説明

円形ワーク送出装置

【課題】摩擦係数が大きく、詰まりを生じ易いゴム製の円形ワークを、ズムーズに、かつ、一定送出ピッチにて、送り出して、検査装置等に送ることを目的とする。
【解決手段】ゴム等の弾性材の円形ワークWをパーツ供給手段101 から受け取ってパーツ移送手段102 に送り出す送出装置に於けるものである。ラジアル外方向に開口する凹周溝5を有する回転円盤6と、回転円盤6の凹周溝5を略閉じるように配設した円弧状の外周ガイド部材16とを、具備する。さらに、外周ガイド部材16の下流寄りにて凹周溝5内の円形ワークWを回転円盤6のラジアル方向へ押圧して円形ワークWを自転させつつ回転円盤6の周端縁部の周速R6 の約2分の1の送り速度Vに減速して1個ずつ送り出すワークころがし手段19を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形ワーク送出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にゴムや(軟質)プラスチック等の弾性材から成る円形リング状(Oリング等)や円形平板状や円形平環状の円形ワークを、その表面傷,バリ,欠け等を自動検査するには、その円形ワークを整列させて、検査エリア(画像処理装置等の検査装置)へ、送り出す(供給する)必要がある。
従来、この種の円形ワークの送出装置としては、パーツフィーダの排出部に設置した直進フィーダが使用されてきた(例えば特許文献1又は図26参照)。
例えば、図26に於て、送出装置41として直進フィーダ42を示し、前記円形ワークWはパーツフィーダ(ボウルフィーダ)43の排出部44に接近して、直進フィーダ42の上流側一端を設け、下流側他端を、ベルトコンベア45の上流端に対応して設けていた。ベルトコンベア45には、撮像装置及び画像処理装置等の検査機器(装置)が設けられる検査エリア46が存在する。
なお、上記特許文献1では、上記ベルトコンベア45に代えて回転透明板(ターンテーブル)が設けられている。
【特許文献1】特開平10−048150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図26に於て、直進フィーダ42は、パーツフィーダ43から送られてくるワークWの流れを遅くしてワーク排出間隔を一定時間以上に保つ役割があり、また、パーツフィーダ43は、大量のワークWを一列に整列して排出部から直進フィーダ42に渡す役割がある。パーツフィーダ43からのワーク供給速度を、直進フィーダ42よりも十分に大きく設定し、パーツフィーダ43の間欠的運転を行うのが一般的であるが、直進フィーダ42にワークWを押込むように供給すると、ワークWが(ゴムや軟質プラスチック等の)弾性材のものでは、ワークWが相互に重なり合って、トラブルを発生する。従って、パーツフィーダ43の排出速度を直進フィーダ42と同じ速度に調整して使用せねばならない場合が多い。
特に、図26に示す如く、ゴムや軟質プラスチック製の弾性材の円形ワークWは、摩擦係数が大きくスムーズに流れ難く、直進フィーダ42から成る従来の送出装置41では、ベルトコンベア45上に不等ピッチP…に載置されてしまうという問題があった。
【0004】
直進フィーダ42(送出装置41)からの送出ピッチPの最小値は、検査エリア46の検査装置の処理能力によって決まる。送出ピッチPが、この最小値に揃っておれば、検査処理能力が最大となり望ましいが、例えば、円形ワークWが小さい程、この最小値を確保するため直進フィーダ42の振幅を小さく設定する必要があり、振幅が小さくなれば、スムーズに流れなくなり、ワークWの平均流れピッチPが大きくなり、検査能力が著しく低下する。 また、弾性材から成る円形ワークWは摩擦係数が大きいためスムーズに流れず、流れの詰りや停止の頻度が高いという問題があり、特に、一定の送出ピッチPとするために、図26の符号47や符号48にて示す乗り移り部に、開閉ゲートを設けたとしても、詰まりや停止のトラブルが多発する。
【0005】
そこで、本発明は、このような従来の問題を解決して、(摩擦係数の大きい)ゴムや軟質プラスチック等の弾性材の円形ワークを、スムーズに、かつ、一定送出ピッチにて送り出すことが可能な送出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る円形ワーク送出装置は、ゴム等の弾性材の円形ワークをパーツ供給手段から受け取ってパーツ移送手段に送り出す送出装置に於て、ラジアル外方向に開口する凹周溝を有する回転円盤と、該回転円盤の凹周溝を略閉じるように配設した円弧状の外周ガイド部材とを、具備し、さらに、上記外周ガイド部材の下流寄りにて上記凹周溝内の上記円形ワークを上記回転円盤のラジアル方向へ押圧して円形ワークを自転させつつ上記回転円盤の周端縁部の周速の約2分の1の送り速度に減速して1個ずつ送り出すワークころがし手段を備えたものである。
また、上記ワークころがし手段によって減速された自転円形ワークの上流側に円形ワークが順次接触して並ぶ蓄積状態に保持し、上記外周ガイド部材の内周面と上記凹周溝の壁面にて、上記蓄積状態で保持するための蓄積室を形成した。
【0007】
また、上記ワークころがし手段は、上記外周ガイド部材の下流寄りに配設されると共に上記凹周溝に開口側から接近して上記円形ワークを上記回転円盤のラジアル内方へ押圧して円形ワークを自転させつつ上記送り速度に減速して1個ずつ送り出す内方押圧部材を有する。
【0008】
また、上記ワークころがし手段は、上記回転円盤と同一平面状に回転自在に付設されたプーリと上記凹周溝の溝底面とに懸け渡されたベルト部材を有し、該ベルト部材にて上記円形ワークを外周ガイド部材の内周面終端に押圧して円形ワークを自転させつつ上記送り速度に減速して1個ずつ送り出すように構成した。
【0009】
また、上記円形ワークの軸心が上記回転円盤の軸心と平行となるように円形ワークを上記凹周溝内に収納するようになっている。
また、上記円形ワークの外径寸法をD、肉厚寸法をTとし、上記凹周溝の深さ寸法をH、間隔寸法をKとした場合、 0.8×D≦H≦ 1.5×D、及び、 1.0×T<K< 1.7×Tとなるように上記凹周溝の寸法を設定した。
また、上記外周ガイド部材の内周面と上記凹周溝の溝底面との間隔幅寸法Eを、上記円形ワークの外径寸法Dに対して、D<E<2Dなる関係式が成立するように設定した。
また、上記回転円盤のワーク排出部近傍にワーク排出部材を上記凹周溝内へ侵入状に固設した。
【0010】
また、上記内方押圧部材の内面に、上記凹周溝の溝底面に接近する短弧状面部と、該短弧状面部の下流端に連設されると共に下流に向かって上記溝底面から離間する勾配面部と、を形成した。
また、上記内方押圧部材が上記凹周溝の溝底面に接近離間調整可能に付設されている。 また、上記回転円盤は、下部円板と中間円板と上部円板とを分解組立可能として重ね合わせた構造であり、上記中間円板の外径寸法を他の下部円板・上部円板の外径寸法よりも小さく設定して、上記凹周溝を形成したものである。
【発明の効果】
【0011】
詰まりを発生せずに、ゴム等の円形ワークをスムーズに、かつ、一定間隔(一定の送出ピッチ)にて送り出すことができる。従って、その後の検査工程あるいは組立工程等が能率良く行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1の平面図と図2の一部断面正面図に示すように、本発明は円形ワークWをパーツ供給手段101 から受け取ってパーツ移送手段102 に送り出す円形ワーク送出(整列)装置3である。
図1と図2に示す本発明の第1実施形態に於て、パーツ供給手段101 はパーツフィーダ1、パーツ移送手段102 はベルトコンベア2であり、このパーツフィーダ1とベルトコンベア2の間に、本発明に係る円形ワーク送出(整列)装置3が介設され、円形ワークWをパーツフィーダ1の排出部4から受取ってベルトコンベア2に一定の秒数毎に送り出す。本発明に係る送出装置3によって送り出される円形ワークWとしては、材質がゴムや軟質プラスチック等の弾性材から成り、Oリングや各種パッキン等の円形リング状のもの(図3〜図8参照)、あるいは、図9(b)のような円形平板状の部品、又は、図9(c)のような円形平環状の部品等を言う。パーツフィーダ1は、例えば、有底円筒型振動筒体1bを有し、その周壁内面に螺旋状誘導路1aを有し、振動筒体1bの振動に伴って円形ワークWが次々と誘導路1aを上昇して、誘導路1aの上端に連絡(連設)された平面視弧状の排出路1cの一端側が排出部4として、円形ワークWを送出装置3側へ順次排出(供給)する。
【0013】
本発明に係る円形ワーク送出装置3は、ラジアル外方向に開口する凹周溝5を有する回転円盤(回転ホイール)6を備えている。具体的には、この回転円盤6は略鉛直状軸心L6 廻りに回転自在に保持され、略水平面内を回転する。つまり、天板部材7aと支脚7bを有する架台7の天板部材7aに、可変速モータ8を垂下状に取着して、その出力軸8aに、小円筒型ボス部9a受取部9bから成る受盤9を介して、薄肉状円形の回転円盤6を、取付ける構造である。
そして、この回転円盤6は、図1,図2,図5〜図8に示すように、下部円板11と中間円板12と上部円板13とを、ボルト14, 15等によって、分解組立可能として重ね合わせた構造であり、中間円板12の外径寸法D12を、他の下部円板11・上部円板13の外径寸法D11,D13よりも小さく設定して、中間円板12の外周面を溝底面5aとし、かつ、中間円板12の厚さ寸法を(溝)間隔寸法Kとする前記凹周溝5を形成している。
【0014】
図1〜図7に於て、16は円弧状の外周ガイド部材であり、パーツフィーダ1の排出部4の端部───つまり、凹周溝5へのワーク入口部17───から、ベルトコンベア2へのワーク排出部18aにわたって、回転円盤6の外周面に接近して配設され、凹周溝5内から円形ワークWが(ラジアル外方向へ)飛び出さないようにガイドする。
この外周ガイド部材16の内周面は、微小寸法Gの間隙をもって、下部円板11に対応し、かつ、凹周溝5の開口部を略閉じるように対応する。そして、本発明は、ワーク排出領域18近傍にて凹周溝5内の円形ワークWを回転円盤6のラジアル内方へ押圧して、円形ワークWを自転させつつ減速して1個ずつ送り出すワークころがし手段19を備えている。ワークころがし手段19は、外周ガイド部材16の終端(下流端)に配設されると共に凹周溝5に開口側から接近して円形ワークWを回転円盤6のラジアル内方へ押圧する弧状の内方押圧部材10を有する。内方押圧部材10は、例えば、外周ガイド部材16の上面を切欠いて、その切欠部に載置して固着される。
【0015】
そして、図5と図6に示すように、円形ワークWはその軸心(Lw)が回転円盤6の軸心L6 と平行となるように凹周溝5内に収納される(送り込まれる)。そして、凹周溝5の溝底面5aと、外周ガイド部材16の内周面16aとの(ラジアル方向の)間隔幅寸法をEとし、かつ、円形ワークWの外径寸法をDとすると、D<E<2Dなる関係式が成立するように、上記間隔幅寸法Eを設定する。E≦Dであると円形ワークWが内周面16aに接触して(後述のように)円滑にワークWを送れなくなり、逆に、E≧2Dでは、2個の円形ワークW,Wが凹周溝5内で径方向に並んでしまって、円滑な送りができなくなる。
【0016】
即ち、回転円板6のワーク排出領域18近傍の上記内方押圧部材10は、回転円盤6の凹周溝5を開口側から接近して、凹周溝5内の円形ワークWを、回転円盤6のラジアル内方へ押圧して円形ワークWを自転(ころがし)させる円弧状内周面10aを有する。この内方押圧部材10の円弧状内周面10aは、図3、及び、図3中のB−B断面を示す図6と、図3中のC−C断面を示す図7にて明らかなように、矢印Rにて示した円盤6の回転方向の上流から下流側へしだいに凹周溝5の開口部5cへ接近し、乃至、開口部5cから僅かに侵入する。
【0017】
この内方押圧部材10の円弧状内周面10aと溝底面5aとの最小間隔寸法Zは、円形ワークWの外径寸法Dよりも小さく設定する。この最小間隔寸法Zは、内方押圧部材10の下流側端(排出部18a)寄りとする。このようにして、隣設されたパーツフィーダ1から矢印R方向に回転中の回転円盤6の凹周溝5内へ送り込まれる円形ワークWを、内方押圧部材10(ワークころがし手段19)にて自転させつつ減速して、上流側に円形ワークWが順次接触して並んだ(円弧状に一列に並んだ)蓄積状態に保持する。また、外周ガイド部材16の内周面16aと凹周溝5の(側面5b,5bと溝底面5aとから成る)壁面50にて(図5参照)、円形ワークWを上記蓄積状態で保持するための蓄積室38が形成されている。
20はワーク排出部材であって、ワーク排出部18a近傍に固設されている。ワーク排出部材20は、内方押圧部材10(の下流端)から1個ずつ一定の送出間隔P1 で送り出される円形ワークWを、ベルトコンベア2上に(掻き出して)送り出す。具体的には、ワーク排出部材20は、全体が円弧状であって、上流側(排出部18a側)に誘導勾配面20aを有する平面視三角形状の先端部を備え、この先端部が凹周溝5内へ侵入状に固設されている。
【0018】
図5〜図8及び図3と図4に於て、円形ワークWの外径寸法をDとし、肉厚寸法(上下厚さ寸法)をTとすると共に、凹周溝5の深さ寸法をHとし、間隔寸法(上下寸法)をKとすると、(なお、Oリングの場合には上記肉厚寸法Tとは線径が相当する。)以下のような寸法関係式が成立する。(なお、深さ寸法Hとは、本発明では、下部円板11の外周端から溝底面5aまでの寸法と定義する。)
即ち、
0.8×D≦H≦ 1.5×D
1.0×T<K< 1.7×T
このように、凹周溝5の寸法を設定することによって、次のような作用効果を奏する。 Kが( 1.0×T)以下であると、円形ワークWが凹周溝5の開口部5cに引掛って凹周溝5内へ侵入(差込み)できなくなり、逆に、 1.7×T≦Kとなると、凹周溝5内に2個の円形ワークW,Wが上下に重なり合って侵入する(差込まれる)虞を生ずる。
そして、H< 0.8×Dの場合には、凹周溝5に導入された円形ワークWが、いきなりころがり移動するため、円形ワークWが(後流のワーク排出領域18近傍で)蓄積状態とならずにワーク排出部18aから排出され、ワークWとワークWの間隔が一定とならない。即ち、凹周溝5に入り込んだワークWとワークWの間隔が、そのまま排出間隔P(図26参照)となってしまう(本発明の目的の一つが達成できなくなる)。逆に、 1.5×D<Hの場合には、(不必要に凹周溝5が深くなって、)周方向に沿って一列にワークWが並び難くなったり、不安定となり、内方押圧部材10を凹周溝5内へ不必要に侵入させる必要を生ずる。
【0019】
ところで、回転円盤6のワーク排出領域18近傍に固設の内方押圧部材10は、その円弧状内周面10aが、図3と図4に示すように、蓄積状態に円形ワークWを回転円盤6の周囲方向に沿って(小さな中心角度範囲で)一列に並べると共に、各円形ワークWを、図4の点Qにて示す位置で接触して、ラジアル内方へ押圧する。このようなラジアル内方への押圧を、(図3のC−C断面を示した)図7又は図8に於て、矢印21をもって示す。この矢印21方向への接点Qでの押圧により、円形ワークWは、凹周溝5の溝底面5aの矢印22にて示す(ラジアル外方向の)反力を受け、弾性的に僅かに平面視楕円形状に変形しつつ、矢印S方向にころがる(自転する)。接点23は、溝底面5aと円形ワークWとが接する点であり、両接点Q,23に於て、滑りがないものと仮定すれば、回転円盤6の軸心方向から見て、回転円盤6の周端縁部へ周速R6 の約2分の1の送り速度Vにて、蓄積状態に並んだ円形ワークWはワーク排出領域18近傍にて送り出される。
【0020】
外周ガイド部材16の存在する領域では、上述のように、D<E<2Dなる関係式が成立するので、ワークWは散発的に円滑に送られ、図5に示す如く、ワークWは下部円板11の上面(凹周溝5の下側面)に単に載った状態で、回転円盤6の周速R6 をもって下流(矢印R方向)へ送られるが、図3に示すように、内方押圧部材10(ワークころがし手段19)によって円形ワークWが溝底面5aとの間でころがり(自転)始めると、周速R6 の約2分の1の一定の送り速度Vに減速する。内方押圧部材10によって減速された自転円形ワークWrの上流側には、円形ワークWが順次接触して並び、蓄積室38内に蓄積状態(一列ころがり状態)で保持される。そして、内方押圧部材10の先端10cにて、自転円形ワークWrは下流のものから1個ずつ一定の送出間隔P1 で送り出される。つまり、内方押圧部材10の先端10cから出た円形ワークWは、再び回転円盤6の周速R6 に加速するので、(周速R6 の約2分の1の)送り速度Vの後方の自転円形ワークWrとの間には、一定の送出間隔P1 が生じる。その後、ワーク排出部18aでは、ワーク排出部材20によって、順次1個ずつ円形ワークWは掻き出されて、図1と図3のように、一定の送出ピッチP0 をもって、次々と円形ワークWがベルトコンベア2に送り出されてゆく。
一定の送出ピッチP0 をもって送り出された円形ワークWは順次、検査エリア46(図1参照)に送られるが、検査エリア46に於ける各種検査機器や画像処理装置の限界能力まで、送り出し速度を高めてセットする。例えば、可変速モータ8の速度と、ベルトコンベア2の速度を調節すれば良い。
【0021】
上述のように、回転円盤6の周速R6 は、ころがりつつ送られるワーク送り速度Vの約2倍であるので、上流から送られてくる円形ワークWはワーク排出部18aより上流側のワーク排出領域18(蓄積室38内)にて互いに密着するまで接近して蓄積状態となる。外周ガイド部材16の存在する散発送り領域では、図5に示す如く、ワークWの自重の摩擦力(下部円板11とワークW自重の摩擦力)は極めて小さく、そのような小さな力で、内方押圧部材10の存在するワーク排出領域18近傍で自転しつつ蓄積されたワークWを後方から押しても、送り出し速度Vを変えることはない。つまり、図7又は図8に矢印21, 22にて示したワーク挟み付け力は、ワークWの自重よりも桁違いに大であるので、一定の前記送り速度Vは変化することがない。
【0022】
なお、図8には、図5〜図7と比較すれば明らかなように、ワークWの寸法が変わった場合───図8では、図5〜図7よりもワークWの外径Dと肉厚(線径)寸法Tが増大した場合───に、中間円板12を取り替えるのみで、回転円盤6をそのまま使えることを示す。つまり、中間円板12の厚さ寸法を大きいものとすれば、凹周溝5の間隔寸法Kを簡単に増加でき、また、中間円板12の外径寸法D12を小さなものとすれば、凹周溝5の深さ寸法Hを増加できる。なお、図1,図2のボルト14, 15の着脱によって、上述の中間円板12の交換は容易である。
【0023】
次に、図9に示した本発明の第2実施形態では、内方押圧部材10を上流端の支軸24にてラジアル内外方向に先端10cを揺動可能に枢支して、弾発部材25にてラジアル内方向へ弾発的に付勢して、円形ワークWの変形量が小さい材質・形状等の場合に対応している。例えば、Oリングやシール材に比較して、図9(b)や図9(c)のような形状では、線径方向に弾性変形量が小さいので、このように弾発付勢された図9(a)のような内方押圧部材10が好適である。なお、図示省略するが、図3と図4のように固着した内方押圧部材10の内周面10aまたは中間円板12の外周面を弾性材製として、同様の作用効果を得るようにすることも、自由である。
【0024】
次に、図10〜図13と図1に於て、パーツフィーダ1の排出部4は、回転中の回転円盤6の凹周溝5内へ円形ワークWをスムーズに送り込むために、平面的に見て円形ワークWを回転円盤6の接線26に対して、10°〜60°の侵入角度θをもって、配設されていることが望ましい。
言い換えると、パーツフィーダ1の排出部4が、回転円盤6の接線26に対して、10°≦θ≦60°の鋭角接近角度をもって、接続(対応)しており、円形ワークWは、回転円盤6の中心に向かう場合に比較して、スムーズに凹周溝5内へ導入・誘導されることとなる。特に、図11と図12でも明らかなように、凹周溝5を形成する上面(上部円板13下面)、溝底面5a、及び、下面(下部円板11の上面)は全て、矢印R方向に移動中であるので、ワークWは極めてスムーズに(詰まることなく)凹周溝5へ誘導案内されることとなる。
【0025】
そして、28は、凹周溝5内への(図11に2点鎖線で示したような)ワーク積重ね27のままで送り込みを防ぐための誘導帯板である。この誘導帯板28は、パーツフィーダ1の排出部4に、取着されている。そして、凹周溝5の間隔寸法Kと略同一幅寸法Mのワーク導入片部29と、回転円盤6の外周端面30から先端が分離状として、積重った円形ワークW,Wを、パーツフィーダ1の内方へ導くためのワーク還流片部31とを、有しており、この誘導帯板28は、基端はネジ(ボルト)等にてパーツフィーダ1の排出部に固着され、中間から2枚に分離して、上方側のワーク還流片部31は外周端面30から分離して、ワークWが通過可能な還流路32を形成している。このように、誘導帯板28は、ワーク流れを阻害するところの積重ね円形ワークW,Wを強制的に分離するものである。
【0026】
図10と図11に示すように、ワークW,Wが積重なった状態(ワーク積重ね27)にて、排出部4を矢印Y方向へ送られてくると、上方のワークWは上部円板13に邪魔され、凹周溝5内へは侵入できず、下方のワークWのみが凹周溝5内へスムーズに送り出される。上方のワークWはワーク還流片部31によって還流路32から、図10の矢印34のように、パーツフィーダ1の内方へ還流する。
このように、パーツフィーダ1から回転円盤6の凹周溝5へのワークWの乗り移りがスムーズであり、ワーク入口が左右方向に拡大して開き、かつ、移動しているので、ワークWの引掛りが生じようとすると、瞬時に解消できる。さらに、平面的に見て、10°≦θ≦60°の鋭角をもって、ワークWが凹周溝5へ接近しつつ侵入するので、一層、詰まりが生じないで、スムーズに乗り移りが可能となった。そして、凹周溝5に取り込まれたワークWは、上面・下面・溝底面が移動面であり、外周側の面(外周ガイド部材16の内面)のみが固定面であるので、弾性材といえども、ワークWは詰まりを生じない。(なお、直進フィーダやベルトコンベアでは、下面のみが進行し、天井面・左右側面は進行を防げる固定面であるので、従来から、詰まり易かった。)
【0027】
なお、円形ワークWのサイズが変われば、中間円板12のみを取り替えれば、容易に対応可能なことは、既述した通りであるが、上述のようにワークWの詰まりが生じ難い構造であるので、近似サイズの円形ワークには(同一寸法のままで)共用でき、微調整は不要であるという利点も、図示の実施の形態の送出装置3は有している。
なお、円形ワークWとしては、Oリング等のシール材等の円環状リングの他に、図9(b)のような円形平板形状や、図9(c)のような平環形状のものであっても良い。また、回転円盤6としては、3枚の円板11, 12, 13のものに限らず、2枚の段付円板をもって構成したり、1枚の一体構造とすることも、場合によっては好ましい。また、所定の一定送出ピッチP0 にて送り出されたベルトコンベア2上の円形ワークWは、表面傷や汚れやバリや欠損等の検査を行う検査エリア46に送る場合の他に、パーツとしての円形ワークWを、その後、組立てる工程やその他の工程に送る場合もある。そして、一定の送出ピッチP0 にて送られることで、上記検査,又は、組立てやその他の工程では、最も能率良く作業が行う得ることとなる。
【0028】
上述した本発明の実施形態は、比較的摩擦係数の小さい円形ワークWを送り出すのに好ましい。また、特に摩擦係数の大きい弾性材から成る円形ワークWであってもスムーズにかつ所定間隔に送り出せる円形ワーク送出装置を以下に提示する。
図14と図15に示す本発明の第3実施形態の円形ワーク送出装置3は、上記第1・第2実施形態のものと同様に、パーツフィーダ1(パーツ供給手段101 )とベルトコンベア2(パーツ移送手段102 )との間に介設され、ゴム等の弾性材の円形ワークWをパーツフィーダ1から受け取ってベルトコンベア2に送り出す。図に於て、6はラジアル外方向に開口する凹周溝5を有する回転円盤であり、17が隣接されたパーツフィーダ1から円形ワークWを凹周溝5内へ送り込むワーク入口部、18aが凹周溝5内の円形ワークWをベルトコンベア2へ排出するワーク排出部である。また、ワーク排出部18a近傍には、ワーク排出部材20が凹周溝5内へ侵入状に固設されている。
【0029】
以下、第1・第2実施形態と相違する構成について説明する。
図14に於て、円弧状の外周ガイド部材16が、回転円盤6の凹周溝5を略閉じるように配設され、外周ガイド部材16の終端(下流端)は、ワーク排出部18aから上流側に少し離れた位置に配設されている。そして、外周ガイド部材16の終端近傍(又は終端)には、ワークころがし手段19である平面視略正方形の内方押圧部材10が付設されている。つまり、図14に示す第3実施形態では、図1に示す実施形態と異なり、内方押圧部材10がワーク排出部18a近傍に付設されていない。また、内方押圧部材10はワーク排出部材20とも離れた位置に配置されている。
【0030】
図16は、図14の要部拡大図であり、図に示すように、内方押圧部材10はその内面35が、凹周溝5内に侵入状に配設され、内方押圧部材10の内面35には、上流側の短弧状面部36と、下流側の勾配面部37と、が形成されている。短弧状面部36は(下流へ向かって)凹周溝5の溝底面5aに接近する内方凸弧状面であり、勾配面部37は短弧状面部36に連設されると共に(下流へ向かって)溝底面5aから離間するように配設されたストレート面に形成されている。この内方押圧部材10の内面35と溝底面5aとの最小間隔寸法Zは、円形ワークWの外径寸法Dよりも小さく設定する。この場合、短弧状面部36と勾配面部37の連結部と、溝底面5aとの間の間隔寸法が、最小間隔寸法Zとなる。
【0031】
そして、ワーク入口部17(図14参照)から凹周溝5内へ送り込まれた円形ワークWは、回転円盤6の周速R6 をもって下流へ送られるが、内方押圧部材10の短弧状面部36に当接するところがり(自転)始め、周速R6 の2分の1の送り速度Vに減速される。
内方押圧部材10によって減速された自転円形ワークWrの上流側には、円形ワークWが順次接触して並んで、外周ガイド部材16の内周面16aと凹周溝5の壁面50にて形成される蓄積室38内に蓄積状態に保持されるようになっている。
【0032】
また、内方押圧部材10に接触した円形ワークWは、図16(b)に示すように、短弧状面部36にてラジアル内方へ押圧され、溝底面5aからはラジアル外方向の反力を受けて、弾性変形しつつ矢印S方向へころがり(自転し)、回転円盤6の周端縁部の周速R6 の約2分の1の送り速度Vに減速される。円形ワークWは自転しつつ送り速度Vで前進し、短弧状面部36(短い領域)を通過して、すぐに勾配面部37に送られる。勾配面部37と溝底面5aの間では、勾配面部37と溝底面5aの間隔寸法は下流へ向かって次第に広くなっているので、円形ワークWは弾性的に(円形に)復元しつつ送り速度Vで前進し、勾配面部37の下流端から1個ずつ送り出される。このように、この実施形態では、円形ワークWは短弧状面部36の短い領域でラジアル内方へ押圧して略楕円形に弾性変形し、その後、開放状の勾配面部37にて弾性復元しつつ送り出される。
【0033】
図16(a)に於て、内方押圧部材10(ワークころがし手段19)にて送り出された円形ワークWは、再び回転円盤6の周速R6 に加速するので、(周速R6 の約2分の1の)送り速度Vの後方の自転円形ワークWrとの間には一定の送出間隔P1 が生じることとなる。そして、一定の送出間隔P1 で送られてくる円形ワークWを、ワーク排出部材20にてベルトコンベア2上に(掻き出して)送り出す。
【0034】
また、内方押圧部材10は、外周ガイド部材16の上面の切欠部に載置され、内方押圧部材10に貫設された長孔39に、ボルト等の止め具40を挿通して固着されている。この長孔39はラジアル方向に配設され、内方押圧部材10をラジアル方向に移動して付設することが可能である。即ち、内方押圧部材10を凹周溝5の溝底面5aに接近離間調整可能に付設して、円形ワークWの径寸法や変形量・材質等に応じて、円形ワークWへの押圧力を調整可能となっている。
なお、本発明の上記第1実施形態との上記相違点以外は、第1実施形態と同様の構成であるので説明を省略する。
【0035】
図17は本発明の第4実施形態の要部拡大平面図であり、図16で説明した第3実施形態と、内方押圧部材10の形状が異なっている。具体的には、図17(a)に示すように、この内方押圧部材10は、平面視略長方形に形成され、円弧状の外周ガイド部材16の終端近傍に付設されている。そして、凹周溝5内に侵入する内方押圧部材10の内面35には、(下流へ向かって)凹周溝5の溝底面5aに接近する内方凸弧状の短弧状面部36と、短弧状面部36に連設されると共に(下流へ向かって)溝底面5aから離間するように配設されたストレート状の勾配面部37と、が形成されている。図17(a)に示す勾配面部37は、図16(a)に示す勾配面部37より長く配設されている。また、内方押圧部材10の内面35と溝底面5aとの最小間隔寸法Zは、円形ワークWの外径寸法Dよりも小さく設定されている。
この第4実施形態の場合も、上記図16にて説明したのと同様に、円形ワークWは短弧状面部36にて短い領域でラジアル内方へ押圧して略楕円形に弾性変形し、その後、勾配面部37にて弾性復元しつつ一定の送出間隔P1 で送り出されるようになっている。
また、内方押圧部材10にはラジアル方向に配設された2個の長孔39,39が貫設され、各長孔39,39に挿通された止め具40,40にて外周ガイド部材16の終端近傍に固着されている。
【0036】
また、図18に本発明の第5実施形態を示す。この場合、ワークころがし手段19である内方押圧部材10は平面視円形に形成されている。この内方押圧部材10の円周面49の一部が凹周溝5内に侵入状に配設されており、その侵入状の円周面49にて上流からの円形ワークWをラジアル内方に押圧する。また、内方押圧部材10の円周面49と溝底面5aとの最小間隔寸法Zは、円形ワークWの外径寸法Dよりも小さく設定されている。そして、円形ワークWは円周面49(短弧状面部36)にて短い領域でラジアル内方へ押圧して略楕円形に弾性変形し、その後、弾性復元しつつ一定の送出間隔P1 で送り出される。
また、内方押圧部材10にはラジアル方向に配設された長孔39が貫設され、長孔39に挿通された止め具40にて外周ガイド部材16の終端近傍に固着されている。
【0037】
また、図14に於て、内方押圧部材10を外周ガイド部材16の終端又はその近傍に付設する場合に限らず、外周ガイド部材16の下流よりの途中位置に付設してもよい。また、外周ガイド部材16の終端をワーク排出部18a近傍に配設し、内方押圧部材10はワーク排出部18aから上流側に離れた位置に付設しても自由である。
【0038】
図19と図20に本発明の第6実施形態を示す。
第6実施形態の円形ワーク送出装置3は、回転円盤6と同一平面状に回転(空転)自在に設けられたプーリ51を具備し、プーリ51の外周溝51aと回転円盤6の凹周溝5の溝底面5a(中間円板12の外周面)とにベルト部材52が懸け渡されている。そして、回転円盤6が図19に示す矢印Rの方向に回転駆動することによって、ベルト部材52が矢印Xの方向に周回するようになっている。また、ベルト部材52を、ワーク排出部18a近傍にて溝底面5aから離れ凹周溝5内から繰り出されるように配設して、円形ワークWが周回するベルト部材52に沿って誘導案内され凹周溝5内から下流のベルトコンベア2に排出されるようになっている。このように、周回するベルト部材52にて円形ワークWを誘導案内することで、円形ワークWをワーク排出部18aからスムーズにかつ精度良く一定送出ピッチP0 にてベルトコンベア2に送ることができる。なお、この場合、図1に示すワーク排出部材20は省略されている。
【0039】
図20に於て、架台7の天板部材7aの下面に取付板53が固着され、プーリ51はこの取付板53に形成されたベルト張力調整用の長孔部54にボルト・ナット等の締結具にて取り付けられている。つまり、プーリ51の取付位置を長孔部54に沿って変更することで、ベルト部材52の張力を調整可能となっている。
また、図21(a)に示すように、外周ガイド部材16の終端(下流端)は、ワーク排出部18aから上流側に少し離れた位置に配設され、外周ガイド部材16の終端には、平面視略正方形の内方押圧部材10が付設されている。図21(b)に於て、円形ワークWが内方押圧部材10に接触すると、円形ワークWは内方押圧部材10と周回するベルト部材52との間で弾性変形しつつころがり(自転し)、回転円盤6の周端縁部の周速R6 の約2分の1の送り速度Vに減速される。その後、円形ワークW(自転円形ワークWr)は、内方押圧部材10から1個ずつ一定の送出間隔P1 をもって送り出され、周回するベルト部材52に沿って凹周溝5内から下流のベルトコンベア2に排出される。また、内方押圧部材10の上流側の外周ガイド部材16と凹周溝5の壁面50(及びベルト部材52)にて、円形ワークWを蓄積状態で保持するための蓄積室38が形成されている。なお、内方押圧部材10の内面35には、上流側の短弧状面部36と、下流側の勾配面部37と、が形成されており、短弧状面部36と勾配面部37との作用については上記図16で説明した作用と同様であるので説明を省略する。
【0040】
図22は本発明の第7実施形態を示し、円形ワーク送出装置3は、回転円盤6と同一平面状に回転(空転)自在に設けられたプーリ51を具備し、プーリ51の外周溝51aと回転円盤6の凹周溝5の溝底面5aとにベルト部材52が懸け渡されている。回転円盤6が矢印Rの方向に回転駆動することによって、ベルト部材52が矢印Xの方向に周回する。また、ベルト部材52を、ワーク排出部18a近傍にて溝底面5aから離れ凹周溝5内から繰り出されるように配設して、円形ワークWが周回するベルト部材52に沿って誘導案内され凹周溝5内から下流のベルトコンベア2にスムーズに排出されるようになっている。
【0041】
また、外周ガイド部材16の終端はワーク排出部18a近傍に配設され、ベルト部材52にて円形ワークWを外周ガイド部材16の内周面16a終端に押圧するように構成されている。つまり、ワーク排出部18a近傍に於て、外周ガイド部材16の内周面16a終端とベルト部材52との間隔寸法は、円形ワークWの外径寸法より小さく設定されている。そして、図23(b)に示すように、円形ワークWは、ワーク排出部18a近傍にて、ベルト部材52から矢印72で示すラジアル外方の押圧力を受けると共に、外周ガイド部材16から矢印71で示す(ラジアル内方の)反力を受け、弾性的に僅かに平面視楕円形状に変形しつつ、矢印S方向にころがる(自転する)。このように、ベルト部材52にて円形ワークWをラジアル外方向に押圧し、外周ガイド部材16の内周面16a終端と、周回するベルト部材52の間で、円形ワークWを自転させつつ送り速度Vに減速して1個ずつ送り出す。即ち、このベルト部材52は、円形ワークWを自転させるワークころがし手段19と、円形ワークWを下流のベルトコンベア2に排出するワーク排出部材との両方の役割を兼ねるものである。従って、この第7実施形態では、図1に示す内方押圧部材10とワーク排出部材20とを省略することができる。なお、円形ワークWは外周ガイド部材16の終端から1個ずつ一定の送出間隔P1 で送り出されるが、その直後にベルト部材52に沿ってベルトコンベア2へ排出されるため送出間隔P1 は図示省略している。
【0042】
また、架台7の天板部材7aの下面に取付板53が固着され(図20参照)、プーリ51はこの取付板53に形成されたベルト張力調整用の長孔部54にボルト・ナット等の締結具にて取り付けられている。つまり、プーリ51の取付位置を長孔部54に沿って変更して、ベルト部材52の張力を調整することで、外周ガイド部材16終端での円形ワークWに対するラジアル外方向の押圧力を調整することができる。
【0043】
また、本発明の円形ワーク送出装置は設計変更自由であり、図24に示すように、パーツ移送手段102 をベルトコンベア2に代えて、回転透明板(ターンテーブル)62としてもよく、さらに、図25に示すように、パーツ供給手段101 をパーツフィーダ1に代えて、直進フィーダ61としても構わない。
【0044】
本発明は上述のように、ゴム等の弾性材の円形ワークWをパーツ供給手段101 から受け取ってパーツ移送手段102 に送り出す送出装置に於て、ラジアル外方向に開口する凹周溝5を有する回転円盤6と、回転円盤6の凹周溝5を略閉じるように配設した円弧状の外周ガイド部材16とを、具備し、さらに、外周ガイド部材16の下流寄りにて凹周溝5内の円形ワークWを回転円盤6のラジアル方向へ押圧して円形ワークWを自転させつつ回転円盤6の周端縁部の周速R6 の約2分の1の送り速度Vに減速して1個ずつ送り出すワークころがし手段19を備えたので、ワークころがし手段19にて円形ワークWを一定の送出間隔P1 で送り出すことができる。そして、円形ワークWを下流のパーツ移送手段102 へ所定の一定送出ピッチP0 にて送ることができ、円形ワークWはその後の検査工程や自動組立工程にて、効率良く検査や組立を行うことができる。さらに、回転円盤6の凹周溝5内へ、パーツ供給手段101 からゴムや軟質プラスチック等の摩擦係数の大きい弾性材であっても、詰まりを生ずることなくスムーズに、送り込みすることが可能である。
【0045】
また、ワークころがし手段19によって減速された自転円形ワークWrの上流側に円形ワークWが順次接触して並ぶ蓄積状態に保持し、外周ガイド部材16の内周面16aと凹周溝5の壁面50にて、蓄積状態で保持するための蓄積室38を形成したので、パーツ供給手段101 から不等ピッチで供給される円形ワークWを、一旦蓄積状態に並べて一定の送出間隔P1 で送り出すことができる。また、蓄積室38内に円形ワークWを蓄積状態に確実に保持することができ、外周ガイド部材16にて蓄積状態にある円形ワークWが凹周溝5内から外方へ飛び出すことを防止できる。
【0046】
また、ワークころがし手段19は、外周ガイド部材16の下流寄りに配設されると共に凹周溝5に開口側から接近して円形ワークWを回転円盤6のラジアル内方へ押圧して円形ワークWを自転させつつ送り速度Vに減速して1個ずつ送り出す内方押圧部材10を有するので、簡単な構造にて円形ワークWを一定の送出間隔P1 でスムーズに送り出すことができる。
【0047】
また、ワークころがし手段19は、回転円盤6と同一平面状に回転自在に付設されたプーリ51と凹周溝5の溝底面5aとに懸け渡されたベルト部材52を有し、ベルト部材52にて円形ワークWを外周ガイド部材16の内周面16a終端に押圧して円形ワークWを自転させつつ送り速度Vに減速して1個ずつ送り出すように構成したので、簡単な構造にて円形ワークWを一定の送出間隔P1 でスムーズに送り出すことができる。
【0048】
また、円形ワークWの軸心Lwが回転円盤6の軸心L6 と平行となるように円形ワークWを凹周溝5内に収納するので、円形ワークWがワークころがし手段19にてラジアル方向(内方又は外方)へ押圧された際に、円形ワークWの外周面と、(回転する回転円盤6の)凹周溝5の溝底面5a、又は、ベルト部材52とが、接触することができる。このことにより、円形ワークWを凹周溝5内で円滑に自転させて減速させることができると共に、一定の送出間隔P1 でスムーズに送り出すことができる。
【0049】
また、円形ワークWの外径寸法をD、肉厚寸法をTとし、凹周溝5の深さ寸法をH、間隔寸法をKとした場合、 0.8×D≦H≦ 1.5×D、及び、 1.0×T<K< 1.7×Tとなるように凹周溝5の寸法を設定したことによって、円形ワークWが重なり合った状態で凹周溝5内へ侵入することを確実に阻止可能であり、凹周溝5内で安定姿勢で円滑に送ることが可能で、かつ、後ろから送られてくるこれ等の円形ワークWが蓄積状態のワークWを無理に押すことが無く、従って、排出部から精度良く一定時間間隔(従って一定送出ピッチP0 にて)パーツ移送手段102 に円形ワークWを送ることができる。
【0050】
また、外周ガイド部材16の内周面16aと凹周溝5の溝底面5aとの間隔幅寸法Eを、円形ワークWの外径寸法Dに対して、D<E<2Dなる関係式が成立するように設定したので、ワーク入口部17から円滑に、ワーク排出領域までワークWを搬送できる。
また、回転円盤6のワーク排出部18a近傍にワーク排出部材20を凹周溝5内へ侵入状に固設したので、凹周溝5内の円形ワークWをスムーズに掻き出してパーツ移送手段102 へと送り出すことができる。
【0051】
また、上記内方押圧部材10の内面35に、凹周溝5の溝底面5aに接近する短弧状面部36と、短弧状面部36の下流端に連設されると共に下流に向かって溝底面5aから離間する勾配面部37と、を形成したので、円形ワークWはスムーズに短弧状面部36と溝底面5aとの間に進入することができ、その後、円形ワークWは勾配面部37と溝底面5aとの間を通過する際に弾性復元しつつ前進するので、安定して送り出すことができる。また、(内方押圧部材10にて)円形ワークWを略楕円形に弾性変形する領域が長いと、蓄積した円形ワークW(の曲率半径の小さい外周面)の間に生じる摩擦が大きく自転運動が妨げられる場合があるが、この場合、内方押圧部材10が短い領域(短弧状面部36)で円形ワークWを押圧して自転させた後、すぐに開放状の勾配面部37側へ送るので、弾性変形した円形ワークWが長い領域にわたって蓄積することがなく、自転させつつ前進させて円滑に下流へ送り出すことができる。特に、円形ワークWが摩擦係数の大きい部材で形成されている場合に好適である。
【0052】
また、内方押圧部材10が凹周溝5の溝底面5aに接近離間調整可能に付設されているので、内方押圧部材10による円形ワークWへのラジアル内方の押圧力を、円形ワークWの径寸法や変形量・材質等に応じて適度な押圧力に調整することができ、円形ワークWを一定の送出間隔P1 でスムーズに送り出すことができる。
【0053】
また、回転円盤6は、下部円板11と中間円板12と上部円板13とを分解組立可能として重ね合わせた構造であり、中間円板12の外径寸法D12を他の下部円板11・上部円板13の外径寸法D11,D13よりも小さく設定して、凹周溝5を形成したので、中間円板12を取り替えることで、凹周溝5の深さ寸法H及び間隔寸法Kを容易かつ迅速に、(ワークWのサイズに合わせて)変更できる。かつ、構造も簡易であり、万一のワーク詰りの際の修復作業も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態を示す平面図である。
【図2】一部断面で示す正面図である。
【図3】要部拡大平面図である。
【図4】要部断面説明図である。
【図5】図3のA−A拡大断面図である。
【図6】図3のB−B拡大断面図である。
【図7】図3のC−C拡大断面図である。
【図8】ワークサイズ変更のための説明用要部拡大断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態を示す説明図である。
【図10】要部平面図である。
【図11】要部説明用断面正面図である。
【図12】要部説明用断面正面図である。
【図13】誘導帯板の一例の斜視図である。
【図14】本発明の第3実施形態を示す平面図である。
【図15】一部断面で示す正面図である。
【図16】要部拡大平面図である。
【図17】本発明の第4実施形態を示す要部拡大平面図である。
【図18】本発明の第5実施形態を示す要部拡大平面図である。
【図19】本発明の第6実施形態を示す平面図である。
【図20】一部断面で示す正面図である。
【図21】要部拡大平面図である。
【図22】本発明の第7実施形態を示す平面図である。
【図23】要部拡大平面図である。
【図24】本発明の別の実施形態を示す平面図である。
【図25】さらに別の実施形態を示す平面図である。
【図26】従来例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0055】
3 円形ワーク送出装置
5 凹周溝
5a 溝底面
6 回転円盤
10 内方押圧部材
11 下部円板
12 中間円板
13 上部円板
16 外周ガイド部材
16a 内周面
18a ワーク排出部
19 ワークころがし手段
20 ワーク排出部材
35 内面
36 短弧状面部
37 勾配面部
38 蓄積室
51 プーリ
52 ベルト部材
101 パーツ供給手段
102 パーツ移送手段
W 円形ワーク
Wr 自転円形ワーク
1 送出間隔
0 送出ピッチ
6 軸心
Lw 軸心
12,D 外径寸法
T 肉厚寸法
H 深さ寸法
K 間隔寸法
E 間隔幅寸法
6 周速
V 送り速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム等の弾性材の円形ワーク(W)をパーツ供給手段(101 )から受け取ってパーツ移送手段(102 )に送り出す送出装置に於て、
ラジアル外方向に開口する凹周溝(5)を有する回転円盤(6)と、該回転円盤(6)の凹周溝(5)を略閉じるように配設した円弧状の外周ガイド部材(16)とを、具備し、さらに、上記外周ガイド部材(16)の下流寄りにて上記凹周溝(5)内の上記円形ワーク(W)を上記回転円盤(6)のラジアル方向へ押圧して円形ワーク(W)を自転させつつ上記回転円盤(6)の周端縁部の周速(R6 )の約2分の1の送り速度(V)に減速して1個ずつ送り出すワークころがし手段(19)を備えたことを特徴とする円形ワーク送出装置。
【請求項2】
上記ワークころがし手段(19)によって減速された自転円形ワーク(Wr)の上流側に円形ワーク(W)が順次接触して並ぶ蓄積状態に保持し、上記外周ガイド部材(16)の内周面(16a)と上記凹周溝(5)の壁面(50)にて、上記蓄積状態で保持するための蓄積室(38)を形成した請求項1記載の円形ワーク送出装置。
【請求項3】
上記ワークころがし手段(19)は、上記外周ガイド部材(16)の下流寄りに配設されると共に上記凹周溝(5)に開口側から接近して上記円形ワーク(W)を上記回転円盤(6)のラジアル内方へ押圧して円形ワーク(W)を自転させつつ上記送り速度(V)に減速して1個ずつ送り出す内方押圧部材(10)を有する請求項1又は2記載の円形ワーク送出装置。
【請求項4】
上記ワークころがし手段(19)は、上記回転円盤(6)と同一平面状に回転自在に付設されたプーリ(51)と上記凹周溝(5)の溝底面(5a)とに懸け渡されたベルト部材(52)を有し、該ベルト部材(52)にて上記円形ワーク(W)を外周ガイド部材(16)の内周面(16a)終端に押圧して円形ワーク(W)を自転させつつ上記送り速度(V)に減速して1個ずつ送り出すように構成した請求項1又は2記載の円形ワーク送出装置。
【請求項5】
上記円形ワーク(W)の軸心(Lw)が上記回転円盤(6)の軸心(L6 )と平行となるように円形ワーク(W)を上記凹周溝(5)内に収納する請求項1,2,3又は4記載の円形ワーク送出装置。
【請求項6】
上記円形ワーク(W)の外径寸法を(D)、肉厚寸法を(T)とし、上記凹周溝(5)の深さ寸法を(H)、間隔寸法を(K)とした場合、 0.8×D≦H≦ 1.5×D、及び、 1.0×T<K< 1.7×Tとなるように上記凹周溝(5)の寸法を設定した請求項5記載の円形ワーク送出装置。
【請求項7】
上記外周ガイド部材(16)の内周面(16a)と上記凹周溝(5)の溝底面(5a)との間隔幅寸法(E)を、上記円形ワーク(W)の外径寸法(D)に対して、D<E<2Dなる関係式が成立するように設定した請求項5又は6記載の円形ワーク送出装置。
【請求項8】
上記回転円盤(6)のワーク排出部(18a)近傍にワーク排出部材(20)を上記凹周溝(5)内へ侵入状に固設した請求項3記載の円形ワーク送出装置。
【請求項9】
上記内方押圧部材(10)の内面(35)に、上記凹周溝(5)の溝底面(5a)に接近する短弧状面部(36)と、該短弧状面部(36)の下流端に連設されると共に下流に向かって上記溝底面(5a)から離間する勾配面部(37)と、を形成した請求項3記載の円形ワーク送出装置。
【請求項10】
上記内方押圧部材(10)が上記凹周溝(5)の溝底面(5a)に接近離間調整可能に付設されている請求項3記載の円形ワーク送出装置。
【請求項11】
上記回転円盤(6)は、下部円板(11)と中間円板(12)と上部円板(13)とを分解組立可能として重ね合わせた構造であり、上記中間円板(12)の外径寸法(D12)を他の下部円板(11)・上部円板(13)の外径寸法(D11),(D13)よりも小さく設定して、上記凹周溝(5)を形成した請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9又は10記載の円形ワーク送出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2007−261808(P2007−261808A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262073(P2006−262073)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【特許番号】特許第3931202号(P3931202)
【特許公報発行日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】