説明

包装体および包装装置

【課題】平坦形状の被包装物を1枚の樹脂フィルムシートで包み、樹脂フィルムシートの側端同士が重なった折り合わせ部を熱溶着した包装体において、型崩れや被包装物の離脱の心配がなく開封も容易な包装体を得るとともに、このような包装体を作成可能な、構成が簡単で耐久性も高い小型の包装装置を提供する。
【解決手段】折り合わせ部3eにおいて少なくとも1ヵ所熱溶着された縦シール部3gを有し、この縦シール部3gの前後に熱溶着されていない非シール部3hを有する包装体1とすることにより、型崩れや離脱を防ぎ、かつ非シール部3hを手がかりに開封が容易である。縦シール部3gを形成するヒータは小型で済み、かつこれを少なくとも1回樹脂フィルムシート3に押付けるだけで良いので、装置を小型に構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1枚の樹脂フィルムシートが平坦形状の被包装物の左右両側部のまわりに折り返されていて、被包装物の一方の面において樹脂フィルムシートの側端同士が重なった折り合わせ部を形成する包装体に関し、さらにこのような包装体を得る包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙や冊子、封筒、新聞等の平坦形状を有する被包装物の左右両側部のまわりに、1枚の樹脂フィルムシートを折り返し、この被包装物の一方の面において樹脂フィルムシートの側端同士が重なった折り合わせ部を形成し、さらにこの被包装物の前後において樹脂フィルムシートを熱溶着して閉塞した包装体が、物流や郵送等に多く用いられている。
【0003】
図9はこの背景技術の包装体を示す図である。図9に示す背景技術の包装体101は、平坦形状の被包装物2が樹脂フィルムシート3で包まれている。樹脂フィルムシート3は、被包装物2の前端側において熱溶着された前端側溶着部3a、被包装物2の後端側において熱溶着された後端側溶着部3bを有し、その左側側端3c付近および右側側端3d付近が互いに重なった折り合わせ部3eを有している。
【0004】
図10は背景技術の別の包装体201を示す図である。この包装体201は、折り合わせ部3eにおいて、前端から後端まで前後方向全域にわたって熱溶着された縦シール部3fが形成されている。
【0005】
図11はこのような包装体201を作成する包装装置301の一例を示す図である。図示しないフィルムロールから引き出された1枚の樹脂フィルムシート3が一対のサイドプレート302に導かれて筒状に形成され、樹脂フィルムシートの左右両側端3c、3d付近が互いに重なった折り合わせ部3eを形成する。この折合わせ部3eに縦シールヒータ304が押付けられ、縦シール部3fが形成される。この筒内に被包装物を投入し、被包装物の後端側において図示しない横シールヒータを押付けることにより、後端側溶着部3bを形成する。その後図示していない機構によりこの後端側溶着部3bで樹脂フィルムシートを切断する。すでに前回の包装で前端側溶着部3aが形成されているので、被包装物の前端側、後端側と折り合わせ部すべてが熱溶着されて密閉した包装体201が形成される(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】実公平3−1362号公報(図4ほか)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図9に示す包装体101は、折り合わせ部3eを熱溶着していないので、熱溶着は前後端シール手段(横シールヒータ)のみで行えばよく、包装が簡単であり、さらに開封も容易であるという利点があるが、折り合わせ部3eが熱溶着されていないことから形状が安定せず、包装の型崩れを起こしやすく、荷扱いに支障をきたすことがあるという欠点がある。また、折り合わせ部3eの幅が小さかったり、被包装物2が小さなものである場合には、折り合わせ部3eから被包装物2が離脱してしまう可能性があるという問題がある。
【0007】
図10に示す包装体201は、折り合わせ部3eにおいて前後方向全域にわたって熱溶着されているので、型崩れや被包装物の離脱の心配は無いが、包装体101に比べて開封がしにくくなるという欠点がある。また、この包装体201を得る包装装置301においては、折り合わせ部3eを隙間なく熱溶着するために、樹脂フィルムシート3を送りながら、押付けた部分が互いにオーバーラップするように、縦シールヒータ304を繰り返し折り合わせ部3eに押付けなければならないので、動作回数が多く包装に時間がかかり、消費電力も大きくなるという欠点があった。一度の押付けで折り合わせ部3eが前後方向全域にわたって熱溶着されるようにするためには、縦シールヒータを前後方向に長く構成しなければならず、装置が大型化してしまう。板状の縦シールヒータに代えて、回転可能なローラ形状であって折り合わせ部3eに転がり接触するロールヒータを用いたものもあるが、回転する部材に通電して加熱するため、回転する部材に摩擦接触する通電シュー等を必要とするため、構造が複雑化し、耐久性も落ちるという欠点がある。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、型崩れや被包装物の離脱の心配がなく、開封も容易な包装体を得ること、およびこのような包装体を得るための包装装置であって、構成が簡単で耐久性も高い小型の包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の第1の構成は、1枚の樹脂フィルムシートが平坦形状の被包装物の左右両側部のまわりに折り返されていて、被包装物の一方の面の前後方向中央部において樹脂フィルムシートの側端同士が重なった折り合わせ部を形成するとともに、被包装物の前後端が熱溶着により閉塞された包装体において、前記折り合わせ部の前後方向略中央部において1ヵ所熱溶着された縦シール部を有し、この縦シール部の前後に熱溶着されていない非シール部を有することを特徴とする包装体である。
【0010】
本発明の第2の構成は、1枚の樹脂フィルムシートが平坦形状の被包装物の左右両側部のまわりに折り返されていて、被包装物の一方の面の前後方向中央部において樹脂フィルムシートの側端同士が重なった折り合わせ部を形成するとともに、被包装物の前後端が熱溶着により閉塞された包装体において、前記折り合わせ部において熱溶着された縦シール部を複数箇所有し、この縦シール部の前後に熱溶着されていない非シール部を有することを特徴とする包装体である。
【0011】
本発明の第3の構成は、1枚の帯状樹脂フィルムシートを供給するフィルム供給手段と、このフィルムの側端同士を重ねて筒状に成形しその内部に平坦形状の被包装物を投入可能にするフィルム成形部と、被包装物をフィルムとともに搬送する搬送手段と、搬送手段の下流側に設けられ被包装物の前後において樹脂フィルムシートを熱溶着する前後端シール手段と、フィルムの側端同士が重なった折り合わせ部を熱溶着する縦シール手段を有する包装装置において、前記縦シール手段は、被包装物の前後方向を長手方向とした板状のヒータよりなり、前記折り合わせ部の前後方向略中央部にこのヒータを押付けることにより、その前後に熱溶着されていない非シール部を残して、押付けた部分が熱溶着されて縦シール部を形成することを特徴とする包装装置である。
【0012】
本発明の第4の構成は、1枚の帯状樹脂フィルムシートを供給するフィルム供給手段と、このフィルムの側端同士を重ねて筒状に成形しその内部に平坦形状の被包装物を投入可能にするフィルム成形部と、被包装物をフィルムとともに搬送する搬送手段と、搬送手段の下流側に設けられ被包装物の前後において樹脂フィルムシートを熱溶着する前後端シール手段と、フィルムの側端同士が重なった折り合わせ部を熱溶着する縦シール手段を有する包装装置において、前記縦シール手段は、被包装物の前後方向を長手方向とした複数の板状のヒータよりなり、前記折り合わせ部の前後方向略中央部にこの複数のヒータを同時に押付けることにより、その前後に熱溶着されていない非シール部を残して、押付けた部分が熱溶着されて縦シール部を形成することを特徴とする包装装置である。
【0013】
本発明の第5の構成は、1枚の帯状樹脂フィルムシートを供給するフィルム供給手段と、このフィルムの側端同士を重ねて筒状に成形しその内部に平坦形状の被包装物を投入可能にするフィルム成形部と、被包装物をフィルムとともに搬送する搬送手段と、搬送手段の下流側に設けられ被包装物の前後において樹脂フィルムシートを熱溶着する前後端シール手段と、フィルムの側端同士が重なった折り合わせ部を熱溶着する縦シール手段を有する包装装置において、前記縦シール手段は、被包装物の前後方向を長手方向とした板状のヒータよりなり、前記折り合わせ部の前後方向の複数箇所にこのヒータを押付けることにより、その前後に熱溶着されていない非シール部を残して、押付けた部分が熱溶着されて縦シール部を形成することを特徴とする包装装置である。
【0014】
本発明の第1及び第2の構成によれば、折り合わせ部の一部に1ヵ所または複数箇所の縦シール部を形成し、その前後に熱溶着を施していない非シール部を有している。したがって、非シール部を手がかりにして簡単に開封でき、しかも一部とはいえ熱溶着されているので型崩れの心配はなく、荷扱いも容易な包装体を得ることができる。
【0015】
本発明の第3の構成によれば、板状の縦シールヒータを折り合わせ部に1度押付けるだけで縦シール部を形成することができるので、包装装置を簡単に構成、動作させることができ、消費電力も少なく耐久性も向上する。
【0016】
本発明の第4の構成によれば、複数の板状の縦シールヒータを折り合わせ部に1度押付けるだけで、複数の縦シール部を形成することができるので、簡単な構成と動作によって、より形状安定性の高い包装体が得られる。
【0017】
本発明の第5の構成によれば、板状の縦シールヒータを折り合わせ部に複数回押付けることにより、複数の縦シール部を形成することができるので、より形状安定性の高い包装体が得られる。また、その回数は折り合わせ部を前後方向全てにわたって熱溶着するよりも少ない回数で済むので、消費電力も少なく耐久性も向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、型崩れや被包装物の離脱の心配がなく、開封も容易な包装体が得られるという効果があり、また、このような包装体を得るための包装装置であって、構成が簡単で耐久性も高い小型の包装装置が得られるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、背景技術の包装体101,201と同様の形状、機能を有する部材、部分には同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0020】
まず、本発明の第1実施形態に係る包装体1について説明する。図1はこの第1実施形態に係る包装体1を示す図である。この包装体1は、平坦形状の被包装物2が樹脂フィルムシート3で包まれており、この被包装物2の前端側に前端側溶着部3a、後端側に後端側溶着部3bが形成され、樹脂フィルムシート3の左右両側端3c、3d付近が互いに重なった折り合わせ部3eを有している。
【0021】
この第1実施形態の包装体1は、折り合わせ部3eの前後方向略中央部に、縦シール部3gを有している。この縦シール部3gにおいては、互いに重なった樹脂フィルムシート3の左右方向両側端3c、3d付近どうしが熱溶着されている。そして、この縦シール部3gの前後には非シール部3hを有している。この非シール部3hでは熱溶着は施されていない。したがって、縦シール部3gを有することにより包装形状が安定するので、型崩れを起こして荷扱いに支障をきたすようなことはなく、また、非シール部3hを手がかりとして簡単に開封することができる。縦シール部3gの位置は、折り合わせ部3eの前後方向における完全な中央部である必要は無いが、包装形状の安定という見地から、略中央部とするのが最も良い。
【0022】
次に、本発明の第2実施形態に係る包装体11について説明する。図2はこの第1実施形態に係る包装体11を示す図である。この包装体11においても、背景技術の包装体101と同様に、平坦形状の被包装物2が樹脂フィルムシート3で包まれており、この被包装物2の前端側に前端側溶着部3a、後端側に後端側溶着部3bが形成され、樹脂フィルムシート3の左右両側端3c、3d付近が互いに重なった折り合わせ部3eを有している。
【0023】
この第2実施形態の包装体11は、折り合わせ部3eに2ヵ所の縦シール部3jを有している。この縦シール部3jにおいては、互いに重なった樹脂フィルムシート3の左右方向両側端3c、3d付近どうしが熱溶着されている。そして、この縦シール部3jの前後には非シール部3kを有している。この非シール部3kでは熱溶着は施されていない。したがって、縦シール部3jを有することにより包装形状が安定するので、型崩れを起こして荷扱いに支障をきたすようなことはなく、また、非シール部3kを手がかりとして簡単に開封することができる。この第2実施形態においては、縦シール部を複数設けることにより、被包装物2が前後方向に長いものであっても、包装形状が安定する。縦シール部3jの数は2ヵ所に限らず、3ヶ所以上あっても良い。被包装物2の前後方向の長さに応じて変化させても良い。
【0024】
さらに、このような包装体1、11を作成可能な包装装置もまた、本発明である。まず、本発明の第1の包装装置21について、図面を参照して説明する。図3は本発明の第1の包装装置21を示す正面図、図4はその側面図である。この第1の包装装置21は、本発明の第1実施形態の包装体1を作成することができる包装装置である。
【0025】
図3及び図4に示すように、この包装装置21は、装置上方に1つのフィルムロール22が回転自在に支持されていて、このフィルムロール22から、1枚の帯状の樹脂フィルムシート3が供給される。このフィルムロール22の図3における左方にはフィルム成形板23が設けられ、このフィルム成形板23の上方には開口部23aが形成されており、樹脂フィルムシート3がフィルム成形板23に沿って送られることにより、筒状に成形されるようになっている。以下この機構を詳しく説明する。
【0026】
図5はこのフィルム成形板23の構造を示す図である。図5(a)のような形状をした板(表面が滑りやすい金属板が望ましい)を左右の点線に沿って、先に右側の方をほぼ180度折り曲げ、次に左側の方を若干の隙間をあけて重ねるようにほぼ180度折り曲げて、(c)のようにしたものである。(b)は(c)を上方から見た図であり、(d)は(c)を下方から見た図である。
【0027】
このような構造に対し、樹脂フィルムシート3を(c)の背面側から(c)の開口部23aへ挿入すると図6のようになり、下方へ引き出すと(c)のように樹脂フィルムシート3の左右量側端3c、3d付近が手前側中央部で重なり合った折り合わせ部3eを形成して筒状となる。このように折り込まれた筒状の樹脂フィルムシート3の下端を熱溶着して閉じておくと袋状となる。ここで開口部23aから被包装物2を投入すると、底のある筒状の樹脂フィルムシート3の内側に挿入されることになる。
【0028】
したがって図3及び図4においては、フィルム成形板23から筒状の樹脂フィルムシート3が垂下しており、上方から開口部23aに被包装物2を投入すると、この筒状の内側に入り込むことになる。
【0029】
フィルム成形板23の下方には、縦シール手段24が設けられている。この縦シール手段24には、前後方向を長手方向とした板状の縦シールヒータ25が設けられている。この縦シールヒータ25は、左右方向を長手方向とした取り付け板26に取り付けられていて、この取り付け板26の左右両端において、駆動ロッド27の一端に固定されている。この駆動ロッド27はロッド受28に支持され、その他端側はクランク機構29に接続されている。このクランク機構29を駆動軸30によって駆動することにより、駆動ロッド27を図3に示す矢印A方向に往復動させ、縦シールヒータ25を樹脂フィルムシート3に接触または離間するようになっている。駆動軸30にはモータM1から駆動力が与えられる。
【0030】
縦シール手段24の下方には、搬送手段31が設けられている。この搬送手段31には、モータM2から駆動力が与えられる駆動ローラ32と、この駆動ローラ32に接離可能に設けられた押付け従動ローラ33が設けられている。押付け従動ローラ33は軸34に回転自在に支持されており、この軸34はその左右両端において駆動ロッド35の一端に固定されている。この駆動ロッド35はロッド受36に支持され、その他端側はクランク機構37に接続されている。このクランク機構37を駆動軸38によって駆動することにより、駆動ロッド35を図3に示す矢印B方向に往復動させる。この往復動により押付け従動ローラ33が駆動ローラ32に近づく方向に移動すると、押付け従動ローラ33と駆動ローラ32とによって、被包装物2をこれを包む樹脂フィルムシート3ごと挟持して上方又は下方に搬送する。駆動軸38にはモータM3から駆動力が与えられる。
【0031】
搬送手段31の下方には、前後端シール手段39が設けられている。この前後端シール手段39には、筒状の樹脂フィルムシート3の全幅よりも長い横シールヒータ40が、図4に示す左右方向を長手方向として設けられている。この横シールヒータ40は、左右方向を長手方向とした取り付け板41に取り付けられていて、この取り付け板41の左右両端において、一対の側板42に固定されている。この側板42を、スライド機構43およびクランク機構44によって図3に示す矢印C方向に往復動させることにより、横シールヒータ40を樹脂フィルムシート3に接触または離間するようになっている。クランク機構44は駆動軸45によって駆動され、この駆動軸45にはモータM4から駆動力が与えられる。この横シールヒータ40に対して樹脂フィルムシート3の通路を挟んで対向してヒータ受け49が設けられている。横シールヒータ40とヒータ受け49とで樹脂フィルムシート3を挟んで熱溶着させる。
【0032】
この前後端シール手段の上流側には第1センサ46が、下流側には第2センサ47が設けられている。この第1センサ46、第2センサ47は、非包装物2及び樹脂フィルムシート3の通路を挟んで対向して設けられた光学式センサであって、それぞれ被包装物2の通過を検知可能になっている。さらに、これらのセンサの検知結果に応じ、モータM1、M2、M3、M4を駆動制御する制御器48が設けられている。
【0033】
次にこの包装装置21の動作を図7を参照して説明する。まず上方の開口部23aから被包装物2を投入する。すると被包装物2は筒状に成形された樹脂フィルムシート3の内側に挿入される。樹脂フィルムシート3の前端(図3,4における下端)は前回の包装動作で既に熱溶着されて閉じられて底部を形成しているので、図7(a)に示すように被包装物2の前端がこの底部に達して停止する。
【0034】
ここで、非包装物2の前端が第1センサ46によって検知される。すると、モータM1が駆動し、図7(b)のように縦シールヒータ25を樹脂フィルムシート3の折り合わせ部3eに押し当て、縦シール部を形成する。
【0035】
次にモータM2およびM3が駆動し、図7(c)に示すように駆動ローラ32を図7における反時計方向に回転させるとともに、押付け従動ローラ33を被包装物2および樹脂フィルムシート3に押付け、被包装物2を樹脂フィルムシート3ごと下方に搬送する。そして図7(d)に示すように第2センサ47によって被包装物2の後端が検知されると、駆動ローラ32がいったん停止し、モータM4が駆動して横シールヒータ40が被包装物2の後端側において樹脂フィルムシート3に押付けられ、熱溶着が行われる。さらにモータM2を短時間逆回転させ、図7(e)に示すように駆動ローラ32を図7における時計方向に回転駆動させることにより、横シールヒータ40よりも上流側で樹脂フィルムシート3が搬送手段31により上方に引き上げられるので、横シールヒータ40による熱溶着部で樹脂フィルムシートが切断される。その後横シールヒータ40を樹脂フィルムシート3から離間させると、樹脂フィルムシート3に包装された被包装物2が下方に落下する。
【0036】
この包装装置21によれば、被包装物2の前後方向長さよりも短い1枚の板状のヒータを設け、これを1回の包装動作につき1回樹脂フィルムシート3に押付けるだけで縦シール部が形成でき、型崩れがなく開封の容易な包装体を簡単な構成と動作の包装装置で得ることができる。
【0037】
なお、この包装装置21において、被包装物2の前端が樹脂フィルムシート3の底部に達した時点で縦シールヒータ25を押し当てると、縦シール部の位置が前寄りまたは後寄りに偏る場合は、縦シールヒータ25を押し当てる前に、搬送手段31によって適宜被包装物2及び樹脂フィルムシート3を上方又は下方に移動させることにより、被包装物2の前後方向略中央部を狙って縦シールヒータ25を押し当てるようにすれば良い。適用する被包装物の前後方向の長さがほぼ決まっている場合は、包装物2の前端が樹脂フィルムシート3の底部に達した時点で縦シールヒータ25を押し当てると、被包装物2の前後方向略中央部に縦シール部が形成されるように装置を設計すると、搬送手段31による縦シール位置の調整が不要になる点で好ましい。
【0038】
続いて本発明の第2の包装装置51について、図面を参照して説明する。図8は本発明の第2の包装装置51を示す正面図である。この第2の包装装置51は、本発明の第2実施形態の包装体11を作成することができる包装装置である。
【0039】
この本発明の第2の包装装置51が、第1の包装装置21と異なる点は、縦シール手段24において、縦シールヒータが2枚(25a、25b)設けられている点であり、その他は動作も含めて包装装置21と全く同一である。この縦シールヒータ25a、25bは、第1の包装装置21と同様に、取り付け板26に取り付けられていて、駆動ロッド、クランク機構等を介して、モータM1により駆動されるようになってる。この包装装置51においては、2枚の縦シールヒータ25a、25bがともに駆動される。
【0040】
そして、上方の開口部23aから被包装物2を投入し、樹脂フィルムシート3の底部に被包装物2の前端が達して停止したあと、モータM1を駆動して縦シールヒータ25a、25bをともに樹脂フィルムシート3の折り合わせ部3eに押付けることにより、2ヵ所の縦シール部を形成する。その他の動作は第1の包装装置21と同一である。
【0041】
この包装装置51によれば、被包装物2の前後方向長さよりも短い板状のヒータを2枚設け、これを1回の包装動作につき1回樹脂フィルムシート3に押付けるだけで縦シール部が2ヵ所形成できる。したがって、より型崩れしにくく、かつ開封の容易な包装体を簡単な構成と動作の包装装置で得ることができる。なお、縦シールヒータの枚数を増やすことにより、3箇所以上の縦シール部を形成することも可能である。
【0042】
続いて本発明の第3の包装装置61について説明する。この第3の包装装置61の構成は、図3および図4に示す第1の包装装置21と全く同一であり、異なる点は、動作において、縦シールヒータ25の押付けが2度行われることにより、縦シール部を2ヵ所形成することである。この第3の包装装置61はこの動作により、本発明の第2実施形態の包装体11を作成することができる。
【0043】
すなわち、上方の開口部23aから被包装物2を投入し、樹脂フィルムシート3の底部に被包装物2の前端が達して停止したあと、モータM1を駆動して縦シールヒータ25を樹脂フィルムシート3の折り合わせ部3eに押付けることにより、縦シール部を1ヵ所形成する。その後、搬送手段31により被包装物2を樹脂フィルムシート3ごと下方に適宜の距離だけ搬送して停止させる。そして再度モータM1を駆動して縦シールヒータ25を樹脂フィルムシート3の折り合わせ部3eに押付けることにより、縦シール部を形成する。したがって縦シール部は適宜の間隔をおいて2ヵ所形成される。これ以後の動作は第1の包装装置21と同一である。
【0044】
この包装装置61によれば、被包装物2の前後方向長さよりも短い板状のヒータを1枚設け、これを1回の包装動作につき2回樹脂フィルムシート3に押付けることにより縦シール部が2ヵ所形成される。したがって、より型崩れしにくく、かつ開封の容易な包装体を簡単な構成と動作の包装装置で得ることができる。なお、縦シールヒータの押付け回数を増やすことにより、3箇所以上の縦シール部を形成することも可能である。また、最初に縦シールヒータ25を押し当てる前に、搬送手段31によって適宜被包装物2及び樹脂フィルムシート3を上方又は下方に移動させることにより、縦シール部の形成位置を調整しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態の包装体1を示す斜視図である。
【図2】本発明の第2実施形態の包装体11を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の包装装置21を示す正面図である。
【図4】本発明の第1の包装装置21を示す側面図である。
【図5】図3および図4の包装装置21のフィルム成形板23の展開図および構造図である。
【図6】帯状の樹脂フィルムシートが図3および図4に示すフィルム成形板23で筒状成形される状況を示す図である。
【図7】本発明の第1の包装装置21の動作を示す図である。
【図8】本発明の第2の包装装置51を示す正面図である。
【図9】背景技術の包装体101を示す斜視図である。
【図10】背景技術の包装体201を示す斜視図である。
【図11】背景技術の包装体201を得るための包装装置301を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1、11;包装体(本発明)
2;被包装物
3;樹脂フィルムシート
3a;前端側溶着部
3b;後端側溶着部
3c;左側側端
3d;右側側端
3e;折り合わせ部
3g、3j;縦シール部
3h、3k;非シール部
21;第1の包装装置
22;フィルムロール
23;フィルム成形板
23a;開口部
24;縦シール手段
25、25a、25b;縦シールヒータ
31;搬送手段
32;駆動ローラ
33;押付け従動ローラ
39;前後端シール手段
40;横シールヒータ
46;第1センサ
47;第2センサ
48;制御器
49;ヒータ受け
51;第2の包装装置
61;第3の包装装置
101、201;包装体(背景技術)
301;包装装置(背景技術)
A、B、C;矢印
M1,M2,M3;モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の樹脂フィルムシートが平坦形状の被包装物の左右両側部のまわりに折り返されていて、被包装物の一方の面の前後方向中央部において樹脂フィルムシートの側端同士が重なった折り合わせ部を形成するとともに、被包装物の前後端が熱溶着により閉塞された包装体において、前記折り合わせ部の前後方向略中央部において1ヵ所熱溶着された縦シール部を有し、この縦シール部の前後に熱溶着されていない非シール部を有することを特徴とする包装体。
【請求項2】
1枚の樹脂フィルムシートが平坦形状の被包装物の左右両側部のまわりに折り返されていて、被包装物の一方の面の前後方向中央部において樹脂フィルムシートの側端同士が重なった折り合わせ部を形成するとともに、被包装物の前後端が熱溶着により閉塞された包装体において、前記折り合わせ部において熱溶着された縦シール部を複数箇所有し、この縦シール部の前後に熱溶着されていない非シール部を有することを特徴とする包装体。
【請求項3】
1枚の帯状樹脂フィルムシートを供給するフィルム供給手段と、このフィルムの側端同士を重ねて筒状に成形しその内部に平坦形状の被包装物を投入可能にするフィルム成形部と、被包装物をフィルムとともに搬送する搬送手段と、搬送手段の下流側に設けられ被包装物の前後において樹脂フィルムシートを熱溶着する前後端シール手段と、フィルムの側端同士が重なった折り合わせ部を熱溶着する縦シール手段を有する包装装置において、前記縦シール手段は、被包装物の前後方向を長手方向とした板状のヒータよりなり、前記折り合わせ部の前後方向略中央部にこのヒータを押付けることにより、その前後に熱溶着されていない非シール部を残して、押付けた部分が熱溶着されて縦シール部を形成することを特徴とする包装装置。
【請求項4】
1枚の帯状樹脂フィルムシートを供給するフィルム供給手段と、このフィルムの側端同士を重ねて筒状に成形しその内部に平坦形状の被包装物を投入可能にするフィルム成形部と、被包装物をフィルムとともに搬送する搬送手段と、搬送手段の下流側に設けられ被包装物の前後において樹脂フィルムシートを熱溶着する前後端シール手段と、フィルムの側端同士が重なった折り合わせ部を熱溶着する縦シール手段を有する包装装置において、前記縦シール手段は、被包装物の前後方向を長手方向とした複数の板状のヒータよりなり、前記折り合わせ部の前後方向略中央部にこの複数のヒータを同時に押付けることにより、その前後に熱溶着されていない非シール部を残して、押付けた部分が熱溶着されて縦シール部を形成することを特徴とする包装装置。
【請求項5】
1枚の帯状樹脂フィルムシートを供給するフィルム供給手段と、このフィルムの側端同士を重ねて筒状に成形しその内部に平坦形状の被包装物を投入可能にするフィルム成形部と、被包装物をフィルムとともに搬送する搬送手段と、搬送手段の下流側に設けられ被包装物の前後において樹脂フィルムシートを熱溶着する前後端シール手段と、フィルムの側端同士が重なった折り合わせ部を熱溶着する縦シール手段を有する包装装置において、前記縦シール手段は、被包装物の前後方向を長手方向とした板状のヒータよりなり、前記折り合わせ部の前後方向の複数箇所にこのヒータを押付けることにより、その前後に熱溶着されていない非シール部を残して、押付けた部分が熱溶着されて縦シール部を形成することを特徴とする包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−62798(P2007−62798A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251212(P2005−251212)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000109727)株式会社デュプロ (195)
【出願人】(504025918)株式会社ユウコス (11)
【Fターム(参考)】