説明

内圧制御装置

【課題】密閉チャンバ(パスボックス4)内の圧力変動を緩和する。
【解決手段】密閉チャンバ4には、無菌フィルタ14を介して外部から給気する給気通路12と、無菌フィルタ22を介して排気する排気通路20が接続され、給気通路12および排気通路20をそれぞれ連通遮断する給気バルブ18および排気バルブ26が設けられている。また、これら両バルブ18、26の開閉を制御して密閉チャンバ4内の圧力を所定の陽圧に制御する制御手段46が設けられている。さらに、排気通路20の無菌フィルタ22と排気バルブ26との間に、密閉チャンバ4内の圧力の変動に応じて膨張、または収縮して、圧力変動を緩和するシリコン膜48を取り付けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉チャンバの内部圧力を所定の圧力に維持する内圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、アイソレータ内に充填機等の処理装置を設置して無菌環境内で充填を行う無菌充填装置のような、密閉式のチャンバを備えた装置が、近年広く用いられている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された「アイソレータシステム」は、粉末充填機のような生産設備を収容した隔離装置としてのアイソレータと、粉末充填機に送る原料等の物品を滅菌してからアイソレータ内に搬入するためのパスボックスとしての滅菌庫を備えている。
【0003】
前記アイソレータは、外部雰囲気から完全に隔離できるように直接的な外気の流入を完全に遮断できる密閉可能な構造を備えており、内部に過酸化水素蒸気等の除染ガスを送り込んで除染した後、HEPAフィルタなどの無菌フィルタを備えた給気口および排気口を介して、内部への給気量と外部への排気量を調節することにより内部を所定の陽圧に維持するように制御しており、生産運転中は外気が無菌フィルタを介さずに直接的に流入することを防止して内部の無菌状態を保つようにしている。また、滅菌庫は、アイソレータと同様の密閉可能な構造を備えており、内部に物品を収容し、除染ガスを供給してこの物品を除染した後、アイソレータとの間の連結部を開放して物品をアイソレータに搬入するようになっている。この滅菌庫も、アイソレータと同様に内部を所定の陽圧に維持することが望ましく、近年では給気量と排気量を調節して内部を所定の陽圧に維持するように構成している。
【0004】
これらアイソレータや滅菌庫については、内部の圧力をあまり高く維持するようにすると、それに耐えられるだけの密閉構造が必要になるため、外部雰囲気の大気圧よりも若干高い程度の陽圧に維持するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−301138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のような滅菌庫(密閉したチャンバ)に物品を収容した後、除染をするために内部に過酸化水素蒸気を供給すると急激に内圧が高まり、陽圧の許容範囲の上限を超えてしまう場合がある。このようなおそれがある場合には、所定範囲の陽圧に維持するために排気弁を開放して内部圧力を低下させる。しかしながら、内部の排気を行うと、過酸化水素蒸気も流出してしまうため除染作用が低下してしまうという問題が発生する。また、チャンバ内部の圧力の上昇があまりに急激な場合には、制御不能になるという問題も発生するおそれもある。特にこのような問題は、滅菌庫(除染庫)やパスボックス等の比較的容積の小さな場合ほど顕著なものとなる。
【0007】
また、その後の過酸化水素蒸気が凝縮する段階では、急激に内部圧力が低下し、陽圧の許容範囲の下限を超えてしまうおそれがある。このような場合には、所定範囲の陽圧に維持するために給気を行って内部の圧力を上昇させる。しかしながら、給気を行うと内部の過酸化水素濃度が下がって除染作用が低下するという問題が発生する。さらに、チャンバ内部の圧力の下降があまりに急激な場合には、制御不能になるという問題が発生するおそれがある。特にこのような問題は、滅菌庫(除染庫)やパスボックス等の比較的容積の小さな場合ほど顕著なものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、密閉チャンバの内圧を所定の圧力に維持する内圧制御装置において、無菌フィルタを介して外部と連通し、前記密閉チャンバ内に給気する給気通路と、無菌フィルタを介して外部と連通し、前記密閉チャンバから排気する排気通路と、前記給気通路を開閉する給気バルブと、前記排気通路を開閉する排気バルブと、これらバルブの開閉を制御して密閉チャンバ内の内圧を制御する制御手段とを備えるとともに、前記排気通路の、密閉チャンバと排気バルブの間に、密閉チャンバ内の急激な圧力変動を緩和する圧力緩和手段を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
また、第2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記圧力緩和手段が、排気通路を構成する排気ダクトの一部に設けた伸縮性部材からなることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、第3の発明は、請求項1に記載の発明において、前記圧力緩和手段が、排気通路を構成する排気ダクトと連通する気体収容容器から成ることを特徴とするものである。
【0011】
また、第4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発明において、前記密閉チャンバは、外部雰囲気から隔離されて内部が無菌状態に維持されたアイソレータに連結されたパスボックスであって、蒸気状態の除染媒体を導入する導入口を備えており、密閉された状態で除染媒体が導入されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
密閉チャンバから内部の気体を排出する排出通路の、前記チャンバの出口側と排気バルブとの間に、密閉チャンバ内の急激な圧力変動を緩和する圧力緩和手段を設けたので、密閉チャンバ内の除染媒体の濃度が低下して除染能力が低下してしまうおそれがなく、また、密閉チャンバ内の圧力が急激に変動して制御不能になってしまうおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は密閉チャンバの内圧制御装置の全体の構成を簡略化して示す構成図である。(実施例1)
【図2】図2は圧力緩和手段の他の例を示す図である。(実施例2)
【図3】図3は圧力緩和手段の他の例を示す図である。(実施例3)
【図4】図4は圧力緩和手段の他の例を示す図である。(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0014】
密閉チャンバに無菌フィルタを介して連通され、外部から密閉チャンバ内に給気する給気通路と、密閉チャンバに無菌フィルタを介して連通され、密閉チャンバ内の気体を排出する排気通路と、これら給気通路および排気通路をそれぞれ開閉する給気バルブおよび排気バルブと、これら両バルブを制御して、密閉チャンバの内部圧力を制御する制御手段とを備えている。さらに、前記排気通路の、密閉チャンバから排気バルブに至る部分内に、密閉チャンバ内の急激な圧力変動を緩和する圧力緩和手段を設けている。このような構成としたことにより、内部圧力が変動した場合に、給気または排気を行うことなく内部圧力を制御することを可能にするという目的を達成する。
【実施例1】
【0015】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図において、2はアイソレータであり、その内部を外部雰囲気から完全に隔離して直接的な外気の流入を遮断できるように密閉可能な構造をしている。
【0016】
前記アイソレータ2の側壁2aに、請求項1に記載した密閉チャンバを構成するパスボックス4が連結されている。このパスボックス4も、前記アイソレータ2と同様に、内部を外部雰囲気から完全に隔離して直接的な外気の流入を遮断できるように密閉可能な構造をしている。このパスボックス4は、アイソレータ2の外部側に位置する壁面4aに物品の搬入および取り出しを行うための外部扉6が設けられている。また、パスボックス4のアイソレータ2内に位置する部分に、パスボックス4内の物品をアイソレータ2内に供給し、あるいはアイソレータ2内の物品をパスボックス4側に取り出すための内部扉8が設けられている。この内部扉8を開放することにより、アイソレータ2の内部とパスボックス4の内部を、外部雰囲気と完全に遮断した状態で連通することができる。
【0017】
前記パスボックス4には、給気ファン10の作動によって外部のエアを密閉チャンバ内(パスボックス4内)に導入する給気通路12が設けられている。この給気通路12の供給口側(パスボックス4への接続側)にHEPAフィルタなどの無菌フィルタ14が設けられており、外部のエアを浄化して無菌エアとして供給する。この給気通路12は給気バルブ18の開閉により外部と連通遮断される。
【0018】
また、パスボックス4には、内部の気体を排出する排気通路20が接続されている。この排気通路20は、HEPAフィルタなどの無菌フィルタ22を介して連結された排気ダクト24を備えている。排気通路20は排気バルブ26の開閉によって外部と連通遮断されるようになっており、この排気バルブ26の下流側に触媒28が設けられている。排気通路20から排出される気体は、後に説明するように過酸化水素等の除染媒体が含まれている場合があり、この触媒28を通して排気することにより気体中に含まれている過酸化水素等を分解して排出する。
【0019】
パスボックス4には、その内部を除染するための過酸化水素を供給する過酸化水素蒸気発生手段30が接続されている。この過酸化水素蒸気発生手段30の給排通路32は、供給側の導入口34がパスボックス4に直接接続され、出口側の排出口36が前記排気ダクト24に接続されて循環経路を構成している。この循環経路内に設けたブロワ38の作動によって過酸化水素蒸気発生手段30によって発生した過酸化水素蒸気をパスボックス4内に供給し、排気ダクト4を介して排出することにより循環させるようになっている。また、給排通路32の供給側と排出側にそれぞれ供給バルブ40および排出バルブ42が設けられており、これらバルブ40、42の開閉によって給排通路32の供給側の通路32Aおよび戻り側の通路32Bの連通遮断を行う。なお、この実施例では、除染を行うための除染媒体として過酸化水素を蒸気状態にして使用しているが、その他の除染媒体を用いることもできる。
【0020】
パスボックス4には、内部の圧力を検出する圧力計44が設けられている。また、46は制御手段であり、前記圧力計44の検出値に応じて、給気バルブ18、給気ファン10および排気バルブ26の作動を制御する。さらに、前記排気通路20を構成する排気ダクト24に、伸縮性部材からなる圧力緩和手段48が設けられている。この実施例では、排気ダクト24の壁面の一箇所を取り除いてシリコーンゴムなどの伸縮性を有する合成樹脂製の膜48を取り付けており、パスボックス4内部の急激な圧力変動を吸収し緩和するようになっている。つまり、パスボックス4の内部の圧力が上昇すると膜48が外方へ膨らみ(図1中に符号48Aで示す膜参照)、逆に、内部圧力が降下すると排気ダクト24の内側へ向けて萎む(同図中に符号48Bで示す膜参照)。なお、圧力緩和手段としての膜48等の伸縮性部材をパスボックス4に直接設けることも可能であるが、このような構成にすると、膜の破れやピンホールによりリークが生じた場合に、パスボックス4内部の密閉が破壊されてしまうため、この実施例では、無菌フィルタ22を介した空間(排気ダクト24内の空間)に膜48を設けて、内部雰囲気に影響が出ないようにしている。なお、前記伸縮性部材を給気通路12に設けた場合は、給気の圧力で膨らんでしまうため、伸縮性部材(膜48)を排気側に設けている。
【0021】
前記構成の内圧制御装置を備えた密閉チャンバ(パスボックス4)の作動について説明する。前記アイソレータ2は定期的に内部を除染するようになっており、除染を行う際には、前記パスボックス4の内部扉8を開放してアイソレータ2とパスボックス4の内部空間を連通した状態にして、過酸化水素蒸気発生手段30から、パスボックス4とアイソレータ2内に過酸化水素蒸気を送り込んで除染を行う。この場合には、給排通路32の供給バルブ40と排出バルブ42を開放するとともにブロワ38を駆動して、過酸化水素蒸気発生手段30で発生させた過酸化水素蒸気を導入口34からパスボックス4内に供給して、パスボックス4とアイソレータ2内全体に送り込み、その後、排出側の無菌フィルタ22を通して排気ダクト24内に排出し、排出口36から給排通路32戻り側の通路32Bを介して過酸化水素蒸気発生手段30に戻すことにより循環させる。
【0022】
また、前記アイソレータ2には、図示しない給気手段と排気手段が設けられており、給気量と排気量を調節することにより内部を所定の陽圧に維持するように制御して、生産運転中は外気の侵入を防止し、内部の無菌状態を維持するようにしている。なお、この実施例では、パスボックス4に設けた過酸化水素蒸気発生手段30によってパスボックス4およびアイソレータ2内の除染を行ったが、アイソレータ2は、別に設けた過酸化水素蒸気発生手段から過酸化水素蒸気を供給して除染するようにしてもよい。
【0023】
アイソレータ2とパスボックス4の内部を除染した後、内部扉8を閉じてアイソレータ2の内部とパスボックス4の内部とを遮断する。次に、給気通路12から無菌フィルタ14を介してパスボックス4内に無菌エアを供給するとともに、排気側の無菌フィルタ22を介して排気ダクト24を含む排気通路20からパスボックス4内の気体を排出する。このパスボックス4には圧力計44が設けられて内部の圧力を監視しており、この圧力計44の計測値に応じて制御装置46が、給気ファン10の作動および給気バルブ18と排気バルブ26の開閉を制御して、パスボックス4の内部の圧力を所定の陽圧に維持するように制御する。
【0024】
パスボックス4からアイソレータ2内に物品を供給するときには、アイソレータ2側の内部扉8を閉じてアイソレータ2とパスボックス4とを遮断した状態で、外部扉6を開けて外部から物品を挿入する。物品を挿入した後パスボックス4の外部扉6を閉じて内部を密閉し、このパスボックス4内に過酸化水素蒸気発生手段30から過酸化水素蒸気を供給して、パスボックス4の内部およびパスボックス4内に挿入された物品の除染を行う。密閉したチャンバであるパスボックス4内に過酸化水素蒸気を供給すると内部の圧力が上昇するが、この実施例に係る装置では、パスボックス4内と無菌フィルタ22を介して連通している排気ダクト24に、圧力緩和手段としての伸縮性部材(膜48)が設けられているので、この膜48がパスボックス4の内部圧力の上昇に応じて外側に膨らんで、パスボックス4内の急激な圧力変動を吸収し緩和する。前記のように除染を行っている間も、制御装置46によってパスボックス4の内部圧力を所定の陽圧に維持している。
【0025】
また、その後、過酸化水素蒸気が凝縮する段階で、パスボックス4内の圧力が低下した場合には、前記排気ダクト24に設けられている膜48が内部側に変形して、パスボックス4内に連通している排気ダクト24の容積を収縮することにより、内部圧力の低下を吸収する。このようにパスボックス4内の圧力が変動した際に、伸縮性の部材である膜48の変形によってこの圧力変動を吸収し、緩和するので、急激な圧力変動により制御不能になったり、無菌エアの供給や内部の気体の排出によって除染効果が低下することを防止できる。なお、給気バルブ18,排気バルブ26の開口が大きく、開閉の応答性が悪い場合は、圧力制御用に別途給気通路と排気通路を設けて、これらに応答性のよいバルブを設けるようにしてもよい。また、給気側の無菌フィルタ14は、バルブ18よりも外部寄りに設けてもよい。
【実施例2】
【0026】
前記実施例では、伸縮性部材としてシート状の膜48を用いたが、このような構成に限るものではなく、図2に示すように、伸縮性部材としてシリコーンゴムなどの伸縮性を有する合成樹脂製の袋148を用いることもできる。このような伸縮性の部材である合成樹脂製の袋148を用いた場合でも、前記実施例と同様の作用効果を奏することができる。なお、伸縮性部材以外の部分の構成は前記実施例と同一なので同一の符号を付してその説明を省略する。
【実施例3】
【0027】
図3は第3の実施例に係る密閉チャンバの内圧制御装置を示す図であり、この実施例では、排気ダクト24に、圧力に応じて開閉するバルブ250を介して気体収容容器252を接続している。この気体収容容器252に第1実施例と同様のシリコーンゴムなどの合成樹脂製の膜248が設けられており、急激な圧力変動を吸収して緩和することができるようになっている。この実施例では、圧力計44によってパスボックス4内の内部圧力が許容範囲の上限を超えた場合に、前記バルブ250を開放して排気ダクト24と気体収容容器252を連通させる。なお、この実施例および次の第4実施例も、気体収容容器252(第4実施例では352)を設けた点を除いて第1実施例と同一の構成であるので、同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0028】
この実施例の具体的な作動としては、過酸化水素蒸気が供給されてパスボックス4の内部圧力が許容範囲の上限を超えた場合に、前記バルブ250が開放されてパスボックス4と気体収容容器252が連通されると、気体収容容器252の内部圧力はほぼ大気圧になっており、大気圧を上回って急激に圧力が上昇したパスボックス4の内部圧力が低下され、パスボックス4内の急激な圧力上昇を吸収し緩和する。
【0029】
また、その後、過酸化水素蒸気が凝縮してパスボックス4の圧力が低下し許容範囲の下限を超えた場合には、バルブ250が開放されてパスボックス4と気体収容容器252が連通されると、気体収容容器252の内部圧力は大気圧を上回る許容範囲内にあるため、許容範囲を下回って急激に下降したパスボックス4の内部圧力が許容範囲まで上昇され、パスボックス4内の急激な圧力低下を吸収し緩和する。パスボックス4の内部圧力が許容範囲に収まるとバルブ252を閉鎖する。この実施例でも、前記各実施例と同様の効果を奏することができる。
【実施例4】
【0030】
図4は第4の実施例に係る密閉チャンバの内圧制御装置を示す図であり、この実施例では、シリンダ354とピストン356を有する気体収容容器352が連通路358を介して排気ダクト24に接続されている。ピストン356によって分割された一方のシリンダ室354aがパスボックス4に連通され、他方のシリンダ室354bには、ピストン356を前記一方のシリンダ室354aに向けて押圧するバネ360が設けられている。また、この他方のシリンダ室354bには、外部に排気する排気口362が設けられ、ピストン356がスムーズに進退できるようになっている。なお、排気口362には、触媒364が設けられ、ピストン356のシールから過酸化水素蒸気が漏れ出ることがあっても、そのまま外部に流出することを防止している。
【0031】
この実施例では、パスボックス4の内部圧力が許容範囲の上限を超えると、この圧力上昇によりバネ360の付勢に抗してピストン356が押されて気体収容容器352の一方の圧力室354aの容積が拡大され、パスボックス4内の急激な圧力上昇を吸収し緩和する。また、パスボックス4の内部圧力が低下し始めると、これに応じてバネ360の付勢によりピストン356が押し戻されて気体収容容器352の一方の圧力室354aの容積が縮小され、許容範囲の下限を超えるほどの急激な圧力低下を緩和する。なお、前記ピストン356を、バネ360に変えてモータやエアシリンダ等のアクチュエータにより進退させるように構成し、圧力計44による圧力検出に応じてピストン356を進退させてシリンダ室354aを拡大、縮小させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
4 密閉チャンバ(パスボックス)
14 無菌フィルタ
12 給気通路
18 給気バルブ
20 排気通路
22 無菌フィルタ
26 排気バルブ
46 制御手段
48 圧力緩和手段(膜)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉チャンバの内圧を所定の圧力に維持する内圧制御装置において、
無菌フィルタを介して外部と連通し、前記密閉チャンバ内に給気する給気通路と、無菌フィルタを介して外部と連通し、前記密閉チャンバから排気する排気通路と、前記給気通路を開閉する給気バルブと、前記排気通路を開閉する排気バルブと、これらバルブの開閉を制御して密閉チャンバ内の内圧を制御する制御手段とを備えるとともに、
前記排気通路の、密閉チャンバと排気バルブの間に、密閉チャンバ内の急激な圧力変動を緩和する圧力緩和手段を設けたことを特徴とする密閉チャンバの内圧制御装置。
【請求項2】
前記圧力緩和手段が、排気通路を構成する排気ダクトの一部に設けた伸縮性部材からなることを特徴とする請求項1に記載の密閉チャンバの内圧制御装置。
【請求項3】
前記圧力緩和手段が、排気通路を構成する排気ダクトと連通する気体収容容器から成ることを特徴とする請求項1に記載の密閉チャンバの内圧制御装置。
【請求項4】
前記密閉チャンバは、外部雰囲気から隔離されて内部が無菌状態に維持されたアイソレータに連結されたパスボックスであって、蒸気状態の除染媒体を導入する導入口を備えており、密閉された状態で除染媒体が導入されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の密閉チャンバの内圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−232015(P2011−232015A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105543(P2010−105543)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】