説明

内燃機関のクランクシャフトの支持構造

【課題】内燃機関のクランクシャフトの支持構造において、滑り軸受を用いて内燃機関の小型化を図りつつ、オイルポンプを小型化できるようにする。
【解決手段】クランクシャフト41の軸方向の両側から結合されてクランクシャフト41を挟む左右割りクランクケース25に支持されるクランクシャフトの支持構造において、クランクシャフト41の両端を支持する両クランク軸受を滑り軸受111とする一方で、大端部42Aの軸受をローラベアリング112とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のクランクシャフトの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関のクランクシャフトの支持構造において、クランクシャフトの軸受け部を、内燃機関の小型化に有利なメタル軸受(滑り軸受)で支持したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−224860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記メタル軸受には潤滑油の安定的な供給が要求されるため、クランクシャフトの軸受け部の全てを滑り軸受とした場合、潤滑油を供給するオイルポンプが大型化してしまうという課題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、内燃機関のクランクシャフトの支持構造において、滑り軸受を用いて内燃機関の小型化を図りつつ、オイルポンプを小型化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、クランクシャフト(41)の軸方向の両側から結合されてクランクシャフト(41)を挟む左右割りクランクケース(25)に支持されるクランクシャフトの支持構造において、クランクシャフト(41)の両端を支持する両クランク軸受を滑り軸受(111)とする一方で、コンロッド大端(42A)の軸受を転がり軸受(112)としたことを特徴とする。
この構成によれば、クランクシャフトの両端を支持する両クランク軸受を滑り軸受とする一方で、コンロッド大端の軸受を転がり軸受としたため、コンロッド大端の転がり軸受の給油量を低減できる。このため、両クランク軸受を滑り軸受として小型化を図りつつ、必要な給油量を低減でき、オイルポンプを小型化できる。
【0006】
また、上記構成において、前記滑り軸受(111)は2分割で構成され、クランク軸線(G)を通る割り面(145)及び滑り軸受(111)の軸方向の両側面(146A,146B)を平坦な形状とし、前記クランクケース(25)における軸受圧入孔(110)には、該クランクケース(25)の材料に対して剛性が高いブッシュ(130)を配置した構成としても良い。
この場合、滑り軸受の割り面及び軸方向の両側面を平坦な形状とし、滑り軸受を軸受圧入孔に圧入する際の押し面と合わせ面の面積を確保したため、組立ての作業性を向上できる。また、軸受圧入孔にクランクケースの材料に対して剛性が高いブッシュを配置したため、圧入の締め代を高くでき、滑り軸受をより確実に固定できる。
【0007】
また、前記クランクシャフト(41)は両端部がクランクピン部(103)と分離して製造された組立て式のクランクシャフトであり、前記滑り軸受(111)に支持される両端の軸受部(104A,104B)の径をその両側よりも大径に形成し、該軸受部(104A,104B)の表面の超仕上げ加工を前記クランクシャフト(41)の組み立て前に行なう構成としても良い。
この場合、滑り軸受に支持される両端の軸受部の表面の超仕上げ加工を、組立て式のクランクシャフトの組立て前に行なうため、組立て後の比較的大きなクランクシャフトに超仕上げ加工を行なう必要が無く、加工設備を小型化できるとともに、生産性を向上できる。
【0008】
さらに、前記ブッシュ(130)は内周(131)が平坦な溝なし形状で、外周(132)の幅方向の中央部をリング状の拡径部(132A)とし、両側部に周方向に不連続な回り止め部(132B)を設けた構成としても良い。
この場合、ブッシュの内周が平坦な溝なし形状であり、外周の幅方向の中央部をリング状の拡径部としたため、ブッシュの剛性を高めることができるとともに、ブッシュの熱膨張を均一化でき、クランクケースへの結合強度を高めることができる。また、回り止め部によってクランクケースへの結合強度を高めることができる。
【0009】
また、オイルポンプ(86)は前記クランクシャフト(41)の軸方向における一側寄りに配置され、該オイルポンプ(86)から一方のオイルがクランク軸端(108)を経由して軸内を通るオイル通路(113)により前記コンロッド大端(42A)にオイルが導かれ、他方のオイルがクランクケース(25)の支持部材(23A)側から前記滑り軸受(111)に導かれる構成としても良い。
この場合、コンロッド大端に導かれる一方のオイルが、クランクケースの支持部材側から滑り軸受に導かれる他方のオイルとは別に、クランク軸端を経由して軸内を通るオイル通路を通るため、このオイル通路の給油量をコンロッド大端の転がり軸受に最適な給油量に減らすことができる。これにより、コンロッド大端の転がり軸受がオイル過多になることを防止でき、フリクションを低減することができる。
【0010】
また、前記一方のオイル通路(113)は動弁系への給油通路(95A)から絞り部(96A)を設けて分岐させた通路であっても良い。
この場合、一方のオイル通路が動弁系への給油通路から絞り部を設けて分岐された通路であるため、他方のオイルが流れる滑り軸受及び動弁系への給油量を確保しつつ、コンロッド大端側への給油量を簡単な構造で減らすことができる。また、給油量を減らすことができるため、オイルポンプを小型化することができる。
【0011】
さらに、前記滑り軸受(111)への給油は、前記ブッシュ(130)にクランクケース内通路(99,99)と同軸加工された径方向の貫通孔(135)を通して行われても良い。
この場合、滑り軸受への給油が、ブッシュにクランクケース内通路と同軸加工された径方向の貫通孔を通して行われるため、クランクケース内通路とブッシュの貫通孔とを同軸に合わせる作業を無くすことができ、生産性を向上できる。
【0012】
また、前記ブッシュ(130)を保持する前記クランクケース(25)の保持壁(23A)は、その周壁(120)に対してブッシュの両側面部(133A,133B)を覆う幅広両覆い部(128A,128B)と、前記ブッシュ(130)の外周面側で前記周壁(120)より幅広で且つ前記幅広両覆い部(128A,128B)より幅狭のブッシュ支え部(137)とを有し、該ブッシュ支え部(137)が前記ブッシュ(130)の厚さ以上の厚さとされても良い。
この場合、ブッシュが、周壁より幅広でブッシュの厚さ以上の厚さのブッシュ支え部によって支持されるため、ブッシュを安定して支持できるとともに、周壁から受けるブッシュへの熱影響や歪の影響を分散して緩和できる。
【0013】
また、前記幅広両覆い部(128A,128B)における反コンロッド側の側部には、前記ブッシュ(130)の側面(133A)を覆う覆い部(128A)をさらに内周側に延出させた油溜り壁(139)を形成し、コンロッド(42)側の側部には前記クランクシャフト(41)のスラスト受け(147)を形成した構成としても良い。
この場合、幅広両覆い部のコンロッド側の側部に形成されたクランクシャフトのスラスト受けを、滑り軸受から漏れ出たオイルで潤滑する場合に、反コンロッド側の覆い部の油溜り壁によってオイルの外側への漏れ量を制限できるため、オイル量を適切にして効率良く潤滑できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るクランクシャフトの支持構造では、クランクシャフトの両端を滑り軸受で支持する一方で、コンロッド大端を転がり軸受で支持するため、コンロッド大端の転がり軸受では給油量を低減できる。このため、滑り軸受によって小型化を図りつつ、必要な給油量を低減でき、オイルポンプを小型化できる。
また、滑り軸受の割り面及び両側面を平坦な形状とし、滑り軸受を圧入する際の押し面と合わせ面の面積を確保したため、組立ての作業性を向上できる。また、軸受圧入孔にクランクケースの材料に対して剛性が高いブッシュを配置したため、圧入の締め代を高くでき、滑り軸受をより確実に固定できる。
【0015】
また、クランクシャフトの軸受部の表面の超仕上げ加工を、組立て式のクランクシャフトの組立て前に行なうため、組立て後にクランクシャフトに超仕上げ加工を行なう必要が無く、加工設備を小型化できるとともに、生産性を向上できる。
さらに、ブッシュの内周が平坦な溝なし形状であり、外周の幅方向の中央部をリング状の拡径部としたため、ブッシュの剛性を高めることができるとともに、ブッシュの熱膨張を均一化でき、クランクケースへの結合強度を高めることができる。また、回り止め部によってクランクケースへの結合強度を高めることができる。
【0016】
さらにまた、コンロッド大端に導かれる一方のオイルが、滑り軸受に導かれる他方のオイルとは別のオイル通路を通るため、このオイル通路の給油量をコンロッド大端の転がり軸受に最適な給油量に減らすことができる。これにより、コンロッド大端の転がり軸受がオイル過多になることを防止でき、フリクションを低減することができる。
また、一方のオイル通路が動弁系への給油通路から絞り部を設けて分岐された通路であるため、他方のオイルの給油量を確保しつつ、コンロッド大端側への給油量を簡単な構造で減らすことができる。また、給油量を減らすことができるため、オイルポンプを小型化することができる。
【0017】
また、同軸加工によって、クランクケース内通路とブッシュの貫通孔とを同軸に合わせる作業を無くすことができ、生産性を向上できる。
さらに、ブッシュが、周壁より幅広でブッシュの厚さ以上の厚さのブッシュ支え部によって支持されるため、ブッシュを安定して支持できるとともに、周壁から受けるブッシュへの熱影響や歪の影響を分散して緩和できる。
また、クランクシャフトのスラスト受けを、滑り軸受から漏れ出たオイルで潤滑する場合に、反コンロッド側の覆い部の油溜り壁によってオイルの外側への漏れ量を制限できるため、オイル量を適切にして効率良く潤滑できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動二輪車を示す右側面図である。
【図2】エンジンを車両左側から見た一部破断側面図である。
【図3】エンジンを車両後方側から見た断面図である。
【図4】クランクケースにおいてオイルポンプの近傍を示す正面断面図である。
【図5】クランクシャフトを前方から見た正面断面図である。
【図6】一側ケースの外側面を示す側面図である。
【図7】一側ケースの内側面を示す側面図である。
【図8】におけるVIII−VIII断面図である。
【図9】ブッシュを示す図である。
【図10】図4における一側ケースのクランクシャフト支持孔の近傍の拡大断面図である。
【図11】図6におけるXI−XI断面図である。
【図12】滑り軸受を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る自動二輪車について図面を参照して説明する。なお、以下の説明で、上下、前後、左右の方向は、車両の運転者から見た方向をいう。
図1は、本発明の実施の形態に係る自動二輪車を示す右側面図である。
自動二輪車1の車体フレームFは、車両の前部に設けられたヘッドパイプ17と、ヘッドパイプ17から後下がりに延びるメインフレーム18と、メインフレーム18よりも下方でヘッドパイプ17に連接されるとともにメインフレーム18よりも急角度で後下がりに延びるダウンフレーム19と、メインフレーム18の後部の左右両側及びダウンフレーム19の下端部の左右両側の間を結ぶ左右一対のロアフレーム20と、メインフレーム18の後部に連接されて後方に延びる左右一対のシートレール21と、ロアフレーム20とシートレール21との後部とを結ぶ左右一対のリヤフレーム22とを備えている。
また、ヘッドパイプ17には前輪WFを軸支する左右一対のフロントフォーク15が支持され、フロントフォーク15の上端部には操舵用のハンドル16が設けられている。
【0020】
ロアフレーム20は、ダウンフレーム19の下部から垂下される第1フレーム部20aと、第1フレーム部20aから後方に略水平に延びる第2フレーム部20bと、第2フレーム部20bの後端から上方に延びる第3フレーム部20cとを一体に有している。ロアフレーム20は、側面視では上方に開いた略U字状に形成され、第3フレーム部20cの上端がメインフレーム18の後端部に連接される。
【0021】
車体フレームFには、車両のエンジン24が、メインフレーム18、ダウンフレーム19及びロアフレーム20で囲われるようにして搭載される。エンジン24は、水冷式の4サイクル単気筒エンジンであり、クランクケース25と、クランクケース25の前側上部に結合されて前傾しつつ上方に立ち上がるシリンダーブロック26と、シリンダーブロック26の上端に結合されるシリンダーヘッド27と、シリンダーヘッド27の上端に結合されるヘッドカバー28とを備えている。
【0022】
シリンダーヘッド27の前部には、排気管37が接続され、排気管37は、下方に延びた後、エンジン24の下方を通って後方に延び、後輪WRの右側面に配置されるマフラー38に接続されている。
シリンダーヘッド27の後部には、エンジン24に空気を供給する吸気装置35が接続されている。
また、エンジン24の前方には、エンジン24の冷却水が循環するラジエータ82が設けられ、ラジエータ82はダウンフレーム19に支持されている。
さらに、エンジン24の上方でメインフレーム18上には、燃料タンク29が搭載され、燃料タンク29の後方には、シートレール21によって支持される乗員用のシート30が配置されている。
【0023】
ロアフレーム20には、第2及び第3フレーム部20b,20cに跨って設けられる左右一対のピボットプレート31が設けられており、このピボットプレート31にはピボット軸32を介してスイングアーム33が揺動可能に支持されている。後輪WRは、スイングアーム33の後端に軸支され、後輪WRは、エンジン24のカウンタ軸66(図2参照)と後輪WRとの間に掛け渡される駆動チェーン14(図3参照)によって駆動される。また、車体フレームFとスイングアーム33との間には、リヤクッション34が伸縮自在に設けられる。
【0024】
図2は、エンジン24を車両左側から見た一部破断側面図である。
図2に示すように、クランクケース25内には、自動二輪車1の車幅方向に水平に延びる軸線G(クランク軸線)(図3参照)を有するクランクシャフト41が配置されている。
また、クランクケース25内には、クランクシャフト41に対しそれぞれ平行に配置されるメイン軸65、カウンタ軸66、及び、バランサ軸67が設けられている。クランクシャフト41を含むこれらの軸65,66は、クランクシャフト41の回転をメイン軸65、カウンタ軸66の順に伝達する歯車伝達機構を構成している。また、メイン軸65の下方には、変速操作を行なうシフトドラム78及びシフトフォーク79が設けられている。
【0025】
クランクケース25の上部に結合されるシリンダーブロック26は、ピストン39が摺動自在に嵌合するシリンダボア40を有し、シリンダボア40の軸線であるシリンダ軸線Cを鉛直方向よりも前傾させるようにして配置されている。クランクシャフト41はクランクケース25に回転自在に支持され、クランクシャフト41にはコンロッド42を介してピストン39が接続されている。クランクシャフト41は、シリンダボア40の下方のクランク室23に収容されている。
【0026】
シリンダーブロック26とシリンダーヘッド27との間には、ピストン39の頂部に臨む燃焼室44が形成され、シリンダーヘッド27にはその後部側壁27aに開口する吸気ポート45と、前部側壁27bに開口する排気ポート46とが設けられている。
シリンダーヘッド27には、燃焼室44の中央に臨むようにして点火プラグ51(図3参照)が取り付けられている。
また、シリンダーヘッド27の後部側壁27aには、吸気ポート45に連通する吸気装置35が接続され、前部側壁27bには排気ポート46に連通する排気管37(図1参照)が接続される。
【0027】
吸気ポート45は、車幅方向に二股に分かれた一対の分岐路45a(右側面側の分岐路は不図示)を有し、排気ポート46は、車幅方向に二股に分かれた一対の分岐路46a(右側面側の分岐路は不図示)を有している。分岐路45aには、分岐路45aと燃焼室44との連通及び遮断を切り換える一対の吸気弁47が配置され、分岐路46aには燃焼室44との連通及び遮断を切り換える一対の排気弁48が配置され、吸気弁47及び排気弁48は開閉動作を可能に設けられている。
吸気弁47はシリンダーヘッド27との間に設けられる弁ばね49によって閉弁方向に付勢され、排気弁48はシリンダーヘッド27との間に設けられる弁ばね49によって閉弁方向に付勢されている。
【0028】
シリンダーヘッド27は吸気ポート45及び排気ポート46の上方において燃焼室44側に窪んだ収容部を有し、この収容部をヘッドカバー28で塞ぐことによって、シリンダーヘッド27の上部には動弁室53が形成されている。この動弁室53には、一対の吸気弁47を開閉駆動する吸気側動弁装置54Iと、一対の排気弁48を開閉駆動する排気側動弁装置54Eとが収容されている。吸気側動弁装置54I及び排気側動弁装置54Eは、燃焼室44の上方に吸気弁47及び排気弁48を備えた頭上弁式の動弁装置である。吸気側動弁装置54I及び排気側動弁装置54Eは、シリンダ軸線Cを中心として、前後方向に略対称に構成されている。
【0029】
図2に示すように、吸気側動弁装置54Iは、クランクシャフト41と平行に設けられクランクシャフト41によって回転駆動される吸気カムシャフト55Iと、吸気カムシャフト55Iに設けられ吸気カムシャフト55Iと一体に回転するカム58Iと、カム58Iにより揺動させられ、吸気弁47を開閉する吸気側ロッカーアーム57Iとを備えている。吸気側ロッカーアーム57Iは、吸気カムシャフト55Iと平行な吸気側ロッカシャフト56Iによって揺動可能に軸支され、揺動する吸気側ロッカーアーム57Iの先端部が吸気弁47に連結される。また、吸気側ロッカーアーム57Iには、カム58Iに転動可能に当接するローラ74が設けられている。
【0030】
排気側動弁装置54Eは、クランクシャフト41と平行に設けられクランクシャフト41によって回転駆動される排気カムシャフト55Eと、排気カムシャフト55Eに設けられ排気カムシャフト55Eと一体に回転するカム58Eと、カム58Eにより揺動させられ、排気弁48を開閉する排気側ロッカーアーム57Eとを備えている。排気側ロッカーアーム57Eは、排気カムシャフト55Eと平行な排気側ロッカシャフト56Eによって揺動可能に軸支され、揺動する排気側ロッカーアーム57Eの先端部が排気弁48に連結される。また、排気側ロッカーアーム57Eには、カム58Eに転動可能に当接するローラ74が設けられている。
排気側動弁装置54Eは、点火プラグ51(図3参照)を挟んでシリンダーヘッド27の前部側に設けられ、吸気側動弁装置54Iは、点火プラグ51を挟んで後部側に設けられている。
【0031】
図3は、エンジン24を車両後方側から見た断面図である。ここで、図3では、図2において、シリンダ軸線C、クランクシャフト41、メイン軸65、及び、カウンタ軸66を各々結ぶ断面を示している。
吸気カムシャフト55I及び排気カムシャフト55Eは互いに平行に配置され、図3に示すように、その軸方向の一端側(本実施の形態ではエンジン24の右側面側)に被動スプロケット61をそれぞれ有している。吸気カムシャフト55I及び排気カムシャフト55Eは、クランクシャフト41のチェーン駆動歯車64と両被動スプロケット61との間に巻き掛けられた無端状のカムチェーン62によって、クランクシャフト41の回転数の半分の回転数で回転させられる。シリンダーヘッド27及びシリンダーブロック26の一端側には、カムチェーン62が通るカムチェーン室63が上下に延びるように形成されている。
【0032】
図3に示すように、クランクシャフト41の一端部にはクランクシャフト41と一体に回転する駆動歯車71及びチェーン駆動歯車64が設けられ、クランクシャフト41の他端側には発電機72が設けられている。詳細には、クランクシャフト41の他端部にはクランクシャフト41と一体に回転する発電機72のアウタロータ72A及びロータ支持部72Bが固定されている。
【0033】
メイン軸65はクランクシャフト41の後方に配置され、メイン軸65の一端には、クランクシャフト41とメイン軸65との間の動力の伝達を切り換える湿式のクラッチ機構68が設けられている。クラッチ機構68は円筒状のクラッチアウタ75を有し、クラッチアウタ75はメイン軸65に対して相対回転自在に設けられている。クラッチアウタ75には、クランクシャフト41の駆動歯車71に駆動される被動歯車73が固定されている。クラッチアウタ75の内側にはメイン軸65に固定されたクラッチインナ76が設けられ、クラッチアウタ75とクラッチインナ76との間には、クラッチアウタ75とクラッチインナ76とを摩擦により接続する複数の摩擦板69が設けられている。
【0034】
メイン軸65の後方にはカウンタ軸66が設けられ、メイン軸65及びカウンタ軸66は、両端に設けられた転がり軸受80を介してクランクケース25にそれぞれ支持されている。
メイン軸65とカウンタ軸66との間には常時噛み合い式の変速歯車群77が跨って配置されている。詳述すると、メイン軸65には、6速分の駆動歯車列81が設けられ、カウンタ軸66には駆動歯車列81に対応する6速分の被動歯車列83が設けられている。変速動作は、シフトドラム78によって駆動されるシフトフォーク79により、駆動歯車列81及び被動歯車列83を軸方向にスライドさせ、所望の歯車対を動力伝達可能な状態に確立することで行なわれる。
【0035】
クランクケース25の外に延出されたカウンタ軸66の他端には、駆動チェーン14を駆動するスプロケット66Aが固定されている。
図2に示すように、バランサ軸67はクランクシャフト41の前方に設けられ、バランサ軸67には、クランクシャフト41の回転に対して所定の位相差を有して回転しエンジン24の振動を低減するバランサ85が固定されている。
クランクケース25の上部においてシリンダーブロック26の後方には、クランクシャフト41を回転させてエンジン24を始動させるスタータモータ13が配置されている。
また、クランクシャフト41の下方にはエンジン24の各部に潤滑油としてのオイルを送出するオイルポンプ86が設けられている。クランクケース25の下部には、オイルが貯留されるオイルパン84が形成されている。
【0036】
図3に示すように、クランクケース25は、クランクシャフト41の軸方向の両側から結合されてクランクシャフト41を挟む左右割りのクランクケースであり、クラッチ機構68側(車両右側)の一側ケース91と、発電機72側(車両左側)の他側ケース92とを備えて構成されている。一側ケース91と他側ケース92と間の分割面25Aは、シリンダ軸線Cを通って車両前後方向に延びる面に略一致している。ここで、一側ケース91及び他側ケース92は、アルミ合金を鋳造して製造される。
エンジン24は、シリンダボア40を一つ有する単気筒エンジンでありクランクシャフト41の長さが比較的小さいため、並列多気筒エンジンのようにクランクシャフトの上下でクランクケースを分割する上下割りのクランクケースではなく、左右割りのクランクケース25を用いることができる。
他側ケース92の外側にはジェネレータカバー93が取り付けられ、クランクシャフト41の左部及び発電機72は、ジェネレータカバー93によって覆われている。
一側ケース91の外側にはクラッチカバー94が取り付けられ、クランクシャフト41の右部及びクラッチ機構68は、クラッチカバー94によって覆われている。
【0037】
クランク室23の左右の各側壁により構成される保持壁23A(支持部材)には、クランクシャフト41のジャーナル部104A,104B(軸受部)を支持するクランクシャフト支持孔110(軸受圧入孔)がそれぞれ設けられている。各クランクシャフト支持孔110にはジャーナル部104A,104Bに嵌合する滑り軸受111(クランク軸受)がそれぞれ配置され、クランクシャフト41は、滑り軸受111を介して、オイルを作動流体とした流体潤滑油膜によって支持されている。各保持壁23Aは、クランクシャフト支持孔110を介してクランクシャフト41を支持する支持部材である。
【0038】
図4は、クランクケース25においてオイルポンプ86の近傍を示す正面断面図である。
図4に示すように、クランクシャフト41の駆動歯車71の下方にはオイルポンプ86が設けられ、オイルポンプ86は、一側ケース91に支持される軸部86Aと、軸部86Aに設けられて駆動歯車71に噛み合うドリブンギヤ86Bと、軸部86Aに固定されるロータ86Cとを有するトロコイド式のポンプである。ロータ86Cはクランクシャフト41と一体に回転する駆動歯車71によってドリブンギヤ86B及び軸部86Aを介して回転され、オイルパン84(図2参照)に貯留されているオイルを送出する。オイルポンプ86は、クランクシャフト41の軸方向における一側寄りに設けられている。
オイルポンプ86の吐出側には、オイル中の異物等を捕集するオイルフィルタ87が設けられている。オイルフィルタ87は、クラッチカバー94に設けられたフィルタ収容部94Aに収容される。
【0039】
オイルポンプ86とオイルフィルタ87とを繋ぐ油路(不図示)には、所定値より高圧になったオイルを逃がして油圧を調整するリリーフバルブ(不図示)が設けられている。このリリーフバルブによって逃がされたオイルは、オイルポンプ86の吸込み側に戻される。
オイルフィルタ87におけるオイルの出口は、クラッチカバー94に形成された分岐油路95に接続されている。分岐油路95はクラッチカバー94中を上下の2方向に分岐して延在し、上方へ分岐する上側油路95A(動弁系への給油通路)は、クランクシャフト41の軸端側支持部108(クランク軸端)側に繋がるクランク側油路96、及び、一側ケース91の上部に形成されて動弁側に繋がる上部油路97に接続されている。上部油路97は2股に分岐し、シリンダーヘッド27の動弁室53側に延びるヘッド側油路97Aと、変速歯車群77に延びる変速機側油路97Bとに接続されている。
【0040】
クランク側油路96は、上側油路95Aの壁部を貫通するオリフィス形状の小孔96A(絞り部)を有し、小孔96Aによって分岐された上側油路95Aのオイルが、クランクシャフト41の軸端側支持部108に流れる。小孔96Aの径は上側油路95Aの径よりも小さく絞られており、クランク側油路96に流れるオイル量は小孔96Aによって制限されている。
【0041】
分岐油路95において下方に延びる下側油路95Bは、クランクケース25の底部を車幅方向に延びる底部油路98に接続されている。底部油路98は、一側ケース91及び他側ケース92に跨って形成されている。底部油路98は、一側ケース91及び他側ケース92の各々において、クランク室23の各保持壁23A内をクランクシャフト41側へ上方に延びるジャーナル油路99,99(クランクケース内通路)にそれぞれ接続されており、ジャーナル油路99,99は各滑り軸受111側に接続されている。
【0042】
図5は、クランクシャフト41を前方から見た正面断面図である。
クランクシャフト41は両端部がクランクピン103(クランクピン部)と分離して製造された組立て式のクランクシャフトであり、一側ケース91に支持される一側シャフト101と、他側ケース92に支持される他側シャフト102と、一側シャフト101及び他側シャフト102を連結するクランクピン103とを備えている。
クランクピン103には、コンロッド42の大端部42A(コンロッド大端)が、転がり軸受としてのローラベアリング112(転がり軸受)を介して連結されている。コンロッド42の小端部42Bには、ピストン39が連結される。
【0043】
図3及び図5に示すように、一側シャフト101は基端部に板状のクランクウェブ107Aを備えるとともに、クランクウェブ107Aの側から順に、一側ケース91に支持されるジャーナル部104A、チェーン駆動歯車64及び駆動歯車71等がスプライン結合される結合部105A、駆動歯車71を軸方向に固定するナット106Aが設けられる固定部106、及び、クラッチカバー94にベアリング70を介して支持される軸端側支持部108を備えて構成されている。
【0044】
一側シャフト101はクランクウェブ107Aから軸端側支持部108にかけて段状に細くなるように形成されており、ジャーナル部104Aの直径は結合部105Aの直径よりも大径に形成されている。ジャーナル部104Aの表面は、超仕上げ加工によって、滑り軸受111に適した面粗度となるように滑らかな鏡面に形成されている。
また、クランクウェブ107Aの径方向の端には、クランクピン103の一端が結合されるピン圧入孔109Aが形成されている。さらに、クランクウェブ107Aにおけるクランクシャフト41の軸方向の外側面には、保持壁23Aに摺動自在に当接してクランクシャフト41の軸方向の移動を規制するスラスト面119が形成されている。
一側シャフト101は、軸端側支持部108から基端部側に延びる軸内油路113(軸内を通るオイル通路)を有し、軸内油路113はクラッチカバー94のクランク側油路96に連通している。
【0045】
他側シャフト102は、基端部に板状のクランクウェブ107Bを備えるとともに、クランクウェブ107Bの側から順に、他側ケース92に支持されるジャーナル部104B、発電機72のロータ支持部72Bがスプライン結合される結合部105B、先端側に向かって先細りに形成されたテーパ部114、及び、先端側から基端側へ軸方向に延びる雌ねじ部115とを備えている。テーパ部114にはアウタロータ72Aが嵌合され、アウタロータ72Aはロータ支持部72Bに締結される。また、アウタロータ72Aは、雌ねじ部115に締結されるボルト115Aによって押圧されて軸方向に固定されている。
【0046】
ジャーナル部104Bの直径は結合部105Bの直径よりも大径に形成されている。ジャーナル部104Bの表面は、超仕上げ加工によって、滑り軸受111に適した面粗度となるように滑らかな鏡面に形成されている。
また、クランクウェブ107Bの径方向の端には、クランクピン103の他端が結合されるピン圧入孔109Bが形成されている。さらに、クランクウェブ107Bにおけるクランクシャフト41の軸方向の外側面には、保持壁23Aに当接してクランクシャフト41の軸方向の移動を規制するスラスト面119が形成されている。
【0047】
クランクピン103はピン圧入孔109A,109Bよりも僅かに大径に形成される円筒状のピンであり、両端がピン圧入孔109A,109Bに圧入されることで固定される。クランクピン103には軸方向に貫通する内部油路117が形成されており、内部油路117の両端はプラグ117Aによって閉塞されている。また、クランクピン103は、内部油路117と一側シャフト101の軸内油路113とを接続する油路117B、及び、内部油路117を大端部42Aのローラベアリング112に連通させる大端側油路117Cを有している。
【0048】
クランクシャフト41は、組立て用の治具(不図示)により所定の状態に支持された状態で、油圧プレス機等を用いて圧入して組み立てられる。詳細には、一側シャフト101及び他側シャフト102は、ジャーナル部104A,104Bの両外側の結合部105A,105Bに嵌合する上記組立て用の治具によって支持され、この状態で、コンロッド42が仮組みされたクランクピン103の両側に圧入されることで一体に組み立てられる。
このように、ジャーナル部104A,104Bの両外側でジャーナル部104A,104Bより小径の結合部105A,105Bを上記治具により支持して組み立てを行なうことにより、組み付け作業の際に上記治具がジャーナル部104A,104Bの表面に接触して超仕上げ加工された面が傷付くことが防止される。これにより、組み立て作業の前にジャーナル部104A,104Bの超仕上げ加工を仕上げておくことができ、組立て後に比較的大きなサイズとなったクランクシャフト41に対して超仕上げ加工を行なう必要が無いため、超仕上げ加工の加工設備を小型で簡易なものにできるとともに、生産性を向上できる。
【0049】
次に、図4を参照し、エンジン24のオイルの流れを説明する。図4中の矢印は、オイルが流れる方向を示している。
オイルパン84のオイルは、エンジン24の稼働に伴ってオイルポンプ86により吐出され、オイルフィルタ87を通り分岐油路95に流れる。オイルが高圧になった場合、上記リリーフバルブによって一部のオイルはオイルポンプ86の吸込み側に戻される。次いで、分岐油路95のオイルは、上側油路95Aへ流れ、このオイルは、クランク側油路96へ供給されると共に、ヘッド側油路97A及び変速機側油路97Bを通って動弁室53及び変速歯車群77に供給される。
【0050】
クランク側油路96に供給されたオイルは、一側シャフト101の軸内油路113に流入し、クランクピン103の油路117B、内部油路117、及び、大端側油路117Cを経てコンロッド42のローラベアリング112に供給される。
また、分岐油路95に流入した残りのオイルは、下側油路95Bを通って下方へ流れ、底部油路98及びジャーナル油路99,99を通って滑り軸受111に供給される。そして、各部を潤滑したオイルは、エンジン24内を下方に移動し、オイルパン84に戻る。
すなわち、クランクシャフト41には、クランク側油路96を経て軸内油路113から大端部42Aのローラベアリング112へ流れる一方のオイル、及び、各保持壁23Aのジャーナル油路99,99から滑り軸受111に流れる他方のオイルが供給されている。
【0051】
このように、本実施の形態では、クランクシャフト41の両端のジャーナル部104A,104Bを各滑り軸受111により支持する一方で、コンロッド42の大端部42Aを転がり軸受であるローラベアリング112で支持したため、大端部42Aを滑り軸受で支持した構成に比して、大端部42Aのオイルの供給量を低減できる。このため、ジャーナル部104A,104Bを滑り軸受111で支持して小型化を図りつつ、必要なオイルの供給量を低減でき、オイルポンプ86を小型化できる。また、クランクケース25に直接的に支持されるジャーナル部104A,104Bを滑り軸受111で支持しているため、クランクシャフト41とクランクケース25との間で生じるクランク打音を低減でき、クランクケース25が響くことを防止できるため、クランク打音を効果的に低減できる。
【0052】
また、エンジン24においては、オイルフィルタ87の出口に接続された下側油路95Bが下方に延びており、重力によってオイルが下側油路95Bに流れ易くなっているため、ジャーナル油路99,99を介して滑り軸受111に安定的にオイルを供給することができる。
さらに、大端部42Aに導かれる一方のオイルが、各保持壁23Aのジャーナル油路99,99側から滑り軸受111に導かれる他方のオイルとは別に、軸端側支持部108を経由して軸内油路113を通るため、他方のオイルとは別に小孔96Aによって一方のオイルのオイル量を制限し、軸内油路113の給油量を大端部42Aのローラベアリング112に最適な給油量に減らすことができる。
【0053】
図6は、一側ケース91の外側面を示す側面図である。図7は、一側ケース91の内側面を示す側面図である。図8は、図7におけるVIII−VIII断面図である。ここで、滑り軸受け111は、図7に2点鎖線で示されている。
以下、滑り軸受111によるクランクシャフト41の支持構造について詳述するが、一側ケース91及び他側ケース92では、図4に示すように、この支持構造はシリンダ軸線Cを基準にして略左右対称に形成されているため、ここでは一側ケース91側について主に説明し、他側ケース92側の詳細な説明は省略する。
【0054】
図6〜図8に示すように、一側ケース91は、クランクシャフト41の軸方向に略直交する側面板部120(周壁)と、側面板部120の周縁部に沿ってクランクケース25の内側及び外側方向に突出する壁部121とを備えている。壁部121の内端面は、他側ケース92との合わせ面である分割面25Aとなっている。壁部121の外端面は、クラッチカバー94との合わせ面121Aとなっている。
側面板部120には、一側シャフト101を支持するクランクシャフト支持孔110、メイン軸65の一端を支持するメイン軸支持孔123、カウンタ軸66の一端を支持するカウンタ軸支持穴124、バランサ軸67の一端を支持するバランサ軸支持孔125、及び、シフトドラム78の一端を支持するシフトドラム支持孔126が設けられている。
【0055】
クランクシャフト支持孔110の内周面には、滑り軸受111を受ける円環状のブッシュ130が配置されている。ブッシュ130は、アルミ合金製のクランクケース25よりも剛性及び硬度が高い鋳鉄により構成されている。ブッシュ130は、一側ケース91を製造する鋳造型(不図示)の内部に配置され、一側ケース91の鋳造時に鋳込まれることで一側ケース91に一体に設けられる。
ブッシュ130は、側面板部120において周囲の板厚よりも厚く形成された保持壁23Aに鋳込まれている。保持壁23Aは、図7及び図8に示すように、ブッシュ130より大径でクランクシャフト支持孔110と略同軸の円板状に形成されている。
このように、ブッシュ130を板厚が厚く強度が高い保持壁23Aに設けることで、クランクシャフト41の支持剛性を向上させることができる。
【0056】
図9は、ブッシュ130を示す図であり、図9(a)は側面図、図9(b)は図9(a)のIX−IX断面図である。
図9に示すように、ブッシュ130は、滑り軸受111が圧入される内周面131(内周)、及び、保持壁23Aに結合される外周面132(外周)を有している。内周面131は、溝が形成されていない平坦な面である。また、ブッシュ130の両側面部133A,133B(ブッシュの両側面)は、ブッシュ130の軸方向に対し略垂直に形成されている。
【0057】
外周面132は、幅方向の中央がリング状に拡径された拡径部132Aと、拡径部132Aの両側方で内周側に凹んだ回り止め部132Bとを有している。回り止め部132Bは、拡径部132Aの両側方において、周方向に略等間隔をあけて複数(本実施の形態では4箇所)にそれぞれ形成されている。各回り止め部132Bの間には拡径部132Aが幅方向に延長された延長部132Cが設けられており、回り止め部132Bは不連続に周方向に並んで形成されている。
【0058】
図10は、図4における一側ケース91のクランクシャフト支持孔110の近傍の拡大断面図である。
図8及び図10に示すように、一側ケース91の保持壁23Aは、ブッシュ130の外周面132に結合される内周結合面127Aと、ブッシュ130の両側面部133A,133Bを覆う幅広両覆い部128A,128Bと、ブッシュ130の外周面132側に位置し、側面板部120より幅広で且つ幅広両覆い部128A,128Bよりも幅狭のブッシュ支え部137とが形成されている。
【0059】
幅広両覆い部128A,128Bは、両側面部133A,133Bに沿って内周側に突出している。また、図4も合わせて参照し、幅広両覆い部128A,128Bにおいてコンロッド42とは反対側(反コンロッド側)の側部である幅広両覆い部128A(覆い部)には、ブッシュ130の内周面131よりもさらに内周側に延出された油溜り壁139が形成されている。
幅広両覆い部128A,128Bにおいてコンロッド42側の側部である幅広両覆い部128Bの側面には、クランクウェブ107Aのスラスト面119に当接するスラスト受け面147(スラスト受け)が形成されている。
滑り軸受111に供給されたオイルは、ジャーナル部104Aとブッシュ130との隙間を通って流下し、この流下するオイルの一部は、スラスト面119及びスラスト受け面147に供給される。本実施の形態では、反コンロッド側に油溜り壁139を形成し、反コンロッド側から漏れるオイル量を制限しているため、コンロッド側のスラスト面119及びスラスト受け面147に適切な量のオイルを供給することができる。
【0060】
図8に示すように、ブッシュ支え部137の径方向の厚さt1は、全周に亘ってブッシュ130の径方向の厚さt2以上の厚さに形成されており、本実施の形態では、厚さt1は厚さt2の2倍以上の厚さに形成されている。このように、ブッシュ130が、ブッシュ130の径方向の厚さt2の厚さ以上の厚さt1を有するブッシュ支え部137によって支持されるため、ブッシュ130を安定して支持できるとともに、側面板部120から受けるブッシュ130の熱影響や歪の影響を分散して緩和できる。
【0061】
保持壁23Aの内周結合面127Aは、ブッシュ130の拡径部132A及び回り止め部132Bに結合され、ブッシュ130が鋳込まれる際には、不連続に並んだ回り止め部132Bに内周結合面127Aの一部が入り込む。また、回り止め部132Bの存在によって内周結合面127Aと外周面132との接触面積は大きく確保されている。このように、回り止め部132Bによってブッシュ130の回転方向の力を受けるとともに、ブッシュ130の結合面の接触面積が大きく確保されているため、ブッシュ130をクランクシャフト支持孔110に強固に結合させることができる。
【0062】
ブッシュ130は、一側ケース91の鋳造の際、外側の側面部133Aを鋳造型に設けられた複数の支持脚(不図示)によって支持された状態で鋳込まれ、上記支持脚は、ブッシュ130が鋳込まれた後に取り除かれる。図6に示すように、一側ケース91の外側面の幅広両覆い部128Aには、上記支持脚を取り除くことで生じた切り欠き溝134が形成されている。切り欠き溝134は、クランクシャフト支持孔110の内周面に沿って略120°間隔で3箇所に形成されている。各切り欠き溝134は、幅広両覆い部128Aの内周面に繋がる緩やかな略U字形状に形成されている。
【0063】
このように、各切り欠き溝134が幅広両覆い部128Aの内周面に繋がるように径方向の内側に寄せて設けられており、各切り欠き溝134の大きさを小さくできるため、幅広両覆い部128Aの強度を確保できる。例えば、切り欠き溝として円形の穴部が径方向において、より外側に設けられた場合、この穴部と幅広両覆い部128Aの先端部との間に薄肉部が形成されるため、欠けが生じ易くなる。
また、各切り欠き溝134が、ブッシュ130の外周面132から離れた幅広両覆い部128Aの内周側の先端部に位置しており、ブッシュ130に加わる応力が各切り欠き溝134に作用しにくいため、各切り欠き溝134の近傍の幅広両覆い部128Aの欠け等を防止することができる。
さらに、反コンロッド側に流れたオイルの内の余分なオイルを切り欠き溝134を通して排出でき、スラスト面119側へのオイルの供給量を適切に調整できる。
【0064】
図11は、図6におけるXI−XI断面図である。
図11に示すように、一側ケース91において、底部油路98はクランクシャフト支持孔110の下方に位置し、一側ケース91を車幅方向に貫通している。底部油路98はジャーナル油路99に連通し、ジャーナル油路99は側面板部120内を上方に延びている。ジャーナル油路99の上端は、ブッシュ130を径方向に貫通するブッシュ油路135(径方向の貫通孔)に連通している。
【0065】
ジャーナル油路99及びブッシュ油路135は、ブッシュ130が鋳込まれた状態の一側ケース91に対し、図11中に矢印Sで示すように、一側ケース91の下面から底部油路98に連通するように挿入されるドリル(不図示)によって孔開け加工されることで形成される。このように、ブッシュ130を鋳込んだ後にジャーナル油路99及びブッシュ油路135を一度に同軸加工するため、ブッシュ130を鋳込む際にジャーナル油路99とブッシュ油路135との位置合わせをする必要がなく、生産の作業性を向上させることができる。また、ブッシュ130を鋳込む際にブッシュ油路135が溶湯によって塞がれることが無い。
また、ブッシュ130の内径は、ブッシュ130を鋳込む前には仕上げられておらず、ブッシュ130が鋳込まれた後に、滑り軸受111の圧入寸法に合わせて高精度に仕上げ加工される。
本実施の形態では、クランクケース25を上下割りではなく左右割りとして円環状のブッシュ130を鋳込んだため、ブッシュ130の内周面131に分割面が無く、内周面131を容易に高精度な円形に加工することができ、生産性が良い。
【0066】
図12は、滑り軸受111を示す図であり、図12(a)は正面図、図12(b)は図12(a)のXII−XII断面図である。
滑り軸受111は、クランクシャフト41の軸線G(図3参照)を通る平面でリングを半円状に2等分するようにして形成された一対の半割り体140,140(図7及び図12参照)によって構成されている。ここで、図12では、滑り軸受111の1個の半割り体140が示されている。
【0067】
半割り体140は、半円の円弧状に形成されており、内周側でジャーナル部104A(他側ケース92ではジャーナル部104B)を受ける受け面141と、外周側でブッシュ130に圧入される圧入面142とを有している。
受け面141の幅方向の中央には、受け面141の周方向の全体に亘って延びるオイル溝143が形成されている。オイル溝143には、半割り体140を貫通するオイル孔144が2箇所に形成されている。一対の半割り体140,140は、同一部品である。
ここで、半割り体140は、ベースとなる円弧状の鋼材の内周面に銅合金をコーティングし、さらにこの銅合金の層の表面に錫メッキを施した、いわゆるメタル軸受の半割り体である。
【0068】
半割り体140の周方向の両端面は、一対の半割り体140,140が合わさる一対の割り面145となっており、割り面145が位置する面は、滑り軸受111の軸線を通るとともにこの軸線に平行な平面である。滑り軸受111の軸線はクランクシャフト41の軸線Gに一致している。
割り面145は、切削或いは研削等の機械加工によって平坦に加工されている。このため、半割り体140,140同士を合わせた状態における割り面145の接触面積を大きく確保でき、組み付け作業性を向上できるとともに、半割り体140,140をより安定した状態で合わせることができる。
また、半割り体140の幅方向の両側面146A,146B(滑り軸受の軸方向の両側面)は、滑り軸受111の軸線に略直交する面であり、平坦な面に仕上げられている。
【0069】
図10に示すように、滑り軸受111の幅はブッシュ130の幅よりも小さく形成されており、滑り軸受111はブッシュ130における幅方向の略中央に位置するように圧入される。詳細には、滑り軸受111は、図10に矢印Tで示すように、クランク室23の側の側面146Bを押圧する工具によって圧入される。この際、側面146Bは平坦に仕上げられているため、上記工具と側面146Bとの接触面積を確保できるとともに圧入方向に正しく力を加えることができ、圧入の作業性を向上できる。
【0070】
また、クランクシャフト支持孔110にブッシュ130を配置し、アルミ合金製のクランクケース25ではなく、クランクケース25よりも剛性及び硬度が高い鋳鉄製のブッシュ130に滑り軸受111を圧入する構成としたため、圧入の締め代を高く確保でき、より強固に滑り軸受111を固定できる。
さらに、滑り軸受111の幅がブッシュ130の幅よりも小さく、滑り軸受111の両側面146A,146Bが一側ケース91の幅広両覆い部128A,128Bから逃げており、エンジン24の熱による熱膨張によって幅広両覆い部128A,128Bが滑り軸受111に接触することを防止できるため、滑り軸受111の組み付け位置を正しい位置に維持することができる。
【0071】
図7に示すように、滑り軸受111は、一対の割り面145がシリンダ軸線Cに対して略直交する向きでブッシュ130に圧入されている。ここで、ピストン39(図2参照)の上下動に伴ってジャーナル部104A,104Bを介して滑り軸受111にかかる力は、シリンダ軸線Cの延在方向に作用し、この力は半割り体140の円弧の頂点部141Aに大きく作用する。
本実施の形態では、割り面145がシリンダ軸線Cに対して略直交する向きとなるように半割り体140を配置し、割り面145にピストン39の上下動に伴う力が大きく作用することを防止できるため、滑り軸受111によってクランクシャフト41をより安定的に支持できる。
【0072】
また、半割り体140のオイル孔144(図12参照)は、上記のように割り面145がシリンダ軸線Cに対して略直交する向きとなるように半割り体140を配置した状態において、ブッシュ130のブッシュ油路135に連通する位置に形成されている。
オイルポンプ86によってジャーナル油路99に供給されたオイルは、ブッシュ油路135及びオイル孔144を通って半割り体140の内周側のオイル溝143に供給される。そして、ジャーナル部104A,104Bは、ジャーナル部104A,104Bの全周に亘って設けられたオイル溝143を介して潤滑される。
【0073】
本実施の形態では、ブッシュ130の内周面131が溝なしの平坦面であるとともに、ブッシュ油路135が1箇所しか設けられていないため、ブッシュ130の剛性を向上でき、クランクシャフト41を安定的に支持できる。また、内周面131が溝なしの平坦面であり、ブッシュ130の熱膨張を均一化できるため、クランクシャフト41を安定的に支持でき、さらに、圧入する際に半割り体140の側面146Aが溝に引っ掛からないため、組み付け作業性が良い。
【0074】
図3及び図4に示すように、他側ケース92のクランクシャフト支持孔110にも、一側ケース91と同様に、ブッシュ130が鋳込まれており、このブッシュ130にはクランク室23の側から滑り軸受111が圧入されている。
クランクシャフト41は、滑り軸受111がそれぞれ圧入された一側ケース91及び他側ケース92を、クランクシャフト41の軸方向の両側から嵌め込んで、各滑り軸受111内にジャーナル部104A,104Bを嵌合させることでクランクケース25に組み付けられる。
【0075】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、クランクシャフト41のジャーナル部104A,104Bを支持する軸受を滑り軸受111とする一方で、コンロッド42の大端部42Aの軸受を転がり軸受であるローラベアリング112としたため、大端部42Aのローラベアリング112に供給するオイル量を低減できる。これにより、クランクシャフト41のジャーナル部104A,104Bの2つの軸受けを滑り軸受111として小型化を図りつつ、供給するオイル量を低減できるため、オイルポンプ86を小型化できる。
【0076】
また、2分割で構成される滑り軸受111の割り面145及び軸方向の両側面146A,146Bを平坦な形状とし、滑り軸受111をクランクシャフト支持孔110に圧入する際に押される側面146B、及び、割り面145の面積を確保したため、組立ての作業性を向上できる。また、クランクシャフト支持孔110にアルミ合金製のクランクケース25に対して剛性が高い鋳鉄製のブッシュ130を配置したため、滑り軸受111の圧入の締め代を高くでき、滑り軸受111をより強固に固定できる。
【0077】
また、ジャーナル部104A,104Bの径をその両側に位置する結合部105A,105Bよりも大径に形成し、ジャーナル部104A,104Bの表面の超仕上げ加工を、組立て式のクランクシャフト41の組立て前に行なうため、組立て後の比較的大きなクランクシャフト41に超仕上げ加工を行なう必要が無く、超仕上げ加工の加工設備を小型化できるとともに、生産性を向上できる。
さらに、ブッシュ130の内周面131が平坦な溝なし形状であり、外周の幅方向の中央部をリング状の拡径部132Aとしたため、ブッシュ130の剛性を高めることができるとともに、ブッシュ130の熱膨張を均一化でき、ブッシュ130のクランクケース25への結合強度を高めることができる。また、回り止め部132Bによってクランクケース25への結合強度を高めることができる。
【0078】
さらにまた、大端部42Aに導かれる一方のオイルが、クランクケース25の保持壁23A側から滑り軸受111に導かれる他方のオイルとは別に、軸端側支持部108を経由して軸内油路113を通るため、軸内油路113の給油量を大端部42Aのローラベアリング112に最適な給油量に減らすことができる。これにより、大端部42Aのローラベアリング112がオイル過多になることを防止でき、フリクションを低減することができる。
また、オイルポンプ86からクランクシャフト41に供給される一方のオイルが流れる軸内油路113が、動弁室53側の動弁系への上側油路95Aから小孔96Aを設けて分岐された通路であるため、他方のオイルが流れる滑り軸受111及び動弁系への給油量を確保しつつ、大端部42A側への給油量を簡単な構造で減らすことができる。また、給油量を減らすことができるため、オイルポンプ86を小型化することができる。
【0079】
また、滑り軸受111への給油が、ブッシュ130にジャーナル油路99,99と同軸加工された径方向のブッシュ油路135を通して行われるため、ジャーナル油路99,99とブッシュ油路135とを同軸に合わせる作業を無くすことができ、生産性を向上できる。
さらに、ブッシュ130が、側面板部120より幅広でブッシュ130の径方向の厚さt2以上の厚さt1を有するブッシュ支え部137によって支持されるため、ブッシュ130を安定して支持できるとともに、側面板部120から受けるブッシュ130への熱影響や歪の影響を分散して緩和できる。
また、幅広両覆い部128Bのコンロッド42側の側部に形成されたスラスト受け面147を、滑り軸受111から漏れ出たオイルで潤滑する場合に、反コンロッド側の幅広両覆い部128Aの油溜り壁139によってオイルの外側への漏れ量を制限できるため、オイル量を適切にして効率良くスラスト受け面147を潤滑できる。
【0080】
また、上記の実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態では、滑り軸受111は、2等分された一対の半割り体140,140によって構成されているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、滑り軸受は、一体に形成された管状のものであっても良い。また、その他の自動二輪車1の細部構成についても任意に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0081】
23A 保持壁(支持部材)
25 クランクケース
41 クランクシャフト
42A 大端部(コンロッド大端)
86 オイルポンプ
95A 上側油路(動弁系への給油通路)
96A 小孔(絞り部)
99,99 ジャーナル油路(クランクケース内通路)
103 クランクピン(クランクピン部)
104A,104B ジャーナル部(軸受部)
108 軸端側支持部(クランク軸端)
110 クランクシャフト支持孔(軸受圧入孔)
111 滑り軸受(クランク軸受)
112 ローラベアリング(転がり軸受)
113 軸内油路(軸内を通るオイル通路)
120 側面板部(周壁)
128A,128B 幅広両覆い部
130 ブッシュ
131 内周面(内周)
132 外周面(外周)
132A 拡径部
132B 回り止め部
133A,133B 両側面部(ブッシュの両側面)
135 ブッシュ油路(径方向の貫通孔)
137 ブッシュ支え部
139 油溜り壁
145 割り面
146A,146B 側面(滑り軸受の軸方向の両側面)
147 スラスト受け面(スラスト受け)
G 軸線(クランク軸線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフト(41)の軸方向の両側から結合されてクランクシャフト(41)を挟む左右割りクランクケース(25)に支持される内燃機関のクランクシャフトの支持構造において、
クランクシャフト(41)の両端を支持する両クランク軸受を滑り軸受(111)とする一方で、コンロッド大端(42A)の軸受を転がり軸受(112)としたことを特徴とする内燃機関のクランクシャフトの支持構造。
【請求項2】
前記滑り軸受(111)は2分割で構成され、クランク軸線(G)を通る割り面(145)及び滑り軸受(111)の軸方向の両側面(146A,146B)を平坦な形状とし、前記クランクケース(25)における軸受圧入孔(110)には、該クランクケース(25)の材料に対して剛性が高いブッシュ(130)を配置したことを特徴とする請求項1記載の内燃機関のクランクシャフトの支持構造。
【請求項3】
前記クランクシャフト(41)は両端部がクランクピン部(103)と分離して製造された組立て式のクランクシャフトであり、前記滑り軸受(111)に支持される両端の軸受部(104A,104B)の径をその両側よりも大径に形成し、該軸受部(104A,104B)の表面の超仕上げ加工を前記クランクシャフト(41)の組み立て前に行なうことを特徴とする請求項2記載の内燃機関のクランクシャフトの支持構造。
【請求項4】
前記ブッシュ(130)は内周(131)が平坦な溝なし形状で、外周(132)の幅方向の中央部をリング状の拡径部(132A)とし、両側部に周方向に不連続な回り止め部(132B)を設けたことを特徴とする請求項2記載の内燃機関のクランクシャフトの支持構造。
【請求項5】
オイルポンプ(86)は前記クランクシャフト(41)の軸方向における一側寄りに配置され、該オイルポンプ(86)から一方のオイルがクランク軸端(108)を経由して軸内を通るオイル通路(113)により前記コンロッド大端(42A)にオイルが導かれ、他方のオイルがクランクケース(25)の支持部材(23A)側から前記滑り軸受(111)に導かれることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の内燃機関のクランクシャフトの支持構造。
【請求項6】
前記一方のオイル通路(113)は動弁系への給油通路(95A)から絞り部(96A)を設けて分岐させた通路であることを特徴とする請求項5記載の内燃機関のクランクシャフトの支持構造。
【請求項7】
前記滑り軸受(111)への給油は、前記ブッシュ(130)にクランクケース内通路(99,99)と同軸加工された径方向の貫通孔(135)を通して行われることを特徴とする請求項4記載の内燃機関のクランクシャフトの支持構造。
【請求項8】
前記ブッシュ(130)を保持する前記クランクケース(25)の保持壁(23A)は、その周壁(120)に対してブッシュの両側面部(133A,133B)を覆う幅広両覆い部(128A,128B)と、前記ブッシュ(130)の外周面側で前記周壁(120)より幅広で且つ前記幅広両覆い部(128A,128B)より幅狭のブッシュ支え部(137)とを有し、該ブッシュ支え部(137)が前記ブッシュ(130)の厚さ以上の厚さとされたことを特徴とする請求項7記載の内燃機関のクランクシャフトの支持構造。
【請求項9】
前記幅広両覆い部(128A,128B)における反コンロッド側の側部には、前記ブッシュ(130)の側面(133A)を覆う覆い部(128A)をさらに内周側に延出させた油溜り壁(139)を形成し、コンロッド(42)側の側部には前記クランクシャフト(41)のスラスト受け(147)を形成したことを特徴とする請求項8記載の内燃機関のクランクシャフトの支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−36934(P2012−36934A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175688(P2010−175688)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】