冗長ビア構造を有する半導体装置
【課題】専有面積の少ない冗長ビア構造を提供する。
【解決手段】第1,第2の配線層間のビア構造が,絶縁層に形成される複数のビアホールと,第1の配線層に形成され,複数のビアホールを含むビアホール形成領域を第1の配線層の主配線方向に拡張し第2の配線層の第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,第2の配線層に形成され,ビアホール領域を第2の主配線方向に拡張し第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成する。
【解決手段】第1,第2の配線層間のビア構造が,絶縁層に形成される複数のビアホールと,第1の配線層に形成され,複数のビアホールを含むビアホール形成領域を第1の配線層の主配線方向に拡張し第2の配線層の第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,第2の配線層に形成され,ビアホール領域を第2の主配線方向に拡張し第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体装置に関し,特に,多層配線間を接続するビアを複数のビアで構成した冗長ビア構造を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多層配線間を接続するビア構造については,特許文献1に記載されている。また,多層配線を利用した自動配線方法については,特許文献2乃至4に記載されている。
【0003】
半導体装置の集積度はますます高くなる傾向にある。それに伴い配線の微細化が進み,露光波長よりも設計データのパターン幅が狭くなると,露光・現像後のパターン形状が設計データのパターン形状と異なることが指摘されている。例えば,設計データによれば終端が矩形の配線パターンであるのに対して,露光・現像後の配線パターンは終端が丸みを帯びた形状になる。
【0004】
図1は,従来のビア構造の設計データと露光・現像後パターンとを示す図である。図1(A)は,A層(下層)の配線パターンLAとB層(上層)の配線パターンLBとをビアホールHで接続するビア構造を示している。設計データでは,配線パターンLAとLBの終端に正方形のビアホールHと,Hを一定のマージンを持って包含するようにA層とB層にそれぞれビアランドVA,VB(図示せず)が配置されている。通常,配線パターンの幅はビアランドのサイズ以下に設定されている。このようなビア構造については,特許文献1にも記載されている。
【0005】
しかし,図1(A)の左側の図形レイアウトをそのままマスクに使用すると,右側に示したように,微細化に伴い露光・現像後の配線パターン形状はその終端が丸みを帯びた形状になり,ビアホールHが配線パターンLA,LBの外側に形成され接続不良を招いてしまう。
【0006】
そこで,図1(B)に示すように,接続不良対策として,配線パターンLA,LBの終端を延長して露光・現像後に終端が丸くなっても接続不良が生じないようにしたり,ビアホールHを一定のマージンを持って包含するようにA層のビアランドVAとB層のビアランドVBを拡張したりすることが行われる。これらの接続不良対策は,いずれも矩形終端の露光結果が丸く後退することを見込んで行っていることである。
【0007】
一方で,ビア構造は,製造時の歩留まりを高くする構造にするだけでなく,製造後の経年劣化であるストレスマイグレーションやエレクトロマイグレーションにも耐性のある構造にすることが必要であり,そのために配線層間を接続するビア構造を複数のビアホールで構成する冗長ビア構造が有効である。
【特許文献1】特開2000−148821号公報
【特許文献2】特開平1−137373号公報
【特許文献3】特開平2−190977号公報
【特許文献4】特開平6−52261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら,冗長ビア構造は,配線層間を複数のビアホールで接続するのでビア構造の専有面積が大きくなる。そのため,専有面積が大きい冗長ビア構造を使用した場合,ある面積に何本の配線パターンを配置できるかを示す配線パターン効率が低下する。
【0009】
そこで,本発明の目的は,配線パターン効率を低下することのない冗長ビア構造を有する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために,本発明の第1の側面によれば,配線層間がビア構造で接続される半導体装置において,第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンを有する第1の配線層と,前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接し,前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンを有する第2の配線層と,前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とを有し,
前記ビア構造は,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成されることを特徴とする。
【0011】
上記の目的を達成するために,本発明の第2の側面によれば,配線層間がビア構造で接続される半導体装置の配線経路探索方法において,
前記配線経路が,第1の配線層に形成され第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンと,前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接する第2の配線層に形成され前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンと,前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とで構成され,
前記ビア構造を,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成された冗長ビア構造に指定して,第1のノードと第2のノード間の配線経路を自動探索する工程を有することを特徴とする。
【0012】
上記の目的を達成するために,本発明の第3の側面によれば,配線層間がビア構造で接続される半導体装置の配線経路形成用の図形データの生成方法において,
第1のノードと第2のノード間の配線経路が,第1の配線層に形成され第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンと,前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接する第2の配線層に形成され前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンと,前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とで構成された設計データに対して,
前記ビア構造を,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成された冗長ビア構造に置き換えて,前記配線経路形成用の図形データを生成する工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記の発明によれば,第1の配線層では第1のビアランドが第1の主配線方向に拡張されそれと交差する第2の主配線方向には拡張されていないので,第1の配線層における配線効率を低下させずに冗長ビア構造を形成することができる。同様に,第2の配線層でも第2のビアランドが第2の主配線方向に拡張されそれと交差する第1の主配線方向には拡張されていないので,第2の配線層における配線効率を低下させずに冗長ビア構造を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下,図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し,本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0015】
図2は,冗長ビア構造を設ける場合の配線効率の低下を説明する図である。図2(A)は,A層(下の配線層)の配線パターンLAとB層(上の配線層)の配線パターンLBとを2個のビアホールH1,H2で構成される冗長ビア構造で接続した例である。なお,本明細書でビアホールとは,絶縁層内に形成されたホールに導電性物質を充填したビアを意味し,ビア構造とは,そのビアホールと上下に設けられるビアランドとを含む接続ビアの構造を意味する。
【0016】
図2の例は,グリッドベースの配線レイアウトによるものであり,上下に隣接するA層とB層の配線層では,それぞれの主配線方向が直交する関係にある。そして,各配線層では一定間隔(ピッチ)の配線トラックが定義されており,配線パターンはその配線トラック上に配置される。したがって,この配線トラック上にどれだけの配線パターンを配置できるかが配線効率を意味する。
【0017】
図2(A)では,A層の配線パターンLAは,水平方向に延びる配線トラックTH上に配置され,B層の配線パターンLBは,垂直方向に延びる配線トラックTV上に配置される。そして,ビアホールH1,H2は,配線トラックTH,TVが交差する位置(グリッド)に配置される。さらに,露光・現像工程によるパターン変動でも接続不良にならないように,実線で示される配線パターンLAはビアホールH1に対して水平方向に拡張され,破線で示される配線パターンLB1はビアホールH1に対して垂直方向に拡張される。また,2個のビアホールH1,H2と配線パターンLB1とを接続するために,B層のビアランドVBが右側のビアホールH2より先まで拡張して設けられる。
【0018】
このように配線パターンを拡張し且つビアランドVBを設けることで,配線パターンの先端が丸く加工されても,またビアランドVBの先端が丸く加工されても,先端部分とビアホールH1,H2とがずれているので,加工後の配線パターンやビアランドの外側にビアホールがはみ出てしまうことはなく,接続不良を回避することができる。
【0019】
同様に,図2(B)では,ビアホールH1,H2が配線トラックの交差点の両側に設けられている。この場合は,配線パターンLAの先端をビアホールH1の左側まで拡張し,配線パターンLBに接続されるビアランドVBの両端をビアホールH1の左側にビアホールH2の右側にそれぞれ拡張している。これにより,接続不良を回避している。
【0020】
しかしながら,図2(A)の例では,ビアランドVBの右端が拡張されて隣の配線パターンLBとの距離d1が小さくなり,図中「X」を付けた2つの配線トラックTVXには配線パターンを形成することができなくなる。同様に,図2(B)の例では,ビアランドVBの左右端が拡張されているので,隣の配線トラックTVXには配線パターンを形成することができなくなる。このように,2個のビアホールからなる冗長ビア構成を設けた結果,配線パターンLBの配線トラックに加えて,2つの配線トラックが犠牲になり,配線パターンの配置効率が低下する。原理的に2個のビアホールの冗長ビア構成であれば,配線パターンの配線トラックに加えて1つの配線トラックが犠牲になれば良いはずであるが,図2の例ではそうはなっていない。
【0021】
上記の配線効率の低下の問題は,グリッドを利用しないグリッドレスの配線レイアウトにおいても同様である。つまり,グリッドレスの配線レイアウトでは,隣接配線パターンは,最小間隔だけ離間して配置される。よって,接続不良を回避するために冗長ビア構造において配線パターンをそれぞれ延長して設けると,その分だけ隣接配線パターンを離間して配置する必要があり,配線効率の低下を招いてしまう。
【0022】
図3及び図4は,本実施の形態における冗長ビア構造を示す図である。この例も,グリッドベースの配線方式によるものであり,A層ではその主配線方向である水平方向の配線トラックTHが定義され,B層ではその主配線方向である垂直方向の配線トラックTVが定義され,各層の配線パターンがそれらの配線トラック上に配置される。そして,配線トラックの交差点(グリッド)にビア構造が配置される。ビア構造は,前述したとおり,ビアホールHと上下層のビアランドVA,VBとで構成される。
【0023】
図3に示すように,A層の配線LAとB層の配線LBとがそれぞれ配線トラックTH2とTV2上にそれぞれの主配線方向に延在して配置され,それらの交点(グリッド)で交差している。そこで,2個のビアホールHを有する冗長ビア構造は,実線で示したようにA層に形成されるビアランドVAと,破線で示したようにB層に形成されるビアランドVBと,A,B層間の絶縁層に形成される2個のビアホールHとで構成される。また,ビアランドとビアホールの包含関係は,ビアランドの縁よりもビアホールの縁が内側にくるように一定の最小マージンを持って構成される。 そして,A層のビアランドVAは,2個のビアホールHを含む最小矩形領域よりその最小マージン分大きい矩形領域を基本形(ビアホール形成領域)とし,それよりもA層の主配線方向(水平方向)に更に拡張され(図中EA),垂直方向には拡張されていない。つまり,ビアランドVAの垂直方向の幅はビアホールHの幅に上下両側に設計ルール上の最小マージンを足したサイズと同じになっている。これにより,配線トラックTH2の両側の配線トラックTH1,TH3には別のA層の配線パターンを形成することができる。
【0024】
同様に,B層のビアランドVBは,2個のビアホールHを含む最小矩形領域に最小マージン分大きい矩形領域を基本形(ビアホール形成領域)とし,それよりもB層の主配線方向(垂直方向)に更に拡張され(図中EB),水平方向には拡張されていない。つまり,ビアランドVBの水平方向の幅は2個のビアホールHを含む最小矩形領域のサイズに左右両側に最小マージンを足したサイズと同じになっている。これにより,配線トラックTV2,TV3の両側の配線トラックTV1,TV4には別のB層の配線パターンを形成することができる。要すれば,2個のビアホールからなる冗長ビア構造を設けても,それにより犠牲になる配線トラックは,配線パターンLA,LBの配線トラックTH2,TV2以外には,1つの配線トラックTV3のみである。したがって,配線効率の低下を避けることができる。
【0025】
図4を参照することで,本実施の形態の冗長ビア構造がより明らかになる。図4(A)は2個のビアホールHが水平方向に配置された例,図4(B)は2個のビアホールHが垂直方向に配置された例をそれぞれ示している。まず,2個のビアホールHを包含するビアホール形成領域として最小矩形領域MINを定義する。そして,A層のビアランドVAは,この最小矩形領域MINをA層の主配線方向EAに拡張しそれと垂直方向には拡張しないパターンになる。一方,破線で示されるB層のビアランドVBは,最小矩形領域MINをB層の主配線方向EBに拡張しそれと垂直方向には拡張しないパターンになる。そして,それらのビアランドVA,VBと2個のビアホールHとから冗長ビア構造RVが構成されている。図4には,2つの冗長ビア構造RVの一点鎖線に沿った断面図が示され,図4(A)の断面図では,破線のビアランドVBがビアホールHの最小矩形領域から拡張されず,実線のビアランドVAがビアホールHの最小矩形領域から拡張されていることが示されている。また,図4(B)の断面図では,その逆の拡張関係が示されている。
【0026】
以上のように,本実施の形態における冗長ビア構造では,複数のビアホールを包含する最小矩形領域を,A層のビアランドVAはその主配線方向(水平方向)に拡張し主配線方向と直交する方向(垂直方向)には拡張しないパターンであり,B層のビアランドVBはその主配線方向(垂直方向)に拡張し主配線方向と直交する方向(水平方向)には拡張しないパターンである。このようなビアランドを設けることで,冗長ビア構造であっても無駄に配線トラックTV,THを犠牲にすることは抑制される。
【0027】
図5〜図8は,本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。図5(A)は,図3の冗長ビア構造と同じ構造であり,配線パターンLBに対して2個のビアホールHが右側にずれて配置されている。図5(B)は,配線パターンLBに対して2個のビアホールHが左側にずれて配置されている例である。
【0028】
図5(A)には,冗長ビア構造の配線トラックTH2に沿った断面図が示されている。この断面図から明らかなとおり,配線パターンLBとビアランドVBとが一部重なっている。このように,設計データ上では配線パターンLBのデータとビアランドVBのデータとが併存するが,露光・現像後のB層のパターンは,配線パターンLBとビアランドVBとを一体化したものになる。A層においても同様に,配線パターンLAとビアランドVAとは一体化したものになる。
【0029】
図5(B)にも,配線トラックTH2に沿った冗長ビア構造の断面図が示されている。この断面図から明らかなとおり,ビアランドVBは配線パターンLBと一部で重なっている。同様に,ビアランドVAも配線パターンLAと一部で重なっている。
【0030】
つまり,配線パターンLA,LBに加えて,冗長ビア構造としてビアホールの最小矩形領域を主配線方向に拡張したビアランドVB,VAを設けることで,ビアホールHが露光・現像後のA層のパターンとB層のパターンの外側にはみ出ることは回避されるのである。
【0031】
図6は,図5の例をA層とB層で逆にしたものである。つまり,2個のビアホールHは垂直方向に配置され,且つ,配線パターンLB上に配置されている。それに伴い,A層のビアランドVAは水平方向に拡張したパターンに,B層のビアランドVBは垂直方向に拡張したパターンになっている。それ以外は,図5と同じである。
【0032】
図7は,更に別の冗長ビア構造を示す平面図である。図7(A)は,6個のビアホールHを有する冗長ビア構造であり,それを介してA層の配線パターンLAとB層の配線パターンLBとが接続されている。配線パターンLA上にはその配線幅と同じサイズの3個のビアホールHが配置され,配線パターンLB上にもその配線幅と同じサイズの2個のビアホールHが配置されている。また,残りの2個のビアホールはいずれの配線パターン上にも配置されていない。そして,実線で示したA層のビアランドVAは,6個のビアホールを包含する最小矩形領域がA層の主配線方向(水平方向)に拡張され,それと直交する方向には拡張されないパターンになっている。一方,破線で示したB層のビアランドVBは,6個のビアホールを包含する最小矩形領域がB層の主配線方向(垂直方向)に拡張され,それと直交する方向には拡張されないパターンになっている。つまり,ビアランドVAとVBとが互いに直交する方向に拡張されているので,それらビアランドの角が露光・現像後に丸くなっても6個のビアホールHがそれらビアランド内に包含されることが保証される。その結果,接続不良は回避される。
【0033】
図7(B)は,3個のビアホールHを有するビア構造であり,3個のビアホールHは全て配線パターンLA上に配置されている。この場合も,上記の考え方と同じようにして,A,B層のビアランドVA,VBのパターンが定義される。つまり,実線で示したA層のビアランドVAは,3個のビアホールを包含する最小矩形領域を水平方向にのみ拡張したパターンにされ,破線で示したB層のビアランドVBも最小矩形領域を垂直方向にのみ拡張したパターンにされている。これにより,3個のビアホールHは確実に両ビアランドVA,VB内に包含されて接続不良は回避される。
【0034】
図8は,2個のビアホールを有する冗長ビア構造を示し,但し,2個のビアホールHの間隔d2が配線トラック間隔以下にされ,左側のビアホールHは配線トラックTV2上に配置されているが,右側のビアホールHは配線トラックTV3より左側にシフトした位置に配置されている。この場合でも,A層のビアランドVAが2個のビアホールを包含する最小矩形領域を水平方向にのみ拡張したパターンにされ,B層のビアランドVBが垂直方向にのみ拡張したパターンにされている。
【0035】
[経路探索方法]
次に,本実施の形態の冗長ビア構造を伴う場合の経路探索方法について説明する。経路探索方法については,例えば,特許文献2,3,4に記載されている。この経路探索によれば,有るノードから別のノードまでの配線経路を探索するにあたり,配線工程の初期段階ではショート(短絡)や間隙不足などの設計ルール違反に対するコスト係数(ペナルティ)を小さく設定し,間隙不足やショートを許容した迂回の少ない経路を探索するようにする。そして徐々にショートなど設計ルール違反に対するコスト係数(ペナルティ)を大きくしながら経路探索を繰り返すことで設計ルール違反個所を解消し,最適な配線経路を検出する。
経路の良し悪しは,下に示すような評価式(1)で配線コストとして数値化し判定する。そして配線コストが最小になる経路を毎回選択,保存するようにする。
(配線コスト)= a・mD+b・sD+c・nV+d・rV+e・E ・・・ 評価式(1)
評価式(1)において,mDはノード間経路の主配線方向配線長,sDはノード間経路の従配線方向配線長,nVはノード間経路内のシングルビア数,rVはノード間経路の冗長ビア数,Eはノード間経路の設計ルール違反個所数である。係数a,b,c,d,eはコスト係数と呼び,主配線方向配線,従配線方向配線,シングルビア,冗長ビア,設計ルール違反に対する重み付けを与えるものである。これらにより経路探索のときに何を優先して解決するかをコントロールする。
【0036】
本実施の形態における第1の経路探索方法によれば,探索対象の経路内の配線層間接続を極力冗長ビア構造で行うことができるように,繰り返される経路探索工程の最初から,配線層間接続を冗長ビア構造に優先指定するようにする。そのようにすることで,探索された経路内に冗長ビア構造を配置できなくなる状況を極力回避することができる。
【0037】
図9Aは,第1の経路探索方法を示すフローチャート図である。また,図10,11A,11B,12は,第1の経路探索方法の各工程の配線パターンと冗長ビア構造を示す図である。
【0038】
図9Aに示されるように,あるノードから他のノードまでの配線経路を探索するにあたり,最初の経路探索工程S10で,配線経路のコストの評価式(1)に使用するコスト係数a〜eを設定する。a〜eの値は,例えば図9Bに示す表のようになっている。これをコスト系列と呼ぶことにする。まずコスト系列CS1のようにa〜eを設定し,工程S11内の工程S110〜S112の処理を全配線対象ノード間について行い,求めた経路を配線領域内に登録する。工程S110では,配線を発生すべきノードを選択し,その選択されたノード間の配線が未結線であったり配線ルール違反が存在していれば,工程S111の経路探索が行われる。工程S111では,冗長ビアのコスト係数をシングルビアのコスト係数以下に設定して冗長ビア優先で経路探索を行い,上記の配線コストの評価値が最小になる経路を選択する。そして,その経路が配線領域に登録される(S112)。
【0039】
次に,S12でコスト系列を更新する。この処理により,a〜eの値は図9BのCS2のように設定される。そして再度S11の処理を,配線対象の全ノードについて実行し,CS1の設定で求めた経路をより好適なものに求めなおす。このような処理を全コスト系列について行なうか,全配線結果が設計ルールを満たすなどの終了条件に達するまで繰り返す。
【0040】
S10では,コスト系列のうち最初の行CS1を使用する。CS1では,配線間の短絡であるショートや,間隙不足などの設計ルール違反に対するコスト係数eをゼロにしている。したがってCS1のコスト系列で求まる配線経路では,ショートや間隙不足が容認される。さらにCS1では(主方向線長コスト係数a)<(従方向線長コスト係数b)としているため,S111で選択される経路は各層の主配線方向を守り,迂回が少ない経路となる。
【0041】
S11の2周目の配線処理で使用するコスト系列CS2は,設計ルール違反に対するコスト係数eをe>0と設定しているため,経路コストが同等な場合はより設計ルール違反の個所が少ない経路を選択することになる。
【0042】
S11のn周目の配線処理で使用するコスト系列CSnに向けて, eの値をa,bより徐々に大きくしていくと,設計ルール違反を回避するために迂回を容認する状態になるが,評価式(1)の配線コストに上限値を設けることにより過剰な迂回のある経路は棄却できる。このようにS11〜S12の処理を繰り返すと,配線収容が可能な限り,設計ルールを遵守した経路を選択して配線経路最適化が収束する。
経路探索のアルゴリズムは種々のアルゴリズムが考えられるが,本実施の形態では本質的ではないので詳細は省略する。
【0043】
図10は,3つの配線区間WR1,WR2,WR3を配線するにあたり,S10でコスト系列CS1を設定し,工程S11により配線して得られた配線パターンと冗長ビア構造を示す。この例では,3つの経路が探索され,第1の経路がA層の配線パターンLA1と冗長ビアV1とB層の配線パターンLB1からなり,第2の経路がA層の配線パターンLA2と冗長ビアV2とB層の配線パターンLB2からなり,第3の経路がA層の配線パターンLA3と冗長ビアV3とB層の配線パターンLB3からなる。いずれも,設計ルール違反コスト係数eを小さくして短絡を許容しているため迂回が生じておらず,またa<bの設定で主配線方向を優先するように経路探索されているので,配線パターンLA1,2,3とLB1,2,3とが規則正しく配置されている。
【0044】
そして,コスト係数c>dに設定してあることから冗長ビアが優先的に使われ,全てのビアが冗長ビア構造になっており,例えば,冗長ビアV3は,A層のビアランドVAとB層のビアランドVB3と2個のビアホールHで構成されている。
【0045】
その結果,冗長ビアV1により配線パターンLB1,LB2が短絡し,冗長ビアV2により配線パターンLB2,LB3が短絡している。3つの配線経路のための3つの冗長ビア構造V1〜V3は,垂直方向の3つの配線トラックと水平方向の4つの配線トラックを使用するだけである。
【0046】
図11A,図11Bは2回目のS11の配線工程による経路の改善状況を示している。この2回目のS11工程を行なうにあたっては,1回目のS11が終了した後にS12によりコスト系列をCS2のように設定する。これは評価式(1)の設計ルール違反コスト係数eをCS1のときよりも大きく設定し,配線間短絡を避けることを配線長が長くなることよりもより高い優先度にして,経路探索を行うことに相当する。今回も配線層間接続は冗長ビアを優先にするようコスト係数c>dに設定する。この2回目の経路探索は,1回目の経路探索で得られた経路である図10を出発点として,各経路について評価式(1)の配線コストが最小になる経路を再探索して1回目の経路探索で求めた経路と置き換える。
【0047】
まず,WR1の経路を求めなおすと,LB1とLB2に存在している短絡を回避するように,第一の冗長ビア構造V1が水平方向右に1グリッド分移動する。これで図11Aの構造になる。次に,WR2の経路を求めなおすと,配線パターンLB2,LB3間に存在している短絡を回避するように第二の冗長ビア構造V2が水平方向右に1グリッド分移動して図11Bの構造になる。WR3の経路を求めなおすと,WR2までの処理でWR3に関する設計ルール違反は解消しているため,WR3の経路は変化しない。
【0048】
全ての配線対象ノード間WR1〜WR3の再配線処理が終わったので,2回目のS11処理は終了し,引き続き図9AのS12に進む。ここでコスト系列が更新され,3回目のS11処理に入る。2回目のS11処理と同様に,まずWR1から経路探索が行われる。2回目のS11処理でVB2とVB3の間隙不足による設計ルール違反がWR1には残っているが,V1の向きが水平方向から垂直方向に変わることで図11Cの構造になり,設計ルール違反が解消される。続いてWR2の再配線処理へ移るが,WR2はWR1の経路が変化したことにより設計ルール違反が解消していて,更に迂回も存在しないため再配線しても経路が変わらない。WR3についても同様に経路が据え置かれる。
【0049】
この結果,配線間の短絡は全て回避されている。但し,3つの冗長ビア構造V1〜V3は,5つの垂直方向の配線トラックと4つの水平方向の配線トラックを使用することになり,図10よりも配線効率が低下した。
【0050】
しかしながら,もし図2(A)に示す構造の冗長ビアを使って,図11Cに類似の冗長ビア構造を設計ルール違反を起こさずに実現しようとすると,図12の例のような構造となり,3つの冗長ビア構造を実現するために,垂直方向のトラック6本,水平方向のトラック6本を消費する。図12の構造と比べれば,図11Cの構造は配線効率が良くなっていることがわかる。
【0051】
以上のように,第1の経路探索方法によれば,本実施の形態における冗長ビア構造を最初の経路探索工程から指定して探索を行うので,全ての経路内に冗長ビア構造を設計ルールを満たす範囲で可能な限り設けることができる。しかも,本実施の形態における冗長ビア構造の場合,A層とB層のビアランドの拡張方向をそれぞれ一方の方向にのみ限定し且つ直交方向に拡張しているので,配線効率の低下をできるだけ招くことなく冗長ビア構造で配線層間を接続することができる。
【0052】
図13A,図13Bは,第2の経路探索方法のフローチャート図である。図14,15は,第2の経路探索方法の各工程での配線パターンと冗長ビア構造を示す図である。
【0053】
第2の経路探索方法では,図13Aに示されるように,あるノードから他のノードまでの配線経路を探索するにあたり,最初の経路探索工程S20で,配線経路のコストの評価式(1)に使用するコスト係数a〜eを設定する。a〜eの値は,例えば図13Cに示す表のようになっている。まずコスト系列CS21のようにa〜eを設定し,S21内のS210〜S212の処理を全配線対象ノード間について行い,求めた経路を配線領域内に登録する。コスト系列CS21では,シングルビアコスト係数と冗長ビアコスト係数とが等しく設定されている。また,このとき,S211ではシングルビアだけを使用した経路探索を行うため,評価式(1)に記載したrVは常に0になり配線コストにはシングルビアしか寄与しない。
【0054】
次に,S22でコスト系列を更新する。この処理により,a〜eの値は図13CのCS22のように設定される。そして再度S21の処理を,配線対象の全ノードについて実行し,CS21の設定で求めた経路を今回求めた最小コスト経路で置き換える。このような処理を全コスト系列について行なうか,全配線結果が設計ルールを満たすなどの終了条件に達するまで繰り返す。
【0055】
S20では,コスト系列のうち最初の行CS21を使用する。CS21では,配線間の短絡であるショートや,間隙不足などの設計ルール違反に対するコスト係数eをゼロにしている。したがってCS21のコスト系列で求まる配線経路では,ショートや間隙不足が容認される。さらにCS21では,(主方向線長コスト係数a)<(従方向線長コスト係数b)としているため,S211で選択される経路は,各層の主配線方向を守り,迂回が少ない経路となる。
【0056】
S21の2周目の配線処理で使用するコスト系列CS22は,設計ルール違反に対するコスト係数eをe>0と設定しているため,S211では経路長コストが同等な場合はより設計ルール違反の個所が少ない側を選択することになる。
【0057】
S21のn周目の配線処理で使用するコスト系列CS2nに向けて, eの値をa,bより徐々に大きくしていくと,設計ルール違反を回避するために迂回を容認する状態になるが,評価式(1)の配線コストに上限値を設けることにより過剰な迂回のある経路は棄却できる。このようにS21〜S22の処理を繰り返すと,配線収容が可能な限り,設計ルールを遵守した経路を選択して配線経路最適化が収束する。S20〜S22の処理では,一貫して1個のビアホールからなるシングルビア構造だけを使用する経路探索を行うため,配線領域で消費する配線トラックや面積は最小であり,初期の段階から冗長ビアを使用した配線を行うときよりも設計ルール違反個所の解消が早く進む。
【0058】
次に,図13Aの手順により一旦シングルビアで収束させた配線状態をもとにして,図13Bの手順によりシングルビア構造を冗長ビア構造に置き換える。
【0059】
まず,前処理としてS30で設計ルール違反のコスト係数eの値を∞か違反禁止を意味する値に設定するとともに,(シングルビアコスト係数c)>(冗長ビアコスト係数d)として設定する。S30で使用するコスト系列は例えば図13CのREPのようにすればよい。
【0060】
経路探索工程S31では,全配線対象区間についてS310〜S312の処理により経路の再探索を行なう。S30にて設定したコスト係数により,新たな設計ルール違反を起こさない範囲でシングルビアよりもコストの低い冗長ビア構造を採る経路への置き換えが行なわれる。
【0061】
図14は,図13Aに示した経路探索工程を行った結果を示す。シングルビア構造が指定されているので,A層の配線パターンLA1,LA2,LA3は,順番に隣接する配線トラック上に配置され,B層の配線パターンLB1,LB2,LB3も,順番に隣接する配線トラック上に配置され,それらを接続するシングルビア構造V1,V2,V3が配線パターンが交差するグリッド上に配置される。いずれのシングルビア構造においても,配線パターンの先端を拡張するようにすることで,露光・現像後の配線端の形状変化によっても断線が発生しないようにされる。
【0062】
次に,図13Bに示した工程でシングルビア構造が冗長ビア構造に置き換えられる。この置換工程では,図14のシングルビア構造V1,V2,V3のうち,冗長ビア構造に置換可能なものだけが置き換えられる。ただし,本実施の形態における冗長ビア構造を採用することにより,より多くのシングルビア構造を冗長ビア構造に置き換えることができる。
【0063】
図15は,工程S31で冗長ビア構造に置き換えられた結果を示す図である。図14と図15とを比較するとわかるように,ビアV1が垂直方向の冗長ビア構造に置き換えられ,ビアV3が水平方向の冗長ビア構造に置き換えられている。ただし,真ん中のビアV2は,上下左右に他の配線パターンが存在するので,冗長ビア構造への置き換えはできていない。
【0064】
このように,経路探索工程が終了した時にシングルビア構造を冗長ビア構造に置き換えるようにすると,ビアV2のように周囲を隣接配線パターンで囲まれている場合などに,置き換えができなくなる可能性がある。したがって,そのようなことを回避するためには,第1の経路探索工程のほうが好ましい。ただし,第2の経路探索工程であっても,本実施の形態の冗長ビア構造を利用することで,より多くのシングルビア構造を冗長ビア構造に置き換えることができる。
【0065】
図16は,第2の経路探索方法についての比較例を示す図であり,図15の結果と比較するための冗長ビア構造を示す。図16の例は,図14のシングルビア構造を図2に示した冗長ビア構造に置き換えたものである。図2の冗長ビア構造は,複数のビアホールが配列された方向に上下配線層のビアランドを拡張したものである。よって,図16の第1の冗長ビアV1は,A層のビアランドVA1が垂直方向に拡張されており,第3の冗長ビアV3は,B層のビアランドVB3が水平方向に拡張されている。その結果,3つの冗長ビア構造のために垂直方向で5配線トラック,水平方向でも5配線トラックを必要としている。これは,図15と比較すると明らかにトラック数が多いことが理解できる。このように,本実施の形態の冗長ビア構造を利用することで,冗長ビア構造に必要なトラック数を減らすことができ,配線効率を高めることができる。
【0066】
上記の第2の経路探索方法において,図13Aの工程S20〜S22により,最適化された配線経路が検出され,それに基づく設計データが生成される。そこで,この設計データにおけるシングルビア構造を,可能なかぎり冗長ビア構造に置き換える処理である図13Bの工程S30〜S31を行うことで,冗長ビア構造を備えた配線レイアウトの図形データが生成される。かかる冗長ビア構造を備えた配線レイアウトの図形データを利用することで,露光・現像工程を経ても冗長ビア構造のビアホールが上下の配線パターンと接続不良になることが回避可能になる。
【0067】
図17,図18は,本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。いずれも配線パターンが混雑している状況でも,本実施の形態の冗長ビア構造であれば最小限の配線トラックの犠牲のもとに,冗長ビア構造を配置することができる。
【0068】
図17(A)では,A層の配線パターンLA1,LA2,LA3が隣接する配線トラック上に配置され,B層の配線パターンLB2,LB3も隣接する配線トラック上に配置されている。そして,配線パターンLA2とLB2との間が2個のビアホールHを有する冗長ビア構造で接続されている。この冗長ビア構造は,A層の配線パターンLA2側に水平方向に拡張したビアランドVAを,B層の配線パターンLB2側に垂直方向に拡張したビアランドVBを有する。これにより,配線パターンLB2,LB3間の1つの配線トラックのみが犠牲になっているだけである。図17(B)では,配線パターンLB2とLB3の間の配線トラックのみが犠牲になっているだけである。
【0069】
図18は,垂直方向に2個のビアホールHを並べた冗長ビア構造を示す。図18(A)では,A層の配線パターンLA2側に水平方向に拡張したビアランドVAが設けられ,B層の配線パターンLB2側に垂直方向に拡張したビアランドVBが設けられている。それにより,配線パターンLA2の下の配線グリッドのみが犠牲になっている。図18(B)の例では,同様の冗長ビア構造が設けられ,配線パターンLA2,LA1の間の配線グリッドのみが犠牲になっている。
【0070】
以上のように,本実施の形態の冗長ビア構造によれば,ビアランドの拡張方向が対応する配線層の主配線方向に限定されているので,冗長ビア構造による配線効率の低下を抑制することができる。また,本実施の形態の冗長ビア構成を利用することで,自動経路探索方法に有効に利用することができる。
【0071】
以上の実施の形態をまとめると,次の付記のとおりである。
【0072】
(付記1)配線層間がビア構造で接続される半導体装置において,
第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンを有する第1の配線層と,
前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接し,前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンを有する第2の配線層と,
前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とを有し,
前記ビア構造は,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成されることを特徴とする半導体装置。
【0073】
(付記2)付記1において,
前記第1及び第2の配線層において,それぞれ前記第1及び第2の主配線方向に延在し所定のピッチで配置される配線トラック上に,前記第1及び第2の配線パターンが配置されることを特徴とする半導体装置。
【0074】
(付記3)付記1において,
前記複数のビアホールの少なくとも一部が,前記第1または第2の配線パターンに沿って配置され,前記第1のビアランドの幅が前記第1の配線パターンの幅と等しく,前記第2のビアランドの幅が前記第2の配線パターンの幅と等しくない,または,第1のビアランドの幅が前記第1の配線パターンの幅と等しくなく,前記第2のビアランドの幅が前記第2の配線パターンの幅と等しいことを特徴とする半導体装置。
【0075】
(付記4)配線層間がビア構造で接続される半導体装置の配線経路探索方法において,
前記配線経路が,第1の配線層に形成され第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンと,前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接する第2の配線層に形成され前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンと,前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とで構成され,
前記ビア構造を,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成された冗長ビア構造に指定して,第1のノードと第2のノード間の配線経路を自動探索する工程を有することを特徴とする配線経路探索方法。
【0076】
(付記5)付記4において,
前記自動探索する工程は,少なくとも配線パターン長と,冗長ビア構造数と,単一のビアホールからなるシングルビア構造数と,配線ルール違反数とを,それぞれ対応する係数で重み付けした配線コストが最小になる配線経路を検出する工程を,前記係数を変更設定しながら繰り返し行い,
前記自動探索の初期探索工程では,前記冗長ビア構造数に対する係数が前記シングルビア構造数に対する係数以下に設定すると共に,前記設計ルール違反数に対する係数を第1の係数に設定し,前記自動探索の前記初期探索工程後の後続探索工程では,前記冗長ビア構造数に対する係数が前記シングルビア構造数に対する係数以下に維持しながら,前記設計ルール違反数に対する係数を前記第1の係数より高い第2の係数に変更設定することを特徴とする配線経路探索方法。
【0077】
(付記6)配線層間がビア構造で接続される半導体装置の配線経路形成用の図形データの生成方法において,
第1のノードと第2のノード間の配線経路が,第1の配線層に形成され第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンと,前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接する第2の配線層に形成され前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンと,前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とで構成された設計データに対して,
前記ビア構造を,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成された冗長ビア構造に置き換えて,前記配線経路形成用の図形データを生成する工程を有することを特徴とする配線経路形成用の図形データの生成方法。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】従来のビア構造の設計データと露光・現像後パターンとを示す図である。
【図2】冗長ビア構造を設ける場合の配線効率の低下を説明する図である。
【図3】本実施の形態における冗長ビア構造を示す図である。
【図4】本実施の形態における冗長ビア構造を示す図である。
【図5】本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。
【図6】本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。
【図7】本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。
【図8】本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。
【図9A】第1の経路探索方法を示すフローチャート図である。
【図9B】第1の経路探索方法で参照するコスト系列の例を示す図である。
【図10】第1の経路探索方法の初期配線パターンと冗長ビア構造を示す図である。
【図11A】第1の経路探索方法の配線パターン改善と冗長ビア構造を示す図である。
【図11B】第1の経路探索方法の配線パターン改善と冗長ビア構造を示す図である。
【図11C】第1の経路探索方法の設計ルール違反個所解消と冗長ビア構造を示す図である
【図12】第1の経路探索方法で従来の冗長ビア構造を用いた例を示す図である。
【図13A】第2の経路探索方法のフローチャート図である。
【図13B】第2の経路探索方法のフローチャート図である。
【図13C】第2の経路探索方法で参照するコスト系列の例を示す図である。
【図14】第2の経路探索方法の第1工程の配線パターンと冗長ビア構造を示す図である。
【図15】第2の経路探索方法の最終工程の配線パターンと冗長ビア構造を示す図である。
【図16】第2の経路探索方法についての比較例を示す図である。
【図17】本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。
【図18】本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
LA,LB:配線パターン VA,VB:ビアランド
H:ビアホール V:ビア構造
TH,TV:配線トラック
【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体装置に関し,特に,多層配線間を接続するビアを複数のビアで構成した冗長ビア構造を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多層配線間を接続するビア構造については,特許文献1に記載されている。また,多層配線を利用した自動配線方法については,特許文献2乃至4に記載されている。
【0003】
半導体装置の集積度はますます高くなる傾向にある。それに伴い配線の微細化が進み,露光波長よりも設計データのパターン幅が狭くなると,露光・現像後のパターン形状が設計データのパターン形状と異なることが指摘されている。例えば,設計データによれば終端が矩形の配線パターンであるのに対して,露光・現像後の配線パターンは終端が丸みを帯びた形状になる。
【0004】
図1は,従来のビア構造の設計データと露光・現像後パターンとを示す図である。図1(A)は,A層(下層)の配線パターンLAとB層(上層)の配線パターンLBとをビアホールHで接続するビア構造を示している。設計データでは,配線パターンLAとLBの終端に正方形のビアホールHと,Hを一定のマージンを持って包含するようにA層とB層にそれぞれビアランドVA,VB(図示せず)が配置されている。通常,配線パターンの幅はビアランドのサイズ以下に設定されている。このようなビア構造については,特許文献1にも記載されている。
【0005】
しかし,図1(A)の左側の図形レイアウトをそのままマスクに使用すると,右側に示したように,微細化に伴い露光・現像後の配線パターン形状はその終端が丸みを帯びた形状になり,ビアホールHが配線パターンLA,LBの外側に形成され接続不良を招いてしまう。
【0006】
そこで,図1(B)に示すように,接続不良対策として,配線パターンLA,LBの終端を延長して露光・現像後に終端が丸くなっても接続不良が生じないようにしたり,ビアホールHを一定のマージンを持って包含するようにA層のビアランドVAとB層のビアランドVBを拡張したりすることが行われる。これらの接続不良対策は,いずれも矩形終端の露光結果が丸く後退することを見込んで行っていることである。
【0007】
一方で,ビア構造は,製造時の歩留まりを高くする構造にするだけでなく,製造後の経年劣化であるストレスマイグレーションやエレクトロマイグレーションにも耐性のある構造にすることが必要であり,そのために配線層間を接続するビア構造を複数のビアホールで構成する冗長ビア構造が有効である。
【特許文献1】特開2000−148821号公報
【特許文献2】特開平1−137373号公報
【特許文献3】特開平2−190977号公報
【特許文献4】特開平6−52261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら,冗長ビア構造は,配線層間を複数のビアホールで接続するのでビア構造の専有面積が大きくなる。そのため,専有面積が大きい冗長ビア構造を使用した場合,ある面積に何本の配線パターンを配置できるかを示す配線パターン効率が低下する。
【0009】
そこで,本発明の目的は,配線パターン効率を低下することのない冗長ビア構造を有する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために,本発明の第1の側面によれば,配線層間がビア構造で接続される半導体装置において,第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンを有する第1の配線層と,前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接し,前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンを有する第2の配線層と,前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とを有し,
前記ビア構造は,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成されることを特徴とする。
【0011】
上記の目的を達成するために,本発明の第2の側面によれば,配線層間がビア構造で接続される半導体装置の配線経路探索方法において,
前記配線経路が,第1の配線層に形成され第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンと,前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接する第2の配線層に形成され前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンと,前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とで構成され,
前記ビア構造を,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成された冗長ビア構造に指定して,第1のノードと第2のノード間の配線経路を自動探索する工程を有することを特徴とする。
【0012】
上記の目的を達成するために,本発明の第3の側面によれば,配線層間がビア構造で接続される半導体装置の配線経路形成用の図形データの生成方法において,
第1のノードと第2のノード間の配線経路が,第1の配線層に形成され第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンと,前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接する第2の配線層に形成され前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンと,前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とで構成された設計データに対して,
前記ビア構造を,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成された冗長ビア構造に置き換えて,前記配線経路形成用の図形データを生成する工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記の発明によれば,第1の配線層では第1のビアランドが第1の主配線方向に拡張されそれと交差する第2の主配線方向には拡張されていないので,第1の配線層における配線効率を低下させずに冗長ビア構造を形成することができる。同様に,第2の配線層でも第2のビアランドが第2の主配線方向に拡張されそれと交差する第1の主配線方向には拡張されていないので,第2の配線層における配線効率を低下させずに冗長ビア構造を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下,図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し,本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0015】
図2は,冗長ビア構造を設ける場合の配線効率の低下を説明する図である。図2(A)は,A層(下の配線層)の配線パターンLAとB層(上の配線層)の配線パターンLBとを2個のビアホールH1,H2で構成される冗長ビア構造で接続した例である。なお,本明細書でビアホールとは,絶縁層内に形成されたホールに導電性物質を充填したビアを意味し,ビア構造とは,そのビアホールと上下に設けられるビアランドとを含む接続ビアの構造を意味する。
【0016】
図2の例は,グリッドベースの配線レイアウトによるものであり,上下に隣接するA層とB層の配線層では,それぞれの主配線方向が直交する関係にある。そして,各配線層では一定間隔(ピッチ)の配線トラックが定義されており,配線パターンはその配線トラック上に配置される。したがって,この配線トラック上にどれだけの配線パターンを配置できるかが配線効率を意味する。
【0017】
図2(A)では,A層の配線パターンLAは,水平方向に延びる配線トラックTH上に配置され,B層の配線パターンLBは,垂直方向に延びる配線トラックTV上に配置される。そして,ビアホールH1,H2は,配線トラックTH,TVが交差する位置(グリッド)に配置される。さらに,露光・現像工程によるパターン変動でも接続不良にならないように,実線で示される配線パターンLAはビアホールH1に対して水平方向に拡張され,破線で示される配線パターンLB1はビアホールH1に対して垂直方向に拡張される。また,2個のビアホールH1,H2と配線パターンLB1とを接続するために,B層のビアランドVBが右側のビアホールH2より先まで拡張して設けられる。
【0018】
このように配線パターンを拡張し且つビアランドVBを設けることで,配線パターンの先端が丸く加工されても,またビアランドVBの先端が丸く加工されても,先端部分とビアホールH1,H2とがずれているので,加工後の配線パターンやビアランドの外側にビアホールがはみ出てしまうことはなく,接続不良を回避することができる。
【0019】
同様に,図2(B)では,ビアホールH1,H2が配線トラックの交差点の両側に設けられている。この場合は,配線パターンLAの先端をビアホールH1の左側まで拡張し,配線パターンLBに接続されるビアランドVBの両端をビアホールH1の左側にビアホールH2の右側にそれぞれ拡張している。これにより,接続不良を回避している。
【0020】
しかしながら,図2(A)の例では,ビアランドVBの右端が拡張されて隣の配線パターンLBとの距離d1が小さくなり,図中「X」を付けた2つの配線トラックTVXには配線パターンを形成することができなくなる。同様に,図2(B)の例では,ビアランドVBの左右端が拡張されているので,隣の配線トラックTVXには配線パターンを形成することができなくなる。このように,2個のビアホールからなる冗長ビア構成を設けた結果,配線パターンLBの配線トラックに加えて,2つの配線トラックが犠牲になり,配線パターンの配置効率が低下する。原理的に2個のビアホールの冗長ビア構成であれば,配線パターンの配線トラックに加えて1つの配線トラックが犠牲になれば良いはずであるが,図2の例ではそうはなっていない。
【0021】
上記の配線効率の低下の問題は,グリッドを利用しないグリッドレスの配線レイアウトにおいても同様である。つまり,グリッドレスの配線レイアウトでは,隣接配線パターンは,最小間隔だけ離間して配置される。よって,接続不良を回避するために冗長ビア構造において配線パターンをそれぞれ延長して設けると,その分だけ隣接配線パターンを離間して配置する必要があり,配線効率の低下を招いてしまう。
【0022】
図3及び図4は,本実施の形態における冗長ビア構造を示す図である。この例も,グリッドベースの配線方式によるものであり,A層ではその主配線方向である水平方向の配線トラックTHが定義され,B層ではその主配線方向である垂直方向の配線トラックTVが定義され,各層の配線パターンがそれらの配線トラック上に配置される。そして,配線トラックの交差点(グリッド)にビア構造が配置される。ビア構造は,前述したとおり,ビアホールHと上下層のビアランドVA,VBとで構成される。
【0023】
図3に示すように,A層の配線LAとB層の配線LBとがそれぞれ配線トラックTH2とTV2上にそれぞれの主配線方向に延在して配置され,それらの交点(グリッド)で交差している。そこで,2個のビアホールHを有する冗長ビア構造は,実線で示したようにA層に形成されるビアランドVAと,破線で示したようにB層に形成されるビアランドVBと,A,B層間の絶縁層に形成される2個のビアホールHとで構成される。また,ビアランドとビアホールの包含関係は,ビアランドの縁よりもビアホールの縁が内側にくるように一定の最小マージンを持って構成される。 そして,A層のビアランドVAは,2個のビアホールHを含む最小矩形領域よりその最小マージン分大きい矩形領域を基本形(ビアホール形成領域)とし,それよりもA層の主配線方向(水平方向)に更に拡張され(図中EA),垂直方向には拡張されていない。つまり,ビアランドVAの垂直方向の幅はビアホールHの幅に上下両側に設計ルール上の最小マージンを足したサイズと同じになっている。これにより,配線トラックTH2の両側の配線トラックTH1,TH3には別のA層の配線パターンを形成することができる。
【0024】
同様に,B層のビアランドVBは,2個のビアホールHを含む最小矩形領域に最小マージン分大きい矩形領域を基本形(ビアホール形成領域)とし,それよりもB層の主配線方向(垂直方向)に更に拡張され(図中EB),水平方向には拡張されていない。つまり,ビアランドVBの水平方向の幅は2個のビアホールHを含む最小矩形領域のサイズに左右両側に最小マージンを足したサイズと同じになっている。これにより,配線トラックTV2,TV3の両側の配線トラックTV1,TV4には別のB層の配線パターンを形成することができる。要すれば,2個のビアホールからなる冗長ビア構造を設けても,それにより犠牲になる配線トラックは,配線パターンLA,LBの配線トラックTH2,TV2以外には,1つの配線トラックTV3のみである。したがって,配線効率の低下を避けることができる。
【0025】
図4を参照することで,本実施の形態の冗長ビア構造がより明らかになる。図4(A)は2個のビアホールHが水平方向に配置された例,図4(B)は2個のビアホールHが垂直方向に配置された例をそれぞれ示している。まず,2個のビアホールHを包含するビアホール形成領域として最小矩形領域MINを定義する。そして,A層のビアランドVAは,この最小矩形領域MINをA層の主配線方向EAに拡張しそれと垂直方向には拡張しないパターンになる。一方,破線で示されるB層のビアランドVBは,最小矩形領域MINをB層の主配線方向EBに拡張しそれと垂直方向には拡張しないパターンになる。そして,それらのビアランドVA,VBと2個のビアホールHとから冗長ビア構造RVが構成されている。図4には,2つの冗長ビア構造RVの一点鎖線に沿った断面図が示され,図4(A)の断面図では,破線のビアランドVBがビアホールHの最小矩形領域から拡張されず,実線のビアランドVAがビアホールHの最小矩形領域から拡張されていることが示されている。また,図4(B)の断面図では,その逆の拡張関係が示されている。
【0026】
以上のように,本実施の形態における冗長ビア構造では,複数のビアホールを包含する最小矩形領域を,A層のビアランドVAはその主配線方向(水平方向)に拡張し主配線方向と直交する方向(垂直方向)には拡張しないパターンであり,B層のビアランドVBはその主配線方向(垂直方向)に拡張し主配線方向と直交する方向(水平方向)には拡張しないパターンである。このようなビアランドを設けることで,冗長ビア構造であっても無駄に配線トラックTV,THを犠牲にすることは抑制される。
【0027】
図5〜図8は,本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。図5(A)は,図3の冗長ビア構造と同じ構造であり,配線パターンLBに対して2個のビアホールHが右側にずれて配置されている。図5(B)は,配線パターンLBに対して2個のビアホールHが左側にずれて配置されている例である。
【0028】
図5(A)には,冗長ビア構造の配線トラックTH2に沿った断面図が示されている。この断面図から明らかなとおり,配線パターンLBとビアランドVBとが一部重なっている。このように,設計データ上では配線パターンLBのデータとビアランドVBのデータとが併存するが,露光・現像後のB層のパターンは,配線パターンLBとビアランドVBとを一体化したものになる。A層においても同様に,配線パターンLAとビアランドVAとは一体化したものになる。
【0029】
図5(B)にも,配線トラックTH2に沿った冗長ビア構造の断面図が示されている。この断面図から明らかなとおり,ビアランドVBは配線パターンLBと一部で重なっている。同様に,ビアランドVAも配線パターンLAと一部で重なっている。
【0030】
つまり,配線パターンLA,LBに加えて,冗長ビア構造としてビアホールの最小矩形領域を主配線方向に拡張したビアランドVB,VAを設けることで,ビアホールHが露光・現像後のA層のパターンとB層のパターンの外側にはみ出ることは回避されるのである。
【0031】
図6は,図5の例をA層とB層で逆にしたものである。つまり,2個のビアホールHは垂直方向に配置され,且つ,配線パターンLB上に配置されている。それに伴い,A層のビアランドVAは水平方向に拡張したパターンに,B層のビアランドVBは垂直方向に拡張したパターンになっている。それ以外は,図5と同じである。
【0032】
図7は,更に別の冗長ビア構造を示す平面図である。図7(A)は,6個のビアホールHを有する冗長ビア構造であり,それを介してA層の配線パターンLAとB層の配線パターンLBとが接続されている。配線パターンLA上にはその配線幅と同じサイズの3個のビアホールHが配置され,配線パターンLB上にもその配線幅と同じサイズの2個のビアホールHが配置されている。また,残りの2個のビアホールはいずれの配線パターン上にも配置されていない。そして,実線で示したA層のビアランドVAは,6個のビアホールを包含する最小矩形領域がA層の主配線方向(水平方向)に拡張され,それと直交する方向には拡張されないパターンになっている。一方,破線で示したB層のビアランドVBは,6個のビアホールを包含する最小矩形領域がB層の主配線方向(垂直方向)に拡張され,それと直交する方向には拡張されないパターンになっている。つまり,ビアランドVAとVBとが互いに直交する方向に拡張されているので,それらビアランドの角が露光・現像後に丸くなっても6個のビアホールHがそれらビアランド内に包含されることが保証される。その結果,接続不良は回避される。
【0033】
図7(B)は,3個のビアホールHを有するビア構造であり,3個のビアホールHは全て配線パターンLA上に配置されている。この場合も,上記の考え方と同じようにして,A,B層のビアランドVA,VBのパターンが定義される。つまり,実線で示したA層のビアランドVAは,3個のビアホールを包含する最小矩形領域を水平方向にのみ拡張したパターンにされ,破線で示したB層のビアランドVBも最小矩形領域を垂直方向にのみ拡張したパターンにされている。これにより,3個のビアホールHは確実に両ビアランドVA,VB内に包含されて接続不良は回避される。
【0034】
図8は,2個のビアホールを有する冗長ビア構造を示し,但し,2個のビアホールHの間隔d2が配線トラック間隔以下にされ,左側のビアホールHは配線トラックTV2上に配置されているが,右側のビアホールHは配線トラックTV3より左側にシフトした位置に配置されている。この場合でも,A層のビアランドVAが2個のビアホールを包含する最小矩形領域を水平方向にのみ拡張したパターンにされ,B層のビアランドVBが垂直方向にのみ拡張したパターンにされている。
【0035】
[経路探索方法]
次に,本実施の形態の冗長ビア構造を伴う場合の経路探索方法について説明する。経路探索方法については,例えば,特許文献2,3,4に記載されている。この経路探索によれば,有るノードから別のノードまでの配線経路を探索するにあたり,配線工程の初期段階ではショート(短絡)や間隙不足などの設計ルール違反に対するコスト係数(ペナルティ)を小さく設定し,間隙不足やショートを許容した迂回の少ない経路を探索するようにする。そして徐々にショートなど設計ルール違反に対するコスト係数(ペナルティ)を大きくしながら経路探索を繰り返すことで設計ルール違反個所を解消し,最適な配線経路を検出する。
経路の良し悪しは,下に示すような評価式(1)で配線コストとして数値化し判定する。そして配線コストが最小になる経路を毎回選択,保存するようにする。
(配線コスト)= a・mD+b・sD+c・nV+d・rV+e・E ・・・ 評価式(1)
評価式(1)において,mDはノード間経路の主配線方向配線長,sDはノード間経路の従配線方向配線長,nVはノード間経路内のシングルビア数,rVはノード間経路の冗長ビア数,Eはノード間経路の設計ルール違反個所数である。係数a,b,c,d,eはコスト係数と呼び,主配線方向配線,従配線方向配線,シングルビア,冗長ビア,設計ルール違反に対する重み付けを与えるものである。これらにより経路探索のときに何を優先して解決するかをコントロールする。
【0036】
本実施の形態における第1の経路探索方法によれば,探索対象の経路内の配線層間接続を極力冗長ビア構造で行うことができるように,繰り返される経路探索工程の最初から,配線層間接続を冗長ビア構造に優先指定するようにする。そのようにすることで,探索された経路内に冗長ビア構造を配置できなくなる状況を極力回避することができる。
【0037】
図9Aは,第1の経路探索方法を示すフローチャート図である。また,図10,11A,11B,12は,第1の経路探索方法の各工程の配線パターンと冗長ビア構造を示す図である。
【0038】
図9Aに示されるように,あるノードから他のノードまでの配線経路を探索するにあたり,最初の経路探索工程S10で,配線経路のコストの評価式(1)に使用するコスト係数a〜eを設定する。a〜eの値は,例えば図9Bに示す表のようになっている。これをコスト系列と呼ぶことにする。まずコスト系列CS1のようにa〜eを設定し,工程S11内の工程S110〜S112の処理を全配線対象ノード間について行い,求めた経路を配線領域内に登録する。工程S110では,配線を発生すべきノードを選択し,その選択されたノード間の配線が未結線であったり配線ルール違反が存在していれば,工程S111の経路探索が行われる。工程S111では,冗長ビアのコスト係数をシングルビアのコスト係数以下に設定して冗長ビア優先で経路探索を行い,上記の配線コストの評価値が最小になる経路を選択する。そして,その経路が配線領域に登録される(S112)。
【0039】
次に,S12でコスト系列を更新する。この処理により,a〜eの値は図9BのCS2のように設定される。そして再度S11の処理を,配線対象の全ノードについて実行し,CS1の設定で求めた経路をより好適なものに求めなおす。このような処理を全コスト系列について行なうか,全配線結果が設計ルールを満たすなどの終了条件に達するまで繰り返す。
【0040】
S10では,コスト系列のうち最初の行CS1を使用する。CS1では,配線間の短絡であるショートや,間隙不足などの設計ルール違反に対するコスト係数eをゼロにしている。したがってCS1のコスト系列で求まる配線経路では,ショートや間隙不足が容認される。さらにCS1では(主方向線長コスト係数a)<(従方向線長コスト係数b)としているため,S111で選択される経路は各層の主配線方向を守り,迂回が少ない経路となる。
【0041】
S11の2周目の配線処理で使用するコスト系列CS2は,設計ルール違反に対するコスト係数eをe>0と設定しているため,経路コストが同等な場合はより設計ルール違反の個所が少ない経路を選択することになる。
【0042】
S11のn周目の配線処理で使用するコスト系列CSnに向けて, eの値をa,bより徐々に大きくしていくと,設計ルール違反を回避するために迂回を容認する状態になるが,評価式(1)の配線コストに上限値を設けることにより過剰な迂回のある経路は棄却できる。このようにS11〜S12の処理を繰り返すと,配線収容が可能な限り,設計ルールを遵守した経路を選択して配線経路最適化が収束する。
経路探索のアルゴリズムは種々のアルゴリズムが考えられるが,本実施の形態では本質的ではないので詳細は省略する。
【0043】
図10は,3つの配線区間WR1,WR2,WR3を配線するにあたり,S10でコスト系列CS1を設定し,工程S11により配線して得られた配線パターンと冗長ビア構造を示す。この例では,3つの経路が探索され,第1の経路がA層の配線パターンLA1と冗長ビアV1とB層の配線パターンLB1からなり,第2の経路がA層の配線パターンLA2と冗長ビアV2とB層の配線パターンLB2からなり,第3の経路がA層の配線パターンLA3と冗長ビアV3とB層の配線パターンLB3からなる。いずれも,設計ルール違反コスト係数eを小さくして短絡を許容しているため迂回が生じておらず,またa<bの設定で主配線方向を優先するように経路探索されているので,配線パターンLA1,2,3とLB1,2,3とが規則正しく配置されている。
【0044】
そして,コスト係数c>dに設定してあることから冗長ビアが優先的に使われ,全てのビアが冗長ビア構造になっており,例えば,冗長ビアV3は,A層のビアランドVAとB層のビアランドVB3と2個のビアホールHで構成されている。
【0045】
その結果,冗長ビアV1により配線パターンLB1,LB2が短絡し,冗長ビアV2により配線パターンLB2,LB3が短絡している。3つの配線経路のための3つの冗長ビア構造V1〜V3は,垂直方向の3つの配線トラックと水平方向の4つの配線トラックを使用するだけである。
【0046】
図11A,図11Bは2回目のS11の配線工程による経路の改善状況を示している。この2回目のS11工程を行なうにあたっては,1回目のS11が終了した後にS12によりコスト系列をCS2のように設定する。これは評価式(1)の設計ルール違反コスト係数eをCS1のときよりも大きく設定し,配線間短絡を避けることを配線長が長くなることよりもより高い優先度にして,経路探索を行うことに相当する。今回も配線層間接続は冗長ビアを優先にするようコスト係数c>dに設定する。この2回目の経路探索は,1回目の経路探索で得られた経路である図10を出発点として,各経路について評価式(1)の配線コストが最小になる経路を再探索して1回目の経路探索で求めた経路と置き換える。
【0047】
まず,WR1の経路を求めなおすと,LB1とLB2に存在している短絡を回避するように,第一の冗長ビア構造V1が水平方向右に1グリッド分移動する。これで図11Aの構造になる。次に,WR2の経路を求めなおすと,配線パターンLB2,LB3間に存在している短絡を回避するように第二の冗長ビア構造V2が水平方向右に1グリッド分移動して図11Bの構造になる。WR3の経路を求めなおすと,WR2までの処理でWR3に関する設計ルール違反は解消しているため,WR3の経路は変化しない。
【0048】
全ての配線対象ノード間WR1〜WR3の再配線処理が終わったので,2回目のS11処理は終了し,引き続き図9AのS12に進む。ここでコスト系列が更新され,3回目のS11処理に入る。2回目のS11処理と同様に,まずWR1から経路探索が行われる。2回目のS11処理でVB2とVB3の間隙不足による設計ルール違反がWR1には残っているが,V1の向きが水平方向から垂直方向に変わることで図11Cの構造になり,設計ルール違反が解消される。続いてWR2の再配線処理へ移るが,WR2はWR1の経路が変化したことにより設計ルール違反が解消していて,更に迂回も存在しないため再配線しても経路が変わらない。WR3についても同様に経路が据え置かれる。
【0049】
この結果,配線間の短絡は全て回避されている。但し,3つの冗長ビア構造V1〜V3は,5つの垂直方向の配線トラックと4つの水平方向の配線トラックを使用することになり,図10よりも配線効率が低下した。
【0050】
しかしながら,もし図2(A)に示す構造の冗長ビアを使って,図11Cに類似の冗長ビア構造を設計ルール違反を起こさずに実現しようとすると,図12の例のような構造となり,3つの冗長ビア構造を実現するために,垂直方向のトラック6本,水平方向のトラック6本を消費する。図12の構造と比べれば,図11Cの構造は配線効率が良くなっていることがわかる。
【0051】
以上のように,第1の経路探索方法によれば,本実施の形態における冗長ビア構造を最初の経路探索工程から指定して探索を行うので,全ての経路内に冗長ビア構造を設計ルールを満たす範囲で可能な限り設けることができる。しかも,本実施の形態における冗長ビア構造の場合,A層とB層のビアランドの拡張方向をそれぞれ一方の方向にのみ限定し且つ直交方向に拡張しているので,配線効率の低下をできるだけ招くことなく冗長ビア構造で配線層間を接続することができる。
【0052】
図13A,図13Bは,第2の経路探索方法のフローチャート図である。図14,15は,第2の経路探索方法の各工程での配線パターンと冗長ビア構造を示す図である。
【0053】
第2の経路探索方法では,図13Aに示されるように,あるノードから他のノードまでの配線経路を探索するにあたり,最初の経路探索工程S20で,配線経路のコストの評価式(1)に使用するコスト係数a〜eを設定する。a〜eの値は,例えば図13Cに示す表のようになっている。まずコスト系列CS21のようにa〜eを設定し,S21内のS210〜S212の処理を全配線対象ノード間について行い,求めた経路を配線領域内に登録する。コスト系列CS21では,シングルビアコスト係数と冗長ビアコスト係数とが等しく設定されている。また,このとき,S211ではシングルビアだけを使用した経路探索を行うため,評価式(1)に記載したrVは常に0になり配線コストにはシングルビアしか寄与しない。
【0054】
次に,S22でコスト系列を更新する。この処理により,a〜eの値は図13CのCS22のように設定される。そして再度S21の処理を,配線対象の全ノードについて実行し,CS21の設定で求めた経路を今回求めた最小コスト経路で置き換える。このような処理を全コスト系列について行なうか,全配線結果が設計ルールを満たすなどの終了条件に達するまで繰り返す。
【0055】
S20では,コスト系列のうち最初の行CS21を使用する。CS21では,配線間の短絡であるショートや,間隙不足などの設計ルール違反に対するコスト係数eをゼロにしている。したがってCS21のコスト系列で求まる配線経路では,ショートや間隙不足が容認される。さらにCS21では,(主方向線長コスト係数a)<(従方向線長コスト係数b)としているため,S211で選択される経路は,各層の主配線方向を守り,迂回が少ない経路となる。
【0056】
S21の2周目の配線処理で使用するコスト系列CS22は,設計ルール違反に対するコスト係数eをe>0と設定しているため,S211では経路長コストが同等な場合はより設計ルール違反の個所が少ない側を選択することになる。
【0057】
S21のn周目の配線処理で使用するコスト系列CS2nに向けて, eの値をa,bより徐々に大きくしていくと,設計ルール違反を回避するために迂回を容認する状態になるが,評価式(1)の配線コストに上限値を設けることにより過剰な迂回のある経路は棄却できる。このようにS21〜S22の処理を繰り返すと,配線収容が可能な限り,設計ルールを遵守した経路を選択して配線経路最適化が収束する。S20〜S22の処理では,一貫して1個のビアホールからなるシングルビア構造だけを使用する経路探索を行うため,配線領域で消費する配線トラックや面積は最小であり,初期の段階から冗長ビアを使用した配線を行うときよりも設計ルール違反個所の解消が早く進む。
【0058】
次に,図13Aの手順により一旦シングルビアで収束させた配線状態をもとにして,図13Bの手順によりシングルビア構造を冗長ビア構造に置き換える。
【0059】
まず,前処理としてS30で設計ルール違反のコスト係数eの値を∞か違反禁止を意味する値に設定するとともに,(シングルビアコスト係数c)>(冗長ビアコスト係数d)として設定する。S30で使用するコスト系列は例えば図13CのREPのようにすればよい。
【0060】
経路探索工程S31では,全配線対象区間についてS310〜S312の処理により経路の再探索を行なう。S30にて設定したコスト係数により,新たな設計ルール違反を起こさない範囲でシングルビアよりもコストの低い冗長ビア構造を採る経路への置き換えが行なわれる。
【0061】
図14は,図13Aに示した経路探索工程を行った結果を示す。シングルビア構造が指定されているので,A層の配線パターンLA1,LA2,LA3は,順番に隣接する配線トラック上に配置され,B層の配線パターンLB1,LB2,LB3も,順番に隣接する配線トラック上に配置され,それらを接続するシングルビア構造V1,V2,V3が配線パターンが交差するグリッド上に配置される。いずれのシングルビア構造においても,配線パターンの先端を拡張するようにすることで,露光・現像後の配線端の形状変化によっても断線が発生しないようにされる。
【0062】
次に,図13Bに示した工程でシングルビア構造が冗長ビア構造に置き換えられる。この置換工程では,図14のシングルビア構造V1,V2,V3のうち,冗長ビア構造に置換可能なものだけが置き換えられる。ただし,本実施の形態における冗長ビア構造を採用することにより,より多くのシングルビア構造を冗長ビア構造に置き換えることができる。
【0063】
図15は,工程S31で冗長ビア構造に置き換えられた結果を示す図である。図14と図15とを比較するとわかるように,ビアV1が垂直方向の冗長ビア構造に置き換えられ,ビアV3が水平方向の冗長ビア構造に置き換えられている。ただし,真ん中のビアV2は,上下左右に他の配線パターンが存在するので,冗長ビア構造への置き換えはできていない。
【0064】
このように,経路探索工程が終了した時にシングルビア構造を冗長ビア構造に置き換えるようにすると,ビアV2のように周囲を隣接配線パターンで囲まれている場合などに,置き換えができなくなる可能性がある。したがって,そのようなことを回避するためには,第1の経路探索工程のほうが好ましい。ただし,第2の経路探索工程であっても,本実施の形態の冗長ビア構造を利用することで,より多くのシングルビア構造を冗長ビア構造に置き換えることができる。
【0065】
図16は,第2の経路探索方法についての比較例を示す図であり,図15の結果と比較するための冗長ビア構造を示す。図16の例は,図14のシングルビア構造を図2に示した冗長ビア構造に置き換えたものである。図2の冗長ビア構造は,複数のビアホールが配列された方向に上下配線層のビアランドを拡張したものである。よって,図16の第1の冗長ビアV1は,A層のビアランドVA1が垂直方向に拡張されており,第3の冗長ビアV3は,B層のビアランドVB3が水平方向に拡張されている。その結果,3つの冗長ビア構造のために垂直方向で5配線トラック,水平方向でも5配線トラックを必要としている。これは,図15と比較すると明らかにトラック数が多いことが理解できる。このように,本実施の形態の冗長ビア構造を利用することで,冗長ビア構造に必要なトラック数を減らすことができ,配線効率を高めることができる。
【0066】
上記の第2の経路探索方法において,図13Aの工程S20〜S22により,最適化された配線経路が検出され,それに基づく設計データが生成される。そこで,この設計データにおけるシングルビア構造を,可能なかぎり冗長ビア構造に置き換える処理である図13Bの工程S30〜S31を行うことで,冗長ビア構造を備えた配線レイアウトの図形データが生成される。かかる冗長ビア構造を備えた配線レイアウトの図形データを利用することで,露光・現像工程を経ても冗長ビア構造のビアホールが上下の配線パターンと接続不良になることが回避可能になる。
【0067】
図17,図18は,本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。いずれも配線パターンが混雑している状況でも,本実施の形態の冗長ビア構造であれば最小限の配線トラックの犠牲のもとに,冗長ビア構造を配置することができる。
【0068】
図17(A)では,A層の配線パターンLA1,LA2,LA3が隣接する配線トラック上に配置され,B層の配線パターンLB2,LB3も隣接する配線トラック上に配置されている。そして,配線パターンLA2とLB2との間が2個のビアホールHを有する冗長ビア構造で接続されている。この冗長ビア構造は,A層の配線パターンLA2側に水平方向に拡張したビアランドVAを,B層の配線パターンLB2側に垂直方向に拡張したビアランドVBを有する。これにより,配線パターンLB2,LB3間の1つの配線トラックのみが犠牲になっているだけである。図17(B)では,配線パターンLB2とLB3の間の配線トラックのみが犠牲になっているだけである。
【0069】
図18は,垂直方向に2個のビアホールHを並べた冗長ビア構造を示す。図18(A)では,A層の配線パターンLA2側に水平方向に拡張したビアランドVAが設けられ,B層の配線パターンLB2側に垂直方向に拡張したビアランドVBが設けられている。それにより,配線パターンLA2の下の配線グリッドのみが犠牲になっている。図18(B)の例では,同様の冗長ビア構造が設けられ,配線パターンLA2,LA1の間の配線グリッドのみが犠牲になっている。
【0070】
以上のように,本実施の形態の冗長ビア構造によれば,ビアランドの拡張方向が対応する配線層の主配線方向に限定されているので,冗長ビア構造による配線効率の低下を抑制することができる。また,本実施の形態の冗長ビア構成を利用することで,自動経路探索方法に有効に利用することができる。
【0071】
以上の実施の形態をまとめると,次の付記のとおりである。
【0072】
(付記1)配線層間がビア構造で接続される半導体装置において,
第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンを有する第1の配線層と,
前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接し,前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンを有する第2の配線層と,
前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とを有し,
前記ビア構造は,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成されることを特徴とする半導体装置。
【0073】
(付記2)付記1において,
前記第1及び第2の配線層において,それぞれ前記第1及び第2の主配線方向に延在し所定のピッチで配置される配線トラック上に,前記第1及び第2の配線パターンが配置されることを特徴とする半導体装置。
【0074】
(付記3)付記1において,
前記複数のビアホールの少なくとも一部が,前記第1または第2の配線パターンに沿って配置され,前記第1のビアランドの幅が前記第1の配線パターンの幅と等しく,前記第2のビアランドの幅が前記第2の配線パターンの幅と等しくない,または,第1のビアランドの幅が前記第1の配線パターンの幅と等しくなく,前記第2のビアランドの幅が前記第2の配線パターンの幅と等しいことを特徴とする半導体装置。
【0075】
(付記4)配線層間がビア構造で接続される半導体装置の配線経路探索方法において,
前記配線経路が,第1の配線層に形成され第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンと,前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接する第2の配線層に形成され前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンと,前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とで構成され,
前記ビア構造を,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成された冗長ビア構造に指定して,第1のノードと第2のノード間の配線経路を自動探索する工程を有することを特徴とする配線経路探索方法。
【0076】
(付記5)付記4において,
前記自動探索する工程は,少なくとも配線パターン長と,冗長ビア構造数と,単一のビアホールからなるシングルビア構造数と,配線ルール違反数とを,それぞれ対応する係数で重み付けした配線コストが最小になる配線経路を検出する工程を,前記係数を変更設定しながら繰り返し行い,
前記自動探索の初期探索工程では,前記冗長ビア構造数に対する係数が前記シングルビア構造数に対する係数以下に設定すると共に,前記設計ルール違反数に対する係数を第1の係数に設定し,前記自動探索の前記初期探索工程後の後続探索工程では,前記冗長ビア構造数に対する係数が前記シングルビア構造数に対する係数以下に維持しながら,前記設計ルール違反数に対する係数を前記第1の係数より高い第2の係数に変更設定することを特徴とする配線経路探索方法。
【0077】
(付記6)配線層間がビア構造で接続される半導体装置の配線経路形成用の図形データの生成方法において,
第1のノードと第2のノード間の配線経路が,第1の配線層に形成され第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンと,前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接する第2の配線層に形成され前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンと,前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とで構成された設計データに対して,
前記ビア構造を,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成された冗長ビア構造に置き換えて,前記配線経路形成用の図形データを生成する工程を有することを特徴とする配線経路形成用の図形データの生成方法。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】従来のビア構造の設計データと露光・現像後パターンとを示す図である。
【図2】冗長ビア構造を設ける場合の配線効率の低下を説明する図である。
【図3】本実施の形態における冗長ビア構造を示す図である。
【図4】本実施の形態における冗長ビア構造を示す図である。
【図5】本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。
【図6】本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。
【図7】本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。
【図8】本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。
【図9A】第1の経路探索方法を示すフローチャート図である。
【図9B】第1の経路探索方法で参照するコスト系列の例を示す図である。
【図10】第1の経路探索方法の初期配線パターンと冗長ビア構造を示す図である。
【図11A】第1の経路探索方法の配線パターン改善と冗長ビア構造を示す図である。
【図11B】第1の経路探索方法の配線パターン改善と冗長ビア構造を示す図である。
【図11C】第1の経路探索方法の設計ルール違反個所解消と冗長ビア構造を示す図である
【図12】第1の経路探索方法で従来の冗長ビア構造を用いた例を示す図である。
【図13A】第2の経路探索方法のフローチャート図である。
【図13B】第2の経路探索方法のフローチャート図である。
【図13C】第2の経路探索方法で参照するコスト系列の例を示す図である。
【図14】第2の経路探索方法の第1工程の配線パターンと冗長ビア構造を示す図である。
【図15】第2の経路探索方法の最終工程の配線パターンと冗長ビア構造を示す図である。
【図16】第2の経路探索方法についての比較例を示す図である。
【図17】本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。
【図18】本実施の形態における冗長ビア構造の例を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
LA,LB:配線パターン VA,VB:ビアランド
H:ビアホール V:ビア構造
TH,TV:配線トラック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層間がビア構造で接続される半導体装置において,
第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンを有する第1の配線層と,
前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接し,前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンを有する第2の配線層と,
前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とを有し,
前記ビア構造は,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において,
前記第1及び第2の配線層において,それぞれ前記第1及び第2の主配線方向に延在し所定のピッチで配置される配線トラック上に,前記第1及び第2の配線パターンが配置されることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1において,
前記複数のビアホールの少なくとも一部が,前記第1または第2の配線パターンに沿って配置され,前記第1のビアランドの幅が前記第1の配線パターンの幅と等しく,前記第2のビアランドの幅が前記第2の配線パターンの幅と等しくない,または,前記第1のビアランドの幅が前記第1の配線パターンの幅と等しくなく,前記第2のビアランドの幅が前記第2の配線パターンの幅と等しいことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
配線層間がビア構造で接続される半導体装置の配線経路探索方法において,
前記配線経路が,第1の配線層に形成され第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンと,前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接する第2の配線層に形成され前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンと,前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とで構成され,
前記ビア構造を,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成された冗長ビア構造に指定して,第1のノードと第2のノード間の配線経路を自動探索する工程を有することを特徴とする配線経路探索方法。
【請求項5】
配線層間がビア構造で接続される半導体装置の配線経路形成用の図形データの生成方法において,
第1のノードと第2のノード間の配線経路が,第1の配線層に形成され第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンと,前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接する第2の配線層に形成され前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンと,前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とで構成された設計データに対して,
前記ビア構造を,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成された冗長ビア構造に置き換えて,前記配線経路形成用の図形データを生成する工程を有することを特徴とする配線経路形成用の図形データの生成方法。
【請求項1】
配線層間がビア構造で接続される半導体装置において,
第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンを有する第1の配線層と,
前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接し,前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンを有する第2の配線層と,
前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とを有し,
前記ビア構造は,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において,
前記第1及び第2の配線層において,それぞれ前記第1及び第2の主配線方向に延在し所定のピッチで配置される配線トラック上に,前記第1及び第2の配線パターンが配置されることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1において,
前記複数のビアホールの少なくとも一部が,前記第1または第2の配線パターンに沿って配置され,前記第1のビアランドの幅が前記第1の配線パターンの幅と等しく,前記第2のビアランドの幅が前記第2の配線パターンの幅と等しくない,または,前記第1のビアランドの幅が前記第1の配線パターンの幅と等しくなく,前記第2のビアランドの幅が前記第2の配線パターンの幅と等しいことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
配線層間がビア構造で接続される半導体装置の配線経路探索方法において,
前記配線経路が,第1の配線層に形成され第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンと,前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接する第2の配線層に形成され前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンと,前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とで構成され,
前記ビア構造を,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成された冗長ビア構造に指定して,第1のノードと第2のノード間の配線経路を自動探索する工程を有することを特徴とする配線経路探索方法。
【請求項5】
配線層間がビア構造で接続される半導体装置の配線経路形成用の図形データの生成方法において,
第1のノードと第2のノード間の配線経路が,第1の配線層に形成され第1の主配線方向に延在する第1の配線パターンと,前記第1の配線層と絶縁膜を介して隣接する第2の配線層に形成され前記第1の主配線方向と交差する第2の主配線方向に延在する第2の配線パターンと,前記絶縁層に形成され前記第1及び第2の配線パターン間を接続するビア構造とで構成された設計データに対して,
前記ビア構造を,前記絶縁層に形成される複数のビアホールと,前記第1の配線層に形成され,当該複数のビアホールを含むビアホール形成領域を前記第1の主配線方向に拡張し前記第2の主配線方向には拡張しない領域を有する第1のビアランドと,前記第2の配線層に形成され,前記ビアホール領域を前記第2の主配線方向に拡張し前記第1の主配線方向には拡張しない領域を有する第2のビアランドとで構成された冗長ビア構造に置き換えて,前記配線経路形成用の図形データを生成する工程を有することを特徴とする配線経路形成用の図形データの生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−115959(P2007−115959A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306959(P2005−306959)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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