刺繍データ作成装置
【課題】より簡単に、且つ、より正確に、複数の画像の位置合わせを行うことができる刺繍データ作成装置を提供する。
【解決手段】刺繍の原画パターンの画像データを読み取るスキャナ1と、スキャナ1によって読み取られた画像データに基づく画像を表示する液晶表示部231と、CPU21に当該画像データに基づいて刺繍データを作成させる刺繍データ作成プログラム254と、を備える刺繍データ作成装置100であって、前記対象画像の位置と、前記移動検出手段によって検出される接触体の接触位置とが離れていても、CPU21は、画像移動プログラム251を実行して、タッチパネル232によって検出された入力ペンPなどの接触位置の移動量と向きとに対応させて、液晶表示部231に表示された画像の少なくとも一部からなる所定の対象画像を移動させて表示させるよう構成した。
【解決手段】刺繍の原画パターンの画像データを読み取るスキャナ1と、スキャナ1によって読み取られた画像データに基づく画像を表示する液晶表示部231と、CPU21に当該画像データに基づいて刺繍データを作成させる刺繍データ作成プログラム254と、を備える刺繍データ作成装置100であって、前記対象画像の位置と、前記移動検出手段によって検出される接触体の接触位置とが離れていても、CPU21は、画像移動プログラム251を実行して、タッチパネル232によって検出された入力ペンPなどの接触位置の移動量と向きとに対応させて、液晶表示部231に表示された画像の少なくとも一部からなる所定の対象画像を移動させて表示させるよう構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺繍データ作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
模様を刺繍縫いする刺繍縫いミシンにおいては、予め作成した刺繍データをミシン制御部に読み込ませることによって、自動的に刺繍縫いが行われるようになっている。このような刺繍模様の自動縫製に使用する刺繍データの作成には、従来から、刺繍データ作成装置が用いられている。刺繍データ作成装置は、具体的には、イメージスキャナ(以下、単に「スキャナ」とも言う)などを用いて、刺繍したい模様(パターン)が描かれている原画から、当該模様の画像データを読み取り、当該読み取った画像データを、刺繍模様を縫うための針落ちデータである刺繍データに自動的に変換する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上述に示すような刺繍データ作成装置によって多色縫いの刺繍データを作成する場合には、スキャナなどを用いて、複数枚の原画から、原画に描かれている模様の画像データを、それぞれ読み取る必要がある。具体的には、黒糸で刺繍したい模様が描かれている原画、赤糸で刺繍したい模様が描かれている原画といったように、複数枚の原画に描かれている模様の画像データを順々にスキャナで読み取る必要がある。しかしながら、このような方法で複数の画像データを読み取った場合、当該複数の画像データに基づく複数の画像同士にずれが生じてしまうことが往々にして発生する。そして、画像同士がずれたままの画像データが、刺繍データに変換されると、意図しない刺繍データが作成されることとなる。
そこで、上述のような画像同士のずれは、刺繍データ作成装置に設けられた「矢印」キーを用いて修正している。「矢印」キーには、例えば、「上矢印」キー、「下矢印」キー、「左矢印」キー、「右矢印」キーなどがあり、これらのキーを押圧することにより、ずれている画像を上下左右方向に移動させることができる。
【特許文献1】特開2000−254373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、「矢印」キーを用いた画像のずれの修正は、「矢印」キーを押し続けなければ、長距離の移動ができないという問題がある。また、複数方向に移動させたい場合には、「矢印」キーを押し替える必要があり、操作性が悪いという問題もある。さらに、一回の「矢印」キーの押圧操作に伴って移動する距離は決まっており、正確な位置合わせができないという問題もある。
【0005】
本発明の課題は、より簡単に、且つ、より正確に、複数の画像の位置合わせを行うことができる刺繍データ作成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、刺繍の原画パターンの画像データを読み取る画像データ読取手段と、当該画像データ読取手段によって読み取られた画像データに基づく画像を表示する表示手段と、当該画像データに基づいて刺繍データを作成する刺繍データ作成手段と、を備える刺繍データ作成装置であって、前記表示手段の表示画面に対する接触体の接触位置の移動量と向きを検出する移動検出手段と、前記移動検出手段によって検出された接触体の接触位置の移動量と向きとに対応させて、前記表示手段に表示された前記画像の少なくとも一部からなる所定の対象画像を移動させて表示させる画像移動表示制御手段と、を備え、前記対象画像の位置と、前記移動検出手段によって検出される接触体の接触位置とが離れていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の刺繍データ作成装置であって、前記表示手段に表示された画像から、前記対象画像を指定する画像指定手段を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の刺繍データ作成装置であって、前記画像移動表示制御手段は、前記移動検出手段によって検出された接触位置の移動に追従して前記対象画像を移動させて前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の刺繍データ作成装置であって、前記対象画像の初期位置を記憶する初期位置記憶手段と、前記画像移動表示制御手段により、前記対象画像が移動して前記表示手段に表示された後、所定の初期位置復帰指示の入力に基づいて、前記初期位置記憶手段に記憶された初期位置に、前記対象画像を移動させて表示させる初期位置復帰表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の刺繍データ作成装置であって、前記対象画像を、前記表示手段に拡大表示させるための拡大表示指示を入力するための拡大表示指示入力手段と、前記拡大表示指示入力手段により、前記対象画像を前記表示手段に拡大表示するよう指示された場合に、前記対象画像を拡大して前記表示手段に表示させる画像拡大表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、移動検出手段により、表示手段の表示画面に対する接触体の接触位置の移動量と向きを検出することができ、さらに、画像移動表示制御手段により、移動検出手段によって検出された接触体の接触位置の移動量と向きとに対応させて、表示手段に表示された画像の少なくとも一部からなる所定の対象画像を移動させて表示させることができる。したがって、接触体を操作するオペレータに、オペレータが意図する位置に対象画像が移動するよう、対象画像の移動量と向きを指定させることができる。これにより、正確に、複数の画像の位置合わせを行うことができることとなって、オペレータが意図する期待通りの刺繍データを作成することができる。
また、オペレータが、接触体を表示手段の表示画面に対して接触させたまま移動させるだけで対象画像を移動させることができるので、従来の刺繍データ作成装置のように、「矢印」キーを押し続けなければ、画像の長距離移動ができない、「矢印」キーを押し替えなければ、画像を複数方向に移動させることができないものに比べて、簡単に、複数の画像の位置合わせを行うことができることとなって、操作性のより良い刺繍データ作成装置を提供することができることとなる。
そして、接触体の接触位置の移動量と向きとに対応させて、対象画像を移動させることができるので、従来の刺繍データ作成装置のように、「矢印」キーの押圧操作に伴って画像が移動する距離は決まっているため正確な位置合わせができないなどの問題が解消されることとなる。
さらに、対象画像の位置と、移動検出手段によって検出される接触体の接触位置とが離れていても、画像移動表示制御手段により、移動検出手段によって検出された接触体の接触位置の移動量と向きとに対応させて、表示手段に表示された対象画像を移動させて表示させることができる。したがって、対象画像を移動させる際、対象画像の位置と、接触体の接触位置とが重なることがなくなる。これにより、オペレータは、移動中の対象画像の現在位置などを確認しやすくなることとなって、より簡単に、且つ、より正確に、複数の画像の位置合わせを行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、画像指定手段により、表示手段に表示された画像から、対象画像を指定することができる。したがって、オペレータに、オペレータが対象画像としたい画像のみを、すなわち、オペレータが移動させたい画像のみを、的確に指定させることができることとなって、より正確に、複数の画像の位置合わせを行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、画像移動表示制御手段は、移動検出手段によって検出された接触位置の移動に追従して対象画像を移動させて表示手段に表示させることができる。したがって、オペレータに、移動中の対象画像の現在位置をリアルタイムに知らせることができることとなって、一層簡単に、且つ、一層正確に、複数の画像の位置合わせを行うことができる。
また、接触体の接触位置の移動に追従して対象画像が移動するので、オペレータは、楽しく画像の位置合わせを行うことができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、初期位置記憶手段に対象画像の初期位置を記憶することができ、さらに、画像移動表示制御手段によって当該対象画像が移動して表示手段に表示された後においても、初期位置復帰表示制御手段により、所定の初期位置復帰指示の入力に基づいて、初期位置記憶手段に記憶された初期位置に、当該対象画像を移動させて表示させることができる。したがって、オペレータが意図しない位置に対象画像を移動させてしまった場合や、オペレータが移動させたくない画像を誤って移動させてしまった場合などにおいて、再度、画像データ読取手段によって刺繍の原画パターンの画像データを読み取るなどの手間をかけることなく、改めて、オペレータに、オペレータが意図する位置に対象画像が移動するよう、対象画像の移動量と向きを指定させることができる。これにより、オペレータは、安心して、対象画像を移動させることができることとなって、より簡単に、複数の画像の位置合わせを行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、拡大表示指示入力手段により、対象画像を、表示手段に拡大表示させるための拡大表示指示を入力することができ、さらに、当該拡大表示指示入力手段によって、対象画像を表示手段に拡大表示するよう指示された場合に、画像拡大表示制御手段により、対象画像を拡大して表示手段に表示させることができる。したがって、オペレータに、オペレータが望む時に、対象画像を拡大して表示させるよう指示させることができる。これにより、オペレータは、対象画像の詳細な位置の確認や、画像の位置合わせの微調整などを行うことができることとなって、より一層簡単に、且つ、より一層正確に、複数の画像の位置合わせを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図を参照して、本発明にかかる刺繍データ作成装置の最良の形態を詳細に説明する。
【0017】
[刺繍データ作成装置]
刺繍データ作成装置100は、例えば、図1、2に示すように、刺繍の原画パターンの画像データを読み取る画像データ読取手段としてのスキャナ1と、スキャナ1によって読み取られた画像データを処理する処理装置2と、処理装置2によって作成された刺繍データを記録する記録装置3などを備えて構成される。処理装置2と、スキャナ1、記録装置3とは、電気的に接続されており、各装置間でデータの入出力ができるようになっている。
【0018】
スキャナ1と処理装置2とは、例えば、図1に示すように、収納ケース6に収納されている。収納ケース6の前面部に設けられたカバー部6Aの内側には、記録装置3が備えられており、記録媒体31が着脱自在に装着できるようになっている。
【0019】
スキャナ1は、例えば、図1に示すように、フラットベッドタイプのスキャナである。スキャナ1の上面は、透明なガラス板1Aで形成され、ガラス板1Aは、開閉可能なカバー1B(一部のみを示す)で覆われるようになっている。スキャナ1は、オペレータによって、ガラス板1Aに原画が載せられ、必要に応じてカバー1Bが閉じられた状態で、オペレータの処理装置2に対する指示に伴い処理装置2から入力される信号に従って、当該原画から画像データを読み取る。そして、スキャナ1は、当該読み取った画像データ(以下、「読取画像データ」とも言う)を、ケーブル(図示略)を介して、処理装置2に出力する。
なお、スキャナ1は、フラットベッドタイプではなく、いわゆるハンディタイプのものであっても良い。
【0020】
処理装置2は、例えば、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、操作部23、記憶部24などを備えている。
【0021】
CPU21は、記憶部24に記憶された刺繍データ作成装置100用の各種処理プログラムに従って各種の制御動作を行う。
【0022】
RAM22は、CPU21によって実行される処理プログラムなどを展開するためのプログラム格納領域や、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果などを格納するデータ格納領域などを備える。本発明におけるRAM22は、例えば、スキャナ1によって読み取られた読取画像データなどが、スキャナ1からCPU21へ出力された時点で、当該読取画像データに基づく読取画像の初期位置に関する情報を、初期位置記憶手段としてのデータ格納領域221に一時的に格納するようになっている。
【0023】
操作部23は、液晶表示部231、タッチパネル232、バックライト233などにより構成されている。具体的には、タッチパネル232は、液晶表示部231の上面を覆うように設置されており、バックライト233は、液晶表示部231の下面を覆うように設置されている。操作部23は、例えば、図1に示すように、処理装置2の上面に位置するよう備えられている。
【0024】
液晶表示部231は、CPU21から入力される表示信号に従って所与の表示処理を行う。本発明における液晶表示部231は、例えば、CPU21が、スキャナ1によって読み取られた読取画像データに基づく読取画像を表示する際などに使用され、表示手段として機能する。
【0025】
タッチパネル232は、オペレータによる接触体としての入力ペンPなどを用いた操作によって押圧入力された所望の入力位置(接触位置)を検出し、その検出信号をCPU21に出力する。本発明におけるタッチパネル232は、例えば、液晶表示部231の表示画面に対する入力ペンPなどの接触位置の移動量と向き、すなわち、接触位置の移動のベクトル量を検出し、その検出信号をCPU21に出力する際や、オペレータがCPU21に対して液晶表示部231に表示された画像の少なくとも一部から対象画像を指定する際、オペレータがCPU21に対して液晶表示部231に表示された対象画像を拡大表示或いは縮小表示するよう指示する際などに使用され、移動検出手段、画像指定手段、拡大表示指示入力手段として機能する。
なお、本発明におけるタッチパネル232の入力位置の検出方式は、特に制限はなく、例えば、抵抗膜方式、光学方式、静電容量方式、磁気誘導方式、弾性波方式などが挙げられる。また、接触体として入力ペンPを用いるようにしたが、接触体は、タッチパネル232に、タッチパネル232が検出できるような押圧入力を与えることができるのであれば、特に制限はなく、例えば、指などでも良い。
【0026】
記憶部24は、刺繍データ作成装置100で実行可能なシステムプログラム、当該システムプログラムで実行可能な各種処理プログラム、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータ、CPU21によって演算処理された処理結果のデータなどを記憶する。なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形で記憶部24に記憶されている。具体的には、記憶部24には、刺繍データファイル241、画像移動プログラム251、初期位置復帰プログラム252、画像拡大縮小表示プログラム253、刺繍データ作成プログラム254などが記憶されている。
【0027】
刺繍データファイル241は、CPU21が刺繍データ作成プログラム254を実行することによって作成した刺繍データを記憶している。
【0028】
画像移動プログラム251は、CPU21に、タッチパネル232によって検出された液晶表示部231の表示画面に対する入力ペンPなどの接触位置の移動のベクトル量に対応させて、液晶表示部231に表示された画像の少なくとも一部からなる所定の対象画像Qを移動させて表示させる機能を実現させる。具体的には、液晶表示部231の表示画面上に設置されたタッチパネル232が、オペレータによる入力ペンPなどを用いた液晶表示部231の表示画面に対する接触によって指定された対象画像Qを検出し、次いで、入力ペンPなどの接触位置の移動のベクトル量を検出すると、CPU21は、画像移動プログラム251を実行して、当該接触位置の移動のベクトル量に対応させて、液晶表示部231に表示された対象画像Qを移動させて表示させる。このとき、液晶表示部231に表示された対象画像Qの移動は、接触位置の移動に追従するように設定されている。すなわち、液晶表示部231に表示された対象画像Qの移動の速さは、接触位置の移動の速さとほぼ同じとなるように設定されている。また、液晶表示部231の表示画面に対する入力ペンPなどの接触位置に関係なく、CPU21は、画像移動プログラム251を実行して、接触位置の移動のベクトル量に対応させて、液晶表示部231に表示された対象画像Qを、移動させて表示させるように設定されている。すなわち、液晶表示部231に表示された対象画像Qの位置と、液晶表示部231の表示画面に対する入力ペンPなどの接触位置とが離れている場合であっても、接触位置の移動のベクトル量に対応させて、液晶表示部231に表示された対象画像Qを移動させて表示させる。CPU21は、かかる画像移動プログラム251を実行することによって、画像移動表示制御手段として機能する。
【0029】
初期位置復帰プログラム252は、CPU21に、CPU21が画像移動プログラム251を実行することにより移動した対象画像Qが液晶表示部231に表示された後においても、所定の初期位置復帰指示の入力に基づいて、RAM22内のデータ格納領域221に記憶されている対象画像Qの初期位置に、対象画像Qを移動させて表示させる機能を実現させる。具体的には、CPU21が、画像移動プログラム251を実行することによって、液晶表示部231に表示された対象画像Qを移動させて表示させた後、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、初期位置復帰指示が入力されると、すなわち、初期位置に復帰した対象画像Qを液晶表示部231に表示するよう指示されると、CPU21は、初期位置復帰プログラム252を実行して、データ格納領域221に記憶されている対象画像Qの初期位置を取得する。次に、CPU21は、液晶表示部231に表示された移動後の対象画像Qを、当該取得した初期位置に移動させて表示させる。CPU21は、かかる初期位置復帰プログラム252を実行することによって、初期位置復帰表示制御手段として機能する。
【0030】
画像拡大縮小表示プログラム253は、CPU21に、液晶表示部231に表示された画像を、拡大或いは縮小して表示させる機能を実現させる。具体的には、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、拡大表示指示或いは縮小表示指示が入力されると、すなわち、液晶表示部231に表示された画像を拡大表示或いは縮小表示するよう指示されると、CPU21は、画像拡大縮小表示プログラム253を実行して、液晶表示部231に表示された画像全体を拡大或いは縮小して表示させる。CPU21は、かかる画像拡大縮小表示プログラム253を実行することによって、画像拡大表示制御手段として機能する。
【0031】
刺繍データ作成プログラム254は、CPU21に、画像データに基づいて刺繍データを作成する機能を実現させる。CPU21は、かかる刺繍データ作成プログラム254を実行することによって、刺繍データ作成手段として機能する。
【0032】
記録装置3は、ケーブル(図示略)を介して、処理装置2に接続されており、例えば、処理装置2のCPU21から送信される刺繍データを記録する記録媒体31などを備えている。記録媒体31は、磁気的、光学的記録媒体、若しくは半導体メモリで構成されている。この記録媒体31は、記録装置3に着脱自在に装着されるものである。
【0033】
[刺繍データ作成装置における処理動作説明]
次に、刺繍データ作成装置100における処理について、図を参照して説明する。
まず、刺繍データ作成処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
オペレータによる操作部23のタッチパネル232の所定の操作によって、1枚目の原画から、刺繍の原画パターンの画像データを読み取るよう指示されると、CPU21は、スキャナ1に、1枚目の原画から、刺繍の原画パターンの画像データを読み取らせる(ステップS1)。
次いで、読み取られた読取画像データが、CPU21に出力されると、CPU21は、RAM22内のデータ格納領域221に、刺繍の原画パターンの読取画像データに基づく読取画像の初期位置を記憶させる(ステップS2)。そして、液晶表示部231に、刺繍の原画パターンの読取画像データに基づく読取画像を表示させる(ステップS3)。このとき、液晶表示部231の表示画面上には、例えば、図4に示すような画像が表示される。当該画像は、具体的には、例えば、図4に示すように、第1画像領域Aと、第2画像領域Bとに分割されている。
第1画像領域Aには、具体的には、例えば、1枚目の原画から読み取った刺繍の原画パターンの読取画像データに基づく読取画像として、画像a1が表示されている。
第2画像領域Bには、具体的には、例えば、オペレータが、CPU21に指示を出す際に使用するキーとして、「戻る」キーb1、「読み直し」キーb2、「位置調整」キーb3、「終了」キーb4、「データ作成」キーb5などの画像が表示されている。
【0035】
次に、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、「読み直し」キーb2が押圧されたか否か判断する(ステップS4)。
【0036】
ステップS4において、「読み直し」キーb2が押圧されたと判断すると(ステップS4;Yes)、CPU21は、再度、スキャナ1に、刺繍の原画パターンの画像データを読み取らせる(ステップS1)。
一方、ステップS4において、「読み直し」キーb2が押圧されていないと判断すると(ステップS4;No)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、「位置調整」キーb3が押圧されたか否か判断する(ステップS5)。
【0037】
ステップS5において、「位置調整」キーb3が押圧されていないと判断すると(ステップS5;No)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、「終了」キーb4が押圧されたか否か判断する(ステップS6)。
一方、ステップS5において、「位置調整」キーb3が押圧されたと判断すると(ステップS5;Yes)、CPU21は、後述する位置調整処理(図5)を実行する(ステップS500)。
【0038】
ステップS6において、「終了」キーb4が押圧されていないと判断すると(ステップS6;No)、CPU21は、再度、ステップS4以降の処理を繰り返して行う。
一方、ステップS6において、「終了」キーb4が押圧されたと判断すると(ステップS6;Yes)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、「データ作成」キーb5が押圧されたか否か判断する(ステップS7)。
【0039】
ステップS7において、「データ作成」キーb5が押圧されていないと判断すると(ステップS7;No)、CPU21は、オペレータによる操作部23のタッチパネル232の所定の操作によって、2枚目以降の原画から、新たな刺繍の原画パターンの画像データを読み取るよう指示されたか否か判断する(ステップS8)。
【0040】
ステップS8において、新たな刺繍の原画パターンの画像データを読み取るよう指示されていないと判断すると(ステップS8;No)、CPU21は、再度、ステップS4以降の処理を繰り返して行う。
一方、ステップS8において、新たな刺繍の原画パターンの画像データを読み取るよう指示されたと判断すると(ステップS8;Yes)、CPU21は、スキャナ1に、2枚目以降の原画から、新たな刺繍の原画パターンの画像データを読み取らせ(ステップS9)、ステップS2に移行する。
【0041】
ステップS7において、「データ作成」キーb5が押圧されたと判断すると(ステップS7;Yes)、CPU21は、刺繍データ作成プログラム254を実行して、画像データから、刺繍データを作成し、当該作成した刺繍データを刺繍データファイル241に記憶させ(ステップS10)、本処理を終了する。
【0042】
なお、オペレータによる操作部23のタッチパネル232の所定の操作によって、ステップS10において刺繍データファイル241に記憶させた刺繍データを、記録装置3に備えられた記録媒体31に記録させるよう指示されると、CPU21は、当該刺繍データを刺繍データファイル241から取得し、記録媒体31に記録させる。そして、オペレータによって、記録媒体31が、記録装置3から取り外され、刺繍縫いミシン(図示略)に装着される。そして、当該刺繍データが、記録媒体31から当該刺繍縫いミシンのミシン制御部(図示略)に読み込まれ、当該刺繍縫いミシンにおいて、自動的に刺繍縫いが行われることとなる。
【0043】
次に、位置調整処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0044】
ここで、刺繍データ作成処理(図3参照)のステップS5において、CPU21が、液晶表示部231の表示画面上に表示された図6に示す第2画像領域Bの「位置調整」キーb3が押圧されたと判断したこと(ステップS5;Yes)を前提に、位置調整処理について説明する。図6に示す第1画像領域Aには、具体的には、例えば、スキャナ1が1枚目の原画から読み取った、刺繍の原画パターンの読取画像データに基づく読取画像である画像a1と、スキャナ1が2枚目の原画から読み取った、新たな刺繍の原画パターンの読取画像データに基づく読取画像である画像a2とが表示されている。すなわち、CPU21は、刺繍データ作成処理のステップS9において、スキャナ1が読み取った新たな刺繍の原画パターンの読取画像データに基づく読取画像を、ステップS3において、液晶表示部231に表示させる場合には、その時点までに、液晶表示部231に表示されていた画像に重ね合わせるようにして、新たな刺繍の原画パターンの読取画像データに基づく読取画像を表示させることとする。
ここで、図6に示す第1画像領域Aに表示されている画像a2は、オペレータが意図する位置からずれており、このままの画像データを刺繍データに変換すると、意図しない刺繍データが作成されるものとする。
【0045】
CPU21は、刺繍データ作成処理(図3参照)のステップS5において、図6に示す第2画像領域Bの「位置調整」キーb3が押圧されたと判断すると(ステップS5;Yes)、画像移動プログラム251を実行して、液晶表示部231の表示画面上に、例えば、図7に示すような画像を表示させる(ステップS501)。当該画像の第2画像領域Bには、具体的には、例えば、図7に示すように、「戻る」キーb1、「拡大」キーb31、「縮小」キーb32、「終了」キーb4などの画像が表示されている。また、「終了」キーb4の下には、当該画面上で行える処理(「位置調整」)が表示されている。
【0046】
次に、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、図7に示す第1画像領域Aに表示されている画像の少なくとも一部から、対象画像Qが指定されたか判断する(ステップS502)。対象画像Qの指定は、具体的には、例えば、図8に示すような破線の指定枠rによって、第1画像領域Aに表示されている画像の少なくとも一部を囲むことによって行われる。破線の指定枠rは、具体的には、例えば、オペレータが、入力ペンPなどを用いて第1画像領域Aのタッチパネル232を押圧しながら、入力ペンPなどを移動させると、液晶表示部231に表示されるようになっている。
ここで、CPU21は、破線の指定枠rに囲まれた画像を、対象画像Qとして認識するため、オペレータは、図8に示すように、破線の指定枠rによって、移動させたい画像(例えば、画像a2)を、全て囲むようにすると良い。
【0047】
ステップS502において、対象画像Qが指定されていないと判断すると(ステップS502;No)、CPU21は、ステップS510に移行する。
一方、ステップS502において、対象画像Qが指定されたと判断すると(ステップS502;Yes)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、図8に示す第1画像領域Aのタッチパネル232が押圧されたか否か判断する(ステップS503)。
【0048】
ステップS503において、図8に示す第1画像領域Aのタッチパネル232が押圧されていないと判断すると(ステップS503;No)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、第2画像領域Bの「拡大」キーb31が押圧されたか否かを判断する(ステップS506)。
一方、ステップS503において、図8に示す第1画像領域Aのタッチパネル232が押圧されたと判断すると(ステップS503;Yes)、CPU21は、当該押圧された位置、すなわち、接触位置の移動のベクトル量を演算し(ステップS504)、そして、当該ベクトル量に対応させて、対象画像Qを移動させて表示させる(ステップS505)。
【0049】
そして、CPU21は、第1画像領域Aのタッチパネル232への押圧が停止したと判断するまで、すなわち、第1画像領域Aのタッチパネル232が押圧されなくなったと判断するまで(ステップS503;No)、ステップS503からステップS505までの処理を繰り返して行う。具体的には、例えば、図9に示すように、オペレータが、入力ペンPなどを用いて第1画像領域Aのタッチパネル232を押圧しながら、入力ペンPなどを移動させると、当該移動の速度とほぼ同じ速度で、指定枠rに囲まれた対象画像Qが移動する。そして、入力ペンPなどの移動の軌跡t1の長さ及び向き(ベクトル量)と、対象画像Qの移動の軌跡t2の長さ及び向き(ベクトル量)とは同一となる。
【0050】
ステップS503において、第1画像領域Aのタッチパネル232への押圧が停止したと判断すると、すなわち、第1画像領域Aのタッチパネル232が押圧されなくなったと判断すると(ステップS503;No)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、第2画像領域Bの「拡大」キーb31が押圧されたか否かを判断する(ステップS506)。
【0051】
ステップS506において、「拡大」キーb31が押圧されたと判断すると(ステップS506;Yes)、CPU21は、画像拡大縮小表示プログラム253を実行して、第1画像領域Aに表示された画像全体を、所定の倍率に基づいて拡大して、液晶表示部231の画面上に、例えば、図10に示すような画像を表示する(ステップS507)。そして、CPU21は、再度、ステップS503以降の処理を繰り返して行う。図10に示す画像の第1画像領域Aには、具体的には、例えば、拡大された画像a1と、拡大された指定枠rに囲まれた対象画像Qとが表示されている。さらに、拡大された指定枠rに囲まれた対象画像Qは、第1画像領域Aのほぼ中央に位置するように表示されている。ここで、「拡大」キーb31の押圧は、例えば、より正確に、対象画像Qの位置合わせを行いたい場合に好適である。
一方、ステップS506において、「拡大」キーb31が押圧されていないと判断すると(ステップS506;No)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、「縮小」キーb32が押圧されたか否か判断する(ステップS508)。
【0052】
ステップS508において、「縮小」キーb32が押圧されたと判断すると(ステップS508;Yes)、CPU21は、画像拡大縮小表示プログラム253を実行して、第1画像領域Aに表示された画像全体を、所定の倍率に基づいて縮小して、液晶表示部231に表示する(ステップS509)。そして、CPU21は、再度、ステップS503以降の処理を繰り返して行う。ここで、「縮小」キーb32の押圧は、例えば、拡大表示された画像を、元の大きさに戻したい場合に好適である。
一方、ステップS508において、「縮小」キーb32が押圧されていないと判断すると(ステップS508;No)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、「戻る」キーb1が押圧されたか否か判断する(ステップS510)。
【0053】
ステップS510において、「戻る」キーb1が押圧されたと判断すると(ステップS510;Yes)、CPU21は、初期位置復帰プログラム252を実行して、RAM22内のデータ格納領域221から、対象画像Qの初期位置に関する情報を取得し、当該初期位置に対象画像Qを移動させた画像を、液晶表示部231に表示する(ステップS511)。このとき、液晶表示部231の表示画面上の第1画像領域Aには、具体的には、例えば、対象画像Qが移動する前の画像、すなわち、図8の第1画像領域Aに示す画像と同一の画像が表示される。そして、CPU21は、再度、ステップS502以降の処理を繰り返して行う。
一方、ステップS510において、「戻る」キーb1が押圧されていないと判断すると(ステップS510;No)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、「終了」キーb4が押圧されたか否か判断する(ステップS512)。
【0054】
ステップS512において、「終了」キーb4が押圧されていないと判断すると(ステップS512;No)、CPU21は、再度、ステップS502以降の処理を繰り返して行う。
一方、ステップS512において、「終了」キーb4が押圧されたと判断すると(ステップS512;Yes)、CPU21は、位置調整処理を終了して、液晶表示部231の表示画面上に、例えば、図11に示すような画像を表示させる。当該画像の第1画像領域Aには、具体的には、例えば、図11に示すように、オペレータが意図する位置に、画像a1と、対象画像Qである画像a2とが表示されている。したがって、当該画像の画像データを刺繍データに変換すると、意図する刺繍データが作成されることとなる。また、当該画像の第2画像領域Bには、具体的には、例えば、図4の第2画像領域Bに示す画像と同一の画像が表示されている。
【0055】
以上説明した本発明の刺繍データ作成装置100によれば、タッチパネル232により、液晶表示部231の表示画面に対する入力ペンPなどの接触位置の移動量と向き(接触位置の移動のベクトル量)を検出することができ、さらに、CPU21は、画像移動プログラム251を実行することにより、タッチパネル232によって検出された入力ペンPなどの接触位置の移動量と向き(接触位置の移動のベクトル量)に対応させて、液晶表示部231に表示された画像の少なくとも一部からなる対象画像Qを移動させて表示させることができる。したがって、入力ペンPなどを操作するオペレータに、オペレータが意図する位置に対象画像Qが移動するよう、対象画像Qの移動量と向き(対象画像Qの移動のベクトル量)を指定させることができることとなる。
また、オペレータが、入力ペンPなどを液晶表示部231の表示画面に対して接触させたまま移動させるだけで対象画像Qを移動させることができるので、従来の刺繍データ作成装置のように、「矢印」キーを押し続けなければ、対象画像Qの長距離移動ができない、「矢印」キーを押し替えなければ、対象画像Qを複数方向に移動させることができないものに比べて、操作性のより良い刺繍データ作成装置100を提供することができることとなる。
さらに、入力ペンPなどの接触位置の移動量と向き(接触位置の移動のベクトル量)に対応させて、対象画像Qを移動させることができるので、従来の刺繍データ作成装置のように、「矢印」キーの押圧操作に伴って対象画像Qが移動する距離は決まっているため正確な位置合わせができないなどの問題が解消されることとなる。
【0056】
また、タッチパネル232により、液晶表示部231に表示された画像から、対象画像Qを指定することができる。したがって、オペレータに、オペレータが対象画像Qとしたい画像のみを、すなわち、オペレータが移動させたい画像のみを、的確に指定させることができることとなる。
【0057】
また、CPU21は、画像移動プログラム251を実行することにより、タッチパネル232によって検出された接触位置の移動に追従して対象画像Qを移動させて液晶表示部231に表示させることができる。したがって、オペレータに、移動中の対象画像Qの現在位置をリアルタイムに知らせることができることとなる。
さらに、入力ペンPなどの接触位置の移動に追従して対象画像Qが移動するので、オペレータは、楽しく画像の位置合わせを行うことができる。
【0058】
また、対象画像Qの位置と、タッチパネル232によって検出される入力ペンPなどの接触位置とが離れていても、CPU21は、画像移動プログラム251を実行することにより、タッチパネル232によって検出された入力ペンPなどの接触位置の移動量と向き(接触位置の移動のベクトル量)に対応させて、液晶表示部231に表示された対象画像Qを移動させて表示させることができる。したがって、対象画像Qを移動させる際、対象画像Qの位置と、入力ペンPなどの接触位置とが重なることがなくなり、オペレータは、移動中の対象画像Qの現在位置などを確認しやすくなる。
【0059】
また、データ格納領域221に対象画像Qの初期位置を記憶することができ、さらに、CPU21が画像移動プログラム251を実行することによって対象画像Qが移動して液晶表示部231に表示された後においても、CPU21は、初期位置復帰プログラム252を実行することにより、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって入力された初期位置復帰指示に基づいて、データ格納領域221に記憶された初期位置に、対象画像Qを移動させて表示させることができる。したがって、オペレータが意図しない位置に対象画像Qを移動させてしまった場合や、オペレータが移動させたくない画像を誤って移動させてしまった場合などにおいて、再度、スキャナ1によって刺繍の原画パターンの画像データを読み取るなどの手間をかけることなく、改めて、オペレータに、オペレータが意図する位置に対象画像Qが移動するよう、対象画像Qの移動量と向き(対象画像Qの移動のベクトル量)を指定させることができる。これにより、オペレータは、安心して、対象画像Qを移動させることができることとなる。
【0060】
また、タッチパネル232により、対象画像Qを、液晶表示部231に拡大表示或いは縮小表示させるための拡大表示指示或いは縮小表示指示を入力することができ、さらに、タッチパネル232によって、対象画像Qを液晶表示部231に拡大表示或いは縮小表示するよう指示された場合に、CPU21は、画像拡大縮小表示プログラム253を実行することにより、対象画像Qを拡大或いは縮小して液晶表示部231に表示させることができる。したがって、オペレータに、オペレータが望む時に、対象画像Qを拡大或いは縮小して表示させるよう指示させることができる。これにより、オペレータは、対象画像Qの詳細な位置の確認や、対象画像Qの位置合わせの微調整などを行うことができることとなる。
【0061】
なお、本発明は、上記した実施の形態のものに限るものではない。
例えば、移動検出手段、画像指定手段、拡大表示指示入力手段として、操作部23に、タッチパネル232を備えるようにしたが、処理装置2に、入力部を備えるようにしてもよい。当該入力部は、カーソルキー、文字/数字キー、各種機能キーなどから構成され、オペレータのキー操作に伴う押下信号をCPU21に出力する。また、当該入力部は、マウスなどのポインティングデバイスなど、その他の入力装置を備えるものとしても良い。具体的には、オペレータが、CPU21に対して、「位置調整」や「データ作成」などの刺繍データ作成処理を行うよう指示する場合、画像を「拡大」又は「縮小」して液晶表示部231に表示するよう指示する場合には、例えば、カーソルキー、文字/数字キー、各種機能キー、マウスなどを使用すると良い。また、オペレータが、CPU21に対して、対象画像Qを指定する場合、対象画像Qの移動のベクトル量を指示する場合には、例えば、マウスなどを使用すると良い。
【0062】
オペレータが、対象画像Qを指定する場合においては、入力ペンPなどを用いて、対象画像Qに指定したい画像a2を、指定枠rで囲うようにしたが、CPU21が、画像a2を対象画像Qとして認識することができるのであれば、対象画像Qの指定の仕方は、特に制限は無い。
また、上記実施形態においては、対象画像Qは、オペレータによって指定されることとしたが、液晶表示部231に表示された画像の少なくとも一部からなる画像を対象画像Qとすることができるのであれば、例えば、位置調整処理を行う直前に、スキャナ1により読み取った読取画像データに基づく読取画像を対象画像Qとするようにしても良い。
【0063】
液晶表示部231の第2画像領域Bに表示されるキー画像は、この限りではない。刺繍データの作成に必要な操作に関するキー画像であれば、液晶表示部231の第2画像領域Bに表示するようにしても良い。
【0064】
初期位置を、スキャナ1によって読み取られた読取画像データに基づく読取画像の位置であるとしたが、CPU21が初期位置復帰プログラム252を実行する前の対象画像Qの位置、すなわち、「戻る」キーb1を押圧する時点よりも前の対象画像Qの位置であれば、初期位置は、特に制限は無い。例えば、「戻る」キーb1を押圧する直前に行われた移動において、当該移動前の対象画像Qの位置を初期位置としても良い。この場合、データ格納領域221に、スキャナ1によって読み取られた読取画像データに基づく読取画像の初期位置に関する情報に加えて、さらに、対象画像Qが移動する度に、対象画像Qの移動後の位置に関する情報を記憶させる必要がある。
【0065】
上記実施形態においては、2枚の原画から、それぞれ画像データを読み取り、2枚目の原画から読み取った読取画像データに基づく画像a2を対象画像Qに指定して移動させたが、画像データを読み取る原画の枚数には、制限はない。特に、例えば、複数の模様が描かれた1枚の原画から画像データを読み取り、当該読み取った読取画像データに基づく複数の画像のうちの1つの画像を対象画像Qに指定して移動させるようにしても良い。すなわち、1つの読取画像データに基づく読取画像の配置を、代えることができるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態における刺繍データ作成装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における刺繍データ作成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】刺繍データ作成処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】1枚目の原画から読み取った読取画像データに基づく読取画像と、刺繍データ作成処理におけるキー画像とが表示された画面を示す図である。
【図5】位置調整処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】1枚目及び2枚目の原画から読み取った読取画像データに基づく読取画像と、刺繍データ作成処理におけるキー画像とが表示された画面を示す図である。
【図7】1枚目及び2枚目の原画から読み取った読取画像データに基づく読取画像と、位置調整処理におけるキー画像とが表示された画面を示す図である。
【図8】対象画像が指定された読取画像と、位置調整処理におけるキー画像とが表示された画面を示す図である。
【図9】対象画像が画面上で移動する様子を示す画像と、位置調整処理におけるキー画像とが表示された画面を示す図である。
【図10】拡大された画像と、位置調整処理におけるキー画像とが表示された画面を示す図である。
【図11】対象画像が意図する位置に表示された画像と、刺繍データ作成処理におけるキー画像とが表示された画面を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 スキャナ(画像データ読取手段)
2 処理装置
3 記録装置
21 CPU(画像移動表示制御手段、初期位置復帰表示制御手段、画像拡大表示制御手段、刺繍データ作成手段)
22 RAM
23 操作部
24 記憶部
31 記録媒体
100 刺繍データ作成装置
221 データ格納領域(初期位置記憶手段)
231 液晶表示部(表示手段)
232 タッチパネル(移動検出手段、画像指定手段、拡大表示指示入力手段)
241 刺繍データファイル
251 画像移動プログラム(画像移動表示制御手段)
252 初期位置復帰プログラム(初期位置復帰表示制御手段)
253 画像拡大縮小表示プログラム(画像拡大表示制御手段)
254 刺繍データ作成プログラム(刺繍データ作成手段)
P 入力ペンP(接触体)
Q 対象画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺繍データ作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
模様を刺繍縫いする刺繍縫いミシンにおいては、予め作成した刺繍データをミシン制御部に読み込ませることによって、自動的に刺繍縫いが行われるようになっている。このような刺繍模様の自動縫製に使用する刺繍データの作成には、従来から、刺繍データ作成装置が用いられている。刺繍データ作成装置は、具体的には、イメージスキャナ(以下、単に「スキャナ」とも言う)などを用いて、刺繍したい模様(パターン)が描かれている原画から、当該模様の画像データを読み取り、当該読み取った画像データを、刺繍模様を縫うための針落ちデータである刺繍データに自動的に変換する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上述に示すような刺繍データ作成装置によって多色縫いの刺繍データを作成する場合には、スキャナなどを用いて、複数枚の原画から、原画に描かれている模様の画像データを、それぞれ読み取る必要がある。具体的には、黒糸で刺繍したい模様が描かれている原画、赤糸で刺繍したい模様が描かれている原画といったように、複数枚の原画に描かれている模様の画像データを順々にスキャナで読み取る必要がある。しかしながら、このような方法で複数の画像データを読み取った場合、当該複数の画像データに基づく複数の画像同士にずれが生じてしまうことが往々にして発生する。そして、画像同士がずれたままの画像データが、刺繍データに変換されると、意図しない刺繍データが作成されることとなる。
そこで、上述のような画像同士のずれは、刺繍データ作成装置に設けられた「矢印」キーを用いて修正している。「矢印」キーには、例えば、「上矢印」キー、「下矢印」キー、「左矢印」キー、「右矢印」キーなどがあり、これらのキーを押圧することにより、ずれている画像を上下左右方向に移動させることができる。
【特許文献1】特開2000−254373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、「矢印」キーを用いた画像のずれの修正は、「矢印」キーを押し続けなければ、長距離の移動ができないという問題がある。また、複数方向に移動させたい場合には、「矢印」キーを押し替える必要があり、操作性が悪いという問題もある。さらに、一回の「矢印」キーの押圧操作に伴って移動する距離は決まっており、正確な位置合わせができないという問題もある。
【0005】
本発明の課題は、より簡単に、且つ、より正確に、複数の画像の位置合わせを行うことができる刺繍データ作成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、刺繍の原画パターンの画像データを読み取る画像データ読取手段と、当該画像データ読取手段によって読み取られた画像データに基づく画像を表示する表示手段と、当該画像データに基づいて刺繍データを作成する刺繍データ作成手段と、を備える刺繍データ作成装置であって、前記表示手段の表示画面に対する接触体の接触位置の移動量と向きを検出する移動検出手段と、前記移動検出手段によって検出された接触体の接触位置の移動量と向きとに対応させて、前記表示手段に表示された前記画像の少なくとも一部からなる所定の対象画像を移動させて表示させる画像移動表示制御手段と、を備え、前記対象画像の位置と、前記移動検出手段によって検出される接触体の接触位置とが離れていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の刺繍データ作成装置であって、前記表示手段に表示された画像から、前記対象画像を指定する画像指定手段を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の刺繍データ作成装置であって、前記画像移動表示制御手段は、前記移動検出手段によって検出された接触位置の移動に追従して前記対象画像を移動させて前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の刺繍データ作成装置であって、前記対象画像の初期位置を記憶する初期位置記憶手段と、前記画像移動表示制御手段により、前記対象画像が移動して前記表示手段に表示された後、所定の初期位置復帰指示の入力に基づいて、前記初期位置記憶手段に記憶された初期位置に、前記対象画像を移動させて表示させる初期位置復帰表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の刺繍データ作成装置であって、前記対象画像を、前記表示手段に拡大表示させるための拡大表示指示を入力するための拡大表示指示入力手段と、前記拡大表示指示入力手段により、前記対象画像を前記表示手段に拡大表示するよう指示された場合に、前記対象画像を拡大して前記表示手段に表示させる画像拡大表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、移動検出手段により、表示手段の表示画面に対する接触体の接触位置の移動量と向きを検出することができ、さらに、画像移動表示制御手段により、移動検出手段によって検出された接触体の接触位置の移動量と向きとに対応させて、表示手段に表示された画像の少なくとも一部からなる所定の対象画像を移動させて表示させることができる。したがって、接触体を操作するオペレータに、オペレータが意図する位置に対象画像が移動するよう、対象画像の移動量と向きを指定させることができる。これにより、正確に、複数の画像の位置合わせを行うことができることとなって、オペレータが意図する期待通りの刺繍データを作成することができる。
また、オペレータが、接触体を表示手段の表示画面に対して接触させたまま移動させるだけで対象画像を移動させることができるので、従来の刺繍データ作成装置のように、「矢印」キーを押し続けなければ、画像の長距離移動ができない、「矢印」キーを押し替えなければ、画像を複数方向に移動させることができないものに比べて、簡単に、複数の画像の位置合わせを行うことができることとなって、操作性のより良い刺繍データ作成装置を提供することができることとなる。
そして、接触体の接触位置の移動量と向きとに対応させて、対象画像を移動させることができるので、従来の刺繍データ作成装置のように、「矢印」キーの押圧操作に伴って画像が移動する距離は決まっているため正確な位置合わせができないなどの問題が解消されることとなる。
さらに、対象画像の位置と、移動検出手段によって検出される接触体の接触位置とが離れていても、画像移動表示制御手段により、移動検出手段によって検出された接触体の接触位置の移動量と向きとに対応させて、表示手段に表示された対象画像を移動させて表示させることができる。したがって、対象画像を移動させる際、対象画像の位置と、接触体の接触位置とが重なることがなくなる。これにより、オペレータは、移動中の対象画像の現在位置などを確認しやすくなることとなって、より簡単に、且つ、より正確に、複数の画像の位置合わせを行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、画像指定手段により、表示手段に表示された画像から、対象画像を指定することができる。したがって、オペレータに、オペレータが対象画像としたい画像のみを、すなわち、オペレータが移動させたい画像のみを、的確に指定させることができることとなって、より正確に、複数の画像の位置合わせを行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、画像移動表示制御手段は、移動検出手段によって検出された接触位置の移動に追従して対象画像を移動させて表示手段に表示させることができる。したがって、オペレータに、移動中の対象画像の現在位置をリアルタイムに知らせることができることとなって、一層簡単に、且つ、一層正確に、複数の画像の位置合わせを行うことができる。
また、接触体の接触位置の移動に追従して対象画像が移動するので、オペレータは、楽しく画像の位置合わせを行うことができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、初期位置記憶手段に対象画像の初期位置を記憶することができ、さらに、画像移動表示制御手段によって当該対象画像が移動して表示手段に表示された後においても、初期位置復帰表示制御手段により、所定の初期位置復帰指示の入力に基づいて、初期位置記憶手段に記憶された初期位置に、当該対象画像を移動させて表示させることができる。したがって、オペレータが意図しない位置に対象画像を移動させてしまった場合や、オペレータが移動させたくない画像を誤って移動させてしまった場合などにおいて、再度、画像データ読取手段によって刺繍の原画パターンの画像データを読み取るなどの手間をかけることなく、改めて、オペレータに、オペレータが意図する位置に対象画像が移動するよう、対象画像の移動量と向きを指定させることができる。これにより、オペレータは、安心して、対象画像を移動させることができることとなって、より簡単に、複数の画像の位置合わせを行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、拡大表示指示入力手段により、対象画像を、表示手段に拡大表示させるための拡大表示指示を入力することができ、さらに、当該拡大表示指示入力手段によって、対象画像を表示手段に拡大表示するよう指示された場合に、画像拡大表示制御手段により、対象画像を拡大して表示手段に表示させることができる。したがって、オペレータに、オペレータが望む時に、対象画像を拡大して表示させるよう指示させることができる。これにより、オペレータは、対象画像の詳細な位置の確認や、画像の位置合わせの微調整などを行うことができることとなって、より一層簡単に、且つ、より一層正確に、複数の画像の位置合わせを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図を参照して、本発明にかかる刺繍データ作成装置の最良の形態を詳細に説明する。
【0017】
[刺繍データ作成装置]
刺繍データ作成装置100は、例えば、図1、2に示すように、刺繍の原画パターンの画像データを読み取る画像データ読取手段としてのスキャナ1と、スキャナ1によって読み取られた画像データを処理する処理装置2と、処理装置2によって作成された刺繍データを記録する記録装置3などを備えて構成される。処理装置2と、スキャナ1、記録装置3とは、電気的に接続されており、各装置間でデータの入出力ができるようになっている。
【0018】
スキャナ1と処理装置2とは、例えば、図1に示すように、収納ケース6に収納されている。収納ケース6の前面部に設けられたカバー部6Aの内側には、記録装置3が備えられており、記録媒体31が着脱自在に装着できるようになっている。
【0019】
スキャナ1は、例えば、図1に示すように、フラットベッドタイプのスキャナである。スキャナ1の上面は、透明なガラス板1Aで形成され、ガラス板1Aは、開閉可能なカバー1B(一部のみを示す)で覆われるようになっている。スキャナ1は、オペレータによって、ガラス板1Aに原画が載せられ、必要に応じてカバー1Bが閉じられた状態で、オペレータの処理装置2に対する指示に伴い処理装置2から入力される信号に従って、当該原画から画像データを読み取る。そして、スキャナ1は、当該読み取った画像データ(以下、「読取画像データ」とも言う)を、ケーブル(図示略)を介して、処理装置2に出力する。
なお、スキャナ1は、フラットベッドタイプではなく、いわゆるハンディタイプのものであっても良い。
【0020】
処理装置2は、例えば、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、操作部23、記憶部24などを備えている。
【0021】
CPU21は、記憶部24に記憶された刺繍データ作成装置100用の各種処理プログラムに従って各種の制御動作を行う。
【0022】
RAM22は、CPU21によって実行される処理プログラムなどを展開するためのプログラム格納領域や、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果などを格納するデータ格納領域などを備える。本発明におけるRAM22は、例えば、スキャナ1によって読み取られた読取画像データなどが、スキャナ1からCPU21へ出力された時点で、当該読取画像データに基づく読取画像の初期位置に関する情報を、初期位置記憶手段としてのデータ格納領域221に一時的に格納するようになっている。
【0023】
操作部23は、液晶表示部231、タッチパネル232、バックライト233などにより構成されている。具体的には、タッチパネル232は、液晶表示部231の上面を覆うように設置されており、バックライト233は、液晶表示部231の下面を覆うように設置されている。操作部23は、例えば、図1に示すように、処理装置2の上面に位置するよう備えられている。
【0024】
液晶表示部231は、CPU21から入力される表示信号に従って所与の表示処理を行う。本発明における液晶表示部231は、例えば、CPU21が、スキャナ1によって読み取られた読取画像データに基づく読取画像を表示する際などに使用され、表示手段として機能する。
【0025】
タッチパネル232は、オペレータによる接触体としての入力ペンPなどを用いた操作によって押圧入力された所望の入力位置(接触位置)を検出し、その検出信号をCPU21に出力する。本発明におけるタッチパネル232は、例えば、液晶表示部231の表示画面に対する入力ペンPなどの接触位置の移動量と向き、すなわち、接触位置の移動のベクトル量を検出し、その検出信号をCPU21に出力する際や、オペレータがCPU21に対して液晶表示部231に表示された画像の少なくとも一部から対象画像を指定する際、オペレータがCPU21に対して液晶表示部231に表示された対象画像を拡大表示或いは縮小表示するよう指示する際などに使用され、移動検出手段、画像指定手段、拡大表示指示入力手段として機能する。
なお、本発明におけるタッチパネル232の入力位置の検出方式は、特に制限はなく、例えば、抵抗膜方式、光学方式、静電容量方式、磁気誘導方式、弾性波方式などが挙げられる。また、接触体として入力ペンPを用いるようにしたが、接触体は、タッチパネル232に、タッチパネル232が検出できるような押圧入力を与えることができるのであれば、特に制限はなく、例えば、指などでも良い。
【0026】
記憶部24は、刺繍データ作成装置100で実行可能なシステムプログラム、当該システムプログラムで実行可能な各種処理プログラム、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータ、CPU21によって演算処理された処理結果のデータなどを記憶する。なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形で記憶部24に記憶されている。具体的には、記憶部24には、刺繍データファイル241、画像移動プログラム251、初期位置復帰プログラム252、画像拡大縮小表示プログラム253、刺繍データ作成プログラム254などが記憶されている。
【0027】
刺繍データファイル241は、CPU21が刺繍データ作成プログラム254を実行することによって作成した刺繍データを記憶している。
【0028】
画像移動プログラム251は、CPU21に、タッチパネル232によって検出された液晶表示部231の表示画面に対する入力ペンPなどの接触位置の移動のベクトル量に対応させて、液晶表示部231に表示された画像の少なくとも一部からなる所定の対象画像Qを移動させて表示させる機能を実現させる。具体的には、液晶表示部231の表示画面上に設置されたタッチパネル232が、オペレータによる入力ペンPなどを用いた液晶表示部231の表示画面に対する接触によって指定された対象画像Qを検出し、次いで、入力ペンPなどの接触位置の移動のベクトル量を検出すると、CPU21は、画像移動プログラム251を実行して、当該接触位置の移動のベクトル量に対応させて、液晶表示部231に表示された対象画像Qを移動させて表示させる。このとき、液晶表示部231に表示された対象画像Qの移動は、接触位置の移動に追従するように設定されている。すなわち、液晶表示部231に表示された対象画像Qの移動の速さは、接触位置の移動の速さとほぼ同じとなるように設定されている。また、液晶表示部231の表示画面に対する入力ペンPなどの接触位置に関係なく、CPU21は、画像移動プログラム251を実行して、接触位置の移動のベクトル量に対応させて、液晶表示部231に表示された対象画像Qを、移動させて表示させるように設定されている。すなわち、液晶表示部231に表示された対象画像Qの位置と、液晶表示部231の表示画面に対する入力ペンPなどの接触位置とが離れている場合であっても、接触位置の移動のベクトル量に対応させて、液晶表示部231に表示された対象画像Qを移動させて表示させる。CPU21は、かかる画像移動プログラム251を実行することによって、画像移動表示制御手段として機能する。
【0029】
初期位置復帰プログラム252は、CPU21に、CPU21が画像移動プログラム251を実行することにより移動した対象画像Qが液晶表示部231に表示された後においても、所定の初期位置復帰指示の入力に基づいて、RAM22内のデータ格納領域221に記憶されている対象画像Qの初期位置に、対象画像Qを移動させて表示させる機能を実現させる。具体的には、CPU21が、画像移動プログラム251を実行することによって、液晶表示部231に表示された対象画像Qを移動させて表示させた後、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、初期位置復帰指示が入力されると、すなわち、初期位置に復帰した対象画像Qを液晶表示部231に表示するよう指示されると、CPU21は、初期位置復帰プログラム252を実行して、データ格納領域221に記憶されている対象画像Qの初期位置を取得する。次に、CPU21は、液晶表示部231に表示された移動後の対象画像Qを、当該取得した初期位置に移動させて表示させる。CPU21は、かかる初期位置復帰プログラム252を実行することによって、初期位置復帰表示制御手段として機能する。
【0030】
画像拡大縮小表示プログラム253は、CPU21に、液晶表示部231に表示された画像を、拡大或いは縮小して表示させる機能を実現させる。具体的には、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、拡大表示指示或いは縮小表示指示が入力されると、すなわち、液晶表示部231に表示された画像を拡大表示或いは縮小表示するよう指示されると、CPU21は、画像拡大縮小表示プログラム253を実行して、液晶表示部231に表示された画像全体を拡大或いは縮小して表示させる。CPU21は、かかる画像拡大縮小表示プログラム253を実行することによって、画像拡大表示制御手段として機能する。
【0031】
刺繍データ作成プログラム254は、CPU21に、画像データに基づいて刺繍データを作成する機能を実現させる。CPU21は、かかる刺繍データ作成プログラム254を実行することによって、刺繍データ作成手段として機能する。
【0032】
記録装置3は、ケーブル(図示略)を介して、処理装置2に接続されており、例えば、処理装置2のCPU21から送信される刺繍データを記録する記録媒体31などを備えている。記録媒体31は、磁気的、光学的記録媒体、若しくは半導体メモリで構成されている。この記録媒体31は、記録装置3に着脱自在に装着されるものである。
【0033】
[刺繍データ作成装置における処理動作説明]
次に、刺繍データ作成装置100における処理について、図を参照して説明する。
まず、刺繍データ作成処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
オペレータによる操作部23のタッチパネル232の所定の操作によって、1枚目の原画から、刺繍の原画パターンの画像データを読み取るよう指示されると、CPU21は、スキャナ1に、1枚目の原画から、刺繍の原画パターンの画像データを読み取らせる(ステップS1)。
次いで、読み取られた読取画像データが、CPU21に出力されると、CPU21は、RAM22内のデータ格納領域221に、刺繍の原画パターンの読取画像データに基づく読取画像の初期位置を記憶させる(ステップS2)。そして、液晶表示部231に、刺繍の原画パターンの読取画像データに基づく読取画像を表示させる(ステップS3)。このとき、液晶表示部231の表示画面上には、例えば、図4に示すような画像が表示される。当該画像は、具体的には、例えば、図4に示すように、第1画像領域Aと、第2画像領域Bとに分割されている。
第1画像領域Aには、具体的には、例えば、1枚目の原画から読み取った刺繍の原画パターンの読取画像データに基づく読取画像として、画像a1が表示されている。
第2画像領域Bには、具体的には、例えば、オペレータが、CPU21に指示を出す際に使用するキーとして、「戻る」キーb1、「読み直し」キーb2、「位置調整」キーb3、「終了」キーb4、「データ作成」キーb5などの画像が表示されている。
【0035】
次に、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、「読み直し」キーb2が押圧されたか否か判断する(ステップS4)。
【0036】
ステップS4において、「読み直し」キーb2が押圧されたと判断すると(ステップS4;Yes)、CPU21は、再度、スキャナ1に、刺繍の原画パターンの画像データを読み取らせる(ステップS1)。
一方、ステップS4において、「読み直し」キーb2が押圧されていないと判断すると(ステップS4;No)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、「位置調整」キーb3が押圧されたか否か判断する(ステップS5)。
【0037】
ステップS5において、「位置調整」キーb3が押圧されていないと判断すると(ステップS5;No)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、「終了」キーb4が押圧されたか否か判断する(ステップS6)。
一方、ステップS5において、「位置調整」キーb3が押圧されたと判断すると(ステップS5;Yes)、CPU21は、後述する位置調整処理(図5)を実行する(ステップS500)。
【0038】
ステップS6において、「終了」キーb4が押圧されていないと判断すると(ステップS6;No)、CPU21は、再度、ステップS4以降の処理を繰り返して行う。
一方、ステップS6において、「終了」キーb4が押圧されたと判断すると(ステップS6;Yes)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、「データ作成」キーb5が押圧されたか否か判断する(ステップS7)。
【0039】
ステップS7において、「データ作成」キーb5が押圧されていないと判断すると(ステップS7;No)、CPU21は、オペレータによる操作部23のタッチパネル232の所定の操作によって、2枚目以降の原画から、新たな刺繍の原画パターンの画像データを読み取るよう指示されたか否か判断する(ステップS8)。
【0040】
ステップS8において、新たな刺繍の原画パターンの画像データを読み取るよう指示されていないと判断すると(ステップS8;No)、CPU21は、再度、ステップS4以降の処理を繰り返して行う。
一方、ステップS8において、新たな刺繍の原画パターンの画像データを読み取るよう指示されたと判断すると(ステップS8;Yes)、CPU21は、スキャナ1に、2枚目以降の原画から、新たな刺繍の原画パターンの画像データを読み取らせ(ステップS9)、ステップS2に移行する。
【0041】
ステップS7において、「データ作成」キーb5が押圧されたと判断すると(ステップS7;Yes)、CPU21は、刺繍データ作成プログラム254を実行して、画像データから、刺繍データを作成し、当該作成した刺繍データを刺繍データファイル241に記憶させ(ステップS10)、本処理を終了する。
【0042】
なお、オペレータによる操作部23のタッチパネル232の所定の操作によって、ステップS10において刺繍データファイル241に記憶させた刺繍データを、記録装置3に備えられた記録媒体31に記録させるよう指示されると、CPU21は、当該刺繍データを刺繍データファイル241から取得し、記録媒体31に記録させる。そして、オペレータによって、記録媒体31が、記録装置3から取り外され、刺繍縫いミシン(図示略)に装着される。そして、当該刺繍データが、記録媒体31から当該刺繍縫いミシンのミシン制御部(図示略)に読み込まれ、当該刺繍縫いミシンにおいて、自動的に刺繍縫いが行われることとなる。
【0043】
次に、位置調整処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0044】
ここで、刺繍データ作成処理(図3参照)のステップS5において、CPU21が、液晶表示部231の表示画面上に表示された図6に示す第2画像領域Bの「位置調整」キーb3が押圧されたと判断したこと(ステップS5;Yes)を前提に、位置調整処理について説明する。図6に示す第1画像領域Aには、具体的には、例えば、スキャナ1が1枚目の原画から読み取った、刺繍の原画パターンの読取画像データに基づく読取画像である画像a1と、スキャナ1が2枚目の原画から読み取った、新たな刺繍の原画パターンの読取画像データに基づく読取画像である画像a2とが表示されている。すなわち、CPU21は、刺繍データ作成処理のステップS9において、スキャナ1が読み取った新たな刺繍の原画パターンの読取画像データに基づく読取画像を、ステップS3において、液晶表示部231に表示させる場合には、その時点までに、液晶表示部231に表示されていた画像に重ね合わせるようにして、新たな刺繍の原画パターンの読取画像データに基づく読取画像を表示させることとする。
ここで、図6に示す第1画像領域Aに表示されている画像a2は、オペレータが意図する位置からずれており、このままの画像データを刺繍データに変換すると、意図しない刺繍データが作成されるものとする。
【0045】
CPU21は、刺繍データ作成処理(図3参照)のステップS5において、図6に示す第2画像領域Bの「位置調整」キーb3が押圧されたと判断すると(ステップS5;Yes)、画像移動プログラム251を実行して、液晶表示部231の表示画面上に、例えば、図7に示すような画像を表示させる(ステップS501)。当該画像の第2画像領域Bには、具体的には、例えば、図7に示すように、「戻る」キーb1、「拡大」キーb31、「縮小」キーb32、「終了」キーb4などの画像が表示されている。また、「終了」キーb4の下には、当該画面上で行える処理(「位置調整」)が表示されている。
【0046】
次に、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、図7に示す第1画像領域Aに表示されている画像の少なくとも一部から、対象画像Qが指定されたか判断する(ステップS502)。対象画像Qの指定は、具体的には、例えば、図8に示すような破線の指定枠rによって、第1画像領域Aに表示されている画像の少なくとも一部を囲むことによって行われる。破線の指定枠rは、具体的には、例えば、オペレータが、入力ペンPなどを用いて第1画像領域Aのタッチパネル232を押圧しながら、入力ペンPなどを移動させると、液晶表示部231に表示されるようになっている。
ここで、CPU21は、破線の指定枠rに囲まれた画像を、対象画像Qとして認識するため、オペレータは、図8に示すように、破線の指定枠rによって、移動させたい画像(例えば、画像a2)を、全て囲むようにすると良い。
【0047】
ステップS502において、対象画像Qが指定されていないと判断すると(ステップS502;No)、CPU21は、ステップS510に移行する。
一方、ステップS502において、対象画像Qが指定されたと判断すると(ステップS502;Yes)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、図8に示す第1画像領域Aのタッチパネル232が押圧されたか否か判断する(ステップS503)。
【0048】
ステップS503において、図8に示す第1画像領域Aのタッチパネル232が押圧されていないと判断すると(ステップS503;No)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、第2画像領域Bの「拡大」キーb31が押圧されたか否かを判断する(ステップS506)。
一方、ステップS503において、図8に示す第1画像領域Aのタッチパネル232が押圧されたと判断すると(ステップS503;Yes)、CPU21は、当該押圧された位置、すなわち、接触位置の移動のベクトル量を演算し(ステップS504)、そして、当該ベクトル量に対応させて、対象画像Qを移動させて表示させる(ステップS505)。
【0049】
そして、CPU21は、第1画像領域Aのタッチパネル232への押圧が停止したと判断するまで、すなわち、第1画像領域Aのタッチパネル232が押圧されなくなったと判断するまで(ステップS503;No)、ステップS503からステップS505までの処理を繰り返して行う。具体的には、例えば、図9に示すように、オペレータが、入力ペンPなどを用いて第1画像領域Aのタッチパネル232を押圧しながら、入力ペンPなどを移動させると、当該移動の速度とほぼ同じ速度で、指定枠rに囲まれた対象画像Qが移動する。そして、入力ペンPなどの移動の軌跡t1の長さ及び向き(ベクトル量)と、対象画像Qの移動の軌跡t2の長さ及び向き(ベクトル量)とは同一となる。
【0050】
ステップS503において、第1画像領域Aのタッチパネル232への押圧が停止したと判断すると、すなわち、第1画像領域Aのタッチパネル232が押圧されなくなったと判断すると(ステップS503;No)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、第2画像領域Bの「拡大」キーb31が押圧されたか否かを判断する(ステップS506)。
【0051】
ステップS506において、「拡大」キーb31が押圧されたと判断すると(ステップS506;Yes)、CPU21は、画像拡大縮小表示プログラム253を実行して、第1画像領域Aに表示された画像全体を、所定の倍率に基づいて拡大して、液晶表示部231の画面上に、例えば、図10に示すような画像を表示する(ステップS507)。そして、CPU21は、再度、ステップS503以降の処理を繰り返して行う。図10に示す画像の第1画像領域Aには、具体的には、例えば、拡大された画像a1と、拡大された指定枠rに囲まれた対象画像Qとが表示されている。さらに、拡大された指定枠rに囲まれた対象画像Qは、第1画像領域Aのほぼ中央に位置するように表示されている。ここで、「拡大」キーb31の押圧は、例えば、より正確に、対象画像Qの位置合わせを行いたい場合に好適である。
一方、ステップS506において、「拡大」キーb31が押圧されていないと判断すると(ステップS506;No)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、「縮小」キーb32が押圧されたか否か判断する(ステップS508)。
【0052】
ステップS508において、「縮小」キーb32が押圧されたと判断すると(ステップS508;Yes)、CPU21は、画像拡大縮小表示プログラム253を実行して、第1画像領域Aに表示された画像全体を、所定の倍率に基づいて縮小して、液晶表示部231に表示する(ステップS509)。そして、CPU21は、再度、ステップS503以降の処理を繰り返して行う。ここで、「縮小」キーb32の押圧は、例えば、拡大表示された画像を、元の大きさに戻したい場合に好適である。
一方、ステップS508において、「縮小」キーb32が押圧されていないと判断すると(ステップS508;No)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、「戻る」キーb1が押圧されたか否か判断する(ステップS510)。
【0053】
ステップS510において、「戻る」キーb1が押圧されたと判断すると(ステップS510;Yes)、CPU21は、初期位置復帰プログラム252を実行して、RAM22内のデータ格納領域221から、対象画像Qの初期位置に関する情報を取得し、当該初期位置に対象画像Qを移動させた画像を、液晶表示部231に表示する(ステップS511)。このとき、液晶表示部231の表示画面上の第1画像領域Aには、具体的には、例えば、対象画像Qが移動する前の画像、すなわち、図8の第1画像領域Aに示す画像と同一の画像が表示される。そして、CPU21は、再度、ステップS502以降の処理を繰り返して行う。
一方、ステップS510において、「戻る」キーb1が押圧されていないと判断すると(ステップS510;No)、CPU21は、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって、「終了」キーb4が押圧されたか否か判断する(ステップS512)。
【0054】
ステップS512において、「終了」キーb4が押圧されていないと判断すると(ステップS512;No)、CPU21は、再度、ステップS502以降の処理を繰り返して行う。
一方、ステップS512において、「終了」キーb4が押圧されたと判断すると(ステップS512;Yes)、CPU21は、位置調整処理を終了して、液晶表示部231の表示画面上に、例えば、図11に示すような画像を表示させる。当該画像の第1画像領域Aには、具体的には、例えば、図11に示すように、オペレータが意図する位置に、画像a1と、対象画像Qである画像a2とが表示されている。したがって、当該画像の画像データを刺繍データに変換すると、意図する刺繍データが作成されることとなる。また、当該画像の第2画像領域Bには、具体的には、例えば、図4の第2画像領域Bに示す画像と同一の画像が表示されている。
【0055】
以上説明した本発明の刺繍データ作成装置100によれば、タッチパネル232により、液晶表示部231の表示画面に対する入力ペンPなどの接触位置の移動量と向き(接触位置の移動のベクトル量)を検出することができ、さらに、CPU21は、画像移動プログラム251を実行することにより、タッチパネル232によって検出された入力ペンPなどの接触位置の移動量と向き(接触位置の移動のベクトル量)に対応させて、液晶表示部231に表示された画像の少なくとも一部からなる対象画像Qを移動させて表示させることができる。したがって、入力ペンPなどを操作するオペレータに、オペレータが意図する位置に対象画像Qが移動するよう、対象画像Qの移動量と向き(対象画像Qの移動のベクトル量)を指定させることができることとなる。
また、オペレータが、入力ペンPなどを液晶表示部231の表示画面に対して接触させたまま移動させるだけで対象画像Qを移動させることができるので、従来の刺繍データ作成装置のように、「矢印」キーを押し続けなければ、対象画像Qの長距離移動ができない、「矢印」キーを押し替えなければ、対象画像Qを複数方向に移動させることができないものに比べて、操作性のより良い刺繍データ作成装置100を提供することができることとなる。
さらに、入力ペンPなどの接触位置の移動量と向き(接触位置の移動のベクトル量)に対応させて、対象画像Qを移動させることができるので、従来の刺繍データ作成装置のように、「矢印」キーの押圧操作に伴って対象画像Qが移動する距離は決まっているため正確な位置合わせができないなどの問題が解消されることとなる。
【0056】
また、タッチパネル232により、液晶表示部231に表示された画像から、対象画像Qを指定することができる。したがって、オペレータに、オペレータが対象画像Qとしたい画像のみを、すなわち、オペレータが移動させたい画像のみを、的確に指定させることができることとなる。
【0057】
また、CPU21は、画像移動プログラム251を実行することにより、タッチパネル232によって検出された接触位置の移動に追従して対象画像Qを移動させて液晶表示部231に表示させることができる。したがって、オペレータに、移動中の対象画像Qの現在位置をリアルタイムに知らせることができることとなる。
さらに、入力ペンPなどの接触位置の移動に追従して対象画像Qが移動するので、オペレータは、楽しく画像の位置合わせを行うことができる。
【0058】
また、対象画像Qの位置と、タッチパネル232によって検出される入力ペンPなどの接触位置とが離れていても、CPU21は、画像移動プログラム251を実行することにより、タッチパネル232によって検出された入力ペンPなどの接触位置の移動量と向き(接触位置の移動のベクトル量)に対応させて、液晶表示部231に表示された対象画像Qを移動させて表示させることができる。したがって、対象画像Qを移動させる際、対象画像Qの位置と、入力ペンPなどの接触位置とが重なることがなくなり、オペレータは、移動中の対象画像Qの現在位置などを確認しやすくなる。
【0059】
また、データ格納領域221に対象画像Qの初期位置を記憶することができ、さらに、CPU21が画像移動プログラム251を実行することによって対象画像Qが移動して液晶表示部231に表示された後においても、CPU21は、初期位置復帰プログラム252を実行することにより、オペレータによる入力ペンPなどを用いたタッチパネル232への押圧操作によって入力された初期位置復帰指示に基づいて、データ格納領域221に記憶された初期位置に、対象画像Qを移動させて表示させることができる。したがって、オペレータが意図しない位置に対象画像Qを移動させてしまった場合や、オペレータが移動させたくない画像を誤って移動させてしまった場合などにおいて、再度、スキャナ1によって刺繍の原画パターンの画像データを読み取るなどの手間をかけることなく、改めて、オペレータに、オペレータが意図する位置に対象画像Qが移動するよう、対象画像Qの移動量と向き(対象画像Qの移動のベクトル量)を指定させることができる。これにより、オペレータは、安心して、対象画像Qを移動させることができることとなる。
【0060】
また、タッチパネル232により、対象画像Qを、液晶表示部231に拡大表示或いは縮小表示させるための拡大表示指示或いは縮小表示指示を入力することができ、さらに、タッチパネル232によって、対象画像Qを液晶表示部231に拡大表示或いは縮小表示するよう指示された場合に、CPU21は、画像拡大縮小表示プログラム253を実行することにより、対象画像Qを拡大或いは縮小して液晶表示部231に表示させることができる。したがって、オペレータに、オペレータが望む時に、対象画像Qを拡大或いは縮小して表示させるよう指示させることができる。これにより、オペレータは、対象画像Qの詳細な位置の確認や、対象画像Qの位置合わせの微調整などを行うことができることとなる。
【0061】
なお、本発明は、上記した実施の形態のものに限るものではない。
例えば、移動検出手段、画像指定手段、拡大表示指示入力手段として、操作部23に、タッチパネル232を備えるようにしたが、処理装置2に、入力部を備えるようにしてもよい。当該入力部は、カーソルキー、文字/数字キー、各種機能キーなどから構成され、オペレータのキー操作に伴う押下信号をCPU21に出力する。また、当該入力部は、マウスなどのポインティングデバイスなど、その他の入力装置を備えるものとしても良い。具体的には、オペレータが、CPU21に対して、「位置調整」や「データ作成」などの刺繍データ作成処理を行うよう指示する場合、画像を「拡大」又は「縮小」して液晶表示部231に表示するよう指示する場合には、例えば、カーソルキー、文字/数字キー、各種機能キー、マウスなどを使用すると良い。また、オペレータが、CPU21に対して、対象画像Qを指定する場合、対象画像Qの移動のベクトル量を指示する場合には、例えば、マウスなどを使用すると良い。
【0062】
オペレータが、対象画像Qを指定する場合においては、入力ペンPなどを用いて、対象画像Qに指定したい画像a2を、指定枠rで囲うようにしたが、CPU21が、画像a2を対象画像Qとして認識することができるのであれば、対象画像Qの指定の仕方は、特に制限は無い。
また、上記実施形態においては、対象画像Qは、オペレータによって指定されることとしたが、液晶表示部231に表示された画像の少なくとも一部からなる画像を対象画像Qとすることができるのであれば、例えば、位置調整処理を行う直前に、スキャナ1により読み取った読取画像データに基づく読取画像を対象画像Qとするようにしても良い。
【0063】
液晶表示部231の第2画像領域Bに表示されるキー画像は、この限りではない。刺繍データの作成に必要な操作に関するキー画像であれば、液晶表示部231の第2画像領域Bに表示するようにしても良い。
【0064】
初期位置を、スキャナ1によって読み取られた読取画像データに基づく読取画像の位置であるとしたが、CPU21が初期位置復帰プログラム252を実行する前の対象画像Qの位置、すなわち、「戻る」キーb1を押圧する時点よりも前の対象画像Qの位置であれば、初期位置は、特に制限は無い。例えば、「戻る」キーb1を押圧する直前に行われた移動において、当該移動前の対象画像Qの位置を初期位置としても良い。この場合、データ格納領域221に、スキャナ1によって読み取られた読取画像データに基づく読取画像の初期位置に関する情報に加えて、さらに、対象画像Qが移動する度に、対象画像Qの移動後の位置に関する情報を記憶させる必要がある。
【0065】
上記実施形態においては、2枚の原画から、それぞれ画像データを読み取り、2枚目の原画から読み取った読取画像データに基づく画像a2を対象画像Qに指定して移動させたが、画像データを読み取る原画の枚数には、制限はない。特に、例えば、複数の模様が描かれた1枚の原画から画像データを読み取り、当該読み取った読取画像データに基づく複数の画像のうちの1つの画像を対象画像Qに指定して移動させるようにしても良い。すなわち、1つの読取画像データに基づく読取画像の配置を、代えることができるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態における刺繍データ作成装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における刺繍データ作成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】刺繍データ作成処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】1枚目の原画から読み取った読取画像データに基づく読取画像と、刺繍データ作成処理におけるキー画像とが表示された画面を示す図である。
【図5】位置調整処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】1枚目及び2枚目の原画から読み取った読取画像データに基づく読取画像と、刺繍データ作成処理におけるキー画像とが表示された画面を示す図である。
【図7】1枚目及び2枚目の原画から読み取った読取画像データに基づく読取画像と、位置調整処理におけるキー画像とが表示された画面を示す図である。
【図8】対象画像が指定された読取画像と、位置調整処理におけるキー画像とが表示された画面を示す図である。
【図9】対象画像が画面上で移動する様子を示す画像と、位置調整処理におけるキー画像とが表示された画面を示す図である。
【図10】拡大された画像と、位置調整処理におけるキー画像とが表示された画面を示す図である。
【図11】対象画像が意図する位置に表示された画像と、刺繍データ作成処理におけるキー画像とが表示された画面を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 スキャナ(画像データ読取手段)
2 処理装置
3 記録装置
21 CPU(画像移動表示制御手段、初期位置復帰表示制御手段、画像拡大表示制御手段、刺繍データ作成手段)
22 RAM
23 操作部
24 記憶部
31 記録媒体
100 刺繍データ作成装置
221 データ格納領域(初期位置記憶手段)
231 液晶表示部(表示手段)
232 タッチパネル(移動検出手段、画像指定手段、拡大表示指示入力手段)
241 刺繍データファイル
251 画像移動プログラム(画像移動表示制御手段)
252 初期位置復帰プログラム(初期位置復帰表示制御手段)
253 画像拡大縮小表示プログラム(画像拡大表示制御手段)
254 刺繍データ作成プログラム(刺繍データ作成手段)
P 入力ペンP(接触体)
Q 対象画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺繍の原画パターンの画像データを読み取る画像データ読取手段と、当該画像データ読取手段によって読み取られた画像データに基づく画像を表示する表示手段と、当該画像データに基づいて刺繍データを作成する刺繍データ作成手段と、を備える刺繍データ作成装置であって、
前記表示手段の表示画面に対する接触体の接触位置の移動量と向きを検出する移動検出手段と、
前記移動検出手段によって検出された接触体の接触位置の移動量と向きとに対応させて、前記表示手段に表示された前記画像の少なくとも一部からなる所定の対象画像を移動させて表示させる画像移動表示制御手段と、を備え、
前記対象画像の位置と、前記移動検出手段によって検出される接触体の接触位置とが離れていることを特徴とする刺繍データ作成装置。
【請求項2】
前記表示手段に表示された画像から、前記対象画像を指定する画像指定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の刺繍データ作成装置。
【請求項3】
前記画像移動表示制御手段は、前記移動検出手段によって検出された接触位置の移動に追従して前記対象画像を移動させて前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の刺繍データ作成装置。
【請求項4】
前記対象画像の初期位置を記憶する初期位置記憶手段と、
前記画像移動表示制御手段により、前記対象画像が移動して前記表示手段に表示された後、所定の初期位置復帰指示の入力に基づいて、前記初期位置記憶手段に記憶された初期位置に、前記対象画像を移動させて表示させる初期位置復帰表示制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の刺繍データ作成装置。
【請求項5】
前記対象画像を、前記表示手段に拡大表示させるための拡大表示指示を入力するための拡大表示指示入力手段と、
前記拡大表示指示入力手段により、前記対象画像を前記表示手段に拡大表示するよう指示された場合に、前記対象画像を拡大して前記表示手段に表示させる画像拡大表示制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の刺繍データ作成装置。
【請求項1】
刺繍の原画パターンの画像データを読み取る画像データ読取手段と、当該画像データ読取手段によって読み取られた画像データに基づく画像を表示する表示手段と、当該画像データに基づいて刺繍データを作成する刺繍データ作成手段と、を備える刺繍データ作成装置であって、
前記表示手段の表示画面に対する接触体の接触位置の移動量と向きを検出する移動検出手段と、
前記移動検出手段によって検出された接触体の接触位置の移動量と向きとに対応させて、前記表示手段に表示された前記画像の少なくとも一部からなる所定の対象画像を移動させて表示させる画像移動表示制御手段と、を備え、
前記対象画像の位置と、前記移動検出手段によって検出される接触体の接触位置とが離れていることを特徴とする刺繍データ作成装置。
【請求項2】
前記表示手段に表示された画像から、前記対象画像を指定する画像指定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の刺繍データ作成装置。
【請求項3】
前記画像移動表示制御手段は、前記移動検出手段によって検出された接触位置の移動に追従して前記対象画像を移動させて前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の刺繍データ作成装置。
【請求項4】
前記対象画像の初期位置を記憶する初期位置記憶手段と、
前記画像移動表示制御手段により、前記対象画像が移動して前記表示手段に表示された後、所定の初期位置復帰指示の入力に基づいて、前記初期位置記憶手段に記憶された初期位置に、前記対象画像を移動させて表示させる初期位置復帰表示制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の刺繍データ作成装置。
【請求項5】
前記対象画像を、前記表示手段に拡大表示させるための拡大表示指示を入力するための拡大表示指示入力手段と、
前記拡大表示指示入力手段により、前記対象画像を前記表示手段に拡大表示するよう指示された場合に、前記対象画像を拡大して前記表示手段に表示させる画像拡大表示制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の刺繍データ作成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−122296(P2006−122296A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−313600(P2004−313600)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
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