説明

力検出キーを備える電子デバイス

スイッチ(280)と、第1の力の値を入手するための第1の力検出領域(290)と、第2の力の値を入手するための第2の力検出領域(290)と、スイッチ(280)が作動した場合に、第1の力の値および第2の力の値に基づいて、キー(200)の選択した機能を判定するためのプロセッサとを有する力検出キー(200)を備える電子デバイス。第1の力検出パッド(290)および第2の力検出パッド(290)は、力−電圧応答値を示す部分抵抗材料(250)を使用する。スイッチ(280)をドーム・スイッチ(225)として形成することにより、力検出キー(200)のユーザに対する触覚的なフィードバックが明快なものになる。力検出キー(200)は、アクチュエータ(270)のアーキテクチャを変化させることにより、種々の用途およびユーザの好みに応じて構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、固定電話、移動電話、携帯情報端末(PDA)およびリモート・コントローラのようなデバイス用の小型のキーパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
電話、PDA、リモート・コントローラまたは類似のデバイス用の小型のキーパッドは、通常、デバイスの動作を制御するための12〜20個のキーを有する。キーは、通常、数字キー「0」〜「9」;電話キー「*」および「#」;「メニュー」、「キャンセル」、「カーソル・アップ」、「カーソル・ダウン」、「カーソル右」、「カーソル左」および「選択」のような追加機能用のキーを含む。少なくともいくつかの例の場合、デバイスのサイズは、簡単にアクセスすることができるキーの数に大きな影響を与える。
【0003】
デバイスを通して使用することができる機能の数を増大するために(またはデバイスのサイズを小さくする一方で、一定の数の機能を維持するために)、多くの場合、小型のキーパッド内のいくつかのキーは、デバイスのフィーチャおよび機能の数を増大することができるように、複数の機能および/または意味に関連している。通常、小型のキーパッドは、メッセージングおよび電話帳のような機能のための英数字キーパッドとして機能する。この場合、文字および数字の両方がキーパッドから入力される。
【0004】
1つのキーを複数の英数字に関連づけるために種々のアプローチが使用されてきた。あるタイプのアプローチの場合には、1つのキーが1つのスイッチに関連し、ユーザが必要な文字を入手するためには、少なくともキーを1回押さなければならない(通常は、キーを2回以上押さなければならない)が、例えば、ユーザがキーを押すのを中止し(または他のキーを押して)、現在表示されている文字を選択したことを表示するまで、ユーザは英数字の選択を繰り返して行うために何回も1つのキーを押すことになる。
【0005】
第2のタイプのアプローチの場合には、2つ以上のスイッチが、1つのキーに関連している。場合によっては、これらのマルチスイッチ・キーは、「クラスタ」キーまたは「組合せ」キーと呼ばれる。マルチスイッチ・キーに関連する1つまたは複数のスイッチをほぼ同時に作動すると、どの英数字が必要なのかが表示される。この第2のタイプのアプローチは、英数字をもっと楽に入力することができる。何故なら、ユーザは複数の文字に直接アクセスするのに1つのキーだけを操作すればよいからである。しかし、ユーザは、また、入力ミスを起こしやすくなる。何故なら、所望のスイッチだけにアクセスするためにはキーをかなり正確に押さなければならないし、また、マルチスイッチ・キーの触覚的なフィードバックに慣れていないからである。例えば、大部分のユーザは、スイッチの1つのポプル・ドーム(popple dome)を押した後で、キーを離すが、そのタイミングが、マルチスイッチ・キーの所望の結果を入手するために、ポプル・ドーム・スイッチの正確な組合せが作動する前になる場合がある。このユーザがこのような操作をすると、正しくない文字の入力を変更しなければならないし、ユーザがいらいらすることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
それ故、英数字の直接入力および他の機能の入力を容易にする小型のキーパッドが求められている。小型のキーパッドは、普通の触感を有していることが望ましい。下記の図面および添付の詳細な説明を注意深く見たり読んだりすれば、通常の当業者であれば本発明の種々の態様、機能および利点をよりよく理解することができるだろう。
【0007】
力検出キーを備える電子デバイスは、スイッチ、第1の力の値を得るための第1の力検出領域、第2の力の値を得るための第2の力検出領域、およびスイッチが作動した場合に、第1の力の値および第2の力の値に基づいて、キーパッドの選択した機能を判定するためのプロセッサを有する。第1の力検出領域および第2の力検出領域は、力−電圧応答値を示す部分抵抗材料を使用している。電子デバイス内には他の力検出領域および他の機能も内蔵させることができる。プロセッサは、ユーザの意図する機能選択を判定するためにキーの押下訂正に適合する。スイッチをドーム・スイッチとして形成することにより、力検出キーは、ユーザに明快な触覚的なフィードバックを与える。力検出キーは、力検出キーのアクチュエータ・トポロジーおよびアクチュエータを形成するための材料により、種々の用途およびユーザの好みに合うように構成することができる。
【0008】
図1は、ある実施形態によるキーパッド110を備える電子デバイス100である。図の特定の実施形態の場合には、電子デバイス100は、移動電話のような無線通信デバイスであるが、キーパッド110は、固定電話、携帯情報端末(PDA)、リモート・コントローラ、ラップトップ・コンピュータ、および他のキー付き電子デバイスに容易に適用することができる。キーパッド110は、複数のキー120、130を有する。6つのキー120は、従来のキーである。12のキーは力検出キー130である。この力検出キーについては、図2〜図5のところで詳細に説明する。
【0009】
この実施形態の場合には、各力検出キー130は、通常、広い中央領域および3つの衛星領域を含む三角形をしている。標準電話キーパッドは、最高3つの文字を1つの電話番号0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、*、および#に関連づけている。それ故、キー132のような特定のキーは、数字2を入力する一次機能、および文字A、BまたはCを入力する3つの二次機能を有する。3つの各衛星領域は、一意の文字を入力する3つの二次機能のうちの1つに関連する。各一次機能に対する1つの数字および3つの各二次機能に対する1つの文字のこの割当てを使用して、標準英数字セットを標準電話キーパッドの12のキー全体に割り当てることができる。
【0010】
キーパッド110は、また、キー120、130の少なくともいくつかのアクチュエータ121、170が露出している複数の開口部150を備えるカバー140を有する。露出している接触面は、外部からの力を受けて、その力を中央スイッチおよびアクチュエータ121、170の下に位置する複数の衛星力検出パッドに伝えることができる。
【0011】
電子デバイス100は、キーの押下のようなユーザ入力を解釈し、視覚的なディスプレイ、可聴音の警報または制御信号のようなユーザ出力を供給するプロセッサを含む。プロセッサは、また、特定のキーの押下によりどの機能が作動したのかを判定するためにキーの押下を解釈する。キーの衛星力検出パッドが検出した力により、プロセッサは、キーの押下により、一次機能またはいくつかの可能な二次機能のうちの1つが入力されたのかどうかを判定する。
【0012】
電子デバイスの特定の用途により、いくつかの一次および二次機能を使用することができるようにするために、いくつかのキーおよびキー構成を使用することができる。例えば、キーを楕円形にし、2つの衛星領域を有することもできるし、キーを四角または菱形にして、4つの衛星領域を有することもできる。若干異なる構成にすることにより、非ローマ字化言語の文字セットのようないくつかの文字セットを、図1に示すキーパッド類似のキーパッド上で実施することができる。
【0013】
図2は、第1の実施形態による図1の電子デバイス100の力検出キー200の断面図である。図1のキー130のような力検出キーは、キー200の複数の力検出パッド290に、どれだけ大きな圧力が加えられているのかを測定するために力検出材料を使用する。中央スイッチ280がアクチュエータ270上の外圧によりオンになった場合に、力が測定される。
【0014】
力検出キー200の種々の構成要素は、プリント基板材料のような共通の基板210上に支持されている。他の構造は、金属、プラスチックまたは他の剛体のベースにより支持されている柔軟な基板上にプリント回路を含む。少なくとも1つの実施形態の場合には、共通の基板210は一般的に平面である。
【0015】
中央スイッチ280は、共通の基板210の表面上にスイッチ接点220により形成されている。インタリーブしている導電性トレースは、通常、中央スイッチ接点220のトポグラフィを形成する。それ故、導電性のポプル・ドーム225を導電性トレースに対して押すと、スイッチがオンになる。ドーム225は、うっかりしてキーが押されるのを防止するのを助け、また、キーの押下により中央スイッチ280が作動した場合、触覚的なフィードバックを与える。
【0016】
中央スイッチ280の周囲の衛星力検出パッド290は、インタリーブしている導電性トレースから形成されている衛星力接点230を含む。部分抵抗材料250の層が、スペーサ接着剤により衛星力接点230上に位置する。接点230に対して押しつけるために部分抵抗材料250に力が加わると、衛星力接点230のインタリーブしている導電性トレースの間に、もっと導電性の高い電路が形成される。これにより、部分抵抗材料250に力が加わるにつれて、増大するある電圧の値が発生し、この電圧の値は中央スイッチ280がオンになった場合に測定される。インタリーブしている導電性トレース、圧力または移動センサ、光センサまたは歪み計上に位置する部分容量性材料のような他の材料も、衛星力検出パッド290を形成するために使用することができる。また、力検出パッド290は、容易に入手することができる力検出高分子厚膜デバイスの形で実施することができる。
【0017】
少なくとも1つの実施形態の場合には、キー200は、ユーザに硬いタッチを与える頂部接触面を供給する硬質プラスチック・アクチュエータ270を含み、この硬質プラスチックは、キー押下の力を底部接触面上の中央スイッチ280および衛星力検出パッド290に分散するのを助ける。硬質プラスチック・アクチュエータ270は、また、ユーザに触覚的なフィードバックを与えるために、ポプル・ドームのはっきりしたパチッという感じを与える。アクチュエータ270は、図1のキーパッド110内の複数のアクチュエータと整合していて、これらを支持しているパッド255上に支持されている。パッド255は、シリコンのような柔軟なエラストマー材料からできている。アクチュエータ270は、ドーム225および中央スイッチ接点220の上に位置する中央プランジャ275を生成するように形成されている。それ故、アクチュエータ270の頂部接触面を下方に押すと、底部接触面上の中央プランジャ275が、中央スイッチ接点220に対してドーム225を押し、中央スイッチ280がオンになる。
【0018】
アクチュエータ270の底部接触面は、衛星力検出パッド290の上に位置する衛星プランジャ265を含む。それ故、アクチュエータ270の頂部接触面上の斜めの圧力は、測定することができる衛星力接点230に対してある力を発生する。
【0019】
アクチュエータ270は、カバー240内の開口部245内におよびポプル・ドーム225および衛星力接点230上にアクチュエータ270を位置させるために、周縁部上に形成されているフランジ272を含む。フランジ272は、カバー240内の開口部のサイズおよび形状を越えて少なくとも一部が延びるように構成されている。アクチュエータ270が図1の電子デバイス100内に正しく位置している場合には、アクチュエータ270の一部がカバー240内の開口部を通して露出し、フランジ272はカバー240の背後に位置する。次に、アクチュエータ270上のセンターからずれる力により、最も近い衛星プランジャ265上に力が発生する。それ故、中央スイッチ280がオンになると、選択した衛星力検出パッド290上にかなりの力の値が生じる。
【0020】
検出衛星力検出パッド290を供給する1つの方法として、衛星プランジャ265は、カバー240の下に位置していて、衛星力接点230の大きな部分上に圧力を生じるように設計されている。スイッチ接点トポグラフィおよび衛星力接点230と接触する衛星プランジャ265の領域は、衛星力検出パッド290の感度が最大になるように設計することができる。中央プランジャと衛星プランジャとの距離を増大した場合も、衛星力検出パッドの感度が増大する。
【0021】
図3は、図2の力検出キー200の部分斜視断面図である。硬質プラスチック・アクチュエータ270は、中央プランジャ275および少なくとも1つの衛星プランジャ265を有する。アクチュエータ270は、図2のところですでに説明したフランジ272を含む。
【0022】
中央スイッチは、中央スイッチ接点(図2に示す)上に位置する導電性ポプル・ドーム225を含む。ポプル・ドーム225は、作動中のドームの長い移動距離により触覚的なフィードバックを与える基板210から高く隆起している三角形をしている。このタイプのポプル・ドームも、中央プランジャ275に対して大きな対象領域(「スイート・スポット」)を提供する。アクチュエータ270上に斜めの圧力が予想されるので、いくつかのキー押下方式を使用できるようにするために対象領域が広いと有利である。他のドーム形としては、円形、逆ディンプルを含む円形、4本足、および矩形等がある。
【0023】
衛星プランジャ265は衛星力接点230上に位置する。部分抵抗材料250の層が衛星プランジャ265と衛星力接点230の間に位置する。すでに説明したように、アクチュエータ270上に斜めの圧力が加わると、少なくとも1つの衛星プランジャ265は、部分抵抗材料250の関連する部分および衛星力接点230上に圧力を加える。下向きの圧力が加わると、ポプル・ドーム225がつぶれて中央スイッチ280をオンにする。中央スイッチがオンになると、意図する文字を判定するために、各衛星力接点230上で力が測定される。
【0024】
力検出キーは、その意図する用途により異なるアーキテクチャを有することができる。異なるアクチュエータ材料は、力検出キーの触覚的なフィードバックに影響を与える。プランジャの設置を変えると、中央スイッチおよび衛星力検出パッドの感度が影響を受ける。
【0025】
図4は、第2の実施形態による図1の電子デバイス100の力検出キー400の断面図である。図1のキー130のような力検出キーは、キー400の複数の力検出パッド490に、どれだけ大きな圧力がかかっているのかを測定するために力検出材料を使用する。アクチュエータ470上の外圧により中央スイッチ480がオンになった場合に、力が測定される。
【0026】
アクチュエータ470は、硬質プラスチック材料からできているキー・キャップ471を含み、フランジ472および中央プランジャ475を含む。硬質プラスチック・キー・キャップ471は、ユーザにしっかりしたタッチを与える頂部接触面を有し、硬質プラスチックは、キー押下の力を中央スイッチ480および衛星力検出パッド490に分散するのを助ける。キー・キャップ471は、合成アクチュエータ470の下面を形成しているパッド455に取り付けられる。パッド455は、シリコンのような柔軟な材料から形成される。パッド455は、キー・キャップ471と整合していて、これを支持し、また、柔軟で変形することができる衛星プランジャ465を含むアクチュエータ470に底部接触面を供給する。キー・キャップ471の一部は、カバー440内の開口部445を通して露出していて、一方、フランジ472および中央プランジャ475はカバー440の下に位置する。
【0027】
すでに説明したように、アクチュエータ470の頂部接触面上に下向きの圧力を加えると、アクチュエータ470の底部接触面上の中央プランジャ475がポプル・ドーム425を押し、中央スイッチ接点420がオンになる。アクチュエータ470の頂部接触面上に斜めの圧力が加わると、アクチュエータ470の底部接触面上の少なくとも1つの衛星プランジャ465が、衛星力接点430にもっとしっかりと接触する。衛星プランジャ465にもっと大きな圧力が加わると、衛星プランジャ465が湾曲して、部分抵抗材料450および衛星力接点430に対してより広い圧力領域を供給する。これにより、加えられる力により変化する衛星力検出パッド490からの電圧の値の発生を助ける。
【0028】
キー・キャップ471の周囲に形成されているフランジ472は、アクチュエータ470をカバー440内およびポプル・ドーム425および衛星力接点430上に位置させる。フランジ472の少なくとも一部は、カバー440内の開口部のサイズおよび形状を越えて延びるように構成されている。アクチュエータ470が電子デバイス内に正しく位置している場合には、キー・キャップ471の一部が、カバー440内の開口部を通して露出し、フランジ472はカバー440の背後に位置する。次に、アクチュエータ470上のセンターからずれる力により、最も近い衛星プランジャ465上に力が発生する。それ故、中央スイッチ480がオンになると、選択した衛星力パッド490上にかなりの力の値が生じる。
【0029】
触覚的なフィードバックは、この第2の実施形態による力検出キーの触感より柔らかい。アクチュエータ470の下の柔軟なパッド455は、もっと柔らかい応答を発生し、この応答は、キー・キャップ471の中央プランジャ475を通してポプル・ドーム425の触覚的なフィードバックにも影響を与える。
【0030】
力検出キー400の種々の構成要素は、プリント基板材料のような共通の基板410上に支持されている。他の構造は、金属、プラスチックまたは他の剛体のベースにより支持されている柔軟な基板上にプリント回路を含む。少なくとも1つの実施形態の場合には、共通の基板410は一般的に平面である。
【0031】
中央スイッチ480は、共通の基板410の表面上に、導電性ポプル・ドーム425およびスイッチ接点420により形成されていて、そのためポプル・ドーム425に加えた所定の大きさの外力が加わると、中央スイッチ接点420上にドームをつぶしてスイッチをオンにする。インタリーブしている導電性トレースは、通常、中央スイッチ接点420のトポグラフィを形成する。ドーム425は、うっかりしてキーが押されるのを防止するのを助け、また、キーの押下により中央スイッチ480が作動した場合、触覚的なフィードバックを与える。
【0032】
中央スイッチ480の周囲の衛星力検出領域内の衛星力検出パッド490は、インタリーブしている導電性トレースから形成されている衛星力接点430を含む。部分抵抗材料450の層が、スペーサ接着剤により衛星力接点430上に位置する。接点430に対して押しつけるために部分抵抗材料450に力が加わると、衛星力接点430のインタリーブしている導電性トレース間に電路が形成される。もっと大きな力が加わると、電路の導電性が増大する。これにより、抵抗材料450に力が加わるにつれて、増大するある電圧の値が発生し、この電圧の値は中央スイッチ480がオンになった場合に測定される。インタリーブしている導電性トレース、圧力または移動センサ、光センサまたは歪み計上に位置する部分容量性材料のような他の材料も、衛星力検出パッド490を形成するために使用することができる。力検出パッド490は、また、容易に入手することができる力検出高分子厚膜デバイスの形で実施することができる。
【0033】
図5は、図4の力検出キー400の部分断面図である。アクチュエータ470は、硬質プラスチック・キー・キャップ471および柔軟なパッド455の一部により形成されている。キー・キャップ471は、フランジ472および中央プランジャ475を含む。柔軟なパッド455は、アクチュエータ470の下面を形成し、衛星プランジャ465を含む。この第2の実施形態の衛星プランジャ465は、第1の実施形態の場合より中央プランジャ475に近いことに留意されたい。このことは、特定の実施形態において衛星プランジャと中央プランジャとの相対位置を変えることができることを示している。
【0034】
ポプル・ドーム425は、作動中の大きなドームの移動距離により触覚的なフィードバックを与える基板410から高く隆起している三角形をしている。このタイプのポプル・ドームは、また、中央プランジャ475に対して大きな対象領域(「スイート・スポット」)を供給する。アクチュエータ470上に斜めの圧力が予想されるので、いくつかのキー押下方式を使用できるようにするために対象領域が広いと有利である。他のドーム形としては、円形、逆ディンプルを含む円形、4本足、および矩形等がある。
【0035】
斜めの力がアクチュエータ470に加わると、衛星プランジャ465を形成している柔軟なパッド455の一部が斜めの力により、抵抗材料450の一部を衛星力接点430に押しつける。キー・キャップ471は、少なくとも一部が、図4のカバー440内の開口部のサイズおよび形状を越えて延びるように構成されているフランジ472を含む。
【0036】
アクチュエータ470が電子デバイス内に正しく位置している場合には、キー・キャップ471の一部が、図4のカバー440内の開口部を通して露出し、フランジ472はカバーの背後に位置する。次に、衛星力検出パッド490のうちの少なくとも1つ上の中心からずれる力が、柔軟なパッドの衛星プランジャ465上に力を加える。それ故、中央スイッチがオンになると、選択した衛星力パッド上にかなりの力の値が生じる。
【0037】
検出衛星力検出パッド490を供給する1つの方法として、パッド455が、もっと硬いキー・キャップ471の下に柔軟なエラストマー材料により形成される。パッド455は、衛星力接点430と整合している衛星プランジャ465を含む。それ故、パッド455の衛星プランジャ465にもっと大きな圧力が加わると、衛星プランジャ465は、湾曲して部分抵抗材料450および衛星力接点430に対してもっと広い圧力領域を供給する。これにより、加えられる力により変化する衛星力検出パッド590からの電圧の値の発生を助ける。
【0038】
キー・キャップ471およびパッド455の一部が形成するアクチュエータ470により、ユーザは柔らかな触覚的なフィードバックを感じることができ、衛星力検出パッド490上の力が加わる面積を変化させることができる。
【0039】
これらの実施形態の場合には、図1の力検出キー130の力の値を得るために、3つのアナログ−デジタル変換器しか必要としない。3つのアナログ−デジタル変換器は、衛星力接点の各トリオに並列に結合している。この場合、アナログ−デジタル変換器は、中央スイッチ接点マトリックスにも結合しているプロセッサに結合している。
【0040】
図6は、図2〜図5の力検出キー200、400の動作のフローチャート600である。中央スイッチ接点220、420、および力検出キー200、400の衛星力検出接点230、430と結合しているプロセッサは、キー200、400に対して選択した機能を判定するために、中央スイッチ280、480がオンになると、関連する各衛星力検出パッド290、490の力の値を測定する。
【0041】
ステップ601において、ユーザはドーム225、425がつぶれるほど大きな力でキーを押し、図2〜図5の中央スイッチ280、480をオンにする。ステップ610において、プロセッサは、衛星力検出パッドから力の値を入手し、その力の値をユーザの意図を判定するために使用する。記憶装置615内に格納している種々のアルゴリズムを、ユーザの意図を判定するために使用することができる。例えば、プロセッサは、相対力アルゴリズムまたは絶対力アルゴリズムを使用することができる。
【0042】
サンプル基本相対力アルゴリズムの場合には、3つの各衛星力検出パッドからの力の値がほぼ等しい場合には(例えば、相互の20%以内)、プロセッサはユーザは一次機能を使用したがっていると判定する。ある力の値が他の力の値よりかなり大きい場合には(例えば、20%以上)、プロセッサは、ユーザがもっと大きな値の衛星力検出パッドに関連する二次機能を使用したがっていると判定する。
【0043】
サンプル基本絶対力アルゴリズムの場合には、3つの各衛星力検出パッドからの力の値が、所定のしきい値を超えていない場合には、プロセッサは、ユーザは一次機能を使用したがっていると判定する。力の値が所定のしきい値を超えている場合には、プロセッサは、ユーザは最大の値の衛星力検出パッドに関連する二次機能を使用したがっていると判定する。
【0044】
ステップ620において、各衛星力検出パッドに関連する力の値、および作動したキーのキー識別子が、後の使用のために一時格納レジスタ625内に格納される。
ステップ630において、プロセッサがステップ610において判定した機能が表示される。例えば、プロセッサが、使用したがっている機能が図1の力検出キー132に関連する一次機能であると判定した場合には、数字2が表示される。
【0045】
次に、ユーザは、ステップ640において、ドームがつぶれるほど大きな力で次のキーを押し、中央スイッチをオンにする。ステップ650において、押されたキーがバックスペース・キーかまたは他の誤り訂正キーであるかどうかの判定が行われる。バックスペース・キーは標準キーであり、力検出キーではない。しかし、バックスペース・キーを力検出キーとして実施することができる。押したキーがバックスペース・キーでなかった場合には、意図したキー押下を判定するために、流れはステップ610に戻る。押したキーがバックスペース・キーであった場合には、流れは、ステップ660で他のキーが押されるのを待つ。ステップ670において、押した他のキーが、ステップ601において押したキーと同じ力検出キーでないと判定した場合には、その力の値およびキー識別子が、一時格納レジスタ625内に格納され、プロセッサは、ユーザが最初に間違ったキーを押したものと判定し、ステップ610に戻る。
【0046】
ステップ670において、他の押したキーが一時格納レジスタ625により確立したように、ステップ601において押したキーと同じ力検出キーであると判定した場合には、ステップ680において、プロセッサは訂正した機能を反映するために記憶装置615内のアルゴリズムを更新する。例えば、ユーザは、ある文字を入力しようとして、中心から少しだけずれたあるキーを押す場合がある。ステップ630において表示される機能は、一次機能、すなわち、押した力検出キーに関連するある数字である。一次機能を使用したい二次機能に訂正すると、記憶装置615内のアルゴリズムが、その特定の力検出キーに対する二次機能の入力のしきい値を低減するために更新される。逆に、ユーザがある数字を入力しようとして中心から少しずれたあるキーを押した場合には、最初に押したキーを訂正するプロセスは、また、その力検出キーの一次機能入力の格納しているしきい値を増大する。また、ユーザがある二次機能を同じ力検出キーの他の二次機能で置き換えた場合には、アルゴリズムは、衛星力検出パッドのしきい値を個々に調整する。
【0047】
サンプル基本相対力アルゴリズムの場合には、一次機能または二次機能を意図したのかどうかを判定する衛星力検出パッド間の格納しているしきい値の差の値を調整するために、アルゴリズムが更新される。サンプル基本絶対力アルゴリズムの場合には、一次機能と二次機能とを区別する所定のしきい値を調整するためにアルゴリズムが更新される。もっと高度のアルゴリズムを更新すると、個々の力検出キーの衛星力検出パッド上に異なるレベルの斜めの圧力を加えることができ、左右のキーの押下を最適にすることができ、キー構成要素の老化によるすべての影響を調整することができる。
【0048】
ステップ699において、訂正した機能が表示され、ステップ640に戻る。ステップ640において押した他のキーが、ステップ650において判定したようにバックスペース・キーであった場合には、追加の誤り訂正が行われる。それ故、キー・パッドは、ユーザのキーの押し方を考慮したプロセッサ・アルゴリズムを調整する。流れの動作は継続することもでき、ユーザの初期のトレーニング期間のようなある学習期間、または電子デバイスの主なオペレータがデバイスを操作している期間に限定することもできる。
【0049】
図7は、他の実施形態によるキーパッド710を備える電子デバイス700である。図1の電子デバイス100は、標準電話キーパッド構成に基づいて12の力検出キーを備えていて、2つのキーも文字A、B、Cに関連する。電子デバイス700は、数字キーパッド上に置かれたQWERTYキーボードに基づいて、15の力検出キー730を有する。この他の実施形態の場合には、1つの力検出キーは、最大1つの一次機能(送信、終了、1、2、3、4、5、6、7、8、9、0、*、#)および4つの二次機能を有する。
【0050】
例えば、力検出キー732は、数字5を入力する一次機能および文字G、H、BまたはNを入力する4つの二次機能を有する。この他の実施形態の場合には、数個の力検出キー733、734が、無線通信機能である一次機能を有し、文字入力機能を有さない。
【0051】
キーの間隔を短くし、しかも二次機能選択への適当な感度を持たせるために、1つの衛星力検出パッド791、792、793、794を2つ以上のキーに関連づけることができる。例えば、衛星力検出パッド791は、キー732の中央スイッチが作動した場合、キー732の中央スイッチおよび文字Gを入力する二次機能に関連する。同じ衛星力検出パッド791は、キー739の中央スイッチが作動した場合、文字Tを入力する二次機能に関連する。同様に、衛星力検出パッド792、793、794はそれぞれ4つの関連キーを有する。2つのキーだけが衛星力検出パッド795に関連する。
【0052】
それ故、電子デバイスのキーパッドは、英数字を直接入力し、他の機能を直接入力することができるキーを有し、このキーパッドは、1つのキーの下の1つのポプル・ドームのなじみの触感を有し、このキーパッドは、ユーザのキーの押し方への機能判定アルゴリズムを調整する学習機能を提供する。
【0053】
本発明は、本発明者がその理解を確立し、通常の当業者が本発明を作り使用することができるようにする方法で記載した、現時点で好適であると思われる実施形態および本発明の最善の形態を含んでいるが、本明細書に記載する実施形態には多くの等価物があり、本発明の範囲から逸脱することなしに種々に修正し変更することができることを理解することができるだろう。本発明は、図示の実施形態に限定されずに、本出願の審査中に行ったすべての補正および発行したこれら特許請求の範囲のすべての等価物を含む添付の特許請求の範囲により制限される。
【0054】
また、第1および第2、頂部および底部等のような関係を表す用語を本明細書で使用した場合には、あるエンティティ、品目、または動作を他のエンティティ、品目または動作と区別するために使用しただけであって、このようなエンティティ、品目または動作間の実際のこのような関係または順序は必ずしもそうである必要はなく、またそれを意味するものでないことを理解されたい。本発明の機能の多くおよび本発明の原理の多くは、ソフトウェア・プログラムまたは命令によりまた内で最もよく実施することができる。通常の当業者であれば、例えば、利用することができる時間、現在の技術および経済的考慮を動機とするおそらくかなりの努力および多くの設計の選択を行う必要があっても、本明細書に記載するコンセプトおよび原理を理解すれば、このようなソフトウェア命令およびプログラムを最小の実験で容易に生成することができると考える。それ故、もししたとしても、このようなソフトウェアのさらなる説明は、説明を簡単にするためおよび本発明による原理およびコンセプトが分かりにくくなるのを最低限にとどめるために限定的なものとする。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】ある実施形態によるキーパッドを備える電子デバイス。
【図2】第1の実施形態による図1の電子デバイスの力検出キーの断面図。
【図3】図2の力検出キーの部分断面図。
【図4】第2の実施形態による図1の電子デバイスの力検出キーの断面図。
【図5】図4の力検出キーの部分断面図。
【図6】図2および図4の力検出キーの動作のフローチャート。
【図7】他の実施形態によるキーパッドを備える電子デバイス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーを備える電子デバイスであって、
ポプル・ドームを有するスイッチと、
第1の力の値を入手するための第1の力検出領域と、
第2の力の値を入手するための第2の力検出領域と、
前記スイッチが作動した場合に、前記第1の力の値および前記第2の力の値に基づいて、前記キーの選択した機能を判定するために、前記スイッチ、前記第1の力検出領域および前記第2の力検出領域と結合しているプロセッサとを備える電子デバイス。
【請求項2】
前記第1の力検出領域および前記第2の力検出領域が、
力−電圧応答値を示す部分抵抗材料を含む請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記スイッチが作動した場合に、第3の力の値を入手するための第3の力検出領域をさらに有し、
前記プロセッサが、また、前記第3の力検出領域と結合し、前記スイッチが作動した場合に、前記第1の力の値、前記第2の力の値、および前記第3の力の値に基づいて、前記キーの選択した機能を判定する請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記第1の力の値、前記第2の力の値および前記第3の力の値が、すべて格納しているしきい値の値以下である場合に、前記選択した機能が一次機能である請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記第1の力の値が格納しているしきい値の値を超えた場合に、前記選択した機能が二次機能である請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記選択した機能が、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、*および#からなるグループからの1つの文字を入力する一次機能である請求項5に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記スイッチの上に位置する、少なくとも所定の大きさの圧力を受けた場合に、前記スイッチを作動するためのアクチュエータをさらに備える請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記アクチュエータが、
前記スイッチの上に位置するプランジャを備える請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記ポプル・ドームが、前記プランジャの下に位置する請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記アクチュエータが、
前記第1の力検出領域の上に位置する第1の衛星プランジャと、
前記第2の力検出領域の上に位置する第2の衛星プランジャとを備える請求項7に記載の電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−524945(P2007−524945A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552214(P2006−552214)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/003256
【国際公開番号】WO2005/078938
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(390009597)モトローラ・インコーポレイテッド (649)
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA INCORPORATED
【Fターム(参考)】