説明

光量制御システム

【課題】主に太陽光を利用して就寝者を心地よく目覚めさせることができる光量制御システムを提供する。
【解決手段】建物1の室内空間2へ太陽光L1を含む自然光を採り入れる窓4に設置される複数のスラット3a,・・・を有するブラインド3と、室内空間2及び窓4近傍に設置される照度を計測可能な照度センサー6A,6Bと、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度を制御可能なコントローラ5とを備えており、コントローラ5は、予め入力された設定時刻より所定時間前からブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度の調整を開始させて、所定時間前から設定時刻までに室内空間2が、多段階に設定した略所定の照度範囲で段階的に明るくなるように制御を行う構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空間の光の明るさ(強さ)を調整して、就寝者を心地よく目覚めさせる光量制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、設定した起床予定時刻が近づくにしたがい、就寝者に徐々に明るくなるように光を調整して照射し、就寝者を心地よく目覚めさせることがなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、この光として、照明器具の光を利用した従来技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、この光として、太陽光と照明器具の光とを併用した従来技術が開示されている。
【0005】
ここで、特許文献1,2のような従来技術では、就寝者を目覚めさせる光としては、主として照明器具の光を利用することを前提としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−318670号公報
【特許文献2】特開2005−310438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、就寝者を心地よく目覚めさせるには、照明器具の光よりも自然光である太陽光の方が勝っていることは、実験などで確認されているし、心理的にも自明の理である。
【0008】
ただし、太陽光は、場所や日時などでもその強さが異なるし、その日の天候によっても、太陽が急に雲に隠れたり、雲間から急に現れたりして、明るさの制御が困難である。
【0009】
このため、主に太陽光を利用して就寝者を心地よく目覚めさせることができる従来技術はなかった。
【0010】
そこで、本発明は、主に太陽光を利用して就寝者を心地よく目覚めさせることができる光量制御システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の光量制御システムは、建物の室内空間へ自然光を採り入れる窓に設置される複数のスラットを有するブラインドと、前記室内空間及び前記窓近傍の少なくともいずれか一方に設置される光の明るさを計測可能な受光センサーと、前記ブラインドの前記複数のスラットの開度を制御可能な制御手段とを備えており、前記制御手段は、予め入力された設定時刻より所定時間前から前記ブラインドの前記複数のスラットの開度の調整を開始させて、前記所定時間前から前記設定時刻までの間に、前記室内空間が、多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲で段階的に明るくなるように制御を行う手段であって、前記受光センサーの計測値に基づいて、太陽光として直射光が差し込んでいるのか、散乱光が差し込んでいるのかを判断し、直射光が差し込んでいると判断した場合の直射光モードと、散乱光が差し込んでいると判断した場合の散乱光モードとを有し、各モードに適した前記複数のスラットの開度の調整制御を行うことを特徴とする。
【0012】
ここで、前記直射光モードのときは、直射光を前記室内空間へ直接入射させずに、前記ブラインドの前記複数のスラットの表面側で反射させ、前記室内空間の少なくとも天井及び壁のいずれか一方に反射させて、前記室内空間を前記所定時間前から前記設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲となるように前記ブラインドの前記複数のスラットの開度の調整制御を行うとよい。
【0013】
また、前記散乱光モードのときは、直接空の明るさを前記室内空間へ極力採り入れるように、前記室内空間を前記所定時間前から前記設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲となるように前記ブラインドの前記複数のスラットの開度の調整制御を行うとよい。
【0014】
さらに、前記直射光モードのときは、前記複数のスラットの開度を短い時間間隔で制御し、前記散乱光モードのときは、前記直射光モードのときよりも長い時間間隔で前記複数のスラットの開度の調整制御を行うとよい。
【0015】
また、前記制御手段は、初期値に基づいて、前記ブラインドの前記複数のスラットの開度を段階的に大きくする基本制御を行うとともに、前記受光センサーの計測値が前記初期値から設定した許容範囲を超えて、下回ったり、上回ったりしたときは、前記直射光モード又は前記散乱光モードにより、前記室内空間を前記所定時間前から前記設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲となるように前記ブラインドの前記複数のスラットの開度の調整制御を行ってもよい。
【0016】
さらに、前記初期値は、当該光量制御システムが設置される場所、方角、日時において予測される光の明るさの値であるとよい。
【0017】
また、前記制御手段は、当該光量制御システムが設置される場所、日時において予測される日の出前に、前記ブラインドの複数のスラットを閉じた状態とする制御を行うとよい。
【0018】
さらに、前記ブラインドの複数のスラットは、表面側は反射率が20%以上の凸部で、裏面側は反射率が0〜5%の凹部である円弧板状とされているとよい。
【0019】
また、前記ブラインドの複数のスラット間の間隔は、前記スラットの幅の75%以下であるとよい。
【0020】
さらに、多段階に設定した1段階目の光の明るさは、40lx以下であるとよい。
【0021】
また、多段階に設定した最終段階の光の明るさは、300〜1000lxであるとよい。
【0022】
さらに、前記制御手段による前記ブラインドの複数のスラットの開度調整ステップは、1ステップの回転角度が20°以下とされているとよい。
【0023】
また、段階的に照射光の明るさの調整が可能な照明器具も備えており、前記制御手段は、前記受光センサーの計測値が最低限必要な所定値を下回ったときは、前記照明器具により、前記室内空間を前記所定時間前から前記設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲とする明るさの照射光を照射して補うとよい。
【発明の効果】
【0024】
このような本発明の光量制御システムは、建物の室内空間へ自然光を採り入れる窓に設置される複数のスラットを有するブラインドと、室内空間及び窓近傍の少なくともいずれか一方に設置される光の明るさを計測可能な受光センサーと、ブラインドの複数のスラットの開度を制御可能な制御手段とを備えている。
【0025】
そして、制御手段は、予め入力された設定時刻より所定時間前からブラインドの複数のスラットの開度の調整を開始させて、所定時間前から設定時刻までの間に、室内空間が、多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲で段階的に明るくなるように制御を行う手段である。
【0026】
そのうえ、制御手段は、受光センサーの計測値に基づいて、太陽光として直射光が差し込んでいるのか、散乱光が差し込んでいるのかを判断し、直射光が差し込んでいると判断した場合の直射光モードと、散乱光が差し込んでいると判断した場合の散乱光モードとを有し、各モードに適した複数のスラットの開度の調整制御を行う構成とされている。
【0027】
こうした構成なので、主に太陽光を利用するため、主に照明器具の光を利用していた従来技術に比べて、就寝者をより心地よい目覚めに導くことができる。
【0028】
また、電力を必要とする照明器具の照射光でなく、主に太陽光を利用するため、省エネルギーとなる。
【0029】
ここで、直射光モードのときは、直射光を室内空間へ直接入射させずに、ブラインドの複数のスラットの表面側で反射させ、室内空間の少なくとも天井及び壁のいずれか一方に反射させて、室内空間を所定時間前から設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲となるようにブラインドの複数のスラットの開度の調整制御を行う場合は、直射光モードに適した複数のスラットの開度の調整制御を簡易な構成で実現することができる。
【0030】
また、散乱光モードのときは、直接空の明るさを室内空間へ極力採り入れるように、室内空間を所定時間前から設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲となるようにブラインドの複数のスラットの開度の調整制御を行う場合は、散乱光モードに適した複数のスラットの開度の調整制御を簡易な構成で実現することができる。
【0031】
さらに、直射光モードのときは、複数のスラットの開度を短い時間間隔で制御し、散乱光モードのときは、直射光モードのときよりも長い時間間隔で複数のスラットの開度の調整制御を行う場合は、急激な変化の少ない散乱光が差し込んでいる散乱光モードのときは、ゆっくりとした制御で済み、急激な変化のある直射光が差し込んでいる直射光モードのときは、就寝者の不快を招くこと無く素早く制御でき、全体として、ブラインドの複数のスラットの開度を絶えず頻繁に調整する必要がなく、複数のスラットの回転音も少なくて済み、動力部を絶えず頻繁に駆動させる必要がなく、故障するおそれが少なく耐久性に優れたものとすることができる。
【0032】
また、制御手段は、初期値に基づいて、ブラインドの複数のスラットの開度を段階的に大きくする基本制御を行うとともに、受光センサーの計測値が初期値から設定した許容範囲を超えて、下回ったり、上回ったりしたときは、直射光モード又は散乱光モードにより、室内空間を所定時間前から設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲となるようにブラインドの複数のスラットの開度の調整制御を行う場合は、複雑なプログラムを組み込む必要がなく、簡単な初期設定でシステム制御が行え、低コストで実施することができる。
【0033】
さらに、初期値は、この光量制御システムが設置される場所、方角、日時において予測される光の明るさの値である場合は、初期値を、通年のデータなどをもとに簡易に算出できるため、より低コストで実施することができる。
【0034】
また、制御手段は、この光量制御システムが設置される場所、日時において予測される日の出前に、ブラインドの複数のスラットを閉じた状態とする制御を行う場合は、例えば、手動でブラインドを開けたままにしてしまっていたときなども、この光量制御システムが起動する前に、明るい太陽光が就寝者に照射されて目覚めさせてしまうのを回避することができる。
【0035】
さらに、ブラインドの複数のスラットは、表面側は反射率が20%以上の凸部で、裏面側は反射率が0〜5%の凹部である円弧板状とされている場合は、太陽光は、反射率が高い表面側で反射するため、太陽光を就寝者に眩しさを感じさせることなく、且つ天井や壁での反射も利用して効率よく室内空間へ採り入れることができ、特にこの光量制御システムの起動開始時には、ブラインドのスラット間から漏れて入射した太陽光が、反射率が低い裏面側では乱反射しないため、室内空間を容易に就寝者の快適感に影響を与えない略所定の光の明るさ範囲にすることができる。
【0036】
そのうえで、この数値範囲内であれば、性能を低下させずに好みの色のブラインドを選択できるため、意匠的外観を向上させることができる。
【0037】
また、ブラインドの複数のスラット間の間隔は、スラットの幅の75%以下である場合は、特別な遮光機構を用いずとも、就寝者に不快感を与えずに、多段階に設定した略所定の光の明るさに調整制御できることが、モニター試験により確認された。
【0038】
このため、より精度の高い調整制御を行える無駄のないブラインドを用いることができる。
【0039】
さらに、多段階に設定した1段階目の光の明るさは、40lx以下である場合は、就寝者に不快感を与えず、途中で目覚めさせたりしないことが、モニター試験により確認された。
【0040】
また、多段階に設定した最終段階の光の明るさは、300〜1000lxである場合は、就寝者が心地よく目覚めさせることができることが、モニター試験により確認された。
【0041】
さらに、制御手段によるブラインドの複数のスラットの開度調整ステップは、1ステップの回転角度が20°以下とされている場合は、就寝者に不快感を与えずに、多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲に調整制御できることが、実邸試作試験により確認された。
【0042】
また、段階的に照射光の明るさの調整が可能な照明器具も備えており、制御手段は、受光センサーの計測値が最低限必要な所定値を下回ったときは、照明器具により、室内空間を所定時間前から設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲とする明るさの照射光を照射して補う場合は、極めて天候が悪かったり、外がまだ明るくないときなども、対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(a)、(b)は、実施例1の光量制御システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】実施例1のブラインドの概略構成を示す斜視図である。
【図3】実施例1の光量制御システムにおける時刻と照度との関係を示すグラフである。
【図4】実施例1の光量制御システムと、ブラインドが実施例1の要件を満たさず、直射光モード及び散乱光モード自体が機能しない光量制御システムとの性能を比較したグラフである。
【図5】モニター試験における起床時での最終照度と疲労回復因子及び起床時眠気因子との関係を示すグラフである。
【図6】モニター試験における条件(1)〜(3)のもとでの疲労回復因子と起床時眠気因子との関係を示すグラフである。
【図7】ブラインドの複数のスラットを全閉状態にした場合における時刻と室内空間の照度との関係を示すグラフである。
【図8】実施例2の光量制御システムの概略構成を示す説明図である。
【図9】実施例3の光量制御システムの概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に示す実施例1〜3に基づいて説明する。
【実施例1】
【0045】
まず、図1〜図3に基づいて、実施例1の光量制御システムについて説明する。
【0046】
図1(a)及び図1(b)は、実施例1の光量制御システムを備えた建物1の概略構成を示している。
【0047】
このような建物1は、基礎底盤コンクリート1bと、その側縁に立設された基礎側壁コンクリート1cと、この基礎側壁コンクリート1cの上端開口を塞ぐ床部1dと、さらに基礎側壁コンクリート1cの上に立設された外壁部1eと、この外壁部1eの上端開口を塞ぐ天井部1aとから主に構成されている。
【0048】
そして、実施例1の光量制御システムは、床部1dと外壁部1eと天井部1aとに囲まれて形成された室内空間2に設置されている。
【0049】
ここで、天井部1aの表面(室内空間2側の面)は、白色、ベージュ色などの通常の住宅の室内装であるが、反射率が高い色とされている。
【0050】
また、内壁部1fの表面(室内空間2側の面)も、白色、ベージュ色などの通常の住宅の室内装であるが、反射率が高い色とされている。
【0051】
この実施例1の光量制御システムは、ブラインド3と、自然光である太陽光L1の光の明るさ(照度)を測定可能な受光センサーとしての照度センサー6A,6Bと、照明器具としての蛍光灯8と、制御手段としてのコントローラ5とから主に構成されている。
【0052】
なお、受光センサーとしては、照度センサー6A,6Bの代わりに、輝度センサーを使用して輝度を測定し、太陽光L1の光の明るさを測定してもよい。
【0053】
ここで、このブラインド3は、図2に示したように、窓4の窓枠4aの室内空間2側に取り付けられるものであり、窓4から入射する太陽光L1を採光又は遮蔽する複数のスラット3a,・・・が、最上部のボックス31内部から昇降コード32,32で吊設されている。
【0054】
また、これらのスラット3a,・・・は、表面側は、白色、ベージュ色などの反射率が20%以上の凸部で、裏面側は、黒色、こげ茶色などの反射率が0〜5%の凹部である円弧板状とされている。
【0055】
さらに、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・間の間隔は、スラット3aの短辺側の幅の75%以下とされている。
【0056】
また、これらのスラット3a,・・・は、ボックス31内部の巻き上げモータ(図示せず)により昇降コード32,32を電動で巻き上げて昇降可能である。
【0057】
さらに、これらのスラット3a,・・・は、これらの長手側両端面に、ボックス31内部のアクチュエータ(図示せず)に接続されたラダーコード33,33が設けられており、電動で開度が調節可能である。
【0058】
そして、ボックス31内部の巻き取りモータ及びアクチュエータは、コントローラ5からの有線又は無線による信号を受信してスラット3a,・・・の電動による昇降又は開度の調整が行われる。
【0059】
なお、このブラインド3では、操作紐34により、スラット3a,・・・の昇降や開度の調整は、手動でも可能とされている。
【0060】
また、このブラインド3としては、特別な遮光機構を有する専用のものを使用する必要はなく、専用のものに比べて安価な民生用のものを使用することができる。
【0061】
さらに、照度センサー6Aが、就寝者7の枕元近傍の内壁部1fに設けられており、ブラインド3の複数のスラット3aの間から入射したり、室内空間2の天井部1aで反射したりした太陽光L1の照度を計測する。
【0062】
また、照度センサー6Bが、窓4とブラインド3との間に設けられており、窓4から入射する太陽光L1の照度を計測する。
【0063】
そして、これらの照度センサー6A,6Bは、有線又は無線で、コントローラ5に計測した照度の信号を送信可能とされている。
【0064】
さらに、蛍光灯8が天井部1aに設けられている。
【0065】
ここで、この蛍光灯8は、調光器(図示せず)が内蔵されており、段階的に照射光の照度の調整が可能とされており、必要に応じて、有線又は無線で、コントローラ5により、スイッチのオン・オフに加え、照射光L2の照度が調整される。
【0066】
また、コントローラ5は、所望の設定時刻(起床予定時刻)がボタンで入力されると、この設定時刻より所定時間前からブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度を、基本的には段階的に大きくしていく。
【0067】
そして、所定時間前から設定時刻までの間に、室内空間2が多段階に設定した略所定の照度範囲で段階的に明るくなるように制御を行う。
【0068】
また、コントローラ5は、照度センサー6A,6Bに入射する太陽光L1の照度に下記する直射光モードと散乱光モードとのモード切り換えの基準となる境界値(例えば照度センサー6Aでは800lxとし、照度センサー6Bでは10000lxとする。)を設定し、この境界値以上であると、直射光と判断し、この境界値未満であると、散乱光と判断する。
【0069】
そして、コントローラ5によるブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度の調整制御は、直射光と判断した場合の直射光モードと、散乱光と判断した場合の散乱光モードとの2つのモードに分かれている。
【0070】
まず、図1(a)における直射光モードでは、急激な変化のある太陽光L1としての直射光が、就寝者7の不快を招くことの無いように、直射光を室内空間2へ直接入射させずに、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の表面側で反射させ、室内空間2の天井部1aの表面や内壁部1fの表面などで反射させて、室内空間2を所定時間前から設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の照度範囲となるようにブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度の調整制御を行う。
【0071】
そのうえで、直射光モードのときは、太陽の高度や方位又は雲の移動など時間的変動要因が大きいので、例えば1〜2秒の間の短い時間間隔で、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度の調整制御を素早く行う。
【0072】
これに対し、図1(b)における散乱光モードでは、太陽光L1としての散乱光は急激な変化がないため、直接空の明るさを室内空間2へ極力採り入れるように、室内空間2を所定時間前から設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の照度範囲となるようにブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度の調整制御を行う。
【0073】
そのうえで、散乱光モードのときは、太陽の高度や方位又は雲の移動など時間的変動要因は小さいので、例えば10〜120秒の間の直射光モードよりもかなり長い時間間隔で、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度の調整制御を行う。
【0074】
ここで、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度の調整制御には、多段階に設定した各所定の照度範囲をそれぞれ目標値としたフィードバック制御が用いられる。
【0075】
例えば、快晴の日などは、直射光モードが主に使用され、コントローラ5の内部で1〜2秒の短い時間間隔でフィードバック制御が行われているため、太陽が急に雲に隠れたりして、照度が不足し散乱光と判断したときは、すぐさま散乱光モードに切り換わり、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度を大きく調整する制御がなされる。
【0076】
その後に、太陽が急に雲間から現れたりして、照度が過剰となり直射光と判断したときには、すぐさま直射光モードに切り換わり、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度を、上記したように天井部1aの表面や内壁部1fの表面などで反射させることができる開度まで小さく調整する制御がなされる。
【0077】
これに対し、例えば、曇りの日などには、散乱光モードが主に使用され、コントローラ5の内部で10〜120秒の長い時間間隔でフィードバック制御は行われているが、太陽光L1の急激な変化がないため、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度を調整する制御がなされる頻度はあまりない。
【0078】
また、極めて天候が悪く太陽光L1による日照がほとんどないときなどは、コントローラ5により、不足した照度を蛍光灯8の照射光L2で補い設定した略所定の照度範囲とする制御を行う。
【0079】
なお、コントローラ5は、この実施例1の光量制御システムが設置される場所、日時において予測される日の出前に、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・を閉じた状態とする制御を行い、この実施例1の光量制御システムが起動する前に、太陽光が就寝者7に照射されて目覚めさせてしまったり、40lxを超えて就寝者7の起床時の快適感を損なわせてしまったりすることを回避する。
【0080】
こうして、就寝者7を、所望の設定時間頃に、心地よく目覚めさせることができる。
【0081】
一例として、図3に示したように、1段階目として、コントローラ5に設定時刻(起床予定時刻)として、T3=8時00分を入力すると、30分前のT0=7時30分からブラインド3のスラット3a,・・・の開度が少し開かれ、20分間、S1=約40lxの低照度の光が就寝者7に照射される。
【0082】
続いて、T1=7時50分からブラインド3のスラット3a,・・・の開度がさらに開かれ、約5分間、S2=約200lxの中照度の光が就寝者7に照射される。
【0083】
最後に、T2=7時55分からブラインド3のスラット3a,・・・の開度がさらにより開かれ、S3=約500lxの高照度の光が約5分間、就寝者7に照射されると、就寝者7は、設定時刻T3=8時00分頃に心地よく目覚めることとなる。
【0084】
この場合、極めて天候が悪く、日照がほとんどないときを考慮して、蛍光灯8としては、最大約500lxの照度の照射光L2を照射できるものが使用される。
【0085】
なお、こうした3段階に照度を大きくして実施することには限定されず、4段階以上で実施してもよい。
【0086】
次に、この実施例1の光量制御システムの作用効果について説明する。
【0087】
このような実施例1の光量制御システムは、建物1の室内空間2へ太陽光L1を含む自然光を採り入れる窓4に設置される複数のスラット3a,・・・を有するブラインド3と、室内空間2及び窓4近傍に設置される照度を計測可能な受光センサーとしての照度センサー6A,6Bと、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度を制御可能な制御手段としてのコントローラ5とを備えている。
【0088】
そして、コントローラ5は、予め入力された設定時刻より所定時間前からブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度の調整を開始させて、所定時間前から設定時刻までに室内空間2が、多段階に設定した略所定の照度範囲で段階的に明るくなるように制御を行う手段である。
【0089】
そのうえ、コントローラ5は、照度センサー6A,6Bの計測値に基づいて、太陽光L1として直射光が差し込んでいるのか、散乱光が差し込んでいるのかを判断し、直射光が差し込んでいると判断した場合の直射光モードと、散乱光が差し込んでいると判断した場合の散乱光モードとを有し、各モードに適した複数のスラット3a,・・・の開度の調整制御を行う構成とされている。
【0090】
こうした構成なので、主に太陽光L1を利用するため、主に照明器具の光を利用していた従来技術に比べて、就寝者をより心地よい目覚めに導くことができる。
【0091】
また、電力を必要とする照明器具の照射光でなく、主に太陽光L1を利用するため、省エネルギーとなる。
【0092】
ここで、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度の調整制御には、多段階に設定した各所定の照度範囲をそれぞれ目標値としたフィードバック制御が用いられる。
【0093】
このため、複雑なプログラムを組み込む必要がなく、簡単な初期設定でシステム制御が行え、低コストで実施することができる。
【0094】
また、直射光モードのときは、直射光を室内空間2へ直接入射させずに、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の表面側で反射させ、室内空間2の天井部1aの表面や内壁部1fの表面などで反射させて、室内空間2を所定時間前から設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の照度範囲となるようにブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度の調整制御を行う。
【0095】
このため、直射光モードに適した複数のスラット3a,・・・の開度の調整制御を簡易な構成で実現することができる。
【0096】
さらに、散乱光モードのときは、直接空の明るさを室内空間2へ極力採り入れるように、室内空間2を所定時間前から設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の照度範囲となるようにブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度の調整制御を行う。
【0097】
このため、散乱光モードに適した複数のスラット3a,・・・の開度の調整制御を簡易な構成で実現することができる。
【0098】
また、直射光モードのときは、複数のスラット3a,・・・の開度を短い時間間隔で制御し、散乱光モードのときは、直射光モードのときよりも長い時間間隔で複数のスラット3a,・・・の開度の調整制御を行う。
【0099】
このため、急激な変化の少ない散乱光が差し込んでいる散乱光モードのときは、ゆっくりとした制御で済み、急激な変化のある直射光が差し込んでいる直射光モードのときは、就寝者7の不快を招くこと無く素早く制御でき、全体として、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度を絶えず頻繁に調整する必要がなく、複数のスラット3a,・・・の回転音も少なくて済み、動力部としてのアクチュエータなどを絶えず頻繁に駆動させる必要がなく、故障するおそれが少なく耐久性に優れたものとすることができる。
【0100】
さらに、制御手段は、この光量制御システムが設置される場所、日時において予測される日の出前に、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・を閉じた状態とする制御を行うので、例えば、手動でブラインド3を開けたままにしてしまっていたときなども、この光量制御システムが起動する前に、明るい太陽光L1が就寝者に照射されて目覚めさせてしまったり、40lxを超えて就寝者7の起床時の快適感を損なわせてしまったりするのを回避することができる。
【0101】
また、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・は、表面側は反射率が20%以上の凸部で、裏面側は反射率が0〜5%の凹部である円弧板状とされているので、太陽光L1は、反射率が高い表面側で反射するため、太陽光L1を就寝者7に眩しさを感じさせることなく、且つ天井部1aの表面や内壁部1fの表面などでの反射も利用して効率よく室内空間へ採り入れることができ、特にこの光量制御システムの起動開始時には、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・間から漏れて入射した太陽光L1が、反射率が低い裏面側では乱反射しないため、室内空間2を容易に就寝者7の快適感に影響を与えない略所定の照度範囲にすることができる。
【0102】
そのうえで、この数値範囲内であれば、性能を低下させずに好みの色のブラインドを選択できるため、意匠的外観を向上させることができる。
【0103】
さらに、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・間の間隔は、スラット3aの短辺側の幅の75%以下である。
【0104】
このことにより、特別な遮光機構を用いずとも、就寝者7に不快感を与えずに、多段階に設定した略所定の照度範囲に調整制御できることが、下記したモニター試験により確認された。
【0105】
このため、より精度の高い調整制御を行える無駄のないブラインド3を用いることができる。
【0106】
また、多段階に設定した1段階目の照度は、40lx以下であると、就寝者7に不快感を与えず、途中で目覚めさせたりしないことが、下記したモニター試験により確認された。
【0107】
さらに、多段階に設定した最終段階の照度は、300〜1000lxであると、就寝者7が心地よく目覚めさせることができることが、下記したモニター試験により確認された。
【0108】
また、制御手段としてのコントローラ5によるブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度調整ステップは、1ステップの回転角度が20°以下とされていると、就寝者7に不快感を与えずに、多段階に設定した略所定の照度範囲に調整制御できることが、下記した実邸試作試験により確認された。
【0109】
さらに、段階的に照射光L2の明るさの調整が可能な照明器具としての蛍光灯8も備えており、制御手段としてのコントローラ5は、受光センサー6A,6Bの計測値が最低限必要な所定値を下回ったときは、蛍光灯8により、室内空間2を所定時間前から設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の照度範囲とする明るさの照射光L2を照射して補うので、極めて天候が悪かったり、外がまだ明るくないときなども、対応することができる。
【0110】
次に、建物1の実邸試作試験を行ったところ、次の試験結果が得られた。
【0111】
まず、実施例1の光量制御システムと、ブラインド3が上記した実施例1の要件を満たさず、直射光モード及び散乱光モード自体が機能しない光量制御システムとの性能を比較したところ、図4に示すグラフが得られた。
【0112】
ここで、実施例1の光量制御システムの室内空間2の照度変化A1は、目標の照度範囲となる調整制御が行えた。
【0113】
これに対し、ブラインド3が上記した実施例1の要件を満たさず、直射光モード及び散乱光モード自体が機能しない光量制御システムの室内空間2の照度変化A2では、特に最終段階において、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・に所謂ハンチング動作が起きてしまい、大きく変化して目標の照度範囲となる調整制御が行えなかった。
【0114】
すなわち、本発明のように、ブラインド3が上記した実施例1の要件を満たし、直射光モード及び散乱光モードを有する構成でなければ、図3に示したような多段階の照度の調整制御がうまく行えないことが確認された。
【0115】
また、上記したように、コントローラ5によるブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度調整ステップは、1ステップの回転角度が20°以下とすると、就寝者7に不快感を与えずに、多段階に設定した略所定の照度に調整制御できることも確認された。
【0116】
次に、本発明の実用化のために、モニター試験を行ったところ、次の試験結果が得られた。
【0117】
なお、このモニター試験では、「山本由華吏,田中秀樹, 高瀬美紀,山崎勝男,阿住一雄,白川修一郎:中高年・高齢者を対象としたOSA睡眠調査票(MA版)の開発と標準化,脳と精神の医学,vol.10,p401-409,1999」で報告されている方法に従って、モニター(被験者)にOSA睡眠調査票の各項目について評価してもらい、起床時眠気、入眠と睡眠維持、夢み、疲労回復、睡眠時間の各因子について分析を行った。
【0118】
図5は、起床時の最終照度値とOSA睡眠調査票における疲労回復因子B1及び起床時眠気因子B2との関係を示すグラフである。
【0119】
この図5のグラフから分かるように、最終照度値が300lx〜1000lxの範囲で疲労回復因子B1及び起床時眠気因子B2ともに標準化得点(Zi)が高い値となっている。
【0120】
更に詳しく見ると、疲労回復因子B1は500lxで最も高く、1000lxでは評価値がさがっている。起床時眠気因子B2は300lxから徐々に評価値が高くなり1000lxで最も高くなっている。
【0121】
つまり、より望ましい領域としては両因子を満足する領域としての500lx〜1000lxの範囲であると考えられる。
【0122】
なお、1000lxでは直射光に対して眩しさを感じる被験者もいたことなどを考慮すると、厳密には800lx以下とすることが望ましいとも考えられる。
【0123】
図6は、部屋(室内空間2)を、就寝時から起床までを1lx未満とした場合(条件(1))、部屋(室内空間2)を、就寝時から起床30分前までを1lxとしその後照明による漸増光で起床時までに徐々に300lxとした場合(条件(2))、部屋(室内空間2)を、就寝時から起床30分前までを40lxとしその後照明による漸増光で起床時までに徐々に300lxとした場合(条件(3))でのOSA睡眠調査の疲労回復因子B1及び起床時眠気因子B2との関係を示すグラフである。
【0124】
この図6のグラフから分かるように、条件(2)と条件(3)とでは、起床時眠気因子B2に差はないが、疲労回復因子B1は若干高くなっている。
【0125】
また、条件(3)としても途中で起床する被験者もなく、快適性因子および目覚め感に関わる因子も略同等であった。
【0126】
よって、多段階設定の制御開始前の照度を40lx以下とするのは勿論、多段階設定の1段階目の照度は、40lx以下であれば快適な起床が可能となることが確認された。
【0127】
図7は、年間を通して日差しが最も強い時期で、天候が快晴であった日のブラインド3の複数のスラット3a,・・・を全閉状態にした場合における時刻と室内空間2の照度との関係を示すグラフである。
【0128】
ここで、照度の変化C1は、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の裏面の反射率を上記したように0〜5%とし、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・間の間隔をこれらスラット3a,・・・の幅の75%以下としたときのものである。
【0129】
また、照度の変化C2は、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の裏面の反射率を、5%を超えるようにし、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・間の間隔をこれらスラット3a,・・・の幅の75%を超えるようにしたときのものである。
【0130】
この図7のグラフから分かるように、起床予定時刻を8時00分と仮定し、設定した所定時間30分前の7時30分においては、照度変化C1では、不快感を与えず、途中で目覚めることのない40lx以下に抑えることができるが、照度変化C2では、所定時間の40分前の6時23分頃で既に40lxを超えてしまう。
【0131】
この結果から、ブラインド3の複数のスラットの裏面の反射率を0〜5%とし、スラット間の間隔をスラットの幅の75%以下とすることで、眠りを妨げない40lx以下に抑えることに対し有効であることが分かった。
【0132】
さらに、モニター実験によりブラインド3の複数のスラット3a,・・・間の間隔が、これらスラット3aの幅の75%以下であると、不快感を与えずに室内空間2の照度の調整制御が行えることが確認された。
【実施例2】
【0133】
次に、図8に基づいて、実施例2の光量制御システムについて説明する。なお、上記実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0134】
この実施例2の光量制御システムでは、窓4の近傍の照度センサー6Bが設けられていないことが、上記実施例1と主に異なる。
【0135】
この実施例2の光量制御システムでは、窓4の近傍の照度センサー6Bが設けられていない分、室内空間2の照度センサー6Aのみで太陽光L1の照度を計測するため、光の感知速度が一瞬だけ遅くなるが、上記したモニター試験の結果、起床時の快適性効果には影響を与えず、実施例1の光量制御システムに比べて、その分、簡易な構成にすることができる。
【0136】
なお、他の構成及び作用効果については、上記実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【実施例3】
【0137】
次に、図9に基づいて、実施例3の光量制御システムについて説明する。なお、上記実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0138】
この実施例3の光量制御システムでは、室内空間2の照度センサー6Aが設けられていないことが、上記実施例1と主に異なる。
【0139】
この実施例3の光量制御システムでは、室内空間2の照度センサー6Aが設けられていない分、窓4の近傍の照度センサー6Bのみで太陽光L1の照度を計測するため、室内空間2の照度は、予め設定して得られる換算値となるが、上記したモニター試験の結果、起床時の快適性効果には影響を与えず、実施例1の光量制御システムに比べて、その分、簡易な構成にすることができる。
【0140】
なお、他の構成及び作用効果については、上記実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【0141】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態について実施例1〜3をもとに詳述してきたが、具体的な構成は、上記した実施例1〜3に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0142】
例えば、上記実施例1〜3では、本発明の説明を簡単にするために、建物1の構成を単純なものとして実施したが、これに限定されず、複雑な構成の建物において実施してもよい。
【0143】
また、上記実施例1では、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度の調整制御には、多段階に設定した各所定の照度範囲をそれぞれ目標値としたフィードバック制御を用いて実施したが、これに限定されない。
【0144】
例えば、コントローラ5が、実施例1の光量制御システムが設置される場所、方角、日時、太陽高度等の条件により予測される明るさからブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度を予め設定し、設定した開度では目標とする照度に満たない場合にフィードバック制御で調整を行うものであってもよい。
【0145】
ここで、照度センサー6A,6Bで計測した計測値と基本制御の目標値との間の差分には、許容範囲(例えば設定した各所定の照度S1,S2,S3の±10%)を設定しておき、この許容範囲内では、ブラインド3の複数のスラット3a,・・・の開度の調整制御は行わないものとしてもよい。
【0146】
この場合も、実施例1と同様、複雑なプログラムを組み込む必要がなく、簡単な初期設定でシステム制御が行え、低コストで実施することができる。
【0147】
そのうえ、初期値は、通年のデータなどをもとに簡易に算出できるため、より低コストで実施することができる。
【符号の説明】
【0148】
1 建物
2 室内空間
3 ブラインド
3a スラット
4 窓
5 コントローラ(制御手段)
6A 照度センサー(受光センサー)
6B 照度センサー(受光センサー)
7 就寝者
8 蛍光灯(照明器具)
L1 太陽光
L2 蛍光灯(照明器具)の照射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の室内空間へ自然光を採り入れる窓に設置される複数のスラットを有するブラインドと、前記室内空間及び前記窓近傍の少なくともいずれか一方に設置される光の明るさを計測可能な受光センサーと、前記ブラインドの前記複数のスラットの開度を制御可能な制御手段とを備えており、
前記制御手段は、予め入力された設定時刻より所定時間前から前記ブラインドの前記複数のスラットの開度の調整を開始させて、前記所定時間前から前記設定時刻までの間に、前記室内空間が、多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲で段階的に明るくなるように制御を行う手段であって、前記受光センサーの計測値に基づいて、太陽光として直射光が差し込んでいるのか、散乱光が差し込んでいるのかを判断し、直射光が差し込んでいると判断した場合の直射光モードと、散乱光が差し込んでいると判断した場合の散乱光モードとを有し、各モードに適した前記複数のスラットの開度の調整制御を行うことを特徴とする光量制御システム。
【請求項2】
前記直射光モードのときは、直射光を前記室内空間へ直接入射させずに、前記ブラインドの前記複数のスラットの表面側で反射させ、前記室内空間の少なくとも天井及び壁のいずれか一方に反射させて、前記室内空間を前記所定時間前から前記設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲となるように前記ブラインドの前記複数のスラットの開度の調整制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の光量制御システム。
【請求項3】
前記散乱光モードのときは、直接空の明るさを前記室内空間へ極力採り入れるように、前記室内空間を前記所定時間前から前記設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲となるように前記ブラインドの前記複数のスラットの開度の調整制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の光量制御システム。
【請求項4】
前記直射光モードのときは、前記複数のスラットの開度を短い時間間隔で制御し、前記散乱光モードのときは、前記直射光モードのときよりも長い時間間隔で前記複数のスラットの開度の調整制御を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光量制御システム。
【請求項5】
前記制御手段は、初期値に基づいて、前記ブラインドの前記複数のスラットの開度を段階的に大きくする基本制御を行うとともに、前記受光センサーの計測値が前記初期値から設定した許容範囲を超えて、下回ったり、上回ったりしたときは、前記直射光モード又は前記散乱光モードにより、前記室内空間を前記所定時間前から前記設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲となるように前記ブラインドの前記複数のスラットの開度の調整制御を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光量制御システム。
【請求項6】
前記初期値は、当該光量制御システムが設置される場所、方角、日時において予測される光の明るさの値であることを特徴とする請求項5に記載の光量制御システム。
【請求項7】
前記制御手段は、当該光量制御システムが設置される場所、日時において予測される日の出前に、前記ブラインドの複数のスラットを閉じた状態とする制御を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光量制御システム。
【請求項8】
前記ブラインドの複数のスラットは、表面側は反射率が20%以上の凸部で、裏面側は反射率が0〜5%の凹部である円弧板状とされていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光量制御システム。
【請求項9】
前記ブラインドの複数のスラット間の間隔は、前記スラットの幅の75%以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光量制御システム。
【請求項10】
多段階に設定した1段階目の光の明るさは、40lx以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光量制御システム。
【請求項11】
多段階に設定した最終段階の光の明るさは、300〜1000lxであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光量制御システム。
【請求項12】
前記制御手段による前記ブラインドの複数のスラットの開度調整ステップは、1ステップの回転角度が20°以下とされていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光量制御システム。
【請求項13】
段階的に照射光の明るさの調整が可能な照明器具も備えており、前記制御手段は、前記受光センサーの計測値が最低限必要な所定値を下回ったときは、前記照明器具により、前記室内空間を前記所定時間前から前記設定時刻までの間の多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲とする明るさの照射光を照射して補うことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光量制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−101151(P2010−101151A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43502(P2009−43502)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】