説明

入室管理システム

【課題】本発明の課題は、適切な道順を通る入室を管理するシステムを提供することである。
【解決手段】
管理ゲートの通過順序とゲート識別情報を対応付けたゲート巡回情報と最後に通過したゲートの識別情報を含む入室管理ファイルを記憶して、前記管理ゲートが送信したゲート識別情報を受信して、前記最後に通過したゲートの識別情報を更新して、管理ゲートが送信する入室管理ファイル要求を受信して、入室管理ファイルを返信するICカードと、前記ICカードから前記入室管理ファイルを受信して、前記入室管理ファイルに含まれる最後に通過したゲートの識別情報とゲート巡回情報から求めた、次に通過するゲート識別情報が、前記管理ゲートのメモリに記憶されているゲート識別情報と比較して一致すれば、前記管理ゲートの通過を許可する管理ゲートとから構成される入室管理システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行を管理する管理ゲートを用いた入退室管理システムにおいて、利用者が通過する管理ゲートの通過順序を定めて利用者の入室を管理するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、セキュリティ管理された施設においては、利用者の入退場を管理するために、チェックポイントに設けられた管理ゲートで利用者が所持するICカードを認証して、通行を許可している。
【0003】
たとえば、特許文献1では、非接触型ICカードに暗証情報と有効期限情報を記憶させて、区画領域に設けたドア(=管理ゲート)において、入力された暗証情報や現在時刻とICカードの情報とを比較して、判定してドアを開錠する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平10-280754号公報(段落0058−段落0078、図6)
【0004】
さらには、幾つかの管理ゲートを1つにまとめてゾーンを形成させて、管理ゲートの通行を許可するゾーン管理による通行許可方法がある。
図7は、ゾーン管理による入室管理システム2の概要を説明する図である。入室管理システム2は、ICカード100と、管理ゲート300とから構成される。管理ゲート300は、管理区域500の入場を管理する。幾つかの管理区域500がまとまって、1つのゾーン700を形成している。(幾つかの管理ゲート300がまとまって、1つのゾーン700を形成している。)各ゾーン700は、異なるセキュリティ管理レベルが設定されている。たとえば、各ゾーンは次のようにセキュリティ管理レベルが設定される。
・社員が入室を許可されるゾーン
・特別の権限を持つ社員のみが入室を許可されるゾーン
・社員とアルバイトが入室を許可されるゾーン
このようにゾーン管理された管理区域500においては、管理ゲート300は、ゾーンの通行許可が与えられたICカード100を認証して通行を許可する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の技術では、通過を許可する管理ゲートを指定するだけであるので、目的の場所に到達するまでに、通ってほしくない迂回路を通ったり、近道を通ったりすることを防止できないという不具合点がある。
また、ゾーン管理には無い組み合わせの管理ゲートの通行を許可する場合には、新たに、ゾーンを設定しなおさねばならないという不便さがある。
【0006】
本発明はこのような点を解決するためになされたものであって、本発明の課題は、適切な道順を通る入室を管理するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。すなわち、請求項1の発明は、ICカード(100)と、管理区域の入場を管理する管理ゲート(300)とから構成される入室管理システムであって、前記ICカード(100)は、管理ゲートの通過順序とゲート識別情報を対応付けたゲート巡回情報(192)と最後に通過したゲートの識別情報(194)を含む入室管理ファイル(191)を記憶するメモリと、前記管理ゲート(300)が送信したゲート識別情報(397)を受信して、前記最後に通過したゲートの識別情報(194)を更新する識別情報更新手段と、管理ゲート(300)が送信する入室管理ファイル要求を受信して、入室管理ファイル(191)を返信する入室管理ファイル返信手段とを備えるICカードであって、
前記管理ゲート(300)は、前記ゲート識別情報(397)を記憶するメモリと、前記ICカードから前記入室管理ファイル(191)を受信する入室管理ファイル受信手段と、前記最後に通過したゲートの識別情報(194)を用いて、前記ゲート巡回情報(192)の中から次に通過するゲート識別情報と前記管理ゲートのメモリに記憶されているゲート識別情報(397)と比較して一致すれば、前記管理ゲートの通過を許可する入場許可手段と、前記管理ゲートのメモリに記憶されているゲート識別情報(397)を前記ICカード(100)に送信するゲート識別情報送信手段と、を備える管理ゲートである、ことを特徴とする入室管理システムである。
【0008】
ここで、ICカードは最後に通過したゲートの識別情報を記憶しているので、通過しようとしている管理ゲートが、ゲート巡回情報に記載されている通過順番の管理ゲートであるか否かを判定することが可能となる。
【0009】
請求項2の発明は、前記ICカード(100)において、戻り許可条件(193)を有する前記入室管理ファイル(191)を記憶するメモリであって、前記管理ゲート(300)において、前記入場許可手段は、前記最後に通過したゲートの識別情報と前記戻り許可条件を用いて、前記ゲート巡回情報(192)の中から前記最後に通過した前記管理ゲートの前のゲート識別情報と前記管理ゲートのメモリに記憶されているゲート識別情報(397)と比較して一致すれば、あるいは、前記最後に通過したゲートの識別情報と前記管理ゲートのメモリに記憶されているゲート識別情報(397)と比較して一致すれば、ゲート通過を許可する、ことを特徴とする請求項1に記載の入室管理システムである。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によれば、
(1)無用な迂回路を通ったり、近道を通ったりすることを防止した入室を管理することが可能である。
(2)また、ゾーン管理と巡回路指定を併用した入室を管理することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施の形態について、更に詳しく説明する。
【0012】
図1は、本発明による入室管理システム1の概要を説明する図である。
入室管理システム1は、ICカード100と、管理ゲート300とから構成される。
管理ゲート300は、管理区域(たとえば、部屋)500の入退場を管理する。
管理ゲート300は、ICカードリーダを備える。
【0013】
管理ゲート300は、コンピュータプログラムによって制御される電子錠を有する開閉扉装置である。
【0014】
図2は、本発明による入室管理システム1の大まかな処理の流れを説明する。
管理ゲート300は、ICカード100に入室管理ファイルを要求する(図2(1a))。
ICカード100は、管理ゲート300が送信した入室管理ファイル要求を受信して、入室管理ファイルを返信する(同(1b))。
管理ゲート300は、ICカード100が送信した入室管理ファイルを受信する(同(1c))。
【0015】
管理ゲート300は、入室管理ファイルに含まれる最後に通過したゲート(以下、最後のゲート)の識別情報と管理ゲートの通過順序を定めたゲート巡回情報とを参照して、次に通過するゲート(以下、次のゲート)の識別情報を調べる(同(2a))。
【0016】
ゲート巡回情報のとおりに管理ゲートを通過することで、たとえば、スタート地点に戻ったり、出口に到達する。
【0017】
なお、最後のゲートの位置から、来た路を戻る途中折り返しを許してもよい。(詳細は後述する)
【0018】
管理ゲート300は、次のゲートの識別情報が、管理ゲートのゲート識別情報と比較して、一致すれば、入稿通過を許可する(同(2b))。
【0019】
管理ゲート300は、管理ゲートの識別情報をICカード100に送信する(同(3a))。
ICカード100は、管理ゲート300が送信したゲート識別情報を受信して、最後のゲート識別情報の内容を更新する(同(3b))。
【0020】
図3は、ICカード100の詳細な構成図である。
ICカード100は、CPU101と、通信部102とメモリ(=記憶手段)109と、専用プログラムとを備える。
通信部102は、アンテナコイルや、接触端子である。メモリ109は、半導体メモリや磁気メモリである。メモリ109は、入室管理ファイル191を記憶する。
【0021】
入室管理ファイル191は、最後のゲート識別情報194と管理ゲートの通過順序を定めたゲート巡回情報192とを含むデータファイルである。
また、入室管理ファイル191は、途中での折り返しを許可する双方向許可条件193を含んでもよい。
【0022】
専用プログラムは、入室管理ファイル返信手段110と、ゲート識別情報更新手段120とから構成される。
【0023】
入室管理ファイル返信手段110は、管理ゲート300が送信する入室管理ファイル要求を受信して、入室管理ファイル191を返信する。
ゲート識別情報更新手段120は、管理ゲート300が送信したゲート識別情報をICカードに送信して、このゲート識別情報397を用いて、入室管理ファイルの最後に通過したゲートの識別情報194を更新する。
【0024】
図4は、ゲート巡回情報192の形式と例である。ゲート巡回情報192の項目は、通過順序情報192aとゲート識別情報192bとを対応付けて構成される。図4には、ゲート巡回情報192が例示されている。たとえば、通過順序情報192aが「1」であって、ゲート識別情報192b「G20A」である。あるいは、通過順序情報192aが「2」であって、ゲート識別情報192b「G30N」である。
【0025】
図5は、管理ゲート300の詳細な構成図である。管理ゲート300は、CPU301と、電子錠部302と、ICカードリーダ303と、メモリ309と、専用プログラムとを備える。開閉扉302は、電子錠を有する扉である。ICカードリーダ303は、接触型あるいは非接触型のICカード読取書込み装置である。メモリ109は、半導体メモリや磁気メモリである。メモリ109は、ゲート識別情報397を記憶する。
【0026】
専用プログラムは、入室管理ファイル受信手段310と、入場許可手段320と、ゲート識別情報送信手段330と、から構成される。
【0027】
入室管理ファイル受信手段310は、入室管理ファイル要求をICカード100に送信して、返信された入室管理ファイル191を受信する。
【0028】
入場許可手段320は、入室管理ファイルの最後のゲート識別情報194を用いて、入室管理ファイルのゲート巡回情報192を参照して、次のゲートの識別情報を選択して、次のゲートの識別情報とメモリのゲート識別情報397と比較して一致すれば、ゲート通過を許可する。
また、入室管理ファイルに双方向許可条件193が含まれる場合には、入場許可手段320は、入室管理ファイルのゲート巡回情報192を参照して、最後のゲートの一つ前に通過した管理ゲートの識別情報を選択して、メモリのゲート識別情報397と比較して一致すれば、ゲート通過を許可する。あるいは、入室管理ファイルに双方向許可条件193が含まれる場合には、入場許可手段320は、入室管理ファイルの最後のゲート識別情報194とメモリのゲート識別情報397とを比較して一致すれば、ゲート通過を許可する。
【0029】
ゲート識別情報送信手段330は、メモリのゲート識別情報397をICカード100に送信する。
【0030】
図6は、入場許可処理のフローチャートである。
【0031】
(1)入場許可手段320は、ゲート巡回情報192にゲート識別情報397(=ゲートID)が存在するか否かを判定する(S120)。
ゲートID397が存在すれば、ステップS130に進む。
ゲートID397が存在しなければ、S125に進む。
(2)入場許可手段320は、通過を不可として、終了する。(S125)
(3)入場許可手段320は、ゲート巡回情報における自ゲートの順位を取得しNに代入して、ゲート巡回情報における最後のゲートの順位を取得しMに代入して、(S130)N=M+1であるか否かを判定する。(S140)
等しければ、S145に進む。
等しくなければ、S150に進む。
(4)入場許可手段320は、ゲート通過を許可して終了する。(S145)
【0032】
(5)入場許可手段320は、双方向許可条件193が存在するか否かを判定する。(S150)
双方向許可条件193が存在すれば、S160に進む。
双方向許可条件193が存在しなければ、S155に進む。
(6)入場許可手段320は、ゲート通過を不可として終了する。(S155)
(7)入場許可手段320は、N=Mであるか否かを判定する。(S160)
等しければ、S162に進む。
等しくなければ、S170に進む。
(8)入場許可手段320は、ゲート通過を許可して終了する。(S162)
(9)入場許可手段320は、N=M−1であるか否かを判定する。(S170)
等しければ、S165に進む。
等しくなければ、S162に進む。
(10)入場許可手段320は、ゲート通過を不可として終了する。(S172)
(11)入場許可手段320は、ゲート通過を許可して終了する。(S175)
【0033】
以上詳しく説明したように、本願発明によれば、本願発明によれば、
(1)無用な迂回路を通ったり、近道を通ったりすることを防止した入室を管理することが可能となった。
(2)また、ゾーン管理と巡回路指定を併用した入室を管理することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による入室管理システム1の概要を説明する図
【図2】本発明による入室管理システム1の大まかな処理の流れ
【図3】ICカード100の詳細な構成図
【図4】ゲート巡回情報192の形式と例
【図5】管理ゲート300の詳細な構成図
【図6】入場許可処理のフローチャート
【図7】(従来例)ゾーン管理による入室管理システム2の概要を説明する図
【符号の説明】
【0035】
1 本発明による入室管理システム
2 (従来例)ゾーン管理による入室管理システム
100 ICカード
191 入室管理ファイル
192 ゲート巡回情報
192a 通過順序情報
192b ゲート識別情報
193 双方向許可条件
194 ゲート識別情報
300 管理ゲート
397 ゲート識別情報
500 管理区域
700 ゾーン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードと、管理区域の入場を管理する管理ゲートとから構成される入室管理システムであって、
前記ICカードは、
管理ゲートの通過順序とゲート識別情報を対応付けたゲート巡回情報と最後に通過したゲートの識別情報を含む入室管理ファイルを記憶するメモリと、
前記管理ゲートが送信したゲート識別情報を受信して、前記最後に通過したゲートの識別情報を更新する識別情報更新手段と、
管理ゲートが送信する入室管理ファイル要求を受信して、入室管理ファイルを返信する入室管理ファイル返信手段と
を備えるICカードであって、
前記管理ゲートは、
前記ゲート識別情報を記憶するメモリと、
前記ICカードから前記入室管理ファイルを受信する入室管理ファイル受信手段と、
前記最後に通過したゲートの識別情報を用いて、前記ゲート巡回情報の中から次に通過するゲート識別情報と前記管理ゲートのメモリに記憶されているゲート識別情報と比較して一致すれば、前記管理ゲートの通過を許可する通過許可手段と、
前記管理ゲートのメモリに記憶されているゲート識別情報を前記ICカードに送信するゲート識別情報送信手段と、
を備える管理ゲートである、
ことを特徴とする入室管理システム。
【請求項2】
前記ICカードにおいて、
双方向許可条件を含む前記入室管理ファイルを記憶するメモリであって、
前記管理ゲートにおいて、
前記通過許可手段は、前記最後に通過したゲートの識別情報と前記双方向許可条件を用いて、前記ゲート巡回情報の中から前記最後に通過した前記管理ゲートの前のゲート識別情報と前記管理ゲートのメモリに記憶されているゲート識別情報と比較して一致すれば、あるいは、前記最後に通過したゲートの識別情報と前記管理ゲートのメモリに記憶されているゲート識別情報と比較して一致すれば、ゲート通過を許可する、
ことを特徴とする請求項1に記載の入室管理システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−248547(P2008−248547A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90317(P2007−90317)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】