説明

分析装置

【課題】容器内への塵埃の混入の抑制、容器内に収容された液体の蒸発の低減および容器の除電を可能にする分析装置を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる分析装置は、検体と試薬との反応液を用いて検体を分析する分析装置であって、容器C開口部の斜め上方から容器C内に除電空気を送風する。本発明にかかる分析装置は、容器Cに収容された液体に除電エアーを直接接触させることなく、あるいは液体と除電エアーとの直接接触が低減するように、容器C内に除電エアーを送風するため、容器C内への塵埃の混入の抑制、容器C内に収容された液体の蒸発の低減および容器の除電を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検体と試薬との反応液を用いて前記検体を分析する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿等の検体を自動的に分析する装置として、検体および1種類以上の試薬を反応容器に分注し、検体と試薬との化学変化を生じさせた後、この検体と試薬との反応液の吸光度等を測定して自動的に検体を分析する分析装置が知られている。
【0003】
このような分析装置においては、液体を収容した容器の帯電に起因する容器への塵埃の付着、容器内壁における液体の這い上がりおよび液面検知誤動作などが問題となっていた。このため、従来においては、液体を収容した容器の移送経路途中にイオナイザを設置し、容器内に除電エアーを送風して容器を除電する分析装置が提案されていた(特許文献1参照)。また、従来においては、容器外面に沿って除電エアーが流れる送風用の溝を容器保持部材などに設け、容器外部へ除電エアーを吹き付けて容器を除電する分析装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】実開平6−18968号公報
【特許文献2】特開2001−4640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にかかる分析装置においては、容器直上から容器内に除電エアーを吹き付けるため、容器内に収容された液体に塵埃が混入しやすくなってしまうとともに容器内に収容された液体が蒸発してしまい、分析処理の精度劣化を招くという問題があった。また、特許文献2にかかる分析装置においては、容器外部へ除電エアーを吹き付けるため、容器内部が十分に除電されないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記した従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、容器内への塵埃の混入の抑制、容器内に収容された液体の蒸発の低減および容器の除電を可能にする分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる分析装置は、検体と試薬との反応液を用いて前記検体を分析する分析装置において、当該分析装置において使用する液体を収容した容器開口部の斜め上方から前記容器内に除電空気を送風する除電機構を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる分析装置は、前記除電機構は、前記除電空気を送出する除電空気送風機を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる分析装置は、前記除電空気送風機は、前記容器開口部の斜め上方であって、前記除電空気とともに送出する塵埃が落下できる距離分前記容器から離れて設置されることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる分析装置は、前記除電機構は、前記除電空気送風機から送出された除電空気を前記容器内に誘導する誘導機構を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる分析装置は、前記誘導機構は、前記除電空気の送風経路を、前記容器開口部の斜め上方から前記容器内へ通じる経路である傾斜経路に変更するための所定の角度をもたせた屋根形状の構造物を有することを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる分析装置は、前記誘導機構は、前記除電空気の送風経路を、前記容器開口部の斜め上方から前記容器内へ通じる経路である傾斜経路に誘導する管を有することを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる分析装置は、前記容器内への除電空気の送風を所定時間内に制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる分析装置は、前記容器内への除電空気の送風を遮断できる遮断機構をさらに備え、前記制御手段は、前記容器内へ除電空気が所定時間送風された場合、前記遮断機構に対して前記容器内への除電空気の送風を遮断させることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる分析装置は、前記除電空気送風機を回転できる駆動機構をさらに備え、前記制御手段は、前記容器内へ除電空気が所定時間送風された場合、前記駆動機構に対して前記除電空気送風機を前記容器内への送風方向と異なる方向に回転させることを特徴とすることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる分析装置は、前記屋根形状の構造物は、前記角度を変更可能であり、前記制御手段は、前記容器内へ除電空気が所定時間送風された場合、前記屋根形状の構造物に対して前記屋根形状の構造物の角度を前記傾斜経路に対応する角度から該傾斜経路に対応する角度と異なる角度に変更させることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる分析装置は、検体と試薬との反応液を用いて前記検体を分析する分析装置において、当該分析装置において使用する液体を収容した容器内に除電空気を送風する除電機構と、前記容器内への除電空気の送風を遮断できる遮断機構と、前記容器内へ除電空気が所定時間送風された場合、前記遮断機構に対して前記容器内への除電空気の送風を遮断させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる分析装置によれば、容器開口部の斜め上方から容器内に除電空気を送風することによって、容器に収容された液体に直接除電空気を接触させることなく容器内に除電空気を送風できるため、容器内への塵埃の混入の抑制、容器内に収容された液体の蒸発の低減および容器の除電を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である分析装置について、血液や尿などの検体に対して生化学分析を行なう分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0020】
図1は、本実施の形態にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる分析装置1は、検体供給部2と、測定部3と、処理部4とを有する。検体供給部2は、検体が収容された検体容器を順次測定部3に供給する。測定部3は、検体供給部2から供給された検体容器内の検体および試薬をキュベット内にそれぞれ分注し、キュベットで生じる反応を光学的に測定する。測定部3は、測定部3全体を覆う外蓋30を備える。処理部4は、検体供給部2および測定部3を含む分析装置1全体の制御を行なうとともに測定部3における測定結果の分析を行なう。分析装置1は、これら各部が連携することによって検体内における検出対象物の濃度を検出する生化学分析を順次自動的に行なう。
【0021】
つぎに、図1に示す各構成部位を詳細に説明する。図2は、図1に示す分析装置の要部を模式的に示した図である。図2の上図は、検体供給部2と外蓋30を外した状態の測定部3内との平面図であり、図2の下図は、処理部4における構成の模式図である。
【0022】
図2に示すように、検体供給部2は、血液や尿等、液体である検体を収容した複数の検体容器21を保持し、図中の矢印方向に順次移送される複数の検体ラック20を有する。検体供給部2は、検体ラック20をラック搬送コンベア23に順次搬送するラック供給コンベア22と、検体吸引位置P0に分注対象である検体容器21を収容する検体ラック20を順次搬送するラック搬送コンベア23と、検体分注処理が終了した検体容器21を収容する検体ラック20を順次回収するラック回収コンベア24とを備える。検体吸引位置P0に移送された検体容器20内の検体は、後述する測定部3における検体分注ユニット34によって、反応槽31上に配列して搬送されるキュベット31bに分注される。
【0023】
測定部3は、反応槽31と、第1試薬庫32と、第2試薬庫33と、検体分注ユニット34と、第1試薬分注ユニット35と、第2試薬分注ユニット36と、第1攪拌ユニット37と、第2攪拌ユニット38と、測光ユニット39と、洗浄ユニット40とを有する。
【0024】
反応槽31は、キュベット31bへの検体や試薬の分注、キュベット31b内での検体、試薬の攪拌、洗浄または測光を行なうためにキュベット31bを所定の位置まで移送する。この反応槽31は、制御部41の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応槽31の中心を通る鉛直線を回転軸として回動自在である。反応槽31は、上方に、各液体吐出位置や攪拌・洗浄位置に対応する箇所に孔がそれぞれ設けられた開閉自在な蓋31aを備え、下方に恒温槽を備える。
【0025】
第1試薬庫32は、キュベット31b内に分注される2種類の試薬のうち、最初に分注される第1試薬が収容された第1試薬容器を着脱自在に複数収納できる。第1試薬庫32は、制御部41の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、第1試薬庫32の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の第1試薬容器を第1試薬分注ユニット35による試薬吸引位置まで移送する。第1試薬庫32の上方には、試薬吸引位置に対応する箇所にプローブが入出可能な吸引孔32bを有する開閉自在な蓋32aが設けられている。また、第1試薬庫32は、保冷機能を備えている。
【0026】
第2試薬庫33は、キュベット31b内に分注される2種類の試薬のうち、第1試薬の次に分注される第2試薬が収容された第2試薬容器を着脱自在に複数収納できる。第2試薬庫33は、第1試薬庫32と同様に、制御部41の制御のもと、時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の第2試薬容器を第2試薬分注ユニット36による試薬吸引位置まで移送する。第2試薬庫33の上方には、試薬吸引位置に対応する箇所にプローブが入出可能な吸引孔33bを有する開閉自在な蓋33aが設けられている。また、第2試薬庫33は、保冷機能を備えている。
【0027】
検体分注ユニット34は、検体の吸引および吐出を行なうプローブが先端部に取り付けられたアーム34aを備える。アーム34aは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なう。検体分注ユニット34は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注ユニット34は、上述した検体供給部2における検体吸引位置P0上の所定位置に移送された検体容器21の中からプローブによって検体を吸引し、アーム34aを図中反時計回りに旋回させ、反応槽31上の検体吐出位置に搬送されたキュベット31bに、蓋31aの孔を介して、分析対象である検体を吐出して分注を行なう。
【0028】
第1試薬分注ユニット35は、第1試薬の吸引および吐出を行なうプローブが先端部に取り付けられたアーム35aを備える。アーム35aは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なう。第1試薬分注ユニット35は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。第1試薬分注ユニット35は、吸引孔32bを介して第1試薬庫32上の所定位置に移動された第1試薬容器内の試薬をプローブによって吸引し、アーム35aを図中反時計回りに旋回させ、反応槽31上の所定位置に搬送されたキュベット31bに、分析対象である検体に指示された分析項目に対応する第1試薬を吐出して分注を行なう。
【0029】
第2試薬分注ユニット36は、第1試薬分注ユニット35と同様に、第2試薬の吸引および吐出を行なうプローブが先端部に取り付けられたアーム36aと、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備え、吸引孔33bを介して第2試薬庫33上の所定位置に移動された第2試薬容器内の試薬をプローブによって吸引後、反応槽31上の所定位置に搬送されたキュベット31bに分析対象である検体に指示された分析項目に対応する第2試薬を吐出して分注を行なう。
【0030】
第1攪拌ユニット37および第2攪拌ユニット38は、キュベット31bに分注された第1試薬、検体および/または第2試薬の攪拌を行い、反応を促進させる。測光ユニット39は、所定波長の光をキュベット31bに発し、このキュベット31b内の試薬と検体との反応液を通過した光を受光して分光強度測定などを行なう。測光ユニット39による測定結果は、制御部41に出力され、分析部43において分析される。洗浄ユニット40は、図示しないノズルによって、測光ユニット39による測定が終了したキュベット31b内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで洗浄を行なう。この洗浄したキュベット31bは再利用されるが、検査内容によっては1回の測定終了後にキュベット31bを廃棄してもよい。
【0031】
つぎに、処理部4について説明する。処理部4は、制御部41と、入力部42と、分析部43と、記憶部44と、出力部45とを備える。検体供給部2、測定部3および処理部4が備えるこれらの各部は、制御部41に電気的に接続されている。
【0032】
制御部41は、CPU等を用いて構成され、分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部41は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行なう。
【0033】
入力部42は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。入力部42は、図示しない通信ネットワークを介し、外部装置から検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を取得してもよい。分析部43は、測光ユニット39によって測定された測定結果をもとに、吸光度等を演算し検体内における検出対象物の濃度を求め、検体の成分分析等を行なう。
【0034】
記憶部44は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部44は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
【0035】
出力部45は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力する。また、出力部45は、図示しない通信ネットワークを介し、外部装置に検体の分析結果を含む諸情報を出力してもよい。
【0036】
さらに、分析装置1においては、検体供給部2および測定部3の所定箇所に、イオン化した除電エアーを送風するイオナイザを一以上備える。イオナイザは、イオナイザ内部でイオンを発生させてイオン化した空気である除電エアーを送風する。イオナイザ5は、たとえば、図2に示す位置Pa,Pb,Pc上方および位置Pdに設置されている。
【0037】
イオナイザ5は、分析装置において使用する液体を収容した容器開口部の斜め上方から容器内に除電空気を送風するように配置されている。具体的には、図3に示すように、イオナイザ5の送風口は、容器C開口部の斜め上部に設けられることとなる。そして、イオナイザ5は、送風口から送風された除電エアーが容器C開口部を介して容器C内壁に当たるように容器Cからの高さ、距離および角度を調整して配置される。さらに、イオナイザ5は、除電エアーとともに送出する塵埃Dが落下できる距離分容器Cから離れて設置される。このため、イオナイザ5は、容器Cから、除電エアーとともに送出する塵埃Dが落下できる距離L1分離れた位置であって、送風口から送風された除電エアーが容器C開口部を介して容器C内壁に当たるように高さH1の位置に、送風口から送風された除電エアーが容器C開口部を介して容器C内壁に当たる所定の角度θ1を送風口と容器C開口部との間で保つように設置される。
【0038】
このため、図3に示すように、イオナイザ5から送出された塵埃Dは、経路D1に示すように、容器Cに到達せずに容器C手前で塵埃D自身の重みによって落下してしまう。この結果、経路A1に示すように、除電エアーのみが容器C内に送風されることとなる。そして、イオナイザ5から送風される除電エアーは、容器C開口部の斜め上方から容器C内に送風されるため、容器C内に収容された液体表面に直接接触することを低減できる。さらに、イオナイザ5から送風される除電エアーは、容器C開口部の斜め上方から容器C内に送風されるため、容器C内壁に直接接触することができる。
【0039】
従来の分析装置においては、図4に示すように、イオナイザ5を容器C直上に設け、容器C直上から容器C内に除電エアーを吹き付けるため、経路A0にしたがって容器C内に送風される除電エアーとともに、送出された塵埃Dがそのまま容器C内の液体に混入してしまっていた。また、従来の分析装置においては、容器C直上から除電エアーを送風していたため、容器C内に収容された液面に直接除電エアーが吹き付けられ、容器C内に収容された液体が蒸発してしまっていた。
【0040】
これに対し、分析装置1においては、図3に示すように、斜め上方から容器C内に除電空気を送風するとともに、イオナイザ5を除電エアーとともに送出する塵埃が落下できる距離分容器Cから離れて設置する。このため、分析装置1においては、イオナイザ5から送出された塵埃Dが容器C手前で落下し、除電エアーのみを容器C内に送風できるため、容器C内への塵埃の混入を抑制することが可能になる。さらに、分析装置1においては、除電エアーを容器C開口部の斜め上方から容器C内に送風するため、容器C内に収容された液体と除電エアーとの接触を抑制でき、容器C内に収容された液体の蒸発を低減できる。
【0041】
また、従来の分析装置においては、容器内への塵埃の混入を防止するため、容器外部へ除電エアーを吹き付けていた。しかしながら、従来においては、間接的に容器内壁の帯電を除電していたため、容器が十分に除電されないという問題があった。
【0042】
これに対し、分析装置1においては、除電エアーを容器C開口部の斜め上方から容器C内に送風して、除電エアーを容器C内壁に直接接触させている。このため、分析装置1においては、容器C内壁の除電が十分に行なわれ、容器の帯電に起因する反応容器への塵埃の付着、容器内壁における液体の這い上がりおよび液面検知誤動作を低減することができる。
【0043】
このように、本実施の形態においては、容器開口部の斜め上方から容器内に除電エアーを送風することによって、容器に収容された液体に直接除電空気を接触させることなく容器内に除電空気を送風できるため、容器内への塵埃の混入の抑制、容器内に収容された液体の蒸発の低減および容器の除電を可能にする。
【0044】
つぎに、イオナイザ5の設置位置例について説明する。図5は、検体供給部2および測定部3の斜視図であり、測定部3における外蓋30を開けた状態を示す。なお、外蓋30は、測定部3背面に接続する板30a上部に取り付けられている。
【0045】
図5に示すように、イオナイザ5aは、外蓋30を閉じたときに、図2に示す位置Pa上方であって、外蓋30を閉じたときに、ラック搬送コンベア22上を覆う蓋25に設けられた検体吸引用の吸引孔25aを介して、検体吸引前である検体容器21斜め上方から検体容器21a内に除電エアーを送風できる位置および角度で板30a上に取り付けられている。また、イオナイザ5bは、外蓋30を閉じたときに、図2に示す位置Pb上方であって、吸引孔25aを介して、検体吸引前である検体容器21斜め上方から検体容器21a内に除電エアーを送風できる位置および角度で外蓋30内壁上に取り付けられている。また、イオナイザ5cは、外蓋30を閉じたときに、図2に示す位置Pc上方であって、第1試薬庫32の蓋32aの吸引孔32bを介して、第1試薬吸引前である第1試薬容器の開口部斜め上方から該第1試薬容器内に除電エアーを送風できる位置および角度で板30a上に取り付けられている。また、イオナイザ5dは、図2に示す位置Pdに対応して、第2試薬庫33の蓋33aの吸引孔33bを介して、第2試薬吸引前である第2試薬容器の開口部斜め上方から該第2試薬容器内に除電エアーを送風できる位置および角度で測定部3上に取り付けられている。
【0046】
また、分析装置1は、イオナイザ5を容器Cの斜め上方に設置して除電エアーを除電容器の開口部斜め上方から容器内に直接送風するほか、イオナイザ5から送出された除電空気を容器C内に誘導する誘導機構をさらに設けて、イオナイザ5の設置位置に自由度をもたせてもよい。
【0047】
たとえば、分析装置1は、図6に示すように、イオナイザ5から送出された除電エアーの送風経路A2を、容器C開口部の斜め上方から容器C内に通ずる経路である傾斜経路A3に変更するための所定の角度θ2をもたせた屋根形状の構造物である吹込機構6を備えてもよい。この場合、イオナイザ5は、たとえば容器Cの下部に設けられており、容器Cに向かって上方に除電エアーを送出する。イオナイザ5から送出された除電エアーは、経路A2に示すように、通気口M2を通過して、容器Cの側面側を上昇する。そして、除電エアーは、吹込機構6の庇部分6aにぶつかった後、庇部分6aに沿った経路A3にしたがって、容器Cの斜め上方から容器C内部に流入する。イオナイザ5から送出された塵埃Dは、経路D2に示すように、イオナイザ5下方に落下するため、除電エアーとともに容器C内に混入することはない。なお、吹込機構6における屋根形状の構造物の角度、屋根形状の構造物の高さおよび屋根の向きは、イオナイザ5から送出される送風経路、送風強度、容器Cの設置位置などに応じて設定される。また、吹込機構6においては、イオナイザ5から送出されたすべての除電エアーを容器C内に吹き込めるように屋根形状の構造物の角度、屋根形状の構造物の高さおよび屋根の向きを設定してもよく、イオナイザ5から送出された除電エアーのうち容器Cの除電が可能である所定量を吹き込めるように屋根形状の構造物の角度、屋根形状の構造物の高さおよび屋根の向きを設定してもよい。また、分析装置1は、経路A2周辺に塵埃落とし用の穴を設けて、除電エアーとともに上昇した塵埃Dを取り除けるようにしてもよい。
【0048】
このように、分析装置1は、図6に示す吹込機構6を設けることによって、容器開口部の斜め上方から容器内に除電空気を送風して容器内への塵埃の混入の抑制、容器内に収容された液体の蒸発の低減および容器の除電を可能にするとともに、イオナイザ5を容器Cの下方に設置することができる。
【0049】
つぎに、図6に示す吹込機構6を検体容器21に適用した場合について説明する。図7および図8は、吹込機構6を検体容器21に適用した場合を例示する図である。図7は、ラック搬送コンベア23の断面図であり、図8は、図6に示す吹込機構6を取り付けた検体ラック20の斜視図である。
【0050】
図7および図8に示すように、検体ラック20には、支柱61bを介して検体ラック20に屋根61aが取り付けられている。この屋根61aは、ラック搬送コンベア23下方に位置するイオナイザ5から通気口M2を介して送出された除電エアーの経路A2aを、容器C開口部の斜め上方から容器C内に通ずる経路である傾斜経路A3aに変更するための所定の角度θ21をもつ。屋根61aの角度θ21および検体ラック20上面からの支柱61bの高さは、イオナイザ5の設置位置および検体ラック20に収容される検体容器20の高さに対応させて変更する。たとえば、図8に示すように、支柱61b2の高さは、容器高さが検体容器21aよりも高い検体容器21bに対応させて、支柱61a2よりも高く設定されている。また、検体ラック20の各位置においてイオナイザ5から送風される除電エアーの吹込角度が異なる場合には、各除電エアーの吹込み角度に対応させて屋根61a1の角度θ21aと屋根61a2の角度θ21bとを変える。この結果、検体容器21aにおいては、経路A21に示すように、検体容器21a開口部斜め方向から除電エアーが吹込み、検体容器21bにおいては、経路A22に示すように、検体容器21b開口部斜め方向から除電エアーが吹込むこととなる。
【0051】
また、図9に示すように、ラック搬送コンベア23の検体容器21上方の側壁に庇62を設けてもよい。この庇62は、イオナイザ5から通気口M2を介して送出された除電エアーの経路A2bを、容器C開口部の斜め上方から容器C内に通ずる経路である傾斜経路A3bに変更するための所定の角度θ22でラック搬送コンベア23の検体容器21上方の側壁に設けられている。
【0052】
また、図10に示すように、ラック搬送コンベア23を覆う蓋253の形状を加工して、除電エアーの経路A2cを傾斜経路A3cに誘導してもよい。この場合、蓋253下面には、イオナイザ5から送出された除電エアーの経路A2cを、容器C開口部の斜め上方から容器C内に通ずる経路である傾斜経路A3cに変更するための所定の角度θ23で突起する突起部63が設けられる。
【0053】
つぎに、図6に示す吹込機構6を試薬容器に適用した場合について説明する。図11は、第1試薬庫32および外蓋301の断面図である。図11に示すように、測定部3を覆う外蓋301における吸引孔32b近傍領域の形状を加工して、除電エアーの経路A2dを傾斜経路A3dに変更してもよい。この場合、外蓋301の下面には、突起部301bが設けられる。この突起部301bの位置は、第1試薬庫32左下方に位置するイオナイザ5から通気孔M2を介して送出された除電エアーの経路A2dを、吸引孔32bを介して第1試薬容器32c開口部の斜め上方から第1試薬容器32c内に通ずる傾斜経路A3dに変更できるように設定されており、突起部301bの角度は、除電エアーの経路A2dを傾斜経路A3dに変更できる角度θ24に設定されている。さらに、図11および図12に示すように、開口部M2から吹き上げられた除電エアーが試薬庫32の外側方向に漏れずに吸引孔32b内に吹き込まれるように、外蓋301の下面であって突起部301bの試薬庫32外側方向に半円筒形状の突起壁301cが設けられている。
【0054】
また、分析装置1は、図6に示す吹込機構6のほか、図13に示す吹込機構7を設けてイオナイザ5を容器C側方に位置できるようにしてもよい。図13に示すように、吹込機構7においては、送風口が斜め上方となるように容器Cの側方にイオナイザ5が設置されている。図13に示すように、吹込機構7においては、水平部7aを構成する平板と傾斜部7bを構成する平板とを接続した屋根形状を有する。水平部7aと傾斜部7bとは、水平部7aに対し角度θ4でイオナイザ5から送出された除電エアーの送風経路A4を、容器C開口部の斜め上方から容器C内に通ずる経路である傾斜経路A5に変更するための所定の角度θ3をもつ。イオナイザ5から送出された除電エアーは、経路A4にしたがって吹込機構7に入射し、吹込機構7の傾斜部7bに沿った傾斜経路A5にしたがって容器Cの斜め上方から容器C内部に流入する。また、イオナイザ5は、除電エアーとともに送出する塵埃Dが落下できる距離L2分容器Cから離れて設置される。図13に示すように、イオナイザ5から送出された塵埃Dは、経路D3に示すように、容器Cに到達せずに容器C手前で塵埃D自身の重みによって落下してしまい、除電エアーとともに容器C内に混入することはない。なお、吹込機構7における角度θ3、傾斜部7bの長さ、吹込機構7の向きは、イオナイザ5から送出される送風経路、送風強度、容器Cの設置位置などに応じて設定される。また、吹込機構7においては、イオナイザ5から送出されたすべての除電エアーを容器C内に吹き込めるように屋根形状の構造物の角度、屋根形状の構造物の高さおよび屋根の向きを設定してもよく、イオナイザ5から送出された除電エアーのうち容器Cの除電が可能である所定量を吹き込めるように屋根形状の構造物の角度、屋根形状の構造物の高さおよび屋根の向きを設定してもよい。
【0055】
このように、分析装置1は、図13に示す吹込機構7を設けることによって、容器開口部の斜め上方から容器内に除電空気を送風して容器内への塵埃の混入の抑制、容器内に収容された液体の蒸発の低減および容器の除電を可能にするとともに、イオナイザ5の設置位置を容器Cの側方に設置することができる。
【0056】
つぎに、図14を参照して、図13に示す吹込機構7を実際に適用した場合について説明する。図14は、図13に示す吹込機構7を適用した検体供給部2および測定部3内部の要部を模式的に示した図である。
【0057】
まず、図14に示す検体容器21を除電する場合について説明する。図15は、図14に示す蓋26を開けたラック供給コンベア22要部の斜視図である。検体容器21を除電する場合には、図14および図15に示すように、イオナイザ5eは、検体容器21を収容した検体ラック20列最後尾の斜め下方に設置される。そして、図14の検体容器21e列を除電する場合には、ラック供給コンベア22およびラック回収コンベア24を覆う蓋26下面に吹込機構71が取り付けられる。吹込機構71は、検体容器21eの位置に対応した位置に取り付けられる。吹込機構71においては、蓋26が閉じられたときに、イオナイザ5eから送出された除電エアーの経路A411を除電対象である検体容器21e開口部の斜め上方から検体容器21e内に通ずる傾斜経路A413に変更できるように、位置および屋根形状の角度θ31が設定されている。
【0058】
つぎに、図14に示す第2試薬容器33cを除電する場合について説明する。図16は、図14に示す外蓋302を開けた状態の測定部2要部の斜視図である。第2試薬容器33cを除電する場合には、図14および図16に示すように、イオナイザ5fは、第2試薬庫33の斜め下方に設置される。そして、第2試薬容器33cを除電する場合には、外蓋302下面に柱722bを介し吹込機構722が取り付けられる。吹込機構722は、除電対象である第2試薬容器33cの位置に対応した位置に取り付けられる。吹込機構722においては、外蓋302が閉じられたときに、イオナイザ5fから送出された除電エアーの経路A422を、除電対象である第2試薬容器33c上部の吸引孔33b斜め上方から吸引孔33bを介し第2試薬容器33c内に通ずる傾斜経路A432に変更できるように、位置および屋根形状の角度が設定されている。また、図16に示すように、第1試薬容器32cを除電する場合には、イオナイザ5gは、第1試薬庫31の斜め上方である板30aに設置される。外蓋302下面に柱721bを介し吹込機構721が取り付けられる。吹込機構721は、除電対象である第1試薬容器32cの位置に対応した位置に取り付けられる。吹込機構721においては、外蓋302が閉じられたときに、イオナイザ5gから送出された除電エアーの経路A421を、除電対象である第1試薬容器32c上部の吸引孔32b斜め上方から吸引孔32bを介し第1試薬容器32c内に通ずる傾斜経路A431に変更できるように、位置および屋根形状の構造物の角度が設定されている。なお、図5、図11、図14および図16においては、蓋32a,33aにおける吸引孔32b,33bを介して第1試薬容器32cおよび第2試薬容器33c内に除電エアーを送風した場合を例示したが、分析装置1は、蓋32a,33aに除電エアー送風専用の孔を設けて、この孔を介して第1試薬容器32cおよび第2試薬容器33c内に除電エアーを送風してもよい。
【0059】
また、分析装置1は、図6および図13に示す吹込機構6,7のほか、図17に示す吹込機構8を設けて、イオナイザ5の設置位置にさらに自由度をもたせてもよい。図17に示すように、吹込機構8においては、イオナイザ5の送風口と接続し、イオナイザ5から送出された除電エアーの送風経路A6を、容器C開口部の斜め上方から容器内へ通じる傾斜経路A7に誘導する管を有する。管は、傾斜経路A7に沿って除電エアーを送出できるように所定の角度で屈曲している。イオナイザ5から送出された除電エアーは、吹込機構8内を通過することによって、経路A6および傾斜経路A7にしたがって容器Cの斜め上方から容器C内部に入射する。イオナイザ5から送出された塵埃Dは、経路D6に示すように、イオナイザ5斜め下方に落下するため、除電エアーとともに容器C内に混入することはない。なお、吹込機構8における管の長さ、管の屈曲角度および管の内径は、イオナイザ5から送出される送風経路、送風強度、容器Cの設置位置などに応じて設定される。また、分析装置1は、管に対し経路A6のいずれかに対応する領域に塵埃落とし用のスリットを設けて、除電エアーとともに上昇した塵埃Dを取り除けるようにしてもよい。
【0060】
このように、分析装置1は、図17に示す吹込機構8を設けることによって、容器開口部の斜め上方から容器内に除電空気を送風して容器内への塵埃の混入の抑制、容器内に収容された液体の蒸発の低減および容器の除電を可能にするとともに、イオナイザ5の設置位置に自由度をもたせることができる。
【0061】
なお、分析装置1は、図18に示すように、イオナイザ5の送風口と同じ内径を有する管を有する吹込機構81を用いて、効率よく除電エアーを誘導してもよい。この場合、分析装置1においては、容器C内に除電エアーを送出するための傾斜経路A7aに対応する領域81aに対し、容器Cの開口面積に対応させて管の内径を小さくして除電エアーが吹付けられる領域を調整してもよい。また、分析装置1は、管に対し経路A6aのいずれかに対応する領域に塵埃落とし用の孔M4を設けてもよい。除電エアーとともに経路A6aにしたがって上昇した塵埃Dは、経路D7に示すように、孔M4を介して吹込機構81から落下するため、除電エアーとともに容器C内に混入することはない。
【0062】
また、分析装置1において、制御部41は、容器内への除電エアーの送風を所定時間内に制御してもよい。具体的に、図19を参照して、制御部41における除電エアーの送風制御処理を説明する。図19は、図2に示す制御部41における除電エアーの送風制御処理の処理手順を示すフローチャートである。図19に示すように、制御部41は、除電エアー吹込位置に除電対象容器が移送されたことを検出したか否かを判断する(ステップS4)。除電対象容器である検体容器21、第1試薬容器32cまたは第2試薬容器33cは、ラック供給コンベア22、ラック搬送コンベア23、第1試薬庫32または第2試薬庫33によって除電エアー吹込位置に移送される。制御部41は、ラック供給コンベア22、ラック搬送コンベア23、第1試薬庫32または第2試薬庫33の移送タイミングをもとに除電エアー吹込位置に除電対象容器が移送されたことを検出する。なお、除電エアー吹込位置に容器検出用のセンサーを設け、制御部41は、このセンサーによる検知によって、除電エアー吹込位置に除電対象容器が移送されたことを検出してもよい。
【0063】
制御部41は、除電エアー吹込位置に除電対象容器が移送されたことを検出するまでステップS4の判断処理を繰り返し、除電エアー吹込位置に除電対象容器が移送されたことを検出したと判断した場合(ステップS4:Yes)、イオナイザ5に対して除電エアーを送風させる(ステップS6)。そして、制御部41は、イオナイザ5による除電エアー送風開始とともに内蔵するタイマーをスタートさせる(ステップS8)。
【0064】
つぎに、制御部41は、タイマーの計時値Tcが除電エアー吹込位置における除電対象容器の移送停止時間Ts以上であるか否かを判断する(ステップS10)。この移送停止時間Tsは、除電対象容器を移送する移送機構、除電対象容器内の液体を吸引する分注ユニットによってそれぞれ固定された値であるほか、移送機構の移送処理および分注ユニットの分注処理の状態によって可変値となる場合がある。
【0065】
制御部41は、タイマーの計時値Tcが除電エアー吹込位置における除電対象容器の移送停止時間Ts以上でないと判断した場合(ステップS10:No)、タイマーの計時値Tcが除電エアー送風許容時間Tm以上であるか否かを判断する(ステップS12)。除電エアー送風許容時間Tmの間、除電エアーを吹き付けることによって、容器の帯電を分析精度が劣化しない程度に除電できるとともに、容器内の液体の蒸発を分析精度劣化に影響しない程度まで低減できる。この除電エアー送風許容時間Tmは、検体容器および試薬容器の開口面積、イオナイザ5における送風強度、各容器の帯電量、各容器内に収容される溶液量などによって決定され、たとえば5秒である。制御部41は、タイマーの計時値Tcが除電エアー送風許容時間Tm以上でないと判断した場合(ステップS12:No)、イオナイザ5からの除電エアー送風を継続させ(ステップS14)、ステップS10に進み、タイマーの計時値Tcが移送停止時間Ts以上であるか否かを判断する。
【0066】
これに対し、制御部41は、タイマーの計時値Tcが除電エアー吹込位置における除電対象容器の移送停止時間Ts以上であると判断した場合(ステップS10:Yes)、または、タイマーの計時値Tcが除電エアー送風許容時間Tm以上であると判断した場合(ステップS12:Yes)、除電対象容器への除電エアーの送風を停止し(ステップS16)、タイマーをリセットする(ステップS18)。そして、制御部41は、除電済容器を除電エアー吹込位置外に移送する(ステップS20)。制御部41は、分析処理が終了したか否かを判断し(ステップS22)、分析処理が終了したと判断した場合(ステップS22:Yes)、除電エアーの送風制御処理を終了する。一方、制御部41は、分析処理が終了していないと判断した場合(ステップS22:No)、ステップS4に進み、次の除電対象容器の検出処理を行なう。
【0067】
このように、分析装置1は、図19に示す処理手順にしたがうことによって、必要な時間だけ除電エアーを容器内に送風するため、溶液の蒸発、容器内への塵埃の混入をさらに低減することができる。
【0068】
なお、制御部41は、図19のステップS14に示す除電エアー送風継続処理において、イオナイザ5の除電エアーの送風量を調整してもよい。たとえば、制御部41は、タイマーの計時値が除電エアー送風許容時間Tmに所定時間で達すると判断した場合には、イオナイザ5の除電エアーの送風量を低下させてもよい。また、たとえば、制御部41は、図19のステップS14に示す除電エアー送風継続処理において、イオナイザ5の除電エアーの送風と停止とを繰り返してもよい。また、たとえば、制御部41は、図19のステップS14に示す除電エアー送風継続処理において、イオナイザ5の除電エアーの送風量を所定風量と所定風量よりも低い低風量とで繰り返し変更してもよい。
【0069】
ここで、制御部41は、ステップS6およびステップS16において、イオナイザ5を直接制御して、イオナイザ5からの除電エアーの送風開始および送風停止を制御している。これに限らず、分析装置1は、除電対象である容器内への除電エアーの送風を遮断できる遮断機構をさらに備え、制御部41は、除電対象である容器内へ除電エアーが所定時間送風された場合、この遮断機構に対して容器内への除電空気の送風を遮断させてもよい。
【0070】
この遮断機構は、たとえば、図20に示すように、除電対象である容器C開口部を覆ってイオナイザ5からの除電エアーを容器C開口部上で遮断ことができるシャッター92と、このシャッター92端部に固定接続し、矢印Y7に示すように、シャッター92を容器C開口面と水平に回転させることができる駆動部91とを有する。制御部41は、駆動部91を制御して、シャッター92による除電エアーの遮断処理を制御する。図19に示すステップS6においては、制御部41は、駆動部91を制御して、図20のシャッター92における破線部に示すように、容器C上部以外の領域にシャッター92を移動させる。この結果、イオナイザ5から送出された除電エアーは、シャッター92に遮られることなく、容器C内に流入できる。また、図19に示すステップS16においては、制御部41は、駆動部91を制御して、図20のシャッター92における実線部に示すように、容器C開口部を塞ぐようにシャッター92を回転させる。この結果、イオナイザ5から送出された除電エアーは、矢印A8に示すように、シャッター92によって遮断され、容器C内に流入することはない。このシャッター92は、イオナイザ5から容器Cまでの間における除電エアーの送風経路上のいずれかで除電エアーを遮断可能であるように設置すればよい。また、図20に示すように、容器開口部直上にイオナイザ5を設置し容器内に除電エアーを送風させた場合であっても、遮断機構によって必要な所定時間だけ除電エアーを容器内に送風できるため、遮断機構を設けない場合と比較して除電対象である溶液の蒸発、容器内への塵埃の混入を低減することができる。このため、分析装置1は、図20に示す遮断機構を設けることによって、イオナイザ5を容器C開口部直上に配置することが可能になり、イオナイザ5の配置位置の自由度を高めることができる。
【0071】
図21を参照して、図20に示す遮断機構を第1試薬容器32cに適用した場合を例示する。この場合、シャッター92は、外蓋304下面における吸引孔32b直上に設けられたイオナイザ5から送風された除電エアーを第1試薬容器32c開口部上で遮断することができるように、第1試薬庫32における吸引孔32bとイオナイザ5との間に設けられる。除電エアー送風停止時には、シャッター92は、駆動部91によって、吸引孔32bを覆うように吸引孔32b上に移動される。この結果、イオナイザ5から送出された除電エアーは、シャッター92によって遮断され、第1試薬容器32c内に流入することはない。また、除電エアー送風時には、シャッター92は、駆動部91によって吸引孔32b上とは異なる位置に移送され、イオナイザ5から送出された除電エアーは、そのまま吸引孔32bを介して第1試薬容器32c内に送風される。
【0072】
また、図22に示すように、分析装置1において、図20に示す遮断機構を図6に示す屋根形状を有する吹込機構に適用した場合、たとえばイオナイザ5と通風口M2との間に、シャッター92が設けられる。シャッター92は、駆動部91によって、矢印Y8に示すように回転することができる。除電エアー送風停止時には、シャッター92は、図22のシャッター92における実線部に示すように、駆動部91によってイオナイザ5の送風口を覆うように吸引孔32b上に回転され、イオナイザ5から送出された除電エアーを遮断する。また、除電エアー送風時には、シャッター92は、図20のシャッター92における破線部に示すように、駆動部91によってイオナイザ5の送風口とは異なる位置に回転され、イオナイザ5から送出された除電エアーは、通風口M2を介して、吹込機構6に誘導されて容器C内に送風される。もちろん、分析装置1は、図13、図17および図18に示す吹込機構7,8,81においても、イオナイザ5から容器Cまでの間における除電エアーの送風経路上のいずれかを遮断できるようにシャッター92を設置し、制御部41による送風処理制御を行ってもよい。
【0073】
また、分析装置1は、イオナイザ5の向き自体を容器内への送風方向または該送風方向と異なる方向に変えて、除電対象である容器への送風処理を制御してもよい。この場合、分析装置1は、図23に示すように、イオナイザ5に接続し、イオナイザ5自体を回転できる駆動部93を備え、制御部41は、除電対象である容器C内へ除電エアーが所定時間送風された場合、駆動部93に対してイオナイザ5を容器C内への送風方向と異なる方向に回転させる。図23に示すように、図19におけるステップS6においては、制御部41は、駆動部93に対して、イオナイザ5を容器C内への送風方向に回転させる。この結果、イオナイザ5から送出された除電エアーは、経路A1にしたがって、容器C内に流入できる。また、図24の矢印Y9に示すように、図19におけるステップS16においては、制御部41は、駆動部93に対して、イオナイザ5を容器C内へ向かう送風方向とは異なる方向に回転させる。この結果、イオナイザ5から送出された除電エアーは、矢印A9に示すように、容器C内へ向かう経路A1とは異なる経路A9にしたがって送風されるため、容器C内に流入することはない。
【0074】
また、分析装置1は、図25および図26に示すように、図13に示す吹込機構7の屋根形状の角度を変更可能である構造にしてもよい。この場合、制御部41は、除電対象である容器C内へ除電エアーが所定時間送風された場合、吹込機構の屋根に対し、吹込機構の屋根の角度を傾斜経路に対応する角度と異なる角度に変更させてもよい。この結果、除電エアーの送風経路が、容器C内へ向かう傾斜経路と異なる経路に変更される。具体的には、図25に示すように、吹込機構73においては、傾斜部73bを構成する平板が、水平部73aを構成する平板の左端面を軸として上下に移動可能なように接続されている。そして、この傾斜部73bは図示しない駆動部によって移動動作を制御される。制御部41は、駆動部を制御し傾斜部73bを上下方向に移動させることによって、吹込機構73の屋根形状の角度を変更可能である。図25の矢印に示すように、図19におけるステップS6においては、制御部41は、駆動部に対して、除電エアーの送風経路A4を傾斜経路A5に変更するための所定の角度θ3をもたせるように、傾斜部73bを容器C側である下方に傾斜させる。この結果、イオナイザ5から送出された除電エアーは、経路A4から経路A5にしたがって、容器C内に流入できる。また、図26の矢印に示すように、図19におけるステップS16においては、制御部41は、駆動部に対して、除電エアーの送風経路の経路変更に寄与しない角度θ5をもたせるように、傾斜部73bを上方に傾斜させる。この結果、イオナイザ5から送出された除電エアーは、矢印A10に示すように、容器C内へ向かう経路A5に変更されず、そのまま経路A10にしたがって送風されるため、容器C内に流入することはない。
【0075】
また、上記実施の形態で説明した分析装置1は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。このコンピュータシステムは、所定の記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することで分析装置の処理動作を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステムの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステムによって読み取り可能なプログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。また、このコンピュータシステムは、ネットワーク回線を介して接続した管理サーバや他のコンピュータシステムからプログラムを取得し、取得したプログラムを実行することで分析装置の処理動作を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、本実施の形態にかかる分析装置の構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す分析装置の要部を模式的に示した図である。
【図3】図2に示す分析装置におけるイオナイザと容器との位置関係を説明する図である。
【図4】従来技術にかかる分析装置におけるイオナイザと容器との位置関係を説明する図である。
【図5】図1に示す検体供給部および測定部の斜視図である。
【図6】図2に示す分析装置におけるイオナイザと容器との位置関係の他の例を説明する図である。
【図7】図2に示すラック搬送コンベア領域の断面を例示した図である。
【図8】図2に示す検体ラックの斜視図の一例を示した図である。
【図9】図2に示すラック搬送コンベア領域の断面の他の例を示した図である。
【図10】図2に示すラック搬送コンベア領域の断面の他の例を示した図である。
【図11】図2に示す第1試薬庫および外蓋の断面を例示した図である。
【図12】図11に示す外蓋における突起部および突起壁の平面形状を説明する図である。
【図13】図2に示す分析装置におけるイオナイザと容器との位置関係の他の例を説明する図である。
【図14】図13に示す吹込機構を適用した検体供給部内部および測定部内部の要部を模式的に示した図である。
【図15】図14に示すラック供給コンベア要部の斜視図である。
【図16】図14に示す第2試薬庫を含む測定部の要部の斜視図である。
【図17】図2に示す分析装置におけるイオナイザと容器との位置関係の他の例を説明する図である。
【図18】図17に示す吹込機構の他の例を説明する図である。
【図19】図1に示す制御部における除電エアーの送風制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】図2に示す分析装置におけるイオナイザと容器との位置関係の他の例を説明する図である。
【図21】図2に示す第1試薬庫および外蓋の断面の他の例を示す図である。
【図22】図2に示す分析装置におけるイオナイザと容器との位置関係の他の例を説明する図である。
【図23】図2に示す分析装置におけるイオナイザと容器との位置関係の他の例を説明する図である。
【図24】図23に示すイオナイザの方向変更を説明する図である。
【図25】図2に示す分析装置におけるイオナイザと容器との位置関係の他の例を説明する図である。
【図26】図25に示すイオナイザの送風方向変更を説明する図である。
【符号の説明】
【0077】
1 分析装置
2 検体供給部
3 測定部
4 処理部
5,5a〜5g イオナイザ
6,7,8,71,721,722,73,81 吹込機構
20 検体ラック
21 検体容器
22 ラック供給コンベア
23 ラック搬送コンベア
24 ラック回収コンベア
25,26,253 蓋
25a 吸引孔
30,301,302,304 外蓋
30a 板
301b 突起部
301c 突起壁
31 反応槽
31a,32a,33a 蓋
31b キュベット
32 第1試薬庫
32b,33b 吸引孔
32c 第1試薬容器
33 第2試薬庫
33c 第2試薬容器
34 検体分注ユニット
34a,35a,36a アーム
35 第1試薬分注ユニット
36 第2試薬分注ユニット
37 第1攪拌ユニット
38 第2攪拌ユニット
39 測光ユニット
40 洗浄ユニット
41 制御部
42 入力部
43 分析部
44 記憶部
45 出力部
61a 屋根
61b 支柱
62 庇
91,93 駆動部
92 シャッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬との反応液を用いて前記検体を分析する分析装置において、
当該分析装置において使用する液体を収容した容器開口部の斜め上方から前記容器内に除電空気を送風する除電機構を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記除電機構は、前記除電空気を送出する除電空気送風機を備えたことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記除電空気送風機は、前記容器開口部の斜め上方であって、前記除電空気とともに送出する塵埃が落下できる距離分前記容器から離れて設置されることを特徴とする請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記除電機構は、前記除電空気送風機から送出された除電空気を前記容器内に誘導する誘導機構を備えたことを特徴とする請求項2に記載の分析装置。
【請求項5】
前記誘導機構は、前記除電空気の送風経路を、前記容器開口部の斜め上方から前記容器内へ通じる経路である傾斜経路に変更するための所定の角度をもたせた屋根形状の構造物を有することを特徴とする請求項4に記載の分析装置。
【請求項6】
前記誘導機構は、前記除電空気の送風経路を、前記容器開口部の斜め上方から前記容器内へ通じる経路である傾斜経路に誘導する管を有することを特徴とする請求項4に記載の分析装置。
【請求項7】
前記容器内への除電空気の送風を所定時間内に制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項8】
前記容器内への除電空気の送風を遮断できる遮断機構をさらに備え、
前記制御手段は、前記容器内へ除電空気が所定時間送風された場合、前記遮断機構に対して前記容器内への除電空気の送風を遮断させることを特徴とする請求項7に記載の分析装置。
【請求項9】
前記除電空気送風機を回転できる駆動機構をさらに備え、
前記制御手段は、前記容器内へ除電空気が所定時間送風された場合、前記駆動機構に対して前記除電空気送風機を前記容器内への送風方向と異なる方向に回転させることを特徴とすることを特徴とする請求項7に記載の分析装置。
【請求項10】
前記屋根形状の構造物は、前記角度を変更可能であり、
前記制御手段は、前記容器内へ除電空気が所定時間送風された場合、前記屋根形状の構造物に対して前記屋根形状の構造物の角度を前記傾斜経路に対応する角度から該傾斜経路に対応する角度と異なる角度に変更させることを特徴とする請求項7に記載の分析装置。
【請求項11】
検体と試薬との反応液を用いて前記検体を分析する分析装置において、
当該分析装置において使用する液体を収容した容器内に除電空気を送風する除電機構と、
前記容器内への除電空気の送風を遮断できる遮断機構と、
前記容器内へ除電空気が所定時間送風された場合、前記遮断機構に対して前記容器内への除電空気の送風を遮断させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−267830(P2008−267830A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−107423(P2007−107423)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】