説明

冷凍食品用トレー及び冷凍食品パッケージ

【課題】トレー上の冷凍寿司等の冷凍食品が適切に解凍される冷凍食品用トレーと、この冷凍食品用トレーを用いた冷凍食品パッケージとを提供する。
【解決手段】冷凍食品用トレー30は、第1中間面33A及び第2中間面33Bと、中間面33A、33Bから凹陥する凹所32A、32Bと、中間面33A、33Bの周縁部から立設された囲壁34と、囲壁34の上端部を構成するフランジ部35を有する。凹所32は、長辺方向を平行にして4個ずつ2列、合計8個、縦横に設けられている。列の両端側の4個の低底面凹所32Aは第1中間面33Aから凹陥し、列の中央側の4個の高底面凹所32Bは第2中間面33Bから凹陥する。高底面凹所32Bの底面は低底面凹所32Aの底面よりも高位である。マイクロ波は、高底面凹所32Bの下方の隙間を通り、凹所32Bを加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍食品を収容するトレーと、このトレーを用いた冷凍食品パッケージとに関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍寿司を電子レンジ等のマイクロ波によって解凍する技術としては、特開平8−180790号公報、特開平9−98888号公報、特開平10−210960号公報、特開平11−8058号公報、特開平11−251054号公報、特開平11−307239号公報、特開2002−223711号公報に記載されたものがある。
【0003】
これらの公知技術は、いずれも平盤状の解凍用パネルの上に冷凍寿司を載せ、マイクロ波を照射するようにしたものである。
【0004】
冷凍寿司の解凍は、シャリは適温に温められ、ネタは冷たいものとなるように行われるのが望ましい。
【0005】
上記従来技術では、マイクロ波の強度分布を調節してマイクロ波がネタよりもシャリを加熱するようにしているが、解凍用パネルの上のすべての冷凍寿司について、シャリは適温に且つネタは冷たくなるように解凍することは容易ではなく、ネタまで温まってしまうことがある。
【特許文献1】特開平8−180790号公報
【特許文献2】特開平9−98888号公報
【特許文献3】特開平10−210960号公報
【特許文献4】特開平11−8058号公報
【特許文献5】特開平11−251054号公報
【特許文献6】特開平11−307239号公報
【特許文献7】特開2002−223711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、トレー上の冷凍寿司等の冷凍食品が適切に解凍される冷凍食品用トレーと、この冷凍食品用トレーを用いた冷凍食品パッケージとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明(請求項1)の冷凍食品用トレーは、冷凍食品を収容するための凹所を有した冷凍食品用トレーにおいて、該冷凍食品用トレーは、合成樹脂製の表面層と、合成樹脂製の裏面層と、これら表面層及び裏面層の間に介在し、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層とを含むことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の冷凍食品用トレーは、請求項1において、前記表面層及び裏面層はポリプロピレン又はポリスチレンよりなることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の冷凍食品用トレーは、請求項1又は2において、前記発熱層はカーボンブラック及びフェライトの少なくとも1種を含有することを特徴とするものである。
【0010】
第2発明(請求項4)の冷凍食品用トレーは、冷凍食品を収容するための複数個の凹所と、少なくとも該凹所に設けられた、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層とを有した冷凍食品用トレーにおいて、少なくとも1個の凹所は、底面位置が、他の凹所の底面位置よりも高位となっている高底面凹所であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5の冷凍食品用トレーは、請求項4において、各凹所は、長手方向側壁と、短手方向側壁と、底面とを有することを特徴とするものである。
【0012】
請求項6の冷凍食品用トレーは、請求項5において、複数個の凹所を各々の前記長手方向側壁同士の間に間隔をおいて配列してなる凹所列が、複数列、並列して設けられており、少なくとも1つの凹所列にあっては、該凹所列の列方向の途中の少なくとも1個の凹所が前記高底面凹所であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項7の冷凍食品用トレーは、請求項6において、すべての列において、列方向の途中に前記高底面凹所が配置されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項8の冷凍食品用トレーは、請求項7において、隣接する列にあっては、各々の高底面凹所が隣り合って配置されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項9の冷凍食品用トレーは、請求項8において、前記凹所列は2列設けられ、かつ各凹所列には4個の凹所が設けられており、各凹所列の中央側の2個の凹所が前記高底面凹所となっていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項10の冷凍食品用トレーは、請求項6ないし9のいずれか1項において、該トレーは、上下方向の途中に配置された中間面と、該中間面から凹陥する複数の前記凹所と、該中間面の周縁から立ち上がる囲壁とを有することを特徴とするものである。
【0017】
請求項11の冷凍食品用トレーは、請求項10において、前記中間面として、第1中間面と、該第1中間面よりも高位の第2中間面とを有しており、該第2中間面に前記高底面凹所が配置されていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項12の冷凍食品用トレーは、請求項11において、前記第1中間面にあっては、隣接する凹所の前記短手方向側壁同士の間にリブ部が設けられていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項13の冷凍食品用トレーは、請求項12において、該リブ部の高さは、前記囲壁よりも低いことを特徴とするものである。
【0020】
請求項14の冷凍食品用トレーは、請求項10ないし13のいずれか1項において、該トレーは、さらに、凹所同士の間の部分から上方に立ち上がる立上部を有しており、該立上部の上端と前記囲壁の上端とは同一高さとなっていることを特徴とするものである。
【0021】
請求項15の冷凍食品用トレーは、請求項14において、該囲壁の上端と立上部の上端には、それぞれ平坦面が設けられていることを特徴とするものである。
【0022】
請求項16の冷凍食品用トレーは、請求項4又は5において、前記複数個の凹所は1列に配列して配置されており、列の長手方向の途中の少なくとも1個の凹所が高底面凹所であることを特徴とするものである。
【0023】
請求項17の冷凍食品用トレーは、請求項4ないし16のいずれか1項において、該冷凍食品用トレーは、合成樹脂製の表面層と、合成樹脂製の裏面層と、これら表面層及び裏面層の間に介在し、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層とを含むことを特徴とするものである。
【0024】
請求項18の冷凍食品用トレーは、請求項1ないし17のいずれか1項において、前記凹所は、冷凍食品が収容される主凹所と、該主凹所と連通し、冷凍食品を取り出すときに指及び冷凍食品取出手段の少なくとも一方を挿入するための副凹所とからなることを特徴とするものである。
【0025】
第3発明(請求項19)の冷凍食品パッケージは、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の冷凍食品用トレーと、該冷凍食品用トレーの該凹所に収容された冷凍食品と、該冷凍食品を収容した該冷凍食品用トレーを脱気包装している合成樹脂製包装体と、該冷凍食品用トレーの上面側において該合成樹脂製包装体の上から被せられた蓋体と、該蓋体に設けられたマイクロ波遮蔽体とを有することを特徴とするものである。
【0026】
請求項20の冷凍食品パッケージは、請求項19において、該パッケージはさらにシュリンク包装によって被包されていることを特徴とするものである。
【0027】
第4発明(請求項21)の冷凍食品パッケージは、冷凍食品用トレーと、該冷凍食品用トレーに収納された冷凍食品と、該冷凍食品を収容した冷凍食品用トレーの上面を覆う蓋体とを有する冷凍食品パッケージにおいて、該冷凍食品用トレーは、冷凍食品を収容するための凹所と、少なくとも該凹所に設けられた、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層とを有しており、前記冷凍食品は該凹所に収容されており、該冷凍食品を収容した該冷凍食品用トレーが合成樹脂包装体によって脱気包装されており、該冷凍食品用トレーの上面側において該合成樹脂製包装体の上から該蓋体が被せられており、該蓋体にマイクロ波遮蔽体が設けられていることを特徴とするものである。
【0028】
請求項22の冷凍食品パッケージは、請求項19ないし21のいずれか1項において、前記蓋体は紙製であり、前記マイクロは遮蔽体が被着されていることを特徴とするものである。
【0029】
請求項23の冷凍食品パッケージは、請求項19ないし22のいずれか1項において、前記マイクロ波遮蔽体はアルミ箔であることを特徴とするものである。
【0030】
請求項24の冷凍食品パッケージは、請求項19ないし23のいずれか1項において、前記マイクロ波遮蔽体は前記冷凍食品用トレーの上面を覆う大きさを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0031】
第1発明(請求項1)の冷凍食品用トレーは、合成樹脂製の表面層と裏面層との間に発熱層が介在しており、発熱層が外部に露呈していない。このため、発熱層が他の物体と擦れ合って剥離することが確実に防止される。
【0032】
また、この冷凍食品用トレーは、該表面層、裏面層及び発熱層の積層体よりなるシート原反を加圧成形することにより、製造することができる。これは、合成樹脂製のトレーに発熱体を手塗りして発熱層を形成する場合と比べて、製造が容易である。また、発熱体を手塗りする場合、発熱体の剥離を防止するために該発熱体の塗布後に焼付けを行う必要があり、手間がかかると共に発熱体層が硬質になり、衝撃によって割れ易くなる。これに対し、本発明の冷凍食品用トレーは発熱層の両面が表面層及び裏面層で保護されているため、発熱層の剥離の心配が無い。このため、発熱層を焼き付けしなくてもよく、製造が容易である。また、焼き付けによって発熱層が硬質化することが防止される。
【0033】
第1発明(請求項1)の冷凍食品用トレーを電子レンジに入れてマイクロ波を照射した場合、この発熱層がマイクロ波を吸収して発熱し、この熱が冷凍食品に伝わり、冷凍食品が解凍される。この発熱層に生じた熱は、主としてトレーの凹所と冷凍食品との接触面からの伝熱、非接触面からの輻射、あるいはトレーの凹所と冷凍食品との間の空気層を介しての対流伝熱によって冷凍食品に伝わる。このように凹所から包み込まれるようにして加温されることにより、凹所内の冷凍食品の解凍ムラが防止ないし抑制されるようになる。
【0034】
本発明の冷凍食品用トレーは、表面層及び裏面層がポリプロピレン(PP)又はポリスチレン(PS)よりなることが好ましい。特に、ポリプロピレン(PP)に対して無機物質等よりなるフィラーを混合したもの(PPF)よりなることが好ましい。PPFはPSやPP等の合成樹脂と比べて軟質であるため、衝撃を受けても割れ難い。
【0035】
本発明の冷凍食品用トレーは、発熱層がカーボンブラック及びフェライトの少なくとも1種を含有することが好ましいが、特にカーボンブラックを含有することが好ましい。
【0036】
第2発明(請求項4)の冷凍食品用トレーにあっては、マイクロ波が高底面凹所の下側の空間を通って該高底面凹所に届く。このため、該高底面凹所に収納された冷凍食品を十分に加熱することができる。また、該高底面凹所に高さの小さい冷凍食品を収納し、それ以外の底面の低い凹所に高さの大きい冷凍食品を収納することもできる。
【0037】
第2発明(請求項4)の冷凍食品用トレーは、凹所が、長手方向側壁と、短手方向側壁と、底面とからなることが好ましい。
【0038】
第1発明(請求項4)の冷凍食品用トレーにおいて、複数個の凹所を各々の前記長手方向側壁同士の間に間隔をおいて配列してなる凹所列が、複数列、並列して設けられていており、少なくとも1つの凹所列にあっては、該凹所列の列方向の途中の少なくとも1個の凹所が前記高底面凹所であってもよい。
【0039】
また、すべての列において、列方向の途中に前記高底面凹所が配置されていてもよい。
【0040】
隣接する列にあっては、各々の高底面凹所が隣り合って配置されていることが好ましい。これにより、各高底面凹所の列の下側の空間をマイクロ波が通ることができ、各高底面凹所及びその近傍の凹所が十分に加熱されることになる。これにより、トレーの中央側に配置された凹所内の冷凍食品をも十分に加熱することができる。
【0041】
なお、複数の凹所列の少なくとも1列を高低位凹所とすることによっても、該高底面凹所の列の下側の空間をマイクロ波が通ることになり、トレーの中央側に配置された凹所をも十分に加熱することができる。
【0042】
第2発明の冷凍食品用トレーは、上下方向の途中に配置された中間面と、該中間面から凹陥する複数の前記凹所と、該中間面の周縁から立ち上がる囲壁とを有することが好ましい。これにより、該冷凍食品用トレーに冷凍食品として冷凍寿司を収納する場合、トレーの凹所内に冷凍寿司のシャリ玉部分を配置し、ネタが凹所よりも上位に配置されるようにすることができる。シャリは凹所の発熱層からの伝熱によって適温に加熱される。一方、ネタは凹所よりも上位にあるため、ネタは冷たくなるように解凍される。
【0043】
この中間面は、第1中間面と、該第1中間面よりも高位の第2中間面とを有しており、該第2中間面に前記高底面凹所が配置されていることが好ましい。これにより、高底面凹所の底面の下方とトレー設置面との間に間隔をあけることができると共に、高底面凹所の深さ(第2中間面から高底面凹所の底面までの距離)をその他の凹所の深さ(第1中間面から該凹所の底面までの距離)に合わせることができる。このため、例えば同一形状の冷凍寿司を、高底面凹所とその他の凹所のいずれに収納した場合にあっても、シャリ玉部分を凹所内に配置し、ネタが凹所よりも上位に配置されるようにすることができる。また、高底面凹所ににぎり寿司を収納すると共に、カットした太巻きやカリフォルニアロールなどのような背の高い冷凍食品を、高底面凹所以外の凹所に収納することができる。
【0044】
この第1中間面には、隣接する凹所の短手方向の側壁同士の間にリブ部が設けられていてもよい。これにより、高底面凹所以外の凹所に太巻き等の背の高い冷凍食品を収納した場合にあっても、運送時などに該冷凍食品が該凹所から移動することが防止される。
【0045】
このリブ部の高さは、前記囲壁よりも低いことが好ましい。これにより、該冷凍食品用トレーの上面に蓋体を被せる場合、リブ部に妨げられることなく、該囲壁の上端部に対して蓋体の裏面を接触させることができる。
【0046】
第2発明の冷凍食品用トレーは、さらに、凹所同士の間の部分から上方に立ち上がる立上部を有しており、該立上部の上端と前記囲壁の上端とは同一高さとなっていることが好ましい。これにより、蓋体を該立上部で支えることが可能となる。これにより、蓋体が押されても、破れたり、あるいは蓋体によって冷凍食品が押圧されることを防止することができる。
【0047】
これら囲壁の上端と立上部の上端に平坦面を設けることにより、蓋体を適切に支持することができる。
【0048】
これら複数個の凹所列は、2列設けられ、かつ各凹所列には4個の凹所が設けられている場合にあっては、凹所列の列方向の2個の凹所が高底面凹所となっていてもよい。
【0049】
なお、このように合計8個の凹所が配置されている場合、中央側の4個の凹所は、外側の4個の凹所と比べてマイクロ波が照射され難い。このため、これら中央側の4個の凹所を高底面凹所とすることが好ましい。これにより、これら中央側の4個の高底面凹所にあっても、該高底面凹所の下方の空間を通ってマイクロ波が照射されることなり、外側の4個の凹所と同程度に加熱することができる。
【0050】
第2発明の冷凍食品用トレーは、凹所が1列に配置されており、列の長手方向の途中の少なくとも1個の凹所が高底面凹所であってもよい。これにより、高底面凹所を強く加熱することができ、列の両端側に配置された凹所と同程度に加熱することも可能となる。
【0051】
第1及び第2発明において、これらの凹所は、冷凍食品が収容される主凹所と、該主凹所と連通し、冷凍食品を取り出すときに指及び冷凍食品取出手段の少なくとも一方を挿入するための副凹所とからなっていてもよい。これにより、冷凍食品を凹所から容易に取り出すことができる。
【0052】
第3発明(請求項19)の冷凍食品パッケージは、上記第1又は第2発明の冷凍食品用トレー及びその凹所に収容された冷凍食品を、合成樹脂製包装体で脱気包装している。これにより、凹所内の冷凍食品が合成樹脂製包装体で押え付けられている。このため、輸送時等において該冷凍食品パッケージに衝撃が加えられたり、該パッケージが裏返しになったりしても、冷凍食品が凹所から飛び出ることが防止される。また、例えば冷凍食品が冷凍寿司の場合、ネタがシャリ玉から剥離してしまうことが防止される。さらに、冷凍食品が蓋体の下面に接触することが防止される。特に、蓋体の下面に金属製のマイクロ波遮蔽体が設けられている場合でも、冷凍食品が金属製マイクロ波遮蔽体に直に接触することが確実に防止される。
【0053】
第3発明では、蓋体がマイクロ波遮蔽体を有するため、冷凍食品パッケージの上方から照射されるマイクロ波が該マイクロ波遮蔽体によって遮蔽される。これによりネタの加熱が抑制され、シャリは適温に、ネタは冷たくなるように解凍することができる。
【0054】
第3発明の冷凍食品パッケージは、さらにシュリンク包装されていることが好ましい。これにより、蓋体が外れることが確実に防止される。
【0055】
第4発明(請求項21)の冷凍食品パッケージにあっても、冷凍食品用トレー及びその凹所に収容された冷凍食品を、合成樹脂製包装体で脱気包装している。これにより、凹所内の冷凍食品が合成樹脂製包装体で押え付けられている。このため、輸送時等において該冷凍食品パッケージに衝撃が加えられたり、該パッケージが裏返しになったりしても、冷凍食品が凹所から飛び出ることが防止される。また、例えば冷凍食品が冷凍寿司の場合、ネタがシャリ玉から剥離してしまうことが防止される。さらに、冷凍食品が蓋体の下面や該下面に配置されたマイクロ波遮蔽体に接触することが防止される。
【0056】
第4発明では、蓋体がマイクロ波遮蔽体を有するため、冷凍食品パッケージの上方から照射されるマイクロ波が該マイクロ波遮蔽体によって遮蔽される。これによりネタの加熱が抑制され、シャリは適温に、ネタは冷たくなるように解凍することができる。
【0057】
この蓋体は紙製であってもよい。また、このマイクロ波遮蔽体はアルミ箔であってもよい。マイクロ波遮蔽体は、冷凍食品用トレーを覆うように設けられることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0059】
第1図は実施の形態に係る冷凍食品用トレー30の斜視図、第2図は第1図の冷凍食品用トレー30の平面図であり、第3図、第4(a)図、第5図及び第6図は、それぞれ第2図のIII−III線、IVa−IVa線、V−V線、VI−VI線に沿う断面図である。第4(b)図は、第4(a)図のB部分の拡大断面図である。第7図は第1図の冷凍食品用トレー30及び蓋体60の斜視図、第8図は第7図の蓋体60の裏面図である。第9,10図は実施の形態に係る冷凍食品パッケージ70の断面図である。
【0060】
この冷凍食品用トレー(以下、単にトレーということがある。)30は、第1中間面33A及び第2中間面33Bと、該中間面33A、33Bから凹陥する凹所32A、32Bと、該中間面33A、33Bの周縁部から立設された囲壁34と、該囲壁34の上端部を構成するフランジ部35と、該フランジ部35の外周縁から垂下する垂下部36と、該垂下部36の下縁から側外方に張り出す張出部37と、中間面33A、33Bから立設された立上部39とを有する。
【0061】
第2図の通り、囲壁34は、略正方形状の枠形状であるが、4個のコーナー部は円弧状に湾曲している。
【0062】
該第2中間面33Bの両側に連なるように第1中間面33A,33Aが配置されている。該第2中間面33Bは第1中間面33A,33Aよりも高位となっており、これら第2中間面33Bと第1中間面33Aとの境界は段差部となっている(第1図)。
【0063】
なお、以下、凹所32A、32Bを合わせて凹所32と称することがある。
【0064】
第2図及び第5図の通り、凹所32は、4個ずつ2列、合計8個、縦横に設けられている。各列の中央側の2個の凹所32Bは、第2中間面33Bから凹陥し、列の両端側の2個の凹所32Aは、第1中間面33Aから凹陥している。
【0065】
凹所32は、冷凍食品が収容される主凹所32sと、該主凹所32sに連通し、冷凍食品を取り出すときに指や箸等の冷凍食品取出手段を挿入するための副凹所32fとからなる(第2図)。
【0066】
この主凹所32sは、平面視形状が略長方形であり、長手方向側壁32a,32aと、短手方向側壁32b,32bと、底面32cとを有している(第2図)。凹所32の側壁32a,32bが交わる隅角部はいずれも滑らかに湾曲している。
【0067】
該主凹所32sの囲壁34側の側壁32bに対して、副凹所32fが連通している。
【0068】
この副凹所32fは、短手方向側壁32bの一部を主凹所32sから離れる方向に膨出させた形状となっている。
【0069】
4個の凹所32A、32B、32B、32Aよりなる列にあっては、各凹所32A、32B、32B、32Aの短手方向側壁32bが列方向に配向している。1つの列を構成する凹所32A、32B、32B、32Aの短手方向側壁32bは一直線上に配置されている。
【0070】
また、各凹所32A、32B、32B、32Aの長手方向側壁32aは、列方向と略直交方向に延在している。隣接する列の凹所32A、32Aの長手方向側壁32a、32aは一直線上に配置され、凹所32B、32Bの長手方向側壁32a、32aも一直線上に配置されている。
【0071】
4個の凹所32A、32B、32B、32Aよりなる列の方向は、囲壁34の一辺と平行方向である。
【0072】
これら低底面凹所32A及び高底面凹所32Bは同一寸法となっており、冷凍寿司のシャリ玉を収容する大きさとなっている。
【0073】
第3図及び第4(a)図に示す通り、高底面凹所32Bの底面32cは、低底面凹所32Aの底面32cよりも高位となっている。
【0074】
このトレー30は、業務用又は家庭用電子レンジに入れることができる大きさであることが好ましい。
【0075】
フランジ部35は、この囲壁34の上端面を構成するものであり、側外方に拡開するように囲壁34の全周にわたって設けられている。このフランジ部35は平坦面となっており、後述の蓋体60を支承する。
【0076】
前記フランジ部35の外周縁から垂下した垂下部36は、フランジ部35の全周を周回している。この垂下部36の下端から外方に張出部37が張り出しているが、この張出部37の張り出し長さは極く小さいものとなっている。この垂下部36及び張出部37を設けることにより、トレー30の剛性が高められると共に、このトレー30を持つときに指先を掛けることができる。
【0077】
立上部39は、第2中間面33Bにおいて、間隔をおいて3個設けられている。立上部39,39,39の配列方向は、前記4個の凹所32A、32B、32B、32Aの列方向と同方向である。3個の立上部39のうち真中のものは、トレー1の中央部に位置する。残りの2個の立上部39は、それぞれ第1中間面33Aと第2中間面33Bとの段差部付近に位置している。立上部39の上端面は、フランジ部35の上面と同一高さの平坦面となっており、この立上部39の頂面によって蓋体60が支承され得るようになっている。この立上部39は、4方向に裾を引くように略々錐形状に設けられている。
【0078】
第1中間面33Aにあっては、凹所32A、32A同士の間の部分からリブ部39Aが立ち上げられている。各リブ部39Aは、それぞれ、囲壁34と上記段差部の立上部39を繋ぐように延在している。リブ部39Aの幅は、第1中間面33Aにおける凹所32A、32A同士の間隔よりも小さく、リブ部39Aの両側に平坦な第1中間面33Aが存在する。リブ部39Aを設けることにより、この凹所32に冷凍握り寿司を収容した場合、ネタが凹所32の長手方向に移動することが阻止される。立上部39及びリブ部39Aを設けることにより、トレー30の剛性も向上する。
【0079】
このトレー30は、第4(b)図の通り、合成樹脂製の表面層31a及び裏面層31cと、これらの間に介在する発熱層31bとからなる積層体31により構成されている。
【0080】
これら表面層31a及び裏面層31cを構成する合成樹脂としては、PS(ポリスチレン)又はPP(ポリプロピレン)よりなることが好ましく、特にポリプロピレン(PP)に無機物質等よりなるフィラーを混合したもの(PPF)よりなることが特に好ましい。
【0081】
表面層31a及び裏面層31cの厚さは、それぞれ、5〜100μm、中でも10〜80μm特に20〜70μm程度が好ましい。
【0082】
この発熱層31bの発熱材料としては、カーボンブラック等が好適であるが、これに限定されない。
【0083】
この積層体31を製造するには、例えば、カーボンブラックを、トルエン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、プロピレングリコール、モノメチルエーテル等よりなる有機溶媒に分散させたカーボンインクを用意する。このカーボンインクを、スプレー、刷毛塗り、ディッピング等の手法によって表面層31aの外面に付着させて乾燥させることにより、発熱層31bを形成する。なお、発熱層31bを形成する前に、表面層31aの外面を脱脂処理するのが好ましい。次いで、この発熱層31bに裏面層31cを形成することにより、積層体31が形成される。なお、この積層体31を金型等によって加圧成形することにより、トレー30が形成される。
【0084】
この発熱層31bの厚さは10〜100μm特に10〜80μmとりわけ30〜60μm程度が好適である。
【0085】
なお、この冷凍食品用トレー30を冷凍寿司用トレーとして用いる場合、上記の第1中間面33Aと第2中間面33Bとの高低差は5〜25mm特に10〜15mm程度が好適である。凹所32Aと凹所32Bとの高低差は5〜25mm特に10〜15mm程度が好ましい。
【0086】
このように構成されたトレー30を用いて冷凍寿司パッケージを構成するには、各凹所32(32A,32B)に対し、冷凍寿司40が収容され、これらトレー30及び冷凍寿司40が合成樹脂製包装体50によって脱気包装される。次いで、このトレー30の上面に対し、該合成樹脂製包装体50の上から蓋体60が被せられることにより、冷凍食品パッケージ70が構成される。なお、この冷凍食品パッケージ70に、さらにシュリンク包装を施しても良い。なお、シュリンク包装を施さない場合、蓋体60はラップを巻くことや外装箱に入れること等によって固定される。
【0087】
この合成樹脂製包装体50としては、ナイロンやポリエチレンなどの熱可塑性合成樹脂の袋等が好適であるが、マイクロ波の照射に対する耐性を有するものであればこれに限定されない。
【0088】
この蓋体60は紙製であることが好適であるが、マイクロ波の照射に対する耐性を有するものであればこれに限定されない。
【0089】
この蓋体60は、第7,8図の通り、略正方形の蓋体本体61と、その4辺から外方に延出する第1延出部62と、該第1延出部62の外端から外方に延出する第2延出部63とからなっている。この蓋体60は、蓋体本体61と第1延出部62との境界線64に沿って折り曲げ可能となっており、また、第1延出部62と第2延出部63との境界線65に沿って折り曲げ可能となっている。この蓋体60の裏面にマイクロ波遮蔽体としてのアルミ箔66が接着されている。
【0090】
アルミ箔66は、厚みが小さいとアルミ箔自体が発熱し、ネタを過度に昇温させるので、10μm以上、特に12μm以上であることが望ましい。アルミ箔66は、コスト抑制のために100μm以下特に50μm以下とりわけ20μm以下であることが望ましい。アルミ箔は、トレー30の開放した上面部の全体を覆う大きさを有することが好ましい。
【0091】
第9図の通り、この蓋体60をトレー30に被せるに際し、蓋体本体61の周縁部がトレー30のフランジ部35に対して合成樹脂製包装体50を介して対面する。また、第1延出部62が境界線64の部分から下方に折り返されると共に、第2延出部63が境界線65の部分から内側に折り返される。
【0092】
この寿司40が握り寿司である場合、シャリ玉41と、このシャリ玉41上のネタ42とを有する。必要に応じシャリ玉41とネタ42との間にワサビが介在される。ネタ42としては、サーモン、トロ、イカ、タコ、貝、エビ、穴子などの魚介類や、その調理品、玉子焼きなどが例示されるが、これに限定されるものではない。
【0093】
この冷凍寿司40は、第9図の通り、そのシャリ玉41の全体又は大部分が凹所32内に配置され、ネタ42はその全体が中間面33A、33Bのレベル以上に配置される。なお、ネタ32の極く一部が凹所32内に存在していても構わない。シャリ玉31については、その90%以上特に95%以上が凹所32内に配置される(即ち、中間面33A、33Bよりも下位に存在する)ことが望ましい。
【0094】
通常の場合、冷凍寿司のシャリ玉は10〜50g特に15〜40gとりわけ18〜25g程度の大きさであることが好ましい。ネタは3〜40g特に5〜30gとりわけ6〜20g程度が好ましい。
【0095】
一般に、本実施の形態のトレー30のように、凹所が長辺方向を平行にして4個ずつ2列、合計8個、縦横に設けられている場合にあっては、トレーの中央側に位置する4個の凹所は、トレーの外側に位置する4個の凹所と比べてマイクロ波が届き難い。
【0096】
しかし、本実施の形態に係るトレー30は、高底面凹所32Bの底面32cの位置が低底面凹所32Aの底面32cの位置よりも高位となっており、電子レンジ内に収容した状態において、該高底面凹所32Bの下方に隙間があいている。従って、マイクロ波がこの隙間を通って該高低面凹所32Bまで届き、該高底面凹所32Bを加熱することになる。これにより、高底面凹所32B内の冷凍寿司40を低底面凹所32A内の冷凍寿司40と同程度に加熱することが可能となる。
【0097】
なお、第9図では、低底面凹所32Aと高底面凹所32Bのいずれにも握り寿司よりなる冷凍寿司40を収納したが、第10図の通り、低底面凹所32Aに高さの大きい太巻き又はカリフォルニアロールなどの巻き物40Aを収納してもよい。第10図のように、低底面凹所32Aの底面23cからトレー30の上端(フランジ部30)までの距離が大きいため、背の高い太巻き等の巻き物40Aを十分に収納することができる。
【0098】
本実施の形態の冷凍食品パッケージ70にあっては、上記の冷凍食品用トレー30及びその凹所32(32A、32B)に収容された冷凍寿司40を、合成樹脂製包装体50で脱気包装している。これにより、輸送時等において該冷凍食品パッケージ70に衝撃が加えられたり該パッケージ70が裏返しになったりしても、冷凍寿司40が凹所32から飛び出ることが防止される。また、ネタがシャリ玉から剥離してしまうことが防止される。さらに、冷凍寿司40が蓋体60やアルミ箔66に接触することが防止される。また、蓋体60の下面にアルミ箔66が配置されているため、冷凍食品パッケージ70の上方から照射されるマイクロ波が該アルミ箔66によって遮蔽される。これによりネタの加熱が抑制され、シャリは適温に、ネタは冷たくなるように解凍することができる。
【0099】
上記説明では、冷凍食品が冷凍寿司となっているが、凹所32の大きさや数を変更することにより、冷凍ケーキ、冷凍丼物、冷凍カレーライスなどの各種菓子、食材にも適用できる。
【0100】
また、凹所及び高底面凹所の数や配置はこれに限定されるものではなく、トレーの大きさに応じて選定されればよい。例えば、凹所32が1列に3個又は5個以上設けられてもよい。1列に5個以上の凹所32を設ける場合、第1中間面33Aに配置する凹所32の数は1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、上記実施の形態では、凹所32A、32B、32B、32Aの列を2列設けているが、3列以上設けてもよい。
【0101】
また、本発明では上記の列が1列だけ設けられてもよい。
【0102】
第11図は別の実施の形態に係る冷凍食品用トレー1の斜視図、第12(a)図はこのトレー1を用いた冷凍食品パッケージの製造途中における状態を説明する縦断面図、第12(b)図は第12(a)図のB部分の拡大図である。
【0103】
この冷凍食品用トレー(以下、単にトレーということがある。)1は、主底面3と、該主底面3から凹陥する凹所2と、該主底面3の周縁部から立設された囲壁4と、該囲壁4の上端部を構成するフランジ部5と、該フランジ部5の外周縁から垂下する垂下部6と、該垂下部6の下縁から側外方に張り出す張出部7と、主底面3と囲壁4との隅部に設けられたリブ8と、主底面3から立設された立上部9とを有する。
【0104】
凹所2は、平面視形状が略長方形であり、長手方向の側壁2aと、短手方向の側壁2bと、底面2cとを有している。凹所2は、長辺方向を平行にして4個ずつ2列、合計8個、縦横に設けられている。
【0105】
この凹所2は、冷凍寿司のシャリ玉を収容する大きさとなっている。なお、凹所2の側壁2a,2bが交わる隅角部はいずれも滑らかに湾曲している。
【0106】
主底面3は、略正方形状の外縁形状であるが、囲壁4に沿う4個のコーナー部は円弧状に湾曲している。
【0107】
隣接する凹所2,2の長手方向の側壁2a,2a同士の間の主底面3は、これらの側壁2a,2aに沿って延在する帯状部3aとなっている。
【0108】
隣接する凹所2,2の短手方向の側壁2b,2b同士の主底面3は、側壁2b,2bに沿って延在する。
【0109】
囲壁4は、この主底面3の全周縁を周回するように設けられている。囲壁4は、凹所2の長手方向の側壁2aと平行な壁4aと、短手方向の側壁2bと平行な壁4bとを有する。前記リブ8は、この囲壁4の壁4bと主底面3との交叉隅部に設けられている。
【0110】
フランジ部5は、この囲壁4の上端面を構成するものであり、側外方に拡開するように囲壁4の全周にわたって設けられている。このフランジ部5は平坦面となっている。
【0111】
前記フランジ部5の外周縁から垂下した垂下部6は、フランジ部5の全周を周回している。この垂下部6の下端から外方に張出部7が張り出しているが、この張出部7の張り出し長さは極く小さいものとなっている。この垂下部6及び張出部7を設けることにより、トレー1の剛性が高められると共に、このトレー1を持つときに指先を掛けることができる。
【0112】
立上部9は、帯状部3a,3bの交叉部分に位置している。立上部9の上端面は、フランジ部5の上面と同一高さの平坦面となっている。この立上部9は、4方向即ち帯状部3a,3a,3b,3bの方向に裾を引くように略々錐形状に設けられている。
【0113】
帯状部3bからはリブ部9Aが立ち上げられている。このリブ部9Aは、立上部9,9の間にあっては、立上部9,9を繋ぐように延在している。また、リブ部9Aは、立上部9と囲壁4の壁4aとを繋ぐようにも延在している。リブ部9Aの幅は、帯状部3bの幅よりも小さく、リブ部9Aの両側に帯状部3bが存在する。リブ部9Aを設けることにより、ネタが凹所2の長手方向に移動することが阻止される。立上部9及びリブ部9Aを設けることにより、トレー1の剛性も向上する。
【0114】
このトレー1は、第12(b)図の通り、合成樹脂製の本体1aと、該本体1aの外面に形成された発熱層1bとで構成されている。このトレー本体1aを構成する合成樹脂としては、ポリプロピレン等が例示されるが、これに限定されない。トレー本体1aの厚さは100〜1500μm、中でも300〜800μm特に500〜800μm程度が好ましい。
【0115】
この形態では、発熱層1bは、トレー1の全外面すなわち凹所2の底面2cの外面及び側壁2a,2bの外面、主底面3の下面、囲壁4の外面及びそのフランジ部5の下面、垂下部6の囲壁4への対向面、張出部7の下面、リブ8の下面(裏面)及び立上部9の下面(裏面)に形成されている。
【0116】
ただし、部分的には発熱層1bが設けられていなくてもよい。例えば、フランジ部5、垂下部6及び張出部7には発熱層1bが設けられなくてもよい。発熱層1bの厚さは全体として均一であってもよく、部分的に厚くてもよい。例えば、凹所2の底面又は側面の発熱層1bを他の箇所より厚くしてもよい。
【0117】
この発熱層1bは、塗膜形成用樹脂が溶解していると共に発熱体の粉末が分散している塗料をスプレー、刷毛塗り、ディッピング等の手法によりトレー本体1aの外面に付着させ、次いで焼き付け形成したものが好適である。この発熱体としてはフェライトやカーボンブラック等が用いられるが、カーボンブラックが好適である。発熱層1bの厚さは10〜100μm特に10〜80μmとりわけ30〜60μm程度が好適である。なお、塗膜形成に先立って、トレー本体1aの外面を脱脂処理するのが好ましい。
【0118】
このように構成されたトレー1の凹所2に対し、上記の実施の形態と同様に、冷凍寿司40が収容され、次いでこれらトレー30及び冷凍寿司40が合成樹脂製包装体50によって脱気包装される。次いで、これらトレー30及び冷凍寿司40の上面に対し、該合成樹脂製包装体50の上から蓋体60が被せられることにより、冷凍食品パッケージ70が構成される。
【0119】
本実施の形態の冷凍食品パッケージにあっても、冷凍食品用トレー1及びその凹所2に収容された冷凍食品10を、合成樹脂製包装体50で脱気包装している。これにより、輸送時等において該冷凍食品パッケージに衝撃が加えられたり該パッケージが裏返しになったりしても、、冷凍食品10が凹所32から飛び出ることが防止される。また、ネタがシャリ玉から剥離してしまうことが防止される。さらに、冷凍食品10が蓋体60やアルミ箔66に接触することが防止される。また、蓋体60の下面にアルミ箔66が配置されているため、冷凍食品パッケージ70の上方から照射されるマイクロ波が該アルミ箔66によって遮蔽される。これによりネタの加熱が抑制され、シャリは適温に、ネタは冷たくなるように解凍することができる。
【実施例】
【0120】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明する。
【0121】
実施例では、上記の冷凍食品パッケージ70において、第1中間面33Aの高さ位置と第2中間面33Bの高さ位置を異ならせたものを用いた。また、比較例1では、上記の冷凍食品パッケージ70において、第1中間面33Aの高さ位置と第2中間面33Bの高さ位置を一致させたものを用いた。この冷凍食品パッケージ70について以下に説明する。
【0122】
トレー30を構成する積層体31において、表面層31aを厚さ65μmのPPFとし、裏面層31bを厚さ25μmのPPFとし、発熱層31bを厚さ40μmのカーボンブラック層とした。この複合材料層中のカーボンブラック含有量は約34重量%である。
【0123】
トレー1の各部分の寸法は次の通りである。
トレー1辺の長さ:210mm
凹所32A,32Bの深さ:20mm
凹所32A,32Bの大きさ、上部:62×32mm
下部:57×27mm
第1中間面33Aの高さ位置と第2中間面33Bの高さ位置との高低差
:同一高さ(比較例1)
: 5mm(実施例1)
:10mm(実施例2)
:15mm(実施例3)
第1中間面33Aから囲壁34の上端(フランジ部35)までの高さ:22mm
【0124】
このトレー1の合計8個の凹所32に冷凍寿司(ネタ:マグロ)を収容し、第9図の通りシャリ玉41の大部分を凹所32内に配置し、ネタ42を第1中間面33A、第2中間面33Bよりも上位とした。シャリ玉41は22gであり、ネタ42は平均10gである。
【0125】
合成樹脂製包装体50として、厚さ85μmのナイロン袋を用いた。このナイロン袋を用いて、冷凍寿司40を収納したトレー30を脱気包装した。
【0126】
蓋体60は、蓋体本体61を厚さ0.6mmの紙製とし、アルミ箔66を厚さ15μmとした。
【0127】
[実施例及び比較例]
冷凍保存された上記の比較例1及び実施例1〜3の各冷凍食品パッケージ70(冷凍温度:−20℃)を、ナショナル社製電子レンジ「NE−S22F」(マイクロ波出力:600W)に入れ、2分20秒加熱し、その後5分間放置して解凍した。10回のテストを行い、各回のシャリ玉及びネタの温度(℃)を測定した。結果を表1〜4に示す。
【0128】
なお、各凹所に配置された冷凍寿司を、第13(a)図の通り名付けた。また、第13(b)図の通り、シャリ玉の温度測定位置はシャリ玉の中心部とし、ネタの温度測定位置はネタの上面中央とした。
【0129】
【表1】

【0130】
【表2】

【0131】
【表3】

【0132】
【表4】

【0133】
比較例1と実施例1〜3との比較から明らかな通り、中央側の4個の凹所を高底面凹所とすることにより、これら中央側の4個の凹所内の冷凍寿司と外側の4個の凹所内の冷凍寿司において、シャリ玉の温度差及びネタの温度差が小さくなった。
【0134】
特に、実施例2,3の冷凍寿司において、該シャリ玉の温度差及びネタの温度差が5〜10℃の範囲内に改善された。この原因は、高底面凹所を設けたことにより、該パッケージを電子レンジ内に収容した状態において、該高低面凹所の底面と電子レンジの底面との間に空間が生じ、該空間から中央側の高底面凹所にマイクロ波が十分に照射されたためであると考えられる。
【0135】
上記より、中央側の4個の高低面凹所と外側の4個の低底面凹所との高低差は10mm以上であることが好ましいことがわかった。なお、嵩張らないようにするためには、高低差は10mmであることがより好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】実施の形態に係る冷凍食品用トレー30の斜視図である。
【図2】第1図の冷凍食品用トレー30の平面図である。
【図3】第2図のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】(a)は第2図のIVa−IVa線に沿う断面図、(b)は(a)のB部分の拡大断面図である。
【図5】第2図のV−V線に沿う断面図である。
【図6】第2図のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】第1図の冷凍食品用トレー30及び蓋体60の斜視図である。
【図8】第7図の蓋体60の裏面図である。
【図9】実施の形態に係る冷凍食品パッケージ70の断面図である。
【図10】実施の形態に係る冷凍食品パッケージ70の断面図である。
【図11】別の実施の形態に係る冷凍食品用トレー1の斜視図である。
【図12】(a)は第11図のトレー1を用いた冷凍食品パッケージの製造途中の状態を説明する縦断面図、(b)は(a)のB部分の拡大図である。
【図13】(a)は実施例における冷凍寿司の配置を説明する図面であり、(b)は冷凍寿司の温度測定位置を説明する図面である。
【符号の説明】
【0137】
30 冷凍食品用トレー
31 積層体
31a 表面層
31b 発熱層
31c 裏面層
32 凹所
32A 低底面凹所
32B 高底面凹所
32s 主凹所
32f 副凹所
33A 第1中間面
33B 第2中間面
34 囲壁
35 フランジ部
36 垂下部
37 張出部
38 リブ
39 立上部
40 冷凍食品
50 合成樹脂製包装体
60 蓋体
66 アルミ箔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍食品を収容するための凹所を有した冷凍食品用トレーにおいて、
該冷凍食品用トレーは、合成樹脂製の表面層と、合成樹脂製の裏面層と、これら表面層及び裏面層の間に介在し、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層とを含むことを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項2】
請求項1において、前記表面層及び裏面層はポリプロピレン又はポリスチレンよりなることを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記発熱層はカーボンブラック及びフェライトの少なくとも1種を含有することを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項4】
冷凍食品を収容するための複数個の凹所と、少なくとも該凹所に設けられた、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層とを有した冷凍食品用トレーにおいて、
少なくとも1個の凹所は、底面位置が、他の凹所の底面位置よりも高位となっている高底面凹所であることを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項5】
請求項4において、各凹所は、長手方向側壁と、短手方向側壁と、底面とを有することを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項6】
請求項5において、複数個の凹所を各々の前記長手方向側壁同士の間に間隔をおいて配列してなる凹所列が、複数列、並列して設けられており、
少なくとも1つの凹所列にあっては、該凹所列の列方向の途中の少なくとも1個の凹所が前記高底面凹所であることを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項7】
請求項6において、すべての列において、列方向の途中に前記高底面凹所が配置されていることを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項8】
請求項7において、隣接する列にあっては、各々の高底面凹所が隣り合って配置されていることを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項9】
請求項8において、前記凹所列は2列設けられ、かつ各凹所列には4個の凹所が設けられており、各凹所列の中央側の2個の凹所が前記高底面凹所となっていることを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項10】
請求項6ないし9のいずれか1項において、該トレーは、上下方向の途中に配置された中間面と、該中間面から凹陥する複数の前記凹所と、該中間面の周縁から立ち上がる囲壁とを有することを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項11】
請求項10において、前記中間面として、第1中間面と、該第1中間面よりも高位の第2中間面とを有しており、
該第2中間面に前記高底面凹所が配置されていることを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項12】
請求項11において、前記第1中間面にあっては、隣接する凹所の前記短手方向側壁同士の間にリブ部が設けられていることを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項13】
請求項12において、該リブ部の高さは、前記囲壁よりも低いことを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項14】
請求項10ないし13のいずれか1項において、該トレーは、さらに、凹所同士の間の部分から上方に立ち上がる立上部を有しており、該立上部の上端と前記囲壁の上端とは同一高さとなっていることを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項15】
請求項14において、該囲壁の上端と立上部の上端には、それぞれ平坦面が設けられていることを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項16】
請求項4又は5において、前記複数個の凹所は1列に配列して配置されており、
列の長手方向の途中の少なくとも1個の凹所が高底面凹所であることを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項17】
請求項4ないし16のいずれか1項において、該冷凍食品用トレーは、合成樹脂製の表面層と、合成樹脂製の裏面層と、これら表面層及び裏面層の間に介在し、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層とを含むことを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれか1項において、前記凹所は、冷凍食品が収容される主凹所と、該主凹所と連通し、冷凍食品を取り出すときに指及び冷凍食品取出手段の少なくとも一方を挿入するための副凹所とからなることを特徴とする冷凍食品用トレー。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれか1項に記載の冷凍食品用トレーと、
該冷凍食品用トレーの該凹所に収容された冷凍食品と、
該冷凍食品を収容した該冷凍食品用トレーを脱気包装している合成樹脂製包装体と、
該冷凍食品用トレーの上面側において該合成樹脂製包装体の上から被せられた蓋体と、
該蓋体に設けられたマイクロ波遮蔽体と
を有することを特徴とする冷凍食品パッケージ。
【請求項20】
請求項19において、該パッケージはさらにシュリンク包装によって被包されていることを特徴とする冷凍食品パッケージ。
【請求項21】
冷凍食品用トレーと、該冷凍食品用トレーに収納された冷凍食品と、該冷凍食品を収容した冷凍食品用トレーの上面を覆う蓋体とを有する冷凍食品パッケージにおいて、
該冷凍食品用トレーは、冷凍食品を収容するための凹所と、少なくとも該凹所に設けられた、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層とを有しており、
前記冷凍食品は該凹所に収容されており、
該冷凍食品を収容した該冷凍食品用トレーが合成樹脂包装体によって脱気包装されており、
該冷凍食品用トレーの上面側において該合成樹脂製包装体の上から該蓋体が被せられており、
該蓋体にマイクロ波遮蔽体が設けられていることを特徴とする冷凍食品パッケージ。
【請求項22】
請求項19ないし21のいずれか1項において、前記蓋体は紙製であり、前記マイクロ波遮蔽体が被着されていることを特徴とする冷凍食品パッケージ。
【請求項23】
請求項19ないし22のいずれか1項において、前記マイクロ波遮蔽体はアルミ箔であることを特徴とする冷凍食品パッケージ。
【請求項24】
請求項19ないし23のいずれか1項において、前記マイクロ波遮蔽体は前記冷凍食品用トレーの上面を覆う大きさを有することを特徴とする冷凍食品パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−131923(P2008−131923A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322348(P2006−322348)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(506326143)株式会社新東京キヤリ (2)
【Fターム(参考)】