全ての方向での曲げに対して改善された耐久性を有するフィルム積層体の製造方法および製造装置
【課題】一般的な二次元構造の様な見栄えという積層体の特徴を犠牲にすることなく、穴あけおよび耐引裂伝播性に実質的に害を及ぼすことなく、“物質感”を加えそしてあらゆる方向においてフィルムの剛性および弾性を改善すること。
【解決手段】積層は、2つの層の積層用層を互いに直接接触させそして熱および圧力を適用することによって行われ、そして積層手段を、それにより積層の機械方向に一般に直角をなす方向に延在する連続するまたは不連続な直線的な線で配置された接合領域への接合を制限するように適応させ、そして積層が第一の層を固体状態でその収縮方向に収縮させた後に、それにより第二の層の非接合領域は曲がりそして該収縮方向に直角をなす方向に延在する溝を形成する。
【解決手段】積層は、2つの層の積層用層を互いに直接接触させそして熱および圧力を適用することによって行われ、そして積層手段を、それにより積層の機械方向に一般に直角をなす方向に延在する連続するまたは不連続な直線的な線で配置された接合領域への接合を制限するように適応させ、そして積層が第一の層を固体状態でその収縮方向に収縮させた後に、それにより第二の層の非接合領域は曲がりそして該収縮方向に直角をなす方向に延在する溝を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、比較的に高い降伏強さおよび極限引張強さが要求される用途分野のために熱可塑性ポリマー材料よりなるフィルムの柔軟な積層体およびそれを製造するための方法および装置に関する。特別な観点では、空気の浸透を許すが水の浸透を許さないフィルム積層体、およびフィルター材料としての性質を有する積層体にも関する。用途の例には、ターポリンおよび被覆シート、ポンドライナー(pondliners)、代用のジオテキスタイル、耐候性または気体保護用衣類、温室用フィルム、工業用袋または生ゴミ用袋、キャリヤー袋および自立性小袋、および衛生用品用裏貼りシートがある。
【背景技術】
【0002】
経済的理由で、熱可塑性ポリマー材料で作製された柔軟性フィルムの平方メーター重量を減らすことがますます要求されている。限界は部分的には必要とされる強度特性によってそして部分的には必要とされる自己支持性能、即ち曲げを考慮した剛性および弾性によって設定される。これらの要求は主として熱可塑性ポリマー組成物の選択された開発によってそして強度に関する限りは二軸配向によってもまたは一般に一軸のまたは釣り合いのとれていない二軸配向を示す各フィルムの交差積層によって対処されてきた。強度の観点からの本質的解決は配向および/または交差積層法によって達成できる。
【0003】
それ故に例えば、工業用袋は最も適した品質の押出成形されたポリエチレンフィルムから製造され、25kgのポリエチレン顆粒の包装用のものは標準の強度要求を満足するために0.12〜0.15mmの厚さを一般に有していなければならないが、この厚さは最適に配向されそして交差積層されたポリエチレン製フィルムを使用することによって約0.07mmに薄くすることができる。しかしながらこの交差積層体を公知の方法で製造する時には、フィルムから袋を製造するための幾種かの入手可能な機械および袋に充填するための幾種から入手可能な機械で、この様に薄く軽いフィルムを用いて適当に加工できる。
【0004】
配向および交差積層によって得られる改善された強度特性の他にその幾何学的構造のおかげでもこの点で著しい改善を示す交差積層体が本発明者の特許出願に記載されている(特許文献1参照)。
【0005】
これは、積層体の片側または両側の湾曲した波頭頂部が他の場所よりも厚くなった僅かに波打った形状の交差積層体であり、これらの厚い湾曲した波頭頂部の間の材料は一般にまっすぐになっている。(特許文献1の図1および2参照)。この構造は特別な条件のもとで溝筋付きローラーの幾つかのセットの間で延伸することによって得られる。この延伸は横方向の配向も与える。最終製品の開示された波長は2.2〜3.1mmである。
【0006】
上記特許文献1に従う交差積層体は工業用袋の製造のために、1995年以来、高分子量高密度ポリエチレン(HMWHDPE)および約90gm-2のフィルム重量を有する線状の低密度ポリエチレン(LLDPE)の組合せら工業的に製造されてきた。厚くなった波頭頂部との組合せでの僅かに波打った形状はフィルムの一つの方向に剛性および弾性を付与し、かゝる比較的に薄いフィルムを用いての袋製造機の性能にとって非常に重要であることが実証されている。しかしながら同じ構造であるが、強度要求を満足する70gm-2の寸法を有するフィルムは袋を製造するのには薄ぺら軽すぎる。
【0007】
他の例としては配向したポリエチレンフィルムの70gm-2の交差積層体で製造された(例えば穀類の保護のための)農業用ターポリンは、目標基準だけを適用した場合には、押出成形被覆された織物タープで作製された100gm-2のターポリンに十分に適する代用品になるだろう。しかしながら実際には農業用ターポリンへの平均的顧客は相当に“取扱”および外見を基本として選択しそしてその薄ぺらさのために、物質感に不足があると判断して70gm-2ターポリンを拒絶するでしょう。
【0008】
剛性は勿論、充填物を適当に導入することによって増加させることができる(および本発明は追加的選択枝としてこれを包含する)が、これは穴あけおよび耐引裂伝播性、特に衝撃のもとでの費用が多かれ少なかれ常に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特許文献1 ヨーロッパ特許出願公開(A)0624126号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、印象および一般的な二次元構造の様な見栄えという積層体の特徴を犠牲にすることなく、穴あけおよび耐引裂伝播性に実質的に害を及ぼすことなく、“物質感”を加えそしてあらゆる方向においてフィルムの剛性および弾性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の裏の基本思想は、剛性を構造的に増加させるにもかかわらず上記の条件を満足し得る積層体を得るために、熱可塑性フィルムの積層体に段ボールの原理を適用するが、溝構造が極めて繊細に造られる( 微細溝化する)様に適用することである。2つの異なる層に溝があり、溝方向が互いに十字をなして積層体の全ての方向に剛性および弾性を付与させることが本発明の生成物の本質的特徴である。
【0012】
本発明の更に正確な生成物は請求項1に記載している。各層の溝の波長が5mmより大きくないのが有利である。
【0013】
一方、本発明者は層AおよびBよりなる様な積層体を確認した。その各層は1枚以上のフィルム、一般に押出成形されたフィルムで構成され、そして押出成形された各々のフィルムが幾つかの同時押出成形されたフィルムよりなっていてもよく、一般にそうである。
【0014】
熱可塑性フィルムに段ボールの原理を適用すること自体においては新規ではないが、従来にはこれを溝付きフィルムと平らなフィルムとを積層することによって行なっている。更に、特許文献、即ち米国特許第4132581号明細書、第6欄、66行に開示された非常に繊細な溝構造は1フィート当たり50+/−3本の溝(約6.0mmの波長に相当する)を有する。これより小さい波長は、第一の接合プロセスがベルトによって支持されそして運搬される一列の沢山のシール棒を使用して行われる、この特許明細書に記載された方法で達成できることは非常に疑わしい。シーラー棒は移動方向(機械方向)に対して横切っており、溝付けもこの方向に対して直角をなしている。この方法の用途は板材の製造について説明されており、溝付き層の厚さは約0.004〜0.025インチ(0.10〜0.625mm)であることが記載されている。実施例においてはそれは0.018インチ(0.45mm)である。
【0015】
パネルまたは板材を製造するために熱可塑性フィルムに段ボール原理を使用することを説明する他の特許には米国特許(A)第3682736号明細書、米国特許(A)第3833440号明細書、米国特許(A)第3837973号明細書、ヨーロッパ特許出願公開(A)第0325780号明細書および国際特許出願公開(A)第94/05498号明細書がある。
【0016】
特開平02−052732号には、もう一方の側が紙に接合された平らな熱可塑性フィルムに接合されている波形を付けた熱可塑性フィルムよりなる積層体が開示されている。この紙と平らなシートとは最初に接合され、次いで波形を付したフィルムが加えられている。この場合にも機械方向に対して直角をなす溝が平らに押しつぶされそして間隔を置いて接着して閉じられ、その結果沢山の気密な小胞が形成されている。この製品の記載された用途はクッション材料、防音材料、熱および湿気を隔絶する材料および壁の装飾材料である。波形を付けたシートおよび平らなシートの厚さは記載されていないが、溝の波長も小胞の長さも記載されていない。
【0017】
本発明の発明者は、溝および積層体を製作する歯車付きローラー上のピッチが浅い場合には、波形の形成を行なう場所から接合を行なう場所に通過する間に成形用および積層用ローラーの溝を“飛び出し”てしまうので、微細溝を作成するためにコルゲーター/ラミネーターの特別な構造が必要とされることを見出した。段ボールを製造するための慣用のコルゲーターにおいては、溝筋中に溝付けされた紙を保持するためにトラックまたはシールドが設けられている。周囲温度において、これは紙をより容易に恒久的に成形することを可能とする。改変されてない形の同様のトラックまたはシールドは、トラックまたはシールドに対する摩擦がポリマーの加熱によって速やかに渋滞を生じさせるので、製造条件のもとで熱可塑性フィルムを使用することができない。
【0018】
ローラーの溝筋中に紙の溝を保持すること、即ち、溝筋中に加圧下に制御して保持することによる改善された摩擦なしの方法が米国特許(A)第6139938号明細書から公知である(図9および10および第7欄、第25〜34行参照)。この米国特許明細書は、特に小さい波長の段ボール積層体について専ら論じているが、熱可塑性フィルムよりなる波形を付けた構造物の製造については記載されていない。しかしながら溝に保持する改善された方法は実際にはフィルムの厚みに依存して熱可塑性フィルム中に繊細な溝を適用することができるであろう。このことは本発明の開発との関係で判った。
【0019】
特に微細な溝構造の本発明の開発は、この明細書の全くの冒頭に記載した分野のような全く異なる分野に主に適用できる段ボールの製造を予想させ得る。
【0020】
これは非常に細かいピッチの溝筋付きローラーをベースとする新しい種類の機械装置を開発することを含む。実施例1から判る様に、90gm-2の“微小溝を付けた”2層積層体(各層は約45gm-2)の波長は実際には工業的に実施することができる方法によって1.0mmに小さくすることができる。特に後収縮を使用することによって、恐らく例えば約0.5mmにまで更に小さくすることができる。記載された90gm-2の寸法は、積層体を平らに圧縮した場合には約0.096mmの平均厚さに相当する。
【0021】
本発明はこの値に近い圧縮された平坦物の厚みに相応する寸法に限定されないが、全く一般的に言えば、ほぼ約0.3mmまたはそれ以下である平均厚さの圧縮された状態の微小溝付き積層体を含んでいてもよい。約0.03mmまたはそれどころか更に薄くまで厚みを薄くすることは特別の目的、例えばナプキンの裏バリシート(おむつ)のために行われ得る。
【0022】
本発明は配向したフィルムの交差積層体との関係で使用することに限定されない。色々な目的のために強度特性の色々な組合せが必要とされる。交差積層体は公知の通り、強度特性の幾つかのカテゴリーの適切な組合せで製造できるが、多くの目的にとって別の種類の強度の積層体が、製造プロセスの費用も考慮した場合には有利であり得るし、本発明は以下に更に説明する通り、かゝる別の強度の積層体においても有用であり得る。
【0023】
約5mmまたはそれ以下の低い波長を作ることによって、積層体は波長の減少に連れて徐々に板材料のその特徴を失うが、柔軟性フィルムの様な外観、取扱性および曲げ特性が発現する。その重量に応じて改善された穿孔性および引き裂け性も与えられる。同じ構成および同じ面積重量の波形を付けてない積層体に比較して、このものはあらゆる方向での増加した剛性および弾性のためにおよび体積が増加しているためにより頑丈に感じられる。
【0024】
交差積層体の場合には、異なる層において異なる方向に裂け目が伝播することを許容するので、層間の弱い接合または強力なスポット接合または線状接合がより改善された耐引裂伝播性をもたらす。それによって切欠き効果が低減される。波形を付けた両方の層での交差積層体はスポット接合されているので、波長が短いか長いかに関わりなしに、改善された耐引裂伝播性を示し、微小溝を付けは非常に短い伝播の後に裂けるのを止める。勿論、これが殆どの場合の長所である。しかしながら耐引裂き伝播性のこの改善はスポット接合だけの結果ではなく、各層の溝付けした状態の結果でもあり、これが引裂きの間のその方向の変更またはフィブリル化という有利な可能性を層に与え、それによってエネルギーが吸収される。
【0025】
本発明の積層体を織物または織物様用途に使用する場合には、十字微小溝を有する構造が積層体に折目を付ける時に滑らかにする影響を及ぼすので衣擦れ音を減少させるかまたはより奥深い衣擦れ音を与えるという追加的長所がある。これは、積層体がある種の織物であるという印象を加える。この特徴は人間または動物のための衣類、例えば耐候性保護用衣類または耐ガス性衣類としての用途において特に重要であり、その際に衣擦れ音は幾つかの用途においては苛立ち感および不都合を感じさせる。本発明者の先願特許出願に従うバリヤ層を持つ交差積層体が幾つかの地域で耐ガス保護性衣類のための用途を見出されているが、衣擦れ音のためにライバル会社に対して成功していないことをここに記載しておく。この問題は本発明を使用することによって十分に解決されると信じる。
【0026】
また、十字交差の溝を持つ相互にスポット接合された溝付き層よりなる特別な構造は、織製布よりも少ないが織製布のダイアゴナールと同様の幾つかのダイアゴナールを有する積層体を提供しそして溝の深さおよび弾性係数(E)に非常に依存していることも見出した。この性質は、積層体を被覆するかまたは入れる物体に適合するように積層体の性能を向上させる。微小の溝のために断熱性も繊維製品の様な性質を積層体に与えるのを助ける。
【0027】
本発明の発明者は、本発明の第一の優先日に公開されていない同様に継続中の先願の国際特許出願公開第02−02592号明細書(A)も出願している。両方の発明は近似した関係にあるが、先願の物質クレームは、微小溝のある層が溝のない(平らな)層の片面または両面に積層されているかまたは溝のない(平らな)層が微小溝のある層の片面または両面に積層されている積層体に関する。 これと反対に、本発明では異なった方向の溝を有する二つの溝付き層を波頭頂部と波頭頂部とを例えば層積層によって直接的に互いに接合している。先願の構造は互いに接合された細いパイプ状の溝の様に考えることができるが、本発明のスポット接合された構造はより柔軟であるが弾力性も有する。永久歪みを引き起こすことなくより深く曲げることが可能であり、幾つかの繊維様のダイアゴナールを与える上記の傾向の理由でもある。
【0028】
それぞれ一つの微小溝の層と一つの平らな層とよりなる先願の2つの積層体が互いに直角をなす2つの溝方向を有して、平らな層と一緒に平らな層に接合されている場合には、得られる4層体は本発明のそれと同様な性質を発揮しない。何故ならば2つの溝付き層は波頭頂部と波頭頂部とをスポット接合した配置で直接的に互いに接合されていないからである。中間が平らな層は柔軟性および弾性に反して作用する。
【0029】
本発明においては波頭頂部と波頭頂部とを層積層によって直接的に接合することが、同時押出成形法で形成される少なくとも1つの層の上に低融点の表面層によって行なうのが一般に最も有利である。しかしながら特許請求の範囲に記載した通り、別の薄い接合用フィルムを使用することも可能である。これは、上記の繊維織物様の挙動に害を及ぼさない押出積層によって有利に行なわれる。これは、かゝる方法で押出成形された層積層が、積層体に柔軟性および弾性を与えるダイアゴナールに本質的影響を及ぼさない程に薄いことを前提とする。積合に適合する繊維状ウエッブを用いることも適し得る。
【0030】
良好な状態のために、文献には微小溝を付けた積層体が既に説明されているが、その開示内容は、溝付き層が熱可塑性フィルムでもまたは熱可塑性フィルムの組合せでもない材料よりなる積層体に関するものであり、そして本発明者は、これの他に、熱可塑性よりなるものでも他の如何なる材料よりなるものでもない十字交差配置の2枚の溝付き層についての如何なる開示も見出していない。
【0031】
上述した米国特許第6139938号明細書には、その対象として、通常の段ボールの様に、中間に波形を付けた紙製シートをそして両側に平らな紙製シートを有する3層の紙積層体が開示されているが、1.67〜2.00mmの波長に相当する1メートル当たり500〜600の溝を有している。記載された目的は印刷性の改善である。
【0032】
特開平7−251004号公報は、平らな熱可塑性合成繊維シートが主として活性炭繊維よりなる波形を付けたシートに熱的に接合された吸収用製品に関する。この波形の波長は2.5〜20mmである。
【0033】
特開平8−299385号公報は、溝を付した不織布を熱可塑性フィルムでもよい平坦なシートまたはフィルムの片側に接合されて構成された吸収用積層体に関する。これらの2枚の層の間には水吸収性材料が組み合わされている。波長は3〜50mmであると請求項に記載されており、更に小さいと吸収材料にとって十分な空間がないことが記載されている。この製品はおむつおよびそれの類似の製品である。
【0034】
モノフィルムまたはマルチフィルムで形成された二つの層の本発明の波打った積層体の製造方法は請求項41に規定してある。層の一つの溝が伸びる主方向が他の層の溝が伸びる主方向に対して一般に実質的に直角をなしているのが好ましい。以下の説明から明らかな通り、溝は常に厳密に直線をなしておらず、そしてそれ故に“主方向”という表現を使用している。溝方向の一つは積層の機械方向と実質的に一致しているのが好ましい。
【0035】
層の一つにおける波打った溝構造はこうして、互いに噛み合って運転されるワンセットの溝筋付きローラーによって積層する前に層を捉えることによって一般的な横配向法で実質的に機械方向で達成することができ、その際に各ローラーの溝筋は環状でもまたは螺旋状でもよくそしてローラー軸と少なくとも60°の角度をなしている。
【0036】
この方法では層はその出口から、層に溝を付ける溝筋付き延伸ローラーの一つから溝筋付き積層用ローラーに直接的に通ってもよく、これらの2つの溝筋付きローラーが互いに接近している間に、それぞれの運転温度で測定した時に同じピッチの溝筋を有しておりそして軸方向で互いに調整される。この方法の有利な変法、即ち“薄くなった領域”の導入は後述してある。
【0037】
別の方法では層の一つにおける溝付けした構造は、段ボール製造の時に通例である様に、溝筋がローラー軸と実質的に平行にあるローラーによって機械方向に対して実質的に直角をなしてもたらすことができる。これら二つの方法は一般に組み合わされており、積層の前に一つの層に実質的に縦方向の溝を付与し、そしてもう一方の層に実質的に横方向の溝を付与しており、そして 積層用ローラーが溝を付与し、その際にその一方は実質的に機械方向に溝筋を持ちそしてもう一方はこれと実質的に直角をなす溝筋を持ち、そしてこの方法は予めに形成された一般に長手方向の溝が一つの積層ローラーの一般的に長手方向の溝筋に合わさり、他方予めに形成された横方向の溝が他の積層ローラーの横溝筋に合わさるようにされている。
積層用ローラーの一つは一般にゴムローラーであるべきである。積層後に一つのまたは各層の溝は適当な方向に別の層が収縮することによってより深くされ得る。これは勿論、少なくとも1つの層における、一般にそれの溝の方向と同じ方向での配向に左右される。
【0038】
層の一つに一般的に更に浅く溝を作る簡単な方法では、一つの層だけに積層前に溝をもたらす。両方の積層用ローラーは通常に溝筋を有しており(しかし幾つかの例外は後述する)、一つのローラーは、一つの層で行う溝付けがそれの溝筋にフィットする様に作製されておりそしてもう一方のローラーはその溝筋がこの方向に対して一般に直角をなす様に作製されている。こうして積層体はスポット接合され、そして溝付けされた層がそれの(この方向に配向を有する層に左右される)溝の方向に沿って収縮する実質的に原因になる場合には、この平らな層が縮められて、行った溝付けに対して一般に直角をなす溝を形成する。上述の通り、これが一般に元の平らな層に比較的に浅い溝を生じさせる。
【0039】
層Aの溝と層Bの溝との間に角度は一般に約30°またはそれ以上であるべきであるが、一般に約60°またはそれ以上にするのが有利であり、一般にそれを約90°とするのが最も有利である。
【0040】
積層体における適する寸法および積層用ローラー上の区分は、2つの層の各々における溝の波長が4mmより多くなく、好ましくは3mmより多くなくそして更に好ましくは2mmより多くない。また、2つの層の各々において溝の湾曲した長さが、直線波長よりも平均して少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%長く、該湾曲した長さは、層の両面の間の中間に湾曲がある、接合領域を含め全溝波の切断面の湾曲の長さを意味する。更に、上述の層の少なくとも一つにおいて上記平均が少なくとも15%である。断面寸法はマイクログラフ(micrographs)で測定される。積層用層を層の反対側から加熱することによって積層温度に加熱しそして積層用ローラーの温度および第一の薄くなった領域のフィルムの厚さが積層用層が上記積層温度に達することを許容する程度であり、他方、溝筋付き積層用ローラーの溝頭頂部と接触する薄くなった領域の他側の層の厚さが、薄くなった領域の外側の積層用層が上記積層温度に達しない程度であり、そこでは第一の薄くなった領域および接合領域が一般に一致している。なお更に、溝頭頂部上に積層する溝筋付きローラーのピッチは、最高3.0mm、好ましくは2.0mmより大きくなく、更に好ましくは1.5mmより大きくない。各溝筋付き積層用ローラーの波頭頂部のランドが、溝筋付きの該ローラーのピッチの少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも30%である。なお一層更に、熱可塑性ポリマー材料ような第一の層に溝付けするための溝筋付きローラー、熱可塑性ポリマー材料よりなる第二の層に溝付けするための溝筋付きローラー、一般に第二の層の溝と角度をなして導かれる第一の層の溝と一緒に一つのセットの積層装置の間に個々の溝筋付きローラーからの第一および第二の層を各層が向かい合って接触するような配置で導く手段、第二の層の側面に加熱された多孔質棒状物および第一の層の側面にの、反対の積層用装置を含めた積層用装置のセットよりなる積層装置において、上記の多孔質棒状物が反対の積層装置に対して層を押し付けそして第二の層の溝の波頭頂部で層を接合する熱気の膜を生じさせるのに適合し、溝筋付きの溝付けローラーが、積層体において各層が10mmより小さい波長の溝筋を有しそして層の少なくとも一つの溝が5mmより大きくない波長を有するような溝筋ピッチを有する。
【0041】
図2および3について、請求項4に記載した長さはXからZまでの距離であり、次にAの中間を通る湾曲した 道筋、別のまっすぐな直線の道筋がある。
【0042】
繊維製品の様な用途のためには、溝波長は製造工程の経済も考慮して好ましくは実地においては両方の層においてできるだけ小さくあるべきである。これは一般に約1〜1.5mmを意味し、他方、小さい箱または自立性小袋のような剛性のある製品の用途はのためには、最終製品の外側でありそして場合によっては印刷しなければならない側部において溝波長が同様に小さいのが好ましいが、最終製品の内側である側部では溝波長が比較的に大きくあるべきである。溝波長が約1mmである場合には、印刷品質が無理なく良好であることができる。
【0043】
溝付き層は、一般に室温において配向し得る材料よりなるべきであり、適するポリマーはポリオレフィン類である。しかしながらかゝる性質に特別な利益がない場合には、高い強度があまり必要ないのなら、例えばポリスチレンが、小さい箱または自立性小袋にするのに適する剛性のあるシート材料に適している。
【0044】
層の少なくとも1つはバリヤーフィルム、例えば酸素に対して保護するためのそれまたは既に記載した通り、有害物質、例えばガス状物質に対して保護するためのそれを有していてもよい。
【0045】
溝が積層前に溝筋付きローラーによって形成される場合には、該溝は一様に形成されそして大体一般に直線的に伸びている。しかしながら溝筋が積層後に専ら収縮によって形成される場合には、その形状は平らな層と接触する積層用ローラー中の溝筋の形態および収縮性層の収縮度によって決められる。これは勿論、同じ高さの直線的な形態でもよいが、審美性または興味の持てる視覚的効果を得るためにこの層中の溝の形態は相違していてもよい。このようにたとえ溝が別の層の溝方向と大体直角をなす方向に主に伸びていなければならなくとも、これらの溝はそれにもかかわらず、この層が接触する積層用ローラー(一般にゴムローラー)に溝筋の形態を適切に作製することによって湾曲していてもまたはジグザグでもおよび/または分岐していてもよいし、または名前、文章、ロゴ等を示す視覚的効果を与えるパターンで色々に形成することができる。積層用ローラーのかゝるパターンはゴム立体画法で知られる方法によって作製することができる。
【0046】
完全をきすために、一つの層中の波打った部分的に分岐した溝および部分的に中断した溝が自然に且つ滑らかな積層用ローラーの使用でランダムに形成されていてもよいことも記載しておかなければならない。即ち、接合強度を別の層の収縮の間に部分的な剥離を許容するように適当に調整する場合である。このような表面構造は自然に皺になった肌または皮革の様に見える。マーキング、上記の積層用ローラーの滑らかな部分および適切なパターンの溝筋を付与した部分によって興味ある視覚的効果も達成できる。上記のマーキング、名前、ロゴ等の表示は例えばこの様に作製できる。
【0047】
この様な興味ある視覚的効果および/または繊維製品の様な積層体外観は、二枚の層の少なくとも一方が金属的にまたは玉虫色の光沢を有する時にまたは二枚の層に異なる色を与える場合に強めることができる。
【0048】
最も多い用途のためには、上述の層の各々の厚さが接合された領域および接合されていない領域において一般に同じであるかまたは少なくとも一枚の層が固体の状態の薄くなった領域(以下、いわゆる“部分延伸”によって形成されそして溝方向に対して平行に伸びる“第一の”領域とも言う)を有し、各接合域が主に第一の薄くなった領域内に位置しているのが非常に有利である。ここで各第一の薄くなった領域は、厚さが第一の薄くなった領域内のこの層の最小の厚みと隣接する接合されていない領域内の層の最大の厚みとの平均である位置によって境界を画されていると理解される。上述の通りに位置する第一の固体の状態の薄くなった領域で溝付き積層体を製造する方法は、延伸用ローラーおよび積層用ローラーとの間に厳密な調整を必要とし、これは請求項44〜50、75、81および82に明記されている。
【0049】
この関係では、接合域の厚さに比べて非接合域内の層の実質的薄層化は、勿論、耐曲げ性および弾性にマイナスの影響を及ぼすが、溝付き積層体の製造を一般に容易にする。反対に耐曲げ性は、厚みが一定である状態に比較して、薄くなった領域およびこの薄くなった領域内にそれぞれに接合域がある場合に向上する。層の少なくとも1つの薄くなった領域が、後述する通り、製造方法を容易にもする。固体溶融状態で延伸することによって薄くする間に抗張力が低下し、固体状態で延伸することにより薄くすることが延伸が行なわれる方向での抗張力を増加させることができることを記す。
【0050】
第一の薄くなった領域は図2および3において(6)で示している。これらはここでは、接合された地点によって描かれた区域である図示した区域内の接合領域と殆ど正確に一致するように示されている。しかしながらこれらはこの様に一致している必要がない。何故ならば、各接合領域は主として第一の固体状態の薄くなった領域内に位置していることだけを要件であるからである。それ故に、接合領域は第一の薄くなった領域をある程度飛び出していてもよいしまたは後者が前者から飛び出していてもよい。最後に挙げた場合の関連する領域幅の有利な選択は請求項22に記載されている。
【0051】
勿論、第一の薄くなった領域の非接合領域へのかゝる拡張は 剛性を低下させるが、通常は弾性は低下させない。このことがこの性質を増大させ得るし、繊維製品様の性質に付加し得る。他の条件を適切に選択することで、高い耐引裂伝播性および高い衝撃強度を有する積層体をももたらし得る。
【0052】
少なくとも1枚の層が固体状態の薄くなった領域を提供する場合には、層の第一の薄くなった領域は、かゝる領域の最小の厚さが接合されていない領域における該層の最大の厚さの75%より小さく、好ましくは50%より小さく、特にその最大の厚さの30%より小さい程度に薄くするのが好ましい。
【0053】
接合領域と第一の薄くなった領域を少なくとも1つの層で殆ど正確に一致させる適切な方法は、少なくとも1つの層においてローラー温度を薄くなった領域の厚さに調整し、ローラー温度を薄くなった領域の厚さおよび各層の速度に対して調整し、その様にしてこれらの領域は別の層に対して適切に積層させる温度にされ、他方、各領域の外側のフィルム材料はその厚さのために十分な温度に達しない。一つの条件は、溝筋付き積層ローラーの平らな溝頭が“第一の薄くなった領域”の各々より広く且つ飛び出していることである。これは請求項22、46および77に規定されている。
【0054】
類似の効果は、図4および5との関係で説明する通り、層中の横方向の溝が他の層の収縮によって形成される場合に特別な用途を見出すことができる。かゝる場合には最初に記載した層と直接的に接触する積層用ローラーが、該層が第一の薄くなった領域がもたらしそしてそして方法条件が接合がこれらの領域でのみ行われる様に調整すれば、溝筋を設ける必要がなく滑らかでもよい。更には、図4および5の説明の最後を参照下さい。
【0055】
図5および6の関係では、第一の薄くなった領域は、ローラー8とローラー7との間の噛み合いによって生じる横方向延伸によってローラー8の頂部で形成される。ローラー8の表面形状または他の方法パラメーターが延伸されている層の構成および状態に適切に適合していない場合には、この延伸は延伸された道筋相互の間に延伸されていないかまたは延伸の少ない材料の一緒に対の領域としてもたらす。かゝる場合に、各第一の薄くなった領域は、特許請求の範囲の理解において対の両方の領域とそれらの間の延伸されていないかまたは延伸の少ない路筋の合計よりなると考えるべきである。
【0056】
二枚の層の少なくとも一方の第一の薄くなった領域の他に、かゝる層は固体の状態の薄くなった領域の別のセットをもたらし得る。これを以下では第二のかゝる領域とも称する。これらは隣接する一対の薄くなった領域の間に位置しており、第一の薄くなった領域よりも狭くそして個々の層の接合されていない波頭の上に位置している。これを図3に例示する。これらの第二の薄くなった領域を製造する方法は請求項45に明記しそして装置を請求項76に規定する。
【0057】
第二の薄くなった領域は“ヒンジ”として作用しそしてこれらが狭くかつ、それらが狭くかつ深くなっている場合には、Aの横断面が滑らかな波打ちの代わりにジグザグになり(図3との関係で更に説明する通り)そしてAおよびBがそれによって三角構造を形成するので、剛性を十分に改善する。この第二の薄くなった領域は以下に説明する通り、幾つかの場合に製造方法を実質的に容易にする。
【0058】
第一および第二の薄くなった領域に起因する剛性および弾性の向上(Aの平均的厚さの関連で改善が見られる)に加えて、各域の各セットが衝撃作用に対する弾性、例えば衝撃強度、耐衝撃破裂性および耐衝撃引裂伝播性も多くの場合に向上させる。これは、溝に対して横方向に層を延伸し始めるからであり、この延伸は衝撃作用のもとでしばしば伝播する傾向があり、それによって第一および第二の薄くなった域が衝撃吸収材として作用し得る。
【0059】
接合領域に関して第一の薄くなった領域の適した位置は、積層のための溝筋付きローラーと、“第一の薄くなった領域”を作製する溝筋付き延伸ローラーを適切に釣り合わせることによってもたらされる。
【0060】
上述した第二の薄くなった領域は、第一の薄くなった領域を作製する溝筋付きローラーと適切に釣り合った別のセットの溝筋付きローラーの間で延伸することによって形成できる。
【0061】
製品の性質の意味での、第一と第二の薄くなった領域の長所は既に説明した。方法的構成要件の意味での長所は、接合させるべき層A中の領域がより薄く作製されそしてそれ故に接合させる前の熱の負荷の間に少ない加熱時間しか必要としないので、この第一の薄くなった領域が速度の増加を可能としそしてそれ故に経済的に向上させることである。更に第一の薄くなった領域および特に第一と第二の薄くなった域の組合せが、層Aにおいてヒンジとして作用することによって加工を大いに助け得る。積層用溝筋付きローラーがその軸と一般に平行にある溝筋を持つ種類の装置において、これらのヒンジが、細かい溝筋中に比較的に厚い(heavy)A層すら誘導することを可能とする。溝筋が環状または螺旋状であるがいずれの場合にもローラー軸にほぼ直角をなしている種類の装置においては、ヒンジが溝筋付きローラーから溝筋付きローラーに層Aを通す間、該層Aを進路に保持する助けをし、換言すれば、ヒンジは、溝を同時に横方向延伸しながら形成する溝筋付きローラーの前のセットまたはセット群の作用と、溝筋付き積層ローラーの作用を釣り合わせる助けをする。
【0062】
種々の溝筋付きローラー操作の調整および実施の有利な方法は請求項53〜57にそして装置の請求項81〜84に別に規定してある。
【0063】
各層に使用されるフィルムは、波打った形状を形成する前および第一および第二の薄くなった領域(もしかゝる領域を造る場合には)を作製する前に(上述のことから判る通り)通例に且つ必ずしもそうでなく一つまたは二つの方向に配向を与え、その際に各層中の配向の得られる主要方向が溝の方向となる様に選択される方向に一般にある。これは強い溶融配向によって、または好ましくは、場合によってはまたは追加的に公知の延伸操作によって固体状態で実施することができる。この方法を溝が機械方向と一般に平行となる様に調整する場合には、これは、簡単である一般的な縦方向配向法であり、そしてこの方法を溝が機械方向と一般に直角となる様に溝を作るのに調整する場合には、設定することが更に複雑でありそして一般に多大な経費のかゝる装置を必要とする一般的な横方向配向法である。
【0064】
1つまたは両方の層を更に正確に表現しようとするならば、第一の薄くなった領域が存在する場合に該第一の薄くなった領域の外側はその溝の方向に平行する方向にまたは溝と近い方向に主として分子配向される。(配向の主要方向は収縮試験によって知ることができる。)
こうして本発明者の判断では、最も重要な実施態様における本発明の生成物は、各層の溝の方向と一般に一致する各層の主要配向方向を有する積層体である。一つまたは二つの層が幾つ枚かのフィルムで構成されている場合には、主として溝の方向と平行する方向に主としてある上述の配向は異なって方向付けられていてもよい上記フィルムにおいて異なる一軸または二軸配向の結果物であると理解するべきである。
【0065】
例として、層Aが配向および機械方向に伸びる溝を有する単一の同時押出成形したフィルムよりなり、他方、層Bがそれの溝が機械方向に対して直角をなして伸びている二枚のフィルムの積層体であり、各々が機械方向に対して実質的に45°より大きい角度(例えば一方が+60°でもう一方が−60°である)で配向している。これらの斜め配向したフィルムの各々は、例えばヨーロッパ特許出願公開(A)第0624126号明細書および英国特許出願公開(A)第1526722号明細書(両方とも前記した)に記載される様に、縦方向に配向方向を有するチューブ状フィルムを螺旋状に切断して得ることができ、そしてヨーロッパ特許出願公開(A)第0426702号明細書に更に詳細に記載されている。後者の明細書には一軸のまたは機械方向に対して直角をなす、すなわち押出ダイスを出るチューブ状フィルムを捻じり、次いで計算された角度で螺旋状に切断することによって得られる強く不均一な溶融配向を得る方法を開示している。
【0066】
それ自身が交差積層体である層は溝を作製する方法段階の前に、好ましくは低融点の同時押出成形された表面層による積層の前に積層体として製造するのが有利である。
【0067】
単一の同時押出成形された縦方向に配向したフィルムの代わりに同様に層Aはそれ自身が二枚のフィルムの交差積層体でもよく、主要方向に対して実質的に45°より小さい(例えば一方が+30°でそしてもう一方が−30°である)角度で各々配向しておりそして螺旋状切断によって各々製造されている。これらの二枚のフィルムは、それらの接合後に機械方向である方向に更に延伸してもよい。勿論、これは層Aとして同時押出成形された長手配向したフィルムを単に用いるのよりも複雑であるが、耐引裂強度および耐衝撃穴あけ強度における本質的向上をもたらし得る。
【0068】
本発明の積層体の非常に驚くべき性質は、(シーリングの剪断試験と全く異なって)シーリングを剥離によって試験した時、特に衝撃試験した時に、改善されたヒートシール強度である。シーリングの境界が鋭い刃をしたシーリング棒の代わりにヒートシーリングにおいて通例である様な著しく滑らかなシーリング棒でシーリングするならば、溝の形状の結果はシールの境界の所に細かく平らな“ポケット”を形成して非常に顕著な衝撃吸収効果を示し、衝撃的剥離の間にシールを保護することである。
【0069】
本発明の用途は主として強力なフィルムについてであるが、これはあらゆる方向において常に平均的な高い強度を必要としていない。それに比べて、例えば袋の構造では関心のまとが確実な耐衝撃穴あけ強度および耐引裂伝播性と一緒に一つの方向における強度にあるべき場合がある。例としては90%のLDPEと10%のLLDPEとのブレンドから造られている0.160mmの膜厚を有する慣用の工業用袋は一般にその縦方向において20Ncm-1の降伏力、即ち12.5Mpaの降伏張力を示しそしてその横方向において16Ncm-1の降伏力、即ち10.0Mpaの降伏張力を示す。
【0070】
本発明者によって開発されそして上記のヨーロッパ特許出願公開第0624126号明細書に従って製造された、ヒートシーリング可能な袋のための平均0.086mmの厚さの市販の交差積層フィルムは、その最も強い方向において20Ncm-1の降伏力、即ち23Mpaの降伏張力を示しそしてそれの最も弱い方向において17Ncm-1の降伏力、即ち20Mpaの降伏張力を示す。
【0071】
本発明の重視点が強靱性、感触および外観にあるにも係わらず、本発明は原則として、比較的に強い強度が要求される用途のための柔軟性のある積層体に関するものであるので、積層体の最も強い方向における積層体の降伏張力は一般に15MPaより小さくなく、好ましくは25MPaより小さくてはならない。対応して極限抗張力は通例には上に示した値の約2倍またはそれ以上である。ここで交差区域(mm2 )は、エアースペースを含まない固体材料だけをベースとしており、これは層Aが薄くなった域を持つことを考慮にいれて、平均である。ここに記載した降伏張力は500%/分の延伸速度での引張り試験に関する。これらはひずみ/応力グラフからもたらされる。これらのグラフはフックの法則に従って直線的に始まるが、変形に未だ弾性があるので通常では線形から速やかに導き出せる。原則として降伏張力は変形が恒久的になる張力であるべきであるが、速度に依存するこの臨界値は実際に測定することが不可能である。降伏張力を実際に測定しそして本発明の請求項との関係において測定されたものを考慮するやり方は以下の通りである:
張力が相対的に極大に達した場合には、連続的延伸下に一定のままであるかまたは減少し、後者では破断が発生するまで再び増加し、張力の相対的極大は降伏張力であることが考慮される。サンプルはこの点で破断されてもよく、その時、降伏張力は極限抗張力に等しい。しかしながらこの張力が連続的延伸と共に増加し続けるが、更に低下するのに連れて延伸百分率当たりの張力が増加する場合には、その時に降伏後にひずみ/応力がカーブしそして実地において直線になった後に、延伸のフックの法則部分を表す線と交差する様に後方に外挿される。2つの線の間での交差点の張力が降伏張力と定義される。
【0072】
本発明の一つの実施態様は、層の少なくとも1つがポリマー材料の選択によってまたは混入される充填物によってまたは配向によって非接合域内で溝の方向に平行に、上に説明した様に測定した時に、30Nmm-2=30MPa(層Aだけの横断面)より小さくなく、好ましくは50MPaより小さくなくそして更に好ましくは75MPaより小さくない平均降伏張力を示すことを特徴とする。
【0073】
交差積層体よりも簡単に製造できそして多くの目的にとってなお高い強度の積層体と見なすことができる積層体構造の例には、Aと言う一つの層がその溝方向と一般に一致する主な配向方向(これは主に機械方向でもまたは主に該機械方向に対して垂直をなしていてもよい)を有する非常に不釣り合いに一軸または二軸配向しており、他方、層BはAの配向方向に対して一般に直角をなす主要配向方向を示すことなしに二軸配向しており、その結果それの第一の薄くなった領域(もしかゝる領域が存在する場合)の外側での配向が該第一の薄くなった領域(もしかゝる領域が存在する場合)の外側の同じ方向におけるAの平均配向よりも高度である本発明の積層体がある。層Bは単に強くブロー成形されたフィルムでもよい。
【0074】
幾つかの場合には、色々な方向において異なる弾性を有するという長所を有しそしてかゝる場合には該材料はBがAよりも小さい弾性係数を持つ様に選択してもよい。その際にこれらの弾性係数はAの溝方向と直角をなす方向で測定する。
【0075】
興味の持てる特別な場合、例えば非常に高い所から落とすのに持ちこたえるべき袋のためには、Bの材料およびAの溝の深さの選択は、Aの溝の方向に対して垂直をなす方向で且つAの波打ちが消える点までの積層体の延伸によって、Bが如何なる重大な可塑変形をすることがなく、好ましくはBが熱可塑性エラストマーとして選択されるようにする。Aはこの場合には溝と平行方向で配向されているかまたはこれに近くてもよい(第一の薄くなった領域での配向は無視される)。
【0076】
特に冒頭から明らかな通り、本発明は幾つかの全く異なる用途分野で使用することが期待でき、剛性が最も重要な要求事項である用途、例えば自立性小袋の用途もある。請求項30はかゝる用途のために選択される剛性を明記している。
【0077】
片方または両方の層の溝の幾つかまたは全てが間隔をおいて平らにされていてもよいし、溝の二つの配列が閉じたポケットを形成するように接合場所でそれぞれ全幅に亙って接合されているのが好ましい。沢山の相互に隣接する溝または全ての溝の平らにされた場所は、通常は列をなしているべきである。この平坦化は最終生成物において急激な曲げ部の予備成形として役立ち得る。例えば自立性小袋の作製を助けまたは防水シートの曲げ折り返し縁部を作製するのを助ける。閉じられたポケットは、以下に説明する本発明の“カプセル化/配路化の観点”の目的のために作製してもよい。
【0078】
カプセル化/配路化の観点は、種々の実際的目的のために積層体の内部空洞を場合によっては適当な穿孔と組合せて液体または空気の流れを導くかまたは粒子、繊維、フィラメントまたは液体の状態の充填材料をカプセルに包みこむのに利用する沢山の実施態様を包含する。後者は例えば柔軟性のある積層体中に包みこまれる物品を保存することができる。これらの種々の実施態様および幾つかのその用途は請求項31〜39の物品から明らかであり、これらの物品を製造する方法は請求項60〜66から明らかでありそして装置は請求項85〜87に規定してある。細かい配路またはポケットに保存剤を入れるのに使用する本発明の実施態様は、フィルムの形状に押出成形するべきポリマーとかゝる剤とをブレンドする通例の方法よりも明らかに有利である。一つの長所は、保存剤の濃度を更に高くすることができる点であり、もう一つの長所は保存剤が押出成形温度に耐えねばならない必要がない点である。保存剤は保存すべき対象物に浸透によってだけ達することができるし、または該剤が固体である場合にはそれが徐々に蒸発しそして十分に細い穿孔または多孔質の孔を通って拡散することができる。
【0079】
包装物の内側に位置する小さな袋内に保存剤を含有するのも通例である。この保護方法に比べて、本発明は保存剤を包装材料の全面積に亙ってほぼ均一に分布させることができるという長所を有している。
【0080】
請求項34に記載した濾材は沢山の潜在的用途を有している。例えばジオテキスタイル(請求項39)として、また例えば化学工業における水処理におよびガスマスクにおいて使用可能である。
【0081】
溝によって形成されたチャンネル内での毛管効果を使用する請求項35の積層体は、水を止める効果と空気を通す効果との釣り合いを最適化できるので、同じ目的のための微小多孔質フィルムよりも改善されている。この用途には特に裏地、好ましくはおむつのそれまたは
建築物の湿気防止用および“呼吸可能な”袋用のそれがある。しかしながら他の目的、例えば水性懸濁物のための濾材の製造のために、反対に、溝によって形成されたチャンネルまたはポケットの少なくとも内側表面に親水性を付与することもできる。これはこれらの表面を形成するポリマー材料の選択によって達成できるかまたは表面処理によって、例えば押し付けることによってまたは穿孔およびチャンネルの上記のシステムを通して片側の面からもう一方の側の面にコロナ処理した空気を吸引することによって達成することができる。
【0082】
例えばポリオレフィンから作られた溝の疎水性は、部分的に親水性の添加物、例えば帯電防止剤がまたは顔料のための分散剤が移動するために徐々に低減し得る。この様な添加物を避けることができる場合には、この効果は、移動することができそして親水性物質と競合する少量の明らかに疎水性の油、例えばパラフィン油を添加することによって相殺することができる。
【0083】
層AとBとの間に形成されるチャンネルの疎水性または親水性および/またはチャンネル系の濾過能力はAおよびBの間に積層体を挿入することによっておよび両層に、積層前にフィルムを周知の手段によって微小繊維化処理に委ねて細かい繊維ネットワークをもたらす細かい繊維状ウエブ、例えば各層を同時押出成形して表面に接合したフィルム、を接合することによって向上させることができる。このウエブは、層AおよびBの両方にヒートシーリングできる低融点ポリマーから作られた溶融ブロー形成繊維の目の細かいウエブであるのが有利でもある。
【0084】
請求項64および65に記載する通り、溶融によって穿孔を作製する特別な方法は、積層体の両側の面の波頭頂部が突き出ているので熱いローラー部分が一方の層に穴を安全にかつもう一方の層に害を及ぼすことなしに形成し得るので、簡単で且つ実地において実現可能である。これは迅速な方法でもある。更なる詳細は実施例4に示されている。
【0085】
請求項66に記載する通り、溶融穴あけ法で溶融される材料を請求項36に記載の毛羽状物(nap)を形成するために引きずってもよい。この場合には、引きずり毛羽立てする熱いローラーと接触する面は該ローラーに十分に貼り付くポリマー材料、例えばイオノマー/エチレン−コポリマーよりなる。これは例えば繊維製品のフィーリングを与えるナプキンまたは手術の間に患者を覆うシートでもよい。装置は請求項88〜91に規定している。
【0086】
高温で穿孔を開ける代替手段としては特に実施例4に記載する様に、該溝を作製する間に、溝を形成する幾つかの歯車上の列をなすニップ(tips)を使用することによって各層の溝に突き出た“突起”を与えてもよく、そしてこれらの突き出た“突起”の頂部は積層後に連続的に“剃り”取ってもよい。この方法でも両方の層を貫通する穴は避けることができる。
【0087】
積層体の溝は袋に滑り防止性を与えるために使用することもできる。充填された袋を積み重ねて置く場合には、これらの袋は各袋をその直ぐ下にある袋の縦方向と直角をなして縦方向が置かれる様に主として配置する。この積み重ね配置に合わせて、本発明の積層体で作製された袋は、その二つの主要な面の一つの溝が他の主要な面の溝と直角をなすように構成するのが有利であり得る。
【0088】
本発明の別の態様においては、両方の層の一方または両方が、積層用ローラーへの送りを請求項67〜73に提起するように行った場合には平らである。この方法の例は以下に実施例5で説明する。
【0089】
この方法を実施するのに適する装置は請求項92〜96に記載する。
【0090】
今度は本発明を図面を引用して更に詳細に説明する。
【0091】
図1は本発明の積層体の透視図であり、それぞれに溝を付けた二つの層(A)および(B)を図示しており、二つの層中の溝の方向は互いに交差しており、ここでは通例の様に互いに直角をなす場合である。層(A)の一部は構造を良く見えるように除去されている。二つの層は破線で示した領域(1)の所でスポット溶着によって接合されている。
【0092】
図2および3は層(A)の2種類の異なる構造で表される断面を図示している。この断面は、Aの波頭頂部にスポット溶着で接合されているBの波頭によって示しており、そしてそれ故にBのこの波打った構造はこれらの図面には見られない。
【0093】
図4は、図2に示した製品の作製においてAとBとの積層体にAの小さなみ溝を形成する段階からの各段階を示す主なスケッチであり、種々の段階がAおよびBの断面およびローラーの表面の断面(ローラーの軸を通しての断面)によって表している。
【0094】
図5は図4に相応する機械ラインのスケッチである。B中での溝形成はここでは専ら積層後にAの収縮によって行われる。
【0095】
図6は、これらの層自身がフィルムをどのように積層したものであるかおよびこれらフィルムが同時押出成形によって製作される様にどのように多層化できるかを実証するために、図1を拡大詳細記載している。これは接合および積層を容易にする。
【0096】
図7、8および9は、層A中の接合されていない域の中央によっておよび層B中の接合された波頭によって(それ故にB上の波形は見ることができない)層Aの溝に平行する区分を示しており、層Aと層Bとの間に形成されるチャンネルおよびポケットが小さい容器として使用されるかまたは空気または水の流れを導くために、即ち図7において保護剤のためにミニ容器として、図8においては濾過のためにそして図9においては耐候性のために使用されるという本発明の用途を図示している。
【0097】
図10は図8の積層位置の変法を示しており、この場合には積層前に溝に粒子状物質を充填する充填装置が加えられておりそして積層後に横断シールを形成するためのシーリング装置が加えられ、それによって粒子状物質のミニポケットとして役立つ閉じられたポケットが形成される。
【0098】
図11は、第一および第二の薄くなった領域(これらの表現は規定した通りである)を製造する方法のフローシートであり、その際に横方向に配向したBにおいて横方向溝を形成しそしてBをAと積層する。この層Aは図4および5に示した様に作製された溝が予備形成されている。
【0099】
図12は横方向溝を形成するための溝筋付きの積層用ローラーを詳細に示しており、その際に噴射空気が溝筋中に層を導くために使用されそして該層を溝筋中に止まらせるために減圧が使用される。
【0100】
図13は本発明の実施態様を図示するための図1の変形であり、この場合には第一の表面に第一セットの穴がそして他の面に第二セットの穴があり、それによって二つのセットの穴の位置が互いにずらされており、その結果第一の表面の穴を通過する液体が他の面から出て行く前にチャンネル系を通り抜ける。このチャンネル系は例えば疎水性であってもよい。
【0101】
図14および14aは、一緒に作業して図13で図示した穿孔の系を作り出す様に調整された2つのローラー装置の一区域を示すスケッチである。これらのローラーはスパイク(205) および (202) を有しそしてポリマー材料の融点より上で運転される。図14は機械方向に直角をなす溝に穿孔を明けるためにそして図14aは機械方向に従う溝に穿孔を明けるためにある。
【発明を実施するための形態】
【0102】
図2および3を引用して明瞭にするために、以下および請求項において触れた波長はXからZまでの直線距離であることを記載する。この距離は通常約5mm以下でありそして実施例3から明らかな通り、本発明者は0.8mm位に小さくつくることもできるが、これは可能でそして有用である、必ずしも究極的な下限ではない。米国特許第5,441,691(Dobrin等) は通例の環状形態のふくらみを持つエンボス加工フィルム (非熱溶着接合されていない積層体) を開示しており、中心から中心まで0.8mmより更に狭くともよい間隔を有しているが、本発明と反対にこの米国特許のふくらみ部はフィルムの主要部よりも薄く引き延ばされている。
【0103】
溝が機械方向と平行に作製されている場合には、溝の形成および積層は好ましくは図4および5に示す様に一般に実施される。このことは互いに噛み合う溝筋付きローラー間で横方向の延伸が常にあることを意味している。フィルムを非常に細かい溝筋付きローラーの間で延伸する場合には、延伸の全部または主要部が溝筋の頂点およびその近くに局所化する傾向が強い。これは、前の工程である程度横方向に延伸されたフィルムを使用しそしてそのフィルムをローラーの温度よりも高い温度でローラーに供給することによって、困難ではあるが回避することができる。
【0104】
しかしながら図1、2および3に示した積層構造物においては、溝筋付きローラーでの延伸で得られる厚みの相違を、製品の性質にとって重要である様に利用されてきた。延伸するための溝筋付きローラー、すなわち積層のための溝筋付きローラーとそれらの間の溝筋付き送りローラーとの相互間を正確に記録することによって、各接合域は薄くなった域内に主にあるように配置される。図3から判る通り、接合の各域のための薄くなった域の2つのセット、すなわち接合域に当たる一連の比較的広い域(“第一の薄くなった域”)(6)および“第二の薄くなった域”と称される短い接合域のセット(101)があり得る。
【0105】
層Bに接合される基部で層Aを薄くすることによって、Aの厚みはいずれの場合にもそれの剛性への寄与が重要でない場所で最小にされる。“ヒンジ”として作用する狭い“第二の薄くなった域”を導入することによって、図3に示すように断面が殆ど三角形になる。これは、剛性が更に向上されることを意味している。これらの薄くなった域は、衝撃作用のもとで破裂されるよりもむしろ延伸する傾向を材料中に導入する。このコンセプトを明らかにするために、第一の薄くなった各域(6)は規定によると、矢印によって示す様な層Aの厚みがこの領域内の最も薄い厚みと隣接する非接合域の最も厚い厚みとの間の平均である場所(102)によって境を画している。
【0106】
図1、2および3に示す様な“第一の薄くなった域”を持つ構造および図3に示す様な“第一および第二の薄くなった域”の両方を持つ構造は横方向に溝を造る機械で製造することもできる。これは後で説明する。
【0107】
図6において層AおよびBの両方はそれら自身が積層体、例えば交差積層体であり、各層が作製されるそれぞれのフィルムは同時押出成形される。それ故にAおよびBはAをBに積層する前に積層法によってそれぞれ形成される(“予備積層”)。層(1a)はAを造る同時押出成形された2枚のフィルムの中の主要層であり、そして層(2)はBを造る同時押出成形された2枚のフィルムの中の主要層である。層(1a)および(2)は例えば高密度ポリエチレン(好ましくはHMWHDPE)またはアイソタクチック−またはシンジオタクチック−ポリプロピレン(PP)またはこれらのポリマーの1種類とより柔軟性のあるポリマー、例えばHMWHDPE、LLDPEとのブレンドであってもよい。剛性が小さい溝を付けた積層体の最も有利な性質である場合には、普通のHMWHDPEまたはPPを選択してもよいが、もし引裂または破裂性が重要でありおよび/または卓越したヒートシール性が重要である場合には、上記のブレンドがより適している。
【0108】
層(3)は、完成された積層体のヒートシール性を向上させおよび/またはその機能的性質を変更する機能を有する同時押出成形された表面層である。層(4)は同時押出成形された2つの機能を有する表面層である(“ラミネート層”)。すなわち、a)予備積層を容易にする機能およびb)接合強度を制御する機能(交差積層体においては接合が強過ぎるべきでなく、もしそうでないと引裂伝播強度が損なわれる)。
【0109】
同様に層(5)は、A全体とB全体との積層を容易にしそしてAとBとの間の接合強度を制御する同時押出成形された表面層である。
【0110】
図4および図5に関しては図2に示した構造は、薄くなるべきラインに主に沿って加熱する溝筋付き予備加熱ローラー(6a)上を最初にフィルム(A)を通し、次いで溝筋付き延伸ローラー(7)および(8)上を通し、更に溝筋付き送り溝安定化ローラー(9)上をおよび最後に溝筋付き積層ローラー(10)、および軸溝筋を付けるゴム被覆された対ローラー(11)上を通し、他方フィルム(B)は低い張力のもとで滑らかなローラー(12)および(11)の上を通すことによって形成することができる。積層体は積層ローラー(10)からローラー(13)の上に取り去られ、非常に僅かな湾曲を有する表面形状が軸領域に認められる。この形状の目的は次の通りに説明される。ゴムローラーを除く上記の全ての溝筋付きローラーの溝筋は環状であり、その結果Aの溝が機械方向で形成される。これらのローラーは全て温度制御されたローラーであり、ローラー(9)、(10)、(11)および(12)は積層温度に制御されており、ローラー(6a)、(8)および(13)は幾分か低い温度にそしてローラー(7)は約20または30℃の温度に制御されている。(Bを予備加熱するために別のローラーがあってもよい。)。適当な同時押出成形された表面層を選択することによって(図6の(5)参照)、積層温度は(A)および(B)の主要層の溶融温度より遥かに下に維持される。ゴム被覆されたローラー(11)は(熱い空気または赤外線によって)内側からの加熱と外側から加熱との組み合わせで加熱されるのが好ましい。図2に触れると、ローラー(7)と(8)との間を横方向延伸する間の(A)中の領域(6)の温度は好ましくは未だ低く、例えば約50〜70℃の範囲にありそして(A)の残りは記載したローラー温度からも判る通り、更に低く、例えば室温付近である。もし(A)および(B)中の主要層が普通のHDPEまたはHDPEとLLDPEとのブレンドである場合には、積層温度は好ましくは約80℃〜110℃の間で選択し、そしてエチレンの適当な普通のポリマーまたはブレンドコポリマーよりなる同時押出成形された各積層層をこの温度で積層製造するために選択する。
【0111】
層Aは図4および5に示したプロセスより以前に、積層処理温度に加熱した時に収縮傾向、例えば10〜25%の収縮を付与する条件のもとで縦方向に配向される。層Bでの溝の形成は層Aのかゝる収縮をベースとしている。
【0112】
層Bはこのプロセスより以前に横方向に配向される。それ故に同様に収縮傾向を有する。この収縮は、正確に取り扱わない場合にはこのプロセスをだいなしにしてしまうであろう。図面においては、収縮を相殺するのに十分なプリーツ付けを層Bに付与する溝筋付きローラー(14a)および(14b)によって行ないそしてこのために正確に調整される。このことは、熱いローラー(12)の上で層Bがその幅全体にわたって、プリーツを完全に除くのに丁度十分である程度に収縮することを意味する。これらの溝筋付きローラーは、高ピッチを有し(実施例1参照)、横方向延伸なしにプリーツを設け、室温で作動しそしてフィルム中の張力を殆ど増すことのない理想的ローラーである。
【0113】
ローラー(8)上の波頭頂部は非常に小さな曲率半径、例えば約0.07mm、または同様に狭いランド(land)を有している。予備加熱する機能を持つローラー(6a)の波頭頂部はフィルムに依存して、半円状に近いかまたは幾分か大きい半円状であるかあるいは僅かに幅広のランドを有している。ローラー(7)と(9)の波頭頂部は、これら波頭頂部での横方向延伸を避けるために、比較的大きな曲率半径を有している。溝の大きさの適する値は実施例1において後述する。
【0114】
異なる溝筋付きローラー毎の異なる温度は、全てが室温である状態に比較して異なる熱膨張を引き起し、そして運転の間に互いに正確に適合させなければならないので、溝筋付きローラーを製作する時にこのことを考慮しなければならない。(10cmの長いスチール製ローラー・セグメントを10℃加熱することがこのセグメントを約0.12mmの膨張を引き起こす。)。値については実施例で再び言及する。
【0115】
ローラー(6a)、(7)、(8)、(9)、(10)、(12)および(11)は駆動され、他方ローラー(13)、(14a)および(14b)は遊んでいてもよい。
【0116】
図2から判る通り、領域(6)のAの薄膜化はAの主要部分の溶融範囲より実質的に下の温度での横方向配向によって殆ど完全に行なわれる。それ故にこの薄膜化はAの横方向強度のどんな重大な弱体化ももたらすことがなく、反対にしばしばこの強度を向上させる原因になる。ローラー(8)の波頭頂部で横方向延伸した後に、第一の薄くなった領域(6)の幅は好ましくは(親指で計った結果として)波長の半分を超えるべきではないが、接合されていない領域における層Aが該Aの選択された平方メーター重量と同じ厚さになることを許容しそして溝ができるだけ高くなるという結果を意図して、延伸の程度は一般に実際的に得ることができるのと同様の高さであるべきであり、他方第一の薄くなった領域の間の横方向延伸の程度は一般に実際的に得ることができるのと同様に低くあるべきである。しかしながら実施例1におけるのと同様にAにおける収縮性をあてにする場合には、ローラー(9)での層Aの加熱が接合されていない領域での厚みを減少させそして相応して溝の深さを増加させる傾向のある張力の原因となる。
【0117】
縦方向に配向したA−層を使用することがAにおいて“ネック・ダウン(neck down)”する傾向を付与し,そしてAをローラー(8)上で横方向に延伸した時に薄い縦線を形成する。
【0118】
それ故に縦方向に配向したA層は強く薄くされた領域(6)と該領域相互の間の薄くされていない層Aとの間に形状の相違を与える可能性を高めるであろう。
【0119】
層Aが辿るローラー(6a)〜(10)のラインは一般に同じ円周速度で回転するべきである。それ故に加熱およびAの縦方向配向は、環状に溝筋を設けた熱い積層用ローラー(10)とゴム被覆された軸方向に溝筋を設けた熱い積層用ローラー(11)との間のニップ(nip)でB層と積層した時に、むしろ高い縦方向張力を層Aに付与するであろう。ローラー(13)は遊んでおり、積層体は積層が行われるこのニップを通過した時におよび熱い積層用ローラー(10)上に未だ存在する間にこのローラーから低い張力で取り出され、層Aは徐々に収縮するであろう。ローラー(13)はローラー(10)に接触することなくローラー(10)に近づき、それによってAの細い溝は収縮の間にそれの溝筋に残りそして該収縮は整然と行われて、Bに規則的な溝を作り出す。
【0120】
ローラー(13)は最終積層体における横方向でカールする傾向を妨害するかまたは除く働きもする。この傾向は主として層Aの収縮および層Bのこれに対する抵抗力によって発生する張力のためである。積層体は上記の通り熱いローラーであるローラー(13)に従うが、反対に曲げられ、それによって“収縮差”の作用を相殺する。更に(13)の表面は、粗く且つ非常に浅い縦方向に延びる波形溝を持つ積層体を付与する非常に浅い環状溝筋模様を提供してもよく、この波形溝がカールする傾向を完全に除くことができる。この波形溝は例えば0.5〜5mmの深さおよび波長は深さの約10〜20倍を有していてもよい。積層体は低い張力のもとでローラー(13)を離れる間に空気冷却される。場合によってはこの冷却の前に、積層体を熱い空気で加熱された炉に通す間に更に収縮する段階を配置してもよい。
【0121】
図4および5に示したある変法は、第二の薄くなった領域を持つ図3の積層体を製造するために使用できる。この目的のためにはローラー(6a)はローラー(7)と同じプロフィールおよび同じ低い温度を持つべきであり、そしてローラー(8)と同じ表面プロフィールを持つローラーと僅かに噛み合う状態で進めるべきであり、その際にそのローラーはローラー(8)と同じ比較的高い温度を有しているべきである。
【0122】
図4および5に示したラインの他の変法では、ゴム被覆された積層ローラー(11)は溝筋を有しておらず滑らかであり、そして層Bはローラー(15a)および(15b)に入る前に機械方向に部分的に延伸されて、機械方向に対して直角に“第一の薄くなった領域”を与える。ローラー(12)および(11)の温度は、これらの領域の厚さ、およびこれらの領域の温度が良好な接合に十分となり、他方これらの領域以外では不十分なままである様な層速度に調整させる。
【0123】
図4および5の関係で説明した方法においてゴムローラー(11)の技術的な等価物(上に直接的には説明した方法でない)には、軸方向溝筋 を付与しそしてゴムローラーと同様に加熱された微小多孔質材料よりなるローラーがある。このローラーにはよく知られたやり方で熱い圧縮空気が供給され、ローラーの波頭頂部と層Bとの間が接触するのを防止する薄い空気膜を形成するが、ゴムローラーと同様の積層圧を与える。この空気摩擦ローラーはゴムローラーの様に摩り減ることがないという長所がある。
【0124】
第一の薄くなった領域が適切に適合した加熱と一緒に存在する時にはローラー(11)と交換してもよい滑らかなゴムローラーは、回転する必要のない加熱された空気摩擦体に同様に交換することができる。その表面はローラー(10)と同心であってもよく、それによって特に高い積層速度が達成できる。
【0125】
上記の通り層Aの溝の縦断面を示す図7では、両方の層は平らにされ間隔(103)をおいて互いにシールされて、ポケットまたは“ミニ容器”を形成しそしてこれらミニ容器に積層体の使用目的、例えば充填されるかまたは層Bで覆われる物質の保護のために粒状物質(104)が充填される。多くの選択の内の一つとして該粒子は酸素補足剤であってもよい。物質の作用を向上させるために、溝は充填された製品に対して側部に穿孔を与えてもよい。この物質は例えば結晶水を有するCaCl2 の様な防炎剤であてもよいしまたは積層体の嵩密度を高めるために微細な砂であってもよい。
【0126】
以下に説明する図10は、層Bと積層する前に層Aの溝の中に粒状物質をどの様に供給できるかおよびこれらの横方向シールを決して本質的に汚染することなく、溝が積層後に横方向シーリングによってどの様に閉じてポケットとできるかを示している。
【0127】
溝付き熱可塑性フィルムと溝なし熱可性フィルムとの間の、充填物を含有する積層体は特開平7−276547号公報(Hino Masahito)から公知である。しかしながらこの場合には充填材料が中断なく溝から溝に延びている (吸収のための) 連続した多孔質シートであり、その結果溝付きシートと溝なしフィルムとの間に直接的な接合がない。熱可塑性フィルムの一枚は最初にこの多孔質の( 例えば繊維で形成された) シートの中に直接的に押出成型され、次いで2枚を一緒に、熱可塑性フィルムがまだ溶融している間にギヤ付きローラーの間で溝付き形状を与え、そして最後に第二の熱可塑性フィルムを溝付き組立部材の上に直接的に押出成型して多孔質のシートと接合する。これによって接合は必然的に非常に弱くなければならず、そして機械的性質は本発明の製品のそれと全く相違しているに違いない。溝の波長が記載されていない。
【0128】
図8に示す液体流またはガス流のための工業的フィルター材料において、Aの各溝中にストランドまたはヤーンを挿入し(図10の説明に関連して、どの様にそれを行なうかが説明されている)そして両方の層には一連の穿孔、即ち層A中の(106)と層B中の(107)が設けられている。これらの穿孔列は、示す通り、互に位置がずれており、積層体の一方の面から他方の面に通る液体またはガスが、その位置のずれに相応する距離にわたってチャンネルを辿ることを強制される。ヤーンとチャンネルとの間の適合性は積層工程の後での層Aおよび/またはBの収縮によって改善され得る。
【0129】
図7に示したポケット構造は、層Aおよび層Bが交互に位置をずらした孔が設けられている場合には、濾過の目的にも使用することもできる。次いで粒状物質(104)は例えば活性炭またはイオン交換樹脂または簡単な濾過目的のための微細な砂で構成されていてもよい。この場合にも収縮による出口(passage) の締めつけが有利であり得るかまたは重要でさえある。
【0130】
かゝるフィルター材料を使用する実際的な例には、有毒な物質の吸収を含めた空気濾過システムおよびイオン交換法がある。これら両方の場合には積層体が、それを通過する流れに対して横方向にゆっくりと進む長いウエブの形を有していてもよい。
【0131】
他の実際的用途には例えば道路構造物のためのジオテキスタイルの代替物がある。かゝるテキスタイルは水が浸透するが細かな粒子を止めることを可能としなければならない。本発明の積層体、例えばポケットに細かい砂が充填されたものはこの用途に適している。
【0132】
かゝる濾過目的のためには、高い衝撃穴あけ強度がしばしば必要とされ、そして次にこの積層体は配向した交差積層フィルムよりなるのが有利である。
【0133】
耐候性積層体は図9に、ポケット構造も持つ例えばレインコートについて示されている、それによると層Aは(103)の位置で横方向シールによって層Bにヒートシールされているが、ポケットには粒状物質が存在していない。濾過のための積層体と同様に、ポケットの各ラインには位置をずらした系に穿孔が与えられているが、ここではAの穿孔の群(109)およびBの同様な群(110)として示されそしてこれらの群は互いに位置をずらして設けられている。このスケッチにおいては層Aが雨が降る側にありそして人、動物、または積層体が保護すべきものは層Bの側に存在する。(これは逆であってもよい)。矢印(108)で示される方が上を向いていることが考えられる。穿孔(109)はポケットの底にあるので、重力のためにポケットの底だけが雨水で満たされ得るが、他方、一般に水は穿孔(110)にとどかない。もう一方においては、孔の群(109)と(110)との間を自由に空気および蒸気が通過する。両側にポケットおよび穿孔が設けられた本発明の積層体、特に各ポケットのの境界近くに穿孔を設けたものは他の重要な用途も見つかっており、例えば疎水性であれば、海で漏れた油膜を吸い取るのにも適すると考えられる。
【0134】
図10に示す、図5の機械ラインの改良ラインは、AとBとの間に形成されるチャンネルに粒状物質(104)が充填するのに適合している。この充填はここでは非常に概略的に示されている。粉末(104)はホッパー(111)から取り出され、調整可能な震盪装置(図示してない)によって供給されている。該粉末は溝筋付き積層ローラー(10)の上側で溝付き層A中に落とされる。規則的な時間間隔でホッパー(111)には粉末(104)が充填される。これのための手段は記載してない。ローラー(10)上の層Aへ粉末(104)を供給する他の慣用のシステムも勿論選択してもよい。
【0135】
ローラー(10)は振動させられ(図示していない)て、比較的に高い領域から、即ち(10)と(11)のニップにおいて層AがBと会う時に、接合領域になる領域から、“チャンネル”になる比較的に低い領域に粉末を移動される。
【0136】
積層用ロ−ラー(10)、(11)およびローラー(13)を離れた時に、チャンネルに粉末(104)を有するA+B積層体は歯車付きローラー(113)(その表面は詳細な部分図で示してある)、および一緒に平らにされそして横方向シールすることによってチャンネルを閉じるゴム被覆された対ローラー(114)の方に移動する。ローラー(113)は平らにされそしてシールされるチャンネル部分から粉末を移動させるために震盪させられる。
【0137】
ローラー(113)および(114)の両方はシーリングのために必要とされる温度に加熱されそして、積層体はこれらのローラーに入る間に前の温度のためにヒートシールにほぼ適する温度近くにあるので、この第二のヒートシール工程は全工程を減速する理由にならない。
【0138】
図8に示した製品を造るためには、ローラー(113)および(114)は省かれるかまたは機能を取り除かれていてもよくそして層A中に粉末を供給する代わりに同じ場所で各溝中にヤーンを横たえてもよい。各ヤーンは別のリールから取り入れられる。
【0139】
ローラー(10)/(11)の後の幾つかの段階で層Bは横方向収縮を受けてもよい。Bが収縮する間に末端で積層体を保持する必要があり得る。これは通例の幅出し枠によって行うが、後者は逆に作業するようにセットアップして幅を増加させる代わりに徐々に減少させるべきである。
【0140】
フローシート図11から判る横方向で予備的に溝付けされた層Bをつくる方法は、図4および5との関係で説明された方法と一般的に同様であり、溝筋付きローラーのプロフィールも、図11の方法のためには溝筋が軸方向に延びているが図4および5の方法のためにはそれらが環状であることを除いて一般的に類似していてもよい。
【0141】
第1段階:
積層温度では張力なしで製造されそして次に再び冷却される横方向に配向した層Bは、ローラー(8)のプロフィールに類似するプロフィールを持つ熱いローラーのニプに位置する非常に狭い領域で縦方向に延伸される。冷たい溝筋付き対ローラーはローラー(7)のプロフィールと同様なプロフィールを有している。
【0142】
第2段階:
延伸された熱い“第二の薄くされた領域”をローラー(7)のプロフィールと同様なプロフィールを持つ溝筋付きの冷たいローラーで冷却する。次いで“第二の薄くされた領域”の間に“第一の薄くされた領域”を形成するために、層Aをこの冷たいローラーと、ローラー(8)のプロフィールに類似するプロフィールを持つ熱い溝筋付きローラとの間で縦方向延伸する。延伸はこのローラーのニップの所に限定される。印刷技術での記録と同様にして第2段階は延伸された領域を場合によっては見つける装置を使用して第1段階と一緒に記録する。
【0143】
第3段階:
溝を最初に、ローラー(10)のプロフィールと類似のプロフィールを持つ熱いゴム被覆ローラーの溝筋で例えば圧縮空気を使用して形成し、そして溝筋中に例えば図12との関係で全て説明した通りに減圧の使用下に保持しそして次いで層Bをこの溝筋付きゴムローラーの波頭頂部と加熱されている環状溝筋付きスチール製ローラーとの間で層Aと積層する。層Aは予備加熱されそして図4および5に示した方法で既に溝が設けられている。
【0144】
以下で説明する様に、処理後に相違があり、特に片方または両方の方向での後収縮に相違がある。
【0145】
図12において、非常に横方向の狭い“第二の薄くされた領域”(101)が最初に設けられそして次に横が幾らか幅広の“第一の薄くされた領域”(6)を設けた層Bを、加熱された積層ローラーの溝筋(115)中に、1つ(116)だけ示されている一連のノズルからの圧縮空気によって導く。記録手段を使用することによって領域(6)または(101)の光学検出に基づく作業をする時、第一の薄くされた領域(6)が溝筋付きローラーの波頭頂部(118)を被う様に配置する。薄くなった領域のこれら2つのセットはヒンジとして作用し、その結果相当に重い層Bを曲げることができるし、溝を造ることができる。該溝はローラーの内側からチャンネル(117)を通して負荷される減圧の使用下に溝筋中で形状を保持する。こうして層Bは溝筋付きローラーと環状に溝筋のある対ローラーとの間のニップ(図示してない)のために溝形状にされ、そこで積層が行われる。二つのローラーの一つ、好ましくはBを送るローラーはゴム被覆されている。溝筋での減圧は、それが必要とされる時に層Aがしっかり保持されるが、必要とされる場所で離すことができる様に調整される。離す間に減圧を排除するために、溝筋付きローラー内部にバルブを配置してもよい。
【0146】
図12も、幾つかの変法があり、例えばフローシート図11の段階1および/または2の代替手段として、新しい種類の部分延伸によって機械方向に対し横方向に第一および/または第二の薄くなった領域(8)および(101)を作製する方法を説明することができることを記す。この目的のために、図4および5のローラー(8)と同様に作用する(ただし横方向延伸領域を作製する)ローラーをローラー(8)と同様に加熱すべきでありそして、波頭頂部に接触または近づく材料に延伸を局所的に集中するために、該ローラー(8)と同様に比較的に“鋭い”波頭頂部(例えば曲率半径0.7mm)を有している。更にノズル(116)から圧縮空気を単に付与するのを、数バールの空気圧を供給するために、“ホーバークラフト”空気枕に交換し、ローラーの溝頭頂部上で層を延伸することができる。特別な環境のもとでは、1気圧以下の圧力差で十分な場合には、減圧によってローラーの波頭頂部上で層を延伸することも可能である。減圧はチャンネル(117)を通してもたらす。
【0147】
図13において、穴(106)は片側の一連の穴を示しており、そして穴(107)は積層体のもう一方の側の一連の穴を示しており、そして両方の穴の群は互いにずれて設けられており、その結果穴(106)により一方の側に入る気体または液体物質の流れは分けられそして、流れが穴(107)に達する前に二つの溝のセットによって形成されるチャンネルに流れそして積層体のもう一方の側に出る。これによってチャンネル壁の疎水性または親水性がこの明細書の一般的説明部分で説明した様に有利に利用できる。
【0148】
図13は互いにずれている穴を示しているだけであるので単純化した説明であり、穴から穴への4つだけの波長の通路合計は即ち一般に通路合計で約3〜10mmである。実際には、図14および14aの関係で説明する通り、“ツイン”または“トリプレット”の穴を造るのがより有利であるし、また幾らか長い通路合計を作製することも有利である。本発明のこの実施態様は幾つかの重要な用途を見つけることが期待できる高い規則性の全く新しい種類のポロシティーを提供している。
【0149】
図14および14aはオリエンテーション以外同じである、僅かに突き出た平らなスパイク、即ち図14の(205)および図14aの(202)である。例えばねじ込まれているスパイクを含めたローラーのこの金属部分(201)をポリマー材料の溶融範囲を十分に超えている温度に加熱する。ローラー表面を、ここでは小さな板(203)として示した断熱材料、例えばポリ(テトラフルオロエチレン)(テフロン(登録商標))で造られていてもよいもので覆う。スパイク当たりにこのような板が一枚存在し、そしてスパイクによって金属表面に固定されている。平らなスパイクの末端はDTFE板の外側面から1mmより少なく突出しており、その結果積層体の外側に突き通ることなく積層体の一方の側で溝に触れることができる。
【0150】
積層体はローラーと同じまたは殆ど同じ速度で短い間隔を置いて随行する。穴を広げるために両者の速度に非常に僅かな差があってもよい。積層体をカットしまたは溶融して穴を開けるスパイクの方に押し付けるそして同時にこの加工段階で孔を開けるべきでない層を保護するために、パイプ(204)中の孔を通して積層体の方に噴射空気を吹き付ける。スパイク(202)および(205)は環方向および軸方向の両方の列の形態で配置されており、パイプ中の孔(204)は環方向の各列と一致しているので、空気圧および冷却効果は最も必要とされる所で最高となる。
【0151】
図14中のスパイクは図14a中のそれと同じ形状、即ち二つの図を一緒に対比した時に見えてくる楔形に成形された形状を有していてもよい。この形の末端部は両方の場合とも溝の方向に対して直角をなしてカットされておりそしてこの末端の長さは溝の大きさの有利にも二倍または三倍に相当してもよく、“ツイン”または“トリプレット”の穴が作製される。
【0152】
ローラーが積層体に接触する領域の外側で、室温の空気をPTFE製小板に吹き付けて、その表面をポリマー材料の溶融範囲より下の温度に保つ(この手段は図示していない)。
【実施例1】
【0153】
縦方向に配向した溝付き層Aと横方向に配向した溝付き層Bの層Aおよび層Bの二層積層体を、図4および5に示す様な構造を持つパイロットプラントで製造する。両方の層は、片側に95〜105℃の融点範囲を持つエチレンコポリマーよりなる薄い層を持つ、HDPEよりなる同時押出成形され冷間延伸された0.037mmの厚さのフィルムよりなる。これを方法工程において積層用層として使用した。冷間延伸はほぼ室温で約3:1の延伸比で実施しそして次いで熱安定化し(全て慣用の手段による)、そして他方フィルムは平らなチューブ状形態を有している。このチューブを縦方向に切り、層Aを形成する。
【0154】
横方向に配向したフィルムの連続製造方法は熟知されており、前に記載したが、発明者にとってその説明に従ってかゝるフィルムを製造することは実際には混乱をもたらした。それ故に層Aのフィルムの短い長さを端と端で熱シール処理して、横方向配向したウエブを形成した。
【0155】
溝筋付きローラーの全ては実際に使用された温度で1.1000mmのピッチを有するが、延伸/積層工程の間の大きい温度差のために、これらローラーを下記表の様に20℃で機械にかける場合、熱膨張を考慮するべきである。表から明らかな通り、ローラー間の最も大きな温度差は85℃であり、これはローラー長さ10cm当たり約0.10mmの膨張に相当し、他方、ローラーの端から端まで隣接ローラー間を合せる時に累積されるエラーを、必要とされる記録を得るために0.10mmより少なく維持しなければならない。
【0156】
以下の表は図4 の軸方向区域で判る通り、曲率半径(R)および各溝筋付きローラーの波頭頂部上の“ランド(land)”の長さをmmで示している。
【0157】
Bの予備加熱および安定化(収縮)のためのローラー(12)は90℃に加熱した。
【0158】
勿論、溝筋から溝筋にそれぞれに見られるローラー(6a)〜(10)のピッチにおいてかゝる高い正確さを達成することは実質的に可能ではないが、ピッチのエラーが0.05mmよりも多きく累積しないことが重要である。これは、表面部分が各セグメントから造られておりそして累積されたエラーがセグメント末端を精密研磨することによっておよび/または薄いシム(ホイル)をセグメント間に挿入することによって除かれた場合に、最も良好に達成される。実際のパイロットプラントにおいては各ローラー表面の溝筋付き部分の長さは約450mmでありそして3つのセグメントで組み合わされている。工業機械においてはローラーが約5mまでの長さで造ることができるが、その場合に末端から末端への精度をレーザー測定でチェックしそして説明した通り調整することで判断する。
【0159】
Aにおける溝形成のためのベースでありそして“第一の薄くなった領域”(ベースとなるが、積層体中の溝の波頭頂部でない領域)を形成する横方向延伸の主要部分は、ローラー(7)と(8)との間の噛み合いによって行いそしてローラー(8)の波頭頂部上およびその近傍である領域に位置することになる。これは、ローラー(8)が熱くそして比較的に鮮明な波頭頂部を持つが、ローラー(7)は冷たくそしてより丸みのある溝頭頂部を有する(比較的に高い曲率半径R)からである。この関係においても層Aが機械方向に一軸配向されておりそしてそれ故に“首折れ(neck-down) ”傾向が高くそして横方向延伸した時に鮮明に境界を画する薄くなった領域を形成することが問題とされる。
【0160】
ローラー(6a)の機能はローラー(8)の頂部上で延伸すべき領域を予備加熱することができる。この実施例においてはローラー(6a)の波頭頂部の“ランド”はローラー(8)の波頭頂部の直径よりも広い。これはフィルム中における非常に強められた“首折れ”傾向を防止するために、換言すれば“第一の薄くされた領域”の境界をより滑らかにするために選択される。他の場合には、例えば層Aが強められた横方向配向を有しそしてそれ故に横方向延伸によって“首折れ”傾向をなくした場合には、フィルムを予備加熱するローラー(6a)の波頭頂部上の“ランド”はローラー(8)の波頭頂部上の“ランド”よりも広くないようにするべきである。
【0161】
ローラー(6a)と(7)との間には、フィルムを延伸することなしにしわを避けるために僅かであるが、殆ど0の噛み合いがある。
【0162】
横延伸ローラー(8)を離れた時に、層Aは送りローラー(9)によって取られる。これは延伸されていない領域に溝を形造るのを助けるために、記載した高い温度を有する。この段階において第一の薄くされた領域は未だ深く曲げられるが、(A)が溝筋付き積層ローラー(10)上の平らな0.4mmの幅の波頭頂部(ランド)によって取られた時に、第一の薄くされた領域は厚みが徐々に増加するその境界を除いてそれの全幅にわたって殆ど平らにされる。ゴム被覆された対ローラーは他の加熱されたローラーと同様に循環水によってそれの内側から加熱されそして更に表面を105℃の温度を保つために熱気で外側から加熱する。
【0163】
実験を行う前に溝筋付きローラーの軸位置を互いに非常に注意深く調整しそして隣り合う溝筋付きローラー相互の間で噛み合わせる。ローラー(7)と(8)との間の噛み合わせは、完成積層体の断面で顕微鏡で測定した時に溝の深さ0.40mmにするようにセットする。既に記載した通り、ローラー(6a)と(7)との間の噛み合いは殆ど0にセットする。ローラー(8)と(9)とのおよびローラー(9)と(10)との噛み合いは正確に0にセットする。深い溝筋付きローラー(14a)および(14b)のピッチは10mmである。それらの噛み合いは、層Bの最終状態において如何なるシワもプリーツも生じさせることなしに、機械方向に対して直角をなす方向において層Bの最大収縮を許容するようにセットする。
【0164】
ローラー(6a)〜(10)、ローラー(12)およびローラー(14aおよびb)は全て同じ周速で運転し、他方ローラー(11)はローラー(10)によって駆動されそして他のローラーは遊ばせる。
【0165】
ローラー(8)、(9)および(10)上で層Aを加熱することによって、縦収縮する高い傾向が得られるが、ローラー(10)と(11)との間のニップを通過するまで幅出しされた状態を維持しそしてそれによって層(B)にスポット積層されるようになる。次いでローラー(10)上にまだある間に、それの収縮を発現させそして層(13)を撓ませ、それの溝を形成する。
【0166】
遊んでいる取り出しローラー(13)は断熱表面を有しており、その結果積層体はこのローラー上で未だある程度成形可能である。ローラー表面は僅かに波打っており、即ち軸断面に目に見える波打ちがあり、10mmの波長および1.0mmの深さを有する湾曲形を有する。これが積層体がカールする傾向を実質的に除いている。
【0167】
ローラー(13)を低い張力のもとで離れる際に積層体を空気冷却する。測定により、層Aが積層段階の後に20%収縮しそして層Bが相応して撓むことが判った。これらの溝の高さは0.5mmと測定された。
【実施例2】
【0168】
実施例1の操作を、ゴム被覆された積層用ローラー上の軸方向溝筋の部分を0.5mmのランドで2.0mmから1.0mmに変えて繰り返した。この場合もAの収縮によってBに溝が生じる。これらの溝の高さは0.25mmと測定される。
【実施例3】
【0169】
実施例1に説明した様に生成されたフィルムを115℃に空気加熱し、層Aの溝に平行な端部をクランプの間に固定する。しかしながらこれらクランプは層Bが自由に収縮するのを許容するようにセットしてある。これによって層A中の波長は0.8mmに減少する。
【実施例4】
【0170】
実施例1の積層体を図14および14aとの関係で説明した操作に委ねるが、穿孔のための二つのローラーはたった約400mmの長さであり且つ短期間の実験のために作製したので、この構造を簡略化することが可能であった。スパイク(202)および(205)を形成した楔は各ローラーの鋼鉄製スリーブ(201)と一緒に一つの部材として作製した。更に沢山のテフロン(登録商標)製板を二成分系エポキシバインダーで単に被覆することによって代用した。楔で形成したスパイクの端部は被覆よりも0.2mm延び出している。この端部の長さは5mmである。端部の温度は約150℃でありそしてエポキシ被覆面の温度は約120℃である。スパイクから4つの隣のスパイクの各々までの距離は、端部の中央から端部の中央までを測定して40mmである。
【0171】
積層体はその片側に初めに孔を穿ち、穿孔の最初のパターンを形成し、次いで第二の別の方法段階で別の側に穿孔の第二のパターンを形成する。この第二の方法段階の間に、穿孔の第二のパターンが第一のパターンと正しく適合するように手動で制御し、二つのパターンの間の位置のずれを最大とする。(勿論、実際の製造においては第二の群の穿孔は第一の群の穿孔と一列に実施するべきである。)
両側で互いに位置をずらしての穿孔のパターンを有する積層体は小さな袋に変形されそしてその袋には約10cm水が充填される。該袋は水平に一直線の底を保持する枠セットに懸垂されそして水を滴り落とすことができる。
【0172】
水は、水面が底部の上方20mmに位置するまで滴り続け、達した時に水の滴り落ちが停止する。積層体中の細かい毛管状チャンネルはその繊細さと疎水性のために20mmの水圧に耐えることができると推定できる。冒頭に記載した出願人の継続中の国際特許出願公開第02102592にも積層体が記載されており、その積層体は層Aが波打っておりそして層Bが平らであり、溝が同様に細かい場合には類似の性質を示し、穿孔が同様に配置されておりそして材料が同様に疎水性である。しかしながらその場合には層B(平らな層)中の穿孔は同様に全く実際的やり方で製造することができない。
【実施例5】
【0173】
この実施例は、Aが波打っておらずBが横方向に波打っている二層A/Bを製造するために、縦方向に配向した層Aの収縮を利用することを説明している。この方法は、ローラー(6a)、(7)、(8)、(9)および(10)が滑らかなローラー(ここでも幾つか同じものが残っている)に交換されそしてローラー(6a)にはフィルムがその上を滑るのを防止するためにゴム製対ローラーを準備する。ゴム被覆したローラー(11)は実施例1におけるものと同じである。即ち、このものは2.0mmのピッチおよび1.0mmのランドの軸方向溝筋を備えている。(この場合には、ゴム被覆されたローラー(11)が平らでありそして連動鋼鉄製ローラーが2.0mmのピッチおよび1.0mmのランドの軸方向溝筋を備えている場合に、同じ効果が達成できる。)
ローラー(6a)および(7)は室温に維持されており、他方ローラー(8)、(9)、(10)および(11)は105℃の積層温度に制御されており、そして層Bを予備加熱しそしてローラー(14aおよびb)によってもたらされるプリーツのためにそれの横方向収縮傾向を実質的に除くローラー(12)の温度は90℃に制御する。
【0174】
両方の層の組成および“図5の方法”の前の冷間延伸は厳密に実施例1におけるのと同じである。実施例1におけるのと同様に層Bの横方向配向は縦方向配向したフィルムの短い長さを一緒に溶着することによって達成される。
【0175】
ローラー(6a)〜(10)、ローラー(12)およびローラー(14aおよびb)は全て同じ周速で運転し、他方ローラー(11)はローラー(10)によって駆動されそして他のローラーは遊ばせる。
【0176】
ローラー(8)、(9)および(10)上で層(A)を加熱することによって、縦収縮する高い傾向が得られるが、対ローラーは(A)をローラー(6a)および(10)にしっかり保持するので収縮は層Bと積層後に行われそして接合は横方向の線状領域に沿ってもたらされるのでこの収縮は層Bに、接合領域同志の間の溝をもたらす“歪み”を引き起こす。これは積層体にカールする傾向を与えるが、その傾向はローラー(13)の僅かに波打った表面のために該ローラー(13)によって実質的に取り除かれる。
【0177】
最終的積層体は縦方向に配向した平らな縦方向配向した層Aと横方向に配向した横方向に溝のある層Bとで構成されている。溝の波長は約1.5mmである。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】図1は本発明の一実施態様の積層体の透視図である。
【図2】図2は層(A)の一つの態様の断面を図示している。
【図3】図3は層(A)の別の一つの態様の断面を図示している。
【図4】図4は、図2に示した製品の作製においてAとBとの積層体にAの小さな溝を形成する段階からの各段階を示す主なスケッチ図である。
【図5】図5は図4に相応する機械ラインのスケッチ図である。
【図6】図6は、層自身がフィルムをどのように積層したものであるかおよびこれらフィルムが同時押出成形によって製作される様にどのように多層化できるかを実証するために、図1を拡大詳細記載している。
【図7】図7は、層A中の接合されていない域の中央によっておよび層B中の接合された波頭によって層Aの溝に平行する区分を示している。
【図8】図8は、層A中の接合されていない域の中央によっておよび層B中の接合された波頭によって層Aの溝に平行する区分を示している。
【図9】図9は、層A中の接合されていない域の中央によっておよび層B中の接合された波頭によって層Aの溝に平行する区分を示している。
【図10】図10は図8の積層位置の変法を図示している。
【図11】図11は、第一および第二の薄くなった領域を製造する方法のフローシートである。
【図12】図12は横方向溝を形成するための溝筋付きの積層用ローラーを詳細に図示している。
【図13】図13は本発明の一つの実施態様を図示している。
【図14】図14は、一緒に作業して図13で図示した穿孔の系を作り出す様に調整されたローラー装置の一区域を示すスケッチである。
【図14a】図14aは、一緒に作業して図13で図示した穿孔の系を作り出す様に調整されたローラー装置の一区域を示すスケッチである。
【符号の説明】
【0179】
1 スポット接合場所
6 第一の薄くなった領域
10 第二の薄くなった領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、比較的に高い降伏強さおよび極限引張強さが要求される用途分野のために熱可塑性ポリマー材料よりなるフィルムの柔軟な積層体およびそれを製造するための方法および装置に関する。特別な観点では、空気の浸透を許すが水の浸透を許さないフィルム積層体、およびフィルター材料としての性質を有する積層体にも関する。用途の例には、ターポリンおよび被覆シート、ポンドライナー(pondliners)、代用のジオテキスタイル、耐候性または気体保護用衣類、温室用フィルム、工業用袋または生ゴミ用袋、キャリヤー袋および自立性小袋、および衛生用品用裏貼りシートがある。
【背景技術】
【0002】
経済的理由で、熱可塑性ポリマー材料で作製された柔軟性フィルムの平方メーター重量を減らすことがますます要求されている。限界は部分的には必要とされる強度特性によってそして部分的には必要とされる自己支持性能、即ち曲げを考慮した剛性および弾性によって設定される。これらの要求は主として熱可塑性ポリマー組成物の選択された開発によってそして強度に関する限りは二軸配向によってもまたは一般に一軸のまたは釣り合いのとれていない二軸配向を示す各フィルムの交差積層によって対処されてきた。強度の観点からの本質的解決は配向および/または交差積層法によって達成できる。
【0003】
それ故に例えば、工業用袋は最も適した品質の押出成形されたポリエチレンフィルムから製造され、25kgのポリエチレン顆粒の包装用のものは標準の強度要求を満足するために0.12〜0.15mmの厚さを一般に有していなければならないが、この厚さは最適に配向されそして交差積層されたポリエチレン製フィルムを使用することによって約0.07mmに薄くすることができる。しかしながらこの交差積層体を公知の方法で製造する時には、フィルムから袋を製造するための幾種かの入手可能な機械および袋に充填するための幾種から入手可能な機械で、この様に薄く軽いフィルムを用いて適当に加工できる。
【0004】
配向および交差積層によって得られる改善された強度特性の他にその幾何学的構造のおかげでもこの点で著しい改善を示す交差積層体が本発明者の特許出願に記載されている(特許文献1参照)。
【0005】
これは、積層体の片側または両側の湾曲した波頭頂部が他の場所よりも厚くなった僅かに波打った形状の交差積層体であり、これらの厚い湾曲した波頭頂部の間の材料は一般にまっすぐになっている。(特許文献1の図1および2参照)。この構造は特別な条件のもとで溝筋付きローラーの幾つかのセットの間で延伸することによって得られる。この延伸は横方向の配向も与える。最終製品の開示された波長は2.2〜3.1mmである。
【0006】
上記特許文献1に従う交差積層体は工業用袋の製造のために、1995年以来、高分子量高密度ポリエチレン(HMWHDPE)および約90gm-2のフィルム重量を有する線状の低密度ポリエチレン(LLDPE)の組合せら工業的に製造されてきた。厚くなった波頭頂部との組合せでの僅かに波打った形状はフィルムの一つの方向に剛性および弾性を付与し、かゝる比較的に薄いフィルムを用いての袋製造機の性能にとって非常に重要であることが実証されている。しかしながら同じ構造であるが、強度要求を満足する70gm-2の寸法を有するフィルムは袋を製造するのには薄ぺら軽すぎる。
【0007】
他の例としては配向したポリエチレンフィルムの70gm-2の交差積層体で製造された(例えば穀類の保護のための)農業用ターポリンは、目標基準だけを適用した場合には、押出成形被覆された織物タープで作製された100gm-2のターポリンに十分に適する代用品になるだろう。しかしながら実際には農業用ターポリンへの平均的顧客は相当に“取扱”および外見を基本として選択しそしてその薄ぺらさのために、物質感に不足があると判断して70gm-2ターポリンを拒絶するでしょう。
【0008】
剛性は勿論、充填物を適当に導入することによって増加させることができる(および本発明は追加的選択枝としてこれを包含する)が、これは穴あけおよび耐引裂伝播性、特に衝撃のもとでの費用が多かれ少なかれ常に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特許文献1 ヨーロッパ特許出願公開(A)0624126号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、印象および一般的な二次元構造の様な見栄えという積層体の特徴を犠牲にすることなく、穴あけおよび耐引裂伝播性に実質的に害を及ぼすことなく、“物質感”を加えそしてあらゆる方向においてフィルムの剛性および弾性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の裏の基本思想は、剛性を構造的に増加させるにもかかわらず上記の条件を満足し得る積層体を得るために、熱可塑性フィルムの積層体に段ボールの原理を適用するが、溝構造が極めて繊細に造られる( 微細溝化する)様に適用することである。2つの異なる層に溝があり、溝方向が互いに十字をなして積層体の全ての方向に剛性および弾性を付与させることが本発明の生成物の本質的特徴である。
【0012】
本発明の更に正確な生成物は請求項1に記載している。各層の溝の波長が5mmより大きくないのが有利である。
【0013】
一方、本発明者は層AおよびBよりなる様な積層体を確認した。その各層は1枚以上のフィルム、一般に押出成形されたフィルムで構成され、そして押出成形された各々のフィルムが幾つかの同時押出成形されたフィルムよりなっていてもよく、一般にそうである。
【0014】
熱可塑性フィルムに段ボールの原理を適用すること自体においては新規ではないが、従来にはこれを溝付きフィルムと平らなフィルムとを積層することによって行なっている。更に、特許文献、即ち米国特許第4132581号明細書、第6欄、66行に開示された非常に繊細な溝構造は1フィート当たり50+/−3本の溝(約6.0mmの波長に相当する)を有する。これより小さい波長は、第一の接合プロセスがベルトによって支持されそして運搬される一列の沢山のシール棒を使用して行われる、この特許明細書に記載された方法で達成できることは非常に疑わしい。シーラー棒は移動方向(機械方向)に対して横切っており、溝付けもこの方向に対して直角をなしている。この方法の用途は板材の製造について説明されており、溝付き層の厚さは約0.004〜0.025インチ(0.10〜0.625mm)であることが記載されている。実施例においてはそれは0.018インチ(0.45mm)である。
【0015】
パネルまたは板材を製造するために熱可塑性フィルムに段ボール原理を使用することを説明する他の特許には米国特許(A)第3682736号明細書、米国特許(A)第3833440号明細書、米国特許(A)第3837973号明細書、ヨーロッパ特許出願公開(A)第0325780号明細書および国際特許出願公開(A)第94/05498号明細書がある。
【0016】
特開平02−052732号には、もう一方の側が紙に接合された平らな熱可塑性フィルムに接合されている波形を付けた熱可塑性フィルムよりなる積層体が開示されている。この紙と平らなシートとは最初に接合され、次いで波形を付したフィルムが加えられている。この場合にも機械方向に対して直角をなす溝が平らに押しつぶされそして間隔を置いて接着して閉じられ、その結果沢山の気密な小胞が形成されている。この製品の記載された用途はクッション材料、防音材料、熱および湿気を隔絶する材料および壁の装飾材料である。波形を付けたシートおよび平らなシートの厚さは記載されていないが、溝の波長も小胞の長さも記載されていない。
【0017】
本発明の発明者は、溝および積層体を製作する歯車付きローラー上のピッチが浅い場合には、波形の形成を行なう場所から接合を行なう場所に通過する間に成形用および積層用ローラーの溝を“飛び出し”てしまうので、微細溝を作成するためにコルゲーター/ラミネーターの特別な構造が必要とされることを見出した。段ボールを製造するための慣用のコルゲーターにおいては、溝筋中に溝付けされた紙を保持するためにトラックまたはシールドが設けられている。周囲温度において、これは紙をより容易に恒久的に成形することを可能とする。改変されてない形の同様のトラックまたはシールドは、トラックまたはシールドに対する摩擦がポリマーの加熱によって速やかに渋滞を生じさせるので、製造条件のもとで熱可塑性フィルムを使用することができない。
【0018】
ローラーの溝筋中に紙の溝を保持すること、即ち、溝筋中に加圧下に制御して保持することによる改善された摩擦なしの方法が米国特許(A)第6139938号明細書から公知である(図9および10および第7欄、第25〜34行参照)。この米国特許明細書は、特に小さい波長の段ボール積層体について専ら論じているが、熱可塑性フィルムよりなる波形を付けた構造物の製造については記載されていない。しかしながら溝に保持する改善された方法は実際にはフィルムの厚みに依存して熱可塑性フィルム中に繊細な溝を適用することができるであろう。このことは本発明の開発との関係で判った。
【0019】
特に微細な溝構造の本発明の開発は、この明細書の全くの冒頭に記載した分野のような全く異なる分野に主に適用できる段ボールの製造を予想させ得る。
【0020】
これは非常に細かいピッチの溝筋付きローラーをベースとする新しい種類の機械装置を開発することを含む。実施例1から判る様に、90gm-2の“微小溝を付けた”2層積層体(各層は約45gm-2)の波長は実際には工業的に実施することができる方法によって1.0mmに小さくすることができる。特に後収縮を使用することによって、恐らく例えば約0.5mmにまで更に小さくすることができる。記載された90gm-2の寸法は、積層体を平らに圧縮した場合には約0.096mmの平均厚さに相当する。
【0021】
本発明はこの値に近い圧縮された平坦物の厚みに相応する寸法に限定されないが、全く一般的に言えば、ほぼ約0.3mmまたはそれ以下である平均厚さの圧縮された状態の微小溝付き積層体を含んでいてもよい。約0.03mmまたはそれどころか更に薄くまで厚みを薄くすることは特別の目的、例えばナプキンの裏バリシート(おむつ)のために行われ得る。
【0022】
本発明は配向したフィルムの交差積層体との関係で使用することに限定されない。色々な目的のために強度特性の色々な組合せが必要とされる。交差積層体は公知の通り、強度特性の幾つかのカテゴリーの適切な組合せで製造できるが、多くの目的にとって別の種類の強度の積層体が、製造プロセスの費用も考慮した場合には有利であり得るし、本発明は以下に更に説明する通り、かゝる別の強度の積層体においても有用であり得る。
【0023】
約5mmまたはそれ以下の低い波長を作ることによって、積層体は波長の減少に連れて徐々に板材料のその特徴を失うが、柔軟性フィルムの様な外観、取扱性および曲げ特性が発現する。その重量に応じて改善された穿孔性および引き裂け性も与えられる。同じ構成および同じ面積重量の波形を付けてない積層体に比較して、このものはあらゆる方向での増加した剛性および弾性のためにおよび体積が増加しているためにより頑丈に感じられる。
【0024】
交差積層体の場合には、異なる層において異なる方向に裂け目が伝播することを許容するので、層間の弱い接合または強力なスポット接合または線状接合がより改善された耐引裂伝播性をもたらす。それによって切欠き効果が低減される。波形を付けた両方の層での交差積層体はスポット接合されているので、波長が短いか長いかに関わりなしに、改善された耐引裂伝播性を示し、微小溝を付けは非常に短い伝播の後に裂けるのを止める。勿論、これが殆どの場合の長所である。しかしながら耐引裂き伝播性のこの改善はスポット接合だけの結果ではなく、各層の溝付けした状態の結果でもあり、これが引裂きの間のその方向の変更またはフィブリル化という有利な可能性を層に与え、それによってエネルギーが吸収される。
【0025】
本発明の積層体を織物または織物様用途に使用する場合には、十字微小溝を有する構造が積層体に折目を付ける時に滑らかにする影響を及ぼすので衣擦れ音を減少させるかまたはより奥深い衣擦れ音を与えるという追加的長所がある。これは、積層体がある種の織物であるという印象を加える。この特徴は人間または動物のための衣類、例えば耐候性保護用衣類または耐ガス性衣類としての用途において特に重要であり、その際に衣擦れ音は幾つかの用途においては苛立ち感および不都合を感じさせる。本発明者の先願特許出願に従うバリヤ層を持つ交差積層体が幾つかの地域で耐ガス保護性衣類のための用途を見出されているが、衣擦れ音のためにライバル会社に対して成功していないことをここに記載しておく。この問題は本発明を使用することによって十分に解決されると信じる。
【0026】
また、十字交差の溝を持つ相互にスポット接合された溝付き層よりなる特別な構造は、織製布よりも少ないが織製布のダイアゴナールと同様の幾つかのダイアゴナールを有する積層体を提供しそして溝の深さおよび弾性係数(E)に非常に依存していることも見出した。この性質は、積層体を被覆するかまたは入れる物体に適合するように積層体の性能を向上させる。微小の溝のために断熱性も繊維製品の様な性質を積層体に与えるのを助ける。
【0027】
本発明の発明者は、本発明の第一の優先日に公開されていない同様に継続中の先願の国際特許出願公開第02−02592号明細書(A)も出願している。両方の発明は近似した関係にあるが、先願の物質クレームは、微小溝のある層が溝のない(平らな)層の片面または両面に積層されているかまたは溝のない(平らな)層が微小溝のある層の片面または両面に積層されている積層体に関する。 これと反対に、本発明では異なった方向の溝を有する二つの溝付き層を波頭頂部と波頭頂部とを例えば層積層によって直接的に互いに接合している。先願の構造は互いに接合された細いパイプ状の溝の様に考えることができるが、本発明のスポット接合された構造はより柔軟であるが弾力性も有する。永久歪みを引き起こすことなくより深く曲げることが可能であり、幾つかの繊維様のダイアゴナールを与える上記の傾向の理由でもある。
【0028】
それぞれ一つの微小溝の層と一つの平らな層とよりなる先願の2つの積層体が互いに直角をなす2つの溝方向を有して、平らな層と一緒に平らな層に接合されている場合には、得られる4層体は本発明のそれと同様な性質を発揮しない。何故ならば2つの溝付き層は波頭頂部と波頭頂部とをスポット接合した配置で直接的に互いに接合されていないからである。中間が平らな層は柔軟性および弾性に反して作用する。
【0029】
本発明においては波頭頂部と波頭頂部とを層積層によって直接的に接合することが、同時押出成形法で形成される少なくとも1つの層の上に低融点の表面層によって行なうのが一般に最も有利である。しかしながら特許請求の範囲に記載した通り、別の薄い接合用フィルムを使用することも可能である。これは、上記の繊維織物様の挙動に害を及ぼさない押出積層によって有利に行なわれる。これは、かゝる方法で押出成形された層積層が、積層体に柔軟性および弾性を与えるダイアゴナールに本質的影響を及ぼさない程に薄いことを前提とする。積合に適合する繊維状ウエッブを用いることも適し得る。
【0030】
良好な状態のために、文献には微小溝を付けた積層体が既に説明されているが、その開示内容は、溝付き層が熱可塑性フィルムでもまたは熱可塑性フィルムの組合せでもない材料よりなる積層体に関するものであり、そして本発明者は、これの他に、熱可塑性よりなるものでも他の如何なる材料よりなるものでもない十字交差配置の2枚の溝付き層についての如何なる開示も見出していない。
【0031】
上述した米国特許第6139938号明細書には、その対象として、通常の段ボールの様に、中間に波形を付けた紙製シートをそして両側に平らな紙製シートを有する3層の紙積層体が開示されているが、1.67〜2.00mmの波長に相当する1メートル当たり500〜600の溝を有している。記載された目的は印刷性の改善である。
【0032】
特開平7−251004号公報は、平らな熱可塑性合成繊維シートが主として活性炭繊維よりなる波形を付けたシートに熱的に接合された吸収用製品に関する。この波形の波長は2.5〜20mmである。
【0033】
特開平8−299385号公報は、溝を付した不織布を熱可塑性フィルムでもよい平坦なシートまたはフィルムの片側に接合されて構成された吸収用積層体に関する。これらの2枚の層の間には水吸収性材料が組み合わされている。波長は3〜50mmであると請求項に記載されており、更に小さいと吸収材料にとって十分な空間がないことが記載されている。この製品はおむつおよびそれの類似の製品である。
【0034】
モノフィルムまたはマルチフィルムで形成された二つの層の本発明の波打った積層体の製造方法は請求項41に規定してある。層の一つの溝が伸びる主方向が他の層の溝が伸びる主方向に対して一般に実質的に直角をなしているのが好ましい。以下の説明から明らかな通り、溝は常に厳密に直線をなしておらず、そしてそれ故に“主方向”という表現を使用している。溝方向の一つは積層の機械方向と実質的に一致しているのが好ましい。
【0035】
層の一つにおける波打った溝構造はこうして、互いに噛み合って運転されるワンセットの溝筋付きローラーによって積層する前に層を捉えることによって一般的な横配向法で実質的に機械方向で達成することができ、その際に各ローラーの溝筋は環状でもまたは螺旋状でもよくそしてローラー軸と少なくとも60°の角度をなしている。
【0036】
この方法では層はその出口から、層に溝を付ける溝筋付き延伸ローラーの一つから溝筋付き積層用ローラーに直接的に通ってもよく、これらの2つの溝筋付きローラーが互いに接近している間に、それぞれの運転温度で測定した時に同じピッチの溝筋を有しておりそして軸方向で互いに調整される。この方法の有利な変法、即ち“薄くなった領域”の導入は後述してある。
【0037】
別の方法では層の一つにおける溝付けした構造は、段ボール製造の時に通例である様に、溝筋がローラー軸と実質的に平行にあるローラーによって機械方向に対して実質的に直角をなしてもたらすことができる。これら二つの方法は一般に組み合わされており、積層の前に一つの層に実質的に縦方向の溝を付与し、そしてもう一方の層に実質的に横方向の溝を付与しており、そして 積層用ローラーが溝を付与し、その際にその一方は実質的に機械方向に溝筋を持ちそしてもう一方はこれと実質的に直角をなす溝筋を持ち、そしてこの方法は予めに形成された一般に長手方向の溝が一つの積層ローラーの一般的に長手方向の溝筋に合わさり、他方予めに形成された横方向の溝が他の積層ローラーの横溝筋に合わさるようにされている。
積層用ローラーの一つは一般にゴムローラーであるべきである。積層後に一つのまたは各層の溝は適当な方向に別の層が収縮することによってより深くされ得る。これは勿論、少なくとも1つの層における、一般にそれの溝の方向と同じ方向での配向に左右される。
【0038】
層の一つに一般的に更に浅く溝を作る簡単な方法では、一つの層だけに積層前に溝をもたらす。両方の積層用ローラーは通常に溝筋を有しており(しかし幾つかの例外は後述する)、一つのローラーは、一つの層で行う溝付けがそれの溝筋にフィットする様に作製されておりそしてもう一方のローラーはその溝筋がこの方向に対して一般に直角をなす様に作製されている。こうして積層体はスポット接合され、そして溝付けされた層がそれの(この方向に配向を有する層に左右される)溝の方向に沿って収縮する実質的に原因になる場合には、この平らな層が縮められて、行った溝付けに対して一般に直角をなす溝を形成する。上述の通り、これが一般に元の平らな層に比較的に浅い溝を生じさせる。
【0039】
層Aの溝と層Bの溝との間に角度は一般に約30°またはそれ以上であるべきであるが、一般に約60°またはそれ以上にするのが有利であり、一般にそれを約90°とするのが最も有利である。
【0040】
積層体における適する寸法および積層用ローラー上の区分は、2つの層の各々における溝の波長が4mmより多くなく、好ましくは3mmより多くなくそして更に好ましくは2mmより多くない。また、2つの層の各々において溝の湾曲した長さが、直線波長よりも平均して少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%長く、該湾曲した長さは、層の両面の間の中間に湾曲がある、接合領域を含め全溝波の切断面の湾曲の長さを意味する。更に、上述の層の少なくとも一つにおいて上記平均が少なくとも15%である。断面寸法はマイクログラフ(micrographs)で測定される。積層用層を層の反対側から加熱することによって積層温度に加熱しそして積層用ローラーの温度および第一の薄くなった領域のフィルムの厚さが積層用層が上記積層温度に達することを許容する程度であり、他方、溝筋付き積層用ローラーの溝頭頂部と接触する薄くなった領域の他側の層の厚さが、薄くなった領域の外側の積層用層が上記積層温度に達しない程度であり、そこでは第一の薄くなった領域および接合領域が一般に一致している。なお更に、溝頭頂部上に積層する溝筋付きローラーのピッチは、最高3.0mm、好ましくは2.0mmより大きくなく、更に好ましくは1.5mmより大きくない。各溝筋付き積層用ローラーの波頭頂部のランドが、溝筋付きの該ローラーのピッチの少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも30%である。なお一層更に、熱可塑性ポリマー材料ような第一の層に溝付けするための溝筋付きローラー、熱可塑性ポリマー材料よりなる第二の層に溝付けするための溝筋付きローラー、一般に第二の層の溝と角度をなして導かれる第一の層の溝と一緒に一つのセットの積層装置の間に個々の溝筋付きローラーからの第一および第二の層を各層が向かい合って接触するような配置で導く手段、第二の層の側面に加熱された多孔質棒状物および第一の層の側面にの、反対の積層用装置を含めた積層用装置のセットよりなる積層装置において、上記の多孔質棒状物が反対の積層装置に対して層を押し付けそして第二の層の溝の波頭頂部で層を接合する熱気の膜を生じさせるのに適合し、溝筋付きの溝付けローラーが、積層体において各層が10mmより小さい波長の溝筋を有しそして層の少なくとも一つの溝が5mmより大きくない波長を有するような溝筋ピッチを有する。
【0041】
図2および3について、請求項4に記載した長さはXからZまでの距離であり、次にAの中間を通る湾曲した 道筋、別のまっすぐな直線の道筋がある。
【0042】
繊維製品の様な用途のためには、溝波長は製造工程の経済も考慮して好ましくは実地においては両方の層においてできるだけ小さくあるべきである。これは一般に約1〜1.5mmを意味し、他方、小さい箱または自立性小袋のような剛性のある製品の用途はのためには、最終製品の外側でありそして場合によっては印刷しなければならない側部において溝波長が同様に小さいのが好ましいが、最終製品の内側である側部では溝波長が比較的に大きくあるべきである。溝波長が約1mmである場合には、印刷品質が無理なく良好であることができる。
【0043】
溝付き層は、一般に室温において配向し得る材料よりなるべきであり、適するポリマーはポリオレフィン類である。しかしながらかゝる性質に特別な利益がない場合には、高い強度があまり必要ないのなら、例えばポリスチレンが、小さい箱または自立性小袋にするのに適する剛性のあるシート材料に適している。
【0044】
層の少なくとも1つはバリヤーフィルム、例えば酸素に対して保護するためのそれまたは既に記載した通り、有害物質、例えばガス状物質に対して保護するためのそれを有していてもよい。
【0045】
溝が積層前に溝筋付きローラーによって形成される場合には、該溝は一様に形成されそして大体一般に直線的に伸びている。しかしながら溝筋が積層後に専ら収縮によって形成される場合には、その形状は平らな層と接触する積層用ローラー中の溝筋の形態および収縮性層の収縮度によって決められる。これは勿論、同じ高さの直線的な形態でもよいが、審美性または興味の持てる視覚的効果を得るためにこの層中の溝の形態は相違していてもよい。このようにたとえ溝が別の層の溝方向と大体直角をなす方向に主に伸びていなければならなくとも、これらの溝はそれにもかかわらず、この層が接触する積層用ローラー(一般にゴムローラー)に溝筋の形態を適切に作製することによって湾曲していてもまたはジグザグでもおよび/または分岐していてもよいし、または名前、文章、ロゴ等を示す視覚的効果を与えるパターンで色々に形成することができる。積層用ローラーのかゝるパターンはゴム立体画法で知られる方法によって作製することができる。
【0046】
完全をきすために、一つの層中の波打った部分的に分岐した溝および部分的に中断した溝が自然に且つ滑らかな積層用ローラーの使用でランダムに形成されていてもよいことも記載しておかなければならない。即ち、接合強度を別の層の収縮の間に部分的な剥離を許容するように適当に調整する場合である。このような表面構造は自然に皺になった肌または皮革の様に見える。マーキング、上記の積層用ローラーの滑らかな部分および適切なパターンの溝筋を付与した部分によって興味ある視覚的効果も達成できる。上記のマーキング、名前、ロゴ等の表示は例えばこの様に作製できる。
【0047】
この様な興味ある視覚的効果および/または繊維製品の様な積層体外観は、二枚の層の少なくとも一方が金属的にまたは玉虫色の光沢を有する時にまたは二枚の層に異なる色を与える場合に強めることができる。
【0048】
最も多い用途のためには、上述の層の各々の厚さが接合された領域および接合されていない領域において一般に同じであるかまたは少なくとも一枚の層が固体の状態の薄くなった領域(以下、いわゆる“部分延伸”によって形成されそして溝方向に対して平行に伸びる“第一の”領域とも言う)を有し、各接合域が主に第一の薄くなった領域内に位置しているのが非常に有利である。ここで各第一の薄くなった領域は、厚さが第一の薄くなった領域内のこの層の最小の厚みと隣接する接合されていない領域内の層の最大の厚みとの平均である位置によって境界を画されていると理解される。上述の通りに位置する第一の固体の状態の薄くなった領域で溝付き積層体を製造する方法は、延伸用ローラーおよび積層用ローラーとの間に厳密な調整を必要とし、これは請求項44〜50、75、81および82に明記されている。
【0049】
この関係では、接合域の厚さに比べて非接合域内の層の実質的薄層化は、勿論、耐曲げ性および弾性にマイナスの影響を及ぼすが、溝付き積層体の製造を一般に容易にする。反対に耐曲げ性は、厚みが一定である状態に比較して、薄くなった領域およびこの薄くなった領域内にそれぞれに接合域がある場合に向上する。層の少なくとも1つの薄くなった領域が、後述する通り、製造方法を容易にもする。固体溶融状態で延伸することによって薄くする間に抗張力が低下し、固体状態で延伸することにより薄くすることが延伸が行なわれる方向での抗張力を増加させることができることを記す。
【0050】
第一の薄くなった領域は図2および3において(6)で示している。これらはここでは、接合された地点によって描かれた区域である図示した区域内の接合領域と殆ど正確に一致するように示されている。しかしながらこれらはこの様に一致している必要がない。何故ならば、各接合領域は主として第一の固体状態の薄くなった領域内に位置していることだけを要件であるからである。それ故に、接合領域は第一の薄くなった領域をある程度飛び出していてもよいしまたは後者が前者から飛び出していてもよい。最後に挙げた場合の関連する領域幅の有利な選択は請求項22に記載されている。
【0051】
勿論、第一の薄くなった領域の非接合領域へのかゝる拡張は 剛性を低下させるが、通常は弾性は低下させない。このことがこの性質を増大させ得るし、繊維製品様の性質に付加し得る。他の条件を適切に選択することで、高い耐引裂伝播性および高い衝撃強度を有する積層体をももたらし得る。
【0052】
少なくとも1枚の層が固体状態の薄くなった領域を提供する場合には、層の第一の薄くなった領域は、かゝる領域の最小の厚さが接合されていない領域における該層の最大の厚さの75%より小さく、好ましくは50%より小さく、特にその最大の厚さの30%より小さい程度に薄くするのが好ましい。
【0053】
接合領域と第一の薄くなった領域を少なくとも1つの層で殆ど正確に一致させる適切な方法は、少なくとも1つの層においてローラー温度を薄くなった領域の厚さに調整し、ローラー温度を薄くなった領域の厚さおよび各層の速度に対して調整し、その様にしてこれらの領域は別の層に対して適切に積層させる温度にされ、他方、各領域の外側のフィルム材料はその厚さのために十分な温度に達しない。一つの条件は、溝筋付き積層ローラーの平らな溝頭が“第一の薄くなった領域”の各々より広く且つ飛び出していることである。これは請求項22、46および77に規定されている。
【0054】
類似の効果は、図4および5との関係で説明する通り、層中の横方向の溝が他の層の収縮によって形成される場合に特別な用途を見出すことができる。かゝる場合には最初に記載した層と直接的に接触する積層用ローラーが、該層が第一の薄くなった領域がもたらしそしてそして方法条件が接合がこれらの領域でのみ行われる様に調整すれば、溝筋を設ける必要がなく滑らかでもよい。更には、図4および5の説明の最後を参照下さい。
【0055】
図5および6の関係では、第一の薄くなった領域は、ローラー8とローラー7との間の噛み合いによって生じる横方向延伸によってローラー8の頂部で形成される。ローラー8の表面形状または他の方法パラメーターが延伸されている層の構成および状態に適切に適合していない場合には、この延伸は延伸された道筋相互の間に延伸されていないかまたは延伸の少ない材料の一緒に対の領域としてもたらす。かゝる場合に、各第一の薄くなった領域は、特許請求の範囲の理解において対の両方の領域とそれらの間の延伸されていないかまたは延伸の少ない路筋の合計よりなると考えるべきである。
【0056】
二枚の層の少なくとも一方の第一の薄くなった領域の他に、かゝる層は固体の状態の薄くなった領域の別のセットをもたらし得る。これを以下では第二のかゝる領域とも称する。これらは隣接する一対の薄くなった領域の間に位置しており、第一の薄くなった領域よりも狭くそして個々の層の接合されていない波頭の上に位置している。これを図3に例示する。これらの第二の薄くなった領域を製造する方法は請求項45に明記しそして装置を請求項76に規定する。
【0057】
第二の薄くなった領域は“ヒンジ”として作用しそしてこれらが狭くかつ、それらが狭くかつ深くなっている場合には、Aの横断面が滑らかな波打ちの代わりにジグザグになり(図3との関係で更に説明する通り)そしてAおよびBがそれによって三角構造を形成するので、剛性を十分に改善する。この第二の薄くなった領域は以下に説明する通り、幾つかの場合に製造方法を実質的に容易にする。
【0058】
第一および第二の薄くなった領域に起因する剛性および弾性の向上(Aの平均的厚さの関連で改善が見られる)に加えて、各域の各セットが衝撃作用に対する弾性、例えば衝撃強度、耐衝撃破裂性および耐衝撃引裂伝播性も多くの場合に向上させる。これは、溝に対して横方向に層を延伸し始めるからであり、この延伸は衝撃作用のもとでしばしば伝播する傾向があり、それによって第一および第二の薄くなった域が衝撃吸収材として作用し得る。
【0059】
接合領域に関して第一の薄くなった領域の適した位置は、積層のための溝筋付きローラーと、“第一の薄くなった領域”を作製する溝筋付き延伸ローラーを適切に釣り合わせることによってもたらされる。
【0060】
上述した第二の薄くなった領域は、第一の薄くなった領域を作製する溝筋付きローラーと適切に釣り合った別のセットの溝筋付きローラーの間で延伸することによって形成できる。
【0061】
製品の性質の意味での、第一と第二の薄くなった領域の長所は既に説明した。方法的構成要件の意味での長所は、接合させるべき層A中の領域がより薄く作製されそしてそれ故に接合させる前の熱の負荷の間に少ない加熱時間しか必要としないので、この第一の薄くなった領域が速度の増加を可能としそしてそれ故に経済的に向上させることである。更に第一の薄くなった領域および特に第一と第二の薄くなった域の組合せが、層Aにおいてヒンジとして作用することによって加工を大いに助け得る。積層用溝筋付きローラーがその軸と一般に平行にある溝筋を持つ種類の装置において、これらのヒンジが、細かい溝筋中に比較的に厚い(heavy)A層すら誘導することを可能とする。溝筋が環状または螺旋状であるがいずれの場合にもローラー軸にほぼ直角をなしている種類の装置においては、ヒンジが溝筋付きローラーから溝筋付きローラーに層Aを通す間、該層Aを進路に保持する助けをし、換言すれば、ヒンジは、溝を同時に横方向延伸しながら形成する溝筋付きローラーの前のセットまたはセット群の作用と、溝筋付き積層ローラーの作用を釣り合わせる助けをする。
【0062】
種々の溝筋付きローラー操作の調整および実施の有利な方法は請求項53〜57にそして装置の請求項81〜84に別に規定してある。
【0063】
各層に使用されるフィルムは、波打った形状を形成する前および第一および第二の薄くなった領域(もしかゝる領域を造る場合には)を作製する前に(上述のことから判る通り)通例に且つ必ずしもそうでなく一つまたは二つの方向に配向を与え、その際に各層中の配向の得られる主要方向が溝の方向となる様に選択される方向に一般にある。これは強い溶融配向によって、または好ましくは、場合によってはまたは追加的に公知の延伸操作によって固体状態で実施することができる。この方法を溝が機械方向と一般に平行となる様に調整する場合には、これは、簡単である一般的な縦方向配向法であり、そしてこの方法を溝が機械方向と一般に直角となる様に溝を作るのに調整する場合には、設定することが更に複雑でありそして一般に多大な経費のかゝる装置を必要とする一般的な横方向配向法である。
【0064】
1つまたは両方の層を更に正確に表現しようとするならば、第一の薄くなった領域が存在する場合に該第一の薄くなった領域の外側はその溝の方向に平行する方向にまたは溝と近い方向に主として分子配向される。(配向の主要方向は収縮試験によって知ることができる。)
こうして本発明者の判断では、最も重要な実施態様における本発明の生成物は、各層の溝の方向と一般に一致する各層の主要配向方向を有する積層体である。一つまたは二つの層が幾つ枚かのフィルムで構成されている場合には、主として溝の方向と平行する方向に主としてある上述の配向は異なって方向付けられていてもよい上記フィルムにおいて異なる一軸または二軸配向の結果物であると理解するべきである。
【0065】
例として、層Aが配向および機械方向に伸びる溝を有する単一の同時押出成形したフィルムよりなり、他方、層Bがそれの溝が機械方向に対して直角をなして伸びている二枚のフィルムの積層体であり、各々が機械方向に対して実質的に45°より大きい角度(例えば一方が+60°でもう一方が−60°である)で配向している。これらの斜め配向したフィルムの各々は、例えばヨーロッパ特許出願公開(A)第0624126号明細書および英国特許出願公開(A)第1526722号明細書(両方とも前記した)に記載される様に、縦方向に配向方向を有するチューブ状フィルムを螺旋状に切断して得ることができ、そしてヨーロッパ特許出願公開(A)第0426702号明細書に更に詳細に記載されている。後者の明細書には一軸のまたは機械方向に対して直角をなす、すなわち押出ダイスを出るチューブ状フィルムを捻じり、次いで計算された角度で螺旋状に切断することによって得られる強く不均一な溶融配向を得る方法を開示している。
【0066】
それ自身が交差積層体である層は溝を作製する方法段階の前に、好ましくは低融点の同時押出成形された表面層による積層の前に積層体として製造するのが有利である。
【0067】
単一の同時押出成形された縦方向に配向したフィルムの代わりに同様に層Aはそれ自身が二枚のフィルムの交差積層体でもよく、主要方向に対して実質的に45°より小さい(例えば一方が+30°でそしてもう一方が−30°である)角度で各々配向しておりそして螺旋状切断によって各々製造されている。これらの二枚のフィルムは、それらの接合後に機械方向である方向に更に延伸してもよい。勿論、これは層Aとして同時押出成形された長手配向したフィルムを単に用いるのよりも複雑であるが、耐引裂強度および耐衝撃穴あけ強度における本質的向上をもたらし得る。
【0068】
本発明の積層体の非常に驚くべき性質は、(シーリングの剪断試験と全く異なって)シーリングを剥離によって試験した時、特に衝撃試験した時に、改善されたヒートシール強度である。シーリングの境界が鋭い刃をしたシーリング棒の代わりにヒートシーリングにおいて通例である様な著しく滑らかなシーリング棒でシーリングするならば、溝の形状の結果はシールの境界の所に細かく平らな“ポケット”を形成して非常に顕著な衝撃吸収効果を示し、衝撃的剥離の間にシールを保護することである。
【0069】
本発明の用途は主として強力なフィルムについてであるが、これはあらゆる方向において常に平均的な高い強度を必要としていない。それに比べて、例えば袋の構造では関心のまとが確実な耐衝撃穴あけ強度および耐引裂伝播性と一緒に一つの方向における強度にあるべき場合がある。例としては90%のLDPEと10%のLLDPEとのブレンドから造られている0.160mmの膜厚を有する慣用の工業用袋は一般にその縦方向において20Ncm-1の降伏力、即ち12.5Mpaの降伏張力を示しそしてその横方向において16Ncm-1の降伏力、即ち10.0Mpaの降伏張力を示す。
【0070】
本発明者によって開発されそして上記のヨーロッパ特許出願公開第0624126号明細書に従って製造された、ヒートシーリング可能な袋のための平均0.086mmの厚さの市販の交差積層フィルムは、その最も強い方向において20Ncm-1の降伏力、即ち23Mpaの降伏張力を示しそしてそれの最も弱い方向において17Ncm-1の降伏力、即ち20Mpaの降伏張力を示す。
【0071】
本発明の重視点が強靱性、感触および外観にあるにも係わらず、本発明は原則として、比較的に強い強度が要求される用途のための柔軟性のある積層体に関するものであるので、積層体の最も強い方向における積層体の降伏張力は一般に15MPaより小さくなく、好ましくは25MPaより小さくてはならない。対応して極限抗張力は通例には上に示した値の約2倍またはそれ以上である。ここで交差区域(mm2 )は、エアースペースを含まない固体材料だけをベースとしており、これは層Aが薄くなった域を持つことを考慮にいれて、平均である。ここに記載した降伏張力は500%/分の延伸速度での引張り試験に関する。これらはひずみ/応力グラフからもたらされる。これらのグラフはフックの法則に従って直線的に始まるが、変形に未だ弾性があるので通常では線形から速やかに導き出せる。原則として降伏張力は変形が恒久的になる張力であるべきであるが、速度に依存するこの臨界値は実際に測定することが不可能である。降伏張力を実際に測定しそして本発明の請求項との関係において測定されたものを考慮するやり方は以下の通りである:
張力が相対的に極大に達した場合には、連続的延伸下に一定のままであるかまたは減少し、後者では破断が発生するまで再び増加し、張力の相対的極大は降伏張力であることが考慮される。サンプルはこの点で破断されてもよく、その時、降伏張力は極限抗張力に等しい。しかしながらこの張力が連続的延伸と共に増加し続けるが、更に低下するのに連れて延伸百分率当たりの張力が増加する場合には、その時に降伏後にひずみ/応力がカーブしそして実地において直線になった後に、延伸のフックの法則部分を表す線と交差する様に後方に外挿される。2つの線の間での交差点の張力が降伏張力と定義される。
【0072】
本発明の一つの実施態様は、層の少なくとも1つがポリマー材料の選択によってまたは混入される充填物によってまたは配向によって非接合域内で溝の方向に平行に、上に説明した様に測定した時に、30Nmm-2=30MPa(層Aだけの横断面)より小さくなく、好ましくは50MPaより小さくなくそして更に好ましくは75MPaより小さくない平均降伏張力を示すことを特徴とする。
【0073】
交差積層体よりも簡単に製造できそして多くの目的にとってなお高い強度の積層体と見なすことができる積層体構造の例には、Aと言う一つの層がその溝方向と一般に一致する主な配向方向(これは主に機械方向でもまたは主に該機械方向に対して垂直をなしていてもよい)を有する非常に不釣り合いに一軸または二軸配向しており、他方、層BはAの配向方向に対して一般に直角をなす主要配向方向を示すことなしに二軸配向しており、その結果それの第一の薄くなった領域(もしかゝる領域が存在する場合)の外側での配向が該第一の薄くなった領域(もしかゝる領域が存在する場合)の外側の同じ方向におけるAの平均配向よりも高度である本発明の積層体がある。層Bは単に強くブロー成形されたフィルムでもよい。
【0074】
幾つかの場合には、色々な方向において異なる弾性を有するという長所を有しそしてかゝる場合には該材料はBがAよりも小さい弾性係数を持つ様に選択してもよい。その際にこれらの弾性係数はAの溝方向と直角をなす方向で測定する。
【0075】
興味の持てる特別な場合、例えば非常に高い所から落とすのに持ちこたえるべき袋のためには、Bの材料およびAの溝の深さの選択は、Aの溝の方向に対して垂直をなす方向で且つAの波打ちが消える点までの積層体の延伸によって、Bが如何なる重大な可塑変形をすることがなく、好ましくはBが熱可塑性エラストマーとして選択されるようにする。Aはこの場合には溝と平行方向で配向されているかまたはこれに近くてもよい(第一の薄くなった領域での配向は無視される)。
【0076】
特に冒頭から明らかな通り、本発明は幾つかの全く異なる用途分野で使用することが期待でき、剛性が最も重要な要求事項である用途、例えば自立性小袋の用途もある。請求項30はかゝる用途のために選択される剛性を明記している。
【0077】
片方または両方の層の溝の幾つかまたは全てが間隔をおいて平らにされていてもよいし、溝の二つの配列が閉じたポケットを形成するように接合場所でそれぞれ全幅に亙って接合されているのが好ましい。沢山の相互に隣接する溝または全ての溝の平らにされた場所は、通常は列をなしているべきである。この平坦化は最終生成物において急激な曲げ部の予備成形として役立ち得る。例えば自立性小袋の作製を助けまたは防水シートの曲げ折り返し縁部を作製するのを助ける。閉じられたポケットは、以下に説明する本発明の“カプセル化/配路化の観点”の目的のために作製してもよい。
【0078】
カプセル化/配路化の観点は、種々の実際的目的のために積層体の内部空洞を場合によっては適当な穿孔と組合せて液体または空気の流れを導くかまたは粒子、繊維、フィラメントまたは液体の状態の充填材料をカプセルに包みこむのに利用する沢山の実施態様を包含する。後者は例えば柔軟性のある積層体中に包みこまれる物品を保存することができる。これらの種々の実施態様および幾つかのその用途は請求項31〜39の物品から明らかであり、これらの物品を製造する方法は請求項60〜66から明らかでありそして装置は請求項85〜87に規定してある。細かい配路またはポケットに保存剤を入れるのに使用する本発明の実施態様は、フィルムの形状に押出成形するべきポリマーとかゝる剤とをブレンドする通例の方法よりも明らかに有利である。一つの長所は、保存剤の濃度を更に高くすることができる点であり、もう一つの長所は保存剤が押出成形温度に耐えねばならない必要がない点である。保存剤は保存すべき対象物に浸透によってだけ達することができるし、または該剤が固体である場合にはそれが徐々に蒸発しそして十分に細い穿孔または多孔質の孔を通って拡散することができる。
【0079】
包装物の内側に位置する小さな袋内に保存剤を含有するのも通例である。この保護方法に比べて、本発明は保存剤を包装材料の全面積に亙ってほぼ均一に分布させることができるという長所を有している。
【0080】
請求項34に記載した濾材は沢山の潜在的用途を有している。例えばジオテキスタイル(請求項39)として、また例えば化学工業における水処理におよびガスマスクにおいて使用可能である。
【0081】
溝によって形成されたチャンネル内での毛管効果を使用する請求項35の積層体は、水を止める効果と空気を通す効果との釣り合いを最適化できるので、同じ目的のための微小多孔質フィルムよりも改善されている。この用途には特に裏地、好ましくはおむつのそれまたは
建築物の湿気防止用および“呼吸可能な”袋用のそれがある。しかしながら他の目的、例えば水性懸濁物のための濾材の製造のために、反対に、溝によって形成されたチャンネルまたはポケットの少なくとも内側表面に親水性を付与することもできる。これはこれらの表面を形成するポリマー材料の選択によって達成できるかまたは表面処理によって、例えば押し付けることによってまたは穿孔およびチャンネルの上記のシステムを通して片側の面からもう一方の側の面にコロナ処理した空気を吸引することによって達成することができる。
【0082】
例えばポリオレフィンから作られた溝の疎水性は、部分的に親水性の添加物、例えば帯電防止剤がまたは顔料のための分散剤が移動するために徐々に低減し得る。この様な添加物を避けることができる場合には、この効果は、移動することができそして親水性物質と競合する少量の明らかに疎水性の油、例えばパラフィン油を添加することによって相殺することができる。
【0083】
層AとBとの間に形成されるチャンネルの疎水性または親水性および/またはチャンネル系の濾過能力はAおよびBの間に積層体を挿入することによっておよび両層に、積層前にフィルムを周知の手段によって微小繊維化処理に委ねて細かい繊維ネットワークをもたらす細かい繊維状ウエブ、例えば各層を同時押出成形して表面に接合したフィルム、を接合することによって向上させることができる。このウエブは、層AおよびBの両方にヒートシーリングできる低融点ポリマーから作られた溶融ブロー形成繊維の目の細かいウエブであるのが有利でもある。
【0084】
請求項64および65に記載する通り、溶融によって穿孔を作製する特別な方法は、積層体の両側の面の波頭頂部が突き出ているので熱いローラー部分が一方の層に穴を安全にかつもう一方の層に害を及ぼすことなしに形成し得るので、簡単で且つ実地において実現可能である。これは迅速な方法でもある。更なる詳細は実施例4に示されている。
【0085】
請求項66に記載する通り、溶融穴あけ法で溶融される材料を請求項36に記載の毛羽状物(nap)を形成するために引きずってもよい。この場合には、引きずり毛羽立てする熱いローラーと接触する面は該ローラーに十分に貼り付くポリマー材料、例えばイオノマー/エチレン−コポリマーよりなる。これは例えば繊維製品のフィーリングを与えるナプキンまたは手術の間に患者を覆うシートでもよい。装置は請求項88〜91に規定している。
【0086】
高温で穿孔を開ける代替手段としては特に実施例4に記載する様に、該溝を作製する間に、溝を形成する幾つかの歯車上の列をなすニップ(tips)を使用することによって各層の溝に突き出た“突起”を与えてもよく、そしてこれらの突き出た“突起”の頂部は積層後に連続的に“剃り”取ってもよい。この方法でも両方の層を貫通する穴は避けることができる。
【0087】
積層体の溝は袋に滑り防止性を与えるために使用することもできる。充填された袋を積み重ねて置く場合には、これらの袋は各袋をその直ぐ下にある袋の縦方向と直角をなして縦方向が置かれる様に主として配置する。この積み重ね配置に合わせて、本発明の積層体で作製された袋は、その二つの主要な面の一つの溝が他の主要な面の溝と直角をなすように構成するのが有利であり得る。
【0088】
本発明の別の態様においては、両方の層の一方または両方が、積層用ローラーへの送りを請求項67〜73に提起するように行った場合には平らである。この方法の例は以下に実施例5で説明する。
【0089】
この方法を実施するのに適する装置は請求項92〜96に記載する。
【0090】
今度は本発明を図面を引用して更に詳細に説明する。
【0091】
図1は本発明の積層体の透視図であり、それぞれに溝を付けた二つの層(A)および(B)を図示しており、二つの層中の溝の方向は互いに交差しており、ここでは通例の様に互いに直角をなす場合である。層(A)の一部は構造を良く見えるように除去されている。二つの層は破線で示した領域(1)の所でスポット溶着によって接合されている。
【0092】
図2および3は層(A)の2種類の異なる構造で表される断面を図示している。この断面は、Aの波頭頂部にスポット溶着で接合されているBの波頭によって示しており、そしてそれ故にBのこの波打った構造はこれらの図面には見られない。
【0093】
図4は、図2に示した製品の作製においてAとBとの積層体にAの小さなみ溝を形成する段階からの各段階を示す主なスケッチであり、種々の段階がAおよびBの断面およびローラーの表面の断面(ローラーの軸を通しての断面)によって表している。
【0094】
図5は図4に相応する機械ラインのスケッチである。B中での溝形成はここでは専ら積層後にAの収縮によって行われる。
【0095】
図6は、これらの層自身がフィルムをどのように積層したものであるかおよびこれらフィルムが同時押出成形によって製作される様にどのように多層化できるかを実証するために、図1を拡大詳細記載している。これは接合および積層を容易にする。
【0096】
図7、8および9は、層A中の接合されていない域の中央によっておよび層B中の接合された波頭によって(それ故にB上の波形は見ることができない)層Aの溝に平行する区分を示しており、層Aと層Bとの間に形成されるチャンネルおよびポケットが小さい容器として使用されるかまたは空気または水の流れを導くために、即ち図7において保護剤のためにミニ容器として、図8においては濾過のためにそして図9においては耐候性のために使用されるという本発明の用途を図示している。
【0097】
図10は図8の積層位置の変法を示しており、この場合には積層前に溝に粒子状物質を充填する充填装置が加えられておりそして積層後に横断シールを形成するためのシーリング装置が加えられ、それによって粒子状物質のミニポケットとして役立つ閉じられたポケットが形成される。
【0098】
図11は、第一および第二の薄くなった領域(これらの表現は規定した通りである)を製造する方法のフローシートであり、その際に横方向に配向したBにおいて横方向溝を形成しそしてBをAと積層する。この層Aは図4および5に示した様に作製された溝が予備形成されている。
【0099】
図12は横方向溝を形成するための溝筋付きの積層用ローラーを詳細に示しており、その際に噴射空気が溝筋中に層を導くために使用されそして該層を溝筋中に止まらせるために減圧が使用される。
【0100】
図13は本発明の実施態様を図示するための図1の変形であり、この場合には第一の表面に第一セットの穴がそして他の面に第二セットの穴があり、それによって二つのセットの穴の位置が互いにずらされており、その結果第一の表面の穴を通過する液体が他の面から出て行く前にチャンネル系を通り抜ける。このチャンネル系は例えば疎水性であってもよい。
【0101】
図14および14aは、一緒に作業して図13で図示した穿孔の系を作り出す様に調整された2つのローラー装置の一区域を示すスケッチである。これらのローラーはスパイク(205) および (202) を有しそしてポリマー材料の融点より上で運転される。図14は機械方向に直角をなす溝に穿孔を明けるためにそして図14aは機械方向に従う溝に穿孔を明けるためにある。
【発明を実施するための形態】
【0102】
図2および3を引用して明瞭にするために、以下および請求項において触れた波長はXからZまでの直線距離であることを記載する。この距離は通常約5mm以下でありそして実施例3から明らかな通り、本発明者は0.8mm位に小さくつくることもできるが、これは可能でそして有用である、必ずしも究極的な下限ではない。米国特許第5,441,691(Dobrin等) は通例の環状形態のふくらみを持つエンボス加工フィルム (非熱溶着接合されていない積層体) を開示しており、中心から中心まで0.8mmより更に狭くともよい間隔を有しているが、本発明と反対にこの米国特許のふくらみ部はフィルムの主要部よりも薄く引き延ばされている。
【0103】
溝が機械方向と平行に作製されている場合には、溝の形成および積層は好ましくは図4および5に示す様に一般に実施される。このことは互いに噛み合う溝筋付きローラー間で横方向の延伸が常にあることを意味している。フィルムを非常に細かい溝筋付きローラーの間で延伸する場合には、延伸の全部または主要部が溝筋の頂点およびその近くに局所化する傾向が強い。これは、前の工程である程度横方向に延伸されたフィルムを使用しそしてそのフィルムをローラーの温度よりも高い温度でローラーに供給することによって、困難ではあるが回避することができる。
【0104】
しかしながら図1、2および3に示した積層構造物においては、溝筋付きローラーでの延伸で得られる厚みの相違を、製品の性質にとって重要である様に利用されてきた。延伸するための溝筋付きローラー、すなわち積層のための溝筋付きローラーとそれらの間の溝筋付き送りローラーとの相互間を正確に記録することによって、各接合域は薄くなった域内に主にあるように配置される。図3から判る通り、接合の各域のための薄くなった域の2つのセット、すなわち接合域に当たる一連の比較的広い域(“第一の薄くなった域”)(6)および“第二の薄くなった域”と称される短い接合域のセット(101)があり得る。
【0105】
層Bに接合される基部で層Aを薄くすることによって、Aの厚みはいずれの場合にもそれの剛性への寄与が重要でない場所で最小にされる。“ヒンジ”として作用する狭い“第二の薄くなった域”を導入することによって、図3に示すように断面が殆ど三角形になる。これは、剛性が更に向上されることを意味している。これらの薄くなった域は、衝撃作用のもとで破裂されるよりもむしろ延伸する傾向を材料中に導入する。このコンセプトを明らかにするために、第一の薄くなった各域(6)は規定によると、矢印によって示す様な層Aの厚みがこの領域内の最も薄い厚みと隣接する非接合域の最も厚い厚みとの間の平均である場所(102)によって境を画している。
【0106】
図1、2および3に示す様な“第一の薄くなった域”を持つ構造および図3に示す様な“第一および第二の薄くなった域”の両方を持つ構造は横方向に溝を造る機械で製造することもできる。これは後で説明する。
【0107】
図6において層AおよびBの両方はそれら自身が積層体、例えば交差積層体であり、各層が作製されるそれぞれのフィルムは同時押出成形される。それ故にAおよびBはAをBに積層する前に積層法によってそれぞれ形成される(“予備積層”)。層(1a)はAを造る同時押出成形された2枚のフィルムの中の主要層であり、そして層(2)はBを造る同時押出成形された2枚のフィルムの中の主要層である。層(1a)および(2)は例えば高密度ポリエチレン(好ましくはHMWHDPE)またはアイソタクチック−またはシンジオタクチック−ポリプロピレン(PP)またはこれらのポリマーの1種類とより柔軟性のあるポリマー、例えばHMWHDPE、LLDPEとのブレンドであってもよい。剛性が小さい溝を付けた積層体の最も有利な性質である場合には、普通のHMWHDPEまたはPPを選択してもよいが、もし引裂または破裂性が重要でありおよび/または卓越したヒートシール性が重要である場合には、上記のブレンドがより適している。
【0108】
層(3)は、完成された積層体のヒートシール性を向上させおよび/またはその機能的性質を変更する機能を有する同時押出成形された表面層である。層(4)は同時押出成形された2つの機能を有する表面層である(“ラミネート層”)。すなわち、a)予備積層を容易にする機能およびb)接合強度を制御する機能(交差積層体においては接合が強過ぎるべきでなく、もしそうでないと引裂伝播強度が損なわれる)。
【0109】
同様に層(5)は、A全体とB全体との積層を容易にしそしてAとBとの間の接合強度を制御する同時押出成形された表面層である。
【0110】
図4および図5に関しては図2に示した構造は、薄くなるべきラインに主に沿って加熱する溝筋付き予備加熱ローラー(6a)上を最初にフィルム(A)を通し、次いで溝筋付き延伸ローラー(7)および(8)上を通し、更に溝筋付き送り溝安定化ローラー(9)上をおよび最後に溝筋付き積層ローラー(10)、および軸溝筋を付けるゴム被覆された対ローラー(11)上を通し、他方フィルム(B)は低い張力のもとで滑らかなローラー(12)および(11)の上を通すことによって形成することができる。積層体は積層ローラー(10)からローラー(13)の上に取り去られ、非常に僅かな湾曲を有する表面形状が軸領域に認められる。この形状の目的は次の通りに説明される。ゴムローラーを除く上記の全ての溝筋付きローラーの溝筋は環状であり、その結果Aの溝が機械方向で形成される。これらのローラーは全て温度制御されたローラーであり、ローラー(9)、(10)、(11)および(12)は積層温度に制御されており、ローラー(6a)、(8)および(13)は幾分か低い温度にそしてローラー(7)は約20または30℃の温度に制御されている。(Bを予備加熱するために別のローラーがあってもよい。)。適当な同時押出成形された表面層を選択することによって(図6の(5)参照)、積層温度は(A)および(B)の主要層の溶融温度より遥かに下に維持される。ゴム被覆されたローラー(11)は(熱い空気または赤外線によって)内側からの加熱と外側から加熱との組み合わせで加熱されるのが好ましい。図2に触れると、ローラー(7)と(8)との間を横方向延伸する間の(A)中の領域(6)の温度は好ましくは未だ低く、例えば約50〜70℃の範囲にありそして(A)の残りは記載したローラー温度からも判る通り、更に低く、例えば室温付近である。もし(A)および(B)中の主要層が普通のHDPEまたはHDPEとLLDPEとのブレンドである場合には、積層温度は好ましくは約80℃〜110℃の間で選択し、そしてエチレンの適当な普通のポリマーまたはブレンドコポリマーよりなる同時押出成形された各積層層をこの温度で積層製造するために選択する。
【0111】
層Aは図4および5に示したプロセスより以前に、積層処理温度に加熱した時に収縮傾向、例えば10〜25%の収縮を付与する条件のもとで縦方向に配向される。層Bでの溝の形成は層Aのかゝる収縮をベースとしている。
【0112】
層Bはこのプロセスより以前に横方向に配向される。それ故に同様に収縮傾向を有する。この収縮は、正確に取り扱わない場合にはこのプロセスをだいなしにしてしまうであろう。図面においては、収縮を相殺するのに十分なプリーツ付けを層Bに付与する溝筋付きローラー(14a)および(14b)によって行ないそしてこのために正確に調整される。このことは、熱いローラー(12)の上で層Bがその幅全体にわたって、プリーツを完全に除くのに丁度十分である程度に収縮することを意味する。これらの溝筋付きローラーは、高ピッチを有し(実施例1参照)、横方向延伸なしにプリーツを設け、室温で作動しそしてフィルム中の張力を殆ど増すことのない理想的ローラーである。
【0113】
ローラー(8)上の波頭頂部は非常に小さな曲率半径、例えば約0.07mm、または同様に狭いランド(land)を有している。予備加熱する機能を持つローラー(6a)の波頭頂部はフィルムに依存して、半円状に近いかまたは幾分か大きい半円状であるかあるいは僅かに幅広のランドを有している。ローラー(7)と(9)の波頭頂部は、これら波頭頂部での横方向延伸を避けるために、比較的大きな曲率半径を有している。溝の大きさの適する値は実施例1において後述する。
【0114】
異なる溝筋付きローラー毎の異なる温度は、全てが室温である状態に比較して異なる熱膨張を引き起し、そして運転の間に互いに正確に適合させなければならないので、溝筋付きローラーを製作する時にこのことを考慮しなければならない。(10cmの長いスチール製ローラー・セグメントを10℃加熱することがこのセグメントを約0.12mmの膨張を引き起こす。)。値については実施例で再び言及する。
【0115】
ローラー(6a)、(7)、(8)、(9)、(10)、(12)および(11)は駆動され、他方ローラー(13)、(14a)および(14b)は遊んでいてもよい。
【0116】
図2から判る通り、領域(6)のAの薄膜化はAの主要部分の溶融範囲より実質的に下の温度での横方向配向によって殆ど完全に行なわれる。それ故にこの薄膜化はAの横方向強度のどんな重大な弱体化ももたらすことがなく、反対にしばしばこの強度を向上させる原因になる。ローラー(8)の波頭頂部で横方向延伸した後に、第一の薄くなった領域(6)の幅は好ましくは(親指で計った結果として)波長の半分を超えるべきではないが、接合されていない領域における層Aが該Aの選択された平方メーター重量と同じ厚さになることを許容しそして溝ができるだけ高くなるという結果を意図して、延伸の程度は一般に実際的に得ることができるのと同様の高さであるべきであり、他方第一の薄くなった領域の間の横方向延伸の程度は一般に実際的に得ることができるのと同様に低くあるべきである。しかしながら実施例1におけるのと同様にAにおける収縮性をあてにする場合には、ローラー(9)での層Aの加熱が接合されていない領域での厚みを減少させそして相応して溝の深さを増加させる傾向のある張力の原因となる。
【0117】
縦方向に配向したA−層を使用することがAにおいて“ネック・ダウン(neck down)”する傾向を付与し,そしてAをローラー(8)上で横方向に延伸した時に薄い縦線を形成する。
【0118】
それ故に縦方向に配向したA層は強く薄くされた領域(6)と該領域相互の間の薄くされていない層Aとの間に形状の相違を与える可能性を高めるであろう。
【0119】
層Aが辿るローラー(6a)〜(10)のラインは一般に同じ円周速度で回転するべきである。それ故に加熱およびAの縦方向配向は、環状に溝筋を設けた熱い積層用ローラー(10)とゴム被覆された軸方向に溝筋を設けた熱い積層用ローラー(11)との間のニップ(nip)でB層と積層した時に、むしろ高い縦方向張力を層Aに付与するであろう。ローラー(13)は遊んでおり、積層体は積層が行われるこのニップを通過した時におよび熱い積層用ローラー(10)上に未だ存在する間にこのローラーから低い張力で取り出され、層Aは徐々に収縮するであろう。ローラー(13)はローラー(10)に接触することなくローラー(10)に近づき、それによってAの細い溝は収縮の間にそれの溝筋に残りそして該収縮は整然と行われて、Bに規則的な溝を作り出す。
【0120】
ローラー(13)は最終積層体における横方向でカールする傾向を妨害するかまたは除く働きもする。この傾向は主として層Aの収縮および層Bのこれに対する抵抗力によって発生する張力のためである。積層体は上記の通り熱いローラーであるローラー(13)に従うが、反対に曲げられ、それによって“収縮差”の作用を相殺する。更に(13)の表面は、粗く且つ非常に浅い縦方向に延びる波形溝を持つ積層体を付与する非常に浅い環状溝筋模様を提供してもよく、この波形溝がカールする傾向を完全に除くことができる。この波形溝は例えば0.5〜5mmの深さおよび波長は深さの約10〜20倍を有していてもよい。積層体は低い張力のもとでローラー(13)を離れる間に空気冷却される。場合によってはこの冷却の前に、積層体を熱い空気で加熱された炉に通す間に更に収縮する段階を配置してもよい。
【0121】
図4および5に示したある変法は、第二の薄くなった領域を持つ図3の積層体を製造するために使用できる。この目的のためにはローラー(6a)はローラー(7)と同じプロフィールおよび同じ低い温度を持つべきであり、そしてローラー(8)と同じ表面プロフィールを持つローラーと僅かに噛み合う状態で進めるべきであり、その際にそのローラーはローラー(8)と同じ比較的高い温度を有しているべきである。
【0122】
図4および5に示したラインの他の変法では、ゴム被覆された積層ローラー(11)は溝筋を有しておらず滑らかであり、そして層Bはローラー(15a)および(15b)に入る前に機械方向に部分的に延伸されて、機械方向に対して直角に“第一の薄くなった領域”を与える。ローラー(12)および(11)の温度は、これらの領域の厚さ、およびこれらの領域の温度が良好な接合に十分となり、他方これらの領域以外では不十分なままである様な層速度に調整させる。
【0123】
図4および5の関係で説明した方法においてゴムローラー(11)の技術的な等価物(上に直接的には説明した方法でない)には、軸方向溝筋 を付与しそしてゴムローラーと同様に加熱された微小多孔質材料よりなるローラーがある。このローラーにはよく知られたやり方で熱い圧縮空気が供給され、ローラーの波頭頂部と層Bとの間が接触するのを防止する薄い空気膜を形成するが、ゴムローラーと同様の積層圧を与える。この空気摩擦ローラーはゴムローラーの様に摩り減ることがないという長所がある。
【0124】
第一の薄くなった領域が適切に適合した加熱と一緒に存在する時にはローラー(11)と交換してもよい滑らかなゴムローラーは、回転する必要のない加熱された空気摩擦体に同様に交換することができる。その表面はローラー(10)と同心であってもよく、それによって特に高い積層速度が達成できる。
【0125】
上記の通り層Aの溝の縦断面を示す図7では、両方の層は平らにされ間隔(103)をおいて互いにシールされて、ポケットまたは“ミニ容器”を形成しそしてこれらミニ容器に積層体の使用目的、例えば充填されるかまたは層Bで覆われる物質の保護のために粒状物質(104)が充填される。多くの選択の内の一つとして該粒子は酸素補足剤であってもよい。物質の作用を向上させるために、溝は充填された製品に対して側部に穿孔を与えてもよい。この物質は例えば結晶水を有するCaCl2 の様な防炎剤であてもよいしまたは積層体の嵩密度を高めるために微細な砂であってもよい。
【0126】
以下に説明する図10は、層Bと積層する前に層Aの溝の中に粒状物質をどの様に供給できるかおよびこれらの横方向シールを決して本質的に汚染することなく、溝が積層後に横方向シーリングによってどの様に閉じてポケットとできるかを示している。
【0127】
溝付き熱可塑性フィルムと溝なし熱可性フィルムとの間の、充填物を含有する積層体は特開平7−276547号公報(Hino Masahito)から公知である。しかしながらこの場合には充填材料が中断なく溝から溝に延びている (吸収のための) 連続した多孔質シートであり、その結果溝付きシートと溝なしフィルムとの間に直接的な接合がない。熱可塑性フィルムの一枚は最初にこの多孔質の( 例えば繊維で形成された) シートの中に直接的に押出成型され、次いで2枚を一緒に、熱可塑性フィルムがまだ溶融している間にギヤ付きローラーの間で溝付き形状を与え、そして最後に第二の熱可塑性フィルムを溝付き組立部材の上に直接的に押出成型して多孔質のシートと接合する。これによって接合は必然的に非常に弱くなければならず、そして機械的性質は本発明の製品のそれと全く相違しているに違いない。溝の波長が記載されていない。
【0128】
図8に示す液体流またはガス流のための工業的フィルター材料において、Aの各溝中にストランドまたはヤーンを挿入し(図10の説明に関連して、どの様にそれを行なうかが説明されている)そして両方の層には一連の穿孔、即ち層A中の(106)と層B中の(107)が設けられている。これらの穿孔列は、示す通り、互に位置がずれており、積層体の一方の面から他方の面に通る液体またはガスが、その位置のずれに相応する距離にわたってチャンネルを辿ることを強制される。ヤーンとチャンネルとの間の適合性は積層工程の後での層Aおよび/またはBの収縮によって改善され得る。
【0129】
図7に示したポケット構造は、層Aおよび層Bが交互に位置をずらした孔が設けられている場合には、濾過の目的にも使用することもできる。次いで粒状物質(104)は例えば活性炭またはイオン交換樹脂または簡単な濾過目的のための微細な砂で構成されていてもよい。この場合にも収縮による出口(passage) の締めつけが有利であり得るかまたは重要でさえある。
【0130】
かゝるフィルター材料を使用する実際的な例には、有毒な物質の吸収を含めた空気濾過システムおよびイオン交換法がある。これら両方の場合には積層体が、それを通過する流れに対して横方向にゆっくりと進む長いウエブの形を有していてもよい。
【0131】
他の実際的用途には例えば道路構造物のためのジオテキスタイルの代替物がある。かゝるテキスタイルは水が浸透するが細かな粒子を止めることを可能としなければならない。本発明の積層体、例えばポケットに細かい砂が充填されたものはこの用途に適している。
【0132】
かゝる濾過目的のためには、高い衝撃穴あけ強度がしばしば必要とされ、そして次にこの積層体は配向した交差積層フィルムよりなるのが有利である。
【0133】
耐候性積層体は図9に、ポケット構造も持つ例えばレインコートについて示されている、それによると層Aは(103)の位置で横方向シールによって層Bにヒートシールされているが、ポケットには粒状物質が存在していない。濾過のための積層体と同様に、ポケットの各ラインには位置をずらした系に穿孔が与えられているが、ここではAの穿孔の群(109)およびBの同様な群(110)として示されそしてこれらの群は互いに位置をずらして設けられている。このスケッチにおいては層Aが雨が降る側にありそして人、動物、または積層体が保護すべきものは層Bの側に存在する。(これは逆であってもよい)。矢印(108)で示される方が上を向いていることが考えられる。穿孔(109)はポケットの底にあるので、重力のためにポケットの底だけが雨水で満たされ得るが、他方、一般に水は穿孔(110)にとどかない。もう一方においては、孔の群(109)と(110)との間を自由に空気および蒸気が通過する。両側にポケットおよび穿孔が設けられた本発明の積層体、特に各ポケットのの境界近くに穿孔を設けたものは他の重要な用途も見つかっており、例えば疎水性であれば、海で漏れた油膜を吸い取るのにも適すると考えられる。
【0134】
図10に示す、図5の機械ラインの改良ラインは、AとBとの間に形成されるチャンネルに粒状物質(104)が充填するのに適合している。この充填はここでは非常に概略的に示されている。粉末(104)はホッパー(111)から取り出され、調整可能な震盪装置(図示してない)によって供給されている。該粉末は溝筋付き積層ローラー(10)の上側で溝付き層A中に落とされる。規則的な時間間隔でホッパー(111)には粉末(104)が充填される。これのための手段は記載してない。ローラー(10)上の層Aへ粉末(104)を供給する他の慣用のシステムも勿論選択してもよい。
【0135】
ローラー(10)は振動させられ(図示していない)て、比較的に高い領域から、即ち(10)と(11)のニップにおいて層AがBと会う時に、接合領域になる領域から、“チャンネル”になる比較的に低い領域に粉末を移動される。
【0136】
積層用ロ−ラー(10)、(11)およびローラー(13)を離れた時に、チャンネルに粉末(104)を有するA+B積層体は歯車付きローラー(113)(その表面は詳細な部分図で示してある)、および一緒に平らにされそして横方向シールすることによってチャンネルを閉じるゴム被覆された対ローラー(114)の方に移動する。ローラー(113)は平らにされそしてシールされるチャンネル部分から粉末を移動させるために震盪させられる。
【0137】
ローラー(113)および(114)の両方はシーリングのために必要とされる温度に加熱されそして、積層体はこれらのローラーに入る間に前の温度のためにヒートシールにほぼ適する温度近くにあるので、この第二のヒートシール工程は全工程を減速する理由にならない。
【0138】
図8に示した製品を造るためには、ローラー(113)および(114)は省かれるかまたは機能を取り除かれていてもよくそして層A中に粉末を供給する代わりに同じ場所で各溝中にヤーンを横たえてもよい。各ヤーンは別のリールから取り入れられる。
【0139】
ローラー(10)/(11)の後の幾つかの段階で層Bは横方向収縮を受けてもよい。Bが収縮する間に末端で積層体を保持する必要があり得る。これは通例の幅出し枠によって行うが、後者は逆に作業するようにセットアップして幅を増加させる代わりに徐々に減少させるべきである。
【0140】
フローシート図11から判る横方向で予備的に溝付けされた層Bをつくる方法は、図4および5との関係で説明された方法と一般的に同様であり、溝筋付きローラーのプロフィールも、図11の方法のためには溝筋が軸方向に延びているが図4および5の方法のためにはそれらが環状であることを除いて一般的に類似していてもよい。
【0141】
第1段階:
積層温度では張力なしで製造されそして次に再び冷却される横方向に配向した層Bは、ローラー(8)のプロフィールに類似するプロフィールを持つ熱いローラーのニプに位置する非常に狭い領域で縦方向に延伸される。冷たい溝筋付き対ローラーはローラー(7)のプロフィールと同様なプロフィールを有している。
【0142】
第2段階:
延伸された熱い“第二の薄くされた領域”をローラー(7)のプロフィールと同様なプロフィールを持つ溝筋付きの冷たいローラーで冷却する。次いで“第二の薄くされた領域”の間に“第一の薄くされた領域”を形成するために、層Aをこの冷たいローラーと、ローラー(8)のプロフィールに類似するプロフィールを持つ熱い溝筋付きローラとの間で縦方向延伸する。延伸はこのローラーのニップの所に限定される。印刷技術での記録と同様にして第2段階は延伸された領域を場合によっては見つける装置を使用して第1段階と一緒に記録する。
【0143】
第3段階:
溝を最初に、ローラー(10)のプロフィールと類似のプロフィールを持つ熱いゴム被覆ローラーの溝筋で例えば圧縮空気を使用して形成し、そして溝筋中に例えば図12との関係で全て説明した通りに減圧の使用下に保持しそして次いで層Bをこの溝筋付きゴムローラーの波頭頂部と加熱されている環状溝筋付きスチール製ローラーとの間で層Aと積層する。層Aは予備加熱されそして図4および5に示した方法で既に溝が設けられている。
【0144】
以下で説明する様に、処理後に相違があり、特に片方または両方の方向での後収縮に相違がある。
【0145】
図12において、非常に横方向の狭い“第二の薄くされた領域”(101)が最初に設けられそして次に横が幾らか幅広の“第一の薄くされた領域”(6)を設けた層Bを、加熱された積層ローラーの溝筋(115)中に、1つ(116)だけ示されている一連のノズルからの圧縮空気によって導く。記録手段を使用することによって領域(6)または(101)の光学検出に基づく作業をする時、第一の薄くされた領域(6)が溝筋付きローラーの波頭頂部(118)を被う様に配置する。薄くなった領域のこれら2つのセットはヒンジとして作用し、その結果相当に重い層Bを曲げることができるし、溝を造ることができる。該溝はローラーの内側からチャンネル(117)を通して負荷される減圧の使用下に溝筋中で形状を保持する。こうして層Bは溝筋付きローラーと環状に溝筋のある対ローラーとの間のニップ(図示してない)のために溝形状にされ、そこで積層が行われる。二つのローラーの一つ、好ましくはBを送るローラーはゴム被覆されている。溝筋での減圧は、それが必要とされる時に層Aがしっかり保持されるが、必要とされる場所で離すことができる様に調整される。離す間に減圧を排除するために、溝筋付きローラー内部にバルブを配置してもよい。
【0146】
図12も、幾つかの変法があり、例えばフローシート図11の段階1および/または2の代替手段として、新しい種類の部分延伸によって機械方向に対し横方向に第一および/または第二の薄くなった領域(8)および(101)を作製する方法を説明することができることを記す。この目的のために、図4および5のローラー(8)と同様に作用する(ただし横方向延伸領域を作製する)ローラーをローラー(8)と同様に加熱すべきでありそして、波頭頂部に接触または近づく材料に延伸を局所的に集中するために、該ローラー(8)と同様に比較的に“鋭い”波頭頂部(例えば曲率半径0.7mm)を有している。更にノズル(116)から圧縮空気を単に付与するのを、数バールの空気圧を供給するために、“ホーバークラフト”空気枕に交換し、ローラーの溝頭頂部上で層を延伸することができる。特別な環境のもとでは、1気圧以下の圧力差で十分な場合には、減圧によってローラーの波頭頂部上で層を延伸することも可能である。減圧はチャンネル(117)を通してもたらす。
【0147】
図13において、穴(106)は片側の一連の穴を示しており、そして穴(107)は積層体のもう一方の側の一連の穴を示しており、そして両方の穴の群は互いにずれて設けられており、その結果穴(106)により一方の側に入る気体または液体物質の流れは分けられそして、流れが穴(107)に達する前に二つの溝のセットによって形成されるチャンネルに流れそして積層体のもう一方の側に出る。これによってチャンネル壁の疎水性または親水性がこの明細書の一般的説明部分で説明した様に有利に利用できる。
【0148】
図13は互いにずれている穴を示しているだけであるので単純化した説明であり、穴から穴への4つだけの波長の通路合計は即ち一般に通路合計で約3〜10mmである。実際には、図14および14aの関係で説明する通り、“ツイン”または“トリプレット”の穴を造るのがより有利であるし、また幾らか長い通路合計を作製することも有利である。本発明のこの実施態様は幾つかの重要な用途を見つけることが期待できる高い規則性の全く新しい種類のポロシティーを提供している。
【0149】
図14および14aはオリエンテーション以外同じである、僅かに突き出た平らなスパイク、即ち図14の(205)および図14aの(202)である。例えばねじ込まれているスパイクを含めたローラーのこの金属部分(201)をポリマー材料の溶融範囲を十分に超えている温度に加熱する。ローラー表面を、ここでは小さな板(203)として示した断熱材料、例えばポリ(テトラフルオロエチレン)(テフロン(登録商標))で造られていてもよいもので覆う。スパイク当たりにこのような板が一枚存在し、そしてスパイクによって金属表面に固定されている。平らなスパイクの末端はDTFE板の外側面から1mmより少なく突出しており、その結果積層体の外側に突き通ることなく積層体の一方の側で溝に触れることができる。
【0150】
積層体はローラーと同じまたは殆ど同じ速度で短い間隔を置いて随行する。穴を広げるために両者の速度に非常に僅かな差があってもよい。積層体をカットしまたは溶融して穴を開けるスパイクの方に押し付けるそして同時にこの加工段階で孔を開けるべきでない層を保護するために、パイプ(204)中の孔を通して積層体の方に噴射空気を吹き付ける。スパイク(202)および(205)は環方向および軸方向の両方の列の形態で配置されており、パイプ中の孔(204)は環方向の各列と一致しているので、空気圧および冷却効果は最も必要とされる所で最高となる。
【0151】
図14中のスパイクは図14a中のそれと同じ形状、即ち二つの図を一緒に対比した時に見えてくる楔形に成形された形状を有していてもよい。この形の末端部は両方の場合とも溝の方向に対して直角をなしてカットされておりそしてこの末端の長さは溝の大きさの有利にも二倍または三倍に相当してもよく、“ツイン”または“トリプレット”の穴が作製される。
【0152】
ローラーが積層体に接触する領域の外側で、室温の空気をPTFE製小板に吹き付けて、その表面をポリマー材料の溶融範囲より下の温度に保つ(この手段は図示していない)。
【実施例1】
【0153】
縦方向に配向した溝付き層Aと横方向に配向した溝付き層Bの層Aおよび層Bの二層積層体を、図4および5に示す様な構造を持つパイロットプラントで製造する。両方の層は、片側に95〜105℃の融点範囲を持つエチレンコポリマーよりなる薄い層を持つ、HDPEよりなる同時押出成形され冷間延伸された0.037mmの厚さのフィルムよりなる。これを方法工程において積層用層として使用した。冷間延伸はほぼ室温で約3:1の延伸比で実施しそして次いで熱安定化し(全て慣用の手段による)、そして他方フィルムは平らなチューブ状形態を有している。このチューブを縦方向に切り、層Aを形成する。
【0154】
横方向に配向したフィルムの連続製造方法は熟知されており、前に記載したが、発明者にとってその説明に従ってかゝるフィルムを製造することは実際には混乱をもたらした。それ故に層Aのフィルムの短い長さを端と端で熱シール処理して、横方向配向したウエブを形成した。
【0155】
溝筋付きローラーの全ては実際に使用された温度で1.1000mmのピッチを有するが、延伸/積層工程の間の大きい温度差のために、これらローラーを下記表の様に20℃で機械にかける場合、熱膨張を考慮するべきである。表から明らかな通り、ローラー間の最も大きな温度差は85℃であり、これはローラー長さ10cm当たり約0.10mmの膨張に相当し、他方、ローラーの端から端まで隣接ローラー間を合せる時に累積されるエラーを、必要とされる記録を得るために0.10mmより少なく維持しなければならない。
【0156】
以下の表は図4 の軸方向区域で判る通り、曲率半径(R)および各溝筋付きローラーの波頭頂部上の“ランド(land)”の長さをmmで示している。
【0157】
Bの予備加熱および安定化(収縮)のためのローラー(12)は90℃に加熱した。
【0158】
勿論、溝筋から溝筋にそれぞれに見られるローラー(6a)〜(10)のピッチにおいてかゝる高い正確さを達成することは実質的に可能ではないが、ピッチのエラーが0.05mmよりも多きく累積しないことが重要である。これは、表面部分が各セグメントから造られておりそして累積されたエラーがセグメント末端を精密研磨することによっておよび/または薄いシム(ホイル)をセグメント間に挿入することによって除かれた場合に、最も良好に達成される。実際のパイロットプラントにおいては各ローラー表面の溝筋付き部分の長さは約450mmでありそして3つのセグメントで組み合わされている。工業機械においてはローラーが約5mまでの長さで造ることができるが、その場合に末端から末端への精度をレーザー測定でチェックしそして説明した通り調整することで判断する。
【0159】
Aにおける溝形成のためのベースでありそして“第一の薄くなった領域”(ベースとなるが、積層体中の溝の波頭頂部でない領域)を形成する横方向延伸の主要部分は、ローラー(7)と(8)との間の噛み合いによって行いそしてローラー(8)の波頭頂部上およびその近傍である領域に位置することになる。これは、ローラー(8)が熱くそして比較的に鮮明な波頭頂部を持つが、ローラー(7)は冷たくそしてより丸みのある溝頭頂部を有する(比較的に高い曲率半径R)からである。この関係においても層Aが機械方向に一軸配向されておりそしてそれ故に“首折れ(neck-down) ”傾向が高くそして横方向延伸した時に鮮明に境界を画する薄くなった領域を形成することが問題とされる。
【0160】
ローラー(6a)の機能はローラー(8)の頂部上で延伸すべき領域を予備加熱することができる。この実施例においてはローラー(6a)の波頭頂部の“ランド”はローラー(8)の波頭頂部の直径よりも広い。これはフィルム中における非常に強められた“首折れ”傾向を防止するために、換言すれば“第一の薄くされた領域”の境界をより滑らかにするために選択される。他の場合には、例えば層Aが強められた横方向配向を有しそしてそれ故に横方向延伸によって“首折れ”傾向をなくした場合には、フィルムを予備加熱するローラー(6a)の波頭頂部上の“ランド”はローラー(8)の波頭頂部上の“ランド”よりも広くないようにするべきである。
【0161】
ローラー(6a)と(7)との間には、フィルムを延伸することなしにしわを避けるために僅かであるが、殆ど0の噛み合いがある。
【0162】
横延伸ローラー(8)を離れた時に、層Aは送りローラー(9)によって取られる。これは延伸されていない領域に溝を形造るのを助けるために、記載した高い温度を有する。この段階において第一の薄くされた領域は未だ深く曲げられるが、(A)が溝筋付き積層ローラー(10)上の平らな0.4mmの幅の波頭頂部(ランド)によって取られた時に、第一の薄くされた領域は厚みが徐々に増加するその境界を除いてそれの全幅にわたって殆ど平らにされる。ゴム被覆された対ローラーは他の加熱されたローラーと同様に循環水によってそれの内側から加熱されそして更に表面を105℃の温度を保つために熱気で外側から加熱する。
【0163】
実験を行う前に溝筋付きローラーの軸位置を互いに非常に注意深く調整しそして隣り合う溝筋付きローラー相互の間で噛み合わせる。ローラー(7)と(8)との間の噛み合わせは、完成積層体の断面で顕微鏡で測定した時に溝の深さ0.40mmにするようにセットする。既に記載した通り、ローラー(6a)と(7)との間の噛み合いは殆ど0にセットする。ローラー(8)と(9)とのおよびローラー(9)と(10)との噛み合いは正確に0にセットする。深い溝筋付きローラー(14a)および(14b)のピッチは10mmである。それらの噛み合いは、層Bの最終状態において如何なるシワもプリーツも生じさせることなしに、機械方向に対して直角をなす方向において層Bの最大収縮を許容するようにセットする。
【0164】
ローラー(6a)〜(10)、ローラー(12)およびローラー(14aおよびb)は全て同じ周速で運転し、他方ローラー(11)はローラー(10)によって駆動されそして他のローラーは遊ばせる。
【0165】
ローラー(8)、(9)および(10)上で層Aを加熱することによって、縦収縮する高い傾向が得られるが、ローラー(10)と(11)との間のニップを通過するまで幅出しされた状態を維持しそしてそれによって層(B)にスポット積層されるようになる。次いでローラー(10)上にまだある間に、それの収縮を発現させそして層(13)を撓ませ、それの溝を形成する。
【0166】
遊んでいる取り出しローラー(13)は断熱表面を有しており、その結果積層体はこのローラー上で未だある程度成形可能である。ローラー表面は僅かに波打っており、即ち軸断面に目に見える波打ちがあり、10mmの波長および1.0mmの深さを有する湾曲形を有する。これが積層体がカールする傾向を実質的に除いている。
【0167】
ローラー(13)を低い張力のもとで離れる際に積層体を空気冷却する。測定により、層Aが積層段階の後に20%収縮しそして層Bが相応して撓むことが判った。これらの溝の高さは0.5mmと測定された。
【実施例2】
【0168】
実施例1の操作を、ゴム被覆された積層用ローラー上の軸方向溝筋の部分を0.5mmのランドで2.0mmから1.0mmに変えて繰り返した。この場合もAの収縮によってBに溝が生じる。これらの溝の高さは0.25mmと測定される。
【実施例3】
【0169】
実施例1に説明した様に生成されたフィルムを115℃に空気加熱し、層Aの溝に平行な端部をクランプの間に固定する。しかしながらこれらクランプは層Bが自由に収縮するのを許容するようにセットしてある。これによって層A中の波長は0.8mmに減少する。
【実施例4】
【0170】
実施例1の積層体を図14および14aとの関係で説明した操作に委ねるが、穿孔のための二つのローラーはたった約400mmの長さであり且つ短期間の実験のために作製したので、この構造を簡略化することが可能であった。スパイク(202)および(205)を形成した楔は各ローラーの鋼鉄製スリーブ(201)と一緒に一つの部材として作製した。更に沢山のテフロン(登録商標)製板を二成分系エポキシバインダーで単に被覆することによって代用した。楔で形成したスパイクの端部は被覆よりも0.2mm延び出している。この端部の長さは5mmである。端部の温度は約150℃でありそしてエポキシ被覆面の温度は約120℃である。スパイクから4つの隣のスパイクの各々までの距離は、端部の中央から端部の中央までを測定して40mmである。
【0171】
積層体はその片側に初めに孔を穿ち、穿孔の最初のパターンを形成し、次いで第二の別の方法段階で別の側に穿孔の第二のパターンを形成する。この第二の方法段階の間に、穿孔の第二のパターンが第一のパターンと正しく適合するように手動で制御し、二つのパターンの間の位置のずれを最大とする。(勿論、実際の製造においては第二の群の穿孔は第一の群の穿孔と一列に実施するべきである。)
両側で互いに位置をずらしての穿孔のパターンを有する積層体は小さな袋に変形されそしてその袋には約10cm水が充填される。該袋は水平に一直線の底を保持する枠セットに懸垂されそして水を滴り落とすことができる。
【0172】
水は、水面が底部の上方20mmに位置するまで滴り続け、達した時に水の滴り落ちが停止する。積層体中の細かい毛管状チャンネルはその繊細さと疎水性のために20mmの水圧に耐えることができると推定できる。冒頭に記載した出願人の継続中の国際特許出願公開第02102592にも積層体が記載されており、その積層体は層Aが波打っておりそして層Bが平らであり、溝が同様に細かい場合には類似の性質を示し、穿孔が同様に配置されておりそして材料が同様に疎水性である。しかしながらその場合には層B(平らな層)中の穿孔は同様に全く実際的やり方で製造することができない。
【実施例5】
【0173】
この実施例は、Aが波打っておらずBが横方向に波打っている二層A/Bを製造するために、縦方向に配向した層Aの収縮を利用することを説明している。この方法は、ローラー(6a)、(7)、(8)、(9)および(10)が滑らかなローラー(ここでも幾つか同じものが残っている)に交換されそしてローラー(6a)にはフィルムがその上を滑るのを防止するためにゴム製対ローラーを準備する。ゴム被覆したローラー(11)は実施例1におけるものと同じである。即ち、このものは2.0mmのピッチおよび1.0mmのランドの軸方向溝筋を備えている。(この場合には、ゴム被覆されたローラー(11)が平らでありそして連動鋼鉄製ローラーが2.0mmのピッチおよび1.0mmのランドの軸方向溝筋を備えている場合に、同じ効果が達成できる。)
ローラー(6a)および(7)は室温に維持されており、他方ローラー(8)、(9)、(10)および(11)は105℃の積層温度に制御されており、そして層Bを予備加熱しそしてローラー(14aおよびb)によってもたらされるプリーツのためにそれの横方向収縮傾向を実質的に除くローラー(12)の温度は90℃に制御する。
【0174】
両方の層の組成および“図5の方法”の前の冷間延伸は厳密に実施例1におけるのと同じである。実施例1におけるのと同様に層Bの横方向配向は縦方向配向したフィルムの短い長さを一緒に溶着することによって達成される。
【0175】
ローラー(6a)〜(10)、ローラー(12)およびローラー(14aおよびb)は全て同じ周速で運転し、他方ローラー(11)はローラー(10)によって駆動されそして他のローラーは遊ばせる。
【0176】
ローラー(8)、(9)および(10)上で層(A)を加熱することによって、縦収縮する高い傾向が得られるが、対ローラーは(A)をローラー(6a)および(10)にしっかり保持するので収縮は層Bと積層後に行われそして接合は横方向の線状領域に沿ってもたらされるのでこの収縮は層Bに、接合領域同志の間の溝をもたらす“歪み”を引き起こす。これは積層体にカールする傾向を与えるが、その傾向はローラー(13)の僅かに波打った表面のために該ローラー(13)によって実質的に取り除かれる。
【0177】
最終的積層体は縦方向に配向した平らな縦方向配向した層Aと横方向に配向した横方向に溝のある層Bとで構成されている。溝の波長は約1.5mmである。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】図1は本発明の一実施態様の積層体の透視図である。
【図2】図2は層(A)の一つの態様の断面を図示している。
【図3】図3は層(A)の別の一つの態様の断面を図示している。
【図4】図4は、図2に示した製品の作製においてAとBとの積層体にAの小さな溝を形成する段階からの各段階を示す主なスケッチ図である。
【図5】図5は図4に相応する機械ラインのスケッチ図である。
【図6】図6は、層自身がフィルムをどのように積層したものであるかおよびこれらフィルムが同時押出成形によって製作される様にどのように多層化できるかを実証するために、図1を拡大詳細記載している。
【図7】図7は、層A中の接合されていない域の中央によっておよび層B中の接合された波頭によって層Aの溝に平行する区分を示している。
【図8】図8は、層A中の接合されていない域の中央によっておよび層B中の接合された波頭によって層Aの溝に平行する区分を示している。
【図9】図9は、層A中の接合されていない域の中央によっておよび層B中の接合された波頭によって層Aの溝に平行する区分を示している。
【図10】図10は図8の積層位置の変法を図示している。
【図11】図11は、第一および第二の薄くなった領域を製造する方法のフローシートである。
【図12】図12は横方向溝を形成するための溝筋付きの積層用ローラーを詳細に図示している。
【図13】図13は本発明の一つの実施態様を図示している。
【図14】図14は、一緒に作業して図13で図示した穿孔の系を作り出す様に調整されたローラー装置の一区域を示すスケッチである。
【図14a】図14aは、一緒に作業して図13で図示した穿孔の系を作り出す様に調整されたローラー装置の一区域を示すスケッチである。
【符号の説明】
【0179】
1 スポット接合場所
6 第一の薄くなった領域
10 第二の薄くなった領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の層と第二の層との積層体を製造する方法であって、両方の層が主として配向可能な熱可塑性ポリマー材料よりなりそして各々が、接合用の積層用層を含む一面を有し、その方法では、積層させる前に、第一の層を積層の機械方向に主として延伸することによって配向してその方向に収縮可能になり、他方、第二の層を積層の機械方向の横方向に延伸することによって配向し、その間、第二の層の積層の機械方向における収縮可能性は、積層する前に回避されるか又は排除され、積層は、2つの層の積層用層を互いに直接接触させそして熱および圧力を適用することによって行われ、そして積層手段を、それにより積層の機械方向に一般に直角をなす方向に延在する連続するまたは不連続な直線的な線で配置された接合領域への接合を制限するように適応させ、そして積層が第一の層を固体状態でその収縮方向に収縮させた後に、それにより第二の層の非接合領域は曲がりそして該収縮方向に直角をなす方向に延在する溝を形成する、積層体を製造する方法。
【請求項2】
第一の層と第二の層との積層体を製造する方法であって、両方の層が主として配向可能な熱可塑性ポリマー材料よりなりそして各々が積層用層を含む一つの面を有し、第一および第二の層が、熱および圧力が適用される積層用手段の対の間で互いに直接に接触する積層用層との関係で向かい合って連続して供給され、それによって積層用層が互いに接合され、その際に第二の層は機械方向を主として横切る方向で配向しておりそしてその配向を横切る方向では固体状態で一般に収縮不可能であり、そして積層用手段の前に、機械方向と直角をなして第一の薄くなった領域を導入するためにその機械方向において区分的に延伸され、積層用手段にそのまま供給される時に第一の層は機械方向と一般に平行である収縮方向において主として熱収縮可能であり、積層手段が第二の層に面する側に、反対の積層用手段に対して層を押し付けるために熱い空気の膜を形成するのに適合する加熱された平面ローラーまたは加熱された多孔質の棒状物を含み、該反対側の積層装置はローラーでも同様な棒状物でもよく、機械の速度および適応する積層用温度の温度は積層温度に第一の薄くなった領域の積層用層を加熱するが積層温度に隣接する薄くされていない領域では積層用層を加熱しないように適合しており、それによって接合が薄くなった領域においてだけ行われ、そして積層後に、第一の層を上記収縮方向において固体または半固体状態で収縮させ、それによって第二の層が、上記収縮方向に直角をなして延在しそして最高で約5mmの波長を有する溝を形成する、積層体を製造する方法。
【請求項3】
上記波長が最高で約3mm、好ましくは最高で2mm、一層好ましくは最高で1mm以下である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第一の層を製造プロセスを通して実質的に平らに保つ請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
第一の層に、積層前に波を供し、その波長が最高で約5mm、好ましくは最高で約3mm、一層好ましくは最高で2mm、最も好ましくは最高で1mm以下でありそして積層領域が波打った第一の層の一方の側の波頭頂部にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
僅かに波打った表面の取り出しローラー(13)を使用することによって、積層体それ全体の上に縦方向の波打ちを備えてそれの横方向の周りにカールする傾向を排除する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
上述の直線的線が不連続でありそして隣接する線における不連続性が収縮方向で並んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
積層場所と向かい合った関係にある、熱可塑性ポリマー材料の第一の層および第二の層を連続して導く手段、積層ローラーであって、積層ローラーの間に溝付けされた第一層および第二の層の溝の波頭頂部の間の積層領域に熱および圧力を適用し、それにより層を互いに接合させる溝の波頭頂部に沿った連続したまたは不連続の直線で延在する接合領域を形成するものを含み、更に、接合された製品の第一の層をそれの熱収縮温度に加熱しそして収縮することを可能にする熱収縮場所を含み、接合領域を、第一の層の収縮時に第二の層が溝付けされることになるを可能にし、溝の波長は5mmよりも小さい、積層装置。
【請求項9】
第二の層を実質的に平らなウエブとして積層場所に供給する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
積層場所が一対の溝筋付きローラーを含み、溝筋付きローラーの間に熱および圧力を積層のために適用し、第一の層と接触する積層用ローラーの溝筋が円形でありかつ運転条件の下にあり、第一の層のための溝付けローラーの円形溝筋と同じピッチを有しており、そして第二の層と接触する積層用ローラーの溝筋を機械方向への角度をなし、好ましくはこれら溝筋と実質的に直角をなして配置する、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
積層場所が、溝筋付き積層用ローラーおよび実質的に滑らかな対ローラーを含み、それらの間に、第一の層と接触する溝筋付き積層用ローラーによって積層するために熱および圧力を適用し;溝筋付き積層用ローラーの溝筋が互いに平行しておりそして運転条件のもとで、第一の層のための溝付けローラーの溝筋と同じピッチを有している、請求項8または9に記載の装置。
【請求項12】
第二の層が固体状態で場所で部分的に延伸されて第一の層の溝の方向と角度をなす、好ましくは直角をなす方向に延伸する第一の薄くなった領域を生じる、第二の層の延伸場所を含み、その際に実質的に滑らかな積層用ローラーが、第一の薄くなった領域で第二の層の反対面を加熱して積層温度とするが隣接領域はかゝる温度に達しない温度にする、請求項11に記載の装置。
【請求項1】
第一の層と第二の層との積層体を製造する方法であって、両方の層が主として配向可能な熱可塑性ポリマー材料よりなりそして各々が、接合用の積層用層を含む一面を有し、その方法では、積層させる前に、第一の層を積層の機械方向に主として延伸することによって配向してその方向に収縮可能になり、他方、第二の層を積層の機械方向の横方向に延伸することによって配向し、その間、第二の層の積層の機械方向における収縮可能性は、積層する前に回避されるか又は排除され、積層は、2つの層の積層用層を互いに直接接触させそして熱および圧力を適用することによって行われ、そして積層手段を、それにより積層の機械方向に一般に直角をなす方向に延在する連続するまたは不連続な直線的な線で配置された接合領域への接合を制限するように適応させ、そして積層が第一の層を固体状態でその収縮方向に収縮させた後に、それにより第二の層の非接合領域は曲がりそして該収縮方向に直角をなす方向に延在する溝を形成する、積層体を製造する方法。
【請求項2】
第一の層と第二の層との積層体を製造する方法であって、両方の層が主として配向可能な熱可塑性ポリマー材料よりなりそして各々が積層用層を含む一つの面を有し、第一および第二の層が、熱および圧力が適用される積層用手段の対の間で互いに直接に接触する積層用層との関係で向かい合って連続して供給され、それによって積層用層が互いに接合され、その際に第二の層は機械方向を主として横切る方向で配向しておりそしてその配向を横切る方向では固体状態で一般に収縮不可能であり、そして積層用手段の前に、機械方向と直角をなして第一の薄くなった領域を導入するためにその機械方向において区分的に延伸され、積層用手段にそのまま供給される時に第一の層は機械方向と一般に平行である収縮方向において主として熱収縮可能であり、積層手段が第二の層に面する側に、反対の積層用手段に対して層を押し付けるために熱い空気の膜を形成するのに適合する加熱された平面ローラーまたは加熱された多孔質の棒状物を含み、該反対側の積層装置はローラーでも同様な棒状物でもよく、機械の速度および適応する積層用温度の温度は積層温度に第一の薄くなった領域の積層用層を加熱するが積層温度に隣接する薄くされていない領域では積層用層を加熱しないように適合しており、それによって接合が薄くなった領域においてだけ行われ、そして積層後に、第一の層を上記収縮方向において固体または半固体状態で収縮させ、それによって第二の層が、上記収縮方向に直角をなして延在しそして最高で約5mmの波長を有する溝を形成する、積層体を製造する方法。
【請求項3】
上記波長が最高で約3mm、好ましくは最高で2mm、一層好ましくは最高で1mm以下である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第一の層を製造プロセスを通して実質的に平らに保つ請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
第一の層に、積層前に波を供し、その波長が最高で約5mm、好ましくは最高で約3mm、一層好ましくは最高で2mm、最も好ましくは最高で1mm以下でありそして積層領域が波打った第一の層の一方の側の波頭頂部にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
僅かに波打った表面の取り出しローラー(13)を使用することによって、積層体それ全体の上に縦方向の波打ちを備えてそれの横方向の周りにカールする傾向を排除する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
上述の直線的線が不連続でありそして隣接する線における不連続性が収縮方向で並んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
積層場所と向かい合った関係にある、熱可塑性ポリマー材料の第一の層および第二の層を連続して導く手段、積層ローラーであって、積層ローラーの間に溝付けされた第一層および第二の層の溝の波頭頂部の間の積層領域に熱および圧力を適用し、それにより層を互いに接合させる溝の波頭頂部に沿った連続したまたは不連続の直線で延在する接合領域を形成するものを含み、更に、接合された製品の第一の層をそれの熱収縮温度に加熱しそして収縮することを可能にする熱収縮場所を含み、接合領域を、第一の層の収縮時に第二の層が溝付けされることになるを可能にし、溝の波長は5mmよりも小さい、積層装置。
【請求項9】
第二の層を実質的に平らなウエブとして積層場所に供給する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
積層場所が一対の溝筋付きローラーを含み、溝筋付きローラーの間に熱および圧力を積層のために適用し、第一の層と接触する積層用ローラーの溝筋が円形でありかつ運転条件の下にあり、第一の層のための溝付けローラーの円形溝筋と同じピッチを有しており、そして第二の層と接触する積層用ローラーの溝筋を機械方向への角度をなし、好ましくはこれら溝筋と実質的に直角をなして配置する、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
積層場所が、溝筋付き積層用ローラーおよび実質的に滑らかな対ローラーを含み、それらの間に、第一の層と接触する溝筋付き積層用ローラーによって積層するために熱および圧力を適用し;溝筋付き積層用ローラーの溝筋が互いに平行しておりそして運転条件のもとで、第一の層のための溝付けローラーの溝筋と同じピッチを有している、請求項8または9に記載の装置。
【請求項12】
第二の層が固体状態で場所で部分的に延伸されて第一の層の溝の方向と角度をなす、好ましくは直角をなす方向に延伸する第一の薄くなった領域を生じる、第二の層の延伸場所を含み、その際に実質的に滑らかな積層用ローラーが、第一の薄くなった領域で第二の層の反対面を加熱して積層温度とするが隣接領域はかゝる温度に達しない温度にする、請求項11に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14a】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14a】
【公開番号】特開2011−16359(P2011−16359A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167514(P2010−167514)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【分割の表示】特願2005−502444(P2005−502444)の分割
【原出願日】平成15年12月9日(2003.12.9)
【出願人】(501445553)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【分割の表示】特願2005−502444(P2005−502444)の分割
【原出願日】平成15年12月9日(2003.12.9)
【出願人】(501445553)
【Fターム(参考)】
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