の工程を経ることで実施できる。
【0081】
現像によりレジストパターンが形成されて露出した基板の開口部に銅、はんだ等の柱状のめっきを施して、導体パターンを形成する。その後、レジストパターンを上述の回路基板(プリント配線板)の製造方法と同様の方法で剥離し、更に、典型的には柱状めっき以外の部分の薄い金属層をエッチングにより除去することにより、所望の半導体パッケージを得る。
【0082】
<凹凸パターンを有する基材>
本発明の光重合性樹脂組成物を典型的には光重合性樹脂積層体の形態でドライフィルムレジストとして用い、サンドブラスト工法により基材に加工を施すことにより、凹凸パターンを有する基材を形成することもできる。この場合には、基材上に、上記したレジストパターンの形成方法と同様な方法で、光重合性樹脂積層体をラミネートし、露光、現像を施す。更に形成されたレジストパターン上からブラスト材を吹き付け目的の深さに切削するサンドブラスト処理工程、及び基材上に残存した樹脂部分をアルカリ剥離液等で基材から除去する剥離工程を経て、基材上に微細なパターンを加工することができる。上記サンドブラスト処理工程に用いるブラスト材としては公知のものが用いられ、例えばSiC,SiO2、Al23、CaCO3、ZrO、ガラス、ステンレス等の粒径2〜100μm程度の微粒子が用いられる。
【0083】
以下、実施例により本発明の実施の形態の例をさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0084】
以下に、実施例及び比較例の評価用サンプルの作製方法並びに得られたサンプルについての評価方法及び評価結果について示す。
【0085】
1.評価用サンプルの作製
実施例及び比較例における光重合性樹脂積層体は次の様にして作製した。
【0086】
<光重合性樹脂組成物の調製>
表1に示す化合物を用意し、表2に示す組成割合で光重合性樹脂組成物を調製した。なお表1中の「重合比」とは質量比である。
【0087】
[エチレンオキサイド基濃度の算出]
下記式に従って求めた。
D=(E1×F1×100)/(Mw1×G)+(E2×F2×100)/(Mw2×G)+・・・・+(Em×Fm×100)/(Mwm×G)
D:エチレンオキサイド基濃度(mol/100g)
1,E2・・・Em:(B)光重合性不飽和化合物中の各成分の配合割合
1,F2・・・Fm:(B)光重合性不飽和化合物の各成分中のエチレンオキサイド基のmol数
Mw1,Mw2・・・Mwm:(B)光重合性不飽和化合物中の各成分の重量平均分子量
m:(B)光重合性不飽和化合物中の成分の種類数
G:光重合性樹脂組成物の総質量(g)
【0088】
[エチレン性不飽和結合濃度の算出]
下記式に従って求めた。
H=(I1×J1×100)/(Mw1×K)+(I2×J2×100)/(Mw2×K)+・・・・+(In×Jn×100)/(Mwn×K)
H:エチレン性不飽和結合濃度(mol/100g)
1,I2・・・Im:(B)光重合性不飽和化合物中の各成分の配合割合
1,J2・・・Jm:重合末端数
Mw:(B)光重合性不飽和化合物中の各成分の重量平均分子量
n:(B)光重合性不飽和化合物中の成分の種類数
K:光重合性樹脂組成物の総質量
【0089】
<光重合性樹脂積層体の作製>
上記の光重合性樹脂組成物をよく攪拌、混合し、支持体として16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で5分間乾燥して光重合性樹脂層を形成した。光重合性樹脂層の厚みは50μmであった。
【0090】
なお、表2におけるP−1〜P−4の質量部は、メチルエチルケトンを含んだ値である。
【0091】
次いで、光重合性樹脂層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない方の表面上に、保護層として20μm厚のポリエチレンフィルムを張り合わせて、光重合性樹脂積層体を得た。
【0092】
<基板整面>
下記(1)及び(2)の評価用基板としては、35μm厚の圧延銅箔を積層した0.4mm厚の両面銅張積層板を用い、表面をスプレー圧0.20MPaでジェットスクラブ研磨(日本カーリット(株)製、サクランダムR(登録商標)#220を使用)したものを使用した。
【0093】
<ラミネート>
光重合性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、整面して60℃に予熱した銅張積層板、ホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL−700)によりロール温度105℃でラミネートした。エアー圧力は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
【0094】
<露光>
評価に必要なマスクフィルムを支持体であるポリエチレンテレフタレートフィルム上におき、超高圧水銀ランプ(オーク製作所製、HMW−801)により、ストーファー製21段ステップタブレットが8段となる露光量で、光重合性樹脂層を露光した。
【0095】
<現像>
ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、アルカリ現像機(フジ機工製、ドライフィルム用現像機)を用いて30℃の1質量%Na2CO3水溶液を所定時間スプレーし、光重合性樹脂層の未露光部分を最小限像時間の2倍の時間で溶解除去した。この際、未露光部分の光重合性樹脂層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間とした。
【0096】
<無電解ニッケルめっき>
現像後の評価基板を用いて、以下の処理を連続して行った。
(a)脱脂
ICPクリーンS−135K(奥野製薬工業(株)製、製品名)溶液で、40℃下、5分間浸漬処理を行った。
(b)水洗
室温下、1分間洗浄を行った。
(c)ソフトエッチ
過硫酸ナトリウム/硫酸/硫酸銅・5水和物浴で、室温下、1分間浸漬処理を行った。
(d)水洗
室温下、1分間洗浄を行った。
(e)デスマット
10質量%硫酸溶液で、室温下、1分間浸漬処理を行った。
(f)水洗
室温下、1分間洗浄を行った。
(g)プリディップ
3.5質量%塩酸溶液で、室温下、1分間浸漬処理を行った。
(h)活性化
ICPアクセラ(奥野製薬工業(株)製、製品名)溶液で、室温下、1分間浸漬処理を行った。
(i)水洗
室温下、1分間洗浄を行った。
(j)無電解ニッケルめっき
ICPニコロンGM−SE(奥野製薬工業(株)製、製品名)溶液で、80℃下、30分間浸漬処理を行った。
(k)水洗
室温下、1分間洗浄を行った。
【0097】
<レジスト剥離>
めっき後の評価基板に、50℃に加温した3質量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーして硬化したレジストを剥離した。
【0098】
2.評価方法
(1)解像性評価
ラミネート後15分経過した解像度評価用基板を、露光部と未露光部の幅が1:1の比率のラインパターンで露光した。最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインが正常に形成されている最小マスク幅を解像度の値とし、解像性を下記のようにランク分けした。
【0099】
◎:解像度の値が30μm以下。
○:解像度の値が30μmを超え、35μm以下。
△:解像度の値が35μmを超え、40μm以下。
×:解像度の値が40μmを超える。
【0100】
(2)めっき耐性評価
現像後のレジストパターンが形成された基板を熱やUVによるキュア工程を介さずに無電解ニッケルめっきを行い、めっき後評価基板のレジストの膨れ観察と、それに続くレジスト剥離を行った基板観察のめっき潜り観察を行い、めっき耐性を下記のようにランク分けした。
【0101】
◎:レジストの膨れやめっき潜りが全く発生しない。
○+:一部レジストの変色が見られるが、レジストの膨れやめっき潜りは全く発生しない。
○:一部レジストの膨れが見られるが、めっき潜りは全く発生しない。
△:レジストの膨れが見られ、めっき潜りも一部発生する。
×:全面にレジストの膨れとめっき潜りが発生する。
【0102】
(3)凝集性評価
光重合性樹脂積層体中の厚さ50μm、面積0.6m2の感光層(レジスト層)を、200mlの1質量%Na2CO3水溶液に溶解させ、循環式スプレー装置を用いてスプレー圧0.1MPa、3時間スプレーを行った。その後、現像液を1日放置し、凝集物の発生を観察した。凝集物が多量に発生するとスプレー装置の底部及び側面に粉状のもの又は油状のものが観察される。また、現像液に凝集物が浮遊することもある。現像液凝集性が良好な組成はこれら凝集物が全く発生しないか、若しくは発生しても極微量で水洗により簡単に洗い流すことが可能である。凝集物の発生状態については目視観察により以下のようにランク分けした。
【0103】
◎:凝集物が全く発生しない。
○:スプレー装置の底部若しくは側面には凝集物はなく、現像液に目視で確認可能な極微量の凝集物の浮遊が観察されるが水洗すると簡単に洗い流される。
△:スプレー装置の底部若しくは側面の一部及び現像液に凝集物が浮遊している。水洗してもすべてを洗い流すことはできない。
×:スプレー装置全体に凝集物が見られ且つ現像液に凝集物が浮遊している。水洗でもすべてを洗い流すことは不可能でほとんどが残留する。
【0104】
【表1】

【0105】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、下記一般式(I):
【化1】

(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、カルボキシル基、又は炭素数1〜12のハロアルキル基である。)
で表されるモノマーを含む重合成分の重合により得られ、かつ、重量平均分子量が5000〜500000であるバインダー用樹脂:10〜90質量%、
(B)光重合性不飽和化合物:5〜70質量%、及び
(C)光重合開始剤:0.01〜20質量%
を含有する光重合性樹脂組成物であって、
該(B)光重合性不飽和化合物が有するエチレンオキサイド基の、光重合性樹脂組成物100g当たりのmol数として定義されるエチレンオキサイド基濃度が、0.17mol/100g以下である、光重合性樹脂組成物。
【請求項2】
前記エチレンオキサイド基濃度が、0.15mol/100g以下である、請求項1に記載の光重合性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)のバインダー用樹脂の前記重合成分が、前記一般式(I)で表される化合物を5質量%以上含有する、請求項1又は2に記載の光重合性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)のバインダー用樹脂の前記重合成分が、前記一般式(I)で表される化合物を50質量%以上含有する、請求項1又は2に記載の光重合性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(B)光重合性不飽和化合物が有するエチレン性不飽和結合の、光重合性樹脂組成物100g当たりのmol数として定義されるエチレン性不飽和結合濃度が、0.10mol/100g以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(C)光重合開始剤が、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(B)光重合性不飽和化合物として、下記一般式(II):
【化2】

(式中、R3は炭素数4〜12のジイソシアナート残基であり、R4及びR5は各々独立に水素又はメチル基であり、A1、A2、B1及びB2は各々独立にエチレン基又はプロピレン基であり、A1とB1とが互いに異なっている場合、−(A1−O)−及び−(B1−O)−の繰り返し単位はブロック構造でもランダム構造でもよく、エチレンオキサイド単位及びプロピレンオキサイド単位の順序はいずれがエステル側であってもよく、A2とB2とが互いに異なっている場合、−(A2−O)−及び−(B2−O)−の繰り返し単位はブロック構造でもランダム構造でもよく、エチレンオキサイド単位及びプロピレンオキサイド単位の順序はいずれがエステル側であってもよく、m1及びm2は各々独立に0〜15の整数であり、そしてm3及びm4は各々独立に1〜15の整数である。)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物を支持体上に積層してなる、光重合性樹脂積層体。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物を基板上に積層する積層工程、
該光重合性樹脂組成物を露光する露光工程、及び
該光重合性樹脂組成物の未露光部を現像除去することによってレジストパターンを形成する現像工程
を含む、レジストパターンの形成方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物を基板上に積層する工程、
該光重合性樹脂組成物を露光する露光工程、
該光重合性樹脂組成物の未露光部を現像除去することによってレジストパターンを形成する現像工程、
該レジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきする配線パターン形成工程、及び
該配線パターン形成工程後の基板からレジストパターンを剥離する剥離工程
を含む、回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記配線パターン形成工程を、貴金属めっき浴を用いるめっきにより行う、請求項10に記載の回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記レジストパターンが形成された基板が、熱及び/又はUVによるキュア処理を介さずに前記配線パターン形成工程に供される、請求項10又は11に記載の回路基板の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物を、金属板である基板上に積層する工程、
該光重合性樹脂組成物を露光する露光工程、
該光重合性樹脂組成物の未露光部を現像除去することによってレジストパターンを形成する現像工程、
該レジストパターンが形成された基板をエッチングする導体パターン形成工程、及び
該導体パターン形成工程後の基板からレジストパターンを剥離する剥離工程
を含む、リードフレームの製造方法。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれかに記載の光重合性樹脂組成物を、LSIとしての回路形成が終了したウェハである基板上に積層する工程、
該光重合性樹脂組成物を露光する露光工程、
該光重合性樹脂組成物の未露光部を現像除去することによってレジストパターンを形成する現像工程、
該レジストパターンが形成された基板をめっきするめっき工程、及び
該めっき工程後の基板からレジストパターンを剥離する剥離工程
を含む、半導体パッケージの製造方法。

【公開番号】特開2011−150137(P2011−150137A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11246(P2010−11246)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】