説明

写真修整システムおよび写真撮影システムならびにアルバム作製システム

【課題】ゴミや傷などにより写真に生じた欠陥の修復にかかる時間を短縮することができる写真修整システムおよび写真撮影システムならびにアルバム作製システムを提供することにある。
【解決手段】写真修整システムSは、カメラ装置1により撮影した写真のデータ(写真データ)に種々の修整を行う写真修整装置2と、写真修整装置2に通信網NT1を介して接続され、写真データによる写真にゴミや傷による欠陥があるか否かの確認に使用される欠陥確認装置3とを備え、写真修整装置2は、写真データによる写真の画素数を欠陥の確認が可能なレベルで少なくしてなる縮小写真を作成して欠陥確認装置3に送信し、欠陥確認装置3は、写真修整装置2より受信した縮小写真データによる縮小写真を表示し、表示した縮小写真に対して欠陥の位置が入力されると、その欠陥の位置を示す欠陥位置データを作成して写真修整装置2に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真修整システムおよび写真撮影システムならびにアルバム作製システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、写真館においては銀塩写真が用いられてきた。銀塩写真は写真フィルムや乾板などの写真材料や現像処理に要する薬品類が比較的高価であり、また昨今では各種薬品類の環境への影響が懸念されており廃液処理にも手間がかかるようになってきている。さらに、銀塩写真では印画紙に焼き付ける処理や色補正などの処理も必要であって、写真館において美麗な仕上がりの写真を撮影すると、多くの時間と費用がかるという問題がある。
【0003】
一方で、誕生日や各種行事などの記念写真の撮影、あるいは普段着ることができないような衣装を身に付けた写真の撮影に対する要望があり、この種の写真では写り具合のよいものが必要である。そのため、複数の写真を撮影してその中からよいものを選択し、必要に応じて写真に修整が施される。
【0004】
しかしながら、上述したように銀塩写真は時間と費用とがかかるという問題があり、複数の写真を撮影したときには時間と費用の問題は一層顕著になる。
【0005】
そのため、上記のような写真館では、銀塩写真の代わりにデジタル(ディジタル)写真が用いられる(すなわち、フィルムカメラの代わりに、デジタルカメラが用いられる)ようになってきている。デジタル写真は、現像しなければ写り具合を確認することができない銀塩写真とは異なり、撮った直後に写り具合を確認することができ、また、銀塩写真に比べて写真の修整が容易に行えるという利点がある。また、デジタルカメラによれば、フィルムカメラとは異なり、スキャナなどによる取り込み作業を行わなくても、写真のデジタルデータ(写真データ)を得ることができるので、インターネットなどどの通信網を利用して、遠隔地に容易に写真データを送ることができる。
【0006】
上述したようなデジタルカメラの利点に鑑み、デジタルカメラで撮影した写真を、撮影場所とは異なる場所で画像処理することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示すものは、デジタルカメラで撮影した写真データをインターネットなどの通信網(通信回線)を介して遠隔地の写真館に送り、当該写真館で種々の画像処理を行って、デジタルカメラで撮影した写真を貼付したアルバムを作製するものである。
【特許文献1】特開2005−79856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、業者が写真を撮影する場合にはデジタル一眼レフカメラが比較的良く用いられるが、デジタル一眼レフカメラでは、レンズ交換の際に撮像素子(撮像素子の撮像面やその前方に配置されるレンズなどの光学系)にゴミや埃(以下、単にゴミと略す)が付着するおそれがある。そして、撮像素子にゴミが付着したままで撮影を行うと、ゴミによって入射光が遮られるため、写真の品質が悪化してしまう。
【0008】
このような問題は、フィルムカメラにおいても同様に生じるおそれがあるが、フィルムカメラの場合は、写真撮影時に行うフィルムの巻上げによって、ゴミがフィルムと一緒に移動するため、あまり問題にはならなかった。これに対して、デジタルカメラでは、フィルムカメラとは異なり、写真撮影時に行う操作によってゴミが勝手に除去されることがない。そのため、写真の品質の悪化を防止するためには、メンテナンスなどによって撮像素子に付着したゴミを除去する必要があるが、デジタル一眼レフカメラでは、ゴミの除去が非常に困難である。
【0009】
したがって、デジタルカメラにより写真を撮影した場合には、ゴミや傷による写真の欠陥を修復する処理を行うほうが容易である。しかしながら、このような写真の欠陥を修復する処理には、専門の知識や技術が必要になる。そこで、写真の欠陥を修復するにあたっては、写真データを、インターネットなどの通信網を通じて専門の知識や技術を有する人の元に送ることが考えられる。この場合には、専門の知識や技術を有する人員をある程度確保できなければ、一人一人が大量の写真データの処理を行わなくてはならなくなるため、修復処理の順番待ちの写真データが増え、その結果、写真の欠陥の修復に非常に時間がかかってしまうという問題がある。
【0010】
このような問題を解決して、写真に生じた欠陥の修復にかかる時間を短縮する方法としては、作業(処理)を分担することが考えられる。すなわち、写真に生じた欠陥の修復は、写真から欠陥を探す処理(欠陥があるか否かを確認する処理)と、欠陥を修復処理とに大きく分けることができ、写真から欠陥を探す処理は比較的簡単で専門の知識や技術がなくても可能であるから、写真から欠陥を探す処理と欠陥を修復する処理とを分担するのである。
【0011】
このようにすれば、写真の欠陥の修復にかかる時間をある程度短縮することが可能であるが、今度は、写真から欠陥を探す処理を行う人と欠陥を修復する人との間で、写真データの送受信を行う必要があり、特に業者が撮影した写真の写真データは、データサイズが非常に大きい(例えば、5MB程度)ため、写真データの送受信に非常に時間がかかり、これが、写真に生じた欠陥の修復にかかる時間を長くする一因になっている。
【0012】
本発明は上述の点に鑑みて為されたもので、その目的は、ゴミや傷などにより写真に生じた欠陥の修復にかかる時間を短縮することができる写真修整システムおよび写真撮影システムならびにアルバム作製システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明では、カメラ装置により撮影した写真のデータよりなる写真データに種々の修整を行う写真修整装置と、上記写真データによる写真にゴミや傷などによる欠陥があるか否かの確認に使用される欠陥確認装置とを備え、写真修整装置と欠陥確認装置とが通信網で接続されてなる写真修整システムであって、写真修整装置は、上記写真データによる写真の画素数を欠陥の確認が可能なレベルで少なくしてなる縮小写真を作成する縮小化手段と、縮小化手段で作成された縮小写真のデータよりなる縮小写真データを当該縮小写真の元になった写真データと対応付けて上記通信網を通じて欠陥確認装置に送信する縮小写真送信手段と、写真データの写真を修整した修整写真のデータよりなる修整写真データの作成に使用される写真修整手段とを有し、欠陥確認装置は、上記通信網を通じて受信した縮小写真データによる縮小写真を表示する縮小写真表示手段と、当該縮小写真表示手段により表示された縮小写真における欠陥の位置の入力に使用される欠陥位置入力手段と、欠陥位置入力手段の入力内容に応じて欠陥の位置を示す欠陥位置データを作成する欠陥位置データ作成手段と、欠陥位置データ作成手段で作成された欠陥位置データを当該欠陥位置データによる欠陥を有する縮小写真の元になった写真データと対応付けて上記通信網を通じて写真修整装置に送信する欠陥位置送信手段とを有し、写真修整手段は、写真データによる写真とともに当該写真データに対応付けられた欠陥位置データによる欠陥の位置を表示する欠陥修整用写真表示手段と、欠陥修整用写真表示手段により表示された写真の欠陥の修復に使用される欠陥修復手段とを含むことを特徴とする。
【0014】
請求項1の発明によれば、写真データによる写真の画素数をゴミや傷などによる欠陥の確認が可能なレベルで少なくして縮小写真を作成して、この縮小写真のデータよりなる縮小写真データを写真修整装置から欠陥確認装置に送信するので、写真データをそのまま欠陥確認装置に送信する場合に比べれば、欠陥確認装置に送信するデータ量を低減することができ、また、欠陥確認装置から写真修整装置には、欠陥の位置を示す欠陥位置データを送信するので、欠陥の修整を行った写真データを送信する場合に比べれば、写真修整装置に送信するデータ量を低減することができるから、写真修整装置と欠陥確認装置との間のデータ通信にかかる時間を短縮することができ、結果として、ゴミや傷などにより写真に生じた欠陥の修復にかかる時間を短縮することができる。
【0015】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記欠陥修整用写真表示手段は、欠陥位置データに基づいて、当該欠陥位置データに対応付けられた写真データによる写真における欠陥の位置を求める処理を実行し、当該写真データによる写真を表示するにあたっては、上記処理により求めた欠陥の位置を示すマーカを当該写真データによる写真に重ねて表示することを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明によれば、欠陥の位置を分かり易く表示することができるから、欠陥を修復する作業を容易に行うことができる。
【0017】
請求項3の発明では、請求項1または2の発明において、上記欠陥確認装置は、上記縮小写真表示手段により表示される上記縮小写真のコントラストを変更するコントラスト変更手段を有することを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明によれば、写真の欠陥が目立つように、縮小写真のコントラストを変えることができるから、欠陥を探す作業が容易に行えるようになる。
【0019】
請求項4の発明では、請求項1〜3のうちいずれか1項記載の写真修整システムを備えた写真撮影システムであって、上記カメラ装置が配置される店舗に設置され上記カメラ装置で撮影された写真の写真データを上記写真修整装置に送信する写真入力装置と、上記写真修整装置で作成された修整写真データによる修整写真を写真用紙にプリントするプリンタ装置とを備え、写真入力装置は、上記カメラ装置による写真撮影を行う客に関する情報を含む客情報の入力に使用される客情報入力手段と、上記カメラ装置により撮影した複数枚分の写真の写真データを格納する写真記憶手段と、写真記憶手段に格納された複数枚分の写真データそれぞれによる写真を表示する選択用写真表示手段と、選択用写真表示手段により表示された複数枚の写真のなかからプリントする写真を選択する際に使用される写真選択手段と、写真選択手段で選択された写真の写真データと当該写真データに対応する客情報とを含むプリントデータを上記写真修整装置に送信する写真送信手段とを有していることを特徴とする。
【0020】
請求項4の発明によれば、ゴミや傷などにより写真に生じた欠陥の修復にかかる時間を短縮することができる。
【0021】
請求項5の発明では、請求項1〜3のうちいずれか1項記載の写真修整システムを備えたアルバム作製システムであって、上記カメラ装置が配置される店舗に設置され上記カメラ装置で撮影された写真の写真データを上記写真修整装置に送信する写真入力装置と、上記写真修整装置で作成された修整写真データによる修整写真を写真用紙にプリントするプリンタ装置とを備え、写真入力装置は、上記カメラ装置により撮影した複数枚の写真が貼付される写真アルバムの作製を依頼した客に関する情報を含む客情報の入力に使用される客情報入力手段と、上記カメラ装置により撮影した複数枚分の写真の写真データを格納する写真記憶手段と、写真記憶手段に格納された複数枚分の写真データそれぞれによる写真を表示する選択用写真表示手段と、選択用写真表示手段により表示された複数枚の写真のなかから写真アルバムに用いる写真を選択する際に使用される写真選択手段と、上記写真選択手段で選択された複数枚の写真それぞれの写真アルバム内での位置およびサイズを含むアルバム情報の入力に使用されるアルバム情報入力手段と、写真選択手段で選択された複数枚の写真それぞれの写真データと当該写真データに対応する客情報およびアルバム情報とを含むアルバムデータを上記写真修整装置に送信する写真送信手段とを有していることを特徴とする。
【0022】
請求項5の発明によれば、ゴミや傷などにより写真に生じた欠陥の修復にかかる時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、ゴミや傷などにより写真に生じた欠陥の修復にかかる時間を短縮することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の一実施形態のアルバム作製システムについて説明する。本実施形態のアルバム作製システムは、図1に示すように、主として、カメラ装置1により撮影した写真100に種々の修整を行ってなる修整写真のデータよりなる修整写真データを作成する写真修整装置2と、写真データによる写真100に不要部分、例えば、ゴミや傷などによる欠陥110(図2(a)参照)があるか否かの確認に使用される欠陥確認装置3とを備え、さらに、カメラ装置1より得られる写真データを写真修整装置2に送信する写真入力装置4と、写真修整装置2で作成された修整写真データによる修整写真を写真用紙にプリント(印刷)するプリンタ装置5とを備える。
【0025】
ここで、写真入力装置4は、例えばカメラ装置1により撮影を行う写真館などの店舗に設置される。一方、写真修整装置2、欠陥確認装置3、およびプリンタ装置5は、例えば、写真入力装置4が設置される店舗とは別の工場などに設置される。特に欠陥確認装置3は、遠隔地、例えば海外の工場に設置される。そして、写真修整装置2は通信網(電気通信回線)NT1を介して欠陥確認装置3に接続され、また通信網NT2により写真入力装置4に接続される。なお、通信網NT1,NT2は例えばインターネットなどである。
【0026】
カメラ装置1は、例えば、イメージセンサ(例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ)などの撮像素子(固体撮像素子)や、当該撮像素子の前方に群レンズからなる光学系を備え、撮影した写真100のデータよりなる写真データを出力可能なデジタル一眼レフカメラなどのデジタルカメラである。このようなカメラ装置1は写真入力装置4が設置される店舗やスタジオなどにおける写真撮影に使用される。なお、以下の説明では、「写真」は、モニタ装置の画面に表示されるか、写真用紙にプリントされた形態であって、画像の内容を視認できるものの意味に用いる。また、この種のカメラ装置1は従来周知のものを採用することができるから詳細な説明は省略する。
【0027】
写真入力装置4は、カメラ装置1より写真データを取り込む写真取込み装置40と、写真取込み装置40で取り込んだ複数枚分の写真データ(すなわちカメラ装置1により撮影した複数枚分の写真の写真データ)を格納する写真記憶手段となる画像サーバ41と、写真取り込み装置40で取り込んだ写真100のなかから必要な写真(写真アルバムに使用する写真)100を選択するための選択装置(セレクタ)42と、カメラ装置1により撮影した複数枚の写真100が貼付される写真アルバムの作製を依頼した客に関する情報を含む客情報の入力に使用される客情報入力手段となる客情報入力装置43とを備える。
【0028】
写真取込み装置40は、カメラ装置1で撮影した写真100の写真データを読み込むためのインターフェース(図示せず)を備える。カメラ装置1は通常は上記インターフェースに直接接続されるが、カメラ装置1に装着された可搬媒体(メモリカードなど)をカメラ装置1より取り出して上記インターフェースに接続することによっても写真データの取出しが可能である。写真取込み装置40は、カメラ装置1より取り込んだ写真データに識別情報を付して画像サーバ41に送信する。ここで、上記識別情報には客を識別するための客符号、種類を分けるための類別符号、写真データに関する種々の情報(例えば、写真を撮影した年月日、時刻、店舗名、当該店舗におけるスタジオ名など)を含む写真情報が含まれる。客符号および類別符号は、客情報入力装置43に入力された客情報に基づいて設定される。特に類別符号は、同じ客について、撮影される人物を変えたり、背景を変えたり、衣装を変えたりした場合に、グループごとに付与される。例えば、一人の人物がドレス、着物、スーツなどのように衣装を変えたときに、衣装ごとに類別符号が付与される。このように写真データには客符号と類別符号とが付され、同一の客符号が付された写真データあるいは同一の類別符号が付された写真データは、以後の処理において一連の写真データとして扱われる。このような写真取込み装置40は、パーソナルコンピュータを主構成としており、上記処理は所定のアプリケーションプログラムをパーソナルコンピュータで実行することにより実現される。
【0029】
選択装置42は、画像サーバ41に格納された複数枚分の写真データそれぞれによる写真を表示する選択用写真表示手段42aと、選択用写真表示手段42aにより表示された複数枚の写真のなかから写真アルバムに用いる写真を選択する際に使用される写真選択手段42bと、写真選択手段42bで選択された複数枚の写真それぞれの写真アルバム内での位置およびサイズを含むアルバム情報の入力に使用されるアルバム情報入力手段42cとを備える。このような選択装置42は、パーソナルコンピュータを主構成としており、上記の各手段42a〜42cは所定のアプリケーションプログラムをパーソナルコンピュータで実行することにより実現される。
【0030】
選択用写真表示手段42aは、選択装置42を構成するパーソナルコンピュータに付属するキーボードなどのユーザインタフェース(図示せず)の入力(表示する写真データの客符号や、類別符号の入力)に応じて、画像サーバ41より一連の写真データを読み込み、当該写真データそれぞれによる写真をパーソナルコンピュータに付属するCRTや液晶表示器などのモニタ装置(図示せず)により表示する。例えば、選択用写真表示手段42aは、一連の写真データそれぞれによる写真を1画面に所定枚数(例えば4枚)ずつ表示する。これによって、客は、一連の写真データによる写真を相互に見比べながら、写真を選択することができる。
【0031】
写真選択手段42bは、選択装置42の上記ユーザインタフェースの入力に応じて、選択用写真表示手段42aにより表示された複数枚の写真のなかから写真アルバムに使用する写真を選択する。また、写真選択手段42bでは、写真データの選択のやり直し(再選択)なども行えるようになっている。
【0032】
アルバム情報入力手段42cは、選択装置42の上記ユーザインタフェースの入力に応じて、写真選択手段42bで選択された写真データによる写真の写真アルバム内での位置やサイズなどを決定する。また、アルバム情報入力手段42cは、選択装置42の上記メモリの記憶領域に、写真アルバムのテンプレートを格納してなるテンプレート記憶部(図示得ず)を備えており、客は、このようなテンプレート記憶部に記憶されたテンプレートのうちいずれのテンプレートを使用するかについても決定することが可能である。さらに、アルバム情報入力手段42cでは、使用する写真のトリミングなどが行えるようになっている。これによって、客は、選択した写真のうちの一部分(例えば、写真が全身写真である場合には、顔の部分)を使用したり、選択した写真に文字などを書き込んだりすることが可能になる。
【0033】
アルバム情報入力手段42cでの入力が終了すると、画像サーバ41に、アルバム情報が送信される。このアルバム情報には、アルバム情報入力手段42cに入力された内容、例えば、写真選択手段42bで選択された写真データによる写真の写真アルバム内での位置やサイズ、使用するテンプレートの種類、客がトリミングを行った場合にはそのトリミング情報などが含まれる。
【0034】
客情報入力装置43は、例えばアルバムの作製を依頼した客に関する情報、例えば、客の氏名や、住所、連絡先、撮影内容、作製するアルバムの冊数、希望お渡し日(納期)などを含む客情報の入力に使用される。また、本実施形態のアルバム作製システムでは上記のような客情報に基づいて注文書が作成され、当該注文書は以後の処理(特に写真修整システムSにおける種々の処理)を行う際に参照情報として使用される。このような注文書には、上記の各種客情報の他に、アルバムデータを特定するためのバーコードなどが付され、当該バーコードをバーコードリーダで読み取ることによって、写真修整システムSにおいて注文書に対応するアルバムデータを容易に読み出すことができるようにしている。
【0035】
また、客情報入力装置43は、入力された客情報を画像サーバ41に送信する。なお、客情報入力装置43は、パーソナルコンピュータを主構成としており、上記の処理は所定のアプリケーションプログラムをパーソナルコンピュータで実行することにより実現される。
【0036】
画像サーバ41は、大容量のストレージデバイス(図示せず)と、データの送受信および当該ストレージデバイスへのデータの書き込み/読み出しを行うコントローラ(図示せず)とを備えており、当該ストレージデバイスにおける書き換え可能な領域には、写真取込み装置40で取り込んだカメラ装置1の写真データ、選択装置42より与えられるアルバム情報、および客情報入力装置43より与えられる客情報が格納される。ここで、上記客情報と、当該客情報に対応するアルバム情報と、当該アルバムで使用する写真データ(写真選択手段42bで選択された複数枚の写真それぞれの写真データ)とは、ひとまとまりのデータ(アルバムデータ)として保管される。なお、画像サーバ41のストレージデバイスの容量は上記アルバムデータを十分に記憶することができる容量である。
【0037】
ところで、画像サーバ41は、通信網NT2を通じて写真修整装置2と通信するための通信インターフェース(図示せず)を備え、上記のアルバムデータを写真修整装置2に送信する。つまり、本実施形態では、画像サーバ41が、アルバムデータを写真修整装置2に送信する写真送信手段を構成する。
【0038】
写真修整装置2は、写真入力装置4より通信網NT2を通じて写真データを含むアルバムデータを受信するデータ受信サーバ20と、データ受信サーバ20で受信したアルバムデータが一括して格納されるデータ記憶サーバ21と、写真データによる写真100を修整してなる修整写真の修整写真データの作成に使用される写真修整手段22とを有する。
【0039】
ここで、写真修整手段22は、トリミング情報変換装置220と、欠陥修復装置221と、色補正装置222と、トリミング装置223と、各装置220〜223により修整された写真データを合成してなる修整写真データを作成する合成処理装置224とで構成される。ここで、各装置220〜224は、パーソナルコンピュータを主構成とし、所定のアプリケーションプログラムをパーソナルコンピュータで実行することで、後述する処理を実行する。なお、図示例では各装置220〜224は1つずつ設けられているが、実際には大量のアルバムデータを処理することになるため、複数設けられる。
【0040】
また、写真修整装置2は、写真修整手段22の各装置220〜224の処理順序を管理する(写真修整処理の工程管理を行う)工程管理サーバ23や、アルバムデータに含まれる客情報などの必要な情報を管理するデータベースサーバ24を備える。
【0041】
写真修整装置2を構成するデータ受信サーバ20、データ記憶サーバ21、写真修整手段22を構成する各装置220〜224、工程管理サーバ23、およびデータベースサーバ24は、上記の工場などに設置されており、これらはイントラネットなどの通信網を介して相互に接続される。
【0042】
データ受信サーバ20には、写真入力装置4より受信したアルバムデータに含まれる各写真データそれぞれに対して縮小化処理を行う縮小化手段20aを備える。縮小化手段20aは、写真データよる写真100の画素数を欠陥110の確認が可能なレベルで少なくしてなる縮小写真を作成する。ここで、ゴミや傷などによる欠陥110は、写真100に比較的大きく写るため、例えば、データサイズが5MB程度の写真データを、データサイズが100KB程度になるまでダウンサイズしても、欠陥110を確認することができる。ただし、このようなデータサイズの例はあくまでも一例であって、本実施形態の縮小化手段20aを、データサイズが5MBの写真データを、データサイズが100KBになるまでダウンサイズするものに限定する趣旨ではなく、欠陥110の平均的な大きさなどを考慮して、データサイズを適宜決定すればよい。
【0043】
また、縮小化手段20aで作成された縮小写真データには、元になった写真データを特定するための識別符号が付され、これによって、縮小写真データとその元になった写真データとが対応付けられる。さらに、縮小写真データには元になった写真データの識別情報と同内容の識別情報が付される。
【0044】
ところで、縮小写真を作成する際には、画素数の削減に加えて、写真100の欠陥110の識別性にほぼ影響を与えないで、データサイズを小さくすることができるその他の方法(例えば、写真データをより圧縮率が高いデータ形式に変換するなど)を併せて採用することが可能である。このような縮小化手段20aはデータ受信サーバ20に備えられるCPUなどの演算処理装置で所定のアプリケーションプログラムを実行することで実現され、当該アプリケーションプログラムは、従来周知のものを採用することができる。
【0045】
縮小化手段20aで作成された縮小写真のデータ(縮小写真データ)は、当該縮小写真データの元になった写真データが含まれるアルバムデータとひとまとまりにしてデータ記憶サーバ21に送信される。
【0046】
データ記憶サーバ21は、大容量(例えば各店舗の数か月分のアルバムデータを保管できる容量)のストレージデバイス(図示せず)と、データの送受信および当該ストレージデバイスへのデータの書き込み/読み出しを行うコントローラ(図示せず)とを有しており、データ受信サーバ20より各種データ(例えば、アルバムデータ)を受信すると、受信したデータを自身の記憶領域に書き込む。また、データ記憶サーバ21は、アルバムデータに含まれる縮小写真データを通信網NT1を通じて欠陥確認装置3に送信する。そのため本実施形態では、データ受信サーバ20とデータ記憶サーバ21とによって、縮小化手段20aで作成された縮小写真のデータよりなる縮小写真データを当該縮小写真の元になった写真データと対応付けて通信網NT1を通じて欠陥確認装置3に送信する縮小写真送信手段が構成される。なお、データ記憶サーバ21には図示しない圧縮サーバおよび第2のデータ記憶サーバ(二次ストレージ)が接続され、これらは上記データ(縮小写真データや、アルバムデータなど)のバックアップなどに使用される。
【0047】
トリミング情報変換装置220は、データ記憶サーバ21に記憶されたアルバムデータに含まれるトリミング情報(客が選択装置42で実行したトリミングの内容を示す情報)に基づいて、縮小写真データをトリミングするためのトリミング用パラメータを作成する処理(トリミング情報変換処理)を実行する。トリミング情報変換装置220で作成されたトリミング用パラメータは、データ記憶サーバ21に送信される。例えば、トリミング情報変換装置220は、工程管理サーバ23より処理を実行する旨の通知を受けると、自動的に上記とリミング情報変換処理を実行し、当該処理の実行後には、その旨を工程管理サーバ23に通知する。ただし、アルバムデータに上記トリミング情報が含まれていなければ、上記トリミング情報変換処理は実行されない。
【0048】
欠陥修復装置221は、写真データによる写真100に含まれる欠陥110を修復する処理を実行するためのものであり、欠陥110の修復作業を行うにあたっては、欠陥確認装置3で作成される後述する欠陥位置データが用いられる。なお、欠陥修復装置221における処理は、欠陥修復装置221を構成するパーソナルコンピュータに付属するユーザインタフェースなどにより処理を開始する旨の命令が与えられた際(例えば、バーコードリーダで注文書に付したバーコードを読み取った際)に実行される。
【0049】
前述の欠陥位置データを作成する欠陥確認装置3は、パーソナルコンピュータを主構成とするものである。欠陥確認装置3は、通信網NT1を通じて受信した縮小写真データによる写真(縮小写真)を、欠陥確認装置3を構成するパーソナルコンピュータに付属するCRTや液晶表示器などのモニタ装置(図示せず)により表示する縮小写真表示手段30と、当該縮小写真表示手段30により表示された縮小写真における欠陥110の位置の入力に使用される欠陥位置入力手段31と、欠陥位置入力手段31の入力内容に応じて欠陥110の位置を示す前述の欠陥位置データを作成する欠陥位置データ作成手段32と、欠陥位置データ作成手段32で作成された欠陥位置データを当該欠陥位置データによる欠陥110を有する縮小写真の元になった写真データと対応付けて通信網NT1を通じて写真修整装置2に送信する欠陥位置送信手段33と、縮小写真表示手段30により表示される縮小写真のコントラストを変更するコントラスト変更手段34を有する。なお、欠陥確認装置3では、所定のアプリケーションプログラムをパーソナルコンピュータで実行することにより上述の各手段30〜34が実現される。
【0050】
欠陥位置入力手段31は、欠陥確認装置3を構成するパーソナルコンピュータに付属するユーザインタフェースなどを利用して、縮小写真表示手段30で表示した縮小写真の欠陥の位置を入力可能とする。例えば、欠陥位置入力手段31は、欠陥確認装置3の上記モニタ装置に、当該ユーザインタフェースの操作に応じて縮小写真上を移動可能なポインタを表示させる。欠陥位置入力手段31により欠陥110の位置を入力するにあたっては、縮小写真において欠陥がある箇所を当該ポインタで指定する。このようにして上記ポインタで指定された縮小写真の箇所が縮小写真の欠陥の位置として入力される。
【0051】
ところで、欠陥位置入力手段31による欠陥の位置の入力は、上記ユーザインタフェースにより入力作業の終了する選択するまでは、繰り返し行うことができ、また一旦入力した欠陥110の位置を削除(修整)することも可能である。欠陥位置入力手段31において入力作業が終了すると、入力された欠陥110の位置および当該欠陥110を有する縮小写真に関する情報が、欠陥位置データ作成手段32に送られる。ここで、入力作業の終了が選択された際に欠陥110の位置が入力されていなければ、欠陥位置入力手段31は、入力作業の対象となった縮小写真には欠陥110がないという情報が欠陥位置データ作成手段32に送られる。なお、上記ユーザインタフェースとしては、ポインティングデバイス(例えば、ペンタブレット)や、タッチパネルなどを採用することができる。
【0052】
ここで、欠陥位置入力手段31による入力作業中は、コントラスト変更手段34により、縮小写真表示手段30により表示される縮小写真のコントラストを変更することが可能になっている。コントラスト変更手段34でコントラストを変更することで、縮小写真の欠陥を見易くすることが可能である。例えば、コントラスト変更手段34は、欠陥確認装置3の上記モニタ装置の画面上にコントラスト変更用の複数のボタン(図示せず)を表示し、上記ユーザインタフェースにより当該ボタンをクリックすることによって、当該ボタン毎に定められたトーンカーブに基づいて、縮小写真のコントラストを変更する。
【0053】
ところで、欠陥位置入力手段31における入力作業が終了すると、縮小写真表示手段30は、次に欠陥位置の確認作業を行うべき縮小写真を表示する。この場合、縮小写真表示手段30は、縮小写真データに付された写真情報の内容を参照して、表示する縮小写真の順番を決定する。例えば、本実施形態における写真情報には、写真を撮影した年月日、撮影時刻、店舗名、当該店舗におけるスタジオ名が含まれているので、この4つの要素により縮小写真を表示する(換言すれば縮小写真の欠陥110を確認させる)順番を決定する。一例としては、写真を撮影した年月日の古い順に並べる。ここで、撮影した年月日が同じであれば店舗名の優先度が高い順に並べ、さらに店舗名が同じであればスタジオ名の優先度が高い順に並べ、さらにスタジオ名が同じであれば撮影時刻が古い順に並べる。このように並べることで、同じカメラ装置1で撮影された写真がある程度まとまって表示されることになる。ここで、短時間の間に同じカメラ装置1で撮影された写真100であれば、欠陥110の位置が同じになる可能性が高いので、欠陥位置入力手段31は、新たな縮小写真が表示されると、前回の縮小写真における欠陥110の位置を上記モニタ装置に表示する。これによって、欠陥110の位置に容易に当たりをつけることができるようになり、欠陥110の位置の入力作業がより容易に行えるようになって、処理時間の短縮化が図れる。
【0054】
欠陥位置データ作成手段32は、欠陥位置入力手段31より受け取った情報(入力された欠陥110の位置および当該欠陥110を有する縮小写真の情報)に基づいて、縮小写真に含まれる全ての欠陥110の位置に関するデータを含む欠陥位置データを作成する。なお、欠陥位置入力手段31は、欠陥位置入力手段31より受け取った情報が、欠陥110がないというものであれば、縮小写真には欠陥110がないことを表す欠陥位置データを作成する。
【0055】
欠陥位置送信手段33は、欠陥位置データ作成手段32で作成された欠陥位置データを、通信網NT1を通じて写真修整装置2のデータ記憶サーバ21に送信する。この場合において、欠陥位置データには、当該欠陥位置データに対応する縮小写真の元になった写真データとの対応付けを行うための識別符号が付される。そして、欠陥位置送信手段35より通信網NT1を通じて送信された欠陥位置データは、データ記憶サーバ21で受信され、欠陥位置データを受信したデータ記憶サーバ21は、自身の記憶領域に欠陥位置データを格納する。
【0056】
欠陥修復装置221は、写真データによる写真100とともに当該写真データに対応付けられた欠陥位置データによる欠陥110の位置を欠陥修復装置221を構成するパーソナルコンピュータに付属するCRTや液晶表示器などのモニタ装置(図示せず)により表示する欠陥修整用写真表示手段221aと、欠陥修整用写真表示手段221aにより表示された写真100の欠陥110の修復に使用される欠陥修復手段221bとを備える。
【0057】
欠陥修整用写真表示手段221aは、欠陥位置データによる欠陥110の位置を上記モニタ装置に表示するにあたっては、欠陥位置データに基づいて、当該欠陥位置データに対応付けられた写真データによる写真100における欠陥110の位置を求める処理(欠陥位置算出処理)を実行する。つまり、欠陥位置データは、縮小写真における欠陥110の位置を示すものであるから、縮小写真における欠陥110の位置が、元になった写真100のどの場所に相当するのかを求め、これによって、元になった写真100における欠陥110の位置を示すマーカ210が描かれた欠陥位置表示用のレイヤ画像200(図2(b)参照)を作成する。そして、欠陥修整用写真表示手段221aは、写真データによる写真100を表示するにあたっては、図2(c)に示すように、上記欠陥位置算出処理により作成したレイヤ画像200を、写真データによる写真100に重ねて表示する。これによって、写真データによる写真100に、欠陥110の位置を示すマーカ210が重ねて表示される。
【0058】
欠陥修復手段221bは、欠陥修復装置221を構成するパーソナルコンピュータに付属するユーザインタフェース(例えば、ペンタブレットなどのポインティングデバイスや、タッチパネルなど)などを利用して、欠陥110の修復を可能とするものである。このような欠陥110の修復は、フォトレタッチツールや、グラフィックソフトウェアなどを利用して、写真の加工(例えば、欠陥110の部分を、当該欠陥110の周囲の色で塗り潰す処理など)を行うことによって実現できる。なお、欠陥110の修復する方法は、従来周知の写真の加工方法により行うことができるから、詳細な説明は省略する。
【0059】
さらに、欠陥修整用写真表示手段221aでは、レイヤ画像200を表示するか否かを、欠陥修復装置221を構成するパーソナルコンピュータに付属するキーボードなどのユーザインタフェースの操作入力によって任意に切り替えることを可能にしている。これによって、欠陥修復手段221bによる修復結果を、レイヤ画像200の有り無しの両方で確認することができ、修復が適切に行われたか否かを確認することができる。
【0060】
欠陥修復手段221bで修復された写真(修復写真)のデータ(修復写真データ)は、データ記憶サーバ21に送信され、データ記憶サーバ21の記憶領域に書き込まれる。また、欠陥修復手段221bにおいて修復作業が終了すると、その旨が工程管理サーバ23に通知される。
【0061】
このような欠陥修復装置221での処理は、工程管理サーバ23より処理を実行する旨の通知があったときにのみ行うことができるようにしている。これは、欠陥位置データの内容が、欠陥がないというものである場合には、欠陥修復装置221で処理を実行する必要がないことを考慮したものであり、修整写真データを作成する処理を省略することで、処理時間の短縮化を図っている。
【0062】
色補正装置222は、データ記憶サーバ21より縮小写真データを読み出し、当該縮小写真データに対して自動的に色補正(例えば、明度、彩度、コントラスト、色相などの自動補正)を実行した後に、色補正後の縮小写真データによる縮小写真を、当該色補正装置222を構成するパーソナルコンピュータに付属するCRTや液晶表示器などのモニタ装置(図示せず)に表示する処理(自動色補正処理)を実行する。当該自動色補正処理は、色補正装置222を構成するパーソナルコンピュータに付属するユーザインタフェースなどにより処理を開始する旨の命令が与えられた際(例えば、バーコードリーダで注文書に付したバーコードを読み取った際)に実行される。なお、上記自動色補正処理は、工程管理サーバ23より処理を実行する旨の通知を受けとった際に実行するようにしてもよい。
【0063】
本実施形態における色補正装置222では、上記自動色補正処理後の縮小写真に対して、さらに人の手によって、同じ類別符号の写真データによる写真間の色合わせや、上記自動色補正による補正不足の調整などの種々の色補正が行えるようになっている。
【0064】
色補正装置222において、色補正が終了すると、最終的な色補正のパラメータ(色補正用パラメータ)がデータ記憶サーバ21に送信される。また、色補正装置222において色補正が終了すると、その旨が工程管理サーバ23に通知される。なお、色補正装置222では、上記の例の他に、画面上の表示色とプリンタ装置5の印刷色との色合わせ(キャリブレーション)や、画像の明暗、コントラストなどの種々の補正が必要に応じて行われる。色補正装置222では、上述したように、写真データではなく、その縮小写真データを利用するから、データ記憶サーバ21との通信時間および処理時間の短縮化が図れる。
【0065】
トリミング装置223は、データ記憶サーバ21より縮小写真データを取得して、当該縮小写真データによる縮小写真を、トリミング装置223を構成するパーソナルコンピュータに付属するCRTや液晶表示器などのモニタ装置(図示せず)に表示する処理(トリミング用画像表示処理)を実行する。ここで、トリミング装置223は、当該トリミング用画像表示処理において縮小写真を表示するにあたっては、トリミング情報交換装置220において当該縮小写真データに対応するトリミング用パラメータが作成されていれば、当該トリミング用パラメータをデータ記憶サーバ21より読み出して、当該トリミング用パラメータに基づいてトリミングした縮小写真を表示する。このようなトリミング用画像表示処理は、トリミング装置223を構成するパーソナルコンピュータに付属するユーザインタフェースなどにより処理を開始する旨の命令が与えられた際(例えば、バーコードリーダで注文書に付したバーコードを読み取った際)に実行される。ただし、トリミング装置223は、ユーザが指定した写真についてトリミング情報交換装置220による処理が必要である場合には、その処理が終了するまでは上記トリミング用画像表示処理を実行しないように構成される。
【0066】
また、トリミング装置223では、表示中の縮小写真に対応するトリミング用パラメータが存在する場合(すなわち、客がトリミングを行っている場合)には、トリミング後の縮小写真に問題があるか否かが人の目視確認により行われ、必要があれば、トリミングの修正が行われる。例えば、写真中の被写体の傾きや中心位置の調整、写真においてアルバムの台紙などで隠れる部分の位置調整などが必要に応じて行われる。
【0067】
トリミングの修正が行われたときには、データ記憶サーバ21に書き込まれているトリミング用パラメータは、修正後のトリミング用パラメータで置換される(上書きされる)。一方、表示中の縮小写真に対応するトリミング用パラメータが存在しない場合(すなわち、客がトリミングを行っていない場合)には、必要に応じて人の手によるトリミングが行われ、トリミング装置223で作成されたトリミング用パラメータがデータ記憶サーバ21に送信される。いずれの場合においてもトリミング装置223による作業が終了するとその旨が工程管理サーバ23に通知される。トリミング装置223では、上述したように、写真データではなく、その縮小写真データを利用するから、データ記憶サーバ21との通信時間および処理時間の短縮化が図れる。
【0068】
合成処理装置224は、工程管理サーバ23より処理を実行する旨の通知を受けると、データ記憶サーバ21より、相互に対応付けられた、写真データ(欠陥修復装置221で修復写真データが作成されていれば修復写真データ)と、上記色補正用パラメータと、上記トリミング用パラメータとを取得して、写真データに対して、色補正用パラメータに基づく色補正と、トリミング用パラメータに基づくトリミングとが自動的に実行されて、修整写真データが作成される。合成処理装置224で作成された修整写真データは、合成処理装置224を構成するパーソナルコンピュータのストレージデバイス(図示せず)に格納される。
【0069】
プリンタ装置5は、合成処理装置224で作成された修整写真データを合成処理装置224の上記ストレージデバイスより読み出して、当該修整写真データによる修整写真を写真用紙やアルバム台紙などの印画紙(プリント用印画紙)にプリント(印刷)する。このようなプリンタ装置5としては、修整写真をプリントする印画紙を複数種類の幅の印画紙から選択可能なものを用いることが好ましく、プリントする修整写真のサイズに応じた印画紙を選択してプリントを実行すれば、印画紙の無駄や、修整写真のサイズに合わせて印画紙をカットする作業などを省くことができる。例えば、幅が89mm、102mm、127mm、254mm、305mmであるロール状の印画紙を用いることが可能なプリンタ装置5であれば、89×119mmのDSCサイズ(L−DSCサイズ)、89×127mmのLサイズ、89×133mmのLWサイズ、89×158mmのHVサイズ、102×152mmのKGサイズ(ハガキサイズ)、127×169mmの2L−DSCサイズ、127×178mmの2Lサイズ、127×190mmの2LWサイズ、254×305mmの四切サイズ、203×254mmの六切サイズ、203×305mmの六切ワイドサイズ、254×365mmの四切ワイドサイズ、210×305mmのA4サイズ、305×420mmのA3サイズなどの種々のサイズの写真を印刷することができる。なお、ここで、プリンタ装置5は、写真データの解像度以上の解像度を有するものを用いることが好ましい。なお、図示例ではプリンタ装置5は1つであるが、このようなプリンタ装置5は用途、例えば共用できない用紙サイズ毎に設けられていてもよく、また、同種のプリンタ装置5を複数台使用してもよい。
【0070】
このようなプリンタ装置5でプリントされた写真(修整写真)を、写真アルバムの台紙(図示せず)の所定箇所に貼付することや、プリンタ装置5でプリントされたアルバム台紙を綴じることで写真アルバムが完成する。なお、プリンタ装置5でプリントされた修整写真に対しては、写真修整装置2における修整の過不足などの最終チェックが行われ、必要に応じて、写真修整装置2で再度、修整処理が実行される。
【0071】
以上述べたように、本実施形態における写真修整システムSによれば、写真データによる写真の画素数をゴミや傷などによる欠陥110の確認が可能なレベルで少なくして縮小写真を作成して、この縮小写真のデータよりなる縮小写真データを写真修整装置2から欠陥確認装置3に送信するので、写真データをそのまま(例えば生データのまま)欠陥確認装置3に送信する場合に比べれば、欠陥確認装置3に送信するデータ量を低減することができ、一方、欠陥確認装置3から写真修整装置2には、欠陥110の位置を示す欠陥位置データを送信するので、欠陥110の修整を行った写真データを送信する場合に比べれば、写真修整装置2に送信するデータ量を低減することができるから、写真修整装置2と欠陥確認装置3との間のデータ通信にかかる時間を短縮することができ、結果として、ゴミや傷などにより写真に生じた欠陥110の修復にかかる時間を短縮することができる。また、欠陥確認装置3には、写真を縮小化した縮小写真のデータしか送信されないので、欠陥確認装置3において写真データが盗用されてしまうことを防止することができる。また、写真データではなく、その縮小写真データを利用して画像処理を実行することが可能になり、この場合、データの通信時間や処理時間の短縮化が図れる。
【0072】
さらに、欠陥修整用写真表示手段221aは、欠陥位置データに基づいて、当該欠陥位置データに対応付けられた写真データによる写真における欠陥110の位置を求める処理を実行し、当該写真データによる写真を表示するにあたっては、上記処理により求めた欠陥110の位置を示すマーカを当該写真データによる写真に重ねて表示する。そのため、欠陥110の位置を分かり易く表示することができるから、欠陥110を修復する作業を容易に行うことができる。
【0073】
加えて、欠陥確認装置3は、縮小写真表示手段30により表示される縮小写真のコントラストを変更するコントラスト変更手段34を有するので、写真(縮小写真)の欠陥110が目立つように、縮小写真のコントラストを変えることができるから、欠陥110を探す作業が容易に行えるようになる。
【0074】
そして、本実施形態のアルバム作製システムによれば、上記の写真修整システムSを備えるので、ゴミや傷などにより写真100に生じた欠陥110の修復にかかる時間を短縮することができる。
【0075】
ところで、図1では、写真修整システムSを備えるアルバム作製システムを例に挙げているが、上述の写真修整システムSを適用するシステムは、アルバム作製システムに限定されない。例えば、写真修整システムSは、客が選択した写真をプリントする写真撮影システムに適用することができる。例えば、この写真撮影システムは、上記の写真修整システムSを備え、カメラ装置1が配置される店舗に設置されカメラ装置1で撮影された写真の写真データを写真修整装置2に送信する写真入力装置4と、写真修整装置2で作成された修整写真データによる修整写真を写真用紙にプリントするプリンタ装置5とを備える。
【0076】
この写真撮影システムでは、写真入力装置4の構成がアルバム作製システムと異なっており、写真撮影システムにおける写真入力装置4は、アルバム作製システムと同様に、写真取込み装置40と、画像サーバ41と、選択装置42と、客情報入力装置43とを備えるが、写真取込み装置40以外の構成が異なる。すなわち、写真撮影システムにおける選択装置42は、アルバム情報入力手段42cを備えておらず、写真選択手段42bは、選択用写真表示手段42aにより表示された複数枚の写真のなかからプリントする写真を選択する際に使用される。また、客情報入力装置43は、カメラ装置1による写真撮影を行う客に関する情報を含む客情報の入力に使用される。また、画像サーバ41は、写真選択手段42bで選択された写真の写真データと当該写真データに対応する客情報とを含むプリントデータを写真修整装置2に送信する。
【0077】
このような写真撮影システムによれば、写真修整システムSを有することによって、ゴミや傷などにより写真に生じた欠陥の修復にかかる時間を短縮することができる。
【0078】
なお、本実施形態の写真修整システムSの構成はあくまでも本発明の一実施形態であって、本発明の技術的範囲を上記の例に限定する趣旨ではなく、趣旨を逸脱しない程度に変更することができる。例えば、写真修整システムSの写真修整装置2を構成する各装置は必ずしも同一工場内に設置されている必要はなく、必要に応じて遠隔地の工場などに設置するようにしてもよい。また、本実施形態では、写真修整システムSを適用とする例としてアルバム作製システムや、写真撮影システムを例示しているが、写真修整システムSは、これらの他に、キーホルダや携帯ストラップなどの種々の小物など、写真を一部に含む商品を作成するためのシステムに適用することができる。また、写真を一部に含む商品を作成するためのシステムを複数構築する場合、最終の商品形態が異なるだけであるから、これらのシステム間で写真修整システムSを共用することができ、システムの構築にかかる費用を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態のアルバム作製システムのブロック図である。
【図2】(a)は写真データによる写真の説明図、(b)は欠陥の位置を表示するマーカの説明図、(c)は写真データによる写真に欠陥の位置を表示するマーカを重ねて表示した画像の説明図である。
【符号の説明】
【0080】
1 カメラ装置
2 写真修整装置
3 欠陥確認装置
4 写真入力装置
5 プリンタ装置
20a 縮小化手段
21 データ記憶サーバ
22 写真修整手段
30 縮小写真表示手段
31 欠陥位置入力手段
32 欠陥位置データ作成手段
33 欠陥位置送信手段
34 コントラスト変換手段
41 画像サーバ(写真記憶手段、写真送信手段)
42a 選択用写真表示手段
42b 写真選択手段
42c アルバム情報入力手段
43 客情報入力装置(客情報入力手段)
221a 欠陥修整用写真表示手段
221b 欠陥修復手段
S 写真修整システム
NT1,NT2 通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ装置により撮影した写真のデータよりなる写真データに種々の修整を行う写真修整装置と、上記写真データによる写真にゴミや傷などによる欠陥があるか否かの確認に使用される欠陥確認装置とを備え、写真修整装置と欠陥確認装置とが通信網で接続されてなる写真修整システムであって、
写真修整装置は、上記写真データによる写真の画素数を欠陥の確認が可能なレベルで少なくしてなる縮小写真を作成する縮小化手段と、縮小化手段で作成された縮小写真のデータよりなる縮小写真データを当該縮小写真の元になった写真データと対応付けて上記通信網を通じて欠陥確認装置に送信する縮小写真送信手段と、写真データの写真を修整した修整写真のデータよりなる修整写真データの作成に使用される写真修整手段とを有し、
欠陥確認装置は、上記通信網を通じて受信した縮小写真データによる縮小写真を表示する縮小写真表示手段と、当該縮小写真表示手段により表示された縮小写真における欠陥の位置の入力に使用される欠陥位置入力手段と、欠陥位置入力手段の入力内容に応じて欠陥の位置を示す欠陥位置データを作成する欠陥位置データ作成手段と、欠陥位置データ作成手段で作成された欠陥位置データを当該欠陥位置データによる欠陥を有する縮小写真の元になった写真データと対応付けて上記通信網を通じて写真修整装置に送信する欠陥位置送信手段とを有し、
写真修整手段は、写真データによる写真とともに当該写真データに対応付けられた欠陥位置データによる欠陥の位置を表示する欠陥修整用写真表示手段と、欠陥修整用写真表示手段により表示された写真の欠陥の修復に使用される欠陥修復手段とを含むことを特徴とする写真修整システム。
【請求項2】
上記欠陥修整用写真表示手段は、欠陥位置データに基づいて、当該欠陥位置データに対応付けられた写真データによる写真における欠陥の位置を求める処理を実行し、当該写真データによる写真を表示するにあたっては、上記処理により求めた欠陥の位置を示すマーカを当該写真データによる写真に重ねて表示することを特徴とする請求項1記載の写真修整システム。
【請求項3】
上記欠陥確認装置は、上記縮小写真表示手段により表示される上記縮小写真のコントラストを変更するコントラスト変更手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の写真修整システム。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1項記載の写真修整システムを備えた写真撮影システムであって、
上記カメラ装置が配置される店舗に設置され上記カメラ装置で撮影された写真の写真データを上記写真修整装置に送信する写真入力装置と、上記写真修整装置で作成された修整写真データによる修整写真を写真用紙にプリントするプリンタ装置とを備え、
写真入力装置は、上記カメラ装置による写真撮影を行う客に関する情報を含む客情報の入力に使用される客情報入力手段と、上記カメラ装置により撮影した複数枚分の写真の写真データを格納する写真記憶手段と、写真記憶手段に格納された複数枚分の写真データそれぞれによる写真を表示する選択用写真表示手段と、選択用写真表示手段により表示された複数枚の写真のなかからプリントする写真を選択する際に使用される写真選択手段と、写真選択手段で選択された写真の写真データと当該写真データに対応する客情報とを含むプリントデータを上記写真修整装置に送信する写真送信手段とを有していることを特徴とする写真撮影システム。
【請求項5】
請求項1〜3のうちいずれか1項記載の写真修整システムを備えたアルバム作製システムであって、
上記カメラ装置が配置される店舗に設置され上記カメラ装置で撮影された写真の写真データを上記写真修整装置に送信する写真入力装置と、上記写真修整装置で作成された修整写真データによる修整写真を写真用紙にプリントするプリンタ装置とを備え、
写真入力装置は、上記カメラ装置により撮影した複数枚の写真が貼付される写真アルバムの作製を依頼した客に関する情報を含む客情報の入力に使用される客情報入力手段と、
上記カメラ装置により撮影した複数枚分の写真の写真データを格納する写真記憶手段と、
写真記憶手段に格納された複数枚分の写真データそれぞれによる写真を表示する選択用写真表示手段と、選択用写真表示手段により表示された複数枚の写真のなかから写真アルバムに用いる写真を選択する際に使用される写真選択手段と、
上記写真選択手段で選択された複数枚の写真それぞれの写真アルバム内での位置およびサイズを含むアルバム情報の入力に使用されるアルバム情報入力手段と、
写真選択手段で選択された複数枚の写真それぞれの写真データと当該写真データに対応する客情報およびアルバム情報とを含むアルバムデータを上記写真修整装置に送信する写真送信手段とを有していることを特徴とするアルバム作製システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−288837(P2009−288837A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137554(P2008−137554)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(506031694)株式会社MARIMO&JVIS (2)
【Fターム(参考)】