入退室管理システム
【課題】入退室管理システムにおいて、ゲートのスムーズな通行を実現しつつ、ゲートの通行を正確に記録する。
【解決手段】扉6付近のタグリーダーからは、まず質問信号を大エリア106において受信可能なように送信し、大エリア106内に進入したユーザーAに対して質問信号を送信し、それに対する応答信号に含まれるタグのIDを受信する。ゲートコントローラは、タグのIDに基づいて認証成功すれば、扉6の電気錠を解錠し、それと共に、タグリーダーから送信する質問信号の受信可能領域を、大エリア106から小エリア108へと切り替える。続いて、小エリア108内に進入したユーザーAのタグのIDを取得することで、確実な通行が見込まれるユーザーAを通行履歴として記録することができる。
【解決手段】扉6付近のタグリーダーからは、まず質問信号を大エリア106において受信可能なように送信し、大エリア106内に進入したユーザーAに対して質問信号を送信し、それに対する応答信号に含まれるタグのIDを受信する。ゲートコントローラは、タグのIDに基づいて認証成功すれば、扉6の電気錠を解錠し、それと共に、タグリーダーから送信する質問信号の受信可能領域を、大エリア106から小エリア108へと切り替える。続いて、小エリア108内に進入したユーザーAのタグのIDを取得することで、確実な通行が見込まれるユーザーAを通行履歴として記録することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋などの区域へのユーザーの通行を管理する入退室管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
入退室管理システムは、ユーザーが携行するタグ(応答器)とゲート付近に設置されたタグリーダー(質問器)とを含んで構成される。タグリーダーは、かざされたタグに対して識別情報を問い合わせる質問信号を送信し、質問信号に対する応答信号に含まれる識別情報を受信し(以下、この識別情報の送信・受信をまとめて「識別情報の読み取り」ということがある。)、この識別情報に基づいて、電気錠の解錠/施錠やバーの上げ下げなどのゲートの通行を物理的に制限(制御)するというものである。
【0003】
このようなかざす方式(非接触方式)では、ユーザーが荷物を持つなどして両手がふさがっている場合には不便さが残る。このため、携帯端末や基地局を利用して携帯端末の識別情報を無線で読み取ることにより、ユーザーの操作性を向上しようとする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007-023619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように無線で識別情報を読み取る方式を採用する場合、スムーズな出入りを追求するのであれば、識別情報を読み取る対象となるエリアを拡大することが好ましい。
しかしながら、通行の制御に加えてユーザーがゲートを通行したかどうかを検出・記録しようとする場合には、上記エリアの拡大を進めると誤検出を招く可能性が高まる。
このことを入退室管理システムの模式図である図9,図10を用いて説明する。図9,図10に示すように、入退室管理システムは、部屋どうしを仕切る壁202、部屋の出入り口となる電気錠付きの扉204、扉204付近に設置されたタグリーダー(不図示)、タグリーダーが識別情報を問い合わせる質問信号を送信する大エリア206または小エリア208を含む。また、各ユーザーA,Bは図示しないタグを携行している。
【0005】
図9(a)に示すように、タグリーダーはエリア206に質問信号を送信する。エリア206は大きいので、タグリーダーは、ユーザーAは扉204に接近するより手前の段階で、ユーザーAのタグから識別情報を読み取って、扉204の電気錠を解錠し、かつユーザーAの検出し通行履歴として記録できる。従って、ユーザーAは、スムーズに扉204を通過することができる。
【0006】
しかしながら、エリア206は大きいので、タグリーダーは、偶然扉204の前を通りがかっただけのユーザーBのタグからも識別情報を読み取って検出してしまい、実際にはユーザーBは扉204を通行しなかったのにも関わらず、通行の履歴として誤って記録することが考えられる(図9(b))。
このような誤記録を回避するために、質問信号を送信するエリアを小エリア208とすれば、誤記録を防ぐことができるが(図10(a))、エリア208は小さいゆえユーザーAのタグを読み取るのが遅れて、電気錠の解錠も遅れ、扉204を通過しようとするユーザーAを扉204前で待たせてしまうことも考えられる(図10(b))。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、無線によりタグから識別情報を読み取ることにより、ゲートの通行可否の制御及びタグがゲートを通行したかどうかを検出する入退室管理システムであって、ゲートのスムーズな通行を実現しつつ、ゲートの通行をも正確に記録する入退室管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る入退室管理システムは、応答器の識別情報を問い合わせる質問信号を送信する質問器と、質問信号を受信すると自器の識別情報を含む応答信号を送信する応答器と、ゲートコントローラとを備える入退室管理システムであって、質問器は、ゲート近傍の第1エリア内で受信可能なように質問信号を送信し、応答信号を受信する第1送受信手段と、前記第1エリアと比べてゲートより遠い領域を含む第2エリア内で受信可能なように質問信号を送信し、応答信号を受信する第2送受信手段とを有し、ゲートコントローラは、質問器の第1送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報に基づいて、当該応答器のゲートの通行を記録する記録手段と、質問器の第2送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報に基づいて、ゲートの通行を止めるか止めないかを物理的に制御する通行制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る入退室管理システムの構成によれば、第2送受信手段は、ゲートより遠い領域を含む第2エリアにおいて受信可能な質問信号を送信し、この質問信号に対する応答信号に含まれる識別情報に基づいてゲートの通行を物理的に制御する。このため、通行しようとする応答器を携行するユーザーに対して、早めに通行制御を行うことができ、ユーザーのゲート通行をスムーズにできる。また、第1送受信手段は、ゲート近傍の第1エリアにおいて受信可能な質問信号を送信し、この質問信号に対する応答信号に含まれる識別情報に基づいてゲートの通行を検出する。このため、上記ユーザーが確実にゲートを通行するであろうと見込むことができるゲート近傍の第1エリアにおいて、通行を正確に記録できる。
【0010】
また、前記質問器は、まず、前記第2送受信手段に前記質問信号の送信を繰り返させ、これに対する応答信号を受信すると、前記第2送受信手段による前記送信から前記第1送受信手段による送信へと切り替えて前記第1送受信手段に前記質問信号の送信を繰り返させ、これに対する応答信号を受信すると、第1送受信手段による前記送信から第2送受信手段による前記送信へと切り替える送信制御手段を有するとしても構わない。
【0011】
この構成によれば、第2送受信手段から第1送受信手段への切り替えにより、第1エリアに存在する応答器を目標に質問信号を送信することができ、電力的に効率的な送信が実現できる。
また、ゲートは、錠付き扉を有し、前記通行制御手段における前記物理的な制御とは、前記錠付き扉の解錠と施錠との制御を含み、前記通行制御手段による前記錠付き扉の解錠の制御に伴い、前記送信制御手段は第2送受信手段から前記第1送受信手段への前記切り替えを行い、前記通行制御手段による前記錠付き扉の施錠の制御に伴い、前記送信制御手段は第1送受信手段から前記第2送受信手段への前記切り替えを行うとしても構わない。
【0012】
また、ゲートコントローラは、識別情報毎にゲートの通行を止めるか止めないかを示す通行可否情報を関連付けたテーブルを記憶する第1記憶手段を備え、前記通行制御手段は、質問器から前記第1送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報を取得し、前記第1記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別情報に関する通行を制御し、ゲートコントローラは、前記通行制御手段が通行を許可した場合に、通行を許可した識別情報に係る情報を記憶する第2記憶手段を備え、前記第1送受信手段が送信する質問信号は、応答器の識別情報よりデータ長の短い情報を問い合わせる信号であって、前記記録手段は、前記第1送受信手段による送信に対する応答信号に含まれるデータ長の短い情報を取得し、前記第2記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別情報に関する通行を記録するとしても構わない。
【0013】
この構成によれば、第1送受信手段が送信する質問信号は、データ長の短い情報であるため、応答信号の送受信に要する時間を通常の応答器の識別情報である場合と比べて短縮できる。これにより、ゲート近傍の第1エリアが狭い範囲であったとしても、質問信号と応答信号のやりとりを確実に行うことができる。
また、ゲートコントローラは、識別情報毎にゲートの通行を止めるか止めないかを示す通行可否情報を関連付けたテーブルを記憶する第1記憶手段を備え、前記通行制御手段は、前記質問器から前記第2送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報を取得し、前記第1記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別情報に関する通行を制御し、前記第2送受信手段は、前記通行制御手段が通行を許可すると、さらに、前記第1エリアに向けて前記識別情報よりデータ長の短い識別子を送信し、ゲートコントローラは、前記第2送受信手段が送信した識別子を識別情報と対応付けて記憶する第2記憶手段を備え、前記第1送受信手段が送信する質問信号は、前記識別子を問い合わせる信号であって、前記記録手段は、前記第1送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別子を取得し、前記第2記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別子に対応する識別情報に関する通行を記録するとしても構わない。
【0014】
この構成によれば、第2送受信手段は、通行許可時にデータ長の短い識別子を送信し、第1送受信手段が送信する質問信号はこの識別子を問い合わせる信号であるので、応答信号の送受信に要する時間を通常の応答器の識別情報である場合と比べて短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態について、タグを携行するユーザーの通行を認証する入退室管理システムを例に挙げて説明する。
<構成>
図1は、入退室管理システム1のシステム構成を示す図である。
【0016】
入退室管理システム1は、ゲートコントローラ50、PC(Personal Computer)4、扉(ゲート扉)6、タグリーダー10、タグ30を備えており、ゲートコントローラ50、PC4、扉6、およびタグリーダー10の間はそれぞれケーブルを介して接続されている。
入退室管理システムの概要としては次の通りである。
【0017】
扉6付近に設置されたタグリーダー10は、ユーザーが携行するタグ30に対してID(識別情報)を問い合わせる質問信号を送信し、タグ30はその応答として自己のIDを含む応答信号を返す。タグリーダー10は、応答信号に含まれるIDをゲートコントローラ50に転送し、ゲートコントローラ50は転送されたIDを、ID毎にゲート通行の権限有無を示すIDのリストと照らし合わせて、通行権限有りと判定すれば(認証成功)、扉6の電気錠6aを一定時間(例えば5秒程度)解錠してユーザーの通行を可能にする。渡されたIDに関して、通行権限無しと判定すれば(認証失敗)、タグリーダー10のブザー18を鳴らしてその旨を回答する。このゲートコントローラ50の認証に関する履歴はその都度ゲートコントローラ50に記録される。
【0018】
タグリーダー10は、制御部12、表示部14、操作部16、ブザー18、LF(Low Frequency)送信部20、RF(Radio Frequency)送受信部22、送信切り替え部24、エリア設定受付部26を備えている。
制御部12は、制御プログラムを実行するCPU、制御プログラムを格納するROMを含んで構成される。
【0019】
表示部14は、例えばLEDランプやディスプレイに各種の表示出力を行う。操作部16は押しボタンなどの入力インターフェイスから入力を受け付ける。
LF送受信部20は、コイル型のLFアンテナ21を用いてLF帯(例えば、134kHz)にて質問信号を送信する。
質問信号は、所定のバイト数のデータ長を持つ信号であり、送信に要する時間は例えば数十ms程度である。また、質問信号は、数百msごとの周期で繰り返し送信され、この質問信号が受信可能な範囲は大エリアと小エリアとの2種類がある。大エリアの範囲は、タグリーダー10(扉6)を中心に半径5〜10m程度の範囲、小エリアの範囲は半径1〜2m程度である。
【0020】
上記した範囲の数値はあくまでも一例であって、システムの各種仕様により変更され得る。
小エリアは、タグ30の通行の記録に利用されるエリアであり、タグ30を携行するユーザーが扉6を確実に通行すると見込まれる扉6近傍の範囲に設定される。設定の際には、単に扉6の前を通り過ぎるようなユーザーのタグ30からはIDを読み取らないよう範囲を広げすぎないよう注意する必要がある。
【0021】
大エリアは、扉6の電気錠6aの解錠を含む通行の制御に利用されるエリアであり、小エリアに進入して扉6を通行しようとするユーザーの進行経路上、手前の領域(通常は、ゲートより遠い領域となる。)を含ませるべく、小エリアよりもある程度大きい範囲に設定される。
この大エリアの範囲は、タグ30を携行するユーザーが扉6をスムーズに通行できるように(扉6の前のユーザーが解錠まで停止して待たなくて済むように)、所定の大きさに設定される。
【0022】
具体的には、質問信号の送信周期、質問信号と応答信号との間の通信に要する時間、応答信号を受信してからゲートの電気錠解錠までに要する時間、および大エリア内に進入したユーザーが、その後扉6に向けて真っ直ぐ移動して扉6の取っ手に手をかけるまでの時間などを勘案して設定することができる。
RF受信部22は、応答信号の受信を行う。
【0023】
送信切り替え部24は、LF送受信部20に制御信号を送ることで、LF送受信部20の大エリアの送信と小エリアの送信とを択一的に切り替える。
エリア設定受付部26は、大エリア、小エリアそれぞれの送信電力の設定をタグリーダー10の管理者から受け付ける。
タグ30は、制御部32、LEDランプの点滅・点灯により各種表示を行う表示部34、押しボタンなどを含む操作部36、LF送受信部40、RF送信部42、電池部44を備えている。
【0024】
制御部32は、制御プログラムを実行するCPU、制御プログラムを格納するROMを含んで構成される。
LF送受信部40は、コイル型のLFアンテナ41を用いてLF帯にて質問信号を受信する。また、ACK信号を受信する。
RF送信部42は、自己のIDを含む応答信号をRFアンテナ43を介してRF帯(例えば、UHF帯の420MHz)にて送信する。
【0025】
電池部44は、例えばコイン形リチウム電池から構成されており、各部に信号送受のための電力を供給する。
図2は、ゲートコントローラ50の機能ブロック図である。
ゲートコントローラ50は、判定部52、IDリスト54、通行制御部56、検出部58、履歴記録部60、履歴DB62を備える。
【0026】
IDリスト54は、タグ30のID毎に、ゲートを通行する権限があるかを示すリストである。
判定部52は、質問信号(大エリア)の応答としての、タグリーダー10から転送されてきたIDを、IDリストと参照し、当該IDが通行権限有りかどうか判定(認証)する。権限有りと判定されると(認証成功)、通行制御部56は、扉6に電気錠6aを一定時間解錠する旨の指示を送る。
【0027】
履歴DB62は、入退室管理システムにおいて一般的な履歴データベースであり、判定部52により(A)判定されたID、(B)判定時刻、(C)判定結果(認証成功/認証失敗)、(D)ゲート通行時刻、などが含まれる。
検出部58は、質問信号(小エリア)の応答としての、タグリーダー10から転送されてきたIDを受け取ると、当該IDが扉6を通行したとして検出する。この検出に応じて履歴記録部60は、当該IDがゲートを通行した時刻として履歴DBに記録する。
<動作>
次に、本入退室管理システムの具体的な動作について説明する。
【0028】
図3に示すように、タグリーダー10のLF送受信部20により大エリアに向けて周期的に質問信号を送信する(S11)。この質問信号には、例えば(A)PR(Preamble)、(B)UW(Unique Word)、(C)タグリーダー10を示す質問器のID、(D)CRC値が含まれている。大エリア内に入ったタグ30が質問信号を受信すると、タグ30のRF送信部42は質問信号に対する応答信号を送信する(S12)。
【0029】
タグリーダー10の制御部12は、RF受信部22が受信した応答信号に含まれるIDをゲートコントローラ50へと転送する(S13)。なお、この転送で送る情報には、大エリア(小エリアでなく)の質問信号に対する応答信号である旨を示すエリア情報も含まれている。
ゲートコントローラ50においては、上記エリア情報を参照して、転送されたIDが大エリアの質問信号に対する応答信号に含まれるIDであることを確認すると、判定部52は転送されたIDがゲートの通行権限有りかどうか判定する(S14)。権限有りと判定すると、判定部52は、認証成功という判定結果をタグリーダー10へと送信し、通行制御部56は、扉6に解錠指示を送る(S15)。
【0030】
認証成功という判定結果を受信すると、送信切り替え部24は、LF送受信部20に大エリアから小エリアへと送信を切り替える指示を送る(S16)。
指示を受けて、LF送受信部20は、それまで周期的に送信していた大エリアの質問信号を停止し、小エリアの質問信号の周期的な送信を開始する(S17)。
そして、小エリア内に入ったタグ30は質問信号を受信すると、RF送信部42により質問信号に対する応答信号を送信する(S18)。
【0031】
タグリーダー10の制御部12は、RF受信部22が受信した応答信号に含まれるIDをゲートコントローラ50へと転送する(S19)。この転送で送る情報には、小エリアの質問信号に対する応答信号である旨を示すエリア情報も含まれている。
ゲートコントローラ50においては、上記エリア情報を参照して、検出部58は、タグ30が小エリア内に存在することを検出し、履歴記録部60は、この検出をタグ30がゲートを通行したと見なして履歴DBに記録する(S20)。
【0032】
なお、解錠指示(S15)により解錠した扉6の電気錠6aは、解錠後、5秒程度の経過すると再び施錠される。扉6の電気錠6aが施錠されたということは、もはや扉6を通行するタグが発生する可能性は無い。このため、電気錠6aの施錠に同期したタイミングで、送信切り替え部24は、LF送受信部20に小エリアから大エリアへと送信を切り替える指示を送る(S161)。
【0033】
図4は、図3の動作例に対応し、エリア切り替えの様子を模式的に説明する図である。(a)(b)は扉6を通行しようとするユーザーAを示し、(c)(d)は扉6の近くを通り過ぎるだけのユーザーBを示す。図4では、壁102に沿って電気錠付きの扉6が設置され、扉6付近に図示しないタグリーダーが設置されているものとし、ユーザーA,BはIDの異なるタグ30をそれぞれ携行しているものとする。
【0034】
図4(a)に示すように、最初は質問信号の送信領域は大エリア106であるため、タグ30を携行するユーザーAは扉6からある程度離れた所に存在していたとしても、タグリーダー10がタグ30のIDを取得することで、早めに認証を済ませて解錠することができる。認証が遅れて扉6の前でユーザーAが待たされるようなことはない。
また、大エリアから小エリアへと質問信号を切り替えた後は、図4(b)に示すように、タグリーダー10は、小エリア108に存在するタグ30からIDを取得する。ゲートの扉6のすぐ傍に存在するユーザーAは、このままゲートを通行することが見込まれ、気が変わるなどして引き返す可能性は低いと考えられる。このようなユーザーAが携行するタグ30のIDを履歴として記録することができる。
【0035】
これに対して、図4(c)に示すように、当初は質問信号の送信領域は大エリア106であるため、タグリーダー10は、扉6から離れたユーザーBからタグ30のIDを取得し、解錠することになる。しかし、図4(d)に示すように、小エリア108に切り替えた後は、ユーザーBは小エリア内には進入しないため、ユーザーBのタグ30のIDを通行があったとして記録してしまうことを防ぐことができる。
【0036】
以上、説明したように、本実施の形態1によれば、大エリア106により早めに解錠してスムーズな通行を実現でき、小エリア108により扉6を確実に通行するタグ30だけを正確に記録することができる。
(実施の形態2)
小エリアで送る質問信号においては、通行制御とは異なり、通行の検出であるので、相対的に厳密なセキュリティは要求されないと考えられる。そこで、本実施の形態では、タグのIDそのものではなくIDの一部を問い合わせることで、小エリアにおけるタグの検出をより簡易かつ確実にする。
【0037】
図5は、実施の形態2の動作を示すシーケンス図である。図3と共通するステップについては、同じステップ番号を付して説明を省略する。
図5において、ステップS11〜S16は図3で説明した通りである。小エリアの質問信号送信の際には、LF送受信部20はIDの一部だけを問い合わせる質問信号を送信する(S21)。この質問信号には、実施の形態1の質問信号の(A)PR(Preamble)、(B)UW(Unique Word)、(C)タグリーダー10を示す質問器のID、(D)CRC値、に加えて(E)IDの一部だけを問い合わせる識別子、が含まれている。
【0038】
そして、小エリア内に入ったタグ30はこの質問信号を受信すると、RF送信部42によりIDの全部ではなく一部だけを含めた応答信号を送信する(S22)。
タグリーダー10の制御部12は、RF受信部22が受信したIDの一部をゲートコントローラ50へと転送する(S23)こととなる。
このIDの一部とは、例えば、IDが16進数表記で"1234abcdef "の場合、頭文字の"12"だけを送る。ゲートコントローラ50の検出部58側では、履歴DB62を参照して、頭文字が"12"のIDであって、しかも判定時刻が直近のIDを特定し、履歴記録部60は、特定されたIDに関してゲートを通行した時刻として記録する。
【0039】
ここでいう「直近」とは、大エリア106で認証成功したIDのタグ30がそのまま小エリア108内に進入すると想定される時間であり、例えば、10秒程度である。
実施の形態2によれば、"1234abcdef"に比べてデータ長の短い"12"だけが、タグ30→タグリーダー10→ゲートコントローラ50へと流れるため、データ長が短い分だけ、検出に要する時間を例えば数ms程度短くすることができる。特に、狭い小エリア108にタグ30が短い時間しか存在していない場合であったとしても、タグ30からのID送信途中でタグ30が小エリア108から外れることで送信が途中で切れるような可能性を低減できる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、大エリアで認証成功したタグに番号を発行することで、小エリアにおけるタグの検出をより簡易かつ確実にする。
【0040】
図6は、実施の形態3の動作を示すシーケンス図である。図3と共通するステップについては、同じステップ番号を付して説明を省略する。
ゲートコントローラ50の判定部52は、認証後(S14)、認証に成功すると、認証に用いたID"1234abcdef"に対応する番号"1"を発行する。IDと対応する番号とは番号リスト64としてゲートコントローラ50に暫定的に記憶される。なお、暫定的に記憶された番号リスト64は、大エリア106で認証成功したIDのタグ30がそのまま小エリア108内に進入すると想定される時間であり、例えば、10秒程度である。
【0041】
記憶から10秒間経過すると、番号リスト64から該当するIDが破棄されることとなる。
タグリーダー10のLF送受信部20は、発行された番号"1"を番号発行信号として送信する。この番号発行信号には、他の関係のない大エリア内のタグが受信しないようにするために、信号の宛先を特定するタグ30のID"1234abcdef"が含まれている。
【0042】
そして、大小エリア切り替え後(S16)、質問信号タグリーダー10は、小エリアに向けて番号を問い合わせる質問信号を送信する。そして、小エリア内に入ったタグ30はこの質問信号を受信すると、RF送信部42によりID"1234abcdef"の代わりに番号"1"を含めた応答信号を送信する(S34)。
タグリーダー10は、受信した番号"1"をゲートコントローラ50に転送する。
【0043】
検出部58は、受信した番号"1"を番号リスト64と照らし合わせて、"1"に対応するID"1234abcdef"の通行として検出し、履歴記録部60は検出されたID"1234abcdef"を、ID"1234abcdef"がゲートを通行した時刻として記録する(S36)。
実施の形態3によれば、ID"1234abcdef"よりデータ長の短い番号"1"をタグ30、タグリーダー10、ゲートコントローラ50間で流れるため、データ長が短い分だけ、検出に要する時間を例えば数ms程度短くすることができる。特に、狭い小エリア108にタグ30が短い時間しか存在していない場合であったとしても、タグリーダー10においてタグ30からのIDよりデータ長の短い番号を即座に取得することができ、データ長の比較的長いIDの送信中に送信が途切れるような事態を防止できる。
【0044】
<補足>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の内容に限定されず、本発明の目的とそれに関連又は付随する目的を達成するための各種形態においても実施可能であり、例えば、以下であっても構わない。
(1)実施の形態1〜3では、1つのLF送受信部20が、送信切り替え部24の制御を受けて、大エリアの質問信号の送信と小エリアの質問信号の送信とを切り替えるとして説明したが、LF送信部を2つ備えて、両方の質問信号を分担して送信するとしても構わない。
【0045】
具体的には、図7のタグリーダー11の機能ブロックに示すように、LF送受信部20aは、大エリアの質問信号を送信し、LF送受信部20bは、小エリアの質問信号を送信する。
送信制御部24は、LF送受信部20aには常時、大エリアの質問信号を周期的に送信させる。送信制御部24は、LF送受信部20bにも、小エリアの質問信号を周期的に送信させるようにしてもよいが、送信の省電力化のために、小エリアの質問信号を、扉6aの電気錠6aが解錠されている間など、タグを携行するユーザーが扉6aを通行する可能性がある間だけ送信させても構わない。
【0046】
LF送受信部20aとLF送受信部20bとで、互いに送信に用いる周波数を異ならせることにより(周波数分割多重送信)、両方の質問信号を同時に送信することができる。
また、特に図示しないが、信号をそれぞれ異なる符号で拡散変調させることによっても両方の質問信号を同時に送信することができる(符号多重送信)。
実施の形態では、小エリアに切り替えると大エリア内のタグのIDを読み取れなかったが、このように、周波数分割多重送信や符号多重送信で大小エリア2つの信号を送信することにより、大小両方のエリアに存在するタグをよりスムーズに認証できる。
(2)実施の形態1〜3では詳しく述べなかったが、タグリーダー10のエリア設定受付部は、大小エリアそれぞれの大きさの設定を、タグリーダー10の管理者から受け付ける。
【0047】
大エリアの範囲(例えば、メートル単位)および小エリアの範囲を個別に受け付けることで、入退室管理システムの運用の実情に沿うきめ細やかな制御を行うことができる。
(3)実施の形態1〜3では詳しく述べなかったが、ゲート通行の円滑化という観点からは、移動するユーザー(タグ30)に関して、小エリアにおいて質問信号を受信するより、先行して大エリアにおいて質問信号を受信できるようにすることが必要である。質問信号を絶えず連続して送信していれば、大エリアを小エリアを包含する大きさに設定さえすれば足りると考えられる。もっとも、電力を節約するためには、特に電力を消費しがちな大エリアの質問信号はできるだけ間隔を空けて送ることが求められる。
【0048】
図8は、大エリア106と小エリア108の関係を示す模式図である。
大エリア106(平面視半径R)と小エリア108(平面視半径r)は点O(ほぼ扉6が位置する。)を中心とした同心円上のエリアである。大エリア106内の小エリア108とは重複しない領域をドーナツエリア106aとし、タグを携行するユーザーAが秒速v(m/s)で円の半径方向に移動し、LF質問信号の送信周期をT(s)とすると、
周期T<(R-r)/v
を満たすように、周期Tを設定することでドーナツエリア106aにおいて、タグは少なくとも1回は小エリアの質問信号を受信する前に、大エリアの質問信号を受信することができる。
【0049】
例えば、R=8m,r=2m,v=1.5m/sとすると、
T<6.0/1.5=4(s)
と求めることができる。
(5)実施の形態1〜3では、扉6の施錠/解錠を行うことによりタグ30を携行するユーザーの通行を制御する例について説明したが、ユーザーの通行を止めるか止めないか制御できる手段であればこれに限られない。例えば、扉6に代えて、通行を阻むバー付きゲートを用い、バーの上げ下げによりユーザーの通行を制御するようにしても構わない。
【0050】
また、壁によって仕切られた部屋への入退室を例に挙げて説明してが、建物内の特定の区域(エリア)であれば足りる。例えば、建物の通路部分にゲートを設けたり、建物のエレベータホールへの入退場を管理する構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】入退室管理システム1のシステム構成を示す図である。
【図2】ゲートコントローラ50の機能ブロック図である。
【図3】入退室管理システム1に係るシーケンス図である。
【図4】エリア切り替えの様子を模式的に説明する図である。(a)(b)は扉6を通行しようとするユーザーAを示し、(c)(d)は扉6の近くを通り過ぎるだけのユーザーBを示す。
【図5】実施の形態2の動作を示すシーケンス図である。
【図6】実施の形態3の動作を示すシーケンス図である。
【図7】LF送受信部20a,20bを2つ有するタグリーダー11の機能ブロック図である。
【図8】大エリア106と小エリア108の関係を示す模式図である。
【図9】入退室管理システムの模式図である。
【図10】入退室管理システムの模式図である。
【符号の説明】
【0052】
1 入退室管理システム
6 扉(ゲート扉)
6a 電気錠
10 タグリーダー(質問器)
20,40 LF送受信部
22 RF受信部
42 RF送信部
24 送信切り替え部
30 タグ(応答器)
50 ゲートコントローラ
106 大エリア
108 小エリア
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋などの区域へのユーザーの通行を管理する入退室管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
入退室管理システムは、ユーザーが携行するタグ(応答器)とゲート付近に設置されたタグリーダー(質問器)とを含んで構成される。タグリーダーは、かざされたタグに対して識別情報を問い合わせる質問信号を送信し、質問信号に対する応答信号に含まれる識別情報を受信し(以下、この識別情報の送信・受信をまとめて「識別情報の読み取り」ということがある。)、この識別情報に基づいて、電気錠の解錠/施錠やバーの上げ下げなどのゲートの通行を物理的に制限(制御)するというものである。
【0003】
このようなかざす方式(非接触方式)では、ユーザーが荷物を持つなどして両手がふさがっている場合には不便さが残る。このため、携帯端末や基地局を利用して携帯端末の識別情報を無線で読み取ることにより、ユーザーの操作性を向上しようとする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007-023619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように無線で識別情報を読み取る方式を採用する場合、スムーズな出入りを追求するのであれば、識別情報を読み取る対象となるエリアを拡大することが好ましい。
しかしながら、通行の制御に加えてユーザーがゲートを通行したかどうかを検出・記録しようとする場合には、上記エリアの拡大を進めると誤検出を招く可能性が高まる。
このことを入退室管理システムの模式図である図9,図10を用いて説明する。図9,図10に示すように、入退室管理システムは、部屋どうしを仕切る壁202、部屋の出入り口となる電気錠付きの扉204、扉204付近に設置されたタグリーダー(不図示)、タグリーダーが識別情報を問い合わせる質問信号を送信する大エリア206または小エリア208を含む。また、各ユーザーA,Bは図示しないタグを携行している。
【0005】
図9(a)に示すように、タグリーダーはエリア206に質問信号を送信する。エリア206は大きいので、タグリーダーは、ユーザーAは扉204に接近するより手前の段階で、ユーザーAのタグから識別情報を読み取って、扉204の電気錠を解錠し、かつユーザーAの検出し通行履歴として記録できる。従って、ユーザーAは、スムーズに扉204を通過することができる。
【0006】
しかしながら、エリア206は大きいので、タグリーダーは、偶然扉204の前を通りがかっただけのユーザーBのタグからも識別情報を読み取って検出してしまい、実際にはユーザーBは扉204を通行しなかったのにも関わらず、通行の履歴として誤って記録することが考えられる(図9(b))。
このような誤記録を回避するために、質問信号を送信するエリアを小エリア208とすれば、誤記録を防ぐことができるが(図10(a))、エリア208は小さいゆえユーザーAのタグを読み取るのが遅れて、電気錠の解錠も遅れ、扉204を通過しようとするユーザーAを扉204前で待たせてしまうことも考えられる(図10(b))。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、無線によりタグから識別情報を読み取ることにより、ゲートの通行可否の制御及びタグがゲートを通行したかどうかを検出する入退室管理システムであって、ゲートのスムーズな通行を実現しつつ、ゲートの通行をも正確に記録する入退室管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る入退室管理システムは、応答器の識別情報を問い合わせる質問信号を送信する質問器と、質問信号を受信すると自器の識別情報を含む応答信号を送信する応答器と、ゲートコントローラとを備える入退室管理システムであって、質問器は、ゲート近傍の第1エリア内で受信可能なように質問信号を送信し、応答信号を受信する第1送受信手段と、前記第1エリアと比べてゲートより遠い領域を含む第2エリア内で受信可能なように質問信号を送信し、応答信号を受信する第2送受信手段とを有し、ゲートコントローラは、質問器の第1送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報に基づいて、当該応答器のゲートの通行を記録する記録手段と、質問器の第2送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報に基づいて、ゲートの通行を止めるか止めないかを物理的に制御する通行制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る入退室管理システムの構成によれば、第2送受信手段は、ゲートより遠い領域を含む第2エリアにおいて受信可能な質問信号を送信し、この質問信号に対する応答信号に含まれる識別情報に基づいてゲートの通行を物理的に制御する。このため、通行しようとする応答器を携行するユーザーに対して、早めに通行制御を行うことができ、ユーザーのゲート通行をスムーズにできる。また、第1送受信手段は、ゲート近傍の第1エリアにおいて受信可能な質問信号を送信し、この質問信号に対する応答信号に含まれる識別情報に基づいてゲートの通行を検出する。このため、上記ユーザーが確実にゲートを通行するであろうと見込むことができるゲート近傍の第1エリアにおいて、通行を正確に記録できる。
【0010】
また、前記質問器は、まず、前記第2送受信手段に前記質問信号の送信を繰り返させ、これに対する応答信号を受信すると、前記第2送受信手段による前記送信から前記第1送受信手段による送信へと切り替えて前記第1送受信手段に前記質問信号の送信を繰り返させ、これに対する応答信号を受信すると、第1送受信手段による前記送信から第2送受信手段による前記送信へと切り替える送信制御手段を有するとしても構わない。
【0011】
この構成によれば、第2送受信手段から第1送受信手段への切り替えにより、第1エリアに存在する応答器を目標に質問信号を送信することができ、電力的に効率的な送信が実現できる。
また、ゲートは、錠付き扉を有し、前記通行制御手段における前記物理的な制御とは、前記錠付き扉の解錠と施錠との制御を含み、前記通行制御手段による前記錠付き扉の解錠の制御に伴い、前記送信制御手段は第2送受信手段から前記第1送受信手段への前記切り替えを行い、前記通行制御手段による前記錠付き扉の施錠の制御に伴い、前記送信制御手段は第1送受信手段から前記第2送受信手段への前記切り替えを行うとしても構わない。
【0012】
また、ゲートコントローラは、識別情報毎にゲートの通行を止めるか止めないかを示す通行可否情報を関連付けたテーブルを記憶する第1記憶手段を備え、前記通行制御手段は、質問器から前記第1送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報を取得し、前記第1記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別情報に関する通行を制御し、ゲートコントローラは、前記通行制御手段が通行を許可した場合に、通行を許可した識別情報に係る情報を記憶する第2記憶手段を備え、前記第1送受信手段が送信する質問信号は、応答器の識別情報よりデータ長の短い情報を問い合わせる信号であって、前記記録手段は、前記第1送受信手段による送信に対する応答信号に含まれるデータ長の短い情報を取得し、前記第2記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別情報に関する通行を記録するとしても構わない。
【0013】
この構成によれば、第1送受信手段が送信する質問信号は、データ長の短い情報であるため、応答信号の送受信に要する時間を通常の応答器の識別情報である場合と比べて短縮できる。これにより、ゲート近傍の第1エリアが狭い範囲であったとしても、質問信号と応答信号のやりとりを確実に行うことができる。
また、ゲートコントローラは、識別情報毎にゲートの通行を止めるか止めないかを示す通行可否情報を関連付けたテーブルを記憶する第1記憶手段を備え、前記通行制御手段は、前記質問器から前記第2送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報を取得し、前記第1記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別情報に関する通行を制御し、前記第2送受信手段は、前記通行制御手段が通行を許可すると、さらに、前記第1エリアに向けて前記識別情報よりデータ長の短い識別子を送信し、ゲートコントローラは、前記第2送受信手段が送信した識別子を識別情報と対応付けて記憶する第2記憶手段を備え、前記第1送受信手段が送信する質問信号は、前記識別子を問い合わせる信号であって、前記記録手段は、前記第1送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別子を取得し、前記第2記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別子に対応する識別情報に関する通行を記録するとしても構わない。
【0014】
この構成によれば、第2送受信手段は、通行許可時にデータ長の短い識別子を送信し、第1送受信手段が送信する質問信号はこの識別子を問い合わせる信号であるので、応答信号の送受信に要する時間を通常の応答器の識別情報である場合と比べて短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態について、タグを携行するユーザーの通行を認証する入退室管理システムを例に挙げて説明する。
<構成>
図1は、入退室管理システム1のシステム構成を示す図である。
【0016】
入退室管理システム1は、ゲートコントローラ50、PC(Personal Computer)4、扉(ゲート扉)6、タグリーダー10、タグ30を備えており、ゲートコントローラ50、PC4、扉6、およびタグリーダー10の間はそれぞれケーブルを介して接続されている。
入退室管理システムの概要としては次の通りである。
【0017】
扉6付近に設置されたタグリーダー10は、ユーザーが携行するタグ30に対してID(識別情報)を問い合わせる質問信号を送信し、タグ30はその応答として自己のIDを含む応答信号を返す。タグリーダー10は、応答信号に含まれるIDをゲートコントローラ50に転送し、ゲートコントローラ50は転送されたIDを、ID毎にゲート通行の権限有無を示すIDのリストと照らし合わせて、通行権限有りと判定すれば(認証成功)、扉6の電気錠6aを一定時間(例えば5秒程度)解錠してユーザーの通行を可能にする。渡されたIDに関して、通行権限無しと判定すれば(認証失敗)、タグリーダー10のブザー18を鳴らしてその旨を回答する。このゲートコントローラ50の認証に関する履歴はその都度ゲートコントローラ50に記録される。
【0018】
タグリーダー10は、制御部12、表示部14、操作部16、ブザー18、LF(Low Frequency)送信部20、RF(Radio Frequency)送受信部22、送信切り替え部24、エリア設定受付部26を備えている。
制御部12は、制御プログラムを実行するCPU、制御プログラムを格納するROMを含んで構成される。
【0019】
表示部14は、例えばLEDランプやディスプレイに各種の表示出力を行う。操作部16は押しボタンなどの入力インターフェイスから入力を受け付ける。
LF送受信部20は、コイル型のLFアンテナ21を用いてLF帯(例えば、134kHz)にて質問信号を送信する。
質問信号は、所定のバイト数のデータ長を持つ信号であり、送信に要する時間は例えば数十ms程度である。また、質問信号は、数百msごとの周期で繰り返し送信され、この質問信号が受信可能な範囲は大エリアと小エリアとの2種類がある。大エリアの範囲は、タグリーダー10(扉6)を中心に半径5〜10m程度の範囲、小エリアの範囲は半径1〜2m程度である。
【0020】
上記した範囲の数値はあくまでも一例であって、システムの各種仕様により変更され得る。
小エリアは、タグ30の通行の記録に利用されるエリアであり、タグ30を携行するユーザーが扉6を確実に通行すると見込まれる扉6近傍の範囲に設定される。設定の際には、単に扉6の前を通り過ぎるようなユーザーのタグ30からはIDを読み取らないよう範囲を広げすぎないよう注意する必要がある。
【0021】
大エリアは、扉6の電気錠6aの解錠を含む通行の制御に利用されるエリアであり、小エリアに進入して扉6を通行しようとするユーザーの進行経路上、手前の領域(通常は、ゲートより遠い領域となる。)を含ませるべく、小エリアよりもある程度大きい範囲に設定される。
この大エリアの範囲は、タグ30を携行するユーザーが扉6をスムーズに通行できるように(扉6の前のユーザーが解錠まで停止して待たなくて済むように)、所定の大きさに設定される。
【0022】
具体的には、質問信号の送信周期、質問信号と応答信号との間の通信に要する時間、応答信号を受信してからゲートの電気錠解錠までに要する時間、および大エリア内に進入したユーザーが、その後扉6に向けて真っ直ぐ移動して扉6の取っ手に手をかけるまでの時間などを勘案して設定することができる。
RF受信部22は、応答信号の受信を行う。
【0023】
送信切り替え部24は、LF送受信部20に制御信号を送ることで、LF送受信部20の大エリアの送信と小エリアの送信とを択一的に切り替える。
エリア設定受付部26は、大エリア、小エリアそれぞれの送信電力の設定をタグリーダー10の管理者から受け付ける。
タグ30は、制御部32、LEDランプの点滅・点灯により各種表示を行う表示部34、押しボタンなどを含む操作部36、LF送受信部40、RF送信部42、電池部44を備えている。
【0024】
制御部32は、制御プログラムを実行するCPU、制御プログラムを格納するROMを含んで構成される。
LF送受信部40は、コイル型のLFアンテナ41を用いてLF帯にて質問信号を受信する。また、ACK信号を受信する。
RF送信部42は、自己のIDを含む応答信号をRFアンテナ43を介してRF帯(例えば、UHF帯の420MHz)にて送信する。
【0025】
電池部44は、例えばコイン形リチウム電池から構成されており、各部に信号送受のための電力を供給する。
図2は、ゲートコントローラ50の機能ブロック図である。
ゲートコントローラ50は、判定部52、IDリスト54、通行制御部56、検出部58、履歴記録部60、履歴DB62を備える。
【0026】
IDリスト54は、タグ30のID毎に、ゲートを通行する権限があるかを示すリストである。
判定部52は、質問信号(大エリア)の応答としての、タグリーダー10から転送されてきたIDを、IDリストと参照し、当該IDが通行権限有りかどうか判定(認証)する。権限有りと判定されると(認証成功)、通行制御部56は、扉6に電気錠6aを一定時間解錠する旨の指示を送る。
【0027】
履歴DB62は、入退室管理システムにおいて一般的な履歴データベースであり、判定部52により(A)判定されたID、(B)判定時刻、(C)判定結果(認証成功/認証失敗)、(D)ゲート通行時刻、などが含まれる。
検出部58は、質問信号(小エリア)の応答としての、タグリーダー10から転送されてきたIDを受け取ると、当該IDが扉6を通行したとして検出する。この検出に応じて履歴記録部60は、当該IDがゲートを通行した時刻として履歴DBに記録する。
<動作>
次に、本入退室管理システムの具体的な動作について説明する。
【0028】
図3に示すように、タグリーダー10のLF送受信部20により大エリアに向けて周期的に質問信号を送信する(S11)。この質問信号には、例えば(A)PR(Preamble)、(B)UW(Unique Word)、(C)タグリーダー10を示す質問器のID、(D)CRC値が含まれている。大エリア内に入ったタグ30が質問信号を受信すると、タグ30のRF送信部42は質問信号に対する応答信号を送信する(S12)。
【0029】
タグリーダー10の制御部12は、RF受信部22が受信した応答信号に含まれるIDをゲートコントローラ50へと転送する(S13)。なお、この転送で送る情報には、大エリア(小エリアでなく)の質問信号に対する応答信号である旨を示すエリア情報も含まれている。
ゲートコントローラ50においては、上記エリア情報を参照して、転送されたIDが大エリアの質問信号に対する応答信号に含まれるIDであることを確認すると、判定部52は転送されたIDがゲートの通行権限有りかどうか判定する(S14)。権限有りと判定すると、判定部52は、認証成功という判定結果をタグリーダー10へと送信し、通行制御部56は、扉6に解錠指示を送る(S15)。
【0030】
認証成功という判定結果を受信すると、送信切り替え部24は、LF送受信部20に大エリアから小エリアへと送信を切り替える指示を送る(S16)。
指示を受けて、LF送受信部20は、それまで周期的に送信していた大エリアの質問信号を停止し、小エリアの質問信号の周期的な送信を開始する(S17)。
そして、小エリア内に入ったタグ30は質問信号を受信すると、RF送信部42により質問信号に対する応答信号を送信する(S18)。
【0031】
タグリーダー10の制御部12は、RF受信部22が受信した応答信号に含まれるIDをゲートコントローラ50へと転送する(S19)。この転送で送る情報には、小エリアの質問信号に対する応答信号である旨を示すエリア情報も含まれている。
ゲートコントローラ50においては、上記エリア情報を参照して、検出部58は、タグ30が小エリア内に存在することを検出し、履歴記録部60は、この検出をタグ30がゲートを通行したと見なして履歴DBに記録する(S20)。
【0032】
なお、解錠指示(S15)により解錠した扉6の電気錠6aは、解錠後、5秒程度の経過すると再び施錠される。扉6の電気錠6aが施錠されたということは、もはや扉6を通行するタグが発生する可能性は無い。このため、電気錠6aの施錠に同期したタイミングで、送信切り替え部24は、LF送受信部20に小エリアから大エリアへと送信を切り替える指示を送る(S161)。
【0033】
図4は、図3の動作例に対応し、エリア切り替えの様子を模式的に説明する図である。(a)(b)は扉6を通行しようとするユーザーAを示し、(c)(d)は扉6の近くを通り過ぎるだけのユーザーBを示す。図4では、壁102に沿って電気錠付きの扉6が設置され、扉6付近に図示しないタグリーダーが設置されているものとし、ユーザーA,BはIDの異なるタグ30をそれぞれ携行しているものとする。
【0034】
図4(a)に示すように、最初は質問信号の送信領域は大エリア106であるため、タグ30を携行するユーザーAは扉6からある程度離れた所に存在していたとしても、タグリーダー10がタグ30のIDを取得することで、早めに認証を済ませて解錠することができる。認証が遅れて扉6の前でユーザーAが待たされるようなことはない。
また、大エリアから小エリアへと質問信号を切り替えた後は、図4(b)に示すように、タグリーダー10は、小エリア108に存在するタグ30からIDを取得する。ゲートの扉6のすぐ傍に存在するユーザーAは、このままゲートを通行することが見込まれ、気が変わるなどして引き返す可能性は低いと考えられる。このようなユーザーAが携行するタグ30のIDを履歴として記録することができる。
【0035】
これに対して、図4(c)に示すように、当初は質問信号の送信領域は大エリア106であるため、タグリーダー10は、扉6から離れたユーザーBからタグ30のIDを取得し、解錠することになる。しかし、図4(d)に示すように、小エリア108に切り替えた後は、ユーザーBは小エリア内には進入しないため、ユーザーBのタグ30のIDを通行があったとして記録してしまうことを防ぐことができる。
【0036】
以上、説明したように、本実施の形態1によれば、大エリア106により早めに解錠してスムーズな通行を実現でき、小エリア108により扉6を確実に通行するタグ30だけを正確に記録することができる。
(実施の形態2)
小エリアで送る質問信号においては、通行制御とは異なり、通行の検出であるので、相対的に厳密なセキュリティは要求されないと考えられる。そこで、本実施の形態では、タグのIDそのものではなくIDの一部を問い合わせることで、小エリアにおけるタグの検出をより簡易かつ確実にする。
【0037】
図5は、実施の形態2の動作を示すシーケンス図である。図3と共通するステップについては、同じステップ番号を付して説明を省略する。
図5において、ステップS11〜S16は図3で説明した通りである。小エリアの質問信号送信の際には、LF送受信部20はIDの一部だけを問い合わせる質問信号を送信する(S21)。この質問信号には、実施の形態1の質問信号の(A)PR(Preamble)、(B)UW(Unique Word)、(C)タグリーダー10を示す質問器のID、(D)CRC値、に加えて(E)IDの一部だけを問い合わせる識別子、が含まれている。
【0038】
そして、小エリア内に入ったタグ30はこの質問信号を受信すると、RF送信部42によりIDの全部ではなく一部だけを含めた応答信号を送信する(S22)。
タグリーダー10の制御部12は、RF受信部22が受信したIDの一部をゲートコントローラ50へと転送する(S23)こととなる。
このIDの一部とは、例えば、IDが16進数表記で"1234abcdef "の場合、頭文字の"12"だけを送る。ゲートコントローラ50の検出部58側では、履歴DB62を参照して、頭文字が"12"のIDであって、しかも判定時刻が直近のIDを特定し、履歴記録部60は、特定されたIDに関してゲートを通行した時刻として記録する。
【0039】
ここでいう「直近」とは、大エリア106で認証成功したIDのタグ30がそのまま小エリア108内に進入すると想定される時間であり、例えば、10秒程度である。
実施の形態2によれば、"1234abcdef"に比べてデータ長の短い"12"だけが、タグ30→タグリーダー10→ゲートコントローラ50へと流れるため、データ長が短い分だけ、検出に要する時間を例えば数ms程度短くすることができる。特に、狭い小エリア108にタグ30が短い時間しか存在していない場合であったとしても、タグ30からのID送信途中でタグ30が小エリア108から外れることで送信が途中で切れるような可能性を低減できる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、大エリアで認証成功したタグに番号を発行することで、小エリアにおけるタグの検出をより簡易かつ確実にする。
【0040】
図6は、実施の形態3の動作を示すシーケンス図である。図3と共通するステップについては、同じステップ番号を付して説明を省略する。
ゲートコントローラ50の判定部52は、認証後(S14)、認証に成功すると、認証に用いたID"1234abcdef"に対応する番号"1"を発行する。IDと対応する番号とは番号リスト64としてゲートコントローラ50に暫定的に記憶される。なお、暫定的に記憶された番号リスト64は、大エリア106で認証成功したIDのタグ30がそのまま小エリア108内に進入すると想定される時間であり、例えば、10秒程度である。
【0041】
記憶から10秒間経過すると、番号リスト64から該当するIDが破棄されることとなる。
タグリーダー10のLF送受信部20は、発行された番号"1"を番号発行信号として送信する。この番号発行信号には、他の関係のない大エリア内のタグが受信しないようにするために、信号の宛先を特定するタグ30のID"1234abcdef"が含まれている。
【0042】
そして、大小エリア切り替え後(S16)、質問信号タグリーダー10は、小エリアに向けて番号を問い合わせる質問信号を送信する。そして、小エリア内に入ったタグ30はこの質問信号を受信すると、RF送信部42によりID"1234abcdef"の代わりに番号"1"を含めた応答信号を送信する(S34)。
タグリーダー10は、受信した番号"1"をゲートコントローラ50に転送する。
【0043】
検出部58は、受信した番号"1"を番号リスト64と照らし合わせて、"1"に対応するID"1234abcdef"の通行として検出し、履歴記録部60は検出されたID"1234abcdef"を、ID"1234abcdef"がゲートを通行した時刻として記録する(S36)。
実施の形態3によれば、ID"1234abcdef"よりデータ長の短い番号"1"をタグ30、タグリーダー10、ゲートコントローラ50間で流れるため、データ長が短い分だけ、検出に要する時間を例えば数ms程度短くすることができる。特に、狭い小エリア108にタグ30が短い時間しか存在していない場合であったとしても、タグリーダー10においてタグ30からのIDよりデータ長の短い番号を即座に取得することができ、データ長の比較的長いIDの送信中に送信が途切れるような事態を防止できる。
【0044】
<補足>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の内容に限定されず、本発明の目的とそれに関連又は付随する目的を達成するための各種形態においても実施可能であり、例えば、以下であっても構わない。
(1)実施の形態1〜3では、1つのLF送受信部20が、送信切り替え部24の制御を受けて、大エリアの質問信号の送信と小エリアの質問信号の送信とを切り替えるとして説明したが、LF送信部を2つ備えて、両方の質問信号を分担して送信するとしても構わない。
【0045】
具体的には、図7のタグリーダー11の機能ブロックに示すように、LF送受信部20aは、大エリアの質問信号を送信し、LF送受信部20bは、小エリアの質問信号を送信する。
送信制御部24は、LF送受信部20aには常時、大エリアの質問信号を周期的に送信させる。送信制御部24は、LF送受信部20bにも、小エリアの質問信号を周期的に送信させるようにしてもよいが、送信の省電力化のために、小エリアの質問信号を、扉6aの電気錠6aが解錠されている間など、タグを携行するユーザーが扉6aを通行する可能性がある間だけ送信させても構わない。
【0046】
LF送受信部20aとLF送受信部20bとで、互いに送信に用いる周波数を異ならせることにより(周波数分割多重送信)、両方の質問信号を同時に送信することができる。
また、特に図示しないが、信号をそれぞれ異なる符号で拡散変調させることによっても両方の質問信号を同時に送信することができる(符号多重送信)。
実施の形態では、小エリアに切り替えると大エリア内のタグのIDを読み取れなかったが、このように、周波数分割多重送信や符号多重送信で大小エリア2つの信号を送信することにより、大小両方のエリアに存在するタグをよりスムーズに認証できる。
(2)実施の形態1〜3では詳しく述べなかったが、タグリーダー10のエリア設定受付部は、大小エリアそれぞれの大きさの設定を、タグリーダー10の管理者から受け付ける。
【0047】
大エリアの範囲(例えば、メートル単位)および小エリアの範囲を個別に受け付けることで、入退室管理システムの運用の実情に沿うきめ細やかな制御を行うことができる。
(3)実施の形態1〜3では詳しく述べなかったが、ゲート通行の円滑化という観点からは、移動するユーザー(タグ30)に関して、小エリアにおいて質問信号を受信するより、先行して大エリアにおいて質問信号を受信できるようにすることが必要である。質問信号を絶えず連続して送信していれば、大エリアを小エリアを包含する大きさに設定さえすれば足りると考えられる。もっとも、電力を節約するためには、特に電力を消費しがちな大エリアの質問信号はできるだけ間隔を空けて送ることが求められる。
【0048】
図8は、大エリア106と小エリア108の関係を示す模式図である。
大エリア106(平面視半径R)と小エリア108(平面視半径r)は点O(ほぼ扉6が位置する。)を中心とした同心円上のエリアである。大エリア106内の小エリア108とは重複しない領域をドーナツエリア106aとし、タグを携行するユーザーAが秒速v(m/s)で円の半径方向に移動し、LF質問信号の送信周期をT(s)とすると、
周期T<(R-r)/v
を満たすように、周期Tを設定することでドーナツエリア106aにおいて、タグは少なくとも1回は小エリアの質問信号を受信する前に、大エリアの質問信号を受信することができる。
【0049】
例えば、R=8m,r=2m,v=1.5m/sとすると、
T<6.0/1.5=4(s)
と求めることができる。
(5)実施の形態1〜3では、扉6の施錠/解錠を行うことによりタグ30を携行するユーザーの通行を制御する例について説明したが、ユーザーの通行を止めるか止めないか制御できる手段であればこれに限られない。例えば、扉6に代えて、通行を阻むバー付きゲートを用い、バーの上げ下げによりユーザーの通行を制御するようにしても構わない。
【0050】
また、壁によって仕切られた部屋への入退室を例に挙げて説明してが、建物内の特定の区域(エリア)であれば足りる。例えば、建物の通路部分にゲートを設けたり、建物のエレベータホールへの入退場を管理する構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】入退室管理システム1のシステム構成を示す図である。
【図2】ゲートコントローラ50の機能ブロック図である。
【図3】入退室管理システム1に係るシーケンス図である。
【図4】エリア切り替えの様子を模式的に説明する図である。(a)(b)は扉6を通行しようとするユーザーAを示し、(c)(d)は扉6の近くを通り過ぎるだけのユーザーBを示す。
【図5】実施の形態2の動作を示すシーケンス図である。
【図6】実施の形態3の動作を示すシーケンス図である。
【図7】LF送受信部20a,20bを2つ有するタグリーダー11の機能ブロック図である。
【図8】大エリア106と小エリア108の関係を示す模式図である。
【図9】入退室管理システムの模式図である。
【図10】入退室管理システムの模式図である。
【符号の説明】
【0052】
1 入退室管理システム
6 扉(ゲート扉)
6a 電気錠
10 タグリーダー(質問器)
20,40 LF送受信部
22 RF受信部
42 RF送信部
24 送信切り替え部
30 タグ(応答器)
50 ゲートコントローラ
106 大エリア
108 小エリア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
応答器の識別情報を問い合わせる質問信号を送信する質問器と、質問信号を受信すると自器の識別情報を含む応答信号を送信する応答器と、ゲートコントローラとを備える入退室管理システムであって、
質問器は、
ゲート近傍の第1エリア内で受信可能なように質問信号を送信し、応答信号を受信する第1送受信手段と、
前記第1エリアと比べてゲートより遠い領域を含む第2エリア内で受信可能なように質問信号を送信し、応答信号を受信する第2送受信手段とを有し、
ゲートコントローラは、
質問器の第1送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報に基づいて、当該応答器のゲートの通行を記録する記録手段と、
質問器の第2送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報に基づいて、ゲートの通行を止めるか止めないかを物理的に制御する通行制御手段とを有する
ことを特徴とする入退室管理システム。
【請求項2】
前記質問器は、
まず、前記第2送受信手段に前記質問信号の送信を繰り返させ、これに対する応答信号を受信すると、前記第2送受信手段による前記送信から前記第1送受信手段による送信へと切り替えて前記第1送受信手段に前記質問信号の送信を繰り返させ、これに対する応答信号を受信すると、第1送受信手段による前記送信から第2送受信手段による前記送信へと切り替える送信制御手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項3】
ゲートは、錠付き扉を有し、
前記通行制御手段における前記物理的な制御とは、前記錠付き扉の解錠と施錠との制御を含み、
前記通行制御手段による前記錠付き扉の解錠の制御に伴い、前記送信制御手段は第2送受信手段から前記第1送受信手段への前記切り替えを行い、
前記通行制御手段による前記錠付き扉の施錠の制御に伴い、前記送信制御手段は第1送受信手段から前記第2送受信手段への前記切り替えを行う
ことを特徴とする請求項2に記載の入退室管理システム。
【請求項4】
ゲートコントローラは、識別情報毎にゲートの通行を止めるか止めないかを示す通行可否情報を関連付けたテーブルを記憶する第1記憶手段を備え、
前記通行制御手段は、質問器から前記第1送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報を取得し、前記第1記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別情報に関する通行を制御し、
ゲートコントローラは、前記通行制御手段が通行を許可した場合に、通行を許可した識別情報に係る情報を記憶する第2記憶手段を備え、
前記第1送受信手段が送信する質問信号は、応答器の識別情報よりデータ長の短い情報を問い合わせる信号であって、
前記記録手段は、前記第1送受信手段による送信に対する応答信号に含まれるデータ長の短い情報を取得し、前記第2記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別情報に関する通行を記録する
ことを特徴とする請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項5】
ゲートコントローラは、識別情報毎にゲートの通行を止めるか止めないかを示す通行可否情報を関連付けたテーブルを記憶する第1記憶手段を備え、
前記通行制御手段は、前記質問器から前記第2送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報を取得し、前記第1記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別情報に関する通行を制御し、
前記第2送受信手段は、前記通行制御手段が通行を許可すると、さらに、前記第1エリアに向けて前記識別情報よりデータ長の短い識別子を送信し、
ゲートコントローラは、前記第2送受信手段が送信した識別子を識別情報と対応付けて記憶する第2記憶手段を備え、
前記第1送受信手段が送信する質問信号は、前記識別子を問い合わせる信号であって、
前記記録手段は、前記第1送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別子を取得し、前記第2記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別子に対応する識別情報に関する通行を記録する
ことを特徴とする請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項1】
応答器の識別情報を問い合わせる質問信号を送信する質問器と、質問信号を受信すると自器の識別情報を含む応答信号を送信する応答器と、ゲートコントローラとを備える入退室管理システムであって、
質問器は、
ゲート近傍の第1エリア内で受信可能なように質問信号を送信し、応答信号を受信する第1送受信手段と、
前記第1エリアと比べてゲートより遠い領域を含む第2エリア内で受信可能なように質問信号を送信し、応答信号を受信する第2送受信手段とを有し、
ゲートコントローラは、
質問器の第1送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報に基づいて、当該応答器のゲートの通行を記録する記録手段と、
質問器の第2送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報に基づいて、ゲートの通行を止めるか止めないかを物理的に制御する通行制御手段とを有する
ことを特徴とする入退室管理システム。
【請求項2】
前記質問器は、
まず、前記第2送受信手段に前記質問信号の送信を繰り返させ、これに対する応答信号を受信すると、前記第2送受信手段による前記送信から前記第1送受信手段による送信へと切り替えて前記第1送受信手段に前記質問信号の送信を繰り返させ、これに対する応答信号を受信すると、第1送受信手段による前記送信から第2送受信手段による前記送信へと切り替える送信制御手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項3】
ゲートは、錠付き扉を有し、
前記通行制御手段における前記物理的な制御とは、前記錠付き扉の解錠と施錠との制御を含み、
前記通行制御手段による前記錠付き扉の解錠の制御に伴い、前記送信制御手段は第2送受信手段から前記第1送受信手段への前記切り替えを行い、
前記通行制御手段による前記錠付き扉の施錠の制御に伴い、前記送信制御手段は第1送受信手段から前記第2送受信手段への前記切り替えを行う
ことを特徴とする請求項2に記載の入退室管理システム。
【請求項4】
ゲートコントローラは、識別情報毎にゲートの通行を止めるか止めないかを示す通行可否情報を関連付けたテーブルを記憶する第1記憶手段を備え、
前記通行制御手段は、質問器から前記第1送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報を取得し、前記第1記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別情報に関する通行を制御し、
ゲートコントローラは、前記通行制御手段が通行を許可した場合に、通行を許可した識別情報に係る情報を記憶する第2記憶手段を備え、
前記第1送受信手段が送信する質問信号は、応答器の識別情報よりデータ長の短い情報を問い合わせる信号であって、
前記記録手段は、前記第1送受信手段による送信に対する応答信号に含まれるデータ長の短い情報を取得し、前記第2記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別情報に関する通行を記録する
ことを特徴とする請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項5】
ゲートコントローラは、識別情報毎にゲートの通行を止めるか止めないかを示す通行可否情報を関連付けたテーブルを記憶する第1記憶手段を備え、
前記通行制御手段は、前記質問器から前記第2送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別情報を取得し、前記第1記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別情報に関する通行を制御し、
前記第2送受信手段は、前記通行制御手段が通行を許可すると、さらに、前記第1エリアに向けて前記識別情報よりデータ長の短い識別子を送信し、
ゲートコントローラは、前記第2送受信手段が送信した識別子を識別情報と対応付けて記憶する第2記憶手段を備え、
前記第1送受信手段が送信する質問信号は、前記識別子を問い合わせる信号であって、
前記記録手段は、前記第1送受信手段が受信した応答信号に含まれる識別子を取得し、前記第2記憶手段に記憶されたテーブルを参照することにより、取得した識別子に対応する識別情報に関する通行を記録する
ことを特徴とする請求項1に記載の入退室管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−128546(P2010−128546A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299420(P2008−299420)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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