説明

円柱状物品の供給装置

【課題】円柱状の物品の破損や倒れを防止して確実にスターホイールに供給することができる供給装置を提供する。
【解決手段】起立状態で密集する複数の物品Wを搬送する第1搬送路4の下流に、順次物品Wを回転するスターホイール2の各ポケット24に投入する第2搬送路5を連設する。第2搬送路5は、物品Wを一列に通過させる通路状に形成する。第1搬送路4の終端部に搬送された物品Wに接する往路17側が第2搬送路5の始端部に向かって回動する第1無端ベルト13と、第1搬送路4の終端部に搬送された物品に接する往路21側が第2搬送路5の始端部から離反する方向に回動する第2無端ベルト14とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円柱状物品の供給装置に関し、詳しくは、アンプルのように破損し易く倒れ易い円柱状の物品をスターホイールに供給するために好適に用いることができる供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
円柱状の物品として医薬用アンプルが挙げられるが、例えば、アンプルにラベルを貼着するラベル貼付装置へのアンプルの投入では、アンプルを一つずつラベル貼付装置へ送り込むためにスターホイールが用いられる。スターホイールは、円盤状に形成されており、その周縁部に複数のポケットを備えている。各ポケットはアンプルの外径に対応して凹状に形成されており、ここにアンプルを保持するようになっている。各ポケットに保持されたそれぞれのアンプルは、スターホイールの回転により搬送された後に順次ポケットから離脱されて一つずつラベル貼付装置に投入される。
【0003】
ところで、スターホイールへのアンプルの供給は、従来、図3に示すような供給装置によって行われることが知られている。この供給装置40は、複数のアンプルWを複数行列に搬送する搬送路41と、搬送路41の終端に一部が露出して回転するスターホイール42に向かって搬送路41上のアンプルWを送るコンベヤ43とを備えている。この供給装置40によれば、搬送路41の終端でスターホイール42に接した複数のアンプルWをスターホイール42の複数のポケット44に供給することができる。
【0004】
しかし、このような供給装置40によると、複数行列で搬送されてスターホイール42に接するアンプルWが、他のアンプルWによって周囲から加圧されてスターホイール42のポケット44に入り込むための移動が阻止され、ポケット44による保持が不十分となる場合がある。そしてこの場合には、ポケット44に不十分に保持された状態のアンプルWがスターホイール42と共に回転し、該アンプルWが図中仮想線で示すように搬送路41の一方の側壁終端41aとスターホイール42のポケット44の側壁44aとの間に挟まれて破損する不都合がある。
【0005】
そこで、下記特許文献1に見られるように、搬送路の途中に搬送幅を一旦狭めてアンプルを集約させるガイド部材を設け、該ガイド部材の下流のスターホイールの手前で搬送幅が広がる開放領域を形成したものが知られている。これによれば、ガイド部材によって一時的に集約された各アンプルがスターホイールの手前において開放領域により開放されることによって、アンプル相互の加圧状態を軽減し、スターホイールのポケットに入り込むためのアンプルの移動を円滑に行わせるようにしている。
【0006】
しかし、開放領域においてアンプル相互の加圧状態が軽減されたアンプルは、互いに支え合う状態をも解除されてしまい、コンベヤ上での起立状態を維持することができずに倒れが生じる場合がある。そして、倒れた状態のアンプルはスターホイールのポケットに保持されず、ポケットによるアンプルの捕捉が阻止される不都合がある。
【特許文献1】特開平8−337314号公報(段落番号0013〜0018、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる不都合を解消して、本発明は、円柱状の物品の破損や倒れを防止して確実にスターホイールに供給することができる供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明は、周縁部に備える複数のポケットの各々に円柱状の物品を保持して回転することにより周回方向に物品を搬送するスターホイールに物品を連続供給する供給装置において、起立状態で密集する複数の物品を搬送する第1搬送路と、該第1搬送路によって搬送された複数の物品を一列に通過させる通路状に形成されて該第1搬送路の下流に連設され、その終端部から順次物品を回転するスターホイールの各ポケットに投入する第2搬送路と、前記第1搬送路の終端部に搬送された物品に接する往路側が接して該第1搬送路の幅方向の一方側から第2搬送路の始端部に向かう方向に回動する第1無端ベルトと、前記第1搬送路の終端部に搬送された物品に接する往路側が該第1搬送路の幅方向の他方側に向かって第2搬送路の始端部から離反する方向に回動する第2無端ベルトとを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、物品を通路状の第2搬送路により一列に通過させることで、周囲から他の物品の圧迫を受けて搬送方向への動きが阻止されることがなく、円滑にスターホイールの各ポケットに物品一つ一つを確実に装填することができる。これにより、従来のように物品がスターホイールのポケットに不十分に保持される事態が防止でき、物品の損傷等を確実に防止することができる。
【0010】
ところで、第1搬送路により密集する状態で搬送された複数の物品が、第1搬送路の下流に連設された第2搬送路によって一列とされるとき、第2搬送路の入り口(始端部)では、複数の物品が一度に第2搬送路に入ろうとして互いに競り合い、物品同士で互いに第2搬送路入り口への進入を阻止し合って第2搬送路の入り口近傍に停滞して第1搬送路から第2搬送路への送り込みが行われない場合がある。
【0011】
そこで、本発明においては、前記第1無端ベルトと前記第2無端ベルトとを設けたことにより、第2搬送路の入り口における物品同士が進入を阻止し合う状態を防止することができる。即ち、第1無端ベルトと第2無端ベルトとに接した物品は、第1無端ベルトの往路と第2無端ベルトの往路とが共に同じ方向に回動していることにより、第1無端ベルトに接した物品は第2搬送路に向かって流動し、第2無端ベルトに接した物品は第2搬送路から離反する方向に流動する。そして、第1無端ベルトに接して第2搬送路に向かって流動した物品は、第2搬送路へ進入する。このとき、第2無端ベルトに接して第2搬送路から離反する物品は第2搬送路へ進入しようとする物品を圧迫することがなく、第2搬送路の始端部における物品の停留を確実に防止することができる。
【0012】
また、本発明において、前記第2搬送路の始端部の前記第2無端ベルト側に、前記第1搬送路に向かって突出して設けられ、前記第1無端ベルト側から第2無端ベルト側に向かって流動する物品に当接して該物品を該第2搬送路に案内する当接板を設けることが好ましい。これにより、第1無端ベルトによって第2搬送路の近傍に流動してきた物品は、第2無端ベルトに向かおうとしても、当接板に当接して第2搬送路5へ進入するので、物品を一層確実に第2搬送路5へ送り込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態の供給装置を示す説明的平面図、図2は本実施形態の供給装置の作動と比較するための他の供給装置の一部を示す説明図である。
【0014】
本実施形態の供給装置1は、スターホイール2に円柱状物品である医薬用アンプルWを供給するものであり、図1に示すように、スターホイール2に向かってアンプルWの搬送方向に延びるコンベヤ3を備えている。該コンベヤ3上には、その上流側に第1搬送路4が形成されていると共に、該第1搬送路4の下流側に連設された第2搬送路5が形成されている。
【0015】
前記コンベヤ3は、アンプルWを起立状態で載置してスターホイール2に向かってアンプルWを搬送する幅広の搬送ベルト6と、該搬送ベルト6を回転駆動する図示しない駆動モータとによって構成され、駆動モータにより一定の速度で回動される。該搬送ベルト6は、アンプルWが滞留したときに、該アンプルWの底部に対して適度な滑りを有して回動が継続できる材質とされている。
【0016】
前記第1搬送路4は、その両側縁に沿って互いに対向する一対の案内壁7,8を備えている。両案内壁7,8は、アンプルWが当接したときにアンプルWの倒れが防止される高さに形成されており、両案内壁7,8の間隔は、アンプルWが多数行列に搬送できるように比較的広く形成されている。該第1搬送路4の終端部には、該第1搬送路4の搬送幅を次第に狭めながら搬送幅の中央に向かう方向に傾斜する一対の傾斜壁9,10が前記案内壁7,8の終端に連続して設けられている。該傾斜壁9,10の終端は前記第2搬送路5に連続する。
【0017】
前記第2搬送路5は、前記第1搬送路4とスターホイール2との間に延設され、その両側縁に沿って互いに対向する一対の案内壁11,12により通路状に形成されている。両案内壁11,12は、アンプルWが当接したときにアンプルWの倒れが防止される高さに形成されており、両案内壁11,12の間隔は、アンプルWを一列で搬送する寸法に形成されている。
【0018】
前記傾斜壁9,10のそれぞれの一部には、図1に示すように、第1無端ベルト13と第2無端ベルト14とが設けられている。第1無端ベルト13は、一方(図中右側)の傾斜壁9に設けられ、駆動プーリ15と従動プーリ16とに掛け渡されている。駆動プーリ15はその上方に設けられた図示しない駆動モータにより回転駆動され、駆動モータは、第1無端ベルト13の往路17の移動方向が第2搬送路5に向かう方向となるように第1無端ベルト13を回動させる。第1無端ベルト13の往路17は傾斜壁9に沿って露出しており、第1搬送路4の終端部に搬送されたアンプルWに接してアンプルWを第2搬送路5に向かって流動させる。また、従動プーリ16に掛け渡されている第1無端ベルト13の下流側の円弧回動部18は、前記第2搬送路5の一方(図中右側)の案内壁11の始端側に露出されている。これにより、第1無端ベルト13の往路17から連続して流動されたアンプルWを第2搬送路5に向かって進入させる。
【0019】
第2無端ベルト14は、他方(図中左側)の傾斜壁10に設けられ、駆動プーリ19と従動プーリ20とに掛け渡されている。駆動プーリ19はその上方に設けられた図示しない駆動モータにより回転駆動され、駆動モータは、第2無端ベルト14の往路21の移動方向が第2搬送路5から離反する方向となるように第2無端ベルト14を回動させる。第2無端ベルト14の往路21は傾斜壁10に沿って露出しており、第1搬送路4の終端部に搬送されたアンプルWに接してアンプルWを第2搬送路5から離反する方向に流動させる。即ち、第2無端ベルト14は第1無端ベルト13と同じ方向に回動する。また、従動プーリ20に掛け渡されている第2無端ベルト14の上流側の円弧回動部22は、前記第2搬送路5の一方(図中左側)の案内壁12の始端側に露出されている。
【0020】
更に、図1に示すように、第2無端ベルト14の上流側の円弧回動部22の外側には当接板23が設けられている。該当接板23は、第2搬送路5の他方(図中左側)の案内壁12の始端から第1搬送路4に向かって突設されて第2無端ベルト14の上流側の円弧回動部22を覆っており、第2搬送路5への進入を開始したアンプルWが第2無端ベルト14の上流側の円弧回動部22に接することを防止している。
【0021】
また、第2搬送路5の終端部は、スターホイール2に向かって開放されている。スターホイール2は、略歯車状の回転板であり、その周縁部には、起立状態のアンプルWの外周面が嵌合する複数のポケット24が所定間隔を存して配設されている。スターホイール2は、その半周ほどがコンベヤ3の下流端部上に重畳され、図示しない駆動モーターにより、図中の矢印の方向に一定の速度で回転される。そして、回転するスターホイール2のポケット24のうち、第2搬送路5の終端部に対向したポケット24に順次アンプルWが投入される。
【0022】
以上の構成による供給装置1の作動を説明する。先ず、第1搬送路4においては、複数のアンプルWが複数行列とされて起立状態で搬送される。各アンプルWは、コンベヤ3により第1搬送路4の終端部に搬送されると、最前列を構成する各アンプルWが傾斜壁9,10の第1無端ベルト13と第2無端ベルト14とに接し、それに伴い、後続するアンプルWは第1搬送路4上に貯留状態となる。こときにも、コンベヤ3は回動を継続しており、各アンプルWは、コンベヤ3から搬送力を受けながらコンベヤ3上を滑るようにしてその場で貯留状態となる。
【0023】
一方、第1無端ベルト13と第2無端ベルト14とに接した各アンプルWは、第1無端ベルト13の往路17と第2無端ベルト14の往路21とが共に同じ方向に回動していることにより、コンベヤ3による搬送方向に交差する方向(図においては反時計方向)に流動する。即ち、第1無端ベルト13に接したアンプルWは第2搬送路5に向かって流動し、第2無端ベルト14に接したアンプルWは第2搬送路5から離反する方向に流動する。そして、第1無端ベルト13に接して第2搬送路5に向かって流動したアンプルWは、第2搬送路5の始端部からコンベヤ3による搬送力を受けて第2搬送路5へ進入する。このとき、第2搬送路5の始端部においては、前記当接板23により、第2搬送路5へ進入しようとするアンプルWと第2無端ベルト14との接触が防止され、確実に第2搬送路5への進入が行われる。また、第2無端ベルト14に接して第2搬送路5から離反したアンプルWは第2搬送路5へ進入しようとするアンプルWの移動を阻害することがない。しかも、第1無端ベルト13と第2無端ベルト14とに接した各アンプルWの流動の影響を受けて、後続のアンプルWも流動し、第2搬送路5の始端部におけるアンプルWの停留を確実に防止することができる。
【0024】
ここで、本実施形態との比較のために第1無端ベルト13と第2無端ベルト14とを設けない供給装置30を図2に示すが、この供給装置30においては、アンプルWはコンベヤ31によって一斉に第2搬送路32に進入しようとし、互いに競り合った各アンプルWが第2搬送路32の始端部で停滞してしまう。それに対して本実施形態の供給装置1は、図1に示すように、第1無端ベルト13と第2無端ベルト14とによってアンプルWが流動するので、第2搬送路5の始端部でアンプルW同士が競り合うことがなく、アンプルWの停滞を確実に防止して円滑に第2搬送路5へ案内することができる。
【0025】
第2搬送路5においては、図1に示すように、各アンプルWが一列で搬送される。このとき、各アンプルWは、両案内壁11,12によって形成された通路を一列で通過してスターホイール2に向かって搬送され、例えば、両側方から他のアンプルの圧迫等を受けることなくコンベヤ3により搬送されるので極めて円滑に搬送される。また、後続のアンプルWが当接状態で搬送されるので、倒れが確実に防止されてスターホイール2に向かって搬送される。そして、第2搬送路5の終端部においては、アンプルWがコンベヤ3の搬送力を十分に受けてスターホイール2のポケット24に一つずつ装填され、該アンプルWはポケット24に確実に保持されるので、アンプルWの破損等を確実に防止することができる。
【0026】
なお、本実施形態においては、円柱状物品の一例として医薬用アンプルWを挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば、図示しないが、瓶状の容器や乾電池、また、機械部品等の円柱状物品をスターホイール2に供給する際に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態の供給装置の概略を示す説明的平面図。
【図2】本実施形態の作動と比較するための他の供給装置の一部を示す説明図。
【図3】従来の供給装置の概略を示す説明的平面図。
【符号の説明】
【0028】
W…医薬用アンプル(円柱状物品)、1…供給装置、2…スターホイール、4…第1搬送路、5…第2搬送路、13…第1無端ベルト、14…第2無端ベルト、23…当接板、24…ポケット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁部に備える複数のポケットの各々に円柱状の物品を保持して回転することにより周回方向に物品を搬送するスターホイールに物品を連続供給する供給装置において、
起立状態で密集する複数の物品を搬送する第1搬送路と、
該第1搬送路によって搬送された複数の物品を一列に通過させる通路状に形成されて該第1搬送路の下流に連設され、その終端部から順次物品を回転するスターホイールの各ポケットに投入する第2搬送路と、
前記第1搬送路の終端部に搬送された物品に接する往路側が該第1搬送路の幅方向の一方側から第2搬送路の始端部に向かう方向に回動する第1無端ベルトと、
前記第1搬送路の終端部に搬送された物品に接する往路側が該第1搬送路の幅方向の他方側に向かって第2搬送路の始端部から離反する方向に回動する第2無端ベルトとを備えることを特徴とする円柱状物品の供給装置。
【請求項2】
前記第2搬送路の始端部の前記第2無端ベルト側に、前記第1搬送路に向かって突出して設けられ、前記第1無端ベルト側から第2無端ベルト側に向かって流動する物品に当接して該物品を該第2搬送路に案内する当接板を設けたことを特徴とする請求項1記載の円柱状物品の供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−1710(P2006−1710A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180406(P2004−180406)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000002831)第一製薬株式会社 (129)
【出願人】(504236949)関西第一サービス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】