説明

冷間塑性加工用潤滑剤組成物及びそれを用いた冷間塑性加工方法

【課題】 塩素系化合物を含有しなくても、良好な潤滑性及び耐焼付き性を示し、且つ引火しにくい冷間塑性加工用潤滑剤組成物及びそれを用いた冷間塑性加工方法を提供する。
【解決手段】 本発明の冷間塑性加工用潤滑剤組成物は、鉱物油等の潤滑基油中に、平均粒径が0.5μm以下である炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カルシウム等のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩と、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物と、を含有し、且つ塩素系化合物を含有せず、冷間塑性加工用潤滑剤組成物100質量%中、上記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩の含有量が10質量%以上100質量%未満であり、上記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩を100質量部とした場合に、上記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物の含有量が0質量部を超え5質量部以下であり、且つ常温で液状又はゲル状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷間塑性加工用潤滑剤組成物及びそれを用いた冷間塑性加工方法に関する。更に詳しくは、発ガン性、ダイオキシン等の問題を有する塩素系化合物を含有することなく、潤滑条件が厳しく、焼付きの生じやすい冷間鍛造加工及び冷間製管加工において、良好な潤滑性及び耐焼付き性を示し、環境に適応しており、且つ引火しにくい冷間塑性加工用潤滑剤組成物及びそれを用いた冷間塑性加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷間鍛造用潤滑油には、潤滑性を付与する目的で、油脂、脂肪酸、エステル等の油性剤や、硫黄、塩素、リン等の極圧添加剤が添加されている。これらの極圧添加剤の中でも、塩素化パラフィンや塩素化脂肪酸エステル等の塩素系化合物は、他の極圧剤と比較して廉価である上、潤滑性能に優れ且つ引火しにくい物質であることから、難加工に用いられる冷間鍛造用潤滑剤組成物に添加されていた。
【0003】
しかし、塩素系化合物について、例えば、IARC(国際ガン機構)により、特定の塩素化パラフィンが2B(発ガン性があるかもしれない物質)と認定されている。また、EUでは、水生生物に対するリスクを制限するための措置が必要との観点から、2001年10月に、欧州委員会は欧州議会との共通の立場として、金属加工用の特定の塩素化パラフィンに関し、同物質として1%を超える濃度で他の物質又は調剤の成分として使用するために上市されてはならないと決定された。更に、塩素系化合物を含有する潤滑油の廃液を焼却処分する場合、燃焼時に大気汚染の原因となる塩化水素(HCl)の発生や、あるいは焼却時の燃焼温度によってはダイオキシンが発生する等の環境汚染を引き起こすおそれがあるという問題点も最近指摘されている。これらの人体の健康面、地球環境面での問題点から、現在、多くの国で塩素化パラフィン等の塩素系化合物を含有する金属加工用潤滑油の使用が敬遠されつつある。
【0004】
そこで、塩素化パラフィン等の塩素系化合物を含有しない鍛造用潤滑剤組成物の開発検討が行われている。例えば、下記特許文献1では、高塩基性のアルカリ土類金属塩を用いた鍛造用型潤滑剤が報告されている。また、下記特許文献2では、高塩基性の石油スルホネートとリン酸エステルのカルシウム塩あるいは硫黄系油脂類などの極圧添加剤を組み合わせた組成物が報告されている。更に、下記特許文献3では、ZnDTP、硫化ラード等の被膜増強剤と、澱粉誘導体等の炭水化物とを組み合わせた組成物が報告されている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−333594号公報
【特許文献2】特開平8−34988号公報
【特許文献3】特開平6−256784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの有機塩素系化合物を含まない潤滑剤組成物では、特に難加工において十分な耐焼付き性が得られないという問題点がある。よって、塩素系化合物による環境汚染を防止すると共に、難加工においても優れた耐焼付き性を発揮し、引火しにくい金属加工用潤滑剤組成物は、未だ開発されていないのが実情である。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、発ガン性、ダイオキシン等の問題を有する塩素系化合物を含有することなく、潤滑条件が厳しく、焼付きの生じやすい冷間鍛造加工及び冷間製管加工において、良好な潤滑性及び耐焼付き性を示し、環境に適応しており且つ引火しにくい冷間塑性加工用潤滑剤組成物及びそれを用いた冷間塑性加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、塩素系化合物に替わる種々の添加剤を鋭意検討した。その結果、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩(特に、特定の結晶構造を有する炭酸塩)と、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物と、を特定の割合で含有することで、塩素系化合物を含有しなくても、優れた耐焼付き性及び潤滑性を発揮する潤滑剤組成物を得られることを見出した。また、加工条件の厳しい塑性加工においては、潤滑油の温度が150℃以上になることがあるが、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩の含有割合を大きくすることで、可燃性物質の含有割合を小さくすることができ、その結果、引火しにくくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、以下に示す通りである。
〔1〕潤滑基油中に、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩と、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物と、を含有し、且つ塩素系化合物を含有せず、冷間塑性加工用潤滑剤組成物100質量%中、上記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩の含有量が10質量%以上100質量%未満であり、上記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩を100質量部とした場合に、上記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物の含有量が0質量部を超え5質量部以下であることを特徴とする冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
〔2〕上記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩の結晶構造がアモルファス型である上記〔1〕記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
〔3〕上記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩の平均粒径が0.5μm以下である上記〔1〕又は〔2〕記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
〔4〕アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のスルホネート、サリチレート、フィネート並びにカルボキシレートのうちの少なくとも1種を更に含有する上記〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
〔5〕上記アルカリ金属がナトリウムであり、且つ上記アルカリ土類金属がカルシウムである上記〔1〕乃至〔4〕のいずれかに記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
〔6〕引火点が150℃以上である上記〔1〕乃至〔5〕のいずれかに記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
〔7〕硫黄原子と、窒素原子及び/又は酸素原子と、が結合している炭素原子を有する有機硫黄化合物を更に含有し、且つ該有機硫黄化合物の含有量が、本冷間塑性加工用潤滑剤組成物100質量%中、0.1〜50質量%である上記〔1〕乃至〔6〕のいずれかに記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
〔8〕上記有機硫黄化合物が、下記一般式(1)〜(12)で表される化合物のうちの少なくとも1種である上記〔7〕記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
【化1】

【化2】

〔但し、xは2〜4の整数である。〕
【化3】

〔但し、R及びRは、−CH又は−Cであり、各々、同一であっても異なってもよい。〕
【化4】

〔但し、xは1又は2である。〕
【化5】

〔但し、Rは、−C(CH又は−C11である。〕
【化6】

【化7】

〔但し、x及びxは、2〜4の整数であり、各々、同一であっても異なってもよい。また、R及びRは、−C17、−C1225又は−C(S)N(Cであり、各々、同一であっても異なってもよい。〕
【化8】

〔但し、R及びRは、−CH、−C、−C、−C、−C又は−CHであり、各々、同一であっても異なってもよい。また、Mは、Na、K又は1/2Caである。〕
【化9】

〔但し、Rは、H又は−CHである。また、Rは、−C10NH又は−CH(CH)CNHである。〕
【化10】

〔但し、R10、R11、R12及びR13は、−CH、−C、−C、−C又は−CHCH(C)Cであり、各々、同一であっても異なってもよい。また、xは1〜4の整数である。〕
【化11】

〔但し、xは1〜4の整数である。〕
【化12】

〔但し、R14及びR16は、H、−CH又は−Cであり、各々、同一であっても異なってもよい。また、R15及びR17は、−CH、−C又は−Cであり、各々、同一であっても異なってもよい。〕
〔9〕上記〔1〕乃至〔8〕のいずれかに記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物を用いて被加工材の冷間塑性加工を行うことを特徴とする冷間塑性加工方法。
〔10〕上記被加工材の材質が、ステンレス鋼、高合金鋼、アルミニウム、銅、チタニウム、ニッケル又はそれらの合金である上記(9)記載の冷間塑性加工方法。
〔11〕上記冷間塑性加工により得られる塑性加工品が、金属管、金属線、金属棒又はビレットである上記〔9〕又は〔10〕記載の冷間塑性加工方法。
〔12〕上記冷間塑性加工が、冷間鍛造加工又は冷間製管加工である上記〔9〕乃至〔11〕のいずれかに記載の冷間塑性加工方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の冷間塑性加工用潤滑組成物によると、潤滑条件が厳しく、焼付きの生じやすい冷間鍛造加工及び冷間製管加工(冷間ピルガー圧延加工等)においても、良好な潤滑性及び耐焼付き性を発揮することができる。また、本発明の冷間塑性加工用潤滑組成物は引火しにくい。更に、本発明の冷間塑性加工用潤滑組成物は、発ガン性、ダイオキシン等の問題を有する塩素系化合物が含有されていなくても優れた性能を奏することから、環境に適応したものである。
また、上記炭酸塩の結晶構造がアモルファス型である場合には、より優れた耐焼付き性を得ることができる。
更に、上記炭酸塩の平均粒径が0.5μm以下である場合には、より優れた耐焼付き性を得ることができる。
また、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のスルホネート、サリチレート、フィネート並びにカルボキシレートのうちの少なくとも1種を更に含有する場合、潤滑剤組成物に清浄分散作用を付与することができる。
更に、上記アルカリ金属の炭酸塩が炭酸ナトリウムであり、且つ上記アルカリ土類金属の炭酸塩が炭酸カルシウムである場合、原料が安価であり、安定して潤滑剤組成物を供給できる。
また、引火点が150℃以上である場合、潤滑剤組成物が高温となる加工条件の厳しい塑性加工時にも安全に用いることができる。
更に、上記一般式(1)〜(12)で表される化合物等の特定の有機硫黄化合物を特定量含有する場合、より優れた潤滑性を得ることができる。
【0011】
本発明の冷間塑性加工方法によれば、上述の耐焼付き及び潤滑性に優れる冷間塑性加工用潤滑剤組成物を用いるため、被加工材を良好に塑性加工することができる。
また、本発明の冷間塑性加工方法によれば、材質がステンレス鋼、高合金鋼、アルミニウム、銅、チタニウム、ニッケル又はそれらの合金等である被加工材を良好に塑性加工することができる。
更に、本発明の冷間塑性加工方法によれば、上述の耐焼付き及び潤滑性に優れる冷間塑性加工用潤滑剤組成物を用いるため、金属管、金属線、金属棒又はビレット等の塑性加工品を安定して製造することができる。
また、本発明の他の冷間塑性加工方法によれば、上述の耐焼付き及び潤滑性に優れる冷間塑性加工用潤滑剤組成物を用いるため、冷間鍛造加工又は冷間製管加工等の冷間塑性加工を安定して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳しく説明する。
(1)冷間塑性加工用潤滑剤組成物
本発明の冷間塑性加工用潤滑剤組成物は、潤滑基油中に、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩(以下、単に「炭酸塩」という。)と、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物(以下、単に「水酸化物」という。)と、を含有し、且つ塩素系化合物を含有しない。
【0013】
上記「潤滑基油」の種類には特に限定はなく、公知の潤滑基油を使用できる。上記潤滑基油としては、例えば、鉱物油、油脂及び合成潤滑油等が挙げられる。上記鉱物油としては、灯油、軽油、スピンドル油、マシン油、ニュートラル油、タービン油、シリンダー油及び流動パラフィン等が挙げられる。また、上記油脂としては、牛脂、豚脂、ナタネ油、ヤシ油、パーム油、ヌカ油及びこれらの水素添加油等が挙げられる。更に、上記合成潤滑油としては、上記油脂から得られる脂肪酸、脂肪酸とアルコールのエステル、ポリブテン等のポリαオレフィン、ポリエチレングリコール、ポリオールエステル等のポリオール類、ポリエーテル若しくはポリエステル及び高級アルコール等が挙げられる。上記「潤滑基油」は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0014】
上記潤滑基油の含有量は特に限定されないが、本発明の冷間塑性加工用潤滑剤組成物を100質量%とした場合に、1〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは10〜60質量%である。上記潤滑基油の含有量が上記範囲内である場合、良好な潤滑性を有し、且つ耐焼付き性に優れる冷間塑性加工用潤滑剤組成物を得ることができるので好ましい。
【0015】
上記炭酸塩における上記「アルカリ金属」としては、リチウム、ナトリウム及びカリウム等が挙げられる。また、上記「アルカリ土類金属」としては、マグネシウム、カルシウム及びバリウム等が挙げられる。上記炭酸塩として具体的には、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム及び炭酸バリウム等が挙げられる。これらの中でも、廉価な塩素系化合物に替わる化合物として考慮すれば、安価であり、潤滑剤組成物を安定して供給できる炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カルシウムが好ましい。尚、これらの炭酸塩は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0016】
上記炭酸塩の結晶構造は特に限定されず、例えば、バテライト型、カルサイト型及びアモルファス型等が挙げられる。この中で、この結晶構造がアモルファス型である場合には、耐焼付き性により優れる冷間塑性用潤滑剤組成物を得ることができるので好ましい。勿論、本発明では、異なる結晶構造の上記炭酸塩を2種以上併用してもよい。
【0017】
また、上記炭酸塩の平均粒径は特に限定されないが、0.5μm以下(通常、0.001μm以上)であることが好ましく、より好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.1μm以下である。この平均粒径が0.5μm以下である場合には、耐焼付き性により優れる冷間塑性用潤滑剤組成物を得ることができるので好ましい。
【0018】
上記炭酸塩の含有量は、本冷間塑性加工用潤滑剤組成物全体を100質量%とした場合に、10質量%以上100質量%未満(通常、95質量%以下)であり、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは10〜80質量%、更に好ましくは、10〜70質量%、特に好ましくは15〜65質量%である。この含有量が15質量%未満の場合、良好な潤滑性を有し、且つ耐焼付き性に優れる冷間塑性加工用潤滑剤組成物を得ることができない。また、潤滑剤組成物の引火点を十分に高くすることができない。
【0019】
上記水酸化物における「アルカリ金属」及び「アルカリ土類金属」については、それぞれ、上記炭酸塩と同様のものが挙げられる。また、上記水酸化物を構成するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属と、上記炭酸塩を構成するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属は、同じ種類でもよく、異なる種類でもよい。上記水酸化物として具体的には、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム及び水酸化バリウム等が挙げられる。尚、これらの水酸化物は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
上記炭酸塩に対する上記水酸化物の含有割合は、上記炭酸塩を100質量部とした場合に、0質量部を超え5質量部以下(通常、0.01質量部以上)であり、好ましくは0.05〜5質量部、より好ましくは0.05〜4質量部、特に好ましくは0.09〜3.5質量部である。この含有割合が5質量部を超える場合、十分な耐焼付き性を得ることができないので好ましくない。尚、この水酸化物の含有量は、酸による中和滴定等の一般的な滴定法により求めることができる。
【0021】
また、上記水酸化物の含有量は、本発明の冷間塑性加工用潤滑剤組成物全体を100質量%とした場合に、通常、0質量%を超え5質量%未満、好ましくは0.05〜4質量%、より好ましくは0.05〜3質量%、更に好ましくは、0.05〜2質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%である。上記水酸化物の含有量を上記範囲とすることにより、良好な潤滑性を有し、且つ耐焼付き性に優れる冷間塑性加工用潤滑剤組成物を得ることができるので好ましい。
【0022】
上記炭酸塩及び水酸化物の調製方法には特に限定はない。例えば、市販のものをそのまま用いてもよい。その場合、一般に粉体として入手することができる。また、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩並びに水酸化物が適当な媒体(無機溶媒又は有機溶媒、特には上記潤滑基油として使用される油剤)に均一に溶解又は分散された溶液又は分散液としても入手することができる。
【0023】
また、本発明の冷間塑性加工用潤滑剤組成物は、塩素系化合物を含有しないものである。上記「塩素系化合物」としては、塩素原子を含有する無機化合物及び有機化合物であり、具体的には、例えば、塩素化パラフィン及び塩素化脂肪油等の塩素系極圧添加剤、四塩化炭素、トリクロロエチレン、及び塩化メチレン等の塩素系溶媒、クロロフルオロカーボン等の塩素含有フッ素系溶媒、並びに塩化アンモニウム等が挙げられる。尚、本発明の冷間塑性加工用潤滑剤組成物において、「塩素系化合物を含有しない」とは、塩素系化合物の含有量が0質量%であることが望ましいが、不純物等の不可避的含有物等により、微量の塩素系化合物を含んでいてもよい。本発明では、冷間塑性加工用潤滑剤組成物100質量%中0質量%を超え1質量%以下、あるいは0質量%を超え0.5質量%以下、あるいは0質量%を超え0.1質量%以下、あるいは0質量%を超え0.01質量%以下、あるいは0質量%を超え0.01質量%以下の塩素系化合物を含有することまで排除するものではない。
【0024】
また、本発明の冷間塑性加工用潤滑剤組成物には、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のスルホネート、サリチレート、フィネート並びにカルボキシレートのうちの少なくとも1種を更に含有させることができる。これらを含有させた場合、潤滑剤組成物に清浄分散作用を付与することができるので好ましい。
【0025】
上記「アルカリ金属」及び「アルカリ土類金属」については、それぞれ、前記と同様のものを挙げることができる。上記「アルカリ金属」及び「アルカリ土類金属」は、上記炭酸塩及び/又は水酸化物を構成するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属と同じ種類でもよく、異なる種類でもよい。
【0026】
具体的な上記「スルホネート」としては、石油スルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸等のアルキル芳香族スルホン酸、アルキルスルホン酸、ポリイソブテニルスルホン酸等のスルホン酸類のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が挙げられる。また、具体的な上記「サリチレート」としては、アルキルサリチル酸等のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が挙げられる。更に、具体的な上記「フィネート」としては、フェノール、アルキルフェノール等のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が挙げられる。また、具体的な上記「カルボキシレート」としては、マレイン化ポリブデン、脂肪酸、カルボキシ変性アクリル樹脂等のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0027】
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のスルホネート、サリチレート、フィネート並びにカルボキシレートは、スルホネート、サリチレート、フィネート、カルボキシレートを均一に溶解させた基油中に、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物、あるいは酸化物等を存在させた系に二酸化炭素を吹き込むこと等により製造することができる。
【0028】
上記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のスルホネート、サリチレート、フィネート並びにカルボキシレートの含有割合は、上記炭酸塩を100質量部とした場合に、1〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜40質量部、更に好ましくは5〜30質量部である。この含有量が上記範囲であると、潤滑剤組成物の安定性に優れると共に、耐焼付き性を向上させることができるので好ましい。
【0029】
また、本発明の冷間塑性加工用潤滑剤組成物には、硫黄原子と、窒素原子及び/又は酸素原子と、が結合している炭素原子を有する有機硫黄化合物を更に含有させることができる。上記硫黄原子と、窒素原子及び/又は酸素原子と、が結合している炭素原子を有する有機硫黄化合物としては、例えば、N=C−S、N−C=S、N−C−S、N=C=S、O=C−S、O−C=S、O−C−S及びO=C=S等の構造を有する有機硫黄化合物等が挙げられる。上記有機硫黄化合物として、上記一般式(1)〜(12)で表される化合物を用いると、より潤滑性に優れる潤滑剤組成物を確実に得ることができるので好ましい。尚、上記有機硫黄化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
上記有機硫黄化合物の含有量は特に限定されないが、本発明の冷間塑性加工用潤滑剤組成物100質量%中、0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは5〜30質量%である。この含有量が上記範囲内であると、潤滑性により優れた潤滑剤組成物を得ることができるので好ましい。
【0031】
また、本発明の冷間塑性加工用潤滑剤組成物には、上記の成分以外にも、一般的な塑性加工油剤に添加されている種々の添加剤を必要に応じて適宜含有させることができる。例えば、ヒンダードエステル、アルキルアミン等の油性剤、ポリスルフィド、硫化油脂等の有機硫黄化合物、(亜)リン酸エステル、酸性(亜)リン酸エステル等の有機リン化合物などの極圧添加剤、ジチオリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸モリブデン等の有機金属塩、黒鉛、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤、酸化防止剤、防錆剤、防食剤等が挙げられる。尚、上記黒鉛、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤の使用は、作業環境を悪化させることがあるため、使用を控えることが好ましい。また、本発明の冷間塑性加工用潤滑剤組成物には、上記のように、塩素系化合物を含有しないことが好ましいことから、上記添加物も塩素系化合物以外の添加物が好ましいが、塩素系化合物を含有させることによる弊害をもたらさない限り、塩素系化合物を添加物として用いることを厳密に排除するものではない。
【0032】
本発明の冷間塑性加工用潤滑剤組成物の形態は、常温(約25℃)で、液状又はゲル状である。また、本発明の冷間塑性加工用潤滑剤組成物の引火点は150℃以上、好ましくは170℃以上、更に好ましくは200℃以上とすることができる。この引火点が150℃以上である場合、潤滑剤組成物が高温となる加工条件の厳しい塑性加工時にも安全に用いることができるため好ましい。
【0033】
(2)冷間塑性加工方法
本発明の冷間塑性加工方法は、本発明の冷間塑性加工用潤滑剤組成物を用いて被加工材の冷間塑性加工を行うことを特徴とする。
【0034】
上記被加工材の材質については特に限定はない。上記被加工材としては、例えば、ステンレス鋼、高合金鋼、アルミニウム、銅、チタニウム、ニッケル又はそれらの合金等が挙げられる。また、上記被加工材の形状は、棒材やブロック材等だけでなく、熱間鍛造後の形状物(ギヤやシャフト等)の加工も考えられるので、特に限定されない。更に、本発明の冷間塑性加工方法により得られる塑性加工品についても特に限定はない。上記塑性加工品として具体的には、例えば、金属管、金属線、金属棒又はビレット等が挙げられる。
【0035】
上記冷間塑性加工として具体的には、例えば、板圧延、管圧延、条鋼(形鋼、棒線、線材)圧延、引抜き(抽伸)、鍛造等の冷間塑性加工が挙げられる。上記冷間塑性加工としては、特に冷間鍛造加工又は冷間製管加工が好ましい。また、上記冷間鍛造加工及び冷間製管加工等の上記冷間塑性加工の条件、方法については特に限定されず、公知の装置等を用いて、適宜条件を設定して行うことができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、本実施例の記載において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を示す。
【0037】
[1]冷間塑性加工用潤滑剤組成物の調製
表1に示す含有量となるように、表1に示すアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、水酸化物、及びスルホネート(アルキルベンゼンスルホン酸)を、鉱物油(精製鉱油;新日本石油社製)に分散させ、No.1〜5の炭酸塩の分散液を調製した。尚、使用したアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩の平均粒径及び結晶構造を表1に併記した。また、No.1〜5の炭酸塩の分散液の外観も表1に併記した。
【0038】
【表1】

【0039】
表2及び表3に示す含有量となるように、上記No.1〜5の炭酸塩の分散液及び以下に示す有機硫黄化合物(No.1〜12)を、鉱物油(精製鉱油;新日本石油社製)に分散させ、実施例1〜18及び比較例1〜2の各冷間塑性加工用潤滑剤組成物を調製した。尚、表2及び表3には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩の含有量、結晶構造及び平均粒径、並びにアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩に対する水酸化物の含有量を併記した。また、表3の「*」は、本発明の範囲外であることを示す。
【0040】
上記冷間塑性加工用潤滑剤組成物の調製に使用した有機硫黄化合物(No.1〜12)の詳細を以下に示す。
No.1;前記一般式(1)の化合物
No.2;前記一般式(2)の化合物(x;2)
No.3;前記一般式(3)の化合物(R、R;−C
No.4;前記一般式(4)の化合物(x;2)を用いた。
No.5;前記一般式(5)の化合物[R;−C(CH
No.6;前記一般式(6)の化合物
No.7;前記一般式(7)の化合物(x、x;2、且つR、R;−C17
No.8;前記一般式(8)の化合物(R、R;−C、且つM;1/2Ca)
No.9;前記一般式(9)の化合物(R;H、且つR;−C10NH
No.10;前記一般式(10)の化合物[x;2、且つR10〜R13;−CH(CHCH(C)CH
No.11;前記一般式(11)の化合物(x;4)
No.12;前記一般式(12)の化合物(R14、R16;H、且つR15、R17;−C
【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
また、比較例3として、不水溶性型の潤滑油(主成分:脂肪酸エステル15%、硫化油脂70%)を用いた。
【0044】
[2]潤滑剤組成物の性能評価
以下の方法により、実施例1〜18及び比較例1〜3の各塑性加工用潤滑剤組成物の性能評価を行った。
【0045】
(1)小型抽伸機による鋼管の冷間抽伸試験
被加工材として外径21.5mm×内径16.04mm×長さ750mmである鋼管(材質;SUS304)を使用した。この鋼管は、予め溶体化処理した後、酸洗により表面の粗面化処理が施されている。また、小型抽伸機のダイスの口径は直径17.5mm、プラグはストレート部の外径が13.2mmのセミフロートタイプのプラグを使用した。この小型抽伸機による冷間抽伸加工後の減面率は35.6%となる。
上記実施例1〜18及び比較例1〜3の各塑性加工用潤滑剤組成物を、上記鋼管内外表面に塗布すると共に、抽伸の直前にも、上記鋼管内外表面に上記実施例1〜18及び比較例1〜3の各塑性加工用潤滑剤組成物を供給することにより、冷間抽伸を行った。そして、抽伸後の上記鋼管表面を目視で観察し、焼付きの有無を調べることにより、性能評価を行った。その結果をそれぞれ表2及び表3に併記する。各表中の「◎」は焼付きの発生がなかったことを表し、「○」は極僅かな焼付きが発生したことを表し、「△」は僅かな焼付きが発生したことを表し、「×」は重度の焼付きが発生したことを表す。
【0046】
(2)しごき試験
図1に示す潤滑性を評価する試験機を用いて、下記のようにしごき試験を行った。尚、上記試験機Tは、基台7上に載置されたダイス(凹部工具、材質;超硬工具、径;20.85mm)1と、鋼球[凸部工具、材質;SUJ2(軸受け鋼)、径;19mm]4と、ダイス1の上方に配置され垂直方向のストローク動作が可能なプレス機5と、を備える。
被加工材として、中心部に径10mmの孔6が形成された試験板(材質;SUS304、板厚;2.0mm、形状;円板状)を使用した。該試験板2の両面に、上記実施例1〜18及び比較例1〜3の各塑性加工用潤滑剤組成物を十分に塗布した。その後、板押さえ3により、試験板2をダイス1上の中央に固定した。次いで、鋼球4を、試験板2の中央部の孔6上に載置した。この際、ダイス1、試験板2、鋼球4、プレス機5及びシリンダロッド8の軸心が一致するように載置した。その後、プレス機5のシリンダロッド8の下端81を鋼球4にあてがい、油圧シリンダを下方に伸張させ、しごき加工を行い、ボス部を形成した。尚、ダイス1と鋼球4との間で、試験板2が一回の加工でしごかれる割合(しごき率)は45%とした。また、電気炉を使用し、試験前にダイス1及び鋼球4を、予め100℃に加温しておいた。
そして、加工後のボス部を目視で観察し、焼付きの有無を調べることにより、性能評価を行った。その結果をそれぞれ表2及び表3に併記する。各表中の「◎」は焼付きの発生がなかったことを表し、「○」は僅かな焼付きが発生したことを表し、「△」は半面の焼付きが発生したことを表し、「×」は重度の焼付きが発生したことを表す。
【0047】
(3)引火性の評価
実施例1〜18及び比較例1〜3の各塑性加工用潤滑剤組成物の引火点を、JIS K2265に準じ、クリーブランド開放型引火点測定装置を用いて測定した。その結果を表2及び表3に併記した。
【0048】
[3]実施例の効果
表3より、本発明の範囲外である比較例1〜3では、冷間抽伸加工後の管内表面に重度の焼付きが発生した。これに対し、本発明の範囲内である実施例1〜18では、表2及び表3より、いずれも焼付き等の表面疵を発生させずに抽伸できることを確認した。
また、表3より、本発明の範囲外である比較例1〜3では、上記しごき試験において、ボス部で焼付き疵が発生した。これに対し、本発明の範囲内である実施例1〜18では、表2及び表3より、いずれも焼付き等の表面疵が発生していないことを確認した。
更に、本発明の範囲内である実施例1〜18の潤滑剤組成物の引火点は、150〜260℃と高く、潤滑剤組成物が高温となる加工条件の厳しい塑性加工時にも安全に用いることができることが確認できた。
【0049】
尚、本発明においては、上記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】しごき試験に用いた試験機を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1;ダイス(凹部工具)、2;試験片(被加工材)、3;板押さえ、4;鋼球(凸部工具)、5;プレス機、6;孔、7;基台、8;シリンダロッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑基油中に、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩と、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物と、を含有し、且つ塩素系化合物を含有せず、冷間塑性加工用潤滑剤組成物100質量%中、上記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩の含有量が10質量%以上100質量%未満であり、上記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩を100質量部とした場合に、上記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物の含有量が0質量部を超え5質量部以下であることを特徴とする冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
【請求項2】
上記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩の結晶構造がアモルファス型である請求項1記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
【請求項3】
上記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩の平均粒径が0.5μm以下である請求項1又は2記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
【請求項4】
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のスルホネート、サリチレート、フィネート並びにカルボキシレートのうちの少なくとも1種を更に含有する請求項1乃至3のいずれかに記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
【請求項5】
上記アルカリ金属がナトリウムであり、且つ上記アルカリ土類金属がカルシウムである請求項1乃至4のいずれかに記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
【請求項6】
引火点が150℃以上である請求項1乃至5のいずれかに記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
【請求項7】
硫黄原子と、窒素原子及び/又は酸素原子と、が結合している炭素原子を有する有機硫黄化合物を更に含有し、且つ該有機硫黄化合物の含有量が、本冷間塑性加工用潤滑剤組成物100質量%中、0.1〜50質量%である請求項1乃至6のいずれかに記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
【請求項8】
上記有機硫黄化合物が、下記一般式(1)〜(12)で表される化合物のうちの少なくとも1種である請求項7記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
【化1】

【化2】

〔但し、xは2〜4の整数である。〕
【化3】

〔但し、R及びRは、−CH又は−Cであり、各々、同一であっても異なってもよい。〕
【化4】

〔但し、xは1又は2である。〕
【化5】

〔但し、Rは、−C(CH又は−C11である。〕
【化6】

【化7】

〔但し、x及びxは、2〜4の整数であり、各々、同一であっても異なってもよい。また、R及びRは、−C17、−C1225又は−C(S)N(Cであり、各々、同一であっても異なってもよい。〕
【化8】

〔但し、R及びRは、−CH、−C、−C、−C、−C又は−CHであり、各々、同一であっても異なってもよい。また、Mは、Na、K又は1/2Caである。〕
【化9】

〔但し、Rは、H又は−CHである。また、Rは、−C10NH又は−CH(CH)CNHである。〕
【化10】

〔但し、R10、R11、R12及びR13は、−CH、−C、−C、−C又は−CHCH(C)Cであり、各々、同一であっても異なってもよい。また、xは1〜4の整数である。〕
【化11】

〔但し、xは1〜4の整数である。〕
【化12】

〔但し、R14及びR16は、H、−CH又は−Cであり、各々、同一であっても異なってもよい。また、R15及びR17は、−CH、−C又は−Cであり、各々、同一であっても異なってもよい。〕
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の冷間塑性加工用潤滑剤組成物を用いて被加工材の冷間塑性加工を行うことを特徴とする冷間塑性加工方法。
【請求項10】
上記被加工材の材質が、ステンレス鋼、高合金鋼、アルミニウム、銅、チタニウム、ニッケル又はそれらの合金である請求項9記載の冷間塑性加工方法。
【請求項11】
上記冷間塑性加工により得られる塑性加工品が、金属管、金属線、金属棒又はビレットである請求項9又は10記載の冷間塑性加工方法。
【請求項12】
上記冷間塑性加工が、冷間鍛造加工又は冷間製管加工である請求項9乃至11のいずれかに記載の冷間塑性加工方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−182809(P2006−182809A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374557(P2004−374557)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【出願人】(000115083)ユシロ化学工業株式会社 (69)
【Fターム(参考)】