説明

動的干渉計を使用した薄膜形成監視方法

【課題】動的干渉計を使用した薄膜形成監視方法の提供。
【解決手段】動的干渉計(dynamic interferometer)を用いた薄膜成長リアルタイム監視方法が開示される。光学監視により成長薄膜スタックの反射係数の時間的位相変化を抽出する。該動的干渉計(dynamic interferometer)は、振動と乱気流の影響を排除し、直接的に成長薄膜スタックの変動位相を検出する方法に使用される。反射率或いは透過率測定と組み合わせて、監視光の垂直入射下でのリアルタイム反射係数が光学アドミタンスと同様に見つけられ、これにより薄膜成長の誤り補償強化に供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜形成の光学監視方法に係り、特に、動的干渉計(dynamic interferometer)を使用した薄膜形成監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学監視方法は一般に光学フィルター製造の優れた方法であると考えられており、高価な光学フィルター製造のために、より精密な光学モニターが必要とされている。
【0003】
薄膜積層において、材料の屈折率は通常変化し、それにより各層の好適な厚さは当初設計において期待されていたものと同じにはならない。このため、各薄膜層の終点は修正される必要がある。
【0004】
しかしながら、周知の監視方法は、分析的にこの問題を解決していない。ほとんどの周知の被覆堆積物のための監視システムでは、透過率と反射率のみが測定される。透過率或いは反射率は、現在の層が監視波長の1/4厚さまで成長すると、局部極値に到達しうる。
【0005】
ほとんどの方法で、極値の折り返し点が、各層の堆積の終点を推定するのに用いられる。偏光解析及びブロードバンドスペクトル監視のような、他の監視方法では、コンピュータアルゴリズムを使用し測定値を調整することで光学定数を得るが、これは測定値は多すぎるパラメータを含み、それらは分析的に解決することが難しいためである。これらのモニターにより堆積を終結させるより明確な規則はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、薄膜堆積の監視方法を提供することにある。新型の偏光干渉計を使用することで、通常堆積薄膜より反射される監視光の位相と等級がリアルタイムで得られ、薄膜の物理特性変化もまた分析的に見いだされる。
【0007】
本発明は、薄膜成長の監視処理のために動的干渉計(dynamic interferometer)を採用する。それは監視と応答誤り補償を行うために、反射係数軌跡或いは等価光学アドミタンス軌跡を提供する。厚さと屈折率の変化もまた、非吸収薄膜に関して知られている。実軸の左交点に近い終点に関しては、piの位相シフトが測定位相に加えられ得て、監視感度を増すために光学アドミタンスが再計算される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、薄膜監視方法において、
薄膜を具えた基板を提供し、
低コヒーレンス長(low coherence length)の光源を具えた動的干渉計(dynamic interferometer)を使用して画素化位相マスク画像検出ユニットを通して該薄膜の反射位相を測定し、
偏光干渉計を利用して該光源からの低コヒーレンス光を分割して直交する第1線形偏光と第2線形偏光となし、
これら二つの線形偏光を基板及び該薄膜に対して垂直方向に入射させ、これら二つの線形偏光を該基板の両面上の二つのインターフェイスで反射させ、
該画素化位相マスク画像検出ユニットにより全ての反射光を受け取り、これらの反射光束間の経路長の差が該低コヒーレンス長(low coherence length)より小さい間、該反射光束が互いに干渉し、
該動的干渉計(dynamic interferometer)に該干渉光を発生させて、干渉強度に対応する反射位相を得、
該薄膜の透過率を測定し、該薄膜の非吸収反射率を計算し、或いは直接に画素化位相マスク画像検出ユニットを使用して該薄膜の反射率を測定し、
異なる時間における該反射位相と該反射率に一致する反射係数を得、
該反射係数に一致する該薄膜の等価アドミタンス(equivalent admittance)を計算し、該等価アドミタンス(equivalent admittance)により該薄膜の厚さと屈折率を計算し、以上のステップを包含することを特徴とする、薄膜監視方法としている。
請求項2の発明は、請求項1記載の薄膜監視方法において、画素化位相マスク画像検出ユニットは、偏光板が結合された画素アレイにアラインされた複屈折結晶アレイを含む光検出器を包含することを特徴とする、薄膜監視方法としている。
請求項3の発明は、請求項1記載の薄膜監視方法において、画素化位相マスク画像検出ユニットは、4分の1波長板が結合された画素アレイにアラインされた偏光板アレイを含む光検出器を包含することを特徴とする、薄膜監視方法としている。
請求項4の発明は、請求項1記載の薄膜監視方法において、該動的干渉計(dynamic interferometer)に該干渉光を発生させて、干渉強度に対応する反射位相を得るステップは、画素化位相マスク画像検出ユニットが全ての反射光を受け取り、異なる位相シフトインターフェログラム(phase shift inteferogram)を生成し、それから該動的干渉計(dynamic interferometer)が該位相シフトインターフェログラム(phase shift inteferogram)により該反射位相を得ることを特徴とする、薄膜監視方法としている。
請求項5の発明は、請求項1記載の薄膜監視方法において、該低コヒーレンス光のコヒーレンス長は該薄膜の総光学厚さより大きく該基板の光学厚さより小さいことを特徴とする、薄膜監視方法としている。
請求項6の発明は、請求項1記載の薄膜監視方法において、該動的干渉計(dynamic interferometer)に該干渉光を発生させて、干渉強度に対応する反射位相を得るステップは、位相シフトアルゴリズムを使用することで該干渉光に一致する反射位相を獲得するために提供されることを特徴とする、薄膜監視方法としている。
請求項7の発明は、請求項1記載の薄膜監視方法において、該動的干渉計(dynamic interferometer)に該干渉光を発生させて、干渉強度に対応する反射位相を得るステップでは、該動的干渉計(dynamic interferometer)が該画素化位相マスク画像検出ユニットを通して該干渉光を検出することを特徴とする、薄膜監視方法としている。
請求項8の発明は、請求項7記載の薄膜監視方法において、該画素化位相マスク画像検出ユニットの画像検出結果は、複数の画素を包含し、該画素は4つの画素が1ユニットと設定され、各ユニットは位相として記録されることを特徴とする、薄膜監視方法としている。
請求項9の発明は、請求項1記載の薄膜監視方法において、基板を通過する反射された該第1線形偏光と反射された該第2線形偏光は、複数の反射光束を形成し、各対の二つの光束が互いに干渉する反射光束対の間の経路差は、二つのミラーの偏光ビームスプリッタまでの経路長の差が基板の光学厚さに等しいとき、コヒーレンス長よりも小さいことを特徴とする、薄膜監視方法としている。
請求項11の発明は、請求項10記載の薄膜監視方法において、各光束対は、偏光板を通過した後に互いに干渉することを特徴とする、薄膜監視方法としている。
請求項12の発明は、請求項10記載の薄膜監視方法において、該基板上に参考反射表面が挿入されて、経路差が、参考表面と基板の背面の間の距離に等しくされ、反射位相、薄膜形成変化を具えた表面輪郭が全ての光束対の干渉により測定及び監視されることを特徴とする、薄膜監視方法としている。
請求項13の発明は、請求項1記載の薄膜監視方法において、薄膜反射係数の監視図を得るために薄膜形成変化の軌跡を形成するために各時間の薄膜係数が記録されることを特徴とする、薄膜監視方法としている。
請求項14の発明は、請求項1記載の薄膜監視方法において、薄膜の等価アドミタンス(equivalent admittance)の監視図を得るために薄膜形成変化の軌跡を形成するために各時間の等価アドミタンス(equivalent admittance)が記録されることを特徴とする、薄膜監視方法としている。
請求項15の発明は、請求項14記載の薄膜監視方法において、該軌跡の左側の成長の終点で監視感度を加えるステップで、反射位相上にpiの位相シフトを加え、対応光学アドミタンスを再計算して監視感度を監視することを特徴とする、薄膜監視方法としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、数値調整を適用するかわりに新規の光学監視システムを提供し、分析的に反射係数、等価光学アドミタンス、屈折率、及び薄膜スタックの厚さを得る。
【0010】
それは監視における、より高い精密度とより正確な誤り補償を提供する。それは、操作者が堆積をより明確に制御するのを助け、堆積の終点の誤判断を減らし、歩留りを改善する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の好ましい実施例による監視装置を示す模式図である。
【図2】本発明の好ましい実施例による画素化位相マスクカメラ上の偏光板分布の模式図である。
【図3】本発明の好ましい実施例による基板内の垂直入射光反射を示す図である。
【図4】本発明の好ましい実施例によるフローチャートである。
【図5】piの位相シフトを反射位相に加え、対応光学アドミタンスを再計算することで、感度が改善されるのを示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は添付の図面に対する詳しい説明により、さらに理解されるが、それは本発明を限定するものではない。
【0013】
本発明は添付の図面を参照してなされる以下の詳しい説明により、明確となるが、そのうち、同じ参照番号は同じ素子に関係する。
【0014】
図1を参照されたい。薄膜監視装置1はコーティング装置12外部に設置され、それはコーティング装置12のコーティングチャンバ100に接続されている。該薄膜監視装置1は光源103、コリメータ104、動的干渉計(dynamic interferometer)10、撮像レンズ115、画素化位相マスクカメラ116、光検出器120、及び処理ユニット122を包含する。
【0015】
該光検出器120はコーティングチャンバ100に配置され、基板14もまたコーティングチャンバ100に配置される。
【0016】
該動的干渉計(dynamic interferometer)10は、好ましくは、Fizeau偏光干渉計101とトワイマン−グリーン干渉計102が結合されたものとされるが、本発明はこの実施例に限定されるわけではない。Fizeau偏光干渉計101はビームスプリッタ113、4分の1波長板114を包含する。該トワイマン−グリーン干渉計102は、偏光板105、偏光ビームスプリッタ(PBS)106、二つの4分の1波長板107、108、二つのミラー109、110を包含する。
【0017】
監視システムはコーティングチャンバ100の外部に設置される。図1に示されるように、画素化位相マスクカメラ116が結合されたFizeau偏光干渉計101が光学位相を抽出するのに用いられる。
【0018】
光は光源103より発射された後、コリメータ104により平行にされる。平行にされた光は偏光板105を通過することができ、それは二つの直交する偏光間の強度比を調整するのに用いられる。
【0019】
該偏光ビームスプリッタ(PBS)106は二つの直交する偏光をトワイマン−グリーン干渉計102の異なるアームに分離する。該二つの4分の1波長板107、108は該偏光ビームスプリッタ(PBS)106の周囲に配置されて、一つのミラー109より反射されたS偏光をP偏光に変換し、もう一つのミラー110から反射されたP偏光をS偏光に、それぞれ変換するように配向される。二つのアームから来る光は、再び結合され、Fizeauキャビティーに至り、それは我々の基板である。
【0020】
我我の場合、試験表面111は薄膜が成長する側に位置し、基板の別側は参考表面112とされる。反射光はビームスプリッタ113により4分の1波長板へと向かう。
【0021】
該カメラの前方の該4分の1波長板114は、干渉計の二つのアームから来る二つの偏光ビームを、二つの直交円偏光状態へと変換する。該4分の1波長板114は薄膜の反射係数位相を、逆余弦形式よりも、むしろ、測定強度の逆正接関数から得られるものとする。それは4分の1波長板のない場合よりも高い感度を提供する。
【0022】
該撮像レンズ115を通った後に、光線はカメラに向かう。該カメラ116はCCDアレイを有し、各画素はその上に偏光板を有しており、図2に示されるようである。試験ビームをφLの位相で左旋円偏光し、参考ビームはφRの位相で右旋円偏光する。さらに、両ビームはx軸に対してα角の方向に配された線形偏光板に入射させられる。
【0023】
該偏光板を通過した後、試験ビームと参考ビームのいずれも、α角に線形偏光され、+αの位相オフセットが試験ビームに加えられ、−αの位相オフセットが参考ビームに加えられる。二つのビームはこうして共線関係となり、以下の一般式(1)に示される強度パターンを与える干渉を形成する。
【数1】

そのうち、Φ(x,y)=φL−φR、IL 及びIR は左旋及び右旋円偏光ビームの強度である。
【0024】
線形偏光板は二つのビームの間の位相シフト装置として働き、位相シフト2αは偏光板の配向角の2倍に等しい。
【0025】
図2に示されるように、該カメラの隣り合う画素は異なる配向偏光板を有する。一つのユニット内に、四つの異なる偏光板201、202、203、204を有し得て、該ユニットはCCDアレイ中に周期的に分布される。該カメラ上に、0°、45°、−45°、90°に四つの異なる偏光板があり、それらは位相シフトアルゴリズムのために、位相シフトされた四つの異なるインターフェログラムを一度に生成する。これらの位相はこれにより位相シフトアルゴリズムにより同時に計算され得る。
【0026】
図3において、光線は空間的に分離され、且つ僅かな傾斜を以て描かれているが、それらは表面に対して垂直であり、監視システムにおいて共線関係にある。キャビティー内の数字は、キャビティーを出る前に各ビームが通過する試験表面反射の数を指す。
【0027】
経路が一致し同タイプの線で描かれた対をなすビームのみが、互いに干渉し、なぜならその光は短いコヒーレンス長を有するためである。もし、我々がトワイマン−グリーン干渉計の一つのアームの翻訳段階を注意深く調整すれば、二つのミラー109、110のPBS106の距離が基板の光学厚さの違いを有するようにできる。試験表面からのS偏光ビームの各連続反射は、追加の試験表面反射を受けたP偏光ビームとコヒーレントである。ほとんど同じ経路長のビーム対のみが観察可能な干渉縞を有し、そのほかは低コヒーレンスゆえに抑制される。
【0028】
S0とP1、及びS1とP2に一致する経路は、同タイプの線で描かれる(たとえば、S0とP1は破線で、S1とP2は点線で描かれる)。測定強度は以下の一般式2で示される。
【数2】

そのうちRrとRtはそれぞれ参考表面と試験表面からの反射率である。φは各干渉ビーム対における二つのビームの間の位相差である。
【0029】
成長薄膜の試験表面からの反射位相は、振動効果を凍結するために、シングルカメラフレームにおける4ステップ位相シフトアルゴリズムにより得られる。
【数3】

そのうち、Φは期待位相である。
【0030】
いくつかのフレームで得られたデータは、乱気流の影響を排除するために平均化されなければならない。
【0031】
光学位相はリアルタイムで計算可能であり、参考表面と試験表面の間の距離、すなわち基板厚さはコーティングプロセス中に同じに維持されるべきであっても、トワイマン−グリーン干渉計の二つのミラーの機械的振動は時間の経過に伴い、異なる傾斜とシフトをもたらし得て、それは参考ビームと試験ビームの間の経路差を変更し、計算された位相結果の正確性に影響を与え得る。
【0032】
基板の試験表面の一部はブロックされ、参考エリアとしてコーティングされずに維持されなければならない。参考エリアと試験薄膜エリアから来る光線は共通経路を通過するため、振動効果は、薄膜形成前の参考エリアと監視エリアの間の位相差を、薄膜形成後のそれから減じることにより、取り消され得る。こうして、薄膜の順反射位相が獲得され得る。
【0033】
伝送される光線の強度変化を受け取る光検出器がコーティング装置の下に配置されている。反射係数の大きさ、反射率の平方根が、さらに得られる。反射率はカメラ及びEq.(2)により測定される。
【0034】
反射の大きさと位相が得られた後、垂直入射光の反射係数がわかり、光学アドミタンスが以下の関係式により計算され得る。
【数4】

そのうち、φ及びθは反射係数の大きさと位相であり、n0は発生手段の屈折率である。
【0035】
他の場合では、発生手段は基板である。ゆえに、n0は基板の屈折率nSと等しい。αとβは以下により与えられる。
【数5】

【0036】
非吸収薄膜では、各瞬間の屈折率及び厚さの変化もまた計算され得る。
【0037】
光学アドミタンスは以下のように記載され得る。
【数6】

αE及びβEは、以前に形成された薄膜の等価光学アドミタンスの実及び虚の部分である。δは新たに形成された薄膜の光学位相厚さであり、nは対応する屈折率である。
【数7】

【数8】

【0038】
我我はn及びδが正である解のセットを選択しなければならない。ゆえに、成長薄膜スタックの各瞬間の反射係数、光学アドミタンス、屈折率、及び正確な厚さに関する完全な情報が、この光学監視システムを通して観察される。
【0039】
反射係数或いは光学アドミタンス軌跡の監視感度は、光学位相厚さの単位ごとに変化し、二部分において分析されるべきであり、なぜなら軌跡は薄膜成長時に二つの直交する方向の両方において移動し、方向は実軸と虚軸に沿った方向である。
【0040】
以下の方程式は光学アドミタンス軌跡の感度を示す。感度X及び感度Yは光学アドミタンスの実と虚の部分をそれぞれ示す。
【数9】

【数10】

そのうちα及びβはそれぞれ以前の薄膜スタックの等価光学アドミタンスの実と虚の部分である。δは光学位相厚さであり、nは薄膜の屈折率である。
【0041】
感度は軌跡の円の左側の成長終点において低い。しかし、図5に示されるように、もし我々が単にpiの位相シフトを反射位相に加え、対応光学アドミタンスを再計算すると、感度は大きく改善され得る。
【0042】
【表1】

【0043】
表1は監視システムとエリプソメータによる測定結果の比較を示す。それらの結果は互いに非常に近い。
【0044】
図4を参照されたい。本発明の監視方法は、リアルタイムで薄膜形成を監視するのに用いられ、薄膜コーティングが終結したか否かは、リアルタイム監視により判断される。
【0045】
ステップS100において、光源103の低コヒーレンス光が偽の干渉縞を抑制するために基板14への照射に用いられる。トワイマン−グリーン干渉計102のミラー109、110が調整されて、二つのアーム間の長さの違いが、基板の光学厚さとなるようされ、特定の光束対のみが位相一致させられ、相互に干渉するものとされる。これにより、薄膜の反射位相計算が容易となる。干渉光をより明確に得るための干渉計の調整方法は周知であるため、ここではこれ以上の説明は行わない。
【0046】
ステップS102において、画素化位相マスクカメラ116からの強度測定に一致する位相計算を行ない、強度測定の位相を解いて、強度測定の傾斜因子と収差を除去し、画素化位相マスクカメラ116よりキャプチャされた15フレーム以上の位相を平均する。いいかえると、干渉ビーム対の間の位相差を解き、位相の傾斜因子と収差を除去し、位相に対する乱気流の影響を除去するために複数のフレームのデータを平均する。
【0047】
ステップS104において、それぞれ開始位相差と開始強度として、コーティングエリアとブロックエリアの強度と位相差を記録する。
【0048】
ステップS106において、薄膜形成を開始する。
【0049】
そして、ステップS108が実行され、ステップS108において、画素化位相マスクカメラ116からの測定の位相を解き、測定の傾斜と収差を除去し、画素化位相マスクカメラ116からの15個以上のフレームを平均する。
【0050】
それから、ステップS110において、薄膜の反射位相を得るために基板のコーティングエリアとブロックエリアの間の透過率と測定位相差を得る。
【0051】
ステップS112では、開始位相差を測定位相差と比較して反射位相変化を得て、測定強度を開始強度と比較する。いいかえると、測定位相差から開始位相差を減じて、成長薄膜の反射位相変化を得る。薄膜の透過率は、測定強度を開始強度と較べることで得られる。
【0052】
それから、ステップS114として、成長薄膜の反射係数或いは光学アドミタンスを計算し、薄膜成長として軌跡を記録する。
【0053】
ステップS116として、軌跡が薄膜形成の終点に至ったか否かをステップS114の結果により判断する。結果がイエスであれば、次にステップS118を実行する。判断結果がノーであれば、次にステップS108を実行して薄膜形成の監視を続ける。
【0054】
最後に、ステップS118として、薄膜形成を終了する。
【0055】
さらに、形成薄膜のリアルタイム屈折率及び厚さが分析的に得られる。それは薄膜素子形成のためのグローバルで精密なモニターを提供する。
【0056】
薄膜が成長するときの反射係数軌跡及び光学アドミタンス軌跡がこうしてこのシステムにおいて監視される。これらの軌跡から、操作者は直接、薄膜形成の透過率或いは反射率軌跡よりも、より良好な誤り補償を見つけることができ、なぜなら、それらは薄膜の強度と位相の両方の情報を含むためである。
【0057】
さらに、光学アドミタンス軌跡監視の感度を増す方法も、本発明において提出されている。
【0058】
以上述べたことは、本発明の実施例にすぎず、本発明の実施の範囲を限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲に基づきなし得る同等の変化と修飾は、いずれも本発明の権利のカバーする範囲内に属するものとする。
【符号の説明】
【0059】
1 薄膜監視装置
10 動的干渉計
100 コーティングチャンバ
101 Fizeau偏光干渉計
102 トワイマン−グリーン干渉計
103 光源
104 コリメータ
105 偏光板
106 偏光ビームスプリッタ(PBS)
107、108 4分の1波長板
109、110 ミラー
115 撮像レンズ
116 画素化位相マスクカメラ
120 光検出器
122 処理ユニット
113 ビームスプリッタ
114 4分の1波長板
12 コーティング装置
14 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜監視方法において、
薄膜を具えた基板を提供し、
低コヒーレンス長の光源を具えた動的干渉計を使用して画素化位相マスク画像検出ユニットを通して該薄膜の反射位相を測定し、
偏光干渉計を利用して該光源からの低コヒーレンス光を分割して直交する第1線形偏光と第2線形偏光となし、
これら二つの線形偏光を基板及び該薄膜に対して垂直方向に入射させ、これら二つの線形偏光を該基板の両面上の二つのインターフェイスで反射させ、
該画素化位相マスク画像検出ユニットにより全ての反射光を受け取り、これらの反射光束間の経路長の差が該低コヒーレンス長より小さい間、該反射光束が互いに干渉し、
該動的干渉計に該干渉光を発生させて、干渉強度に対応する反射位相を得、
該薄膜の透過率を測定し、該薄膜の非吸収反射率を計算し、或いは直接に画素化位相マスク画像検出ユニットを使用して該薄膜の反射率を測定し、
異なる時間における該反射位相と該反射率に一致する反射係数を得、
該反射係数に一致する該薄膜の等価アドミタンスを計算し、
該等価アドミタンスにより該薄膜の厚さと屈折率を計算し、
以上のステップを包含することを特徴とする、薄膜監視方法。
【請求項2】
請求項1記載の薄膜監視方法において、画素化位相マスク画像検出ユニットは、偏光板が結合された画素アレイにアラインされた複屈折結晶アレイを含む光検出器を包含することを特徴とする、薄膜監視方法。
【請求項3】
請求項1記載の薄膜監視方法において、画素化位相マスク画像検出ユニットは、4分の1波長板が結合された画素アレイにアラインされた偏光板アレイを含む光検出器を包含することを特徴とする、薄膜監視方法。
【請求項4】
請求項1記載の薄膜監視方法において、該動的干渉計に該干渉光を発生させて、干渉強度に対応する反射位相を得るステップは、画素化位相マスク画像検出ユニットが全ての反射光を受け取り、異なる位相シフトインターフェログラムを生成し、それから該動的干渉計が該位相シフトインターフェログラムにより該反射位相を得ることを特徴とする、薄膜監視方法。
【請求項5】
請求項1記載の薄膜監視方法において、該低コヒーレンス光のコヒーレンス長は該薄膜の総光学厚さより大きく該基板の光学厚さより小さいことを特徴とする、薄膜監視方法。
【請求項6】
請求項1記載の薄膜監視方法において、該動的干渉計に該干渉光を発生させて、干渉強度に対応する反射位相を得るステップは、位相シフトアルゴリズムを使用することで該干渉光に一致する反射位相を獲得するために提供されることを特徴とする、薄膜監視方法。
【請求項7】
請求項1記載の薄膜監視方法において、該動的干渉計に該干渉光を発生させて、干渉強度に対応する反射位相を得るステップでは、該動的干渉計が該画素化位相マスク画像検出ユニットを通して該干渉光を検出することを特徴とする、薄膜監視方法。
【請求項8】
請求項7記載の薄膜監視方法において、該画素化位相マスク画像検出ユニットの画像検出結果は、複数の画素を包含し、該画素は4つの画素が1ユニットと設定され、各ユニットは位相として記録されることを特徴とする、薄膜監視方法。
【請求項9】
請求項1記載の薄膜監視方法において、基板を通過する反射された該第1線形偏光と反射された該第2線形偏光は、複数の反射光束を形成し、各対の二つの光束が互いに干渉する反射光束対の間の経路差は、二つのミラーの偏光ビームスプリッタまでの経路長の差が基板の光学厚さに等しいとき、コヒーレンス長よりも小さいことを特徴とする、薄膜監視方法。
【請求項11】
請求項10記載の薄膜監視方法において、各光束対は、偏光板を通過した後に互いに干渉することを特徴とする、薄膜監視方法。
【請求項12】
請求項10記載の薄膜監視方法において、該基板上に参考反射表面が挿入されて、経路差が、参考表面と基板の背面の間の距離に等しくされ、反射位相、薄膜形成変化を具えた表面輪郭が全ての光束対の干渉により測定及び監視されることを特徴とする、薄膜監視方法。
【請求項13】
請求項1記載の薄膜監視方法において、薄膜反射係数の監視図を得るために薄膜形成変化の軌跡を形成するために各時間の薄膜係数が記録されることを特徴とする、薄膜監視方法。
【請求項14】
請求項1記載の薄膜監視方法において、薄膜の等価アドミタンスの監視図を得るために薄膜形成変化の軌跡を形成するために各時間の等価アドミタンスが記録されることを特徴とする、薄膜監視方法。
【請求項15】
請求項14記載の薄膜監視方法において、該軌跡の左側の成長の終点で監視感度を加えるステップで、反射位相上にpiの位相シフトを加え、対応光学アドミタンスを再計算して監視感度を監視することを特徴とする、薄膜監視方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−141134(P2012−141134A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−271804(P2010−271804)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(504007741)國立中央大學 (28)
【Fターム(参考)】