説明

再構成可能なアンテナに関する改良

マイクロ電子機械(MEMS)アンテナ(36)は、基板の一側に配置されて、そして、基板を通して電導パスを形成するスルーホールまたはバイア(48)によって、コンデンサブリッジ(46)を含むMEMSスイッチおよび伝送ライン(42)に接続される。この装置は、アンテナおよびスイッチのための共通の接地面を提供して、そして、アンテナから受信されまたは送信される電磁放射から、スイッチを保護する。スイッチは、高分子層(19)によって形成されるブリッジ構造全体に延びる最上位の金属層を含んでもよい。高分子層は、ポリ−モノクロロ−パラキシレン(パリレン−C)を含む。均一なまたは不均一なアンテナアレイ構造が、実現される。アンテナアレイは、例えば別々の形状、回転および反転を有する、1つ以上の別々のタイプのアンテナを含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なスイッチを含むマイクロ電子機械(MEMS)コンポーネントを組み込むワイヤレス通信に使用するための再構成可能なアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
常に変わる環境伝達特性に動的に適応することができるワイヤレス通信システムは、通信応用の次世代のためのキーである。
【0003】
アンテナは、電波を送受信するので、いかなるワイヤレス機器の中でも極めて重要なコンポーネントである。アンテナは、伝送ラインから自由空間への、およびその逆の、マッチングデバイスとして作動する。理想アンテナは、1つ以上の所定の方向からアンテナに供給している伝送ラインからの全ての入射電力を放出する。アンテナの性能は、大部分のワイヤレスデバイスの性能を決定づけて、それ故、システムの重要な一部である。
【0004】
アンテナの構成は、インピーダンスおよびVSWR(電圧定在波比)、振幅アンテナ指向性図、3dBのビーム幅、指向性、ゲイン、分極およびバンド幅を含むアンテナの属性を決定する。アンテナの構成が異なれば、別々のアンテナ属性を有する。
【0005】
再構成可能なアンテナは、その物理的構造を変えることによって、その放射、分極および周波数特性を変えるものである。再構成可能なアンテナの概念は、高性能なアンテナとは基本的に異なるものである。
【0006】
高性能なまたは適応できるアンテナは、概して標準のモノポール、ダイポールまたはパッチである素子のアンテナアレイである。信号プロセッサは、いくつかの状況を満たすアンテナ指向性図(radiation pattern)、すなわちアレイの空間応答、を結果として変えるために、信号の加重するおよび組み合わせる素子によって、個々のアンテナ素子との間で時間領域信号を操作するために用いられる。これは、ヌルがノイズまたは干渉源の方向に配置されると共に、電磁エネルギーが所望の信号の方向に焦点を合わせられるビーム形成のキーコンセプトである。
【0007】
パッチ・アンテナは、接地面にある誘電体基板上の金属パッチからなる。アンテナは、マイクロストリップ・ラインまたは同軸ケーブル線によって供給される。マイクロストリップ・パッチ・アンテナは、ほぼλ/2(λはガイド波長)をその次元の1つに有する共振型の放射器である。
【0008】
パッチは、そのz方向に沿っているパッチに対して垂直な電界を有する共振空洞として作用する。磁気空洞は、パッチの4つの縁部で消える接線成分を有する。この構造は、パッチの縁部で基板よりも上に露出する漏れ磁界から放射する。マイクロストリップ・アンテナは、多くの形状(例えば、四角、円、楕円、三角、または環状)に製作されることができる。
【0009】
マイクロストリップ・パッチ・アンテナは、それらのロープロファイルおよび、それ故、共形性、軽量さ、低い生産コスト、堅牢性、そして、マイクロ波モノリシック集積回路(MMIC)および光電子集積回路(OEIC)技術との互換性を含む、他のアンテナ構造を上回るいくつかの既知の利点を有する。
【0010】
マイクロ電子機械システム(MEMS)スイッチは、無線周波伝送ラインにおいて回路の短絡または開放を達成するために機械的移動を使用するデバイスである。RF MEMSスイッチは、無線周波からミリ波(0.1〜100GHz)で作動して、無線周波通信システムの基本構造ブロックを形成するように設計される特定のマイクロ機械スイッチである。機械的移動のために要求される力は、例えば、静電気、マグネトスタティック、圧電、または熱設計を使用して得られることができるが、それだけではない。
【0011】
ピン(p−i−n)ダイオードまたはFETスイッチを上回るMEMSスイッチの利点は、以下の通りである。
・極低消費電力:静電気作動は、きわめて低い電力消費(開閉サイクルあたり10〜100nJ)のため、いかなる電流も消費しない。
・極高絶縁:RF MEMS直列スイッチは、エアギャップを有して製作されて、したがって、0.1〜40GHzで優れた絶縁に結びつく極低オフ状態キャパシタンス(2〜4fF)を有する。
・極低挿入損失:RF MEMS直列分流器スイッチは、最高40GHzまで0.1dBの挿入損失を有する。
・相互変調製品:MEMSスイッチは、非常に線形のデバイスであり、したがって、極低相互変調製品に結びつく。それらの性能は、ピン(p−i−n)またはFETスイッチよりも約30dB良好である。
・極低コスト:RF MEMSスイッチは、表面(またはバルク状)マイクロマシン加工技術を使用して製作されて、そして、水晶、パイレックス(登録商標)、低温コファイアード・セラミック(low temperature cofired ceramic;LTCC)、メカニカルグレード高抵抗率シリコン(mechanical−grade high−resistivity silicon)、またはガリウム砒素基板上に構築されることができる。
【0012】
MEMSスイッチは、以下のように分類されることができる。
・RF回路構成−直列または並列。
・機械構造−片持ち構造またはエアブリッジ構造。
・接触形態−容量性(金属−絶縁体−金属)抵抗性(金属−金属)。
【0013】
図1および図2は、誘電体膜69によって被覆される伝送ライン67よりも上方に架設される薄い金属ブリッジ65からなる典型的なMEMS容量スイッチ63を示す。このMEMS容量スイッチは、コプレーナ導波路(CPW)またはマイクロストリップ・トポロジに組み込まれることができる。従来の容量スイッチは、2枚の金属層(ブリッジおよびtライン)の間に誘電体の層を有する。
【0014】
CPW構成において、MEMSスイッチの固定部は、CPW接地面に接続される。図2に示すように、直流電圧がMEMSブリッジとマイクロ波ラインとの間に印加されるときに、MEMSブリッジを誘電層上に変形させて、ブリッジキャパシタンスを30〜100倍増加させる静電気(または他の)力が存在する。このキャパシタンスは、tラインをグラウンドに接続して、マイクロ波周波数で短絡を行い、そして、反射するスイッチに結びつく。バイアス電圧が除去されるときに、MEMSスイッチは、ブリッジの復元するスプリング力のためにその最初の位置に戻る。
【0015】
RF MEMSスイッチは、それらが最高120GHzまで非常に低い挿入損失および高いQを有するので、再構成可能なネットワーク、アンテナおよびサブシステムにおいて用いられる。加えて、それらは、高性能同調フィルタ、高効率アンテナ、および低損失マッチング・ネットワークに使用する低定誘電率基板に組み込まれることができる。
【0016】
RF MEMSスイッチは、超低損失切替えを提供して、10〜120kΩの抵抗線を使用して制御されることができる。このことは、RF MEMSスイッチのためのバイアス・ネットワークが、アンテナ指向性図を妨害しなくて、劣化させないことを意味する。バイアス・ネットワークは、いかなる電力も消費しない。そして、このことは大きいアンテナアレイにとって重要である。
【0017】
根底にある機構は、2次元に配列されるコンパクトMEMS片持ち構造スイッチである。その配列の中のスイッチは、個々に作動することができる。配列における個々のマイクロスイッチのアドレス可能性は、回路配線を修正する手段を提供して、したがって回路素子のふるまいの微調整または完全な再構成を許容する。
【0018】
典型的なMEMSスイッチは、50〜100V(これらは、正確な構成および材料系に応じて有意により低くもより高くもありえる)の典型的なプルダウン電圧を要求する。このことは、ソフトウエアに制御される直流MEMSスイッチを使用することを広い範囲でカバーする。
【0019】
カリフォルニア大学のアーヴィンは、MEMSスイッチを介して接続されることができる個々のアンテナ素子の配列を有するピクセルアンテナ概念の使用を提案した。周波数の再構成可能性は、単にアンテナのサイズを変えることによって達成される。25ピクセルを選択することによって、6.4GHzよりも高い動作周波数が得られるが、一方、4.1GHzよりも低い周波数は、全64ピクセルを選択することによって得られる。
【0020】
本発明の目的は、改良された再構成可能なMEMSアンテナを提供することにある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の態様によれば、電磁波を送信および/または受信する装置であって:基板;基板の第1の面に実装される1つ以上のアンテナ;基板の第2の面に位置する1つ以上のマイクロ電子機械(MEMS)スイッチ;MEMSスイッチをアンテナに有効に接続するために基板を通って延びるコネクタ;を含む装置が提供される。
【0022】
好ましくは、基板は、半導体層および少なくとも1つの絶縁層を含む。
【0023】
好ましくは、少なくとも1つの絶縁層は、アンテナのための基板を形成する。
【0024】
好ましくは、基板は、アンテナからMEMSスイッチを保護するのに適している。
【0025】
好ましくは、MEMSスイッチおよびアンテナは、共通接地を有する。
【0026】
好ましくは、共通接地は、半導体層を含む。
【0027】
好ましくは、アンテナは、パターン化された金属面を含む。
【0028】
好ましくは、パターン化された金属面は、スパイラルを含む。
【0029】
好ましくは、スパイラルは、カーブする。
【0030】
好ましくは、アンテナは、複数のアンテナ素子を含む。
【0031】
好ましくは、アンテナ素子は、接続される。
【0032】
好ましくは、1つ以上のアンテナ素子は、オンまたはオフを切替えられることができる。
【0033】
好ましくは、1つ以上のアンテナ素子は、装置の動作周波数を制御するためにオンまたはオフを切替えられることができる。
【0034】
好ましくは、MEMSスイッチは、容量スイッチである。
【0035】
好ましくは、MEMSスイッチは、アンテナへの入力またはアンテナからの出力の位相を変えるように動作する。
【0036】
好ましくは、MEMSスイッチが:基板;第1の導電層:基板に付着して、基板の上にブリッジ構造を形成する材料:基板から離隔した材料の表面に付着する第2の導電層;を含み、材料は、第2の導電層に対する機械的支持として、および、誘電体として作用する。
【0037】
好ましくは、材料は、力の適用に応じて曲がり、これにより、MEMSスイッチの容量を変えるのに適している。
【0038】
好ましくは、材料は、第1および第2の導電層間の電圧印加に応じて曲がり、これにより、MEMSスイッチの容量を変えるのに適している。
【0039】
好ましくは、材料は、4.5GPa未満の弾性ヤング率を有する。
【0040】
好ましくは、材料は、1MHzで2以上の誘電率を有する。
【0041】
好ましくは、材料は、ポリマーである。
【0042】
好ましくは、材料は、パラキシリレンに由来する。
【0043】
より好ましくは、材料は、ポリ−モノクロロ−パラキシリレンである。
【0044】
オプションとして、材料は、ポリ−パラキシリレンである。
【0045】
好ましくは、第2の導電層は、金属である。
【0046】
より好ましくは、第2の導電層は、アルミニウムを含む。
【0047】
好ましくは、MEMSスイッチは、基板に載置されるコプレーナ導波路をさらに含む。
【0048】
オプションとして、MEMSスイッチは、マイクロストリップ・トポロジにおいて集積される。
【0049】
好ましくは、ブリッジ構造は、ブリッジの機械的性質および、それが印加電圧に応じて移動する方法を変えるために形成される梁を含む。
【0050】
好ましくは、梁は、対称形である。
【0051】
オプションとして、梁は、非対称形である。
【0052】
好ましくは、梁は、蛇行する屈曲を含む。
【0053】
梁の形状によって、梁は、電圧の適用に応じて予め定められた方法で捻れるかまたは曲がってもよい。
【0054】
好ましくは、MEMSスイッチは、供給(給電)ラインまたは信号経路に電磁気デバイスを接続および分離するために用いられる。
【0055】
好ましくは、MEMSスイッチは、供給(給電)ライン上の信号の位相を変えるために用いられる。
【0056】
好ましくは、印加電圧による位相の変化は、予め定められた電圧範囲を超えて実質的に線形である。
【0057】
好ましくは、複数のMEMSスイッチは、印加電圧の適用に応じて0〜360°の制御可能な位相シフトを提供するために組み合わされることができる。
【0058】
好ましくは、コネクタは、スルーホールまたはバイアである。
【0059】
好ましくは、コネクタは、それに対して付着される導電性材料を含む。
【0060】
好ましくは、装置は、MEMSスイッチでまたはその近くで装置に取り付けられる集積回路をさらに含む。
【0061】
好ましくは、集積回路は、CMOS回路を含む。
【0062】
好ましくは、CMOS回路は、CMOS無線受信機(radio)を含む。
【0063】
好ましくは、複数のアンテナ素子は、各々が第1のアンテナ構成を有する複数の第1のアンテナ素子を含み、そしてさらに、各々が第2のアンテナ構成を有する複数の第2のアンテナ素子を含み、第1のアンテナ構成と第2のアンテナ構成とは相違する、アンテナアレイを含む。
【0064】
好ましくは、第2のアンテナ構成は、第1のアンテナ構成の変形を含む。
【0065】
好ましくは、変形は、回転、反転、スケーリングおよび歪みの少なくとも1つを含む。
【0066】
好ましくは、複数の第1のアンテナ素子は、複数の第2のアンテナ素子と交互配置される。
【0067】
好ましくは、アンテナアレイは、第1および第2のアンテナ素子を含む第1の素子グループ、および、第1の素子グループの変形を含む第2の素子グループ、を含む。
【0068】
好ましくは、変形は、反転を含む。
【0069】
本発明の第2の態様によれば、電磁波を送信および/または受信する装置であって:各々が第1のアンテナ構成を有する複数の第1のアンテナ素子を含み、そしてさらに、各々が第2のアンテナ構成を有する複数の第2のアンテナ素子を含み、第1のアンテナ構成と第2のアンテナ構成とは相違するアンテナアレイ;および、アンテナアレイを構成するために1つ以上のアンテナ素子のオンまたはオフを切替えるように動作可能な1つ以上のスイッチ、を含む装置が提供される。
【0070】
好ましくは、第2のアンテナ構成は、第1のアンテナ構成の変形を含む。
【0071】
好ましくは、変形は、回転、反転、スケーリングおよび歪みの少なくとも1つを含む。
【0072】
好ましくは、複数の第1のアンテナ素子は、複数の第2のアンテナ素子と交互配置される。
【0073】
好ましくは、アンテナアレイは、第1および第2のアンテナ素子を含む第1の素子グループ、および、第1の素子グループの変形を含む第2の素子グループ、を含む。
【0074】
好ましくは、変形は、反転を含む。
【図面の簡単な説明】
【0075】
本発明は、添付の図面を参照して例としてのみ記述される。
【図1】図1は、既知のMEMS容量ブリッジの線図である。
【図2】図2は、電圧が適用されている既知のMEMS容量ブリッジの線図である。
【図3】図3は、本発明のデバイスの第1実施形態を示す。
【図4】図4は、対称形の蛇行するサポートを有するデバイスの第2実施形態を示す。
【図5】図5は、非対称形の蛇行するサポートを有すること以外は図4と同様のデバイスを示す。
【図6】図6は、本発明のデバイスのための印加電圧に対する位相をプロットしたグラフである。
【図7a】図7aは、本発明の装置を構成するプロセスを示す。
【図7b】図7bは、本発明の装置を構成するプロセスを示す。
【図7c】図7cは、本発明の装置を構成するプロセスを示す。
【図7d】図7dは、本発明の装置を構成するプロセスを示す。
【図7e】図7eは、本発明の装置を構成するプロセスを示す。
【図7f】図7fは、本発明の装置を構成するプロセスを示す。
【図7g】図7gは、本発明の装置を構成するプロセスを示す。
【図8】図8は、本発明の装置の表面に搭載する複数のアンテナを示す。
【図9】図9は、支持基板の不存在下で、アンテナ容量ブリッジMEMSスイッチおよびスルーホールを示す。
【図10】図10は、支持基板の不存在下で、複数のアンテナおよびMEMSスイッチを示す。
【図11】図11は、MEMSスイッチおよび入力/出力トラックを示す。
【図12】図12は、本発明のMEMSスイッチブリッジの斜視図である。
【図13】図13は、図11の装置をより詳細に示す図である。
【図14】図14は、本発明のCMOS再構成可能な無線受信機(radio)を示す。
【図15】図15は、本発明のCMOS再構成可能な無線受信機の斜視図である。
【図16】図16は、図14および15の再構成可能な無線受信機の各種の層を示す側面図である。
【図17】図17は、さらなるアンテナの実施形態を示す。
【図18】図18は、支持基板の不存在下で、バイアとともに図17のアンテナの図を示す。
【図19】図19は、4種類のアンテナ素子を有する不均一なマイクロ・アンテナのアレイを示す。
【図20】図20は、同じ形状を有するが、アレイの別々の場所で回転によって変わる各素子を有する、均一なアレイの例を示す。
【図21】図21は、同じ形状を有するが、アレイの別々の場所で回転によって変わる各素子を有する、均一なアレイの例を示す。
【図22】図22は、4種類の別々のアンテナを有する不均一なアレイの例を示す。
【図23】図23は、4つの繰り返されおよび回転されるグループにおける2種類の別々のアンテナを有する不均一なアレイの例を示す。
【図24】図24は、4つの繰り返されるグループにおける2種類の別々のアンテナを有する不均一なアレイの例を示す。
【図25】図25は、マルチプルの分極を提供するための均一なアレイの例を示す。
【図26】図26は、マルチプルの分極を提供するための不均一なアレイの例を示す。
【図27】図27は、別々のアンテナ設計の同種の配列の組合せを有する不均一なアレイの例を示す。
【図28】図28は、同種のアンテナ設計の同種の配列の組合せを有する不均一なアレイの例を示す。
【図29】図29は、すべての可能な分極を有して、同種の配列の組合せを有する不均一なアレイの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図3は、本発明のデバイスの実施形態を示す。デバイス15は、高分子層19によって形成されるブリッジ構造全体に延びる最上位の金属層17を含む。高分子層は、ポリ・モノクロロ・パラキシレン(パリレン−C)を含む。
【0077】
高分子層19の下方の空間は、コプレーナ導波路23および基板21上の第2のプレート75を収容している。全体の支持される距離Lは、コプレーナ導波路の幅である距離W、および、等しくてかつ、コプレーナ導波路の両縁部とポリマー19の直立部分との間の残りの距離を提供する距離Gによって、提供される。
【0078】
パリレンは、MEMSの製作における防水材料として、一般に使われる。それは、超低ばね定数(すなわち、高い弾性)を有するプラスチックのようなポリマーである。パリレン−Cは、それがコーティング材料としてのその通常の用途と関連した柔軟性、絶縁耐力および他の属性の適切な程度を含んでいたので、本発明の本実施形態において使われた。パリレン−Cは、ガス状のモノマーからの固体コーティングとしてポリマーを形成する真空蒸着したプラスチックフィルムである。それは、優れた耐食性を提供して、それを宇宙および軍事利用に適するように作成する軽量で、応力フリーで、そして耐放射線性である。パリレン−Cは、2.8GPaのヤング率を有して、従って、電圧の印加によるデバイスの変形によって曲がることが可能な極めてフレキシブルな材料である。
【0079】
一次ブリッジ材料としてパリレンを使用することは、MEMSデバイスのブリッジを非常にフレキシブルに作成して、ブリッジを下げるために比較的低い駆動電圧を要求する。このことは、MEMSデバイスを制御するために低電力が必要であることを意味する。パリレンの使用によって、単一の素子(任意の特定の調整された周波数のための動的に構成可能な無線周波数位相シフタ)の作成を可能にする。無線周波数デバイスの全体の属性を変化させるために、この種の移相器(位相シフタ)素子の配列は、組み立てられることができて、個々に対処されることができる。例えばアンテナ素子を取り付けることによって、固定された動作のための、または周波数の再構成可能な範囲のいずれか一方のフェーズドアレイ(整相列)を形成する。
【0080】
パリレンの使用は、ブリッジの強度部材を提供する。従来のMEMSブリッジは、図1に示すように、金属ブリッジを使用して、そして、容量スイッチのための誘電体を提供するために底部プレート上に絶縁層を有する。典型的なMEMSブリッジと比較して、本発明の好ましい実施形態では、絶縁層は、底部プレートから上部プレートへ移動する。これは、MEMSデバイスの2枚の金属層の間に絶縁層を提供して、下記の金属トラック上の絶縁の必要性を除去する。好ましい実施形態は、ブリッジの高さを変化させることによってキャパシタンスを変えるために、可変の誘電体として空気を使用し、そして、一定の誘電材料としてパリレンを使用する。パリレンをブリッジの一次材料に選ぶことは、また、上部金属層として非常に薄い金属フィルムを有することをサポートする。これは、非常にフレキシブルなMEMSデバイスの製作を容易にする。
【0081】
図4は、基板33および、基板を実質的に二分するために基板の長さに沿って延びる蛇行する屈曲35、37を含む、対称形の蛇行するブリッジ設計31を示す。蛇行する屈曲は、支持体43によって上昇位置に支持される。固体プレート41は、梁の中心部を形成して、そのいずれの端部でも、蛇行する屈曲35、37に取り付けられる。CPW39は、プレート41の下方に支持されて、隙間によってプレート41から分離される。
【0082】
図5は、図4と同様の構造のスイッチの他の実施形態を示す。それは、基板53と、蛇行する梁55と、CPW57と、プレート59と、支持体61とを含む。非対称構造は、ブリッジに電圧の印加による捻れを生じさせることがありえる。電圧の印加が制御可能な方法で梁を移動することができる所で、他の梁および屈曲ジオメトリは想定される。
【0083】
図6は、本発明のデバイスのための印加電圧84に対する位相82のグラフ80である。曲線86は、位相変化が本来は指数関数的で、および制御可能であることを示す。加えて、低い電圧で、この曲線はほぼ線形である。本発明の好ましい実施態様において、移相器制御は、5つのこの種のデバイスを使用して実現される。その場合、蓄積効果によって、360°までの位相シフトが、0V〜14Vの印加電圧によって達成されることができる。
【0084】
本発明の上記のデバイスは、伝送ライン上の信号の位相を変える、低電力、低電圧作動のMEMSスイッチを提供する。その使用は、各ユニットが電気的に制御されることができる分散型のMEMS伝送ライン(DTML)に延長されることができる。
【0085】
図7a〜7gは、本発明の装置を作成するプロセスを示す。図7aは、nタイプのシリコン半導体基板12を示す。図7bの14は、絶縁層16を有するnタイプのシリコン基板12を示す。図7cは、絶縁層16を有するnタイプのシリコン基板12および、これらの層を通るスルーホールまたはバイアを示す。
【0086】
図7dは、絶縁層の上に形成される金属コーティングを有する図7cの装置を示す。金属コーティング24は、本発明のアンテナを形成する。図7eは、シリコン基板のアンテナ24とは反対側の表面上に追加的な高分子層28を有する図7dの装置を示す。図7fの30は、高分子層28の上に堆積(deposit)される金属層32を示す。図7gは、階層構造から一旦エッチングされたMEMS容量スイッチの構造を示す。
【0087】
図8の34は、アンテナ36が基板38上に金属面から形成されている本発明による装置の表面を示す。
【0088】
電磁伝送の多数の応用は、大部分の電磁スペクトルの探査および利用を必要とした。周波数のこの全部の範囲をカバーするために、さらなる実施形態は、性能がそれらの電気的特性、物理的次元および動作周波数に対して不変量である低インピーダンスアンテナを利用する。
【0089】
この種の低インピーダンスアンテナは、角度および、打ちきり位置で無視できるまで電流が構造に沿って減衰する要求によって、完全に特徴づけられる。放射および減衰を発生するために、電荷は加速されなければならず、そして、電荷が進行している方向に導体がカーブするかまたは正常に屈曲するときに、これは起きる。したがって、スパイラルの曲率は、広いバンド幅を超える周波数から独立した動作を提供する。
【0090】
このカーブするスパイラル設計(図示せず)の利点は、この種の低インピーダンスのアンテナアレイが、ビーム形成のためのMEMSデバイスと連動して使われることができることである。ビームの全体のアンテナ指向性図は、所望の方向に向けることができる。MEMSデバイスは、動作する周波数の全範囲を超えて各アンテナに供給されている信号の位相を個々に制御するために使用される。そして、アンテナ指向性図の指向性を適応させるだけの利点ではなく、同時にアレイの動作周波数も与える。アレイの周波数および方向適応性の両者を同時に提供するための、アレイ内での各アンテナの位相のこの精密制御は、本実施形態の新しい特徴である。
【0091】
図9は、基板の不存在下における本発明の装置を示す。この図は、本発明の特定の特徴を明らかにするために作成された。この例では、アンテナ36は、基板(図示せず)の一側に配置される。そして、デバイスの片側から反対側まで基板を通して電導パスを形成するスルーホールまたはバイア48によって、MEMSコンデンサ容量ブリッジ44および伝送ライン42に接続される。
【0092】
アンテナから受信されまたは送信される電磁放射からMEMSスイッチを保護するために、このようにして本発明の装置を作成することは、有利である。
【0093】
従来技術においては、半導体基板上にMEMSおよびアンテナをモノリシック的に製作することが可能でないことが分かっている。これは、アンテナと接地面の間に形成される基板および表面波の高い誘電率に起因する。本発明は、ウエハの裏側上にMEMSを有して、そして、アンテナおよびMEMSは共通接地を有する。アンテナは、ごくわずかな後方散乱しか有しないように設計されている。接地面の後方エリアを越えて、表面電流はなく、ごくわずかな電磁界しかない。
【0094】
図10は、4つの別個のMEMSスイッチ54、56、58および60が、4つの別個のアンテナ62、64、66および68に接続される、本発明のさらなる実施形態である。伝送ライン52は、アンテナを通しての入力および出力を提供する。MEMSスイッチ54、56、58および60は、個々のアンテナ62、64、66および68の各々を、伝送に入っていくかまたは伝送から出てくるかを切替えるために、そして、または電磁信号を受信するために、制御可能である。これは、アンテナを通して送信する信号の位相を変えるために、MEMSスイッチへの入力を制御することによって達成される。
【0095】
図11〜13は、詳細の程度を変化させてデバイスを示す。図11は、基板38の一側上で伝送ライン42に接続される各MEMSスイッチ54、56、58および60を単に示す。図12は、伝送ライン42に接続される多くの個々の容量スイッチ46を含むブリッジ回路54を示す。図13のより詳細な図は、前と同じように、伝送ライン42に接続される容量スイッチ46を示す。
【0096】
図14は、CMOS再構成可能な無線チップが、MEMSスイッチを含む基板の側面に接続される本発明のさらなる実施形態を示す。
【0097】
図15および図16は、このデバイスの階層構造を示す。それは、一方の端面上のCMOS無線3および、他方の端面上のアンテナ05を含む。これらの面間に、絶縁層7、シリコン層09、絶縁物11およびMEMSデバイス13を含む複数の層が存在する。
【0098】
本発明のデバイスを作成するプロセスは、図7a〜7gに関して記述される。
【0099】
絶縁材料16は、高導電性シリコンウエハ12上に200〜500μmの厚みで堆積(deposit)される。正確な深さは、アンテナの応用に依存する。
【0100】
金属プローブのためのスルーホール20は、形成されて、それから、デバイスの裏側を明かすために基板12から慎重に解放される。裏側はそれから、銅24によって厚み1μmの電気メッキを施される。そして、直径20μmのプローブが形成される。銅24は、フォトレジストによってマスキングされて、そして、図8に示すように所望の形状のアンテナを形成するために露出される。
【0101】
MEMS構造28、32は、最上層にパターン化される。これらのMEMSデバイスは、スイッチ、移相器およびマッチング回路の役割を担い、そして、再構成可能なMEMS応用デバイスを作成する。
【0102】
従って、MEMSデバイスがウエハの反対側に組み立てられる一方、完全なアンテナまたは大きいアンテナアレイが、シリコンウエハの一方側に組み込まれることができる。MEMSを反対側に有することは、アンテナからの放射の干渉を減らして、そして、無線周波数およびMEMS制御回路の3D統合も単純化する。
【0103】
これは、無線周波数および他のモジュールとともに同じチップ上に再構成可能なアンテナを有することによって、新しい次元をシステム・オンチップに加える。これは、無線周波およびアンテナ給電間の近距離のため、損失を減らして、そして、システム全体の効率を最大にして、そして、消費電力を減らす。本発明は、マルチバンド通信のための再構成可能なマイクロ・アンテナアレイを作り上げるために、マルチ周波数能力およびフェーズドアレイ・ネットワークを有するマルチバンド・アンテナの統合化を許容する。アンテナアレイは、指向性、周波数、位相および分極において再構成可能である。
【0104】
図17は、アンテナの次元を有するさらなるアンテナの実施形態90の平面図を示す。この実施形態は、低電力を有して、多数の周波数で良好に動作して、動作の範囲以上の一貫した性能を有する。
【0105】
図18は、また、支持基板の不存在下で示されるバイア91を有する図17のアンテナ90を示す。
【0106】
図19は、各々が別々の構成を有する4種類のアンテナ素子101、102、103および104を有する不均一なマイクロ・アンテナアレイ100を示す。アンテナアレイ100を構成するために1つ以上のアンテナ素子のオン/オフ動作を切替えるように操作可能なMEMSスイッチは、図示されない。
【0107】
再構成可能なアンテナアレイ100は、アレイ100全体に繰り返される素子グループ101〜104を有する。また、素子101のアレイは、より大きいアレイ100の全体で素子102のアレイと交互配置される。
【0108】
均一なまたは不均一なアンテナアレイ構造は、4mm未満のアンテナ・サイズによって実現されてもよい。アンテナアレイは、1、2、3、4、またはそれ以上の別々の種類のアンテナ(例えば、ヘリカル、スパイラル、その他)を含んでもよい。アンテナアレイ装置は、チェスのようなアレイ構造から、反復アンテナ・コアのより大きいアレイまで、すべての種類の形状および配置をカバーしてもよい。これは、滑らかなビーム形成および、多くの周波数帯域に対して含む範囲を許容して、さらにまた、単一の分極(垂直、水平、右回り円、および左回り円)から、同じアレイにおいて可能な全ての分極までを許容する。
【0109】
別々の方向において同じパターンの組合せを含む、図19に示されるアレイのバリエーションは、右巻きおよび左巻きの両方の分極、ならびに、水平および垂直の分極の順序を提供する。アンテナアレイは、大きい周波数スペクトル、分極、および空間ダイバーシティの範囲を提供する。
【0110】
さまざまなアンテナアレイ構造は、さらなる図に関して後述される。
【0111】
図20および図21は、各素子が同じ形状を有しているが、アレイにおける別々の場所では回転によって変わる、均一なアレイの例を示す。
【0112】
図22は、4種類の別々のアンテナを有する不均一なアレイの例を示す。それは、図19に示すものと同様であるが、各グループは、アレイ全体に水平に繰り返されるにつれて回転によって変わる。各素子グループの垂直の繰り返しは、いかなる変化(ちょうど転位)も関係しないので、4つの各行は4つの同一グループの積み重ねを含む。
【0113】
図23は、4つのグループにおいて2種類の別々のアンテナを有する不均一なアレイの例を示す。4つの素子グループの各々が、アレイ全体に水平に4回転して存在する。図22と同様に、各素子グループの垂直の繰り返しは、いかなる変化(ちょうど転位)も関係しない。
【0114】
図24は、4つの素子グループの各々がアレイ全体で変わらない、2種類の別々のアンテナを有する不均一なアレイの例を示す。
【0115】
図25は、図17の基本素子の別々の回転を使用して、多数の分極を提供するための均一なアレイの例を示す。アンテナの各々の四分区間は、他の四分区間と同一である。
【0116】
図26は、図17の基本素子の別々の回転および反転を使用して、多数の分極を提供するための不均一なアレイの例を示す。各四分区間がその最も近くに隣接する四分区間の反転であるように、アンテナの各半分は中心線のまわりに反転される。スパイラルなアンテナ素子の反転は別々のアンテナ・タイプを作成するので、アレイは不均一である。
【0117】
回転および反転によるアンテナ素子の変形が図に示されるにもかかわらず、スケーリングおよび歪みのような他の変形が、別々のアンテナ素子構成を提供するために用いられてもよい。
【0118】
図27は、別々のアンテナ設計の均一なアレイの組合せを有する不均一なアレイの例を示す。
【0119】
図28は、同様のアンテナ設計の均一なアレイの組合せを有する不均一なアレイの例を示す。各四分区間がその最も近くに隣接する四分区間の反転であるように、アンテナの各半分は中心線のまわりに反転される。
【0120】
図29は、すべての可能な分極を有する4×4の均一なアレイの組合せを有する不均一なアレイの例を示す。これは、より大きいアレイサイズ(例えばレーダー)のための応用に適している。
【0121】
本発明のアンテナアレイは、高指向性とともに周波数スペクトル範囲、およびマルチプル分極能力を同時に最大にするために使われる。このアレイは、干渉を最小にして、効率を最大にするために、各々に関してさまざまな方向に置かれる多くの異なる放射素子を含んでもよい。不均一なアンテナアレイは、民間用および軍用の両方の応用のより広い範囲の要求を満たす。
【0122】
各素子のサイズはミリメートルのオーダーであり、この種の小さいアンテナ素子のアレイは、サイズによって逆に制限されず、したがって、アレイにおいて多数の素子を使用する可能性を許容する。アレイの構造ならびに、その要素タイプ(不均一な及び均一な)、配置およびそれらの個数の選択は、目標とする応用、周波数範囲および要求される分極、必要な位相シフト、供給(給電)システム(feed system)の電力処理容量およびチップの実装によって支配される。
【0123】
一般に、アンテナアレイには、別々のアレイ要素の間に固有の干渉問題がある。しかしながら、本発明のアレイは、いかなる与えられた周波数でも干渉効果を減らすために個々の素子のオン/オフ動作を切替える能力を有する。
【0124】
アレイにおける素子の設置は、電磁放射のさまざまな分極を提供することができる。これは水平、垂直、右回り円、および左回り円の分極の間で変化することができる。アレイ素子の適切な設置によって、アレイは、同じアレイ上で各種の分極を達成することができる。
【0125】
設計は、MEMS移相器のネットワークを介して制御される放射素子に分配される無線周波数から、単一の供給(給電)を引き出してもよい。これは、システムが、ビームの指向性を変化させることによって所望の信号のための最大の信号対ノイズ比(SNR)を検出しようにする無線周波数端を単純化する。
【0126】
再構成可能なMEMSの応用によって、ミニチュアの低電力適応アンテナの考えが達成可能であり、そして、継ぎ目のない再構成可能なSoC構造(SoC fabric)によって、我々が単一のプラットホーム上に多くのアプリケーションを構築することができる。適応アンテナアレイは、それらの環境の認識を有して、そして、干渉を減らし、および所望の信号受信を最大にするために、それらの信号の方向に自動的に適応する。
【0127】
本発明は、900,1800MHzでのGSM、2GHzでの3G、2.4GHzでのWLAN/ブルートゥース、5GHzでのWLAN、および10〜66GHzでのWiMAX、のための単一システムを実現するために、マルチ標準、マルチ周波数通信のために使われることができる。これらすべてのキーとなる通信システムの利用が可能であることは、ユーザの要求であり、本発明は、ユーザに単一のデバイス上の完全なスペクトルの利点を具備させる。
【0128】
交換的デバイスであるアンテナは、マイクロ波を送信および受信するときに同じ特性を有する。それゆえに、通信のために主に使われるアンテナは、空間基準のセンサに対して適用されることもできる。受動的なマイクロ波の検出は、その視野の中で自然に発せられるマイクロ波エネルギーを検出する、熱の検出と同様の概念である。この発せられるエネルギーは、発している対象物または表面の温度および水分の属性に関連がある。
【0129】
自動車用レーダーデバイスは、現在、ヨーロッパおよびアメリカ合衆国(米国)において使用する多くの輸送用および高級な乗員用の自動車に出現している。これらのデバイスは、他の乗物の後方との間の距離を制御するために自動車のアクセルおよび/またはブレーキを作動させることができる、高度な巡行制御システムにおいて使用される。この種のシステムの例は、BMWの「アクティブ・クルーズ・コントロール(Active Cruise Control)」、ジャガーの「アダプティブ・クルーズ・コントロール(Adaptive Cruise Control)」、およびダイムラー・ベンツの「ディストロニック(Distronic)」システムである。これらのシステムの使用が、将来では平凡になることが予期される。
【0130】
多くの乗物輸入業者は、オーストラリアに知的な巡行制御システムを有する車両を持ってこようと探求している。提案システムは、周波数範囲76〜77GHzで動作するパルス変調レーダーデバイスを利用する。欧州郵便電気通信主管庁会議(CEPT)は、43の欧州規制当局を努める。CEPTは、欧州無線通信委員会(ERC)決議(92)02[2]で、非排他的ベース上の乗物レーダーシステムに76〜77GHzの帯域が指定されなければならないことを決定した。米連邦通信委員会(FCC)[3]規制は、米国内で乗物レーダーシステムとして使用される乗物搭載のフィールド妨害センサのための46.7〜46.9GHzおよび76.0〜77.0GHzの周波数帯域の使用を支持する。国際電気通信連合(ITU)の推奨ITU R M.1310[4]は、自動車レーダーシステムによって将来使用する60〜61GHzおよび76〜77GHzの帯域のためのものである。この目的のための日本の総務省(MPT)による60〜61GHzの帯域および76〜77GHzの帯域の適用は、「60〜61GHzおよび76〜77GHzの帯域で動作する低電力短レンジ乗物レーダー装置」の標準案の提案を承認した、アジア太平洋電気通信標準化プログラム(ASTAP)と同様のものである。
【0131】
表2は、自動車レーダーの使用法がサポートされるさまざまな周波数帯域(海外の組織によって)の概要である。
サポートされる周波数帯域 組織
76〜77GHz CEPT(ヨーロッパ)
76〜77GHz ETSI(ヨーロッパ)
46.7〜46.9GHz、76〜77GHz FCC(米国)
60〜61GHz、76〜77GHz ITU
60〜61GHz、76〜77GHz MPT(日本)
【0132】
マルチモード・レーダー(MMR)は、多くの軍用の乗物、特に航空機のための一次作戦センサである。それは、それらにマルチプルの目標を追跡して走査する能力を与え、そして、低消費電力で、軽量で、および広帯域動作が可能でなければならない。
【0133】
この種のアプリケーションに本発明の再構成可能なアンテナを使用することは有利である。それは、マルチモード・レーダーにおける効率的なオペレーションのためのビームのマルチプル走査を作成するために、より大きいアレイに拡大されることができる。単一アンテナの次元が4mm未満であるから、この種の小さいMEMSアンテナアレイは、この種の厳しいアプリケーションのための低消費電力、軽量デバイスを与える。
【0134】
単一の3インチ・シリコンウエハは、現在の設計(以下に示すように)で200以上の素子を集積することができる。より大きなアンテナの各セクターは、アプリケーションによって必要に応じて、マルチプルの目標を同時に追跡して走査するための別々のモードで作動することができる。
【0135】
ミニチュア・サイズのため、我々は、各々が多くの周波数で機能する不均一なアンテナアレイを実現することができる。このアレイは、全体として、周波数の全部の範囲をカバーする。それゆえに、単一ウエハの実現について、我々は、目標の広帯域の走査および狭いベースの追跡を提供する1〜1500GHzの周波数をカバーすることができる。これは、単一デバイスによる軍用のアプリケーションおよびマルチプルの目標追跡に理想的である。
【0136】
合成開口レーダー(SAR)とは、航空機または衛星に搭載されてその飛行航路に沿って移動するにつれて、レーダーによって受信される信号(エコー)を組み合わせることによって、非常に長いアンテナを合成するために用いる技術をいう。開口は、画像を形成するために用いられる反射エネルギーを集めるために用いる開口部を意味する。
【0137】
SARシステムは、高解像度イメージを提供するために、レーダー信号の長レンジの伝達特性、および、現代のデジタル電子工学の複合した情報処理能力を利用する。合成開口レーダーは、1日の時刻および大気条件上の最小限の制約条件のため、そして、地形の固有の応答およびレーダー周波数に対する文化的目標のため、写真的なおよび他の光学イメージング能力を補完する。
【0138】
合成開口レーダー技術は、鉱物の探査のための地質学者に対する地形構造的情報、環境保護主義者に対する水上の石油流出境界、ナビゲータに対する海面状態および氷災害予想図、ならびに、軍用作戦に対する偵察および目標化情報、を提供した。本発明の多くの他の応用または可能な用途がある。より低コストの電子機器が、より小さいスケールの用途のための経済的なSAR技術をちょうど作成し始めているので、これらのいくつか(特に民間人)は、まだ適切に調査されなかった。
【0139】
本発明は、低消費電力で、堅牢で、小型化されるSARデバイスのバージョンを作り出すために、本明細書において記述されるさまざまなアレイ構造を使用しているSAR周波数をカバーすることができる。
【0140】
受動的なマイクロ波リモートセンシングの応用は、気象学、水文学および海洋学を含む。今日使用する大部分の地球観察衛星は、マイクロ波スペクトルの固定帯域に従って機能する非常に特殊なレーダー・サブシステムをもたらす。これらは、我々の再構成可能な設計の目標範囲内に収まるP、L、S、CおよびXバンドである。
【0141】
現在、軍用分野および民間用分野において、肉体に着用できるアンテナに対する関心がある。本発明は、小さくて、高速データマイクロ波中継および検出のための多数の周波数をカバーする再構成可能なアンテナを提供する。パーソナル通信および検出のための再構成可能なアンテナの設計は、デバイスの非常に役立つ応用として識別されることができる。
【0142】
この種の適応アンテナへの応用は、通信に制限されず、医療にも応用される。マイクロ波共鳴療法(MRT)のための高周波マイクロ波を生成するために使用するアンテナは、臨床試験において乳癌を十分に治療した。それらはまた、伝統的な東洋医学を現代の技術に混合する鍼治療と同様の生物物理学的な治療のためにも使用された。いずれの場合においても、相対的サイズ、低消費電力、設計コストおよび、CMOS技術との比較的容易な統合化のため、位相アレイアンテナが使用される。
【0143】
改良および修正は、本明細書の請求の範囲から逸脱せずに、本明細書において組み込まれることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を送信および/または受信する装置であって:
基板;
前記基板の第1の面に実装される1つ以上のアンテナ;
前記基板の第2の面に位置する1つ以上のマイクロ電子機械(MEMS)スイッチ;
前記MEMSスイッチを前記アンテナに有効に接続するために前記基板を通って延びるコネクタ;
を含む装置。
【請求項2】
前記基板が半導体層および少なくとも1つの絶縁層を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの絶縁層が前記アンテナのための基板を形成する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記基板が前記MEMSスイッチを前記アンテナから保護するのに適している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記MEMSスイッチおよび前記アンテナが共通接地を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記共通接地が前記半導体層を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記アンテナがパターン化された金属面を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記パターン化された金属面がスパイラルを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記スパイラルがカーブする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記アンテナが複数のアンテナ素子を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記アンテナ素子が接続される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
1つ以上の前記アンテナ素子がオンまたはオフを切替えられることができる、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記装置の動作周波数を制御するために1つ以上の前記アンテナ素子がオンまたはオフを切替えられることができる、請求項10〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記MEMSスイッチが容量スイッチである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記MEMSスイッチが前記アンテナへの入力または当該アンテナからの出力の位相を変えるように動作する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記MEMSスイッチが:
基板;
第1の導電層;
前記基板に付着して、当該基板の上にブリッジ構造を形成する材料;
前記基板から離隔した前記材料の表面に付着する第2の導電層;を含み、
前記材料は、前記第2の導電層に対する機械的支持として、および、誘電体として作用する;
請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記材料が力の適用に応じて曲がり、これにより、前記MEMSスイッチの容量を変えるのに適している、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記材料が前記第1および第2の導電層間の電圧印加に応じて曲がり、これにより、前記MEMSスイッチの容量を変えるのに適している、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記材料が4.5GPa未満の弾性ヤング率を有する、請求項16〜18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記材料が1MHzで2以上の誘電率を有する、請求項16〜19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記材料がポリマーである、請求項16〜20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記材料がパラキシリレンに由来する、請求項16〜21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記材料がポリ−モノクロロ−パラキシリレンである、請求項16〜22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
前記材料がポリ−パラキシリレンである、請求項16〜23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
前記第2の導電層が金属である、請求項16〜24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
前記第2の導電層がアルミニウムを含む、請求項16〜25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
前記MEMSスイッチが前記基板に載置されるコプレーナ導波路をさらに含む、請求項16〜26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記MEMSスイッチがマイクロストリップ・トポロジにおいて集積される、請求項16〜27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記ブリッジ構造が、当該ブリッジの機械的性質および、それが印加電圧に応じて移動する方法を変えるために形成される梁を含む、請求項18〜28のいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
前記梁が対称形である、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記梁が非対称形である、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記梁が蛇行する屈曲を含む、請求項29〜31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
前記梁の形状が電圧の適用に応じて予め定められた方法で捻れるかまたは曲がるように構成される、請求項29〜32のいずれか1項に記載の装置。
【請求項34】
前記MEMSスイッチが供給ラインまたは信号経路に電磁気デバイスを接続および分離するように構成される、請求項29〜33のいずれか1項に記載の装置。
【請求項35】
前記MEMSスイッチが前記供給ライン上の前記信号の前記位相を変えるために用いられる、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記印加電圧による前記位相の前記変化が予め定められた電圧範囲を超えて実質的に線形である、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
複数の前記MEMSスイッチが前記印加電圧の適用に応じて0〜360°の制御可能な位相シフトを提供するために組み合わされる、請求項35または36に記載の装置。
【請求項38】
前記コネクタがスルーホールまたはバイアである、請求項1〜37のいずれか1項に記載の装置。
【請求項39】
前記コネクタがそれに対して付着される導電性材料を含む、請求項1〜38のいずれか1項に記載の装置。
【請求項40】
前記装置が前記MEMSスイッチでまたはその近くで当該装置に取り付けられる集積回路をさらに含む、請求項1〜39のいずれか1項に記載の装置。
【請求項41】
前記集積回路がCMOS回路を含む、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記CMOS回路がCMOS無線受信機を含む、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記複数のアンテナ素子が、各々が第1のアンテナ構成を有する複数の第1のアンテナ素子を含み、そしてさらに、各々が第2のアンテナ構成を有する複数の第2のアンテナ素子を含み、第1のアンテナ構成と第2のアンテナ構成とは相違するアンテナアレイを含む、請求項10〜42のいずれか1項に記載の装置。
【請求項44】
前記第2のアンテナ構成が前記第1のアンテナ構成の変形を含む、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記変形が回転、反転、スケーリングおよび歪みの少なくとも1つを含む、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記複数の第1のアンテナ素子が前記複数の第2のアンテナ素子と交互配置される、請求項43〜45のいずれか1項に記載の装置。
【請求項47】
前記アンテナアレイが、第1および第2のアンテナ素子を含む第1の素子グループ、および、前記第1の素子グループの変形を含む第2の素子グループ、を含む、請求項43〜46のいずれか1項に記載の装置。
【請求項48】
前記変形が反転を含む、請求項44に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【図7f】
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【図7g】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公表番号】特表2010−531088(P2010−531088A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511732(P2010−511732)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050448
【国際公開番号】WO2008/152428
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(501337513)ザ ユニバーシティ コート オブ ザ ユニバーシティ オブ エジンバラ (8)
【Fターム(参考)】